光半導体装置及びその製造方法
【課題】 光素子の発光効率や受光効率を高めることできる光半導体装置の提供。
【解決手段】 光半導体装置は、配線を有し下面に外部電極端子を有する配線基板と、前記配線基板の上面に固定される円形のターミナルスペーサと、前記ターミナルスペーサの上面に固定され、光素子が形成され、上面に光の受け渡しを行う光授受面を有する半導体チップと、前記半導体チップの電極と前記配線基板の配線を電気的に接続する接続手段と、前記ターミナルスペーサの上面に前記半導体チップを覆うように凸状に形成され、透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂で形成される光透過部と、前記光透過部の所定領域を除き前記光透過部及び前記配線基板を覆う絶縁性の樹脂からなる封止体とを有し、前記光透過部を覆わない前記封止体による開口部分に前記光透過部の一部が凸状に突出している。
【解決手段】 光半導体装置は、配線を有し下面に外部電極端子を有する配線基板と、前記配線基板の上面に固定される円形のターミナルスペーサと、前記ターミナルスペーサの上面に固定され、光素子が形成され、上面に光の受け渡しを行う光授受面を有する半導体チップと、前記半導体チップの電極と前記配線基板の配線を電気的に接続する接続手段と、前記ターミナルスペーサの上面に前記半導体チップを覆うように凸状に形成され、透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂で形成される光透過部と、前記光透過部の所定領域を除き前記光透過部及び前記配線基板を覆う絶縁性の樹脂からなる封止体とを有し、前記光透過部を覆わない前記封止体による開口部分に前記光透過部の一部が凸状に突出している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光半導体装置及びその製造方法に係わり、特に光素子を覆う光透過部の光授受面が凸面状(半球面状)の円弧面となる光半導体装置の製造に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光素子の一つとして発光ダイオード(LED)が知られている。発光ダイオードを形成した半導体チップ(以下発光ダイオードチップ[LEDチップ]とも呼称)を組み込んだ光半導体装置としてはつぎの構造が知られている。即ち、発光ダイオードチップを一対のリードの一方の先端面側に固定し、発光ダイオードチップの表面の電極と他方のリードの先端側を導電性のワイヤで接続し、リードの先端側を透明な樹脂体で封止した構造になっている。この構造では樹脂体は砲弾型となり、先端の半球状面から光を放射するようになる(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、別の構造としては、平面的に配置した一対のリードの一方のリードに発光ダイオードチップを固定し、発光ダイオードチップ等を光透過性材料で覆った構造が知られている。この構造においては、光透過性材料によって半球面状の光放射面が形成されている(例えば、特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開平4−163972号公報
【特許文献2】特開2002−289923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光ダイオードチップから放射される光を封止体の前方に効率よく放射させるためには、透明樹脂で形成する凸状封止体の表面の曲率を高精度に形成し、かつまた凸状封止体の表面を鏡面に仕上げる必要がある。この封止体は、樹脂成形を行う成形金型によって形成される。従って、成形金型の封止体を形成するキャビティ(窪み)の加工精度及び研磨精度は高精度なものが要求され、成形金型が高価となる。この結果、光半導体装置の製造コスト高騰の原因ともなっている。
本発明の目的は、光半導体装置において、光素子を覆う樹脂による光透過部の表面を樹脂の表面張力を利用して凸状の円弧面に形成することにある。
本発明の他の目的は、光半導体装置において、光素子を覆う凸状の光透過部の表面の鏡面化を図ることにある。
本発明の他の目的は、光素子の発光効率や受光効率を高めることができる光半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
(1)本発明の光半導体装置は、
配線を有し下面に下地電極を有する配線基板を準備する工程と、
前記配線基板上に円形のターミナルスペーサを固定する工程と、
光素子が形成され上面に光の受け渡しを行う光授受面を有する半導体チップを前記ターミナルスペーサ上に前記光素子が中央となるように固定する工程と、
前記半導体チップの電極と配線基板の配線を接続手段によって電気的に接続する工程と、
前記半導体チップを覆うようにターミナルスペーサ上に透明体で弾性体からなる絶縁性樹脂を所定量供給(含む硬化処理)し、樹脂の表面張力によってターミナルスペーサ上に凸状に盛り上がった円弧面を有する光透過部を形成する工程と、
成形金型の平坦面で光透過部の頂部を所定高さ押し潰した状態で配線基板上に所定厚さの樹脂層を形成する工程と、
配線基板の裏面の下地電極にバンプ電極を形成する工程と、
配線基板を上面の樹脂層共々縦横に切断して複数の光半導体装置を形成する工程とによって製造される。
【0007】
半導体チップの電極と配線基板の配線の接続は、導電性のワイヤで直接接続してもよく、また、ターミナルスペーサの上面に所望のパターンの配線を形成しておき、半導体チップの電極及び配線基板の配線は導電性のワイヤでターミナルスペーサの配線に接続する構造としてもよい。光素子は、例えば、発光素子(LED)または受光素子(PD)となる。光透過部の円弧面の形状はターミナルスペーサの大きさ及び樹脂の粘度によって決まり、大きすぎても小さすぎても良好な凸体の形成は難しい。例えば、樹脂の粘度が200〜400cpの場合、ターミナルスペーサは直径が5〜10mmとなる。
【0008】
このような製造方法によって製造された光半導体装置はより具体的には以下の構成になる。
光半導体装置は、
配線を有し、下面に外部電極端子を有する配線基板と、
前記配線基板の上面に固定される円形のターミナルスペーサと、
前記ターミナルスペーサの上面に固定され、光素子が形成され、上面に光の受け渡しを行う光授受面を有する半導体チップと、
前記半導体チップの電極と前記配線基板の配線を電気的に接続する接続手段と、
前記ターミナルスペーサの上面に前記半導体チップを覆うように凸状の円弧面に形成され、透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂で形成される光透過部と、
前記光透過部の所定領域を除き前記光透過部及び前記配線基板を覆う絶縁性の樹脂からなる封止体とを有し、
前記光透過部を覆わない前記封止体による開口部分に前記光透過部の一部が凸状に突出していることを特徴とする。
【0009】
また、前記半導体チップは前記光素子が前記ターミナルスペーサの中央に位置するように固定される。前記ターミナルスペーサは所望パターンの配線を有し、前記所定の配線は前記半導体チップの電極及び前記配線基板の配線に接続手段(導電性のワイヤ)によってそれぞれ電気的に接続されている。前記ターミナルスペーサの周縁は前記配線基板の周縁の内側に位置している。前記配線基板の上面には前記光素子に電気的に接続される集積回路を形成した半導体チップが固定されている。前記ターミナルスペーサは円形であり、前記封止体の前記開口部分は前記ターミナルスペーサに対して同心円的に配置された円形となっている。また、前記配線基板の上面に前記光素子を有する半導体チップを固定するターミナルスペーサが2個固定されている。一方のターミナルスペーサ上には光を発光する光素子を有する半導体チップが固定され、他方のターミナルスペーサ上には光を受光する光素子を有する半導体チップが固定されて測距センサが形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
前記(1)の手段によれば、(a)ターミナルスペーサ上面に形成される光透過部は、ターミナルスペーサ上面に透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂を供給し、表面張力によって凸面状の円弧面を形成させ、その後硬化処理することによって形成される。ターミナルスペーサは円形となっていることから、凸面は均一な表面張力によってどの断面をとっても同一の凸断面となる。また、樹脂の表面には空気以外のものは触れることがないことから、表面には外力が加わらず、樹脂表面は硬化して鏡面となる。従って、光透過部はその表面が鏡面となり、かつ所望の凸状の円弧面を有する構造となることから、光透過部を介しての光素子の光授受効率は良好なものになる。即ち、光素子が発光ダイオードのような発光素子の場合発光効率が向上し、光素子がホトダイオードのような受光素子の場合受光効率が向上する。
【0011】
(b)光透過部形成後、樹脂層が形成される。この際、光透過部の頂部は成形金型の平坦面によって押し潰されるが、一度硬化して表面が鏡面になった光透過部は、成形金型を取り外すことによって樹脂の弾力によってもとの状態(即ち、凸状の円弧面)に復帰し、表面も鏡面を維持することになる。成形金型の接触時、光透過部表面に傷を付けないように、成形金型の平坦面を鏡面化しておくことも好ましい。この平坦面の鏡面化は円弧面の鏡面化に比較して作業が容易であり、加工コストが多く掛からない実益もある。
【0012】
(c)ターミナルスペーサは円形であることから、このターミナルスペーサ上に形成される凸状の光透過部は樹脂の表面張力によって安定状態でその形を作り、かつ硬化処理されることから、その断面において左右が対称の凸体となる。また、成形金型の平坦面で光透過部頂部を押し下げると、弾力的に押し潰される光透過部の前記平坦面との接触縁は円形のターミナルスペーサに対して同心円的に位置する円となり、これが樹脂体の開口部分となる。このため、成形金型から外されると円形の開口部から突出する光透過部部分は、その断面において左右が対称の凸体となる。光素子は円形のターミナルスペーサの中央に固定され、この光素子の真上に光透過部の頂部が位置するようになることから、光の授受効率が向上する。
【0013】
(d)配線基板にターミナルスペーサを2個固定し、一方のターミナルスペーサ上に光を発光する光素子を有する半導体チップを固定し、他方のターミナルスペーサ上に光を受光する光素子を有する半導体チップを固定した測距センサでは、上記(a)〜(c)に記載の効果を有するため、感度の良好な測距センサとなる。特に、上記(c)のように、2個のターミナルスペーサを円板とすることによって、各ターミナルスペーサに固定した各光素子の光の授受効率を向上させることができることから、さらに感度の良好な測距センサとなる。なお、配線基板にさらに多くのターミナルスペーサを固定し、各ターミナルスペーサに所望の光素子を固定した光半導体装置では、各光素子の光の授受効率の向上から、特性の優れた光半導体装置となる。
【0014】
(e)本発明によれば、ターミナルスペーサの大きさを一定にし、同じ樹脂を用いることにより、再現性良く同一形状で表面が鏡面となる光透過部の作製が可能になる。この光透過部の形成は成形金型を使用しないことから安価に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0016】
図1乃至図7は本発明の実施例1の光半導体装置に係わる図である。図1乃至図3は光半導体装置の構造に係わる図であり、図1は光半導体装置の平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は封止体を取り除いた光半導体装置の平面図である。また、図4は光半導体装置の回路構成を示すブロック図である。
【0017】
