説明

光モジュール構造

【課題】脱落防止や逆組み付け防止を図ることが可能な、また、汎用性を高めることが可能な光モジュール構造を提供する。
【解決手段】上方からの外力に対しては、一対の上側突出壁40が機能する。仮に光ファイバホルダー24の上面に対し上方からの外力が作用した場合には、一対の下側突出壁41が機能する。下方からの外力に対しては、一対の下側突出壁41が機能する。仮に光ファイバホルダー24の下面に対し下方からの外力が作用した場合には、一対の上側突出壁40が機能する。左方からの外力に対しては、左側のシールド側嵌合解除規制部54が機能する。また、右方からの外力に対しては、右側のシールド側嵌合解除規制部54が機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバとFOT(Fiber Optic Transceiver )との光学的な結合を行う光モジュールの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッドコネクタ(光コネクタと電気コネクタとを一体化したコネクタ)や光コネクタなどの光モジュールのうち、ピッグテール型となる光モジュールの技術に関しては、例えば下記特許文献1に開示されている。以下、開示された光モジュールの構造について簡単に説明をする。
【0003】
図7において、光モジュールは、図示しない回路基板に実装される受発光部1と、図示しないコネクタ部と、これら受発光部1及びコネクタ部を中継する光ファイバ2とを備えて構成されている。光ファイバ2の一端には、フェルール3が設けられている。光ファイバ2は、フェルール3を介して受発光部1のFOT(Fiber Optic Transceiver )4との光学的な結合がなされるようになっている。FOT4は、シールドケース5にて覆われた状態で上記回路基板に接続固定されている。
【0004】
上記構成において、光ファイバ2の一端を光ファイバ固定部6に固定した状態のフェルール3を光軸方向に沿って移動させると、フェルール3に形成された溝部7がシールドケース5に形成された突出板8に差し込まれる。そして、溝部7の係止突起9と突出板8の係止枠部10とが引っ掛かり合い、これにより係止状態が形成されると、この時、光ファイバ固定部6が受発光部1に係合して光学的な結合が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−145715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来技術にあっては、矢印Pで示す上下方向からの外力が加わると、シールドケース5の突出板8が変形してしまうという虞がある。仮に変形が生じた場合には、フェルール3が脱落して光学的な結合に影響を来してしまうという問題点を有している。
【0007】
また、上記従来技術にあっては、フェルール3の溝部7をシールドケース5の突出板8に差し込むだけの係止構造を採用していることから、フェルール3を上下逆に差し込んでしまう逆組み付けが起きてしまうという虞がある。仮に逆組み付けが起きた場合には、光学的な結合に影響を来してしまうという問題点を有している。
【0008】
この他、FOT4に関し、FOT4はこの前面から円筒形状に突出するガイド筒部を有するものや、ガイド筒部のないものがあり、使用するFOT4によってフェルール3側の形状が決まってしまうという問題点を有している。言い換えれば、ガイド位置を見直すことにより、汎用性を高めることができるという余地を有している。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、脱落防止や逆組み付け防止を図ることが可能な、また、汎用性を高めることが可能な光モジュール構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の光モジュール構造は、光素子を有するFOT(Fiber Optic Transceiver )と、該FOTを保持するFOTケースと、これらを覆いシールドを施すシールドケースと、前記光素子に光学的に結合する光ファイバと、該光ファイバ端末に設けられ且つ前記FOTケース及び/又は前記シールドケースに係合する光ファイバホルダーとを備え、さらに、前記FOTケース及び/又は前記シールドケースのホルダー係合部分周囲に、光軸に交差する方向からの外力に対する係合解除規制部を設けることを特徴とする。
