光検出装置、電気光学装置及び電子機器並びに光劣化補正方法
【課題】光劣化補正機能の実現に要するコストを低減しつつ検出精度の向上を図る。
【解決手段】光検出用トランジスタを有し、当該光検出用トランジスタに対する照射光量に応じた信号を出力する光センサ部と、光検出用トランジスタと隣接して配置されていると共に光検出用トランジスタと同一プロセスで形成された閾値検出用トランジスタを有し、当該閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出する閾値電圧検出部と、光センサ部の出力信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成するセンサ出力値生成部と、光劣化に起因するセンサ出力値の変化を補正するための補正係数と閾値電圧との対応関係に基づいて、閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する補正係数を決定する補正係数決定部と、補正係数決定部にて決定された補正係数に基づいてセンサ出力値を補正する補正処理部とを備える。
【解決手段】光検出用トランジスタを有し、当該光検出用トランジスタに対する照射光量に応じた信号を出力する光センサ部と、光検出用トランジスタと隣接して配置されていると共に光検出用トランジスタと同一プロセスで形成された閾値検出用トランジスタを有し、当該閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出する閾値電圧検出部と、光センサ部の出力信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成するセンサ出力値生成部と、光劣化に起因するセンサ出力値の変化を補正するための補正係数と閾値電圧との対応関係に基づいて、閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する補正係数を決定する補正係数決定部と、補正係数決定部にて決定された補正係数に基づいてセンサ出力値を補正する補正処理部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出装置、電気光学装置及び電子機器並びに光劣化補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光検出装置として、薄膜トランジスタの漏れ電流が照射光量に比例することを利用し、この漏れ電流(光リーク電流)で電圧検出用コンデンサに電荷を充電あるいは放電させ、当該コンデンサの両端間の電圧変化を監視することによって照射光量を検出するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、薄膜トランジスタの電気的特性は光曝露によって変化(光劣化)するため、上記特許文献1の光検出装置では、光劣化に起因する特性変化によって照射光量の検出精度が低下してしまう。この問題に対して、薄膜トランジスタの生成方法を改良して、対劣化特性を向上させる光電変換素子や(例えば特許文献2参照)、光センサの出力信号と基準信号とを比較するアナログ信号処理回路を用いて光劣化に起因する特性変化を補正する手法が開示されている(例えば特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−29832号公報
【特許文献2】特開平9−232620号公報
【特許文献3】特開2006−179478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献2に記載の光電変換素子においては、特別な製造条件を必要とするため、製造コストが増大するという問題がある。具体的には、薄膜トランジスタを用いた表示装置の内部に光センサを作り込んだり、同一装置で表示装置と光センサとを製造したりする場合に、表示装置の駆動トランジスタと製造プロセスを共通化できないため、製造プロセスの追加や、製造装置の煩雑な条件設定が必要になる。また、上記特許文献3の技術では、補正処理を行うために複雑なアナログ信号処理回路や基準信号を生成するための信号源を設ける必要があり、コストの増大を招く。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、光劣化補正機能の実現に要するコストを低減しつつ検出精度の向上を図ることが可能な光検出装置、電気光学装置及び電子機器並びに光劣化補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る光検出装置は、光検出用トランジスタを有し、当該光検出用トランジスタに対する照射光量に応じた信号を出力する光センサ部と、前記光検出用トランジスタと隣接して配置されていると共に前記光検出用トランジスタと同一プロセスで形成された閾値検出用トランジスタを有し、当該閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出する閾値電圧検出部と、前記光センサ部の出力信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成するセンサ出力値生成部と、予め前記光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対する前記センサ出力値の変化と前記閾値電圧の変化との関係性を基に作成された、前記光劣化に起因する前記センサ出力値の変化を補正するための補正係数と前記閾値電圧との対応関係に基づいて、前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を決定する補正係数決定部と、前記補正係数決定部にて決定された補正係数に基づいて、前記センサ出力値を補正する補正処理部とを備えることを特徴とする。
本願発明者は、光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対するセンサ出力値の変化と、光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対する閾値電圧の変化との関係から、閾値電圧は光検出用トランジスタの光劣化状態を指し示す指標であり、この閾値電圧を知ることができれば、これに応じた補正係数をセンサ出力値に掛け合わせることにより、光劣化の進行度に拘わらず、常に一定の(言い換えれば光劣化のない状態と同等の)センサ出力値が得られることを見出した。
光検出用トランジスタの閾値電圧を検出するためには、光検出用トランジスタと同一の電気的特性を有し、且つ光検出用トランジスタと同条件の光曝露となる(つまり光検出用トランジスタと隣接配置される)閾値検出用トランジスタを設け、その閾値電圧を検出すれば良い。そして、両方のトランジスタの特性を一致させるためには同一のプロセスで製造すれば良いため、特殊なプロセスは不要であり、また、トランジスタの閾値電圧を検出するための回路は比較的簡単な回路で実現できるため、補正処理を行うための複雑なアナログ回路や信号源等を設ける必要はない。
従って、本発明に係る光検出装置によれば、光劣化補正機能の実現に要するコストを低減しつつ検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0008】
また、上記の光検出装置において、前記補正係数決定部は、前記補正係数と前記閾値電圧との対応関係を表す演算式に基づいて、前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を算出するか、または、前記補正係数と前記閾値電圧との対応関係を表すルックアップテーブルを記憶しており、当該ルックアップテーブルから前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を取得することが好ましい。
補正係数と閾値電圧との対応関係はほぼ直線的な関数で表されるため、複雑な演算式とはならない。つまり、この演算式を用いた補正係数の算出処理に要する演算回路も小規模なものとなりコストの低減に寄与する。一方、補正係数と閾値電圧との対応関係をルックアップテーブルで保存しておく場合は、それなりのメモリ容量は必要となるが、補正係数の算出処理に要する演算回路が不要となるため、コスト低減の寄与度という観点では演算式を用いた場合と大差はない。従って、光検出装置の仕様に応じて、演算式を用いるかルックアップテーブルを用いるかは適宜選択すれば良い。
【0009】
また、上記の光検出装置は、Nチャネル型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、ソース端子が基準電位線と接続され、ゲート端子がゲート電圧線と接続された前記光検出用トランジスタと、一方の電極が前記光検出用トランジスタのドレイン端子と接続され、他方の電極が前記基準電位線と接続されたコンデンサと、前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を、第1の駆動電圧線と出力信号線とのいずれかに切り替えるためのスイッチと、を有する前記光センサ部と、Nチャネル型MOSトランジスタであり、ドレイン端子とゲート端子とが接続され、ソース端子が前記基準電位線と接続された前記閾値検出用トランジスタと、一端が前記閾値検出用トランジスタのドレイン端子と接続され、他端が第2の駆動電圧線と接続されていると共に、前記閾値検出用トランジスタのオン抵抗より高く且つオフ抵抗より低い抵抗値に設定された抵抗素子と、を有する前記閾値電圧検出部と、前記第1の駆動電圧線に前記コンデンサを充電させるための第1の駆動電圧を供給し、前記ゲート電圧線に前記光検出用トランジスタをオフ状態にするためのゲート電圧を供給し、前記第2の駆動電圧線に前記閾値検出用トランジスタの最大閾値電圧より高い第2の駆動電圧を供給し、前記基準電位線に基準電位を供給する電圧供給部と、を備え、前記センサ出力値生成部は、前記照射光量の検出開始時において、前記スイッチを制御して前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を前記第1の駆動電圧線に切り替え、前記コンデンサが満充電状態となる時間の経過後に前記スイッチを制御して前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を前記出力信号線に切り替え、当該出力信号線の電位が所定の電位に低下するまでの時定数を前記センサ出力値として計測し、前記補正係数決定部は、前記閾値検出用トランジスタのドレイン端子の電圧を前記閾値電圧として取得し、当該取得した閾値電圧に対応する前記補正係数を決定し、前記補正処理部は、前記補正係数決定部にて決定された前記補正係数に基づいて前記センサ出力値としての時定数を補正することが好ましい。
上記のような光センサ部の構成では、光検出用トランジスタの光リーク電流によってコンデンサに充電した電位が所定の電位に低下するまでの時定数を、光検出用トランジスタに対する照射光量に関するセンサ出力値として得ることができるようになる。また、閾値電圧検出部は、閾値検出用トランジスタと抵抗素子との2素子だけで構成されていると共に、光リーク電流を利用する必要のある光検出用トランジスタと比べて、閾値電圧を検出するだけの閾値検出用トランジスタのサイズは極めて小さくすることができるので、閾値電圧検出部を構成する回路の占有面積を極めて小規模にすることができる。その結果、光センサ部と閾値電圧検出部とで占有するトータルの回路面積は小さくなり、例えば光センサ部と閾値電圧検出部を半導体基板やTFT基板上に形成する場合には、省スペース化を図ることができる。
【0010】
また、上記の光検出装置において、前記電圧供給部は、少なくとも前記照射光量の検出開始時から前記時定数及び前記閾値電圧の計測完了までの期間では、前記ゲート電圧線に前記光検出用トランジスタをオフ状態にするためのゲート電圧を供給すると共に前記第2の駆動電圧線に前記閾値検出用トランジスタの最大閾値電圧より高い第2の駆動電圧を供給する一方、その他の期間では前記ゲート電圧及び前記第2の駆動電圧を変化させることが好ましい。
光検出装置の動作中において、光検出用トランジスタ及び閾値検出用トランジスタのゲート端子に常に一定のバイアス電圧を与え続けた場合、トランジスタは通電による特性シフトを引き起こし、光劣化とは関係のない誤差がセンサ出力値に生じる可能性がある。よって、上記のようにゲート電圧及び第2の駆動電圧を変化させながら光検出用トランジスタ及び閾値検出用トランジスタを駆動することにより、通電による特性シフトの発生を防止することができる。
【0011】
また、上記の光検出装置において、前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、アモルファスシリコンTFT(Thin Film Transistor)であることが好ましい。
光劣化による電気的な特性変化は特にアモルファスシリコントランジスタで顕著である。従って、本発明は、特に光検出用トランジスタ及び閾値検出用トランジスタがアモルファスシリコントランジスタである場合に大きな効果(検出精度の向上)を得ることができる。また、TFTとすることにより、従来のTFT製造プロセスを利用することができ、低コスト化に寄与する。
【0012】
また、本発明に係る電気光学装置は、表示領域にスイッチング用トランジスタを有する複数の画素、走査線及びデータ線が形成された基板と、当該基板と対となる対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された電気光学材料とを備える電気光学装置であって、上述した光検出装置を備え、少なくとも前記光検出装置における前記光センサ部及び前記閾値電圧検出部は、前記基板上の表示領域以外の領域に設けられており、前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、前記スイッチング用トランジスタと同一プロセスにより前記基板上に形成されていることを特徴とする。
このような特徴を有する電気光学装置によると、画素のスイッチング用トランジスタと、光検出用トランジスタ及び閾値検出用トランジスタとの製造プロセスを共有化することができるため、光検出装置を備える電気光学装置を低コストで実現することができる。
【0013】
また、上記の電気光学装置において、前記電気光学材料は液晶であり、バックライトと、前記光検出装置における前記補正処理部にて補正されたセンサ出力値を基に前記バックライトの光量を制御するバックライト制御部とを備えることが好ましい。
これにより、電気光学装置に入射する光量に応じて正確にバックライトの光量を制御することが可能となり、表示品質の向上を図ることができる。
【0014】
また、本発明に係る電子機器は、上述した電気光学装置を表示装置として備えることを特徴とする。
これにより、低コスト且つ表示品質が高い表示装置(電気光学装置)を備えた電子機器を提供することができる。
【0015】
さらに、上記の光検出装置において、前記閾値検出用トランジスタに対して光が当たらない遮光状態が形成されたか否かを判定する遮光判定部を備え、前記閾値電圧検出部は、前記遮光判定部が判定した前記閾値検出用トランジスタの遮光状態において、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することとしてもよい。
閾値検出用トランジスタは、光が当たった状態において光の照度に相関して閾値電圧が変化することがある。そのため、閾値電圧の検出中に照射光に曝されると、照射光の照度に応じて検出される閾値電圧がばらつき、その結果、光劣化を正しく算定できない虞がある。よって、閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態において、閾値検出用トランジスタを駆動することにより、光劣化を表す閾値電圧を検出することができる。
【0016】
このとき、上記の電子機器は、前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成する遮光手段を有し、上記電気光学装置を表示装置として備えることが好ましい。
これにより、低コスト且つ表示品質が高い表示装置(電気光学装置)を備えた電子機器を提供することができる。
【0017】
また、上記の電子機器において、前記遮光手段は、前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成するとともに前記光検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成することが好ましい。
これにより、閾値検出用トランジスタと光検出用トランジスタの光暴露量が同じになるため、閾値検出用トランジスタの閾値電圧によって、光検出用トランジスタの光劣化量を正しく検出することができる。
【0018】
ここで、上記の電子機器は、非使用時に前記表示装置を覆い、使用時に当該表示装置を露出させる筐体部を有する携帯電話であり、前記遮光手段は当該筐体部であることとしてもよい。
こうすれば、例えば、非使用時において2つの筐体部を重なるように折りたたむ方式の携帯電話において、表示装置が一方の筐体部で覆われることによって、容易に遮光状態を形成することができる。また、筐体部の折りたたみ動作を検出することによって遮光状態の形成を容易に判定することができる。
【0019】
あるいは、上記の光検出装置において、遮光手段を有し、前記閾値電圧検出部は、前記遮光手段を用いて前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成した状態で、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することこととしてもよい。
閾値検出用トランジスタは、光が当たった状態において光の照度に相関して閾値電圧が変化することがある。そのため、閾値電圧の検出中に照射光に曝されると、照射光の照度に応じて検出される閾値電圧がばらつき、その結果、光劣化を正しく算定できない虞がある。よって、光検出装置に設けた遮光手段によって閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態が形成された状態で、閾値検出用トランジスタを駆動することにより、光劣化を表す閾値電圧を検出することができる。この結果、電子機器において必ずしも遮光手段を備える必要がない。
【0020】
また、上記の光検出装置において、前記遮光手段は、前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成するとともに前記光検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成することが好ましい。
こうすれば、閾値検出用トランジスタと光検出用トランジスタの光暴露量が同じになるため、閾値検出用トランジスタの閾値電圧によって、光検出用トランジスタの光劣化量を正しく検出することができる。
【0021】
もとより、上記の電気光学装置あるいは上記の電子機器において、この光検出装置を備えることとしてもよい。これにより、表示品質が高い表示装置(電気光学装置)、あるいは、この表示装置を備えた電子機器を提供することができる。
【0022】
さらに、本発明に係る光劣化補正方法は、光検出用トランジスタを有する光センサ部を用いて前記光検出用トランジスタに対する照射光量に応じた信号を取得する第1の工程と、前記第1の工程により取得した信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成する第2の工程と、前記光検出用トランジスタと隣接して配置されていると共に前記光検出用トランジスタと同一プロセスで形成された閾値検出用トランジスタを有する閾値電圧検出部を用いて前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出する第3の工程と、予め前記光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対する前記センサ出力値の変化と前記閾値電圧の変化との関係性を基に作成された、前記光劣化に起因する前記センサ出力値の変化を補正するための補正係数と前記閾値電圧との対応関係に基づいて、前記第3の工程にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を決定する第4の工程と、前記第4の工程にて決定された補正係数に基づいて、前記第2の工程にて生成されたセンサ出力値を補正する第5の工程とを含むことを特徴とする。
このような特徴を有する光劣化補正方法によると、光劣化補正機能の実現に要するコストを低減しつつ検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0023】
また、上記の光劣化補正方法において、前記第3の工程は、前記閾値検出用トランジスタが光に曝されない遮光状態において、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することが好ましい。
閾値検出用トランジスタは、光が当たった状態において光の照度に相関して閾値電圧が変化することがある。そのため、閾値電圧の検出中に照射光に曝されると、照射光の照度に応じて検出される閾値電圧がばらつき、その結果、光劣化を正しく算定できない虞がある。よって、閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態において、閾値検出用トランジスタを駆動することにより、光劣化を表す閾値電圧を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る光検出装置、電気光学装置及び電子機器並びに光劣化補正方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔光検出装置〕
