説明

光導波路コネクタ及び光コネクタ装置

【課題】磁気的吸引力接続部によって光デバイスコネクタの光デバイスに対する光導波路コネクタの光導波路の光結合上の信頼性を確保することができる光コネクタ装置を提供する。
【解決手段】光を伝播させる光ファイバ2A、及び光ファイバ2Aを保持するフェルール2Bを有する光ファイバコネクタ2と、この光ファイバコネクタ2を挿抜自在に保持するホルダ3B、及び光ファイバ2Aに光学的に結合する光デバイス3Aを有する光デバイスコネクタ3と、この光デバイスコネクタ3の光デバイス3Aと光ファイバコネクタ2のフェルール2Bとを磁気的吸引力によって接続する磁気的吸引力接続部4とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路コネクタ及び光コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバを伝送媒体とする光通信においては、光学的に結合される光ファイバ同士の光軸を高精度に位置合わせして光結合損失を低減することが要求される。
【0003】
このような光ファイバ同士を光学的に結合する光コネクタ装置として、両光ファイバのうち一方の光ファイバを保持するハウジング側に凹部を設けるとともに、他方の光ファイバを保持するハウジング側に凸部を設け、これら凹部と凸部とを嵌合する光コネクタ装置が提案されている(例えば特許文献1,2)。
【0004】
特許文献1,2に記載の光コネクタ装置においては、光ファイバ同士を凹部と凸部の嵌合によって接続することにより、光ファイバ同士の光軸の位置合わせが行われる。
【特許文献1】特開2000−275463号公報
【特許文献2】特開2000−275464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、磁気的吸引力を利用して光デバイスに光導波路保持部を接続することができ、光デバイスに対する光導波路の光結合上の信頼性を確保することができる光導波路コネクタ及び光コネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、光を伝播させる光導波路と、前記光導波路を保持して光デバイスに接続する磁性体又は磁石によって形成された光導波路保持部とを備えたことを特徴とする光導波路コネクタを提供する。
【0007】
(2)本発明は、上記目的を達成するために、光を伝播させる光導波路、及び前記光導波路を保持する光導波路保持部を有する光導波路コネクタと、前記光導波路コネクタを挿抜自在に保持するホルダハウジング、及び前記光導波路に光学的に結合する光デバイスを有する光デバイスコネクタと、前記光デバイスコネクタの光デバイスと前記光導波路コネクタの光導波路保持部とを磁気的吸引力によって接続する磁気的吸引力接続部とを備えたことを特徴とする光コネクタ装置を提供する。
【0008】
(3)上記(2)に記載の光コネクタ装置において、前記光導波路コネクタは、前記光導波路保持部が磁性体又は磁石によって形成されている。
【0009】
(4)上記(2)に記載の光コネクタ装置において、前記光デバイスコネクタは、前記光デバイスが前記光導波路保持部と共に前記磁気的吸引力接続部を構成する電磁石からなる接続部エレメントを有する。
【0010】
(5)上記(4)に記載の光コネクタ装置において、前記光デバイスコネクタは、前記ホルダハウジングに対する前記光導波路コネクタの挿入位置を検出する検出部、及び前記検出部の検出によって前記電磁石に通電する電源部を有する電源供給回路を含む。
【0011】
(6)本発明は、上記目的を達成するために、光を伝播させる光導波路、及び前記光導波路を保持する光導波路保持部を有する少なくとも1対の光導波路コネクタと、前記少なくとも1対の光導波路コネクタを挿抜自在に保持するホルダハウジング、及び前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路に光学的に結合する少なくとも1対の光デバイスを有する光デバイスコネクタと、前記光デバイスコネクタの少なくとも1対の光デバイスと前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路保持部とを磁気的吸引力によって接続する少なくとも1対の磁気的吸引力接続部とを備えたことを特徴とする光コネクタ装置を提供する。
【0012】
(7)上記(6)に記載の光コネクタ装置において、前記少なくとも1対の光導波路コネクタは、一方の光導波路コネクタの前記光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極が他方の光導波路コネクタの光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極と異なる磁石によって形成され、前記光デバイスコネクタは、前記少なくとも1対の光デバイスが前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路保持部と共に前記少なくとも1対の磁気的吸引力接続部を構成し、かつ前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極と異なる磁極を光導波路側に有する磁石からなる少なくとも1対の接続部エレメントを含む。
