説明

光学ユニット及びヘッドマウント型表示装置

【課題】 装置のサイズ拡大を抑制しながら、弱視者であっても映像を見ることを可能とする光学ユニット及びヘッドマウント型表示装置を提供する。
【解決手段】 映像光を出射する液晶パネル110と、液晶パネル110から出射される映像光が集光される焦点位置にピンホール131を有する絞り部130と、ピンホール131を通った映像光の光軸に対して略45°の傾きを有するPBS膜140と、ピンホール131を通った映像光の光軸に対して略90°の傾きを有しており、ピンホール131を通った映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する1/4λ位相差板150と、1/4λ位相差板150を透過した映像光を1/4λ位相差板150側に反射する凹面ミラー160と、凹面ミラー160で反射された映像光を眼球に集光する接眼レンズ200とを光学ユニット100が備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調素子から出射される映像光を眼球に集光する光学ユニット及びヘッドマウント型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光変調素子から出射される映像光を眼球に集光するヘッドマウント型表示装置が知られている(例えば、特許文献1)。ヘッドマウント型表示装置は、ユーザの頭部に装着される構成を有しており、ユーザは任意の姿勢で映像を見ることができる。
【0003】
一方で、ユーザが弱視である場合には、眼球の水晶体の焦点機能が低下しているため、映像光を眼球の瞳孔に十分に集光しなければ、映像を適切に網膜に結像することができない。従って、光変調素子から出射される映像光をピンホールに絞り込んだ上で、ピンホールを通った映像光を眼球の瞳孔に集光する方法が提案されている。
【0004】
ここで、眼球の直近にピンホールを設けると、ユーザの視野が狭くなるため、ピンホールを通った後に広がった映像光を再び眼球の瞳孔に集光することが好ましい。
【特許文献1】特開平7−250292号公報(請求項1、図8など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ピンホールを通った後に広がった映像光を均質化するために、ピンホールから接眼レンズまでの距離を十分に確保する必要がある。ピンホールから接眼レンズまでの距離を十分に確保すると、ヘッドマウント型表示装置のサイズが拡大する。
【0006】
ヘッドマウント型表示装置は、上述したように、ユーザの頭部に装着されるため、装置のサイズ拡大は好ましくない。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、装置のサイズ拡大を抑制しながら、弱視者であっても映像を見ることを可能とする光学ユニット及びヘッドマウント型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一ので特徴では、光学ユニットは、映像光を出射する光変調素子(液晶パネル110)と、前記光変調素子から出射される前記映像光が集光される焦点位置に開口(ピンホール131)を有する絞り部(絞り部130)と、前記開口を通った前記映像光の光軸に対して略45°の傾きを有する第1PBS膜(PBS膜140)と、前記開口を通った前記映像光の光軸に対して略90°の傾きを有しており、前記開口を通った前記映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する第1位相差板(1/4λ位相差板150)と、前記第1位相差板を透過した前記映像光を前記第1位相差板側に反射する第1凹面ミラー(凹面ミラー160)と、前記第1凹面ミラーで反射された前記映像光を眼球に集光する接眼レンズ(接眼レンズ200)とを備える。
【0009】
かかる特徴によれば、接眼レンズが、絞り部に設けられた開口に絞り込まれた映像光を眼球に集光するため、眼球の水晶体の焦点機能が低下している弱視者であっても、映像を見ることができる。また、第1PBS膜や第1凹面ミラーが映像光を反射するため、装置のサイズ拡大を抑制しながら、絞り部から接眼レンズまでの光路長を長くすることができ、映像光を十分に均質化することができる。さらに、第1位相差板が映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換した後に映像光の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換するように、第1位相差板を映像光が2回透過する構成を採ることによって、映像光の偏光状態を90°回転させて、S偏光からP偏光に変換された映像光又はP偏光からS偏光に変換された映像光を取り出すことが可能となる。
【0010】
上述した一の特徴において、前記開口を通った前記映像光がS偏光である場合において、前記接眼レンズは、前記第1PBS膜を挟んで前記第1凹面ミラーと対向する位置に設けられる。
【0011】
上述した一の特徴において、前記開口を通った前記映像光がP偏光である場合において、前記接眼レンズは、前記第1PBS膜を境として前記第1凹面ミラーと同じ側に設けられる。
【0012】
上述した一の特徴において、光学ユニットは、前記開口を通った前記映像光がS偏光である場合において、前記第1PBS膜を挟んで前記第1凹面ミラーと対向する位置に設けられており、前記第1PBS膜を透過した前記映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する第2位相差板(1/4λ位相差板170)と、前記第2位相差板を透過した前記映像光を前記第2位相差板側に反射する反射ミラー(反射ミラー180)とをさらに備える。前記開口を通った前記映像光がS偏光である場合において、前記接眼レンズは、前記第1PBS膜を境として前記反射ミラーと同じ側に設けられる。
【0013】
上述した一の特徴において、光学ユニットは、前記開口を通った前記映像光がP偏光である場合において、前記第1PBS膜を境として前記第1凹面ミラーと同じ側に設けられており、前記第1PBS膜で反射された前記映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する第2位相差板(1/4λ位相差板170)と、前記第2位相差板を透過した前記映像光を前記第2位相差板側に反射する反射ミラー(反射ミラー180)とをさらに備える。前記開口を通った前記映像光がP偏光である場合において、前記接眼レンズは、前記第1PBS膜を挟んで前記反射ミラーと対向する位置に設けられる。
【0014】
上述した一の特徴において、光学ユニットは、前記光変調素子から出射される前記映像光の光軸に対して略45°の傾きを有する第2PBS膜(PBS膜210)と、前記第2PBS膜で反射された前記映像光又は前記第2PBS膜を透過した前記映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する第3位相差板(1/4λ位相差板220)と、前記第3位相差板を透過した前記映像光を前記第3位相差板側に反射する第2凹面ミラー(凹面ミラー230)とをさらに備える。前記第2凹面ミラーが、前記映像光を前記開口に集光する。
【0015】
