説明

光学フィルム、偏光板、液晶セル、液晶表示装置、画像表示装置及び光学フィルムの製造方法

【課題】 透明高分子フィルムと複屈折層とが剥離する虞が少なく、しかも、複屈折層の位相差のバラツキが少ない光学フィルムを提供する。
【解決手段】 本発明は、透明高分子フィルム層上にポリウレタン系樹脂溶液が塗布されることにより密着層が形成され且つ該密着層上に非液晶ポリマーが塗布されることにより複屈折層が形成されて積層フィルムとされてなり、更に、該積層フィルムに延伸処理が施されてなることを特徴とする光学フィルムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明高分子フィルム層と、非液晶ポリマーから形成された複屈折層とを含む光学フィルム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光学フィルムとしては、透明高分子フィルム層と、非液晶ポリマーが塗布されることにより該透明高分子フィルム層上に直接積層された非液晶ポリマーからなる複屈折層とを含むものが知られている(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−46065号公報
【0003】
斯かる光学フィルムは、通常、所望に応じて延伸、収縮又は切断等の処理が施され、例えば、液晶表示装置等に於ける光学フィルムとして使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の光学フィルムは、延伸、収縮又は切断等の処理の際に、透明高分子フィルム層と複屈折層とが応力により部分的に剥離し、ずれが生じ、また、透明高分子フィルムに微細な凹凸やうねりがあるため、その影響で複屈折層が平滑になり難く、その結果、複屈折層の位相差のバラツキが生じたり、液晶表示装置等の画像表示装置に使用した場合に表示ムラが発生したりするという光学特性上の問題を有している。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、透明高分子フィルムと複屈折層とが剥離する虞が少なく、しかも、複屈折層の位相差のバラツキが少ない光学フィルム等を提供することを第1の課題とし、好ましくは、更に、画像表示装置に使用した際の表示ムラが少ない光学フィルム等を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、下記手段により上記第1の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、透明高分子フィルム層上にポリウレタン系樹脂を含む溶液が塗布されることにより密着層が形成され且つ該密着層上に非液晶ポリマーを含む溶液が塗布されることにより複屈折層が形成されて積層フィルムとされてなり、更に、該積層フィルムに延伸処理が施されてなることを特徴とする光学フィルムを提供する。
また、本発明は、該光学フィルムと偏光子とを含む偏光板を提供する。
更に、本発明は、該光学フィルム又は該偏光板を含む液晶セルを提供する。
また、本発明は、該液晶セルを含む液晶表示装置を提供する。
更に、本発明は、該光学フィルム又は該偏光板を含む画像表示装置を提供する。
また、本発明は、透明高分子フィルム層上に、ポリウレタン系樹脂を含む溶液を塗布することにより密着層を形成し且つ該密着層上に非液晶ポリマーを含む溶液を塗布することにより複屈折層を形成して積層フィルムとし、更に、該積層フィルムに延伸処理を施すことを特徴とする光学フィルムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光学フィルムは、ポリウレタン系樹脂が透明高分子フィルム及び非液晶ポリマーから形成された複屈折層の双方に良好な密着性を呈することから、透明高分子フィルムと複屈折層とが剥離する虞が少なく、更に、複屈折層の位相差のバラツキが少ないものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本実施形態の光学フィルムは、透明高分子フィルム層上にウレタン系樹脂を含む密着層が形成され且つ該密着層上に非液晶ポリマーを含む複屈折層が形成された積層フィルムに延伸処理が施されてなる。
詳しくは、透明高分子フィルム層上にポリウレタン系樹脂溶液を直接塗布し乾燥させて密着層を形成し、その上に、非液晶ポリマーを直接塗布して複屈折層を形成することにより、透明高分子フィルム層と密着層と複屈折層とが直接積層された積層フィルムとされてなり、更に、該積層フィルムが積層状態で延伸処理されて構成されている。
【0009】
前記透明高分子フィルム層は、透明高分子フィルムにより形成されてなり、該透明高分子フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましく用いられる。該透明高分子フィルムとしては、主成分として、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、又は、ポリカーボネート系ポリマー等が用いられてなるフィルムが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、又は、これらのポリマーのブレンド物などが用いられてなるフィルムが挙げられる。
これらのフィルムの中でも、トリアセチルセルロースフィルム、側鎖にイミド基、フェニル基若しくはニトリル基を有する熱可塑性樹脂により形成されてなるフィルム(以下、「HTフィルム」という場合がある。)又はノルボルネン系樹脂フィルムが好ましい。
HTフィルムとしては、主に側鎖に置換又は非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂により形成されてなるフィルム、主に側鎖に置換又は非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂により形成されてなるフィルム、又は、主に側鎖に置換又は非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と側鎖に置換又は非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂とにより形成されてなるフィルム等を用いることができる。
【0010】
前記ノルボルネン系樹脂フィルムとは、主成分として、ノルボルネン系モノマーが重合した樹脂が用いられてなるフィルムであり、該ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、そのアルキル及び/又はアルキリデン置換体、又はこれらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキル及び/又はアルキリデン置換体、又はこれらのハロゲン等の極性基置換体;シクロペンタジエンの3〜4量体等が挙げられる。
前記ノルボルネンのアルキル及び/又はアルキリデン置換体としては、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等が挙げられる。
前記ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキル及び/又はアルキリデン置換体、又はハロゲン等の極性基置換体としては、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等が挙げられる。
前記シクロペンタジエンの3〜4量体としては、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。
【0011】
前記透明高分子フィルムには、必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤などの各種添加剤が配合されていてもよい。また、コロナ処理等の公知の表面改質処理が行なわれていてもよい。
【0012】
前記透明高分子フィルムの厚さは、特に制限されないが、3〜300μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0013】
前記密着層は、透明高分子フィルム上にポリウレタン系樹脂溶液(溶解液、分散液を含む)を直接塗布し乾燥させることにより、透明高分子フィルム上に形成されてなる。
前記密着層は、ポリウレタン系樹脂溶液が塗布されて形成されることにより、透明高分子フィルム表面上の微細な凹凸やうねりによる位相差値に与える影響が緩和される。
【0014】
前記ポリウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ポリウレタン(変性ポリエステルウレタン、水分散系ポリエステルウレタン、溶剤系ポリエステルウレタン)、ポリエーテル系ウレタン、ポリカーボネート系ウレタン等を挙げることができる。これらのポリウレタン系樹脂は、自己乳化型又は強制乳化型のものであっても良い。これらのポリウレタンの中でもポリエステル系ポリウレタンが好ましい。
これらのポリウレタン系樹脂は、一般的にポリオールとポリイソシアネートとから製造される。
【0015】
前記ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、その他のポリオール等を挙げることができる。
【0016】
前記ポリエステルポリオールは、脂肪酸とポリオールとの反応物であり、該脂肪酸としては、例えば、リシノール酸、オキシカプロン酸、オキシカプリン酸、オキシウンデカン酸、オキシリノール酸、オキシステアリン酸、オキシヘキサンデセン酸のヒドロキシ含有長鎖脂肪酸等を挙げることができる。脂肪酸と反応するポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール及びジエチレングリコール等のグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン及びトリエタノールアミン等の3官能ポリオール、ジグリセリン及びペンタエリスリトール等の4官能ポリオール、ソルビトール等の6官能ポリオール、シュガー等の8官能ポリオール、これらのポリオールに相当するアルキレンオキサイドと脂肪族、脂環族、芳香族アミンとの付加重合物や、該アルキレンオキサイドとポリアミドポリアミンとの付加重合物等を挙げることができる。
【0017】
前記ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン等の2価アルコ−ルあるいはグリセリン、1,1,1−トリメチロ−ルプロパン、1,2,5−ヘキサントリオ−ル、ペンタエリスリト−ル等の3価以上の多価アルコ−ルと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加重合物等を挙げることができる。
【0018】
その他のポリオ−ルとして、主鎖が炭素−炭素よりなるポリオ−ル、例えば、アクリルポリオ−ル、ポリブタジエンポリオ−ル、ポリイソプレンポリオ−ル、水素添加ポリブタジエンポリオ−ル、AN(アクリロニトリル)やSM(スチレンモノマ−)を前記した炭素−炭素ポリオ−ルにグラフト重合したポリオ−ル、ポリカ−ボネ−トポリオ−ル、PTMG(ポリテトラメチレングリコ−ル)等を挙げることができる。
【0019】
前記ポリイソシアネ−トとしては、芳香族ポリイソシアネ−ト、脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環式ポリイソシアネ−ト等を挙げることができる。芳香族ポリイソシアネ−トとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネ−ト(粗MDI)、トリレンジイソシアネ−ト(TDI)、ポリトリレンポリイソシアネ−ト(粗TDI)、キシレンジイソシアネ−ト(XDI)、ナフタレンジイソシアネ−ト(NDI)等を挙げることができる。脂肪族ポリイソシアネ−トとしては、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト(HDI)等を挙げることができる。脂環式ポリイソシアネ−トとしては、イソホロンジイソシアネ−ト(IPDI)等を挙げることができる。この他に、上記ポリイソシアネ−トをカルボジイミドで変性したポリイソシアネ−ト(カルボジイミド変性ポリイソシアネ−ト)、イソシアヌレ−ト変性ポリイソシアネ−ト、ウレタンプレポリマ−(例えばポリオ−ルと過剰のポリイソシアネ−トとの反応生成物であってイソシアネ−ト基を分子末端にもつもの)等を挙げることができる。これらは単独あるいは混合物として使用してもよい。
【0020】
また、溶液(溶解液、分散液を含む)の溶媒としては、水、各種有機溶媒又はこれらの混合溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、トルエン、N−メチルピロリドン(NMP)、メチルイソブチルケトン等を挙げることができる。
【0021】
前記ポリウレタン系樹脂を含む溶液に於けるポリウレタン系樹脂の濃度は、適宜決定されるが、基材への塗布性(異物混入、塗布時のムラやスジの虞)を考慮すると、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%が好ましい。5重量%未満であると、溶液粘度が低すぎるため所定の膜厚まで1回で塗布することが困難となり、50重量%を越えると溶液粘度が高すぎるために、塗布面が荒れるなどの不具合が発生する場合がある。
【0022】
前記密着層の厚みとしては、100nm〜10μmが好ましい。厚みが100nmより小さいと、十分な密着性が得られない虞があり、また、10μmよりも大きい場合には、薄型、軽量化という点で問題がある。更に、10μmを越えると、密着層それ自体が複屈折性を持つ虞があり、所望の複屈折性を呈する光学フィルムが得られないという虞がある。
【0023】
前記ポリウレタン系樹脂を含有する溶液を前記透明高分子フィルム上に塗布する方法としては、特に限定されず、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の従来周知の方法を採用することができる。これらの方法により前記溶液を透明高分子フィルム上に、所望の厚さとなるように塗布した後、乾燥させることにより密着層を形成することができる。
乾燥温度は、溶媒の種類等に応じて適宜決定することができるが、通常、80〜200℃、好ましくは100〜150℃とすることができる。乾燥は一定温度下で行っても良いし段階的に温度を上昇させて行ってもよい。
乾燥時間は、通常、5〜30分間、好ましくは10〜20分間とすることができる。5分未満であると、溶媒が多量に残って製品の信頼性に問題を生じる場合があり、30分を越えると工業生産性に適しない。
【0024】
前記複屈折層は、非液晶ポリマーを塗布し乾燥させることにより形成されてなる。
また、前記複屈折層は、通常、下記式(1)の条件を満たすように設定されている。
nx≧ny>nz ・・・(1)
前記式(1)において、nx、nyおよびnzは、それぞれ、前記複屈折層における、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率を示す。
前記X軸方向は、前記複屈折層の面内方向において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、前記面内におけるX軸方向に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向はX軸方向およびY軸方向に垂直な厚み方向を意味する。
非液晶ポリマーは、液晶性材料とは異なり、塗布の対象となるフィルムの配向性に関係なく、それ自身の性質によりnx>nz、ny>nzという光学的一軸性を示すものとなりうる。このため、塗布の対象となるフィルム(即ち、透明高分子フィルム上にウレタン密着層が塗布形成されたもの)は、未配向性のものであってもウレタン密着層表面に配向膜が塗布されていたり、配向膜が積層されていることを要ない。また、塗布の対象となるフィルムを加熱しながら延伸又は収縮することにより、nx>ny>nzの光学的二軸性を付与できる。
前記複屈折層が上記式(1)の条件を満たす場合、例えば垂直配向(VA)モードの液晶表示装置に組み込んだ時、斜め方向のコントラストを大幅に向上させるという利点が有る。
尚、nx、ny、nzは、自動複屈折計(王子計測機器製 KOBRA−21ADH)を用い、測定に用いる波長を590nmとし、測定温度を25℃として測定される。
【0025】
更に、前記複屈折層は、好ましくは、その複屈折率Δn(a)が、前記透明高分子フィルム層の複屈折率をΔn(b)とした際に、下記式(2)の条件を満たすように設定されている。
Δn(a)>Δn(b)×10 ・・・(2)
ここで、Δn(a)=nx(a)−nz(a)であり、nx(a)は複屈折層の面内の最大屈折率、nz(a)は複屈折層の厚み方向屈折率を示す。また、Δn(b)=nx(b)−nz(b)であり、nx(b)は透明高分子フィルム層の面内の最大屈折率、nz(b)は透明高分子フィルム層の厚み方向屈折率を示す。尚、Δnは、実施例記載の方法により測定されるものである。
前記式(2)の条件を満たす光学フィルムは、画像表示装置に使用した際に於ける表示ムラが極めて少なく、前記第2の課題をも解決するものとなる。即ち、黒表示における虹ムラ等が低減され、視認性が大幅に向上するという利点を有している。
【0026】
前記非液晶ポリマーとしては、例えば、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことから、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミドから選ばれる少なくとも一種のポリマーが好ましい。これらのポリマーは、いずれか一種類を単独で使用してもよいし、例えば、ポリエーテルケトンとポリアミドとの混合物のように、異なる官能基を持つ2種以上を混合して使用してもよい。
また、これらのポリマーによれば、その優れた耐熱性、耐薬品性、剛性によって複屈折層を薄肉とすることができることから、光学フィルムは薄肉なものとなりうる。
これらのポリマーの中でも、高透明性、高配向性、高延伸性であることから、ポリイミドが特に好ましい。
前記ポリマーの分子量は、特に制限されないが、例えば重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは2,000〜500,000の範囲である。
【0027】
前記ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記化学式(1)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが好ましい。
【0028】
【化1】

