説明

光増幅方法および光増幅器

【課題】CWDMにおいてCATVなどの光分配系での光増幅や伝送ファイバやネットワークデバイスの損失を補償するための光増幅に適用できる光増幅方法の提供。
【解決手段】1540〜1620nmの波長域に属しΔλを15以上として波長が互いにΔλnm以上異なる複数の信号光であって、その最大波長と最小波長の差が40nm以上であり、波長が(1571−0.5×Δλ)nm〜(1570+0.5×Δλ)nmである信号光を含む複数の信号光を励起光存在下の光増幅ファイバ1に入力して増幅する方法であって、光増幅ファイバ1がBi系ガラスファイバであり、波長が(1571−0.5×Δλ)nm〜(1570+0.5×Δλ)nmである信号光の強度を他の信号光の強度のいずれよりも小さくして光増幅ファイバ1に入力する光増幅方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
CWDM(Coarse WDM、粗波長分割多重または低密度波長分割多重)光通信方式に好適な光増幅方法および光増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
メトロ系およびアクセス系のネットワークコストを低減できる光通信方式としてCWDM光通信方式が注目されている。
CWDM光通信方式(以下、単にCWDMという。)では信号光の波長間隔が20nmと大きいのでたとえば3チャンネル伝送、4チャンネル伝送ではそれぞれ40nm、60nmの波長域を必要とする。
【0003】
CWDMは当初光増幅器を使用しないものが一般的だったが、近年は伝送ファイバやネットワークデバイスの損失を補償するために光増幅器を使用するものが一般的である。
光増幅器としてはエルビウムドープ石英光ファイバを用いた光増幅器(EDFA)が広く知られているが平坦な利得特性が得られる波長幅はせいぜい40nmである。したがってEDFAをCWDMにおける3チャンネル以上の信号光の増幅に使用しようとすると、信号光波長の変動(±7nm)を考慮すると1台では平坦な利得特性が得られないおそれがあり2台以上のEDFAを必要とする問題があった。
1543〜1617nmの波長域においてこのような問題を解決する光増幅器としてはエルビウムドープテルライト光ファイバを用いた光増幅器(EDTFA)が知られている(非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】Tadashi Sakamoto、外2名,Rare−earth−doped fiber amplifier for eight−channel CWDM transmission systems,OFC 2004,Paper ThJ5,米国,2004年2月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記EDTFAは1543〜1617nmの波長域において利得変動を2dBにできるという優れたものであるが、当該利得変動は各入力信号光の強度が−20dBm(0.01mW)のときに得られたものである。利得は22.5dBであったとされているので、各出力信号光の強度は2.5dBm(1.8mW)であったと推定される。
一方、CWDMにおいてCATVなどの光分配系に使用される光増幅器や前記損失を補償するための光増幅器(ブースターアンプ)には、各出力信号光の強度として10mW以上であることが求められ、前記EDTFAはこのような用途への適用が困難であるという問題があった。
本発明はこのような問題を解決できる光増幅方法および光増幅器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、1540〜1620nmの波長域に属しΔλを15以上として波長が互いにΔλnm以上異なる複数の信号光であって、その最大波長と最小波長の差が40nm以上であり、波長が(1571−0.5×Δλ)nm〜(1570+0.5×Δλ)nmである信号光を含む複数の信号光を励起光存在下の光増幅ファイバに入力して増幅する方法であって、光増幅ファイバがBi系ガラスファイバであり、波長が(1571−0.5×Δλ)nm〜(1570+0.5×Δλ)nmである信号光の強度を他の信号光の強度のいずれよりも小さくして光増幅ファイバに入力する光増幅方法を提供する。