図1は、本実施形態に係る光検出装置100の構成概略図である。この図1に示すように、本実施形態に係る光検出装置100は、光センサ部10、閾値電圧検出部20、電圧供給部30及び信号処理部40を備えている。
【0025】
光センサ部10は、光検出用トランジスタ11、コンデンサ12及びスイッチ13を備えている。光検出用トランジスタ11は、例えばアモルファスシリコンTFT(Thin Film Transistor)であると共にNチャネル型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、ソース端子が基準電位線Lcomと接続され、ゲート端子がゲート電圧線Lg1と接続され、ドレイン端子がコンデンサ12の一方の電極と接続されている。
【0026】
コンデンサ12の一方の電極は光検出用トランジスタ11のドレイン端子と接続され、他方の電極は基準電位線Lcomと接続されている。スイッチ13は、信号処理部40(詳細には時定数計測部41)による制御の下、光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を、第1の駆動電圧線Laと出力信号線Loutとのいずれかに切り替える。
【0027】
閾値電圧検出部20は、閾値検出用トランジスタ21及び抵抗素子22を備えている。閾値検出用トランジスタ21は、光検出用トランジスタ11と隣接して配置されていると共に、光検出用トランジスタ11と同一プロセスで形成されたもの、つまりアモルファスシリコンTFTであると共にNチャネル型MOSトランジスタである。すなわち、この閾値検出用トランジスタ21は、光検出用トランジスタ11と同一の電気的特性(閾値電圧Vth等)を有している。また、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11は互いに隣接して配置されているため、それぞれに入射する照射光量も同じ(つまり光曝露状態も同じ)であり、光劣化に起因する電気的特性の変化も同一の傾向となる。閾値検出用トランジスタ21のソース端子は基準電位線Lcomと接続され、ドレイン端子はゲート端子及び抵抗素子22の一端と接続されている。
【0028】
抵抗素子22は、閾値検出用トランジスタ21のオン抵抗より高く且つオフ抵抗より低い抵抗値に設定されており、その一端は閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子と接続され、他端は第2の駆動電圧線Lg2と接続されている。
【0029】
電圧供給部30は、第1の駆動電圧線Laにコンデンサ12を充電させるための第1の駆動電圧Vaを供給し、ゲート電圧線Lg1に光検出用トランジスタ11をオフ状態にするためのゲート電圧Vg1を供給し、第2の駆動電圧線Lg2に閾値検出用トランジスタ21の最大閾値電圧Vthmより高い第2の駆動電圧Vg2を供給し、基準電位線Lcomに基準電位VSS(本実施形態ではグランドレベル)を供給する。なお、詳細は後述するが、閾値検出用トランジスタ21(光検出用トランジスタ11)の閾値電圧Vthは、光曝露による光劣化の進行に伴って増大し、ある電圧値でほぼ飽和するという特性がある。つまり、上記の最大閾値電圧Vthmとは、その飽和状態に達した閾値電圧を指している。このような第2の駆動電圧Vg2を閾値電圧検出部20に供給することにより、閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子電圧は、閾値検出用トランジスタ21の閾値電圧Vthと等しくなる。
【0030】
信号処理部40は、時定数計測部41、閾値電圧計測部42、補正係数決定部43及び補正処理部44を備えている。時定数計測部(センサ出力値生成部)41は、光センサ部10から出力信号線Loutを介して出力される信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成する。より具体的には、この時定数計測部41は、照射光量の検出開始時において、スイッチ13を制御して光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を第1の駆動電圧線Laに切り替え、コンデンサ12が満充電状態となる時間の経過後にスイッチ13を制御して光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を出力信号線Loutに切り替え、当該出力信号線Loutの電位が所定の電位に低下するまでの時定数τをセンサ出力値として計測する。なお、スイッチ13の制御は、スイッチ13と時定数計測部41とを接続する制御線Lcに制御信号を出力することにより行われている。
【0031】
閾値電圧計測部42は、その入力端が閾値電圧線Lvhを介して閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子と接続されており、閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子電圧を閾値電圧Vthとして計測し、その計測結果(つまり閾値電圧Vth)を補正係数決定部43に出力する。
【0032】
補正係数決定部43は、光検出用トランジスタ11の光劣化に起因するセンサ出力値(ここでは時定数τ)の変化を補正するための補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係に基づいて、閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vth(つまり閾値電圧検出部20にて検出された閾値電圧)に対応する補正係数Kを決定する。詳細は後述するが、この補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係は、予め実験的に求められた、光検出用トランジスタ11の光劣化の進行度に対するセンサ出力値の変化と閾値電圧Vthの変化との関係性を基に作成されたものであり、本実施形態では補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す演算式を使用する。つまり、補正係数決定部43は、上記の補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す演算式に基づいて、閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vthに対応する補正係数Kを算出する。
【0033】
補正処理部44は、補正係数決定部43にて算出(決定)された補正係数Kに基づいて、時定数計測部41にて計測された時定数τ(センサ出力値)を補正し、補正後の時定数τを照射光量検出結果として外部に出力する。
【0034】
なお、上記のような時定数計測部41、閾値電圧計測部42、補正係数決定部43及び補正処理部44を備える信号処理部40は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデジタル演算処理回路によって構成することができる。すなわち、時定数計測部41では、光センサ部10の出力信号(出力信号線Loutの電位)をデジタル変換し、このデジタル変換された出力信号線Loutの電位が所定の電位に低下するまでの時間を計測することで時定数τを求める。また、閾値電圧計測部42では、閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子の電圧をデジタル変換することにより閾値電圧Vthを計測する。また、補正係数決定部43及び補正処理部44では、時定数計測部41にて計測された時定数τ(デジタル値)と閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vth(デジタル値)とを基に、上述した補正係数Kの算出処理や時定数τの補正処理をデジタル演算処理によって実行する。
【0035】
続いて、上記のように構成された本実施形態に係る光検出装置100の動作(光劣化補正方法)について説明する。図2は、光検出装置100の動作を表すフローチャートである。なお、光検出装置100の電源投入時以降、電圧供給部30は、第1の駆動電圧線Laに第1の駆動電圧Va(例えば2V)を供給し、ゲート電圧線Lg1にゲート電圧Vg1(例えば−3V〜−5Vの範囲内の電圧値)を供給し、第2の駆動電圧線Lg2に第2の駆動電圧Vg2(例えば8V)を供給している。
【0036】
図2に示すように、まず、信号処理部40における時定数計測部41は、内部タイマを監視することにより、照射光量の検出開始タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS1)。このステップS1において、照射光量の検出開始タイミングが到来した場合(「YES」)、時定数計測部41は、スイッチ13を制御して光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を第1の駆動電圧線Laに切り替える(ステップS2)。これにより、光検出用トランジスタ11のドレイン端子には第1の駆動電圧Vaが印加されるが、光検出用トランジスタ11はオフ状態であるため、コンデンサ12が第1の駆動電圧Vaによって充電されることになる。なお、ここで光検出用トランジスタ11のドレイン−ソース間には光照射に起因する光リーク電流が流れるが、この光リーク電流がコンデンサ12の充電に与える影響は無視できる。
【0037】
続いて、時定数計測部41は、予め設定されているコンデンサ12が満充電状態となる時間の経過後に、スイッチ13を制御して光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を出力信号線Loutに切り替え(ステップS3)、この切り替えタイミングに同期して、出力信号線Loutの電位が所定の電位に低下するまでの時定数τをセンサ出力値として計測する(ステップS4)。なお、上記ステップS2〜S4は、本発明における第1及び第2の工程に相当する。
【0038】
図3は、光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を出力信号線Loutに切り替えた後における、出力信号線Loutの電位(つまりコンデンサ電圧)の時間的変化を示したものである。上述したように、光検出用トランジスタ11のドレイン−ソース間には光照射に起因する光リーク電流が発生するため、光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先が出力信号線Loutに切り替わると、コンデンサ12に蓄積された電荷が光リーク電流として光検出用トランジスタ11を介して基準電位線Lcomに流れ込む。これにより、図3に示すように、スイッチ13の切り替えタイミング以降、出力信号線Loutの電位(コンデンサ電圧)はVa(2V)から緩やかに低下していくことになる。時定数計測部41は、このような出力信号線Loutの電位の時間的変化を監視し、出力信号線Loutの電位が所定の電位(例えば0.7V)に低下した時の時間を時定数τとする。
【0039】
光リーク電流の大きさは、光検出用トランジスタ11に対する照射光量に応じて変化するため、時定数τも照射光量に応じて変化することになる。従って、時定数τから照射光量を知ることができる。しかしながら、光曝露によって光検出用トランジスタ11の光劣化が進行すると、光検出用トランジスタ11の電気的特性が変化し、上記の時定数τと照射光量との相関関係に誤差が生じてしまい、正確な照射光量を検出できなくなる。そこで、本実施形態では、以下で説明する補正原理に従って、時定数τ(照射光量に関するセンサ出力値)の補正処理を行う。
【0040】
<センサ出力値の補正原理>
図4は、照射光量として照度を用い、センサ出力値として光リーク電流を用いた場合において、照度とセンサ出力値との関係を、光検出用トランジスタ11の光劣化の進行度別に測定した結果を表す特性図である。なお、以下では、光劣化の進行度を光検出用トランジスタ11が曝される照射光量(照度)と時間との積(以下、積算照度と称す)で表すものとする。図4では、光劣化無しの状態に対応する積算照度を「0」とし、光劣化の進行度「中」に対応する積算照度を「3.5×106(lx・h)」とし、光劣化の進行度「大」に対応する積算照度を「1.0×107(lx・h)」としている。
【0041】
図4に示すように、光劣化の進行に伴い、同じ照度に対するセンサ出力値が変化することがわかる。例えば、光劣化無しの状態に対して光劣化の進行度「大」の場合、センサ出力値は40%程低下している。このように光劣化が進行すると、光検出用トランジスタ11の電気的特性が変化し、センサ出力値と照射光量との相関関係に誤差が生じてしまい、正確な照射光量を検出できなくなることがわかる。
【0042】
また、図5は、図4を基に、センサ出力値と積算照度との関係を照度別に表した特性図である。この図5に示すように、光劣化の進行(積算照度の増加)に伴うセンサ出力値の変化の割合は、検出する照度に関係なく、ほぼ同じ割合となることがわかる。
【0043】
また、図6は、積算照度と光検出用トランジスタ11の閾値電圧Vthとの関係を測定した結果を表す特性図である。この図6に示すように、光劣化無しの状態では閾値電圧Vthは3.0(V)程度であるが、光劣化の進行度「中」では4.5(V)程度に増加し、さらに、光劣化の進行度「大」では5.0(V)程度にまで増加することがわかる。なお、図6からわかるように、さらに光劣化が進行しても閾値電圧Vthは5.5(V)以下で飽和しており、閾値電圧検出部20に供給する第2の駆動電圧Vg2はこの閾値電圧Vthの飽和電圧を参考にして設定すれば良いことになる。
【0044】
これら図5及び図6の測定結果から、光照射される光検出用トランジスタ11の閾値電圧Vthがわかれば、この閾値電圧Vthに応じた補正係数をセンサ出力値に掛け合わせることにより、光劣化の進行度に関係なく常に一定(言い換えれば光劣化のない状態と同等の)センサ出力値を得ることができることは明らかである。
【0045】
図7は、図5及び図6の測定結果を基に作成した補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表した特性図である。この図7に示すように、補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係は、ほぼ直線的な反比例関係にあることがわかる。また、このような補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を演算式で表すと下記(1)式のようになる。
K = −0.378・Vth + 2.130 ・・・・(1)
この演算式(1)によれば、例えば光劣化の進行度「中」に対応する積算照度「3.5×106(lx・h)」における閾値電圧4.5(V)に対する補正係数Kは0.42と決定され、光劣化の進行度「大」に対応する積算照度「1.0×107(lx・h)」における閾値電圧5.0(V)に対する補正係数Kは0.25と決定される。
また、上記演算式(1)を用いる場合、センサ出力値は下記(2)式にて補正することができる。
補正後センサ出力値=補正前センサ出力値/補正係数K ・・・・(2)
【0046】
図8は、補正前のセンサ出力値と積算照度との関係及び補正後のセンサ出力値と積算照度との関係を照度別に表した特性図である。また、図9は、補正前のセンサ出力値と照度との関係及び補正後のセンサ出力値と照度との関係を光劣化の進行度別に表した特性図である。これら図8及び図9に示すように、演算式(1)で算出した補正係数Kを基にセンサ出力値を補正することにより、光劣化に起因するセンサ出力値の変化を抑えることができ、初期状態(光劣化無し状態)とほぼ同じセンサ出力値が得られることがわかる。
【0047】
以上が本実施形態におけるセンサ出力値の補正原理であり、以下、この補正原理を前提として図2に戻って説明を続ける。閾値電圧計測部42は、閾値電圧検出部20における閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子電圧を閾値電圧Vthとして計測する(ステップS5:本発明における第3の工程に相当)。上述したように、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11は、光劣化の進行に伴う電気的特性の変化傾向が同一であるため、閾値電圧計測部42にて計測される閾値電圧Vthは光検出用トランジスタ11の閾値電圧Vthとみなすことができる。
【0048】
そして、補正係数決定部43は、光検出用トランジスタ11の光劣化に起因するセンサ出力値(ここでは時定数τ)の変化を補正するための補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す上記演算式(1)から、閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vthに対応する補正係数Kを算出する(ステップS6:本発明における第4の工程に相当)。ここで、補正原理で説明したように、演算式(1)は、予め実験的に求められた、光検出用トランジスタ11の光劣化の進行度に対するセンサ出力値の変化と閾値電圧Vthの変化との関係性を基に作成されたものである。
【0049】
そして、補正処理部44は、補正係数決定部43にて算出された補正係数Kに基づいて、時定数計測部41にて計測された時定数τ(センサ出力値)を補正し(ステップS7:本発明における第5の工程に相当)、補正後の時定数τを照射光量検出結果として外部に出力する(ステップS8)。以降は、上記のようなステップS1〜S8が繰り返されることにより、照射光量の検出開始タイミングが到来する毎に時定数τの計測、閾値電圧Vthの計測、補正係数Kの算出、時定数τ(センサ出力値)の補正という一連の処理が行われて、照射光量検出結果が外部に出力されることになる。
【0050】
以上のように、本願発明者は、光検出用トランジスタ11の光劣化の進行度に対するセンサ出力値の変化と、光検出用トランジスタ11の光劣化の進行度に対する閾値電圧Vthの変化との関係から、閾値電圧Vthは光検出用トランジスタ11の光劣化状態を指し示す指標であり、この閾値電圧Vthを知ることができれば、これに応じた補正係数Kをセンサ出力値に掛け合わせることにより、光劣化の進行度に拘わらず、常に一定のセンサ出力値が得られることを見出した。光検出用トランジスタ11の閾値電圧Vthを検出するためには、光検出用トランジスタ11と同一の電気的特性を有し、且つ光検出用トランジスタと同条件の光曝露となる(つまり光検出用トランジスタ11と隣接配置される)閾値検出用トランジスタ21を設け、その閾値電圧Vthを検出すれば良い。そして、両方のトランジスタの特性を一致させるためには同一のプロセスで製造すれば良いため、特殊なプロセスは不要であり、また、閾値検出用トランジスタ21の閾値電圧Vthを検出するための回路は比較的簡単な回路で実現できるため、補正処理を行うための複雑なアナログ回路や信号源等を設ける必要はない。従って、本実施形態に係る光検出装置100によれば、光劣化補正機能の実現に要するコストを低減しつつ検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0051】
なお、上記実施形態では、光検出装置100の動作中において、光検出用トランジスタ11及び閾値検出用トランジスタ21のゲート端子には常に一定のバイアス電圧を与えていたが、このような駆動を行うとTFT素子は通電による特性シフトを引き起こし、光劣化とは関係のない誤差がセンサ出力値に生じる可能性がある。
【0052】
そこで、これを防止するために、光検出装置100の動作中において、少なくとも照射光量の検出開始時(ステップS2の開始時)から時定数τ及び閾値電圧Vthの計測完了(ステップS5の終了時)までの期間では、ゲート電圧線Lg1に光検出用トランジスタ11をオフ状態にするためのゲート電圧Vg1を供給すると共に第2の駆動電圧線Lg2に閾値検出用トランジスタ21の最大閾値電圧より高い第2の駆動電圧Vg2を供給する一方、その他の期間ではゲート電圧Vg1及び第2の駆動電圧Vg2を変化させるような機能を電圧供給部30に設けることが好ましい。
【0053】
図10は、例えばゲート電圧Vg1を変化させる場合の一例を示すものである。この図10では、ゲート電圧Vg1を、照射光量の検出開始時から時定数τ及び閾値電圧Vthの計測完了までの期間T1では、光検出用トランジスタ11がオフ状態となる−3(V)に設定し、その他の期間T2では光検出用トランジスタ11がオン状態となる+15(V)に設定している。また、第2の駆動電圧Vg2の場合、期間T1では、最大閾値電圧Vthmより高い電圧値に設定し、その他の期間T2では閾値検出用トランジスタ21がオフ状態となるような電圧値に設定すれば良い。
【0054】
このような機能を電圧供給部30に設けることにより、光検出用トランジスタ11及び閾値検出用トランジスタ21の特性シフトを抑制することができ、より精度良く照射光量を検出することが可能となる。なお、電圧供給部30は、ゲート電圧Vg1及び第2の駆動電圧Vg2を変化させるタイミングを知る必要があるが、これは信号処理部40から電圧変化タイミングを通知する信号を電圧供給部30に出力させることで解決することができる。
【0055】
また、上記実施形態では、補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す演算式(1)を基に、閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vthに対応する補正係数Kを算出したが、これに限らず、補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表すルックアップテーブルを補正係数決定部43の内部メモリに格納しておき、このルックアップテーブルから閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vthに対応する補正係数Kを取得するような構成としても良い。
