説明

光反射成形体の製造方法及び金型

【課題】本発明は、優れた光反射性能及び光拡散性能を有する光反射成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の光反射成形体の製造方法は、光反射板を金型を用いて熱成形することによって光反射成形体を製造する光反射成形体の製造方法であって、上記金型の成形面には凹凸部が形成されており、上記成形面の凹凸部はその表面粗さRaが1〜20μmで且つ凹凸の平均間隔Smが5〜300μmであり、上記光反射板を加熱しながら上記金型の成形面に押し付けることによって上記金型の成形面に沿って成形すると共に、上記光反射板の表面に上記金型の成形面の凹凸部を転写して、表面粗さRaが1〜20μmで且つ凹凸の平均間隔Smが5〜300μmである凹凸面を有する光反射成形体を製造することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた光反射性能及び光拡散性能を有する光反射成形体の製造方法及びこの光反射成形体の製造に用いられる金型に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置として液晶表示装置が様々な用途に用いられている。この液晶表示装置は、液晶セルの背面にバックライトユニットが配設される。バックライトユニットは、冷陰極管やLEDなどの発光光源、ランプリフレクタ、導光板、及び上記導光板の後面側に配設された光反射板からなる。この光反射板は、導光板の後面側に漏れた光を液晶セル側に向かって反射させる役割を果たしている。
【0003】
上記光反射板としては、アルミニウム、ステンレスなどからなる金属薄板、ポリエチレンテレフタレートフィルムに銀を蒸着させてなるフィルム、アルミニウム箔を積層した金属箔、多孔性樹脂シートなどが用いられている。
【0004】
また、生産性の高い光反射板として、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機充填剤をポリプロピレン系樹脂中に含有させてなる光反射板も用いられている。
【0005】
光反射板として、特許文献1には、脂肪族ポリエステル系樹脂或いはポリオレフィン系樹脂及び微粉状充填剤を含有してなる樹脂組成物を含み、樹脂組成物における微粉状充填剤の含有割合が0.1質量%より大きく且つ5質量%未満である層を反射使用面側の最外層として備えた反射フィルムが開示されている。
【0006】
しかしながら、上記反射フィルムは、段落番号〔0114〕に、積層体を少なくとも1軸方向に1.1倍以上延伸することが好ましいとの記載があるが、実施例の全ての反射フィルムは二軸延伸されて製造されており、このように二軸延伸されて製造された反射フィルムは熱成形性に劣り、所望形状に熱成形することができないという問題点の他に、光拡散性も不十分であるという問題点も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4041160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、優れた光反射性能及び光拡散性能を有し且つ所望形状を有する光反射成形体の製造方法及びこの光反射成形体の製造に用いられる金型を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光反射成形体の製造方法は、光反射板を金型を用いて熱成形することによって光反射成形体を製造する光反射成形体の製造方法であって、上記金型の成形面には凹凸部が形成されており、上記成形面の凹凸部はその表面粗さRaが1〜20μmで且つ凹凸の平均間隔Smが5〜300μmであり、上記光反射板を加熱しながら上記金型の成形面に押し付けることによって上記金型の成形面に沿って成形すると共に、上記光反射板の表面に上記金型の成形面の凹凸部を転写して、表面粗さRaが1〜20μmで且つ凹凸の平均間隔Smが5〜300μmである凹凸面を有する光反射成形体を製造することを特徴とする。
【0010】
又、本発明の金型は、光反射板の熱成形に用いられる金型であって、上記金型の成形面には凹凸部が形成されており、上記凹凸部はその表面粗さRaが1〜20μmで且つ凹凸の平均間隔Smが5〜300μmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光反射成形体の製造方法は、上述の如き構成を有していることから、光反射板を金型を用いて熱成形することによって、優れた光反射性能及び光拡散性能を有し且つ所望形状を有する光反射成形体を容易に製造することができる。
【0012】
上記光反射成形体の製造方法において、金型の成形面における凹凸部の凹凸の最大高さ(Ry)が5〜80μmである場合には、より均一な光拡散性能を有した光反射成形体を製造することができる。
【0013】
上記光反射成形体の製造方法において、光反射板が、ポリオレフィン系樹脂100重量部と、酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されてなり且つ含水率が0.5重量%以下である被覆酸化チタン20〜120重量部とを含む場合、光反射板は、ポリオレフィン系樹脂中に被覆酸化チタンが優れた分散性でもって含有されていると共に被覆酸化チタンに含まれている水分に起因した気泡の形成が高く抑制されており、この光反射板を用いて製造された光反射成形体は、より均一な光反射性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の光反射板が好適に用いられる液晶表示装置のバックライトユニットの模式図。
【図2】熱成形された本発明の光反射板の斜視図である。
【図3】熱成形された本発明の光反射板の縦断面図である。
【図4】熱成形された本発明の光反射板を用いた照明装置の縦断面図である。
【図5】金型の一例を示した断面図である。
【図6】実施例で得られた光反射成形体を示した模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の光反射成形体の製造方法は、金型を用いて光反射板を熱成形することによって光反射成形体を製造する。
【0016】
本発明の光反射成形体の製造方法で用いられる光反射板としては、光反射性を有し且つ熱成形することができれば、特に限定されない。光反射板は熱可塑性樹脂シートから形成されていることが好ましい。熱可塑性樹脂シートを構成している熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などの脂肪族ポリエステル系樹脂などが挙げられ、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0017】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂や、ポリプロピレン系樹脂などが挙げられ、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0018】
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなどが挙げられる。
【0019】
また、上記ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。更に、光反射板が発泡してなるものである場合には、ポリプロピレン系樹脂としては、特許第2521388号公報や特開2001−226510号公報にて開示されている高溶融張力ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0020】
なお、エチレン−プロピレン共重合体及びプロピレン−α−オレフィン共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体の何れであってもよい。エチレン−プロピレン共重合体におけるエチレン成分の含有量は、0.5〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。又、プロピレン−α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィン成分の含有量は、0.5〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
【0021】
α−オレフィンとしては、炭素数が4〜10のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0022】
なかでも、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、ホモポリプロピレンが特に好ましい。被覆酸化チタンはポリプロピレン系樹脂中で特に微分散することができる。
【0023】
光反射板は、光反射性の向上のために、無機充填剤が含有されていることが好ましい。このような無機充填剤としては、特に限定されず、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ、スチレン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子などが挙げられ、酸化チタンが好ましく、酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆された被覆酸化チタンがより好ましく、酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆され且つ含水率が0.5重量%以下である被覆酸化チタンが特に好ましい。なお、酸化チタンには、ルチル型、アナターゼ型、イルメナイト型があるが、耐候性に優れているので、ルチル型が好ましい。
【0024】
酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されてなる被覆酸化チタンは、含水率が0.5重量%以下であることが好ましい。被覆酸化チタンの被覆層に含まれるケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物は水分と付加して水和物を形成し易く、このため比較的多くの水分を被覆酸化チタンが含んでいることが種々の検討から判明した。このように水分を多く含んでいる被覆酸化チタンは、被覆酸化チタン同士の凝集力が大きくなり凝集を招き易く、光反射板中における微分散が不十分となることがある。
【0025】
また、光反射性を有する光反射板を製造するために、水分を多く含有している被覆酸化チタンを含む樹脂組成物を用いて押出成形すると、樹脂組成物が加熱されることにより被覆酸化チタンに含まれている水分が気化して、溶融混練している樹脂組成物中に気泡を生じる場合がある。溶融混練している樹脂組成物中に気泡が生じると、この樹脂組成物中に存在している被覆酸化チタンは、気泡の存在によって樹脂組成物中の他の部位へ移動させられ、その結果、被覆酸化チタンが凝集する虞れがある。また、溶融混練している樹脂組成物を押出す際などにこの樹脂組成物中の気泡が外部に放散されると、得られる光反射板の表面に大きなクレーター状の凹部を形成する虞れがある。このようなクレーター状の凹部は、光反射板の光反射性能の低下やムラを招く虞れがある。
【0026】
さらに、溶融混練している樹脂組成物中に気泡が生じるとこれを用いて得られる光反射板中にも気泡が含まれることとなる。光反射板中に含まれる気泡は、光反射性が低いため、光反射板に入射した光が光反射板を透過して光反射板裏面から導出する虞れがある。したがって、気泡を含む光反射板は、優れた光反射性能が得られないだけでなく、光反射板の面方向における光の反射性が不均一となる虞れがある。
【0027】
そこで、含水率が0.5重量%以下である被覆酸化チタンは、これに含まれる水分の量が非常に少ないことから、分散性に優れるだけでなく、押出成形時に溶融混練している樹脂組成物中に被覆酸化チタンに含まれている水分が気化することによる気泡の形成も高く抑制することも可能となり樹脂組成物中でも被覆酸化チタンの優れた分散性を維持することができる。また、気泡の形成が抑制されることによって、光反射板表面に大きなクレーター状の凹部が形成されるのも抑制することが可能となる。
【0028】
したがって、含水率が0.5重量%以下である被覆酸化チタンを含有している光反射板は、被覆酸化チタンが光反射板中で殆ど凝集せずに微分散していると共に、光反射板中に気泡が形成されるのを抑制されており、優れた光反射性能を光反射板の全面において均一に発揮することができる。
【0029】
このように被覆酸化チタンの含水率は、被覆酸化チタンの全量に対して、0.5重量%以下が好ましく、0.01〜0.5重量%がより好ましく、0.01〜0.45重量%が特に好ましい。
【0030】
なお、光反射板に含まれる被覆酸化チタンの含水率の測定は、次の通りにして行うことができる。光反射板に用いられる熱可塑性樹脂や、後述する酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光安定剤などの被覆酸化チタン以外の成分は吸水性がなく水を含むことはできず、光反射板に含まれている被覆酸化チタンの被覆層のみが水を含むことができる。したがって、光反射板に含まれている水は全て被覆酸化チタンの被覆層に含まれているとみなすことができる。また、光反射板中に含まれている被覆酸化チタンは熱可塑性樹脂中に分散されていることから、光反射板に含まれている被覆酸化チタンの表面が熱可塑性樹脂に被覆されずに露出しているものは殆どなく、被覆酸化チタン表面は吸水性のない熱可塑性樹脂で被覆されている。したがって、光反射板を長時間放置したとしても、被覆酸化チタンの含水率は概ね変化することなく一定に保たれる。
