説明

光散乱EUVLマスク

【課題】光散乱EUVLマスクおよびこれを形成する方法を提供すること
【解決手段】光散乱EUVLマスクおよびこれを形成する方法は、超低膨張基板(100)の上に結晶シリコン層(110)を堆積すること(300)、この結晶シリコン層の上にハードマスクを堆積すること(310)、ハードマスクをパターン形成すること(340)、結晶シリコン層をエッチングすること(350)、ハードマスクを除去すること(360)、および結晶シリコン層の上にMo/Si層を堆積すること(360)を含み、結晶シリコン層のエッチングされた領域は、エッチングされた領域に平坦でない表面を含む。本方法は、さらに、ハードマスクの上にフォトレジスト・マスクを堆積すること(320)、フォトレジスト・マスクでパターンを作ること(330)、およびこのパターンをハードマスクに転写すること(340)を含む。Mo/Si層(160)は、結晶シリコン層(110)の斜面と共形的な平坦でない表面を備え、Mo/Si層の斜面は、粗面、ぎざぎざの表面、斜面、または曲面として形作ることができ、この平坦でない表面は、露光光学系による集光を避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射極端紫外放射波を偏向させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、反射マスクに関し、より詳細には、光散乱・放射反射EUVLマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業全体にわたってウェハに像を形成する(image)ために使用される光リソグラフィ技術は、透明なマスクに依拠してマスクからウェハに像を転写する。ウェハの像が小さくなるので、ウェハのレジストに像を形成する新しい方法が必要とされている。次世代リソグラフィの1つの有望な候補では、像形成のために極端紫外(EUV)光が使用される。13.4nmのEUV波長では、材料は余りにも吸収が高すぎて透過マスクを作ることができないので、代わりに反射マスクが使用される。図1に示すマスクのような従来の極端紫外リソグラフィ(EUVL)・マスクは、超低膨張(ULE)基板10に反射膜を堆積することによって作られる。ULE基板の材料特性は、当技術分野でよく知られている。この膜は、多くの異なる材料で構成されることがある。EUVLマスク用途に最も一般的に採用される反射ブラッグ・ミラーは、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)の多数(40以上くらい)の交互二層で作られ、Mo/Si多層20としてひとまとめにして示されている保護Siキャップで終わっている。それからバッファ層30および吸収層40が、多層スタック20に堆積される。エッチング停止層または導電性検査/リペア層を設けるためなどの様々な目的のために、キャップ/バッファ/吸収体スタックの中のどこにでも追加の層を堆積することができる。マスク・パターンは、標準的なマスク・パターン形成プロセスを使用してレジスト層に描画される。ドライ・エッチングで、吸収層を通してパターンが転写される。吸収体のパターンが確実に設計データと一致するように、検査およびリペアが行われ、そして最終パターンがバッファ層を通して転写されて、反射多層表面を露出させる。
【0003】
EUVLマスクの製作および使用に固有の多くの材料的な問題がある。1つの基本的なマスク問題は、理想的な化学的な耐久性、付着性、ドライ・エッチング特性、およびオプティカル(optical)を兼ね備える吸収材料およびバッファ材料を選ぶことである。さらに、マスク処理中にキャップ層の反射表面の品質(したがって、反射率)を維持することは、困難である。
【0004】
一般に、従来の光マスクは、光がウェハに通過することができるようにする透過領域と、光を遮断する吸収領域とを含む。しかし、EUVLシステムで使用されるマスクは、一組の新しい問題を生じる。EUVLマスクは反射性であるので、パターンがウェハの表面に反射するような角度で、EUV放射がマスク表面に向いていなければならない。具体的には、露出した反射表面に入射する光が反射される。パターン形成された吸収膜に入射した光は、吸収され、反射されない。これは、像形成にとって本質的な構成要素である。この吸収の副産物は、放射によってマスクが加熱され、それで、パターン歪みを起さないようにかつマスク寿命を短くするかもしれない熱による損耗を制限するように、放射を制御しなればならないことである。実験で、5度が露光の最適角度であることが明らかになった。
【0005】
吸収スタックの高さは、有限であり、照明の角度のもとで影を生じ、この影は、像が形成されたとき、高い吸収体の縁をぼやかす。このコントラストの低下は、入射露光光の角度と、吸収層およびバッファ層の両方の厚さとの関数である。パターンの縁のコントラストの低下は、結果として、シフトした像または間違った大きさの像をウェハ上に生じることがあるので、重大な問題である。
【特許文献1】U.S. Patent No. 6,368,942
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