【0013】
(8)上記(6)に記載の光コネクタ装置において、前記少なくとも1対の光導波路コネクタは、一方の光導波路コネクタの前記光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極が他方の光導波路コネクタの光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極と異なる磁石によって形成され、前記光デバイスコネクタは、前記少なくとも1対の光デバイスが前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路保持部と共に前記少なくとも1対の磁気的吸引力接続部を構成し、かつ前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極と異なる磁極を光導波路側に着磁する電磁石からなる少なくとも1対の接続部エレメントを含む。
【発明の効果】
【0014】
上記(1)に記載の光導波路コネクタによると、磁気的吸引力を利用して光デバイスに対する光導波路の光結合上の信頼性を確保することができる。
【0015】
上記(2)に記載の光コネクタ装置によると、磁気的吸引力接続部によって光デバイスコネクタの光デバイスに対する光導波路コネクタの光導波路の光結合上の信頼性を確保することができる。
【0016】
上記(3)に記載の光コネクタ装置によると、磁性体又は磁石からなる光導波路保持部を含む磁気的吸引力接続部によって光デバイスコネクタの光デバイスに対する光導波路コネクタの光導波路の光結合上の信頼性を確保することができる。
【0017】
上記(4)に記載の光コネクタ装置によると、電磁石の非通電時における磁性粉(砂鉄)等の接続部エレメントへの付着を阻止することができる。
【0018】
上記(5)に記載の光コネクタ装置によると、光デバイスコネクタのホルダハウジングに対すると光導波路コネクタの非挿入時に電磁石に対する電源供給を停止することができる。
【0019】
上記(6)に記載の光コネクタ装置によると、少なくとも1対の磁気的吸引力接続部によって光デバイスコネクタの少なくとも1対の光デバイスと少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路との光結合上の信頼性を確保することができる。
【0020】
上記(7)に記載の光コネクタ装置によると、磁石の磁気吸引力を利用し、光デバイスコネクタの少なくとも1対の光デバイスのうち対応する光デバイスと少なくとも1対の光導波路コネクタのうち対応する光導波路コネクタの光導波路とを光学的に接続することができ、光デバイスに対する光導波路の誤接続の発生を防止することができる。
【0021】
上記(8)に記載の光コネクタ装置によると、電磁石の磁気吸引力を利用し、光デバイスコネクタの少なくとも1対の光デバイスのうち対応する光デバイスと少なくとも1対の光導波路コネクタのうち対応する光導波路コネクタの光導波路とを光学的に接続することができ、光デバイスに対する光導波路の誤接続の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ装置を示す分解斜視図である。図2(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ装置の光導波路コネクタと光デバイスコネクタとの接続状態を説明するために示す断面図である。図2(a)は接続前の状態を、図2(b)は接続後の状態をそれぞれ示す。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ装置の光デバイスを示す正面図である。
【0023】
(光コネクタ装置の全体構成)
図1において、符号1で示す光コネクタ装置は、光導波路コネクタとしての光ファイバコネクタ2と、この光ファイバコネクタ2の接続対象としての光デバイスコネクタ3と、この光デバイスコネクタ3と光ファイバコネクタ2とを磁気的吸引力によって接続する後述するフェルール2B及び位置決め部材101からなる磁気的吸引力接続部とから大略構成されている。
【0024】
(光ファイバコネクタ2の構成)
光ファイバコネクタ2は、図2(a)及び(b)に示すように、光を伝播させる光導波路としての光ファイバ2Aと、この光ファイバ2Aを内部に保持する光導波路保持部としてのフェルール2Bと、このフェルール2Bを光デバイスコネクタ3側に配置するファイバコネクタ本体2Cとを有している。