【0029】
前記化学式(1)中、R3〜R6は、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子又はC110(炭素数1〜10)のアルキル基で置換されたフェニル基、及びC110のアルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R3〜R6は、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子又はC110のアルキル基で置換されたフェニル基、及びC110のアルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。
【0030】
前記化学式(1)中、Zは、例えば、C620の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、又は、下記化学式(2)で表される基である。
【0031】
【化2】

【0032】
前記化学式(2)中、Z'は、例えば、共有結合、C(R7) 2基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(C25)2基、又は、NR8基であり、複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていても良い。
また、Wは、1〜10までの整数を表す。R7は、それぞれ独立に、水素又はC(R9)3である。R8は、水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、又はC620のアリ−ル基であり、複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていても良い。R9は、それぞれ独立に、水素、フッ素、又は塩素である。
【0033】
前記多環式芳香族基としては、例えば、ナフタレン、フルオレン、ベンゾフルオレン又はアントラセンから誘導される4価の基を挙げることができる。また、前記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、C110のアルキル基、そのフッ素化誘導体、及びFやCl等のハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基で置換された前記多環式芳香族基を挙げることができる。
【0034】
この他にも、例えば、特表平8−511812号公報に記載された、繰り返し単位が下記化学式(3)又は(4)で示されるホモポリマーや、繰り返し単位が下記化学式(5)で示されるポリイミド等を挙げることができる。尚、下記化学式(5)のポリイミドは、下記化学式(3)のホモポリマーの好ましい形態である。
【0035】
【化3】

【0036】
【化4】

【0037】
【化5】

【0038】
前記化学式(3)〜(5)中、G及びG’は、例えば、共有結合、CH2基、C(CH3)2基、C(CF3)2基、C(CX3)2基(ここで、Xは、ハロゲンである。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(CH2CH2)2基、及び、N(CH3)基からなる群から、それぞれ独立して選択される基を表し、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0039】
前記化学式(3)及び式(5)中、Lは、置換基であり、d及びeは、その置換数を表す。Lは、例えば、ハロゲン、C13のアルキル基、C13のハロゲン化アルキル基、フェニル基、又は、置換フェニル基であり、複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C13のアルキル基、及びC13のハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基を挙げることができる。また、前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を挙げることができる。dは、0〜2までの整数であり、eは、0〜3までの整数である。
【0040】
前記化学式(3)〜(5)中、Qは置換基であり、fはその置換数を表す。Qとしては、例えば、水素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アルキルエステル基、及び置換アルキルエステル基からなる群から選択される原子又は基であって、Qが複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を挙げることができる。前記置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基を挙げることができる。
また前記置換アリール基としては、例えば、ハロゲン化アリール基を挙げることができる。fは、0〜4までの整数であり、g及びhは、それぞれ0〜3及び1〜3までの整数である。また、g及びhは、1より大きいことが好ましい。
【0041】
前記化学式(4)中、R10及びR11は、水素、ハロゲン、フェニル基、置換フェニル基、アルキル基、及び置換アルキル基からなる群から、それぞれ独立に選択される基である。
その中でも、R10及びR11は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0042】
前記化学式(5)中、M1及びM2は、同一であるか又は異なり、例えば、ハロゲン、C13のアルキル基、C13のハロゲン化アルキル基、フェニル基、又は、置換フェニル基である。
前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を挙げることができる。
また、前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C13アのアルキル基、及びC13のハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基を挙げることができる。
【0043】
前記化学式(3)に示すポリイミドの具体例としては、例えば、下記化学式(6)で表されるもの等を挙げることができる。
【0044】
【化6】

【0045】
さらに、前記ポリイミドとしては、例えば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーを挙げることができる。
【0046】
前記酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
【0047】
前記ピロメリット酸二無水物としては、例えば、非置換のピロメリット酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリット酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリット酸二無水物等を挙げることができる。前記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。前記ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。前記複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
前記2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2’−ジブロモ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジクロロ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
【0048】
また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物のその他の例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物)、4,4’−[4,4'−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物等を挙げることができる。
【0049】
これらの中でも、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、2,2’−ビス(トリハロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
【0050】
前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンを挙げることができ、具体例としては、ベンゼンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複素環式芳香族ジアミン、及びその他の芳香族ジアミンを挙げることができる。
【0051】
前記ベンゼンジアミンとしては、例えば、o−、m−及びp−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼン及び1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンのようなベンゼンジアミンから成る群から選択されるジアミン等を挙げることができる。前記ジアミノベンゾフェノンの例としては、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、及び3,3’−ジアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。前記ナフタレンジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノナフタレン、及び1,5−ジアミノナフタレン等を挙げることができる。前記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、及び2,4−ジアミノ−S−トリアジン等を挙げることができる。
【0052】
また、前記芳香族ジアミンとしては、これらの他に、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジアニリン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等を挙げることができる。
【0053】
前記複屈折層の成膜材料である前記ポリエーテルケトンとしては、例えば、特開2001−49110号公報に記載された、下記化学式(7)で表されるポリアリールエーテルケトンを挙げることができる。
【0054】
【化7】

【0055】
前記化学式(7)中、Xは、置換基を表し、qは、その置換数を表す。Xは、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化アルキル基、低級アルコキシ基、又は、ハロゲン化アルコキシ基であり、Xが複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0056】
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子があげられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。前記低級アルキル基としては、例えば、C16の直鎖又は分岐鎖を有する低級アルキル基が好ましく、より好ましくはC14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及び、tert−ブチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基及びエチル基である。前記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の前記低級アルキル基のハロゲン化物を挙げることができる。前記低級アルコキシ基としては、例えば、C16の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくはC14の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、及び、tert−ブトキシ基がさらに好ましく、特に好ましくはメトキシ基及びエトキシ基である。前記ハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基等の前記低級アルコキシ基のハロゲン化物を挙げることができる。
【0057】
前記化学式(7)中、qは、0〜4までの整数である。前記式(7)においては、q=0であり、かつ、ベンゼン環の両端に結合したカルボニル基とエーテルの酸素原子とが互いにパラ位に存在することが好ましい。
【0058】
また、前記化学式(7)中、R1は、下記化学式(8)で表される基であり、mは、0又は1の整数である。
【0059】
【化8】

【0060】
前記化学式(8)中、X’は置換基を表し、例えば、前記化学式(7)におけるXと同様である。前記式(8)において、X’が複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。q’は、前記X’の置換数を表し、0〜4までの整数であって、q’=0が好ましい。また、pは、0又は1の整数である。
【0061】
前記化学式(8)中、R2は、2価の芳香族基を表す。この2価の芳香族基としては、例えば、o−、m−もしくはp−フェニレン基、又は、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、o−、m−もしくはp−テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフェニルエーテル、もしくは、ビフェニルスルホンから誘導される2価の基等を挙げることができる。これらの2価の芳香族基において、芳香族に直接結合している水素が、ハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換されてもよい。これらの中でも、前記R2としては、下記化学式(9)〜(15)からなる群から選択される芳香族基が好ましい。
【0062】
【化9】

【0063】
前記化学式(7)中、前記R1としては、下記化学式(16)で表される基が好ましく、下記化学式(16)において、R2及びpは前記化学式(8)と同義である。
【0064】
【化10】

【0065】
また、前記化学式(7)中、nは重合度を表し、例えば、2〜5,000の範囲であり、好ましくは、5〜500の範囲である。また、その重合は、同じ構造の繰り返し単位からなるものであってもよく、異なる構造の繰り返し単位からなるものであってもよい。後者の場合には、繰り返し単位の重合形態は、ブロック重合であってもよいし、ランダム重合でもよい。
【0066】
さらに、前記化学式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの末端は、p−テトラフルオロベンゾイレン基側がフッ素であり、オキシアルキレン基側が水素原子であることが好ましく、このようなポリアリールエーテルケトンは、例えば、下記化学式(17)で表すことができる。尚、下記化学式において、nは前記化学式(7)と同様の重合度を表す。
【0067】
【化11】

【0068】
前記化学式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの具体例としては、下記化学式(18)〜(21)で表されるもの等があげられ、下記各化学式において、nは、前記化学式(7)と同様の重合度を表す。
【0069】
【化12】

【0070】
【化13】

【0071】
【化14】

【0072】
【化15】

【0073】
また、これらの他に、前記複屈折層の成膜材料である非液晶ポリマーたるポリアミド又はポリエステルとしては、例えば、特表平10−508048号公報に記載されるポリアミドやポリエステルがあげられ、それらの繰り返し単位は、例えば、下記化学式(22)で表すことができる。
【0074】
【化16】

【0075】
前記化学式(22)中、Yは、O又はNHである。また、Eは、例えば、共有結合、C2のアルキレン基、ハロゲン化C2アルキレン基、CH2基、C(CX3)2基(ここで、Xはハロゲン又は水素である。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基、及び、N(R)基からなる群から選ばれる少なくとも一種類の基であり、それぞれ同一でもよいし異なってもよい。
前記Eにおいて、Rは、C13のアルキル基及びC13のハロゲン化アルキル基の少なくとも一種類であり、カルボニル官能基又はY基に対してメタ位又はパラ位にある。
【0076】
また、前記化学式(22)中、A及びA’は、置換基であり、t及びzは、それぞれの置換数を表す。また、pは、0〜3までの整数であり、qは、1〜3までの整数であり、rは、0〜3までの整数である。
【0077】
前記Aは、例えば、水素、ハロゲン、C13のアルキル基、C13のハロゲン化アルキル基、OR(ここで、Rは、前記定義のものである。)で表されるアルコキシ基、アリール基、ハロゲン化等による置換アリール基、C19のアルコキシカルボニル基、C19のアルキルカルボニルオキシ基、C112のアリ−ルオキシカルボニル基、C112のアリ−ルカルボニルオキシ基及びその置換誘導体、C112のアリ−ルカルバモイル基、並びに、C112のアリ−ルカルボニルアミノ基及びその置換誘導体からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるか又は異なる。前記A’は、例えば、ハロゲン、C13のアルキル基、C13のハロゲン化アルキル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記置換フェニル基のフェニル環上の置換基としては、例えば、ハロゲン、C13のアルキル基、C13のハロゲン化アルキル基及びこれらの組み合わせを挙げることができる。前記tは、0〜4までの整数であり、前記zは、0〜3までの整数である。
【0078】
前記化学式(22)で表されるポリアミド又はポリエステルの繰り返し単位の中でも、下記化学式(23)で表されるものが好ましい。
【0079】
【化17】

