説明

光半導体封止材料

【課題】透明性に優れ、紫外光に対して安定で黄変が発生せず、耐熱性、屈折率のバランスに優れ、また、リフローはんだ等の加熱工程において変形や割れを生ぜず加工性にも優れた特性を有し、光半導体装置(半導体発光装置)における発光素子や受光素子などの封止材料として好適に使用できる光半導体封止材料を提供する。
【解決手段】アダマンチル基、ノルボルニル基、ジシクロペンタニル基などの炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステルをラジカル重合してなる重合体を含む光半導体封止材料および、前記脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステル50〜97質量%と、水酸基含有アクリル酸エステル3〜50質量%とをラジカル重合してなる重合体を含む光半導体封止材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体装置(半導体発光装置)における発光素子や受光素子などの封止材料および光電変換素子と光電変換装置に関する。詳しくは、紫外光に対して安定で黄変が発生せず、かつ、耐熱性、屈折率のバランスに優れた硬化物を与える上、加工性にも優れた光半導体用透明封止材料およびそれを用いる光電変換素子と光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶基板の上に成長させた半導体層でp−n結合を形成して、この接合域を発光層とするLED(発光ダイオード)チップを発光素子として備えた光半導体装置(半導体発光装置)が各種ディスプレイ装置、表示用機器などに広く利用されている。
この光半導体装置の例としては、例えば、GaN、GaAlN、InGaNおよびInAlGaN等の窒化ガリウム系化合物半導体を用いた可視光発光デバイスや高温動作電子デバイスがあり、最近では、青色発光ダイオード、紫外発光ダイオードの分野で開発が進んでいる。
LEDチップを発光素子として備える光半導体装置は、リードフレームの発光面側にLEDチップを搭載して、LEDチップとリードフレームとをワイヤボンディングにより電気的に接続して、さらに、発光素子の保護およびレンズ機能を兼ねた樹脂により封止されている。
【0003】
近年、新たな光源として白色LEDが注目されており、今後、照明用途を中心に大きく市場が広がると言われている。白色LEDはGaNのベアチップにYAG蛍光体を塗布し、GaNの青色発光と蛍光体の黄色発光を混色して白色発光させるタイプと赤・緑・青の3チップを1パッケージ化して白色発光させるタイプが実用化されている。また、近年、色合いの改良から紫外LEDチップを光源にして、複数の蛍光体材料を組み合わせる方法も開発されている。さらに、照明用途等にLEDを用いるためには、その耐久性を改良することが求められている。
【0004】
一方、LED(発光ダイオード)チップ等の発光素子を封止する際に用いられる封止材料としては、エポキシ樹脂が利用される場合が多い。エポキシ樹脂は透明であること、加工性が良いこと等の要因から利用されている。一般にLED封止用のエポキシ樹脂はビスフェノールAグリシジルエーテルとメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、アミン系もしくはリン系等の硬化促進剤からなるものが殆どである。しかし、これらの成分は紫外光の吸収によりカルボニル基を生成するため、可視光を吸収して黄変するといった欠点があった。これを解決するために水素化されたビスフェノールAグリシジルエーテルを用いる方法(非特許文献1)が提案されているが性能は十分とはいえない。
【0005】
紫外光による黄変や輝度の低下を改良するために、シリコーン樹脂が広く用いられている。シリコーン樹脂は紫外領域における透明性に優れ、紫外光による黄変や透過率の低下が極めて少ない。しかし、シリコーン樹脂は屈折率が低いため光の取り出し効率が低いことや、極性が低いためリードフレームやリフレクタとの密着性に劣るという問題がある。
また、表面実装タイプのLEDにおいては、リフローはんだ方式によるはんだ付けが行われる。リフロー炉内では、260℃の熱に約10秒間曝されるため、従来のエポキシ樹脂やシリコーン樹脂では熱による変形、割れが発生することがある。
【0006】
【非特許文献1】NEDO「高効率電光変換化合物半導体開発 成果報告 平成13年度21世紀のあかり計画」
【発明の開示】
【0007】
本発明は、以上のような状況から、紫外光に対して安定で黄変が発生せず、かつ、耐熱性、屈折率のバランスに優れる硬化物を与える上、接着性や加工性にも優れた光半導体用透明封止材料および光電変換素子と光電変換装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステルをラジカル重合してなる重合体を用いることにより、屈折率や加工性にも優れた光半導体用封止材料が得られること、また、該脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステルと水酸基含有アクリル酸エステルを含有する熱硬化性樹脂組成物が、接着性や加工性にも優れ上、紫外光に対して安定で黄変が発生せず、かつ、耐熱性、屈折率のバランスに優れる硬化物を与え、さらに優れた光半導体用封止材料が得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基いて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は以下の光半導体封止材料、光電変換素子および光電変換装置を提供するものである。
(1) 炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステルをラジカル重合してなる重合体を含むことを特徴とする光半導体封止材料。
(2) さらに、熱可塑性樹脂0.5〜20質量%を含む(1)の光半導体封止材料。
(3) 炭素数7以上の脂環式炭化水素基が、アダマンチル基、ノルボルニル基又はジシクロペンタニル基を含む基である(1)又は(2)の光半導体封止材料。
(4) 炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステル50〜97質量%と、水酸基含有アクリル酸エステル3〜50質量%とをラジカル重合してなる重合体を含むことを特徴とする光半導体封止材料。
(5) 炭素数7以上の脂環式炭化水素基が、アダマンチル基、ノルボルニル基又はジシクロペンタニル基を含む基である(4)のいずれかの光半導体封止材料。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の光半導体封止材料を用いたことを特徴とする光電変換素子。
