説明

光学装置、撮像装置、給電装置およびレンズキャップ

【課題】従来のカメラにおいて受電コイルはカメラの筐体内に設けられていることから、充電時に受電コイルと外部の充電装置の給電コイルとの位置をあわせることが困難であった。
【解決手段】撮像装置は、筐体と、筐体内に設けられた撮像素子と、撮像素子へ被写体像を導くレンズと、レンズを支持し、筐体から突出した又は突出可能なレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒の内周面に沿って設けられ、外部の給電コイルから非接触で供給された電力を用いて充電池を充電する受電コイルと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、撮像装置、給電装置およびレンズキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導作用を利用して外部の充電装置から非接触で電力の供給を受ける受電コイルを設け、受電コイルに供給された電力を用いて電源である充電池を充電するカメラが知られている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2010−128219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のカメラにおいて受電コイルはカメラの筐体内に設けられていることから、充電時に受電コイルと外部の充電装置の給電コイルとの位置をあわせることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様における光学装置は、筐体と、筐体から突出した又は突出可能なレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒の内周面に沿って設けられ、外部の給電コイルから非接触で供給された電力を用いて充電池を充電する受電コイルとを備える。
【0005】
また本発明の第2の態様における撮像装置は、上述の光学装置と、筐体内に設けられた撮像素子とを備える。
【0006】
また、本発明の第3の態様における給電装置は、上述の光学装置または撮像装置の筐体から突出したレンズ鏡筒が挿入可能な凹部と、レンズ鏡筒が凹部に挿入された場合に、受電コイルと対向する給電コイルとを備える。
【0007】
また、本発明の第4の態様におけるレンズキャップは、上述の光学装置または撮像装置の筐体から突出したレンズ鏡筒に装着された場合に、受電コイルと対向する給電コイルを備える。
【0008】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る充電システムの概要を説明する図である。
【図2】本実施形態に係るカメラの要部断面図である。
【図3】絞りユニットを説明する図である。
【図4】本実施形態に係る給電パッドの要部断面図である。
【図5】第1変形例に係る給電パッドの要部断面図である。
【図6】第2変形例に係る給電パッドの要部断面図である。
【図7】第2変形例に係る給電パッドにおける給電処理を示すフロー図である。
【図8】第3変形例に係る給電パッドの要部断面図である。
【図9】本実施形態に係るレンズキャップの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る充電システム10の概要を説明する図である。充電システム10は、光学装置且つ撮像装置としてのカメラ100と、給電装置としての給電パッド200とを含む。図1に示すとおり、カメラ100は、筐体110と、筐体110から突出したレンズ鏡筒120と、レンズ鏡筒120の内周面に沿って設けられた受電コイル130を備える。また、給電パッド200は、本体210と、本体210に設けられた凹部220と、凹部220の底部に設けられた給電コイル230を備える。
【0012】
給電パッド200の凹部220は、カメラ100のレンズ鏡筒120が挿入可能な形状に形成されている。レンズ鏡筒120は、給電パッド200の側部に案内されて、底部近傍に到達する。そして、給電パッド200の給電コイル230は、レンズ鏡筒120が凹部220に挿入された場合、カメラ100の受電コイル130と対向するように配置されている。
【0013】
給電パッド200は、給電コイル230が受電コイル130と対向している状態で、外部電源からの電力を用いて給電コイル230を予め定められた周波数で励磁する。電磁誘導作用により、給電コイル230から受電コイル130へ非接触で電力が供給される。そして、受電コイル130は、給電コイル230から供給された電力を用いて、カメラ100の電源である充電池140を充電する。
【0014】
したがって、本実施形態の充電システム10によれば、ユーザがレンズ鏡筒120を凹部220へ挿入してカメラ100を給電パッド200に置くだけで、給電コイル230と受電コイル130の位置を容易に合わせることができる。