【0056】
また、上記演算式(1)はあくまで補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す一例であり、プロセス条件によって光検出用トランジスタ11及び閾値検出用トランジスタ21の電気的特性は変化するものであるので、プロセス条件に応じて補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す演算式またはルックアップテーブルを適宜変更しても良いことは勿論である。
【0057】
さらに、上記実施形態では、照射光量に関するセンサ出力値として光リーク電流と相関関係にある時定数τを用いたが、この時定数τを照度に換算してから補正係数Kによって補正し、その補正後の照度を照射光量検出結果として出力するような構成としても良い。また、補正後の時定数を照度に換算してから照射光量検出結果として出力するような構成としても良い。
【0058】
〔電気光学装置〕
次に、本実施形態に係る光検出装置100を備えた電気光学装置について説明する。なお、以下では、本実施形態に係る電気光学装置として半透過型の液晶表示装置を例示して説明する。図11は、本実施形態に係る液晶表示装置1000の平面図であり、対向基板であるカラーフィルタ基板を透視してアレイ基板を主に図示したものである。図12は、図11のアレイ基板の1画素分の平面図である。図13は図12のIII−III線における断面図である。
【0059】
図11及び図13に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置1000は、互いに対向配置される矩形状の透明絶縁材料、例えばガラス板からなる透明基板1002上に種々の配線等を施してなるアレイ基板ARと、同様に矩形状の透明絶縁材料からなる透明基板1010上に種々の配線等を施してなるカラーフィルタ基板CFとを有している。アレイ基板ARは、カラーフィルタ基板CFと対向配置させたときに所定スペースの張出し部1002Aが形成されるようにカラーフィルタ基板CFよりサイズが大きいものが使用されている。これらアレイ基板AR及びカラーフィルタ基板CFの外周囲にシール材(図示省略)が貼付されて、内部に液晶(電気光学材料)1014及びスペーサ(図示省略)が封入された構成となっている。
【0060】
アレイ基板ARは、それぞれ対向する短辺1002a、1002b及び長辺1002c、1002dを有し、一方の短辺1002b側が張出し部1002Aとなっており、この張出し部1002Aにソースドライバ及びゲートドライバ用の半導体チップDrが搭載され、他方の短辺1002a側に光センサ部10が配設されている。また、アレイ基板ARの背面には照光手段としてのバックライト(図示省略)が設けられている。
【0061】
このアレイ基板ARは、カラーフィルタ基板CFと対向する面、すなわち液晶と接触する面に、図11の横方向(X軸方向)に延在し所定の間隔をあけて配列された複数本のゲート線(走査線)GWと、これらのゲート線GWと絶縁され縦方向(Y軸方向)に延在し所定の間隔をあけて配列された複数本のソース線(データ線)SWとを有している。これらのソース線SWとゲート線GWとがマトリクス状に配線され、互いに交差するゲート線GWとソース線SWとで囲まれる各領域に、ゲート線GWからの走査信号によってオン状態となるスイッチング用トランジスタ(例えばアモルファスシリコン薄膜トランジスタ)としてのTFT(図12参照)及びソース線SWからの映像信号がTFTを介して供給される画素電極1026(図13参照)が形成されている。
【0062】
これらのゲート線GWとソース線SWとで囲まれる各領域は、いわゆる画素を構成し、これらの画素を複数備えたエリアが表示領域DAとなっている。各ゲート線GW及び各ソース線SWは、表示領域DAの外、すなわち額縁領域へ延出されて、LSI等の半導体チップDrに機能構成されるソースドライバおよびゲートドライバにそれぞれ接続されている。
【0063】
アレイ基板AR上の表示領域DA以外の領域である一方の短辺1002a側の領域には、光検出装置100の光センサ部10及び閾値電圧検出部20が形成されている。なお、図11では、図示の便宜上、光センサ部10及び閾値電圧検出部20の占有面積が同一となるように記載されているが、実際には、光センサ部10では光リーク電流を利用して照射光量を検出する都合上、極めてサイズの大きな光検出用トランジスタ11を形成する必要があるため占有面積が大きくなるが、一方の閾値電圧検出部20では閾値電圧Vthを検出するのみであるので、閾値検出用トランジスタ21のサイズは表示領域DA内のスイッチング用トランジスタTFTと同サイズで形成することができるため、占有面積を極めて小規模にすることができる。
【0064】
また、アレイ基板AR上の表示領域DA以外の領域である一方の長辺1002d側の領域には、図1に示したゲート電圧線Lg1、第1の駆動電圧線La、第2の駆動電圧線Lg2、基準電位線Lcom、出力信号線Lout、閾値電圧線Lvh及び制御線Lcから成る引き回し線群Lが形成されている。引き回し線群Lは、一方の短辺1002b側においてFPCケーブル200を介して外部回路として設けられた電圧供給部30及び信号処理部40と接続されている。
【0065】
このように、アレイ基板AR上に形成された光センサ部10及び閾値電圧検出部20と、外部回路として設けられた電圧供給部30及び信号処理部40とによって光検出装置100が構成されている。なお、光センサ部10及び閾値電圧検出部20における光検出用トランジスタ11及び閾値検出用トランジスタ21は、表示領域DA内のスイッチング用トランジスタTFTと同一プロセスによって形成されたものである。
【0066】
また、信号処理部40の出力信号(つまり照射光量検出結果)は、外部回路として設けられたバックライト制御部300に入力されており、このバックライト制御部300は、信号処理部40による照射光量検出結果(つまり補正されたセンサ出力値)に基づいて、液晶表示装置1000に入射する外光の光量を把握し、この外光の光量に応じて不図示のバックライトの光量を制御する。
【0067】
なお、透明基板1002上の半導体チップDrは、ソースドライバ及びゲートドライバとしての機能に加え、電圧供給部30及び信号処理部40、バックライト制御部300の機能を統合的に備えたIC(Integrated Circuit)チップに代えてもよい。
【0068】
次に各画素の具体的構成について主に図12及び図13を参照して説明する。
アレイ基板ARの透明基板1002上の表示領域DAには、ゲート線GWが等間隔に平行になるように形成され、更にこのゲート線GWからスイッチング素子を構成するTFTのゲート電極Gが延設されている。また、この隣り合うゲート線GW間の略中央にはゲート線GWと平行になるように補助容量線1016が形成され、この補助容量線1016には補助容量線1016よりも幅広となされた補助容量電極1017が形成されている。
【0069】
また、透明基板1002の全面に、ゲート線GW、補助容量線1016、補助容量電極1017及びゲート電極Gを覆うようにして窒化ケイ素や酸化ケイ素などの透明絶縁材料からなるゲート絶縁膜1018が積層されている。そして、ゲート電極Gの上にゲート絶縁膜1018を介してアモルファスシリコン等からなる半導体層1019が形成されている。また、ゲート絶縁膜1018上に複数のソース線SWがゲート線GWと交差するようにして形成され、このソース線SWから半導体層1019と接触するようにTFTのソース電極Sが延設され、更に、ソース線SW及びソース電極Sと同一の材料からなるドレイン電極Dが同じく半導体層1019と接触するようにゲート絶縁膜1018上に設けられている。
【0070】
ここで、ゲート線GWとソース線SWとに囲まれた領域が1画素に相当する。そしてゲート電極G、ゲート絶縁膜1018、半導体層1019、ソース電極S、ドレイン電極Dによってスイッチング素子となるTFTが構成される。このTFTはそれぞれの画素に形成される。この場合、ドレイン電極Dと補助容量電極1017によって各画素の補助容量を形成することになる。
【0071】
これらのソース線SW、TFT、ゲート絶縁膜1018を覆うようにして透明基板1002の全面にわたり例えば無機絶縁材料からなる保護絶縁膜(パッシベーション膜ともいわれる)1020が積層され、この保護絶縁膜1020上に例えばネガ型の感光材料を含むアクリル樹脂等からなる層間膜(平坦化膜ともいわれる)1021が透明基板1002の全体にわたり積層されている。この層間膜1021の表面は、反射部1022においては微細な凹凸(図示は省略)が形成されており、透過部1023においては平らになされている。
【0072】
そして、反射部1022の層間膜1021の表面にはスパッタリング法によって例えばアルミニウムないしアルミニウム合金製の反射板1024が形成されており、保護絶縁膜1020、層間膜1021及び反射板1024にはTFTのドレイン電極Dに対応する位置にコンタクトホール1025が形成されている。
【0073】
更に、それぞれの画素において、反射板1024の表面、コンタクトホール1025内及び透過部1023の層間膜1021の表面には、例えばITO(Indium Tin Oxide)ないしIZO(Indium Zinc Oxide)からなる画素電極1026が形成され、この画素電極1026の更に上層に総ての画素を覆うように配向膜(図示省略)が積層されている。
【0074】
また、カラーフィルタ基板CFは、ガラス基板等からなる透明基板1010の表面に、アレイ基板ARのゲート線GW及びソース線SWに対向するように遮光層(図示は省略)が形成され、この遮光層に囲まれたそれぞれの画素に対応して例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)からなるカラーフィルタ層1027が設けられている。更に、反射部1022に対応する位置のカラーフィルタ層1027の表面にはトップコート層1028が形成されており、このトップコート層1028の表面及び透過部1023に対応する位置のカラーフィルタ層1027の表面には共通電極1029及び配向膜(図示は省略)が積層されている。なお、カラーフィルタ層1027としては、更にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)等のカラーフィルタ層を適宜に組み合わせて使用する場合もあり、モノクロ表示用の場合にはカラーフィルタ層を設けない場合もある。
【0075】
そして、上述した構成を備えるアレイ基板AR及びカラーフィルタ基板CFがシール材(図示は省略)を介して貼り合わされ、最後にこの両基板とシール材とによって囲まれた領域に液晶1014が封入されることにより、半透過型の液晶表示装置1000を得ることができる。なお、透明基板1002の下方には、図示は省略の周知の光源、導光板、拡散シート等を有するバックライトないしはサイドライトが配置される。
この場合、反射板1024を画素電極1026の下部全体に亘って設けると反射型液晶表示パネルが得られるが、この反射型液晶表示パネルを使用した反射型液晶表示装置の場合は、バックライトないしはサイドライトに代えて、フロントライトが使用される。
【0076】
以上のような本実施形態に係る光検出装置100を備える液晶表示装置1000によると、液晶表示装置1000に入射する光量に応じて正確にバックライトの光量を制御することが可能となり、表示品質の向上を図ることが可能となる。具体的には、日中の自然光のように環境光が明るい場合には、バックライトの光量が大きくなるように制御し、一方、夜間での使用などのように暗い環境下で使用する場合には、バックライトの光量が低くなるように制御する。これにより、使用環境下に応じた適切な発光量でもって画像表示を行うことができる。
【0077】
なお、上記実施形態では、光検出装置100を備える電気光学装置として液晶表示装置1000を例示して説明したが、本発明はこれに限定されず、有機ELを電気光学材料として用いる有機ELディスプレイ、極性が相違する領域ごとに異なる色に塗り分けられたツイストボールを電気光学材料として用いるツイストボールディスプレイ、黒色トナーを電気光学材料として用いるトナーディスプレイ、ヘリウムやネオンなどの高圧ガスを電気光学材料として用いるプラズマディスプレイなどに適用することができる。
【0078】
〔電子機器〕
次に、本実施形態に係る電気光学装置(液晶表示装置1000)を備えた電子機器について説明する。なお、本実施形態では電子機器として携帯電話端末を例示して説明する。図14は、本実施形態に係る携帯電話端末500の外観図である。この図14に示すように、本実施形態に係る携帯電話端末500は、折り畳み可能に連結された第1筐体501と第2筐体502とから構成されており、第1筐体501には表示装置として上記の液晶表示装置1000及び音声出力用のスピーカ503が設けられており、第2筐体502にはテンキーやファンクションキー、電源キー等の各種キーから成る操作キー504と、音声入力用のマイク505が設けられている。
【0079】
このように表示装置として液晶表示装置1000を備える携帯電話端末500によると、日中の自然光のように環境光が明るい場合には、バックライトの発光量が大きくなるように制御され、一方、夜間での使用などのように暗い環境下で使用する場合には、バックライトの発光量が低くなるように制御されるため、使用環境下に応じた適切な発光量でもって画像表示を行うことができる。
【0080】
以上、本発明について一実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【0081】
上記実施形態では、閾値検出用トランジスタ21(光検出用トランジスタ11)が曝された照射光量(照度)と時間との積である積算照度に対する閾値電圧Vthは、図6に示した特性になることを説明した。ところで、半導体層1019がアモルファスシリコン等からなるトランジスタは、曝される光(外光)の照度に依存して閾値電圧が変動する場合がある。従って、上記実施形態における閾値電圧Vthの計測(図2のステップS5)処理において、閾値検出用トランジスタ21は、積算照度による光劣化に応じて測定されるべき閾値電圧、つまり図6に示した特性図で規定される閾値電圧が、計測時において曝される照射光の照度に応じて異なってしまうことがある。
【0082】
例えば、図6に示した積算照度と閾値電圧の関係を示す特性が、閾値検出用トランジスタ21が光に曝されない遮光状態で得られるとすると、光に曝されている照射状態の場合、照明光の照度に応じて測定される閾値電圧が異なることになる。従って、図15に示した特性図のように、それぞれの積算照度において計測される閾値電圧が、光の照射状態においては、遮光状態よりも低くなる。あるいは、図6に示した積算照度と閾値電圧の関係を示す特性が、閾値検出用トランジスタ21に所定の照度の光に曝された照射状態で得られるとすると、それぞれの積算照度において計測される閾値電圧が、曝される光の照度に応じて高くなったり低くなったりしてしまう。その結果、閾値電圧によって補正係数Kを光劣化に応じて正しく算出することが出来ないことになる。
【0083】
そこで、変形例として、閾値電圧Vthの計測処理において、閾値検出用トランジスタ21が遮光状態において、閾値検出用トランジスタ21の閾値電圧を検出するようにする。こうすれば、閾値検出用トランジスタ21に光が当たらない遮光状態において、閾値検出用トランジスタ21を駆動することにより、光劣化を表す閾値電圧を正しく検出することが可能となる。
【0084】
(第1変形例)
閾値検出用トランジスタ21に光が当たらない遮光状態を形成する変形例として、閾値検出用トランジスタ21を遮光状態にする遮光手段を、光検出装置に具備するようにしてもよい。こうすれば、閾値検出用トランジスタ21に光が当たらない遮光状態において、閾値検出用トランジスタ21を駆動して、光劣化を表す閾値電圧を正しく検出することが可能となる。
【0085】
本変形例を図16、図17および図18を用いて説明する。図16は、本変形例に係る光検出装置100aの構成概略図であり、図17は、遮光手段の具体例を示す模式図である。また、図18は、本変形例に係る光検出装置100aの動作を表すフローチャートである。
【0086】
図16に示すように、光検出装置100aは、上記実施形態における光検出装置100に対して、遮光手段50と、信号処理部40において遮光手段駆動部47とを備えたものである。その他の構成については、総て光検出装置100と同様であり、同符号を付している。従って、ここでは遮光手段50と遮光手段駆動部47について説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0087】
遮光手段50は、本変形例では光センサ部10および閾値電圧検出部20を遮光するように構成されている。遮光手段50の一例を図17に示した。図17(a)は、遮光手段50として液晶パネル50aを用いた構成例である。液晶パネル50aは、光センサ部10および閾値電圧検出部20を覆うように配置され、液晶に所定の駆動電圧を印加する駆動信号を出力することによって液晶を光変調し、閾値電圧の計測時には光センサ部10および閾値電圧検出部20に対して光が当たらない遮光状態を形成し、入射光量の検出時には、光センサ部10および閾値電圧検出部20に対して光が当たる透光状態を形成する。従って、遮光手段駆動部47は、形成すべき状態に応じた駆動信号を液晶パネル50aに対して出力する。
【0088】
また、図17(b)は、遮光手段50として、遮蔽板51と、この遮蔽板51を移動させるアクチュエータ(例えば、ボールネジとモータなど)52と、を用いた構成例である。遮蔽板51は、アクチュエータ52の移動部材によって図面上下方向に移動する。そして閾値電圧の計測時には、遮蔽板51は光センサ部10および閾値電圧検出部20を覆うように図面下方向に移動して遮光状態を形成し、入射光量の検出時には、遮蔽板51は二点鎖線で示した元の位置に移動して透光状態を形成する。従って、遮光手段駆動部47は、形成すべき状態に応じた駆動信号をアクチュエータ52に対して出力する。
【0089】
このように、遮光手段駆動部47は、光検出装置100aにおいて形成される遮光手段50の構成に応じて、それぞれ必要な駆動信号を出力する電気回路である。なお、遮光手段駆動部47は、閾値電圧計測部42から出力される信号によって、これらの駆動信号を出力する。
【0090】
次に、本変形例の光検出装置100aにおける照射光量の検出処理について、図18を用いて説明する。照射光量の検出処理は、図2のフローチャートに示した上記実施形態における光検出装置100の動作における処理において、「閾値電圧Vthの計測処理(ステップS5)」の前後において、閾値検出用トランジスタ21の遮光処理(ステップS5a)と遮光解除処理(ステップS5b)を追加したものである。なお、照射光量検出処理において、ステップS5a、ステップS5b以外の処理ステップについては、総て光検出装置100の動作と同様であり、同じステップ符号を付している。従って、ここではステップS5aおよびステップS5bの処理について説明し、その他の処理については説明を省略する。
【0091】
本変形例における閾値電圧計測処理では、ステップS4に引き続いて、遮光手段を駆動して閾値検出用トランジスタを遮光処理する。遮光手段駆動部47は、遮光手段50(例えば液晶パネル)に駆動信号を出力して閾値検出用トランジスタ21を遮光する。そして、続くステップS5にて閾値電圧Vthの計測処理を行い、続くステップS5bにて、遮光手段を駆動して閾値検出用トランジスタの遮光を解除処理する。遮光手段駆動部47は、遮光手段50(例えば液晶パネル)に駆動信号を出力して遮光手段50を元の状態に戻し、閾値検出用トランジスタ21の遮光を解除する。このように、閾値検出用トランジスタ21に光が当たらない遮光状態において、閾値検出用トランジスタ21を駆動することにより、光劣化を表す閾値電圧を正しく検出することが可能となる。
【0092】
なお、本変形例では、遮光手段50は、閾値検出用トランジスタ21を遮光すると同時に、光検出用トランジスタ11を同時に遮光する。従って、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11とが同時に遮光されるため、光劣化を同等にできるという効果を有する。なお、閾値電圧の測定時間が短く、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11との光劣化に差異が小さいか生じない場合は、必ずしも光検出用トランジスタ11を同時に遮光しなくてもよい。こうすれば、例えば液晶パネルのサイズを小さくできるなど遮光手段50の小型化や簡素化が可能になる。
【0093】
(第2変形例)
閾値検出用トランジスタ21に光が当たらない遮光状態を形成する他の変形例として、遮光手段を光検出装置に設けることなく、光検出装置が備えられた電子機器において閾値検出用トランジスタ21が遮光される状態が形成されるものとしてもよい。本変形例について、図19および図20を用いて説明する。図19は、本変形例に係る光検出装置100bの構成概略図である。また、図20は、本変形例に係る光検出装置100bの動作を表すフローチャートである。
【0094】
図19に示すように、光検出装置100bは、上記実施形態における光検出装置100に対して、信号処理部40において遮光判定部48を備えたものである。その他の構成については、総て光検出装置100と同様であり、同符号を付している。従って、ここでは遮光判定部48について説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0095】