【0031】
以上から、本発明では、まず光反射板を所定の大きさに切断することにより重量が5gである試験片とし、下記手順に従って試験片の水分量(W1[g])を測定し、この試験片の水分量を試験片中の被覆酸化チタンの水分量とみなす。そして、下記手順に従って試験片中に含まれている被覆酸化チタンの重量(W2[g])を測定し、式:100×W1/(W1+W2)により算出された値を試験片に含まれる被覆酸化チタンの含水率[重量%]とする。そして、光反射板から少なくとも30枚の試験片を作製し、各試験片について被覆酸化チタンの含水率を測定し、その相加平均値を光反射板中に含まれている被覆酸化チタンの含水率とする。
【0032】
試験片の水分量の測定は、試験片を温度25℃、相対湿度30%の環境下に一時間放置した後、下記条件にて水分気化装置により試験片中に含まれる水分を気化させ、気化させた水分量[g]をJIS K0068に記載されている化学製品の水分測定方法に準拠したカールフィッシャー水分計によって測定することにより行われる。
装置 :水分気化装置(京都電子工業(株)製 ADP−511)
京都電子工業(株)製 MKC−510N
気化温度:230℃
キャリアーガス:N2 200ml/分
水分量測定時間:30分間
【0033】
また、試験片中に含まれている被覆酸化チタンの重量は、試験片を、電気炉(例えば、株式会社いすず製 マッフル炉STR−15Kなど)を用いて、550℃にて1時間焼成して灰化することにより灰分を得、この灰分の重量[g]を計量器(例えば、株式会社エー・アンド・デイ製 高精度分析用上皿電子天秤 HA−202M)により測定し、得られた値を試験片に含まれている被覆酸化チタンの重量とみなすことにより行われる。
【0034】
被覆酸化チタンの平均粒子径は、0.10〜0.35μmが好ましく、0.15〜0.35μmがより好ましく、0.15〜0.30μmが特に好ましく、0.20〜0.30μmが最も好ましい。平均粒子径が上記範囲内である被覆酸化チタンを用いることにより、優れた光反射性能を光反射板の面方向において均一に発揮することが可能な光反射板を提供することができる。
【0035】
また、含水率が少ない被覆酸化チタンを用いることにより、被覆酸化チタンの凝集を高く抑制して光反射板中に被覆酸化チタンを微分散することが可能となる。具体的には、光反射板中の粒子径が0.10〜0.39μmであり且つ凝集していない被覆酸化チタンの個数を、光反射板の厚み方向に沿った断面において、150〜550個/900μm2、特に200〜500個/900μm2とすることが可能となる。
【0036】
光反射板中に含まれる被覆酸化チタンの平均粒子径及び粒子径が0.10〜0.39μmであり且つ凝集をしていない被覆酸化チタンの個数の測定は、次の通りにして行うことができる。
【0037】
被覆酸化チタンの平均粒子径の測定は、次の通りにして行うことができる。先ず、例えば、光反射板をその厚み方向、即ち、表面に対して直交する方向に沿って全長に亘って切断する。次に、光反射板の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)により、10,000倍の倍率で撮影し得られたSEM写真より、100個以上の被覆酸化チタンの粒子径を測定して、得られた値を相加平均することで被覆酸化チタンの平均粒子径を算出することができる。
【0038】
なお、本発明において、被覆酸化チタンの粒子径とは、被覆酸化チタンを包囲し得る最小径の真円の直径を意味する
【0039】
また、光反射板中に含まれる粒子径が0.10〜0.39μmであり且つ凝集をしていない被覆酸化チタンの個数の測定は、次の通りにして行うことができる。先ず、例えば、光反射板をその厚み方向、即ち、表面に対して直交する方向に沿って全長に亘って切断する。次に、光反射板の厚み方向の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)により2500倍以上の倍率で撮影し、SEM写真から光反射板の断面における一辺が30μmの正方形状の測定領域を選定する。次に、この測定領域に含まれる被覆酸化チタンのそれぞれについてSEMによりさらに10,000倍以上の倍率で拡大して観察することにより、被覆酸化チタンの粒子径(μm)を測定した後、上記測定領域に含まれる被覆酸化チタンのうち粒子径が0.10〜0.39μmであり且つ凝集していない被覆酸化チタンを選別し、この被覆酸化チタンの個数(個/900μm2)を測定する。
【0040】
そして、上記測定を光反射板の断面において重複しないように選定した少なくとも10箇所の測定領域について同様にして行い、それぞれの測定領域に含まれる粒子径が0.10〜0.39μmであり且つ凝集していない被覆酸化チタンの個数(個/900μm2)を測定し、その相加平均値を、光反射板に含まれる粒子径が0.10〜0.39μmであり且つ凝集をしていない被覆酸化チタンの個数(個/900μm2)とする。
【0041】
被覆酸化チタンは、酸化チタン(TiO)の表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されてなる。酸化チタンは、化学式TiOで示される。このような酸化チタンには、ルチル型、アナターゼ型、イルメナイト型があるが、ルチル型酸化チタンは耐候性に優れているので好ましい。
【0042】
ここで、酸化チタンは酸化還元力が強い触媒としても知られている物質である。水分を多く含有している被覆酸化チタンでは、酸化チタンの強い還元力によって上記水分がH・(Hラジカル)とOH・(OHラジカル)にラジカル化される。OHラジカルは非常に強い酸化力を有するため、光反射板が長期間に亘って使用された際に、被覆酸化チタンの周囲に存在する熱可塑性樹脂を酸化分解させたりフェノール系酸化防止剤などの他の添加剤の劣化による着色を招く虞れがある。被覆酸化チタンの周囲に存在する熱可塑性樹脂が酸化分解すると、被覆酸化チタンと熱可塑性樹脂との間に間隙が生じて、光反射板表面に存在する被覆酸化チタンが脱離し、光反射板表面にクレーター状の凹部が生じたり、光反射性能の低下を招く虞れがある。また、他の添加剤の劣化による着色も光反射板の光反射性能の低下を招く。特に、液晶テレビなどの液晶表示装置ではこれを使用する際に装置内部の温度が40〜60℃と高温になるため、上述した熱可塑性樹脂の酸化分解や他の添加剤の変色を促進させる虞れがある。
【0043】
しかしながら、含水率が0.5重量%以下である被覆酸化チタンは、これに含まれる水分量が非常に少ないことから、上述した熱可塑性樹脂の酸化分解や他の添加剤の変色を高く抑制することが可能となる。したがって、含水率が0.5重量%以下である被覆酸化チタンを含んでいる光反射板は、これを高温環境下で長期間に亘って使用したとしても、優れた光反射性能を維持することができて好ましい。
【0044】
また、酸化チタンの表面をアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層によって被覆することにより、酸化チタンと熱可塑性樹脂とが直接接触するのを防止して、酸化チタンの光触媒作用による熱可塑性樹脂の劣化を抑制することができる。また、被覆酸化チタンは、その被覆層によって酸化チタンへの紫外線の入射が概ね防止されており、酸化チタンの結晶中における光化学変化による酸素欠陥による暗灰色への変色を防止することができ、光反射板がその使用中に酸化チタンの変色に伴う着色を生じることは殆どなく、光反射板はその使用中において優れた光反射性能を有する。
【0045】
上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたアルミニウム酸化物のAl23に換算した量は、被覆酸化チタン中の二酸化チタンの全重量に対して1〜6重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましく、1〜4重量%が特に好ましい。
【0046】
換言すれば、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたアルミニウム酸化物のAl23に換算した量は、被覆酸化チタン中の二酸化チタンの全重量を100重量%としたときに、1〜6重量%が好ましく、1〜5重量%がより好ましく、1〜4重量%が特に好ましい。
【0047】
被覆酸化チタンの被覆層においてアルミニウム酸化物の量が少な過ぎると、酸化チタンの光触媒作用の抑制が不充分となり熱可塑性樹脂の劣化による着色を生じて光反射板の光反射性能が低下する虞れがある。また、被覆酸化チタンの被覆層において、アルミニウム酸化物の量が多過ぎると、被覆層が可視光線を吸収してしまい、酸化チタンによる光反射が低下し、その結果、光反射板の光線反射率が低下する虞れがある。
【0048】
また、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたケイ素酸化物のSiO2に換算した量は、被覆酸化チタン中の二酸化チタンの全重量に対して0.1〜7重量%が好ましく、0.1〜6重量%がより好ましく、0.1〜5重量%が特に好ましい。
【0049】
換言すれば、上記被覆酸化チタンにおいて、蛍光X線分析によって定量されたケイ素酸化物のSiO2に換算した量は、被覆酸化チタン中の二酸化チタンの全重量を100重量%としたときに、0.1〜7重量%が好ましく、0.1〜6重量%がより好ましく、0.1〜5重量%が特に好ましい。
【0050】
被覆酸化チタンの被覆層においてケイ素酸化物の量が少な過ぎると、酸化チタンの光触媒作用の抑制が不充分となり熱可塑性樹脂の劣化による着色を生じて光反射板の光反射性能が低下する虞れがある。また、被覆酸化チタンの被覆層においてケイ素酸化物の量が多過ぎると、被覆層が可視光線を吸収してしまい、酸化チタンによる光反射が低下し、その結果、光反射板の光反射性能が低下する虞れがある。
【0051】
なお、被覆酸化チタンの被覆層において、蛍光X線分析によって定量されたアルミニウム酸化物のAl23に換算した量、及び、蛍光X線分析によって定量されたケイ素酸化物のSiO2に換算した量は、蛍光X線分析装置を用いて測定される。
【0052】
具体的には、例えば、リガク社から商品名「RIX−2100」にて市販されている蛍光X線分析装置を用い、X線管(縦型Rh/Cr管(3/2.4kW))、分析径(10mmφ)、スリット(標準)、分光結晶(TAP(F〜Mg)PET(Al,Si)Ge(P〜Cl)LiF(K〜U))、検出器(F−PC(F〜Ca)SC(Ti〜U))、測定モード(バルク法、10m−Cr、バランス成分なし)の条件下にて測定することができる。
【0053】
詳細には、カーボン台上にカーボン両面粘着テープを貼着し、このカーボン両面粘着テープ上に被覆酸化チタンを貼着させる。被覆酸化チタンの貼着量は特に限定されないが、その目安としては0.1g程度であり、カーボン両面粘着テープ上に定めた一辺が12mmの平面正方形状の仮想枠部内に被覆酸化チタンを均一に貼着させ、被覆酸化チタンによってカーボン両面粘着テープを覆い、仮想枠部内のカーボン両面粘着テープが見えないようにすることが好ましい。
【0054】
次に、被覆酸化チタンが飛散するのを防止するために、ポリプロピレンフィルムをカーボン台に全面的に被せてX線測定用試料とし、このX線測定用試料を用いて蛍光X線分析装置により上記測定条件下にて、被覆酸化チタンの被覆層中のアルミニウム酸化物のAl23に換算した量、及び、ケイ素酸化物のSiO2に換算した量を測定することができる。
【0055】
なお、カーボン台としては、カーボンから形成されており、直径26mmで高さが7mmの円柱状であればよく、例えば、応研商事社から商品名「カーボン試料台」、コード番号#15・1046で市販されている。カーボン両面粘着テープとしては、例えば、応研商事社から市販されているSEM用導電性カーボン両面テープ(12mm幅、20m巻)を用いることができる。ポリプロピレンフィルムとしては、例えば、理学電機工業社から商品名「セルシート CatNo.3377P3」にて市販されている厚みが6μmのポリプロピレンフィルムを用いることができる。
【0056】
次に、上記被覆酸化チタンの製造方法について説明する。被覆酸化チタンを製造するには、未処理の酸化チタンを水又は水を主成分とする媒体中に分散させて水性スラリーを作製する。なお、酸化チタンの凝集度合いに応じて、酸化チタンを縦型サンドミル、横型サンドミル、ボールミルなどの湿式粉砕機を用いて予備粉砕してもよい。
【0057】
この際、水性スラリーのpHを9以上とすると、水性スラリー中に酸化チタンを安定的に分散させることができるので好ましい。更に、水性スラリー中に分散剤を添加してもよい。このような分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウムなどのリン酸化合物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどのケイ酸化合物などが挙げられる。