一の特徴では、ユーザの頭部に装着されるヘッドマウント型表示装置は、環状形状を有しており、ユーザの頭部に装着される環状部材と、ユーザの後頭部側において前記環状部材に設けられており、ユーザの後頭部と前記環状部材の内面との間に形成される空隙を調整する調整具と、ユーザの前頭部側において前記環状部材に設けられており、ユーザの鼻に押し当てられるノーズパッドと、ユーザの眼球の前方に設けられた表示ユニットと、ユーザの前頭部側において前記環状部材に設けられており、前記環状部材と前記表示ユニットとを連結する連結部材とを備える。前記表示ユニットは、映像光を出射する光変調素子と、前記光変調素子に光を照射する光源と、前記光変調素子から出射される前記映像光が集光される焦点位置に開口を有する絞り部と、前記開口を通った前記映像光の光軸に対して略45°の傾きを有する第1PBS膜と、前記開口を通った前記映像光の光軸に対して略90°の傾きを有しており、前記開口を通った前記映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する第1位相差板と、前記第1位相差板を透過した前記映像光を前記第1位相差板側に反射する第1凹面ミラーと、前記第1凹面ミラーで反射された前記映像光を眼球に集光する接眼レンズとを有する。
【0016】
上述した一の特徴において、ヘッドマウント型表示装置は、ユーザの側頭部側において前記環状部材から下方に向けて設けられており、ユーザの耳の付け根に押し当てられるイヤーパッドをさらに備える。
【0017】
上述した一の特徴において、前記連結部材は、前記環状部材側に設けられた第1アーム部と、前記表示ユニット側に設けられた第2アーム部とを有しており、前記第1アーム部は、前記第2アーム部を回動可能に支持する。
【0018】
上述した一の特徴において、前記環状部材は、前記第1アーム部を回動可能に支持する。
【0019】
上述した一の特徴において、前記第2アーム部は、前記表示ユニットを回動可能に支持する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、装置のサイズ拡大を抑制しながら、弱視者であっても映像を見ることを可能とする光学ユニット及びヘッドマウント型表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下において、本発明の実施形態に係るヘッドマウント型表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0022】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0023】
[第1実施形態]
(ヘッドマウント型表示装置の概略)
以下において、第1実施形態に係るヘッドマウント型表示装置の概略について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係るヘッドマウント型表示装置20の概略を示す図である。
【0024】
図1に示すように、ヘッドマウント型表示装置20は、ユーザ10の頭部に装着される構成を有する。ヘッドマウント型表示装置20の構成は、眼鏡のようにかける構成であってもよく、ヘルメットのように被る構成であってもよい。
【0025】
なお、第1実施形態では、ヘッドマウント型表示装置20は、映像光をユーザ10の眼球に集光する装置である。特に、第1実施形態では、ヘッドマウント型表示装置20は、ユーザ10が弱視者であっても、ユーザ10が映像光を見ることを可能とする装置である。なお、ユーザ10は、任意の姿勢で映像をみることができる。
【0026】
(光学ユニットの構成)
以下において、第1実施形態に係る光学ユニットの構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。
【0027】
図2に示すように、光学ユニット100は、液晶パネル110と、集光レンズ120と、絞り部130と、PBS膜140と、1/4λ位相差板150と、凹面ミラー160と、接眼レンズ200とを有する。
【0028】
液晶パネル110は、光源(不図示)が発する光を変調して、映像光を出射する光変調素子である。液晶パネル110は、S偏光の映像光を出射する。
【0029】
集光レンズ120は、液晶パネル110が発する映像光を集光する。具体的には、集光レンズ120は、絞り部130に設けられた開口(ピンホール131)に映像光を集光する。
【0030】
絞り部130は、遮光部材によって構成される。絞り部130は、集光レンズ120によって集光された映像光が通るピンホール131を有する。絞り部130は、ピンホール131が集光レンズ120の焦点位置に重なるように配置される。
【0031】
PBS膜140は、光の偏光方向に応じて、反射光及び透過光に光を分離するPBS(Polarized Beam Splitter)膜である。具体的には、PBS膜140は、P偏光の映像光を透過し、S偏光の映像光を反射する。PBS膜140は、ピンホール131を通った映像光の光軸に対して略45°の傾きを有する。なお、PBS膜140は、ピンホール131を通ったS偏光の映像光を凹面ミラー160側に反射し、凹面ミラー160で反射されて戻ってきたP偏光の映像光を接眼レンズ200側に透過する。
【0032】
1/4λ位相差板150は、光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換し、光の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換する位相差板である。1/4λ位相差板150は、ピンホール131を通った映像光の光軸(図2では、PBS膜140で反射された映像光の光軸)に対して略90°の傾きを有する。1/4λ位相差板150は、PBS膜140で映像光が反射された側に設けられる。
【0033】
凹面ミラー160は、1/4λ位相差板150を透過した映像光を1/4λ位相差板150側に反射する。凹面ミラー160は、映像光を反射することによって、映像光を均質化する。
【0034】
このように、PBS膜140で反射された映像光は、1/4λ位相差板150を透過した後に、凹面ミラー160で反射されて、1/4λ位相差板150を再び透過する。すなわち、PBS膜140で反射された映像光が1/4λ位相差板150を2回透過することによって、映像光の偏光方向が略90°回転し、映像光の偏光状態は、S偏光からP偏光又はP偏光からS偏光に変換される。
【0035】
従って、凹面ミラー160で反射されて、1/4λ位相差板150を再び透過した映像光の偏光方向はP偏光である。この結果、凹面ミラー160で反射された映像光はPBS膜140を透過する。
【0036】
接眼レンズ200は、凹面ミラー160で反射された映像光を眼球11の瞳孔12に集光する。接眼レンズ200は、瞳孔12に集光された映像光は、眼球11の網膜に結像する。凹面ミラー160で反射された映像光がPBS膜140を透過するため、接眼レンズ200は、PBS膜140を挟んで凹面ミラー160と対向する位置に設けられる。
【0037】
(作用及び効果)
第1実施形態に係る光学ユニット100によれば、接眼レンズ200が、絞り部130に設けられたピンホール131に絞り込まれた映像光を眼球11の瞳孔12に集光するため、眼球11の水晶体の焦点機能が低下している弱視者であっても、映像を見ることができる。また、PBS膜140及び凹面ミラー160が映像光を反射するため、装置のサイズ拡大を抑制しながら、絞り部130から接眼レンズ200までの光路長を長くすることができ、映像光を十分に均質化することができる。さらに、1/4λ位相差板150が映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換した後に映像光の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換するように、1/4λ位相差板150を映像光が2回透過する構成を採ることによって、映像光の偏光状態を90°回転させて、S偏光からP偏光に変換された映像光又はP偏光からS偏光に変換された映像光を取り出すことが可能となる。
【0038】
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第2実施形態との相違点について主として説明する。
【0039】