本実施例1の光半導体装置1は、回路的には、図4に示すように、信号処理回路(SPB:Signal Processer Block)2によって受光素子(PD)3を制御する。信号処理回路2の外部電極端子は、第1電源端子(Vcc)、第2電源端子(GND)、出力端子(Vout )である。
【0018】
光半導体装置1は、外観的には図1乃至図3に示すように、四角形の配線基板5と、この配線基板5の上面に形成された一定厚さの封止体6と、封止体6の表面(上面)に一部が突出する凸状の円弧面を有する光透過部7と、配線基板5の下面に突出形成された外部電極端子8とからなっている。
【0019】
光半導体装置1は、図1及び図3に示すように、四角形の配線基板5を有している。配線基板5は、例えば、厚さ0.6mm程度のガラスエポキシ樹脂基板である。前記配線基板5の上面(第1の面)5aには、四角形(例えば、正方形)のターミナルスペーサ10が絶縁性の接着剤11を介して固定されている。ターミナルスペーサ10は、例えば、0.2〜0.4mm程度の厚さのシリコン板からなり、その上面の表層部分には絶縁膜12が形成されている。絶縁膜12はシリコンを酸化した酸化膜からなっている。
【0020】
ターミナルスペーサ10の上面5aの中央領域は光素子を有する半導体チップ13が搭載される領域となっている。このチップ搭載領域には接着剤14によって半導体チップ13が固定されている。半導体チップ13の上面が光の受け渡しを行う光授受面となっている。
【0021】
また、チップ搭載領域を外れた領域には、チップ搭載領域の近傍からターミナルスペーサ10の縁近傍に向かう細長い配線15が設けられている。この配線15は、図2及び図3に示すように、チップ搭載領域の両側に設けられている。配線15は例えば、アルミニウム層である。
【0022】
本実施例1では、光素子は受光素子であることから、半導体チップ13の電極13aは2端子となり、これら電極13aと配線15は導電性のワイヤ16によって接続されている。半導体チップ13の電極とターミナルスペーサ10の配線との接続手段はこれに限定されるものではない。例えば、半導体チップ13がフリップ・チップ接続構造である場合には、半導体チップ13のフリップ・チップ接続用の電極をターミナルスペーサ10の配線15の一端に直接接続するようにする。
【0023】
配線基板5は上面に所望パターンの配線20を有し、前記上面とは反対面となる下面(第2の面)5bの4隅にはそれぞれ下地電極21が形成されている(図2参照)。下地電極21の表面には半田等によってバンプ電極22が形成され、外部電極端子8が形成されている。下地電極21と所定の配線20は配線基板5を貫通して設けられる導体23(図3参照)を介して電気的に接続されている。
【0024】
ターミナルスペーサ10の固定領域から外れた配線基板領域に、半導体チップ13の光素子を制御する集積回路(信号処理回路:SPB)を形成した半導体チップ25が接着剤26を介して固定されている。ターミナルスペーサ10は絶縁性の接着剤11によって配線基板5の上面に固定されることから、図3に示すように、一部の配線20を電気的絶縁が維持できることからターミナルスペーサ10の下側に位置させることできる。配線20をターミナルスペーサ10の下側に位置させることなく、ターミナルスペーサ10の外側を引き回すことも可能である。ターミナルスペーサ10の下側に配線20を配置することは配線の長さを短くできる実益があるとともに、配線レイアウト設計の自由度が高くなる利点がある。
【0025】
図3に示すように、半導体チップ25の周囲の配線基板5の上面5aには、特に限定はされないが、5本の配線20が配置されている。各配線20は導電性のワイヤ27を介して半導体チップ25の電極25aに接続されている。また、4本の配線20はそれぞれ4隅の外部電極端子8に接続されるようにレイアウトされている。残りの1本の配線20はターミナルスペーサ10の1側部近傍に他端を位置させ、導電性のワイヤ28を介してターミナルスペーサ10の上面の配線15に接続されている。一隅の外部電極端子8に接続される導体23に連なる配線20の端は、ターミナルスペーサ10の配線15の端近傍に位置し、導電性のワイヤ29によって前記配線15の端に接続されている。これにより、図4の回路を満足する構成になる。
【0026】
光透過部7は、図2及び図3に示すように、正方形のターミナルスペーサ10の上面に形成されている。光透過部7は、ターミナルスペーサ10上に樹脂を所定量供給し、樹脂の表面張力を利用して表面を凸状の円弧面とし、そのまま硬化させて形成したものである。樹脂は透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂である。樹脂は例えば、シリコーン樹脂であり、樹脂の粘度が200〜400cpのものが使用される。また、所望の凸状の円弧面を得るために、台座となるターミナルスペーサ10は一辺の長さが5〜10mmとなる正方形板を使用する。受光素子は、例えば、一辺が0.2mm程度の正方形あるいは長方形であり、この状態では、面積が小さすぎて必要な凸状面が得られない。また、台座が大きすぎても樹脂が流れて所望の凸状面が得られない。このため、ターミナルスペーサ10は一辺の長さが5〜10mmとなる正方形のものを選択して使用する。ターミナルスペーサとして長方形のものを使用すると、縦及び横における断面形状が異なり、均等な断面の光透過部7が得られなくなる。図3では、点々を施した領域が光透過部7であることを示す。また、破線で示す円形部分が封止体6の上面から露出(突出)する部分である。即ち、封止体6の形成時、光透過部7の頂部を所定高さ押し潰した状態で封止体6とされる平坦な樹脂層を形成することから、押し潰しを開放すると、光透過部7の頂部は樹脂の弾性力で復帰し、封止体6の上面から凸状に突出する。従って、破線で示す円形部分は封止体6の開口孔(開口部)30となる。開口部30に突出する光透過部7は所望の曲率Rとなる。
【0027】
つぎに、光半導体装置1の製造方法について、図5乃至図7を参照して説明する。図5は光半導体装置の製造で使用する配線母基板の模式的斜視図である。図6は光半導体装置の製造における配線母基板準備工程からワイヤボンディング工程に至る各工程断面図である。また、図7は光半導体装置の製造における透明樹脂ポッティング工程から最終の切断分離工程に至る各工程断面図である。
【0028】
光半導体装置1の製造では、図5に示すように、配線母基板35が準備される。配線母基板35は、図5に示すように、その平面方向に区画された製品形成部36を複数有する構造になっている。製品形成部36は、縦横にマトリックス状に整列配置されている。製品形成部36は1個の光半導体装置1が製造される部分である。配線母基板35を区画線に沿って縦横に切断することによって、配線母基板35は配線基板5になる。配線基板5の構造については既に説明してあることから配線母基板35の構造説明は省略する。
【0029】
また、説明の便宜上、配線母基板35においてターミナルスペーサ10を固定する面を配線基板5との整合性を考慮して第1の面5aと呼称し、その反対面となる面を第2の面5bと呼称する。第2の面5bは外部電極端子8が形成される面である。
【0030】
配線母基板35は、例えば、厚さ0.6mmのガラスエポキシ樹脂基板からなっている。また、配線母基板35はその両側に配線母基板35の搬送及び位置決めに使用するガイド孔37a,37bが設けられている。
【0031】
光半導体装置1の製造においては、図6(a)に示すように配線母基板35を準備する。配線母基板35の各製品形成部36において、配線母基板35の第1の面5aに配線20が設けられ、第2の面5bに下地電極21が設けられている。図6及び図7では、一つの製品形成部36を示し、一つの製品形成部36において順次光半導体装置の製造が行われる状態を示す。また、図6及び図7において、配線母基板35を上下に横切る一点鎖線が、隣接する製品形成部36の境界線であり、また最終段階で配線母基板35を切断する切断線であることを示す。
【0032】
つぎに、各製品形成部36に対して、図6(b)に示すように、配線母基板35の第1の面5aに絶縁性の接着剤11によってターミナルスペーサ10を位置決め固定する。ターミナルスペーサ10は、表面が凸状の円弧面となる光透過部7が形成できるように、例えば、厚さが0.2〜0.4mmで一辺の長さが5〜10mmになる正方形のシリコン板からなっている。また、光透過部7となる樹脂がターミナルスペーサ10上で所望の凸面が表面張力によって形成できるように、ターミナルスペーサ10の上面の縁は液状の樹脂が流れ出さないように鋭利になっている。例えば、ターミナルスペーサ10の周面は上面に対して直角な垂直壁となっている。また、ターミナルスペーサ10は、前述のように、その上面は絶縁膜12が形成され、かつこの絶縁膜12上には配線15が設けられた構造になっている。なお、本実施例では、ターミナルスペーサ10を接着剤11で直接配線母基板35の第1の面5aに固定したが、その固定状態を良好とするために、例えば、ターミナルスペーサ10の固定領域に配線を形成する材料で固定パッドを形成しておいてもよい。
【0033】
つぎに、図6(c)に示すように、配線母基板35の第1の面5aの所定位置に接着剤26を介して半導体チップ25を固定する。また、ターミナルスペーサ10の所定位置に接着剤14を介して半導体チップ13を固定する。半導体チップ13には光素子として、図4で説明した受光素子3が形成されている。また、半導体チップ25には図4で説明した前記受光素子を制御する集積回路(SPB:信号処理回路2)が形成されている。なお、本実施例では、半導体チップ25を接着剤26で配線母基板35上に直接固定し、半導体チップ13を接着剤14でターミナルスペーサ10上に直接固定したが、固定状態を良好とするためにそれぞれチップの固定領域に配線を形成する材料で固定パッドを形成しておいてもよい。
【0034】
つぎに、図6(d)に示すように、ターミナルスペーサ10上の半導体チップ13の電極13a(図3参照)と、ターミナルスペーサ10上の配線15を導電性のワイヤ16で接続する。また、半導体チップ25の電極25a(図3参照)と、配線母基板35の第1の面5aに設けられた配線20を導電性のワイヤ27で接続する。さらに、ターミナルスペーサ10上の配線15と配線母基板35上の配線20を導電性のワイヤ28,29で接続する。ワイヤ28は半導体チップ25とターミナルスペーサ10との間に設けられた配線20と、ターミナルスペーサ10上の配線15を接続するワイヤであり、ワイヤ29は下地電極21に導体23(図3参照)を介して接続される配線20と、ターミナルスペーサ10上の配線15を接続するワイヤである。ワイヤ28,29は配線20の端部と配線15の端部を接続し、できるだけ短く形成されている。
【0035】
つぎに、図7(a)に示すように、ターミナルスペーサ10上に、図示しないディスペンサ等によって所定量の樹脂40を塗布(供給)し、かつ硬化処理して表面が凸状の円弧面となる光透過部7を形成する。光透過部7はターミナルスペーサ10の上面全体に形成され、配線15、半導体チップ13及びワイヤ16,28,29を覆う。
【0036】
半導体チップ13は受光素子が形成され、その上面が外部との間での光のやり取りをする光授受面となる。そこで、この樹脂40は硬化した状態で透明となる樹脂が使用される。また、電気的には絶縁性の樹脂が選択される。また、供給された樹脂40が表面張力によって表面が凸状の円弧面を形成するように所定の粘度の樹脂が選択される。さらに、これは本実施例による製造方法に関係するものであるが、光透過部7の頂部に外力を加えて押し潰した後、外力を取り外した後は光透過部7の表面は元の半球状の円弧面に復帰する弾性力を有する樹脂が選択される。
【0037】
