説明

光学系及びそれを有する撮像装置

【課題】超広画角で、かつ高い光学性能が得られる光学系を得る。
【解決手段】物体側から像側へ順に第1レンズ群L1、絞りSP、第2レンズ群L2を有する単一焦点距離又はズーム機能を有する光学系であって、前記第1レンズ群は最も物体側にメニスカス形状の負の屈折力の第1負レンズG1を有し、前記第1レンズ群は前記第1負レンズより像側に少なくとも1枚の負の屈折力の第Gn負レンズを有し、前記第2レンズ群は少なくとも1枚の正の屈折力の第Gp正レンズを有し、材料のアッベ数をνd、g線とF線の部分分散比をθg,Fとするとき、該第Gn負レンズと第Gp正レンズの材料は、いずれもθg,F−(−0.001682・νd+0.6438)≧0.01なる条件を満足し、任意の像高yに入射する軸外主光線が前記第1負レンズの物体側のレンズ面に入射する際の光軸とのなす角度θ、全系の焦点距離fを各々適切に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学系及びそれを有する撮像装置に関し、例えばデジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、TVカメラ、銀塩フィルム用カメラ等に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
広画角で長いバックフォーカスを得ることが容易な光学系として、負の屈折力のレンズ群が先行する(最も物体側に位置する)所謂ネガティブリード型の光学系が知られている。ネガティブリード型の光学系のうち、特に広画角化を図ったものとして、魚眼レンズや魚眼ズームレンズ(以下「魚眼光学系」ともいう)が知られている。魚眼光学系は、歪曲収差を発生させた特殊な射影方式で定義される光学系であって、その特殊なデフォルメを活かした撮影や測定等に用いられている。魚眼光学系の代表的な射影方式として、被写体の作る立体角と像面上の面積が比例する等立体角射影方式、光線入射角と像高が比例する等距離射影方式、その他に正射影方式、立体射影方式などがある。従来より、一眼レフカメラ用の交換可能な魚眼光学系として、負の歪曲収差を大きく発生させ、対角画角が180度程度の超広画角の撮影レンズが知られている(特許文献1)。
【0003】
一般に魚眼光学系は負の歪曲収差を発生させなくてはならないため、絞りより前方の負の屈折力のレンズ群(負レンズ群)又は絞りより後方の正の屈折力のレンズ群(正レンズ群)に強い屈折力が必要となる。特に、軸外光束の入射高が高い物体側の負レンズ群に強い屈折力が必要となる。魚眼光学系で最も物体側に負レンズが配置される場合が多い。このとき最も物体側に位置する負レンズでは軸外光束の入射高が高く、屈折力も強いために一般には色収差(特に倍率色収差)が多く発生してくる。最も物体側の負レンズにおいて倍率色収差の発生を抑えるには低分散材料を用いるのが一般的である。しかしながら、高屈折率低分散材のレンズを使用すると二次スペクトルの補正が困難となる。これに対して、低屈折率低分散材料を使用して倍率色収差を補正した魚眼レンズが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−240023号公報
【特許文献2】特開2008−3108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に負の屈折力のレンズ群が先行する広画角の光学系はレンズ構成が非対称となるため、諸収差の補正が難しく、画面全体にわたり高い光学性能を得るのが難しい。特に撮影画角が180度程度の超広画角の魚眼光学系になると光学系の非対称が強くなり、色収差が多く発生してきて良好なる光学性能を確保するのが大変難しくなってくる。特許文献1に開示されているズームレンズでは、絞りより後方のレンズ群に異常分散性の高い硝材より成るレンズを使用しているが、各移動レンズ群での色消しが充分でないためズーミングに伴う色収差の変動が大きい。
【0006】
また、特許文献2では倍率色収差(特に二次スペクトル)の補正のために、最も物体側の負レンズに低屈折率低分散材料を使用して、色収差の発生を抑えている。しかしながらこの負レンズの形状は開角θが180度程度となり、レンズ加工が難しくなる傾向があった。ここで、開角θとはある面での曲率半径をr、有効径をdとしたとき、
θ=Arcsin(d/r)
で表されるものである。超広画角の光学系において、色収差を良好に補正し、高い光学性能を得るには、絞り前後の各レンズ群のレンズ構成、レンズの材料等を適切に設定する必要がある。これらの各構成が不適切であると、加工精度の良いレンズを用いつつ超広画角(180度程度)で高い光学性能を得るのが難しくなってくる。
【0007】
本発明は、各レンズ群の構成、特に絞り前後のレンズ群のレンズ構成を適切に構成することによって、レンズ加工が容易なレンズ形状のレンズを用いつつ、超広画角で、かつ高い光学性能が得られる光学系の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光学系は、物体側から像側へ順に第1レンズ群、絞り、第2レンズ群を有する単一焦点距離又はズーム機能を有する光学系であって、前記第1レンズ群は最も物体側にメニスカス形状の負の屈折力の第1負レンズを有し、前記第1レンズ群は前記第1負レンズより像側に少なくとも1枚の負の屈折力の第Gn負レンズを有し、前記第2レンズ群は少なくとも1枚の正の屈折力の第Gp正レンズを有し、材料のアッベ数をνd、g線とF線の部分分散比をθg,Fとするとき、該第Gn負レンズと第Gp正レンズの材料は、いずれも
θg,F−(−0.001682・νd+0.6438)≧0.01
なる条件を満足し、任意の像高yに入射する軸外主光線が前記第1負レンズの物体側のレンズ面に入射する際の光軸とのなす角度をθ、全系の焦点距離をfとするとき(但し、焦点距離fは光学系がズーム機能を有するときは広角端又は望遠端における焦点距離である)、
−1.8≦(y/fsin(θ/2))≦2.1