【0025】
光ファイバ2Aは、光結合面20Aを光デバイスコネクタ3側に有し、ファイバコネクタ本体2Cのフェルール挿入孔20Cに挿通され、かつ光デバイスコネクタ3側の端部がフェルール2B内に挿入して接続されている。そして、全体が石英系材料を主成分とする繊維状の光伝送部材によって形成されている。光ファイバ2Aの材料としては、プラスチック材料を用いてもよい。
【0026】
フェルール2Bは、光ファイバ2Aの光結合面20Aと略同一面上に位置する環状のフェルール接続端面20Bを有し、光デバイスコネクタ3と反対側の端面がファイバコネクタ本体2Cに接着されている。そして、全体が例えば酸化鉄,酸化クロム,コバルト,ステンレス又はフェライト等の材料を主成分とする磁性体からなる円筒部材によって形成されている。
【0027】
ファイバコネクタ本体2Cは、フェルール2Bを挿入するフェルール挿入孔20Cを有し、全体が略直方体によって形成されている。ファイバコネクタ本体2Cの形状としては、例えば円筒体(円柱体)や立方体等の形状としてもよい。
【0028】
(光デバイスコネクタ3の構成)
光デバイスコネクタ3は、図2(a)及び(b)に示すように、光デバイス3A及びホルダハウジング3Bを有し、光ファイバコネクタ2に着脱可能に接続される。
【0029】
光デバイス3Aは、図3に示すように、光を光ファイバコネクタ2側に放つ発光素子30Aと、この発光素子30Aを搭載する第1リード31Aと、この第1リード31A上の発光素子30Aにワイヤ100を介して接続する第2リード32Aと、これら発光素子30A,第1リード31A及び第2リード32A(リードは共に一部)を封止する封止部33Aとを有し、ホルダハウジング3B内に一部が収容され、かつ回路基板(図示せず)上に実装されている。
【0030】
発光素子30Aは、光ファイバ2Aの光結合面20Aに光学的に結合(接続)する光結合面(発光面)30aを有し、全体が平面略正方形状の例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)素子によって構成されている。発光素子30Aへの電源供給は、回路基板の電源供給部から第1リード31A及び第2リード32Aを介して行われる。
【0031】
第1リード31Aは、素子搭載部310Aを封止部33A内に有する平面略L字状の端子部材からなり、回路基板に接続されている。そして、全体が例えば錫めっき処理が施されたNi(ニッケル)系の金属材料によって形成されている。
【0032】
第2リード32Aは、ワイヤ接続部320Aを有する平面略I字状の端子部材からなり、第1リード31Aの一部と平行して配置され、かつ回路基板に接続されている。そして、全体が第1リード31Aの材料と同一の材料によって形成されている。
【0033】
封止部33Aは、全体が例えばPMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂からなる矩形板状の透光性部材によって形成され、発光素子30Aから放つ光を透過するように構成されている。封止部33Aの光ファイバコネクタ3側の端面には、ホルダハウジング3Bの軸線上に位置し、かつフェルール2Bのフェルール接続端面20B(光デバイス側端面)に接触する位置決め面101Aを有する接続部エレメントとしての位置決め部材101が接着されている。
【0034】
位置決め部材101は、光ファイバコネクタ2のフェルール2Bと共に磁気的吸引力接続部を構成し、かつ全体が例えば磁石からなる単一の環状部材によって形成されている。位置決め部材101は、単一のエレメント(環状部材)からなる場合について説明したが、複数のエレメントによって形成してもよい。位置決め部材101の開口面内には、発光素子30Aの光結合面30aが配置されている。
【0035】
一方、ホルダハウジング3Bは、光デバイス3Aを収容するデバイス収容空間30B、及びこのデバイス収容空間30Bに連通して光ファイバコネクタ2(光ファイバ2A及びフェルール2B)を軸線上に挿抜自在に保持する保持孔31Bを有し、全体が略直方体によって形成されている。ホルダハウジング3Bの材料としては、例えばジルコニアセラミック等の無機材料又はプラスチック等の有機材料が用いられる。ホルダハウジング3Bの保持孔31B内には位置決め部材101が配置されている。
【0036】
(磁気的吸引力接続部の構成)
磁気的吸引力接続部は、図2(a)及び(b)に示すように、フェルール2B及び位置決め部材101からなり、光ファイバコネクタ2及び光デバイスコネクタ3に跨って(フェルール2Bが光ファイバコネクタ2に、また位置決め部材101が光デバイスコネクタ3にそれぞれ)配置されている。そして、位置決め部材(磁石)101の磁気的吸引力によってフェルール(磁性体)2Bを吸引し、光ファイバコネクタ2と光デバイスコネクタ3とを機械的かつ光学的に接続するように構成されている。