(7) (6)の光電変換素子を用いたことを特徴とする光電変換装置。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例の接着性試験における接着強度を測定する際の試験片の接着状況を示す説明図である。
【図2】実施例の接着性試験におけるリフレクタとの接着数を測定する際の測定装置の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
先ず、本発明の光半導体封止材料は、炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステルをラジカル重合してなる重合体を含むものである。
炭素数7以上の脂環式炭化水素基としては、2−デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、1−メチルアダマンチル基、2−メチルアダマンチル基、ビアダマンチル基、ジメチルアダマンチル基、ノルボルニル基、1−メチル-ノルボルニル基、5,6−ジメチル-ノルボルニル基、イソボニル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、9−メチル-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、ボルニル基、ジシクロペンタニル基などが挙げられ、アダマンチル基、ノルボルニル基およびジシクロペンタニル基が好ましい。中でもアダマンチル基が更に好ましく、1−アダマンチル基が特に好ましい。本発明の光半導体封止材料に用いられるモノマーとして、これらの脂環式炭化水素基を持つメタクリレートが用いられる。脂環式炭化水素基の炭素数が7未満であると耐熱性、屈折率が充分でないことが多い。また、該メタクリル酸エステルのエステル置換基に芳香族等を含有すると紫外線による劣化を引き起こすことになり易い。
【0012】
本発明の光半導体封止材料に含まれる脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステルのラジカル重合体は、前述の炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよく、該エステルを2種以上組み合わせて重合してなる共重合体であっても良い。或いは、炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステル1種以上と、コモノマーである他の(メタ)アクリル酸エステル1種以上とを重合してなる共重合体であっても良い。他の(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、メチルアタリレート、フルオロメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、1,2,2,2-テトラクロロエチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロビルアクリレート、2-クロロ-1-(クロロジフルオロメチル)エチルアクリレート、1,2,2,2-テトラフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)エチルアクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアクリレート、1-メチルエチルアクリレート、2-(メチルチオ)エチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ブロペニルアクリレート、1-エトキシ-2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2-(エチルチオ)エチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアクリレート、3-(メチルチオ)プロピルアクリレート、1-メチルプロピルアクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリレート、4-オキサペンチルアクリレート、2-(トリフルオロエトキシ)エチルアクリレート、2-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エチルアクリレート、3-(エチルチオ)プロピルアクリレート、1-エチルプロピルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルアクリレート、2,2-ジメチルプロピルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンチルアクリレート、4-メチルチオブチルアクリレート、2-メチルブチルアクリレート、3-メチルブチルアクリレート、4-オキサヘキシルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-エチルブチルアクリレー卜、2-メチルペンチルアクリレート、4-メチル-2-ペンチルアクリレート、フェニルアクリレート、2-クロロフェニルアクリレート、4-クロロフェニルアクリレート、2,4-ジクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ウンデカフルオロアクリレート、ペンタフロロアクリレート、ヘプチルアクリレート、フェニルメチルアクリレート、2-メチルフェニルアクリレート、3-メチルフェニルアクリレート、4-メチルフェニルアクリレート、1-メチルヘキシルアクリレート、4-メトキシフェニルアクリレート、オクチルアクリレート、2-フェニルエチルアクリレート、1-メチルヘブチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレートなどのアクリル酸エステルや、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-クロロエチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2-ニトロエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、プロビルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2-クロロプロピルメタクリレート、トリメチルシリルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチルメタクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロビルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ノナフルオロ-tert-ブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2,2-ジエチルプロピルメタクリレート、1-メチルブチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,6-オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、3,3-ジメチルブチルメタクリレート、2-エチルブチルメタクリレート、1-メチルシクロヘキシルメタクリレート、2-メチルシクロヘキシルメタクリレート、3-メチルシクロヘキシルメタクリレート、4-メチルシクロヘキシルメタクリレート、1,1-ジエチルブロピルメタクリレート、2-メチルフェニルメタクリレート、3-メチルフェニルメタクリレート、4-メチルフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2-メトキシフェニルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、2-フェニルエチルメタクリレート、2,4-ジメチルフェニルメタクリレート、2,5-ジメチルフェニルメタクリレート、2,6-ジメチルフェニルメタクリレート、3,5-ジメチルフェニルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルが挙げられる。
【0013】
但し、コモノマーとして芳香環を含有する(メタ)クリル酸エステルの使用は好ましくない。また、重合体中のコモノマー単位の含有量は50モル%以下が好ましく、さらに好ましくは30モル%以下である。50モル%を超えると屈折率や耐熱性、耐光性のバランスが悪化することがある。
なお、上記の脂環式炭化水素基には含有される三級炭素の数が8以下であることが好ましく、さらに好ましくは5以下である。エステル部分に含有される三級炭素の数が8以上を超えると黄変を起こしやすくなる場合がある
【0014】
本発明の光半導体封止材料においてラジカル重合に用いられるラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類、ジイソブチリルパーオキサイド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノールパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルイルベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキセンなどのジアルキルパーオキサイド類、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチル)シクロヘキサン、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオジカーボネート、α-クミルペルオキシネオジカーボネート、t-ブチルペルオキシネオジカーボネート、t-ヘキシルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシイソブチレート、ジ- t-ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサネート、t-アミルペルオキシ3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、ジブチルペルオキシトリメチルアジペートなどのアルキルパーエステル類、ジ-3-メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス(1,1-ブチルシクロヘキサオキシジカーボネート)、ジイソプロピルオキシジカーボネート、t-アミルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、1,6-ビス(t-ブチルペルオキシカルボキシ)ヘキサンなどのパーオキシカーボネート類などが挙げられる。
【0015】
ラジカル重合開始剤に使用量は、前記のモノマー全量100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜1.0質量部である。上記ラジカル重合開始剤をそれぞれ単独で使用してもよく、また、複数を併用しても差し支えない。
【0016】
上記のラジカル重合開始剤に加えて、高強度を得るために、架橋性モノマーを用いても良い。架橋性モノマーとしては、1,4-ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。これらの架橋性モノマーは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。架橋性モノマーの含有量は、全モノマー中、好ましくは0.1〜80質量%である。さらに好ましくは1〜70質量%、より2〜50質量%である。架橋性モノマーが0.1質量%より少ないと架橋による高強度化の効果が得られない。
【0017】
本発明の光半導体封止材料には、耐熱性向上のために、熱可塑性樹脂を含有させても良い。該熱可塑性樹脂としては、透明性が高く、ガラス転移温度が120℃以上のものが望ましい。ガラス転移温度が120℃より低い場合は耐熱性の向上効果が小さくなる。
このような熱可塑性樹脂として、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリールエステル、ポリエーテルスルホン、エポキシアクリレート、オレフィン‐マレイミド共重合体、ゼオネックス(ZEONEX、日本ゼオン(株)製、シクロオレフィン系重合体)、ゼオネア(ZEONOR、日本ゼオン(株)製、シクロオレフィン系重合体)、アートン(ARTON、JSR(株)製、シクロオレフィン系重合体)、トーパス(TOPAS、Ticona社製、シクロオレフィン系重合体)、透明ABS、透明プロピレン、MS(メタクリルスチレン)樹脂、ポリアリレート、ポリサルフォン、透明ナイロン、透明ポリブチレンテレフタレート、透明フッ素樹脂、ポリ-4-メチルペンテン-1、透明フェノキシ樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の2種以上を組み合わせて用いることもできる。熱可塑性樹脂は、半導体封止材料中、0.5〜20質量%を含有させることが好ましい。熱可塑性樹脂が0.5質量%以上とすることにより耐熱性向上効果が得られ、20質量%以下とすることにより流動性に優れるものとなる。
【0018】
また、本発明の光半導体封止材料として、炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステルと水酸基含有アクリル酸エステルとをラジカル重合してなる重合体を含むものが好適に用いられる。
