説明

光放射による液体及びガスの直列処理

光放射によって液体又はガスを処理するための直列反応炉が開示されている。反応炉は透明材料から成る管、パイプ、又は、室から成り、少なくとも1つの流体入口と、対応する少なくとも1つの流体出口とを有する。管の透明材料は、その屈折率が処理されるべき流体の屈折率に限りなく近いよう選択される。反応炉の内部で、光源から臨界角よりも大きな入射角で反応炉内に向けられる光の全反射を可能にするために、空隙が反応炉の外部透明壁の周りに保持される。少なくとも1つの直列反応炉を含む流体処理システムが開示されている。さらに、直列流体処理の方法、特に水の減菌及び殺菌並びに水の殺菌充填の方法が開示されている。出口ノズルを通じて発射後の直列殺菌された水によって打たれる表面も、自由流水噴流内の全反射に封鎖される直列処理のために用いられる同一紫外線光を用いて水を発射することによって減菌される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体の直列照射に関し、より詳細には、光放射(特に紫外線範囲)によって源から目的地への過程での液体(特に水)及びガス(特に空気)の処理に関する。さらに、本発明は、液体又はガスの直列処理に関連した固体表面の殺菌に関する。
【背景技術】
【0002】
水は多目的な生活源である。水は飲用、洗浄、灌漑、水泳、及び、食品業界を含む極めて広範な工業用ユーティリティーに用いられる。生活用の水の多様性の故に、人口推移は水の入手可能性によって著しく影響を受け、よって、水の入手可能性を増大し且つその製造に関連する費用を削減するための努力が常になされる。水源中の他物質の存在の故に、これは豊富な水源の存在が使用目的への順応を必ずしも常に保証しないからである。多くの水の利用において、水中の汚染物質の濃度に関する水質についての基準及び健康要件が存在する。それらは間違いなく重要であるが、水をそのような基準及び要件に従わせるためになされるべき特別な処理の故に、通常、水の製造費用を増大する。水処理の費用はしばしばそのように高いので、純人口は耐え得ず、よって、彼ら自身を危険に委ね、未処理水に隠れる。さらに、水処理の費用は、水の再利用を何度も妨げ、よって、水がそれほど入手可能又は低価格でない世界中の場所でさえ、再利用費用がより高いので、水は一回の使用後に大量に浪費される。
【0003】
純人口において水生産の費用は人々の生活に重大であるが、それらは幾つかの点で発展人口においても同様に極めて重大である。水は全ての生活側面に直接的(即ち、飲用、洗浄、水泳のような直接消費において)又は間接的(即ち、工業処理のような間接消費において)に関与するので、これは水処理費用が生活水準指標に極めて大きな影響を及ぼすからである。
【0004】
本発明は、健康を害する生物学的及び化学的物質からの水の殺菌及び浄化に注力する。
【0005】
水の殺菌を取り扱うとき、殺菌水の無菌状態を維持するために、そのような水と接触するようになる全ての固体及びガスも同様に殺菌され、適切な無菌状態に維持されるべきことが要求されることを常に留意すべきである。
【0006】
長年に亘って幾つかの水の殺菌及び浄化の基本概念が開発され、それらは利点及び不利点を備えて世界市場で競争する。
【0007】
生産者は何度も幾つかの殺菌概念を1つの生産ラインで利用し、そこでは、例えば、水タンク及びコンベヤベルトは、有毒な化学薬品を用いて浄化され(次に最終生成物から化学残留物を避けるために極めて厳格に洗浄され)、水パイプは、沸騰水を配給することによって浄化され、最終生成物ボトルは、化学薬品を用いて殺菌され、(最終生成物としての)水自体も、殺菌のために紫外線によって照射される。
【0008】
浄化処理のために如何なる処理概念が選択されるかを決定する最も重要な要因は関連する費用であることが理解されよう。おそらく、他の概念、例えば、加熱がより高額でない限り、後に洗浄除去されるべき有毒物質の使用を含む化学的殺菌プロセスは選択されないであろう。
【0009】
有毒物質を含まない他の洗浄殺菌概念は、殺菌性の紫外線によって殺菌媒体を照射することである。しかしながら、各種の生産要件に対処しながら構築又は現状維持のいずれかのために依然として合理的な価格を提示し得る工業能力を有する紫外線殺菌システムを提供することについて、多くの特許が発効し且つ多くの努力が払われているが、その分野における大きな成功は未だ観察され得ない。
【0010】
最適な紫外線殺菌装置を提供することの行く手を妨げる1つの障害は、光学素子の費用である。確実な殺菌プロセスを可能にする光学系は、殺菌剤のありとあらゆる部分が適切な量の殺菌エネルギーを受け取ることである。残念ながら、そのような光学系の基本費用又は維持費用のいずれも、人が紫外線概念を他よりも絶対的に好み得るに十分なほどに小さくない。
【0011】
最適な紫外線殺菌装置を提供することの行く手を妨げる1つの障害は、紫外線源自体、及び、勿論その維持費用である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
Horton et al.に発効した米国特許第6,454,937号、及び、Wedekampに発効した米国特許第5,200,156号は、双方とも、紫外線エネルギーの効率を最大限化し、且つ、被照射流体を包含する収容する容器又はパイプの壁による紫外線の吸収を最小限化するために、流路に沿った方向で、流れ流体を紫外線で照射することに向けられている。この目的のために、上記特許によれば、紫外線は、流体が流れるパイプ(又は複数のパイプ)の軸と平行な方向に最大エネルギーを放射するよう配置されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の概略)
本発明は、透明材料から成り且つ空気によって取り囲まれた管又は容器を含み、流体入口と、流体出口と、外部光源から管内に光を透過するよう構成された少なくとも1つの開口又は窓とを有する、光放射で流体を処理するための反応炉に関する。
【0014】
本発明の多様な好適実施態様によれば、管又は容器は石英から成る。
【0015】
本発明の多様な好適実施態様によれば、管又は容器は保護スリーブの内部に位置し、それらの間に間隙がある。
【0016】
本発明の多様な好適実施態様によれば、窓は、望ましくない波長の光が反応炉に入射するのを回避するための光学フィルタを備える。
【0017】
本発明の多様な好適実施態様によれば、反応炉は、管又は容器の外側で所定領域と光連絡し、且つ、反応炉を利用する殺菌システムのコントローラとデータ連絡する光検出器をさらに含む。
【0018】
本発明の追加的な実施態様によれば、反応炉は、透明材料から成る少なくとも1つの追加的な管又は容器をさらに含み、透明な管は、減少する直径を有し、且つ、それらの間に間隙を備えて、同一の長手軸の周りで次々に内側に位置し、マルチコア反応炉を形成する。
【0019】
他の実施態様によれば、反応炉は、透明材料から成る少なくとも1つの追加的な管をさらに含み、透明な管又は容器は、減少する直径を有し、且つ、それらの間に間隙を備えて、同一の長手軸の周りで次々に内側に位置し、マルチコア反応炉を形成する。