【0037】
次に、本実施の形態に係る光コネクタ装置1の光ファイバコネクタ2と光デバイスコネクタ3とを機械的かつ光学的に接続する方法につき、図2(a)及び(b)を用いて説明する。
【0038】
本実施の形態に示す光コネクタ装置1の光ファイバコネクタ2と光デバイスコネクタ3との機械的・光学的な接続方法は、「フェルールと位置決め部材との位置合わせ」及び「フェルールと位置決め部材との接続」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。なお、光デバイス3Aは、発光素子30Aの光軸を保持孔30Bの軸線上に位置付けてホルダハウジング3Bのデバイス収容空間30Aに予め収容されているものとする。
【0039】
「フェルールと位置決め部材との位置合わせ」
図2(a)に示すように、光ファイバ2Aの光結合面20Aと光デバイス3A(発光素子30A)の光結合面30aとを、及びフェルール2Bのフェルール接続端面20Bと位置決め部材101の位置決め面101Aとをそれぞれ対向させ、光ファイバコネクタ2のフェルール2Bを光デバイスコネクタ3(筐体3B)の保持孔31Bの軸線上に配置する。この場合、光ファイバコネクタ2のフェルール2Bが保持孔31Bの軸線上に配置されると、フェルール2Bと位置決め部材101との位置合わせが行われる。
【0040】
「フェルールと位置決め部材との接続」
図2(b)に示すように、光ファイバコネクタ2の光デバイス側端部(光ファイバ2A及びフェルール2B)を保持孔31B内に挿入し、フェルール2Bのフェルール接続端面20Bを位置決め部材101の位置決め面101Aに接触させる。この場合、フェルール接続端面20Bが位置決め面101Aに接触すると、光ファイバ2Aの光結合面20Aと発光素子30Aの光結合面30aとが光学的に結合した状態で、位置決め部材101にその磁気的吸引力によってフェルール2Bが機械的に接続される。
【0041】
[第2の実施の形態]
図4(a)及び(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る光コネクタ装置の光導波路コネクタと光デバイスコネクタとの接続状態を説明するために示す断面図である。図4(a)は接続前の状態を、図4(b)は接続後の状態をそれぞれ示す。図4(a)及び(b)において、図2(a)及び(b)と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0042】
図4(a)及び(b)に示すように、第2の実施の形態に示す光コネクタ装置201は、光ファイバコネクタ2のフェルール(磁気的吸引力接続部)2Bが例えば光デバイス3A側をS極とするとともに、その反対側をN極とする磁石によって形成されている点に特徴がある。
【0043】
このため、磁気的吸引力接続部としての位置決め部材101は、例えば光ファイバ2A側をN極とするとともに、光デバイス3A側をS極とする磁石によって形成されている。
【0044】
なお、位置決め部材101としては、光ファイバ2A側をS極とするとともに、光デバイス3A側をN極とする磁石によって形成してもよい。この場合、フェルール2Bは、光デバイス3A側をN極とするとともに、その反対側をS極とする磁石によって形成されている必要がある。また、位置決め部材101は、フェルール2Bが磁石によって形成されている場合、例えば酸化鉄,酸化クロム,コバルト,ステンレス又はフェライト等の材料を主成分とする磁性体によって形成してもよい。
【0045】
このように構成された光コネクタ装置201の光ファイバコネクタ2と光デバイスコネクタ3との機械的・光学的な接続方法は、第1の実施の形態に示す光コネクタ装置1の光ファイバコネクタ2と光デバイスコネクタ3との機械的・光学的な接続方法と同様にして行われるため、その説明は省略する。
【0046】
[第3の実施の形態]
図5(a)及び(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る光コネクタ装置の光導波路コネクタと光デバイスコネクタとの接続状態を説明するために示す断面図である。図5(a)は接続前の状態を、図5(b)は接続後の状態をそれぞれ示す。図6は、本発明の第3の実施の形態に係る光コネクタ装置の磁気的吸引力接続部の接続部エレメント(電磁石)を含む電源供給回路を示す回路図である。図5(a),(b)及び図6において、図2(a)及び(b)と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0047】
図5(a)及び(b)に示すように、第3の実施の形態に示す光コネクタ装置301は、光デバイスコネクタ3のホルダハウジング3Bに対する光ファイバコネクタ2の挿入によって磁気的吸引力接続部の機能を発揮し得るようにした点に特徴がある。
【0048】
