説明

光学センサー及び電子機器

【課題】側壁にすき間領域があっても高精度に入射角度を制限可能な光学センサー及電子機器等を提供すること。
【解決手段】光学センサーは、半導体基板10上に形成された、フォトダイオード用の不純物領域30と、フォトダイオードの受光領域に対する入射光の入射角度を制限する角度制限フィルター40と、を含む。角度制限フィルター40は、少なくとも、第1の絶縁層に対応する第1のプラグと、第1の絶縁層よりも上層の第2の絶縁層に対応する第2のプラグにより形成される。第1のプラグと第2のプラグの間には、すき間間隔bがλ/2以下のすき間領域がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学センサー及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の分野において光学センサーによる測定が応用されている。例えば、対象物の診断や検査をするために分光センサーが用いられる。分光センサーには、ヘモグロビンの光吸収を利用して血中酸素飽和度を測定するパルスオキシメーターや、糖分の光吸収を使用して果実の糖度を測定する糖度計がある。また、照度を測定するための照度センサー等が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−129908号公報
【特許文献2】特開2006−351800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような光学センサーには、角度制限フィルターを用いて入射光の入射角度を制限するものがある(例えば特許文献1)。しかしながら、角度制限フィルターの側壁にすき間領域が生じると、そのすき間領域から入射光が漏れて角度制御性が劣化するという課題がある。例えば角度制限フィルターを半導体プロセスにより形成して小型化を図ることが考えられる。この場合、すき間領域を埋めようとすると工程数が増えて工程が煩雑になる等の課題がある。
【0005】
本発明の幾つかの態様によれば、側壁にすき間領域があっても高精度に入射角度を制限可能な光学センサー及電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、半導体基板上に形成された、フォトダイオード用の不純物領域と、前記フォトダイオードの受光領域に対する入射光の入射角度を制限する角度制限フィルターと、を含み、前記角度制限フィルターは、少なくとも、第1の絶縁層に対応する第1のプラグと、前記第1の絶縁層よりも上層の第2の絶縁層に対応する第2のプラグにより形成され、前記入射光の波長をλとする場合に、前記第1のプラグと前記第2のプラグの間には、すき間間隔がλ/2以下のすき間領域がある光学センサーに関係する。
【0007】
本発明の一態様によれば、角度制限フィルターを形成する第1のプラグと第2のプラグの間には、間隔がλ/2以下のすき間領域が設けられる。そして、このすき間領域が設けられた角度制限フィルターにより、フォトダイオードの受光領域に対する入射光の入射角度が制限される。これにより、角度制限フィルターにすき間領域がある場合であっても、入射光の入射制限角度を高精度に制御することが可能になる。
【0008】
また本発明の一態様では、前記第1の絶縁層は、第1の金属層と、前記第1の金属層よりも上層の第2の金属層の間に設けられる絶縁層であり、前記第2の絶縁層は、前記第2の金属層と、前記第2の金属層よりも上層の第3の金属層の間に設けられる絶縁層であり、前記第2の金属層は、前記第1の金属層の厚さよりも厚い金属層であってもよい。
【0009】
第1の金属層よりも第2の金属層が厚いことで第1のプラグと第2のプラグの間にすき間領域が生じる場合がある。本発明の一態様によれば、このような場合であっても、すき間間隔をλ/2以下にすることですき間領域から光りが漏れないため、角度制御の精度劣化を抑止できる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記フォトダイオードの出力信号を処理する回路であって、少なくとも前記第1〜第3の金属層と前記第1のプラグ及び第2のプラグにより配線が形成される処理回路を含み、前記角度制限フィルターを形成する前記第1、第2のプラグは、前記処理回路の配線層形成工程により形成されてもよい。
【0011】
このようにすれば、角度制限フィルターと処理回路の配線層を同一の配線形成工程により形成できる。これにより、角度制限フィルターの形成プロセスを別に用意する必要が無くなり、工程を簡素化できる。
【0012】
また本発明の一態様では、前記処理回路は、前記第2のプラグに対応する前記第2の絶縁層に形成されるMIM(Metal Insulator Metal)構造のキャパシターを有してもよい。
【0013】
また本発明の一態様では、前記MIM構造のキャパシターは、前記第2の金属層を下部電極とし、前記第2の金属層と前記第3の金属層の間に形成される金属層を上部電極としたキャパシターであってもよい。
【0014】
第1のプラグと第2のプラグの間にすき間領域が生じないように、第2の絶縁膜のエッチング工程においてオーバーエッチングを行うと、MIM型キャパシターの上部電極を第2のプラグが貫通してしまう場合がある。本発明の一態様によれば、このような場合であっても、すき間間隔がλ/2のすき間領域を設けることで、上部電極の貫通を抑止できる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記角度制限フィルターを形成する前記第1のプラグ及び第2のプラグは、前記フォトダイオード用の不純物領域の上に半導体プロセスによって形成された遮光物質であってもよい。
【0016】
このようにすれば、光学センサーの各構成要素を半導体プロセスにより形成できるため、光学センサーを小型化できる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記入射光の波長をλとし、前記角度制限フィルターの高さをRとし、前記角度制限フィルターの開口の幅をdとする場合に、d/λR≧2を満たしてもよい。
【0018】
このようにすれば、d/λR≧2を満たすサイズの角度制限フィルターが形成される。これにより、所望の制限角度で入射光の入射角度を制限することや、光到達率を向上することができる。
【0019】
また本発明の一態様では、前記入射光のうちの特定波長の光を透過する光バンドパスフィルターを含んでもよい。
【0020】
このようにすれば、入射光のうちの特定波長の光を角度制限フィルター及びフォトダイオードの受光領域に入射させることができる。
【0021】
また本発明の一態様では、前記光バンドパスフィルターは、前記フォトダイオードの受光面に対して、透過波長に応じた角度で傾斜する多層薄膜により形成されてもよい。
【0022】
また本発明の一態様では、前記光バンドパスフィルターは、透過波長が異なる複数組の多層薄膜により形成され、前記複数組の多層薄膜は、前記受光面に対する傾斜角度が透過波長に応じて異なり、同時の薄膜形成工程で形成されてもよい。
【0023】
このようにすれば、光バンドパスフィルターを多層薄膜により形成し、その多層薄膜の傾斜角度により透過波長を設定できる。また、透過波長が異なる複数の多層薄膜を同時に形成できる。
【0024】
また、本発明の一態様では、光学センサーは、入射光を分光するための分光センサーであってもよい。
【0025】
また、本発明の一態様では、光学センサーは、入射光の照度を測定するための照度センサーであってもよい。
【0026】
また、本発明の一態様では、光学センサーは、光源の仰角を測定するための仰角センサーであってもよい。
【0027】