【0015】
図2は、本実施形態に係るカメラ100の要部断面図である。レンズ鏡筒120は、光軸101に沿って配列されたレンズ121、絞りユニット122を備える。レンズ鏡筒120は、筐体110から突出した状態で筐体110に固定されている。なお、レンズ鏡筒120は、筐体110と一体に形成されてもよい。また、レンズ鏡筒120は、筐体110に対して着脱可能であってもよい。さらに、レンズ鏡筒120は、筐体110内から光軸101方向に突出可能な、いわゆる沈胴式のレンズ鏡筒であってもよい。
【0016】
レンズ121は、例えばフォーカスレンズであり、焦点調整の指示に応じて光軸方向に移動できるように構成されている。なお、レンズ121は、フォーカスレンズ、ズームレンズ等の複数のレンズで構成されていてもよい。絞りユニット122は、光軸101方向において、撮像素子111と受電コイル130との間に配置される。
【0017】
レンズ121および絞りユニット122は、入射される被写体光束を筐体110内に設けられた撮像素子111へ導く。撮像素子111は、例えばCCD、CMOSセンサなどの光電変換素子であり、受光面で結像した被写体の光学像を電気信号に変換する。
【0018】
撮像素子111で光電変換された電気信号は、メイン基板112に搭載されたDSPである画像処理部113で画像データに処理される。メイン基板112には、画像処理部113の他に、カメラ100のシステムを統合的に制御するMPUであるカメラシステム制御部114が搭載されている。カメラシステム制御部114は、カメラシーケンスを管理すると共に、各構成要素の入出力処理等を行う。
【0019】
筐体110の背面には液晶モニタ等による表示部115が設けられており、メイン基板112上の画像処理部113で処理された被写体画像が表示される。背面表示部115は、撮影後の静止画像に限らず、各種メニュー情報、撮影情報等を表示する。
【0020】
筐体110には、外部の機器と赤外線通信、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を実行する無線通信モジュール116が設けられている。また、筐体110には、着脱可能な充電池140が収容され、カメラ100の電源として機能する。
【0021】
受電コイル130は、レンズ鏡筒120の内周面に沿って設けられている。そして、受電コイル130は、光軸101を中心として巻回されている。このようにレンズ鏡筒120の内周面に沿って光軸101を中心に受電コイル130を巻回させることにより、円形コイルを形成して給電効率を上げることができる。
【0022】
また、受電コイル130は、レンズ鏡筒120の先端側、すなわちレンズ鏡筒120において筐体110との結合側と反対側に配置されている。したがって、ユーザは受電コイル130の位置を把握し易い。
【0023】
受電コイル130は、電力線により充電池140と接続されている。給電パッド200から電力が供給された場合に、受電コイル130は、給電パッド200からの電力を充電池140へ供給する。
【0024】
図3は、絞りユニット122を説明する図である。絞りユニット122は、複数枚の絞り羽根123、ステッピングモータ124および周辺部材125で構成される。ステッピングモータ124は、複数枚の絞り羽根123を開放方向および最小絞り方向のいずれかの方向に駆動する絞り駆動部として機能する。周辺部材125は、複数枚の絞り羽根123を駆動可能に支持するとともにステッピングモータ124を支持する。
【0025】
絞り羽根123の表面には、銅、アルミニウム、炭素等の電磁波を遮断する素材で形成された電磁波遮断シートが貼り付けられている。周辺部材125の表面にも電磁波遮断シートが貼り付けられている。
【0026】
カメラシステム制御部114は、受電コイル130が充電池140を充電する場合に、絞り羽根123を最小絞りまで閉じるようにステッピングモータ124に駆動信号を送信する。ステッピングモータ124は、カメラシステム制御部114からの駆動信号に応じて絞り羽根123を駆動して最小絞り状態に移行させる。
【0027】
したがって、受電コイル130による充電処理中に、表面に電磁波遮断シートが形成された絞り羽根123および周辺部材125は、図3に示すように、被写体側から観測した場合に撮像素子111をほぼ覆う。したがって、充電処理中に受電コイル130および給電コイル230が発生する電磁波から撮像素子111を保護することができる。
【0028】
なお、絞りユニット122が絞りを完全に閉じることができる場合には、カメラシステム制御部114は、受電コイル130が充電池140を充電する場合に、絞り羽根123を完全に閉じるようにステッピングモータ124に駆動信号を送信する。また、絞り羽根123の表面に電磁波遮断シートを設けたが、絞り羽根123自体を、銅、アルミニウム、炭素等の電磁波を遮断する素材で形成してもよい。同様に、周辺部材125自体を、電磁波を遮断する素材で形成してもよい。