遮光判定部48は、閾値検出用トランジスタ21が遮光状態か否かを判定し、閾値電圧計測部42に対して遮光状態を示す信号を出力する。閾値電圧計測部42は、遮光判定部48から信号が出力されたとき、つまり遮光状態のときに、閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子電圧を閾値電圧Vthとして計測し、その計測結果(つまり閾値電圧Vth)を補正係数決定部43に出力するのである。
【0096】
ここで、本変形例の光検出装置100bは、上記実施形態と同様、図14に示した携帯電話端末500に搭載されている。携帯電話端末500は、折り畳み可能に連結された第1筐体501と第2筐体502とから構成されており、光検出装置100bが備えられた液晶表示装置1000は第1筐体501に備えられている。従って、第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれると、液晶表示装置1000に備えられた光検出装置100bに形成された閾値検出用トランジスタ21(および光検出用トランジスタ11)は、図19に示したように第2筐体502によって遮光されることになる。
【0097】
そこで、遮光判定部48は、携帯電話端末500内において生成される第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれたことを示す信号を、閾値検出用トランジスタ21が遮光状態か否かを判定する判定信号Jsとして受信する。従って、本変形例では、携帯電話端末500において、第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれたことを示す信号が生成されるように構成されている。例えば、第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれたとき、第1筐体501に設けられた突起が、第2筐体502内に設けられたスイッチをオン(またはオフ)して、電圧が変化する信号が生成されるように構成する。そして、この電圧が変化する信号を判定信号Jsとするのである。なお、折り畳み可能に連結された第1筐体501と第2筐体502とから構成された携帯電話端末においては、第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれたことを示す何らかの信号を生成することが大抵行われる。このような場合、遮光判定部48は、この何からの信号を、閾値検出用トランジスタ21が遮光状態か否かを判定する判定信号Jsとして受信すればよい。
【0098】
本変形例の光検出装置100bの動作を、図20のフローチャートに示した。本変形例では、前述するように、閾値電圧Vthの計測処理は、照射光量の検出処理とは別処理として行われる。
【0099】
照射光量の検出処理は、図2のフローチャートに示した上記実施形態における光検出装置100の動作における処理において、「閾値電圧Vthの計測処理(ステップS5)」を、「閾値電圧Vthの取得処理(ステップS5c)」としたものである。そして、この処理とは別の処理として、ステップS51、ステップS52、ステップS53、ステップS54の処理を、閾値電圧計測処理として追加したものである。なお、照射光量検出処理において、ステップS5c以外の処理ステップについては、総て光検出装置100の動作と同様であり、同じステップ符号を付している。従って、ここではステップS5cおよび、ステップS51〜S54の処理について説明し、その他の処理については説明を省略する。
【0100】
先に、閾値電圧計測処理について説明する。本変形例における閾値電圧計測処理は、まずステップS51において、閾値電圧計測のタイミングが到来したか否かを判定処理する。ここでは、上記実施形態と同様に、信号処理部40に時定数計測部41が内部タイマを監視することによって行う。なお、時定数計測部41とは別に、遮光判定部48が内部タイマを監視して、閾値電圧計測のタイミングが到来したか否かを判定することとしてもよい。閾値電圧計測のタイミングについては後述する。
【0101】
判定の結果、閾値電圧計測のタイミングが到来すると(YES)、続くステップS52において、閾値検出用トランジスタは遮光状態か否かを判定処理する。前述したように、遮光判定部48は、携帯電話端末500内において生成される第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれたことを示す信号を受信して判定する。
【0102】
判定の結果、遮光状態(YES)であれば、ステップS53において閾値電圧Vthの計測処理を行う。ステップS53の処理は、上記実施形態におけるステップS5(図2)の処理と同じ処理であり、説明を省略する。この結果、ステップS53にて行われる閾値電圧Vthの計測処理においては、閾値検出用トランジスタ21に対して光が照射しない状態で閾値電圧Vthを計測するので、積算照度に応じた閾値電圧が正しく計測されることになる。
【0103】
次に、ステップS54にて、閾値電圧Vthの上書き記録処理を行う。本変形例では、閾値電圧計測部42は、図19において図示しないメモリを有し、計測した閾値電圧Vthをこのメモリに上書き記録する。その後、ステップS51に戻って、次の閾値電圧計測のタイミング到来の判定処理以降を繰り返す。こうすることによって、計測された常に最新の閾値電圧Vthがメモリに記録される。
【0104】
そこで、本変形例における照射光量検出処理においては、上記実施形態と異なり、ステップS5cにおいて、記録された閾値電圧Vthの取得処理を行う。本変形例では、補正係数決定部43は、閾値電圧計測部42がメモリに記録した閾値電圧Vthを読み出し計測値として処理するのである。以降、上記実施形態と同様に、補正係数Kが算出されて、照射光量の算出処理が行われる。
【0105】
従って、本変形例では、例えば携帯電話端末500の使用(例えば通話)終了時において発生する第1筐体501と第2筐体502との折り畳み動作において、閾値電圧が計測される。従って、例えば光検出用トランジスタについて、次に時定数τの補正をすることが好ましいと想定される程度の光劣化が発生する積算照度に到達する経過時間を、次の閾値電圧計測のタイミングとすることが好ましい。
【0106】
上記実施形態において述べたように、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11について、光劣化の進行に伴う電気的特性の変化傾向を同一とすることが必要であることから、同じ状態で光に曝されることが必要となる。これに対して、本変形例は、閾値電圧計測時において、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11とが同時に遮光されるため、光劣化を同等にできるという効果を有する。また、本変形例は、上記第1変形例と異なり、光検出装置に遮光手段を形成しなくて済むので、光検出装置の大型化やコストアップを抑制することができる。
【0107】
(その他の変形例)
本実施形態に係る電子機器として携帯電話端末500を例示したが、本発明はこれに限定されず、PDA(Personal Digital Assistants)やノートパソコン、腕時計等の携帯端末、その他の表示機能を有する各種の電子機器にも適用することができる。例えば、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイなども含まれる。
【0108】
一例として、電子機器が、非撮影時に撮影用レンズを覆い、撮影時に当該撮影用レンズを露出させる開閉可能なレンズカバーを有するデジタルカメラであった場合は、上記変形例において遮光手段はレンズカバーと連動して移動する部材で形成するようにしてもよい。こうすれば、例えばレンズカバーが閉じる状態によって、容易に遮光状態を形成することができるとともに、遮光状態の形成を容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の一実施形態における光検出装置の構成概略図である。
【図2】本発明の一実施形態における光検出装置の動作フローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態における光検出装置の動作に関する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態における光検出装置の光劣化補正原理に関する第1説明図である。
【図5】本発明の一実施形態でおける光検出装置の光劣化補正原理に関する第2説明図である。
【図6】本発明の一実施形態でおける光検出装置の光劣化補正原理に関する第3説明図である。
【図7】本発明の一実施形態でおける光検出装置の光劣化補正原理に関する第4説明図である。
【図8】本発明の一実施形態でおける光検出装置の光劣化補正原理に関する第5説明図である。
【図9】本発明の一実施形態でおける光検出装置の光劣化補正原理に関する第6説明図である。
【図10】本発明の一実施形態における光検出装置の動作変形例である。
【図11】本発明の一実施形態における液晶表示装置(電気光学装置)の第1説明図である。
【図12】本発明の一実施形態における液晶表示装置の第2説明図である。
【図13】本発明の一実施形態における液晶表示装置の第3説明図である。
【図14】本発明の一実施形態における携帯電話端末(電子機器)の外観図である。
【図15】閾値電圧が光の照射形態で変化する様子を説明する説明図である。
【図16】第1変形例の光検出装置の構成を説明する構成概略図である。
【図17】第1変形例の光検出装置が具備する遮光手段の一例で、(a)は遮光手段が液晶パネルの場合、(b)は遮光手段が遮蔽板とアクチュエータの場合を、それぞれ示す構成図である。
【図18】第1変形例の光検出装置が行う動作フローチャートである。
【図19】第2変形例の光検出装置の構成を説明する構成概略図である。
【図20】第2変形例の光検出装置が行う動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0110】
10…光センサ部、11…光検出用トランジスタ、12…コンデンサ、13…スイッチ、20…閾値電圧検出部、21…閾値検出用トランジスタ、22…抵抗素子、30…電圧供給部、40…信号処理部、41…時定数計測部、42…閾値電圧計測部、43…補正係数決定部、44…補正処理部、47…遮光手段駆動部、48…遮光判定部、50…遮光手段、100,100a,100b…光検出装置、300…バックライト制御部、500…携帯電話端末、1000…液晶表示装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出装置、電気光学装置及び電子機器並びに光劣化補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光検出装置として、薄膜トランジスタの漏れ電流が照射光量に比例することを利用し、この漏れ電流(光リーク電流)で電圧検出用コンデンサに電荷を充電あるいは放電させ、当該コンデンサの両端間の電圧変化を監視することによって照射光量を検出するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、薄膜トランジスタの電気的特性は光曝露によって変化(光劣化)するため、上記特許文献1の光検出装置では、光劣化に起因する特性変化によって照射光量の検出精度が低下してしまう。この問題に対して、薄膜トランジスタの生成方法を改良して、対劣化特性を向上させる光電変換素子や(例えば特許文献2参照)、光センサの出力信号と基準信号とを比較するアナログ信号処理回路を用いて光劣化に起因する特性変化を補正する手法が開示されている(例えば特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−29832号公報
【特許文献2】特開平9−232620号公報
【特許文献3】特開2006−179478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献2に記載の光電変換素子においては、特別な製造条件を必要とするため、製造コストが増大するという問題がある。具体的には、薄膜トランジスタを用いた表示装置の内部に光センサを作り込んだり、同一装置で表示装置と光センサとを製造したりする場合に、表示装置の駆動トランジスタと製造プロセスを共通化できないため、製造プロセスの追加や、製造装置の煩雑な条件設定が必要になる。また、上記特許文献3の技術では、補正処理を行うために複雑なアナログ信号処理回路や基準信号を生成するための信号源を設ける必要があり、コストの増大を招く。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、光劣化補正機能の実現に要するコストを低減しつつ検出精度の向上を図ることが可能な光検出装置、電気光学装置及び電子機器並びに光劣化補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る光検出装置は、光検出用トランジスタを有し、当該光検出用トランジスタに対する照射光量に応じた信号を出力する光センサ部と、前記光検出用トランジスタと隣接して配置されていると共に前記光検出用トランジスタと同一プロセスで形成された閾値検出用トランジスタを有し、当該閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出する閾値電圧検出部と、前記光センサ部の出力信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成するセンサ出力値生成部と、予め前記光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対する前記センサ出力値の変化と前記閾値電圧の変化との関係性を基に作成された、前記光劣化に起因する前記センサ出力値の変化を補正するための補正係数と前記閾値電圧との対応関係に基づいて、前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を決定する補正係数決定部と、前記補正係数決定部にて決定された補正係数に基づいて、前記センサ出力値を補正する補正処理部とを備えることを特徴とする。
本願発明者は、光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対するセンサ出力値の変化と、光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対する閾値電圧の変化との関係から、閾値電圧は光検出用トランジスタの光劣化状態を指し示す指標であり、この閾値電圧を知ることができれば、これに応じた補正係数をセンサ出力値に掛け合わせることにより、光劣化の進行度に拘わらず、常に一定の(言い換えれば光劣化のない状態と同等の)センサ出力値が得られることを見出した。
光検出用トランジスタの閾値電圧を検出するためには、光検出用トランジスタと同一の電気的特性を有し、且つ光検出用トランジスタと同条件の光曝露となる(つまり光検出用トランジスタと隣接配置される)閾値検出用トランジスタを設け、その閾値電圧を検出すれば良い。そして、両方のトランジスタの特性を一致させるためには同一のプロセスで製造すれば良いため、特殊なプロセスは不要であり、また、トランジスタの閾値電圧を検出するための回路は比較的簡単な回路で実現できるため、補正処理を行うための複雑なアナログ回路や信号源等を設ける必要はない。
従って、本発明に係る光検出装置によれば、光劣化補正機能の実現に要するコストを低減しつつ検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0008】
また、上記の光検出装置において、前記補正係数決定部は、前記補正係数と前記閾値電圧との対応関係を表す演算式に基づいて、前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を算出するか、または、前記補正係数と前記閾値電圧との対応関係を表すルックアップテーブルを記憶しており、当該ルックアップテーブルから前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を取得することが好ましい。
補正係数と閾値電圧との対応関係はほぼ直線的な関数で表されるため、複雑な演算式とはならない。つまり、この演算式を用いた補正係数の算出処理に要する演算回路も小規模なものとなりコストの低減に寄与する。一方、補正係数と閾値電圧との対応関係をルックアップテーブルで保存しておく場合は、それなりのメモリ容量は必要となるが、補正係数の算出処理に要する演算回路が不要となるため、コスト低減の寄与度という観点では演算式を用いた場合と大差はない。従って、光検出装置の仕様に応じて、演算式を用いるかルックアップテーブルを用いるかは適宜選択すれば良い。
【0009】
また、上記の光検出装置は、Nチャネル型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、ソース端子が基準電位線と接続され、ゲート端子がゲート電圧線と接続された前記光検出用トランジスタと、一方の電極が前記光検出用トランジスタのドレイン端子と接続され、他方の電極が前記基準電位線と接続されたコンデンサと、前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を、第1の駆動電圧線と出力信号線とのいずれかに切り替えるためのスイッチと、を有する前記光センサ部と、Nチャネル型MOSトランジスタであり、ドレイン端子とゲート端子とが接続され、ソース端子が前記基準電位線と接続された前記閾値検出用トランジスタと、一端が前記閾値検出用トランジスタのドレイン端子と接続され、他端が第2の駆動電圧線と接続されていると共に、前記閾値検出用トランジスタのオン抵抗より高く且つオフ抵抗より低い抵抗値に設定された抵抗素子と、を有する前記閾値電圧検出部と、前記第1の駆動電圧線に前記コンデンサを充電させるための第1の駆動電圧を供給し、前記ゲート電圧線に前記光検出用トランジスタをオフ状態にするためのゲート電圧を供給し、前記第2の駆動電圧線に前記閾値検出用トランジスタの最大閾値電圧より高い第2の駆動電圧を供給し、前記基準電位線に基準電位を供給する電圧供給部と、を備え、前記センサ出力値生成部は、前記照射光量の検出開始時において、前記スイッチを制御して前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を前記第1の駆動電圧線に切り替え、前記コンデンサが満充電状態となる時間の経過後に前記スイッチを制御して前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を前記出力信号線に切り替え、当該出力信号線の電位が所定の電位に低下するまでの時定数を前記センサ出力値として計測し、前記補正係数決定部は、前記閾値検出用トランジスタのドレイン端子の電圧を前記閾値電圧として取得し、当該取得した閾値電圧に対応する前記補正係数を決定し、前記補正処理部は、前記補正係数決定部にて決定された前記補正係数に基づいて前記センサ出力値としての時定数を補正することが好ましい。
上記のような光センサ部の構成では、光検出用トランジスタの光リーク電流によってコンデンサに充電した電位が所定の電位に低下するまでの時定数を、光検出用トランジスタに対する照射光量に関するセンサ出力値として得ることができるようになる。また、閾値電圧検出部は、閾値検出用トランジスタと抵抗素子との2素子だけで構成されていると共に、光リーク電流を利用する必要のある光検出用トランジスタと比べて、閾値電圧を検出するだけの閾値検出用トランジスタのサイズは極めて小さくすることができるので、閾値電圧検出部を構成する回路の占有面積を極めて小規模にすることができる。その結果、光センサ部と閾値電圧検出部とで占有するトータルの回路面積は小さくなり、例えば光センサ部と閾値電圧検出部を半導体基板やTFT基板上に形成する場合には、省スペース化を図ることができる。
【0010】
また、上記の光検出装置において、前記電圧供給部は、少なくとも前記照射光量の検出開始時から前記時定数及び前記閾値電圧の計測完了までの期間では、前記ゲート電圧線に前記光検出用トランジスタをオフ状態にするためのゲート電圧を供給すると共に前記第2の駆動電圧線に前記閾値検出用トランジスタの最大閾値電圧より高い第2の駆動電圧を供給する一方、その他の期間では前記ゲート電圧及び前記第2の駆動電圧を変化させることが好ましい。
光検出装置の動作中において、光検出用トランジスタ及び閾値検出用トランジスタのゲート端子に常に一定のバイアス電圧を与え続けた場合、トランジスタは通電による特性シフトを引き起こし、光劣化とは関係のない誤差がセンサ出力値に生じる可能性がある。よって、上記のようにゲート電圧及び第2の駆動電圧を変化させながら光検出用トランジスタ及び閾値検出用トランジスタを駆動することにより、通電による特性シフトの発生を防止することができる。
【0011】
また、上記の光検出装置において、前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、アモルファスシリコンTFT(Thin Film Transistor)であることが好ましい。
光劣化による電気的な特性変化は特にアモルファスシリコントランジスタで顕著である。従って、本発明は、特に光検出用トランジスタ及び閾値検出用トランジスタがアモルファスシリコントランジスタである場合に大きな効果(検出精度の向上)を得ることができる。また、TFTとすることにより、従来のTFT製造プロセスを利用することができ、低コスト化に寄与する。
【0012】