【0058】
次に、酸化チタンの表面に、アルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層を形成させる。具体的には、水性スラリー中に、水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩の何れか一方或いは双方を添加する。上記水溶性アルミニウム塩としては、例えば、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどが挙げられる。又、上記水溶性ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどが挙げられる。
【0059】
更に、水性スラリー中への水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩の何れか一方或いは双方を添加した後に或いは添加と同時に中和剤を添加する。中和剤としては、特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸などの無機酸、酢酸、ギ酸などの有機酸などの酸性化合物、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物又は炭酸塩、アンモニウム化合物などの塩基性化合物などが挙げられる。
【0060】
なお、酸化チタンの表面に、ケイ素酸化物を含有する被覆層を形成する要領としては、特開昭53−33228号公報、特開昭58−84863号公報などに記載の方法を用いることができる。
【0061】
上述の要領で、酸化チタンの表面をアルミニウム酸化物又はケイ素酸化物の何れか一方或いは双方で全面的に被覆した後、ロータリープレス、ファイルタープレスなどの公知の濾過装置を用いて水性スラリーから酸化チタンを濾過、分離し、必要に応じて、酸化チタンを洗浄し可溶性塩類を除去する。
【0062】
水性スラリーに水溶性アルミニウム塩及び水溶性ケイ酸塩を添加した場合には、上述の要領によって、酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆された被覆酸化チタンを得ることができる。
【0063】
一方、水性スラリーに水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩の何れか一方だけを添加した場合には、水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩のうちの何れか一方で被覆された酸化チタンを用いて上述と同様の要領で水性スラリーを作製し、この水性スラリーに、水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩のうちの他方の塩を上述と同様の要領で添加して、酸化チタンの表面を水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩のうちの他方の塩で被覆し、酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆された被覆酸化チタンを得ることができる。
【0064】
被覆酸化チタンの含水率を0.5重量%以下とする場合には、光反射板の製造に用いられる被覆酸化チタンを加熱し、被覆酸化チタンに含まれている水和水を蒸発させることにより行うことができる。このように予め加熱乾燥させることにより含水率を0.5重量%以下とした被覆酸化チタンを光反射板の製造に用いるのが好ましい。
【0065】
被覆酸化チタンに含まれる水和水を除去又は低減するには、被覆酸化チタンを好ましくは50〜140℃、より好ましくは90〜120℃で加熱することにより水和水を蒸発させて水和水を除去又は低減させることが好ましい。加熱時間は、2〜8時間が好ましく、3〜5時間がより好ましい。
【0066】
なお、水溶性アルミニウム塩又は水溶性ケイ酸塩のうちの何れか一方で被覆された酸化チタンの凝集度合いに応じて、ハンマーミル、ピンミルなどの衝撃粉砕機、解砕機などの摩砕粉砕機、ジェットミルなどの気流粉砕機、スプレードライヤーなどの噴霧乾燥機、縦型サンドミル、横型サンドミル、ボールミルなどの湿式粉砕機などを用いて粉砕しておくこと好ましく、衝撃粉砕機、摩砕粉砕機が好ましい。
【0067】
光反射板における被覆酸化チタンの含有量が少な過ぎると、光反射板の光反射性能が低下する虞れがある。一方、光反射板における被覆酸化チタンの含有量が多過ぎると、被覆酸化チタンの含有量の増加分に見合った光反射板の光反射性能の向上が見込まれず、光反射板の軽量性が低下する虞れがある。したがって、光反射板における被覆酸化チタンの含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して20〜120重量部が好ましく、30〜120重量部がより好ましく、30〜100重量部が特に好ましい。
【0068】
また、熱可塑性樹脂中における被覆酸化チタンの分散性を向上させるために、被覆酸化チタンの表面をチタンカップリング剤及びシランカップリング剤からなる群から選ばれた一種以上のカップリング剤、シロキサン化合物、多価アルコールで処理することが好ましく、シランカップリング剤で処理することがより好ましい。
【0069】
シランカップリング剤としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アミノ基、アリール基、エポキシ基などを有するアルコキシシラン類の他、クロロシラン類、ポリアルコキシアルキルシロキサン類などが挙げられる。具体的には、シランカップリング剤としては、例えば、n−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、n−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、n−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、n−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシランカップリング剤、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルメチルジメトキシシラン、n−ブチルメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジエトキシシランなどのアルキルシランカップリング剤を挙げることができ、アミノシランカップリング剤が好ましい。なお、シランカップリング剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0070】
シロキサン化合物としては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、アルキル変性シリコーンなどを挙げることができる。又、多価アルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリプロパノールエタン、ペンタエリスリトール、ペンタエリトリットなどを挙げられ、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンが好ましい。なお、シロキサン化合物及び多価アルコールは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0071】
なお、上記被覆酸化チタンは、E.I.Dupont de Nemours&Co.、SCM Corporation、Kerr-McGee Co.、CanadeanTitanium Pigments Ltd.、Tioxide of Canada Ltd.、Pigmentos y Productos Quimicos、S.A.de C.V、Tibras Titanos S.A.、Tioxide International Ltd.、SCM Corp.、Kronos Titan GmbH、NL Chemical SA/NV、Tioxide、TDF Tiofine BV、石原産業社、テイカ社、堺化学工業社、古河機械金属社、トーケムプロダクツ、チタン工業社、富士チタン工業社、韓国チタニウム社、中国金属加工社、ISK台湾社などから市販されている。
【0072】
また、光反射板には一次酸化防止剤が含有されていてもよい。この一次酸化防止剤は、熱や光によって発生するラジカルを捕捉してラジカル反応を停止させる安定剤であり、このような一次酸化防止剤としては、光反射板の光線反射率の低下を抑制する効果が高いので、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
【0073】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、トリス[N−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)]イソシアヌレート、ブチリデン−1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0074】
そして、光反射板中における一次酸化防止剤の含有量は、少ないと、光反射板の光線反射率の低下を抑制することができないことがある一方、多くても、光反射板の光線反射率の低下の抑制効果に変化はなく、一次酸化防止剤自体の着色によって光反射板の光線反射率が低下することがあるので、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜0.5重量部が好ましく、0.01〜0.3重量部がより好ましく、0.01〜0.2重量部が特に好ましい。
【0075】
ここで、被覆酸化チタンに水分が多く含まれていると、光反射板の熱成形時にこの光反射板が加熱されることによって、酸化チタンの強い還元力が生じて被覆酸化チタンに含まれている多くの水分がH・とOH・にラジカル化される。これによって生じたOHラジカルは光反射板中に含まれているフェノール系酸化防止剤を攻撃してスチルベンギノン(茶色)などの着色物質を形成して、光反射板を黄色などに変色する問題も生じる場合がある。しかしながら、0.5重量%以下の含水率を有する被覆酸化チタンによれば、光反射板がフェノール系酸化防止剤を含んでいたとしても、光反射板中における水分量が少ないため、OHラジカルによるフェノール系酸化防止剤の攻撃によって着色物質が殆ど生じることはなく光反射板の変色を高く抑制することができき好ましい。
【0076】
また、光反射板には二次酸化防止剤が含有されていてもよい。この二次酸化防止剤は、熱や光によって生じる熱可塑性樹脂の自動酸化劣化の中間体であるヒドロペルオキシド(ROOH)をイオン分解して自動酸化を阻止するものである。光反射板の光線反射率の低下を抑制する効果が高いことから、リン系酸化防止剤やイオウ系酸化防止剤が好ましく、リン系酸化防止剤がより好ましい。
【0077】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジ−ホスホナイトなどを挙げることができ、単独で用いても二種以上が併用されてもよい。
【0078】
また、上記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3'−チオ−ジプロピオネート、ジミリスチル−3,3'−チオ−ジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオ−ジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオ−プロピオネート)などが挙げられ、単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0079】
光反射板中における二次酸化防止剤の含有量が少な過ぎると、光反射板の光線反射率の低下を抑制することができないことがある。一方、光反射板中における二次酸化防止剤の含有量が多過ぎても、光反射板の光線反射率の低下の抑制効果に変化はない虞れがある。しがって、光反射板中における二次酸化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜0.5重量部が好ましく、0.01〜0.3重量部がより好ましく、0.01〜0.2重量部が特に好ましい。
【0080】