なる条件を満足することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、超広画角で、かつ高い光学性能が得られる光学系及びそれを有する撮像装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1の光学系のレンズ断面図
【図2】本発明の実施例1の光学系の物体距離無限遠時における収差図
【図3】本発明の実施例2の光学系のレンズ断面図
【図4】本発明の実施例2の光学系の物体距離無限遠時における収差図
【図5】本発明の実施例3の光学系のレンズ断面図
【図6】本発明の実施例3の光学系の物体距離無限遠時における収差図
【図7】本発明の実施例4の光学系のレンズ断面図
【図8】本発明の実施例4の光学系の物体距離無限遠時における収差図
【図9】本発明の実施例5の光学系の広角端におけるレンズ断面図
【図10】(A)、(B)、(C) 本発明の実施例5の光学系の広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図
【図11】本発明の実施例5、6の光学系のズーミングにおける各レンズ群の移動軌跡の説明図
【図12】本発明の光学機器の要部概略図
【図13】本発明の実施例6の光学系の広角端におけるレンズ断面図
【図14】(A)、(B)、(C) 本発明の実施例6の光学系の広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の光学系及びそれを有する撮像装置の実施例について説明する。本発明の光学系は物体側から像側へ順に負の屈折力の第1レンズ群、絞り(開口絞り、Fナンバー決定絞り)、正の屈折力の第2レンズ群を有する単一焦点距離の広画角レンズ又はズーム機能を有するズームレンズである。
【0012】
図1は本発明の実施例1の光学系のレンズ断面図である。図2は実施例1の物体距離無限遠のときの収差図である。図3は本発明の実施例2の光学系のレンズ断面図である。図4は実施例2の物体距離無限遠のときの収差図である。図5は本発明の実施例3の光学系のレンズ断面図である。図6は実施例3の物体距離無限遠のときの収差図である。図7は本発明の実施例4の光学系のレンズ断面図である。図8は実施例4の物体距離無限遠のときの収差図である。図9は本発明の実施例5の光学系がズームレンズのときの広角端(短焦点距離端)におけるレンズ断面図である。図10(A)、(B)、(C)はそれぞれ実施例5のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端(長焦点距離端)における物体距離無限遠のときの収差図である。図11は実施例5と実施例6の光学系のズーミングにおける各レンズ群の移動軌跡の説明図である。図12は本発明の光学系を備えるデジタルカメラ(撮像装置)の要部概略図である。図13は本発明の実施例6の光学系がズームレンズのときの広角端におけるレンズ断面図である。図14(A)、(B)、(C)は本発明の実施例6の光学系がズームレンズのときの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図である。
【0013】
各実施例の光学系は、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮像装置に用いられる撮影レンズ系である。レンズ断面図において、左方が拡大共役側(物体側)(前方)で右方が縮小共役側(後方)である。光学系をプロジェクターに用いるときは左方がスクリーン側、右方が被投射画像側となる。レンズ断面図においてLAは光学系である。
【0014】
図1、図3、図5、図7の光学系は単一焦点距離の広角レンズ系(魚眼レンズ、魚眼光学系)である。図1、図3、図5、図7においてL1は負の屈折力の第1レンズ群、SPは開口絞り、L2は正の屈折力の第2レンズ群である。図9、図13の光学系は広画角のズームレンズ(魚眼ズームレンズ)である。図9、図13のズームレンズLAにおいて、L1は負の屈折力(光学的パワー=焦点距離の逆数)の第1レンズ群、SPは開口絞り、L2は正の屈折力の第2レンズ群である。
【0015】
広角端から望遠端へのズーミングに際しては、図11に示すように第1レンズ群L1と第2レンズ群L2は双方の間隔が狭くなるように物体側へ移動している。レンズ断面図においてIPは像面であり、ビデオカメラやおデジタルスチルカメラの撮影光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が、銀塩フィルム用カメラのときはフィルム面に相当する。それぞれの収差図は、左から順に、球面収差(Sph)、非点収差(As)、歪曲(Dst)、倍率色収差(Chro)を表している。
【0016】
球面収差と倍率色収差を示す図において、実線はd線(587.6nm)、1点鎖線はC線(656.3nm)、粗い破線はF線(486.1nm)、細かい破線はg線(435.8nm)を表している。また、非点収差を示す図において、実線はd線のサジタル方向ΔS、破線はd線のメリディオナル方向ΔMを表している。また、歪曲を示す図は、d線における歪曲を表している。fnoはFナンバー、ωは半画角である。
【0017】
本発明の光学系LAでは、最も物体側に位置するメニスカス形状の負の屈折力の第1負レンズの材料の屈折率、アッベ数、第1負レンズ形状、そして第1レンズ群L1と第2レンズ群L2内のレンズに用いる材料を適切に設定している。本発明の光学系LAにおいて、軸上色収差、倍率色収差を良好に補正するには正レンズに異常分散性の強い材料を用いることが有効である。更に、第1レンズ群L1の負の屈折力が強いと、第1レンズ群L1での軸上光束の入射高と軸外光束の入射高の差が大きくなるため、第1レンズ群L1中の負レンズに異常分散性の強い材料を用いることで倍率色収差を効果的に補正している。
【0018】