また、本発明に係る電気光学装置は、表示領域にスイッチング用トランジスタを有する複数の画素、走査線及びデータ線が形成された基板と、当該基板と対となる対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された電気光学材料とを備える電気光学装置であって、上述した光検出装置を備え、少なくとも前記光検出装置における前記光センサ部及び前記閾値電圧検出部は、前記基板上の表示領域以外の領域に設けられており、前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、前記スイッチング用トランジスタと同一プロセスにより前記基板上に形成されていることを特徴とする。
このような特徴を有する電気光学装置によると、画素のスイッチング用トランジスタと、光検出用トランジスタ及び閾値検出用トランジスタとの製造プロセスを共有化することができるため、光検出装置を備える電気光学装置を低コストで実現することができる。
【0013】
また、上記の電気光学装置において、前記電気光学材料は液晶であり、バックライトと、前記光検出装置における前記補正処理部にて補正されたセンサ出力値を基に前記バックライトの光量を制御するバックライト制御部とを備えることが好ましい。
これにより、電気光学装置に入射する光量に応じて正確にバックライトの光量を制御することが可能となり、表示品質の向上を図ることができる。
【0014】
また、本発明に係る電子機器は、上述した電気光学装置を表示装置として備えることを特徴とする。
これにより、低コスト且つ表示品質が高い表示装置(電気光学装置)を備えた電子機器を提供することができる。
【0015】
さらに、上記の光検出装置において、前記閾値検出用トランジスタに対して光が当たらない遮光状態が形成されたか否かを判定する遮光判定部を備え、前記閾値電圧検出部は、前記遮光判定部が判定した前記閾値検出用トランジスタの遮光状態において、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することとしてもよい。
閾値検出用トランジスタは、光が当たった状態において光の照度に相関して閾値電圧が変化することがある。そのため、閾値電圧の検出中に照射光に曝されると、照射光の照度に応じて検出される閾値電圧がばらつき、その結果、光劣化を正しく算定できない虞がある。よって、閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態において、閾値検出用トランジスタを駆動することにより、光劣化を表す閾値電圧を検出することができる。
【0016】
このとき、上記の電子機器は、前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成する遮光手段を有し、上記電気光学装置を表示装置として備えることが好ましい。
これにより、低コスト且つ表示品質が高い表示装置(電気光学装置)を備えた電子機器を提供することができる。
【0017】
また、上記の電子機器において、前記遮光手段は、前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成するとともに前記光検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成することが好ましい。
これにより、閾値検出用トランジスタと光検出用トランジスタの光暴露量が同じになるため、閾値検出用トランジスタの閾値電圧によって、光検出用トランジスタの光劣化量を正しく検出することができる。
【0018】
ここで、上記の電子機器は、非使用時に前記表示装置を覆い、使用時に当該表示装置を露出させる筐体部を有する携帯電話であり、前記遮光手段は当該筐体部であることとしてもよい。
こうすれば、例えば、非使用時において2つの筐体部を重なるように折りたたむ方式の携帯電話において、表示装置が一方の筐体部で覆われることによって、容易に遮光状態を形成することができる。また、筐体部の折りたたみ動作を検出することによって遮光状態の形成を容易に判定することができる。
【0019】
あるいは、上記の光検出装置において、遮光手段を有し、前記閾値電圧検出部は、前記遮光手段を用いて前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成した状態で、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することこととしてもよい。
閾値検出用トランジスタは、光が当たった状態において光の照度に相関して閾値電圧が変化することがある。そのため、閾値電圧の検出中に照射光に曝されると、照射光の照度に応じて検出される閾値電圧がばらつき、その結果、光劣化を正しく算定できない虞がある。よって、光検出装置に設けた遮光手段によって閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態が形成された状態で、閾値検出用トランジスタを駆動することにより、光劣化を表す閾値電圧を検出することができる。この結果、電子機器において必ずしも遮光手段を備える必要がない。
【0020】
また、上記の光検出装置において、前記遮光手段は、前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成するとともに前記光検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成することが好ましい。
こうすれば、閾値検出用トランジスタと光検出用トランジスタの光暴露量が同じになるため、閾値検出用トランジスタの閾値電圧によって、光検出用トランジスタの光劣化量を正しく検出することができる。
【0021】
もとより、上記の電気光学装置あるいは上記の電子機器において、この光検出装置を備えることとしてもよい。これにより、表示品質が高い表示装置(電気光学装置)、あるいは、この表示装置を備えた電子機器を提供することができる。
【0022】
さらに、本発明に係る光劣化補正方法は、光検出用トランジスタを有する光センサ部を用いて前記光検出用トランジスタに対する照射光量に応じた信号を取得する第1の工程と、前記第1の工程により取得した信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成する第2の工程と、前記光検出用トランジスタと隣接して配置されていると共に前記光検出用トランジスタと同一プロセスで形成された閾値検出用トランジスタを有する閾値電圧検出部を用いて前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出する第3の工程と、予め前記光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対する前記センサ出力値の変化と前記閾値電圧の変化との関係性を基に作成された、前記光劣化に起因する前記センサ出力値の変化を補正するための補正係数と前記閾値電圧との対応関係に基づいて、前記第3の工程にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を決定する第4の工程と、前記第4の工程にて決定された補正係数に基づいて、前記第2の工程にて生成されたセンサ出力値を補正する第5の工程とを含むことを特徴とする。
このような特徴を有する光劣化補正方法によると、光劣化補正機能の実現に要するコストを低減しつつ検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0023】
また、上記の光劣化補正方法において、前記第3の工程は、前記閾値検出用トランジスタが光に曝されない遮光状態において、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することが好ましい。
閾値検出用トランジスタは、光が当たった状態において光の照度に相関して閾値電圧が変化することがある。そのため、閾値電圧の検出中に照射光に曝されると、照射光の照度に応じて検出される閾値電圧がばらつき、その結果、光劣化を正しく算定できない虞がある。よって、閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態において、閾値検出用トランジスタを駆動することにより、光劣化を表す閾値電圧を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る光検出装置、電気光学装置及び電子機器並びに光劣化補正方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔光検出装置〕
図1は、本実施形態に係る光検出装置100の構成概略図である。この図1に示すように、本実施形態に係る光検出装置100は、光センサ部10、閾値電圧検出部20、電圧供給部30及び信号処理部40を備えている。
【0025】
光センサ部10は、光検出用トランジスタ11、コンデンサ12及びスイッチ13を備えている。光検出用トランジスタ11は、例えばアモルファスシリコンTFT(Thin Film Transistor)であると共にNチャネル型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、ソース端子が基準電位線Lcomと接続され、ゲート端子がゲート電圧線Lg1と接続され、ドレイン端子がコンデンサ12の一方の電極と接続されている。
【0026】
コンデンサ12の一方の電極は光検出用トランジスタ11のドレイン端子と接続され、他方の電極は基準電位線Lcomと接続されている。スイッチ13は、信号処理部40(詳細には時定数計測部41)による制御の下、光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を、第1の駆動電圧線Laと出力信号線Loutとのいずれかに切り替える。
【0027】
閾値電圧検出部20は、閾値検出用トランジスタ21及び抵抗素子22を備えている。閾値検出用トランジスタ21は、光検出用トランジスタ11と隣接して配置されていると共に、光検出用トランジスタ11と同一プロセスで形成されたもの、つまりアモルファスシリコンTFTであると共にNチャネル型MOSトランジスタである。すなわち、この閾値検出用トランジスタ21は、光検出用トランジスタ11と同一の電気的特性(閾値電圧Vth等)を有している。また、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11は互いに隣接して配置されているため、それぞれに入射する照射光量も同じ(つまり光曝露状態も同じ)であり、光劣化に起因する電気的特性の変化も同一の傾向となる。閾値検出用トランジスタ21のソース端子は基準電位線Lcomと接続され、ドレイン端子はゲート端子及び抵抗素子22の一端と接続されている。
【0028】
抵抗素子22は、閾値検出用トランジスタ21のオン抵抗より高く且つオフ抵抗より低い抵抗値に設定されており、その一端は閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子と接続され、他端は第2の駆動電圧線Lg2と接続されている。
【0029】
電圧供給部30は、第1の駆動電圧線Laにコンデンサ12を充電させるための第1の駆動電圧Vaを供給し、ゲート電圧線Lg1に光検出用トランジスタ11をオフ状態にするためのゲート電圧Vg1を供給し、第2の駆動電圧線Lg2に閾値検出用トランジスタ21の最大閾値電圧Vthmより高い第2の駆動電圧Vg2を供給し、基準電位線Lcomに基準電位VSS(本実施形態ではグランドレベル)を供給する。なお、詳細は後述するが、閾値検出用トランジスタ21(光検出用トランジスタ11)の閾値電圧Vthは、光曝露による光劣化の進行に伴って増大し、ある電圧値でほぼ飽和するという特性がある。つまり、上記の最大閾値電圧Vthmとは、その飽和状態に達した閾値電圧を指している。このような第2の駆動電圧Vg2を閾値電圧検出部20に供給することにより、閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子電圧は、閾値検出用トランジスタ21の閾値電圧Vthと等しくなる。
【0030】
信号処理部40は、時定数計測部41、閾値電圧計測部42、補正係数決定部43及び補正処理部44を備えている。時定数計測部(センサ出力値生成部)41は、光センサ部10から出力信号線Loutを介して出力される信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成する。より具体的には、この時定数計測部41は、照射光量の検出開始時において、スイッチ13を制御して光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を第1の駆動電圧線Laに切り替え、コンデンサ12が満充電状態となる時間の経過後にスイッチ13を制御して光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を出力信号線Loutに切り替え、当該出力信号線Loutの電位が所定の電位に低下するまでの時定数τをセンサ出力値として計測する。なお、スイッチ13の制御は、スイッチ13と時定数計測部41とを接続する制御線Lcに制御信号を出力することにより行われている。
【0031】
閾値電圧計測部42は、その入力端が閾値電圧線Lvhを介して閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子と接続されており、閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子電圧を閾値電圧Vthとして計測し、その計測結果(つまり閾値電圧Vth)を補正係数決定部43に出力する。
【0032】
補正係数決定部43は、光検出用トランジスタ11の光劣化に起因するセンサ出力値(ここでは時定数τ)の変化を補正するための補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係に基づいて、閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vth(つまり閾値電圧検出部20にて検出された閾値電圧)に対応する補正係数Kを決定する。詳細は後述するが、この補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係は、予め実験的に求められた、光検出用トランジスタ11の光劣化の進行度に対するセンサ出力値の変化と閾値電圧Vthの変化との関係性を基に作成されたものであり、本実施形態では補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す演算式を使用する。つまり、補正係数決定部43は、上記の補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す演算式に基づいて、閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vthに対応する補正係数Kを算出する。
【0033】
補正処理部44は、補正係数決定部43にて算出(決定)された補正係数Kに基づいて、時定数計測部41にて計測された時定数τ(センサ出力値)を補正し、補正後の時定数τを照射光量検出結果として外部に出力する。
【0034】
なお、上記のような時定数計測部41、閾値電圧計測部42、補正係数決定部43及び補正処理部44を備える信号処理部40は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデジタル演算処理回路によって構成することができる。すなわち、時定数計測部41では、光センサ部10の出力信号(出力信号線Loutの電位)をデジタル変換し、このデジタル変換された出力信号線Loutの電位が所定の電位に低下するまでの時間を計測することで時定数τを求める。また、閾値電圧計測部42では、閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子の電圧をデジタル変換することにより閾値電圧Vthを計測する。また、補正係数決定部43及び補正処理部44では、時定数計測部41にて計測された時定数τ(デジタル値)と閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vth(デジタル値)とを基に、上述した補正係数Kの算出処理や時定数τの補正処理をデジタル演算処理によって実行する。
【0035】
続いて、上記のように構成された本実施形態に係る光検出装置100の動作(光劣化補正方法)について説明する。図2は、光検出装置100の動作を表すフローチャートである。なお、光検出装置100の電源投入時以降、電圧供給部30は、第1の駆動電圧線Laに第1の駆動電圧Va(例えば2V)を供給し、ゲート電圧線Lg1にゲート電圧Vg1(例えば−3V〜−5Vの範囲内の電圧値)を供給し、第2の駆動電圧線Lg2に第2の駆動電圧Vg2(例えば8V)を供給している。
【0036】
図2に示すように、まず、信号処理部40における時定数計測部41は、内部タイマを監視することにより、照射光量の検出開始タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS1)。このステップS1において、照射光量の検出開始タイミングが到来した場合(「YES」)、時定数計測部41は、スイッチ13を制御して光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を第1の駆動電圧線Laに切り替える(ステップS2)。これにより、光検出用トランジスタ11のドレイン端子には第1の駆動電圧Vaが印加されるが、光検出用トランジスタ11はオフ状態であるため、コンデンサ12が第1の駆動電圧Vaによって充電されることになる。なお、ここで光検出用トランジスタ11のドレイン−ソース間には光照射に起因する光リーク電流が流れるが、この光リーク電流がコンデンサ12の充電に与える影響は無視できる。
【0037】
続いて、時定数計測部41は、予め設定されているコンデンサ12が満充電状態となる時間の経過後に、スイッチ13を制御して光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を出力信号線Loutに切り替え(ステップS3)、この切り替えタイミングに同期して、出力信号線Loutの電位が所定の電位に低下するまでの時定数τをセンサ出力値として計測する(ステップS4)。なお、上記ステップS2〜S4は、本発明における第1及び第2の工程に相当する。
【0038】
図3は、光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先を出力信号線Loutに切り替えた後における、出力信号線Loutの電位(つまりコンデンサ電圧)の時間的変化を示したものである。上述したように、光検出用トランジスタ11のドレイン−ソース間には光照射に起因する光リーク電流が発生するため、光検出用トランジスタ11のドレイン端子の接続先が出力信号線Loutに切り替わると、コンデンサ12に蓄積された電荷が光リーク電流として光検出用トランジスタ11を介して基準電位線Lcomに流れ込む。これにより、図3に示すように、スイッチ13の切り替えタイミング以降、出力信号線Loutの電位(コンデンサ電圧)はVa(2V)から緩やかに低下していくことになる。時定数計測部41は、このような出力信号線Loutの電位の時間的変化を監視し、出力信号線Loutの電位が所定の電位(例えば0.7V)に低下した時の時間を時定数τとする。
【0039】
光リーク電流の大きさは、光検出用トランジスタ11に対する照射光量に応じて変化するため、時定数τも照射光量に応じて変化することになる。従って、時定数τから照射光量を知ることができる。しかしながら、光曝露によって光検出用トランジスタ11の光劣化が進行すると、光検出用トランジスタ11の電気的特性が変化し、上記の時定数τと照射光量との相関関係に誤差が生じてしまい、正確な照射光量を検出できなくなる。そこで、本実施形態では、以下で説明する補正原理に従って、時定数τ(照射光量に関するセンサ出力値)の補正処理を行う。
【0040】
<センサ出力値の補正原理>
図4は、照射光量として照度を用い、センサ出力値として光リーク電流を用いた場合において、照度とセンサ出力値との関係を、光検出用トランジスタ11の光劣化の進行度別に測定した結果を表す特性図である。なお、以下では、光劣化の進行度を光検出用トランジスタ11が曝される照射光量(照度)と時間との積(以下、積算照度と称す)で表すものとする。図4では、光劣化無しの状態に対応する積算照度を「0」とし、光劣化の進行度「中」に対応する積算照度を「3.5×106(lx・h)」とし、光劣化の進行度「大」に対応する積算照度を「1.0×107(lx・h)」としている。
【0041】
図4に示すように、光劣化の進行に伴い、同じ照度に対するセンサ出力値が変化することがわかる。例えば、光劣化無しの状態に対して光劣化の進行度「大」の場合、センサ出力値は40%程低下している。このように光劣化が進行すると、光検出用トランジスタ11の電気的特性が変化し、センサ出力値と照射光量との相関関係に誤差が生じてしまい、正確な照射光量を検出できなくなることがわかる。
【0042】
また、図5は、図4を基に、センサ出力値と積算照度との関係を照度別に表した特性図である。この図5に示すように、光劣化の進行(積算照度の増加)に伴うセンサ出力値の変化の割合は、検出する照度に関係なく、ほぼ同じ割合となることがわかる。
【0043】
また、図6は、積算照度と光検出用トランジスタ11の閾値電圧Vthとの関係を測定した結果を表す特性図である。この図6に示すように、光劣化無しの状態では閾値電圧Vthは3.0(V)程度であるが、光劣化の進行度「中」では4.5(V)程度に増加し、さらに、光劣化の進行度「大」では5.0(V)程度にまで増加することがわかる。なお、図6からわかるように、さらに光劣化が進行しても閾値電圧Vthは5.5(V)以下で飽和しており、閾値電圧検出部20に供給する第2の駆動電圧Vg2はこの閾値電圧Vthの飽和電圧を参考にして設定すれば良いことになる。