本発明の光半導体封止材料に用いられる水酸基含有アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルのアクリル酸変性物、エチレングリコールジグリシジルエーテルのメタクリル酸変性物、ポリエチレングリコールグリシジルエーテルのメタクリル酸変性物、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルのメタクリル酸変性物、1、4−ブタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレートなどを挙げることができる。これらの中で、特に、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルのアクリル酸変性物、エチレングリコールジグリシルエーテルのメタクリル酸変性物、ポリエチレングリコールグリシジルエーテルのメタクリル酸変性物、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルのメタクリル酸変性物、1、4−ブタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレートが好ましい。
【0019】
このような本発明の光半導体封止材料における炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステルと水酸基含有アクリル酸エステルの組合わせにおいて、炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステルの含有量は50〜97質量%、好ましくは60〜95質量%であり、水酸基含有アクリル酸エステルの含有量は3〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステルと水酸基含有アクリル酸エステルの含有量をこのような範囲とすることにより、紫外線に対して安定で黄変せず、かつ、耐熱性、接着性のバランスに優れる硬化物を与える熱硬化性樹脂組成物となる。
【0020】
上記の熱硬化性樹脂組成物はプラスチック成形品に対し十分高い接着性を示し、接着剤としても好適に用いられ、前もってプラスチック成形品の表面を紫外線照射処理、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、高圧放電処理などの方法で活性化処理すると、さらに接着性が向上する。
なお、本発明において熱硬化性樹脂組成物とは単に熱で重合する樹脂組成物のことを指す。重合後得られた樹脂は必ずしも、3次元架橋構造を有してなくもよく、直鎖状樹脂でも良い。また、不溶不融でなくてもよく、熱可塑性であっても良い。
【0021】
紫外線照射処理は、空気中でプラスチック成形品の表面に紫外線を照射する方法である。紫外線を照射する光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。紫外線照射により、プラスチック内にラジカルが発生し、さらに、空気中の酸素に由来する活性酸素が発生して、両者が反応して成形品表面に、極性基(−COOH、−COH、−C=Oなど)が導入される。その結果、接着性が向上すると考えられる。プラスチック成形品に照射する紫外線のエネルギーは、プラスチックの種類、形状、ランプの種類により異なるが、本発明の熱硬化性樹脂組成物との接着性を向上させるには、10〜20000mJ/cm2の範囲が、さらに好ましくは100〜10000mJ/cm2が好ましい。照射エネルギーが20000mJ/cm2を越えると、プラスチック成形品表面が劣化することがある。10mJ/cm2未満ではエネルギーが不十分で充分な接着力が得られないことがある。照射エネルギーは成形品とランプの距離および照射時間で制御する。例えば、成形品とランプの距離は1〜50cm程度が、さらに好ましくは5〜30cmの範囲が好ましい。照射時間は5秒〜10分程度、好ましくは10秒〜5分程度である。成形品とランプの距離が1cm未満又は50cmを越えたり、照射時間が5秒未満又は10分を越えるたりと、照射エネルギーを10〜20000mJ/cm2に制御できなくなることがある。
【0022】
オゾン処理は、プラスチック成形品の表面をオゾン分子と接触させて、酸化反応を主とする改質反応を行なうことを目的としている。オゾン処理は、プラスチック成形品をオゾンに暴露することによって行なわれる。暴露方法は、オゾンが存在する雰囲気に所定時間保持する方法、オゾン気流中に所定時間保持する方法等適宜の方法で行なうことができる。オゾンは空気、酸素ガスまたは酸素添加空気等の酸素含有気体をオゾン発生装置に供給することによって発生させることができる。得られたオゾン含有気体を、プラスチック成形品を保持してある容器、槽等に導入して、オゾン処理を行なうことができる。オゾン処理によりプラスチック成形品の表面には酸化を主とする反応によって、ヒドロペルオキシ基などが導入され、その一部は水酸基やカルボニル基等の官能基に変化すると推定される。
【0023】
プラズマ処理は、プラスチック成形品をアルゴン、ネオン、ヘリウム、窒素、二酸化窒素、酸素あるいは空気等を含む容器内に置き、グロー放電により生じるプラズマにさらし、成形品の表面に酸素、窒素などを含む官能基を導入することを目的とする。プラズマ発生の放電方式は、(1)直流放電および低周波放電、(2)ラジオ波放電、(3)マイクロ波放電などがある。
【0024】
コロナ放電処理は、設置された金属ロールとそれに数mmの間隔で置かれたナイフ状電極との間に数千ボルトの高電圧をかけてコロナ放電を発生させ、この放電中の電極−ロール間にプラスチック成形品を通過させる方法である。
【0025】
高圧放電処理は、トンネル状の処理装置内に処理されるプラスチック成形品を移動させるためのベルトコンベアーを設置し、プラスチック成形品を移動させながら、処理装置の内側の壁面に多数取りつけられた電極間に数十万ボルトの高電圧を加え、空気中で放電させて処理する方法である。放電によって空気中の酸素とプラスチック成形品の表面が活性化され、プラスチック表面に酸素が取り込まれ、極性基が生成すると考えられる。
【0026】
また、本発明の光半導体封止材料には、添加剤として、更に酸化防止剤および光安定剤などを使用することができる。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ビタミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などがある。