【0029】
図4は、本実施形態に係る給電パッド200の要部断面図である。凹部220は、底部221、側部222および挿入口223で構成される。底部221には、給電コイル230を配置する溝が形成されている。カメラ100のレンズ鏡筒120は、挿入口223から凹部220へ挿入される。そして、側部222は、レンズ鏡筒120の凹部220への挿入時に、レンズ鏡筒120を案内する。
【0030】
給電コイル230は、レンズ鏡筒120の先端部分が底部221近傍に到達した場合に、受電コイル130と対向する。給電コイル230が受電コイル130に対向するとは、給電コイル230の中心軸と受電コイル130の中心軸とのずれ量が予め定められた許容範囲内に配置された状態をいう。なお、許容範囲は、給電コイル230のサイズ、巻き数等の仕様、受電コイル130のサイズ、巻き数等の仕様などから、予め定められた給電効率を達成するずれ量を実験的またはシミュレーション的に算出することにより、予め決定される。
【0031】
底部221近傍の側部222には、赤外線センサ等で構成され、レンズ鏡筒120の凹部220への挿入を検知する挿入検知部240が設けられている。挿入検知部240の検知結果は、メイン基板250に搭載された給電システム制御部251へ出力される。給電システム制御部251は、MPUで構成され、給電パッド200のシステムを統合的に制御する。
【0032】
メイン基板250には、給電システム制御部251の他に、給電コイル230の給電を制御する給電回路252が搭載されている。給電システム制御部251は、挿入検知部240の検知結果からレンズ鏡筒120が凹部220へ挿入されたと判断した場合に、給電処理を実行させる給電指令情報を給電回路252へ出力する。給電回路252は、給電システム制御部251からの給電指令情報に応じて、給電コイル230による給電を開始する。
【0033】
具体的には、給電回路252は、外部電源からの電力を用いて、予め定められた周波数で給電コイル230を励磁する。電磁誘導作用により、給電コイル230に対向する受電コイル130に起電力が生じる。そして、受電コイル130は、電磁誘導作用により生じた電力を充電池140へ供給し、充電池140を充電する。
【0034】
図5は、第1変形例に係る給電パッド300の要部断面図である。第1変形例において、凹部の深さをバネの付勢力により変更する。なお、図4で示した実施形態と同じ構成については同じ番号を付与し、変更された箇所のみ説明する。
【0035】
給電パッド300の凹部310は、底部311、側部312および挿入口313で構成される。底部311には、給電コイル230が設けられている。底部311の下には、底部311を挿入口313の方向へ付勢する付勢部であるバネ320が設けられている。図5(a)に示すとおり、カメラ100のレンズ鏡筒120が凹部310に挿入されていない初期状態において、底部311は、バネ320により挿入口313近傍に配置される。
【0036】
初期状態の底部311の下側近傍の側部312には、赤外線センサ等で構成され、レンズ鏡筒120の凹部220への挿入を検知する挿入検知部330が設けられている。挿入検知部330の検知結果は、メイン基板250に搭載された給電システム制御部251へ出力される。
【0037】
レンズ鏡筒120が凹部310に挿入されると、底部311は、カメラ100の重量により、レンズ鏡筒120に接触した状態で下方向に移動する。そして、図5(b)に示すとおり、カメラ100の筐体110が給電パッド200の本体210の上面に当接すると、底部311の移動が完了する。底部311の移動開始以降においては、給電コイル230は、受電コイル130に対向している。
【0038】
給電システム制御部251は、底部311が挿入検知部330を横切った場合に、給電処理を実行させる給電指令情報を給電回路252へ出力する。給電回路252は、給電システム制御部251からの給電指令情報に応じて、給電コイル230による給電を開始する。具体的な給電処理は、図4を用いて説明した給電処理と同様である。
【0039】
このように移動可能な底部311を設けて挿入口313から底部311までの深さを変更可能とすることにより、レンズ鏡筒の長さが異なる複数のカメラに対して非接触充電処理を実行することができる。また、カメラ100の重量を用いることにより、底部311を駆動させる駆動装置が不要となる。
【0040】
図6は、第2変形例に係る給電パッド400の要部断面図である。第2変形例において、凹部の深さをモータ駆動により変更する。なお、図4で示した実施形態と同じ構成については同じ番号を付与し、変更された箇所のみ説明する。また、沈胴式のレンズ鏡筒120を備えるカメラ100を用いて第2変形例を説明する。
【0041】