【0044】
これら図5及び図6の測定結果から、光照射される光検出用トランジスタ11の閾値電圧Vthがわかれば、この閾値電圧Vthに応じた補正係数をセンサ出力値に掛け合わせることにより、光劣化の進行度に関係なく常に一定(言い換えれば光劣化のない状態と同等の)センサ出力値を得ることができることは明らかである。
【0045】
図7は、図5及び図6の測定結果を基に作成した補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表した特性図である。この図7に示すように、補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係は、ほぼ直線的な反比例関係にあることがわかる。また、このような補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を演算式で表すと下記(1)式のようになる。
K = −0.378・Vth + 2.130 ・・・・(1)
この演算式(1)によれば、例えば光劣化の進行度「中」に対応する積算照度「3.5×106(lx・h)」における閾値電圧4.5(V)に対する補正係数Kは0.42と決定され、光劣化の進行度「大」に対応する積算照度「1.0×107(lx・h)」における閾値電圧5.0(V)に対する補正係数Kは0.25と決定される。
また、上記演算式(1)を用いる場合、センサ出力値は下記(2)式にて補正することができる。
補正後センサ出力値=補正前センサ出力値/補正係数K ・・・・(2)
【0046】
図8は、補正前のセンサ出力値と積算照度との関係及び補正後のセンサ出力値と積算照度との関係を照度別に表した特性図である。また、図9は、補正前のセンサ出力値と照度との関係及び補正後のセンサ出力値と照度との関係を光劣化の進行度別に表した特性図である。これら図8及び図9に示すように、演算式(1)で算出した補正係数Kを基にセンサ出力値を補正することにより、光劣化に起因するセンサ出力値の変化を抑えることができ、初期状態(光劣化無し状態)とほぼ同じセンサ出力値が得られることがわかる。
【0047】
以上が本実施形態におけるセンサ出力値の補正原理であり、以下、この補正原理を前提として図2に戻って説明を続ける。閾値電圧計測部42は、閾値電圧検出部20における閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子電圧を閾値電圧Vthとして計測する(ステップS5:本発明における第3の工程に相当)。上述したように、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11は、光劣化の進行に伴う電気的特性の変化傾向が同一であるため、閾値電圧計測部42にて計測される閾値電圧Vthは光検出用トランジスタ11の閾値電圧Vthとみなすことができる。
【0048】
そして、補正係数決定部43は、光検出用トランジスタ11の光劣化に起因するセンサ出力値(ここでは時定数τ)の変化を補正するための補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す上記演算式(1)から、閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vthに対応する補正係数Kを算出する(ステップS6:本発明における第4の工程に相当)。ここで、補正原理で説明したように、演算式(1)は、予め実験的に求められた、光検出用トランジスタ11の光劣化の進行度に対するセンサ出力値の変化と閾値電圧Vthの変化との関係性を基に作成されたものである。
【0049】
そして、補正処理部44は、補正係数決定部43にて算出された補正係数Kに基づいて、時定数計測部41にて計測された時定数τ(センサ出力値)を補正し(ステップS7:本発明における第5の工程に相当)、補正後の時定数τを照射光量検出結果として外部に出力する(ステップS8)。以降は、上記のようなステップS1〜S8が繰り返されることにより、照射光量の検出開始タイミングが到来する毎に時定数τの計測、閾値電圧Vthの計測、補正係数Kの算出、時定数τ(センサ出力値)の補正という一連の処理が行われて、照射光量検出結果が外部に出力されることになる。
【0050】
以上のように、本願発明者は、光検出用トランジスタ11の光劣化の進行度に対するセンサ出力値の変化と、光検出用トランジスタ11の光劣化の進行度に対する閾値電圧Vthの変化との関係から、閾値電圧Vthは光検出用トランジスタ11の光劣化状態を指し示す指標であり、この閾値電圧Vthを知ることができれば、これに応じた補正係数Kをセンサ出力値に掛け合わせることにより、光劣化の進行度に拘わらず、常に一定のセンサ出力値が得られることを見出した。光検出用トランジスタ11の閾値電圧Vthを検出するためには、光検出用トランジスタ11と同一の電気的特性を有し、且つ光検出用トランジスタと同条件の光曝露となる(つまり光検出用トランジスタ11と隣接配置される)閾値検出用トランジスタ21を設け、その閾値電圧Vthを検出すれば良い。そして、両方のトランジスタの特性を一致させるためには同一のプロセスで製造すれば良いため、特殊なプロセスは不要であり、また、閾値検出用トランジスタ21の閾値電圧Vthを検出するための回路は比較的簡単な回路で実現できるため、補正処理を行うための複雑なアナログ回路や信号源等を設ける必要はない。従って、本実施形態に係る光検出装置100によれば、光劣化補正機能の実現に要するコストを低減しつつ検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0051】
なお、上記実施形態では、光検出装置100の動作中において、光検出用トランジスタ11及び閾値検出用トランジスタ21のゲート端子には常に一定のバイアス電圧を与えていたが、このような駆動を行うとTFT素子は通電による特性シフトを引き起こし、光劣化とは関係のない誤差がセンサ出力値に生じる可能性がある。
【0052】
そこで、これを防止するために、光検出装置100の動作中において、少なくとも照射光量の検出開始時(ステップS2の開始時)から時定数τ及び閾値電圧Vthの計測完了(ステップS5の終了時)までの期間では、ゲート電圧線Lg1に光検出用トランジスタ11をオフ状態にするためのゲート電圧Vg1を供給すると共に第2の駆動電圧線Lg2に閾値検出用トランジスタ21の最大閾値電圧より高い第2の駆動電圧Vg2を供給する一方、その他の期間ではゲート電圧Vg1及び第2の駆動電圧Vg2を変化させるような機能を電圧供給部30に設けることが好ましい。
【0053】
図10は、例えばゲート電圧Vg1を変化させる場合の一例を示すものである。この図10では、ゲート電圧Vg1を、照射光量の検出開始時から時定数τ及び閾値電圧Vthの計測完了までの期間T1では、光検出用トランジスタ11がオフ状態となる−3(V)に設定し、その他の期間T2では光検出用トランジスタ11がオン状態となる+15(V)に設定している。また、第2の駆動電圧Vg2の場合、期間T1では、最大閾値電圧Vthmより高い電圧値に設定し、その他の期間T2では閾値検出用トランジスタ21がオフ状態となるような電圧値に設定すれば良い。
【0054】
このような機能を電圧供給部30に設けることにより、光検出用トランジスタ11及び閾値検出用トランジスタ21の特性シフトを抑制することができ、より精度良く照射光量を検出することが可能となる。なお、電圧供給部30は、ゲート電圧Vg1及び第2の駆動電圧Vg2を変化させるタイミングを知る必要があるが、これは信号処理部40から電圧変化タイミングを通知する信号を電圧供給部30に出力させることで解決することができる。
【0055】
また、上記実施形態では、補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す演算式(1)を基に、閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vthに対応する補正係数Kを算出したが、これに限らず、補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表すルックアップテーブルを補正係数決定部43の内部メモリに格納しておき、このルックアップテーブルから閾値電圧計測部42にて計測された閾値電圧Vthに対応する補正係数Kを取得するような構成としても良い。
【0056】
また、上記演算式(1)はあくまで補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す一例であり、プロセス条件によって光検出用トランジスタ11及び閾値検出用トランジスタ21の電気的特性は変化するものであるので、プロセス条件に応じて補正係数Kと閾値電圧Vthとの対応関係を表す演算式またはルックアップテーブルを適宜変更しても良いことは勿論である。
【0057】
さらに、上記実施形態では、照射光量に関するセンサ出力値として光リーク電流と相関関係にある時定数τを用いたが、この時定数τを照度に換算してから補正係数Kによって補正し、その補正後の照度を照射光量検出結果として出力するような構成としても良い。また、補正後の時定数を照度に換算してから照射光量検出結果として出力するような構成としても良い。
【0058】
〔電気光学装置〕
次に、本実施形態に係る光検出装置100を備えた電気光学装置について説明する。なお、以下では、本実施形態に係る電気光学装置として半透過型の液晶表示装置を例示して説明する。図11は、本実施形態に係る液晶表示装置1000の平面図であり、対向基板であるカラーフィルタ基板を透視してアレイ基板を主に図示したものである。図12は、図11のアレイ基板の1画素分の平面図である。図13は図12のIII−III線における断面図である。
【0059】
図11及び図13に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置1000は、互いに対向配置される矩形状の透明絶縁材料、例えばガラス板からなる透明基板1002上に種々の配線等を施してなるアレイ基板ARと、同様に矩形状の透明絶縁材料からなる透明基板1010上に種々の配線等を施してなるカラーフィルタ基板CFとを有している。アレイ基板ARは、カラーフィルタ基板CFと対向配置させたときに所定スペースの張出し部1002Aが形成されるようにカラーフィルタ基板CFよりサイズが大きいものが使用されている。これらアレイ基板AR及びカラーフィルタ基板CFの外周囲にシール材(図示省略)が貼付されて、内部に液晶(電気光学材料)1014及びスペーサ(図示省略)が封入された構成となっている。
【0060】
アレイ基板ARは、それぞれ対向する短辺1002a、1002b及び長辺1002c、1002dを有し、一方の短辺1002b側が張出し部1002Aとなっており、この張出し部1002Aにソースドライバ及びゲートドライバ用の半導体チップDrが搭載され、他方の短辺1002a側に光センサ部10が配設されている。また、アレイ基板ARの背面には照光手段としてのバックライト(図示省略)が設けられている。
【0061】
このアレイ基板ARは、カラーフィルタ基板CFと対向する面、すなわち液晶と接触する面に、図11の横方向(X軸方向)に延在し所定の間隔をあけて配列された複数本のゲート線(走査線)GWと、これらのゲート線GWと絶縁され縦方向(Y軸方向)に延在し所定の間隔をあけて配列された複数本のソース線(データ線)SWとを有している。これらのソース線SWとゲート線GWとがマトリクス状に配線され、互いに交差するゲート線GWとソース線SWとで囲まれる各領域に、ゲート線GWからの走査信号によってオン状態となるスイッチング用トランジスタ(例えばアモルファスシリコン薄膜トランジスタ)としてのTFT(図12参照)及びソース線SWからの映像信号がTFTを介して供給される画素電極1026(図13参照)が形成されている。
【0062】
これらのゲート線GWとソース線SWとで囲まれる各領域は、いわゆる画素を構成し、これらの画素を複数備えたエリアが表示領域DAとなっている。各ゲート線GW及び各ソース線SWは、表示領域DAの外、すなわち額縁領域へ延出されて、LSI等の半導体チップDrに機能構成されるソースドライバおよびゲートドライバにそれぞれ接続されている。
【0063】
アレイ基板AR上の表示領域DA以外の領域である一方の短辺1002a側の領域には、光検出装置100の光センサ部10及び閾値電圧検出部20が形成されている。なお、図11では、図示の便宜上、光センサ部10及び閾値電圧検出部20の占有面積が同一となるように記載されているが、実際には、光センサ部10では光リーク電流を利用して照射光量を検出する都合上、極めてサイズの大きな光検出用トランジスタ11を形成する必要があるため占有面積が大きくなるが、一方の閾値電圧検出部20では閾値電圧Vthを検出するのみであるので、閾値検出用トランジスタ21のサイズは表示領域DA内のスイッチング用トランジスタTFTと同サイズで形成することができるため、占有面積を極めて小規模にすることができる。
【0064】
また、アレイ基板AR上の表示領域DA以外の領域である一方の長辺1002d側の領域には、図1に示したゲート電圧線Lg1、第1の駆動電圧線La、第2の駆動電圧線Lg2、基準電位線Lcom、出力信号線Lout、閾値電圧線Lvh及び制御線Lcから成る引き回し線群Lが形成されている。引き回し線群Lは、一方の短辺1002b側においてFPCケーブル200を介して外部回路として設けられた電圧供給部30及び信号処理部40と接続されている。
【0065】
このように、アレイ基板AR上に形成された光センサ部10及び閾値電圧検出部20と、外部回路として設けられた電圧供給部30及び信号処理部40とによって光検出装置100が構成されている。なお、光センサ部10及び閾値電圧検出部20における光検出用トランジスタ11及び閾値検出用トランジスタ21は、表示領域DA内のスイッチング用トランジスタTFTと同一プロセスによって形成されたものである。
【0066】
また、信号処理部40の出力信号(つまり照射光量検出結果)は、外部回路として設けられたバックライト制御部300に入力されており、このバックライト制御部300は、信号処理部40による照射光量検出結果(つまり補正されたセンサ出力値)に基づいて、液晶表示装置1000に入射する外光の光量を把握し、この外光の光量に応じて不図示のバックライトの光量を制御する。
【0067】
なお、透明基板1002上の半導体チップDrは、ソースドライバ及びゲートドライバとしての機能に加え、電圧供給部30及び信号処理部40、バックライト制御部300の機能を統合的に備えたIC(Integrated Circuit)チップに代えてもよい。
【0068】
次に各画素の具体的構成について主に図12及び図13を参照して説明する。
アレイ基板ARの透明基板1002上の表示領域DAには、ゲート線GWが等間隔に平行になるように形成され、更にこのゲート線GWからスイッチング素子を構成するTFTのゲート電極Gが延設されている。また、この隣り合うゲート線GW間の略中央にはゲート線GWと平行になるように補助容量線1016が形成され、この補助容量線1016には補助容量線1016よりも幅広となされた補助容量電極1017が形成されている。
【0069】
また、透明基板1002の全面に、ゲート線GW、補助容量線1016、補助容量電極1017及びゲート電極Gを覆うようにして窒化ケイ素や酸化ケイ素などの透明絶縁材料からなるゲート絶縁膜1018が積層されている。そして、ゲート電極Gの上にゲート絶縁膜1018を介してアモルファスシリコン等からなる半導体層1019が形成されている。また、ゲート絶縁膜1018上に複数のソース線SWがゲート線GWと交差するようにして形成され、このソース線SWから半導体層1019と接触するようにTFTのソース電極Sが延設され、更に、ソース線SW及びソース電極Sと同一の材料からなるドレイン電極Dが同じく半導体層1019と接触するようにゲート絶縁膜1018上に設けられている。
【0070】
ここで、ゲート線GWとソース線SWとに囲まれた領域が1画素に相当する。そしてゲート電極G、ゲート絶縁膜1018、半導体層1019、ソース電極S、ドレイン電極Dによってスイッチング素子となるTFTが構成される。このTFTはそれぞれの画素に形成される。この場合、ドレイン電極Dと補助容量電極1017によって各画素の補助容量を形成することになる。
【0071】
これらのソース線SW、TFT、ゲート絶縁膜1018を覆うようにして透明基板1002の全面にわたり例えば無機絶縁材料からなる保護絶縁膜(パッシベーション膜ともいわれる)1020が積層され、この保護絶縁膜1020上に例えばネガ型の感光材料を含むアクリル樹脂等からなる層間膜(平坦化膜ともいわれる)1021が透明基板1002の全体にわたり積層されている。この層間膜1021の表面は、反射部1022においては微細な凹凸(図示は省略)が形成されており、透過部1023においては平らになされている。
【0072】
そして、反射部1022の層間膜1021の表面にはスパッタリング法によって例えばアルミニウムないしアルミニウム合金製の反射板1024が形成されており、保護絶縁膜1020、層間膜1021及び反射板1024にはTFTのドレイン電極Dに対応する位置にコンタクトホール1025が形成されている。
【0073】
更に、それぞれの画素において、反射板1024の表面、コンタクトホール1025内及び透過部1023の層間膜1021の表面には、例えばITO(Indium Tin Oxide)ないしIZO(Indium Zinc Oxide)からなる画素電極1026が形成され、この画素電極1026の更に上層に総ての画素を覆うように配向膜(図示省略)が積層されている。
【0074】
また、カラーフィルタ基板CFは、ガラス基板等からなる透明基板1010の表面に、アレイ基板ARのゲート線GW及びソース線SWに対向するように遮光層(図示は省略)が形成され、この遮光層に囲まれたそれぞれの画素に対応して例えば赤色(R)、緑色(G)、青色(B)からなるカラーフィルタ層1027が設けられている。更に、反射部1022に対応する位置のカラーフィルタ層1027の表面にはトップコート層1028が形成されており、このトップコート層1028の表面及び透過部1023に対応する位置のカラーフィルタ層1027の表面には共通電極1029及び配向膜(図示は省略)が積層されている。なお、カラーフィルタ層1027としては、更にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)等のカラーフィルタ層を適宜に組み合わせて使用する場合もあり、モノクロ表示用の場合にはカラーフィルタ層を設けない場合もある。
【0075】
そして、上述した構成を備えるアレイ基板AR及びカラーフィルタ基板CFがシール材(図示は省略)を介して貼り合わされ、最後にこの両基板とシール材とによって囲まれた領域に液晶1014が封入されることにより、半透過型の液晶表示装置1000を得ることができる。なお、透明基板1002の下方には、図示は省略の周知の光源、導光板、拡散シート等を有するバックライトないしはサイドライトが配置される。
この場合、反射板1024を画素電極1026の下部全体に亘って設けると反射型液晶表示パネルが得られるが、この反射型液晶表示パネルを使用した反射型液晶表示装置の場合は、バックライトないしはサイドライトに代えて、フロントライトが使用される。
【0076】
以上のような本実施形態に係る光検出装置100を備える液晶表示装置1000によると、液晶表示装置1000に入射する光量に応じて正確にバックライトの光量を制御することが可能となり、表示品質の向上を図ることが可能となる。具体的には、日中の自然光のように環境光が明るい場合には、バックライトの光量が大きくなるように制御し、一方、夜間での使用などのように暗い環境下で使用する場合には、バックライトの光量が低くなるように制御する。これにより、使用環境下に応じた適切な発光量でもって画像表示を行うことができる。
【0077】
なお、上記実施形態では、光検出装置100を備える電気光学装置として液晶表示装置1000を例示して説明したが、本発明はこれに限定されず、有機ELを電気光学材料として用いる有機ELディスプレイ、極性が相違する領域ごとに異なる色に塗り分けられたツイストボールを電気光学材料として用いるツイストボールディスプレイ、黒色トナーを電気光学材料として用いるトナーディスプレイ、ヘリウムやネオンなどの高圧ガスを電気光学材料として用いるプラズマディスプレイなどに適用することができる。
【0078】
〔電子機器〕
次に、本実施形態に係る電気光学装置(液晶表示装置1000)を備えた電子機器について説明する。なお、本実施形態では電子機器として携帯電話端末を例示して説明する。図14は、本実施形態に係る携帯電話端末500の外観図である。この図14に示すように、本実施形態に係る携帯電話端末500は、折り畳み可能に連結された第1筐体501と第2筐体502とから構成されており、第1筐体501には表示装置として上記の液晶表示装置1000及び音声出力用のスピーカ503が設けられており、第2筐体502にはテンキーやファンクションキー、電源キー等の各種キーから成る操作キー504と、音声入力用のマイク505が設けられている。
【0079】
このように表示装置として液晶表示装置1000を備える携帯電話端末500によると、日中の自然光のように環境光が明るい場合には、バックライトの発光量が大きくなるように制御され、一方、夜間での使用などのように暗い環境下で使用する場合には、バックライトの発光量が低くなるように制御されるため、使用環境下に応じた適切な発光量でもって画像表示を行うことができる。
【0080】