また、本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載された光学センサーを含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態の光学センサーの構成例。
【図2】青色LEDのスペクトルの例。
【図3】通常の半導体プロセスについての説明図。
【図4】比較例の半導体プロセスについての説明図。
【図5】本実施形態の半導体プロセスについての説明図。
【図6】シミュレーション条件についての説明図。
【図7】入射角度に対する光到達率のシミュレーション結果。
【図8】図8(A)、図8(B)は、本実施形態についての原理的な説明図。
【図9】図9(A)〜図9(C)は、比較例における光到達率の角度特性例。
【図10】図10(A)〜図10(C)は、本実施形態における光到達率の角度特性例。
【図11】分光センサーの構成例の平面視図。
【図12】分光センサーの構成例の断面図。
【図13】図13(A)、図13(B)は、光バンドパスフィルターの透過波長帯域についての説明図。
【図14】光学センサーの製造方法例。
【図15】光学センサーの製造方法例。
【図16】光学センサーの製造方法例。
【図17】光学センサーの製造方法の変形例。
【図18】電子機器の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。なお以下では光学センサーが分光センサーである場合を例にとり説明するが、後述するように本実施形態の光学センサーは分光センサーには限定されない。
【0030】
1.構成
図1に本実施形態の分光センサーの構成例を示す。なお以下では、簡単のために本実施形態の構成を模式的に図示し、図中の寸法や比率は実際のものとは異なる。
【0031】
図1には、半導体基板10の平面に垂直な面における分光センサーの断面図を示す。分光センサーは、半導体基板10、フォトダイオード30(広義にはフォトセンサー、フォトダイオード用の不純物領域)、角度制限フィルター40、光バンドパスフィルター60(多層膜フィルター、誘電体フィルター)、周辺回路200を含む。
【0032】
フォトダイオード30と角度制限フィルター40は、後述するように半導体プロセスにより半導体基板10の上に形成される。ここで、半導体基板10の上とは、半導体基板10の平面に垂直な方向のうち、角度制限フィルター40等が形成される側の方向を表す。
【0033】
角度制限フィルター40は、例えば平面視において格子状に形成され、フォトダイオード30に対する入射光の入射角度を制限する。具体的には、角度制限フィルター40は、フォトダイオード30により検出される波長に対して遮光性のある物質(例えばタングステンプラグ)により形成され、入射角度が制限角度θ[°]より大きい光がフォトダイオード30に入射しないように遮光する。
【0034】
角度制限フィルター40の側壁には、下式(1)を満たすすき間間隔b[nm]のすき間領域が開いている。λ[nm]は、角度制限フィルター40に入射する入射光の波長である。このすき間領域は、後述するように半導体プロセスの配線形成工程で生じるものであり、プラグ形成のエッチング工程等を制御することで下式(1)が実現される。なお以下では、すき間領域をすき間と適宜省略する。またすき間間隔を間隔と適宜省略する。
【0035】
b≦λ/2 (1)
角度制限フィルター40への入射光は、例えば青色LED300(広義には光源)の光を測定対象物に照射し、その測定対象物により反射又は散乱された光である。図2に、青色LED300のスペクトル(波長特性)例を示す。図2のF1にはプロセスバラツキのミニマムケース、F2にはティピカルケース、F3にはマックスケースを示す。図2に示すように、角度制限フィルター40に入射する可能性のある最短波長はλmin=410nmである。この場合、すき間の間隔は下式(2)に設定される。
【0036】
b≦λmin/2=205nm (2)
光バンドパスフィルター60は、角度制限フィルター40の上に積層された多層薄膜により形成される。後述するように、角度制限フィルター40により入射角度が制限されることで光バンドパスフィルター60の透過波長帯域が制限され、所望の波長分解能の分光特性を得ることができる。
【0037】
周辺回路200は、半導体基板10上に形成される回路であり、例えばフォトダイオード30により検出された信号の処理を行う。周辺回路200は、トランジスター210や配線230、配線230に含まれる金属層の間に形成されたMIM(Metal Insulator Metal)型キャパシター220を含む。配線230とMIM型キャパシター220を形成する工程により角度制限フィルター40が形成される。
【0038】
以上の実施形態によれば、半導体プロセスにより角度制限フィルター40を形成することで光学センサーを小型化できる。しかしながら、半導体プロセスにおいて角度制限フィルター40の側壁にすき間が生じないようにすると、工程が煩雑になるという課題がある。この点本実施形態によれば、間隔b≦λ/2のすき間を許容することで工程を簡素化でき、すき間から光が漏れることがない。
【0039】
2.工程の簡素化
この工程の簡素化について比較例を用いて詳細に説明する。間隔b≦λ/2の条件で漏光が無いことについては後述する。
【0040】
まず図3を用いて通常の半導体プロセスについて説明する。図3に示すように、半導体基板10の上にトランジスター210、絶縁層SLZ(酸化膜)、タングステンプラグHLZ(導電性プラグ)、アルミ層ALA〜ALE(金属層)、絶縁層SLA〜SLD(酸化膜)、タングステンプラグHLA〜HLD(導電性プラグ)が形成される。
【0041】
絶縁層SLZは、アルミ層ALAとトランジスター210の間を絶縁する。プラグHLZは、アルミ層ALAとトランジスター210の拡散層との間を接続する。絶縁層SLA〜SLDは、アルミ層ALA〜ALEの各層の間を絶縁する。プラグHLA〜HLDは、アルミ層ALA〜ALEの各層の間を接続する。
【0042】
最上層のアルミ層ALEと、その1つ下層のアルミ層ALDの間には、MIM型キャパシターの上部電極221が形成される。MIM型キャパシターの下部電極222は、アルミ層ALDにより形成される。上部電極221はMIM用金属層により形成され、上部電極221と下部電極222の間にはSiO等の絶縁膜(誘電体)が形成される。上部電極221は、プラグHLDによりアルミ層ALEに接続される。
【0043】
図4に本実施形態の比較例を示す。この比較例では、プラグHLDをオーバーエッチングしてプラグHLCに接続する。なお図4では角度制限フィルター40の側壁の1つのみを示すが、他の側壁も同様である。
【0044】
図4に示すように、角度制限フィルター40の側壁はプラグHLA〜HLDにより形成される。プラグHLA〜HLDを埋め込むためのホールは、絶縁層SLA〜SLDをエッチングすることで形成される。通常はアルミ層ALA〜ALEがストッパーとなってエッチングが止まるが、角度制限フィルター40ではアルミ層ALA〜ALEが無いため通常よりも3000〜4000Å深くエッチングされる。アルミ層ALA〜ALCの厚さは3000〜4000Åであるため、プラグHLB、HLCは下層のプラグまで達する。
【0045】
一方、アルミ層ALDの厚さは5000〜6000Åであるため、プラグHLDのホールは下層のプラグに達するまでエッチングされない。そのため、プラグHLDとプラグHLCの間には1800〜2200Åのすき間が開いてしまう。このすき間を埋めるためには、さらに1800〜2200Åのオーバーエッチングが必要である。しかしながら、オーバーエッチングによりプラグHLDがMIM型キャパシターの上部電極221を貫通してしまい、ショート等の故障を生じてしまう。このようなオーバーエッチングによる貫通を避けるためには、角度制限フィルター40と周辺回路200でプラグHLDのマスクを別個に用意し、別々の工程でエッチングを行う必要がある。