更に、光反射板中には紫外線吸収剤が含有されていてもよい。このような紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3',5'−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3',5−ジ−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]などのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクチル−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸フェニル、4−t−ブチルフェニルサリチレートなどのサリシレート系紫外線吸収剤、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニル−アクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニル−アクリレートなどのシアノアクリレート系紫外線吸収剤、2−エトキシ−3−t−ブチル−2’−エチル−シュウ酸ビスアニリド、2−エトキシ−2’−エチル−シュウ酸ビスアニリドなどのオキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−ヒドロキシフェノール、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジンなどのトリアジン系紫外線吸収剤などが挙げられ、光反射板の光線反射率の低下を効果的に抑制することから、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。なお、紫外線吸収剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0081】
紫外線吸収剤の分子量は、250以上が好ましく、300〜500がより好ましく、400〜500が特に好ましい。光反射板形成用樹脂組成物を押出成形して光反射板を製造する際に、分子量が250未満である紫外線吸収剤は光反射板形成用樹脂組成物の押出物表面から揮発し易く、この紫外線吸収剤の揮発は得られる光反射板表面に光沢ムラ、荒れ、及び裂けなどの欠陥を生じさせる虞れがある。これらの欠陥が生じた光反射板を熱成形して得られた光反射成形体は、優れた光反射性能を均一に発揮することができない。
【0082】
また、光反射板中における紫外線吸収剤の含有量が少な過ぎると、光反射板の光線反射率の低下を抑制することができない虞れがある。一方、光反射板中における紫外線吸収剤の含有量が多過ぎても、光反射板の光線反射率の低下の抑制効果に変化がない虞れがある。したがって、光反射板中における紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜0.5重量部が好ましく、0.01〜0.3重量部がより好ましく、0.01〜0.2重量部が特に好ましい。
【0083】
さらに、光反射板中にはヒンダードアミン系光反射安定剤が含有されていてもよい。このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレート、(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレートと(2,2,6,6−テトラメチル−4−トリデシル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレートとの混合物、(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレートと(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−トリデシル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレートとの混合物、{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレートと{2,2,6,6−テトラメチル−β,β,β',β'−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレートとの混合物、{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレートと{1,2,2,6,6−ペンタメチル−β,β,β',β'−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボキシレートとの混合物、ポリ[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル]、[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]、4−ヒロドキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとジメチルスクシナートポリマーとの混合物、N,N’,N”,N'"−テトラキス{4,6−ビス[ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−トリアジン−2−イル}−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンなどが挙げられ、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0084】
また、光反射板中におけるヒンダードアミン系光安定剤の含有量が少な過ぎると、光反射板の光線反射率の低下を抑制することができない虞れがある。一方、光反射板中におけるヒンダードアミン系光安定剤の含有量が多過ぎても、光反射板の光線反射率の低下の抑制効果に変化はなく、ヒンダードアミン系光安定剤自体の着色によって光反射板の光線反射率の低下を生じる虞れがある。したがって、光反射板中におけるヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜0.5重量部が好ましく、0.01〜0.3重量部がより好ましく、0.01〜0.2重量部が特に好ましい。
【0085】
ここで、熱可塑性樹脂の劣化は、高分子主鎖の切断に起因している。具体的には、熱や光などによってラジカルが生成し、この生成したラジカルが酸素と反応することによってペルオキシラジカルに変わり、主鎖から水素を引き抜いてヒドロペルオキシドとなる。その後、ヒドロペルオキシドは熱や光などの作用により分解し、アルコキシラジカルとなって高分子主鎖を切断して、高分子主鎖の切断に伴ってラジカルが発生する。この反応サイクルが繰り返し行われて高分子主鎖は切断され低分子量化されて熱可塑性樹脂は劣化する。この熱可塑性樹脂の劣化は、熱可塑性樹脂の黄変を引き起し、その結果、光反射板の光線反射率の低下をもたらす。
【0086】
そこで、光反射板は、好ましくは、上述したように、酸化チタンの表面をアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆してなる被覆酸化チタンを用い、酸化チタンと熱可塑性樹脂との接触を回避し、更に、酸化チタンに入射する紫外線を被覆層によってできるだけ遮断して、酸化チタンの光触媒作用による熱可塑性樹脂の酸化分解を防止していると共に、酸化チタンの結晶中での光化学変化による酸素欠陥の増大に起因した暗灰色への変色を防止している。
【0087】
さらに、光反射板中に、上述のように、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を添加することによって熱可塑性樹脂の劣化に伴う黄変や被覆酸化チタンの光化学変化を抑制して光反射板の光線反射率の低下を更に防止することができるので好ましい。
【0088】
詳細には、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を添加することによって熱可塑性樹脂の光安定化効果により熱可塑性樹脂の劣化に伴う黄変をより効果的に防止していると共に、酸化チタンの活性化による熱可塑性樹脂の酸化分解の防止と光化学変化の更なる抑制を図ることができる。
【0089】
一方、上述のように、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤は、酸化チタンによるポリオレフィン系樹脂の酸化分解の防止を抑える力を有しているものの、その抑制力が充分ではなく、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤自体が酸化チタンによって酸化分解される虞れがある。
【0090】
そこで、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤に加えて、一次酸化防止剤及び二次酸化防止剤を添加してラジカル反応の捕捉及びヒドロペルオキシドのイオン分解によって、ポリオレフィン系樹脂を光安定化させて劣化に伴う黄変防止を更に確実なものとしていると共に、酸化チタンによる紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤の酸化分解をより確実に防止している。
【0091】
即ち、一次酸化防止剤及び二次酸化防止剤によって熱可塑性樹脂の劣化による黄変防止に加えて、酸化チタンによる紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤の分解を更に確実に防止していると共に、この保護された紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤によって酸化チタンによる熱可塑性樹脂の酸化分解の防止と光化学変化の抑制を更に確実なものとしており、初期に有していた光線反射率が短時間のうちに低下してしまう事態をより確実に防止することができると共に、長期間に亘っても優れた光線反射率を維持することができる。
【0092】
さらに、光反射板は銅害防止剤(金属不活性剤)を含んでいてもよい。光反射板中に銅害防止剤を添加することによって、光反射板が銅などの金属と接触し、或いは、光反射板に銅イオンなどの重金属イオンが作用した場合にあっても、劣化促進因子である銅イオンなどをキレート化合物として捕捉することができ、光反射板を各種の液晶表示装置や照明装置などに組み込んだ場合において、光反射板が銅などの金属と接触しても、熱可塑性樹脂が劣化し黄変することを防止することができる。
【0093】
上記銅害防止剤(金属不活性剤)としては、例えば、N,N−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジンなどのヒドラジン系化合物、3−(3,5−ジ−テトラ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルジハイドライジドなどが挙げられる。
【0094】
そして、光反射板中における銅害防止剤(金属不活性剤)の含有量が少な過ぎると、銅害防止剤を添加した効果が発現しない虞れがある。一方、光反射板中における銅害防止剤(金属不活性剤)の含有量が多過ぎると、光反射板の光線反射率が低下する虞れがある。したがって、光反射板中における銅害防止剤(金属不活性剤)の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜1.0重量部が好ましい。
【0095】
また、光反射板中に帯電防止剤を添加してもよい。このように帯電防止剤を添加することによって光反射板の帯電を防止し、光反射板に埃やゴミが付着するのを防止することができ、光反射板の光線反射率の低下を未然に防止することができる。
【0096】
このような帯電防止剤としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、エチレン−メタクリル酸共重合体などのアイオノマー、ポリエチレングリコールメタクリレート系共重合体などの第四級アンモニウム塩、特開2001−278985号公報に記載のオレフィン系ブロックと親水性ブロックとが繰返し交互に結合した構造を有するブロック共重合体などの高分子型帯電防止剤、無機塩、多価アルコール、金属化合物、カーボンなどが挙げられる。
【0097】
そして、高分子型帯電防止剤を除いた帯電防止剤の光反射板中における含有量が少な過ぎると、帯電防止剤を添加した効果が発現しないことがある。一方、高分子型帯電防止剤を除いた帯電防止剤の光反射板中における含有量が多過ぎると、帯電防止剤の添加濃度に見合った効果が得られないばかりか、帯電防止剤の効果の低下がみられ、或いは、著しいブリードアウト、着色及び光による黄変が生じることがある。したがって、高分子型帯電防止剤を除いた帯電防止剤の光反射板中における含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜2重量部が好ましい。
【0098】
また、光反射板中における高分子型帯電防止剤の含有量は、上記と同様の理由で、熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜50重量部が好ましい。
【0099】
さらに、上記光反射板には、銅害禁止剤(金属不活性剤)や帯電防止剤の他に、ステアリン酸金属石鹸などの分散剤、クエンチャー、ラクトン系加工安定剤、蛍光増白剤、結晶核剤などが添加されてもよい。
【0100】
光反射板の厚みは、薄過ぎると、光反射板の剛性が低下して、光反射板に撓みが生じる虞れがある他、光反射板を熱成形して得られた光反射成形体に薄肉部が発生しやすくなる虞れがある。また、光反射板の厚みが厚過ぎると、光反射成形体を組み込む装置の厚みや重量が増大する虞れがある。したがって、光反射板の厚みは、0.1〜1.5mmが好ましく、0.1〜0.8mmがより好ましく、0.1〜0.6mmが特に好ましい。
【0101】
次に、光反射板の製造方法について説明する。光反射板の製造方法としては、公知の方法が用いられるが、例えば、熱可塑性樹脂と無機充填材とを含む光反射板形成用樹脂組成物が用いられる。
【0102】