上述した第1実施形態では、液晶パネル110から出射される映像光(ピンホール131を通った映像光)はS偏光である。これに対して、第2実施形態では、液晶パネル110から出射される映像光(ピンホール131を通った映像光)はP偏光である。
【0040】
(光学ユニットの構成)
以下において、第2実施形態に係る光学ユニットの構成について、図面を参照しながら説明する。図3は、第2実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。なお、図3では、図2と同様の構成について同様の符号を付していることに留意すべきである。
【0041】
図3に示すように、液晶パネル110は、P偏光の映像光を出射し、集光レンズ120は、P偏光の映像光をピンホール131に集光する。
【0042】
PBS膜140は、ピンホール131を通った映像光の光軸に対して略45°の傾きを有する。なお、PBS膜140は、ピンホール131を通ったP偏光の映像光を凹面ミラー160側に透過し、凹面ミラー160で反射されて戻ってきたS偏光の映像光を接眼レンズ200側に反射する。
【0043】
1/4λ位相差板150は、ピンホール131を通った映像光の光軸(図3では、PBS膜140を透過した映像光の光軸)に対して略90°の傾きを有する。1/4λ位相差板150は、PBS膜140を映像光が透過した側に設けられる。
【0044】
凹面ミラー160は、1/4λ位相差板150を透過した映像光を1/4λ位相差板150側に反射する。凹面ミラー160は、映像光を反射することによって、映像光を均質化する。
【0045】
このように、PBS膜140を透過した映像光は、1/4λ位相差板150を透過した後に、凹面ミラー160で反射されて、1/4λ位相差板150を再び透過する。すなわち、PBS膜140を透過した映像光が1/4λ位相差板150を2回透過することによって、映像光の偏光方向が略90°回転し、映像光の偏光状態は、S偏光からP偏光又はP偏光からS偏光に変換される。
【0046】
従って、凹面ミラー160で反射されて、1/4λ位相差板150を再び透過した映像光の偏光方向はS偏光である。この結果、凹面ミラー160で反射された映像光はPBS膜140で反射される。
【0047】
接眼レンズ200は、凹面ミラー160で反射された映像光を眼球11の瞳孔12に集光する。接眼レンズ200は、瞳孔12に集光された映像光は、眼球11の網膜に結像する。凹面ミラー160で反射された映像光がPBS膜140で反射されるため、接眼レンズ200は、PBS膜140の延長面(SPBS)を境として光学ユニット100内の空間を2つの領域(領域A及び領域B)に分けた場合に、凹面ミラー160と同じ側の領域(領域A)に設けられる。
【0048】
(作用及び効果)
第2実施形態に係る光学ユニット100によれば、絞り部130に設けられたピンホール131を通る映像光がP偏光であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
[第3実施形態]
以下において、第3実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第3実施形態との相違点について主として説明する。
【0050】
具体的には、上述した第1実施形態では、凹面ミラー160で反射された映像光は、PBS膜140を透過して、そのまま接眼レンズ200に照射される。これに対して、第3実施形態では、凹面ミラー160で反射された映像光は、反射ミラーで再び反射されてから、接眼レンズ200に照射される。
【0051】
(光学ユニットの構成)
以下において、第3実施形態に係る光学ユニットの構成について、図面を参照しながら説明する。図4は、第3実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。図4では、図2と同様の構成について同様の符号を付していることに留意すべきである。
【0052】
図4に示すように、光学ユニット100は、図2に示した構成に加えて、1/4λ位相差板170と、反射ミラー180とを有する。
【0053】
図4に示すように、液晶パネル110は、S偏光の映像光を出射し、集光レンズ120は、S偏光の映像光をピンホール131に集光する。
【0054】
1/4λ位相差板170は、1/4λ位相差板150と同様に、光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換し、光の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換する位相差板である。凹面ミラー160で反射されて1/4λ位相差板150を透過した映像光がP偏光であるため、1/4λ位相差板170は、PBS膜140を挟んで凹面ミラー160と対向する位置に設けられる。
【0055】
反射ミラー180は、1/4λ位相差板170を透過した映像光を1/4λ位相差板170側に反射する平面ミラーである。
【0056】
このように、PBS膜140を透過した映像光は、1/4λ位相差板170を透過した後に、反射ミラー180で反射されて、1/4λ位相差板170を再び透過する。すなわち、PBS膜140を透過した映像光が1/4λ位相差板170を2回透過することによって、映像光の偏光方向が略90°回転し、映像光の偏光状態は、S偏光からP偏光又はP偏光からS偏光に変換される。
【0057】
従って、反射ミラー180で反射されて、1/4λ位相差板170を再び透過した映像光の偏光方向はS偏光である。この結果、反射ミラー180で反射された映像光はPBS膜140で反射される。
【0058】
なお、反射ミラー180で反射された映像光がPBS膜140で反射されるため、接眼レンズ200は、PBS膜140の延長面(SPBS)を境として光学ユニット100内の空間を2つの領域(領域A及び領域B)に分けた場合に、反射ミラー180と同じ側の領域(領域A)に設けられる。
【0059】
(作用及び効果)
第3実施形態に係る光学ユニット100によれば、第1実施形態の構成に加えて、反射ミラー180が映像光を反射するため、装置のサイズ拡大をさらに抑制しながら、絞り部130から接眼レンズ200までの光路長を十分に確保することができる。さらに、1/4λ位相差板170が映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換した後に映像光の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換するように、1/4λ位相差板170を映像光が2回透過する構成を採ることによって、映像光の偏光状態を90°回転させて、S偏光からP偏光に変換された映像光又はP偏光からS偏光に変換された映像光を取り出すことが可能となる。
【0060】
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第3実施形態と第4実施形態との相違点について主として説明する。
【0061】
上述した第3実施形態では、液晶パネル110から出射される映像光(ピンホール131を通った映像光)はS偏光である。これに対して、第4実施形態では、液晶パネル110から出射される映像光(ピンホール131を通った映像光)はP偏光である。
【0062】
(光学ユニットの構成)
以下において、第4実施形態に係る光学ユニットの構成について、図面を参照しながら説明する。図5は、第4実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。図5では、図4と同様の構成について同様の符号を付していることに留意すべきである。
【0063】
図5に示すように、液晶パネル110は、P偏光の映像光を出射し、集光レンズ120は、P偏光の映像光をピンホール131に集光する。
【0064】