このため、光デバイスコネクタ3は、光デバイス3Aが光ファイバコネクタ2のフェルール2Bと共に磁気的吸引力接続部を構成する接続部エレメントとしての位置決め部材302を有し、光ファイバコネクタ2に着脱可能に接続されている。また、光デバイスコネクタ3は、ホルダハウジング3Bの外側面に保持孔31Bの軸線方向に所定の間隔をもって並列する1対の接点部310B,310Bが設けられている。接点部310B,310Bは、例えば銅(Cu)又はアルミニウム(Al)等の金属膜によって形成されている。
【0049】
位置決め部材302は、フェルール2Bのフェルール接続端面20Bに接触可能な位置決め面302Aを有する環状の電磁石からなり、光デバイス3Aの封止部33Aの光ファイバコネクタ側端面に装着されている。そして、図6に示すように、光デバイスコネクタ3の保持孔31Bに対する光ファイバコネクタ2の挿入位置を検出する検出部としてのON・OFFスイッチ303、及びこのON・OFFスイッチ303の検出によって位置決め部材(電磁石)302に通電する電源部304と共に電源供給回路305を形成するように構成されている。
【0050】
一方、光ファイバコネクタ2は、コネクタ本体2Cが光デバイスコネクタ3におけるホルダハウジング3Bの光ファイバ2A側の端部を嵌合する凹部21Cを有し、全体が角形筒体によって形成されている。コネクタ本体2Cの開口内面には、光デバイスコネクタ3の接点部310B,310Bと共にON・OFFスイッチ303を構成する接点部22Cが設けられている。接点部21Cは、接点部310B,310Bの材料と同一の材料によって形成されている。
【0051】
これにより、光ファイバコネクタ2(フェルール2B)の光デバイス側端部が光デバイスコネクタ3のホルダハウジング3B(保持孔31B)内に挿入され、接点部22Cの接点部310B,310Bへの接触によってON・OFFスイッチ303がスイッチON状態となると、電源部304から位置決め部材(電磁石)302に電源供給が行われ、磁気的吸引力接続部の機能を発揮し得る状態となる。
【0052】
なお、光ファイバコネクタ2の光デバイス3A側の端部が光デバイスコネクタ3のホルダハウジング3B外に引き抜かれ、接点部22Cの接点部310B,310Bからの離間によってON・OFFスイッチ303がスイッチOFF状態となると、電源部304から位置決め部材(電磁石)302に電源供給が行われず、磁気的吸引力接続部の機能を発揮し得ない状態となる。
【0053】
このように構成された光コネクタ装置301の光ファイバコネクタ2と光デバイスコネクタ3との機械的・光学的な接続方法は、第1の実施の形態に示す光コネクタ装置1の光ファイバコネクタ2と光デバイスコネクタ3との機械的・光学的な接続方法と同様にして行われるため、その説明は省略する。
【0054】
[第4の実施の形態]
図7は、本発明の第4の実施の形態に係る光コネクタ装置を示す分解斜視図である。図8A(a)及び図8B(b)は、本発明の第4の実施の形態に係る光コネクタ装置の光導波路コネクタと光デバイスコネクタとの接続状態を説明するために示す断面図である。図8A(a)は接続前の状態を、図8B(b)は接続後の状態をそれぞれ示す。図7,図8A(a)及び図8B(b)において、図1及び図4(a),(b)と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0055】
図7,図8A(a)及び図8B(b)に示すように、第4の実施の形態に示す光コネクタ装置401は、1対(2種)の光デバイス3A,403Aを有する光デバイスコネクタ403と、この光デバイスコネクタ403の光デバイス3A,403Aにそれぞれ光学的に結合する光ファイバ2A,402Aを有する光ファイバコネクタ2,402と、これら光ファイバコネクタ2,402のフェルール2B,402Bと光デバイスコネクタ403の光デバイス3A,403Aとを磁気的吸引力によって接続する磁気的吸引力接続部とを備えた点に特徴がある。
【0056】
このため、光ファイバコネクタ2の光ファイバ2Aは発光素子30Aからの光を外部接続用の光デバイス(図示せず)に伝送する光導波路として、また光ファイバコネクタ402の光ファイバ402Aは外部接続用の発光素子(図示せず)からの光を光デバイス403Aに伝送する光導波路としてそれぞれ機能するように構成されている。
【0057】
なお、光ファイバコネクタ402は光ファイバコネクタ2(第1の実施の形態に示す)と略同一の構成であるため、その構成部品の説明については光ファイバコネクタ2と異なる部分のみとする。また、光ファイバ402A及びフェルール402B以外の構成部品(部位)の符号は、光ファイバコネクタ2の構成部品(部位)の符号に対応して付し(例えば、光ファイバコネクタ402のファイバコネクタ本体には光ファイバコネクタ2のファイバコネクタ本体2Cに対応して402Cを、また光ファイバコネクタ402の光ファイバ402Aの光結合面には光ファイバコネクタ2の光ファイバ2Aの光結合面20Aに対応して4020Aをそれぞれ付す。)、その説明は省略する。