フェノール系酸化防止剤としてはイルガノクス1010(Irganox1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標)、イルガノクス1076(Irganox1076、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標)、イルガノクス1330(Irganox1330、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標)、イルガノクス3114(Irganox3114、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標)、イルガノクス3125(Irganox3125、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標)、イルガノクス3790(Irganox3790、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標)BHT、シアノクス1790(Cyanox1790、サイアナミド社、商標)、スミライザーGA−80(SumilizerGA−80、住友化学社、商標)などの市販品を挙げることができる。
【0027】
リン系酸化防止剤としては、イルガフォス168(Irgafos168、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標)、イルガフォス12(Irgafos12、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標)、イルガフォス38(Irgafos38、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標)、アデカスタブ329K(ADKSTAB329K、旭電化社、商標)、アデカスタブPEP36(ADKSTAB PEP36、旭電化社、商標)、アデカスタブPEP−8(ADKSTAB PEP−8、旭電化社、商標)、Sardstab P−EPQ(クラリアント社、商標)、ウエストン618(Weston 618、GE社、商標)、ウエストン619G(Weston 619G、GE社、商標)、ウエストン−624(Weston−624、GE社、商標)などの市販品を挙げることができる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えばDSTP(ヨシトミ)(吉富社、商標)、DLTP(ヨシトミ)(吉富社、商標)、DLTOIB(吉富社、商標)、DMTP(ヨシトミ)(吉富社、商標)、Seenox 412S(シプロ化成社、商標)、Cyanox 1212(サイアナミド社、商標)などの市販品を挙げることができる。
【0028】
ビタミン系酸化防止剤としては、トコフェロール、イルガノクスE201(IrganoxE201、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標、化合物名;2,5,7,8−テトラメチル−2(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)クマロン−6−オール)などの市販品がある。
ラクトン系酸化防止剤としては、特開平7−233160号公報、特開平7−247278号公報に記載されているものを使用できる。また、HP−136(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標、化合物名;5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン)などがある。
アミン系酸化防止剤としては、イルガスタブFS042(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社、商標)、GENOX EP(クロンプトン社、商標、化合物名;ジアルキル−N−メチルアミンオキサイド)などの市販品を挙げることができる。
これらの添加剤の使用量は、樹脂成分全量100質量部に対して、通常、0.005~5質量部、好ましくは0.02〜2質量部である。であり、これらの添加剤は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0029】
さらに、本発明の光半導体封止材料には、光安定剤を添加することができる。光安定剤としては通常知られているものが使用できるが、好ましくは、ヒンダードアミン系光安定剤である。具体的には、商品名として、旭電化社製のADK STAB LA−52、LA−57、LA−62、LA−63、LA−67、LA−68、LA−77、LA−82、LA−87、LA−94、CSC社製のTinuvin123、144、440、662、Chimassorb2020、119、944、Hoechst 社製のHostavin N30、Cytec社製の Cyasorb UV−3346、UV−3526、GLC社製のUval 299、Clariant社製の SanduvorPR−31等を挙げることができる。
光安定剤の添加量は、樹脂成分全量100質量部に対して、通常、0.005〜5重量部、好ましくは0.002〜2重量部であり、これらの光安定剤は2種以上を組み合わせることもできる。また、各種蛍光体を添加することも可能である。
【0030】
本発明の光半導体封止材料により封止される素子は特に制限されず、例えば発光ダイオード(LED)チップ、半導体レーザー、フォトダイオード、フォトインタラプタ、フォトカプラ、フォトトランジスタ、エレクトロルミネッセンス素子、CCD、太陽電池等が挙げられる。本発明に係る光電変換素子としては、本発明の光半導体封止材料により封止されたLED等が挙げられ、本発明に係る光電変換装置としては、該LEDを用いた照明装置や信号機などの各種半導体装置が挙げられる。
【実施例】
【0031】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各実施例および比較例において得られた光半導体封止材料(硬化物)の物性評価方法は以下の通りである。
【0032】
(1)ガラス転移温度
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製, DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下50℃で5分間保持した後、20℃/分で昇温させることにより得られた熱流束曲線に観測される不連続点をガラス転移温度Tgとした。
(2)全光線透過率
試料として肉厚3mmの試験片を用いてJIS K7105に準拠して測定した(単位%)。測定装置はHGM−2DP(スガ試験機株式会社)を用いた。
また、140℃の恒温槽にサンプルを100時間置き、その前後の全光線透過率の差(%)を△全光線透過率とした。
【0033】
(3)400nmにおける透過率
UV可視分光計(島津製作所製 UV−2400PC)を用い、200nmから700nmの波長範囲で透過率を測定した。
【0034】
(4)耐候性試験(ΔYIの測定)