1/4λ位相差板170は、1/4λ位相差板150と同様に、光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換し、光の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換する位相差板である。凹面ミラー160で反射されて1/4λ位相差板150を透過した映像光がS偏光であるため、1/4λ位相差板170は、PBS膜140の延長面(SPBS)を境として光学ユニット100内の空間を2つの領域(領域A及び領域B)に分けた場合に、凹面ミラー160と同じ側の領域(領域A)に設けられる。
【0065】
このように、PBS膜140で反射された映像光は、1/4λ位相差板170を透過した後に、反射ミラー180で反射されて、1/4λ位相差板170を再び透過する。すなわち、PBS膜140で反射された映像光が1/4λ位相差板170を2回透過することによって、映像光の偏光方向が略90°回転し、映像光の偏光状態は、S偏光からP偏光又はP偏光からS偏光に変換される。
【0066】
従って、反射ミラー180で反射されて、1/4λ位相差板170を再び透過した映像光の偏光方向はP偏光である。この結果、反射ミラー180で反射された映像光はPBS膜140を透過する。
【0067】
なお、反射ミラー180で反射された映像光がPBS膜140を透過するため、接眼レンズ200は、PBS膜140を挟んで反射ミラー180と対向する位置に設けられる。
【0068】
(作用及び効果)
第4実施形態に係る光学ユニット100によれば、絞り部130に設けられたピンホール131を通る映像光がP偏光であっても、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
[第5実施形態]
以下において、第5実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第5実施形態との相違点について主として説明する。
【0070】
具体的には、上述した第1実施形態では、液晶パネル110から出射された光は、集光レンズ120によってピンホール131に集光される。これに対して、第5実施形態では、液晶パネル110から出射された光は、PBS膜、1/4λ位相差板及び凹面ミラーによってピンホール131に集光される。
【0071】
(光学ユニットの構成)
以下において、第5実施形態に係る光学ユニットの構成について、図面を参照しながら説明する。図6は、第5実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。図6では、図2と同様の構成について同様の符号を付していることに留意すべきである。なお、図6では、液晶パネル110から絞り部130までの構成のみが記載されており、絞り部130から接眼レンズ200までの構成が省略されていることに留意すべきである。
【0072】
図6に示すように、光学ユニット100は、PBS膜210と、1/4λ位相差板220と、凹面ミラー230とを有する。なお、液晶パネル110は、S偏光の映像光を出射する。
【0073】
PBS膜210は、PBS膜140と同様に、光の偏光方向に応じて、反射光及び透過光に光を分離するPBS(Polarized Beam Splitter)膜である。PBS膜210は、液晶パネル110から出射される映像光の光軸に対して、略45°の傾きを有する。なお、PBS膜210は、液晶パネル110から出射されるS偏光の映像光を凹面ミラー230側に反射し、凹面ミラー230で反射されて戻ってきたP偏光の映像光を絞り部130側に透過する。
【0074】
1/4λ位相差板220は、PBS膜210で反射された映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換し、光の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換する。液晶パネル110から出射された映像光がS偏光であるため、1/4λ位相差板220は、PBS膜210の延長面(SPBS)を境として光学ユニット100内の空間を2つの領域(領域C及び領域D)に分けた場合に、液晶パネル110と同じ側の領域(領域C)に設けられる。
【0075】
凹面ミラー230は、1/4λ位相差板220を透過した映像光を1/4λ位相差板220側に反射する。凹面ミラー230は、映像光を反射することによって、絞り部130に設けられたピンホール131に映像光を集光する。
【0076】
このように、PBS膜210で反射された映像光は、1/4λ位相差板220を透過した後に、凹面ミラー230で反射されて、1/4λ位相差板220を再び透過する。すなわち、PBS膜210で反射された映像光が1/4λ位相差板220を2回透過することによって、映像光の偏光方向が略90°回転し、映像光の偏光状態は、S偏光からP偏光又はP偏光からS偏光に変換される。
【0077】
従って、凹面ミラー230で反射されて、1/4λ位相差板220を再び透過した映像光の偏光方向はP偏光である。この結果、凹面ミラー230で反射された映像光はPBS膜210を透過する。
【0078】
なお、凹面ミラー230で反射された映像光がPBS膜210を透過するため、絞り部130は、PBS膜210を挟んで凹面ミラー230と対向する位置に設けられる。
【0079】
(作用及び効果)
第5実施形態に係る光学ユニット100によれば、凹面ミラー230が映像光を反射した上で、絞り部130に設けられたピンホール131に映像光を集光するため、装置のサイズ拡大を抑制しながら、液晶パネル110から絞り部130までの光路長を長くすることができる。さらに、1/4λ位相差板220が映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換した後に映像光の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換するように、1/4λ位相差板220を映像光が2回透過する構成を採ることによって、映像光の偏光状態を90°回転させて、S偏光からP偏光に変換された映像光又はP偏光からS偏光に変換された映像光を取り出すことが可能となる。
【0080】
[第6実施形態]
以下において、第6実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第5実施形態と第6実施形態との相違点について主として説明する。
【0081】
具体的には、上述した第5実施形態では、液晶パネル110から出射される映像光はS偏光である。これに対して、第2実施形態では、液晶パネル110から出射される映像光はP偏光である。
【0082】
(光学ユニットの構成)
以下において、第6実施形態に係る光学ユニットの構成について、図面を参照しながら説明する。図7は、第6実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。図7では、図2と同様の構成について同様の符号を付していることに留意すべきである。なお、図7では、液晶パネル110から絞り部130までの構成のみが記載されており、絞り部130から接眼レンズ200までの構成が省略されていることに留意すべきである。また、液晶パネル110は、P偏光の映像光を出射する。
【0083】
図7に示すように、PBS膜210は、液晶パネル110から出射される映像光の光軸に対して、略45°の傾きを有する。なお、PBS膜210は、液晶パネル110から出射されるP偏光の映像光を凹面ミラー230側に透過し、凹面ミラー230で反射されて戻ってきたS偏光の映像光を絞り部130側に反射する。
【0084】
1/4λ位相差板220は、PBS膜210を透過した映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換し、光の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換する。液晶パネル110から出射される映像光がP偏光であるため、1/4λ位相差板220は、PBS膜210を挟んで液晶パネル110と対向する位置に設けられる。