給電パッド400の凹部410は、底部411、側部412、挿入口413、および挿入口413近傍に側部412より径を広げたテーパ部414から構成される。テーパ部414は、カメラ100のレンズ鏡筒120が挿入口413の中心に対してずれて載置されたとしても、レンズ鏡筒120を側部412内へ案内する。
【0042】
底部411には、給電コイル230が設けられている。底部411の下には、底部411を移動可能に支持する支持部材420が設けられている。図6(a)に示すとおり、カメラ100のレンズ鏡筒120が凹部410に挿入されていない初期状態において、底部411は、移動可能範囲における最下部に配置される。
【0043】
支持部材420には、ラックギアが形成されている。モータ430は、支持部材420のラックギアと係合するピニオンギアを備え、底部411および支持部材420を凹部の深さ方向に移動させる底部駆動部として機能する。メイン基板440には、上述の給電システム制御部251の他に、モータ430の駆動を制御する駆動回路441が搭載されている。
【0044】
本体210内には、外部の機器と赤外線通信、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を実行する無線通信モジュール450が設けられている。図6(a)に示すように、レンズ鏡筒120を筐体110に収納したカメラ100の無線通信モジュール116は、レンズ鏡筒120の突出量を示す突出量情報を無線通信で送信する。給電パッド400の無線通信モジュール450は、給電パッド400近傍のカメラ100から、レンズ鏡筒120の突出量情報を受信する受信部として機能する。
【0045】
無線通信モジュール450がレンズ鏡筒120の突出量情報を受信すると、給電システム制御部251は、給電処理を実行するための凹部410の深さを決定する。例えば、給電システム制御部251は、レンズ鏡筒120の突出量を凹部410の深さとして決定する。なお、レンズ鏡筒120の突出量が凹部410の最大深さより大きい場合にレンズ鏡筒120を突出させると、レンズ鏡筒120が底部411に強く衝突して破損する可能性がある。そこで、この場合、無線通信モジュール450は、カメラ100に対してエラー信号を送信して、レンズ鏡筒120の突出を禁止する。
【0046】
給電システム制御部251は、決定した凹部410の深さの情報を駆動回路441へ出力する。駆動回路441は、給電システム制御部251が決定した凹部410の深さにするためのモータ430の駆動量を算出する。そして、駆動回路441は、駆動量を示す駆動信号をモータ430へ出力する。モータ430は、駆動回路441の駆動信号に応じて、底部411および支持部材420を駆動する。
【0047】
また、給電システム制御部251は、レンズ鏡筒120の突出を指令する突出指令情報を、無線通信モジュール450を介してカメラ100へ送信する。カメラ100のカメラシステム制御部114は、突出指令情報を受信すると、レンズ鏡筒120を突出させる。そして、カメラシステム制御部114は、レンズ鏡筒120の突出が完了すると、突出完了情報を、無線通信モジュール116を介して給電パッド400へ送信する。
【0048】
給電システム制御部251は、図6(b)に示すように、レンズ鏡筒120の突出が完了し且つ底部411の移動が完了すると、給電処理を実行させる給電指令情報を給電回路252へ出力する。給電回路252は、給電システム制御部251からの給電指令情報に応じて、給電コイル230による給電を開始する。具体的な給電処理は、図4を用いて説明した給電処理と同様である。このように挿入口413から底部411までの深さを変更可能な底部411を設けることにより、レンズ鏡筒の長さが異なる複数のカメラに対して非接触充電処理を実行することができる。
【0049】
また、給電システム制御部251は、レンズ鏡筒120の突出量に予め定められたギャップを加えた値を凹部410の深さとして決定してもよい。レンズ鏡筒120と底部411を非接触にして給電処理を実行することにより、底部411からレンズ鏡筒120への負荷をなくすことができる。
【0050】
図7は、第2変形例の給電パッド400における充電処理を示すフロー図である。本フローは、例えば給電パッド400の電源がオンになったときに開始される。給電システム制御部251は、給電回路252、駆動回路441、無線通信モジュール450等と協働して本フローを実行する。ステップS101では、駆動回路441は、底部411を図6(a)で示す初期位置である最下部に移動させる駆動信号をモータ430へ出力する。駆動信号に応じてモータ430が駆動することにより、底部411は初期位置に移動する。
【0051】