【0080】
前記化学式(23)中、A、A’及びYは、前記化学式(22)で定義したものであり、vは0〜3の整数、好ましくは、0〜2の整数である。x及びyは、それぞれ0又は1であるが、共に0であることはない。
【0081】
また、ポリエステルとしては、繰り返し単位が下記化学式(24)(25)で表されるものであってもよい。
【0082】
【化18】

【0083】
前記化学式(24)(25)中、X及びYは、置換基である。該Xは、水素、塩素及び臭素からなる群から選択される。また、該Yは、下記化学式(26)(27)(28)(29)からなる群から選択される。
【0084】
【化19】

【0085】
更に、ポリエステルとしては、前記化学式(24)(25)で表されるポリエステルを組み合わせたコポリマ−であってもよい。
【0086】
前記複屈折層は、通常、上述の如き非液晶ポリマーを、密着層上に塗布することにより、前記密着層上に形成される。
前記非液晶ポリマーを塗布する方法としては、特に制限されないが、例えば、前記非液晶ポリマーを加熱溶融して塗布する方法や、前記非液晶ポリマーを溶媒に溶解又は分散させた非液晶ポリマーの溶液を塗布する方法が挙げられる。その中でも、作業性に優れることから、非液晶ポリマーの溶液を塗布する方法が好ましい。
【0087】
前記非液晶ポリマーの溶液におけるポリマー濃度は、特に制限されないが、例えば、塗布が容易な粘度となることから、溶媒100重量部に対して、例えば、前記非液晶ポリマーが5〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜40重量部である。
【0088】
前記非液晶ポリマーの溶液の溶媒としては、非液晶ポリマー等の形成材料を溶解又は分散させることができれば特に制限されず、非液晶ポリマーの種類に応じて適宜決定される。具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、バラクロロフェノール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が挙げられる。これらの溶媒は、一種類のみを用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0089】
これらの溶媒の中でも、均一な塗布が可能となる点から、非液晶ポリマーを溶解させる溶媒が好ましい。
更に、非液晶ポリマーを溶解させる溶媒の中でもメチルイソブチルケトンが特に好ましい。
一般に、非液晶ポリマーを溶解させる溶媒は、透明高分子フィルム層を構成する高分子に対しても溶解力が高いため、このような溶媒を用いた場合、溶媒が密着層を浸透して透明高分子フィルム層表面を荒らす(部分的に溶解させる)こととなり、結果的に、積層フィルムに多くの皺やうねりが発生するという問題が生じることとなる。特に、このような問題は、非液晶ポリマーとしてポリイミドを用い、透明高分子フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムを用いた場合に非常に顕著となる。
しかしながら、メチルイソブチルケトンは、非液晶ポリマー(特にポリイミド)に対して溶解力が優れているにもかかわらず、透明高分子フィルム(特に、トリアセチルセルロースフィルム)の表面を荒らすことが殆ど無いため、溶媒として、メチルイソブチルケトンを用いた場合には、皺やうねりが殆ど無く平滑性に優れた積層フィルムを得ることができる。
【0090】
前記非液晶ポリマーの溶液には、例えば、必要に応じて、さらに、安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤が配合されていてもよい。
【0091】
また、前記非液晶ポリマーの溶液には、例えば、非液晶ポリマーの配向性等が著しく低下しない範囲で、異なる他の樹脂が配合されていてもよい。前記他の樹脂としては、例えば、各種汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0092】
前記汎用樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂、およびAS樹脂等が挙げられる。前記エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂等が挙げられる。
【0093】
このように、他の樹脂等を前記ポリマー溶液に配合する場合、その配合量は、例えば、非液晶ポリマーに対して、50質量%以下であり、好ましくは、30質量%以下である。
【0094】
前記非液晶ポリマーの溶液を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。また、塗布に際しては、必要に応じて、ポリマー層の重畳方式も採用できる。
【0095】
前記非液晶ポリマーの溶液が塗布されたフィルムは、例えば、加熱処理が施されて溶媒が除去される。更に、加熱処理により収縮され、この収縮に伴って、非液晶ポリマーの塗工膜が収縮することにより、非液晶ポリマーの複屈折層が形成される。
前記加熱処理の条件としては、特に制限されず、例えば、透明高分子フィルムの材料、種類等によって適宜決定されるが、通常、加熱温度が25〜300℃の範囲であり、好ましくは50〜200℃の範囲であり、特に好ましくは60〜180℃の範囲である。
【0096】
前記加熱処理後において、前記複屈折層中に残存する溶媒は、その量に比例して光学フィルムの光学特性を経時的に変化させるおそれがあるため、その残存量は、例えば、5%以下が好ましく、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは0.2%以下である。
【0097】
溶媒が除去された光学フィルムは、更に、光学二軸性等、所望の光学特性を付与すべく、延伸処理が施される。
延伸処理の方法は、特に制限されないが、例えば、長手方向に一軸延伸する自由端縦延伸、フィルムの長手方向を固定した状態で、幅方向に一軸延伸する固定端横延伸、長手方向および幅方向の両方に延伸を行う逐次または同時二軸延伸等の方法が挙げられる。
【0098】
これらの延伸処理は、例えば、透明高分子フィルと複屈折層(塗工膜)とを共に引っ張ることによって行ってもよいが、例えば、以下の理由から、前記透明高分子フィルムのみを引っ張ることが好ましい。即ち、透明高分子フィルムのみを延伸した場合、この延伸により透明高分子に発生する張力によって、前記塗工膜が間接的に延伸される。そして、塗工膜を延伸するよりも、透明高分子フィルムのみを延伸する方が、通常、均一な延伸となるため、これに伴って、塗工膜も均一に延伸できるためである。このとき、密着層による十分な密着性によって、塗工膜が剥離する虞がなく、また、その作用は明確でないものの、塗工膜に均一に張力が働くために、位相差値のバラツキまでもが低減される。
【0099】
延伸の条件としては、特に制限されず、例えば、透明高分子フィルムや非液晶ポリマーの種類等に応じて適宜決定されるが、具体例としては、延伸倍率は、1倍より大きく5倍以下が好ましく、より好ましくは、1倍より大きく4倍以下であり、特に好ましくは1倍より大きく3倍以下であり、延伸処理を行う温度(延伸温度)は、好ましくは80℃〜150℃、より好ましくは90℃〜140℃、特により好ましくは100℃〜130℃である。
【0100】
前記複屈折層の延伸前又は延伸後の厚みは、特に限定されるものではないが、通常1〜30μm、好ましくは、2〜20μm、より好ましくは3〜15μmである。
【0101】
本実施形態に於ける光学フィルムは、透明高分子フィルムがポリアセチルセルロールフィルム又はHTフィルムであり且つ複屈折層がポリイミドにより形成されてなるものが好ましい。
ポリウレタン系樹脂は、ポリアセチルセルロースフィルム、HTフィルム及びポリイミドにより形成された複屈折層に対して非常に良好な密着性を呈することから、斯かる構成の光学フィルムは、透明高分子フィルム及び複屈折層に対して密着層が非常に強固に密着することとなり、透明高分子フィルムと複屈折層との剥離の虞がより一層少ないものとなる。
【0102】
本実施形態の光学フィルムは、偏光子と組み合わせることで偏光板として用いることができる。
前記偏光子としては、特に制限されず、従来の公知の方法により各種フィルムにヨウ素や二色染料等の二色性物質を吸着させて染色し、延伸、架橋、乾燥することにより作製したものを使用できる。
前記二色性物質を吸着させるフィルムとしては、例えばポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVAフィルム、エチレン・酢酸ビニル供重合体系ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等が挙げられる。
本実施形態の光学フィルムと前記偏光子とを積層させて偏光板を作製する場合、積層には、例えば接着剤等を使用することができる。前記接着剤等としては、アクリル系・ビニルアルコール系・シリコーン系・ポリエステル系・ポリウレタン系・ポリエーテル系等のポリマー製感圧接着剤やゴム系感圧接着剤を挙げることができる。また、グルタルアルデヒド・メラミン・シュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤等から構成される接着剤も使用できる。
【0103】
本実施形態の光学フィルムや該光学フィルムを含む偏光板は、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に於ける光学フィルムや偏光板として好ましく用いることができる。例えば、偏光板を液晶セル基板の片側あるいは両側に配置してなる反射型液晶表示装置や半透過型液晶表示装置、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置の偏光板として用いることができる。
また、電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置においては、透明電極の表面側に設ける偏光板として、また、これら透明電極と偏光板との間に設ける位相差フィルムとして用いることもできる。
【実施例】
【0104】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
尚、各実施例及び比較例において、密着層の厚み及びΔnは、以下の方法で測定した。