【0085】
凹面ミラー230は、1/4λ位相差板220を透過した映像光を1/4λ位相差板220側に反射する。凹面ミラー230は、映像光を反射することによって、絞り部130に設けられたピンホール131に映像光を集光する。
【0086】
このように、PBS膜210を透過した映像光は、1/4λ位相差板220を透過した後に、凹面ミラー230で反射されて、1/4λ位相差板220を再び透過する。すなわち、PBS膜210を透過した映像光が1/4λ位相差板220を2回透過することによって、映像光の偏光方向が略90°回転し、映像光の偏光状態は、S偏光からP偏光又はP偏光からS偏光に変換される。
【0087】
従って、凹面ミラー230で反射されて、1/4λ位相差板220を再び透過した映像光の偏光方向はS偏光である。この結果、凹面ミラー230で反射された映像光はPBS膜210で反射される。
【0088】
なお、凹面ミラー230で反射された映像光がPBS膜210で反射されるため、絞り部130は、PBS膜210の延長面(SPBS)を境として光学ユニット100内の空間を2つの領域(領域C及び領域D)に分けた場合に、凹面ミラー230と同じ側の領域(領域D)に設けられる。
【0089】
(作用及び効果)
第6実施形態に係る光学ユニット100によれば、液晶パネル110から出射される映像光がP偏光であっても、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
[第7実施形態]
以下において、第7実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第5実施形態と第7実施形態との相違点について主として説明する。
【0091】
具体的には、上述した第5実施形態では、凹面ミラー230で反射された映像光は、絞り部130に設けられたピンホール131に集光されて、そのまま取り出される。これに対して、第7実施形態では、ピンホール131に集光された映像光は、絞り部130に設けられたピンホール131に集光された後に、極小ミラーによって反射されてから取り出される。
【0092】
(光学ユニットの構成)
以下において、第7実施形態に係る光学ユニットの構成について、図面を参照しながら説明する。図8は、第7実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。図8では、図2と同様の構成について同様の符号を付していることに留意すべきである。なお、図8では、液晶パネル110から絞り部130までの構成のみが記載されており、絞り部130から接眼レンズ200までの構成が省略されていることに留意すべきである。
【0093】
図8に示すように、光学ユニット100は、図6に示した構成に加えて、1/4λ位相差板240と、極小ミラー250とを有する。なお、液晶パネル110は、S偏光の映像光を出射する。
【0094】
1/4λ位相差板240は、1/4λ位相差板150と同様に、光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換し、光の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換する位相差板である。凹面ミラー230で反射されて1/4λ位相差板220を透過した映像光がP偏光であるため、1/4λ位相差板240は、PBS膜210を挟んで凹面ミラー230と対向する位置に設けられる。なお、絞り部130に設けられたピンホール131に映像光が集光されるため、1/4λ位相差板240は、ピンホール131をカバーする程度のサイズを有していれば十分である。映像光の有効活用及びサイズの縮小化の観点で、1/4λ位相差板240はピンホール131に近接して配置されることが好ましい。
【0095】
極小ミラー250は、1/4λ位相差板240を透過した映像光を1/4λ位相差板240側に反射する平面ミラーである。なお、絞り部130に設けられたピンホール131に映像光が集光されるため、極小ミラー250は、1/4λ位相差板240と同様に、ピンホール131をカバーする程度のサイズを有していれば十分である。映像光の有効活用及びサイズの縮小化の観点で、極小ミラー250はピンホール131に近接して配置されることが好ましい。
【0096】
このように、PBS膜210を透過した映像光は、1/4λ位相差板240を透過した後に、極小ミラー250で反射されて、1/4λ位相差板240を再び透過する。すなわち、PBS膜210を透過した映像光が1/4λ位相差板240を2回透過することによって、映像光の偏光方向が略90°回転し、映像光の偏光状態は、S偏光からP偏光又はP偏光からS偏光に変換される。
【0097】
従って、極小ミラー250で反射されて、1/4λ位相差板240を再び透過した映像光の偏光方向はS偏光である。この結果、極小ミラー250で反射された映像光はPBS膜210で反射される。
【0098】
図8に示すように、液晶パネル110、絞り部130、PBS膜210、1/4λ位相差板220、凹面ミラー230、1/4λ位相差板240及び極小ミラー250はユニット化されることが好ましい。
【0099】
(作用及び効果)
第7実施形態に係る光学ユニット100によれば、第5実施形態の構成に加えて、極小ミラー250が映像光を反射するため、装置のサイズ拡大をさらに抑制しながら、液晶パネル110から絞り部130までの光路長を長くすることができる。さらに、1/4λ位相差板240が映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換した後に映像光の偏光状態を円偏光から直線偏光に変換するように、1/4λ位相差板240を映像光が2回透過する構成を採ることによって、映像光の偏光状態を90°回転させて、S偏光からP偏光に変換された映像光又はP偏光からS偏光に変換された映像光を取り出すことが可能となる。
【0100】
[第8実施形態]
以下において、第8実施形態について図面を参照しながら説明する。第8実施形態は、上述した第4実施形態と第5実施形態とを組み合わせた実施形態である。
【0101】
(光学ユニットの構成)
以下において、第8実施形態に係る光学ユニットの構成について、図面を参照しながら説明する。図9は、第8実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。図9では、図5及び図6と同様の構成について同様の符号を付していることに留意すべきである。
【0102】
図9に示すように、光学ユニット100は、図5に示した構成と図6に示した構成とを有する。具体的には、光学ユニット100は、液晶パネル110から絞り部130までの構成については、図6に示した構成を有しており、絞り部130から接眼レンズ200までの構成については、図5に示した構成を有する。
【0103】
[第9実施形態]
以下において、光学ユニット100を収容する筐体の容積について、図面を参照しながら説明する。比較例としては、上述したPBS膜や1/4λ位相差板が用いられていない光学ユニットを例示する。実施例としては、上述した第8実施形態に係る光学ユニットを例示する。ここでは、光学ユニットは、液晶パネルから接眼レンズまでの光学素子によって構成されるユニットである。従って、筐体は、液晶パネルから接眼レンズまでの光学素子を収容する。
【0104】
(比較例)
以下において、比較例について、図10を参照しながら説明する。図10に示すように、比較例では、液晶パネル110に照射される光を発する点光源310と、点光源310から出射された光を平行光化するレンズ320とが設けられている。
【0105】