ステップS102では、給電システム制御部251は、上述した突出量情報を、カメラ100から受信したか否かを判断する。突出量情報を受信するまで待機し、突出量情報を受信した場合にステップS103へ移行する。なお、突出量情報を受信した場合において、レンズ鏡筒120の突出量が凹部410の最大深さより大きいときには、給電システム制御部251は、エラー信号をカメラ100へ送信して本フローを終了する。
【0052】
ステップS103では、給電システム制御部251は、給電処理を実行するための凹部410の深さを決定し、凹部410の深さ情報を駆動回路441へ出力する。そして、駆動回路441は、凹部410の深さにするためのモータ430の駆動量を算出する。
【0053】
ステップS104では、駆動回路441は、ステップS103で算出した駆動量を示す駆動信号をモータ430へ出力する。モータ430は、駆動信号が示す駆動量分駆動して底部411を移動させる。ステップS105では、給電システム制御部251は、上述した突出指令情報をカメラ100へ送信する。ステップS106では、給電システム制御部251は、上述した突出完了情報を、カメラ100から受信したか否かを判断する。突出完了情報を受信するまで待機し、突出完了情報を受信した場合にステップS107へ移行する。
【0054】
ステップS107では、給電システム制御部251は、上述した給電指令情報を給電回路252へ出力する。給電回路252は、給電指令情報に応じて、給電コイル230による給電を開始する。ステップS108では、給電システム制御部251は、充電完了を示す充電完了情報をカメラ100から受信したか否かを判断する。充電完了情報を受信していない場合にはステップS109へ移行し、充電完了情報を受信した場合には本フローを終了する。
【0055】
ステップS109では、給電システム制御部251は、カメラ100が給電パッド400から取り外されたか否かを判断する。例えば、給電システム制御部251は、無線通信モジュール450がカメラ100の無線通信モジュール116との通信が途絶えた場合に、カメラ100が給電パッド400から取り外されたと判断する。カメラ100が給電パッドに載置されている場合にはステップS107へ戻り給電処理を継続し、カメラ100が給電パッドから取り外された場合には本フローを終了する。
【0056】
なお、底部411の初期位置を移動可能範囲の最下部としていることから、レンズ鏡筒120の突出を先に実施してもレンズ鏡筒120の突出中に底部411と衝突しない。そこで、給電システム制御部251は、ステップS105の処理をステップS103、S104の前、あるいはこれらの処理と同時に実行してもよい。
【0057】
また、底部411の初期位置を移動可能範囲の最上部、中間部にしてもよい。最上部、中間部を初期位置とする場合に、底部411の駆動よりも先にレンズ鏡筒120を突出させると、レンズ鏡筒120の突出中にレンズ鏡筒120が底部411に強く衝突する可能性がある。そこで、給電システム制御部251は、ステップS104において底部411の駆動が完了した後に、ステップS105を実行する。
【0058】
図8は、第3変形例に係る給電パッド500の要部断面図である。第3変形例においては、上述の第1変形例および第2変形例とは異なり、凹部の底部は移動しない。そして、第3変形例においては、沈胴式のレンズ鏡筒120の突出量は、予め規定された凹部の深さに応じて制御される。なお、図4で示した実施形態と同じ構成については同じ番号を付与し、変更された箇所のみ説明する。
【0059】
給電パッド500の凹部510は、底部511、側部512、挿入口513、および挿入口513近傍に側部512より径を広げたテーパ部514から構成される。第2変形例と同様に、カメラ100を載置した場合に沈胴式のレンズ鏡筒120の位置が側部512から多少ずれたとしても、テーパ部514がレンズ鏡筒120を側部512内へ案内する。
【0060】
給電パッド500の本体210の上面には、荷重センサ等で構成され、カメラ100の本体210の上面への載置を検知する載置検知部520が設けられている。載置検知部520の検知結果は、給電システム制御部251へ出力される。給電システム制御部251は、挿入検知部240および載置検知部520の出力に応じて、給電パッド500に載置されたカメラ100が沈胴式のレンズ鏡筒120を備えるか否かを判断する。
【0061】
具体的には、給電システム制御部251は、カメラ100が本体210の上面に載置されたがレンズ鏡筒120の凹部510への挿入が検知されなかった場合に、沈胴式のレンズ鏡筒120を備えるカメラ100が給電パッド500に載置されたと判断する。図8(a)は、沈胴式のレンズ鏡筒120を備えるカメラ100が給電パッド500に載置された状態を示す。
【0062】
一方、カメラ100が本体210の上面への載置およびレンズ鏡筒120の凹部510への挿入がほぼ同時に検知された場合には、レンズ鏡筒120が突出したカメラ100が給電パッド500に載置されたと判断する。この場合には、図4を用いて説明したように、給電システム制御部251は、カメラ100が給電パッド500に載置された直後に給電処理を実行する。