通常の広画角レンズとは違い、魚眼光学系は負の歪曲収差を発生させる必要があるため最も物体側のレンズは強い負のパワー(屈折力)が必要になり、この結果、色収差が多く発生してくる。そのため、色収差の発生を軽減するために低分散材料より成るレンズを使用したいが、高屈折率低分散材は二次スペクトルの補正が難しいため、従来の光学系では低屈折率低分散材より成るレンズを使用することが多かった。これに対し、本発明では第1レンズ群L1中の負レンズに異常分散性の強い材料を用いることで倍率色収差の発生を軽減し、また最も物体側のレンズに高屈折率低分散材を使用することが出来るようにしてレンズ形状として加工性の良いものとしている。
【0019】
各実施例では、第1レンズ群L1は最も物体側にメニスカス形状の負の屈折力の第1負レンズG1を有している。第1レンズ群L1は第1負レンズG1より像側に少なくとも1枚の負の屈折力の第Gn負レンズを有している。第2レンズ群L2は少なくとも1枚の正の屈折力の第Gp正レンズを有している。材料のアッベ数をνd、g線とF線の部分分散比をθg,Fとする。このとき、第Gn負レンズと第Gp正レンズの材料は、いずれも
θg,F−(−0.001682・νd+0.6438)≧0.01 ‥‥(1)
なる条件を満足している。
【0020】
更に任意の像高yに入射する軸外主光線が第1負レンズG1の物体側のレンズ面に入射する際の光軸とのなす角度をθ、全系の焦点距離をfとする。但し、焦点距離fは光学系がズーム機能を有するときは広角端又は望遠端における焦点距離である。このとき、
1.8≦(y/fsin(θ/2))≦2.1 ‥‥‥(2)
なる条件を満足している。なお、アッベ数νd、部分分散比θgFはそれぞれ以下の式で定義される。
【0021】
νd =(Nd−1)/(NF−NC)
θgF=(Ng−NF)/(NF−NC)
Ng:g線(波長435.8nm)に対する屈折率
Nd:d線(波長587.6nm)に対する屈折率
NF:F線(波長486.1nm)に対する屈折率
NC:C線(波長656.3nm)に対する屈折率
条件式(1)は、絞りより前方の少なくとも1枚の負レンズと、絞りより後方の少なくとも1枚の正レンズの材料について規定する条件式である。条件式(1)の下限を超えると色収差(特に倍率色収差)の補正が困難となる。また、低分散低屈折率材を使用すると所定の屈折力を得るために、加工が困難なレンズ形状となる。
【0022】
条件式(2)は、光学系を(ズームレンズのときは広角端又は望遠端)魚眼レンズ(魚眼光学系)として用いたときに必要な歪曲収差に関する条件式である。上限を超えると魚眼光学系としての画角を確保することが難しくなる。また、下限を超えると必要以上に歪曲を発生させているために、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の屈折力が強くなり諸収差(特に倍率色収差)の補正が難しくなる。また光学系がズームレンズのときは広角端又は望遠端における全系の焦点距離をfaとするとき、
y≦1500・fa・sin(θ/2)/(750−2・fa・sin(θ/2))
‥‥‥(2x)
なる条件を満足するのが良い。条件式(2x)は魚眼光学系として必要な歪曲を効果的に得るためのものである。条件式(2x)を外れると歪曲収差を発生しつつ、倍率色収差を良好に補正するのが難しくなる。尚、各実施例において、更に好ましくは条件式(1)、(2)の数値を次の如く設定するのが良い。
【0023】
0.055≧θg,F−(−0.001682・νd+0.6438)≧0.015
‥‥‥(1a)
1.95≦(y/fsin(θ/2))≦2.1 ‥‥‥(2a)
各実施例において、更に好ましくは次の条件のうちの1以上を満足するのが良い。第1負レンズG1の焦点距離をf1、全系の焦点距離をfとする。但し、焦点距離fは光学系がズーム機能を有するときは広角端又は望遠端における焦点距離である。第Gn負レンズの焦点距離をfex、第1負レンズG1の焦点距離をf1とする。第1負レンズG1の物体側の面の曲率半径をr1、像側の面の曲率半径をr2とし、形状因子SH1を
SH1=(r1−r2)/(r1+r2)
とおく。
【0024】
第1負レンズG1の材料の屈折率をNd、アッベ数をνdとする。第1レンズ群L1は負の屈折力の第GCn負レンズと正の屈折力の第GCp正レンズとを接合した接合レンズを少なくとも1つ有している。第GCn負レンズの材料のアッベ数をνdn、g線とF線の部分分散比をθg,Fnとする。第GCp正レンズの材料のアッベ数をνdp、g線とF線の部分分散比をθg,Fpとする。このとき、
−4.5≦f1/f≦−1.8 ‥‥‥(3)
0.3≦fex/f1≦2.1 ‥‥‥(4)
0.4≦SH1≦1.0 ‥‥‥(5)
1.63≦Nd≦1.89 ‥‥‥(6)
40≦νd≦61 ‥‥‥(7)
θg,Fn−(−0.001682・νdn+0.6438)≧0.01‥(8)
θg,Fp≦−0.001682・νdp+0.6438 ‥‥‥(9)
なる条件のうち1以上を満足すると更に好ましい。
【0025】
条件式(3)は、最も物体側に位置するメニスカス形状の負の屈折力の第1負レンズG1の屈折力を規定する条件式である。条件式(3)の上限を超えると第1負レンズG1の屈折力が大きくなりすぎて、倍率色収差・像面湾曲等の発生が多くなる。また、条件式(3)の下限を超えると魚眼光学系として必要な歪曲を得ることが難しくなる。
【0026】
条件式(4)は、第1レンズ群L1内の条件式(1)を満たす第Gn負レンズの屈折力を規定するための条件式(4)である。条件式(4)の上限を超えると倍率色収差の補正が不十分となる。また、条件式(4)の下限を超えると第Gn負レンズの屈折力が強くなりすぎて像面湾曲・非点収差等の発生が多くなる。
【0027】
条件式(5)は、第1レンズ群L1中の第1負レンズG1の形状因子(レンズ形状)に関する条件である。条件式(5)の上限を超えると、第1負レンズG1の物体側の面が物体側に凹面になるため、光軸に対して垂直な方向(半画角90度相当)からの光が入射できず、魚眼光学系になるために必要な画角約180度を確保するのが難しくなる。また、条件式(5)の下限を超えると、像側の面の曲率がきつくなり、軸外の非点収差及び像面湾曲の発生が大きくなる。また、像側の面で曲率半径と有効径の関係が半球形状に近くなるためレンズの製造が困難となる。
【0028】