また、複数個の入力端子、励起光光源、1本の光増幅ファイバおよび出力端子を有する光増幅器であって、少なくとも1個の入力端子と光増幅ファイバとが光減衰器を介して接続されており、光増幅ファイバがBi系ガラスファイバである光増幅器を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光増幅ファイバの長さが3m以下であっても、1540〜1620nmの波長域に属し波長間隔が20nmである2〜4チャンネルの信号光について利得変動が1dB以下または出力された各チャンネルの信号光の出力強度変動が1.3以下となるような光増幅を行うことができ、CWDMの光増幅における前記利得変動または前記出力強度変動を小さくできる。
【0008】
また、光増幅ファイバに入力される信号光の強度がたとえば1mWまたはそれ以上という大きなものであっても大きな利得が得られ、増幅後の信号光の強度を10mW以上とすることができ、CWDMにおけるブースターアンプや光分配系の光増幅器として使用できる。
また、光フィルタまたは利得等化器の使用を前提とする光増幅器が従来提案されているが、そのようなものにおいては信号光としてはほぼ一定強度のものを想定することになる。しかし、本発明ではそれらの使用を必須とはしていないので信号光の強度が変化しても利得変動または出力強度変動の小さな光増幅を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
Bi系ガラスファイバは、長さが短くても大きな利得が得られる、または広い増幅帯域を有するという特徴を有し、必須である。
Bi系ガラスファイバのコアはBiを20〜80モル%、SiOを5〜70モル%、Erを0.05〜4モル%含有するガラスであることが典型的である。以下、ガラス中の成分含有量はモル%表示で表す。
【0010】
Er含有量はBi系ガラスファイバの伝送損失等に応じて決められるべきもので、たとえば伝送損失が0.2dB/mのときには0.10〜0.20%、0.7dB/mのときには0.23〜0.27%とすることが好ましい。
【0011】
Bi系ガラスファイバのコアは、Bi 20〜80%、SiO 5〜70%、Er 0.05〜4%、B 0〜30%、In 0〜20%、Al+Ga 0〜45%、WO 0〜30%、Ta 0〜30%、TeO 0〜30%、Y+La+Gd+Yb 0〜15%、GeO 0〜30%、TiO 0〜30%、SnO 0〜30%、CeO 0〜2%、から本質的になるガラスであることが好ましい。より好ましくは、Biが30〜55%、SiOが25〜45%、Erが0.05〜0.5%、Bが0〜5%、Inが0〜3%、Alが1〜5%、Gaが10〜25%、WOが0〜1%、Taが0〜1%、TeOが0〜1%、Yが0〜1%、Laが0.5〜3%、Gd+Yb 0〜1%、GeO 0〜1%、TiO 0〜1%、SnO 0〜0.5%、CeO 0〜0.5%、である。この好ましいガラスは本発明の目的を損なわない範囲で上記成分以外の成分を含有してもよいが、その場合そのような成分の含有量の合計は10%以下であることが好ましい。なお、たとえば「In 0〜20%」とは、Inは必須ではないが20%まで含有してもよい、の意である。
【0012】
Bi系ガラスファイバのコアが前記好ましいガラスである場合、同ガラスファイバのクラッドは、Bi 20〜80%、SiO 5〜70%、B 0〜30%、In 0〜20%、Al+Ga 0〜45%、WO 0〜30%、Ta 0〜30%、TeO 0〜30%、Y+La+Gd+Yb 0〜15%、GeO 0〜30%、TiO 0〜30%、SnO 0〜30%、CeO 0〜2%、から本質的になるガラスであることが好ましい。
【0013】
Bi系ガラスファイバのコアの波長1550nmにおける屈折率(n)は典型的には1.8〜2.2であり、そのクラッドの同屈折率(n)との間には通常次の関係式が成立する。
0.0005≦(n−n)/n≦0.1