【0020】
多様な実施態様によれば、流体出口は、流体充填装置内に充填ノズルとして形成され、或いは、洗浄装置内に水発射機として形成される。
【0021】
本発明は、上記請求項のうちいずれか1項によって定められるような少なくとも1つの反応炉と、反応炉内に整列された少なくとも1つの光源とを含む殺菌装置にも言及する。
【0022】
本発明に従った装置は、反応炉の内部の管の透明壁の所定領域と光連絡し、且つ、殺菌装置のコントローラとデータ連絡する光検出器をさらに含む。
【0023】
本発明の装置は家庭水供給システムにおいても用いられ、従って、家庭使用者によって作動されるよう構成された、反応炉の流体出口と液体連絡するファセットをさらに含み得る。
【0024】
本発明の装置は空調又は空気循環システムにおいても用いられ、少なくとも1つの空気ブロア又は空気ポンプと空気連絡した流体入口又は流体出口を備える。
【0025】
多様な実施態様によれば、本発明の装置の少なくとも1つの光放射源は、マイクロ波励起無電極紫外線プラズマランプ、紫外線レーザ、水銀ランプ、球面中圧紫外線ランプ、又は、他の如何なる許容可能な光源から選択される。
【0026】
本発明は、さらに流体を照射するための方法に関し、本方法は、壁が透明材料から成る反応炉の内部に流体を収容するステップと、壁の外側を壁の屈折率よりも低い屈折率で取り囲むステップと、光が流体を通じて透過されるよう、並びに、透明壁との境界を通じて流体を離れる光の大部分が反射して流体内に戻されるか、或いは、透明壁に沿って光り続けるような角度で、収容された流体を、流体内に整列された光放射で照射するステップとを含む。
【0027】
本発明の方法は、流体が照射プロセスの期間中に連続的な流れにある動作モード、並びに、流体が処理の所定の時間間隔に亘って無動作に保持される動作モードのいずれかに言及する。
【0028】
本発明の多様な実施態様によれば、反応炉の透明材料は石英である。
【0029】
本発明の方法の多様な共通の使用によれば、反射炉内に収容される流体は、光放射の特定波長に対して透明な水又は他の液体である。
【0030】
本発明の方法の多様な利用法によれば、反応炉内に収容された流体は、光放射の特定波長に対して透明な水又は他の液体であり、方法は、流水の自由噴流を形成し、光放射を噴流内の全反射に封鎖するために、出口からの水を発射するステップをさらに含む。
【0031】
本発明に従った直列殺菌の方法は、表面又は容器を自由噴流を洗浄するステップ、或いは、ボトル又は容器を自由噴流で充填するステップをさらに含み得る。本発明の追加的な実施によれば、容器を前記自由噴流で充填するステップと、充填される液体によって容器から排除される空気を容器から同時に排気するステップと、空気を照射するために、それを本発明に従った第二反応炉内或いは液体が照射される同一反応炉内の第二流路内に吸引するステップとを含む。
【0032】
(発明の詳細な記載)
本発明は、流体(主として、液体、最も具体的には、水、しかしながら、後にさらに説明されるように、多様な実施態様によれば、空気も処理し得るし、他の実施態様によれば、1つの流路内を流れる液体から逃げ出す照射エネルギーの一部を、別個の流路において空気の処理のために用い得る)を照射する方法に関し、方法は、液体を反応炉(以後「管」又は「パイプライン」と呼ぶ)内に(流れ内に、さもなければ、所定の処理時間間隔に亘って不動に)収容する。その壁は透明材料から成り、好ましくは(光放射の十分に広範囲の入射角内の全反射を可能にするために)液体の屈折率に可能な限り近い或いはそれよりも低い屈折率を有し、壁を取り囲む外側は透明壁の屈折率よりも低い屈折率である。光が流体を通じて透過されるよう、並びに、透明壁との境界を通じて流体を離れる光の大部分が反射して流体内に戻されるか(殆どの場合、この反射は全反射(TIR)として設計される)、或いは、透明壁に沿って光り続けるような角度で、収容された流体を、流体内に整列された光放射で照射する。
【0033】
さらに説明されるように、(水との壁境界の間と空気との壁境界の間の全反射の故に)パイプライン壁内部で光るよう捕捉され続ける光を、それがパイプライン縁から出射するときに依然として用い得る。さらに且つ後に詳説されるように、パイプラインから周囲空気に屈折される光を、空気を照射するために依然として用い得る。
【0034】
本発明に従った液体又はガスの照射のための方法及び装置は、処理されるべき液体又はガス内に存在し得る有害な生物学的又は化学的物質を殺菌、浄化、減菌、或いは、中性化する目的のために、本発明の発明者によって開発されたことが留意されるべきである。しかしながら、本発明は、本発明に従った方法又は装置を用いた液体又はガスの処理を遂行し得る他のプロセスを排除しない。
【0035】
水(N1=1.33の屈折率を有する)を照射するために特に有用な本発明の1つの好適実施態様によれば、パイプライン壁は石英(N2=1.54の屈折率を有する)から成り、周囲は空気(N3=1.0003の屈折率を有する)である。
【0036】
光エネルギーは、全ての光成分が、液体内部の光の全反射(TIR)を得るための臨界角よりも大きな角度で液体に入射するよう向けられるのが好ましい。しかしながら、もし望ましければ、例えば、パイプラインの周りの空気を照射するために、或いは、例えば、縁の反対のターゲットを照射するよう、パイプラインから所定の光エネルギーを有するために、光エネルギーの所定量を意図的に失うために、光エネルギー(又はその一部)をより小さな角度で案内することも可能である。
【0037】
好ましくは、石英パイプラインは、金属又はプラスチック製の保護スリーブの内部に配置され、それらの間に空隙を備える。パイプラインをその長手軸がスリーブの長手軸と実質的に重なり合う状態で保持するために、パイプラインの両端付近に或いはその長さに沿った所定間隔でスペーサを位置付け得る。パイプライン材料から、スリーブ材料から、或いは、スリーブとパイプラインとの間に位置する或いは結合される別個の材料或いはそれらの組み合わせから突出する一体的な突出部としてスペーサを作成し得る。
【0038】
本発明の多様な実施態様によれば、光特性を監視するために、少なくとも1つの光センサがスリーブとパイプラインとの間の空隙内に設けられる。これは、実時間情報を得て、それを光を制御するためのフィードバックとして、或いは、例えば、事前充填された容器を洗浄するために本発明に従って少量の水が用いられ且つ本発明の方法に従って直列に殺菌される工場内の洗浄水再利用システムにおいて、水状態のためのアラームとして用いることに役立ち得る。よって、照射エネルギーの監視強度が所定下限を越えて減少するまで水は再利用され、それは水濁度の割合が効果的な殺菌を阻止することをシステムに通知するので、使用済み水は新鮮な水によって置換されるか、代替的に、紫外線光強度が現在の水状態に適合するまで(即ち、監視強度が所定閾値の上に戻るまで)、紫外線光強度が増大されるべきである。