このような各種の条件を満足する樹脂として、例えば、透明ゴム状チップコート材、即ち、樹脂の粘度が200〜400cpとなるシリコーン樹脂を使用する。例えば、一辺が5mmとなる正方形のターミナルスペーサ10上に厚さ2mmで、曲率Rが2.5mmとなる凸状の光透過部7を形成することができる。樹脂40は、150℃で1時間ベークされて硬化し、弾性体からなる透明の光透過部7になる。
【0038】
光透過部7の半球状の円弧面は、樹脂の表面張力によって形成される面であることから、断面的に見て左右が対称となる凸面となり、かつまた凸状の円弧面は鏡面になる。形の良好な光透過部7の形成及び凸面の鏡面化は、成形金型等何らのものも使用せず、樹脂の粘度と台座であるターミナルスペーサ10の大きさ等による表面張力によって形成できるため、光透過部7の形成コストが安価になる。
【0039】
また、半導体チップ13の中心が受光素子の中心となり、半導体チップ13がターミナルスペーサ10の中央に固定されることから、凸状の光透過部7の頂部の中心は受光素子の中心(光軸)に位置するようになり、レンズとして作用する光透過部7の光学中心が受光素子の光軸と一致するようになる。光素子がLEDのような発光素子の場合には、光素子の光軸と光透過部7の中心(光軸)が一致することは光の発光効率を増大するために重要なものとなる。
【0040】
つぎに、図7(b)に示すように、例えば、トランスファモールディング装置の成形金型の下型43と上型44間に配線母基板35を配置し、成形金型の型締めを行う。この型締めによって、配線母基板35はその周縁部分が下型43と上型44のパーティング面(合わせ面)に挟持される。各製品形成部36は下型43と上型44とによって形成されるキャビティ45内に位置する。キャビティ45の底面と天井面はいずれも平坦面となり、かつ平行になっている。下型43の底面には、窪み43aが設けられ、配線母基板35の第2の面5bに設けられる下地電極21がこの窪み43a内に入るようになる。これにより、配線母基板35の第2の面5bは下型43の平坦な底面に密着するようになる。
【0041】
前記型締めによって配線母基板35の上面側の光透過部7の頂部は成形金型の上型44によって一定の高さ(例えば 1.5mm)押し潰される。そして、この状態で成形金型の下型43と上型44とによって形成されたキャビティ45内に絶縁性の樹脂が圧入され、かつ所定の温度でキュアされて一定厚さの樹脂層46が形成される。樹脂層46は絶縁性のエポキシ樹脂で形成される。エポキシ樹脂のトランスファモールディング装置でのキュアは170℃で2分である。
【0042】
型開きによって上型44が外されると、樹脂層46の上面の開口孔(開口部)30内に位置する光透過部7は、外力が取り外される結果、樹脂40の弾力によって基に復帰し凸状の円弧面となる[図7(c)参照]。
【0043】
つぎに、図7(c)に示すように、配線母基板35の第2の面5bを上面とした状態で、第2の面5bに露出する下地電極21に重ねてバンプ電極22を形成する。バンプ電極22は、例えば、半田ボールを取り付け、かつリフロー(再加熱処理)によって半球状に形成することによって形成する。
【0044】
つぎに、配線母基板35を各製品形成部36の境界線で切断して、図7(d)に示すように複数の光半導体装置1を製造する。この際、配線母基板35は分割されて配線基板5となり、樹脂層46は分割されて封止体6になる。
【0045】
本実施例1によれば以下の効果を有する。
(1)ターミナルスペーサ10の上面に形成される光透過部7は、ターミナルスペーサ上面に透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂40を供給し、表面張力によって凸面状の円弧面(凸面)を形成させ、その後硬化処理することによって形成される。凸面は表面張力によって形成されることからいびつとならず良好な形の凸面が形成される。また、樹脂の表面には空気以外のものは触れることがないことから、表面には外力が加わらず、樹脂表面は硬化して鏡面となる。この結果、光透過部7を介する受光素子の受光効率は良好なものになる。
【0046】
(2)光透過部7の形成後、樹脂層46が形成される。この際、光透過部7の頂部は成形金型の上型44の平坦面によって押し潰されるが、一度硬化して表面が鏡面になった光透過部7は、成形金型を取り外すことによって樹脂の弾力によってもとの状態(即ち、凸状の円弧面)に復帰し、表面も鏡面を維持することになる。なお、成形金型の接触時、光透過部表面に傷を付けないように、上型44のキャビティ45の平坦な天井面を鏡面化しておく手法も本発明では採用可能である。この場合、天井面は平坦面であることから、円弧面を鏡面化する場合に比較して作業が容易であり、かつ加工コストも易くなる実益もある。
【0047】
(3)ターミナルスペーサ10は正方形であることから、このターミナルスペーサ上に形成される凸状の光透過部7の頂部は正方形のターミナルスペーサ10の中心に一致する。従って、受光素子の中心(光軸)がターミナルスペーサ10の中心に位置するように受光素子を形成した半導体チップ13を固定することにより、受光素子の受光効率が良好になる。
【0048】
(4)本実施例1によれば、ターミナルスペーサ10の大きさを一定にし、同じ樹脂40を用いることにより、再現性良く同一形状で表面が鏡面となる光透過部7の作製が可能になる。この光透過部7の形成は成形金型を使用しないことから安価に製造でき、光半導体装置1の製造コスト低減が可能になる。
【実施例2】
【0049】
図8及び図9は本発明の実施例2である光半導体装置に係わる図であり、図8は光半導体装置の断面図、図9は封止体を取り除いた光半導体装置の平面図である。
【0050】
本実施例2では、ターミナルスペーサ10に矩形枠状に設けた溝50の内側の領域に光透過部7を形成する。図9及び図8に示すように、溝50は正方形枠状に形成されている。また、実施例1の場合と同様に光透過部7となる樹脂40が前記溝50の内側で所望の凸面が表面張力によって形成できるように、溝50の内側の縁は液状の樹脂40が流れ出さないように鋭利になっている。即ち、溝50の内側の縁を形成する内周面はターミナルスペーサ10の上面に対して直角な垂直壁となっている。
【0051】
本実施例2においても実施例1と同様に凸状の円弧面を有する光透過部7を安価に製造することができる。本実施例2の技術思想によれば、配線基板5の第1の面5aに四角形枠状またはリング状に溝を設け、この溝によって囲まれる内側の領域に光透過部7を形成することもできる。
【実施例3】
【0052】
図10は本発明の実施例3及び実施例1である光半導体装置の概要を示す図である。図10(a)は本実施例3の光半導体装置1の概要を示す断面図、図10(b)は実施例1の光半導体装置1の模式的断面図である。図10(a)及び図10(b)において、上方の図は光半導体装置1のターミナルスペーサ10と光透過部7の開口孔(開口部)30との関係を示す平面図であり、下方の図は上方の図に対応する光半導体装置部分の断面図である。
【0053】
本実施例3の光半導体装置1は、図10(a)に示すように、ターミナルスペーサ10を円形として光透過部7を形成した構造になっている。実施例1の光半導体装置1は、図10(b)に示すように、既に説明したとおりターミナルスペーサ10が正方形になっている。
【0054】
本実施例3の光半導体装置1は、図10(a)に示すように、円形のターミナルスペーサ10の中心に半導体チップ13が固定される構造になっている。また、図示しないが半導体チップ13の中心に光素子が形成されている。従って、円形のターミナルスペーサ10の中心に半導体チップ13の中心が位置するように半導体チップ13を固定することによって、光素子の中心がターミナルスペーサ10の中心に位置することになる。
【0055】
本実施例3においては、ターミナルスペーサ10は円形となっていることから、ターミナルスペーサ10の上面に液状の樹脂40を所定量供給すると、樹脂の表面張力によって形成される凸面の中心はターミナルスペーサ10の中心に位置するようになる。
【0056】
また、ターミナルスペーサ10が円形であることから、均一な表面張力によって形成された光透過部7はどの断面をとっても同一の凸断面となる。この結果、光透過部7の盛り上がり高さは、図10(b)に示す正方形のターミナルスペーサ10の場合に比較して、図10(a)に示すように高くなる。また、図10(a),(b)に示すように、光透過部7の凸状の円弧面の曲率R1は正方形のターミナルスペーサ10に形成した光透過部7の凸状の円弧面の曲率R2よりも小さくなる。従って、本実施例3の光半導体装置1の光透過部7はより厚い凸レンズ形状となる。この結果、本実施例3の光半導体装置1においては、光素子として受光素子3が形成されていることから、外部からの光を光透過部7によってより集光させて受光素子に光を集めることできる。また、光素子として発光素子を形成した場合、発光素子から発光された光を光透過部7によってより集光させて光透過部7の前方に放射させることができる。
【0057】
また、本実施例3の場合は光透過部7が厚くなることから、封止体6の厚さを一定とした場合、図10(a),(b)に示すように、開口孔(開口部)30の直径が正方形のターミナルスペーサ10の場合に比較して広くなる。また、光透過部7の頂部を押しつぶして樹脂層を形成する結果発生する開口孔30はターミナルスペーサ10と同心円となる。
【実施例4】
【0058】
図11乃至図13は本発明の実施例4である光半導体装置に係わる図である。図11は光半導体装置の断面図、図12は封止体を取り除いた光半導体装置の平面図、図13は光半導体装置の回路構成を示すブロック図である。
【0059】
本実施例4の光半導体装置1は、回路的には、図13に示すように、信号処理回路(SPB:Signal Processer Block)2によって受光素子(PD)3を制御し、駆動回路(LED Driv )60によって発光素子(発光ダイオード:LED)61を制御する構成になっている。また、信号処理回路2及び駆動回路60は制御回路(Ctl)62によって制御される構成になっている。外部電極端子としては、出力端子(Vout )、第1電源端子(Vcc)、第2電源端子(GND)及び制御端子(Ctr)を有する。
【0060】
信号処理回路2は出力端子(Vout )、第1電源端子(Vcc)、第2電源端子(GND)に接続されている。駆動回路60は第1電源端子(Vcc)、第2電源端子(GND)に接続されている。制御回路62は制御端子(Ctr)、第1電源端子(Vcc)、第2電源端子(GND)に接続されている。
【0061】
本実施例4の光半導体装置1は、実施例1の光半導体装置1の構造において、配線基板5とターミナルスペーサ10との間に集積回路(IC)を形成した台座チップ65を介在させる構造になっている。実施例1ではターミナルスペーサ10は1個であるが、本実施例4の場合は円板からなる2個のターミナルスペーサ10,10aが台座チップ65上に固定される構造になっている。一方のターミナルスペーサ10上に受光素子を形成した半導体チップ13が固定され、他方のターミナルスペーサ10a上にLEDを形成した半導体チップ66が固定される構造になっている。そして、それぞれのターミナルスペーサ10,10a上にはそれぞれチップ13,66を覆う光透過部7,7aがそれぞれ設けられている。
【0062】
図11及び図12は模式化した図面である。図11及び図12に示すように、光半導体装置1の下面には外部電極端子8が4個設けられている。これら外部電極端子8は正方形の各隅部に配置されている。外部電極端子8は、図12に示すように、左上が出力端子(Vout )、左下が第1電源端子(Vcc)、右上が制御端子(Ctr)、右下が第2電源端子(GND)である。台座チップ65の四隅には前記外部電極端子8の機能とそれぞれ対応する電極67が設けられている。各外部電極端子8は配線基板5を貫通する導体23を介して配線基板5の第1の面5aにそれぞれ設けられた配線20に電気的に接続されている。電極67と配線20は導電性のワイヤ68を介して接続されている。