条件式(6)は、第1負レンズG1の材料の屈折率に関する条件式である。条件式(6)の上限を超えると実在する材料の屈折率とアッベ数の関係から高分散材料となり倍率色収差の補正が困難になる。また、条件式(6)の下限を超えると歪曲を発生させるための屈折力を保つため、レンズ加工性の悪い形状となる。
【0029】
条件式(7)は、第1負レンズG1の材料のアッベ数に関する条件式である。条件式(7)の上限を超えると実在する材料の屈折率とアッベ数の関係から低屈折率材となり歪曲を発生させるための屈折力を保つため、レンズ加工性の悪い形状となる。また、条件式(7)の下限を超えると高分散材料となり倍率色収差の補正が困難になる。
【0030】
条件式(8)は、第1レンズ群L1内にある接合レンズを構成する第GCn負レンズの材料に関する条件式である。条件式(8)の下限を超えると倍率色収差の補正が困難なるため、条件式(8)内に入っていることが好ましい。条件式(9)はその接合レンズを構成する第GCp正レンズの材料のアッベ数と部分分散比に関する。条件式(9)の技術的意味は条件式(8)と同じである。更に好ましくは条件式(3)乃至(8)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
【0031】
−4.0≦f1/f≦−2.0 ‥‥‥(3a)
0.5≦fex/f1≦2.0 ‥‥‥(4a)
0.45≦SH1≦0.80 ‥‥‥(5a)
1.70≦Nd≦1.89 ‥‥‥(6a)
40≦νd≦50 ‥‥‥(7a)
θg,Fn−(−0.001682・νdn+0.6438)≧0.015
‥‥‥(8a)
フォーカシング方式として魚眼光学系の多くは、全体繰り出し方式、一群繰り出し方式が一般的である。速いオートフォーカスを行うには小型軽量のレンズ群をフォーカスレンズ群とするインナーフォーカス方式とすることが好ましい。また、魚眼光学系は被写体に近づいて撮影することが多いため、前玉を固定とする方式を用いることで汚れや傷が付くのを防ぐことができるためインナーフォーカス方式を採用することが好ましい。そこで各実施例においては第1レンズ群L1の第1負レンズ以外の一部のレンズ群でフォーカスを行うようにしている。
【0032】
第2レンズ群L2の最も像側の正レンズを非球面形状として負の歪曲を発生させるのが良い。パワーが強すぎると球面収差や軸上色収差が悪化するためレンズ中心からレンズ周辺にいくに従って正のパワーが強くなる非球面形状とすることが、これらの収差の発生を少なくするのに好ましい。次に各実施例の構成について説明する。
【0033】
[実施例1]
実施例1の光学系LAは物体側から像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、開口絞りSP、正の屈折力の第2レンズ群L2からなる。第1レンズ群L1は、物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第1負レンズG1、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第2負レンズG2を有する。更に第3負レンズG3と第4正レンズG4とを接合した接合レンズGC34、第5負レンズG5と第6正レンズG6とを接合した接合レンズGC56からなる。第2レンズ群L2は、物体側から像側へ順に、第7正レンズG7、第8負レンズG8と第9正レンズG9とを接合した接合レンズGC89、第9正レンズG9と第10負レンズG10とを接合した接合レンズGC1011からなる。本実施例においてフォーカシングは、第1レンズ群L1内の一部のレンズ群を光軸方向に動かして行っている。
【0034】
本実施例は第3負レンズ(第Gn負レンズ)G3と第9正レンズ(第Gp正レンズ)G9,第10正レンズ(第Gp正レンズ)G10に異常分散性の強いガラスを使用し、倍率色収差・軸上色収差を抑制している。また、異常分散性の高いガラスを光路中の適切な位置に効果的に配置したことで、倍率色収差には不利となるが最も物体側のレンズに高屈折率低分散材を使用することができ、加工性の良いレンズ形状となっている。また、第3負レンズG3が第GCn負レンズに相当し、第4正レンズG4が第GCp正レンズに相当している。
【0035】
[実施例2]
実施例2のレンズ構成は実施例1に比べてレンズに用いる材料は一部異なるがレンズの数、各レンズの配置や屈折力等は実施例1と同じである。
【0036】
[実施例3]
実施例3の光学系LAにおいて、第1レンズ群L1は、物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第1負レンズG1、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第2負レンズG2を有する。更に第3負レンズG3と第4正レンズG4とを接合した接合レンズGC34、第5負レンズG5、第6正レンズG6からなる。第2レンズ群L2は、物体側から像側へ順に、第7負レンズG7と第8正レンズG8とを接合した接合レンズGC78、第9正レンズG9と第10負レンズG10とを接合した接合レンズGC910、第11正レンズG11、第11正レンズG12からなる。本実施例においてフォーカシングは、第1レンズ群L1内の一部のレンズ群を光軸方向に動かして行っている。本実施例は第3負レンズ(第Gn負レンズ)G3と第9正レンズ(第Gp正レンズ)G9,第11正レンズ(第Gp正レンズ)G11に異常分散性の強いガラスを使用し、倍率色収差・軸上色収差を抑制している。また、異常分散性の高いガラスを光路中の適切なる位置に効果的に配置したことで、倍率色収差には不利となるが最も物体側のレンズに高屈折率低分散材を使用することができ、加工性の良いレンズ形状となっている。また、第3負レンズG3が第GC負レンズに相当し、第4正レンズG4が第GCp正レンズに相当している。
【0037】
[実施例4]
実施例4のレンズ構成は実施例3に比べてレンズに用いる材料は一部異なるが各レンズの配置や屈折力等は実施例3と同じである。
【0038】
[実施例5]