【0039】
内部反射現象(及び好ましくは全反射)の故に、本発明に従ったパイプラインは直線経路に限定されず、特定工場(例えば、ボトル充填工場、水浄化工場等)の局所要件に従って非直線的にそれを設計し得ることが理解されるべきである。
【0040】
パイプライン内部の内部反射の故に、所与の時間間隔の期間中に光源から放射される全光子によって作成される平均路長は、例えば、Horton et al.に発効した米国特許第6,454,937号及びWedekampに発効した米国特許第5,200,156号のような従来的な直線のパイプ内に向けられる光子の類似の線量によって作成される平均路長に比べ、10%単位で本発明に従ってより大きいことが理解されるべきである。これらの特許では、パイプ軸に対して対角線に向けられる光子はパイプ壁によって吸収されるのに対し、本発明に従ったパイプラインでは、それは反射して液体内に戻され、パイプライン全長に沿ってジグザグに進む。
【0041】
所与長さの反応炉当たりのより長い光路の故に、並びに、それを螺旋又は巻線に屈曲することによって反応炉を「折り畳む」可能性の故に、本発明に従った反応炉は、よりコンパクトな設計を有し、殺菌システムが据え付けられべきであるならば、多様な現場及び製造ラインに存在し得る異なる設計要件により容易に適合され得る。
【0042】
しかしながら、水内部の光路が大きくなればなるほど、光効率もより大きいことが留意されるべきである。これはあらゆる光子がその道に沿ってバクテリア(又は他の有害種又は化学物質)と出会う可能性が水内部の経路が増大するのに応じて増大するからである。
【0043】
従って、本発明の好適実施態様によれば、パイプライン長さは設計の一部として意図的に(即ち、内部反射に起因する光の経路の固有拡張に加えて)拡張され、よって、水路長及び内部の平均路長をそれぞれ増大する。このために、比較的長い長さのパイプを比較的小さな寸法の殺菌装置内に収容することを可能にする巻線形態或いは螺旋形状にパイプラインを設け得る。水を通じる光路長のそのような増大は従来技術のシステムでは適用不能であり、Horton et al.に発効した米国特許第6,454,937号及びWedekampに発効した米国特許第5,200,156号から理解されるように、紫外線エネルギーは直線パイプライン内の水内部に完全に吸収されるよう設計されている。理解され得るように、従来技術の殺菌システムは、パイプライン内に光放射通過巻線を有するという制限を有する。従って、従来技術システムにおける紫外線エネルギー分配は、エネルギーが横方向に分配されるよう設計されている。Horton et al.に発効した米国特許第6,454,937号及びWedekampに発効した米国特許第5,200,156号の双方は直列殺菌、即ち、流路に沿った光分配に向けられているが、双方ともエネルギーの平行分配を含む。Hortonは平行パイプの配列を用いるのに対し、Wedekampはパイプラインの中央部で拡大された直径の室内の紫外線源の配列を用いる。本発明は平行ジオメトリを用いることを排除しないが、その主たるアプローチは、従来技術システムに反して、エネルギーを最大可能な範囲に分配するために、パイプラインの長さを通じて大きな光出力を集中することである。従来技術システムにおいて、そのようなアプローチの実施はパイプライン壁によて吸収されるエネルギーの大きな損失を含むのに対し、本発明においては、水路は水内部の全光エネルギーを吸収するために必要なだけ拡張され得るので、本発明は、従来技術システムにおけるよりも数オーダ大きく効率損失のないピック出力の強力な光パルスを用いることを可能にする。
【0044】
極端なピック出力を有する紫外線のバーストパルスの使用が、平均的に分配されるときの類似のエネルギー量に比べ、その著しく有効なバクテリア殺菌において既知である(例えば、CWにおいて、或いは、比較的広いパルス、即ち、数マイクロ秒よりも長く続き且つ数10センチメータ−の吸収後に水内部で減少する適度なピック出力を有するパルス)。本発明によれば、本発明に従ったパイプライン壁の光伝導性の故に、並びに、透明パイプラインを空気の間隙で取り囲むことによって達成し得る全反射の故に、(従来技術装置において起こるように、パイプライン壁内で吸収されたり損失されるたりすることなく)それぞれの長い流路を通過するよう、極端に高いピック出力パルスを用い且つ適合し得る。
【0045】
本発明は、さらに、直列殺菌の目的のために、紫外線(特に、長手管から光を放射する光源、例えば、マイクロ波励起紫外線ランプ又は多様な種類の水銀紫外線ランプ)をパイプラインに適合する新規なジオメトリに関する。
【0046】
この新規なジオメトリによれば、紫外線管は、それらの間に角度を備えて位置付けられるパイプセグメントの2つの端部の間の接合部の壁に作成された或いはそのような壁にある実質的に直線的な窓と平行な軸を備えて配置され、この角度は、パイプセグメントの1つの内部に収容された水を照射すると同時に、紫外線管長さの実質的に第二半分から放射される光が窓に入射し、2つのパイプセグメントの第二の内部に収容される水を照射するよう、パイプセグメント内の全反射のための臨界角の二倍又はより広い幅であるのが好ましい。紫外線管は背面(窓と反対のその側面)に反射器を具備し、それは、光管の背面から放射される光、或いは、窓から反射して戻され、2つの反応炉セグメント及びに戻される光を反射するよう設計されている。パイプセグメントの夫々は場合に応じて異なる特別な設計上の考慮に従った長さ及び路形態であり得る。例えば、所定光管のエネルギーの効率的な利用に適した長さのために、パイプセグメントは巻線に又は螺旋構造に拡張され得る。類似の実質的に直線的な窓をそれらの間の接合部内に備えた状態で、各セグメントをその反対端で同様な方法で他のパイプセグメントと接続し得る。そこでは、2つの光セグメント間の照明を分割するために、他の光管(及び付随する反射器)を位置付け得る。理解され得るように、この構造をパイプのチェーンのように拡張し得る。そこでは、その各2つは適切な角度で相互接続され、紫外線管からの光を受光するのに有用な実質的に直線的な窓をそれらの接合部内に有し、各セグメントの内部に全反射を備える。この構造は、液体路長に関する制限のない直列殺菌システムを可能にする点だけでなく、殺菌プロセス期間中に、即ち、液体の流れを停止することなく、誤作動する光放射源の置換を許容することによって、そのような殺菌システムの維持を容易にするという点でも有利である。さらに、それは多数の活性な光放射源をパイプライン中の流速に従って実時間ベースで適用することを可能にする。
【0047】
本発明は、さらに、流体(主として液体、最も具体的には水、しかしながら、さらに説明されるように、液体から逃げ出す放射エネルギーの一部を空気の処理のために用い得る)の直列殺菌システムに関し、(a)少なくとも1つのパイプラインセグメントを含み、その壁は、液体の屈折率に近い又はそれよりも低い屈折率を有する透明材料から成り、壁の外側の周囲は壁の屈折率よりも低い屈折率を有し、(b)光が流体を通じて透過され得るよう、並びに、パイプライン壁との境界を通じて流体を離れる光の大部分が(好ましくは全反射(TIR)で)反射して流体内に戻されるか、或いは、パイプライン壁に沿って光り続けるような角度で、液体内に整列される光放射源をさらに含む。