業界は、これらの特定された問題を克服しようと努めてきたが、まだ解決策は適切に確定されていない。したがって、従来のデバイスおよびプロセスの限界のために、標準技術に関連した問題を克服する新規なEUVLマスクが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、マスク・スタックのバッファ層と吸収層の両方を完全になくすることによって、上に特定された問題を克服する。本発明は、光散乱極端紫外リソグラフィ・マスクを提供し、このマスクでは、露光光がウェハに当たるように予定された領域でEUV放射を反射し、かつ露光光がウェハに達するように予定されていない領域で散乱させる特定のトポグラフィでパターン形成されたブランクの上に、シリコン・モリブデン多層が堆積されている。光をウェハに反射するように予定された領域のトポグラフィは、平らな領域として形作られている。しかし、EUV放射がウェハの表面に達するように予定されていない領域では、トポグラフィは、ステッパの像形成光学系(optics)の範囲外に放射を散乱させるように形作られており、したがって印刷しないであろう。
【0008】
具体的には、本発明は、紫外線反射領域および紫外線散乱領域を備える極端紫外リソグラフィ・マスクを提供し、反射領域および散乱領域は同じ材料で構成されている。反射領域は、モリブデンとシリコンの多層を備え、この多層は、半導体ウェハに像を形成するように入射紫外放射波を反射するように形作られた平らな表面を備える。散乱領域は、モリブデンとシリコンの多層を備え、この多層は、露光光学系による集光(collection)を妨げ/避けかつ半導体ウェハへの像形成を妨げるように入射紫外放射波を偏向させるように選ばれた角度で形作られた1つまたは複数の斜面を備え、この角度は、露光光学系の集光角よりも大きい。他の実施形態では、散乱領域は、露光光学系による集光を妨げ/避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させるように形作られた粗面、ぎざぎざの表面、または曲面を備える。
【0009】
さらに、本発明は、超低膨張基板と、この超低膨張基板の上の結晶シリコン層と、この結晶シリコン層の上のモリブデンとシリコンを含む放射反射・光散乱多層とを備える光散乱反射マスクを提供する。この多層は、下のシリコン層に整合して、水平部分および平坦でない部分を有している。水平部分は、入射紫外放射波を半導体ウェハに反射するように形作られている。一実施形態では、平坦でない部分は、光が半導体ウェハに達するのを妨げるように入射紫外放射波を偏向させる角度で配置された傾斜した外形を備えている。他の実施形態では、平坦でない部分は、露光光学系による集光を妨げ/避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させるように形作られた粗面を備える。さらに他の実施形態では、平坦でない部分は、露光光学系による集光を妨げ/避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させるように形作られたぎざぎざの表面を備える。代わりに、平坦でない部分は、露光光学系による集光を妨げ/避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させるように形作られた曲面を備える。
【0010】
本発明の他の態様は、超低膨張基板の上に結晶シリコン層を陽極接合し、それからこの結晶シリコン層の上にモリブデンとシリコンを含む共形の多層を堆積することによって、極端紫外リソグラフィ・マスクを形成する方法を提供する。この多層は、光をウェハに反射する水平部分と、ウェハに当たらないように光を散乱させる平坦でない部分とを備える。反射多層を堆積するステップより前に、本方法は、さらに、結晶シリコン層の上にハードマスクを堆積すること、ハードマスクの上にフォトレジスト・マスクを堆積すること、フォトレジストでパターンを作ること、および、このパターンをハードマスクに転写することを含む。本方法は、さらに、結晶シリコン層のエッチングされた領域に平坦でない表面を生成するように結晶シリコン層をエッチングすること、およびハードマスクを除去することを含む。その上、プラズマ・エッチングを使用して、パターンは、ハードマスクに転写され、ここで、結晶シリコンのエッチングは異方性エッチングを含み、この異方性エッチングは、水酸化カリウム(KOH)水、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、またはエチレンジアミン・パイロカテコール(EDP)のようなアルカリ溶液を使用して行われる。さらに、このエッチングは、結晶シリコン層の<100>格子面に沿って行われる。
【0011】
さらに、水平領域は、半導体ウェハに印刷するために入射紫外放射波を反射するように形作られ、第1の実施形態では、平坦でない領域は、下の結晶シリコン層に共形的な斜面を備え、この斜面は、半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射極端紫外放射波を偏向させる角度で形作られており、この角度は垂線から54度である。第2の実施形態では、本方法は、半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させる粗面を有するように平坦でない部分を形作ることを含む。第3の実施形態では、本方法は、半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させるぎざぎざの表面を有するように平坦でない部分を形作ることを含む。他の実施形態では、本方法は、半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させる曲面を有するように平坦でない部分を形作ることを含む。
【0012】