Bi系ガラスファイバのコア径、クラッド径はそれぞれ典型的には2〜10μm、100〜200μmである。
【0014】
Bi系ガラスファイバに入力される信号光の強度(1チャンネルあたりの強度。以下同じ。)が0.1〜10mWである場合、Bi系ガラスファイバの条長積ピークは350〜700dBであることが好ましい。この範囲外では充分な利得が得られないおそれがある。
Bi系ガラスファイバの長さ(L)は、コアのEr含有量が0.23〜0.27%である場合典型的には1.5〜2.2mである。
【0015】
Bi系ガラスファイバにはコア中のErを励起するための光(励起光)が入射されるが、その波長は通常1470〜1490nmである。
【0016】
ΔλはCWDMにおいては20nmが典型的であり、増幅される複数の信号光の波長間隔は通常等間隔の20nmとされる。
本発明の光増幅方法は、CWDMにおいてたとえば波長が1550±7nm、1570±7nm、1590±7nm、1610±7nmである4チャンネルの信号光のうち2、3または4チャンネルの信号光を同時に増幅する場合に好適である。
【0017】
波長が(1571−0.5×Δλ)nm〜(1570+0.5×Δλ)である信号光(以下、低強度信号光という。)の強度は利得変動または出力強度変動が小さくなるように他の信号光の強度よりも小さくして光増幅ファイバに入力されるが、典型的には他の信号光の強度の最小値の50%以下とされる。
【0018】
本発明の光増幅方法が適用される複数の信号光において低強度信号光の強度は他の信号光の強度の最小値の典型的には50%以上であるが、80%以上、より好ましくは90%以上であれば効果がより顕著になる。
【0019】
増幅される複数の信号光が、波長が(1551−0.5×Δλ)nm〜(1550+0.5×Δλ)である信号光を含む場合、利得変動または出力強度変動を小さくするためには当該信号光の光増幅ファイバへの入力強度を当該複数の信号光の光増幅ファイバへの入力強度の最大とする、すなわち他の信号光の入力強度のいずれよりも小さくないようにすることが好ましい。
【0020】
複数の信号光を同時に増幅したときに得られる各信号光の利得の最大と最小の差、すなわち当該複数の信号光に対する利得変動は、好ましくは1dB以下である。
また、そのときの各信号光の出力強度の最大値を最小値で除した値、すなわち当該複数の信号光に対する出力強度変動は、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.26以下、特に好ましくは1.22以下である。
【0021】
本発明の光増幅方法によって1mW以上(典型的には10mW以下)の強度を有する信号光を含む複数の信号光を増幅したとき、当該1mW以上の強度を有する信号光に対する利得は10dB以上であることが好ましい。そのようなものでないとCWDMにおけるブースターアンプとしての光増幅器や光分配系の光増幅器に求められている光増幅を行うことが困難になるおそれがある。
【0022】
増幅された複数の信号光の強度の最小値は10mW以上であることが好ましい。そのようなものでないとCWDMにおけるブースターアンプとしての光増幅器や光分配系の光増幅器に求められている光増幅を行うことが困難になるおそれがある。
【0023】
本発明の光増幅器は本発明の光増幅方法に好適な光増幅器である。以下、本発明の光増幅器を本発明の増幅方法に適用される場合について説明するがこの場合に限定されない。
図1は本発明の光増幅器の構成の一例を示す概略図である。
4チャンネルの信号光S、S、S、S(図示せず)はそれぞれ入力端子21、22、23、24から入力される。本発明の光増幅方法を行う場合、信号光S、Sのいずれか一方が強度信号光である。
【0024】
信号光S、Sは直接に、信号光S、Sはそれぞれ光減衰器31、32によってその強度が減じられた後それぞれ光マルチプレクサ40に至って合波され、複数の信号光Sinとなる。
複数の信号光Sinは、レーザーダイオード(LD)である励起光源61からの励起光と光カプラ51によって合波された後光増幅ファイバ1に入力される。また、LDである励起光源62からの励起光も光カプラ52を経て光増幅ファイバ1に入力される、すなわち双方向励起を行う。