光反射板形成用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂及び無機充填材の他に、必要に応じて、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤などの他の添加剤を含んでいるのが好ましい。なお、光反射板形成用樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂、被覆酸化チタンなどの無機充填材、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤などの他の添加剤についての説明は、上述した通りである。
【0103】
また、光反射板形成用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂及び無機充填材を含有するマスターバッチを予め作製し、上記マスターバッチ、熱可塑性樹脂、並びに必要に応じて、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤などの他の添加剤を含んでいるのが好ましい。このように無機充填材を含有するマスターバッチを用いることにより、光反射板形成用樹脂組成物中における無機充填材の分散性を向上させることができる。また、無機充填材として、酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されてなり且つ含水率が0.5重量%以下である被覆酸化チタンを用いる場合にあっても、マスターバッチ中では、含水率が0.5重量%以下の被覆酸化チタンは熱可塑性樹脂によって完全に被覆されており、熱可塑性樹脂に被覆されずに露出している被覆酸化チタンは殆ど存在しない。したがって、マスターバッチを長時間に亘って放置したとしてもマスターバッチ中に含まれている被覆酸化チタンの含水率は概ね変化することなく一定に保たれる。
【0104】
マスターバッチの製造は、特に制限されないが、無機充填材及び熱可塑性樹脂を所定の重量比で押出機に供給して溶融混練することにより溶融混練物を得た後、この溶融混練物を押出機により押出す方法により行われるのが好ましい。また、無機充填材として、酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されてなり且つ含水率が0.5重量%以下である被覆酸化チタンを用いる場合、マスターバッチを用いるときにも、上記の通りに予め加熱乾燥させて含水率を0.5重量%以下とした被覆酸化チタンを用いてマスターバッチを作製するのが好ましい。
【0105】
押出機中で無機充填材及び熱可塑性樹脂を溶融混練することにより溶融混練物を得る際に、揮発分除去手段を有する押出機を用い、溶融混練時に溶融混練物から生じる揮発分を押出機の外部に排出するのが好ましい。このような方法により、無機充填材として被覆酸化チタンを用いた場合にあっても、被覆酸化チタンの被覆層に含まれている水和水をより高く除去することができる。
【0106】
揮発分除去手段を有する押出機としては、例えば、無機充填材及び熱可塑性樹脂を溶融混練する押出機のシリンダーの中間部にシリンダー内部の気体を外部に排出するためのベント口を設けたベント式押出機などが好適に用いられる。ベント式押出機によれば、真空ポンプなどを用いてシリンダー内部の気体をベント口より吸引して外部へ排出することができる。
【0107】
ベント口から気体を吸引する場合、シリンダー内の圧力を7.5〜225mmHg(1〜30kPa)とするのが好ましく、22.5〜150mmHg(3〜20kPa)とするのがより好ましい。シリンダー内の圧力を上記範囲内とすることにより、溶融混練時にも溶融混練物に含まれる被覆酸化チタンに含まれる水和水を除去することができる。また、溶融混練する際の溶融混練物の温度は180〜290℃が好ましく、180〜270℃がより好ましい。
【0108】
光反射板形成用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂及び無機充填材、並びに必要に応じて、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤などの他の添加剤を、最終的に得られる光反射板において各成分が所望の重量比で含まれているように、押出機に供給して溶融混練することにより製造されるのが好ましい。マスターバッチを用いる場合には、光反射板形成用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂及び無機充填材を含むマスターバッチ、熱可塑性樹脂、並びに必要に応じて、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤などの他の添加剤を、最終的に得られる光反射板において各成分が所望の重量比で含まれているように、押出機に供給して溶融混練することにより製造されるのが好ましい。
【0109】
光反射板形成用樹脂組成物は、好ましくは、熱可塑性樹脂及び無機充填材などを押出機などの汎用の混練装置に供給して溶融混練することにより製造されるが、その後、光反射板形成用樹脂組成物をペレット状などの所定の形状に成形してもよい。
【0110】
そして、上述した光反射板形成用樹脂組成物をシート状に成形することにより、非発泡シートからなる光反射板を製造することができる。光反射板形成用樹脂組成物をシート状に成形するには、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法などの公知の方法によって光反射板形成用樹脂組成物をシート状に成形すればよく、Tダイ法が好ましい。Tダイ法により光反射板形成用樹脂組成物をシート状に成形するには、例えば、押出機の先端にTダイを取り付け、このTダイから押出機中で溶融混練した光反射板形成用樹脂組成物をシート状に押出すことにより行えばよい。
【0111】
熱可塑性樹脂及び無機充填材などを押出機に供給し、押出機中で溶融混練することにより光反射板形成用樹脂組成物を得た場合、この光反射板形成用樹脂組成物を押出機から直接押出すことにより光反射板を製造することができる。また、ペレット状など所定の形状に成形された光反射板形成用樹脂組成物を用いる場合には、この成形された光反射板形成用樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練した後、押出機から押出すことによって光反射板を製造することができる。
【0112】
また、光反射板形成用樹脂組成物を押出機中で溶融混練した後、シート状に成形する際にも、ベント式押出機などの揮発分除去手段を有する押出機を用い、光反射板形成用樹脂組成物の溶融混練時に光反射板形成用樹脂組成物から生じる揮発分を押出機の外部に排出するのが好ましい。なお、ベント式押出機は、マスターバッチにおいて上述したのと同様である。
【0113】
光反射板形成用樹脂組成物を押出機から押出すことによりシート状の押出物を得た後、これが冷却固化して光反射板となる前に、シート状の押出物の少なくとも一方の面に鏡面加工処理を行うのが好ましい。鏡面加工処理によれば、シート状の押出物の表面平滑性を向上させた光反射板を得ることができる。このように表面平滑性に優れた光反射板によれば、後述するように、金型を用いて熱成形するにあたって、金型の成形面に形成された凹凸部を光反射板の表面に正確に転写させることができ、より光反射性能及び光拡散性能に優れた光反射成形体を製造することができる。
【0114】
鏡面加工処理としては、例えば、外周面が鏡面に形成された鏡面ロールとこの鏡面ロールに対峙して配設された支持ロールとからなる一対のロール間にシート状の押出物を供給してシート状の押出物の表面に鏡面ロールを押圧する方法などが好ましく用いられる。
【0115】
光反射板の一方の面にシート状の支持体を積層一体化して積層体とすることもできる。このような支持体としては、2軸延伸されたポリプロピレン系樹脂フィルム、2軸延伸されたポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、及び紙などが挙げられる。ここで、ポリプロピレン系樹脂としてはポリプロピレンが好ましく挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ乳酸が好ましく挙げられる。ポリアミド系樹脂としてはナイロン−6、ナイロン−6,6などが好ましく挙げられる。
【0116】
また、光反射板の一方の面に金属箔を積層一体化して積層体とすることもできる。金属箔としては、アルミニウム箔が好ましく挙げられる。このように金属箔を積層一体化することにより、優れた光反射性を有する積層体が得られる。
【0117】
なお、光反射板の一方の面にシート状の支持体又は金属箔を積層一体化する場合、光反射板に鏡面加工処理が施されているときは、光反射板の鏡面加工処理面を露出させた状態に、光反射板にシート状の支持体又は金属箔を積層一体化させることが好ましい。
【0118】
光反射板に支持体又は金属箔を積層一体化するには、特に制限されず、熱ラミネート法、ドライラミネート法、及び押出ラミネートなど公知の方法を用いて行えばよい。
【0119】
上記光反射板は、その製造にあたって延伸工程を必要とせず、優れた熱成形性を有しており、金型を用いて上記光反射板を熱成形することによって光反射成形体を製造することができる。具体的には、光反射板を加熱した上で、光反射板を金型の成形面に押し付けることによって金型の成形面に沿って熱成形すると共に、光反射板における金型の成形面に接触している面に、金型の成形面に形成された凹凸部を転写して光反射板の表面に凹凸を形成することによって光反射成形体を製造する。本発明において、金型の成形面とは、光反射板を熱成形して得られる光反射成形体の表面が接触していた金型の表面をいう。
【0120】
なお、金型の成形面の全面に凹凸部が形成されている必要はなく、光反射板が接触している金型の成形面のうちの一部に凹凸部が形成されていればよい。例えば、金型が雌雄金型から構成されており、雌雄金型間に光反射板を加熱した状態で配設し、この状態で雌雄金型を型締めして光反射板を熱成形する場合、雌金型及び雄金型の成形面の双方に凹凸部が形成されていてもよいし、又は、雌金型若しくは雄金型の何れか一方の金型の成形面にのみ凹凸部が形成されていてもよい。
【0121】
金型の成形面における凹凸部の表面粗さRaは、小さいと、光反射成形体の光拡散性能が低下し、大きいと、光反射成形体から反射された光の拡散性が不均一となり、光反射成形体から反射された光の拡散反射率が低下することがあるので、1〜20μmに限定され、1〜15μmが好ましい。
【0122】
金型の成形面に形成されている凹凸部の凹凸の平均間隔Smは、小さいと、光反射成形体の光拡散性が低下することがあり、大きいと、光反射成形体から反射された光の拡散性が不均一となり、光反射成形体から反射された光の拡散反射率が低下することがあるので、5〜300μmに限定され、10〜130μmが好ましい。
【0123】
金型の成形面に形成されている凹凸部の凹凸の最大高さ(Ry)は、小さいと、光反射成形体の光拡散性が低下することがあり、大きいと、光反射成形体から反射された光の拡散性が不均一となり、光反射成形体から反射された光の拡散反射率が低下することがあるので、5〜80μmが好ましく、10〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
【0124】
金型の成形面の凹凸部の表面粗さRaは、JIS B0601に準拠して基準長さ2.5mm、評価長さ12.5mmにて測定された値をいう。金型の成形面の凹凸部に形成されている凹凸の平均間隔Smは、JIS B0601に準拠して基準長さ2.5mm、評価長さ12.5mmにて測定された値をいう。金型の成形面に形成されている凹凸部の凹凸の最大高さ(Ry)は、JIS B0601に準拠して基準長さ2.5mm、評価長さ12.5mmにて測定された値をいう。具体的には、表面粗さRa、平均間隔Sm及び最大高さ(Ry)は、キーエンス社から商品名「ダブルスキャン高精度レーザー測定器 LT−9500」及び「ダブルスキャン高精度レーザー測定機 LT−9010M」で市販されている測定器、並びに、コムス社から商品名「非接触輪郭形状・粗さ測定システムMAP−2DS」で市販されている測定器を組み合わせて測定することができる。
【0125】
金型の成形面に上述の如く凹凸部を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、ショットブラスト加工法、ローレット加工法などが挙げられる。ショットブラスト加工法の場合、研磨(投射)剤としては20〜100番を使用され、本発明では、光反射板の表面に所望の凹凸を形成する必要があるので、20〜80番が好ましい。ショットブラスト加工の番手が小さいと、後述する離型処理面が金型の成形面に安定的に定着しない虞れがある。金型の成形面の凹凸の程度は、研磨(投射)剤の種類(粒径、組成、硬度)、投射速度(圧力)、加工時間、投射量などによって調整され、上記条件を適宜、組み合わせればよい。
【0126】