比較例に係る光学ユニットは、液晶パネル110と、レンズ120aと、レンズ120bと、絞り部130と、接眼レンズ200とを有する。液晶パネル110、絞り部130及び接眼レンズ200は、上述した実施形態と同様の構成を有するため、これらの説明については省略する。
【0106】
レンズ120a及びレンズ120bは、液晶パネル110上で形成された像を像面110x上に略結像する再回折光学系である。絞り部130は、ピンホール131がレンズ120aの焦点位置に重なるように配置される。
【0107】
ここで、光学ユニットを収容する筐体に必要な長さ(筐体長LM)は、光路a〜光路eの合計であり、“5f”である。ここで、“f”は、レンズ120a、レンズ120b及び接眼レンズ200の焦点距離である。
【0108】
従って、光学ユニットを収容する筐体の容積は、“S×LM=S×5f”である。但し、Sは、液晶パネル110から出射される光束の断面積である。
【0109】
(実施例)
以下において、実施例について、図11(a)及び図11(b)を参照しながら説明する。図11(a)に示すように、実施例では、液晶パネル110に照射される光を発する点光源310と、点光源310から出射された光を平行光化するレンズ320とが設けられている。
【0110】
実施例に係る光学ユニット100は、第8実施形態と同様に、液晶パネル110と、PBS膜210と、1/4λ位相差板220と、凹面ミラー230と、絞り部130と、PBS膜140と、1/4λ位相差板150と、凹面ミラー160と、1/4λ位相差板170と、反射ミラー180と、接眼レンズ200とを有する。各光学素子は、上述した第8実施形態と同様の構成を有するため、各光学素子の説明については省略する。
【0111】
実施例に係る光学ユニット100では、図11(a)及び図11(b)に示すように、PBS膜210によって光路a及び光路bが重ね合わされ、PBS膜140によって光路c〜光路eが重ね合わされる。
【0112】
ここで、光学ユニット100を収容する筐体に必要な長さ(筐体長L’M’)は、“2f”である。ここで、“f”は、レンズ120a、凹面ミラー160及び凹面ミラー230の焦点距離である。なお、レンズ120a、凹面ミラー160及び凹面ミラー230のFナンバーが“1”であることを前提としていることに留意すべきである。
【0113】
従って、光学ユニット100を収容する筐体の容積は、“S×LM=S×2f”である。但し、Sは、液晶パネル110から出射される光束の断面積である。
【0114】
(比較例と実施例との対比)
上述したように、実施例における液晶パネル110から接眼レンズ200までの光路長は、比較例における液晶パネル110から接眼レンズ200までの光路長と同様である。一方で、実施例に係る光学ユニット100を収容する筐体に必要な長さ(筐体長L’M’)は、比較例に係る光学ユニットを収容する筐体に必要な長さ(筐体長LM)よりも短い。
【0115】
この結果、実施例に係る光学ユニット100を収容する筐体の容積は、比較例に係る光学ユニットを収容する筐体の容積よりも小さい。具体的には、実施例に係る筐体の容積は、比較例に係る筐体の容積の2/5である。
【0116】
[第10実施形態]
以下において、第10実施形態について、図12(a)及び図12(b)を参照しながら説明する。図12(a)は、ヘッドマウント型表示装置20の側面視を示す図であり、図12(b)は、ヘッドマウント型表示装置20の上面視を示す図である。
【0117】
図12(a)及び図12(b)に示すように、ヘッドマウント型表示装置20は、環状部材410と、調整具420と、ノーズパッド430と、イヤーパッド440(イヤーパッド440a及びイヤーパッド440b)と、連結部材450と、表示ユニット460とを有する。
【0118】
環状部材410は、ユーザ10の頭部に装着される部材であり、環状形状を有している。環状部材410は、可塑性を有する樹脂などによって構成される。
【0119】
調整具420は、ユーザ10の後頭部15側において環状部材410に設けられており、ユーザ10の後頭部15と環状部材410の内面410aとの間に形成される空隙pを調整する。例えば、調整具420は、内面410aの内径が小さくなるように、環状部材410のサイズを調整する構成を有する。調整具420は、内面410aの内側に設けられた後頭部パッドを後頭部15に押し付ける構成を有していてもよい。
【0120】
ノーズパッド430は、ユーザ10の前頭部側において環状部材410から下方に向けて設けられており、鼻(鼻筋)に押し当てられるパッドである。ヘッドマウント型表示装置20は、ノーズパッド430によって鼻で支持される。
【0121】
イヤーパッド440は、ユーザ10の側頭部側において環状部材410から下方に向けて設けられており、耳の付け根に押し当てられるパッドである。ヘッドマウント型表示装置20は、イヤーパッド440によって耳の付け根で支持される。
【0122】
連結部材450は、ユーザ10の前頭部側において環状部材410から下方に向けて設けられており、環状部材410と表示ユニット460とを連結する。具体的には、図13に示すように、連結部材450は、取付け具451と、取付け具452と、アーム部453と、アーム部456とを有する。
【0123】
取付け具451は、環状部材410に螺子止めや接着によって取り付けられる部材である。取付け具451は、アーム部453に設けられた回転ボール454を回動可能に支持する。
【0124】
取付け具452は、表示ユニット460に螺子止めや接着によって取り付けられる部材である。取付け具452は、アーム部456に設けられた回転ボール458によって回動可能に支持される。
【0125】
アーム部453は、取付け具451によって回動可能に支持されており、円錐状可動範囲を有する。具体的には、アーム部453は、回転ボール454と、ボール支持部455とを有する。回転ボール454は、球状形状を有している。ボール支持部455は、アーム部456に設けられた回転ボール457を回動可能に支持する。
【0126】
アーム部456は、アーム部453によって回動可能に支持されており、円錐状可動範囲を有する。具体的には、アーム部456は、回転ボール457と、回転ボール458とを有する。回転ボール457及び回転ボール458は、球状形状を有する。
【0127】
表示ユニット460は、点光源310、レンズ320及び光学ユニット100などによって構成されるユニットである。表示ユニット460は、環状部材410がユーザ10の頭部に装着された状態において、ユーザ10の眼球11の前方に配置される。
【0128】
光学ユニット100としては、上述した第1実施形態〜第8実施形態のいずれかに係る光学ユニットを用いることが可能である。なお、図12(b)では、上述した第8実施形態に係る光学ユニットが例示されている。
【0129】
上述したように、ヘッドマウント型表示装置20は、ユーザ10の後頭部15、ユーザ10の鼻及びユーザ10の両耳の付け根によって4点で支持される。従って、表示ユニット460がある程度の重みを有していても、ユーザ10の眼球11の前方から表示ユニット460がずれることが抑制される。
【0130】
アーム部453は、回転ボール454によって環状部材410(取付け具451)によって回動可能に支持されており、アーム部456は、回転ボール457によってアーム部453に回動可能に支持されている。表示ユニット460は、回転ボール458によって連結部材450(取付け具452)に回動可能に支持されている。従って、ユーザ10の眼球11の前方に表示ユニット460が配置されるように、表示ユニット460の位置を微調整することが可能である。
【0131】
[第11実施形態]
以下において、第11実施形態について、図14を参照しながら説明する。図14は、ヘッドマウント型表示装置20を含む映像表示システムを示す図である。
【0132】
