説明

光活性化方法及び逆転した2段階工程による触媒の使用

本発明は、特定の光潜在性触媒(a)の適用方法であって、前記触媒を含む組成物を、後続処理する前に照射に付す方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒の光活性化の方法であって、前記触媒を含む配合物を、前記配合物を後続処理、すなわち基材に塗布する前に、照射することによる、光活性化の方法に関する。
【0002】
光潜在性触媒を含む配合物の照射による硬化は知られている。放射線硬化はこれまで、最も重要視すべき事項を、ラジカル硬化性組成物を適用することができる分野に見出した。これらのラジカル硬化系用の光潜在性触媒の宿主が開発された。
【0003】
さらに、光潜在性酸及び適切な架橋成分を含む組成物の架橋、並びに、たとえばフォトレジスト技術における光活性的に放出された酸による保護基の開裂は知られている。
【0004】
前記適用の全てにおいて、照射及びそれによる光潜在性触媒の活性化は、配合物の基材への塗布の後に行う。
【0005】
この方法を用いて、厚いコーティング層、あるいは十分に通り抜けて硬化を伴う放射線を吸収するか散乱させる顔料、ガラス繊維、又は他の充填剤が配合されているために不透明なコーティングを硬化させることは、難しいか又は不可能でさえある。
【0006】
さらに、特に三次元物体上の、陰になる又は露光の乏しい範囲の硬化は難しく、そしてそのような場合には照射ユニットをコーティングする物体の寸法及び形状に適応させなければならず、これは高性能で高価なランプデザインを必要とする。環境、健康、及び安全に関して、広範囲にわたる保護対策が必要であり、たとえば、塗布及び前記組成物の硬化を行っている労働者を保護するための特定の工程を行わなければならない。
【0007】
EP 1002587では、ラッカー組成物を基材と接触させるより前に照射を行う、スプレーガンでラッカーコーティングを塗布する方法が提案されている。前記方法での適切な配合物として、ほぼ全ての公知の放射線硬化性、すなわちラジカル、酸、及び塩基硬化性系が挙げられているが、どのようにこの方法を実際に実施する及び働かすことができるかという具体例が全く示されていない。
【0008】
WO 04/069427では、光源をノズルの外側に置いたスプレーガンを用いる類似の方法についての例が示されており、塩基触媒硬化配合物及び特定の光潜在性塩基、すなわち2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[3,5−ジメトキシフェニル]−1−ブタノンを使用している。
【0009】
上述した欠点を、配合物を塗布し、次に放射線を照射して硬化を引き起こすこの工程を逆にして組み合わせた、非ラジカル光硬化性系を使用することで、そして特定の配合物を使用することで、克服することができることが今や見出された。
【0010】
本発明の対象は、光潜在性触媒(a)の適用方法であって、前記触媒を含む組成物を、後続処理する前に照射に付し、光潜在性触媒が、
(a1)式VI:
【0011】
【化10】

【0012】
(式中、Ra2は、直接結合、S、O、CH2、(CH22、CO又はNR96であり;
a3、Ra4、Ra5、及びRa6は、互いに独立して、H、C1〜C20アルキル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニル、CN、OH、ハロゲン、C1〜C6アルキルチオ、フェニル、ナフチル、フェニル−C1〜C7アルキル、ナフチル−C1〜C3アルキル、フェノキシ、ナフチルオキシ、フェニル−C1〜C7アルキルオキシ、ナフチル−C1〜C3アルキルオキシ、フェニル−C2〜C6アルケニル、ナフチル−C2〜C4アルケニル、S−フェニル、(CO)Ra8、O(CO)Ra8、(CO)ORa8、SO2a8、OSO2a8であり;
a7は、C1〜C20アルキル、C1〜C20ヒドロキシアルキル、
【0013】
【化11】

【0014】
であり;
a8は、H、C1〜C12アルキル、C1〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;
a9は、直接結合、S、O又はCH2であり;
a10、Ra11、Ra12、及びRa13は、互いに独立して、Ra3について示した意味の一つを有するか
;又はRa10及びRa12は、結合してこれらが結合したベンゼン環と共に縮合環系を形成し;
a14は、
【0015】
【化12】

【0016】
であり;
Zは、アニオン、特にPF6、SbF6、AsF6、BF4、(C654B、Cl、Br、HSO4、CF3−SO3、F−SO3
【0017】
【化13】

【0018】
、CH3−SO3、ClO4、PO4、NO3、SO4、CH3−SO4
【0019】
【化14】

【0020】
である)の光潜在性酸であるか;
又は光潜在性酸(a1)は、芳香族ホスホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、又はオキシム系光潜在性酸よりなる群から選択される化合物であるか;あるいは
(a2)光潜在性塩基化合物であり、ただし組成物がチオールと組み合わせてイソシアネートを含む場合、(3,4−ジメトキシ−ベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパンを除外することを特徴とする方法である。
【0021】
本特許請求の方法を特徴づけるのは、前記触媒を含む組成物を照射に付することで光潜在性触媒の活性化を、後続処理、たとえば基材への塗布に先立って実施する、および特定の配合物及び触媒を使用するという事実である。
【0022】
本発明による方法を用いて、1パック又は2パックの配合物を、適用に先立って、即座の硬化の発生なく、要望に応じて活性化することができる。硬化が始まるまでの配合物の遅延時間は、樹脂成分の変性で、触媒の活性で、又は適用方法の要件に対して望ましいレベルに十分な反応抑制剤を使用することで、調整してもよい。活性化が適用工程から分かれているので、適用方法の要件に依存せず、任意の線源を使用して配合物を活性化することができる。たとえば、本発明による方法を用いて、従来の方法の条件下ではこのような場合には陥るにちがいない安全性の問題の課題を伴わずに、高エネルギー紫外線を使用して、効率よく触媒を遊離することができる。高エネルギー放射線を使用することで、硬化したフィルム中に望ましくない黄変を引き起こすか、又は環境からの日光で活性化する場合がある、深色移行発色団の使用を避けることができる。
【0023】
本発明による方法において関連する方法の工程の順序のために、触媒の活性化と配合物の硬化の間に、コーティングの塗布の前又は後のいずれかに、他の方法の工程を必要に応じて取り入れてもよい(たとえばコーティングされた物体の形成、ラミネート型構造の堆積など)。本発明による方法を用いて、ブロック化触媒の存在下で、従来の2K系を使いやすい1K系に変換することが可能であり、これは容易な取り扱いと、すぐに使用できる配合物の保存寿命の延長とを可能にする。高い反応性の2K系は、ペイント装置の中で、混合後、材料の架橋がすぐに開始するので、停止時間が生じる場合がある工業的方法では現在のところ取り扱うのが難しい。機械の停止時間の間に、塗布装置中で、配合物がゲル化すると、これは材料の損失及び/又は装置の損傷をもたらす場合がある。
【0024】
本発明による方法を用いて、今や、触媒作用をしうる幅広い種類の配合物を好都合に取り扱い、そして放射線硬化性系として塗布することができる。利点は、触媒活性化後の調整可能な反応性、したがってより低い温度での硬化である。
【0025】
架橋又は後続処理する対応する組成物に応じて、たとえば光潜在性触媒(a)は光潜在性酸化合物(a1)又は光潜在性塩基化合物(a2)である。光潜在性酸化合物は、照射すると酸を放出する化合物であり、一方、光潜在性塩基化合物は電磁波を照射すると塩基を放出する化合物であると理解される。
【0026】
したがって、興味があることは、上述したように
(A)光潜在性触媒(a)が光潜在性酸(a1)であり、かつ組成物が酸触媒の硬化性化合物(b)を含むか;又は
(B)光潜在性触媒(a)が光潜在性塩基(a2)であり、かつ組成物が塩基触媒の硬化性化合物(c)を含むか;又は
(C)光潜在性触媒(a)が少なくとも1種の光潜在性塩基触媒(a2)と少なくとも1種の光潜在性酸触媒(a1)との混合物であり、かつ組成物が酸触媒硬化性化合物(b)と塩基触媒の硬化性化合物(c)との混合物を含み、ただし(a1)及び(a2)が選択的に活性化される、
方法である。
【0027】
架橋成分(b)に適切な光開始剤(a1)は、たとえば光潜在性Lewis及びBronstedt酸、カチオン光開始剤、たとえば、芳香族スルホニウム塩(たとえばWO 03/072567及びWO 03/00840に記載されているような)、ホスホニウム又はヨードニウム塩(たとえばUS 4 950 581, column 18, line 60 to column 19, line 10、WO 01/09075、WO 98/46647、US 6306555、又はWO 01/44343に記載されているような)、非イオン性光潜在性酸、たとえば光潜在性スルホン酸、たとえばオキシム系光潜在性酸(たとえばGB 2348644、US 4450598、US 4136055、WO 00/10972、WO 00/26219、WO 02/25376、WO 02/98870、WO 03/067332、及びWO 04/074242に記載されているような)、α−スルホニルオキシケトン(Berner et al., J. Radiat. Curing 1986, 13(4), 10により記載されているような)、α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホネート(EP 89922に記載されている)、オルト−ニトロベンジルスルホネート(Houlihan et al. Macromolecules 1988, 21, 2001により報告されている)、スルホン酸の4−ニトロベンジルベンジルエステル(Naitho et al, J. Phys. Chem. 1992, 96, 238により報告されている)、ペンタフルオロベンジルスルホネート(Barclay et al. 10th Int. Conf. On Photopolyme., Abstracts Session II PISPE, 1994により記載されている)、アリールジアジドナフトキノン−4−スルホネート(Buhr et al. Polym. Mat. Sci. Eng. 1989, 61, 269により記載されている)、α−スルホニルアセトフェノン(LiBassi et al, Conf. Proc. Radcure 86, 4/27 1986により記載されている)、2−ヒドロキシ又は2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンのメタンスルホネートエステル(Pappas et al, J. Radiat. Curing 1980, 71(1), 2により報告されているような)、ピロガロールのスルホネートエステル及びその類似物(Ueno et al. Polym. Eng. Sci. 1992, 32, 1511により記載されている)、ジアリールジスルホン(Aoai et al., J. Photopolym. Sci. Tenol. 1990, 3, 389により記載されている)、N−スルホニルオキシイミド(Rennerらにより米国特許第4371605号に報告されているような)、又はスルホン化N−ヒドロキシルアミン(US 4 371 605に記載されているような)である。非イオン性光潜在性酸のさらに他の型、たとえばトリクロロメチルトリアジン誘導体(たとえばEP 332044に記載されているような)、α−ハロゲン化アセトフェノン誘導体(Peeters et al., Polym. Paint. Colour J 1989, 179. 304により記載されている)、ビシナルジブロミド(Gannon et al, J. Org. Chem. 1993, 58, 913により報告されている)、トリアリールホスフェート(Givens et al. Chem. Rev. 1993, 93, 55により記載されている)、又はオルト−ニトロベンジルトリアリールシロキサンエーテルのアルミニウム錯体との組み合わせ(Hayase et al, Macromolecules 1985, 18, 1799により記載されている)も使用することができる。
【0028】
好ましい光潜在性酸は、たとえば、式V、VI、VII又は/及びVIIa:
【0029】
【化15】

【0030】
(式中、Ra0及びRa1は、互いに独立して、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、OH−置換C1〜C20アルコキシ、ハロゲン、C2〜C12アルケニル、シクロアルキル、特にメチル、イソプロピル又はイソブチルであり;そして
Zは、アニオン、特にPF6、SbF6、AsF6、BF4、(C654B、Cl、Br、HSO4、CF3−SO3、F−SO3
【0031】
【化16】

【0032】
、CH3−SO3、ClO4、PO4、NO3、SO4、CH3−SO4
【0033】
【化17】

【0034】
である);
【0035】
【化18】

【0036】
(式中、Ra2は、直接結合、S、O、CH2、(CH22、CO又はNR96であり;
a3、Ra4、Ra5、及びRa6は、互いに独立して、H、C1〜C20アルキル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニル、CN、OH、ハロゲン、C1〜C6アルキルチオ、フェニル、ナフチル、フェニル−C1〜C7アルキル、ナフチル−C1〜C3アルキル、フェノキシ、ナフチルオキシ、フェニル−C1〜C7アルキルオキシ、ナフチル−C1〜C3アルキルオキシ、フェニル−C2〜C6アルケニル、ナフチル−C2〜C4アルケニル、S−フェニル、(CO)Ra8、O(CO)Ra8、(CO)ORa8、SO2a8、OSO2a8であり;
a7は、C1〜C20アルキル、C1〜C20ヒドロキシアルキル、
【0037】
【化19】

【0038】
であり;
a8は、H、C1〜C12アルキル、C1〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;
a9は、直接結合、S、O又はCH2であり;
a10、Ra11、Ra12、及びRa13は、互いに独立して、Ra3について示した意味の一つを有するか;又はRa10及びRa12は、結合してこれらが結合したベンゼン環と共に縮合環系を形成し;
a14は、
【0039】
【化20】

【0040】
であり;
Zは、前記定義の通りである);
【0041】
【化21】

【0042】
(式中、Ra15は、
【0043】
【化22】

【0044】
、(CO)O−C1〜C4アルキル、CN又はC1〜C12ハロアルキルであり;
a16は、Ra15について示した定義の一つを有するか、又は
【0045】
【化23】

【0046】
であり;
a17は、C1〜C18アルキルスルホニル、C1〜C10ハロアルキルスルホニル、カンホリルスルホニル、フェニル−C1〜C3アルキル−スルホニル、C3〜C30シクロアルキルスルホニル、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル、アントラシルスルホニル、又はフェナントリルスルホニル(基C3〜C30シクロアルキルスルホニル、フェニル−C1〜C3アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル、アントラシルスルホニル、及びフェナントリルスルホニルの基シクロアルキル、フェニル、ナフチル、アントラシル、及びフェナントリルは、非置換であるか又はハロゲン、C1〜C4ハロアルキル、CN、NO2、C1〜C16アルキル、フェニル、C1〜C4アルキルチオ、C1〜C4アルコキシ、フェノキシ、C1〜C4アルキル−O(CO)−、C1〜C4アルキル−(CO)O−、Ra27OSO2−及び/又は−NRa20a21置換基1種以上で置換されている)であるか;又はRa17は、C2〜C6ハロアルカノイル、ハロベンゾイル、
【0047】
【化24】

【0048】
であり;
1、X2、及びX3は、互いに独立して、O又はSであり;
qは、0又は1であり;そして
a18は、C1〜C12アルキル、シクロヘキシル、カンホリル、非置換フェニル、又はハロゲン、C1〜C12アルキル、ORa19、SRa19若しくはNRa2a21置換基1種以上で置換されたフェニルであり;
a19は、C1〜C12アルキル、フェニル、フェニル−C1〜C4アルキル又はC1〜C12ヒドロキシアルキルであり;
a20及びRa21は、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C6ヒドロキシアルキルであるか、又はRa20及びRa21は、これらが結合したN原子と一緒になって、O原子若しくはNRa22基を含有してもよい5又は6員環を形成し;
a22は、水素、フェニル、フェニル−C1〜C4アルキル、C1〜C12アルキル又はC2〜C5ヒドロキシアルキルであり;
a23、Ra24、Ra25、及びRa26は、互いに独立して、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル;又は非置換の、又はC1〜C4アルキル若しくはハロゲンで置換されたフェニルであり;そして
a27は、水素、C1〜C4アルキル、フェニル又はトリルである)の化合物である。
【0049】
基の特定の意味は上述の通りである。
【0050】
式V、VI、VII、及びVIIaの化合物は、一般に知られており、そして場合によっては商業的に入手可能である。その製法は、当業者に知られており、しばしば文献に記載されている。
【0051】
適切なヨードニウム塩は、たとえばトリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−[(2−ヒドロキシ−テトラデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート又はヘキサフルオロホスフェート(SarCat(登録商標)CD 1012;Sartomer)、トリルクミルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(IRGACURE(登録商標)250、Ciba Spezialitatenchemie)、4−オクチルオキシフェニル−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート又はヘキサフルオロアンチモナート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート又はヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4’−エトキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4’−ドデシルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4’−フェノキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートである。挙げた全てのヨードニウム塩の他のアニオンとの化合物も当然適切である。ヨードニウム塩の製法は、当業者に知られており、文献、たとえばUS 4 151 175、US 3 862 333、US 4 694 029、EP 562 897、US 4 399 071、US 6 306 555、WO 98/46647、J. V. Crivello, "Photoinitiated Cationic Polymerization" in: UV Curing: Science and Technology, Editor S. P. Pappas, pages 24-77, Technology Marketing Corporation, Norwalk, Conn. 1980, ISBN No. 0-686-23773-0; J. V. Crivello, J. H. W. Lam, Macromolecules, 10, 1307 (1977) and J. V. Crivello, Ann. Rev. Mater. Sci. 1983, 13, pages 173-190 and J. V. Crivello, Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry, Vol. 37, 4241-4254 (1999)に記載されている。
【0052】
好ましいヨードニウム塩は、トリルクミルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート及び4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートである。
【0053】
適切なオキシムスルホネート及びその製法は、たとえば、WO 00/10972、WO 00/26219、GB 2348644、US 4450598、WO 98/10335、WO 99/01429、EP 780 729、EP 821 274、US 5 237 059、EP 571 330、EP 241 423、EP 139 609、EP 361 907、EP 199 672、EP 48615、EP 12158、US 4136055、WO 02/25376、WO 02/98870、WO 03/067332、及びWO 04/074242に見ることができる。
【0054】
別の光潜在性酸供与体の概説が、レビューの形態で、M. Shirai及びM. TsunookaによるProg. Polym. Sci., Vol. 21, 1-45 (1996)に、及びJ. Crivello, K. Dietliker, "Photoinititiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerisation", 2nd Edition, Volume III in the Series "Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints", John Wiley/SITA Technology Limited, London, 1998, chapter III(p. 329-463) に示されている。
【0055】
本発明による方法において好ましい光潜在性酸は、4−オクチルオキシフェニル−フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート、4−(2−ヒドロキシ−テトラデシル−1−オキシフェニル)−フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート、4−デシルオキシフェニル−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−デシルフェニル−フェニル−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−イソブチル−フェニル−4’−メチルフェニル−ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、特にトリルクミルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート及び4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェートである。適切なオキシムスルホネートの例は、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジル−シアニド、α−(オクチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−3−メトキシベンジルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−3,4−ジメチルベンジルシアニド、α−(メチル−スルホニルオキシイミノ)−チオフェン−3−アセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−チオフェン−2−アセトニトリル、シス/トランス−α−(ドデシルスルホニルオキシイミノ)−チオフェン−2−アセトニトリル、
【0056】
【化25】

【0057】
(式中、Rcは、ハロアルキル、特にCF3、及びアルキル、特にプロピルである);
【0058】
【化26】

【0059】
(式中、Rdは、アルキル、特にメチルであり、そしてReは、アルキル、特にメチル、プロピル、オクチル、カンホリル、p−トリル又は
【0060】
【化27】

【0061】
である);などである。
【0062】
スルホン酸以外の酸を与えるオキシム化合物も同様に適切であり、たとえばWO 00/26219に開示されている。
【0063】
本発明の文脈において、上述のリストは、単に例示であって、決して限定ではないことが理解される。
【0064】
本発明による方法では、
【0065】
【化28】

【0066】
の使用を除外する。本発明による方法では、(η6−イソプロピルベンゼン)(η5−シクロペンタジエニル)鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートの使用を除外する。
【0067】
特に興味があることは、光潜在性酸(a1)が、式V、VII又は/及びVIIa:
【0068】
【化29】

【0069】
(式中、Ra0及びRa1は、互いに独立して、水素、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルコキシ、OH−置換C1〜C20アルコキシ、ハロゲン、C2〜C12アルケニル、シクロアルキル、特にメチル、イソプロピル又はイソブチルであり;そして
Zは、アニオン、特にPF6、SbF6、AsF6、BF4、(C654B、Cl、Br、HSO4、CF3−SO3、F−SO3
【0070】
【化30】

【0071】
、CH3−SO3、ClO4、PO4、NO3、SO4、CH3−SO4
【0072】
【化31】

【0073】
である);
【0074】
【化32】

【0075】
(式中、Ra15は、
【0076】
【化33】

【0077】
、(CO)O−C1〜C4アルキル、CN又はC1〜C12ハロアルキルであり;
a16は、Ra15について示した定義の一つを有するか、又は
【0078】
【化34】

【0079】
であり;
a17は、C1〜C18アルキルスルホニル、C1〜C10ハロアルキルスルホニル、カンホリルスルホニル、フェニル−C1〜C3アルキル−スルホニル、C3〜C30シクロアルキルスルホニル、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル、アントラシルスルホニル又はフェナントリルスルホニル(基C3〜C30シクロアルキルスルホニル、フェニル−C1〜C3アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル、アントラシルスルホニル、及びフェナントリルスルホニルの基シクロアルキル、フェニル、ナフチル、アントラシル、及びフェナントリルは、非置換又はハロゲン、C1〜C4ハロアルキル、CN、NO2、C1〜C16アルキル、フェニル、C1〜C4アルキルチオ、C1〜C4アルコキシ、フェノキシ、C1〜C4アルキル−O(CO)−、C1〜C4アルキル−(CO)O−、Ra27OSO2−及び/若しくは−NRa20a21置換基1種以上で置換されている)であるか;又はRa17は、C2〜C6ハロアルカノイル、ハロベンゾイル、
【0080】
【化35】

【0081】
であり;
1、X2、及びX3は、互いに独立して、O又はSであり;
qは、0又は1であり;そして
a18は、C1〜C12アルキル、シクロヘキシル、カンホリル、非置換フェニル、又はハロゲン、C1〜C12アルキル、ORa19、SRa19、若しくはNRa2ORa21置換基1種以上で置換されたフェニルであり;
a19は、C1〜C12アルキル、フェニル、フェニル−C1〜C4アルキル、又はC1〜C12ヒドロキシアルキルであり;
a20及びRa21は、互いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C6ヒドロキシアルキルであるか、又はRa20及びRa21は、これらが結合したN原子と一緒になって、O原子又はNRa22基を含有してもよい5又は6員環を形成し;
a22は 水素、フェニル、フェニル−C1〜C4アルキル、C1〜C12アルキル又はC2〜C5ヒドロキシアルキルであり;
a23、Ra24、Ra25、及びRa26は、互いに独立して、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル;又は非置換の、又はC1〜C4アルキル若しくはハロゲンで置換されたフェニルであり;
a27は、水素、C1〜C4アルキル、フェニル又はトリルである)の化合物である方法である。
【0082】
本発明による方法で好ましい光潜在性酸は、ヨードニウム塩及びオキシムスルホン酸エステル、特にオキシムスルホン酸エステルである。成分(a1)として式VII及びVIIaの化合物が特に好ましい。
【0083】
本発明による別の興味がある方法は、光潜在性触媒(a)が光潜在性塩基(a2)であり、かつ組成物が塩基触媒硬化性化合物(c)を含む、上述したような方法である。
【0084】
光潜在性塩基(a2)として、たとえば、封止されたアミン化合物、たとえば、一般に、当技術分野において公知の光潜在性塩基が考えられる。例は、種類:o−ニトロベンジルオキシカルボニルアミン、3,5−ジメトキシ−α,α−ジメチルベンジル−オキシカルボニルアミン、ベンゾインカルバメート、アニリドの誘導体、光潜在性グアニジン、一般に、光潜在性第三級アミン、たとえばα−ケトカルボン酸のアンモニウム塩、又は他のカルボキシレート、ベンズヒドリルアンモニウム塩、N−(ベンゾフェノニルメチル)−トリ−N−アルキル−アンモニウムトリフェニルアルキルボレート、金属錯体をベースとする光潜在性塩基、たとえばコバルトアミン錯体、タングステン及びクロムピリジニウムペンタカルボニル錯体、金属をベースとするアニオン発生光開始剤、たとえばクロム及びコバルト錯体「ライネッケ塩」又は金属ポルフィリンの化合物である。これらの例は、J. V. Crivello, K. Dietliker "Photoinitiators for Free Radical, Cationic & Anionic Photopolymerisation", Vol. III of "Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints", 2nd Ed., J. Wiley and Sons/SITA Technology (London), 1998に発表されている。
【0085】
WO 97/31033に記載されている塩基も、光潜在性塩基触媒として本発明による組成物に適切ある。これらは、特に、第二級アミン、グアニジン又はアミジンをベースとする潜在性塩基である。例は、式(A):
【0086】
【化36】

【0087】
(式中、X10、X20、X30、X40、X50、X60、X70、X80、X90、X100、及びX110は、互いに独立して、水素、C1〜C20アルキル、アリール、アリールアルキル、ハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリール−N−、アルキル−N−、アリールアルキル−N−、アルキルチオ、アリールチオ、アリールアルキルチオ、NO−、CN、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、又はケトン、又はアルデヒド基であるか、あるいはX10、X20、X30、及びX40は、環構造を形成していてもよく、そしてX50、X60、X70、X80、X90、X100、及びX110は、X10、X20、X30、及びX40と独立して、1種以上のさらなる環構造を形成していてもよい)の化合物である。
【0088】
他の適切な光潜在性塩基は、EP 764 698に開示されている。それらは、封止されたアミノ化合物、たとえば式(B):
【0089】
【化37】

【0090】
(式中、Y10は、基:
【0091】
【化38】

【0092】
であり;
20は、水素又はNO2であり;
30は、水素又はC1〜C8アルキルであり;
40、Y50、Y60、Y70、及びY80は、互いに独立して、水素又はFであり;そして
sは、15〜29の数である)である。
【0093】
EP 898 202及びWO 98/32756に記載されているようなα−アミノケトンをベースとする、WO 98/38195に開示されているようなα−アンモニウム、イミニウム又はアミジニウムケトン、及びアリールボレートをベースとする、並びにWO 98/41524記載のα−アミノアルケンをベースとする化合物を用いることも可能である。
【0094】
本発明による組成物では、可視光線又はUV光を照射するとアミジン基が取出される化合物を用いるのが好ましい。それらは、式:
【0095】
【化39】

【0096】
(式中、R1は、200〜650nmの波長範囲の光を吸収し、そうすることで隣接する炭素−窒素結合の開裂を引き起こすことができる芳香族又は複素芳香族基である)の構造成分を含有する。
【0097】
特に興味があることは、式(C1)及び(D1):
【0098】
【化40】

【0099】
(式中、R1は、200〜650nmの波長範囲の光を吸収し、そうすることで隣接する炭素−窒素結合の開裂を引き起こすことができる芳香族又は複素芳香族基であり;
rは、0又は1であり;
2及びR3は、互いに独立して、水素、C1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニル又はフェニルであり、R2が水素又はC1〜C18アルキルである場合、R3はさらなる基−CO−R14であり;
あるいはR1及びR3は、カルボニル基及びR3が結合したC原子と一緒になって、ベンゾシクロペンタノン基を形成し;
5は、C1〜C18アルキル又はNR1516であり;
4、R6、R7、R15、及びR16は、互いに独立して、水素又はC1〜C18アルキルであるか;又はR4及びR6は一緒になって、C2〜C12アルキレン橋を形成するか、又は
5及びR7は一緒になって、R4及びR6と独立して、C2〜C12アルキレン橋を形成するか、又はR5がNR1516である場合、R16及びR7は一緒になってC2〜C12アルキレン橋を形成し;
14は、C1〜C18アルキル又はフェニルである)の化合物である。
【0100】
芳香族又は複素芳香族基としてのR1の例は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントリル、ピレニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3−b]チエニル、チアントレニル、ジベンゾフリル、クロメニル、キサンテニル、チオキサンチル、フェノキサチニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、フラザニル、ターフェニル、スチルベニル、フルオレニル又はフェノキサジニル(これらの基は、非置換であるか又はC1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO2、NR67、N3、OH、CN、OR8、SR8、C(O)R9、C(O)OR10、若しくはハロゲンで、モノ−若しくはポリ置換されている)であるか、
あるいはR1は、式A1又はB1:
【0101】
【化41】

【0102】
(R6及びR7は、上記の定義の通りであり;
8、R9、R10、R11、及びR12は、水素又はC1〜C18アルキルであり;
13は、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO2、NR89、OH、CN、OR10、SR10、C(O)R11、C(O)OR12又はハロゲンであり;
nは、0又は1、2、又は3の数である)
の基である。
【0103】
本発明による方法に適切な他の興味がある光潜在性塩基化合物は、式(C2)及び(D2):
【0104】
【化42】

【0105】
(式中、R1は、上記定義の通りであり;
20、R30、及びR40は、互いに独立して、水素、C1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニル又はフェニルであるか、又はR20とR30及び/又はR40とR30は、互いに独立して、C2〜C12アルキレン橋を形成するか;又はR20、R30、R40は、結合する窒素原子と一緒になって、P1、P2、P<t/4>型のホスファゼン塩基、又は構造式(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、若しくは(g):
【0106】
【化43】

【0107】
の基であり、
k及びIは、互いに独立して、2〜12の数であり;
35は、水素又はC1〜C18アルキルであり;
50は、水素又はC1〜C18アルキルであるか;又は
50及びR1は、結合する炭素原子と一緒になって、ベンゾシクロペンタノン基であり;
11は、C1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO2、NR6070、OH、CN、OR80、SR80、C(O)R90、C(O)OR100又はハロゲンであり;
60、R70、R80、R90、及びR100は、水素又はC1〜C18アルキルであり;
nは、0又は1、2又は3であり;そして
mは、分子内の正に帯電したN原子の数である)の化合物である。
【0108】
「アニオン」は、塩を形成する能力がある任意のアニオン、特に、ハロゲン化物、たとえばCl、Br又はI、ボレート、たとえば
【0109】
【化44】

【0110】
、(式中、R120、R130、及びR140は、フェニル又は別の芳香族炭化水素(これらの基は非置換であるか又はC1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO2、OH、CN、OR8、SR8、C(O)R90、C(O)OR100若しくはハロゲンでモノ−若しくはポリ置換されている)であり;R150は、C1〜C18アルキル、フェニル、又は別の芳香族炭化水素(基フェニル及び芳香族炭化水素は、非置換であるか又はC1〜C18アルキル、C3〜C18アルケニル、C3〜C18アルキニル、C1〜C18ハロアルキル、NO2、OH、CN、OR80、SR80、C(O)R90、C(O)OR100、若しくはハロゲンでモノ−若しくはポリ置換されている)であるか、又はR150は、基:
【0111】
【化45】

【0112】
であるか;又はR120、R130、R140、及びR150は、ハロゲンであり;そしてXzは、C1〜C20アルキレン、−O−、−S−、若しくはNR80で中断されたC2〜C20アルキレンであるか、又はXzは、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレン、アントリレン、若しくはフェニレン−CO−フェニレンである)である。アニオンは、さらに、「Z」に対する上記定義のアニオン、すなわちPF6、SbF6、AsF6、BF4、(C654B、Cl、Br、HSO4、CF3−SO3、F−SO3
【0113】
【化46】

【0114】
、CH3−SO3、ClO4、PO4、NO3、SO4、CH3−SO4
【0115】
【化47】

【0116】
の一つとすることができる。
【0117】
4及びR6が、一緒になってC2〜C12アルキレン橋を形成し、R5及びR7が一緒になって、R4及びR6と独立して、C2〜C12アルキレン橋を形成する、式C1及びD1の化合物が好ましい。
【0118】
20が式(a)、(b)、又は(C)の基である式C2及びD2の化合物が好ましい。
【0119】
特に興味となるのは、
【0120】
【化48】

【0121】
(式中、r、R1、R2、R3、及びR50は、上記定義の通り)のような光潜在性塩基構造である。
【0122】
1は、好ましくは、フェニル、ナフチル、ピレニル、チオキサンチル、又はフェノチアジニル(基は非置換であるか又はC1〜C18アルキル、C1〜C18ハロアルキル、NR6070、CN、NO2、SR80若しくはOR80でモノ−若しくはポリ置換されている)である。特にR1は、非置換の、又はモノ−若しくはポリ置換されたフェニルである。R50は、水素又はC1〜C4アルキル、特に水素及びメチルが好ましい。
【0123】
好ましい光潜在性塩基は、たとえば、式VIII、VIIIa、及びVIIIb:
【0124】
【化49】

【0125】
(式中、rは、0又は1であり;
4は、CH2又はOであり;
2及びR3は、互いに独立して、水素又はC1〜C20アルキルであり;
1は、非置換の、又はC1〜C12アルキル−若しくはC1〜C12アルコキシ−置換のフェニル、ナフチル、又はビフェニリルであり;
20、R30、及びR40は、結合する窒素原子と一緒になって、構造式(a)、(b)、又は(C):
【0126】
【化50】

【0127】
の基であり、
35は、水素又はC1〜C18アルキルであり;
アニオンは、塩を形成する能力がある任意のアニオンであり;そして
mは、分子内の正に帯電したN原子の数である)の化合物である。
【0128】
基(a)中のC1〜C18アルキルは、好ましくはメチルである。
【0129】
式(C)、(C1)、(C2)、(D)、(D1)、(D2)、(VIII)、及び(VIIIa)の化合物の製法は、知られており、WO 98/32756、WO 98/38195、WO 98/41524、WO 00/10964、及びEP 1436297に記載されている。これらの明細書は、そのような化合物のより具体的な例も提供し、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
本発明の文脈における、式C、C1、D、D1、及びVIII中のR1〜R16の定義に対する正確な意味は、WO 98/32756において相当する基に対して示されたものと同様であると意図している。この教示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0131】
本発明の文脈における、式C2、D2、及びVIIIa中のR1、R20、R30、R40、R50、R60、R70、R80、R90、R100、R120、R130、R140、Xz、基(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、及びP1、P2、P<t/4>型のホスファゼン塩基の定義に対する正確な意味は、WO 00/10964において対応する基に対して示されたものとと同様であると意図している。この教示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0132】
光潜在性塩基として適切な供与体は、EP 898202に記載されているα−アミノケトン化合物、たとえば(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−プロパン、又は(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノ−エタンでもある。
【0133】
本発明による方法の実施態様では、チオール及びイソシアネートの両方を含む配合物では、光潜在性塩基としてのα−アミノケトンの使用を除外する。
【0134】
本発明による方法の実施態様では、組成物がコーティング配合物である場合、光潜在性塩基としてのα−アミノケトンの使用を除外する。
【0135】
本発明による方法の実施態様では、光潜在性塩基としてのα−アミノケトンの使用を除外する。
【0136】
本発明による方法の実施態様では、チオール及びイソシアネートの両方を含む配合物では、(3,4−ジメトキシ−ベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパンの使用を除外する。
【0137】
本発明による方法の実施態様では、組成物がコーティング配合物である場合、(3,4−ジメトキシ−ベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパンの使用を除外する。
【0138】
本発明による方法の実施態様では、(3,4−ジメトキシ−ベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパンの使用を除外する。
【0139】
本発明による方法で好ましい光潜在性塩基の例は、
【0140】
【化51】