【0025】
増幅された信号光は光カプラ52を経て、増幅された前記複数の信号光Soutとなって出力端子71に至り出力される。
光増幅ファイバ1はBi系ガラスファイバであり先に本発明の光増幅方法に関して説明したと同様のものである。
【0026】
図1は4チャンネルの信号光に対し2台の光減衰器31、32を設けた場合の図であるが、光減衰器はたとえば出力強度変動をより大きくしてもよい場合等には光減衰器31のみ1台としてもよいし、逆に出力強度変動をより小さくしたい場合等には入力端子24と光マルチプレクサの間にも光減衰器を設け計3台としてもよい。
【実施例】
【0027】
モル%表示でBi 42.7%、SiO 34.1%、Al 3.6%、Ga 17.8%、La 1.4%、CeO 0.2%、Er 0.25%からなるコア用ガラスと、同表示でBi 42.8%、SiO 34.2%、Al 7.1%、Ga 14.3%、La 1.4%、CeO 0.2%からなるクラッド用ガラスとを複合化してプリフォームを作製し、このプリフォームを延伸してコア径が5.1μm、クラッド径が125μmである光ファイバAとした。光ファイバAのnは2.03、nは2.02、伝送損失は0.7dB/mであった。
【0028】
長さ1.60mの光ファイバA(条長積ピーク:460dB)を光増幅ファイバ1として図2に示す構成を有する光増幅器Aを作製した。21、22、23、24はいずれも入力端子、31、32はいずれもANDO社製光減衰器AQ3140、41、42、43はいずれもAnritsu社製光カプラMN9604C、51、52はいずれも光カプラ、61、62は励起光源でシステム技研社製LD光源SELAM−130(励起光波長:1480nm)、71は出力端子である。
一方、比較例として減衰器31、32を有さず入力端子22、23がそれぞれ直接光カプラ41、42と接続されている点を除き光増幅器Aと同じ光増幅器Bを作製した。
【0029】
まず、本発明の光増幅方法に対する比較例として次のような光増幅を行った(例1B)。
波長がそれぞれ1550nm、1570nm、1590nm、1610nmであり、それぞれ表1のPに示す強度を有する信号光S、S、S、Sを光増幅器Bの入力端子21、22、23、24に入力し、光増幅ファイバ1に入力される各信号光の強度Pがいずれも1mW(0dBm)である複数の信号光Sinとなるようにして各信号光の出力強度Pを測定した。なお、励起光源61、62からの励起光強度はいずれも300Wとした。
【0030】
次に、本発明の光増幅方法により次のような光増幅を行った(例1A)。
光増幅器Bのかわりに光増幅器Aを用い、光減衰器31によって信号光S(波長:1570nm)を6dB減衰し、光減衰器32によって信号光S(波長:1590nm)を1dB減衰した以外は例1Bと同様にして、各信号光の出力強度Pを測定した。
【0031】
入力信号光の波長(単位:nm)、入力端子における信号光の強度P(単位:mW)、光増幅ファイバ1に入力された信号光の強度P(単位:mW)、光増幅ファイバ1から出力された信号光の強度P(単位:mW)およびP/Pから算出された利得(単位:dB)を表1に示す。
なお、表1のPの変動の欄にはPの最大値を最小値で除した値、Gの変動の欄にはGの最大から最小を減じた値をそれぞれ示す。
【0032】
【表1】

【0033】
光増幅器Aにおいて使用した光カプラ41、42、43はいずれも2〜3dBの損失を有するものであるが、光増幅器を図1に示す構成を有するものに変更すると例1Aに比べてさらに良好な増幅特性が得られる。実際、表1に示すデータをもとに計算すると、図1に示す構成を有し光増幅ファイバ1が長さ1.60mの光ファイバAである光増幅器Aを用いて各信号光のPが1.4mWである複数の信号光を増幅すると各信号光のPは表2の例1AのP(単位:mW)に示すようになる(例1A)。
【0034】
なお、光減衰器31によって信号光Sを5.4dB減衰し、光減衰器32によって信号光Sを0.4dB減衰し、光減衰器としてはサンテック社製OVA−20M(損失は0.6dB以下)、光マルチプレクサとしてはサンテック社製Metro−X(損失は1.6dB以下)を使用するものとした。また、表2のGはP/Pから算出された利得(単位:dB)である。