【0063】
本体210内には、外部の機器と赤外線通信、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を実行する無線通信モジュール530が設けられている。沈胴式のレンズ鏡筒120を備えるカメラ100が給電パッド500に載置された場合に、給電システム制御部251は、予め定められた突出量の突出を指令する突出指令情報を、無線通信モジュール530を介してカメラ100へ送信する。予め定められた突出量は、例えば凹部220の深さである。
【0064】
カメラ100のカメラシステム制御部114は、突出指令情報を給電パッド500から受信すると、突出指令情報が示す突出量だけレンズ鏡筒120を突出させる。そして、カメラシステム制御部114は、レンズ鏡筒120の突出が完了すると、突出完了情報を、無線通信モジュール116を介して給電パッド500へ送信する。
【0065】
図8(b)は、レンズ鏡筒120の突出が完了した状態を示す。給電システム制御部251は、レンズ鏡筒120の突出が完了すると、給電処理を実行させる給電指令情報を給電回路252へ出力する。給電回路252は、給電システム制御部251からの給電指令情報に応じて、給電コイル230による給電を開始する。このようにレンズ鏡筒120の突出量を凹部220の深さに応じて制御することにより、レンズ鏡筒の突出可能量が異なる複数の沈胴式カメラに対して非接触充電処理を実行することができる。
【0066】
また、上述の予め定められた突出量は、凹部220の深さから予め定められたギャップ分を引いた値としてもよい。レンズ鏡筒120と底部221を非接触にして給電処理を実行することにより、底部221からレンズ鏡筒120への負荷をなくすことができる。
【0067】
次に、上述の給電パッドの代わりに、レンズキャップを給電装置として用いる実施形態について説明する。図9は、本実施形態に係るレンズキャップ600の要部断面図である。レンズキャップ600は、給電コイル610、装着検知部620、給電回路630および充電池640を備える。
【0068】
給電コイル610は、カメラ100の装着側に設けられる。給電コイル610は、レンズキャップ600がカメラ100から突出したレンズ鏡筒120に装着された場合に、レンズ鏡筒120内の受電コイル130と対向する。装着検知部620は、荷重センサ等で構成され、レンズ鏡筒120との装着部材に配置される。装着検知部620は、レンズキャップ600がレンズ鏡筒120に装着されたか否かを検知する。
【0069】
給電回路630は、給電コイル610の給電を制御する。具体的には、給電回路630は、装着検知部620によってレンズキャップ600のレンズ鏡筒120への装着が検知された場合に、充電池640を用いて給電コイル610による給電を開始する。給電回路630の給電処理は、上述の給電回路252と同様である。充電池640は、レンズキャップ600に対して着脱可能に装着される。
【0070】
このようにレンズキャップ600に給電コイル610を設けることにより、レンズキャップ600をレンズ鏡筒120へ装着するだけで給電コイル230と受電コイル130の位置を容易に合わせることができる。また、レンズ鏡筒120にレンズキャップ600を装着したカメラ100を持って移動している間に、カメラ100の充電池を充電することができる。さらに、ユーザは、家では上述の給電パッドを用いてカメラ100の充電を行い、外出時にはレンズキャップ600を用いてカメラ100の充電を行うことができる。
【0071】
なお、レンズキャップ600は、外部電源と接続する接続部をさらに備えるようにしてもよい。この場合に、給電回路630は、外部電源から供給される電力を用いて充電池640を充電する。また、レンズキャップ600は、充電池640の代わりに外部電源と接続する接続部を備えるようにしてもよい。この場合に、給電回路630は、外部電源から供給される電力を用いて給電コイル610による給電を制御する。
【0072】
上述の実施形態において、給電コイル610と受電コイル130とを用いて非接触充電を行ったが、これに限らず、充電池640の電力を充電池140へ接触充電を行うようにしてもよい。具体的には、レンズキャップ600側において、給電コイル610の代わりに、レンズ鏡筒120との装着部材に第1コネクタが設けられ、第1コネクタと充電池640とは電力線で接続される。同様に、レンズ鏡筒側において、受電コイル130の代わりに、レンズキャップ600との装着部材に第2コネクタが設けられ、第2コネクタと充電池140とは電力線で接続される。
【0073】