【0141】
である。
【0142】
場合によっては、2種以上の光開始剤の混合物を使用することが有利である。これらは、複数の光潜在性酸の混合物、複数の光潜在性塩基の混合物、並びにフリーラジカル光開始剤と光潜在性酸との混合物(たとえば、いわゆるハイブリッド系で使用するため)又はフリーラジカル光開始剤と光潜在性塩基との混合物、又はフリーラジカル光開始剤と光潜在性酸及び光潜在性塩基との混合物であってもよい。
【0143】
本発明の文脈において、上述のリストは、単に例示であって、決して限定ではないことが理解される。
【0144】
別の光塩基発生剤の概説が、レビューの形態で、M. Shirai及びM. TsunookaによるProg. Polym. Sci., Vol. 21, 1-45 (1996)に、及びJ. Crivello, K. Dietliker, "Photoinititiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerisation", 2nd Edition, Volume III in the Series "Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints", John Wiley/SITA Technology Limited, London, 1998, chapter IVI (p. 479-544) に示されている。
【0145】
光重合性組成物は、光潜在性触媒(a)、すなわち(a1)及び/又は(a2)を、組成物に基づいて、0.01〜20重量%、たとえば0.05〜15重量%、好ましくは0.1〜20重量%、たとえば1〜15重量%、好ましくは1〜5重量%の量で有利に含む。これらの混合物を使用する場合、示した光開始剤の量は、添加した光開始剤全ての合計に関する。
【0146】
酸触媒硬化性成分(b)は、酸の作用の下で、重合、重縮合又は重付加反応を始めることのできる化合物である。
【0147】
本発明による組成物は、成分(b)として、たとえば、アルキル又はアリールを含有するカチオンで又はプロトンでカチオン重合することができる樹脂及び化合物を含む。これらの例は、環状エーテル、特にエポキシド及びオキセタン、並びにビニルエーテル及びヒドロキシル含有化合物である。ラクトン化合物及び環状チオエーテル並びにビニルチオエーテルも使用することができる。別の例は、アミノプラスト又はフェノールのレゾール樹脂である。それらは、特にメラミン、尿素、エポキシ、フェノール、アクリル、ポリエステル、及びアルキド樹脂であるが、さらに特にアクリル、ポリエステル又はアルキド樹脂とメラミン樹脂との混合物である。変性表面コーティング樹脂、たとえばアクリル変性ポリエステル及びアルキド樹脂も含む。用語アクリル、ポリエステル、及びアルキド樹脂に含まれる個々の型の樹脂の例が、たとえば、Wagner, Sarx/Lackkunstharze (Munich, 1971), 86〜123及び229〜238頁に、又はUllmann/Encyclopadie der techn. Chemie, 4th edition, Vol. 15 (1978), 613〜628頁に、又はUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Verlag Chemie, 1991, Vol. 18, 360 ff., Vol. A19, 371 ff.に記載されている。成分は、好ましくはアミノ樹脂を含有する(特に組成物を表面コーティングとして用いる場合)。その例は、エーテル化若しくは非エーテル化メラミン、尿素、グアニジン又はビウレット樹脂である。酸触媒作用は、エーテル化アミノ樹脂、たとえばメチル化又はブチル化メラミン樹脂(N−メトキシメチル−又はN−ブトキシメチル−メラミン)又はメチル化/ブチル化グリコールウリルを含有する表面コーティングの硬化にとって特に重要である。アミド−及びアミノ樹脂が、たとえば、Stoye Freitag, Lackharze, Carl Hanser Verlag Munchen 1996, p. 104-126に記載されており、そしてノボラック樹脂が、たとえばStoye Freitag, Lackharze, Carl Hanser Verlag Munchen 1996, p. 150-152に記載されている。
【0148】
たとえば、全ての通常のエポキシド、たとえば芳香族、脂肪族又は脂環式のエポキシ樹脂を使用することもできる。それらは、分子中に少なくとも1個のエポキシ基、好ましくは少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物である。これらの例は、脂肪族又は脂環式のジオール又はポリオールのグリシジルエーテル及びβ−メチルグリシジルエーテル、たとえばエチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、又は1,4−ジメチロールシクロヘキサンの、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンの、グリシジルエーテル及びβ−メチルグリシジルエーテル;ジ−及びポリ−フェノール類の、たとえばレゾルシノールの、4,4’−ジヒドロキシフェニル−2,2−プロパンの、ノボラックの、又は1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのグリシジルエーテルである。例は、フェニルグリシジルエーテル、p−t−ブチルグリシジルエーテル、o−クレシルグリシジルエーテル、ポリテトラヒドロフラングリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12/15アルキルグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルである。別の例は、N−グリシジル化合物、たとえばエチレンウレア、1,3−プロピレンウレア、又は5−ジメチルヒダントインの若しくは4,4’−メチレン−5,5’−テトラメチルジヒダントインのグリシジル化合物、若しくは、たとえばトリグリシジルイソシアヌレートのような化合物である。
【0149】
本発明による方法で使用するグリシジルエーテル成分(b)の別の例は、多価フェノール類と過剰なクロロヒドリン、たとえばエピクロロヒドリンとの反応で得られる一価のフェノール類のグリシジルエーテル(たとえば2,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシフェノール)プロパンのグリシジルエーテル)である。本発明の文脈において使用することができるグリシジルエーテルエポキシドの別の例が、たとえばUS 3 018 262に、並びにLee及びNevilleによる"Handbook of Epoxide Resins", McGraw-Hill Book Co., New York(1967)に記載されている。多数の商業的に入手可能なグリシジルエーテルエポキシド、たとえばグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、たとえば商品名EPON 828、EPON 825、EPON 1004、及びEPON 1010でShellから;DER-331、DER-332、及びDER-334(Dow Chemicalから);フェノールホルムアルデヒドノボラックの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、たとえばDEN-431、DEN-438(Dow Chemicalから);及びレゾルシノールジグリシジルエーテル;アルキルグリシジルエーテル、たとえばC8〜C10グリシジルエーテル、たとえばHELOXY Modifier 7、C12〜C14グリシジルエーテル、たとえばHELOXY Modifier 8、ブチルグリシジルエーテル、たとえばHELOXY Modifier 61、クレシルグリシジルエーテル、たとえばHELOXY Modifier 62、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、たとえばHELOXY Modifier 65、多官能グリシジルエーテル、たとえば1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、たとえばHELOXY Modifier 67、ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル、たとえばHELOXY Modifier 68、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、たとえばHELOXY Modifier 107、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、たとえばHELOXY Modifier 44、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、たとえばHELOXY Modifer 48、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル、たとえばHELOXY Modifier 84(全てのHELOXYグリシジルエーテルは、Shellから入手可能である)が、成分(b)として適切である。
【0150】
同様に適切なのは、アクリルエステルのコポリマーを含有するグリシジルエーテル、たとえばスチレン/グリシジルメタクリレート又はメチルメタクリレート/グリシジルアクリレートである。例は1:1スチレン/グリシジルメタクリレート、1:1メチルメタクリレート/グリシジルアクリレート、62.5:24:13.5メチルメタクリレート/アクリル酸エチル/グリシジルメタクリレートである。
【0151】
グリシジルエーテル化合物のポリマーは、たとえば他の官能性(それがカチオン硬化を損なわないという条件で)を含有していてもよい。
【0152】
成分(b)として適切でVanticoから商業的に入手可能な他のグリシジルエーテル化合物は、多官能の液体及び固体のノボラックグリシジルエーテル樹脂、たとえばPY 307、EPN 1179、EPN 1180、EPN 1182、及びECN 9699である。
【0153】
成分(b)として、異なるグリシジルエーテル化合物の混合物を使用することも可能であることが理解されるであろう。
【0154】
成分(b)に適切なグリシジルエーテルは、たとえば、式XX:
【0155】
【化52】

【0156】
(式中、xは、1〜6の数であり;そして
85は、一価〜六価のアルキル又はアリール基である)の化合物である。
【0157】
たとえば、式XXのグリシジルエーテル化合物(式中、xが、1、2又は3の数であり;そして
x=1である場合、R85は、非置換の、又はC1〜C12アルキル−置換のフェニル、ナフチル、アントラシル、ビフェニリル、C1〜C20アルキル、又は1個以上の酸素原子で中断されたC2〜C20アルキルであるか、あるいは
x=2である場合、R85は、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、C6〜C10シクロアルキレン、非置換の、又はハロ−置換のC1〜C40アルキレン、1個以上の酸素原子で中断されたC2〜C40アルキレン、又は基:
【0158】
【化53】

【0159】
であるか、あるいは
x=3である場合、R85は基:
【0160】
【化54】

【0161】
であり;
yは、1〜10の数であり;そして
81は、C1〜C20アルキレン、酸素、又は
【0162】
【化55】

【0163】
である)が好ましい。
【0164】
グリシジルエーテルは、たとえば式XXa:
【0165】
【化56】

【0166】
(式中、R82は、非置換の、又はC1〜C12アルキル−置換のフェニル;ナフチル;アントラシル;ビフェニリル;C1〜C20アルキル、1個以上の酸素原子で中断されたC2〜C20アルキル;又は式:
【0167】
【化57】