【0048】
さらに説明されるように、(水との壁境界の間と空気との壁境界の間の全反射の故に)パイプライン壁内部で光るよう捕捉され続ける光を、それがパイプライン縁から出射するときに依然として用い得る。さらに且つ後に詳説されるように、パイプラインから周囲空気に屈折される光を、空気を照射するために依然として用い得る。
【0049】
水(N1=1.33の屈折率を有する)を照射するために特に有用な本発明の1つの好適実施態様によれば、パイプライン壁は石英(N2=1.54の屈折率を有する)から成り、周囲は空気(N3=1.0003の屈折率を有する)である。
【0050】
好ましくは、石英パイプラインは、金属又はプラスチック製の保護スリーブの内部に配置され、それらの間に空隙を備える。パイプラインをその長手軸がスリーブの長手軸と実質的に重なり合う状態で保持するために、パイプラインの両端付近に或いはその長さに沿った所定間隔でスペーサを位置付け得る。パイプライン材料から、スリーブ材料から、或いは、スリーブとパイプラインとの間に位置する或いは結合される別個の材料或いはそれらの組み合わせから突出する一体的な突出部としてスペーサを作成し得る。
【0051】
本発明の多様な実施態様によれば、光特性を監視するために、少なくとも1つの光センサがスリーブとパイプラインとの間の空隙内に設けられる。これは、実時間情報を得て、それを光を制御するためのフィードバックとして、或いは、例えば、事前充填された容器を洗浄するために本発明に従って少量の水が用いられ且つ本発明の方法に従って直列に殺菌される工場内の洗浄水再利用システムにおいて、水状態のためのアラームとして用いることに役立ち得る。よって、照射エネルギーの監視強度が所定下限を越えて減少するまで水は再利用され、それは水濁度の割合が効果的な殺菌を阻止することをシステムに通知するので、使用済み水は新鮮な水によって置換されるか、代替的に、紫外線光強度が現在の水状態に適合するまで(即ち、監視強度が所定閾値の上に戻るまで)、紫外線光強度が増大されるべきである。
【0052】
本発明の多様な実施態様によれば、反応炉はマルチコアから成り、即ち、液体の経路は異なる直径の少なくとも2つのパイプラインを通じ、複数の別個の流路が2つの平行な隣接するパイプラインの間にそれぞれ生成されるよう、それらの全ては減少直径オーダで実質的に1つの共通の下層軸の周りに次々に内側に配置される。
【0053】
本発明を理解し且つそれを実際にどのように実施し得るかを見るために、添付の図面を参照して、非制限的な実施例のみによって本発明を記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
図1は、本発明に従った基本的な反応炉の断面図を例証している。反応炉は、パイプライン又はパイプラインの一部として用いられ、保護金属スリーブ(3)の内部に位置する石英管(1)から成り、それらの間に間隙(2)を備える。石英管(1)はその第一端で第一スペーサ(4)に接続され、その両端の1つに接続された金属板(3)の間、及び、石英板(1)の間に間隔を空けている。第二スペーサ(4a)が、石英管の次の端部と、保護スリーブとの間に間隔を空けている。ガスケット(4b)及び(4c)が、石英パイプ両端部と各スペーサとの間の接続を封止している。スペーサは、金属、プラスチック、ゴム、又は、任意の他の許容可能な材料から成り得る。石英からもそれらを形成し得る。従って、もしそうすることが望ましいならば、それらはガスケットと一体のユニット(例えば双方ともゴム製である場合)、石英と一体のユニット(例えば双方とも石英製である場合)、又は、保護スリーブと一体のユニット(例えば双方とも同一材料から成る場合)を形成し得る。第一スペーサ(4)は光/流体混合ユニットとしても作用する。流体入口(7)が第一スペーサ(4)の壁に作成され、流体はそこを通じて進入し、石英管(1)を介して流れて出口(8)に到達する。第一スペーサ(4)は透明端部(5)を有し、光はそこを通じて反応炉内に進入する。少なくとも1つの紫外線源(6)が、第一スペーサ(4)の透明端部壁(5)の反対側に位置し、好ましくは、反応炉の内部で全反射を得るために、それは臨界角の角度よりも大きな角度の光線を反応炉内に照射するよう整列されるべきである。透明端部壁(5)は平面として例証されているが、光源(又は複数の光源)から石英管(1)内への光エネルギーの整列を可能にするために、如何なる所要形態に設計し得る。その整列は所定全反射特性(殆どの場合に全反射が好ましいであろう)を達成するための所望角度にある。それは、例えば、透明壁を凹面、凸面、円錐曲線、又は、他に形成し得る。さらに、例えば、整列された光源又はそのような光源の反射器若しくは複数の反射器と協働するレンズとして特定の光学特性を備えて設計され得る。さらに、端部壁をフィルタとして作成することによって、端部壁をフィルタでめっきすることによって、或いは、端部壁をフィルタに結合することによって、端部壁(5)の透明性をより選択的になし得ることで、選択的な波長の浸透を可能にし或いは選択的な波長の浸透を阻止する。例えば、もし紫外線源が赤外線範囲内の放射線或いは特定の望ましくない波長(例えば水分子のオゾン化を引き起こし得る紫外線波長)内の紫外線も放射するならば、端部壁はフィルタリング手段を備え得ることで、赤外線(又は望ましくない紫外線波長)が反応炉内に浸透することを回避する。
【0055】
本発明の範囲は石英管又は複数の石英管の如何なる具体的な形状にも限定されない。単純な円筒形状を有するよう或いは全反射特性を許容できないほどに悪化しない他の如何なる所望形状をも有するよう、これらを設計し得る。従って、円錐形状、楕円形状、立方体形状、又は、これらの組み合わせ形状を(その一部又はその全体に)有するよう、それを設計し得る。
【0056】
図2は、図1の反応炉を通じて照射される光の一般的な光路を例証している。矢印は、流体を照射すると同時に石英壁から反射される光線のジグザグ経路を示している。石英管の出口(8)を通じて出る光線は、出口を通じて送り出される液体の噴流内部の全反射に閉じ込められて、(流体が流体入口(7)を通じて反応炉に供給され、次に出口(8)を通じて送り出される場合に)流体を通じてそれらの経路を進み、それがその目的地に到達するまでその軌跡に従う。
【0057】
図3は、反応炉断面におけるエネルギー分布密度を近似曲線で例証している。光源から直接的に(即ち、初めに壁から反射されることなく)放射される光線も中央部を通じて来るので、石英管の中央における光線の密度は、石英管の付近よりも大きい。例証されている中央部での曲線の凸面は、石英管の長手軸付近のより高い密度に類似し、その両端部上で左側に向かう曲線の傾斜は、石英壁付近の光のより低い密度に類似している。
【0058】