比較のために光増幅器Aにおいて光減衰器31、32を取り除いたものを光増幅器Bとして、これを用いて例1Aと同様の増幅を行った場合についてもPを計算した(例1B)。
【0035】
【表2】

【0036】
また、光増幅ファイバ1として長さが1.85mの光ファイバA(条長積ピーク:530dB)を使用した以外は光増幅器Bと同じ光増幅器B’を比較例として作製し、例1Bと同様の測定を行った(例2B)。
【0037】
次に、光増幅ファイバ1として長さが1.85mの光ファイバAを使用し、また、入力端子24と光カプラ42の間に3台目の光減衰器33を設けた以外は光増幅器Aと同じ光増幅器A’を作製し、この光増幅器A’を用いて本発明の光増幅方法により次のような光増幅を行った(例2A)。
例2Bを基準にして、光減衰器31によって信号光S(波長:1570nm)を9dB減衰し、光減衰器32によって信号光S(波長:1590nm)を3.7dB減衰し、光減衰器33によって信号光S(波長:1610nm)を2.7dB減衰した以外は例2Bと同様にして、各信号光の出力強度を測定した。
例2A、2Bの測定結果等を表3に示す。
【0038】
【表3】

【0039】
光増幅器A’において使用した光カプラ41、42、43はいずれも2〜3dBの損失を有するものであるが、光増幅器を図1に示す構成を有するものに変更すると例2Aに比べてさらに良好な増幅特性が得られる。実際、表3に示すデータをもとに計算すると、図1に示す構成を有し光増幅ファイバ1が長さ1.85mの光ファイバAである光増幅器A’を用いて各信号光のPが1.4mWである複数の信号光を増幅すると各信号光のPは表4の例2AのP(単位:mW)に示すようになる(例2A)。
【0040】
なお、光減衰器31によって信号光Sを8.4dB減衰し、光減衰器32によって信号光Sを3.1dB減衰し、光減衰器33によって信号光Sを2.1dB減衰し、光減衰器としてはサンテック社製OVA−20M(損失は0.6dB以下)、光マルチプレクサとしてはサンテック社製Metro−X(損失は1.6dB以下)を使用するものとした。また、表4のGはP/Pから算出された利得(単位:dB)である。
比較のために光増幅器A’において光減衰器31、32、33を取り除いたものを光増幅器B’として、これを用いて例2Aと同様の増幅を行った場合についてもPを計算した(例2B)。
【0041】
【表4】

【0042】
また、光増幅ファイバ1として長さが2.11mの光ファイバA(条長積ピーク:600dB)を使用した以外は光増幅器B’と同じ光増幅器B’’を比較例として作製し、例2Bと同様の測定を行った(例3B)。
【0043】
次に、光増幅ファイバ1として長さが2.11mの光ファイバAを使用した以外は光増幅器A’と同じ光増幅器A’’を作製し、この光増幅器A’’を用いて本発明の光増幅方法により次のような光増幅を行った(例3A)。
光減衰器31によって信号光S(波長:1570nm)を10dB減衰し、光減衰器32によって信号光S(波長:1590nm)を6.5dB減衰し、光減衰器33によって信号光S(波長:1610nm)を4.7dB減衰した以外は例3Bと同様にして各信号光の出力強度を測定した。
例3A、3Bの測定結果等を表5に示す。
【0044】
【表5】

【0045】
光増幅器A’’において使用した光カプラ41、42、43はいずれも2〜3dBの損失を有するものであるが、光増幅器を図1に示す構成を有するものに変更すると例3Aに比べてさらに良好な増幅特性が得られる。実際、表5に示すデータをもとに計算すると、図1に示す構成を有し光増幅ファイバ1が長さ2.11mの光ファイバAである光増幅器A’’を用いて各信号光のPが1.4mWである複数の信号光を増幅すると各信号光のPは表6の例3AのP(単位:mW)に示すようになる(例3A)。
【0046】
なお、光減衰器31によって信号光Sを9.4dB減衰し、光減衰器32によって信号光Sを5.9dB減衰し、光減衰器33によって信号光Sを4.1dB減衰し、光減衰器としてはサンテック社製OVA−20M(損失は0.6dB以下)、光マルチプレクサとしてはサンテック社製Metro−X(損失は1.6dB以下)を使用するものとした。また、表6のGはP/Pから算出された利得(単位:dB)である。