【0168】
の基であり;
85は、フェニレン、C1〜C20アルキレン、1個以上の酸素原子で中断されたC2〜C20アルキレン、又は基:
【0169】
【化58】

【0170】
であり;そして
81は、C1〜C20アルキレン又は酸素である)の化合物である。
【0171】
式XXb:
【0172】
【化59】

【0173】
(式中、R85は、フェニレン、C1〜C20アルキレン、1個以上の酸素原子で中断されたC2〜C20アルキレン、又は基:
【0174】
【化60】

【0175】
であり;そして
81は、C1〜C20アルキレン又は酸素である)のグリシジルエーテル化合物が好ましい。
【0176】
成分(b)のさらなる例は、1分子当り少なくとも2個のフリーのアルコール性及び/又はフェノール性のヒドロキシル基を含有する化合物と、対応するエピクロロヒドリンとを、アルカリ性条件下で、あるいは、後続のアルカリ処理を伴う酸触媒の存在下で反応(異なるポリオールの混合物を用いることもできる)することで得られる、ポリグリシジルエーテル及びポリ(β−メチルグリシジル)エーテルである。
【0177】
そのようなエーテルは、ポリ(エピクロロヒドリン)を用いて、非環式のアルコール、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール及び高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン−1,2−ジオール及びポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,4,6−トリオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトールから、脂環式のアルコール、たとえばレゾルシトール、キニトール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン及び1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ−3−エンから、並びに芳香核を有するアルコール、たとえばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン及びp,p’−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンから製造することができる。これらは、単核フェノール類、たとえばレゾルシノール及びヒドロキノンから、そして多核フェノール類、たとえばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)及び2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンから製造することもできる。
【0178】
ポリグリシジルエーテル及びポリ−(β−メチルグリシジル)エーテルの製造に適切な、さらなるヒドロキシ化合物は、アルデヒド、たとえばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロラール及びフルフラールと、フェノール類、たとえばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3,5−ジメチルフェノール、4−クロロフェノール及び4−t−ブチルフェノールとの縮合で得られるノボラックである。
【0179】
ポリ(N−グリシジル)化合物は、たとえば、エピクロロヒドリンと、少なくとも2個のアミン水素原子を含有するアミン、たとえばアニリン、n−ブチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)−プロパン、ビス(4−メチルアミノフェニル)メタン及びビス(4−アミノフェニル)エーテル、スルホン及びスルホキシドとの反応生成物の脱塩化水素で得ることができる。別の適切なポリ(N−グリシジル)化合物は、トリグリシジルイソシアヌレート、並びに環状アルキレンウレア、たとえばエチレンウレア及び1,3−プロピレンウレア、及びヒダントイン、たとえば5,5−ジメチルヒダントインのN,N’−ジグリシジル誘導体である。
【0180】
ポリ(S−グリシジル)化合物も適切である。その例は、ジチオールのジ−S−グリシジル誘導体、たとえばエタン−1,2−ジチオール及びビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルである。
【0181】
成分(b)として、グリシジル基又はβ−メチルグリシジル基が異なる種類のヘテロ原子に結合したエポキシ樹脂、たとえば4−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、サリチル酸又はp−ヒドロキシ安息香酸のグリシジルエーテルグリシジルエステル、N−グリシジル−N’−(2−グリシジルオキシプロピル)−5,5−ジメチルヒダントイン、及び2−グリシジルオキシ−1,3−ビス(5,5−ジメチル−1−グリシジルヒダントイン−3−イル)プロパンも考えられる。
【0182】
ビスフェノール類のジグリシジルエーテルが好ましい。その例は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、たとえばHuntsmanからのARALDIT GY 250、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、及びビスフェノールSジグリシジルエーテルである。ビスフェノールAジグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0183】
工業的に重要なそして成分(b)中での使用に適切なさらなるグリシジル化合物は、カルボン酸、特にジ−及びポリ−カルボン酸のグリシジルエステルである。その例は、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、テトラ−及びヘキサ−ヒドロフタル酸、イソフタル酸、若しくはトリメリト酸の、又は二量化脂肪酸のグリシジルエステルである。
【0184】
グリシジル化合物ではないポリエポキシドの例は、ビニルシクロヘキサン及びジシクロペンタジエンのエポキシド、3−(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)−8,9−エポキシ−2,4−ジオキサスピロ[5.5]−ウンデカン、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸の3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチルエステル、(3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ブタジエンジエポキシド又はイソプレンジエポキシド、エポキシ化リノール酸誘導体、及びエポキシ化ポリブタジエンである。
【0185】
さらなる適切なエポキシ化合物は、たとえばリモネンモノオキシド、エポキシ化大豆油、ビスフェノールA及びビスフェノールFエポキシ樹脂、たとえばAraldit(登録商標)GY 250(A)、Araldit(登録商標)GY 282(F)、Araldit(登録商標)GY 285(F)(Huntsman)、並びにエポキシ基を含有する光架橋性のシロキサンである。
【0186】
さらなる適切なカチオン重合性又は架橋性の成分(b)は、たとえば米国特許第3117099号、第4299938号、及び第4339567号に見ることができる。
【0187】
脂肪族エポキシドの基から、たとえば10、12、14又は16個の炭素原子からなる非分岐鎖を有する一官能α−オレフィンエポキシドが特に適切である。
【0188】
現在では多数の異なるエポキシ化合物が商業的に入手可能であるので、バインダーの特性を広く変えることができる。一つの可能な改変は、たとえば組成物の使用目的に応じて、異なるエポキシ化合物の混合物の使用、並びに柔軟剤及び反応性希釈剤の添加である。
【0189】
たとえば塗布を噴霧で行う場合、塗布を容易にするために、エポキシ樹脂を溶剤で希釈できるが、エポキシ化合物を無溶剤の状態で使用するのが好ましい。室温で粘性体〜固体の樹脂は、たとえば、熱い状態で塗布することができる。
【0190】
成分(b)として、全ての通常のビニルエーテル、たとえば芳香族、脂肪族、又は脂環式のビニルエーテル、並びにケイ素−含有ビニルエーテルも適切である。これらは、分子中に少なくとも1個のビニルエーテル基、好ましくは少なくとも2個のビニルエーテル基を有する化合物である。本発明による方法で使用するのに適切なビニルエーテルの例は、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、プロピレンカーボネートのプロペニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、t−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ブタンジオールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールメチル−ビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、Pluriol-E-200ジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフランジビニルエーテル290、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、オクタデシル−ビニルエーテル、(4−シクロヘキシル−メチレンオキシエテン)グルタル酸メチルエステル、及び(4−ブチルオキシエテン)イソフタル酸エステルである。
【0191】
ヒドロキシル含有化合物の例は、ポリエステルポリオール、たとえばポリカプロラクトン又はポリエステルアジペートポリオール、グリコール及びポリエーテルポリオール、ヒマシ油、ヒドロキシ官能ビニル及びアクリル樹脂、セルロースエステル、たとえば酢酸酪酸セルロース、及びフェノキシ樹脂である。
【0192】
さらに適切なカチオン硬化性配合物は、たとえばEP 119425に見ることができる。
【0193】
成分(b)として、脂環式エポキシド、又はビスフェノールAをベースとするエポキシドが好ましい。
【0194】
1.低温−若しくは熱−架橋性のアルキド樹脂、アクリレート、ポリエステル、エポキシ、尿素又はメラミン樹脂、又はこのような樹脂の混合物をベースとし、場合により硬化触媒の添加を伴う表面コーティング;
2.ウレタン構造中にフリーのアミン基を有する脂肪族若しくは芳香族のウレタンアクリレート又はポリウレタンアクリレート及びメラミン樹脂又はポリエーテル樹脂をベースとする1−成分ポリウレタン表面コーティング、場合により硬化触媒の添加を伴う;
3.熱可塑性アクリレート樹脂又は外因性架橋アクリレート樹脂と、エーテル化メラミン樹脂との組み合わせをベースとする、熱可塑性ポリアクリレート表面コーティング;
4.フルオロ又はシロキサンで変性されたアクリレート樹脂をベースとする表面コーティング;
5.マロネートブロック化イソシアネートと、架橋剤としてメラミン樹脂(たとえばヘキサメトキシメチルメラミン)をベースとする(酸触媒)表面コーティング、特に透明な表面コーティング;
6.表面コーティング組成物の成分が、UV光及び光開始剤で及び/又は電子ビーム照射で反応に至る二重結合を含み、最初は熱的に、その後UV照射で(又は逆に)硬化させる二重硬化系。
【0195】
特に、酸触媒硬化性成分(b)として興味があることは、
1.硬化触媒の添加を伴う、低温−又は熱−架橋性のアルキド樹脂と尿素又はメラミン樹脂との組み合わせをベースとする表面コーティング;
2.硬化触媒の添加を伴う、低温−又は熱−架橋性のヒドロキシ官能アクリレート及び/又はポリエステルと尿素又はメラミン樹脂との組み合わせをベースとする表面コーティング;
3.硬化触媒の添加を伴う、低温−又は熱−架橋性のエポキシと尿素又はメラミン樹脂との組み合わせをベースとする表面コーティング
である。
【0196】
塩基触媒硬化性成分(c)は、塩基の作用下で、重合、重縮合又は重付加反応を開始できる化合物である。
【0197】
塩基触媒重合、付加、縮合又は置換反応は、低分子量化合物(モノマー)を用いて、オリゴマーを用いて、高分子化合物を用いて、又はこのような化合物の混合物を用いて実施することができる。本発明による方法を用いて、モノマー又はオリゴマー/ポリマーのいずれかを用いて実施することができる反応の例は、Knoevenagel反応又はMichael付加である。さらなる成分の存在が、反応に有利又は必要であってもよい。これは、たとえば、EP 1 092 757に開示されている。
【0198】
特に重要なのは、成分(c)がアニオン重合性又は架橋性の有機材料である組成物である。
【0199】
アニオン重合性又は架橋性の有機材料[成分(c)]は、モノ−又はポリ−官能モノマー、オリゴマー又はポリマーの形態であってもよい。
【0200】
特に好ましいオリゴマー/ポリマー系(c)は、塗装産業において一般的なバインダーである。
【0201】
α,β−エチレン性不飽和カルボニル化合物、及び活性化されたCH2基を含有するポリマー(たとえば、EP 161 697にポリマロネート基について記載されているように、活性化されたCH2基は主鎖又は側鎖又は両方に存在する)の2成分系。マロネート基は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリアミド、又はポリビニルポリマー中、主鎖又は側鎖のいずれかに結合することができる。使用するα,β−エチレン性不飽和カルボニル化合物は、カルボニル基で活性化される任意の二重結合とすることができる。例は、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドである。さらなるヒドロキシル基がエステル基に存在してもよい。ジ−及びトリ−エステルも可能である。代表的な例は、ヘキサンジオールジアクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレートである。アクリル酸の代わりに他の酸及びそのエステル又はアミド、たとえばクロトン酸又は桂皮酸を用いることもできる。
【0202】
活性化されたCH2基を有する他の化合物は、ポリアセトアセテート及びポリシアノアセテートである。
【0203】
別の例は、活性化されたCH2基を含有するポリマー(活性化されたCH2基は主鎖又は側鎖又は両方に存在する)又は活性化されたCH2基を含有するポリマー(たとえば(ポリ)アセトアセテート及び(ポリ)シアノアセテート)と、ポリアルデヒド架橋剤、たとえばテレフタルアルデヒドとの2成分系である。このような系は、たとえば、Urankar et al., Polym. Prepr. (1994), 35, 933に記載されている。
【0204】
系の成分は、塩基触媒作用で、室温で、互いに反応し、多数の用途に適切な架橋したコーティング系を形成する。そのすでに良好な耐候性のおかげで、この系は、たとえば、屋外の用途にも適切であり、必要ならば、UV吸収剤及び他の光安定剤でさらに安定化させることができる。
【0205】
本発明による組成物中の成分(c)としてエポキシ系も考えられる。成分(c)としてエポキシ樹脂を有する本発明による硬化性混合物の配合物に適切なエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂技術において一般的なものである。このようなエポキシ樹脂の例は、成分(b)のところで上述した。適切な例は、特に、分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物と、エピクロロヒドリン及びβ−メチルエピクロロヒドリンそれぞれとを反応することで得られるポリグリシジル及びポリ(β−メチルグリシジル)エステルである。反応は、塩基の存在下で実施するのが有利である。
【0206】
脂肪族のポリカルボン酸を、分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物として用いてもよい。このようなポリカルボン酸の例は、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及び二量化又は三量化リノール酸である。しかし、脂環式のポリカルボン酸、たとえばテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸又は4−メチルヘキサヒドロフタル酸を使用することも可能である。芳香族ポリカルボン酸、たとえばフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸も使用してもよい。
【0207】
少なくとも2個のフリーのアルコール性ヒドロキシ基及び/又はフェノール性ヒドロキシ基を有する化合物と、エピクロロヒドリン又はβ−メチルエピクロロヒドリンとを、アルカリ性条件下、又は後続のアルカリ処理を伴う酸触媒の存在下で、反応することで得られるポリグリシジル又はポリ(β−メチルグリシジル)エーテル。
【0208】
この種類のグリシジルエーテルは、たとえば、非環式アルコール、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール又は高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン−1,2−ジオール又はポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,4,6−トリオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールから、並びにポリエピクロロヒドリンから得られる。しかし、これらは、たとえば脂環式アルコール、たとえば1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン若しくは2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンから誘導してもよく、又はこれらは芳香核、たとえばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン又はp,p’−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンを有する。グリシジルエーテルは、単核フェノール類、たとえばレゾルシノール若しくはヒドロキノンから得ることもでき、又はこれらは多核フェノール類、たとえばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンをベースとし、そしてアルデヒド、たとえばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロラール又はフルフルアルデヒドと、フェノール類、たとえばフェノール、又は核が塩素原子若しくはC1〜C9アルキル基で置換されたフェノール類、たとえば4−クロロフェノール、2−メチルフェノール又は4−t−ブチルフェノール、あるいはビスフェノール類、たとえば上述した種類のものとの縮合で得られるノボラックをベースとする。
【0209】
ポリ(N−グリシジル)化合物は、エピクロロヒドリンと少なくとも2個のアミン水素原子を含有するアミンとの反応生成物の、脱塩化水素で得られる。このようなアミンは、たとえば、アニリン、n−ブチルアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、m−キシリレンジアミン又はビス(4−メチルアミノフェニル)メタンである。
【0210】
しかし、ポリ(N−グリシジル)化合物は、トリグリシジルイソシアヌレート、シクロアルキレンウレア、たとえばエチレンウレア又は−1,3−プロピレンウレアのN,N’−ジ−グリシジル誘導体、及びヒダントインの、たとえば5,5−ジメチルヒダントインのジグリシジル誘導体も含む。ポリ(S−グリシジル)化合物、たとえば、ジチオール、たとえばエタン−1,2−ジチオール又はビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルから得られたジ−S−グリシジル誘導体。
【0211】
脂環式エポキシ樹脂、たとえばビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,3−エポキシシクロペンチルグリシジルエーテル、1,2−ビス(2,3−エポキシシクロペンチルオキシ)エタン、又は3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート。
【0212】
しかし、1,2−エポキシ基が異なるヘテロ原子又は官能基に結合したエポキシ樹脂を使用することも可能であり;このような化合物は、たとえば、4−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、サリチル酸のグリシジルエーテルグリシジルエステル、N−グリシジル−N’−(2−グリシジルオキシプロピル)−5,5−ジメチルヒダントイン、及び2−グリシジルオキシ−1,3−ビス(5,5−ジメチル−1−グリシジルヒダントイン−3−イル)プロパンを含む。
【0213】
成分(c)としてエポキシ樹脂の混合物を使用することも可能である。したがって、本発明は、成分(c)としてエポキシ樹脂又は異なるエポキシ樹脂の混合物を含む組成物にも関する。
【0214】
成分(c)は、塩基の作用で異なる形態に転化する化合物も含んでいてもよい。それらは、たとえば、塩基触媒の場合、たとえば保護基の除去で、適切な溶剤へのその溶解性が変化する化合物である。
【0215】
上の記載から分かるように、いくつかのモノマー、オリゴマー及びポリマーが成分(b)又は(c)として適切であり、それはそれらがフリーラジカル架橋性でありかつ酸又は塩基架橋性であるからである。たとえば、塩基触媒硬化性成分として上述した2成分系(2K系)は、フリーラジカル形成光開始剤の添加で架橋させることもできる。
【0216】
さらに興味がある成分(c)は、
1.ヒドロキシル基含有アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂、及び脂肪族若しくは芳香族のイソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースとする、2成分ポリウレタン表面コーティング;
2.チオール基含有アクリレート−、ポリエステル−又はポリエーテル樹脂、及び脂肪族若しくは芳香族のイソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースとする、2成分ポリウレタン表面コーティング;
3.加熱の間で脱ブロック化する、ブロック化イソシアネート、イソシアヌレート、又はポリイソシアネートをベースとする、1成分ポリウレタン表面コーティング;メラミン樹脂を適切に添加することもできる;
4.(ポリ)ケチミン、及び脂肪族若しくは芳香族のイソシアネート、イソシアヌレート、又はポリイソシアネートをベースとする、2成分表面コーティング;
5.(ポリ)ケチミン、及び不飽和アクリレート樹脂又はポリアセトアセテート樹脂又はメタクリルアミドグリコレートメチルエステルをベースとする、2成分表面コーティング;
6.カルボキシル−又はアミン基−含有ポリアクリレート及びポリエポキシドをベースとする、特に、カルボキシル基含有ポリアクリレート及びポリエポキシドをベースとする、2成分表面コーティング;
7.無水物基含有アクリレート樹脂、及びポリヒドロキシ又はポリアミン成分、特にポリヒドロキシ成分をベースとする、2成分表面コーティング;
8.アクリレート含有無水物及びポリエポキシドをベースとする、2成分表面コーティング;
9.(ポリ)オキサゾリン、及び無水物基含有アクリレート樹脂又は不飽和アクリレート樹脂又は脂肪族若しくは芳香族のイソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースとする、2成分表面コーティング;
10.不飽和ポリアクリレート及びポリマロネートをベースとする、2成分表面コーティング;
11.1成分エポキシド樹脂表面コーティング
12.チオール基含有アクリレート−ポリエステル又はポリエーテル樹脂、及びポリエポキシドをベースとする、2成分表面コーティング
13.表面コーティング組成物の成分が、UV光及び光開始剤で及び/又は電子ビーム照射で反応に至る二重結合を含み、最初は塩基触媒作用によって熱的に架橋し、続いてUV照射で(又は逆に)硬化させる二重硬化系、
である。
【0217】
特に、塩基触媒硬化性成分(c)として興味があることは、
1.ヒドロキシル基含有アクリレート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂、及び脂肪族若しくは芳香族のイソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースとする2成分ポリウレタン表面コーティング;
2.チオール基含有アクリレート−、ポリエステル−又はポリエーテル樹脂、及び脂肪族若しくは芳香族のイソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートをベースとする2成分ポリウレタン表面コーティング;
3.カルボキシル−又はアミン基を含有するポリアクリレート、及びポリエポキシドをベースとする、特に、カルボキシル基含有ポリアクリレート及びポリエポキシドをベースとする2成分表面コーティング;
4.1成分エポキシド樹脂表面コーティング
チオール基含有アクリレート−ポリエステル又はポリエーテル樹脂、及びポリエポキシドをベースとする2成分表面コーティング
である。
【0218】
本発明による方法では、組成物として、(b)及び(c)の混合物を使用すること、並びに光潜在性触媒(a1)及び(a2)の混合物を使用することも可能であるが、ただし、触媒は異なる波長の照射で活性化する(すなわち選択的に活性化する)。
【0219】
興味があることは、上述したような方法であって、光潜在性触媒(a)が少なくとも1種の光潜在性塩基触媒(a2)と少なくとも1種の光潜在性酸触媒(a1)との混合物であり、かつ組成物が酸触媒硬化性化合物(b)と塩基触媒硬化性化合物(c)との混合物を含み、ただし(a1)及び(a2)が選択的に活性化される方法である。
【0220】
さらに、本発明による組成物中にラジカル重合性成分が存在することができる。例は、(メタ)アクリル酸エステル、特に多官能アルコールのアクリル酸エステル、特に、ヒドロキシル基のほかに他の官能基を含まないか又はエーテル基だけを含むものが挙げられる(メタ)アクリレート化合物である。このようなアルコールの例は、二官能アルコール、たとえばエチレン及びプロピレングリコール、及びより高い縮合度を有する同じ種類の要素、たとえばジエチレン、トリエチレン、ジプロピレン、及びトリプロピレングリコールなど、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルコキシル化フェノール化合物、たとえばエトキシル化及びプロポキシル化ビスフェノール類、シクロヘキサンジメタノール、3つ以上の官能性を有するアルコール、たとえばグリセロール、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、及び対応するアルコキシル化アルコール、特にエトキシル化及びプロポキシル化アルコールである。
【0221】
アルコキシル化生成物は、既知の方法で、上述したアルコールとアルキレンオキシド、特にエチレン又はプロピレンオキシドとを反応することで得ることができる。ヒドロキシル基当りのアルコキシル化度は、好ましくは0〜10であり;言い換えると、ヒドロキシル基1molを好ましくは10molまでのアルキレンオキシドでアルコキシル化することができる。別の(メタ)アクリレート化合物は、ポリエステロールのアクリルエステルであるポリエステル(メタ)アクリレートである。
【0222】
適切なポリエステロールの例は、ポリカルボン酸、好ましくはジカルボン酸と、ポリオール、好ましくはジオールとのエステル化で製造することができるものである。この種のヒドロキシル含有ポリエステルの出発材料は、当業者に知られている。ジカルボン酸としてコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、及びo−フタル酸、これらの異性体及び水素化生成物、及びエステル化可能な誘導体、たとえば前記酸の無水物又はジアルキルエステルを使用するのが好ましい。適切なポリオールは、上述したアルコール、好ましくはエチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−ジメタノール、及びエチレングリコール、及びプロピレングリコール型のポリグリコールである。
【0223】
ポリエステル(メタ)アクリレートを、複数の段階で、あるいは1段階で、たとえばEP 279303に記載されているように、アクリル酸、ポリカルボン酸、及びポリオールから製造することができる。
【0224】
他の例は、エポキシ又はウレタン(メタ)アクリレートである。エポキシ(メタ)アクリレートの例は、エポキシ化オレフィン又はポリ−及び/又はジグリシジルエーテル、たとえばビスフェノールAジグリシジルエーテルと、(メタ)アクリル酸との反応で得られるものである。反応は当業者に知られており、たとえばR. Holmann, U. V. and E. B. Curing Formulation for Printing and Paints. London 1984に記載されている。ウレタン(メタ)アクリレートは、特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリ−及び/又はジイソシアネートとの反応生成物である(R. Holmann, U. V. and E. B. Curing Formulation for Printing and Paints. London 1984を再び参照)。
【0225】
当然、上述したように異なるラジカル重合性化合物の混合物(特に、上述の(メタ)アクリル化合物の混合物を含む)を使用することも可能である。
【0226】
光重合性の混合物は、光潜在性触媒(a)のほかに、種々の添加剤(h)を含んでもよい。
【0227】
その例は、早期重合を防ぐことを意図する熱反応抑制剤、たとえばヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、p−メトキシフェノール、β−ナフトール、又は立体障害フェノール類、たとえば2,6−ジ(t−ブチル)−p−クレゾール、又は4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル(p−ヒドロキシ−tempo)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−4−ピペリジニル)−セバケート、及び1−メチル−8−(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル−4−ピペリジニル)−セバケートである。暗所保存安定性を延ばすために、たとえば、銅化合物、たとえば銅ナフテネート、ステアレート又はオクトエート、リン化合物、たとえばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト又はトリベンジルホスファイト、第四級アンモニウム化合物、たとえばテトラメチルアンモニウムクロリド若しくはトリメチルベンジルアンモニウムクロリド、又はヒドロキシルアミン誘導体、たとえばN−ジエチルヒドロキシルアミンを用いることができる。
【0228】
さらなる添加剤として、光安定剤(e)を組成物に添加することができる。例はUV吸収剤、たとえばヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、シュウ酸アミド、又はヒドロキシフェニル−s−トリアジン型のものである。このような化合物を、単独で又は混合物の形態で、立体障害アミン(HALS)を使用して又は使用せずに用いることができる。
【0229】
このようなUV吸収剤及び光安定剤(e)は、次のものである。
1.2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール類
たとえば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール)2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールの混合物、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル−フェニル−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、及び2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)−フェニル−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イル−フェノール];2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;[R−CH2CH2−COO(CH232−(式中、R=3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル−フェニル)。
【0230】
2.2−ヒドロキシベンゾフェノン類、
たとえば4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクチルオキシ、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2’,4’−トリヒドロキシ、又は2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体。
【0231】
3.非置換又は置換安息香酸のエステル
たとえば4−t−ブチル−フェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2,4−ジ−t−ブチルフェニルエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸オクタデシルエステル、及び3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニルエステル。
【0232】
4.アクリレート
たとえばα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステル又はイソオクチルエステル、α−メトキシ−カルボニル桂皮酸メチルエステル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ桂皮酸メチルエステル又はブチルエステル、α−メトキシカルボニル−p−メトキシ桂皮酸メチルエステル、及びN−(β−メトキシ−カルボニル−β−シアノビニル)−2−メチル−インドリン。
【0233】
5.立体障害アミン
たとえばビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)セバケート、n−ブチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−マロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)エステル、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−ジアミンと4−t−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−s−トリアジンとの縮合物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラノアート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ−[4.5]デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、2−クロロ−4,6−ジ(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物、2−クロロ−4,6−ジ(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ピロリジン2,5−−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ピロリジン−2,5−ジオン、2,4−ビス[N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−n−ブチル−アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−1,3,5−トリアジン、及び2,4−ビス[1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブチルアミノ]−6−クロロ−s−トリアジンとN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンとの縮合物。
【0234】
当業者に知られているように、光潜在性触媒として光潜在性酸を用いて本発明の方法を行う場合、硬化工程の妨害を防ぐために、ヒンダードアミンの型及び濃度は、注意深く選択しなければならない。
【0235】
6.シュウ酸ジアミド
たとえば4,4’−ジオクチルオキシ−オキサニリド、2,2’−ジエトキシ−オキサニリド、2,2’−ジオクチル−オキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサルアミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキサニリド、及びこれらの2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−t−ブチルオキサニリドとの混合物、o−及びp−メトキシ−二置換オキサニリドの混合物並びにo−及びp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物。
【0236】
7.2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
たとえば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジ−ヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシ−フェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシ−プロピルオキシ)−フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル−フェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシ−プロピルオキシ)−フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン及び2−[4−ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−(2−ヒドロキシプロピル)オキシ−2−ヒドロキシ−フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0237】
8.ホスファイト及びホスホナイト、
たとえばトリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニル−ジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−イソデシルオキシ−ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12H−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12−メチル−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、及びビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト。
【0238】
9.さらなる無機化合物、たとえばナノ二酸化チタン
成分(e)として適切なUV吸収剤及び光安定剤の例は、たとえばEP 180 548に記載されているような「Krypto-UVA」も含む。たとえばHidaらによりRadTech Asia 97, 1997, page 212に記載されているように、潜在性のUV吸収剤を使用することもできる。
【0239】
配合物中の光安定剤(e)の割合は、バインダー固体に基づいて、たとえば0.01〜10重量%、たとえば0.05〜5重量%、特に0.1〜5重量%である。使用する濃度は、コーティングの層厚さによって変わる。層が薄いほど、成分(e)の選択する濃度を濃くしなければならない。これは当業者に知られており、文献に広く記載されている。
【0240】
当技術分野において一般的な他の添加剤、たとえば帯電防止剤、流動性向上剤、及び接着性エンハンサーも使用することができる。
【0241】
当技術分野において一般的な連鎖移動試薬を組成物に添加することも可能である。例は、メルカプタン、アミン、及びベンゾチアゾールである。
【0242】
特に着色された組成物(たとえば二酸化チタンで着色された)の硬化作業を、さらなる添加剤(h)として、熱条件下でフリーラジカルを形成する成分、たとえばアゾ化合物、たとえば2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、トリアゼン、ジアゾスルフィド、ペンタザジエン、又はペルオキシ化合物、たとえばヒドロペルオキシド若しくはペルオキシカーボネート、たとえばt−ブチルヒドロペルオキシド(たとえばEP 245 639に記載されているように)を添加することで促進することができる。
【0243】
添加剤(h)として、機械的安定性を高めるための、たとえば耐引掻性を高めるための添加剤を、ナノ粒子の形態で添加することもできる。例はEP114917に開示されている。
【0244】
さらなる通常の添加剤(h)(使用目的による)は、蛍光増白剤、充填剤、顔料、白色及び有色顔料、染料、帯電防止剤、湿潤剤、並びに流動性向上剤である。
【0245】
厚く及び着色されたコーティングを硬化するために、たとえばUS 5 013 768に記載されているような、ガラスマイクロ球又は微粉砕ガラス繊維の添加が適切である。
【0246】
添加剤の選択は、問題の使用分野及びその分野に望ましい特性により決定する。上述した添加剤(h)は、当技術分野において一般的であり、したがって当技術分野において一般的な量で使用する。
【0247】
本発明による配合物中のさらなる添加剤(h)の割合は、たとえば、0.01〜10重量%、たとえば0.05〜5重量%、特に0.1〜5重量%である。
【0248】
分光感度をシフトするか広げる光増感剤(f)の添加で、架橋を促進することができる。そのような光増感剤は、特に芳香族カルボニル化合物、たとえばベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、特にイソプロピル−チオキサントン、アントラキノン誘導体、及び3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル類、スチリル−ケトン、並びに3−(アロイルメチレン)−チアゾリン、ショウノウキノン、並びにエオシン、ローダミン、及びエリトロシン染料である。
【0249】
上述したアミンを、たとえば、光増感剤として考えることもできる。このような光増感剤の別な例は、次のものである。
【0250】
1.チオキサントン
チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、3−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチル−チオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシ−エトキシカルボニル)−チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシ−カルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル]チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)−チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチル−チオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)−チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、N−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−オクチル−チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド;
【0251】
2.ベンゾフェノン
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、3−メチル−4’−フェニル−ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4’−フェニル−ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)−ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル2−ベンゾイル−ベンゾエート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)−ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)−ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル−ベンゼンメタンアミニウムクロリド、2,4,6−トリメチル−4’−フェニル−ベンゾフェノン、3−メチル−4’−フェニル−ベンゾフェノン;
【0252】
3.3−アシルクマリン
3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(プロポキシ)クマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3’−カルボニル−ビス[5,7−ジ(プロポキシ)クマリン]、3,3’−カルボニル−ビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)−クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)−クマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)−クマリン、3−ベンゾイルベンゾ[f]クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン;
【0253】
4.3−(アロイルメチレン)−チアゾリン
3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−ベンゾチアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン;
【0254】
5.他のカルボニル化合物
アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、2−アセチルナフタレン、2−ナフトアルデヒド、9,10−アントラキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、キサントン、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、α−(パラジメチルアミノベンジリデン)ケトン、たとえば2−(4−ジメチルアミノ−ベンジリデン)−インダン−1−オン又は3−(4−ジメチルアミノ−フェニル)−1−インダン−5−イル−プロペノン、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド。
【0255】
本発明による配合物中の増感剤(f)の割合は、たとえば、0.01〜10重量%、たとえば0.05〜5重量%、特に0.1〜5重量%である。
【0256】
配合物は、染料及び/又は白色又は有色顔料(g)も含んでいてもよい。無機又は有機顔料用いることができる。このような添加剤は、当業者に知られており、例は二酸化チタン顔料、たとえばルチル又はアナターセ型、カーボンブラック、酸化亜鉛、たとえば亜鉛白、酸化鉄、たとえば酸化鉄イエロー、酸化鉄レッド、クロムイエロー、クロムグリーン、ニッケルチタンイエロー、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、バナジウム酸ビスマス、カドミウムイエロー、及びカドミウムレッドである。有機顔料の例は、モノ−又はビス−アゾ顔料、並びにその金属錯体、フタロシアニン顔料、多環式顔料、たとえばペリレン、アントラキノン、チオインジゴ、キナクリドン又はトリフェニルメタン顔料、並びにジケト−ピロロ−ピロール、イソインドリノン、たとえばテトラクロロイソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジン、ベンズイミダゾロン、及びキノフタロン顔料である。
【0257】
顔料は、配合物中で、個々に又は混和物で使用できる。使用目的に応じて、顔料を配合物に、当技術分野において通常の量で、たとえば、全質量に基づいて0.1〜60重量%、0.1〜30重量%、又は10〜30重量%の量で添加する。
【0258】
配合物は、たとえば、極めて幅広い種類の有機染料を含んでいてもよい。例は、アゾ染料、メチン染料、アントラキノン染料、及び金属錯体染料である。通常の濃度は、全質量に基づいて、たとえば0.1〜20%、特に1〜5%である。
【0259】
本発明による方法は、特に、着色配合物の硬化及び後続処理に適切である。したがって、光触媒を含む組成物がさらに染料又は顔料(g)を含む方法が好ましい。好ましくは、前記配合物は、塩基触媒硬化している。
【0260】
使用する配合物によって、安定剤として酸を中和する化合物、特にアミンを用いることもできる。適切な系は、たとえば、JP-A 11-199610に記載されている。例は、ピリジン及びその誘導体、N−アルキル−又はN,N−ジアルキル−アニリン、ピラジン誘導体、ピロール誘導体などである。
【0261】
本発明は、上述したように、組成物が、光潜在性成分(a)のほかに、他の添加剤(h)、増感剤化合物(f)及び/又は染料又は顔料(g)を含む方法にも関する。
【0262】
興味があることは、上述したように、組成物がさらなる添加剤(e)として少なくとも1種の光安定剤又は/及び少なくとも1種の紫外線吸収剤化合物を含む方法でもある。
【0263】
さらに、組成物は、充填剤材料、透明なもの、光学的に不透明な材料もまた含むことができる。この点について、光学的に不透明とは、触媒作用を開始させるのに使用する放射線を通さないことを意味する。例は、織物、帆布、組織、繊維、フィラメント、天然又は合成種両方の、たとえばポリマー、ナイロン、ポリエステルなど、強化材料、パテ、ガラス、カーボンブラック、などである。
【0264】
本発明の方法によれば、光潜在性触媒を含む前記組成物は、後続処理及び硬化に先立って、照射で活性化する。しかし、1種以上の上述した充填剤又は顔料、染料又は他の添加剤を含み、必ずしも光潜在性触媒を含まない組成物を硬化させることも、前記「充填剤を添加し」場合により光学的に不透明な組成物、すなわち不透明なペーストを、光潜在性触媒を含み混合に先立つ照射ですでに活性化された透明な組成物に、混合することで可能である。
【0265】
言い換えると、本発明の方法では、光潜在性触媒を含む組成物(放射線に対して光学的に透明な)を照射後、たとえば光学的に不透明な充填剤又は添加剤を含む別の硬化性組成物と混ぜ合わせ、得られた混合物を前もって活性化させた組成物を介して硬化させる。
【0266】
光潜在性触媒を含む組成物を照射工程で活性化した後、他の添加剤又は成分と混ぜ合わせることも可能である。次いで、前記組成物を基材に塗布するか、又は別の方法でさらに処理してもよい。
【0267】
組成物を照射するための適切な線源は、約150〜1500、たとえば180〜1000、又は好ましくは190〜700nmの波長の放射線、電子ビーム(e−ビーム)放射線、及び高エネルギー電磁波、たとえばX線、並びにマイクロ波放射線を発する線源である。ポイント光源と扁平プロジェクタ(ランプカーペット)の両方が適切である。例は:炭素アークランプ、キセノンアークランプ、中圧、高圧、及び低圧水銀灯、場合により金属ハロゲン化物をドープした(金属ハロゲン化物ランプ)、マイクロ波励起金属蒸気ランプ、エキシマーランプ、スーパーアクチニック(superactinic)蛍光管、蛍光ランプ、アルゴンフィラメントランプ、電子フラッシュランプ、ストロボ、写真用フラッドライト、低温フラットタイルライク(cold flat tile-like)UV−VIS光源(たとえばEXFO Photonic Solutions)、電子ビーム、及びシンクロトロン又はレーザプラズマによって生じるX線ビームである。線源と照射する組成物との距離は、使用目的及び線源の型及び/又は強度により、たとえば2cm〜150cmで変えることができる。適切な線源は、特に水銀蒸気ランプ、特に中圧及び高圧水銀灯であり、望ましいなら、その放射線から輝線を他の波長でカットすることができる。それは、特に、比較的短い波長放射線に対する場合である。しかし、適切な波長範囲で発光することができる低エネルギーランプ(たとえば蛍光管)、たとえばPhilips TL03ランプを用いることもできる。使用できる線源の別の種類は、狭帯域発光光源又は広帯域(白色光)光源のいずれかとして、スペクトル全体にわたって異なる波長で発光する発光ダイオード(LED)である。レーザ線源、たとえばエキシマーレーザ、たとえばKr−Fレーザ(248nmでの照射に対して)、Ar−Fレーザ(193nm)、又はF2レーザ(157nm)も適切である。可視範囲及び赤外範囲でのレーザも使用することができる。光源としてさらに、EUV(Extreme Ultra Violet、13nm)も適切である。適切なレーザ−ビーム光源は、たとえば、454、458、466、472、478、488、及び514nmの波長で放射線を発する、アルゴン−イオンレーザである。1064nmで発光するNd−YAG−レーザ並びにその第2及び第3高調波(それぞれ532nm及び355nm)も使用することができる。たとえば、442nmでの発光を有するヘリウム/カドミウムレーザ、又はUV範囲で発光するレーザも適切である。さらに、比較的低い強度の放射線が適切である。そのような放射線は、たとえば、日光(直射日光)、及び日光と同等の線源を含む。直射日光は、スペクトル組成及び強度が、UV硬化で通常用いる人工の線源の光と異なる。本発明による化合物の吸収特性は、硬化させるための放射線の天然光源として、直射日光を利用するのも適切である。本発明による化合物を活性化するのに使用することができる日光と同等の人工の光源は、低強度のプロジェクタ、たとえば特定の蛍光ランプ、たとえばPhilips TL05 スペシャル蛍光ランプ又はPhilips TL09スペシャル蛍光ランプであることが理解される。プラズマガスで処理することによって硬化することも可能である。真空条件下プラズマを得る可能な方法は、文献にしばしば記載されている。
【0268】
組成物の照射は、たとえば直接に行うことができるが、透明な層(たとえば窓ガラス又はプラスチックのシート)の後ろで行うこともできる。
【0269】
組成物の照射を、前記組成物の基材への塗布に先立って、又は前記組成物の後続処理に先立って、たとえば、それを製造又は保管するコンテナ又は容器中で、組成物をただ照射することにより、行うことができる。この場合、照射源をたとえば、容器より上、たとえばスターラに置く。別の可能性は、たとえばガラス又はプラスチック製の透明なコンテナを用いて、コンテナを通して組成物を直接に照射することである。本発明の文脈において、透明は、活性化に用いる放射線が材料を通ることができることを意味する。この場合、線源をコンテナの外側に置く。コンテナは、たとえばランプカーペットで外側を覆うことができる。
【0270】
組成物を照射する別の変形は、たとえば、ランプを透明なコンテナで保護し、前記コンテナを照射する配合物を含むコンテナに挿入することによる、ランプを直接配合物に入れることである。線源を、配合物を製造するのに用いる装置の一部に、たとえばスターラに組み込むことも可能である。さらに、照射を配合物に浸漬するライトガイドを用いて行うことができる。
【0271】
さらに、配合物を含むコンテナが透明な場合には、照射する組成物を有するコンテナを、適切な照射源又はいくつかの照射源が、たとえば、チャンバの上面に、上面及び側面パネル1面に、上面及び側面パネル数面だけに、又は全ての側面パネルに、又はチャンバの底までも含めて全ての側面までにも、設けられているチャンバに置くことができる。
【0272】
さらに、照射は、配合物を基材に塗布する前に、たとえば透明な入口パイプを有するスプレー装置を用いて、適切な照射源を前記パイプの透明な部分の上に置くことにより、簡単に行うことができる。スプレー蒸気を照射するために、照射源をスプレーガンの出口の後に置くこともできる。さらに、照射源を、スプレー装置のノズルの中又は外側に置くことができる。
【0273】
当業者に知られている適切な照射装置は、たとえば浸漬ウエル型装置、たとえばAce反応器(たとえばSigma-Aldrichにより提供される)、メリーゴーランド(merry-go-round)光反応器、環状型照射装置、たとえばRayonette光化学反応器、流通(flow-through)光化学反応器(たとえばJ. Cooke, G. Austin, M. J. McGar-rity, WO 9635508)、露光チャンバたとえば、上面照射露光(たとえばLuzchem LZC-1/LCZ-PAP)、側面照射露光(たとえばLuzchem LZC-5/LCZ-ORG)、又は上面−側面照射露光(たとえばLuzchem LZC-4V)を有するLuzchem Inc.により提供されるもの;マルチランプ型装置、タンク型光反応器、反応混合物中に吊るした発光デバイスを有する光反応器(たとえばJP 59059246 A2)、スチール光化学反応器(たとえばL. Teodorescu, G. Musca, E. Mocanu, H. Culetu, N. Rada, RO 93292 B1)、フロー反応器(たとえばD. W. Clark et al Icarus 200, 147, 282)、流下薄膜式光反応器(たとえばH. Enrich et al, Chimia 2002, 56, 647)、ファウンテン(fountain)光反応器、振動流(oscilatory flow)光反応器、ドラフトチューブバッフルド(draft-tube baffled)光反応器、連続的な環状の光反応器、半連続光化学反応器(たとえばM. Herbert, J. Ollivier, G. Fremy, WO 202081080 A1)、管状光反応器(たとえばA. Tkac, CS 249894 B1)、薄膜カスケード光反応器、重照射レーザ光化学反応器(たとえばL. M. Gantayet, S. Sethi, Adv. Chem. Eng. Nucl. Process Ind. 1994, 146)、ミクロ加工光反応器(H. Lu et al, Lab on a Chip 2001, 1, 22)、小規模反応器(James E. Gano, Andrew J. Gano, Patricia Garry, and Padmanabhan Sekher, J. Chem Edu. 2002, 79(11) 1361)、プラットホーム反応器である。
【0274】
利用できる光反応器に対する概要が、たとえば、A. M. Braun, M.-T. Maurette, E. Oliveros, "Photochemical Technology", Wiley, Chchester, West Sussex, England/New York 1993;A. M. Braun, M.-T. Maurette, E. Oliveros, D. F. Ollis, N. Serpone, "Industrial Photochemistry", M. L. Viriot, J.C. Andre, A. M. Braun, eds., CPIC-ENSIC, Nancy, 1990, Vol. A, 253-301 "Photochemical reactors"により;又は"Chemical Reactor Design and Technology: Overview of the New Developments of Energy and Photochemical Reactor Technologies. Projections for the 90's" by NATO Advanced Study Institute on "Chemical Reactor Design and Technologies, Hugo I. De Lasa (Editor), North Atlantic Treaty Organization Scientific Affairs Divisionに示される。光反応器工学の基本が、J. Costa Lopez, Afinidad 1977, 34(343), 19に報告されている。光化学反応工学基本の論考が、L. Rizzuti, A. Brucato, NATO ASI Series, Series C: Mathematical and Physical Sciences (1988), 237, 623にも見ることができる。
【0275】
本発明の実施態様は、また、フラスコ、タンク中、ポンプサイクル中、連続的な照射デバイス中、エバポレータの出口で、スプレーガンの外側若しくは内側、導管中、又はインクジェット印刷機中で照射を行う方法である。
【0276】
特に、組成物を、貯蔵槽中で直接に照射し、続いて後続処理に付す。
【0277】
光化学活性化を、バッチ又は連続的な方法のいずれかで行うことができる。したがって、本発明の別の対象は、光潜在性触媒(a)を含む組成物を、貯蔵槽から、入口パイプを経て、線源を直接に通り過ぎて、適用手段に、送給することにより連続的に行うことを特徴とする方法である。
【0278】
照射と、適用する後続処理工程を可能にする配合物の硬化との間の期間は、0.1秒〜数日、たとえば7日、好ましくは1秒〜24時間、最も好ましくは2秒〜8時間に調節することができる。
【0279】
期間は、光潜在性触媒、増感剤、照射源、及び配合成分の適切な選択及び組み合わせにより、必要に応じて調節することができる。したがって、組成物を照射してから0.5秒〜7日後に、後続処理を行う方法も本発明の対象である。
【0280】
好ましくは、本発明による方法は、
(A)
(b)酸触媒硬化成分及び
(a1)前記定義の光潜在性酸化合物
を含む組成物;又は
(B)
(c)塩基触媒硬化成分及び
(a2)前記定義の光潜在性塩基化合物
を含む組成物;又は
(A)及び(B)の混合物;
を電磁波、特にUV光を用いた照射に付し、続いて基材に塗布する、基材のコーティングの方法として実施する。
【0281】
好ましくは、本発明による方法における組成物は、イソシアネートと組み合わせたポリオール、及び光潜在性触媒として式VIII、VIIIa、及びVIIIb:
【0282】
【化61】