実施例5の光学系LAは負の屈折力の第1レンズ群L1と正の屈折力の第2レンズ群L2の2つのレンズ群より成るズーム機能を有するズームレンズである。第1レンズ群L1は、物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第1負レンズG1、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第2負レンズG2を有する。更に第3負レンズG3と第4正レンズG4とを接合した接合レンズGC34、第5負レンズG5からなる。第2レンズ群L2は、物体側から像側へ順に、第6正レンズG6、第7負レンズG7と第8正レンズG8とを接合した接合レンズGC78、第9正レンズG9と第10負レンズG10とを接合した接合レンズGC910を有する。更に第11正レンズG11、第12正レンズG12からなる。広角端から望遠端へのズーミングに際しては図11に示すように、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が狭まるように双方が物体側へ移動する。本実施例においてフォーカシングは、第1レンズ群L1内の一部のレンズ群を光軸方向に動かして行っている。本実施例は第3負レンズ(第GCn負レンズ)G3と第9正レンズ(第GCp正レンズ)G9,第11正レンズ(第GCp正レンズ)G11に異常分散性の強いガラスを使用し各レンズ群内での倍率色収差・軸上色収差を抑制している。これによりズーミングに際して倍率色収差と軸上色収差の変動を抑えている。また、異常分散性の高いガラスを光路中の適切な位置に効果的に配置したことで、倍率色収差には不利となるが最も物体側のレンズに高屈折率低分散材を使用することができ、加工性の良いレンズ形状となっている。また、第3負レンズG3が第GC負レンズに相当し、第4正レンズG4が第GCp正レンズに相当している。
【0039】
[実施例6]
実施例6の光学系LAは負の屈折力の第1レンズ群L1と正の屈折力の第2レンズ群L2の2つのレンズ群より成るズーム機能を有するズームレンズである。第1レンズ群L1は、物体側から像側へ順に、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第1負レンズG1、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第2負レンズG2、第3負レンズG3、第4正レンズG4、第5負レンズG5からなる。第2レンズ群L2は、物体側から像側へ順に、副絞りSSP、第6正レンズG6、絞りSP、第7負レンズG7と第8正レンズG8とを接合した接合レンズGC78、第9正レンズG9と第10負レンズG10とを接合した接合レンズGC910を有する。更に第11正レンズG11、第12正レンズG12と第13負レンズG13とを接合した接合レンズGC1213、第14正レンズG14らなる。広角端から望遠端へのズーミングに際しては図11に示すように、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が狭まるように双方が物体側へ移動する。本実施例においてフォーカシングは、第1レンズ群L1内の一部のレンズ群を光軸方向に動かして行っている。本実施例は第2負レンズ(第GCn負レンズ)G2と第3負レンズ(第GCn負レンズ)G3と第13正レンズ(第GCp正レンズ)G13に異常分散性の強いガラスを使用し各レンズ群内での倍率色収差・軸上色収差を抑制している。これによりズーミングに際して倍率色収差と軸上色収差の変動を抑えている。また、異常分散性の高いガラスを光路中の適切な位置に効果的に配置したことで、倍率色収差には不利となるが最も物体側のレンズに高屈折率低分散材を使用することができ、加工性の良いレンズ形状となっている。図11は、本発明の光学系がズームレンズのときのズーミングの際の各レンズ群の移動軌跡を示している。物体側から像側へ順に、広角端において空気間隔が最大のところで分けられる負の屈折力の第1レンズ群L1と正の屈折力の第2レンズ群L2とからなっている。広角端から望遠端へのズーミングに際しては、第1レンズ群L1を物体側に移動させると同時に、第2レンズ群L2を第1レンズ群L1との間隔が単調に減少するように物体側に移動させている。また、本実施例においては広角端又は望遠端で上記変倍動作を固定すれば単焦点距離の魚眼レンズとして用いることもできる。
【0040】
次に各実施例に示した光学系を撮影光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)の実施例を図12を用いて説明する。図12において、20はカメラ本体である。21は実施例1〜5で説明したいずれかの光学系によって構成された撮影光学系である。22はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。23は固体撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリである。24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、固体撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダである。このように本発明の光学系をデジタルスチルカメラに適用することにより、小型で高い光学性能を有する光学機器が実現できる。尚、本発明の光学系は画像投射装置(プロジェクター)の投射レンズとしても適用することができる。
【0041】
以下、実施例1〜5に対応する数値実施例1〜5の具体的な数値データを示す。各数値実施例において、iは物体側から数えた面の番号を示す。riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径である。diは第i面と第(i+1)面との間の軸上間隔である。niとνiはそれぞれd線に対する第i番目の光学部材の材料の屈折率、アッベ数である。また、非球面形状はXを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10を各次数の非球面係数とするとき、
【0042】
【数1】