金型の成形面の表面には、光反射板との離型性を向上させるために、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、DLC(Diamond-Like Carbon)、二硫化モリブデン、窒化チタン(TiN)などから形成された離型処理層が形成されていてもよい。離型処理層の厚みは、薄いと、離型処理層を形成した効果が発現しないことがあり、厚いと、金型の成形面の凹凸が小さく又は消失する虞れがあるので、1〜90μmが好ましく、1〜40μmがより好ましい。なお、金型の成形面の表面に離型処理面が形成されている場合、金型の成形面の凹凸部の表面粗さRa、凹凸部の凹凸の平均間隔Sm及び凹凸部の凹凸の最大高さ(Ry)は、離型処理面の表面粗さRa、凹凸の平均間隔Sm及び凹凸の最大高さ(Ry)とする。
【0127】
金型の材料としては、特に限定されず、周知の金属材料が用いられるが、アルミニウム合金、銅合金が好ましい。
【0128】
光反射板の熱成形方法としては、例えば、真空成形や圧空成形が挙げられる。真空成形や圧空成形としては、例えば、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形、熱板加熱式圧空成形などが挙げられる。なお、上記成形方法においては温度調節可能な金型を用いることが好ましい。
【0129】
得られた光反射成形体において、金型の成形面の凹凸部に接触していた面には、金型の成形面に形成された凹凸部の凹凸が転写されて凹凸面が形成されている。光反射成形体の凹凸面によって光反射成形体は優れた光拡散性能を発揮する。
【0130】
光反射成形体の凹凸面の表面粗さRaは、小さいと、光反射成形体の光拡散性が低下することがあり、大きいと、光反射成形体から反射された光の拡散性が不均一となり、光反射成形体から反射された光の拡散反射率が低下することがあるので、1〜20μmに限定され、1〜15μmが好ましい。
【0131】
光反射成形体の凹凸面における凹凸の平均間隔Smは、光反射成形体の光拡散性が低下することがあり、大きいと、光反射成形体から反射された光の拡散性が不均一となり、光反射成形体から反射された光の拡散反射率が低下することがあるので、5〜300μmに限定され、10〜130μmが好ましい。
【0132】
光反射成形体の凹凸面における凹凸の最大高さ(Ry)は、小さいと、光反射成形体の光拡散性が低下することがあり、大きいと、光反射成形体から反射された光の拡散性が不均一となり、光反射成形体から反射された光の拡散反射率が低下することがあるので、5〜80μmが好ましく、10〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
【0133】
光反射成形体の凹凸面の表面粗さRaは、JIS B0601に準拠して基準長さ2.5mm、評価長さ12.5mmにて測定された値をいう。光反射成形体の凹凸面における凹凸の平均間隔Smは、JIS B0601に準拠して基準長さ2.5mm、評価長さ12.5mmにて測定された値をいう。光反射成形体の凹凸面における凹凸の最大高さ(Ry)は、JIS B0601に準拠して基準長さ2.5mm、評価長さ12.5mmにて測定された値をいう。具体的には、表面粗さRa、平均間隔Sm及び最大高さ(Ry)は、キーエンス社から商品名「ダブルスキャン高精度レーザー測定器 LT−9500」及び「ダブルスキャン高精度レーザー測定機 LT−9010M」で市販されている測定器、並びに、コムス社から商品名「非接触輪郭形状・粗さ測定システムMAP−2DS」で市販されている測定器を組み合わせて測定することができる。
【0134】
本発明の光反射成形体は、ワードプロセッサー、パーソナルコンピュータ、携帯電話、ナビゲーションシステム、テレビジョン、携帯型テレビなどの液晶表示装置のバックライトユニットに用いられるのが好ましい。上述の通り、本発明の光反射成形体は、優れた光反射性能及び光拡散性能を有するので、このような光反射成形体を液晶表示装置のバックライトユニットに用いることにより輝度の低下やムラの発生が抑制された液晶表示装置を提供することができる。
【0135】
光反射成形体を液晶表示装置のバックライトユニットに用いる場合、光反射成形体を液晶表示装置を構成する直下ライト式バックライト、サイドライト式バックライト又は面状光源方式バックライト内に組み込んで用いることができる。
【0136】
本発明の光反射成形体が用いられる液晶表示装置のサイドライト式のバックライトユニットの模式図を図1に示す。図1に示す液晶表示装置は、光反射成形体10、この光反射成形体10上にこの凹凸面11に対向して配設された導光板20、導光板20の側方に配設されて導光板20に光を放射する発光光源30、及び、発光光源30から放射された光を導光板20に反射させるためのランプリフレクタ40を有する。なお、発光光源30としては、例えば、冷却陰極やLEDなどが挙げられる。
【0137】
液晶表示装置では、発光光源30から導光板20内に入射した光が導光板20の表面及び裏面間を繰り返して反射することによって導光板20の表面から導光板20の外部へ導出される。また、導光板20の裏面から導出した光は、光反射成形体10の表面に形成された凹凸面11によって、導光板20の表面側に向かって均一となるように拡散されて反射される。さらに、導光板20の裏面から導出した光が光拡散層20を透過した場合には、上記光は光反射成形体10によって導光板20の表面側に向かって反射される。このように発光光源に導光板20及び光反射成形体10を組み合わせることにより、液晶表示装置の輝度を向上させることができる。
【0138】
また、光反射成形体は、上述した液晶表示装置のバックライトユニットの他にも、広告や看板用の照明装置にも好ましく用いられる。以下に、光反射成形体を用いた照明装置の一例を図面を参照しながら説明する。
【0139】
光反射成形体10を広告や看板用の照明装置に用いる場合、光反射成形体10は、例えば、、図2及び図3に示すような形状に熱成形される。具体的には、縦横に連続的に成形された複数個の逆截頭四角錐体状の凹部12、12・・・を有し、上記凹部12、12・・・の内底面13には光源を配設するための光源配設部として貫通孔13aが形成されていると共に、上記凹部12、12・・・の内周面14は全面的に光反射成形体10の凹凸面から形成され、上記光源から放射された光を反射する光反射面に形成されている。したがって、光反射板の熱成形時において、金型の成形面の凹凸部が、光反射成形体の凹部12の内周面14を形成することとなる、光反射板の表面に接触した状態で、光反射板は金型を用いて熱成形されている。
【0140】
そして、上記の通りに熱成形された光反射成形体を用いた照明装置を図4に示す。この照明装置は、図4に示すように、筐体60内に、光反射成形体10と発光ダイオードLとを備えた照明体Cが配設されて構成されている。上記筐体60は、光反射成形体10よりも一回り大きな大きさを有する平面矩形状の底面部61とこの底面部61の四方外周縁から上方に向かって延設された四角枠状の周壁部62とからなる。なお、周壁部62の内周面上端部にはその全周に亘って段部62aが形成されており、この段部62aに曇りガラス又は光学シート80が着脱自在に配設可能に構成されている。なお、照明体Cの光源は、発光ダイオードの他に、汎用の光源であってもよい。
【0141】
又、筐体60の底面部61上に敷設し得る大きさの平面正方形状の基板71上に多数個の発光ダイオードL、L・・・が配設されてなる光源体70を用意する。なお、光源体70上に光反射成形体10を重ね合わせた状態において、各凹部12の貫通孔13aと、光源体70の各発光ダイオードLの位置が合致するように構成されている。
【0142】
そして、上記光源体70がその発光ダイオードLを上方(筐体60の開口方向)に向けた状態にて筐体60の底面部61上に敷設されており、光源体70上に光反射成形体10が敷設され、光源体70の発光ダイオードLが光反射成形体10の凹部12の貫通孔13aを通じて配設されて照明体Cが構成されている。
【0143】
この照明装置Bを使用するにあたっては、先ず、筐体60の周壁部62の段部62a上に曇りガラス又は光学シート80を着脱自在に配設した上で、発光ダイオードLを発光させる(図4参照)。すると、発光ダイオードLから光が放射状に放射され光反射成形体10の凹部12の内周面(凹凸面)に入射した光は、内周面で一回或いは複数回に亘って反射されて進行方向が曇りガラス又は光学シート80方向に向けられて曇りガラス又は光学シート80に入射する。なお、照明体Cの光反射成形体10と、曇りガラス又は光学シート80とは密着させない方が好ましい。
【0144】
そして、光学シート80は、その内部に光を拡散させる酸化チタンなどの光拡散剤が含有されており、光学シート80内に入射した光は、光学シート80内において光拡散剤によって乱反射させられ、或いは、曇りガラス内に入射した光は曇りガラスによって乱反射させられて更に拡散された上で曇りガラス又は光学シート80から外方に向かって放出され、曇りガラス又は光学シート80は正面から見ると全面的に略均一に光った状態となっている。
【0145】
ここで、曇りガラス又は光学シート80内に入射した光は、曇りガラス又は光学シート80において乱反射され、光の一部は光反射成形体10方向に反射されて再度、光反射成形体10方向に入射するが、光反射成形体10内に再度、入射した光は、凹部12の内周面において反射されて再び、曇りガラス又は光学シート80内に入射する。
【0146】
このように、発光ダイオードLから放射された光は、凹部12の内周面において反射されることによって、拡散されながら曇りガラス又は光学シート80方向に向かって反射され、よって、曇りガラス又は光学シート80はその全面に亘って略均一な光束でもって光が照射されるので、曇りガラス又は光学シート80を通して発光ダイオードの位置が視認されることは殆どない。
【0147】
そして、曇りガラス又は光学シート80に直接、描かれた図柄や文字、或いは、曇りガラス又は光学シート80上に配設された化粧シート上に描かれた図柄や文字が、曇りガラス又は光学シート80全体から均一に放射される光によって明瞭に且つ均一に浮かび上がった状態となる。したがって、上述した照明装置は、広告や看板用の照明装置として好適に用いることができる。
【実施例】
【0148】
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0149】
(実施例1)
まず、被覆酸化チタンA(石原産業社製 商品名「CR−93」、平均粒子径:0.28μm)を用意した。この被覆酸化チタンAは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンA中において、アルミニウム酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、Al23に換算して、二酸化チタンの全重量に対して3.1重量%であった。又、被覆酸化チタンA中において、ケイ素酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、SiO2に換算して、二酸化チタンの全重量に対して4.2重量%であった。
【0150】
次に、上記被覆酸化チタンAを100℃で5時間加熱して乾燥させることにより、被覆酸化チタンに含まれる水和水を低減した。この水和水を低減した被覆酸化チタンA53.8重量部と、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)40重量部とを口径120mmのベント式二軸押出機にて230℃で溶融混練しペレット化して被覆酸化チタンAのマスターバッチを作製した。なお、ベント式二軸押出機のシリンダー内で被覆酸化チタンA及びホモポリプロピレンを溶融混練する際に、シリンダー内の圧力が60mmHg(8kPa)となるようにして真空ポンプによりベント口からシリンダー内の気体を外部へ排出した。
【0151】
そして、マスターバッチ93.8重量部、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)60重量部、フェノール系酸化防止剤(BASF社製 商品名IRGANOX(登録商標)1010)0.15重量部、リン系酸化防止剤(BASF社製 商品名IRGAFOS168)0.15重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤1(分子量315.8、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)326)0.15重量部、及びヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)111)0.15重量部を、口径が120mmのベント式単軸押出機に供給して220℃で溶融混練することにより光反射板形成用樹脂組成物を得、この光反射板形成用樹脂組成物を押出機の先端に取り付けたTダイ(シート幅:1000mm、スリット間隔:0.2mm、温度200℃)からシート状に押出してシート状の押出物を得た。次に、このシート状の押出物を、外周面が鏡面に形成された鏡面ロールとこの鏡面ロールに対峙して配設された支持ロールとからなる一対のロール間に供給し、鏡面ロールをシート状の押出物の表面に押圧することによって、一方の面が鏡面加工処理されてなり、厚みが0.2mmで且つ密度が1.3g/cm3の非発泡の光反射板を得た。なお、ベント式単軸押出機のシリンダー内で樹脂組成物を溶融混練する際に、シリンダー内の圧力が60mmHg(8kPa)となるようにして真空ポンプによりベント口からシリンダー内の気体を外部へ排出した。
【0152】