【0283】
(式中、rは、0又は1であり;
4は、CH2又はOであり;
2及びR3は、互いに独立に、水素又はC1〜C20アルキルであり;
1は、非置換の、又はC1〜C12アルキル−若しくはC1〜C12アルコキシ−置換のフェニル、ナフチル若しくはビフェニリルであり;
20、R30、及びR40は、結合する窒素原子と一緒になって、構造式:
【0284】
【化62】

【0285】
の基であり;
アニオンは、塩を形成する能力がある任意のアニオンであり;そして
mは、分子内の正に帯電したN原子の数である)の光潜在性塩基(a2)を含むラッカー配合物、又は場合により接着剤配合物である。
【0286】
適切なポリオール及びイソシアネートは、一般に上述の通りである。接着剤配合物に好ましい適切なポリオール及びイソシアネートは、本発明の文脈において後で示す。
【0287】
光潜在性触媒(a)の適用方法であって、前記触媒を含む組成物を、後続処理する前に照射に付し、組成物が、エポキシド成分及び光潜在性触媒として式VIIIa:
【0288】
【化63】

【0289】
(式中、rは、0又は1であり;
4は、CH2又はOであり;
1は、非置換の、又はC1〜C12アルキル−若しくはC1〜C12アルコキシ−置換のフェニル、ナフチル、若しくはビフェニリルであり
20、R30、及びR40は、結合する窒素原子と一緒になって、構造式(a)、(b)、又は(c):
【0290】
【化64】