〈密着層の厚みの測定〉
波長700〜900nmの光干渉法より計算(大塚電子製、自記分光光度計MCPD−2000)した。

〈Δnの測定〉
自動複屈折計(王子計測機器製 KOBRA−21ADH)を用い、測定に用いる波長を590nmとし、測定温度を25℃として測定した。

〈Rth、Δndの測定〉
10cm×10cmのサンプルを準備し、自動複屈折計(王子計測機器製 KOBRA−21ADH)を用いて任意の10点におけるRth及びΔndを測定し、その平均値及び平均値からのバラツキを算出した。
ここで、Rth=(nx−nz)d、Δnd=(nx−ny)dであり、dは厚みを意味する。
尚、測定に用いる波長を590nmとし、測定温度を25℃とした。
【0105】
実施例1
自己乳化型の水分散ポリウレタン樹脂(ビスフェノールA骨格を有する線状ポリウレタン、旭電化製、「アデカボンタイターHUX320」)を溶媒(分散媒)としての水とイソプロピルアルコールとの混合液(重量比1:1)に混合し、ポリウレタン系樹脂の10重量%溶液(分散液)を調製し、該溶液を、グラビアコート法によりトリアセチルセルロースフィルム上全面に塗布した。その後120℃で10min熱処理し、密着層が形成された透明で平滑な厚み約80μmのフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン≒6FDAおよび2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル)≒PFMB≒TFMBから合成されたΔn≒0.04となるポリイミドを、溶媒としてシクロヘキサノンを用いて溶解し、ポリイミド23重量%の溶液を調製した。次いで、調製した溶液をグラビアコート法により上記密着層が形成されたフィルム上全面に塗布した。その後150℃で15min熱処理し、更に、テンター延伸機にてフィルムの両端部を把持して140℃で1.3倍に延伸し、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
また、この光学フィルムのΔn(a)(ポリイミド層のΔn)は、0.045、Δn(b)(トリアセチルセルロースフィルム層のΔn)は、0.0006であった。
【0106】
実施例2
芳香族ポリエステルを基本としたポリエステル系ポリウレタン樹脂(東洋紡製、「VYRON UR−1400」)を、溶媒としてメチルイソブチルケトンを用いて溶解し、ポリエステル系ポリウレタン樹脂の5重量%溶液を調製し、実施例1と同様に、該溶液をグラビアコート法によりトリアセチルセルロース上に塗布した。その後120℃で10min熱処理し、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは1μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0107】
実施例3
実施例2で用いたポリエステル系ポリウレタンの5重量%溶液を、グラビアコート法によりノルボルネン系透明高分子フィルム(JSR製、「ARTON」)に塗布した。その後120℃で10min熱処理し、密着層が形成された透明で平滑な厚み約80μmのフィルムを得た。尚、密着層の厚みは0.5μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0108】
実施例4
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型の水分散ポリウレタン樹脂(旭電化製、「アデカボンタイターHUX522」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0109】
実施例5
トリアセチルセルロースフィルムの両端部(それぞれ全体の5%程度の領域)は密着層及び複屈折層を塗布形成せず未塗工とし、テンター延伸機にて、未塗工の両端部を把持し、トリアセチルセルロースフィルムのみを引っ張ることにより延伸した以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキが±2nm、Δndのバラツキは±1nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0110】
実施例6
実施例2のポリウレタン樹脂溶液の溶媒として、メチルイソブチルケトンに代えてメチルエチルケトンを用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは0.5μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0111】
実施例7
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型の水分散ポリウレタン樹脂(旭電化製、「アデカボンタイターHUX523」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なのフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0112】
実施例8
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、カルボキシル基を含有する自己乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(旭電化製、「アデカボンタイターHUX232」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0113】
実施例9
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型のポリエーテル系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックス130」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは2μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0114】
実施例10
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型のポリエーテル系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックス600」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは2μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0115】
実施例11
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックス410」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは1μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0116】
実施例12
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックス420」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは1μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0117】
実施例13
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックス460」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは1μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0118】
実施例14
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックスE2000」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは2μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0119】
実施例15
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ボンディック1250」)を用い、その溶媒(分散媒)として水とトルエンとの混合液(重量比1:1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0120】
実施例16
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエーテル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ボンディック1310NSA」)を用い、その溶媒(分散媒)として水のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0121】
実施例17
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエーテル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ボンディック1320NS」)を用い、その溶媒(分散媒)として水のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0122】
実施例18
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエーテル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ボンディック1510」)を用い、その溶媒(分散媒)として水とトルエンとの混合液(重量比1:1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0123】
実施例19
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ハイドランHW−980」)を用い、その溶媒(分散媒)として水とアセトンとNMPとの混合溶媒(重量比1:0.5:0.5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0124】
実施例20
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ハイドランAPX−101H」)を用い、その溶媒(分散媒)として水のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0125】
実施例21
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「スペンゾールL512」)を用い、その溶媒(分散媒)として水とNMPとの混合液(重量比1:1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0126】
実施例22〜42
それぞれ実施例1〜21に於けるポリイミドの溶液の溶媒として、シクロヘキサノンに代えてメチルイソブチルケトンを用いた以外は、実施例1〜21と同様にしてそれぞれ複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。
複屈折層の厚み、Rthの平均値、Δndの平均値、Rthのバラツキ、Δndのバラツキは、それぞれ対応する実施例の光学フィルムと同様であった。また、それぞれ複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
また、実施例22に於ける光学フィルムのΔn(a)(ポリイミド層のΔn)は、0.045、Δn(b)(トリアセチルセルロースフィルム層のΔn)は、0.0006であった。
【0127】
比較例1
密着層を形成せず、トリアセチルセルロースフィルムをそのまま用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±10nm、Δndのバラツキは±5nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0128】
比較例2
密着層を形成せず、しかも、トリアセチルセルロースフィルムに代えてノルボルネン系透明高分子フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±10nm、Δndのバラツキは±5nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0129】
比較例3
密着層を形成する樹脂として、ポリウレタン系樹脂に代えて水分散高分子ポリエステル(東洋紡製、「バイロナールMD−1400」)を用い、また、その溶媒(分散媒)として水を用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキは±7nm、Δndのバラツキは±4nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0130】
比較例4
密着層を形成する樹脂として、ポリウレタン系樹脂に代えて水分散高分子ポリエステル(東洋紡製、「バイロナールMD−1100」)を用い、また、その溶媒(分散媒)として水を用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキは±7nm、Δndのバラツキは±4nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0131】
比較例5
密着層を形成する樹脂として、ポリウレタン系樹脂に代えてポリイソシアネート(日本ポリウレタン製、「アクアネート100」)を用い、また、その溶媒(分散媒)として水を用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキは±7nm、Δndのバラツキは±4nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0132】
比較例6
密着層を形成する樹脂として、ポリウレタン系樹脂に代えてイソシアネート(旭化成製、「デュラネートTPA−100」)を用い、また、その溶媒(分散媒)として水を用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキは±7nm、Δndのバラツキは±4nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0133】
比較例7
密着層を形成する樹脂として、ポリウレタン系樹脂に代えて芳香族ポリエステル(大日本インキ製、「ファインテックスES2000」)を用い、また、その溶媒(分散媒)として水とN−メチルピリドンとの混合液(重量比1:1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキは±7nm、Δndのバラツキは±4nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0134】
比較例8
先ず、実施例1と同様にして、ポリイミド23重量%の溶液を調整し、これをグラビアコート法により、ポリエチレンテレフタレートフィルム上全面に塗布した。その後、150℃で15min熱処理し、更に、テンター延伸機にてフィルムの両端部を把持し140℃で1.3倍に横延伸して、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に複屈折層を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、ポリウレタン系樹脂の10%溶液(分散液)を調整し、該溶液をトリアセチルセルロースフィルム上全面に塗布した。
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルムの複屈折層面を前記トリアセチルセルロースフィルムのウレタン系樹脂溶液塗布面に接合した。次いで、120℃で10min熱処理した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、トリアセチルセルロースフィルム上に密着層及び複屈折層の積層された完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキが±10nm、Δndのバラツキは±5nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0135】
比較例9〜16
それぞれ比較例1〜8に於けるポリイミドの溶液の溶媒として、シクロヘキサノンに代えてメチルイソブチルケトンを用いた以外は、比較例1〜8と同様にしてそれぞれ複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。
複屈折層の厚み、Rthの平均値、Δndの平均値、Rthのバラツキ、Δndのバラツキは、それぞれ対応する比較例の光学フィルムと同様であった。また、それぞれ複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0136】
試験例1
各実施例及び比較例の光学フィルムを下記試験に供した。また、試験結果を下記表1に示した。
〈密着性試験〉
JIS K 5400−1990に基づく基盤目剥離試験に基づいて0、2、4、6、8、10の6段階の評価を行った。結果を下記表1に示した。
尚、評価の数値は、大きいほど密着性が良好であることを示すものである。
【0137】
【表1】





【0138】
表1から明らかなように、ウレタン系樹脂の密着層が備えられてなる光学フィルムは、密着層の無い比較例に比して、密着性が良好であることが認められた。
更に、実施例1、実施例22と比較例1、比較例9、比較例3〜8、比較例11〜16との対比、実施例3、実施例24と比較例2、比較例10との対比から明らかなように、ウレタン系樹脂の密着層により、密着性が良好となると共に、複屈折層と透明高分子フィルム層との間にウレタン系樹脂の密着層が介在された状態で延伸されることにより、位相差のバラツキが大幅に低減されることが認められた。
また、実施例1、実施例22と実施例5、実施例26との対比から明らかなように、透明高分子フィルムのみを引っ張ることにより延伸された光学フィルムは、より一層位相差のバラツキが低減されていることが認められた。
【0139】
実施例43〜48
ポリイミドを溶解させる溶媒として、シクロヘキサノンに代えて、それぞれシクロペンタノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、酢酸エチルを用いた以外は、実施例1と同様にして、それぞれ複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。
【0140】
試験例2
実施例1〜48の光学フィルムの外観を目視により観察し、平滑で全く皺やうねりが認められないものを○、僅かに皺やうねりが認められるものをΔ、明確に皺やうねりが認められるものを×と評価し、結果を下記表2に示した。
また、溶媒としてメチルイソブチルケトンを用いた実施例22、及びシクロペンタノンを用いた実施例43の外観を写真により撮影し、結果を図1、図2に示した。
【0141】
【表2】