以上、本発明について一実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【0081】
上記実施形態では、閾値検出用トランジスタ21(光検出用トランジスタ11)が曝された照射光量(照度)と時間との積である積算照度に対する閾値電圧Vthは、図6に示した特性になることを説明した。ところで、半導体層1019がアモルファスシリコン等からなるトランジスタは、曝される光(外光)の照度に依存して閾値電圧が変動する場合がある。従って、上記実施形態における閾値電圧Vthの計測(図2のステップS5)処理において、閾値検出用トランジスタ21は、積算照度による光劣化に応じて測定されるべき閾値電圧、つまり図6に示した特性図で規定される閾値電圧が、計測時において曝される照射光の照度に応じて異なってしまうことがある。
【0082】
例えば、図6に示した積算照度と閾値電圧の関係を示す特性が、閾値検出用トランジスタ21が光に曝されない遮光状態で得られるとすると、光に曝されている照射状態の場合、照明光の照度に応じて測定される閾値電圧が異なることになる。従って、図15に示した特性図のように、それぞれの積算照度において計測される閾値電圧が、光の照射状態においては、遮光状態よりも低くなる。あるいは、図6に示した積算照度と閾値電圧の関係を示す特性が、閾値検出用トランジスタ21に所定の照度の光に曝された照射状態で得られるとすると、それぞれの積算照度において計測される閾値電圧が、曝される光の照度に応じて高くなったり低くなったりしてしまう。その結果、閾値電圧によって補正係数Kを光劣化に応じて正しく算出することが出来ないことになる。
【0083】
そこで、変形例として、閾値電圧Vthの計測処理において、閾値検出用トランジスタ21が遮光状態において、閾値検出用トランジスタ21の閾値電圧を検出するようにする。こうすれば、閾値検出用トランジスタ21に光が当たらない遮光状態において、閾値検出用トランジスタ21を駆動することにより、光劣化を表す閾値電圧を正しく検出することが可能となる。
【0084】
(第1変形例)
閾値検出用トランジスタ21に光が当たらない遮光状態を形成する変形例として、閾値検出用トランジスタ21を遮光状態にする遮光手段を、光検出装置に具備するようにしてもよい。こうすれば、閾値検出用トランジスタ21に光が当たらない遮光状態において、閾値検出用トランジスタ21を駆動して、光劣化を表す閾値電圧を正しく検出することが可能となる。
【0085】
本変形例を図16、図17および図18を用いて説明する。図16は、本変形例に係る光検出装置100aの構成概略図であり、図17は、遮光手段の具体例を示す模式図である。また、図18は、本変形例に係る光検出装置100aの動作を表すフローチャートである。
【0086】
図16に示すように、光検出装置100aは、上記実施形態における光検出装置100に対して、遮光手段50と、信号処理部40において遮光手段駆動部47とを備えたものである。その他の構成については、総て光検出装置100と同様であり、同符号を付している。従って、ここでは遮光手段50と遮光手段駆動部47について説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0087】
遮光手段50は、本変形例では光センサ部10および閾値電圧検出部20を遮光するように構成されている。遮光手段50の一例を図17に示した。図17(a)は、遮光手段50として液晶パネル50aを用いた構成例である。液晶パネル50aは、光センサ部10および閾値電圧検出部20を覆うように配置され、液晶に所定の駆動電圧を印加する駆動信号を出力することによって液晶を光変調し、閾値電圧の計測時には光センサ部10および閾値電圧検出部20に対して光が当たらない遮光状態を形成し、入射光量の検出時には、光センサ部10および閾値電圧検出部20に対して光が当たる透光状態を形成する。従って、遮光手段駆動部47は、形成すべき状態に応じた駆動信号を液晶パネル50aに対して出力する。
【0088】
また、図17(b)は、遮光手段50として、遮蔽板51と、この遮蔽板51を移動させるアクチュエータ(例えば、ボールネジとモータなど)52と、を用いた構成例である。遮蔽板51は、アクチュエータ52の移動部材によって図面上下方向に移動する。そして閾値電圧の計測時には、遮蔽板51は光センサ部10および閾値電圧検出部20を覆うように図面下方向に移動して遮光状態を形成し、入射光量の検出時には、遮蔽板51は二点鎖線で示した元の位置に移動して透光状態を形成する。従って、遮光手段駆動部47は、形成すべき状態に応じた駆動信号をアクチュエータ52に対して出力する。
【0089】
このように、遮光手段駆動部47は、光検出装置100aにおいて形成される遮光手段50の構成に応じて、それぞれ必要な駆動信号を出力する電気回路である。なお、遮光手段駆動部47は、閾値電圧計測部42から出力される信号によって、これらの駆動信号を出力する。
【0090】
次に、本変形例の光検出装置100aにおける照射光量の検出処理について、図18を用いて説明する。照射光量の検出処理は、図2のフローチャートに示した上記実施形態における光検出装置100の動作における処理において、「閾値電圧Vthの計測処理(ステップS5)」の前後において、閾値検出用トランジスタ21の遮光処理(ステップS5a)と遮光解除処理(ステップS5b)を追加したものである。なお、照射光量検出処理において、ステップS5a、ステップS5b以外の処理ステップについては、総て光検出装置100の動作と同様であり、同じステップ符号を付している。従って、ここではステップS5aおよびステップS5bの処理について説明し、その他の処理については説明を省略する。
【0091】
本変形例における閾値電圧計測処理では、ステップS4に引き続いて、遮光手段を駆動して閾値検出用トランジスタを遮光処理する。遮光手段駆動部47は、遮光手段50(例えば液晶パネル)に駆動信号を出力して閾値検出用トランジスタ21を遮光する。そして、続くステップS5にて閾値電圧Vthの計測処理を行い、続くステップS5bにて、遮光手段を駆動して閾値検出用トランジスタの遮光を解除処理する。遮光手段駆動部47は、遮光手段50(例えば液晶パネル)に駆動信号を出力して遮光手段50を元の状態に戻し、閾値検出用トランジスタ21の遮光を解除する。このように、閾値検出用トランジスタ21に光が当たらない遮光状態において、閾値検出用トランジスタ21を駆動することにより、光劣化を表す閾値電圧を正しく検出することが可能となる。
【0092】
なお、本変形例では、遮光手段50は、閾値検出用トランジスタ21を遮光すると同時に、光検出用トランジスタ11を同時に遮光する。従って、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11とが同時に遮光されるため、光劣化を同等にできるという効果を有する。なお、閾値電圧の測定時間が短く、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11との光劣化に差異が小さいか生じない場合は、必ずしも光検出用トランジスタ11を同時に遮光しなくてもよい。こうすれば、例えば液晶パネルのサイズを小さくできるなど遮光手段50の小型化や簡素化が可能になる。
【0093】
(第2変形例)
閾値検出用トランジスタ21に光が当たらない遮光状態を形成する他の変形例として、遮光手段を光検出装置に設けることなく、光検出装置が備えられた電子機器において閾値検出用トランジスタ21が遮光される状態が形成されるものとしてもよい。本変形例について、図19および図20を用いて説明する。図19は、本変形例に係る光検出装置100bの構成概略図である。また、図20は、本変形例に係る光検出装置100bの動作を表すフローチャートである。
【0094】
図19に示すように、光検出装置100bは、上記実施形態における光検出装置100に対して、信号処理部40において遮光判定部48を備えたものである。その他の構成については、総て光検出装置100と同様であり、同符号を付している。従って、ここでは遮光判定部48について説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0095】
遮光判定部48は、閾値検出用トランジスタ21が遮光状態か否かを判定し、閾値電圧計測部42に対して遮光状態を示す信号を出力する。閾値電圧計測部42は、遮光判定部48から信号が出力されたとき、つまり遮光状態のときに、閾値検出用トランジスタ21のドレイン端子電圧を閾値電圧Vthとして計測し、その計測結果(つまり閾値電圧Vth)を補正係数決定部43に出力するのである。
【0096】
ここで、本変形例の光検出装置100bは、上記実施形態と同様、図14に示した携帯電話端末500に搭載されている。携帯電話端末500は、折り畳み可能に連結された第1筐体501と第2筐体502とから構成されており、光検出装置100bが備えられた液晶表示装置1000は第1筐体501に備えられている。従って、第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれると、液晶表示装置1000に備えられた光検出装置100bに形成された閾値検出用トランジスタ21(および光検出用トランジスタ11)は、図19に示したように第2筐体502によって遮光されることになる。
【0097】
そこで、遮光判定部48は、携帯電話端末500内において生成される第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれたことを示す信号を、閾値検出用トランジスタ21が遮光状態か否かを判定する判定信号Jsとして受信する。従って、本変形例では、携帯電話端末500において、第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれたことを示す信号が生成されるように構成されている。例えば、第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれたとき、第1筐体501に設けられた突起が、第2筐体502内に設けられたスイッチをオン(またはオフ)して、電圧が変化する信号が生成されるように構成する。そして、この電圧が変化する信号を判定信号Jsとするのである。なお、折り畳み可能に連結された第1筐体501と第2筐体502とから構成された携帯電話端末においては、第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれたことを示す何らかの信号を生成することが大抵行われる。このような場合、遮光判定部48は、この何からの信号を、閾値検出用トランジスタ21が遮光状態か否かを判定する判定信号Jsとして受信すればよい。
【0098】
本変形例の光検出装置100bの動作を、図20のフローチャートに示した。本変形例では、前述するように、閾値電圧Vthの計測処理は、照射光量の検出処理とは別処理として行われる。
【0099】
照射光量の検出処理は、図2のフローチャートに示した上記実施形態における光検出装置100の動作における処理において、「閾値電圧Vthの計測処理(ステップS5)」を、「閾値電圧Vthの取得処理(ステップS5c)」としたものである。そして、この処理とは別の処理として、ステップS51、ステップS52、ステップS53、ステップS54の処理を、閾値電圧計測処理として追加したものである。なお、照射光量検出処理において、ステップS5c以外の処理ステップについては、総て光検出装置100の動作と同様であり、同じステップ符号を付している。従って、ここではステップS5cおよび、ステップS51〜S54の処理について説明し、その他の処理については説明を省略する。
【0100】
先に、閾値電圧計測処理について説明する。本変形例における閾値電圧計測処理は、まずステップS51において、閾値電圧計測のタイミングが到来したか否かを判定処理する。ここでは、上記実施形態と同様に、信号処理部40に時定数計測部41が内部タイマを監視することによって行う。なお、時定数計測部41とは別に、遮光判定部48が内部タイマを監視して、閾値電圧計測のタイミングが到来したか否かを判定することとしてもよい。閾値電圧計測のタイミングについては後述する。
【0101】
判定の結果、閾値電圧計測のタイミングが到来すると(YES)、続くステップS52において、閾値検出用トランジスタは遮光状態か否かを判定処理する。前述したように、遮光判定部48は、携帯電話端末500内において生成される第1筐体501と第2筐体502とが折り畳まれたことを示す信号を受信して判定する。
【0102】
判定の結果、遮光状態(YES)であれば、ステップS53において閾値電圧Vthの計測処理を行う。ステップS53の処理は、上記実施形態におけるステップS5(図2)の処理と同じ処理であり、説明を省略する。この結果、ステップS53にて行われる閾値電圧Vthの計測処理においては、閾値検出用トランジスタ21に対して光が照射しない状態で閾値電圧Vthを計測するので、積算照度に応じた閾値電圧が正しく計測されることになる。
【0103】
次に、ステップS54にて、閾値電圧Vthの上書き記録処理を行う。本変形例では、閾値電圧計測部42は、図19において図示しないメモリを有し、計測した閾値電圧Vthをこのメモリに上書き記録する。その後、ステップS51に戻って、次の閾値電圧計測のタイミング到来の判定処理以降を繰り返す。こうすることによって、計測された常に最新の閾値電圧Vthがメモリに記録される。
【0104】
そこで、本変形例における照射光量検出処理においては、上記実施形態と異なり、ステップS5cにおいて、記録された閾値電圧Vthの取得処理を行う。本変形例では、補正係数決定部43は、閾値電圧計測部42がメモリに記録した閾値電圧Vthを読み出し計測値として処理するのである。以降、上記実施形態と同様に、補正係数Kが算出されて、照射光量の算出処理が行われる。
【0105】
従って、本変形例では、例えば携帯電話端末500の使用(例えば通話)終了時において発生する第1筐体501と第2筐体502との折り畳み動作において、閾値電圧が計測される。従って、例えば光検出用トランジスタについて、次に時定数τの補正をすることが好ましいと想定される程度の光劣化が発生する積算照度に到達する経過時間を、次の閾値電圧計測のタイミングとすることが好ましい。
【0106】
上記実施形態において述べたように、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11について、光劣化の進行に伴う電気的特性の変化傾向を同一とすることが必要であることから、同じ状態で光に曝されることが必要となる。これに対して、本変形例は、閾値電圧計測時において、閾値検出用トランジスタ21と光検出用トランジスタ11とが同時に遮光されるため、光劣化を同等にできるという効果を有する。また、本変形例は、上記第1変形例と異なり、光検出装置に遮光手段を形成しなくて済むので、光検出装置の大型化やコストアップを抑制することができる。
【0107】
(その他の変形例)
本実施形態に係る電子機器として携帯電話端末500を例示したが、本発明はこれに限定されず、PDA(Personal Digital Assistants)やノートパソコン、腕時計等の携帯端末、その他の表示機能を有する各種の電子機器にも適用することができる。例えば、表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイなども含まれる。
【0108】
一例として、電子機器が、非撮影時に撮影用レンズを覆い、撮影時に当該撮影用レンズを露出させる開閉可能なレンズカバーを有するデジタルカメラであった場合は、上記変形例において遮光手段はレンズカバーと連動して移動する部材で形成するようにしてもよい。こうすれば、例えばレンズカバーが閉じる状態によって、容易に遮光状態を形成することができるとともに、遮光状態の形成を容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の一実施形態における光検出装置の構成概略図である。
【図2】本発明の一実施形態における光検出装置の動作フローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態における光検出装置の動作に関する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態における光検出装置の光劣化補正原理に関する第1説明図である。
【図5】本発明の一実施形態でおける光検出装置の光劣化補正原理に関する第2説明図である。
【図6】本発明の一実施形態でおける光検出装置の光劣化補正原理に関する第3説明図である。
【図7】本発明の一実施形態でおける光検出装置の光劣化補正原理に関する第4説明図である。
【図8】本発明の一実施形態でおける光検出装置の光劣化補正原理に関する第5説明図である。
【図9】本発明の一実施形態でおける光検出装置の光劣化補正原理に関する第6説明図である。
【図10】本発明の一実施形態における光検出装置の動作変形例である。
【図11】本発明の一実施形態における液晶表示装置(電気光学装置)の第1説明図である。
【図12】本発明の一実施形態における液晶表示装置の第2説明図である。
【図13】本発明の一実施形態における液晶表示装置の第3説明図である。
【図14】本発明の一実施形態における携帯電話端末(電子機器)の外観図である。
【図15】閾値電圧が光の照射形態で変化する様子を説明する説明図である。
【図16】第1変形例の光検出装置の構成を説明する構成概略図である。
【図17】第1変形例の光検出装置が具備する遮光手段の一例で、(a)は遮光手段が液晶パネルの場合、(b)は遮光手段が遮蔽板とアクチュエータの場合を、それぞれ示す構成図である。
【図18】第1変形例の光検出装置が行う動作フローチャートである。
【図19】第2変形例の光検出装置の構成を説明する構成概略図である。
【図20】第2変形例の光検出装置が行う動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0110】
10…光センサ部、11…光検出用トランジスタ、12…コンデンサ、13…スイッチ、20…閾値電圧検出部、21…閾値検出用トランジスタ、22…抵抗素子、30…電圧供給部、40…信号処理部、41…時定数計測部、42…閾値電圧計測部、43…補正係数決定部、44…補正処理部、47…遮光手段駆動部、48…遮光判定部、50…遮光手段、100,100a,100b…光検出装置、300…バックライト制御部、500…携帯電話端末、1000…液晶表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出用トランジスタを有し、当該光検出用トランジスタに対する照射光量に応じた信号を出力する光センサ部と、
前記光検出用トランジスタと隣接して配置されていると共に前記光検出用トランジスタと同一プロセスで形成された閾値検出用トランジスタを有し、当該閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出する閾値電圧検出部と、
前記光センサ部の出力信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成するセンサ出力値生成部と、
予め前記光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対する前記センサ出力値の変化と前記閾値電圧の変化との関係性を基に作成された、前記光劣化に起因する前記センサ出力値の変化を補正するための補正係数と前記閾値電圧との対応関係に基づいて、前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を決定する補正係数決定部と、
前記補正係数決定部にて決定された補正係数に基づいて、前記センサ出力値を補正する補正処理部と、
を備えることを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記補正係数決定部は、前記補正係数と前記閾値電圧との対応関係を表す演算式に基づいて、前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を算出することを特徴とする請求項1記載の光検出装置。
【請求項3】
前記補正係数決定部は、前記補正係数と前記閾値電圧との対応関係を表すルックアップテーブルを記憶しており、当該ルックアップテーブルから前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を取得することを特徴とする請求項1記載の光検出装置。
【請求項4】
Nチャネル型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、ソース端子が基準電位線と接続され、ゲート端子がゲート電圧線と接続された前記光検出用トランジスタと、
一方の電極が前記光検出用トランジスタのドレイン端子と接続され、他方の電極が前記基準電位線と接続されたコンデンサと、
前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を、第1の駆動電圧線と出力信号線とのいずれかに切り替えるためのスイッチと、を有する前記光センサ部と、
Nチャネル型MOSトランジスタであり、ドレイン端子とゲート端子とが接続され、ソース端子が前記基準電位線と接続された前記閾値検出用トランジスタと、
一端が前記閾値検出用トランジスタのドレイン端子と接続され、他端が第2の駆動電圧線と接続されていると共に、前記閾値検出用トランジスタのオン抵抗より高く且つオフ抵抗より低い抵抗値に設定された抵抗素子と、を有する前記閾値電圧検出部と、
前記第1の駆動電圧線に前記コンデンサを充電させるための第1の駆動電圧を供給し、前記ゲート電圧線に前記光検出用トランジスタをオフ状態にするためのゲート電圧を供給し、前記第2の駆動電圧線に前記閾値検出用トランジスタの最大閾値電圧より高い第2の駆動電圧を供給し、前記基準電位線に基準電位を供給する電圧供給部と、