【0291】
の基であり;
35は、水素又はC1〜C18アルキルであり;
アニオンは、塩を形成する能力がある任意のアニオンであり;そして
mは、分子内の正に帯電したN原子の数である)の光潜在性塩基(a2)を含む、ラッカー配合物、又は場合により接着剤配合物である方法がさらに対象となる。
【0292】
適切なエポキシド成分は上述した。ビスフェノールA型のエポキシドが好ましい。
【0293】
ラッカー及び接着剤配合物に関係する上述したような本方法における組成物は、接着剤であるのが好ましい。
【0294】
すでに上述したように、本発明の方法は、接着剤用途たとえば張り合わせ、構造又は感圧接着剤、たとえば感圧性ホットメルト接着剤にも有効である。特に、透明性のない基材の張り合わせ工程においても、貼り合わせる2つの部分を合わせるのに先立って、光の照射を介して接着剤配合物の活性化を行うことができる。
【0295】
接着剤組成物は通常、エポキシ成分、又はポリウレタンを形成するイソシアネート成分をベースとする酸触媒又は塩基触媒硬化性配合物である。エポキシ及びイソシアネート型の適切な成分、並びに対応する光潜在性塩基及び光潜在性酸は、すでに上述した、
【0296】
本特許請求の範囲に記載した方法にも適切な、適切なポリウレタン接着剤の例が、US 2005/027091に示されている。前記配合物は、(a)官能性≦3である脂肪族又は脂環式のポリイソシアネート、及び(b)≧1ポリプロピレングリコールジオールとポリプロピレングリコールトリオールとの混合物(トリオールのOH基の数に対するジオールOH基の数の比が<10、OH基の数に対するNCO基の比が0.95<n<1.05)を含み、分子量≦1000を有するジオールを分子量≧1000を有するトリオールと共に塗布し、分子量>1000を有するジオールを分子量<1000を有するトリオールと共に塗布する。前記組成物に、上述した光潜在性触媒を、上述した量で添加する。
【0297】
より適切なポリウレタン類の配合物は、たとえばUS 2004/265529、US 2005/019560、WO 04/055087、US 6596787に開示されている。WO 03/050155に開示されているような1成分のポリウレタン接着剤も、アミン触媒として上述したような光潜在性塩基を使用して、本明細書の方法にしたがって製造することができる。
【0298】
したがって、組成物が接着剤である、光潜在性触媒(a)の適用方法も関係する。光潜在性触媒が光潜在性塩基(a2)であり、かつ組成物が塩基触媒硬化性化合物(c)である上述した方法も関係する。
【0299】
本発明で述べた方法は、繰り返して塗布することもできる。その際に、本発明による第1の組成物を照射で活性化し、続いて必要に応じて後続処理する。次に、第2の組成物を活性化し、そして同じ塗布でさらに処理する。このプロセスを必要に応じて何度も繰り返すことができる。ウエット・イン・ウエット塗布プロセスとして一般に知られている。異なる工程で使用する光潜在性触媒は、同じでも異なっていてもよく、異なる工程について独立して光潜在性酸又は光潜在性塩基のいずれであってもよい。また、異なる工程での塩基触媒又は酸触媒硬化性成分は各工程で、同じでも異なっていてもよい。そのような塗布の例は、たとえば、たとえば第1のコーティング層をプライマーとしてキャリヤ材料上に、次に顔料を含有してもよい第2の層を、そして保護クリヤコートである第3の層を表面に塗布する、多層コーティングである。全ての層を塗布した後、たとえば熱の適用で系を硬化させる。次の層を塗布する時、前の層はまだ完全に硬化していないので、層の間の界面で異なるコーティング材料の混合が多少起こる可能性があり、異なる層の接着性の改良をもたらす。
【0300】
このような多工程の処理では、それぞれの層が本方法により活性化されたコーティングである必要はない。たとえば活性化された1層だけおよび触媒なしの更なる層を加えることも可能である。次に、活性化された層は、すでに前で挙げたバインダー又は接着剤の種類のように機能することができる。
【0301】
本発明の別の実施態様では、本方法を繰り返して塗布し、それぞれの繰り返し工程における光触媒は、他の工程と同一又は異なり、独立して光潜在性酸及び/又は光潜在性塩基のいずれかである。
【0302】
前記繰り返しのプロセスでは、組成物の活性化及び塗布直後に、後続処理工程、たとえば硬化に付す必要はない。それぞれの単独の配合物を活性化し、順々に塗布し、そして最後に全てのコーティングのための硬化を1つの工程で行う。しかし、活性化及び塗布の直後、次の活性化されたコーティングを塗布する前に、各コーティングの硬化をもたらすことも可能である。
【0303】
本発明の関係における「活性化された」は、光潜在性触媒を含む組成物が照射に付されていることを意味し、これが次に配合物中の光潜在性触媒を活性化する。
【0304】
上述したように本方法では、光潜在性触媒(適用に先立って活性化された)を含む組成物、並びに高度に不透明な充填剤及び/又は顔料及び場合によっては光潜在性触媒が詰まっている1種以上の組成物を用いて、1工程以上の工程を行うことができる。それは、光潜在性触媒を含む第1の組成物を照射で活性化し、次いで基材に塗布し、第1のものと同じか異なり場合により光潜在性触媒である第2の組成物を第1のものの上に塗布することなどを意味する。全ての必要とされているコーティングの塗布の後、たとえば熱及び/又はさらなる照射で硬化をもたらす。本発明の方法を、たとえば2〜10回、たとえば2〜5回又は2〜3回繰り返す。不透明な充填剤及び/又は顔料が多く詰まっている前記組成物は、ペースト、すなわち不透明なペーストの形態で使用できる。
【0305】
後続処理が、UV光及び/又は熱を用いるさらなる硬化工程である方法も本発明の対象である。
【0306】
本発明の別の実施態様は、請求項1の方法記載の組成物で覆われた基材である。
【0307】
本発明による方法の対象である組成物は、種々の目的、表面コーティング、印刷インク、たとえばスクリーン印刷インク、オフセット−又はフレキソ印刷用インクの配合物において、透明な仕上げ塗料として、たとえば木材又は金属用の白色又は有色仕上げ塗料として、粉末塗料として、特に紙、木材、金属又はプラスチック用のコーティング材料として、建物及び路面標識の製造用の日光硬化性コーティングとして、歯科用充填組成物として、接着剤として、感圧性接着剤として、積層用樹脂として、塊状硬化による又は射出成形による三次元物品製造のため、複合材料を製造するため(たとえば、必要ならばガラス繊維及び/又は他の繊維及び他の助剤を含有してもよいスチレンポリエステル)及び他の厚い層状組成物、電子部品及び集積回路のコーティング又は封止用、又は光ファイバー用コーティングとして、又は工学レンズ、たとえばコンタクトレンズ又はフレネルレンズの製造用に用いることができる。本発明による方法における組成物は、さらに、医療用装置、助剤、又はインプラントの製造に、そしてたとえばDE 19700064及びEP 678534に記載されているようなサーモトロピック特性を有するゲルの製造に適切である。
【0308】
本発明による方法で硬化された組成物は、たとえば、修理材料として及びパテ材料としても使用することができる。
【0309】
処理工程が、適切な支持材料上に活性化された配合物をイメージのように塗布する、印刷又はスタンピング工程を含むとき、構造化されたデバイスを製造することができる。これはたとえば、G. Whitesidesにより開発されたソフトリソグラフィ技術を用いることにより可能である(たとえば、Xia, Y., and G. M. Whitesides, Extending microcontact printing as a micro-lythographic technique. Langmuir 1997, 13, 2059-67;Xia, Y., D. Qin, and G. M. Whitesides, Microcontact printing with a cylindrical rolling stamp: A practical step toward automatic manufacturing of patterns with submicrometer-sized features. Adv. Mater. 1996, 8, 1015-17)。このように塗布した配合物を次いで、酸又は塩基触媒硬化工程で架橋させる。このように得られたミクロ構造を、たとえば、複写技術用、イメージ記録技術用に、印刷版を製造するために、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、電気めっきレジスト、又は永久レジストとして、液体及びドライフィルムの両方、印刷回路板及び電子回路用のTFTレジストとして、カラーフィルタを製造するためのレジストとして、たとえば赤、緑、及び青色のピクセル及び黒色マトリックス生成用;種々のディスプレイ用途用、又はプラズマ・ディスプレイパネル及びエレクトロルミネセンス・ディスプレイの製造プロセスにおいて構造を生成するために用いることができる。
【0310】
本発明の方法を粉末塗料の製造に使用することもできる。
【0311】
「粉末塗料組成物」又は「粉末塗料」は、"Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th, Completely Revised Edition, Vol. A 18", pages 438 to 444(1991) in Section 3.4に記載されている定義を意味する。粉末塗料は、粉末形態で主に金属基材に付着する、熱可塑性又は焼付け可能な架橋性ポリマーを意味する。粉末をコーティングする加工物と接触させる方法が、種々の付着技術、たとえば静電粉末噴霧、静電流動床焼結、固定床焼結、流動床焼結、回転焼結、又は遠心焼結の特徴を示す。
【0312】
本発明によれば、付着に先立って、粉末塗料配合物を活性化する。本発明の粉末塗料組成物用の好ましい有機フィルム形成バインダーは、たとえば、エポキシ樹脂、ポリエステル−ヒドロキシアルキルアミド、ポリエステル−グリコールウリル、エポキシ−ポリエステル樹脂、ポリエステル−トリグリシジルイソシアヌレート、ヒドロキシ官能ポリエステル−ブロック化ポリイソシアネート、ヒドロキシ官能ポリエステル−ウレトジオン(uretdione)、硬化剤を伴うアクリレート樹脂、又はこのような樹脂の混合物を基礎とする焼付け系である。
【0313】
ポリエステルは一般にヒドロキシ又はカルボキシ官能であり、通常、ジオールとジカルボン酸との縮合で製造する。ポリオール及び/又はポリ酸の付加で、分岐状ポリエステルが得られ、次いでこれを、架橋剤の存在下で焼付け中に、コーティングに望ましい物性、たとえば耐引掻性、衝撃強さ、及び曲げ強さを与えるネットワーク構造を引き起こす。多官能酸の代わりに、無水物又は酸塩化物、たとえば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テレフタル酸、無水ヘキサヒドロテレフタル酸、トリメリト酸無水物、ピロメリット酸二無水物、無水コハク酸、などを使用することも可能である。単純エステル、たとえばジメチルテレフタレートを使用することも可能であり、その場合、揮発性アルコールの脱離を伴うエステル交換で重合を行う。同様に、実施可能なのは、エステル交換及び縮合の組み合わせによる生成である。さらに、ポリエステルは、ヒドロキシカルボン酸、たとえば12−ヒドロキシ−ステアリン酸及びヒドロキシピバル酸、又は対応するラクトン、たとえばε−カプロラクトンの重縮合により生成することができる。ジカルボン酸及びポリ酸の例は、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、ピロメリト酸、3,6−ジクロロフタル酸、コハク酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含む。ジオール及びポリオールの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ヘキサントリオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチルペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパン−ジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、Esterdiol 204(ヒドロキシピバル酸及びネオペンチルグリコールのエステル)、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA、ヒドロキシピバル酸、ヒドロキシピバレートエステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール又は2−メチル−1,3−プロパンジオールを含む。
【0314】
カルボキシ官能ポリエステル用の適切な架橋剤は、エポキシ化合物、たとえばNovolac(登録商標)−エポキシ樹脂、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールA、及びたとえば脂肪族ジカルボン酸との反応で変性したビスフェノールAである。反応性エポキシ化合物、たとえばトリグリシジルトリアゾリジン−3,5−ジオン、ポリ酸のグリシジルエステル、たとえばジグリシジルテレフタレート及びジグリシジルヘキサヒドロテレフタレート、ヒダントインエポキシド(U.S. 4,402,983)、特に、トリグリシジルイソシアヌレート、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(たとえばUranox(登録商標)、DSM製)、及びAraldit(登録商標)PT 910(Ciba Spezialitaten-chemie AG)も適切である。カルボキシ官能ポリエステル用の別の架橋剤は、たとえばβ−ヒドロキシアルキルアミド(U.S. 4,076,917)、たとえば主に4官能のアジピン酸のβ−ヒドロキシアルキルアミド誘導体(Primid(登録商標)XL552、Rohm & Haas製)である。低分子量アルコールでアルキル化された、メラミン、ベンゾグアナミン、及びグリコールウリルの誘導体も適切であることが分かっている。例は、テトラメチルメトキシグリコールウリル(Powderlink(登録商標)1174、American Cyanamid製)である。さらに、たとえばビス−及びトリスオキサゾリジン、たとえば1,4−ビスオキサゾリジノベンゼンも架橋剤として知られている。
【0315】
化学結合したエポキシ基を含有し、したがってそれ自体で架橋することができるカルボキシ官能ポリエステルがより新しい(Molhoek et al., 22nd Fatipec Congress, 15-19.5.95, Budapest, Vol. 1, 119-132)。
【0316】
架橋反応でエポキシ基又はグリシジル基が、カルボキシル基と又は無水物と反応する全ての系において、触媒を使用することができる。例は、たとえば、アミン又は金属化合物、たとえばアルミニウムアセチルアセトナト又はスズオクトエートである。
【0317】
ヒドロキシ官能ポリエステルのための架橋剤として、ポリイソシアネート架橋剤が特に重要である。イソシアネートの反応性が高いため、早すぎる架橋を防ぐため、そして溶融粉末の良好なレベリングを得るために、ポリイソシアネートをブロックする(内部でウレトジオン(uretdione)の形態、又は、ブロッキング剤を伴う付加物として)。最も一般的に使用されるブロッキング剤は、ε−カプロラクタム、メチルエチルケトオキシム、又はブタノンオキシムである。他の適切なイソシアネートのためのブロッキング剤は、刊行物、G. B. Guise, G. N. Freeland and G. C. SmithによるJ. Applied Polymer Science, 23, 353 (1979)、及びM. Bock and H. -U. Maier- Westhues による"Progress in Product Development for Powder Coating Technology, XIX th Int. Conf. on Organic Coatings, Science and Technol., Athens, 12-16 July", 1993に記載されている。ブロック化及び非ブロック化ポリイソシアネートの例は、2−メチルペンタン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブタン1,4−ジイソシアネート、3(4)−イソシアネートメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンジイソシアネート、トリス(イソシアネートメチル)ベンゼン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシレンジイソシアネート、特に、イソホロンジイソシアネートを含む。脱ブロックのために、金属触媒、たとえばスズオクトエート、ジブチルスズオキシド又はジブチルスズジラウレートを、ポリイソシアネート配合物に添加するのが一般的である。
【0318】
さらなる適切なヒドロキシ官能ポリエステルのための架橋剤は、無水物、たとえばトリメリト酸無水物、及びそのジオール及びジアミンとの反応生成物である。さらなるこのような架橋剤の例が、T.A. Misevにより、"Powder Coatings: Chemistry and Technology", published by J. Wiley & Sons, Chichester on pages 123 and 124に記載されている。
【0319】
ヒドロキシル、カルボキシル又はグリシジル官能性を通常有するポリアクリレートも、粉末塗料用バインダーとして使用する。これらは、主としてモノマー、たとえば、スチレン及びアクリル酸又はメタクリル酸の直鎖若しくは分岐C1〜C8アルキルエステルから、通常の方法で生成する。さらに、他のエチレン性不飽和化合物、たとえばジビニルベンゼン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ブタジエンなどを添加して共重合することができる。ヒドロキシル官能性は、ヒドロキシ官能モノマー、たとえばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートの共重合で確保する。カルボキシル官能性の使用のために、エチレン性不飽和酸及び無水物、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びクロトン酸、並びに無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル無水物又はメタクリル酸無水物(US-A-3,836,604)を用いる。グリシジル官能性は、EP-A-0 256 369及びUS-A-3,876,578に示されるように、モノマー、たとえばグリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートの共重合で得る。ヒドロキシル又はカルボキシル官能性を伴うポリアクリレートのための架橋剤として、ヒドロキシル又はカルボキシル官能性を伴うポリエステルについてすでに記載したのと同じ化合物を基本的に用いることができる。さらなる適切な架橋剤は、US-A-0,045,040のエポキシ化合物である。グリシジル官能性を伴うポリアクリレートのための適切な架橋剤は、ジカルボン酸、たとえばセバシン酸及び1,12−ドデカンジカルボン酸、並びに無水物、たとえばビストリメリト酸無水物、並びにUS-A-3,880,946に記載されている化合物である。さらに、DE-A-3 310 545には自己架橋性ポリアクリレートが開示されている。
【0320】
粉末塗料用エポキシ樹脂は通常、Novolac(登録商標)−エポキシ樹脂又は、特に、芳香族ポリオールをベースとするもの、特にビスフェノール類、たとえばビスフェノールAをベースとするもののいずれかである。JP-A-58 187 464(1982)から変性ビスフェノールエポキシ樹脂も知られている。エポキシ樹脂は、固体脂肪族アミン、固体芳香族アミン、アミン付加物、フェノール樹脂、ポリ酸、及びすでに記載したカルボキシ官能ポリエステルの種類からの架橋剤と組み合わせて使用する。特に言及に値する硬化剤は、ジシアンジアミドであり、これは多くの場合触媒と共に使用し、その例はルイス酸、三フッ化ホウ素−アミン錯体、金属錯体、第三級又は第四級アミン、及びイミダゾリン誘導体、たとえば2−メチルイミダゾリンである。
【0321】
インクの乾燥時間がグラフィック製品の生産速度の重大な要因であるので、光硬化は、印刷に極めて重要であり、ほぼほんの数秒程度であるべきである。UV硬化性インクは、スクリーン印刷及びオフセットインクにとって特に重要である。そのような印刷インクは当業者に知られており、当技術分野において広く使用され、文献に記載されている。それらは、たとえば着色印刷インク及び染料で着色された印刷インクである。
【0322】
印刷インクは、たとえば、着色剤(顔料又は染料)、バインダー並びに場合により溶剤及び/又は場合により水及び添加剤を含む、液体又はペースト状の分散系である。液体印刷インク中では、バインダー及び、適用できる場合は添加剤は、通常、溶剤に溶解している。Brookfield粘度計での通常の粘度は、液体印刷インクについては、たとえば、20〜5000mPa・s、たとえば20〜1000mPa・sである。ペースト状印刷インクについては、その値は、たとえば、1〜100Pa・s、好ましくは5〜50Pa・sの範囲である。当業者は印刷インクの成分及び組成物に精通している。適切な顔料は、当技術分野において通常の印刷インク配合物と同様に、一般に知られており、広く記載されている。
【0323】
印刷インクは、たとえば出版、パッケージ又は出荷において、流通において、広告において、セキュリティ印刷において、又はオフィス機器の分野で、本発明の方法により一般に公知の配合物を用いて前処理した材料の、たとえば、凹版印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、リソグラフィ、又は連続若しくは滴状のインクジェット印刷に用いることができる。
【0324】
適切な印刷インクは、溶剤系印刷インク及び水性印刷インクの両方である。たとえば、水性のアクリレートをベースとする印刷インクが関係する。
【0325】
凹版又はフレキソ印刷用に、印刷インクは通常、印刷インク濃縮物の希釈により製造し、次いでそれ自体知られている方法で用いることができる。
【0326】
印刷インクは、たとえば、酸化的に乾燥するアルキド樹脂系も含んでいてもよい。
【0327】
インクは、通常、顔料又は染料、又は顔料若しくは染料の組み合わせ、分散剤、及びバインダーを含む。印刷インクはさらなる助剤、たとえば一般的なもの、たとえば防腐剤、酸化防止剤、脱ガス剤/脱泡剤、粘度調節剤、増粘剤、流動性向上剤、沈降防止剤、光沢向上剤、潤滑剤、接着促進剤、皮張り防止剤、艶消剤、乳化剤、安定剤、疎水剤、光安定剤、風合い向上剤、帯電防止剤、緩衝物質、界面活性剤、保湿剤、並びに菌類及び/又はバクテリアの成長を妨げる物質を含んでいてもよいことが理解される。
【0328】
印刷インクを、たとえば望ましい量の水中で、個々の成分を一緒に混合することによる通常の方法で製造してもよい。
【0329】
印刷インクは、たとえば、印刷インクを小さな開口から、イメージが形成される基材に向かって導かれる液滴の形態で絞り出す種類の記録システムにおいて使用するのにも適切である。適切な基材は、たとえば、本発明による方法によって前処理した紡織繊維材料、紙、プラスチック又はアルミニウム箔である。適切な記録システムは、たとえば商業的に入手可能であるインクジェットプリンターである。
【0330】
特に、印刷は光潜在性触媒として
(a1)光潜在性酸、たとえばトリアリールスルホニウム塩、若しくは上述した式VIの芳香族スルホニウム塩;
又は光潜在性酸(a1)が、芳香族ホスホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、又はオキシム系光潜在性酸よりなる群から選択される化合物であるか;あるいは
(a2)光潜在性塩基化合物
を含む。
【0331】
本発明による光硬化方法が使用できる別の分野は、金属のコーティング、たとえば、金属板及び管、缶又は瓶の蓋、自動車及び他の乗り物、たとえば列車、自転車、飛行機、ボート、船などのコーティング、並びにポリマーコーティング、たとえばPVCをベースとする床仕上げ材又は壁装材の光硬化の場合である。紙コーティングの光硬化の例は、ラベル、レコード入れ、及び本の表紙の無色ワニスの塗布である。
【0332】
さらに関係となるのは、複合材料コンパウンドから製造された成形品の硬化のための本新規方法の使用である。複合材料コンパウンドは、活性化された、すなわち照射した光硬化配合物を含浸させた自己支持マトリックス材料、たとえばガラス繊維織物、あるいはまた、たとえば、植物繊維[K.-P. Mieck, T. Reussmann in Kunststoffe 85(1995), 366-370を参照]からなる。複合材料コンパウンドを含む成形品は、高レベルな機械的安定性及び抵抗を達成する。新規方法は、成形品の製造に、又はたとえばEP 7086に記載されているような含浸及びコーティング組成物に使用することもできる。このような組成物の例は、これは硬化活性及び耐黄変性について厳しい要件に付するゲルコート樹脂、及び繊維強化成形品、たとえば、平坦であるか、又は縦方向若しくは横方向の波形を有する光散乱パネルである。そのような成形品を製造する技術、たとえばハンドレイアップ、スプレーレイアップ、遠心注型又はフィラメント巻きが、たとえば、P. H. Seldenにより"Glasfaserverstarkte Kunststoffe", page 610, Springer Verlag Berlin-Heidelberg-New York 1967に記載されている。これらの技術で製造することができる物品の例は、ガラス繊維強化プラスチックの両面コーティングを有するボート、繊維ボード又はチップボードパネル、パイプ、コンテナ、サーフボードなどである。成形、含浸、及びコーティング組成物のさらなる例は、ガラス繊維を含有する成形品(GRP)、たとえば波板及びラミネート紙用のUP樹脂ゲルコートである。ラミネート紙は、尿素樹脂又はメラミン樹脂をベースとしてもよい。ラミネートの製造に先立って、ゲルコートを照射し、支持材(たとえばフィルム)上に形成する。本新規方法を、注型用樹脂の製造又は物品、たとえば電子部品などの埋め込みにも使用することができる。
【0333】
本新規方法は、たとえば、たとえば保護層を塗布するしようとする全ての種類の基材、たとえば木材、生地、紙、セラミック、ガラス、プラスチック、たとえばポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン又は酢酸セルロース、特にフィルムの形態、並びに金属、たとえばAl、Cu、Ni、Fe、Zn、Mg又はCo、及びGaAs、Si又はSiO2のコーティングに適切である。
【0334】
基材のコーティングは、塗布に先立って照射した液体組成物、溶液又は懸濁液を、基材に塗布することで実施できる。溶剤及び濃度の選択は、組成物の型及びコーティング技術に主に依存する。溶剤は、不活性であるべきであり、すなわち成分との化学反応を受けるべきではなく、コーティング後、乾燥中に再び除去することが可能であるべきである。適切な溶剤の例は、ケトン、エーテル、及びエステル、たとえばメチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、エチル3−エトキシプロピオネート、2−メトキシプロピルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、2−ペンタノン、及び乳酸エチルである。
【0335】
溶液を、既知のコーティング技術によって、たとえばスピンコーティング、ディップコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、はけ塗り、噴霧、特に静電噴霧及びリバースロールコーティングにより、並びに電気泳動析出によって基材に均一に塗布する。感光性層を仮の柔軟な支持材に塗布し、次いでラミネーションによって層を移すことで、最終基材、たとえば銅クラッド回路板又はガラス基材をコートすることもできる。
【0336】
塗布する量(コート厚さ)及び基材の性質(層支持材)は、適用の所望の分野に依存する。コート厚さの範囲は、一般に約0.1μm〜100μmを超え、たとえば0.1μm〜1cm、好ましくは0.5μm〜1000μmの値を含む。
【0337】
本新規方法はさらに、エマルジョン重合、パール重合又は懸濁液重合に使用してもよい。
【0338】
後続処理が、照射した組成物の基材への塗布、場合により、次いでコーティングされた基材のさらなる機械的加工工程、たとえば曲げ、切断、磨き;フォームの製造;ポリマーの製造;繊維の製造;ゲルコートの製造;複合材料の製造、接着剤の製造、クリヤコーティング若しくは着色コーティング、印刷インク、インクジェットインクの製造、又はさらなる材料が組み込まれた、たとえば研磨紙用の砂を有するコーティングの製造を包含する、上述した方法。
【0339】
本発明による方法において、後続処理は、フォーム(柔軟な、硬い、完全な又は微孔質のフォーム)の製造にあってもよい。
【0340】
前記フォームを製造する組成物は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール又はポリウレタン組成物を含む。
【0341】
ポリウレタンは、たとえば、末端ヒドロキシル基を含有するポリエーテル、ポリエステル、及びポリブタジエンと、脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートとを反応することで得られる。
【0342】
末端ヒドロキシル基を有するポリエーテル及びポリエステルは、知られており、そしてたとえば、エポキシド、たとえばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、若しくはエピクロロヒドリンをそれ自体で、たとえばBF3の存在下で重合することで、あるいはこれらのエポキシド、単独で、又は反応性水素原子を含有する出発成分、たとえば水、アルコール、アンモニア、若しくはアミン、たとえばエチレングリコール、プロピレン1,3−及び1,2−グリコール、トリメチロールプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルプロパン、アニリン、エタノールアミン、若しくはエチレンジアミンとの混合物として又は連続して、付加反応することで製造する。本発明によれば、スクロースポリエーテルも適切である。多くの場合好ましいのは、主に(ポリエーテル中に存在する全OH基に基づいて90重量%まで)第一級OH基を含有するそれらのポリエーテルを得ることである。さらに、たとえば、ポリエーテルの存在下でスチレンとアクリロニトリルを重合することで形成されるようなビニルポリマーで変性されたポリエーテルは適切であり、OH基を含有するポリブタジエンも適切である。これらの化合物は一般に、分子量40であり、そしてポリヒドロキシ化合物、特に2〜8個のヒドロキシル基を含有する化合物、特に、分子量800〜10000、好ましくは1000〜6000、たとえば、少なくとも2個の、一般に2〜8個の、しかし好ましくは2〜4個のヒドロキシル基を含有する、均質ポリウレタン及び気泡ポリウレタンの製造について知られているようなポリエーテルである。
【0343】
当然、少なくとも2個のイソシアネート反応性水素原子を含有する、特に分子量400〜10000の上述の化合物の混合物を使用することが可能である。適切なポリイソシアネートは、脂肪族、脂環式、アルアリファチック(araliphatic)、芳香族、及び複素環のポリイソシアネート、たとえばエチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−及び−1,4−ジイソシアネート並びにこれらの異性体の所望の混合物、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン、2,4−及び2,6−ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート並びにこれらの異性体の所望の混合物、ヘキサヒドロ−1,3−及び/又は−1,4−フェニレンジイソシアネート、ペルヒドロ−2,4’−及び/又は−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート、並びにこれらの異性体の所望の混合物、ジフェニルメタン2,4’−及び/又は4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4’,4”−トリイソシアネート、アニリン−ホルムアルデヒド縮合、次にホスゲン化により得られるようなポリフェニル−ポリメチレンポリイソシアネート、m−及びp−イソシアネートフェニルスルホニルイソシアネート、過塩素化アリールポリイソシアネート、カルボジイミド基を含有するポリイソシアネート、アロファナート基を含有するポリイソシアネート、イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート、ウレタン基を含有するポリイソシアネート、アシル化尿素基を含有するポリイソシアネート、ビウレット基を含有するポリイソシアネート、エステル基を含有するポリイソシアネート、上述したイソシアネートとアセタールとの反応生成物、及びポリマー脂肪酸基を含有するポリイソシアネートである。
【0344】
イソシアネートの工業製造中に得られる、イソシアネート基を含有する蒸留残留物を、そのまま又は上述したポリイソシアネート1種以上に溶解して、使用することもできる。さらに、上述したポリイソシアネートの所望の混合物を用いることができる。
【0345】
特に好ましくは、一般に、工業的に容易に得ることができるポリイソシアネート、たとえば2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート、及びこれらの異性体の所望の混合物(TDI)、アニリン−ホルムアルデヒド縮合、次にホスゲン化により製造するようなポリフェニル−ポリメチレン−ポリイソシアネート(粗MDI)、及びカルボジイミド、ウレタン、アロファナート、イソシアヌレート、尿素又はビウレット基を含有するポリイソシアネート(変性ポリイソシアネート)である。
【0346】
ポリウレタンフォームは、好ましくは、液体出発成分から製造し、互いに反応させる出発材料をワンショット法で一緒に混合するか、あるいはポリオールと過剰なポリイソシアネートとから形成されるNCO基を含有する予備付加物を最初に製造し、次に通常水との反応で発泡させるかのいずれかである。
【0347】
本発明の方法によれば、フォーム組成物は、イソシアネート成分の添加に先立って照射される。
【0348】
フォームの製造において、発泡は多くの場合金型中で実施する。その場合には、たとえば照射及び水成分の添加後、反応混合物を金型に入れる。適切な金型材料は、金属、通常アルミニウム、又はプラスチック、通常エポキシ樹脂である。金型中で、発泡性反応混合物を泡立たせ、成形品を形成する。発泡成形を、成形品が気泡表面構造を有するように、あるいはまた、成形品が緻密な皮膚及び気泡コアを有するように実施することができる。この点については、得られるフォームが金型を丁度満たすのに十分な量の発泡性反応混合物を金型に入れることができる。しかし、金型の内部をフォームで満たすために所望するより多くの発泡性反応混合物を金型に入ることも可能である。したがって、後者の場合、作業は過充填で実施する。
【0349】
フォーム成形の場合、既知の外部離型剤、通常シリコーン油を、しばしば付随して使用する。しかし、いわゆる内部離型剤を、場合により外部離型剤との混合状態で用いることもできる。低温硬化フォームを使用することもできる。あるいはまた、フォームは、当然、ブロック発泡で又は既知のダブルコンベヤーベルト法で製造することができる。これらの方法は、軟質、やや軟質、又は硬質のポリウレタンフォームを製造することに使用することができる。
【0350】
フォームは、たとえば家具及び自動車工業におけるマットレス及び室内装飾材料のような製品用、並びに自動車工業において用いるような付属品の製造用、そして最終的には、たとえば建設部門における又は冷却工業における遮音組成物として及び断熱及び低温断熱組成物として、又は繊維工業においてたとえば肩パッドとして既知の用役に発見する。前記フォームは、たとえば自動車工業において、たとえば、軟質フォームから、肘掛け、ヘッドレスト、アコースティック・フォーム・カーペット、シートを;又は半硬質フォームから、たとえばルーフ・ライナー、ハット・ラック、ドア・パネル、肘掛け、インストルメント・パネル、ヘッド・インパクト、サイド・インパクトを製造するのに;又はフォームを使用してキャビティを充填するのに(硬いフォーム);又は軟質インテグラルフォームから、たとえばステアリング・ホイール、エア・フィルタ、ギアシフト・ノブ、スポイラー、ケーブル・シーティング(cable sheeting)、ヘッドレストを製造するのに、特に関係する。
【0351】
したがって、本発明のさらなる対象は、光潜在性触媒(a)の適用方法であって、前記触媒を含む組成物を、後続処理する前に照射に付し、後続処理がフォームの製造にあり、組成物がポリオール及びイソシアネート成分及び光潜在性触媒として光潜在性塩基(a2)を含むことを特徴とする方法である。
【0352】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、これらは特許請求の範囲を限定するものではない。明細書の残り及び特許請求項と同様に、特記しない限り、部又は%は重量に関するものである。3個より多い炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基を、それらの異性体の形の表示を全く伴わずに参照する場合、それぞれのn−異性体を意図する。
【0353】
実施例1:
次の配合物をそれぞれの成分を混合することで製造した:
成分A
ヒドロキシ官能ポリアクリレート(Desmophen A VP LS 2350、Bayer AGより供給)54.78部
レベリング剤Byk 333(酢酸ブチル中10%、ポリエーテル変性ポリ−ジメチル−シロキサン、Byk Chemieより供給)0.70部
レベリング剤Byk 355(ポリアクリレートの溶液、Byk Chemieより供給)0.50部
消泡剤Byk 141(ポリシロキサン、Byk Chemieより供給)0.55部
キシレン/メトキシプロピルアセテート/酢酸ブチルの混合物(比1:1:1)18.47部
成分B
脂肪族ポリイソシアネート(Desmodur N 3390、Bayer AGより供給)20.08部
光潜在性塩基:
【0354】
【化65】