比較のために光増幅器A’’において光減衰器31、32、33を取り除いたものを光増幅器B’’として、これを用いて例3Aと同様の増幅を行った場合についてもPを計算した(例3B)。
【0047】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の光増幅器の構成を示す概略図である。
【図2】実施例で用いた本発明の光増幅器の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0049】
1:光増幅ファイバ
21、22、23、24:入力端子
31、32:光減衰器
40:光マルチプレクサ
41、42、43、51、52:光カプラ
61、62:励起光源
71:出力端子
in:光増幅ファイバへ入力される複数の信号光
out:増幅された複数の信号光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1540〜1620nmの波長域に属しΔλを15以上として波長が互いにΔλnm以上異なる複数の信号光であって、その最大波長と最小波長の差が40nm以上であり、波長が(1571−0.5×Δλ)nm〜(1570+0.5×Δλ)nmである信号光を含む複数の信号光を励起光存在下の光増幅ファイバに入力して増幅する方法であって、光増幅ファイバがBi系ガラスファイバであり、波長が(1571−0.5×Δλ)nm〜(1570+0.5×Δλ)nmである信号光の強度を他の信号光の強度のいずれよりも小さくして光増幅ファイバに入力する光増幅方法。
【請求項2】
光増幅ファイバに入力される前記複数の信号光において、波長が(1571−0.5×Δλ)nm〜(1570+0.5×Δλ)nmである信号光の強度が他の信号光の強度の最小値の50%以下である請求項1に記載の光増幅方法。
【請求項3】
前記複数の信号光が、波長が(1551−0.5×Δλ)nm〜(1550+0.5×Δλ)nmである信号光を含み、光増幅ファイバに入力される当該複数の信号光において、波長が(1551−0.5×Δλ)nm〜(1550+0.5×Δλ)nmである信号光の強度が他の信号光の強度のいずれよりも小さくない請求項1または2に記載の光増幅方法。
【請求項4】
前記複数の信号光が、波長が1550±7nm、1570±7nm、1590±7nm、1610±7nmである信号光からなる請求項1〜3のいずれかに記載の光増幅方法。
【請求項5】
前記複数の信号光に対する利得変動が1dB以下である請求項1〜4のいずれかに記載の光増幅方法。
【請求項6】
前記複数の信号光が1mW以上の強度を有する信号光を含み、当該信号光に対する利得が10dB以上である請求項1〜5のいずれかに記載の光増幅方法。
【請求項7】
増幅された前記複数の信号光の強度の最小値が10mW以上である請求項1〜6のいずれかに記載の光増幅方法。
【請求項8】
Bi系ガラスファイバのコアがBiを20〜80モル%、SiOを5〜70モル%、Erを0.05〜4モル%含有する請求項1〜7のいずれかに記載の光増幅方法。
【請求項9】
複数個の入力端子、励起光光源、1本の光増幅ファイバおよび出力端子を有する光増幅器であって、少なくとも1個の入力端子と光増幅ファイバとが光減衰器を介して接続されており、光増幅ファイバがBi系ガラスファイバである光増幅器。
【請求項10】
Bi系ガラスファイバのコアがBiを20〜80モル%、SiOを5〜70モル%、Erを0.05〜4モル%含有する請求項9に記載の光増幅器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−66620(P2006−66620A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247110(P2004−247110)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】