【0063】
図11及び図12に示すように、台座チップ65上に円形のターミナルスペーサ10が固定されている。このターミナルスペーサ10の中心には半導体チップ13がその中心を一致させるように固定されている。半導体チップ13には図示しない受光素子(PD)が形成されている。半導体チップ13の中心をターミナルスペーサ10の中心に一致させるように固定することによって受光素子(PD)の中心は、ターミナルスペーサ10の中心に一致する。そして、ターミナルスペーサ10を覆う光透過部7の中心も受光素子(PD)の中心に一致している。
【0064】
ターミナルスペーサ10の上面には、半導体チップ13の固定領域の近傍からターミナルスペーサ10の外縁近傍に亘って延在する配線15が2本設けられている。一方の配線15の内端と半導体チップ13の一方の電極13aは導電性のワイヤ16で接続されている。この配線15の外端は台座チップ65に設けられた電極69に導電性のワイヤ70を介して接続されている。また、他方の配線15の内端と半導体チップ13の他方の電極13aは導電性のワイヤ16で接続されている。この配線15の外端は台座チップ65に設けられた電極71に導電性のワイヤ72を介して接続されている。
【0065】
図11及び図12に示すように、台座チップ65上に円形のターミナルスペーサ10aが固定されている。このターミナルスペーサ10aの中心には半導体チップ66がその中心を一致させるように固定されている。半導体チップ66には図示しない発光素子(LED)が形成されている。半導体チップ66の中心をターミナルスペーサ10aの中心に一致させるように固定することによって発光素子(LED)の中心は、ターミナルスペーサ10aの中心に一致する。そして、ターミナルスペーサ10aを覆う光透過部7aの中心も発光素子(LED)の中心に一致している。
【0066】
ターミナルスペーサ10aの上面には、半導体チップ66の固定領域の近傍からターミナルスペーサ10aの外縁近傍に亘って延在する配線85が2本設けられている。一方の配線85の内端と半導体チップ66の一方の電極66aは導電性のワイヤ86で接続されている。この配線85の外端は台座チップ65に設けられた電極87に導電性のワイヤ88を介して接続されている。また、他方の配線85の内端と半導体チップ66の他方の電極66aは導電性のワイヤ89で接続されている。この配線85の外端は台座チップ65に設けられた電極90に導電性のワイヤ91を介して接続されている。
【0067】
LEDを有する半導体チップ66を搭載するターミナルスペーサ10aは光透過部7aで光を集光させて光透過部7aの前方に放射させるため、受光素子(PD)を有する半導体チップ13を搭載するターミナルスペーサ10よりも小さく形成して半球面の曲率が小さくなるように配慮してある。また、光透過部7の開口孔(開口部)30は大きくして光をより多く受光素子に集光させるようにしてある。
【0068】
本実施例4の光半導体装置1は、配線基板5にターミナルスペーサを2個(ターミナルスペーサ10,10a)固定し、一方のターミナルスペーサ10a上に光を発光する光素子を有する半導体チップ66を固定し、他方のターミナルスペーサ10上に光を受光する光素子を有する半導体チップ13を固定した測距センサとしたものである。
【0069】
このような測距センサは、それぞれの光透過部7,7aの形状が良好であるとともに、凸面が鏡面となることから、光透過部7,7aを通しての光の授受が良好となり、感度の良好な測距センサとなる。特に、2個のターミナルスペーサを円板としてあることから、光透過部7,7aの凸状の曲率面を所望の曲率に安定して形成できるため、さらに感度の良好な測距センサとなる。
【0070】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例1である光半導体装置の平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】封止体を取り除いた本実施例1の光半導体装置の平面図である。
【図4】本実施例1の光半導体装置の回路構成を示すブロック図である。
【図5】本実施例1の光半導体装置の製造で使用する配線母基板の模式的斜視図である。
【図6】本実施例1の光半導体装置の製造における配線母基板準備工程からワイヤボンディング工程に至る各工程断面図である。
【図7】本実施例1の光半導体装置の製造における透明樹脂ポッティング工程から切断分離工程に至る各工程断面図である。
【図8】本発明の実施例2である光半導体装置の断面図である。
【図9】封止体を取り除いた本実施例2の光半導体装置の平面図である。
【図10】本発明の実施例による光半導体装置のターミナルスペーサと光透過部の関係を示す模式図である。
【図11】本発明の実施例4である光半導体装置の断面図である。
【図12】封止体を取り除いた本実施例4の光半導体装置の平面図である。
【図13】本実施例4の光半導体装置の回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1…光半導体装置、2…信号処理回路、3…受光素子(PD)、5…配線基板、5a…上面(第1の面)、5b…下面(第2の面)、6…封止体、7…光透過部、8…外部電極端子、10…ターミナルスペーサ、11…接着剤、12…絶縁膜、13…半導体チップ、13a…電極、14…接着剤、15…配線、16…ワイヤ、20…配線、21…下地電極、22…バンプ電極、23…導体、25…半導体チップ、26…接着剤、27,28,29…ワイヤ、30…開口孔(開口部)、35…配線母基板、36…製品形成部、40…樹脂、43…下型、43a… 窪み、44…上型、45…キャビティ、46…樹脂層、50…溝、60…駆動回路(LED Driv )、61…発光素子(発光ダイオード:LED)、62…制御回路(Ctl)、65…ICチップ、66…半導体チップ、67…電極、68…ワイヤ、69…電極、70…ワイヤ、71…電極、72…ワイヤ、85…配線、86…ワイヤ、87…電極、88…ワイヤ、90…電極、91…ワイヤ。
【技術分野】
【0001】
本発明は光半導体装置及びその製造方法に係わり、特に光素子を覆う光透過部の光授受面が凸面状(半球面状)の円弧面となる光半導体装置の製造に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光素子の一つとして発光ダイオード(LED)が知られている。発光ダイオードを形成した半導体チップ(以下発光ダイオードチップ[LEDチップ]とも呼称)を組み込んだ光半導体装置としてはつぎの構造が知られている。即ち、発光ダイオードチップを一対のリードの一方の先端面側に固定し、発光ダイオードチップの表面の電極と他方のリードの先端側を導電性のワイヤで接続し、リードの先端側を透明な樹脂体で封止した構造になっている。この構造では樹脂体は砲弾型となり、先端の半球状面から光を放射するようになる(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、別の構造としては、平面的に配置した一対のリードの一方のリードに発光ダイオードチップを固定し、発光ダイオードチップ等を光透過性材料で覆った構造が知られている。この構造においては、光透過性材料によって半球面状の光放射面が形成されている(例えば、特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特開平4−163972号公報
【特許文献2】特開2002−289923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光ダイオードチップから放射される光を封止体の前方に効率よく放射させるためには、透明樹脂で形成する凸状封止体の表面の曲率を高精度に形成し、かつまた凸状封止体の表面を鏡面に仕上げる必要がある。この封止体は、樹脂成形を行う成形金型によって形成される。従って、成形金型の封止体を形成するキャビティ(窪み)の加工精度及び研磨精度は高精度なものが要求され、成形金型が高価となる。この結果、光半導体装置の製造コスト高騰の原因ともなっている。
本発明の目的は、光半導体装置において、光素子を覆う樹脂による光透過部の表面を樹脂の表面張力を利用して凸状の円弧面に形成することにある。
本発明の他の目的は、光半導体装置において、光素子を覆う凸状の光透過部の表面の鏡面化を図ることにある。
本発明の他の目的は、光素子の発光効率や受光効率を高めることができる光半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面からあきらかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
(1)本発明の光半導体装置は、
配線を有し下面に下地電極を有する配線基板を準備する工程と、
前記配線基板上に円形のターミナルスペーサを固定する工程と、
光素子が形成され上面に光の受け渡しを行う光授受面を有する半導体チップを前記ターミナルスペーサ上に前記光素子が中央となるように固定する工程と、
前記半導体チップの電極と配線基板の配線を接続手段によって電気的に接続する工程と、
前記半導体チップを覆うようにターミナルスペーサ上に透明体で弾性体からなる絶縁性樹脂を所定量供給(含む硬化処理)し、樹脂の表面張力によってターミナルスペーサ上に凸状に盛り上がった円弧面を有する光透過部を形成する工程と、
成形金型の平坦面で光透過部の頂部を所定高さ押し潰した状態で配線基板上に所定厚さの樹脂層を形成する工程と、
配線基板の裏面の下地電極にバンプ電極を形成する工程と、
配線基板を上面の樹脂層共々縦横に切断して複数の光半導体装置を形成する工程とによって製造される。
【0007】
半導体チップの電極と配線基板の配線の接続は、導電性のワイヤで直接接続してもよく、また、ターミナルスペーサの上面に所望のパターンの配線を形成しておき、半導体チップの電極及び配線基板の配線は導電性のワイヤでターミナルスペーサの配線に接続する構造としてもよい。光素子は、例えば、発光素子(LED)または受光素子(PD)となる。光透過部の円弧面の形状はターミナルスペーサの大きさ及び樹脂の粘度によって決まり、大きすぎても小さすぎても良好な凸体の形成は難しい。例えば、樹脂の粘度が200〜400cpの場合、ターミナルスペーサは直径が5〜10mmとなる。
【0008】
このような製造方法によって製造された光半導体装置はより具体的には以下の構成になる。
光半導体装置は、
配線を有し、下面に外部電極端子を有する配線基板と、
前記配線基板の上面に固定される円形のターミナルスペーサと、
前記ターミナルスペーサの上面に固定され、光素子が形成され、上面に光の受け渡しを行う光授受面を有する半導体チップと、
前記半導体チップの電極と前記配線基板の配線を電気的に接続する接続手段と、
前記ターミナルスペーサの上面に前記半導体チップを覆うように凸状の円弧面に形成され、透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂で形成される光透過部と、
前記光透過部の所定領域を除き前記光透過部及び前記配線基板を覆う絶縁性の樹脂からなる封止体とを有し、
前記光透過部を覆わない前記封止体による開口部分に前記光透過部の一部が凸状に突出していることを特徴とする。
【0009】