本発明では、マスク・スタック内のバッファ層または吸収層の必要をなくし、前に説明した従来のEUVLマスクに固有の問題を克服する。多層はマスク製作の最終ステップとして堆積されるので、標準EUVLマスク・プロセスではこの多層を劣化させ、その結果としてマスク反射率を低下させるプラズマ・エッチング、ウェット・エッチング、および多数の洗浄に、この多層は掛けられない。本発明では、反射率が高いほど、反射領域と散乱領域の間のマスク・コントラストが高くなり、必要な露光時間が減少し、さらに、マスクで吸収される放射の量が減少する。
【0013】
本発明マスクは、基板(接合された結晶Si層を含むことができる)および、吸収層またはバッファ層のない多層を備える。高い吸収スタックのないことで、ウェハ印刷中の影の効果がなくなる。このことは、暗いマスク領域から反射マスク領域への急峻な遷移をもたらし、またこの効果は、リソグラフィ・ウェハのエッジ・コントラストの改善となる。
【0014】
本発明のこれらおよび他の態様は、添付の説明および添付の図面に関連して考察されるとき、より適切に評価され、かつ理解されるであろう。しかし、理解すべきことであるが、以下の説明は、本発明の好ましい実施形態および多数の特定の細部を示すが、例示として与えられ、制限するものとして与えられていない。本発明の精神から逸脱することなく本発明の範囲内で多くの変化物および修正物を作ることができ、本発明はすべてのそのような修正物を含む。
【0015】
本発明は、図面を参照した以下の詳細な説明からより適切に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明およびその様々な特徴および有利点は、添付の図面に示され以下の説明で詳細に述べられる制限しない実施形態を参照して、より完全に説明する。留意すべきことであるが、図面に示された特徴は、必ずしも一定の比率で描かれていない。よく知られた部品および処理技術の説明は、本発明を不必要に曖昧にしないために、省略されている。本明細書で使用する例は、ただ単に、本発明を実施することができる方法の理解を容易にし、さらに当業者が本発明を実施することができるようにすることを目的としている。したがって、これらの例は、本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきでない。
【0017】
前に言及したように、標準的なマスクおよび関連した製造技術の問題を克服する、新規なEUVLマスクおよびEUVLマスクの製造方法が必要とされている。ここで図面を、特に図2から10を参照すると、本発明の好ましい実施形態が示されている。
【0018】
第1の実施形態で、本発明は、図2に示すように傾斜した側壁として形作られた斜面を部分的に有するEUVLマスクを提供する。これらの図に明示的に示されていないが、傾斜側壁は、おおむね曲線(凸状か凹状かのどちらか)の形状であるように形作ることができることを、当業者は容易に理解するであろう。図2に示すように、5度で入射するEUV放射が実線の矢印として描かれ、正常なEUV反射が破線の矢印として示されている。破線の矢印で示された、多層160の平らな表面で反射された放射は、ウェハに印刷される。傾斜側壁を有するパターン形成部分では、放射は、ウェハに印刷しない角度に偏向される。平面反射の出力は、図2に点線の矢印として描かれている。
【0019】
本発明は、結晶シリコン層110の付いたULE基板100を形作る。
【0020】
図3から7は、本発明に従ったEUVLマスクを製造する際に必要とされる連続した処理ステップを示す。好ましくは、本発明は、図3に示すようにシリコン・ウェハを石英に陽極接合することによって、結晶シリコン層110を石英基板100に取り付ける。陽極接合は、当業者にはよく知られているプロセスであり、U.S. Patent No. 6,368,942において記載された全体的なプロセスを参照することができる。
【0021】
本発明の次のステップは、図4に示すように、ハードマスク120およびレジスト130を結晶シリコン層110の上に堆積することを含む。それから、図5に示すように、所望のパターンがレジスト130に書き込まれ、そしてこのパターンは、プラズマ・エッチングによってハードマスク120に転写される。これによって、開いた領域(開口)140がハードマスク120に生じ、この開口140は、下にある結晶シリコン110の表面115までパターン形成される。
【0022】
次のステップは、図6に示すように、好ましくは、水酸化カリウム(KOH)水、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、またはエチレンジアミン・ピロカテコール(EDP)などのウェット・エッチング溶液で、結晶シリコン110を異方性ウェット・エッチングすることである。シリコン110は<100>格子面に沿ってエッチングされて(etch)、好ましくは、結晶シリコン110で画定された開いた領域140(その結果、開いた傾斜領域155となる)に結晶シリコン110のほぼ54度の側壁傾斜をもたらし、これによって、結果として傾斜側壁150が生じる。結晶シリコンの<111>結晶面は、アルカリ溶液でシリコンの他の結晶面よりも、少なくとも100分の1で(より遅く)遥かに遅くエッチングされる。したがって、<100>シリコンでは、<111>面は他の結晶面のように速くエッチングされないので、54度の角度を持った傾斜側壁150が結果として生じる。最終的には、フィーチャが十分に小さいか、またはシリコンが十分に厚い場合には、反応は自己終了する。入射EUVL光を吸収するか、または散乱させる必要のある大きな領域の開きスペースがある場合は、このパターンを繰り返すことができる。これによって、EUV光を焦点面の範囲外に反射するように互いに作用する多数の「ウェル(wells)」が生じる。