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、光軸に交差する方向からの外力を受けた場合、この力は係合解除規制部によってホルダー係合部分に作用し難くなる。尚、「係合」の一例として、係止構造を用いての嵌め合いである「嵌合」や、「押さえつけ」、「圧入」等が挙げられるものとする。本発明はいずれであってもよいが、上記「嵌合」が好適であるものとする。
【0012】
請求項2記載の本発明の光モジュール構造は、請求項1に記載の光モジュール構造において、前記光ファイバホルダーと、前記FOTケース及び/又は前記シールドケースとに逆組み付け防止部を設けることを特徴とする。
【0013】
このような特徴を有する本発明によれば、光ファイバホルダーを例えば上下逆に組み付けようとする場合、組み付けは逆組み付け防止部により規制される。逆組み付け防止部は、光ファイバホルダーの係合を規制する構造、すなわち係合できなくする構造が有効である。
【0014】
請求項3記載の本発明の光モジュール構造は、請求項1又は請求項2に記載の光モジュール構造において、前記FOTケースに前記光ファイバホルダーの光ファイバ保持部をガイドするガイド穴部を設けることを特徴とする。
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、光ファイバホルダーの組み付けの際に、光ファイバ保持部はFOTケースのガイド穴部にてガイドされる。ガイド機能は、FOTの形状に左右されないことになる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載された本発明によれば、ホルダー係合部分の周囲に係合解除規制部を設けていることから、外力の影響を受け難くすることができるという効果を奏する。従って、脱落防止を図ることができるという効果を奏する。本発明によれば、光学的な結合状態を維持することができるという効果も奏する。
【0017】
請求項2に記載された本発明によれば、逆組み付け防止部を設けていることから、光ファイバホルダーの逆組み付けを防止することができるという効果を奏する。これにより、組み付け作業性を向上させたり、正常な光学的結合の実現を図ることができるという効果も奏する。
【0018】
請求項3に記載された本発明によれば、光ファイバホルダーの光ファイバ保持部をFOTケースのガイド穴部にてガイドさせていることから、FOTの形状に左右されない構造にすることができ、結果、汎用性を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の光モジュール構造を示す図であり、(a)は光モジュールを右側から見た斜視図、(b)は光モジュールを左側から見た斜視図である。
【図2】光モジュールの分解斜視図である。
【図3】FOTケースの斜視図である。
【図4】FOTホルダーとFOTケースとの組み付けに係る側面図であり、(a)は正規組み付けに係る組付途中状態の図、(b)は正規組み付けに係る組み付け完了時の図、(c)は逆組み付けに係る組み付け不能状態の図である。
【図5】光モジュールを右側から見た拡大斜視図である。
【図6】光モジュールを左側から見た拡大斜視図である。
【図7】従来例の光モジュール構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら一実施形態を説明する。図1は本発明の光モジュール構造を示す斜視図である。また、図2は光モジュールの分解斜視図、図3はFOTケースの斜視図、図4はFOTホルダーとFOTケースとの組み付けに係る側面図、図5は光モジュールを右側から見た拡大斜視図、図6は光モジュールを左側から見た拡大斜視図である。
【0021】
図1において、ハイブリッドコネクタ(光コネクタと電気コネクタとを一体化したコネクタ)や光コネクタなどの光モジュールのうち、ピッグテール型となる光モジュール21は、図示しない回路基板に実装される受発光部22と、図示しないコネクタ部と、これら受発光部22及びコネクタ部を中継する一対の光ファイバ23と、この一対の光ファイバ23の端末に設けられる光ファイバホルダー24とを備えて構成されている。本形態の光モジュール21は、自動車等の移動体において光信号の送受信を行うために備えられている(移動体に限らないものとする)。
【0022】