図4は、反応炉断面における流体流れ分布を近似曲線で例証している。自然に、パイプラインの長手軸の周りの流体の流れ速度は、パイプライン壁付近よりも高い。従って、より大きな容量の流体がパイプの縁よりもその中央を通る。例証されている中央部での曲線の凸面は、石英管の長手軸付近を通るより大きな流体容量に類似し、その両端部上で左側に向かう曲線の傾斜は、石英壁付近を通るより少ない流体容量に類似している。
【0059】
図5は、図3及び図4の曲線の間の重ね合わせを近似曲線で例証している。曲線はほぼ直線であり、それは流体の単位容量当たり光エネルギーのほぼ均一な線量を示している。これは光エネルギーの分布と本発明に従った反応炉を通じた流体の分布との間に整合性があることを述べており、それは殺菌プロセス中に注ぎ込まれるエネルギー量の最適化に役立つ。
【0060】
図6は、本発明に従った石英反応炉を通じた光の光路の詳細を例証している。矢印(a1)、(a2)、(a3)、(a4)から成る線は、Θで印される臨界角と等しい入射角で石英パイプの内面(61)を打つよう反応炉に向かって整列された光線を示している。光線のセグメント(a4)は、石英壁(60)によって壁とほぼ平行に反応炉の外側に屈折される光エネルギーの損失を示している。本発明によれば、例えば、本発明に従った直列充填材によって充填される容器から排気される空気を照射するために、そのように損失された光を用い得る。しかしながら、石英管の外側に光エネルギーを損失する意図のない本発明の実施態様では、光源からの光が石英壁(60)の内面(61)を臨界角Θよりも大きい入射角Θ'で打つよう、光源からの光を反応炉内に整列することによって、エネルギー損失を最小限化し得る。矢印(b1)、(b2)、(b3)、(b4)、(b5)、(b6)、(b7)、(b8)から成る線は、臨界角Θよりも少しだけ大きな入射角で石英壁(60)の内面(61)を打つよう整列された光線を示している。見られるように、この光線は、それが打つ石英−空気境界から完全に反射され(b4)、流体内に戻り(b5)、次に、反対方向上の石英−空気境界に戻る(b6)等、反応炉に沿って流体を通ってジグザグする。この図に見られるように、組の矢印線(a2)及び(a3)、並びに、(b2)及び(b3)、(b5)及び(b6)、(b7)及び(b8)は、それぞれの各組、反応炉の内側から石英壁内への広がり角度、その反対、即ち、石英壁から反応炉の内側への広がり角度を形成している。これらの広がり角度は、流体の屈折率(流体が水の場合にはN1=1.33;流体が空気の場合にはN3=1.0003)に比較してより高い屈折率に起因し、それらは反応炉が空気処理のために用いられる場合により大きく、その結果、(即ち、容器の内部を流れる流体が空気である場合にTIRを達成するために)今度はより大きな臨界角を生む。
【0061】
図7は、第一流路内の液体及び第二流路内のガスの処理を目的とする基本的な二重反応炉の断面図を例証している。第一流路に関して、記載は上記の図1において与えられたものと類似する。第二流路に関して、空気入口(72)及び空気出口(73)が金属保護スリーブに作成され、空気はそれらを通じて流れることが許容され、意図的に或いは光エネルギーの損失として意図的でなく石英壁から屈折される光線によって照射される。
【0062】
図8は、異なる方向で動作する2つの光放射源を有する基本的な反応炉の断面図を例証している。この実施態様は、反応炉がスペーサの2つのユニット(4')(4”)から成る点で図1と異なる。2つのユニットは、図1の石英管に接続されたスペーサ(4)及びスペーサ(4a)と異なり、石英管の異なる反対端部にそれぞれ接続されている。図7のこの実施態様において、この図の右側のスペーサ(4”)は、左側のスペーサ(4')の流体入口(7')を通じて反応炉に進入する流体を出すために利用される。従って、この実施態様では、スペーサ(4”)の入口(7”)は実際には流体出口として用いられている。
【0063】
この実施態様によれば、反応炉を光源(6')及び(6”)によって両方向から照射し得る。これらの光源は同一のもの或いは異なるものであり得るし、設計上の配慮及び殺菌プロセスの種類に全て従って、相関的に或いは非相関的に、それらを同時に或いは別々に動作し得る。
【0064】
図9は、背面反射器を有する基本的な反応炉の断面図を例証している。この実施態様に従った反応炉は、スペーサ(94)が接続される一端で開放され且つ背面反射器(99)によって反対端で閉塞された石英管(91)から成る。流体は、スペーサ(94)の壁に作成された流体入口(97)を通じて石英管(91)に進入し、石英管に作成された開口(98)を通じて石英管を出て、石英管(91)の閉塞端に接続されたスペーサ(94a)の壁に作成された流体出口(97a)と流体連絡している。2つのスペーサ(94)及び(94a)の間に接続された金属保護スリーブ(93)が、それらの間に空隙(92)を備えて石英管を被覆している。ガスケット(94b)が石英管(91)とスペーサ(94)及び(94a)との間の接続を封止している。反応炉の透明端部(95)を通じて適切な角度に向けられた光は、それが(直接的或いはTIRされて)両方の経路内で背面反射器(99)に到達し且つ反応炉を通じて反射して戻るまで、直接的に或いは石英管間の全反射されて反応炉を通過する。
【0065】
図10は、本発明に従った他の反応炉の実施態様の断面図を例証しており、中圧紫外線ランプ及び球形の背面反応炉を有する。反応炉は、保護スリーブ(103)の内部に離間して位置する石英管(101)から成り、それらの間には空気の間隙(102)がある。保護スリーブ(103)及び石英管(101)はスペーサ(104)及び(104a)によって互いに離間している。その左手側で、石英管(101)は、その壁に流体入口(107)を有する光−流体混合気ユニット(104b)に開放されている。混合気ユニット(104b)はその端部に透明壁(105)を有し、球形の中圧紫外線ランプ(106)から放射される光は透明壁を通じて反応炉に進入し得る。ランプ(106)は、反射器(106a)を用いて反応炉内に結合され、反射器は、石英壁を反応炉の内部の全反射を達成するための臨界角よりも大きな入射角で打つことに関して、適切な角度で光を反射する。線(106b)はそのようにして反射される光線の典型的な経路を示している。その右手側で、石英管(101)は、透明窓(107b)を有する流体出口ユニット(107a)に開放され、光は透明窓を通じて背面反射器(109)方向に石英管を出射する。背面反射器は、出射する光を、石英管(101)内部で全反射を達成するための適切な角度で、今や矢印(109a)によって示されるような反対方向に、反応炉内に反射して戻すよう設計されている。
【0066】
図11は、円錐形の流れ集中装置を有する本発明に従った反応炉の実施態様の断面図を例証している。この実施態様は、本実施態様の石英管(111)が、図1の実施態様の出口(8)に比べてより小さな直径ので出口(118)を有するために、その形状を円錐形に変えている点で図1の実施態様と異なる。保護金属スリーブ(113)はその形状を円錐形(113a)にそれぞれ変え、スペーサ(114a)は減少直径をそれぞれ有する。反応炉の円錐部は、光エネルギー密度を反応炉の端部に向けて増大するためのエネルギー集中器として作用し、そこでは、特定量のエネルギーが既に液体によって吸収され得る。