【0046】
このように、角度制限フィルター40の側壁をタングステンプラグで形成し、プラグ間のすき間を無くそうとすると、工程数が増えてプロセスが煩雑になるという課題がある。
【0047】
この点本実施形態によれば、入射光が漏れない間隔b≦λ/2のすき間を、プラグHLDとプラグHLCの間に設けることで、工程を簡素化できる。即ち、角度制限フィルター40と周辺回路200でプラグHLDのマスクを別個に用意する必要がなくなり、通常の配線形成工程により角度制限フィルター40の側壁を形成できる。
【0048】
図5を用いて、このような本実施形態の半導体プロセスについて詳細に説明する。なお以下では、図2で上述したb≦λmin/2=205nm(2050Å)の場合を例にとり説明する。
【0049】
図5に示すように、角度制限フィルター40の側壁はプラグHLA〜HLDにより形成される。プラグHLB、HLCは、図4で上述した工程と同様にして下層のプラグに接続される。一方、プラグHLDのホールを形成するエッチング工程は、図4で上述した3000〜4000Åのエッチングと150Åの追加エッチングにより行われる。3000〜4000ÅのエッチングによりプラグHLDの下端からプラグHLCの上端までの間隔は1800〜2200Åとなる。そして、150Åの追加エッチングにより、間隔は2050Åより小さくなり、間隔b≦2050Åを満たすことができる。MIM型キャパシターの上部電極221は、150Åの追加エッチングに対して十分な厚さがあるため、プラグHLDが貫通することはない。
【0050】
なお、3000〜4000Åのエッチングと150Åの追加エッチングは、3150〜4150Åの1回のエッチングにより実現されてもよいし、別々のエッチングにより実現されてもよい。また、150Åの追加エッチングは必ず実行される必要はなく、例えば3000〜4000Åのエッチング後にホール下端からプラグHLCまでの膜厚を測定し、測定された膜厚が2050Å以上である場合にのみ追加エッチングを行ってもよい。
【0051】
以上の実施形態によれば、図1に示すように、光学センサーはフォトダイオード用の不純物領域30と角度制限フィルター40を含む。フォトダイオード用の不純物領域30は半導体基板10上に形成される。角度制限フィルター40は、フォトダイオードの受光領域に対する入射光の入射角度を制限する。図5に示すように、角度制限フィルター40は、少なくとも、第1の絶縁層(SLC)に対応する第1のプラグ(HLC)と、第2の絶縁層(SLD)に対応する第2のプラグ(HLD)により形成される。入射光の波長をλとする場合に、第1のプラグ(HLC)と第2のプラグ(HLD)の間にはすき間間隔bがλ/2以下のすき間領域がある。
【0052】
このようにすれば、側壁にすき間領域があっても高精度に入射角度を制限することが可能になる。また、すき間領域を設けることで角度制限フィルターの形成工程を簡素化できる。即ち、図4で上述のようにプラグHLDを下層のプラグHLCに接続するためには、角度制限フィルター40と周辺回路200でHLDのマスクを分ける必要がある。この点本実施形態によれば、図5で上述のようにマスクを分ける必要が無く通常の配線形成工程により角度制限フィルター40を形成できる。また、図7等で後述するようにb≦λ/2ではすき間領域を光が通過しないため、b=0の場合と同じ角度制限を実現できる。
【0053】
ここで、すき間領域とは、角度制限フィルターの開口と、その開口に隣接する他の開口とを遮光する側壁を貫通する領域(遮光物質が存在しない部分)である。すき間領域は、側壁の外周に沿って一周する連続したものであってもよいし、断続的に開いた穴であってもよい。また、すき間領域は、側壁に空いた1又は複数の穴であってもよい。
【0054】
また、すき間間隔bとは、すき間領域の一方の壁から他方の壁までの距離である。例えば、プラグHLDとプラグHLCの間のすき間領域は、側壁の外周に沿って一周する連続したすき間領域であり、半導体基板10に平行である。この場合、すき間領域の上壁であるプラグHLDの下端から、すき間領域の下壁であるプラグHLCまでの距離が、すき間間隔bである。また、例えばすき間領域が長方形の穴である場合、長方形の長辺間の距離がすき間間隔bである。
【0055】
また本実施形態では、第1の絶縁層(SLC)は、第1の金属層(ALC)と、第1の金属層(ALC)よりも上層の第2の金属層(ALD)の間に設けられる絶縁層である。第2の絶縁層(SLD)は、第2の金属層(ALD)と、第2の金属層(ALD)よりも上層の第3の金属層(ALE)の間に設けられる絶縁層である。第2の金属層(ALD)は、第1の金属層(ALC)の厚さ(例えば3000〜4000Å)よりも厚い(5000〜6000Å)金属層である。即ち、半導体プロセスにより積層される金属の層の厚さが、第1の金属層よりも第2の金属層の方が厚い。
【0056】
図4で上述のように、アルミ層ALCよりもアルミ層ALDが厚いことでプラグHLDとプラグHLCの間にすき間領域が生じる。本実施形態によれば、このすき間領域をb≦λ/2にコントロールすることで漏光を抑止して所望の制限角度を得ることができる。
【0057】
また本実施形態の光学センサーは、図1に示すように、フォトダイオード30の出力信号を処理する処理回路(周辺回路200)を含む。図5に示すように、処理回路は、少なくとも第1〜第3の金属層(ALC〜ALE)と第1、第2のプラグ(HLC、HLD)により配線が形成される。そして角度制限フィルター40を形成する第1のプラグ(HLC)及び第2のプラグ(HLD)は、処理回路の配線層形成工程により形成される。例えば、角度制限フィルター40は、SiOデポジションによる絶縁膜形成、タングステンデポジションによるプラグ形成等により形成される。
【0058】
このようにすれば、角度制限フィルター40と処理回路の配線層を同じ(同時の)配線形成工程により形成できる。これにより、角度制限フィルター40の形成プロセスを別に用意する必要が無くなり、工程を簡素化できる。また、処理回路をフォトダイオード30や角度制限フィルター40と同じチップ上に集積できるため、光学センサーの小型化が可能である。
【0059】
また本実施形態では、図1に示すように、処理回路はMIM型キャパシター220を有する。図5に示すように、MIM型キャパシターは、第2のプラグ(HLD)に対応する第2の絶縁層(SLD)に形成される。具体的には、MIM構造のキャパシターは、第2の金属層(ALD)を下部電極とし、第2の金属層(ALD)と第3の金属層(ALE)の間に形成される金属層を上部電極221としたキャパシターである。
【0060】
図5で上述のように、プラグHLDとプラグHLCの間に生じるすき間領域をエッチングにより埋めようとすると、MIM型キャパシターの上部電極221をプラグHLDが貫通してしまう。本実施形態によれば、すき間領域をb≦λ/2にコントロールすることで、この貫通の問題点を解消できる。
【0061】
ここで、処理回路は、トランジスター、キャパシター、抵抗などの回路素子により形成され、そのキャパシターがMIM構造のキャパシターにより形成される。例えば、処理回路は演算増幅器を含み、その演算増幅器の位相補償用キャパシターがMIM構造のキャパシターにより形成される。
【0062】
以上では、本実施形態の光学センサーが分光センサーである場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、光バンドパスフィルター60を省略し、本実施形態の光学センサーを照度センサーや、仰角センサーに適用してもよい。
【0063】