光モジュール21は、光ファイバホルダー24を用いて一対の光ファイバ23の端末を受発光部22に光学的に結合する構造を有している。この構造にあっては、光ファイバホルダー24を受発光部22に嵌合させることにより実現されている。光ファイバホルダー24の嵌合部分は、仮に外力が加わった場合であっても、受発光部22に設けられた嵌合解除規制手段25(係合解除規制部)により、嵌合が解除されないようになっている。尚、嵌合解除規制手段25に関しては、後述するものとする。
【0023】
先ず、上記各構成部材について説明をする。説明中では、矢印Pを上下方向、矢印Qを左右方向、矢印Rを前後方向と定義するものとする。矢印Rの前後方向は光軸の方向に一致するものとする。上記外力が加わる方向としては、光軸に対し交差する方向であるものとする。
【0024】
図1及び図2において、受発光部22は、二つのFOT(Fiber Optic Transceiver )26と、この二つのFOT26を保持・固定するFOTケース27と、これらを覆いシールドを施すシールドケース28とを備えて構成されている。
【0025】
FOT26は、光素子(発光素子、受光素子)を有するFOT本体29と、このFOT本体29から伸びる複数の基板接続用のピン、すなわちリードフレーム30とを有している。FOT26は、発光側のものと受光側のものの二つが備えられている。発光側のFOT26は発光素子を有している。また、受光側のFOT26は受光素子を有している。各光素子は、対応するリードフレーム30にワイヤーボンディング等をすることにより接続されている。
【0026】
FOT本体29は、この後面がシールドケース28の図示しないFOT押さえバネにより押圧されると、前面がFOTケース27の内面に対し押し付けられるような形状に形成されている。FOT本体29の前面には、光素子の配設位置に合わせて凹部31が形成されている。尚、凹部31ではなく円筒形状に突出するガイド筒部を形成してもよいものとする(以下の説明で分かるようになるが、光ファイバ23側に対するガイド機能は、FOT本体29の形状に左右されないようになっている)。
【0027】
FOT本体29における引用符号32は、固定用穴を示している。固定用穴32は、FOTケース27の内面に突出する図示しないFOT固定突起に対し圧入される部分として形成されている。
【0028】
リードフレーム30は、断面四角形状であって、FOT本体29の下部から下方向にのびるように形成されいる。リードフレーム30は、この先端が図示しない回路基板に差し込まれ、この後に対応する回路に半田付けされるようになっている。リードフレーム30は、本形態において千鳥状に配置されているが、横一列に並ぶ配置であってもよいものとする。
【0029】
図2及び図3において、FOTケース27は、絶縁性を有する樹脂成形品であって、前壁33と、下壁34と、左右の側壁35と、前壁33に設けられるケース側嵌合解除規制部36(係合解除規制部)とを有している。FOTケース27は、前壁33、下壁34、及び左右の側壁35に囲まれる部分がFOT本体固定部37として、また、下壁34がリードフレーム固定部38として形成されている。
【0030】
前壁33には、一対のガイド穴部39が貫通形成されている。一対のガイド穴部39は、光ファイバホルダー24の後述する光ファイバ保持部60(図1参照)をガイドする部分として形成されている。すなわち、ガイド機能部分として形成されている。一対のガイド穴部39は、FOT26における光素子(発光素子、受光素子)の位置に合わせて配置形成されている。一対のガイド穴部39の周囲には、ケース側嵌合解除規制部36が設けられている。
【0031】
ケース側嵌合解除規制部36は、上側突出壁40と、下側突出壁41と、上段42及び下段43からなる段差44とを有して構成されている。ケース側嵌合解除規制部36は、嵌合解除規制手段25の一つとなっている。段差44は、上側突出壁40及び下側突出壁41の間に配置されている。ケース側嵌合解除規制部36は、上側から上側突出壁40、段差44、下側突出壁41が縦に並ぶように配置形成されている。この縦の並びは左右方向に一対となるようになっている。上側突出壁40、段差44、及び下側突出壁41は、側方から見ると略コ字状となるような形状に形成されている。また、上側突出壁40及び下側突出壁41は、光ファイバホルダー24(図1参照)をこの上下から挟み込むような形状に形成されている。
【0032】