表2、図1、図2から明らかなように、メチルイソブチルケトン以外の溶媒は、非液晶ポリマーとしてのポリイミドを十分に溶解させるものの、透明高分子フィルムとしてのトリアセチルセルロースフィルムの表面を浸食するため、これらの溶媒を用いた光学フィルムには、皺やうねりが発生することが認められた。
【0142】
実施例49、50
透明高分子フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルム(約77μm)に代えてポリエチレンテレフタレートフィルム(約75μm)を用いた以外は、それぞれ実施例1、実施例22と同様にして、それぞれ光学フィルムを得た。
この光学フィルムは、何れもΔn(a)(ポリイミド層のΔn)が0.045、Δn(b)(ポリエチレンテレフタレートフィルム層のΔn)が0.08であった。
【0143】
試験例3
実施例1、実施例22と実施例49、実施例50の光学フィルムを液晶表示装置に於ける液晶セルのバックライト側に積層される光学フィルムとして用い、該液晶表示装置を黒表示した際に於ける虹ムラの有無を観察した。
実施例1、実施例22の光学フィルムを用いた場合、虹ムラは観察されなかったが、実施例49、50の光学フィルムを用いた場合、明確な虹ムラが観察された。
尚、実施例22及び実施例50の結果を写真により撮影し、実施例22の光学フィルムを用いた場合の結果を図3に、実施例50の光学フィルムを用いた場合の結果を図4に示した。
【0144】
試験例3の結果及び図3、図4の写真から明らかなように、Δn(a)>Δn(b)×10の要件を満たす実施例1、実施例22の光学フィルムは、画像表示装置の黒表示における虹ムラを十分に低減できることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】実施例22の外観を撮影した写真。
【図2】実施例43の外観を撮影した写真。
【図3】実施例22の光学フィルムを用いた液晶表示装置における黒表示画像を撮影した写真。
【図4】実施例50の光学フィルムを用いた液晶表示装置における黒表示画像を撮影した写真。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明高分子フィルム層と、非液晶ポリマーから形成された複屈折層とを含む光学フィルム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光学フィルムとしては、透明高分子フィルム層と、非液晶ポリマーが塗布されることにより該透明高分子フィルム層上に直接積層された非液晶ポリマーからなる複屈折層とを含むものが知られている(下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−46065号公報
【0003】
斯かる光学フィルムは、通常、所望に応じて延伸、収縮又は切断等の処理が施され、例えば、液晶表示装置等に於ける光学フィルムとして使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の光学フィルムは、延伸、収縮又は切断等の処理の際に、透明高分子フィルム層と複屈折層とが応力により部分的に剥離し、ずれが生じ、また、透明高分子フィルムに微細な凹凸やうねりがあるため、その影響で複屈折層が平滑になり難く、その結果、複屈折層の位相差のバラツキが生じたり、液晶表示装置等の画像表示装置に使用した場合に表示ムラが発生したりするという光学特性上の問題を有している。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、透明高分子フィルムと複屈折層とが剥離する虞が少なく、しかも、複屈折層の位相差のバラツキが少ない光学フィルム等を提供することを第1の課題とし、好ましくは、更に、画像表示装置に使用した際の表示ムラが少ない光学フィルム等を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、下記手段により上記第1の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、セルロース系ポリマーが用いられてなる透明高分子フィルム層上にポリウレタン系樹脂を含む溶液が塗布されることにより密着層が形成され、且つ該密着層上にポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーである非液晶ポリマーを含む溶液が塗布されることにより複屈折層が形成されて積層フィルムとされてなり、更に、該積層フィルムに延伸処理が施されてなることを特徴とする光学フィルムを提供する。
また、本発明は、該光学フィルムと偏光子とを含む偏光板を提供する。
更に、本発明は、該光学フィルム又は該偏光板を含む液晶セルを提供する。
また、本発明は、該液晶セルを含む液晶表示装置を提供する。
更に、本発明は、該光学フィルム又は該偏光板を含む画像表示装置を提供する。
また、本発明は、セルロース系ポリマーが用いられてなる透明高分子フィルム層上に、ポリウレタン系樹脂を含む溶液を塗布することにより密着層を形成し且つ該密着層上にポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーである非液晶ポリマーを含む溶液を塗布することにより複屈折層を形成して積層フィルムとし、更に、該積層フィルムに延伸処理を施すことを特徴とする光学フィルムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光学フィルムは、ポリウレタン系樹脂が前記透明高分子フィルム及び非液晶ポリマーから形成された複屈折層の双方に良好な密着性を呈することから、透明高分子フィルムと複屈折層とが剥離する虞が少なく、更に、複屈折層の位相差のバラツキが少ないものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本実施形態の光学フィルムは、透明高分子フィルム層上にウレタン系樹脂を含む密着層が形成され且つ該密着層上に非液晶ポリマーを含む複屈折層が形成された積層フィルムに延伸処理が施されてなる。
詳しくは、透明高分子フィルム層上にポリウレタン系樹脂溶液を直接塗布し乾燥させて密着層を形成し、その上に、非液晶ポリマーを直接塗布して複屈折層を形成することにより、透明高分子フィルム層と密着層と複屈折層とが直接積層された積層フィルムとされてなり、更に、該積層フィルムが積層状態で延伸処理されて構成されている。
【0009】
前記透明高分子フィルム層は、透明高分子フィルムにより形成されてなり、該透明高分子フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましく用いられる。該透明高分子フィルムとしては、主成分として、例えば、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが用いられてなるフィルムが挙げられる。
これらのフィルムの中でも、トリアセチルセルロースフィルムが好ましい。
【0010】
前記透明高分子フィルムには、必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤などの各種添加剤が配合されていてもよい。また、コロナ処理等の公知の表面改質処理が行なわれていてもよい。
【0011】
前記透明高分子フィルムの厚さは、特に制限されないが、3〜300μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0012】
前記密着層は、透明高分子フィルム上にポリウレタン系樹脂溶液(溶解液、分散液を含む)を直接塗布し乾燥させることにより、透明高分子フィルム上に形成されてなる。
前記密着層は、ポリウレタン系樹脂溶液が塗布されて形成されることにより、透明高分子フィルム表面上の微細な凹凸やうねりによる位相差値に与える影響が緩和される。
【0013】
前記ポリウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ポリウレタン(変性ポリエステルウレタン、水分散系ポリエステルウレタン、溶剤系ポリエステルウレタン)、ポリエーテル系ウレタン、ポリカーボネート系ウレタン等を挙げることができる。これらのポリウレタン系樹脂は、自己乳化型又は強制乳化型のものであっても良い。これらのポリウレタンの中でもポリエステル系ポリウレタンが好ましい。
これらのポリウレタン系樹脂は、一般的にポリオールとポリイソシアネートとから製造される。
【0014】
前記ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、その他のポリオール等を挙げることができる。
【0015】
前記ポリエステルポリオールは、脂肪酸とポリオールとの反応物であり、該脂肪酸としては、例えば、リシノール酸、オキシカプロン酸、オキシカプリン酸、オキシウンデカン酸、オキシリノール酸、オキシステアリン酸、オキシヘキサンデセン酸のヒドロキシ含有長鎖脂肪酸等を挙げることができる。脂肪酸と反応するポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール及びジエチレングリコール等のグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン及びトリエタノールアミン等の3官能ポリオール、ジグリセリン及びペンタエリスリトール等の4官能ポリオール、ソルビトール等の6官能ポリオール、シュガー等の8官能ポリオール、これらのポリオールに相当するアルキレンオキサイドと脂肪族、脂環族、芳香族アミンとの付加重合物や、該アルキレンオキサイドとポリアミドポリアミンとの付加重合物等を挙げることができる。
【0016】
前記ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン等の2価アルコ−ルあるいはグリセリン、1,1,1−トリメチロ−ルプロパン、1,2,5−ヘキサントリオ−ル、ペンタエリスリト−ル等の3価以上の多価アルコ−ルと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加重合物等を挙げることができる。
【0017】
その他のポリオ−ルとして、主鎖が炭素−炭素よりなるポリオ−ル、例えば、アクリルポリオ−ル、ポリブタジエンポリオ−ル、ポリイソプレンポリオ−ル、水素添加ポリブタジエンポリオ−ル、AN(アクリロニトリル)やSM(スチレンモノマ−)を前記した炭素−炭素ポリオ−ルにグラフト重合したポリオ−ル、ポリカ−ボネ−トポリオ−ル、PTMG(ポリテトラメチレングリコ−ル)等を挙げることができる。
【0018】
前記ポリイソシアネ−トとしては、芳香族ポリイソシアネ−ト、脂肪族ポリイソシアネ−ト、脂環式ポリイソシアネ−ト等を挙げることができる。芳香族ポリイソシアネ−トとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネ−ト(粗MDI)、トリレンジイソシアネ−ト(TDI)、ポリトリレンポリイソシアネ−ト(粗TDI)、キシレンジイソシアネ−ト(XDI)、ナフタレンジイソシアネ−ト(NDI)等を挙げることができる。脂肪族ポリイソシアネ−トとしては、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト(HDI)等を挙げることができる。脂環式ポリイソシアネ−トとしては、イソホロンジイソシアネ−ト(IPDI)等を挙げることができる。この他に、上記ポリイソシアネ−トをカルボジイミドで変性したポリイソシアネ−ト(カルボジイミド変性ポリイソシアネ−ト)、イソシアヌレ−ト変性ポリイソシアネ−ト、ウレタンプレポリマ−(例えばポリオ−ルと過剰のポリイソシアネ−トとの反応生成物であってイソシアネ−ト基を分子末端にもつもの)等を挙げることができる。これらは単独あるいは混合物として使用してもよい。
【0019】
また、溶液(溶解液、分散液を含む)の溶媒としては、水、各種有機溶媒又はこれらの混合溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、トルエン、N−メチルピロリドン(NMP)、メチルイソブチルケトン等を挙げることができる。
【0020】
前記ポリウレタン系樹脂を含む溶液に於けるポリウレタン系樹脂の濃度は、適宜決定されるが、基材への塗布性(異物混入、塗布時のムラやスジの虞)を考慮すると、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%が好ましい。5重量%未満であると、溶液粘度が低すぎるため所定の膜厚まで1回で塗布することが困難となり、50重量%を越えると溶液粘度が高すぎるために、塗布面が荒れるなどの不具合が発生する場合がある。
【0021】
前記密着層の厚みとしては、100nm〜10μmが好ましい。厚みが100nmより小さいと、十分な密着性が得られない虞があり、また、10μmよりも大きい場合には、薄型、軽量化という点で問題がある。更に、10μmを越えると、密着層それ自体が複屈折性を持つ虞があり、所望の複屈折性を呈する光学フィルムが得られないという虞がある。
【0022】
前記ポリウレタン系樹脂を含有する溶液を前記透明高分子フィルム上に塗布する方法としては、特に限定されず、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の従来周知の方法を採用することができる。これらの方法により前記溶液を透明高分子フィルム上に、所望の厚さとなるように塗布した後、乾燥させることにより密着層を形成することができる。
乾燥温度は、溶媒の種類等に応じて適宜決定することができるが、通常、80〜200℃、好ましくは100〜150℃とすることができる。乾燥は一定温度下で行っても良いし段階的に温度を上昇させて行ってもよい。
乾燥時間は、通常、5〜30分間、好ましくは10〜20分間とすることができる。5分未満であると、溶媒が多量に残って製品の信頼性に問題を生じる場合があり、30分を越えると工業生産性に適しない。
【0023】
前記複屈折層は、非液晶ポリマーを塗布し乾燥させることにより形成されてなる。
また、前記複屈折層は、通常、下記式(1)の条件を満たすように設定されている。
nxny>nz ・・・(1)
前記式(1)において、nx、nyおよびnzは、それぞれ、前記複屈折層における、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率を示す。
前記X軸方向は、前記複屈折層の面内方向において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、前記面内におけるX軸方向に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向はX軸方向およびY軸方向に垂直な厚み方向を意味する。
非液晶ポリマーは、液晶性材料とは異なり、塗布の対象となるフィルムの配向性に関係なく、それ自身の性質によりnx>nz、ny>nzという光学的一軸性を示すものとなりうる。このため、塗布の対象となるフィルム(即ち、透明高分子フィルム上にウレタン密着層が塗布形成されたもの)は、未配向性のものであってもウレタン密着層表面に配向膜が塗布されていたり、配向膜が積層されていることを要ない。また、塗布の対象となるフィルムを加熱しながら延伸又は収縮することにより、nx>ny>nzの光学的二軸性を付与できる。
前記複屈折層が上記式(1)の条件を満たす場合、例えば垂直配向(VA)モードの液晶表示装置に組み込んだ時、斜め方向のコントラストを大幅に向上させるという利点が有る。
尚、nx、ny、nzは、自動複屈折計(王子計測機器製 KOBRA−21ADH)を用い、測定に用いる波長を590nmとし、測定温度を25℃として測定される。
【0024】
更に、前記複屈折層は、好ましくは、その複屈折率Δn(a)が、前記透明高分子フィルム層の複屈折率をΔn(b)とした際に、下記式(2)の条件を満たすように設定されている。
Δn(a)>Δn(b)×10 ・・・(2)
ここで、Δn(a)=nx(a)−nz(a)であり、nx(a)は複屈折層の面内の最大屈折率、nz(a)は複屈折層の厚み方向屈折率を示す。また、Δn(b)=nx(b)−nz(b)であり、nx(b)は透明高分子フィルム層の面内の最大屈折率、nz(b)は透明高分子フィルム層の厚み方向屈折率を示す。尚、Δnは、実施例記載の方法により測定されるものである。
前記式(2)の条件を満たす光学フィルムは、画像表示装置に使用した際に於ける表示ムラが極めて少なく、前記第2の課題をも解決するものとなる。即ち、黒表示における虹ムラ等が低減され、視認性が大幅に向上するという利点を有している。
【0025】
前記非液晶ポリマーは、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことから、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミドから選ばれる少なくとも一種のポリマーである。これらのポリマーは、いずれか一種類を単独で使用してもよいし、例えば、ポリエーテルケトンとポリアミドとの混合物のように、異なる官能基を持つ2種以上を混合して使用してもよい。
また、これらのポリマーによれば、その優れた耐熱性、耐薬品性、剛性によって複屈折層を薄肉とすることができることから、光学フィルムは薄肉なものとなりうる。
これらのポリマーの中でも、高透明性、高配向性、高延伸性であることから、ポリイミドが特に好ましい。
前記ポリマーの分子量は、特に制限されないが、例えば重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは2,000〜500,000の範囲である。
【0026】
前記ポリイミドとしては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドが好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記化学式(1)に示す繰り返し単位を1つ以上含むポリマーが好ましい。
【0027】
【化1】

【0028】
前記化学式(1)中、R3〜R6は、水素、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子又はC110(炭素数1〜10)のアルキル基で置換されたフェニル基、及びC110のアルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。好ましくは、R3〜R6は、ハロゲン、フェニル基、1〜4個のハロゲン原子又はC110のアルキル基で置換されたフェニル基、及びC110のアルキル基からなる群からそれぞれ独立に選択される少なくとも一種類の置換基である。
【0029】
前記化学式(1)中、Zは、例えば、C620の4価芳香族基であり、好ましくは、ピロメリット基、多環式芳香族基、多環式芳香族基の誘導体、又は、下記化学式(2)で表される基である。
【0030】
【化2】

【0031】
前記化学式(2)中、Z'は、例えば、共有結合、C(R7) 2基、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(C25)2基、又は、NR8基であり、複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていても良い。
また、Wは、1〜10までの整数を表す。R7は、それぞれ独立に、水素又はC(R9)3である。R8は、水素、炭素原子数1〜20のアルキル基、又はC620のアリ−ル基であり、複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていても良い。R9は、それぞれ独立に、水素、フッ素、又は塩素である。
【0032】
前記多環式芳香族基としては、例えば、ナフタレン、フルオレン、ベンゾフルオレン又はアントラセンから誘導される4価の基を挙げることができる。また、前記多環式芳香族基の置換誘導体としては、例えば、C110のアルキル基、そのフッ素化誘導体、及びFやCl等のハロゲンからなる群から選択される少なくとも一つの基で置換された前記多環式芳香族基を挙げることができる。
【0033】
この他にも、例えば、特表平8−511812号公報に記載された、繰り返し単位が下記化学式(3)又は(4)で示されるホモポリマーや、繰り返し単位が下記化学式(5)で示されるポリイミド等を挙げることができる。尚、下記化学式(5)のポリイミドは、下記化学式(3)のホモポリマーの好ましい形態である。
【0034】
【化3】