【0067】
図12は、光監視検出器を有する本発明に従った反応炉の断面図を例証している。この実施態様は、空隙(122)内に位置し且つ保護スリーブ(123)の壁に取り付けられた光検出器(129a)及び(129b)をさらに有することによって図1の実施態様と異なる。検出器は、(光に対する透明性、よって、検出器(129a)(129b)に到達する光残留物を反映するそれらの濁度に従って)水質を監視するため、或いは、監視結果に従って強度を増大することによって或いは光源を活性化及び非活性化することによって光エネルギーを制御するために用いられる。
【0068】
反射炉壁と保護スリーブとの間に位置する追加的な光放射源を有する本発明に従った反応炉の断面図を例証している。これは本発明に従った殺菌プロセスのために多様な光源をどのように組み合わせ得るかの例であり、そこでは、透明端部壁(135)の反対に位置する如何なる他の光源(又は複数の光源)(136)に加えて、長手形状の紫外線管(136a)(136b)を位置付けるために、反応炉の長さが利用されている。
【0069】
図14は、屈曲部を有する本発明に従った反応炉の断面図を例証している。この実施態様は、屈曲した石英管(141)と、対応して屈曲した脆弱な石英に対する保護スリーブとしての金属スリーブ(143)とを有することによって図1の実施態様と異なる。石英管における屈曲は、管の全反射特性を維持するのに適切な(即ち、最小可能な入射角がTIRのための臨界角未満でないことを保証するために必要とされるよりも小さな)半径でなされる。
【0070】
図15は、殺菌及び洗浄装置として及び/又は殺菌充填材装置として作用するための保護スリーブ(153)並びにスペーサ(154a)から反応炉内に作成された直列液体処理部に突出する石英延長部(150)で終端する本発明に従った反応器の断面図を例証している。放射光の利用目的のために有用な光学特性を有するよう管の縁を準備し得る。例えば、縁を凸面又は凹面に形成し得るし、並びに、描写されている直線形態の代替として内向きに又は外向きに傾斜し得る。乾式殺菌のために光の一部がエッチング処理又は溝付け領域からターゲット面(例えば、反応器の右端部が低められたボトルの内壁)に直接的に放射されるよう、矢印(150a)によって示されるような光拡散のために、石英延長部(150)の表面をエッチング処理又は溝付けし得る(或いは代替的に石英を内部不純物を備えて生成し得る)。そのような乾式殺菌は、この実施態様の反応炉によって反応炉を通じて液体を流す前に遂行され、その後、直列殺菌された液体で充填されるべき容器の充填工程の期間中継続され得る。
【0071】
図15Aは、事前充填容器の容器開口を通じてロッドを挿入し、図15の実施態様の反応炉を照射するのと同様な方法でそれを紫外線殺菌光で照射することによって、例えば、事前充填容器又はボトルの乾式殺菌のために有用な、管が石英ロッド(159)で置換された反応炉の実施態様を例証している。均一な光拡散のために、ロッド(159)を溝付き又はエッチング処理し得る(或いは代替として石英を内部不純物を備えて生成し得る)し、描写されている直線形態の代替として、光の拡散又は集中のそれぞれのために、その右手側の縁(159a)を凸面又は凹面に形成し得る。もし望ましければ、ロッドを液体内部に浸漬し、反応炉、次いで、容器液体内容部を照射することによって、本実施態様を充填容器を殺菌するために用い得る。
【0072】
図15Bは、端部光学部材(158)で右端部が閉塞された管を備える反応炉の実施態様を例証しており、そこでは、流体入口(157)及び流体出口(157a)はスペーサ(154c)内に作成され、図15Aによって例証された実施態様と同様に乾式殺菌のために管を用い得る。均一な光拡散のために、管壁を溝付き又はエッチング処理し得る(或いは代替として石英を内部不純物を備えて生成し得る)し、描写されている直線形態の代替として、光の拡散又は集中のそれぞれのために、その右手側の縁を凸面又は凹面に形成し得る。
【0073】
図16は、二重長流路を形成する2つの石英管を含む石英マルチコアを有する本発明に従った反応炉の断面図を例証している。本実施態様に従った反応炉は、その右手側が背面壁(161a)で閉塞された第一石英管(161)から成る。背面壁(161a)から出射する光を外部反射器から反応炉内に反射して戻し得るよう、反応炉の右手側の外部背面反射器の位置付けを可能にするために、或いは、光放射を反応炉の左手側に位置する光源(166)によって起源する光の光放射の方向と反対方向に反応炉内に放射するための他の光源の位置付けを可能にするために、この壁は透明であり得る。本実施態様の他の変形によれば、背面壁(161a)はそれ自体で反射器(又は鏡)であり、光源(161)からそこに到着する光を反射して戻す。第二石英管(261)が石英管(161)の内部に位置し、石英管(261)の右手側も封鎖する背面壁(161a)をそれと共有している。第一石英管(261)及び第二石英管(261)の双方のそれぞれの左手側では、リング形状の壁(261a)が双方の管の間に形成された間隙の右手側を封鎖している。第二(内部)石英管(261)は、孔(261b)を通じて第一(外部)石英管(161)と流体連絡し、よって、流体入口(167)から、矢印(269a)(269b)(269c)の方向において、第一(外部)石英管(161)の石英壁に作成され且つスペーサ(164)に作成された流体出口(167a)と連絡する出口孔(161b)への流体流れを可能にしている。反応炉のこの実施態様は、図1によって例証される実施態様の流体流路長さと同様の寸法の反応炉を通じて、流体流路長さを複製することを可能にしている。同様の方法で、マルチコア反応炉を形成するために、共通の長手軸の周りで次々に内側に、減少するより小さな直径の追加的な内部石英管を設け得る。管の数に従って倍加された長さの1つの流路を形成するための、或いは、二重流路のために図17によって例証される実施態様に従って、複数の別個の流路を形成するための内壁及び流体連絡孔を備えるマルチコア反応炉を設計し得る。
【0074】
図17は、二重流路を形成する2つの石英管を含む石英マルチコアを有する本発明に従った反応炉の断面図を例証している。この実施態様に従った二重流路は、二重壁シリンダ(171)から成る石英を用いて提供され、そこでは、二重壁(171a)と(171b)との間に形成された中空空間(171c)は、二重壁シリンダ(171)の内部空間(171d)から隔離されている。従って、図1によって例証される実施態様の石英管(1)を通じる流路と類似して、第一流路は二重壁シリンダ(171)の内部空間(171d)を通じて提供されている。流体入口(177)を通じて反応炉に進入する流体は、それが流体出口(178)を通じて出るまで、二重壁シリンダ(171)の内部空間(171d)を通じて流れる。三重流路反応炉又はより大きな数の流路の反応炉が必要とされる場合には、複数の別個の内部空間のマルチ壁シリンダを形成するために、減少する直径の追加的な石英管が次々に内側に加えられるべきであり、そこでは、各内部空間は独自の流体入口及び流体出口を有する(内部壁の入口及び出口を外部壁を通じて外側に配管し得るし、或いは、シリンダの右側端部壁及び左側端部壁に作成しスペーサに直接的に配管し得る)。