そして、レンズキャップ600がレンズ鏡筒120に装着された場合に、第1コネクタと第2コネクタとが接続するように、第1コネクタおよび第2コネクタは配置される。これら第1コネクタおよび第2コネクタにより、レンズキャップ600をレンズ鏡筒120へ装着した場合に、レンズキャップ600の充電池640からカメラ100の充電池140へ電力が供給される。なお、レンズキャップ600は、充電池640の代わりに外部電源と接続する接続部を備えるようにしてもよい。この場合に、第1コネクタは、接続部と電力線で接続される。そして、レンズキャップ600をレンズ鏡筒120へ装着した場合に、外部電源からカメラ100の充電池140へ電力が供給される。
【0074】
上述の実施形態において、受電コイル130は、光軸101を中心として巻回されたが、自身の中心軸が光軸101からずれた状態で配置されてもよい。また、受電コイル130は、レンズ鏡筒120の先端側に配置されたが、非接触充電が実行可能であれば、レンズ鏡筒120の中央部、筐体110との結合側に配置されてもよい。
【0075】
上述の実施形態において、受電コイルの数は1つであるが、複数の受電コイルが用いられてもよい。例えば、複数の受電コイルは、レンズの光軸を中心として巻回され、レンズの光軸に沿って順にレンズ鏡筒に配置される。
【0076】
また、複数の受電コイルは、レンズ鏡筒の内周面に沿って配置されてもよい。レンズ鏡筒の内周面に沿って配置された各受電コイルの中心軸は、レンズの光軸と平行であってもよい。この場合、上述の給電パッドは、レンズ鏡筒が凹部に挿入された場合に複数の受電コイルの少なくとも1つに対向する少なくとも1つの給電コイルを、凹部の底部に備える。また、レンズ鏡筒の内周面に沿って配置された各受電コイルの中心軸は、レンズの光軸と垂直であってもよい。この場合、上述の給電パッドは、レンズ鏡筒が凹部に挿入された場合に複数の受電コイルの少なくとも1つに対向する少なくとも1つの給電コイルを、凹部の側部に備える。なお、複数の受電コイルの配列の間隔は、等間隔であってもよい。
【0077】
上述の実施形態において、カメラシステム制御部114は、カメラ100の充電処理中に、カメラ100の表示部115に充電状態に関する情報を表示させてもよい。例えば、カメラシステム制御部114は、充電状態を示すアイコンを表示部115に表示させる。ユーザは、充電状態を表示部115で確認して、充電を終了するかどうか判断することができる。
【0078】
上述の実施形態において、電磁誘導方式を非接触充電方式として用いたが、他の非接触充電方式を適用してもよい。例えば、給電側の電極と受電側の電極を対向させ、電極間に発生する誘導電界を利用して給電する電界結合方式を用いる。具体的には、レンズ鏡筒側において、受電コイルの代わりに、少なくとも1つの受電用電極がレンズ鏡筒の内周面に沿って設けられる。また、給電パッドにおいて、給電コイルの代わりに、少なくとも1つの給電用電極が凹部の側部に設けられる。
【0079】
給電用電極は、レンズ鏡筒が給電パッドの凹部に挿入された場合に受電用電極と対向するように配置される。給電用電極と受電用電極とが対向している状態で、給電パッドの給電回路は、給電用電極に電力を供給する。そうすると、電極間に誘導電界が発生して、給電用電極から受電用電極へ電力が伝送される。そして、受電用電極は、給電用電極からの電力を充電池へ供給する。
【0080】
上述の実施形態において、撮像素子111のユニットは筐体110内に組み込まれているが、撮像素子111のユニットを着脱可能にしてもよい。この場合、カメラ100から撮像素子111のユニットを取り外した残りの部分が、筐体とレンズ鏡筒と受電コイルとを備える光学装置を構成する。また、光学装置としてカメラ100を用いたが、これに限らず、望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡等の光学装置に上述の非接触充電機能を適用してもよい。
【0081】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。上記の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0082】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0083】
10 充電システム、100 カメラ、101 光軸、110 筐体、111 撮像素子、112 メイン基板、113 画像処理部、114 カメラシステム制御部、115 表示部、116 無線通信モジュール、120 レンズ鏡筒、121 レンズ、122 絞りユニット、123 絞り羽根、124 ステッピングモータ、125 周辺部材、130 受電コイル、140 充電池、200 給電パッド、210 本体、220 凹部、221 底部、222 側部、223 挿入口、230 給電コイル、240 挿入検知部、250 メイン基板、251 給電システム制御部、252 給電回路、300 給電パッド、310 凹部、311 底部、312 側部、313 挿入口、320 バネ、330 挿入検知部、400 