また、前記半導体チップは前記光素子が前記ターミナルスペーサの中央に位置するように固定される。前記ターミナルスペーサは所望パターンの配線を有し、前記所定の配線は前記半導体チップの電極及び前記配線基板の配線に接続手段(導電性のワイヤ)によってそれぞれ電気的に接続されている。前記ターミナルスペーサの周縁は前記配線基板の周縁の内側に位置している。前記配線基板の上面には前記光素子に電気的に接続される集積回路を形成した半導体チップが固定されている。前記ターミナルスペーサは円形であり、前記封止体の前記開口部分は前記ターミナルスペーサに対して同心円的に配置された円形となっている。また、前記配線基板の上面に前記光素子を有する半導体チップを固定するターミナルスペーサが2個固定されている。一方のターミナルスペーサ上には光を発光する光素子を有する半導体チップが固定され、他方のターミナルスペーサ上には光を受光する光素子を有する半導体チップが固定されて測距センサが形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
前記(1)の手段によれば、(a)ターミナルスペーサ上面に形成される光透過部は、ターミナルスペーサ上面に透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂を供給し、表面張力によって凸面状の円弧面を形成させ、その後硬化処理することによって形成される。ターミナルスペーサは円形となっていることから、凸面は均一な表面張力によってどの断面をとっても同一の凸断面となる。また、樹脂の表面には空気以外のものは触れることがないことから、表面には外力が加わらず、樹脂表面は硬化して鏡面となる。従って、光透過部はその表面が鏡面となり、かつ所望の凸状の円弧面を有する構造となることから、光透過部を介しての光素子の光授受効率は良好なものになる。即ち、光素子が発光ダイオードのような発光素子の場合発光効率が向上し、光素子がホトダイオードのような受光素子の場合受光効率が向上する。
【0011】
(b)光透過部形成後、樹脂層が形成される。この際、光透過部の頂部は成形金型の平坦面によって押し潰されるが、一度硬化して表面が鏡面になった光透過部は、成形金型を取り外すことによって樹脂の弾力によってもとの状態(即ち、凸状の円弧面)に復帰し、表面も鏡面を維持することになる。成形金型の接触時、光透過部表面に傷を付けないように、成形金型の平坦面を鏡面化しておくことも好ましい。この平坦面の鏡面化は円弧面の鏡面化に比較して作業が容易であり、加工コストが多く掛からない実益もある。
【0012】
(c)ターミナルスペーサは円形であることから、このターミナルスペーサ上に形成される凸状の光透過部は樹脂の表面張力によって安定状態でその形を作り、かつ硬化処理されることから、その断面において左右が対称の凸体となる。また、成形金型の平坦面で光透過部頂部を押し下げると、弾力的に押し潰される光透過部の前記平坦面との接触縁は円形のターミナルスペーサに対して同心円的に位置する円となり、これが樹脂体の開口部分となる。このため、成形金型から外されると円形の開口部から突出する光透過部部分は、その断面において左右が対称の凸体となる。光素子は円形のターミナルスペーサの中央に固定され、この光素子の真上に光透過部の頂部が位置するようになることから、光の授受効率が向上する。
【0013】
(d)配線基板にターミナルスペーサを2個固定し、一方のターミナルスペーサ上に光を発光する光素子を有する半導体チップを固定し、他方のターミナルスペーサ上に光を受光する光素子を有する半導体チップを固定した測距センサでは、上記(a)〜(c)に記載の効果を有するため、感度の良好な測距センサとなる。特に、上記(c)のように、2個のターミナルスペーサを円板とすることによって、各ターミナルスペーサに固定した各光素子の光の授受効率を向上させることができることから、さらに感度の良好な測距センサとなる。なお、配線基板にさらに多くのターミナルスペーサを固定し、各ターミナルスペーサに所望の光素子を固定した光半導体装置では、各光素子の光の授受効率の向上から、特性の優れた光半導体装置となる。
【0014】
(e)本発明によれば、ターミナルスペーサの大きさを一定にし、同じ樹脂を用いることにより、再現性良く同一形状で表面が鏡面となる光透過部の作製が可能になる。この光透過部の形成は成形金型を使用しないことから安価に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0016】
図1乃至図7は本発明の実施例1の光半導体装置に係わる図である。図1乃至図3は光半導体装置の構造に係わる図であり、図1は光半導体装置の平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は封止体を取り除いた光半導体装置の平面図である。また、図4は光半導体装置の回路構成を示すブロック図である。
【0017】
本実施例1の光半導体装置1は、回路的には、図4に示すように、信号処理回路(SPB:Signal Processer Block)2によって受光素子(PD)3を制御する。信号処理回路2の外部電極端子は、第1電源端子(Vcc)、第2電源端子(GND)、出力端子(Vout )である。
【0018】
光半導体装置1は、外観的には図1乃至図3に示すように、四角形の配線基板5と、この配線基板5の上面に形成された一定厚さの封止体6と、封止体6の表面(上面)に一部が突出する凸状の円弧面を有する光透過部7と、配線基板5の下面に突出形成された外部電極端子8とからなっている。
【0019】
光半導体装置1は、図1及び図3に示すように、四角形の配線基板5を有している。配線基板5は、例えば、厚さ0.6mm程度のガラスエポキシ樹脂基板である。前記配線基板5の上面(第1の面)5aには、四角形(例えば、正方形)のターミナルスペーサ10が絶縁性の接着剤11を介して固定されている。ターミナルスペーサ10は、例えば、0.2〜0.4mm程度の厚さのシリコン板からなり、その上面の表層部分には絶縁膜12が形成されている。絶縁膜12はシリコンを酸化した酸化膜からなっている。
【0020】
ターミナルスペーサ10の上面5aの中央領域は光素子を有する半導体チップ13が搭載される領域となっている。このチップ搭載領域には接着剤14によって半導体チップ13が固定されている。半導体チップ13の上面が光の受け渡しを行う光授受面となっている。
【0021】
また、チップ搭載領域を外れた領域には、チップ搭載領域の近傍からターミナルスペーサ10の縁近傍に向かう細長い配線15が設けられている。この配線15は、図2及び図3に示すように、チップ搭載領域の両側に設けられている。配線15は例えば、アルミニウム層である。
【0022】
本実施例1では、光素子は受光素子であることから、半導体チップ13の電極13aは2端子となり、これら電極13aと配線15は導電性のワイヤ16によって接続されている。半導体チップ13の電極とターミナルスペーサ10の配線との接続手段はこれに限定されるものではない。例えば、半導体チップ13がフリップ・チップ接続構造である場合には、半導体チップ13のフリップ・チップ接続用の電極をターミナルスペーサ10の配線15の一端に直接接続するようにする。
【0023】
配線基板5は上面に所望パターンの配線20を有し、前記上面とは反対面となる下面(第2の面)5bの4隅にはそれぞれ下地電極21が形成されている(図2参照)。下地電極21の表面には半田等によってバンプ電極22が形成され、外部電極端子8が形成されている。下地電極21と所定の配線20は配線基板5を貫通して設けられる導体23(図3参照)を介して電気的に接続されている。
【0024】
ターミナルスペーサ10の固定領域から外れた配線基板領域に、半導体チップ13の光素子を制御する集積回路(信号処理回路:SPB)を形成した半導体チップ25が接着剤26を介して固定されている。ターミナルスペーサ10は絶縁性の接着剤11によって配線基板5の上面に固定されることから、図3に示すように、一部の配線20を電気的絶縁が維持できることからターミナルスペーサ10の下側に位置させることできる。配線20をターミナルスペーサ10の下側に位置させることなく、ターミナルスペーサ10の外側を引き回すことも可能である。ターミナルスペーサ10の下側に配線20を配置することは配線の長さを短くできる実益があるとともに、配線レイアウト設計の自由度が高くなる利点がある。
【0025】
図3に示すように、半導体チップ25の周囲の配線基板5の上面5aには、特に限定はされないが、5本の配線20が配置されている。各配線20は導電性のワイヤ27を介して半導体チップ25の電極25aに接続されている。また、4本の配線20はそれぞれ4隅の外部電極端子8に接続されるようにレイアウトされている。残りの1本の配線20はターミナルスペーサ10の1側部近傍に他端を位置させ、導電性のワイヤ28を介してターミナルスペーサ10の上面の配線15に接続されている。一隅の外部電極端子8に接続される導体23に連なる配線20の端は、ターミナルスペーサ10の配線15の端近傍に位置し、導電性のワイヤ29によって前記配線15の端に接続されている。これにより、図4の回路を満足する構成になる。
【0026】
光透過部7は、図2及び図3に示すように、正方形のターミナルスペーサ10の上面に形成されている。光透過部7は、ターミナルスペーサ10上に樹脂を所定量供給し、樹脂の表面張力を利用して表面を凸状の円弧面とし、そのまま硬化させて形成したものである。樹脂は透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂である。樹脂は例えば、シリコーン樹脂であり、樹脂の粘度が200〜400cpのものが使用される。また、所望の凸状の円弧面を得るために、台座となるターミナルスペーサ10は一辺の長さが5〜10mmとなる正方形板を使用する。受光素子は、例えば、一辺が0.2mm程度の正方形あるいは長方形であり、この状態では、面積が小さすぎて必要な凸状面が得られない。また、台座が大きすぎても樹脂が流れて所望の凸状面が得られない。このため、ターミナルスペーサ10は一辺の長さが5〜10mmとなる正方形のものを選択して使用する。ターミナルスペーサとして長方形のものを使用すると、縦及び横における断面形状が異なり、均等な断面の光透過部7が得られなくなる。図3では、点々を施した領域が光透過部7であることを示す。また、破線で示す円形部分が封止体6の上面から露出(突出)する部分である。即ち、封止体6の形成時、光透過部7の頂部を所定高さ押し潰した状態で封止体6とされる平坦な樹脂層を形成することから、押し潰しを開放すると、光透過部7の頂部は樹脂の弾性力で復帰し、封止体6の上面から凸状に突出する。従って、破線で示す円形部分は封止体6の開口孔(開口部)30となる。開口部30に突出する光透過部7は所望の曲率Rとなる。
【0027】
つぎに、光半導体装置1の製造方法について、図5乃至図7を参照して説明する。図5は光半導体装置の製造で使用する配線母基板の模式的斜視図である。図6は光半導体装置の製造における配線母基板準備工程からワイヤボンディング工程に至る各工程断面図である。また、図7は光半導体装置の製造における透明樹脂ポッティング工程から最終の切断分離工程に至る各工程断面図である。
【0028】
光半導体装置1の製造では、図5に示すように、配線母基板35が準備される。配線母基板35は、図5に示すように、その平面方向に区画された製品形成部36を複数有する構造になっている。製品形成部36は、縦横にマトリックス状に整列配置されている。製品形成部36は1個の光半導体装置1が製造される部分である。配線母基板35を区画線に沿って縦横に切断することによって、配線母基板35は配線基板5になる。配線基板5の構造については既に説明してあることから配線母基板35の構造説明は省略する。
【0029】
また、説明の便宜上、配線母基板35においてターミナルスペーサ10を固定する面を配線基板5との整合性を考慮して第1の面5aと呼称し、その反対面となる面を第2の面5bと呼称する。第2の面5bは外部電極端子8が形成される面である。
【0030】
配線母基板35は、例えば、厚さ0.6mmのガラスエポキシ樹脂基板からなっている。また、配線母基板35はその両側に配線母基板35の搬送及び位置決めに使用するガイド孔37a,37bが設けられている。