ここで、照度センサーとは、自然光や照明光の照度(ルクス、またはルーメン/平方メートル)を測定する光学センサーである。本実施形態では、角度制限フィルターにより入射角度が制限されるため、測定対象以外からの不要な光の入射を制限できる。例えば、自動車の前照灯を進行方向の明るさに応じて自動的に点灯するシステムに本実施形態を適用することが考えられる。例えばトンネル進入時に、不要な光に反応しなくなるため、適切な自動点灯が可能になる。
【0064】
また、仰角センサーとは、太陽や照明光源の方向と基準面との間の成す角度である仰角を測定する光学センサーである。基準面は、例えば水平面である。本実施形態では、角度制限フィルターにより入射角度が制限されるため、仰角の測定ができる。例えば、太陽光発電システムに本実施形態を適用することが考えられる。この場合、太陽の方向を高精度に測定し、その方向に太陽電池パネルを向けることで高効率な発電が可能になる。
【0065】
3.すき間間隔と制限角度の関係
上述のように、すき間間隔がb≦λ/2を満たす場合には角度制限フィルターの側壁から漏光しないため、すき間領域が無い場合と同様の制限角度を得ることができる。この点について、図6〜図8を用いて説明する。
【0066】
まず、間隔bを変えたときの制限角度のシミュレーション結果について説明する。図6にはシミュレーション条件を示す。図6に示すように、角度制限フィルターの開口幅をd=1.4μmとし、高さをR=5μmとし、側壁の厚さを0.2μmとする。この場合、制限角度はθ=tan−1(d/R)=15.6°である。角度制限フィルターの開口はSiO酸化膜で充填されているとする。側壁のすき間の間隔をbとし、光源からの入射光の入射角度をαとする。光源からの入射光の波長はλ=500nmである。
【0067】
図7に、入射角度αに対する光到達率の特性を上記の条件によりシミュレーションした結果を示す。光到達率とは、角度制限フィルターの開口に入射する光量と、フォトダイオードに到達する光量との比率である。なお以下では制限角度θを、光到達率が、入射角度α=0°における光到達率の1/2になるときの入射角度αとする。なお本実施形態はこれに限定されず、光到達率が他の比になる場合の入射角度によりθを定義してもよい。
【0068】
図7のG1に示すように、すき間の間隔b=0nmの場合には制限角度θ=15°となる。G2に示すように、間隔b=250nmの場合には、b=0nmと同じ制限角度θ=15°となる。このようにb≦λ/2=250nmを満たす間隔bでは、すき間の影響が無く、所望の制限角度15.6°に近い制限角度を得られることが分かる。一方、G3に示すように、b=500nmでb>λ/2の場合には、制限角度θ=20°となり、すき間から漏光して所望の制限角度が得られないことが分かる。
【0069】
次に、b≦λ/2の条件式について原理的に説明する。図8(A)に示すように、角度制限フィルターの側壁に開いた間隔bの狭い空間を光が伝搬する場合、光は空間の壁面に反射されながら伝搬する。空間の入り口から右斜め上に進む光Eは下式(3)で表される。空間の入り口から右斜め下に進む光Eは下式(4)で表される。
【0070】
=sin(kxcosβ+kxsinβ−ωt) (3)
=sin(−kxcosβ+kxsinβ−ωt) (4)
ここで、βは、壁面に垂直な方向と光の進行方向との成す角度である。k=2π/λは光の波数である。x軸は、壁面に垂直な方向に沿った座標軸であり、Z軸は、x軸に垂直で壁面に平行な方向に沿った座標軸である。ωは光の各周波数である。tは時間である。
【0071】
空間内での光Eは、下式(5)に示すように、EとEの足し合わせで表される。
【0072】
E=E−E
=2sin(kxcosβ)cos(kxsinβ−ωt) (5)
導体の壁面では境界条件E=0を満たす必要がある。壁面をx=0、bとすると、x=0ではE=0となり境界条件を満たす。x=bでは、sin(kxcosβ)=0の場合に境界条件を満たすため、下式(6)の角度βのみが許される。ここでnは自然数である。
【0073】
kdcosβ=(2πb/λ)cosβ=nπ (6)
b=λ/2とすると下式(7)となり、β=0°のみが許される。図8(B)に示すようにβ=0°では光が空間内を伝搬できないため、b≦λ/2では側壁のすき間から漏光しない。
【0074】
(2πb/λ)cosβ=(2π(λ/2)/λ)cosβ
=πcosβ
=nπ (7)
以上の実施形態によれば、すき間の間隔b≦λ/2では所望の制限角度が得られる。そして上述のように、このようなすき間を設けることでプロセスの簡素化を実現できる。
【0075】
4.開口サイズ
さて本実施形態では、角度制限フィルターの開口幅と高さを適切に設定することで、角度制御性や光到達率を高めることができる。この点について詳細に説明する。
【0076】
図1に示すように、角度制限フィルター40の開口幅をd[μm]とし、高さをR[μm]とする。角度制限フィルター40に対する入射光の波長をλ[μm]とする。この場合、下式(8)に示す条件を満たすように角度制限フィルター40が形成される。
【0077】
/(λ×R)≧2 (8)
また、制限角度θが下式(9)に示す条件を満たすように角度制限フィルター40が形成される。これは、角度制限フィルター40が無い場合であっても、入射光の入射角度が60°になるとフォトダイオード30に到達する光量が入射光量に対して1/2になるためである。即ち、到達光量が1/2になる入射角度を制限角度とする場合、角度制限フィルター40の角度制限を有効にするためにはθ<60°が必要である。
【0078】
60°>θ=tan−1(d/R) (9)
次に、上式(8)について、d/(λ×R)<2の角度制限フィルターを比較例として説明する。図9(A)〜図9(C)に比較例の角度特性の測定値を示す。図9(A)〜図9(C)には、波長λ=0.5μm、高さR=5μmにおける測定値を示す。
【0079】
図9(A)には、角度制限フィルターが無い場合における入射角度0°の光到達率を1とした光到達率特性を示す。光到達率とは、角度制限フィルターの開口に入射する光量と、フォトダイオードに到達する光量との比率である。
【0080】
図9(A)のA1に示すように、角度制限フィルターが無い場合には、入射角度が増加するに従って光到達率が緩やかに減衰する。A2に示すように、制限角度θ=15°、開口幅d=1.34μmの場合には、光到達率の最大値は0.23である。A3に示すように、制限角度θ=20°、開口幅d=1.82μmの場合には、光到達率の最大値は0.45である。このように、比較例の角度制限フィルターでは光到達率が50%を切っており、入射光が暗いときにはセンサー感度が不足する可能性がある。
【0081】
図9(B)には、図9(A)の光到達率特性を、入射角度0°において1に正規化したものを示す。図2(B)のB1に角度制限フィルターが無い場合の測定値を示し、B2にθ=15°の場合の測定値を示し、B3にはθ=20°の場合の測定値を示す。B2、B3に示すように、実際に測定された制限角度はいずれも22°程度であり、所望の角度制御性が得られていない。
【0082】
図9(C)は、上記の測定値をまとめたものである。図2(C)に示すように、θ=15°、20°いずれの場合もd/(λ×R)<2であり、この範囲では角度制御性や光到達率が十分に得られないことがわかる。
【0083】
この点本実施形態によれば、上式(8)に示すようにd/(λ×R)≧2を満たすように角度制限フィルターを形成することで、角度制御性や光到達率を向上できる。図10(A)〜図10(C)を用いて詳細に説明する。図10(A)〜図10(C)には、波長λ=0.5μm、高さR=5μmにおける測定値を示す。
【0084】
図10(A)には、角度制限フィルターが無い場合における入射角度0°の光到達率を1とした光到達率特性を示す。図10(A)のC1に示すように、角度制限フィルターが無い場合の特性は比較例と変わりがない。C2に示すように、制限角度θ=25°、開口幅d=2.33μmの場合には、光到達率の最大値は0.54である。C3に示すように、制限角度θ=30°、開口幅d=2.89μmの場合には、光到達率の最大値は0.64である。このように、本実施形態では光到達率が50%よりも大きい。