【0043】
で表す。なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。又、前述の各条件式と数値実施例における諸数値との関係を表1に示す。
【0044】
(数値実施例1)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 64.500 2.70 1.80400 46.6
2 18.500 10.03
3 38.354 2.30 1.48749 70.2
4 12.731 6.06
5 -270.974 1.20 1.49700 81.5
6 24.738 4.68 1.80610 33.3
7 -39.277 0.50
8 -42.382 2.72 1.53667 48.8
9 -14.485 3.03 1.83510 42.0
10 72.840 6.97
11 -58.118 0.33
12 30.793 7.10 1.63570 35.6
13 -41.641 3.34
14 -250.083 1.20 1.83400 37.2
15 26.924 4.37 1.49700 81.5
16 -23.334 0.12
17 38.196 5.75 1.49700 81.5
18 -15.351 2.10 1.80610 33.3
19 -39.005
像面 ∞


焦点距離 15.50
Fナンバー 2.80
画角 177.8°
像高 21.30
レンズ全長 106.60
BF 42.12

【0045】
(数値実施例2)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 64.500 2.70 1.83481 42.7
2 18.800 10.03
3 83.550 2.30 1.48749 70.2
4 12.582 5.08
5 527.335 1.20 1.43875 95.0
6 26.822 4.49 1.80610 33.3
7 -35.181 0.50
8 -36.979 2.47 1.56219 44.5
9 -15.301 3.36 1.83495 42.7
10 76.940 6.97
11 -58.118 0.33
12 30.748 7.12 1.62401 41.5
13 -40.990 4.37
14 324.265 1.20 1.83400 37.2
15 26.924 4.11 1.49700 81.5
16 -25.385 0.11
17 43.156 5.75 1.43875 95.0
18 -14.973 2.40 1.80610 33.3
19 -33.655
像面 ∞