黄変度(YI)の測定を試料として肉厚3mmの試験片を用いてJIS K7105に準拠して測定した。測定装置はSZ−optical SENSOR(日本電色工業(株)製)を用い、次の耐候性試験を行った。
ΔYI1:耐候性試験機(ジャスコインタナショナル製 solarbox1500e)を用い、500W/m2の出力で100時間、試料に紫外光を照射し、紫外光照射前後のYIを測定して、その差をΔYI1とした。
ΔYI2:140℃の恒温槽にサンプルを100時間置き、その前後のYIの差をΔY I2とした。
【0035】
(5)曲げ弾性率:JIS K7203に準拠して測定した。
(6)軟化点
長さ10mm、一辺の長さ3mmの円柱形を用い、熱物性測定機(TMA/SS6100, セイコーインスツルメンツ(株))を用い、昇温速度は5℃/min, 荷重は49mNの条件で測定した。
(7)屈折率
エルマー社製の屈折率計を用い、25℃で測定した。
【0036】
(8)接着性試験
接着強度:64mm×13mm×3mmのポリアミド複合材料試験片a)の片端から20mmまでの領域(面積=20mm×13mm)に、熱硬化性樹脂組成物(液状)を塗布し、その上に同じサイズの試験片を重ね、所定の条件で熱硬化して両試験片を接着させた(図1参照)。その後、引張速度20mm/分で引張試験を行なった。試験時の最大点荷重(N)を接着強度の指標とした。
リフレクタとの接着数:ポリアミド複合材料b)とリードフレームを一体成形し、図2に示すような部品を作製したものを10個準備した。部品の凹部に熱硬化性樹脂組成物(液状)を充填し、所定の条件で熱硬化した。一つ一つの部品を観察し、硬化物とリフレクタとの間の接着状態を観察した。10個の部品の内、剥離していない部品がいくつあるかによって、接着性を評価した。
(注)
a):b)のポリアミド系複合材料ペレットを70℃で一昼夜乾燥後、バレル温度280℃、金型温度120℃で射出成形した試験片。
b)半芳香族ポリアミド(アモデルA4000、ソルベイアドバンストポリマー)/酸化チタン(PF−726、石原産業)/ガラス繊維(JAFT164G、旭ファイバーグラス)=70/10/20(質量比)の割合で配合し、ドライブレンドした後、内径30mmの二軸押出機のホッパーに投入し、バレル温度285℃で溶融混練し、ペレットに成形したもの。
c)上記接着性試験は、ポリアミド複合材料試験片またはリードフレーム一体部品に、紫外線を照射した場合と、照射しない場合の両方で実施した。紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ(3kW アイグランテージECS−301G1、アイグラフィック(株)製、120W、照射距離15cm)を用い、照射エネルギーが1000mJ/cm2となるように紫外線を照射した。
【0037】
実施例1
1-アダマンチルメタクリレート(出光興産(株)製)モノマー21gにラジカル重合開始剤として1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製 パーヘキサ3M-95)0.021gを加え、硬化性組成物とした。この組成物を2枚のガラス板に3mm厚みのテフロン製のスペーサとして挟み込んで作成したセルに流し、オーブンにて100℃/1時間、110℃/1時間、120℃/1時間、130℃/30分で加熱を行った後、室温に徐冷することにより無色透明の板状硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第1表に示す。
【0038】
実施例2
実施例1においてモノマーをジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成工業(株)製 ファンクリルFM−513)モノマーに変更し、ラジカル重合開始剤をアゾビスイソブチロニトリル(東京化成工業(株)製)に変更した以外は実施例6と同様の方法で硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第1表に示す。
【0039】
実施例3
実施例6においてモノマーをイソボニルメタクリレートモノマー(和光純薬工業(株)製)に変更した以外は実施例6と同様の方法で硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第1表に示す。
【0040】
実施例4
実施例1においてモノマーをノルボルニルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)に変更した以外は実施例1と同様の方法で硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第1表に示す。
【0041】
実施例5
実施例1においてさらに架橋性モノマーのエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬工業(株)製)0.42gを加えた以外は実施例6と同様の方法で硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第1表に示す。
【0042】
実施例6
実施例5においてさらに熱可塑性樹脂のトーパス8007(Ticona社製)2.1gを室温で攪拌しながら均一に溶解した以外は実施例5と同様の方法で硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第1表に示す。
【0043】
実施例7
1-アダマンチルメタクリレート(出光興産(株)製)モノマー21gにラジカル重合開始剤として1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製 パーヘキサ3M-95)0.021gおよびジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド(日本油脂(株)製 パークミルP)0.021gを加え、硬化性組成物とした。この組成物を2枚のガラス板に3mm厚みのテフロン製のスペーサとして挟み込んで作成したセルに流し、オーブンにて100℃/1時間、110℃/1時間、120℃/1時間、130℃/30分で加熱を行った後、2℃/分で200℃まで昇温し1時間熱処理し、室温に徐冷することにより無色透明の板状硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第1表に示す。
【0044】
実施例8
1-アダマンチルメタクリレート(出光興産(株)製)モノマー22gにメチルメタクリレートモノマー(シグマアルドリッチジャパン(株)製)2.5gを加え、ラジカル重合開始剤としてビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート(パーロイルTCP、日本油脂(株)製)0.068gを加え、硬化性組成物とした。この組成物を2枚のガラス板に3mm厚みのテフロン製のスペーサとして挟み込んで作成したセルに流し、オーブンにて60℃/3時間、200℃/30分で加熱を行った後、室温に徐冷することにより無色透明の板状硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第2表に示す。