【0058】
光ファイバコネクタ2のフェルール2Bは、光デバイス(発光素子)側をN極とし、またその反対側をS極とする磁石によって形成されている。光ファイバコネクタ402のフェルール402Bは、光デバイス(受光素子)側をS極とし、またその反対側をN極とする磁石によって形成されている。
【0059】
光デバイスコネクタ403は、前述したように光デバイス3A,403Aを有する他、ホルダハウジング403Bを有し、光ファイバコネクタ2,402を着脱可能に接続するように構成されている。
【0060】
光デバイス403Aは、光ファイバコネクタ側からの光を受ける受光素子4030Aと、この受光素子4030Aを搭載する第1リード4031Aと、この第1リード4031A上の受光素子4030Aにワイヤ100を介して接続する第2リード(図示せず)と、これら受光素子4030Aと第1リード4031A及び第2リード(共に一部)とを封止する封止部4033Aとを有し、ホルダハウジング403B(保持孔4031B)内に収容され、かつ回路基板(図示せず)上に実装されている。
【0061】
受光素子4030Aは、光ファイバ402Aの光結合面4020Aに光学的に結合(接続)する光結合面(発光面)4030aを有し、全体が平面略正方形状の例えばフォトダイオード(Photo Diode:PD)素子によって構成されている。受光素子4030Aで発生した光起電力(電流)の取り出しは、回路基板に第1リード31A及び第2リード32Aを介して行われる。
【0062】
封止部4033Aは、全体が例えばPMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂からなる矩形板状の透光性部材によって形成され、光ファイバコネクタ側からの光を透過するように構成されている。封止部4033Aの光ファイバコネクタ側端面には、フェルール402Bのフェルール接続端面4020B(光デバイス側端面)に接触する位置決め面1010Aを有する接続部エレメントとしての位置決め部材1010が接着されている。
【0063】
位置決め部材1010は、光ファイバコネクタ402のフェルール402Bと共に磁気的吸引力接続部404を構成し、かつ光ファイバ側をN極とするとともに、その反対側(光デバイス側)をS極とする磁石からなる環状部材によって形成されている。このため、光ファイバコネクタ2のフェルール2Bと共に磁気的吸引力接続部4を構成する環状の位置決め部材101は、光ファイバ側をS極とするとともに、その反対側(光デバイス側)をN極とする磁石によって形成されている。
【0064】
これにより、光ファイバコネクタ2のフェルール2Bを位置決め部材101に機械的に接続して光ファイバ2Aを発光素子30Aに、また光ファイバコネクタ402のフェルール402Bを位置決め部材1001に機械的に接続して光ファイバ402Aを受光素子4030Aにそれぞれ光学的に結合することができ、光デバイスコネクタ403のホルダハウジング403B内に対する光ファイバコネクタ2,402の誤挿入(光ファイバ2A,402Aの光デバイス3A,403Aに対する誤接続)を防止することができる。
【0065】
位置決め部材1010の開口面内には、受光素子4030Aの光結合面4030aが配置されている。
【0066】
一方、ホルダハウジング403Bは、光デバイス3A,403Aを内部に収容するデバイス収容空間30B,4030B、及びこれらデバイス収容空間30B,4030Bに連通して光ファイバコネクタ2,402(光ファイバ2A及びフェルール2B,光ファイバ402A及びフェルール402B)を軸線上に保持する保持孔31B,4031Bを有し、全体が略直方体によって形成されている。ホルダハウジング403Bの材料としては、例えばジルコニアセラミック等の無機材料又はプラスチック等の有機材料が用いられる。
【0067】
保持孔4031Bは、受光素子4030Aの光軸上に配置されている。そして、光ファイバコネクタ402(フェルール402B)を内部に挿抜自在に嵌合して保持するように構成されている。保持孔4031Bの開口面内には位置決め部材1010が、また位置決め部材1001の開口面内には受光素子4030の光結合面4030aがそれぞれ配置されている。
【0068】
光ファイバコネクタ402側の磁気的吸引力接続部は、フェルール(磁石)402B及び位置決め部材(磁石)1010からなり、光ファイバコネクタ402及び光デバイスコネクタ403に跨って(フェルール402Bが光ファイバコネクタ402に、また位置決め部材1010が光デバイスコネクタ403にそれぞれ)配置されている。
【0069】
このため、光ファイバコネクタ2側の磁気的吸引力接続部は、位置決め部材101が光ファイバ側をS極とするとともに、その反対側をN極とする磁石によって形成されている。