給電パッド、410 凹部、411 底部、412 側部、413 挿入口、414 テーパ部、420 支持部材、430 モータ、440 メイン基板、441 駆動回路、450 無線通信モジュール、500 給電パッド、510 凹部、511 底部、512 側部、513 挿入口、514 テーパ部、520 載置検知部、530 無線通信モジュール、600 レンズキャップ、610 給電コイル、620 装着検知部、630 給電回路、640 充電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体から突出した又は突出可能なレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒の内周面に沿って設けられ、外部の給電コイルから非接触で供給された電力を用いて充電池を充電する受電コイルと
を備える光学装置。
【請求項2】
前記受電コイルは、前記レンズ鏡筒に支持されたレンズの光軸を中心として巻回された請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記受電コイルは、前記レンズ鏡筒の先端側に配置された請求項1または2に記載の光学装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置と、
前記筐体内に設けられた撮像素子と
を備える撮像装置。
【請求項5】
少なくとも表面が電磁波を遮断する素材で形成された絞り羽根を有し、前記レンズ鏡筒に支持された絞りユニットを備え、
前記絞りユニットは、前記レンズの光軸方向において、前記撮像素子と前記受電コイルとの間に配置される請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記受電コイルが前記充電池を充電する場合に、前記絞り羽根を閉じる絞り駆動部を備える請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記絞りユニットは、少なくとも表面が電磁波を遮断する素材で形成され且つ前記絞り羽根の周囲に設けられた周辺部材を有する請求項5または6に記載の撮像装置。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置または請求項4から7のいずれか1項に記載の撮像装置の前記筐体から突出した前記レンズ鏡筒が挿入可能な凹部と、
前記レンズ鏡筒が前記凹部に挿入された場合に、前記受電コイルと対向する前記給電コイルと
を備える給電装置。
【請求項9】
前記給電コイルは、前記凹部の底部に配置された請求項8に記載の給電装置。
【請求項10】
前記底部は、前記凹部の挿入口から前記底部までの深さを変更可能に設けられた請求項9に記載の給電装置。
【請求項11】
前記底部を、前記挿入口の方向へ付勢する付勢部を備える請求項10に記載の給電装置。
【請求項12】
前記筐体から突出する前記レンズ鏡筒の突出量の情報を受信する受信部と、
前記突出量に基づいて、前記底部を前記深さの方向に移動させる底部駆動部と
を備える請求項10に記載の給電装置。
【請求項13】
前記レンズ鏡筒の前記筐体からの突出量を指令する突出指令情報を、前記筐体から突出可能な前記レンズ鏡筒を備える前記撮像装置へ送信する送信部を備える請求項8から12のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項14】
前記レンズ鏡筒の前記凹部への挿入を検知する挿入検知部と、
前記レンズ鏡筒の前記凹部への挿入が検知された場合に、前記給電コイルによる給電を開始する給電制御部を備える請求項8から13のいずれか1項に記載の給電装置。
【請求項15】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学装置または請求項4から7のいずれか1項に記載の撮像装置の前記筐体から突出した前記レンズ鏡筒に装着された場合に、前記受電コイルと対向する前記給電コイルを備えるレンズキャップ。
【請求項16】
前記レンズ鏡筒への装着を検知する装着検知部と、
前記レンズ鏡筒への装着が検知された場合に、前記給電コイルによる給電を開始する給電制御部と
を備える請求項15に記載のレンズキャップ。
【請求項17】
キャップ側充電池を備え、
前記給電制御部は、前記キャップ側充電池を用いて、前記給電コイルによる給電を制御する請求項16に記載のレンズキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−54234(P2013−54234A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192961(P2011−192961)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】