【0355】
2.8%を成分Aによく溶解した。塗布に先立って、成分Bを試料に添加し、均質化した。こうして製造したコーティング配合物を、次いでシャーレに入れ、UV硬化装置で2×80W/cmHgバルブを用いて、ライン速度3m/minで照射した。
【0356】
含有する配合物の反応性を、Byk- Gardnerからの乾燥記録計を用いて測定した。シャーレ内での配合物の照射の後に、75μmのスリットのコーターを用いて、長さ30cmのガラス板上にコーティングを塗布した。コーティングされたガラス板を、次いで、暗所内、ニードルがコーティングされた基材の上を一定の速度で動く記録計の上に置いた。ニードルが基材の全長を通過するまで24時間かかった。この時間の後、硬化フェーズを測定した。関連することは、不粘着性のコーティング(=フェーズ3)を得るための時間である。
【0357】
成分A及びBを含む配合物の第2の試料を、予備照射することなく記録計に供した。さらに、光潜在性触媒を伴わない試料を、上述した、すなわち予備照射工程を伴う及び伴わない手順に付した。結果を次の表1に集める。
【0358】
【表1】

【0359】
実施例2:ポリエーテル/ポリウレタンソフトフォームの製造
アミン触媒、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)0.08g(ポリオールに基づいて0.05%)
光潜在性触媒PLB−1 0.24g(ポリオールに基づいて0.15%)を、ポリエーテルポリオール[Lupranol 2082(RTM)ヒドロキシル価48mgKOH/g、水含量0.1%未満、酸価0.1mgKOH/g未満)]160gに溶解した。この試料を、次いでPanacol UVA Lamp UV F 450Wの下、青色光フィルターを使用して、2分間露光した。
【0360】
ポリシロキサンポリオキサアルキレンブロックコポリマーフォーム安定剤(Tegostab(登録商標)BF 2370;Goldschmidt、Germanyから供給)1.92g及び脱イオン水7.68gからなる溶液9.6gを添加し、反応混合物を2600rpmで10秒間勢いよく攪拌した。オクタン酸スズ(Kosmos(登録商標)29;Goldschmidt、Germanyから供給)0.32gを、次いで添加し、反応混合物を再び2600rpmで18秒間勢いよく攪拌した。イソシアネート(Lupranat(登録商標)T80、BASFから供給;トルイレン−2,4−及びトルイレン−2,6−ジイソシアネート混合物)94.54gを、次いで2600rpmで5〜7秒間連続的に攪拌しながら添加した。混合物を次いで20×20×20cmのケークボックスに注ぎ、そして発熱反応でフォームブロックを得た。
【0361】
第2のテストでは、光潜在性触媒(PLB−1)0.08g(ポリオールに基づいて0.05%)を、配合物に添加した。上述したように、フォームの製造を行った。この場合もフォームブロックを得た。
【0362】
実施例3:無溶剤2Pポリウレタン接着性配合物の製造
成分Aを、次に示す成分を混合することで製造した:
3官能ポリプロピレンポリエーテルポリオール(Desmophen(登録商標)1380 BT、Bayerより供給)50.0重量%
直鎖ポリプロピレンポリエーテルポリオール(Desmophen(登録商標)1112 BD、Bayerより供給)20.0重量%
増感剤、イソプロピルチオキサントン(Darocure(登録商標)ITX、Ciba Specialty Chemicalsより供給)0.21重量%
光潜在性塩基PLB−1 2.1重量%
成分B:ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をベースとする芳香族ポリイソシアネートプレポリマー、Desmodur(登録商標)E21、Bayerより供給
(成分A及びBを、比A:B=1:0.74で混合した)
【0363】
実施例3.1:
成分A0.5gを、開いた透明なガラス晶出器(cristallizer)(層厚さ約1mm)に入れ、UV−蛍光ランプTL 05(Philips)を用いて10分間照射した。照射時間の間、マグネチック攪拌装置を用いて液体を絶えず攪拌した。
【0364】
照射後、成分B0.37gを添加し、そしてステンレス鋼スパチュラを用いて手早く攪拌した。均質な配合物を、ワイヤ・バー(WFT34μm)を用いて、FTIR分光法に用いるKBr結晶上に塗布した。塗布直後にイソシアネートのポリオールとの架橋反応を、Perkin Elmer 1600 Spectrometerを用いてFTIR分光法により追跡した。
【0365】
最初のスペクトルを時間0として、5;15;30;60及び120分後にスペクトルを測定した。2271cm-1でのイソシアネートピーク高さの経時的な低下を、系の反応性に対する測定として用いた。結果を次の表2に集め、FTIR測定から計算されたNCO転化率を示した。
【0366】
実施例3.2:
成分A0.28g及び成分B0.21gを、開いた透明なガラス晶出器(層厚さ約1mm)に入れ、UV−蛍光ランプTL 05(Philips)を用いて10分間照射した。照射時間の間、マグネチック攪拌装置を用いて液体を絶えず攪拌した。
【0367】
照射後、ワイヤ・バー(WFT34μm)を用いて、配合物をFTIR分光法に用いるKBr結晶上に、塗布した。塗布直後に、上述したように、反応をFTIR分光法を用いて追跡した。結果を表2に集めた。
【0368】
【表2】

【0369】
FTIR測定後に、結晶上に残存するフィルムを触れるまで乾燥した。
【0370】
実施例4:無溶剤2Pポリウレタン接着剤配合物の製造
成分A(実施例3で述べた)0.5gを、開いた透明なガラス晶出器(層厚さ約1mm)に入れ、UV−蛍光ランプTL 05(Philips)を用いて10分間照射した。照射時間の間、マグネチック攪拌素子を用いて液体を絶えず攪拌した。
【0371】
照射後、成分B(実施例3で述べた)0.37gを添加し、そしてステンレス鋼スパチュラを用いて手早く攪拌した。均質な配合物をポリエチレンフィルムのストリップ上に塗布した(=ストリップA)。接着剤でコーティングしない第2のポリエチレンフィルム(=ストリップB)を、層の間に空気を残さずに、ストリップAの上に押し付けた。ストリップA及びストリップBを貼り合わせた直後に、平らな木製ボードをストリップの上に置き、次にこれに5kgの重りを載せた。5時間後、ストリップの端部を引っ張ることにより接着性をテストした。両端で引っ張った時に、ストリップは、一緒に貼り付いていた。
【0372】
実施例5:
PLB−1の代わりに
【0373】
【化66】