【0023】
ハードマスク120が剥離された後で、Mo/Si多層160が、結晶シリコン層100の上に堆積されて、結晶シリコン層110の開いた傾斜領域155の中に満たされる。図7に示すように、Mo/Si多層160は、下のエッチングされた結晶シリコン層110の外形をとり、結晶シリコン層110の下の傾斜領域155の上に形作られた傾斜側壁180を有する傾斜領域165を含む。したがって、Mo/Si多層160は、結晶シリコン層110の傾斜領域155を完全に満たす。その上、Mo/Si層160は、それらの平坦でない(uneven)表面(平坦でない領域)165の間に形作られた選択的な平らな(flat)(水平な(level))表面170をさらに備えている。
【0024】
その上、図7に示すように、傾斜側壁180は、露光光学系による集光を妨げかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるために、入射紫外放射波を偏向させることができる角度0で形作られる。ここで、角度0は、露光光学系の集光角よりも大きい。一実施形態では、この角度は、垂線から54度である0の角度に結晶シリコン層110をエッチングすることで作られる。反射多層は、下の結晶シリコン110に対して共形的であり、54度に一致している。図8は、本発明の他の実施形態を示し、Mo/Si多層160の平坦でない部分190は、Mo/Si多層160の表面170を粗くすることによって形成される。反応性イオン・エッチングまたはウェット・エッチングを含む技術を使用して、表面170を粗くすることができる。図8の破線の楕円の中に拡大図で示すように、平坦でない部分190は、ぎざぎざの表面として形作ることができる。このぎざぎざの表面は、<0.15nmRMS(実効)の表面粗さの目標仕様から相当にずれた粗さとして定義することができる。ほぼ10nmの粗さは、入射EUV放射の有効な反射を妨げるだろう。この粗さは、上で説明したシリコンの異方性ウェット・エッチングで作ることができる斜面の微小なものに類似しており、より小さな規模で同じ目的を果たす。
【0025】
図9および10で、本発明に従ったEUVLマスクを形成する好ましい方法を示す流れ図が説明されている。図9に提供されるように、一般に、EUVLマスクを形成する方法は、放射反射領域170をマスクの表面に形成すること200、および光散乱領域165、190をマスクの表面に形成すること210を含み、放射反射領域170および光散乱領域165、190は、同じ材料(Mo/Si)160で構成されている。
【0026】
より具体的には、図10に示すように、本発明の第1の実施形態に従ってEUVLマスクを形成する方法は、ULE基板100の上に結晶シリコン層110を堆積すること300、結晶シリコン層110の上にハードマスク120を堆積すること210、ハードマスク120の上にフォトレジスト・マスク130を堆積すること320、フォトレジスト・マスク130でパターンを作ること330、このパターンをハードマスク120に転写すること340、結晶シリコン層110をエッシングして結晶シリコン層110のエッチングされた領域165に傾斜側壁180を生成すること350、ハードマスク120を除去すること360、および結晶シリコン層110の上にMo/Si層160を堆積すること370を含む。さらに、Mo/Si層160は、半導体ウェハに印刷するために入射極端紫外放射波を反射するように形作られた平らな表面170を備える。その上、Mo/Si層160は、結晶シリコン層110の傾斜側壁150に対応した傾斜側壁180をさらに備える。さらに、Mo/Si層160の傾斜側壁180は、垂線から少なくとも54度の角度に形作られて、半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射極端紫外放射波を偏向させる。
【0027】
本発明は、マスク・スタック内のバッファ層または吸収層の必要性をなくし、前に説明した従来のEUVLマスクに固有の問題を克服する。多層はマスク製造の最終ステップとして堆積されるので、この多層を劣化させ、その結果としてマスク反射率を低下させるプラズマ・エッチング、ウェット・エッチング、および多数の洗浄に、この多層は掛けられない。このより高い反射率は、反射領域と散乱領域の間のマスク・コントラストを高め、必要な露光時間を減少させ、さらに、マスクで吸収される放射の量を減少させる。ステッパの処理能力は、ウェハ/時間のような所定の時間に印刷できるウェハの数である。上述のような露光時間の減少は、ステッパの処理能力を直接高める。
【0028】
さらに、本発明マスクは、基板100(接合された結晶Si層を含むことがある)と、吸収層またはバッファ層のない状態で形成された多層160とを備える。高い吸収スタックがないことで、ウェハ印刷中に影の効果がなくなる。このことは、暗いマスク領域から反射マスク領域への急峻な遷移をもたらし、そして、この効果は、リソグラフィ・ウェハでのエッジ・コントラストの改善である。本発明で達成される他の有利点は、EUVLマスクの加熱がより少なくなるように放射が反射されることであり、このことは、像制御および寿命にとって重要な問題である。
【0029】