【0031】
光半導体装置1の製造においては、図6(a)に示すように配線母基板35を準備する。配線母基板35の各製品形成部36において、配線母基板35の第1の面5aに配線20が設けられ、第2の面5bに下地電極21が設けられている。図6及び図7では、一つの製品形成部36を示し、一つの製品形成部36において順次光半導体装置の製造が行われる状態を示す。また、図6及び図7において、配線母基板35を上下に横切る一点鎖線が、隣接する製品形成部36の境界線であり、また最終段階で配線母基板35を切断する切断線であることを示す。
【0032】
つぎに、各製品形成部36に対して、図6(b)に示すように、配線母基板35の第1の面5aに絶縁性の接着剤11によってターミナルスペーサ10を位置決め固定する。ターミナルスペーサ10は、表面が凸状の円弧面となる光透過部7が形成できるように、例えば、厚さが0.2〜0.4mmで一辺の長さが5〜10mmになる正方形のシリコン板からなっている。また、光透過部7となる樹脂がターミナルスペーサ10上で所望の凸面が表面張力によって形成できるように、ターミナルスペーサ10の上面の縁は液状の樹脂が流れ出さないように鋭利になっている。例えば、ターミナルスペーサ10の周面は上面に対して直角な垂直壁となっている。また、ターミナルスペーサ10は、前述のように、その上面は絶縁膜12が形成され、かつこの絶縁膜12上には配線15が設けられた構造になっている。なお、本実施例では、ターミナルスペーサ10を接着剤11で直接配線母基板35の第1の面5aに固定したが、その固定状態を良好とするために、例えば、ターミナルスペーサ10の固定領域に配線を形成する材料で固定パッドを形成しておいてもよい。
【0033】
つぎに、図6(c)に示すように、配線母基板35の第1の面5aの所定位置に接着剤26を介して半導体チップ25を固定する。また、ターミナルスペーサ10の所定位置に接着剤14を介して半導体チップ13を固定する。半導体チップ13には光素子として、図4で説明した受光素子3が形成されている。また、半導体チップ25には図4で説明した前記受光素子を制御する集積回路(SPB:信号処理回路2)が形成されている。なお、本実施例では、半導体チップ25を接着剤26で配線母基板35上に直接固定し、半導体チップ13を接着剤14でターミナルスペーサ10上に直接固定したが、固定状態を良好とするためにそれぞれチップの固定領域に配線を形成する材料で固定パッドを形成しておいてもよい。
【0034】
つぎに、図6(d)に示すように、ターミナルスペーサ10上の半導体チップ13の電極13a(図3参照)と、ターミナルスペーサ10上の配線15を導電性のワイヤ16で接続する。また、半導体チップ25の電極25a(図3参照)と、配線母基板35の第1の面5aに設けられた配線20を導電性のワイヤ27で接続する。さらに、ターミナルスペーサ10上の配線15と配線母基板35上の配線20を導電性のワイヤ28,29で接続する。ワイヤ28は半導体チップ25とターミナルスペーサ10との間に設けられた配線20と、ターミナルスペーサ10上の配線15を接続するワイヤであり、ワイヤ29は下地電極21に導体23(図3参照)を介して接続される配線20と、ターミナルスペーサ10上の配線15を接続するワイヤである。ワイヤ28,29は配線20の端部と配線15の端部を接続し、できるだけ短く形成されている。
【0035】
つぎに、図7(a)に示すように、ターミナルスペーサ10上に、図示しないディスペンサ等によって所定量の樹脂40を塗布(供給)し、かつ硬化処理して表面が凸状の円弧面となる光透過部7を形成する。光透過部7はターミナルスペーサ10の上面全体に形成され、配線15、半導体チップ13及びワイヤ16,28,29を覆う。
【0036】
半導体チップ13は受光素子が形成され、その上面が外部との間での光のやり取りをする光授受面となる。そこで、この樹脂40は硬化した状態で透明となる樹脂が使用される。また、電気的には絶縁性の樹脂が選択される。また、供給された樹脂40が表面張力によって表面が凸状の円弧面を形成するように所定の粘度の樹脂が選択される。さらに、これは本実施例による製造方法に関係するものであるが、光透過部7の頂部に外力を加えて押し潰した後、外力を取り外した後は光透過部7の表面は元の半球状の円弧面に復帰する弾性力を有する樹脂が選択される。
【0037】
このような各種の条件を満足する樹脂として、例えば、透明ゴム状チップコート材、即ち、樹脂の粘度が200〜400cpとなるシリコーン樹脂を使用する。例えば、一辺が5mmとなる正方形のターミナルスペーサ10上に厚さ2mmで、曲率Rが2.5mmとなる凸状の光透過部7を形成することができる。樹脂40は、150℃で1時間ベークされて硬化し、弾性体からなる透明の光透過部7になる。
【0038】
光透過部7の半球状の円弧面は、樹脂の表面張力によって形成される面であることから、断面的に見て左右が対称となる凸面となり、かつまた凸状の円弧面は鏡面になる。形の良好な光透過部7の形成及び凸面の鏡面化は、成形金型等何らのものも使用せず、樹脂の粘度と台座であるターミナルスペーサ10の大きさ等による表面張力によって形成できるため、光透過部7の形成コストが安価になる。
【0039】
また、半導体チップ13の中心が受光素子の中心となり、半導体チップ13がターミナルスペーサ10の中央に固定されることから、凸状の光透過部7の頂部の中心は受光素子の中心(光軸)に位置するようになり、レンズとして作用する光透過部7の光学中心が受光素子の光軸と一致するようになる。光素子がLEDのような発光素子の場合には、光素子の光軸と光透過部7の中心(光軸)が一致することは光の発光効率を増大するために重要なものとなる。
【0040】
つぎに、図7(b)に示すように、例えば、トランスファモールディング装置の成形金型の下型43と上型44間に配線母基板35を配置し、成形金型の型締めを行う。この型締めによって、配線母基板35はその周縁部分が下型43と上型44のパーティング面(合わせ面)に挟持される。各製品形成部36は下型43と上型44とによって形成されるキャビティ45内に位置する。キャビティ45の底面と天井面はいずれも平坦面となり、かつ平行になっている。下型43の底面には、窪み43aが設けられ、配線母基板35の第2の面5bに設けられる下地電極21がこの窪み43a内に入るようになる。これにより、配線母基板35の第2の面5bは下型43の平坦な底面に密着するようになる。
【0041】
前記型締めによって配線母基板35の上面側の光透過部7の頂部は成形金型の上型44によって一定の高さ(例えば 1.5mm)押し潰される。そして、この状態で成形金型の下型43と上型44とによって形成されたキャビティ45内に絶縁性の樹脂が圧入され、かつ所定の温度でキュアされて一定厚さの樹脂層46が形成される。樹脂層46は絶縁性のエポキシ樹脂で形成される。エポキシ樹脂のトランスファモールディング装置でのキュアは170℃で2分である。
【0042】
型開きによって上型44が外されると、樹脂層46の上面の開口孔(開口部)30内に位置する光透過部7は、外力が取り外される結果、樹脂40の弾力によって基に復帰し凸状の円弧面となる[図7(c)参照]。
【0043】
つぎに、図7(c)に示すように、配線母基板35の第2の面5bを上面とした状態で、第2の面5bに露出する下地電極21に重ねてバンプ電極22を形成する。バンプ電極22は、例えば、半田ボールを取り付け、かつリフロー(再加熱処理)によって半球状に形成することによって形成する。
【0044】
つぎに、配線母基板35を各製品形成部36の境界線で切断して、図7(d)に示すように複数の光半導体装置1を製造する。この際、配線母基板35は分割されて配線基板5となり、樹脂層46は分割されて封止体6になる。
【0045】
本実施例1によれば以下の効果を有する。
(1)ターミナルスペーサ10の上面に形成される光透過部7は、ターミナルスペーサ上面に透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂40を供給し、表面張力によって凸面状の円弧面(凸面)を形成させ、その後硬化処理することによって形成される。凸面は表面張力によって形成されることからいびつとならず良好な形の凸面が形成される。また、樹脂の表面には空気以外のものは触れることがないことから、表面には外力が加わらず、樹脂表面は硬化して鏡面となる。この結果、光透過部7を介する受光素子の受光効率は良好なものになる。
【0046】
(2)光透過部7の形成後、樹脂層46が形成される。この際、光透過部7の頂部は成形金型の上型44の平坦面によって押し潰されるが、一度硬化して表面が鏡面になった光透過部7は、成形金型を取り外すことによって樹脂の弾力によってもとの状態(即ち、凸状の円弧面)に復帰し、表面も鏡面を維持することになる。なお、成形金型の接触時、光透過部表面に傷を付けないように、上型44のキャビティ45の平坦な天井面を鏡面化しておく手法も本発明では採用可能である。この場合、天井面は平坦面であることから、円弧面を鏡面化する場合に比較して作業が容易であり、かつ加工コストも易くなる実益もある。
【0047】
(3)ターミナルスペーサ10は正方形であることから、このターミナルスペーサ上に形成される凸状の光透過部7の頂部は正方形のターミナルスペーサ10の中心に一致する。従って、受光素子の中心(光軸)がターミナルスペーサ10の中心に位置するように受光素子を形成した半導体チップ13を固定することにより、受光素子の受光効率が良好になる。
【0048】
(4)本実施例1によれば、ターミナルスペーサ10の大きさを一定にし、同じ樹脂40を用いることにより、再現性良く同一形状で表面が鏡面となる光透過部7の作製が可能になる。この光透過部7の形成は成形金型を使用しないことから安価に製造でき、光半導体装置1の製造コスト低減が可能になる。
【実施例2】
【0049】
図8及び図9は本発明の実施例2である光半導体装置に係わる図であり、図8は光半導体装置の断面図、図9は封止体を取り除いた光半導体装置の平面図である。
【0050】
本実施例2では、ターミナルスペーサ10に矩形枠状に設けた溝50の内側の領域に光透過部7を形成する。図9及び図8に示すように、溝50は正方形枠状に形成されている。また、実施例1の場合と同様に光透過部7となる樹脂40が前記溝50の内側で所望の凸面が表面張力によって形成できるように、溝50の内側の縁は液状の樹脂40が流れ出さないように鋭利になっている。即ち、溝50の内側の縁を形成する内周面はターミナルスペーサ10の上面に対して直角な垂直壁となっている。
【0051】
本実施例2においても実施例1と同様に凸状の円弧面を有する光透過部7を安価に製造することができる。本実施例2の技術思想によれば、配線基板5の第1の面5aに四角形枠状またはリング状に溝を設け、この溝によって囲まれる内側の領域に光透過部7を形成することもできる。
【実施例3】
【0052】
図10は本発明の実施例3及び実施例1である光半導体装置の概要を示す図である。図10(a)は本実施例3の光半導体装置1の概要を示す断面図、図10(b)は実施例1の光半導体装置1の模式的断面図である。図10(a)及び図10(b)において、上方の図は光半導体装置1のターミナルスペーサ10と光透過部7の開口孔(開口部)30との関係を示す平面図であり、下方の図は上方の図に対応する光半導体装置部分の断面図である。
【0053】
本実施例3の光半導体装置1は、図10(a)に示すように、ターミナルスペーサ10を円形として光透過部7を形成した構造になっている。実施例1の光半導体装置1は、図10(b)に示すように、既に説明したとおりターミナルスペーサ10が正方形になっている。
【0054】