図14に示すように、映像表示システムでは、上述したヘッドマウント型表示装置20に映像制御BOX500が接続されている。
【0133】
映像制御BOX500は、入力IF510と、映像信号処理回路520と、出力IF530と、操作IF540と、バッテリ550と、整流回路560と、スイッチ570とを有する。
【0134】
入力IF510は、外部機器(例えば、カメラ600やテレビ700)などから入力される映像入力信号を受付ける。
【0135】
映像信号処理回路520は、映像入力信号を映像出力信号に変換する。具体的には、映像信号処理回路520は、ヘッドマウント型表示装置20に適用可能な映像出力信号に映像入力信号を変換する。
【0136】
例えば、映像信号処理回路520は、γ補正回路、信号変換回路、デコード回路などを含む。γ補正回路は、ヘッドマウント型表示装置20に設けられた液晶パネル110に応じて定められたγカーブに従って、映像入力信号を映像出力信号に変換する回路である。信号変換回路は、例えば、RGB信号をコンポーネント信号に変換する回路、コンポーネント信号をRGB信号に変換する回路、YC分離回路などである。デコード回路は、MPEG(Moving Picture Experts Group)に規定されたMPEG2やMPEG4などに従って、映像入力信号の復号などを行う回路である。
【0137】
出力IF530は、映像信号処理回路520によって変換された映像出力信号をヘッドマウント型表示装置20に出力する。
【0138】
操作IF540は、操作ボタンなどによって構成されたヒューマンインタフェースである。例えば、ユーザ10は、操作IF540に対する操作によって、映像の早送り、映像の停止、映像の巻き戻し、カラー/白黒切り替え、白黒反転などを行うことが可能である。
【0139】
バッテリ550は、表示ユニット460や映像制御BOX500に供給すべき電力を蓄積可能に構成された電池である。整流回路560は、交流電力を直流電力に整流する回路である。
【0140】
スイッチ570は、表示ユニット460や映像制御BOX500に電力を供給する電源を切り替える。例えば、スイッチ570は、AC電源が取得可能である場合には、表示ユニット460や映像制御BOX500に整流回路560を接続する。一方で、スイッチ570は、AC電源が取得不可である場合には、表示ユニット460や映像制御BOX500にバッテリ550を接続する。なお、スイッチ570は、ユーザ10の操作に応じて電源を切り替えてもよい。
【0141】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0142】
例えば、図15に示すように、ヘッドマウント型表示装置20は、ユーザ10の眼球11の前方にカメラ600を有する。カメラ600は、表示ユニット460に設けられている。カメラ600としては、CCDカメラなどのような小型カメラを用いることが好ましい。カメラ600は、ユーザ10の視線方向上に設けられていることが好ましい。斜視などの視覚障害者に適用可能なように、表示ユニット460は、カメラ600を回動可能に支持することが好ましい。この場合には、ユーザの瞳孔が向いている方向上に表示ユニット460(液晶パネル110)が設けられ、ユーザの顔が向いている方向にカメラ600が向くように、表示ユニット460がカメラ600を支持することが好ましい。
【0143】
上述した実施形態では、液晶パネル110に光を照射する光源として点光源310を例示したが、これに限定されるものではない。具体的には、図16に示すように、液晶パネル110に光を照射する光源として面光源330を用いてもよい。このようなケースでは、面光源330は、平行光を出射することが好ましい。これによって、面光源330と液晶パネル110との距離を短縮することができ、表示ユニット460の小型化を図ることができる。
【0144】
上述した実施形態では、ヘッドマウント型表示装置20は、片眼のみに対応する表示ユニット460を有するが、これに限定されるものではない。具体的には、図17(a)に示すように、ヘッドマウント型表示装置20は、両眼のそれぞれに対応する1対の表示ユニット460(表示ユニット460a及び表示ユニット460b)を有していてもよい。図17(b)に示すように、ヘッドマウント型表示装置20は、表示ユニット460a及び表示ユニット460bに加えてカメラ600を有していてもよい。このようなケースでは、カメラ600は、ユーザ10の鼻上に配置されることが好ましい。なお、カメラ600は、ヘッドマウント型表示装置20に設けられた環状部材410によって支持されていてもよい。
【0145】
液晶パネル110から絞り部130までの構成と絞り部130から接眼レンズ200までの構成との組合せは、第8実施形態に示した構成に限定されるものではない。具体的には、光学ユニット100は、液晶パネル110から絞り部130までの構成について、図6に示した構成を有しており、絞り部130から接眼レンズ200までの構成については、図3に示した構成を有していてもよい。
【0146】
光学ユニット100は、液晶パネル110から絞り部130までの構成について、図7に示した構成を有しており、絞り部130から接眼レンズ200までの構成については、図2に示した構成を有していてもよい。光学ユニット100は、液晶パネル110から絞り部130までの構成について、図7に示した構成を有しており、絞り部130から接眼レンズ200までの構成については、図4に示した構成を有していてもよい。
【0147】
上述した実施形態では、液晶パネル110に光を照射する光源の種類について特に触れていないが、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)などを光源として用いることができる。
【0148】
上述した実施形態では、光変調素子の一例として液晶パネル110を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
【0149】
上述した実施形態では、光源から液晶パネル110までの構成について特に触れていないが、光源が発する光の偏光方向を揃える光学部材や光源が発する光を均質化する光学部材が設けられていてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】第1実施形態に係るヘッドマウント型表示装置20の概略を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。
【図3】第2実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。
【図4】第3実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。
【図5】第4実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。
【図6】第5実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。
【図7】第6実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。
【図8】第7実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。
【図9】第8実施形態に係る光学ユニット100の構成を示す図である。
【図10】第9実施形態に係る比較例を説明するための図である。
【図11】第9実施形態に係る実施例を説明するための図である。
【図12】第10実施形態に係るヘッドマウント型表示装置20の構成を示す図である。
【図13】第10実施形態に係る連結部材450の構成を示す図である。
【図14】第11実施形態に係る映像制御BOX500の構成を示す図である。
【図15】その他の実施形態に係る表示ユニット460の構成を示す図である。