【0035】
【化4】

【0036】
【化5】

【0037】
前記化学式(3)〜(5)中、G及びG’は、例えば、共有結合、CH2基、C(CH3)2基、C(CF3)2基、C(CX3)2基(ここで、Xは、ハロゲンである。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(CH2CH2)2基、及び、N(CH3)基からなる群から、それぞれ独立して選択される基を表し、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0038】
前記化学式(3)及び式(5)中、Lは、置換基であり、d及びeは、その置換数を表す。Lは、例えば、ハロゲン、C13のアルキル基、C13のハロゲン化アルキル基、フェニル基、又は、置換フェニル基であり、複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C13のアルキル基、及びC13のハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基を挙げることができる。また、前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を挙げることができる。dは、0〜2までの整数であり、eは、0〜3までの整数である。
【0039】
前記化学式(3)〜(5)中、Qは置換基であり、fはその置換数を表す。Qとしては、例えば、水素、ハロゲン、アルキル基、置換アルキル基、ニトロ基、シアノ基、チオアルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、アルキルエステル基、及び置換アルキルエステル基からなる群から選択される原子又は基であって、Qが複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を挙げることができる。前記置換アルキル基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基を挙げることができる。
また前記置換アリール基としては、例えば、ハロゲン化アリール基を挙げることができる。fは、0〜4までの整数であり、g及びhは、それぞれ0〜3及び1〜3までの整数である。また、g及びhは、1より大きいことが好ましい。
【0040】
前記化学式(4)中、R10及びR11は、水素、ハロゲン、フェニル基、置換フェニル基、アルキル基、及び置換アルキル基からなる群から、それぞれ独立に選択される基である。
その中でも、R10及びR11は、それぞれ独立に、ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0041】
前記化学式(5)中、M1及びM2は、同一であるか又は異なり、例えば、ハロゲン、C13のアルキル基、C13のハロゲン化アルキル基、フェニル基、又は、置換フェニル基である。
前記ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を挙げることができる。
また、前記置換フェニル基としては、例えば、ハロゲン、C13アのアルキル基、及びC13のハロゲン化アルキル基からなる群から選択される少なくとも一種類の置換基を有する置換フェニル基を挙げることができる。
【0042】
前記化学式(3)に示すポリイミドの具体例としては、例えば、下記化学式(6)で表されるもの等を挙げることができる。
【0043】
【化6】

【0044】
さらに、前記ポリイミドとしては、例えば、前述のような骨格(繰り返し単位)以外の酸二無水物やジアミンを、適宜共重合させたコポリマーを挙げることができる。
【0045】
前記酸二無水物としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
【0046】
前記ピロメリット酸二無水物としては、例えば、非置換のピロメリット酸二無水物、3,6−ジフェニルピロメリット酸二無水物、3,6−ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、3,6−ジブロモピロメリット酸二無水物、3,6−ジクロロピロメリット酸二無水物等を挙げることができる。前記ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。前記ナフタレンテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,6,7−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。前記複素環式芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
前記2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,2’−ジブロモ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ジクロロ−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
【0047】
また、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物のその他の例としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,5,6−トリフルオロ−3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−(3,4−ジカルボキシフェニル)−2,2−ジフェニルプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物)、4,4’−[4,4'−イソプロピリデン−ジ(p−フェニレンオキシ)]ビス(フタル酸無水物)、N,N−(3,4−ジカルボキシフェニル)−N−メチルアミン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジエチルシラン二無水物等を挙げることができる。
【0048】
これらの中でも、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、2,2’−置換ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、より好ましくは、2,2’−ビス(トリハロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’,5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
【0049】
前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミンを挙げることができ、具体例としては、ベンゼンジアミン、ジアミノベンゾフェノン、ナフタレンジアミン、複素環式芳香族ジアミン、及びその他の芳香族ジアミンを挙げることができる。
【0050】
前記ベンゼンジアミンとしては、例えば、o−、m−及びp−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジアミノ−2−フェニルベンゼン及び1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼンのようなベンゼンジアミンから成る群から選択されるジアミン等を挙げることができる。前記ジアミノベンゾフェノンの例としては、2,2’−ジアミノベンゾフェノン、及び3,3’−ジアミノベンゾフェノン等を挙げることができる。前記ナフタレンジアミンとしては、例えば、1,8−ジアミノナフタレン、及び1,5−ジアミノナフタレン等を挙げることができる。前記複素環式芳香族ジアミンの例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、及び2,4−ジアミノ−S−トリアジン等を挙げることができる。
【0051】
また、前記芳香族ジアミンとしては、これらの他に、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(9−フルオレニリデン)−ジアニリン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)−1,1,1,3,3,3−へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等を挙げることができる。
【0052】
前記複屈折層の成膜材料である前記ポリエーテルケトンとしては、例えば、特開2001−49110号公報に記載された、下記化学式(7)で表されるポリアリールエーテルケトンを挙げることができる。
【0053】
【化7】

【0054】
前記化学式(7)中、Xは、置換基を表し、qは、その置換数を表す。Xは、例えば、ハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン化アルキル基、低級アルコキシ基、又は、ハロゲン化アルコキシ基であり、Xが複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0055】
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子及びヨウ素原子があげられ、これらの中でも、フッ素原子が好ましい。前記低級アルキル基としては、例えば、C16の直鎖又は分岐鎖を有する低級アルキル基が好ましく、より好ましくはC14の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及び、tert−ブチル基が好ましく、特に好ましくは、メチル基及びエチル基である。前記ハロゲン化アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の前記低級アルキル基のハロゲン化物を挙げることができる。前記低級アルコキシ基としては、例えば、C16の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましく、より好ましくはC14の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基である。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、及び、tert−ブトキシ基がさらに好ましく、特に好ましくはメトキシ基及びエトキシ基である。前記ハロゲン化アルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基等の前記低級アルコキシ基のハロゲン化物を挙げることができる。
【0056】
前記化学式(7)中、qは、0〜4までの整数である。前記式(7)においては、q=0であり、かつ、ベンゼン環の両端に結合したカルボニル基とエーテルの酸素原子とが互いにパラ位に存在することが好ましい。
【0057】
また、前記化学式(7)中、R1は、下記化学式(8)で表される基であり、mは、0又は1の整数である。
【0058】
【化8】

【0059】
前記化学式(8)中、X’は置換基を表し、例えば、前記化学式(7)におけるXと同様である。前記式(8)において、X’が複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。q’は、前記X’の置換数を表し、0〜4までの整数であって、q’=0が好ましい。また、pは、0又は1の整数である。
【0060】
前記化学式(8)中、R2は、2価の芳香族基を表す。この2価の芳香族基としては、例えば、o−、m−もしくはp−フェニレン基、又は、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、o−、m−もしくはp−テルフェニル、フェナントレン、ジベンゾフラン、ビフェニルエーテル、もしくは、ビフェニルスルホンから誘導される2価の基等を挙げることができる。これらの2価の芳香族基において、芳香族に直接結合している水素が、ハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基で置換されてもよい。これらの中でも、前記R2としては、下記化学式(9)〜(15)からなる群から選択される芳香族基が好ましい。
【0061】
【化9】

【0062】
前記化学式(7)中、前記R1としては、下記化学式(16)で表される基が好ましく、下記化学式(16)において、R2及びpは前記化学式(8)と同義である。
【0063】
【化10】

【0064】
また、前記化学式(7)中、nは重合度を表し、例えば、2〜5,000の範囲であり、好ましくは、5〜500の範囲である。また、その重合は、同じ構造の繰り返し単位からなるものであってもよく、異なる構造の繰り返し単位からなるものであってもよい。後者の場合には、繰り返し単位の重合形態は、ブロック重合であってもよいし、ランダム重合でもよい。
【0065】
さらに、前記化学式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの末端は、p−テトラフルオロベンゾイレン基側がフッ素であり、オキシアルキレン基側が水素原子であることが好ましく、このようなポリアリールエーテルケトンは、例えば、下記化学式(17)で表すことができる。尚、下記化学式において、nは前記化学式(7)と同様の重合度を表す。
【0066】
【化11】

【0067】
前記化学式(7)で示されるポリアリールエーテルケトンの具体例としては、下記化学式(18)〜(21)で表されるもの等があげられ、下記各化学式において、nは、前記化学式(7)と同様の重合度を表す。
【0068】
【化12】

【0069】
【化13】

【0070】
【化14】

【0071】
【化15】

【0072】
また、これらの他に、前記複屈折層の成膜材料である非液晶ポリマーたるポリアミド又はポリエステルとしては、例えば、特表平10−508048号公報に記載されるポリアミドやポリエステルがあげられ、それらの繰り返し単位は、例えば、下記化学式(22)で表すことができる。
【0073】
【化16】

【0074】
前記化学式(22)中、Yは、O又はNHである。また、Eは、例えば、共有結合、C2のアルキレン基、ハロゲン化C2アルキレン基、CH2基、C(CX3)2基(ここで、Xはハロゲン又は水素である。)、CO基、O原子、S原子、SO2基、Si(R)2基、及び、N(R)基からなる群から選ばれる少なくとも一種類の基であり、それぞれ同一でもよいし異なってもよい。
前記Eにおいて、Rは、C13のアルキル基及びC13のハロゲン化アルキル基の少なくとも一種類であり、カルボニル官能基又はY基に対してメタ位又はパラ位にある。
【0075】
また、前記化学式(22)中、A及びA’は、置換基であり、t及びzは、それぞれの置換数を表す。また、pは、0〜3までの整数であり、qは、1〜3までの整数であり、rは、0〜3までの整数である。
【0076】
前記Aは、例えば、水素、ハロゲン、C13のアルキル基、C13のハロゲン化アルキル基、OR(ここで、Rは、前記定義のものである。)で表されるアルコキシ基、アリール基、ハロゲン化等による置換アリール基、C19のアルコキシカルボニル基、C19のアルキルカルボニルオキシ基、C112のアリ−ルオキシカルボニル基、C112のアリ−ルカルボニルオキシ基及びその置換誘導体、C112のアリ−ルカルバモイル基、並びに、C112のアリ−ルカルボニルアミノ基及びその置換誘導体からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であるか又は異なる。前記A’は、例えば、ハロゲン、C13のアルキル基、C13のハロゲン化アルキル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選択され、複数の場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。前記置換フェニル基のフェニル環上の置換基としては、例えば、ハロゲン、C13のアルキル基、C13のハロゲン化アルキル基及びこれらの組み合わせを挙げることができる。前記tは、0〜4までの整数であり、前記zは、0〜3までの整数である。
【0077】
前記化学式(22)で表されるポリアミド又はポリエステルの繰り返し単位の中でも、下記化学式(23)で表されるものが好ましい。
【0078】
【化17】

【0079】
前記化学式(23)中、A、A’及びYは、前記化学式(22)で定義したものであり、vは0〜3の整数、好ましくは、0〜2の整数である。x及びyは、それぞれ0又は1であるが、共に0であることはない。
【0080】
また、ポリエステルとしては、繰り返し単位が下記化学式(24)(25)で表されるものであってもよい。
【0081】
【化18】

【0082】
前記化学式(24)(25)中、X及びYは、置換基である。該Xは、水素、塩素及び臭素からなる群から選択される。また、該Yは、下記化学式(26)(27)(28)(29)からなる群から選択される。
【0083】
【化19】