を備え、
前記センサ出力値生成部は、前記照射光量の検出開始時において、前記スイッチを制御して前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を前記第1の駆動電圧線に切り替え、前記コンデンサが満充電状態となる時間の経過後に前記スイッチを制御して前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を前記出力信号線に切り替え、当該出力信号線の電位が所定の電位に低下するまでの時定数を前記センサ出力値として計測し、
前記補正係数決定部は、前記閾値検出用トランジスタのドレイン端子の電圧を前記閾値電圧として取得し、当該取得した閾値電圧に対応する前記補正係数を決定し、
前記補正処理部は、前記補正係数決定部にて決定された前記補正係数に基づいて前記センサ出力値としての時定数を補正する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記電圧供給部は、少なくとも前記照射光量の検出開始時から前記時定数及び前記閾値電圧の計測完了までの期間では、前記ゲート電圧線に前記光検出用トランジスタをオフ状態にするためのゲート電圧を供給すると共に前記第2の駆動電圧線に前記閾値検出用トランジスタの最大閾値電圧より高い第2の駆動電圧を供給する一方、その他の期間では前記ゲート電圧及び前記第2の駆動電圧を変化させることを特徴とする請求項4記載の光検出装置。
【請求項6】
前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、アモルファスシリコンTFT(Thin Film Transistor)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項7】
表示領域にスイッチング用トランジスタを有する複数の画素、走査線及びデータ線が形成された基板と、当該基板と対となる対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された電気光学材料とを備える電気光学装置であって、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の光検出装置を備え、
少なくとも前記光検出装置における前記光センサ部及び前記閾値電圧検出部は、前記基板上の表示領域以外の領域に設けられており、
前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、前記スイッチング用トランジスタと同一プロセスにより前記基板上に形成されている、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
前記電気光学材料は液晶であり、
バックライトと、
前記光検出装置における前記補正処理部にて補正されたセンサ出力値を基に前記バックライトの光量を制御するバックライト制御部と、
を備えることを特徴とする請求項7記載の電気光学装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の電気光学装置を表示装置として備えることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記閾値検出用トランジスタに対して光が当たらない遮光状態が形成されたか否かを判定する遮光判定部を備え、
前記閾値電圧検出部は、前記遮光判定部が判定した前記閾値検出用トランジスタの遮光状態において、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項11】
表示領域にスイッチング用トランジスタを有する複数の画素、走査線及びデータ線が形成された基板と、当該基板と対となる対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された電気光学材料とを備える電気光学装置であって、
請求項10記載の光検出装置を備え、
少なくとも前記光検出装置における前記光センサ部及び前記閾値電圧検出部は、前記基板上の表示領域以外の領域に設けられており、
前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、前記スイッチング用トランジスタと同一プロセスにより前記基板上に形成されている、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
前記電気光学材料は液晶であり、
バックライトと、
前記光検出装置における前記補正処理部にて補正されたセンサ出力値を基に前記バックライトの光量を制御するバックライト制御部と、
を備えることを特徴とする請求項11記載の電気光学装置。
【請求項13】
前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成する遮光手段を有し、
請求項11または12に記載の電気光学装置を表示装置として備えることを特徴とする電子機器。
【請求項14】
前記遮光手段は、前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成するとともに前記光検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成することを特徴とする請求項13記載の電子機器。
【請求項15】
前記電子機器は、非使用時に前記表示装置を覆い、使用時に当該表示装置を露出させる筐体部を有する携帯電話であり、前記遮光手段は当該筐体部であることを特徴とする請求項13または14に記載の電子機器。
【請求項16】
遮光手段を有し、
前記閾値電圧検出部は、前記遮光手段を用いて前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成した状態で、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項17】
前記遮光手段は、前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成するとともに前記光検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成することを特徴とする請求項16記載の光検出装置。
【請求項18】
表示領域にスイッチング用トランジスタを有する複数の画素、走査線及びデータ線が形成された基板と、当該基板と対となる対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された電気光学材料とを備える電気光学装置であって、
請求項16または17に記載の光検出装置を備え、
少なくとも前記光検出装置における前記光センサ部及び前記閾値電圧検出部は、前記基板上の表示領域以外の領域に設けられており、
前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、前記スイッチング用トランジスタと同一プロセスにより前記基板上に形成されている、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項19】
前記電気光学材料は液晶であり、
バックライトと、
前記光検出装置における前記補正処理部にて補正されたセンサ出力値を基に前記バックライトの光量を制御するバックライト制御部と、
を備えることを特徴とする請求項18記載の電気光学装置。
【請求項20】
請求項18または19に記載の電気光学装置を表示装置として備えることを特徴とする電子機器。
【請求項21】
光検出用トランジスタを有する光センサ部を用いて前記光検出用トランジスタに対する照射光量に応じた信号を取得する第1の工程と、
前記第1の工程により取得した信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成する第2の工程と、
前記光検出用トランジスタと隣接して配置されていると共に前記光検出用トランジスタと同一プロセスで形成された閾値検出用トランジスタを有する閾値電圧検出部を用いて前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出する第3の工程と、
予め前記光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対する前記センサ出力値の変化と前記閾値電圧の変化との関係性を基に作成された、前記光劣化に起因する前記センサ出力値の変化を補正するための補正係数と前記閾値電圧との対応関係に基づいて、前記第3の工程にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を決定する第4の工程と、
前記第4の工程にて決定された補正係数に基づいて、前記第2の工程にて生成されたセンサ出力値を補正する第5の工程と、
を含むことを特徴とする光劣化補正方法。
【請求項22】
前記第3の工程は、前記閾値検出用トランジスタが光に曝されない遮光状態において、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することを特徴とする請求項21記載の光劣化補正方法。
【請求項1】
光検出用トランジスタを有し、当該光検出用トランジスタに対する照射光量に応じた信号を出力する光センサ部と、
前記光検出用トランジスタと隣接して配置されていると共に前記光検出用トランジスタと同一プロセスで形成された閾値検出用トランジスタを有し、当該閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出する閾値電圧検出部と、
前記光センサ部の出力信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成するセンサ出力値生成部と、
予め前記光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対する前記センサ出力値の変化と前記閾値電圧の変化との関係性を基に作成された、前記光劣化に起因する前記センサ出力値の変化を補正するための補正係数と前記閾値電圧との対応関係に基づいて、前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を決定する補正係数決定部と、
前記補正係数決定部にて決定された補正係数に基づいて、前記センサ出力値を補正する補正処理部と、
を備えることを特徴とする光検出装置。
【請求項2】
前記補正係数決定部は、前記補正係数と前記閾値電圧との対応関係を表す演算式に基づいて、前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を算出することを特徴とする請求項1記載の光検出装置。
【請求項3】
前記補正係数決定部は、前記補正係数と前記閾値電圧との対応関係を表すルックアップテーブルを記憶しており、当該ルックアップテーブルから前記閾値電圧検出部にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を取得することを特徴とする請求項1記載の光検出装置。
【請求項4】
Nチャネル型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、ソース端子が基準電位線と接続され、ゲート端子がゲート電圧線と接続された前記光検出用トランジスタと、
一方の電極が前記光検出用トランジスタのドレイン端子と接続され、他方の電極が前記基準電位線と接続されたコンデンサと、
前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を、第1の駆動電圧線と出力信号線とのいずれかに切り替えるためのスイッチと、を有する前記光センサ部と、
Nチャネル型MOSトランジスタであり、ドレイン端子とゲート端子とが接続され、ソース端子が前記基準電位線と接続された前記閾値検出用トランジスタと、
一端が前記閾値検出用トランジスタのドレイン端子と接続され、他端が第2の駆動電圧線と接続されていると共に、前記閾値検出用トランジスタのオン抵抗より高く且つオフ抵抗より低い抵抗値に設定された抵抗素子と、を有する前記閾値電圧検出部と、
前記第1の駆動電圧線に前記コンデンサを充電させるための第1の駆動電圧を供給し、前記ゲート電圧線に前記光検出用トランジスタをオフ状態にするためのゲート電圧を供給し、前記第2の駆動電圧線に前記閾値検出用トランジスタの最大閾値電圧より高い第2の駆動電圧を供給し、前記基準電位線に基準電位を供給する電圧供給部と、
を備え、
前記センサ出力値生成部は、前記照射光量の検出開始時において、前記スイッチを制御して前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を前記第1の駆動電圧線に切り替え、前記コンデンサが満充電状態となる時間の経過後に前記スイッチを制御して前記光検出用トランジスタのドレイン端子の接続先を前記出力信号線に切り替え、当該出力信号線の電位が所定の電位に低下するまでの時定数を前記センサ出力値として計測し、
前記補正係数決定部は、前記閾値検出用トランジスタのドレイン端子の電圧を前記閾値電圧として取得し、当該取得した閾値電圧に対応する前記補正係数を決定し、
前記補正処理部は、前記補正係数決定部にて決定された前記補正係数に基づいて前記センサ出力値としての時定数を補正する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記電圧供給部は、少なくとも前記照射光量の検出開始時から前記時定数及び前記閾値電圧の計測完了までの期間では、前記ゲート電圧線に前記光検出用トランジスタをオフ状態にするためのゲート電圧を供給すると共に前記第2の駆動電圧線に前記閾値検出用トランジスタの最大閾値電圧より高い第2の駆動電圧を供給する一方、その他の期間では前記ゲート電圧及び前記第2の駆動電圧を変化させることを特徴とする請求項4記載の光検出装置。
【請求項6】
前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、アモルファスシリコンTFT(Thin Film Transistor)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項7】
表示領域にスイッチング用トランジスタを有する複数の画素、走査線及びデータ線が形成された基板と、当該基板と対となる対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された電気光学材料とを備える電気光学装置であって、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の光検出装置を備え、
少なくとも前記光検出装置における前記光センサ部及び前記閾値電圧検出部は、前記基板上の表示領域以外の領域に設けられており、
前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、前記スイッチング用トランジスタと同一プロセスにより前記基板上に形成されている、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
前記電気光学材料は液晶であり、
バックライトと、
前記光検出装置における前記補正処理部にて補正されたセンサ出力値を基に前記バックライトの光量を制御するバックライト制御部と、
を備えることを特徴とする請求項7記載の電気光学装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の電気光学装置を表示装置として備えることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記閾値検出用トランジスタに対して光が当たらない遮光状態が形成されたか否かを判定する遮光判定部を備え、
前記閾値電圧検出部は、前記遮光判定部が判定した前記閾値検出用トランジスタの遮光状態において、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項11】
表示領域にスイッチング用トランジスタを有する複数の画素、走査線及びデータ線が形成された基板と、当該基板と対となる対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された電気光学材料とを備える電気光学装置であって、
請求項10記載の光検出装置を備え、
少なくとも前記光検出装置における前記光センサ部及び前記閾値電圧検出部は、前記基板上の表示領域以外の領域に設けられており、
前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、前記スイッチング用トランジスタと同一プロセスにより前記基板上に形成されている、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
前記電気光学材料は液晶であり、
バックライトと、
前記光検出装置における前記補正処理部にて補正されたセンサ出力値を基に前記バックライトの光量を制御するバックライト制御部と、
を備えることを特徴とする請求項11記載の電気光学装置。
【請求項13】
前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成する遮光手段を有し、
請求項11または12に記載の電気光学装置を表示装置として備えることを特徴とする電子機器。
【請求項14】
前記遮光手段は、前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成するとともに前記光検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成することを特徴とする請求項13記載の電子機器。
【請求項15】
前記電子機器は、非使用時に前記表示装置を覆い、使用時に当該表示装置を露出させる筐体部を有する携帯電話であり、前記遮光手段は当該筐体部であることを特徴とする請求項13または14に記載の電子機器。
【請求項16】
遮光手段を有し、
前記閾値電圧検出部は、前記遮光手段を用いて前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成した状態で、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項17】
前記遮光手段は、前記閾値検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成するとともに前記光検出用トランジスタに光が当たらない遮光状態を形成することを特徴とする請求項16記載の光検出装置。
【請求項18】
表示領域にスイッチング用トランジスタを有する複数の画素、走査線及びデータ線が形成された基板と、当該基板と対となる対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された電気光学材料とを備える電気光学装置であって、
請求項16または17に記載の光検出装置を備え、
少なくとも前記光検出装置における前記光センサ部及び前記閾値電圧検出部は、前記基板上の表示領域以外の領域に設けられており、
前記光検出用トランジスタ及び前記閾値検出用トランジスタは、前記スイッチング用トランジスタと同一プロセスにより前記基板上に形成されている、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項19】
前記電気光学材料は液晶であり、
バックライトと、
前記光検出装置における前記補正処理部にて補正されたセンサ出力値を基に前記バックライトの光量を制御するバックライト制御部と、
を備えることを特徴とする請求項18記載の電気光学装置。
【請求項20】
請求項18または19に記載の電気光学装置を表示装置として備えることを特徴とする電子機器。
【請求項21】
光検出用トランジスタを有する光センサ部を用いて前記光検出用トランジスタに対する照射光量に応じた信号を取得する第1の工程と、
前記第1の工程により取得した信号を基に照射光量に関するセンサ出力値を生成する第2の工程と、
前記光検出用トランジスタと隣接して配置されていると共に前記光検出用トランジスタと同一プロセスで形成された閾値検出用トランジスタを有する閾値電圧検出部を用いて前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出する第3の工程と、
予め前記光検出用トランジスタの光劣化の進行度に対する前記センサ出力値の変化と前記閾値電圧の変化との関係性を基に作成された、前記光劣化に起因する前記センサ出力値の変化を補正するための補正係数と前記閾値電圧との対応関係に基づいて、前記第3の工程にて検出された閾値電圧に対応する前記補正係数を決定する第4の工程と、
前記第4の工程にて決定された補正係数に基づいて、前記第2の工程にて生成されたセンサ出力値を補正する第5の工程と、
を含むことを特徴とする光劣化補正方法。
【請求項22】
前記第3の工程は、前記閾値検出用トランジスタが光に曝されない遮光状態において、前記閾値検出用トランジスタの閾値電圧を検出することを特徴とする請求項21記載の光劣化補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−265074(P2009−265074A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211462(P2008−211462)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
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