一般に、本発明は、Mo/Si多層160が堆積される前に作られた吸収領域110を含む新規なマスクを含む。EUV光が印刷ウェハ表面に達するように意図されていない領域190のマスクの表面を粗くするか、またはEUV光が印刷ウェハ表面に達するように意図されていない領域165に傾斜側壁180の格子を形成するかして、パターン形成は達成される。表面190を粗くするか、または傾斜側壁180を作るかのどちらかのために、反応性イオン・エッチングまたはウェット・エッチング技術を含む技術を使用することができる。印刷ウェハ表面に反射されるべき水平なパターン170は、滑らかで平面の状態である。多層の堆積370の後で、平坦でないパターン領域165、190は、Mo/Si膜160の反射能力が局部的に破壊されているので、EUVLマスクの吸収体として作用する。しかし、上で説明したように、これらの領域165、190は、実際にはEUV放射を吸収しないで、どちらかと言えば、ウェハ上のレジストを現像しない角度でEUV放射を偏向させる。
【0030】
特定の実施形態についての前記の説明は、本発明の大体の性質を非常に完全に明らかにするので、他の人は、現在の知識を応用することによって、一般的な概念から逸脱することなくそのような特定の実施形態を様々な用途のために容易に修正し、または適合させ、あるいはその両方をすることができるので、そのような適合物および修正物は、開示された実施形態の同等物の意味および範囲の中に含まれるべきであり、また含まれる意図である。理解すべきことであるが、本明細書で使用された語句または用語は、説明の目的のためであり、制限する目的でない。したがって、本発明は好ましい実施形態の点から説明したが、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内で修正して実施することができることを当業者は認めるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来のEUVLマスクを示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の実施形態に従ったEUVLマスクを示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の実施形態に従ったEUVLマスクの製造における連続した処理ステップを示す模式的な断面図である。
【図4】本発明の実施形態に従ったEUVLマスクの製造における連続した処理ステップを示す模式的な断面図である。
【図5】本発明の実施形態に従ったEUVLマスクの製造における連続した処理ステップを示す模式的な断面図である。
【図6】本発明の実施形態に従ったEUVLマスクの製造における連続した処理ステップを示す模式的な断面図である。
【図7】本発明の実施形態に従ったEUVLマスクの製造における連続した処理ステップを示す模式的な断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に従ったEUVLマスクを示す模式的な断面図である。
【図9】本発明の好ましい方法を示す流れ図である。
【図10】本発明の好ましい方法を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0032】
100 石英基板
100 ULE基板
110 結晶シリコン層
120 ハードマスク
130 フォトレジスト・マスク
160 Mo/Si多層
165 光散乱領域(平坦でない表面)
170 放射反射領域(平らな(水平な)表面)
180 傾斜側壁
190 光散乱領域(平坦でない表面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線反射領域と、
紫外線散乱領域とを備える極端紫外リソグラフィ・マスクであって、
前記反射領域および前記散乱領域が、同じ材料で構成されている極端紫外リソグラフィ・マスク。
【請求項2】
前記反射領域が、モリブデンおよびシリコンを含む反射多層を備え、さらに前記多層が、半導体ウェハに印刷するために入射放射波を反射するように形作られた平らな表面を備える、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記散乱領域が、モリブデンおよびシリコンを含む多層を備え、さらに前記多層が、露光光学系による集光を妨げかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させる角度に形作られた斜面を備える、請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記角度が、前記露光光学系の集光角よりも大きい、請求項3に記載のマスク。
【請求項5】
前記散乱領域が、露光光学系による集光を妨げかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させるように形作られた粗面を備える、請求項1に記載のマスク。
【請求項6】
前記散乱領域が、露光光学系による集光を妨げかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させるように形作られたぎざぎざの表面を備える、請求項1に記載のマスク。
【請求項7】
前記散乱領域が、露光光学系による集光を妨げかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させるように形作られた曲面を備える、請求項1に記載のマスク。
【請求項8】
極端紫外リソグラフィ・マスクを形成する方法であって、
基板に隣接して結晶シリコン層を接合するステップと、