【0084】
更に、ポリエステルとしては、前記化学式(24)(25)で表されるポリエステルを組み合わせたコポリマ−であってもよい。
【0085】
前記複屈折層は、通常、上述の如き非液晶ポリマーを、密着層上に塗布することにより、前記密着層上に形成される。
前記非液晶ポリマーを塗布する方法としては、特に制限されないが、例えば、前記非液晶ポリマーを加熱溶融して塗布する方法や、前記非液晶ポリマーを溶媒に溶解又は分散させた非液晶ポリマーの溶液を塗布する方法が挙げられる。その中でも、作業性に優れることから、非液晶ポリマーの溶液を塗布する方法が好ましい。
【0086】
前記非液晶ポリマーの溶液におけるポリマー濃度は、特に制限されないが、例えば、塗布が容易な粘度となることから、溶媒100重量部に対して、例えば、前記非液晶ポリマーが5〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜40重量部である。
【0087】
前記非液晶ポリマーの溶液の溶媒としては、非液晶ポリマー等の形成材料を溶解又は分散させることができれば特に制限されず、非液晶ポリマーの種類に応じて適宜決定される。具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、バラクロロフェノール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ等が挙げられる。これらの溶媒は、一種類のみを用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0088】
これらの溶媒の中でも、均一な塗布が可能となる点から、非液晶ポリマーを溶解させる溶媒が好ましい。
更に、非液晶ポリマーを溶解させる溶媒の中でもメチルイソブチルケトンが特に好ましい。
一般に、非液晶ポリマーを溶解させる溶媒は、透明高分子フィルム層を構成する高分子に対しても溶解力が高いため、このような溶媒を用いた場合、溶媒が密着層を浸透して透明高分子フィルム層表面を荒らす(部分的に溶解させる)こととなり、結果的に、積層フィルムに多くの皺やうねりが発生するという問題が生じることとなる。特に、このような問題は、非液晶ポリマーとしてポリイミドを用い、透明高分子フィルムとしてトリアセチルセルロースフィルムを用いた場合に非常に顕著となる。
しかしながら、メチルイソブチルケトンは、非液晶ポリマー(特にポリイミド)に対して溶解力が優れているにもかかわらず、透明高分子フィルム(特に、トリアセチルセルロースフィルム)の表面を荒らすことが殆ど無いため、溶媒として、メチルイソブチルケトンを用いた場合には、皺やうねりが殆ど無く平滑性に優れた積層フィルムを得ることができる。
【0089】
前記非液晶ポリマーの溶液には、例えば、必要に応じて、さらに、安定剤、可塑剤、金属類等の種々の添加剤が配合されていてもよい。
【0090】
また、前記非液晶ポリマーの溶液には、例えば、非液晶ポリマーの配向性等が著しく低下しない範囲で、異なる他の樹脂が配合されていてもよい。前記他の樹脂としては、例えば、各種汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0091】
前記汎用樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂、およびAS樹脂等が挙げられる。前記エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂等が挙げられる。
【0092】
このように、他の樹脂等を前記ポリマー溶液に配合する場合、その配合量は、例えば、非液晶ポリマーに対して、50質量%以下であり、好ましくは、30質量%以下である。
【0093】
前記非液晶ポリマーの溶液を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。また、塗布に際しては、必要に応じて、ポリマー層の重畳方式も採用できる。
【0094】
前記非液晶ポリマーの溶液が塗布されたフィルムは、例えば、加熱処理が施されて溶媒が除去される。更に、加熱処理により収縮され、この収縮に伴って、非液晶ポリマーの塗工膜が収縮することにより、非液晶ポリマーの複屈折層が形成される。
前記加熱処理の条件としては、特に制限されず、例えば、透明高分子フィルムの材料、種類等によって適宜決定されるが、通常、加熱温度が25〜300℃の範囲であり、好ましくは50〜200℃の範囲であり、特に好ましくは60〜180℃の範囲である。
【0095】
前記加熱処理後において、前記複屈折層中に残存する溶媒は、その量に比例して光学フィルムの光学特性を経時的に変化させるおそれがあるため、その残存量は、例えば、5%以下が好ましく、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは0.2%以下である。
【0096】
溶媒が除去された光学フィルムは、更に、光学二軸性等、所望の光学特性を付与すべく、延伸処理が施される。
延伸処理の方法は、特に制限されないが、例えば、長手方向に一軸延伸する自由端縦延伸、フィルムの長手方向を固定した状態で、幅方向に一軸延伸する固定端横延伸、長手方向および幅方向の両方に延伸を行う逐次または同時二軸延伸等の方法が挙げられる。
【0097】
これらの延伸処理は、例えば、透明高分子フィルと複屈折層(塗工膜)とを共に引っ張ることによって行ってもよいが、例えば、以下の理由から、前記透明高分子フィルムのみを引っ張ることが好ましい。即ち、透明高分子フィルムのみを延伸した場合、この延伸により透明高分子に発生する張力によって、前記塗工膜が間接的に延伸される。そして、塗工膜を延伸するよりも、透明高分子フィルムのみを延伸する方が、通常、均一な延伸となるため、これに伴って、塗工膜も均一に延伸できるためである。このとき、密着層による十分な密着性によって、塗工膜が剥離する虞がなく、また、その作用は明確でないものの、塗工膜に均一に張力が働くために、位相差値のバラツキまでもが低減される。
【0098】
延伸の条件としては、特に制限されず、例えば、透明高分子フィルムや非液晶ポリマーの種類等に応じて適宜決定されるが、具体例としては、延伸倍率は、1倍より大きく5倍以下が好ましく、より好ましくは、1倍より大きく4倍以下であり、特に好ましくは1倍より大きく3倍以下であり、延伸処理を行う温度(延伸温度)は、好ましくは80℃〜150℃、より好ましくは90℃〜140℃、特により好ましくは100℃〜130℃である。
【0099】
前記複屈折層の延伸前又は延伸後の厚みは、特に限定されるものではないが、通常1〜30μm、好ましくは、2〜20μm、より好ましくは3〜15μmである。
【0100】
本実施形態に於ける光学フィルムは、透明高分子フィルムがポリアセチルセルロールフィルムであり且つ複屈折層がポリイミドにより形成されてなるものが好ましい。
ポリウレタン系樹脂は、ポリアセチルセルロースフィルム及びポリイミドにより形成された複屈折層に対して非常に良好な密着性を呈することから、斯かる構成の光学フィルムは、透明高分子フィルム及び複屈折層に対して密着層が非常に強固に密着することとなり、透明高分子フィルムと複屈折層との剥離の虞がより一層少ないものとなる。
【0101】
本実施形態の光学フィルムは、偏光子と組み合わせることで偏光板として用いることができる。
前記偏光子としては、特に制限されず、従来の公知の方法により各種フィルムにヨウ素や二色染料等の二色性物質を吸着させて染色し、延伸、架橋、乾燥することにより作製したものを使用できる。
前記二色性物質を吸着させるフィルムとしては、例えばポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVAフィルム、エチレン・酢酸ビニル供重合体系ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等が挙げられる。
本実施形態の光学フィルムと前記偏光子とを積層させて偏光板を作製する場合、積層には、例えば接着剤等を使用することができる。前記接着剤等としては、アクリル系・ビニルアルコール系・シリコーン系・ポリエステル系・ポリウレタン系・ポリエーテル系等のポリマー製感圧接着剤やゴム系感圧接着剤を挙げることができる。また、グルタルアルデヒド・メラミン・シュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤等から構成される接着剤も使用できる。
【0102】
本実施形態の光学フィルムや該光学フィルムを含む偏光板は、液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に於ける光学フィルムや偏光板として好ましく用いることができる。例えば、偏光板を液晶セル基板の片側あるいは両側に配置してなる反射型液晶表示装置や半透過型液晶表示装置、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置の偏光板として用いることができる。
また、電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置においては、透明電極の表面側に設ける偏光板として、また、これら透明電極と偏光板との間に設ける位相差フィルムとして用いることもできる。
【実施例】
【0103】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
尚、各実施例及び比較例において、密着層の厚み及びΔnは、以下の方法で測定した。

〈密着層の厚みの測定〉
波長700〜900nmの光干渉法より計算(大塚電子製、自記分光光度計MCPD−2000)した。

〈Δnの測定〉
自動複屈折計(王子計測機器製 KOBRA−21ADH)を用い、測定に用いる波長を590nmとし、測定温度を25℃として測定した。

〈Rth、Δndの測定〉
10cm×10cmのサンプルを準備し、自動複屈折計(王子計測機器製 KOBRA−21ADH)を用いて任意の10点におけるRth及びΔndを測定し、その平均値及び平均値からのバラツキを算出した。
ここで、Rth=(nx−nz)d、Δnd=(nx−ny)dであり、dは厚みを意味する。
尚、測定に用いる波長を590nmとし、測定温度を25℃とした。
【0104】
実施例1
自己乳化型の水分散ポリウレタン樹脂(ビスフェノールA骨格を有する線状ポリウレタン、旭電化製、「アデカボンタイターHUX320」)を溶媒(分散媒)としての水とイソプロピルアルコールとの混合液(重量比1:1)に混合し、ポリウレタン系樹脂の10重量%溶液(分散液)を調製し、該溶液を、グラビアコート法によりトリアセチルセルロースフィルム上全面に塗布した。その後120℃で10min熱処理し、密着層が形成された透明で平滑な厚み約80μmのフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン≒6FDAおよび2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル)≒PFMB≒TFMBから合成されたΔn≒0.04となるポリイミドを、溶媒としてシクロヘキサノンを用いて溶解し、ポリイミド23重量%の溶液を調製した。次いで、調製した溶液をグラビアコート法により上記密着層が形成されたフィルム上全面に塗布した。その後150℃で15min熱処理し、更に、テンター延伸機にてフィルムの両端部を把持して140℃で1.3倍に延伸し、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
また、この光学フィルムのΔn(a)(ポリイミド層のΔn)は、0.045、Δn(b)(トリアセチルセルロースフィルム層のΔn)は、0.0006であった。
【0105】
実施例2
芳香族ポリエステルを基本としたポリエステル系ポリウレタン樹脂(東洋紡製、「VYRON UR−1400」)を、溶媒としてメチルイソブチルケトンを用いて溶解し、ポリエステル系ポリウレタン樹脂の5重量%溶液を調製し、実施例1と同様に、該溶液をグラビアコート法によりトリアセチルセルロース上に塗布した。その後120℃で10min熱処理し、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは1μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0106】
実施例4
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型の水分散ポリウレタン樹脂(旭電化製、「アデカボンタイターHUX522」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0107】
実施例5
トリアセチルセルロースフィルムの両端部(それぞれ全体の5%程度の領域)は密着層及び複屈折層を塗布形成せず未塗工とし、テンター延伸機にて、未塗工の両端部を把持し、トリアセチルセルロースフィルムのみを引っ張ることにより延伸した以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキが±2nm、Δndのバラツキは±1nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0108】
実施例6
実施例2のポリウレタン樹脂溶液の溶媒として、メチルイソブチルケトンに代えてメチルエチルケトンを用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは0.5μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0109】
実施例7
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型の水分散ポリウレタン樹脂(旭電化製、「アデカボンタイターHUX523」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なのフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0110】
実施例8
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、カルボキシル基を含有する自己乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(旭電化製、「アデカボンタイターHUX232」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0111】
実施例9
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型のポリエーテル系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックス130」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは2μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0112】
実施例10
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型のポリエーテル系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックス600」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは2μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0113】
実施例11
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックス410」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは1μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0114】
実施例12
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックス420」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは1μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0115】
実施例13
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、自己乳化型のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックス460」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは1μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0116】
実施例14
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製、「スーパーフレックスE2000」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは2μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0117】
実施例15
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ボンディック1250」)を用い、その溶媒(分散媒)として水とトルエンとの混合液(重量比1:1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0118】
実施例16
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエーテル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ボンディック1310NSA」)を用い、その溶媒(分散媒)として水のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0119】
実施例17
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエーテル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ボンディック1320NS」)を用い、その溶媒(分散媒)として水のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0120】
実施例18
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエーテル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ボンディック1510」)を用い、その溶媒(分散媒)として水とトルエンとの混合液(重量比1:1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0121】
実施例19
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ハイドランHW−980」)を用い、その溶媒(分散媒)として水とアセトンとNMPとの混合溶媒(重量比1:0.5:0.5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0122】
実施例20
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「ハイドランAPX−101H」)を用い、その溶媒(分散媒)として水のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0123】
実施例21
実施例1のポリウレタン樹脂に代えて、強制乳化型のポリエステル系ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学製、「スペンゾールL512」)を用い、その溶媒(分散媒)として水とNMPとの混合液(重量比1:1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、密着層が形成された透明で平滑なフィルムを得た。尚、密着層の厚みは3μmであった。
次いで、この得られたフィルムを用いた以外は実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±3nm、Δndのバラツキは±2nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0124】
実施例22〜42
それぞれ実施例1〜21に於けるポリイミドの溶液の溶媒として、シクロヘキサノンに代えてメチルイソブチルケトンを用いた以外は、実施例1〜21と同様にしてそれぞれ複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。
複屈折層の厚み、Rthの平均値、Δndの平均値、Rthのバラツキ、Δndのバラツキは、それぞれ対応する実施例の光学フィルムと同様であった。また、それぞれ複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
また、実施例22に於ける光学フィルムのΔn(a)(ポリイミド層のΔn)は、0.045、Δn(b)(トリアセチルセルロースフィルム層のΔn)は、0.0006であった。
【0125】
比較例1
密着層を形成せず、トリアセチルセルロースフィルムをそのまま用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±10nm、Δndのバラツキは±5nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0126】
比較例2
密着層を形成せず、しかも、トリアセチルセルロースフィルムに代えてノルボルネン系透明高分子フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthの平均値が240nm、Δndの平均値が60nmであった。また、Rthのバラツキは±10nm、Δndのバラツキは±5nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0127】
比較例3
密着層を形成する樹脂として、ポリウレタン系樹脂に代えて水分散高分子ポリエステル(東洋紡製、「バイロナールMD−1400」)を用い、また、その溶媒(分散媒)として水を用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキは±7nm、Δndのバラツキは±4nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0128】
比較例4
密着層を形成する樹脂として、ポリウレタン系樹脂に代えて水分散高分子ポリエステル(東洋紡製、「バイロナールMD−1100」)を用い、また、その溶媒(分散媒)として水を用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキは±7nm、Δndのバラツキは±4nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0129】
比較例5
密着層を形成する樹脂として、ポリウレタン系樹脂に代えてポリイソシアネート(日本ポリウレタン製、「アクアネート100」)を用い、また、その溶媒(分散媒)として水を用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキは±7nm、Δndのバラツキは±4nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0130】
比較例6
密着層を形成する樹脂として、ポリウレタン系樹脂に代えてイソシアネート(旭化成製、「デュラネートTPA−100」)を用い、また、その溶媒(分散媒)として水を用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキは±7nm、Δndのバラツキは±4nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0131】
比較例7
密着層を形成する樹脂として、ポリウレタン系樹脂に代えて芳香族ポリエステル(大日本インキ製、「ファインテックスES2000」)を用い、また、その溶媒(分散媒)として水とN−メチルピリドンとの混合液(重量比1:1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキは±7nm、Δndのバラツキは±4nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0132】
比較例8
先ず、実施例1と同様にして、ポリイミド23重量%の溶液を調整し、これをグラビアコート法により、ポリエチレンテレフタレートフィルム上全面に塗布した。その後、150℃で15min熱処理し、更に、テンター延伸機にてフィルムの両端部を把持し140℃で1.3倍に横延伸して、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に複屈折層を形成した。
次いで、実施例1と同様にして、ポリウレタン系樹脂の10%溶液(分散液)を調整し、該溶液をトリアセチルセルロースフィルム上全面に塗布した。
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルムの複屈折層面を前記トリアセチルセルロースフィルムのウレタン系樹脂溶液塗布面に接合した。次いで、120℃で10min熱処理した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離して、トリアセチルセルロースフィルム上に密着層及び複屈折層の積層された完全透明の光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、複屈折層の厚みが6μmであり、Rthのバラツキが±10nm、Δndのバラツキは±5nmであった。複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0133】
比較例9〜16
それぞれ比較例1〜8に於けるポリイミドの溶液の溶媒として、シクロヘキサノンに代えてメチルイソブチルケトンを用いた以外は、比較例1〜8と同様にしてそれぞれ複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。
複屈折層の厚み、Rthの平均値、Δndの平均値、Rthのバラツキ、Δndのバラツキは、それぞれ対応する比較例の光学フィルムと同様であった。また、それぞれ複屈折層は、nx>ny>nzの光学二軸性を有した。
【0134】
試験例1
各実施例及び比較例の光学フィルムを下記試験に供した。また、試験結果を下記表1に示した。
〈密着性試験〉
JIS K 5400−1990に基づく基盤目剥離試験に基づいて0、2、4、6、8、10の6段階の評価を行った。結果を下記表1に示した。
尚、評価の数値は、大きいほど密着性が良好であることを示すものである。
【0135】
【表1】