【0085】
図10(B)には、図10(A)の光到達率特性を、入射角度0°において1に正規化したものを示す。図10(B)のD1に角度制限フィルターが無い場合の測定値を示し、D2にθ=25°の場合の測定値を示し、D3にはθ=30°の場合の測定値を示す。D2、D3に示すように、実際に測定された制限角度はそれぞれ24°〜25°、28°〜29°であり、所望の角度制御性が得られている。
【0086】
図10(C)は、上記の測定値をまとめたものである。図10(C)に示すように、θ=25°、30°いずれの場合もd/(λ×R)≧2の条件を満たしており、この範囲では角度制御性や光到達率が十分に得られていることが分かる。このように、角度制御性が向上することで、例えば分光センサーでは所望の波長分解能が実現できる。また比較例に比べて光到達率が大きくなることで、光量が少なくても高感度にセンシング可能になる。
【0087】
例えば、上述した比較例のθ=15°の角度制限フィルターをd/(λ×R)≧2の範囲で設計すれば、下式(10)に示すようにd=4.02μm、R=15μmとすればよい。またθ=20°の角度制限フィルターは、下式(11)に示すようにd=3.64μm、R=10μmとすればよい。
【0088】
/(λ×R)=4.02/(0.5×15)=2.15≧2 (10)
/(λ×R)=3.64/(0.5×10)=2.65≧2 (11)
以上の実施形態によれば、角度制限フィルターの高さをRとし、角度制限フィルターの開口の幅をdとする場合に、d/λR≧2を満たす。
【0089】
これにより、入射光の入射制限角度θを高精度に制御することや、光到達率を向上することが可能になる。即ち、図9(C)に示すd/λR<2での測定値に比べて、図10(C)に示すd/λR≧2での測定値では所望の制限角度が実現され、光到達率が高くなっている。
【0090】
ここで、制限角度θとは、角度制限フィルター40に対して入射光が入射角度0°で入射する場合に受光面に到達する光量と、角度制限フィルター40に対して入射光が入射角度θで入射する場合に受光面に到達する光量との比が、所定の減衰率となる場合の角度θである。例えば所定の減衰率は1/2である。
【0091】
また、角度制限フィルター40の高さRとは、半導体基板10の平面に垂直な方向における高さであり、例えば角度制限フィルター40を形成する遮光物質の下端から上端までの高さである。
【0092】
また、角度制限フィルター40の開口とは、入射光が入射する側の面において遮光物質が存在しない領域であり、角度制限フィルター40に対して入射光が入射する領域である。なお開口の外周は必ずしも遮光物質で閉じている必要はなく、開口の外周に沿って断続的に遮光物質が配されてもよい。
【0093】
また、開口の開口幅dとは、制限角度θ(開口幅dと高さRのアスペクト比)を規定する長さであり、例えば正方形の開口の場合にはその正方形の一辺の長さである。あるいは、長方形の開口の場合にはその長方形の最長辺の長さであり、円の開口の場合にはその円の直径であり、楕円の開口の場合にはその楕円の長径である。
【0094】
5.分光センサー
上述した本実施形態の分光センサーの詳細な構成例について説明する。
【0095】
図9に、分光センサーが形成される半導体基板10に対する平面視図を示す。図9は、半導体基板10の平面に垂直な方向から見た平面視において、回路20や角度制限フィルター41等が形成される表面側から見た平面視図である。後述のように角度制限フィルター41、42の上には多層膜フィルターが形成されるが、図11では、簡単のために図示を省略する。
【0096】
図11に示す分光センサーは、半導体基板10、回路20、第1のフォトダイオード31(広義には、第1のフォトセンサー、第1のフォトダイオード用の不純物領域)、第2のフォトダイオード32(広義には、第2のフォトセンサー、第2のフォトダイオード用の不純物領域)、第1の角度制限フィルター41、第2の角度制限フィルター42を含む。
【0097】
半導体基板10は、例えばP型やN型のシリコン基板(シリコンウエハ)により構成される。この半導体基板10の上には、回路20、フォトダイオード31、32、角度制限フィルター41、42が半導体プロセスにより形成される。
【0098】
角度制限フィルター41、42は、例えば平面視において格子状に形成され、フォトダイオード31、32に対する入射光の入射角度を制限する。回路20は、例えばフォトダイオード31、32からの出力信号を処理するアンプ、A/D変換回路等により構成される。
【0099】
なお、本実施形態の分光センサーは図11の構成に限定されず、その構成要素の一部(回路20)を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。例えば、フォトダイオードや角度制限フィルターは、上述のように2つであってもよく、1または複数個形成されてもよい。また、角度制限フィルター41、42は、上述のように平面視において格子状であってもよく、他の形状であってもよい。
【0100】
図12に、分光センサーの断面図を示す。図12は、図11に示すAA断面における断面図である。図12に示す分光センサーは、半導体基板10、フォトダイオード31、32、角度制限フィルター41、42、傾斜構造体50(角度構造体)、第1の光バンドパスフィルター61(第1の多層膜フィルター、第1の誘電体フィルター)、第2の光バンドパスフィルター62(第2の多層膜フィルター、第2の誘電体フィルター)、を含む。
【0101】
半導体基板10にフォトダイオード31、32が形成される。後述するように、このフォトダイオード31、32は、イオン注入等により不純物領域が形成されることで形成される。例えば、フォトダイオード31、32は、P基板上に形成されたN型不純物領域と、P基板との間のPN接合により実現される。あるいは、ディープNウェル(N型不純物領域)上に形成されたP型不純物領域と、ディープNウェルとの間のPN接合により実現される。
【0102】
角度制限フィルター41、42は、フォトダイオード31、32により検出される波長に対して遮光性のある遮光物質(例えば、光吸収物質または光反射物質)により形成される。具体的には、角度制限フィルター41、42は、半導体プロセスの配線形成工程により形成され、例えばタングステン(広義には光吸収物質)プラグ等の導電性プラグにより形成される。また、角度制限フィルター41、42は、アルミ(広義には光反射物質)配線層等の導電層を含んで形成されてもよい。
【0103】
角度制限フィルター41、42の底辺の開口幅と高さのアスペクト比は、光バンドパスフィルター61、62の透過波長帯域(例えば図13(B)で後述するBW1、BW2)に応じて設定される。角度制限フィルター41、42の開口部(中空部)は、フォトダイオード31、32により検出される波長に対して透明な物質により形成され、例えば、SiO(シリコン酸化膜)等の絶縁層により形成(充填)される。
【0104】
傾斜構造体50は、角度制限フィルター41、42の上に形成され、光バンドパスフィルター61、62の透過波長に応じて異なる傾斜角の傾斜面を有する。具体的には、フォトダイオード31の上には、半導体基板10の平面に対する傾斜角度θ1の傾斜面が複数形成され、フォトダイオード32の上には、θ1とは異なる傾斜角度θ2の傾斜面が複数形成
される。後述するように、この傾斜構造体50は、例えばSiO等の絶縁膜をエッチングまたはCMP、グレースケールリソグラフィー技術等により加工することで形成される。
【0105】