上側突出壁40は、前壁33に対し直交するように突出する細長い壁(光軸の方向に沿って突出する細長い壁)であって、光ファイバホルダー24(図1参照)の上面に対向するように配置形成されている。上側突出壁40は上記の如く二つあり、これらは所定の間隔をあけて配置されている。上側突出壁40は、光ファイバホルダー24の幅寸法に合わせて配置されている。上側突出壁40は、この基端部分(前壁33近傍)にスリット45を有している。スリット45には、シールドケース28(図1参照)の一部が差し込まれるようになっている。
【0033】
下側突出壁41は、上側突出壁40と同様に、前壁33に対し直交するように突出する壁(光軸の方向に沿って突出する壁)であって、上側突出壁40よりも幅が広い形状に形成されている。下側突出壁41は、光ファイバホルダー24(図1参照)の下面に対向するように配置形成されている。下側突出壁41は上記の如く二つあり、これらは所定の間隔をあけて配置されている。下側突出壁41は、光ファイバホルダー24の幅寸法に合わせて配置されている。
【0034】
段差44は、上記の如く上段42及び下段43からなり、略階段形状に形成されている。上段42は、上側突出壁40側に配置されている。また、下段43は、下側突出壁41側に配置されている。上段42は、下段43よりも前側に位置するように(突出するように)配置されている。段差44は、FOTケース27側の逆組み付け防止部46として機能するようになっている。
【0035】
段差44は組み付け時において、光ファイバホルダー24(図1参照)側の後述する逆組み付け防止部62と係合するようになっている。この時、段差同士が一致しない場合に、光ファイバホルダー24の嵌合が不能になるようになっている(図4を参照しながら後述するものとする)。
【0036】
上段42は、光ファイバホルダー24(図2参照)の後述する噛み合い凹部63の係合部分としても形成されている。上段42は、これに噛み合い凹部63が係合すると、光ファイバホルダー24の左右方向のガタ付きや移動を規制することができるようになっている。
【0037】
ケース側嵌合解除規制部36(上側突出壁40、段差44、及び下側突出壁41)は、上記から分かるように、光ファイバホルダー24(図1参照)の上下方向や左右方向の移動を規制することができる部分として形成されている。すなわち、光軸に対し交差する方向からの外力に強い構造に形成されている。ケース側嵌合解除規制部36は、光ファイバホルダー24の嵌合部分(係合部分)の周囲となる位置に配置形成されている。
【0038】
FOTケース27は、左右の側壁35にそれぞれ係止突起47を有している。係止突起47は、シールドケース28(図1参照)を引っ掛けてこの抜けを防止する部分として形成されている。
【0039】
図1及び図2において、シールドケース28は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより形成されている。シールドケース28は、図示のような下側が開口する略箱状の形状に形成されている。シールドケース28は、電磁ノイズ対策を施すことができるように形成されている。シールドケース28は、下側開口部48と、上壁49と、左右の側壁50と、前壁51と、後壁52と、ホルダー嵌合部53と、シールド側嵌合解除規制部54(係合解除規制部)とを有している。
【0040】
シールドケース28は、FOT26を保持・固定した状態のFOTケース27を、下側開口部48から上壁49へ向けて差し込むことにより覆うことができるようになっている。シールドケース28は、左右の側壁50の係止部55にFOTケース27の係止突起47が引っ掛かると、これにより係止・固定されるようになっている。
【0041】
前壁51には、一対のホルダー嵌合部53及びシールド側嵌合解除規制部54が設けられている。ホルダー嵌合部53は、前壁51を直角に略観音開きするようにして形成されている。ホルダー嵌合部53は、光ファイバホルダー24の幅寸法に合わせた間隔にて対向するように配置形成されている。ホルダー嵌合部53には、矩形の嵌合孔56が貫通形成されている。嵌合孔56は、光ファイバホルダー24を引っ掛けて嵌合状態にする部分として形成されている。
【0042】
シールド側嵌合解除規制部54は、嵌合解除規制手段25の一つであって、ホルダー嵌合部53の下側を直角に折り曲げることにより形成されている。シールド側嵌合解除規制部54は、光ファイバホルダー24の嵌合部分(係合部分)となるホルダー嵌合部53に外力を作用させないようにする部分として形成されている。シールド側嵌合解除規制部54は、これに外力が加わった場合に、FOTケース27のケース側嵌合解除規制部36(下側突出壁41)にて左右方向内側への倒れ込みが規制されるようになっている。尚、シールド側嵌合解除規制部54は、ホルダー嵌合部53の左右方向外側への倒れ込みを規制できるような形状にも形成されている。