本実施例3の光半導体装置1は、図10(a)に示すように、円形のターミナルスペーサ10の中心に半導体チップ13が固定される構造になっている。また、図示しないが半導体チップ13の中心に光素子が形成されている。従って、円形のターミナルスペーサ10の中心に半導体チップ13の中心が位置するように半導体チップ13を固定することによって、光素子の中心がターミナルスペーサ10の中心に位置することになる。
【0055】
本実施例3においては、ターミナルスペーサ10は円形となっていることから、ターミナルスペーサ10の上面に液状の樹脂40を所定量供給すると、樹脂の表面張力によって形成される凸面の中心はターミナルスペーサ10の中心に位置するようになる。
【0056】
また、ターミナルスペーサ10が円形であることから、均一な表面張力によって形成された光透過部7はどの断面をとっても同一の凸断面となる。この結果、光透過部7の盛り上がり高さは、図10(b)に示す正方形のターミナルスペーサ10の場合に比較して、図10(a)に示すように高くなる。また、図10(a),(b)に示すように、光透過部7の凸状の円弧面の曲率R1は正方形のターミナルスペーサ10に形成した光透過部7の凸状の円弧面の曲率R2よりも小さくなる。従って、本実施例3の光半導体装置1の光透過部7はより厚い凸レンズ形状となる。この結果、本実施例3の光半導体装置1においては、光素子として受光素子3が形成されていることから、外部からの光を光透過部7によってより集光させて受光素子に光を集めることできる。また、光素子として発光素子を形成した場合、発光素子から発光された光を光透過部7によってより集光させて光透過部7の前方に放射させることができる。
【0057】
また、本実施例3の場合は光透過部7が厚くなることから、封止体6の厚さを一定とした場合、図10(a),(b)に示すように、開口孔(開口部)30の直径が正方形のターミナルスペーサ10の場合に比較して広くなる。また、光透過部7の頂部を押しつぶして樹脂層を形成する結果発生する開口孔30はターミナルスペーサ10と同心円となる。
【実施例4】
【0058】
図11乃至図13は本発明の実施例4である光半導体装置に係わる図である。図11は光半導体装置の断面図、図12は封止体を取り除いた光半導体装置の平面図、図13は光半導体装置の回路構成を示すブロック図である。
【0059】
本実施例4の光半導体装置1は、回路的には、図13に示すように、信号処理回路(SPB:Signal Processer Block)2によって受光素子(PD)3を制御し、駆動回路(LED Driv )60によって発光素子(発光ダイオード:LED)61を制御する構成になっている。また、信号処理回路2及び駆動回路60は制御回路(Ctl)62によって制御される構成になっている。外部電極端子としては、出力端子(Vout )、第1電源端子(Vcc)、第2電源端子(GND)及び制御端子(Ctr)を有する。
【0060】
信号処理回路2は出力端子(Vout )、第1電源端子(Vcc)、第2電源端子(GND)に接続されている。駆動回路60は第1電源端子(Vcc)、第2電源端子(GND)に接続されている。制御回路62は制御端子(Ctr)、第1電源端子(Vcc)、第2電源端子(GND)に接続されている。
【0061】
本実施例4の光半導体装置1は、実施例1の光半導体装置1の構造において、配線基板5とターミナルスペーサ10との間に集積回路(IC)を形成した台座チップ65を介在させる構造になっている。実施例1ではターミナルスペーサ10は1個であるが、本実施例4の場合は円板からなる2個のターミナルスペーサ10,10aが台座チップ65上に固定される構造になっている。一方のターミナルスペーサ10上に受光素子を形成した半導体チップ13が固定され、他方のターミナルスペーサ10a上にLEDを形成した半導体チップ66が固定される構造になっている。そして、それぞれのターミナルスペーサ10,10a上にはそれぞれチップ13,66を覆う光透過部7,7aがそれぞれ設けられている。
【0062】
図11及び図12は模式化した図面である。図11及び図12に示すように、光半導体装置1の下面には外部電極端子8が4個設けられている。これら外部電極端子8は正方形の各隅部に配置されている。外部電極端子8は、図12に示すように、左上が出力端子(Vout )、左下が第1電源端子(Vcc)、右上が制御端子(Ctr)、右下が第2電源端子(GND)である。台座チップ65の四隅には前記外部電極端子8の機能とそれぞれ対応する電極67が設けられている。各外部電極端子8は配線基板5を貫通する導体23を介して配線基板5の第1の面5aにそれぞれ設けられた配線20に電気的に接続されている。電極67と配線20は導電性のワイヤ68を介して接続されている。
【0063】
図11及び図12に示すように、台座チップ65上に円形のターミナルスペーサ10が固定されている。このターミナルスペーサ10の中心には半導体チップ13がその中心を一致させるように固定されている。半導体チップ13には図示しない受光素子(PD)が形成されている。半導体チップ13の中心をターミナルスペーサ10の中心に一致させるように固定することによって受光素子(PD)の中心は、ターミナルスペーサ10の中心に一致する。そして、ターミナルスペーサ10を覆う光透過部7の中心も受光素子(PD)の中心に一致している。
【0064】
ターミナルスペーサ10の上面には、半導体チップ13の固定領域の近傍からターミナルスペーサ10の外縁近傍に亘って延在する配線15が2本設けられている。一方の配線15の内端と半導体チップ13の一方の電極13aは導電性のワイヤ16で接続されている。この配線15の外端は台座チップ65に設けられた電極69に導電性のワイヤ70を介して接続されている。また、他方の配線15の内端と半導体チップ13の他方の電極13aは導電性のワイヤ16で接続されている。この配線15の外端は台座チップ65に設けられた電極71に導電性のワイヤ72を介して接続されている。
【0065】
図11及び図12に示すように、台座チップ65上に円形のターミナルスペーサ10aが固定されている。このターミナルスペーサ10aの中心には半導体チップ66がその中心を一致させるように固定されている。半導体チップ66には図示しない発光素子(LED)が形成されている。半導体チップ66の中心をターミナルスペーサ10aの中心に一致させるように固定することによって発光素子(LED)の中心は、ターミナルスペーサ10aの中心に一致する。そして、ターミナルスペーサ10aを覆う光透過部7aの中心も発光素子(LED)の中心に一致している。
【0066】
ターミナルスペーサ10aの上面には、半導体チップ66の固定領域の近傍からターミナルスペーサ10aの外縁近傍に亘って延在する配線85が2本設けられている。一方の配線85の内端と半導体チップ66の一方の電極66aは導電性のワイヤ86で接続されている。この配線85の外端は台座チップ65に設けられた電極87に導電性のワイヤ88を介して接続されている。また、他方の配線85の内端と半導体チップ66の他方の電極66aは導電性のワイヤ89で接続されている。この配線85の外端は台座チップ65に設けられた電極90に導電性のワイヤ91を介して接続されている。
【0067】
LEDを有する半導体チップ66を搭載するターミナルスペーサ10aは光透過部7aで光を集光させて光透過部7aの前方に放射させるため、受光素子(PD)を有する半導体チップ13を搭載するターミナルスペーサ10よりも小さく形成して半球面の曲率が小さくなるように配慮してある。また、光透過部7の開口孔(開口部)30は大きくして光をより多く受光素子に集光させるようにしてある。
【0068】
本実施例4の光半導体装置1は、配線基板5にターミナルスペーサを2個(ターミナルスペーサ10,10a)固定し、一方のターミナルスペーサ10a上に光を発光する光素子を有する半導体チップ66を固定し、他方のターミナルスペーサ10上に光を受光する光素子を有する半導体チップ13を固定した測距センサとしたものである。
【0069】
このような測距センサは、それぞれの光透過部7,7aの形状が良好であるとともに、凸面が鏡面となることから、光透過部7,7aを通しての光の授受が良好となり、感度の良好な測距センサとなる。特に、2個のターミナルスペーサを円板としてあることから、光透過部7,7aの凸状の曲率面を所望の曲率に安定して形成できるため、さらに感度の良好な測距センサとなる。
【0070】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例1である光半導体装置の平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】封止体を取り除いた本実施例1の光半導体装置の平面図である。
【図4】本実施例1の光半導体装置の回路構成を示すブロック図である。
【図5】本実施例1の光半導体装置の製造で使用する配線母基板の模式的斜視図である。
【図6】本実施例1の光半導体装置の製造における配線母基板準備工程からワイヤボンディング工程に至る各工程断面図である。
【図7】本実施例1の光半導体装置の製造における透明樹脂ポッティング工程から切断分離工程に至る各工程断面図である。
【図8】本発明の実施例2である光半導体装置の断面図である。
【図9】封止体を取り除いた本実施例2の光半導体装置の平面図である。
【図10】本発明の実施例による光半導体装置のターミナルスペーサと光透過部の関係を示す模式図である。
【図11】本発明の実施例4である光半導体装置の断面図である。
【図12】封止体を取り除いた本実施例4の光半導体装置の平面図である。
【図13】本実施例4の光半導体装置の回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1…光半導体装置、2…信号処理回路、3…受光素子(PD)、5…配線基板、5a…上面(第1の面)、5b…下面(第2の面)、6…封止体、7…光透過部、8…外部電極端子、10…ターミナルスペーサ、11…接着剤、12…絶縁膜、13…半導体チップ、13a…電極、14…接着剤、15…配線、16…ワイヤ、20…配線、21…下地電極、22…バンプ電極、23…導体、25…半導体チップ、26…接着剤、27,28,29…ワイヤ、30…開口孔(開口部)、35…配線母基板、36…製品形成部、40…樹脂、43…下型、43a… 窪み、44…上型、45…キャビティ、46…樹脂層、50…溝、60…駆動回路(LED Driv )、61…発光素子(発光ダイオード:LED)、62…制御回路(Ctl)、65…ICチップ、66…半導体チップ、67…電極、68…ワイヤ、69…電極、70…ワイヤ、71…電極、72…ワイヤ、85…配線、86…ワイヤ、87…電極、88…ワイヤ、90…電極、91…ワイヤ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線を有し、下面に外部電極端子を有する配線基板と、
前記配線基板の上面に固定されるターミナルスペーサと、
前記ターミナルスペーサの上面に固定され、光素子が形成され、上面に光の受け渡しを行う光授受面を有する半導体チップと、
前記半導体チップの電極と前記配線基板の配線を電気的に接続する接続手段と、
前記ターミナルスペーサの上面に前記半導体チップを覆うように半球状に形成され、透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂で形成される光透過部と、
前記光透過部の所定領域を除き前記光透過部及び前記配線基板を覆う絶縁性の樹脂からなる封止体とを有し、
前記光透過部を覆わない前記封止体による開口部分に前記光透過部部分が半球状に突出していることを特徴とする光半導体装置。
【請求項2】