【0374】
を使用して、実施例4の手順を繰り返した。両端で引っ張った時に、ストリップは、一緒に貼り付いていた。
【0375】
実施例6:着色コーティング配合物
配合物Aを次に示す成分を混合することで製造した:
増感剤イソプロピルチオキサントン(Darocur(登録商標)ITX、Ciba Specialty Chemicalsより供給)0.4重量%
溶剤として酢酸ブチル59.6重量%
トリメチロールプロパントリス(3−メルカプト−プロピオネート)(Aldrichより供給)40.0重量%
配合物Bを次に示す成分を混合することで製造した:
透明な黄緑有機顔料(Chromophtal(登録商標)Yellow 8GN、Ciba Specialty Chemicalsより供給)9.0重量%
ビスフェノールAエポキシ樹脂(Bakelite EPR 162、Bakelite AGより供給)76.0重量%
ポリマー分散剤(EFKA 4010、Ciba Specialty Chemicalsより供給)8.0重量%
溶剤として酢酸ブチル7.0重量%
光潜在性塩基PLB−1 0.011gを、配合物A0.4gに溶解し、この配合物を、3.6cmの大きな晶出器中で、激しく攪拌しながら、UV光(蛍光ランプPhilips TL 40W/05、主発光350〜400nm)に10分間露光した。配合物B0.123gを添加し、数秒さらに攪拌して均質な配合物を得た。
【0376】
コーティングの反応を、室温で、ATR分光法(Nicolet Magna-IR 750 spectrometer)によりモニターしてSH(2564cm-1)及びエポキシ(912cm-1)の消失を追跡した。結果を表3にまとめる。
【0377】
【表3】

【0378】
さらに、完成した配合物、すなわち化合した成分A+Bを同じ条件下で照射した:表3aに集めた結果が示すように、反応ははるかに遅いが、架橋もまた生じた。
【0379】
【表4】

【0380】
実施例7:ゲルコート配合物の製造
配合物Aを次の成分を混合することで製造した:
増感剤イソプロピルチオキサントン(Darocur(登録商標)ITX、Ciba Specialty Chemicalsより供給)0.4重量%
溶剤として酢酸ブチル58.0重量%
トリメチロールプロパントリス(3−メルカプト−プロピオネート)(Aldrichより供給)42.0重量%
配合物Bを、実施例4で述べたように製造した。
【0381】
光潜在性塩基PLB−1 0.11gを、配合物A4.3gに溶解し、そして配合物を、6cmの大きな晶出器中で、激しく攪拌しながら、UV光(蛍光ランプPhilips TL 40W/05、主発光350〜400nm)に、20分間露光した。配合物B1.43gを添加し、数秒さらに攪拌して均質な配合物を得た。
【0382】
反応を室温でATR分光法(Nicolet Magna-IR 750 spectrometer)によりモニターしてSH(2564cm-1)の消失を追跡した。
【0383】
結果を表4に集めた。
【0384】
【表5】

【0385】
ゲルコートは、室温で50分後、粘着性であった。
【0386】
さらに、完成した配合物、すなわち化合した成分A+Bを同じ条件下で照射した:表4aに集めた結果が示すように反応は遅いが、それでも架橋が生じた。
【0387】
【表6】

【0388】
この場合、ゲルコートは、室温で50分後、まだ液体であった。
【0389】
実施例8:ガラス繊維複合材料の製造
配合物を次の成分を混合することで製造した:
増感剤イソプロピルチオキサントン(Darocur(登録商標)ITX、Ciba Specialty Chemicalsより供給)0.4重量%
溶剤として酢酸ブチル59.0重量%
トリメチロールプロパントリス(3−メルカプト−プロピオネート)(Aldrichより供給)41.0重量%
光潜在性塩基PLB−1 0.33gを、配合物12.8gに溶解し、配合物を、9cmの大きな晶出器中で、激しく攪拌しながら、UV光(蛍光ランプPhilips TL 40W/05、主発光350〜400nm)に、40分間露光した。Bakelite EPR 162(ビスフェノールAエポキシ樹脂)3.3gを添加し、数秒さらに攪拌して、均質な配合物を得た。
【0390】
ガラス繊維を配合物に浸漬し、次に別のガラス繊維を上に置き、再び配合物に浸漬した。3層のガラス繊維層が配合物に浸漬するまでこの手順を繰り返した。
【0391】
反応を、室温で、ATR分光法(Nicolet Magna-IR 750 spectrometer)よりモニターしてSH(2564cm-1)の消失を追跡した。
【0392】
結果を表5に示す。
【0393】
【表7】

【0394】
配合物は、室温で3時間後、不粘着性であった。
【0395】
さらに、完成した配合物、すなわち化合した配合物A+Bを同じ条件下で照射した:表5中の結果が示すように、反応ははるかに遅いが、架橋が生じた。
【0396】
【表8】

【0397】
この配合物は、室温で3時間後、まだ粘着性であった。
【0398】
実施例9:NCO/OHコーティング配合物の硬化
成分Aを次の成分を混合することで製造した:
ヒドロキシ含有ポリアクリレート、酢酸ブチル中70%(Desmophen A VP LS 2350、Bayer AGより供給)73.0重量%
添加剤、酢酸ブチル中10%(Byk 333、Bykより供給)0.9重量%
添加剤、50%の供給形態(Byk 335、Bykより供給)0.7重量%
添加剤、4%の供給形態(Byk 141、Bykより供給)0.7重量%
溶剤としてキシレン/メトキシプロピルアセテート/酢酸ブチル(比1:1:1)24.7重量%
組成物Bは、脂肪族のポリイソシアネート100重量%、酢酸n−ブチル中90%(Desmodur N 3390 BA、Bayer AGより供給)である。
【0399】
光潜在性塩基PLB−1 0.14gを成分A3.76gに溶解し、1cmの大きな石英セル中で、配合物を4.5J/cm2UV線量(AETEK International)に露光した。配合物を成分B1.03gと、二重供給スプレーガンによってさらに混合し、BaF2結晶上に塗布した。
【0400】
反応を、130℃で、FTIR分光法(Perkin Elmer 1600 FTIR spectrometer)によりモニターしてNCO(2270cm-1)の消失を追跡した。結果を表6に示す。
【0401】
【表9】

【0402】
実施例10:NCO/OHコーティング配合物の硬化
光潜在性塩基PLB−1 0.14gを、実施例9で述べた成分A3.76gに溶解し、1cmの大きな石英セル中で、配合物を4.5J/cm2UV線量(AETEK International)に露光した。配合物を実施例9で述べた成分B1.03gと、二重供給スプレーガンによってさらに混合し、アルミニウムパネル上に約40μmの乾燥厚さで塗布した。完全に硬化した、不粘着性の被覆膜が得られた。
【0403】
実施例11:NCO/OHコーティング配合物の硬化
実施例10記載の手順を繰り返したが、PLB−1の代わりにPLB−2を使用した。
【0404】
実施例12:
次の配合物をそれぞれの成分を混合することで製造した:
Joncryl 510(アクリルポリオール、Johnson Polymerより供給)56.16部
Cymel 303(ヘキサメトキシメラミン、Cytecより供給)19.18部
ブチルアルコール14.16部
メチル−ペンチルケトン9.89部
DC-57(メチル−ペンチルケトン中10%、レベリング剤、Dow Corningより供給)0.61部
光潜在性酸α−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)−4−チオメチルベンジルシアニド)(PLA−1)2%を、前記配合物によく溶解した。このように製造したコーティング配合物を次いでシャーレに入れ、そしてUV硬化装置で2×120W/cmHgバルブを用いて、ライン速度5m/minで照射した。照射後、コーティング配合物を、白色コイルコーティングされたアルミニウムパネル上に、乾燥フィルム厚さ50ミクロンで塗布した。このパネルを90℃で30分間焼付けた。パネルを冷ました後2時間して、Konig(DIN 53157)にしたがって振子硬度を測定した。振子硬度が高いほど、硬化が良好である。
【0405】
コーティング配合物の第2の試料を、シャーレ中で予備照射せずに、同じ手順に付した。
【0406】
さらに、光潜在性触媒を伴わない試料を、上述した、すなわち予備照射工程を伴う及び伴わない手順に付した。
【0407】
結果を次の表7に集めた。
【0408】
【表10】

【0409】
実施例13:カチオンUV硬化性接着剤
成分Aを次に示す成分を、均質になるまで混合することで製造した:
ポリエステルポリオール(Tone Polyol 0310、DOW Chemicalより供給)20.0重量%
溶剤として酢酸ブチル5.0重量%
カチオン光開始剤:
【0410】
【化67】

【0411】
(Irgacure(登録商標)250、Ciba Specialty Chemicalsより供給-=PLA−2)4.0重量%
成分B:脂環式エポキシド樹脂(Cyracure 樹脂 UVR 6105、DOW Chemicalより供給)
成分Aを、ワイヤコータ(ウエットフィルム厚さ4μm)を使用して、ポリカーボネートストリップ(2cm×12cm、厚さ約1mm)上に塗布し、UVランプ(Hoenle UVASPOT、Hg-bulb)の下に置き、10分間照射した(ストリップA)。
【0412】
成分Bを、ワイヤコータを使用して、ポリカーボネートストリップ(2cm×12cm、厚さ約1mm)上に塗布した(ウエットフィルム厚さ12μm)(ストリップB)。
【0413】
照射後、ストリップA及びBを、層の間に空気を残さずに、一緒にコーティングされた面上に押し付けた。ストリップA及びストリップBを張り合わせた直後に、平らな木製ボードをストリップの上に置き、次にこれに5kgの重りを載せた。5時間後、ストリップの端部を引っ張ることにより接着性をテストした。両端で引っ張った時に、ストリップは、一緒に貼り付いていた。
【0414】
実施例14:無溶剤エポキシ接着剤の製造
配合物を次に示す成分を混合することで製造した:
ビスフェノール−A/ビスフェノール−F系エポキシ樹脂(Bakelite EPR 144、Bakeliteより供給)97.0重量%
光潜在性塩基(PLB−2)3.0重量%
配合物0.5gを、開いた透明なガラス晶出器(層厚さ約1mm)に入れ、4.5J/cm2UV線量(AETEK international)に露光した。
【0415】
照射後、配合物をポリエチレンフィルム(=ストリップA)のストリップ上に塗布した。接着剤でコーティングしない第2のポリエチレンフィルム(=ストリップB)を、層の間に空気を残さずに、ストリップAの上に押し付けた。ストリップA及びストリップBを積層した直後に、平らな木製ボードをストリップの上に置き、次にこれに5kgの重りを載せた。ストリップの端部を引っ張ることにより接着性をテストした。両端で引っ張った時に、ストリップは、一緒に貼り付いていた。
【0416】
実施例15:エポキシコーティングの製造
配合物を次に示す成分を混合することにより製造した:
ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(Bakelite EPR 162、Bakeliteより供給)80.0重量%
酢酸ブチル17.0重量%
光潜在性塩基:
【0417】
【化68】

【0418】
3.0重量%
配合物0.5gを、開いた透明なガラス晶出器(層厚さ約1mm)に入れ、4.5J/cm2UV線量(AETEK international)に露光した。
【0419】
照射後、ワイヤーコータによって、40μm厚さの配合物層を、コイルコーティングされたアルミニウムパネル上に塗布した。完全に硬化した、不粘着性のコーティングが得られた。
【0420】
実施例16:ポリウレタンフォームの製造
ポリエーテルポリオール(Lupranol(登録商標)2080、第一級ヒドロキシル基を有する3官能ポリエーテルポリオール;ヒドロキシル価48mgKOH/g、水含量0.1%未満、酸価0.1mgKOH/g未満、安定剤Irgastab(登録商標)PUR 55を0.45%含有)、光潜在性塩基PLB−1、及びイソプロピルチオキサントン(Darocur ITX)を、比100:5:0.5で混合した。前記混合物10gをUV光(蛍光ランプPhilips TL 40W/05、主発光350〜400nm)に5分間4回露光した。
【0421】
照射した溶液7.5gを、続いてさらなるLupranol 2080 78.60gに溶解した。Tegostab (登録商標)BF 2370(Gold- schmidt、Germanyから供給される)0.96g及び脱イオン水4gからなる溶液4.96gを続いて添加し、反応混合物を2600rpmで10秒間勢いよく攪拌した。Kosmos 29(Goldschmidt、Germanyから供給される)/Lupranol 2080(比1:9)の溶液1.6gを、次いで添加し、そして反応混合物を2600rpmで18秒間、再び勢いよく攪拌した。
【0422】
次に、イソシアネート(Lupranat(登録商標)T80、BASFから供給される;トルイレン−2,4−及びトルイレン−2,6−ジイソシアネートの混合物)48.88gを、2600rpmで5〜7秒間連続的に攪拌しながら添加した。混合物を、次いで20×20×20cmのケークボックスに注ぎ、発泡反応が開始し、フォームブロックの形成を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光潜在性触媒(a)の適用方法であって、前記触媒を含む組成物を、後続処理する前に照射に付し、光潜在性触媒が、
(a1)式VI:
【化1】


(式中、Ra2は、直接結合、S、O、CH2、(CH22、CO又はNR96であり;
a3、Ra4、Ra5、及びRa6は、互いに独立して、H、C1〜C20アルキル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニル、CN、OH、ハロゲン、C1〜C6アルキルチオ、フェニル、ナフチル、フェニル−C1〜C7アルキル、ナフチル−C1〜C3アルキル、フェノキシ、ナフチルオキシ、フェニル−C1〜C7アルキルオキシ、ナフチル−C1〜C3アルキルオキシ、フェニル−C2〜C6アルケニル、ナフチル−C2〜C4アルケニル、S−フェニル、(CO)Ra8、O(CO)Ra8、(CO)ORa8、SO2a8、OSO2a8であり;
a7は、C1〜C20アルキル、C1〜C20ヒドロキシアルキル、
【化2】


であり;
a8は、H、C1〜C12アルキル、C1〜C12ヒドロキシアルキル、フェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;
a9は、直接結合、S、O又はCH2であり;
a10、Ra11、Ra12、及びRa13は、互いに独立して、Ra3について示した意味の一つを有するか;又はRa10及びRa12は、結合してこれらが結合したベンゼン環と共に縮合環系を形成し、
a14は、
【化3】


であり;
Zは、アニオン、特にPF6、SbF6、AsF6、BF4、(C654B、Cl、Br、HSO4、CF3−SO3、F−SO3
【化4】


、CH3−SO3、ClO4、PO4、NO3、SO4、CH3−SO4
【化5】


である)
の光潜在性酸であるか;
又は光潜在性酸(a1)が、芳香族ホスホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩又はオキシム系光潜在性酸よりなる群から選択される化合物であるか;あるいは
(a2)光潜在性塩基化合物(ただし組成物がチオールと組み合わせてイソシアネートを含む場合、(3,4−ジメトキシ−ベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパンを除く)であることを特徴とする方法。
【請求項2】
(A)光潜在性触媒(a)が光潜在性酸(a1)であり、かつ組成物が酸触媒硬化性化合物(b)を含むか、又は
(B)光潜在性触媒(a)が光潜在性塩基(a2)であり、かつ組成物が塩基触媒硬化性化合物(c)を含むか、又は
(C)光潜在性触媒(a)が少なくとも1種の光潜在性塩基触媒(a2)と少なくとも1種の光潜在性酸触媒(a1)との混合物であり、かつ組成物が酸触媒硬化性化合物(b)と塩基触媒硬化性化合物(c)との混合物を含むが、ただし(a1)及び(a2)が選択的に活性化される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
光触媒を含む組成物が、さらに染料又は顔料(g)を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
請求項1記載の光潜在性触媒(a)の適用方法であって、前記触媒を含む組成物を、後続処理する前に照射に付し、組成物が、イソシアネートと組み合わせたポリオール、そして光潜在性触媒として式VIII、VIIIa、及びVIIIb:
【化6】


(式中、rは、0又は1であり;
4は、CH2又はOであり;
2及びR3は、互いに独立して、水素又はC1〜C20アルキルであり;
1は、非置換の、又はC1〜C12アルキル−若しくはC1〜C12アルコキシ−置換のフェニル、ナフチル又はビフェニリルであり;
20、R30、及びR40は、結合する窒素原子と一緒になって、構造式:
【化7】


の基であり;
アニオンは、塩を形成する能力がある任意のアニオンであり;そして
mは、分子内の正に帯電したN原子の数である)の光潜在性塩基(a2)を含むラッカー配合物である方法。
【請求項5】
請求項1記載の光潜在性触媒(a)の適用方法であって、前記触媒を含む組成物を、後続処理する前に照射に付し、組成物が、エポキシド成分及び光潜在性触媒として式VIIIa:
【化8】


(式中、rは、0又は1であり;
4は、CH2又はOであり;
1は、非置換の、又はC1〜C12アルキル−若しくはC1〜C12アルコキシ−置換のフェニル、ナフチル、又はビフェニリルであり;
20、R30、及びR40は、結合する窒素原子と一緒になって、構造式:
【化9】


の基であり;
35は、水素又はC1〜C18アルキルであり;
アニオンは、塩を形成する能力がある任意のアニオンであり;そして
mは、分子内の正に帯電したN原子の数である)の光潜在性塩基(a2)を含むラッカー配合物である方法。
【請求項6】
組成物が接着剤である、請求項1記載の光潜在性触媒(a)の適用方法。
【請求項7】
光潜在性触媒が光潜在性塩基(a2)であり、かつ組成物が塩基触媒硬化性化合物(c)である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
後続処理が、照射した組成物の基材への塗布、場合により、次いで、コーティングされた基材のさらなる機械的加工工程;フォームの製造;ポリマーの製造;繊維の製造;ゲルコートの製造;複合材料の製造、接着剤の製造、クリヤコーティング若しくは着色コーティング、印刷インク、インクジェットインクの製造、又はさらなる材料が組み込まれたコーティングの製造を包含する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
繰り返して適用する請求項1記載の方法であって、各繰り返し工程における光触媒が、同一又は他の工程と異なり、そして独立して光潜在性酸及び/又は光潜在性塩基のいずれかである方法。
【請求項10】
組成物を貯蔵槽中で直接に照射し、続けて後続処理に付す、請求項1記載の方法。
【請求項11】
後続処理が、UV光及び/又は熱を用いるさらなる硬化工程である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法の組成物で覆われた基材。
【請求項13】
光潜在性触媒(a)の適用方法であって、前記触媒を含む組成物を、後続処理する前に照射に付し、後続処理がフォームの製造にあり、組成物がポリオール及びイソシアネート成分及び光潜在性触媒として光潜在性塩基(a2)を含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−506826(P2008−506826A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521940(P2007−521940)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053299
【国際公開番号】WO2006/008251
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】