光バンドパスフィルター61、62は、傾斜構造体50の上に積層された多層薄膜70により形成される。光バンドパスフィルター61、62の透過波長帯域は、傾斜構造体50の傾斜角度θ1、θ2と、角度制限フィルター41、42の入射光制限角度(アスペクト比)により決まる。光バンドパスフィルター61、62は、傾斜角度に応じて透過波長が異なる構成のため、透過波長毎に別個の工程で積層するのではなく、同一の多層膜形成工程により積層される。
【0106】
さて従来の光学センサーでは、小型化が困難であるという課題がある。例えば、連続スペクトルを取得する分光センサーでは、連続スペクトルを生成するためのプリズム等を設けたり、光路長を確保する必要があるため、装置が大型化してしまう。そのため、多数のセンサーを設置したり、センサーを検査対象物に常時設置しておくこと等が困難となってしまう。
【0107】
この点本実施形態の光学センサーは、フォトダイオード用の不純物領域31、32と、角度制限フィルター40を含む。フォトダイオード用の不純物領域31、32は、半導体基板10上に形成される。角度制限フィルター41、42は、フォトダイオード用の不純物領域31、32の上に半導体プロセスによって形成された遮光物質によって形成される。
【0108】
このようにすれば、光学センサーの各構成要素を半導体プロセスにより構成できるため、光学センサーの小型化等が可能になる。即ち、フォトダイオード31、32や角度制限フィルター41、42を半導体プロセスにより形成することで、容易に微細加工を行い、小型化することができる。また、部材を貼り合わせて構成する場合と比べて、透過波長選択性を向上できる。また、角度制限フィルターとして光ファイバーを用いた場合に比べて、制限角度(開口数)の減少による透過光の減少を抑制し、波長選択性を向上できる。
【0109】
ここで、半導体プロセスとは、半導体基板にトランジスターや、抵抗素子、キャパシター、絶縁層、配線層等を形成するプロセスである。例えば、半導体プロセスは、不純物導入プロセスや、薄膜形成プロセス、フォトリソグラフィープロセス、エッチングプロセス、平坦化プロセス、熱処理プロセスを含むプロセスである。
【0110】
また、フォトダイオードの受光領域とは、角度制限フィルター41、42を通過した入射光が入射される、フォトダイオード用の不純物領域31、32上の領域である。例えば図11において、格子状の角度制限フィルター41、42の各開口に対応する領域である。あるいは、図12において、角度制限フィルター41、42を形成する遮光物質に囲まれた領域(例えば、領域LRA)である。
【0111】
また、遮光物質とは、光吸収物質または光反射物質である。光吸収物質は例えばタングステンであり、光反射物質は例えばアルミである。
【0112】
なお、角度制限フィルター41、42は、受光領域の外周に沿って閉じている場合に限らず、外周に沿って非連続的な部分があったり、外周に沿って断続的に配置されたりしてもよい。
【0113】
また本実施形態では、後述する図14に示すように、角度制限フィルター41、42は、半導体基板10の上に積層された絶縁膜に空けられたコンタクトホールの導電性プラグにより形成される。即ち、アルミ配線等の金属配線層を用いず、SiO等の絶縁膜に形成されたタングステンプラグ等の導電性プラグのみにより形成される。
【0114】
このようにすれば、角度制限フィルター41、42を導電性プラグにより形成することができる。具体的には、光吸収物質であるタングステンプラグにより形成できるため、遮光性を向上できる。
【0115】
ここで、コンタクトホールとは、配線層と半導体基板を導通するコンタクトのために空けられるコンタクトホール、または配線層と配線層を導通するビアコンタクトのために空けられるコンタクトホールである。
【0116】
なお、角度制限フィルター41、42は、光反射物質のアルミ配線層や、光吸収物質のタングステンコンタクトに限らず、光吸収物質から成る配線層や、光反射物質から成るコンタクトにより形成されてもよい。ただし、光吸収物質から成る程遮光性は高まる。
【0117】
また、角度制限フィルター41、42は、光吸収物質である窒化チタン(TiN)等の膜付きのアルミ配線層や、タングステンコンタクトにより形成されてもよい。アルミ配線層が光吸収に変わり、タングステンより窒化チタン(TiN)の方が光吸収性が高いためコンタクトの光吸収性も上がる。これにより遮光性をより高めることができる。
【0118】
また本実施形態では、角度制限フィルター41、42は、半導体プロセスにより形成される導電層または導電性プラグにより形成され、フォトダイオード31、32用の不純物領域からの信号を取得する電極であってもよい。例えば、フォトダイオード31、32用の不純物領域がP型不純物領域である場合、そのP型不純物領域に導通する角度制限フィルター41、42が、フォトダイオード31、32のアノード電極を兼ねてもよい。
【0119】
このようにすれば、導電層または導電性プラグにより形成される角度制限フィルター41、42を、フォトダイオード31、32の電極として用いることができる。これにより、角度制限フィルター41、42以外に電極を設ける必要が無くなり、電極による入射光量の低下を避けることができる。
【0120】
また本実施形態の光学センサーは、入射光のうちの特定波長の光を透過する光バンドパスフィルター61、62を含む。例えば本実施形態では、半導体基板10、角度制限フィルター41、42、光バンドパスフィルター61、62の順に半導体プロセスにより順次積層される。
【0121】
このようにすれば、入射光のうちの特定波長の光を角度制限フィルター41、42やフォトダイオード31、32用の不純物領域に入射できる。図13(A)等で後述のように、光バンドパスフィルター61、62の透過波長は入射角度によって変化するが、角度制限フィルター41、42により透過波長帯域を制限することができる。
【0122】
また本実施形態では、光バンドパスフィルター61、62は、半導体基板10に対して、透過波長に応じた角度θ1、θ2で傾斜する多層薄膜により形成される。より具体的には、光バンドパスフィルター61、62は、透過波長が異なる複数組の多層薄膜により形成される。そして、その複数組の多層薄膜は、半導体基板10に対する傾斜角度θ1、θ2が透過波長に応じて異なり、同時の薄膜形成工程で形成される。例えば、図12に示すように、傾斜角度θ1の複数の多層薄膜が連続して配列されることで1組の多層薄膜が形成される。あるいは、異なる傾斜角度θ1〜θ3の多層薄膜が隣接して配置され、この傾斜角度θ1〜θ3の多層薄膜が繰り返し配置される場合に、同じ傾斜角の複数の多層薄膜により1組の多層薄膜が形成されてもよい。
【0123】
このようにすれば、透過波長に応じた角度θ1、θ2で傾斜する多層薄膜により光バンドパスフィルター61、62を形成できる。これにより、透過波長に応じた膜厚の多層薄膜を透過波長毎に別個の工程で積層する必要がなくなり、多層薄膜の形成工程を簡素化できる。
【0124】
ここで、同時の薄膜形成工程とは、第1組の多層薄膜を形成した後に第2組の多層薄膜を形成するといった同一工程を順次繰り返す工程ではなく、複数組の多層薄膜を同じ(1回の)薄膜形成工程で形成することをいう。
【0125】
また本実施形態では、角度制限フィルター41、42の上に設けられた傾斜構造体50を含む。そして、傾斜構造体50は、半導体基板10に対して、光バンドパスフィルター61、62の透過波長に応じた角度θ1、θ2で傾斜する傾斜面を有し、多層薄膜がその傾斜面の上に形成される。
【0126】
このようにすれば、傾斜構造体50の傾斜面に多層薄膜を形成することで、光バンドパスフィルター61、62の透過波長に応じた角度θ1、θ2で傾斜する多層薄膜を形成できる。
【0127】