【0045】
実施例9
1-アダマンチルメタクリレート(出光興産(株)製)モノマー21gに架橋性モノマーのポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製 NK ESTER 9G)7gを加え、ラジカル重合開始剤としてビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート(パーロイルTCP、日本油脂(株)製)0.12gを加え、硬化性組成物とした。この組成物を2枚のガラス板に3mm厚みのテフロン製のスペーサとして挟み込んで作成したセルに流し、オーブンにて70℃/3時間、160℃/1時間で加熱を行った後、室温に徐冷することにより無色透明の板状硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第1表に示す。
【0046】
比較例1
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製 エピコート828)モノマー14gにメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(和光純薬工業(株)製)14gを加え、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン(シグマアルドリッチジャパン(株)製)0.028gを配合し、均一に混合したものを密閉されたテフロン製のスペーサ中に流し込み、オーブンにて130℃で3時間かけて徐々に昇温した後、室温に徐冷することにより板状試料を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第1表および第2表に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
実施例10
1−アダマンチルメタクリレート(出光興産(株)製)18.9g、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテルジアクリレート(新中村化学工業(株)製)2.1g、に重合開始剤としてパーヘキサ3M−95(日本油脂(株)製)0.021gを加え、硬化性組成物とした。この組成物を、2枚のガラス板に3mm厚みのテフロン製のスペーサーを挟み込んで作製したセルに流し、オーブンにて100℃で1時間、110℃で1時間、120℃で1時間、130℃で30分加熱を行なった後、室温に徐冷することにより無色透明の板状硬化物を得た。得られた硬化物(樹脂)の物性評価の結果を第2表に示す。
【0049】
実施例11
実施例1において1―アダマンチルメタクリレートの代わりにジシクロペンタジエニルメタクリレート(日立化成工業(株)製、ファンクリルFM−513)に変更した以外は実施例10と同様の方法で硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第2表に示す。
【0050】
実施例12
実施例10において1―アダマンチルメタクリレートの代わりにノルボニルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)に変更した以外は実施例10と同様の方法で硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第2表に示す。
【0051】
実施例13
実施例10において1−アダマンチルメタクリレートを14g、1,4−ブタンジオールグリシジルエ−テルジアクリレートを7gとした以外は実施例1と同様の方法で硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第2表に示す。
【0052】
実施例14
実施例1において、1−アダマンチルメータクリレートの配合量を15.8gとし、さらに架橋性モノマーのエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬(株)製)3.1gを加えた以外は実施例10と同様の方法で硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第2表に示す。
【0053】
比較例2
実施例10において、1−アダマンチルメタクリレートの量を21gとし、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテルジアクリレートを0gとした以外は、実施例10と同様の方法で硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第2表に示す。
【0054】
比較例3
実施例14において、1、4−ブタンジオールグリシジルエーテルジアクリレートを0gとし、エチレングリコールジメタクリレートを5.2gとした以外は、実施例14と同様の方法で硬化物を得た。得られた硬化物の物性評価の結果を第2表に示す。
【0055】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の光半導体封止材料は、透明性に優れ、紫外光に対して安定で黄変が発生せず、耐熱性、屈折率のバランスに優れ、また、リフローはんだ等の加熱工程において変形や割れを生ぜず加工性にも優れた特性を有し、光半導体装置(半導体発光装置)における発光素子や受光素子などの封止材料として好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1−アダマンチルメタクリレートをラジカル重合してなる重合体を含むことを特徴とする発光ダイオードチップ用封止材。
【請求項2】
前記重合体が、アダマンチル基含有メタクリル酸エステルと、