【0070】
なお、磁気的吸引力接続部は、位置決め部材1010が光ファイバ側をN極とするとともに、その反対側をS極とする磁石によって形成されている場合について説明したが、光ファイバ側をS極とするとともに、その反対側をN極とする磁石によって形成してもよい。この場合、光デバイス3A,403Aに対する光ファイバ2A,402Aの誤接続を防止するためには、フェルール402Bが光デバイス側をN極とするとともに、その反対側をS極とする磁石によって形成されている必要がある。また、磁気的吸引力接続部4は、位置決め部材101が光ファイバ側をN極とするとともに、その反対側をS極とする磁石によって形成され、一方フェルール2Bが光ファイバ側をS極とするとともに、その反対側をN極とする磁石によって形成されている必要がある。
【0071】
また、位置決め部材101,1010は、磁石の代わりに、それぞれフェルール2B,402Bの光デバイス側の磁極と異なる磁極を光ファイバ側に着磁する電磁石を用いてもよい。
【0072】
このように構成された光コネクタ装置401の光ファイバコネクタ2,402と光デバイスコネクタ403との機械的・光学的な接続方法は、第1の実施の形態に示す光コネクタ装置1の光ファイバコネクタ2と光デバイスコネクタ3との機械的・光学的な接続方法と同様にして行われるため、その説明は省略する。
【0073】
以上、本発明の光コネクタ装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0074】
本実施の形態では、光デバイスコネクタ3に光ファイバコネクタ2を接続する場合、又は光デバイスコネクタ403(1対の光デバイス3A,403A)にそれぞれ1対の光ファイバコネクタ2,402を接続する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、光デバイスコネクタ(複数対の光デバイス)にそれぞれ複数対の光ファイバコネクタを接続してもよい。この場合、光コネクタ装置は、複数対の光デバイスと複数対の光ファイバコネクタの光導波路保持部(フェルール)とを磁気的吸引力によって接続する複数対の磁気的吸引力接続部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ装置を示す分解斜視図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ装置の光導波路コネクタと光デバイスコネクタとの接続状態を説明するために示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ装置の光デバイスを示す正面図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る光コネクタ装置の光導波路コネクタと光デバイスコネクタとの接続状態を説明するために示す断面図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る光コネクタ装置の光導波路コネクタと光デバイスコネクタとの接続状態を説明するために示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施の形態に係る光コネクタ装置の磁気的吸引力接続部の接続部エレメント(電磁石)を含む電源供給回路を示す回路図である。
【図7】図7は、本発明の第4の実施の形態に係る光コネクタ装置を示す分解斜視図である。
【図8A】図8Aは、本発明の第4の実施の形態に係る光コネクタ装置の光導波路コネクタと光デバイスコネクタとの接続状態を説明するために示す断面図である。
【図8B】図8Bは、本発明の第4の実施の形態に係る光コネクタ装置の光導波路コネクタと光デバイスコネクタとの接続状態を説明するために示す断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1…光コネクタ装置
2…光ファイバコネクタ
2A…光ファイバ、20A…光結合面
2B…フェルール、20B…フェルール接続端面
2C…ファイバコネクタ本体、20C…フェルール挿入孔、21C…凹部、22C…接点部
3…光デバイスコネクタ
3A…光デバイス、30A…発光素子、31A…第1リード、32A…第2リード、33A…封止部、30a…光結合面、310A…素子搭載部、320A…ワイヤ接続部
3B…ホルダハウジング、30B…デバイス収容空間、31B…保持孔
100…ワイヤ
101…位置決め部材、101A…位置決め面
201…光コネクタ装置
301…光コネクタ装置
302…位置決め部材、302A…位置決め面
303…ON・OFFスイッチ、303B,303B…接点部
304…電源部
305…電源供給回路
401…光コネクタ装置
402…光ファイバコネクタ
402A…光ファイバ、4020A…光結合面