【0136】
表1から明らかなように、ウレタン系樹脂の密着層が備えられてなる光学フィルムは、密着層の無い比較例に比して、密着性が良好であることが認められた。
更に、実施例1、実施例22と比較例1、比較例9、比較例3〜8、比較例11〜16との対比から明らかなように、ウレタン系樹脂の密着層により、密着性が良好となると共に、複屈折層と透明高分子フィルム層との間にウレタン系樹脂の密着層が介在された状態で延伸されることにより、位相差のバラツキが大幅に低減されることが認められた。
また、実施例1、実施例22と実施例5、実施例26との対比から明らかなように、透明高分子フィルムのみを引っ張ることにより延伸された光学フィルムは、より一層位相差のバラツキが低減されていることが認められた。
【0137】
実施例43〜48
ポリイミドを溶解させる溶媒として、シクロヘキサノンに代えて、それぞれシクロペンタノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、酢酸エチルを用いた以外は、実施例1と同様にして、それぞれ複屈折層を含む完全透明の光学フィルムを得た。
【0138】
試験例2
実施例1〜48の光学フィルムの外観を目視により観察し、平滑で全く皺やうねりが認められないものを○、僅かに皺やうねりが認められるものをΔ、明確に皺やうねりが認められるものを×と評価し、結果を下記表2に示した。
また、溶媒としてメチルイソブチルケトンを用いた実施例22、及びシクロペンタノンを用いた実施例43の外観を写真により撮影し、結果を図1、図2に示した。
【0139】
【表2】

表2、図1、図2から明らかなように、メチルイソブチルケトン以外の溶媒は、非液晶ポリマーとしてのポリイミドを十分に溶解させるものの、透明高分子フィルムとしてのトリアセチルセルロースフィルムの表面を浸食するため、これらの溶媒を用いた光学フィルムには、皺やうねりが発生することが認められた。
【0140】
参考例1、2
透明高分子フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルム(約77μm)に代えてポリエチレンテレフタレートフィルム(約75μm)を用いた以外は、それぞれ実施例1、実施例22と同様にして、それぞれ光学フィルムを得た。
この光学フィルムは、何れもΔn(a)(ポリイミド層のΔn)が0.045、Δn(b)(ポリエチレンテレフタレートフィルム層のΔn)が0.08であった。
【0141】
試験例3
実施例1、実施例22と参考例1、2の光学フィルムを液晶表示装置に於ける液晶セルのバックライト側に積層される光学フィルムとして用い、該液晶表示装置を黒表示した際に於ける虹ムラの有無を観察した。
実施例1、実施例22の光学フィルムを用いた場合、虹ムラは観察されなかったが、参考例1、2の光学フィルムを用いた場合、明確な虹ムラが観察された。
尚、実施例22及び参考例2の結果を写真により撮影し、実施例22の光学フィルムを用いた場合の結果を図3に、参考例2の光学フィルムを用いた場合の結果を図4に示した。
【0142】
試験例3の結果及び図3、図4の写真から明らかなように、Δn(a)>Δn(b)×10の要件を満たす実施例1、実施例22の光学フィルムは、画像表示装置の黒表示における虹ムラを十分に低減できることが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】実施例22の外観を撮影した写真。
【図2】実施例43の外観を撮影した写真。
【図3】実施例22の光学フィルムを用いた液晶表示装置における黒表示画像を撮影した写真。
【図4】参考例2の光学フィルムを用いた液晶表示装置における黒表示画像を撮影した写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明高分子フィルム層上にポリウレタン系樹脂溶液が塗布されることにより密着層が形成され且つ該密着層上に非液晶ポリマーが塗布されることにより複屈折層が形成されて積層フィルムとされてなり、更に、該積層フィルムに延伸処理が施されてなることを特徴とする光学フィルム。
【請求項2】
前記延伸処理は、前記透明高分子フィルムのみを引っ張ることにより施されてなる請求項1記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記複屈折層は、前記密着層上に非液晶ポリマーを溶媒に溶解又は分散させた状態で塗布することより形成されてなり、該溶媒は、メチルイソブチルケトンを含んでいる請求項1又は2記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記複屈折層が下記式(1)の条件を満たす請求項1乃至3の何れかに記載の光学フィルム。
nx≧ny>nz ・・・(1)
前記式(1)において、nx、nyおよびnzは、それぞれ、前記複屈折層における、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率を示す。
前記X軸方向は、前記複屈折層の面内方向において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、前記面内におけるX軸方向に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向はX軸方向およびY軸方向に垂直な厚み方向を意味する。
【請求項5】
前記密着層の厚みが100nm〜10μmの範囲である請求項1乃至4の何れかに記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記非液晶ポリマーが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーである請求項1乃至5の何れか1項に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記透明高分子フィルム層が、トリアセチルセルロースフィルム、側鎖にイミド基、フェニル基若しくはニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含むフィルム又はノルボルネン系樹脂フィルムで形成されてなる請求項1乃至6の何れか1項に記載の光学フィルム。
【請求項8】
前記複屈折層の複屈折率Δn(a)および前記透明高分子フィルム層の複屈折率Δn(b)が下記式(2)の条件を満たす請求項1乃至7の何れか1項に記載の光学フィルム。
Δn(a)>Δn(b)×10 ・・・(2)
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の光学フィルムと偏光子とを含む偏光板。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の光学フィルム又は請求項9に記載の偏光板を含む液晶セル。
【請求項11】
請求項10に記載の液晶セルを含む液晶表示装置。
【請求項12】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の光学フィルム又は請求項9に記載の偏光板を含む画像表示装置。
【請求項13】
透明高分子フィルム層上に、ポリウレタン系樹脂溶液を塗布することにより密着層を形成し且つ該密着層上に非液晶ポリマーを塗布することにより複屈折層を形成して積層フィルムとし、更に、該積層フィルムに延伸処理を施すことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明高分子フィルム層上にポリウレタン系樹脂溶液が塗布されることにより密着層が形成され且つ該密着層上にポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーである非液晶ポリマーが塗布されることにより複屈折層が形成されて積層フィルムとされてなり、更に、該積層フィルムに延伸処理が施されてなることを特徴とする光学フィルム。
【請求項2】
前記延伸処理は、前記透明高分子フィルムのみを引っ張ることにより施されてなる請求項1記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記複屈折層は、前記密着層上に非液晶ポリマーを溶媒に溶解又は分散させた状態で塗布することより形成されてなり、該溶媒は、メチルイソブチルケトンを含んでいる請求項1又は2記載の光学フィルム。
【請求項4】
前記複屈折層が下記式(1)の条件を満たす請求項1乃至3の何れかに記載の光学フィルム。
nx≧ny>nz ・・・(1)
前記式(1)において、nx、nyおよびnzは、それぞれ、前記複屈折層における、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率を示す。
前記X軸方向は、前記複屈折層の面内方向において最大の屈折率を示す軸方向であり、前記Y軸方向は、前記面内におけるX軸方向に対して垂直な軸方向であり、前記Z軸方向はX軸方向およびY軸方向に垂直な厚み方向を意味する。
【請求項5】
前記密着層の厚みが100nm〜10μmの範囲である請求項1乃至4の何れかに記載の光学フィルム。
【請求項6】
前記透明高分子フィルム層が、トリアセチルセルロースフィルム、側鎖にイミド基、フェニル基若しくはニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含むフィルム又はノルボルネン系樹脂フィルムで形成されてなる請求項1乃至の何れか1項に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記複屈折層の複屈折率Δn(a)および前記透明高分子フィルム層の複屈折率Δn(b)が下記式(2)の条件を満たす請求項1乃至の何れか1項に記載の光学フィルム。
Δn(a)>Δn(b)×10 ・・・(2)
【請求項8】
請求項1乃至の何れか1項に記載の光学フィルムと偏光子とを含む偏光板。
【請求項9】
請求項1乃至の何れか1項に記載の光学フィルム又は請求項に記載の偏光板を含む液晶セル。
【請求項10】
請求項に記載の液晶セルを含む液晶表示装置。
【請求項11】
請求項1乃至の何れか1項に記載の光学フィルム又は請求項に記載の偏光板を含む画像表示装置。
【請求項12】
透明高分子フィルム層上に、ポリウレタン系樹脂溶液を塗布することにより密着層を形成し且つ該密着層上にポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドおよびポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーである非液晶ポリマーを塗布することにより複屈折層を形成して積層フィルムとし、更に、該積層フィルムに延伸処理を施すことを特徴とする光学フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−171685(P2006−171685A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204219(P2005−204219)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】