一方、上記光反射板を熱成形するための金型8を用意した。この金型8は、図5に示したように、雌雄金型81、82から形成され、雌金型81の凹部811が形成されており、雄金型82には雌金型81の凹部811に対応して凸部821が形成されており、凸部821の表面が成形面とされていた。そして、雄金型82の成形面にはその全面に亘って凹凸部821aが形成されていた。雄金型82の成形面に形成された凹凸部821aについて、表面粗さRa、凹凸の平均間隔Sm及び最大高さ(Ry)は表1に示した通りであった。雌金型81の凹部811の表面が成形面とされ、成形面に凹凸は形成されておらず、全面的に平坦面に形成されていた。
【0153】
光反射板を150±5℃に加熱した後、この光反射板を雌雄金型81、82間に配設し上で雌雄金型81、82を型締めすることによって光反射板を熱成形して光反射成形体9を得た。なお、光反射板の鏡面加工処理面が雄型82の成形面の凹凸部821aに接触するように、光反射板を雌雄金型81、82間に配設した。
【0154】
光反射成形体9は、図6に示したように、平面長方形状の底面部91と、この底面部91の両端縁から上方に向かって延設された両側壁部92とを有しており、底面部91の上面及び両側壁部92、92の内面には凹凸が形成されて凹凸面91a、92a、92aとされていた。
【0155】
(実施例2)
被覆酸化チタンAに代えて被覆酸化チタンB(石原産業社製 商品名「CR−90」、平均粒子径0.25μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして光反射成形体を製造した。
【0156】
なお、被覆酸化チタンBは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンB中において、アルミニウム酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、Al23に換算して、二酸化チタンの全重量に対して2.7重量%であった。又、被覆酸化チタンB中において、ケイ素酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、SiO2に換算して、二酸化チタンの全重量に対して3.6重量%であった。
【0157】
(実施例3)
被覆酸化チタンAに代えて被覆酸化チタンC(石原産業社製 商品名「CR−80」、平均粒子径0.25μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして光反射成形体を製造した。
【0158】
なお、被覆酸化チタンCは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンC中において、アルミニウム酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、Al23に換算して、二酸化チタンの全重量に対して3.3重量%であった。又、被覆酸化チタンC中において、ケイ素酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、SiO2に換算して、二酸化チタンの全重量に対して1.8重量%であった。
【0159】
(実施例4)
被覆酸化チタンAに代えて被覆酸化チタンD(石原産業社製 商品名「CR−63」、平均粒子径0.21μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして光反射成形体を製造した。
【0160】
なお、被覆酸化チタンDは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンD中において、アルミニウム酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、Al23に換算して、二酸化チタンの全重量に対して1.4重量%であった。又、被覆酸化チタンD中において、ケイ素酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、SiO2に換算して、二酸化チタンの全重量に対して0.7重量%であった。
【0161】
(実施例5)
被覆酸化チタンAに代えて被覆酸化チタンE(石原産業社製 商品名「CR−50」、平均粒子径0.25μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして光反射成形体を製造した。
【0162】
なお、被覆酸化チタンEは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンE中において、アルミニウム酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、Al23に換算して、二酸化チタンの全重量に対して2.3重量%であった。又、被覆酸化チタンE中において、ケイ素酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、SiO2に換算して、二酸化チタンの全重量に対して0.1重量%であった。
【0163】
(実施例6〜10)
表1に示すように、被覆酸化チタンの種類を変更し、さらにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤1に代えてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2(分子量447.6、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)234)を用いた以外は、実施例1と同様にして光反射成形体を製造した。
【0164】
(実施例11及び12)
表1に示すように、被覆酸化チタンの配合量を変更し、さらにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤1に代えてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2(分子量447.6、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)234)を用いた以外は、実施例1と同様にして光反射成形体を製造した。
【0165】
(実施例13)
まず、被覆酸化チタンA(石原産業社製 商品名「CR−93」、平均粒子径:0.28μm)を用意した。この被覆酸化チタンAは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンA中において、アルミニウム酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、Al23に換算して、二酸化チタンの全重量に対して3.1重量%であった。又、被覆酸化チタンA中において、ケイ素酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、SiO2に換算して、二酸化チタンの全重量に対して4.2重量%であった。
【0166】
次に、上記被覆酸化チタンAを100℃で5時間加熱して乾燥させることにより、被覆酸化チタンに含まれる水和水を低減した。この水和水を低減した被覆酸化チタンA53.8重量部と、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)40重量部とを口径120mmのベント式二軸押出機にて230℃で溶融混練しペレット化して被覆酸化チタンAのマスターバッチを作製した。なお、ベント式二軸押出機のシリンダー内で被覆酸化チタンA及びホモポリプロピレンを溶融混練する際に、シリンダー内の圧力が60mmHg(8kPa)となるようにして真空ポンプによりベント口からシリンダー内の気体を外部へ排出した。
【0167】
次に、マスターバッチ93.8重量部、ホモポリプロピレン(サンアロマー社製 商品名「PL500A」、メルトフローレイト:3.3g/10分、密度:0.9g/cm3)60重量部、フェノール系酸化防止剤(BASF社製 商品名IRGANOX(登録商標)1010)0.15重量部、リン系酸化防止剤(BASF社製 商品名IRGAFOS168)0.15重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤1(分子量315.8、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)326)0.15重量部、及びヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)111)0.15重量部を、口径が120mmのベント式単軸押出機に供給して220℃で溶融混練することにより光反射板形成用樹脂組成物を得た。この樹脂組成物をベント式単軸押出機の先端に取り付けたノズル金型からストランド状に押出し、このストランドを長さ2.5mm毎に切断して直径が2.5mmの円柱状に成形することにより、ペレット化された光反射板形成用樹脂組成物を得た。なお、ベント式単軸押出機のシリンダー内で光反射板形成用樹脂組成物を溶融混練する際に、シリンダー内の圧力が60mmHg(8kPa)となるようにして真空ポンプによりベント口からシリンダー内の気体を外部へ排出した。
【0168】
そして、ペレット化された光反射板形成用樹脂組成物を、口径が120mmのベント式単軸押出機に供給して220℃で溶融混練した後、押出機の先端に取り付けたTダイ(シート幅:1000mm、スリット間隔:0.2mm、温度200℃)からシート状に押出してシート状の押出物を得た。次に、このシート状の押出物を、外周面が鏡面に形成された鏡面ロールとこの鏡面ロールに対峙して配設された支持ロールとからなる一対のロール間に供給し、鏡面ロールをシート状の押出物の表面に押圧することによって、一方の面が鏡面加工処理されてなり、厚みが0.2mmで且つ密度が1.3g/cm3の非発泡の光反射板を得た。ベント式単軸押出機のシリンダー内でペレット化された光反射板形成用樹脂組成物を溶融混練する際に、シリンダー内の圧力が60mmHg(8kPa)となるようにして真空ポンプによりベント口からシリンダー内の気体を外部へ排出した。上記光反射板を実施例1と同様の要領で熱成形して光反射成形体を得た。雄金型82の成形面に形成された凹凸部821aについて、表面粗さRa、凹凸の平均間隔Sm及び最大高さ(Ry)は表2に示した通りであった。
【0169】
(実施例14)
被覆酸化チタンAに代えて被覆酸化チタンB(石原産業社製 商品名「CR−90」、平均粒子径0.25μm)を用いた以外は、実施例13と同様にして光反射成形体を製造した。
【0170】
なお、被覆酸化チタンBは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンB中において、アルミニウム酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、Al23に換算して、二酸化チタンの全重量に対して2.7重量%であった。又、被覆酸化チタンB中において、ケイ素酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、SiO2に換算して、二酸化チタンの全重量に対して3.6重量%であった。
【0171】
(実施例15)
被覆酸化チタンAに代えて被覆酸化チタンC(石原産業社製 商品名「CR−80」、平均粒子径0.25μm)を用いた以外は、実施例13と同様にして光反射成形体を製造した。
【0172】
なお、被覆酸化チタンCは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンC中において、アルミニウム酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、Al23に換算して、二酸化チタンの全重量に対して3.3重量%であった。又、被覆酸化チタンC中において、ケイ素酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、SiO2に換算して、二酸化チタンの全重量に対して1.8重量%であった。
【0173】
(実施例16)
被覆酸化チタンAに代えて被覆酸化チタンD(石原産業社製 商品名「CR−63」、平均粒子径0.21μm)を用いた以外は、実施例13と同様にして光反射成形体を製造した。
【0174】
なお、被覆酸化チタンDは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンD中において、アルミニウム酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、Al23に換算して、二酸化チタンの全重量に対して1.4重量%であった。又、被覆酸化チタンD中において、ケイ素酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、SiO2に換算して、二酸化チタンの全重量に対して0.7重量%であった。
【0175】
(実施例17)
被覆酸化チタンAに代えて被覆酸化チタンE(石原産業社製 商品名「CR−50」、平均粒子径0.25μm)を用いた以外は、実施例13と同様にして光反射成形体を製造した。
【0176】