【0043】
下側開口部48には、ピン形状となる複数の基板接続57と、基板固定脚部58とが形成されている。後壁52には、FOT26(FOT本体29の後面)を押圧する図示しないFOT押さえバネが形成されている。
【0044】
光ファイバホルダー24は、絶縁性を有する樹脂成形品であって、矩形の略ブロック形状となるホルダー本体59と、このホルダー本体59の前面から一部が突出するような一対の光ファイバ保持部60とを有している(図示の形状は一例であるものとする)。
【0045】
ホルダー本体59の左右両側には、可撓性を有する嵌合突起部61(係合部分)がそれぞれ形成されている。また、嵌合突起部61(係合部分)よりも前側には、逆組み付け防止部62(図4参照)がそれぞれ形成されている。さらに、逆組み付け防止部62の近傍には、噛み合い凹部63がそれぞれ形成されている。
【0046】
逆組み付け防止部62は、段差形状であって、上側に位置する第一段部64と、下側に位置する第二段部65とにより構成されている。第一段部64は、ホルダー本体59の後面からの距離が第二段部65よりも短くなるような位置に配置形成されている。第一段部64及び第二段部65は、FOTケース27の上段42及び下段43の段差に合わせて形成されている(図4参照)。
【0047】
第一段部64及び第二段部65は、これらが上下逆になった場合に、すなわち光ファイバホルダー24の逆組み付けがなされた場合に、段差によって光ファイバホルダー24の嵌合を不能にすることができるように形成されている(図4参照。嵌合突起部61の位置を変えることにより嵌合を不能にする)。
【0048】
噛み合い凹部63は、FOTケース27の段差44(上段42)に係合する部分として凹状に形成されている。噛み合い凹部63は、これが上段42に係合すると、光ファイバホルダー24の左右方向のガタ付きや移動を規制することができるようになっている。
【0049】
光ファイバ保持部60は、ホルダー本体59の後面側から挿入される光ファイバ23を保持・固定する部分として形成されている。光ファイバ保持部60は、公知のフェルールと同様に機能する部分として形成されている。光ファイバ保持部60は、FOTケース27のガイド穴部39に挿入・案内される部分としても形成されている。
【0050】
光ファイバ23は、本形態において、公知のPOF(Plastic Optical Fiber )が用いられている(これに限定されるものでないものとする)。
【0051】
次に、上記構成及び構造に基づきながら、光モジュール21の組み付けについて説明をする。
【0052】
図2において、二つのFOT26をFOTケース27のFOT本体固定部37に保持・固定し、これらをシールドケース28にて覆うと、受発光部22の組み付けが完了する。そして、この受発光部22を図示しない回路基板に実装し、光ファイバホルダー24を受発光部22に嵌合させると、この時、光ファイバ23の端面がFOT26の光素子に対向して光学的な結合が完了する。
【0053】
光ファイバホルダー24は、この嵌合突起部61がシールドケース28のホルダー嵌合部53の嵌合孔56に引っ掛かり係止される。この係止により光ファイバホルダー24の嵌合状態が形成される。嵌合部分の周囲には、シールドケース28のシールド側嵌合解除規制部54や、FOTケース27のケース側嵌合解除規制部36(上側突出壁40、段差44、及び下側突出壁41)が存在し、光軸に交差する方向からの外力に対し強い構造になっている。
【0054】
上記強い構造に関し具体的に説明をすると、図5及び図6に示す上方からの外力(矢印P1参照)に対しては、一対の上側突出壁40が機能する(外力を受ける)。仮に光ファイバホルダー24の上面に対し上方からの外力が作用した場合には、一対の下側突出壁41が機能する(外力を受ける)。
【0055】
また、下方からの外力(矢印P2参照)に対しては、一対の下側突出壁41が機能する。仮に光ファイバホルダー24の下面に対し下方からの外力が作用した場合には、一対の上側突出壁40が機能する。
【0056】
また、左方からの外力(矢印Q1参照)に対しては、左側のシールド側嵌合解除規制部54が機能する。仮に光ファイバホルダー24の側面に対し左方からの外力が作用した場合には、右側の噛み合い凹部63が右側の段差44に係合するように機能する。尚、左側のシールド側嵌合解除規制部54は、左側の下側突出壁41にて左右方向内側へ倒れ込むことはない。