焦点距離 15.50
Fナンバー 2.80
画角 174°
像高 21.30
レンズ全長 105.25
BF 40.78

【0046】
(数値実施例3)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 62.000 2.60 1.88300 40.8
2 18.800 14.93
3 35.322 1.80 1.80400 46.6
4 16.287 5.48
5 -46.223 1.76 1.49700 81.5
6 13.376 7.00 1.80610 33.3
7 -47.309 2.20
8 -20.100 3.89 1.88300 40.8
9 40.029 7.50
10 18.752 2.00 1.67270 32.1
11 -59.051 2.14
12 ∞ 2.09
13 -26.832 1.30 1.88300 40.8
14 11.240 2.99 1.59270 35.3
15 -29.783 0.81
16 27.363 4.60 1.49700 81.5
17 -11.048 1.50 1.80610 33.3
18 -167.229 0.26
19 83.923 5.22 1.45600 90.3
20 -14.175 0.34
21* 117.390 2.60 1.58313 59.4
22 -48.280
像面 ∞

非球面データ
第21面
K = 0.00000e+000 A 4=-1.76963e-005 A 6= 3.26383e-008 A 8=-1.05539e-009 A10= 4.81924e-012

焦点距離 8.60
Fナンバー 4.05
画角 178.4°
像高 12.00
レンズ全長 113.00
BF 40.00

【0047】
(数値実施例4)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 62.000 2.60 1.88300 40.8
2 18.800 15.34
3 34.655 1.80 1.80400 46.6
4 16.780 5.59
5 -47.555 1.71 1.49700 81.5
6 13.587 7.00 1.80610 33.3
7 -49.423 2.42
8 -20.234 3.72 1.88300 40.8
9 37.284 7.19
10 18.484 2.00 1.67270 32.1
11 -60.380 2.03
12 ∞ 2.31
13 -26.891 1.30 1.88300 40.8
14 10.356 2.97 1.59270 35.3
15 -29.143 0.81
16 27.120 4.60 1.49700 81.5
17 -11.055 1.49 1.80610 33.3
18 -248.175 0.22
19 84.255 4.97 1.49700 81.5
20 -13.797 0.33
21* 108.923 2.60 1.58313 59.4
22 -57.478
像面 ∞

非球面データ
第21面
K = 0.00000e+000 A 4=-1.67951e-005 A 6= 4.16847e-008 A 8=-1.60921e-009 A10= 7.97209e-012


焦点距離 8.60
Fナンバー 4.05
画角 178.4°
像高 12.00
レンズ全長 113.01
BF 40.00

【0048】
(数値実施例5)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 62.000 2.60 1.80400 46.6
2 18.100 15.87
3 44.270 1.80 1.80400 46.6
4 15.510 5.29
5 -37.971 1.26 1.49700 81.5
6 13.995 7.00 1.80610 33.3
7 -39.484 1.63
8 -21.577 1.30 1.88300 40.8
9 -953.223 (可変)
10 ∞ 0.30
11 21.100 2.00 1.67270 32.1
12 -139.710 0.99
13(絞り) ∞ 1.99
14 -32.692 0.84 1.88300 40.8
15 13.413 3.31 1.59270 35.3
16 -68.214 0.28
17 34.223 4.60 1.48749 70.2
18 -10.556 1.12 1.80610 33.3
19 -104.234 0.22
20 103.460 4.97 1.49700 81.5
21 -15.066 0.33
22* 123.950 2.43 1.58313 59.4
23 -42.350 (可変)
像面 ∞

非球面データ
第22面
K = 0.00000e+000 A 4=-1.80715e-005 A 6=-1.97404e-008 A 8=-4.11291e-011 A10=-2.64822e-013

各種データ
ズーム比 1.74
広角 中間 望遠
焦点距離 8.60 11.44 15.01
Fナンバー 4.05 4.05 4.05
画角 175.6 168.6 180.4
像高 12.00 15.98 21.64
レンズ全長 113.40 114.04 118.37
BF 39.99 47.17 56.22

d 9 13.27 6.73 2.01
d23 39.99 47.17 56.22

【0049】
(数値実施例6)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 59.840 2.50 1.80400 46.6
2 17.282 14.64
3 129.723 1.61 1.59282 68.6
4 21.610 6.44
5 -86.935 1.36 1.59282 68.6
6 31.102 0.15
7 22.525 7.45 1.80518 25.4
8 -110.226 5.82
9* -31.089 1.20 1.85135 40.1
10 -844.340 (可変)
11 ∞ 1.46
12 43.413 1.62 1.88300 40.8
13 -94.260 1.85
14(絞り) ∞ 1.70
15 -19.292 0.75 1.88300 40.8
16 32.493 3.22 1.51823 58.9
17 -20.261 0.20
18 194.716 4.25 1.48749 70.2
19 -12.377 0.80 1.88300 40.8
20 -27.182 0.20
21 712.893 3.28 1.59270 35.3
22 -21.620 0.35
23 -60941.798 0.93 1.83400 37.2
24 28.231 4.77 1.49700 81.5
25 -34.279 0.20
26 -80910.795 1.68 1.48749 70.2
27 -87.072 (可変)
像面 ∞