【図16】その他の実施形態に係る表示ユニット460の構成を示す図である。
【図17】その他の実施形態に係る表示ユニット460の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0151】
10・・・ユーザ、11・・・眼球、12・・・瞳孔、20・・・ヘッドマウント型表示装置、100・・・光学ユニット、110・・・液晶パネル、120・・・集光レンズ、130・・・絞り部、131・・・ピンホール、140・・・PBS膜、150・・・1/4λ位相差板、160・・・凹面ミラー、170・・・1/4λ位相差板、180・・・反射ミラー、200・・・接眼レンズ、210・・・PBS膜、220・・・1/4λ位相差板、230・・・凹面ミラー、240・・・1/4λ位相差板、250・・・極小ミラー、3310・・・点光源、320・・・レンズ、330・・・面光源、410・・・環状部材、410a・・・内面、420・・・調整具、430・・・ノーズパッド、440・・・イヤーパッド、450・・・連結部材、451・・・取付け具、452・・・取付け具、453・・・アーム部、454・・・回転ボール、455・・・ボール支持部、456・・・アーム部、457・・・回転ボール、458・・・回転ボール、460・・・表示ユニット、500・・・映像制御BOX、510・・・入力IF、520・・・映像信号処理回路、530・・・出力IF、540・・・操作IF、550・・・バッテリ、560・・・整流回路、570・・・スイッチ、600・・・カメラ、700・・・テレビ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像光を出射する光変調素子と、
前記光変調素子から出射される前記映像光が集光される焦点位置に開口を有する絞り部と、
前記開口を通った前記映像光の光軸に対して略45°の傾きを有する第1PBS膜と、
前記開口を通った前記映像光の光軸に対して略90°の傾きを有しており、前記開口を通った前記映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する第1位相差板と、
前記第1位相差板を透過した前記映像光を前記第1位相差板側に反射する第1凹面ミラーと、
前記第1凹面ミラーで反射された前記映像光を眼球に集光する接眼レンズとを備えることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記接眼レンズは、前記開口を通った前記映像光がS偏光である場合において、前記第1PBS膜を挟んで前記第1凹面ミラーと対向する位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記接眼レンズは、前記開口を通った前記映像光がP偏光である場合において、前記第1PBS膜を境として前記第1凹面ミラーと同じ側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記開口を通った前記映像光がS偏光である場合において、前記第1PBS膜を挟んで前記第1凹面ミラーと対向する位置に設けられており、前記第1PBS膜を透過した前記映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する第2位相差板と、
前記第2位相差板を透過した前記映像光を前記第2位相差板側に反射する反射ミラーとをさらに備え、
前記接眼レンズは、前記開口を通った前記映像光がS偏光である場合において、前記第1PBS膜を境として前記反射ミラーと同じ側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記開口を通った前記映像光がP偏光である場合において、前記第1PBS膜を境として前記第1凹面ミラーと同じ側に設けられており、前記第1PBS膜で反射された前記映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する第2位相差板と、
前記第2位相差板を透過した前記映像光を前記第2位相差板側に反射する反射ミラーとをさらに備え、
前記接眼レンズは、前記開口を通った前記映像光がP偏光である場合において、前記第1PBS膜を挟んで前記反射ミラーと対向する位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記光変調素子から出射される前記映像光の光軸に対して略45°の傾きを有する第2PBS膜と、
前記第2PBS膜で反射された前記映像光又は前記第2PBS膜を透過した前記映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する第3位相差板と、
前記第3位相差板を透過した前記映像光を前記第3位相差板側に反射する第2凹面ミラーとをさらに備え、
前記第2凹面ミラーは、前記映像光を前記開口に集光することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の光学ユニット。
【請求項7】
ユーザの頭部に装着されるヘッドマウント型表示装置であって、
環状形状を有しており、ユーザの頭部に装着される環状部材と、
ユーザの後頭部側おいて前記環状部材に設けられており、ユーザの後頭部と前記環状部材の内面との間に形成される空隙を調整する調整具と、
ユーザの前頭部側において前記環状部材に設けられており、ユーザの鼻に押し当てられるノーズパッドと、
ユーザの眼球の前方に設けられた表示ユニットと、
ユーザの前頭部側において前記環状部材に設けられており、前記環状部材と前記表示ユニットとを連結する連結部材とを備え、
前記表示ユニットは、
映像光を出射する光変調素子と、
前記光変調素子に光を照射する光源と、
前記光変調素子から出射される前記映像光が集光される焦点位置に開口を有する絞り部と、
前記開口を通った前記映像光の光軸に対して略45°の傾きを有する第1PBS膜と、
前記開口を通った前記映像光の光軸に対して略90°の傾きを有しており、前記開口を通った前記映像光の偏光状態を直線偏光から円偏光に変換する第1位相差板と、
前記第1位相差板を透過した前記映像光を前記第1位相差板側に反射する第1凹面ミラーと、
前記第1凹面ミラーで反射された前記映像光を眼球に集光する接眼レンズとを有することを特徴とするヘッドマウント型表示装置。
【請求項8】
ユーザの側頭部側において前記環状部材から下方に向けて設けられており、ユーザの耳の付け根に押し当てられるイヤーパッドをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のヘッドマウント型表示装置。
【請求項9】
前記連結部材は、前記環状部材側に設けられた第1アーム部と、前記表示ユニット側に設けられた第2アーム部とを有しており、
前記第1アーム部は、前記第2アーム部を回動可能に支持することを特徴とする請求項7に記載のヘッドマウント型表示装置。
【請求項10】
前記環状部材は、前記第1アーム部を回動可能に支持することを特徴とする請求項9に記載のヘッドマウント型表示装置。
【請求項11】
前記第2アーム部は、前記表示ユニットを回動可能に支持することを特徴とする請求項9に記載のヘッドマウント型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−134619(P2008−134619A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267828(P2007−267828)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【復代理人】
【識別番号】100117064
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 市太郎
【Fターム(参考)】