なお、被覆酸化チタンEは、ルチル型酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されていた。被覆酸化チタンE中において、アルミニウム酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、Al23に換算して、二酸化チタンの全重量に対して2.3重量%であった。又、被覆酸化チタンE中において、ケイ素酸化物の量を蛍光X線分析によって定量したところ、SiO2に換算して、二酸化チタンの全重量に対して0.1重量%であった。
【0177】
(実施例18〜22)
表1に示すように、被覆酸化チタンの種類を変更し、さらにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤1に代えてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2(分子量447.6、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)234)を用いた以外は、実施例13と同様にして光反射成形体を製造した。
【0178】
(実施例23及び24)
表1に示すように、被覆酸化チタンの配合量を変更し、さらにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤1に代えてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2(分子量447.6、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)234)を用いた以外は、実施例13と同様にして光反射成形体を製造した。
【0179】
(比較例1〜4)
表1に示すように、被覆酸化チタンの種類を変更し、被覆酸化チタンの加熱乾燥を行わなかったこと、成形面の凹凸部821aの表面粗さRa、凹凸の平均間隔Sm及び最大高さ(Ry)が表1に示した通りの雄金型82を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光反射板を製造した。
【0180】
(比較例5及び6)
表1に示すように、被覆酸化チタンの配合量を変更し、被覆酸化チタンの加熱乾燥を行わず、さらにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤1に代えてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2(分子量447.6、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)234)を用いたこと、成形面の凹凸部821aの表面粗さRa、凹凸の平均間隔Sm及び最大高さ(Ry)が表1に示した通りの雄金型82を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光反射板を製造した。
【0181】
(比較例7〜10)
表2に示すように、被覆酸化チタンの種類を変更し、被覆酸化チタンの加熱乾燥を行わなかったこと、成形面の凹凸部821aの表面粗さRa、凹凸の平均間隔Sm及び最大高さ(Ry)が表2に示した通りの雄金型82を用いたこと以外は、実施例13と同様にして光反射板を製造した。
【0182】
(比較例11及び12)
表2に示すように、被覆酸化チタンの配合量を変更し、被覆酸化チタンの加熱乾燥を行わず、さらにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤1に代えてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤2(分子量447.6、BASF社製 商品名TINUVIN(登録商標)234)を用いたこと、成形面の凹凸部821aの表面粗さRa、凹凸の平均間隔Sm及び最大高さ(Ry)が表2に示した通りの雄金型82を用いたこと以外は、実施例13と同様にして光反射板を製造した。
【0183】
(評価)
光反射板に含まれる被覆酸化チタンの平均粒子径を上述した方法により測定した。結果を表1、2に示す。また、光反射板の厚み方向に沿った断面において、粒子径が0.10〜0.39μmであり且つ凝集をしていない被覆酸化チタンの個数を上述した方法により測定した。なお、上記被覆酸化チタンの個数は、光反射板の厚み方向に沿った断面から任意に選定した10箇所の測定領域(各測定領域の大きさは一辺が30μmの正方形状である)について測定し、その相加平均値を表1、2に示す。
【0184】
また、光反射板に含まれる被覆酸化チタンの含水率も上述した方法により測定した。なお、光反射板を切断して30枚の試験片を用意し、各試験片について被覆酸化チタンの含水率を上記方法に従って測定し、その相加平均値を光反射板に含まれている被覆酸化チタンの含水率とした。結果を表1、2に示す。
【0185】
さらに、実施例13〜24及び比較例7〜12において作製したペレット化された光反射板形成用樹脂組成物についても、これらに含まれる被覆酸化チタンの含水率を上述した方法により測定した。なお、ペレット化された光反射板形成用樹脂組成物から30個の試料を用意し、各試料について被覆酸化チタンの含水率を上記方法に従って測定し、その相加平均値をペレット化された光反射板形成用樹脂組成物に含まれている被覆酸化チタンの含水率とした。いずれの比較例及び実施例においても、ペレット化された光反射板形成用樹脂組成物に含まれている被覆酸化チタンの含水率と、光反射板に含まれている被覆酸化チタンの含水率とは同じであった。
【0186】
そして、光反射成形体の耐候性試験前の光線反射率及び耐候性試験後の光線反射率をそれぞれ下記手順に従って評価した。結果を表1、2に示す。光反射成形体の凹凸面について、表面粗さRa、凹凸の平均間隔Sm、凹凸面の最大高さ(Ry)、光線反射率及び拡散反射率を上述の要領で測定した。結果を表1、2に示す。
【0187】
(耐候性試験)
光反射板から縦50mm×横150mmの試験片を切り出し、この試験片についてJIS A1415(プラスチック建築材料の促進暴露試験方法)に準拠して促進暴露試験を下記条件下にて行った。
【0188】
照射装置:スガ試験器社製 商品名「サンシャインスーパーロングライフウェザーメーターWEL−SUN−HC・B型」
照射条件:バックパネル温度:60〜70℃、スプレー噴霧:なし
試験槽温度:45〜55℃、相対湿度:10〜30%
【0189】
(光線反射率)
実施例1〜24及び比較例1〜12の光反射板において、上記促進暴露試験を行う前、上記促進暴露試験を500時間行った後、及び、上記促進暴露試験を1000時間行った後の試験片の光線反射率を下記の要領で測定した。なお、試験片を30個用意し、各試験片の光線反射率の相加平均値を光線反射率とした。また、光線反射率の測定は、試験片の凹凸面について行った。
【0190】
試験片の光線反射率は、JIS K7105に記載の測定法Bに準拠して8°の入射条件下にて全反射光測定を行った場合における波長550nmの光線反射率をいい、標準反射板として硫酸バリウム板を用いた時の光線反射率を100とした時の絶対値で示したものである。
【0191】
具体的には、試験片の光線反射率は、島津製作所社から商品名「UV−2450」にて市販されている紫外可視分光光度計と、島津製作所社から商品名「ISR−2200」にて市販されている積分球付属装置(内径:φ60mm)とを組み合わせて測定することができる。
【0192】
(光反射板の凹凸面の評価)
実施例1〜24及び比較例1〜12の光反射成形体の凹凸面について、表面粗さRa、凹凸の平均間隔Sm及び凹凸の最大高さ(Ry)を上述の要領で測定した。
【0193】
実施例1〜24及び比較例1〜12の光反射成形体9の底面部91から一辺が5cmの平面正方形状の試験片を3個切り出した。各試験片の凹凸面の表面粗さRaを測定し、試験片の表面粗さRaの相加平均値を光反射成形体の表面粗さRaとした。各試験片の凹凸面における凹凸の平均間隔Smを測定し、試験片の凹凸面における凹凸の平均間隔Smの相加平均値を光反射成形体の凹凸面における凹凸の平均間隔Smとした。各試験片の凹凸面における凹凸の最大高さ(Ry)を測定し、試験片の凹凸面における凹凸の最大高さ(Ry)の相加平均値を光反射成形体の凹凸面における凹凸の最大高さ(Ry)とした。各試験片の光線反射率を測定し、試験片の光線反射率の相加平均値を光反射成形体の光線反射率とした。
【0194】
(拡散反射率)
実施例1〜24及び比較例1〜12の光反射成形体9の底面部91から一辺が5cmの平面正方形状の試験片を3個切り出した。各試験片の凹凸面について、JIS K7105に記載の測定法Bに準拠して0°の入射条件下にて拡散反射率を測定し、各試験片の拡散反射率の相加平均値を光反射成形体の拡散反射率とした。
【0195】
【表1】

【0196】
【表2】

【0197】
表1、2から、本発明の光反射成形体は比較例の光反射成形体よりも拡散反射率が2.6〜3.8%も向上し、優れた光反射性能を有していることが分かる。例えば、本発明の光反射成形体を液晶表示装置のバックライトに用いた場合、導光板内に入射した光は、導光板の表裏面と光反射成形体との間で繰り返し反射された後に導光板の表面側、即ち、液晶パネル側へ導出されるが、導光板の表裏面と光反射成形体との間での光の反射は実際には何万回と繰り返して行われている。したがって、本発明の光反射成形体では比較例に比して拡散反射率が2.6〜3.8%程度高くなっているが、上述のように、光の反射は何万回と繰り返し行われた上で液晶パネルに到達するため、光反射成形体の拡散反射率の2.6〜3.8%という差は、液晶パネルの輝度において極めて大きい差となってあらわれる。よって、本発明の光反射成形体をバックライトユニットに用いることにより液晶表示装置の表示画面の輝度を大幅に向上させることができる。更に、導光板の裏面から導出した光は、光反射成形体の表面に形成された凹凸面によって、導光板の表面側に向かって均一となるように拡散されて反射されるので、液晶表示装置の表示画面の輝度を均一なものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0198】
本発明の光反射成形体の製造方法で得られた光反射成形体は、例えば、ワードプロセッサー、パーソナルコンピュータ、携帯電話、ナビゲーションシステム、テレビジョン、携帯型テレビなどの液晶表示装置のバックライトユニット、照明ボックスのような面発光システムの照明具のバックライト、スロトボ照明器、複写機、プロジェクター方式のディスプレイ、ファクシミリ、電子黒板などを構成する照明装置内に組み込んで用いることができる。
【符号の説明】
【0199】
10 光反射板
12 凹部
13 凹部の内底面
13a 貫通孔
14 内周面
20 導光板
30 発光光源
40 ランプリフレクタ
60 筐体
61 筐体の底面部
62 筐体の周壁部
62a 筐体の段部
70 光源体
71 基板
8 金型
821a 凹凸部
9 光反射成形体
C 照明体
L 発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射板を金型を用いて熱成形することによって光反射成形体を製造する光反射成形体の製造方法であって、上記金型の成形面には凹凸部が形成されており、上記成形面の凹凸部はその表面粗さRaが1〜20μmで且つ凹凸の平均間隔Smが5〜300μmであり、上記光反射板を加熱しながら上記金型の成形面に押し付けることによって上記金型の成形面に沿って成形すると共に、上記光反射板の表面に上記金型の成形面の凹凸部を転写して、表面粗さRaが1〜20μmで且つ凹凸の平均間隔Smが5〜300μmである凹凸面を有する光反射成形体を製造することを特徴とする光反射成形体の製造方法。
【請求項2】
金型の成形面における凹凸部の凹凸の最大高さ(Ry)が5〜80μmであることを特徴とする請求項1に記載の光反射成形体の製造方法。
【請求項3】
光反射板がポリオレフィン系樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光反射成形体の製造方法。
【請求項4】
光反射板が、ポリオレフィン系樹脂100重量部と、酸化チタンの表面がアルミニウム酸化物及びケイ素酸化物を含有する被覆層で被覆されてなり且つ含水率が0.5重量%以下である被覆酸化チタン20〜120重量部とを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の光反射成形体の製造方法。
【請求項5】
光反射板の熱成形に用いられる金型であって、上記金型の成形面には凹凸部が形成されており、上記凹凸部はその表面粗さRaが1〜20μmで且つ凹凸の平均間隔Smが5〜300μmであることを特徴とする金型。
【請求項6】
金型の成形面における凹凸部の凹凸の最大高さ(Ry)が5〜80μmであることを特徴とする請求項5に記載の金型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−76738(P2013−76738A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215015(P2011−215015)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】