【0075】
スペーサ(174)の壁に作成され且つ二重壁シリンダ(171)の外部石英壁の左側端部付近に作成された入口孔(171e)と連絡する第二流体入口(277)の間、並びに、右側スペーサ(174a)の壁に作成され且つ二重壁シリンダ(171)の外部石英壁の右側端部付近に作成された第二流体出口(277a)との間に第二流路を設け得る。2つの流路は別個であるが、シリンダから成るこの石英の内部壁も横断する二重壁シリンダ(171)の外部壁間の全反射の故に、それらは双方とも同一の光源(又は複数の光源)から照射される。
【0076】
図18は、本発明の1つの実施態様に従ったマルチ反応炉システムを例証している。この構造は、実質的に直角の接合部(181)(182)に互いに接続された反射炉セクション(180a)(180b)(180c)を含み、そこでは、接合部から突出された各反射炉セクションのそれぞれを照明するために、各接合部において、2つの光源(181a)(181b)及び(182a)(182b)が間に実質的に直角に整列されている。
【0077】
図19は、ロッド型紫外線源を結合するのに特に有用な、本発明の他の実施態様に従ったマルチ反応炉システム構造を例証している。この新規な構造ジオメトリによれば、細長形態を有するマイクロ波励起無電極紫外線プラズマ光管(190)が、それらの双方の間に角度(w)を備えて位置付けられた反応炉セグメント(191a)及び(191b)の2つの端部の間の接合部(193)の壁に作成された或いはその壁にある実質的に直線的な窓(192)と平行な軸を備えて位置付けられ、紫外線管長さの実質的に半分から放射される光が窓(192)に入射し、角度(w)は、パイプセグメントの1つの内部に収容された水を照射(190a)すると同時に、紫外線管長さの実質的に第二半分から放射される光が窓(192)に入射し、2つのパイプセグメントの第二の内部に収容される水を照射するよう、パイプセグメント内の全反射のための臨界角の二倍又はより広い幅であるのが好ましい。紫外線管(190)は背面(窓(192)と反対のその側面)に反射器(199)を具備し、それは、光管(190)の背面から放射される光、或いは、窓(192)から反射して戻され、2つの反応炉セグメント(191a)及び(191b)に戻される光を反射するよう設計されている。そのような2つの反応炉セグメントの構造を以下に「切頭A反応炉」とも呼ぶ。本実施態様の多様な好適実施態様によれば、切頭A反応炉構造は、拡張流路反応炉をもたらすために複数の切頭A反応炉をチェーンとして次々に接続し得るモジュラーシステムとして設計される。
【0078】
図20は、紫外線源(206)からの光を本発明に従った(201)のような反応炉に結合するために用いられる反射器200の線図を例証している。理解され得るように、反応炉壁を打つ光線(描写されている線ウェブで示されている)が、反応炉内部の光の全反射のための臨界角であることを目的とする所定角度より大きくない角度で打つよう、光源(206)によって周辺的に起源される光線は、反応炉(201)内に反射される。
【0079】
上述の実施態様又はそれらの組み合わせを利用することによって、本発明に従った方法は、複数の光エンジンを、反応炉の外部に、水素光学的ジオメトリのレーザ又はポンプに結合すると同時に、モジュラー形態の角度向きを維持することを可能にし、流入、直列排水、流れの殺菌及び酸化のための、或いは、空気、ガス、表面、又は、組み合わせの殺菌及び浄化のための広範な無数の反応炉の構造を可能にする。
【0080】
本発明に従った方法は、チーズ乾燥室、乳製品及びミルク生産現場、農作物生産工場、生物医学的及び医薬品産業、電子産業、グリーンハウス、家庭空調システム、人類住居、ショッピングセンター、モール、会議室、ホテルへの重要な空気又はガスの通路、並びに、都市集中部における空気又はガス流入の直列処理及び殺菌をもたらす。
【0081】
本発明の反応炉、特に、切頭モジュラーA形状は、自治体飲用水、電子産業用の超純水(UPW)水、製紙産業用の処理水、水産養殖及び漁場、鉱水、天然水、及び、ボトル水、5ガロン水ジャグ産業のための、冷却産業のための、HOD(家庭及びオフィス供給サービス)、水改質、排水又はそれらの任意の組み合わせ、ベービーフード用、食品洗浄及び医薬品パッケージング用、医薬品無菌生産用、家庭、産業、商業、及び、公衆水システムの生物学的安全用、脱塩工場用、冷却タワー又は組み合わせ用の水の直列処理及び殺菌のために用いられ得る。
【0082】
本発明の方法に従った殺菌工程を促進するために、流体の処理は、小さな濃度(例えば、0.001%、又は、例えば、0.01%、又は、例えば、0.1%、又は、例えば、0.3%、又は、特定の場合に従って既知の基準が許容するような如何なる他の濃度)の酸化剤、例えば、H2O2を流れ流体に加えるステップをさらに含み得る。それは、殺菌プロセス期間中に紫外線光エネルギーによって分離され、粗暴な性質の多様なバクテリア種を極めて効果的に破壊し得る遊離基を形成する。
【0083】
処理工程は、水内部の光エネルギーの均一な拡散のために有益な、液体内の複数の屈折指数プロファイルから成る内部光拡散を生成するために、処理される酸素又は空気を液体内に溶解するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に従った基本的な反応炉を示す断面図である。
【図2】図1の反応炉を通じて光放射される一般的な光路を示す概略図である。
【図3】反応炉断面におけるエネルギー分布密度を近似曲線で示す概略図である。
【図4】反応炉断面における流体流れを近似曲線で示す概略図である。
【図5】図3及び図4の極線間の重ね合わせを近似曲線で示す概略図である。
【図6】本発明に従った石英反応炉を通じた光路を示す詳細図である。
【図7】第一流路内の液体及び第二流路内のガスの処理を目的とする基本的な二重反応炉を示す断面図である。
【図8】反対方向に動作する2つの光放射源を有する基本的な反応炉を示す断面図である。
【図9】背面反射器を有する基本的な反応炉を示す断面図である。
【図10】球面中圧紫外線ランプ及び背面反応炉を有する本発明に従った反応炉の他の実施態様を示す断面図である。
【図11】円錐形流れ集中器を有する本発明に従った反応炉の実施態様を示す断面図である。
【図12】光監視検出器を有する本発明に従った反応炉を示す断面図である。
【図13】反応炉壁と保護スリーブとの間の空隙内に位置する追加的な光放射源を有する本発明に従った反応炉を示す断面図である。
【図14】屈曲部を有する本発明に従った反応炉を示す断面図である。