非球面データ
第9面
K = 0.00000e+000 A 4=-6.64162e-006 A 6= 2.58871e-008 A 8=-8.99837e-010 A10= 1.12233e-011 A12=-5.07106e-014

各種データ
ズーム比 1.88

焦点距離 8.05 11.85 15.14
Fナンバー 4.12 4.12 4.12
画角 174 175 175
像高 11.15 16.77 21.64
レンズ全長 129.57 127.26 129.98
BF 40.25 49.58 57.66

d10 20.89 9.25 3.89 14.85
d27 40.25 49.58 57.66 44.20

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -10.91
2 11 26.80

【0050】
【表1】

【符号の説明】
【0051】
LA‥光学系、L1‥第1レンズ群、L2‥第2レンズ群、SP‥絞り、IP‥撮像面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に第1レンズ群、絞り、第2レンズ群を有する単一焦点距離又はズーム機能を有する光学系であって、前記第1レンズ群は最も物体側にメニスカス形状の負の屈折力の第1負レンズを有し、前記第1レンズ群は前記第1負レンズより像側に少なくとも1枚の負の屈折力の第Gn負レンズを有し、前記第2レンズ群は少なくとも1枚の正の屈折力の第Gp正レンズを有し、材料のアッベ数をνd、g線とF線の部分分散比をθg,Fとするとき、該第Gn負レンズと第Gp正レンズの材料は、いずれも
θg,F−(−0.001682・νd+0.6438)≧0.01
なる条件を満足し、任意の像高yに入射する軸外主光線が前記第1負レンズの物体側のレンズ面に入射する際の光軸とのなす角度をθ、全系の焦点距離をfとするとき(但し、焦点距離fは光学系がズーム機能を有するときは広角端又は望遠端における焦点距離である)、
1.8≦(y/fsin(θ/2))≦2.1
なる条件を満足することを特徴とする光学系。
【請求項2】
前記第1負レンズの焦点距離をf1、全系の焦点距離をfとするとき、
−4.5≦f1/f≦−1.8
なる条件を満足することを特徴とする請求項1の光学系。
【請求項3】
前記第Gn負レンズの焦点距離をfex、前記第1負レンズの焦点距離をf1とするとき、
0.3≦fex/f1≦2.1
なる条件を満足することを特徴とする請求項1又は2の光学系。
【請求項4】
前記第1負レンズの物体側の面の曲率半径をr1、像側の面の曲率半径をr2とし、形状因子SH1を
SH1=(r1−r2)/(r1+r2)
とおくとき、
0.4≦SH1≦1.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項の光学系。
【請求項5】
前記第1負レンズの材料の屈折率をNd、アッベ数をνdとするとき、
1.63≦Nd≦1.89
40≦νd≦61
なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項の光学系。
【請求項6】
第1レンズ群の一部のレンズ群はフォーカシングの際に光軸方向に移動することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項の光学系。
【請求項7】
前記第1レンズ群は負の屈折力の第GCn負レンズと正の屈折力の第GCp正レンズとを接合した接合レンズを少なくとも1つ有し、前記第GCn負レンズの材料のアッベ数をνdn、g線とF線の部分分散比をθg,Fnとするとき、
θg,Fn−(−0.001682・νdn+0.6438)≧0.01
なる条件を満足することを特徴する請求項1乃至6のいずれか1項の光学系。
【請求項8】
前記第GCp正レンズの材料のアッベ数をνdp、g線とF線の部分分散比をθg,Fpとするとき、
θg,Fp≦−0.001682・νdp+0.6438
なる条件を満足することを特徴とする請求項7の光学系。
【請求項9】
前記第2レンズ群は最も物体側にレンズ中心からレンズ周辺にいくに従って正の屈折力が強くなる非球面形状の面を含む正レンズを有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項の光学系。
【請求項10】
前記光学系は、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が狭まるように双方が物体側へ移動して広角端から望遠端へのズーミングを行うズーム機能を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項の光学系。
【請求項11】
広角端又は望遠端における全系の焦点距離をfa、任意の像高yに入射する軸外主光線が前記第1負レンズの物体側のレンズ面に入射する際の光軸とのなす角度をθとするとき、
y≦1500・fa・sin(θ/2)/(750−2・fa・sin(θ/2))
なる条件を満足することを特徴とする請求項10の光学系。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項の光学系を有していることを特徴とする撮像装置。

【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−141364(P2011−141364A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1095(P2010−1095)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】