また本実施形態では、傾斜構造体50は、角度制限フィルター41、42の上に半導体プロセスにより形成される。例えば図15等で後述するように、傾斜構造体50は、半導体プロセスにより積層された透明膜(絶縁膜)に段差または粗密パターンが形成され、その段差または粗密パターンに対して研磨(例えばCMP)及びエッチングの少なくとも一方が行われることで形成される。
【0128】
このようにすれば、傾斜構造体を半導体プロセスにより形成できる。これにより、傾斜構造体の形成工程を簡素化できる。また、傾斜構造体を別部材で構成する場合と比べてコストを削減できる。また、別部材の傾斜構造体との接着面での光量減少を避けることができる。
【0129】
ここで、絶縁膜の段差とは、例えば、半導体基板の断面における半導体基板表面からの絶縁膜表面の高低差である。また、絶縁膜の粗密パターンとは、例えば、半導体基板の断面における半導体基板表面からの絶縁膜表面の高低のパターンであり、高い部分と低い部分の比率により絶縁膜の粗密が形成される。
【0130】
なお、傾斜構造体50は、段差または粗密パターンの研磨またはエッチングによる形成に限らず、グレースケールリソグラフィー技術により形成されてもよい。グレースケールリソグラフィー技術では、濃淡を持ったグレースケールマスクを用いてレジストを露光、露光レジストを使ってエッチングし傾斜構造体を形成する。
【0131】
6.光バンドパスフィルターの透過波長帯域
上述のように、光バンドパスフィルターの透過波長帯域は、多層薄膜の傾斜角度と角度制限フィルターの制限角度により設定される。この点について、図13(A)、図13(B)を用いて具体的に説明する。なお、説明を簡単にするために、以下では光バンドパスフィルター61、62の多層薄膜の膜厚が同じ場合を例に説明するが、本実施形態では、光バンドパスフィルター61、62の多層薄膜の膜厚が傾斜角度θ1、θ2に応じて異なってもよい。例えば、薄膜のデポジションにおいて、半導体基板に対して垂直な方向に薄膜を成長させた場合、光バンドパスフィルター61、62の多層薄膜の膜厚がcosθ1、cosθ2に比例してもよい。
【0132】
図13(A)に示すように、光バンドパスフィルター61、62の多層薄膜は、厚さd1〜d3(d2<d1、d3<d1)の薄膜により形成される。厚さd1の薄膜の上下に、厚さd2、d3の薄膜が交互に複数層積層される。厚さd2の薄膜は、厚さd1、d3の薄膜とは異なる屈折率の物質により形成される。なお、図13(A)では、簡単のために、厚さd2、d3の薄膜の層数を省略したが、実際には、厚さd1の薄膜の上下に数十層〜数百層の薄膜が積層される。また、図13(A)では、簡単のために厚さd1の薄膜を1層としたが、実際には複数層形成される場合が多い。
【0133】
光バンドパスフィルター61の多層薄膜は、フォトダイオード31の受光面に対して傾斜角度θ1を有するため、受光面に対して垂直な光線は、光バンドパスフィルター61の多層薄膜に対してθ1の角度で入射する。そして、角度制限フィルター41の制限角度をΔθとすると、光バンドパスフィルター61の多層薄膜に対してθ1−Δθ〜θ1+Δθで入射する光線がフォトダイオード31の受光面に到達する。同様に、フォトダイオード32の受光面には、光バンドパスフィルター62の多層薄膜に対してθ2−Δθ〜θ2+Δθで入射する光線が到達する。
【0134】
図13(B)に示すように、光バンドパスフィルター61の透過波長帯域BW1は、λ1−Δλ〜λ1+Δλである。このとき、入射角度θ1の光線に対する透過波長λ1=2×n×d1×cosθ1である。ここで、nは厚さd1の薄膜の屈折率である。また、λ1−Δλ=2×n×d1×cos(θ1+Δθ)、λ1+Δλ=2×n×d1×cos(θ1−Δθ)である。入射角度θ1の光線に対する透過波長の半値幅HW(例えばHW<BW1)は、多層膜の積層数により決まる。フォトダイオード31の受光量は、受光面に垂直となる入射角θ1で最大であり、制限角度でゼロとなるため、入射光全体での受光量は点線でしめす曲線により表されることとなる。光バンドパスフィルター62の透過波長帯域BW2も同様に、λ2−Δλ〜λ2+Δλである。例えばθ2>θ1の場合、λ2=2×n×d1×cosθ2<λ1=2×n×d1×cosθ1である。
【0135】
上記実施形態によれば、角度制限フィルター41、42は、入射光の入射角度をθ1−Δθ〜θ1+Δθ、θ2−Δθ〜θ2+Δθに制限して、透過波長の変化範囲をλ1−Δλ〜λ1+Δλ、λ2−Δλ〜λ2+Δλに制限する。光バンドパスフィルターは、角度制限フィルター41、42により制限された透過波長の変化範囲λ1−Δλ〜λ1+Δλ、λ2−Δλ〜λ2+Δλにより、透過する特定波長の帯域BW1、BW2が設定される。
【0136】
このようにすれば、角度制限フィルター41、42により光バンドパスフィルターの透過波長帯域BW1、BW2を制限し、測定対象の波長帯域の光だけをセンシングすることができる。例えば、角度制限フィルター41、42の制限角度はΔθ≦30°に設定される。望ましくは、角度制限フィルター41、42の制限角度はΔθ≦20°である。
【0137】
7.製造方法
図14〜図16を用いて、傾斜構造体を半導体プロセスにより形成する場合の本実施形態の分光センサーの製造方法の例について説明する。
【0138】
まず図14のS1に示すように、フォトリソグラフィー、イオン注入、フォトレジスト剥離の工程により、P型基板上にN型拡散層(フォトダイオードの不純物領域)を形成する。S2に示すように、フォトリソグラフィー、イオン注入、フォトレジスト剥離、熱処理の工程により、P型基板上にP型拡散層を形成する。このN型拡散層がフォトダイオードのカソードとなり、P型拡散層(P型基板)がアノードとなる。
【0139】
次にS3に示すように、SiOのデポジション、CMPによる平坦化の工程により、絶縁膜を形成する。S4に示すように、フォトリソグラフィー、SiOの異方性ドライエッチング、フォトレジスト剥離の工程により、コンタクトホールを形成する。S5に示すように、TiNのスパッタリング、W(タングステン)のデポジション、Wのエッチバックの工程により、コンタクトホールの埋め込みを行う。S6に示すように、AL(アルミ)のスパッタリング、TiNのスパッタリング、フォトリソグラフィー、ALとTiNの異方性ドライエッチング、フォトレジスト剥離の工程により、第1AL配線を形成する。
【0140】
次にS7に示すように、上記S3〜S6と同様の工程によりビアコンタクトと第2AL配線を形成する。S7の工程を必要回数繰り返す。図14には、第3AL配線まで形成した場合を図示する。最上層の第3AL配線と下層の第2AL配線を接続するビアコンタクトの形成工程では、SiOの異方性ドライエッチング工程において、コンタクトホールの下端から下層のビアコンタクト上端までの間隔をb≦λ/2に調整するためのエッチングを行う。次にS8に示すように、SiOのデポジションを行い、絶縁膜を形成する。S8’に示すように、CMPによる平坦化の工程を行う。以上の配線形成工程により、角度制限フィルターを構成するAL配線やタングステンプラグが積層される。
【0141】
次に図15のS9に示すように、SiOのデポジション、フォトリソグラフィー、S
iOの異方性ドライエッチング、フォトレジスト剥離の工程により、絶縁膜の段差(S9’)または粗密パターン(S9”)を形成する。
【0142】
次に図16のS10に示すように、CMPによる研磨の工程により、傾斜構造体の傾斜面を形成する。このとき、傾斜構造体の傾斜面は、絶縁膜の段差や粗密パターンの形状に応じた傾斜角度に加工される。
【0143】
次にS11に示すように、TiO(チタン酸化膜)のスパッタリングとSiOのスパッタリングを交互に行い、傾斜面に多層薄膜を形成する。TiO膜は高屈折率の薄膜であり、SiO膜は低屈折率の薄膜である。
【0144】
8.製造方法の変形例