402B…フェルール、4020B…フェルール接続端面
402C…ファイバコネクタ本体、4020C…フェルール挿入孔
403…光デバイスコネクタ
403A…光デバイス、4030A…受光素子、4031A…第1リード、4033A…封止部、4030a…光結合面
403B…ホルダハウジング、4030B…デバイス収容空間、4031B…保持孔
1010…位置決め部材、1010A…位置決め面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を伝播させる光導波路と、
前記光導波路を保持して光デバイスに接続する磁性体又は磁石によって形成された光導波路保持部と
を備えたことを特徴とする光導波路コネクタ。
【請求項2】
光を伝播させる光導波路、及び前記光導波路を保持する光導波路保持部を有する光導波路コネクタと、
前記光導波路コネクタを挿抜自在に保持するホルダハウジング、及び前記光導波路に光学的に結合する光デバイスを有する光デバイスコネクタと、
前記光デバイスコネクタの光デバイスと前記光導波路コネクタの光導波路保持部とを磁気的吸引力によって接続する磁気的吸引力接続部と
を備えたことを特徴とする光コネクタ装置。
【請求項3】
前記光導波路コネクタは、前記光導波路保持部が磁性体又は磁石によって形成されている請求項2に記載の光コネクタ装置。
【請求項4】
前記光デバイスコネクタは、前記光デバイスが前記光導波路保持部と共に前記磁気的吸引力接続部を構成する電磁石からなる接続部エレメントを有する請求項2に記載の光コネクタ装置。
【請求項5】
前記光デバイスコネクタは、前記ホルダハウジングに対する前記光導波路コネクタの挿入位置を検出する検出部、及び前記検出部の検出によって前記電磁石に通電する電源部を有する電源供給回路を含む請求項4に記載の光コネクタ装置。
【請求項6】
光を伝播させる光導波路、及び前記光導波路を保持する光導波路保持部を有する少なくとも1対の光導波路コネクタと、
前記少なくとも1対の光導波路コネクタを挿抜自在に保持するホルダハウジング、及び前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路に光学的に結合する少なくとも1対の光デバイスを有する光デバイスコネクタと、
前記光デバイスコネクタの少なくとも1対の光デバイスと前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路保持部とを磁気的吸引力によって接続する少なくとも1対の磁気的吸引力接続部と
を備えたことを特徴とする光コネクタ装置。
【請求項7】
前記少なくとも1対の光導波路コネクタは、一方の光導波路コネクタの前記光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極が他方の光導波路コネクタの光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極と異なる磁石によって形成され、
前記光デバイスコネクタは、前記少なくとも1対の光デバイスが前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路保持部と共に前記少なくとも1対の磁気的吸引力接続部を構成し、かつ前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極と異なる磁極を光導波路側に有する磁石からなる少なくとも1対の接続部エレメントを含む請求項6に記載の光コネクタ装置。
【請求項8】
前記少なくとも1対の光導波路コネクタは、一方の光導波路コネクタの前記光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極が他方の光導波路コネクタの光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極と異なる磁石によって形成され、
前記光デバイスコネクタは、前記少なくとも1対の光デバイスが前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路保持部と共に前記少なくとも1対の磁気的吸引力接続部を構成し、かつ前記少なくとも1対の光導波路コネクタの光導波路保持部の光デバイス側に着磁された磁極と異なる磁極を光導波路側に着磁する電磁石からなる少なくとも1対の接続部エレメントを含む請求項6に記載の光コネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2009−145725(P2009−145725A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324431(P2007−324431)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】