メチルアクリレート、フルオロメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、1,2,2,2−テトラクロロエチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロビルアクリレート、2−クロロ−1−(クロロジフルオロメチル)エチルアクリレート、1,2,2,2−テトラフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、1−メチルエチルアクリレート、2−(メチルチオ)エチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ブロペニルアクリレート、1−エトキシ−2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2−(エチルチオ)エチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルアクリレート、3−(メチルチオ)プロピルアクリレート、1−メチルプロピルアクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルアクリレート、4−オキサペンチルアクリレート、2−(トリフルオロエトキシ)エチルアクリレート、2−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エチルアクリレート、3−(エチルチオ)プロピルアクリレート、1−エチルプロピルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルアクリレート、2,2−ジメチルプロピルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルアクリレート、4−メチルチオブチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、3−メチルブチルアクリレート、4−オキサヘキシルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレー卜、2−メチルペンチルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、フェニルアクリレート、2−クロロフェニルアクリレート、4−クロロフェニルアクリレート、2,4−ジクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロアクリレート、ペンタフロロアクリレート、ヘプチルアクリレート、フェニルメチルアクリレート、2−メチルフェニルアクリレート、3−メチルフェニルアクリレート、4−メチルフェニルアクリレート、1−メチルヘキシルアクリレート、4−メトキシフェニルアクリレート、オクチルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、1−メチルヘブチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2−ニトロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、プロビルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−クロロプロピルメタクリレート、トリメチルシリルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロビルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ノナフルオロ−tert−ブチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、2,2−ジエチルプロピルメタクリレート、1−メチルブチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,6−オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、3,3−ジメチルブチルメタクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、1−メチルシクロヘキシルメタクリレート、2−メチルシクロヘキシルメタクリレート、3−メチルシクロヘキシルメタクリレート、4−メチルシクロヘキシルメタクリレート、1,1−ジエチルブロピルメタクリレート、2−メチルフェニルメタクリレート、3−メチルフェニルメタクリレート、4−メチルフェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−メトキシフェニルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、2,4−ジメチルフェニルメタクリレート、2,5−ジメチルフェニルメタクリレート、2,6−ジメチルフェニルメタクリレート、3,5−ジメチルフェニルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート及びイソデシルメタクリレートから選ばれる(メタ)アクリル酸エステルとをラジカル重合してなる共重合体である請求項1に記載の発光ダイオードチップ用封止材。
【請求項3】
さらに、熱可塑性樹脂を0.5〜20質量%含む請求項1に記載の発光ダイオードチップ用封止材。
【請求項4】
アダマンチル基含有メタクリル酸エステル及びラジカル重合開始剤を含有する発光ダイオードチップ封止用硬化性組成物。
【請求項5】
炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステル50〜97質量%と、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル3〜50質量%とをラジカル重合してなる重合体を含むことを特徴とする発光ダイオードチップ用封止材。
【請求項6】
炭素数7以上の脂環式炭化水素基が、アダマンチル基、ノルボルニル基又はジシクロペンタニル基を含む基である請求項5に記載の発光ダイオードチップ用封止材。
【請求項7】
炭素数7以上の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステル50〜97質量%及び水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル3〜50質量%の組合せ、並びにラジカル重合開始剤を含有する発光ダイオードチップ用封止用硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1〜3、5及び6のいずれかに記載の発光ダイオードチップ用封止材を用いたことを特徴とする発光ダイオードチップ。
【請求項9】
請求項8に記載の発光ダイオードチップを用いたことを特徴とする発光ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−117079(P2012−117079A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23495(P2012−23495)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2006−544907(P2006−544907)の分割
【原出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】