【0057】
また、右方からの外力(矢印Q2参照)に対しては、右側のシールド側嵌合解除規制部54が機能する。仮に光ファイバホルダー24の側面に対し右方からの外力が作用した場合には、左側の噛み合い凹部63が左側の段差44に係合するように機能する。尚、右側のシールド側嵌合解除規制部54は、右側の下側突出壁41にて左右方向内側へ倒れ込むことはない。
【0058】
以上、図1ないし図6を参照しながら説明してきたように、光モジュール21によれば、ホルダー係合部分の周囲にシールドケース28のシールド側嵌合解除規制部54や、FOTケース27のケース側嵌合解除規制部36(上側突出壁40、段差44、及び下側突出壁41)を設けていることから、外力の影響を受け難くすることができるという効果を奏する。従って、光ファイバホルダー24の脱落防止を図ることができるという効果を奏する。光モジュール21によれば、光学的な結合状態を維持することができるという効果も奏する。
【0059】
また、光モジュール21によれば、FOTケース27に逆組み付け防止部46を設け、光ファイバホルダー24にも逆組み付け防止部62を設けていることから、光ファイバホルダー24の逆組み付けを防止することができるという効果を奏する。これにより、組み付け作業性を向上させたり、正常な光学的結合の実現を図ることができるという効果も奏する。
【0060】
さらに、光モジュール21によれば、光ファイバホルダー24の光ファイバ保持部60をFOTケース27のガイド穴部39にてガイドさせていることから、FOT26の形状に左右されない構造にすることができ、結果、汎用性を高めることができるという効果を奏する。
【0061】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
21…光モジュール
22…受発光部
23…光ファイバ
24…光ファイバホルダー
25…嵌合解除規制手段(係合解除規制部)
26…FOT
27…FOTケース
28…シールドケース
29…FOT本体
30…リードフレーム
31…凹部
32…固定用穴
33…前壁
34…下壁
35…側壁
36…ケース側嵌合解除規制部(係合解除規制部)
37…FOT本体固定部
38…リードフレーム固定部
39…ガイド穴部
40…上側突出壁
41…下側突出壁
42…上段
43…下段
44…段差
45…スリット
46…逆組み付け防止部
47…係止突起
48…下側開口部
49…上壁
50…側壁
51…前壁
52…後壁
53…ホルダー嵌合部
54…シールド側嵌合解除規制部(係合解除規制部)
55…係止部
56…嵌合孔
57…基板接続
58…基板固定脚部
59…ホルダー本体
60…光ファイバ保持部
61…嵌合突起部
62…逆組み付け防止部
63…噛み合い凹部
64…第一段部
65…第二段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光素子を有するFOT(Fiber Optic Transceiver )と、該FOTを保持するFOTケースと、これらを覆いシールドを施すシールドケースと、前記光素子に光学的に結合する光ファイバと、該光ファイバ端末に設けられ且つ前記FOTケース及び/又は前記シールドケースに係合する光ファイバホルダーとを備え、さらに、前記FOTケース及び/又は前記シールドケースのホルダー係合部分周囲に、光軸に交差する方向からの外力に対する係合解除規制部を設ける
ことを特徴とする光モジュール構造。
【請求項2】
請求項1に記載の光モジュール構造において、
前記光ファイバホルダーと、前記FOTケース及び/又は前記シールドケースとに逆組み付け防止部を設ける
ことを特徴とする光モジュール構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光モジュール構造において、
前記FOTケースに前記光ファイバホルダーの光ファイバ保持部をガイドするガイド穴部を設ける
ことを特徴とする光モジュール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−168480(P2012−168480A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31506(P2011−31506)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】