モリブデンとシリコンを含む多層を前記結晶シリコン層に隣接して形成するステップとを備え、
前記多層が、水平部分と平坦でない部分とを有する表面を含んでいる方法。
【請求項9】
前記結晶シリコン層が、前記基板に陽極接合される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
多層を形成する前記ステップより前に、前記方法が、
前記結晶シリコン層の上にハードマスクを堆積するステップと、
前記ハードマスクの上にフォトレジスト・マスクを堆積するステップと、
前記フォトレジスト・マスクでパターンを作るステップと、
前記パターンを前記ハードマスクに転写するステップとをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記結晶シリコン層のエッチングされた領域に平坦でない表面を生成するように前記結晶シリコン層をエッチングするステップと、
前記ハードマスクを除去するステップとをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プラズマ・エッチングを使用して、前記パターンが前記ハードマスクに転写される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
結晶シリコン層の前記エッチングが、異方性シリコン・ウェット・エッチングを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ウェット・エッチングが、アルカリ溶液を使用して行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記エッチングが、前記結晶シリコン層の<100>格子面に沿って行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
露光光学系による集光を避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させる粗面を有するように前記平坦でない部分を形作るステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
露光光学系による集光を避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させるぎざぎざの表面を有するように前記平坦でない部分を形作るステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
露光光学系による集光を避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射放射波を偏向させる曲面を有するように前記平坦でない部分を形作るステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
極端紫外リソグラフィ・マスクを形成する方法であって、
前記マスクの表面に反射領域を形成するステップと、
前記マスクの前記表面に散乱領域を形成するステップとを含み、
前記反射領域および前記散乱領域が同じ材料を備える方法。
【請求項20】
反射領域を形成する前記ステップにおいて、前記反射領域は、モリブデンとシリコンを備える多層で形成され、さらに、前記多層は、露光光学系による集光および半導体ウェハへの印刷のために入射放射を反射するように形作られた平らな表面を備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
散乱領域を形成する前記ステップで、前記散乱領域は、モリブデンとシリコンを備える多層で形成され、さらに、前記多層は、露光光学系による集光を避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射放射を偏向させる角度に形作られた斜面に整合している、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
露光光学系による集光を避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させる粗面を有するように前記散乱領域を形作るステップをさらに備える、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
露光光学系による集光を避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射紫外放射波を偏向させるぎざぎざの表面を有するように前記散乱領域を形作るステップをさらに備える、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
露光光学系による集光を避けかつ半導体ウェハへの印刷を妨げるように入射放射を偏向させる曲面を有するように前記散乱領域を形作るステップをさらに備える、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−500736(P2008−500736A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515303(P2007−515303)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/018380
【国際公開番号】WO2005/115743
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】