【図15】殺菌及び洗浄装置として及び/又は殺菌充填装置として作用する液体発射機で終端する本発明に従った反応炉を示す断面図である。
【図15A】乾式殺菌、例えば、事前充填容器のための石英ロッドで終端する本発明に従った反応炉の実施態様を示す断面図である。
【図15B】乾式殺菌、例えば、事前充填容器のための石英管で終端する本発明に従った反応炉の実施態様を示す断面図である。
【図16】二重長流路を形成する2つの石英管を含む石英マルチコアを有する本発明に従った反応炉を示す断面図である。
【図17】二重流路を形成する2つの石英管を含む石英マルチコアを有する本発明に従った反応炉を示す断面図である。
【図18】本発明の1つの実施態様に従ったマルチ反応炉システム構造を示す概略図である。
【図19】ロッド型紫外線光源を結合するために特に有用な、本発明の他の実施態様に従ったマルチ反応炉システム構造を示す概略図である。
【図20】本発明に従って紫外線源から反応炉に光を結合するために用いられる反射器の光線を示す線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明材料から成り且つ空気によって取り囲まれた管又は容器を含み、流体入口と、流体出口と、外部光源から前記管内に光を透過するよう構成された少なくとも1つの開口又は窓とを有する、光放射で流体を処理するための反応炉。
【請求項2】
前記管又は容器は石英から成る、請求項1に記載の反応炉。
【請求項3】
前記管又は容器は保護スリーブの内部に位置し、それらの間に間隙がある、請求項1に記載の反応炉。
【請求項4】
前記窓は、望ましくない波長の光が当該反応炉に入射するのを回避するための光学フィルタを備える、請求項1に記載の反応炉。
【請求項5】
前記管又は容器の外側で所定領域と光連絡し、且つ、当該反応炉を利用する殺菌システムのコントローラとデータ連絡する光検出器をさらに含む、請求項1に記載の反応炉。
【請求項6】
透明材料から成る少なくとも1つの追加的な管又は容器をさらに含み、前記透明な管は、減少する直径を有し、且つ、それらの間に間隙を備えて、同一の長手軸の周りで次々に内側に位置し、マルチコア反応炉を形成する、請求項1に記載の反応炉。
【請求項7】
透明材料から成る少なくとも1つの追加的な管をさらに含み、前記透明な管又は容器は、減少する直径を有し、且つ、それらの間に間隙を備えて、同一の長手軸の周りで次々に内側に位置し、マルチコア反応炉を形成する、請求項1に記載の反応炉。
【請求項8】
前記流体出口は充填ノズルとして流体充填装置内に形成された、請求項1に記載の反応炉。
【請求項9】
前記流体出口は水発射機として洗浄装置内に形成された、請求項1に記載の反応炉
【請求項10】
上記請求項のうちいずれか1項によって定められるような少なくとも1つの反応炉と、該反応炉内に整列された少なくとも1つの光源とを含む、流体殺菌装置。
【請求項11】
前記反応炉の内部の管の透明壁の所定領域と光連絡し、且つ、当該殺菌装置のコントローラとデータ連絡する光検出器を含む、請求項10に記載の流体殺菌装置。
【請求項12】
家庭水供給システムにおいて、家庭使用者によって作動されるよう構成された、前記反応炉の流体出口と液体連絡するファセットをさらに含む、請求項10に記載の流体殺菌システム。
【請求項13】
空調又は空気循環システムにおいて、少なくとも1つの空気ブロア又は空気ポンプと空気連絡した流体入口又は流体出口を備える、請求項10に記載の流体殺菌システム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの光放射源は、マイクロ波励起無電極紫外線プラズマランプ、紫外線レーザ、又は、水銀ランプから選択される、請求項10に記載の流体殺菌システム。
【請求項15】
壁が透明材料から成る反応炉の内部に流体を収容するステップと、前記壁の外側を前記壁の屈折率よりも低い屈折率で取り囲むステップと、光が前記流体を通じて透過されるよう、並びに、前記透明壁との境界を通じて流体を離れる光の大部分が反射して前記流体内に戻されるか、或いは、前記透明壁に沿って光り続けるような角度で、前記収容された流体を、前記流体内に整列された光放射で照射するステップとを含む、流体を照射するための方法。
【請求項16】
前記流体は、前記照射プロセス期間中に連続的な流れにある、請求項15に記載の流体を照射するための方法。
【請求項17】
前記透明材料は石英である、請求項15に記載の流体を照射するための方法。
【請求項18】
前記収容された流体は、前記光放射の特定波長に対して透明な水又は他の液体である、請求項15に記載の流体を照射するための方法。
【請求項19】
前記収容された流体は、前記光放射の特定波長に対して透明な水又は他の液体であり、当該方法は、流水の自由噴流を形成し、前記光放射を前記噴流内の全反射に封鎖するために、前記出口からの前記水を発射するステップをさらに含む、請求項15に記載の流体を照射するための方法。
【請求項20】
表面又は容器を前記自由噴流を洗浄するステップをさらに含む、請求項19に記載の流体を照射するための方法。
【請求項21】
ボトル又は容器を前記自由噴流で充填するステップをさらに含む、請求項19に記載の流体を照射するための方法。
【請求項22】
容器を前記自由噴流で充填するステップと、充填される前記液体によって前記容器から排除される空気を前記容器から同時に排気するステップと、前記空気を照射するために、それを本発明に従った第二反応炉内、或いは、前記液体が照射される同一反応炉内の第二流路内に吸引するステップとをさらに含む、請求項19に記載の流体を照射するための方法。
【請求項23】
殺菌プロセスを促進するために、液体酸化剤に空気又はガスを溶解するステップをさらに含む、請求項19に記載の流体を照射するための方法。
【請求項24】
前記容器の開口内に挿入される石英ロッドを用いて充填されるべき前記容器を乾式殺菌し、それを前記ロッドから放射される紫外線で照射する促進ステップをさらに含む、請求項21に記載の流体を照射するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図22】
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【公表番号】特表2007−502200(P2007−502200A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522492(P2006−522492)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000717
【国際公開番号】WO2005/011753
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(503154330)アトランティウム レイザーズ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】