図17を用いて、傾斜構造体を別部材で形成する第1の変形例の製造方法の例について説明する。
【0145】
まず図17のS101に示すように、加熱して溶融した低融点ガラスを金型に注入し、傾斜面のついた金型で低融点ガラスをプレス成形することで傾斜構造体を形成する。
【0146】
次にS102に示すように、TiOのスパッタリングとSiOのスパッタリングを交互に行い、低融点ガラスの傾斜構造体に多層薄膜を形成する。
【0147】
次にS103に示すように、多層薄膜が形成された傾斜構造体を、角度制限フィルターの絶縁層に接着剤(分光対象波長に対して透明な接着剤)で接着する。なお、フォトダイオードや角度制限フィルターは、図14で上述したS1〜S8の工程により形成される。
【0148】
9.電子機器
図18に、本実施形態の光学センサーを含む電子機器の構成例を示す。例えば、電子機器として、脈拍計、パルスオキシメーター、血糖値測定器、果実糖度計などが想定される。なお本実施形態は図18の構成に限定されず、例えばLED950を省略して仰角測定装置や照度計等に用いてもよい。
【0149】
図18に示す電子機器は、光学センサー装置900、マイクロコンピューター970(CPU)、記憶装置980、表示装置990を含む。光学センサー装置900は、LED950(光源)、LEDドライバー960、光学センサー910を含む。光学センサー910は、例えば1チップのICに集積され、フォトダイオード920、検出回路930、A/D変換回路940を含む。
【0150】
LED950は、例えば白色光を観察対象に照射する。光学センサー装置900は、観察対象からの反射光や透過光を分光し、各波長の信号を取得する。マイクロコンピューター970は、LEDドライバー960の制御や、光学センサー910からの信号の取得を行う。マイクロコンピューター970は、取得した信号に基づく表示を表示装置990(例えば液晶表示装置)に表示したり、取得した信号に基づくデータを記憶装置980(例えばメモリーや、磁気ディスク)に記憶する。
【0151】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また光学センサー、電子機器等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0152】
10 半導体基板、20 回路、30,31,32 フォトダイオード、
40,41,42 角度制限フィルター、50 傾斜構造体、
60,61,62 光バンドパスフィルター、70 多層薄膜、
200 周辺回路、210 トランジスター、220 MIM型キャパシター、
221 上部電極、222 下部電極、230 配線、300 青色LED、
900 光学センサー装置、910 光学センサー、920 フォトダイオード、
930 検出回路、940 A/D変換回路、950 LED、
960 LEDドライバー、970 マイクロコンピューター、
980 記憶装置、990 表示装置、
ALA〜ALE,ALZ アルミ層、BW1,BW2 透過波長帯域、
HLA〜HLD,HLZ タングステンプラグ、HW 半値幅、
SLA〜SLD,SLZ 絶縁層、b 間隔、d 開口幅、α 入射角度、
θ,Δθ 制限角度、θ1,θ2 傾斜角度、λ 波長、λ1,λ2 透過波長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された、フォトダイオード用の不純物領域と、
前記フォトダイオードの受光領域に対する入射光の入射角度を制限する角度制限フィルターと、
を含み、
前記角度制限フィルターは、
少なくとも、第1の絶縁層に対応する第1のプラグと、前記第1の絶縁層よりも上層の第2の絶縁層に対応する第2のプラグにより形成され、
前記入射光の波長をλとする場合に、前記第1のプラグと前記第2のプラグの間には、すき間間隔がλ/2以下のすき間領域が設けられることを特徴とする光学センサー。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の絶縁層は、
第1の金属層と、前記第1の金属層よりも上層の第2の金属層の間に設けられる絶縁層であり、
前記第2の絶縁層は、
前記第2の金属層と、前記第2の金属層よりも上層の第3の金属層の間に設けられる絶縁層であり、
前記第2の金属層は、
前記第1の金属層の厚さよりも厚い金属層であることを特徴とする光学センサー。
【請求項3】
請求項2において、
前記フォトダイオードの出力信号を処理する回路であって、少なくとも前記第1〜第3の金属層と前記第1、第2のプラグにより配線が形成される処理回路を含み、
前記角度制限フィルターを形成する前記第1のプラグ及び前記第2のプラグは、
前記処理回路の配線層形成工程により形成されることを特徴とする光学センサー。
【請求項4】
請求項3において、
前記処理回路は、
前記第2のプラグに対応する前記第2の絶縁層に形成されるMIM(Metal Insulator Metal)構造のキャパシターを有することを特徴とする光学センサー。
【請求項5】
請求項4において、
前記MIM構造のキャパシターは、
前記第2の金属層を下部電極とし、前記第2の金属層と前記第3の金属層の間に形成される金属層を上部電極としたキャパシターであることを特徴とする光学センサー。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記角度制限フィルターを形成する前記第1のプラグ及び前記第2のプラグは、
前記フォトダイオード用の不純物領域の上に半導体プロセスによって形成された遮光物質であることを特徴とする光学センサー。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記角度制限フィルターの高さをRとし、前記角度制限フィルターの開口の幅をdとする場合に、
/λR≧2
を満たすことを特徴とする光学センサー。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記入射光のうちの特定波長の光を透過する光バンドパスフィルターを含むことを特徴とする光学センサー。
【請求項9】
請求項8において、
前記光バンドパスフィルターは、
前記フォトダイオードの受光面に対して、透過波長に応じた角度で傾斜する多層薄膜により形成されることを特徴とする光学センサー。
【請求項10】
請求項9において、
前記光バンドパスフィルターは、
透過波長が異なる複数組の多層薄膜により形成され、
前記複数組の多層薄膜は、
前記受光面に対する傾斜角度が透過波長に応じて異なり、同時の薄膜形成工程で形成されることを特徴とする光学センサー。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記入射光を分光するための分光センサーであることを特徴とする光学センサー。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記入射光の照度を測定するための照度センサーであることを特徴とする光学センサー。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
光源の仰角を測定するための仰角センサーであることを特徴とする光学センサー。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の光学センサーを含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−194055(P2012−194055A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58182(P2011−58182)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】