前記ターミナルスペーサは所望パターンの配線を有し、前記所定の配線は前記半導体チップの電極及び前記配線基板の配線に接続手段によってそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記ターミナルスペーサの周縁は前記配線基板の周縁の内側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記配線基板の上面には前記光素子に電気的に接続される集積回路を形成した半導体チップが固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項5】
前記ターミナルスペーサは円形であり、前記封止体の前記開口部分は前記ターミナルスペーサに対して同心円的に配置された円形となっていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項6】
前記ターミナルスペーサは前記半導体チップを固定する領域を囲む溝が上面に形成され、前記溝の内側の領域に前記光透過部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項7】
前記溝は円形のリング状であり、前記封止体による開口部分は前記溝に対して同心円的に配置された円形となっていることを特徴とする請求項6に記載の光半導体装置。
【請求項8】
前記光素子は光を発光する光素子または光を受光する光素子であることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項9】
前記配線基板の上面に前記光素子を有する半導体チップを固定するターミナルスペーサが複数固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項10】
前記配線基板上には2個の前記ターミナルスペーサが固定され、一方のターミナルスペーサ上には光を発光する光素子を有する半導体チップが固定され、他方のターミナルスペーサ上には光を受光する光素子を有する半導体チップが固定されて測距センサが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項11】
第1の面及び前記第1の面の反対面となる第2の面を有し、前記第1の面に縦横に区画された複数の製品形成部を有し、前記製品形成部は前記第1の面に形成される所望パターンの配線と、前記第2の面に形成され前記配線に貫通導体を介して電気的に接続される複数の下地電極とを有する構成となる配線母基板を準備する工程と、
前記各製品形成部の前記第1の面に上面に所望パターンの配線を有するターミナルスペーサを固定する工程と、
前記ターミナルスペーサの上面に、光素子が形成され上面に光の受け渡しを行う光授受面を有する第1の半導体チップを固定する工程と、
前記各製品形成部の前記第1の面に前記光素子に電気的に接続される集積回路を形成した第2の半導体チップを固定する工程と、
前記第1及び第2の半導体チップの各電極と前記所定の配線、前記所定の配線と前記所定の配線を導電性のワイヤでそれぞれ接続する工程と、
前記ターミナルスペーサ上に前記半導体チップを覆うように透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂を所定量供給しかつ硬化処理し、樹脂の表面張力を利用して凸状に光透過部を形成する工程と、
成形金型の平坦面で前記光透過部の最も厚い部分を所定長さ押し潰し、この状態で前記配線母基板の第1の面に絶縁性の樹脂によって所定厚さの樹脂層を形成することによって、前記樹脂層の表面に凸状に突出する前記光透過部部分を形成する工程と、
前記製品形成部の前記第2の面の前記下地電極層に重ねて突起電極を形成する工程と、
前記配線母基板の前記区画で切断して複数の光半導体装置を複数製造する工程とを有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記ターミナルスペーサを円形に形成しておき、前記ターミナルスペーサ中央上面に前記光授受面が位置するように前記半導体チップを固定することを特徴とする請求項11に記載の光半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ターミナルスペーサの上面に前記半導体チップを固定する領域を囲む溝を形成しておき、前記溝の内側の中央領域に前記光授受面が位置するように前記半導体チップを固定し、前記溝の内側の領域に前記光透過部を形成することを特徴とする請求項11に記載の光半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記製品形成部に複数の前記ターミナルスペーサを固定することを特徴とする請求項11に記載の光半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記製品形成部に2個の前記ターミナルスペーサを固定し、一方のターミナルスペーサ上には光を発光する光素子を有する半導体チップを固定し、他方のターミナルスペーサ上には光を受光する光素子を有する半導体チップを固定して測距センサを形成することを特徴とする請求項11に記載の光半導体装置の製造方法。
【請求項1】
配線を有し、下面に外部電極端子を有する配線基板と、
前記配線基板の上面に固定されるターミナルスペーサと、
前記ターミナルスペーサの上面に固定され、光素子が形成され、上面に光の受け渡しを行う光授受面を有する半導体チップと、
前記半導体チップの電極と前記配線基板の配線を電気的に接続する接続手段と、
前記ターミナルスペーサの上面に前記半導体チップを覆うように半球状に形成され、透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂で形成される光透過部と、
前記光透過部の所定領域を除き前記光透過部及び前記配線基板を覆う絶縁性の樹脂からなる封止体とを有し、
前記光透過部を覆わない前記封止体による開口部分に前記光透過部部分が半球状に突出していることを特徴とする光半導体装置。
【請求項2】
前記ターミナルスペーサは所望パターンの配線を有し、前記所定の配線は前記半導体チップの電極及び前記配線基板の配線に接続手段によってそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記ターミナルスペーサの周縁は前記配線基板の周縁の内側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項4】
前記配線基板の上面には前記光素子に電気的に接続される集積回路を形成した半導体チップが固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項5】
前記ターミナルスペーサは円形であり、前記封止体の前記開口部分は前記ターミナルスペーサに対して同心円的に配置された円形となっていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項6】
前記ターミナルスペーサは前記半導体チップを固定する領域を囲む溝が上面に形成され、前記溝の内側の領域に前記光透過部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項7】
前記溝は円形のリング状であり、前記封止体による開口部分は前記溝に対して同心円的に配置された円形となっていることを特徴とする請求項6に記載の光半導体装置。
【請求項8】
前記光素子は光を発光する光素子または光を受光する光素子であることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項9】
前記配線基板の上面に前記光素子を有する半導体チップを固定するターミナルスペーサが複数固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項10】
前記配線基板上には2個の前記ターミナルスペーサが固定され、一方のターミナルスペーサ上には光を発光する光素子を有する半導体チップが固定され、他方のターミナルスペーサ上には光を受光する光素子を有する半導体チップが固定されて測距センサが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
【請求項11】
第1の面及び前記第1の面の反対面となる第2の面を有し、前記第1の面に縦横に区画された複数の製品形成部を有し、前記製品形成部は前記第1の面に形成される所望パターンの配線と、前記第2の面に形成され前記配線に貫通導体を介して電気的に接続される複数の下地電極とを有する構成となる配線母基板を準備する工程と、
前記各製品形成部の前記第1の面に上面に所望パターンの配線を有するターミナルスペーサを固定する工程と、
前記ターミナルスペーサの上面に、光素子が形成され上面に光の受け渡しを行う光授受面を有する第1の半導体チップを固定する工程と、
前記各製品形成部の前記第1の面に前記光素子に電気的に接続される集積回路を形成した第2の半導体チップを固定する工程と、
前記第1及び第2の半導体チップの各電極と前記所定の配線、前記所定の配線と前記所定の配線を導電性のワイヤでそれぞれ接続する工程と、
前記ターミナルスペーサ上に前記半導体チップを覆うように透明体で弾性体からなる絶縁性の樹脂を所定量供給しかつ硬化処理し、樹脂の表面張力を利用して凸状に光透過部を形成する工程と、
成形金型の平坦面で前記光透過部の最も厚い部分を所定長さ押し潰し、この状態で前記配線母基板の第1の面に絶縁性の樹脂によって所定厚さの樹脂層を形成することによって、前記樹脂層の表面に凸状に突出する前記光透過部部分を形成する工程と、
前記製品形成部の前記第2の面の前記下地電極層に重ねて突起電極を形成する工程と、
前記配線母基板の前記区画で切断して複数の光半導体装置を複数製造する工程とを有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記ターミナルスペーサを円形に形成しておき、前記ターミナルスペーサ中央上面に前記光授受面が位置するように前記半導体チップを固定することを特徴とする請求項11に記載の光半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ターミナルスペーサの上面に前記半導体チップを固定する領域を囲む溝を形成しておき、前記溝の内側の中央領域に前記光授受面が位置するように前記半導体チップを固定し、前記溝の内側の領域に前記光透過部を形成することを特徴とする請求項11に記載の光半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記製品形成部に複数の前記ターミナルスペーサを固定することを特徴とする請求項11に記載の光半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記製品形成部に2個の前記ターミナルスペーサを固定し、一方のターミナルスペーサ上には光を発光する光素子を有する半導体チップを固定し、他方のターミナルスペーサ上には光を受光する光素子を有する半導体チップを固定して測距センサを形成することを特徴とする請求項11に記載の光半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−114737(P2006−114737A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301328(P2004−301328)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000100997)株式会社アキタ電子システムズ (41)
【出願人】(502304367)株式会社アキタセミコンダクタ (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000100997)株式会社アキタ電子システムズ (41)
【出願人】(502304367)株式会社アキタセミコンダクタ (5)
【Fターム(参考)】
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