説明

光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置

【課題】スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を射出することが可能な光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置、及び画像表示装置を提供すること。
【解決手段】光を射出する複数の発光部13を備えるアレイ光源である半導体素子11と、アレイ光源からの光を入射させる光学素子であるSHG素子14及び体積ホログラム15と、を有し、光学素子は、互いに並列させた複数の領域について、互いに異なる光学特性を持たせて構成され、アレイ光源は、互いに並列させた複数の発光部13で構成された複数のブロックを、光学素子の領域に合わせて並列させ、発光部13は、ブロックごとに異なる波長の光を射出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、照明装置、モニタ装置及び画像表示装置、特に、レーザ光を射出する光源装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタの光源装置としてレーザ光源を用いる技術が提案されている。レーザ光源は、高出力化及び多色化に伴い、プロジェクタの光源として開発されている。プロジェクタの光源として従来用いられているUHPランプと比較すると、レーザ光源は、高い色再現性、瞬時点灯が可能、長寿命等の利点がある。レーザ光源を用いて自然な映像を表示するために、コヒーレント光であるレーザ光を、インコヒーレントな光に変換する手段が採用されている。コヒーレント光であるレーザ光を拡散面に照射させると、明点及び暗点がランダムに分布するスペックルパターンと呼ばれる干渉模様が現れることがある。スペックルパターンは、拡散面の各点で拡散した光同士がランダムに干渉し合うことにより発生する。画像を表示する際にスペックルパターンが認識されると、ぎらぎらとするちらつき感を観察者へ与えるため、画像観賞へ悪影響を及ぼすこととなる。このため、レーザ光源について、スペックルノイズを低減させる技術が提案されている。例えば、特許文献1及び2には、互いに異なる波長のレーザ光を射出する複数の発光部を用いる技術が提案されている。レーザ光のコヒーレンス長はレーザ光のスペクトル幅におよそ反比例することから、スペクトル幅を広くすることでコヒーレンス長を短くし、スペックルノイズの低減が可能となる。特許文献1にて提案された技術では、発光部の温度を異ならせることにより、各発光部から射出するレーザ光の波長を異ならせる。特許文献2にて提案された技術では、互いに異なる波長のレーザ光を射出する複数の発光部が共通の基板に設けられる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−144794号公報
【特許文献2】特表2004−503923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術のように、発光部の温度を異ならせることにより各発光部からのレーザ光の波長を異ならせる場合、各発光部の十分な温度制御が必要となる。各発光部の温度制御が十分なされない場合、発光部からのレーザ光の波長が不安定となる。また、発光部の温度を上昇させることにより、発光部の発光効率が低下する場合もある。発光部からのレーザ光の波長が不安定となること、及び発光部の発光効率が低下することにより、効率的なレーザ光の射出が困難となる場合がある。また、特許文献2の技術のように、互いに異なる複数の波長を共振させる共振器構造を共通の基板に設けることは困難である。このように、従来の技術では、スペックルノイズの低減、及び高い効率でのレーザ光の射出の両立が困難であるという問題を生じる。本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を射出することが可能な光源装置、その光源装置を用いる照明装置、モニタ装置、及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光源装置は、光を射出する複数の発光部を備えるアレイ光源と、アレイ光源からの光を入射させる光学素子と、を有し、光学素子は、互いに並列させた複数の領域について、互いに異なる光学特性を持たせて構成され、アレイ光源は、互いに並列させた複数の発光部で構成された複数のブロックを、光学素子の領域に合わせて並列させ、発光部は、ブロックごとに異なる波長の光を射出することを特徴とする。
【0006】
複数の発光部から光を射出すること、及びブロックごとに異なる波長の光を射出することにより、スペックルノイズを低減できる。光学素子の領域に合わせてアレイ光源のブロックを並列させたことで、各ブロックからの光を光学素子の各領域へ入射させる。各領域へ入射する光の波長に応じて光学素子の光学特性を適宜決定することにより、光源装置は、高い効率で光を射出することが可能となる。これにより、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を射出することが可能な光源装置を得られる。
【0007】
また、本発明の好ましい態様としては、発光部は、ブロック同士の間隔が、ブロック内における発光部同士の間隔より大きくなるように配置されたことが望ましい。これにより、光学素子の各領域へ発光部からの光を正確に入射させ、高い効率で光を射出することが可能となる。
【0008】
また、本発明の好ましい態様としては、アレイ光源からの光を共振させる外部共振器を有し、光学素子は、アレイ光源及び外部共振器の間で共振させる光の波長を選択する波長選択部を有し、波長選択部は、領域ごとに異なる波長を選択することが望ましい。各波長選択部により各ブロックからの光の波長を選択することで、互いに異なる波長の光を効率良く共振させることができる。
【0009】
また、本発明の好ましい態様としては、波長選択部は、外部共振器として機能する体積ホログラムであって、体積ホログラムは、領域ごとに異なる間隔で記録された干渉縞を有することが望ましい。これにより、領域ごとに異なる波長の光を共振させることができる。
【0010】
また、本発明の好ましい態様としては、干渉縞は、領域へ入射する発光部からの光の波長に対応して設定された間隔をなすことが望ましい。これにより、各ブロックからの光を効率良く反射することができる。
【0011】
また、本発明の好ましい態様としては、波長選択部は、アレイ光源及び外部共振器の間の光路に設けられたバンドパスフィルタであって、バンドパスフィルタは、領域ごとに異なる厚さの層を用いて構成された積層体を有することが望ましい。これにより、領域ごとに異なる波長の光を共振させることができる。
【0012】
また、本発明の好ましい態様としては、積層体を構成する層は、領域へ入射する発光部からの光の波長に対応して設定された厚さをなすことが望ましい。これにより、各ブロックからの光を効率良く透過させることができる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様としては、光学素子は、アレイ光源からの光の波長を変換する波長変換素子を有し、波長変換素子は、互いに分極を反転させた層からなる分極反転構造を有し、分極反転構造は、領域ごとに異なる周期で構成されたことが望ましい。これにより、領域ごとに異なる波長の光を波長変換することができる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、分極反転構造の周期が、領域へ入射する発光部からの光の波長に対応して設定されたことが望ましい。これにより、各ブロックからの光を効率良く波長変換することができる。
【0015】
さらに、本発明に係る照明装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする。上記の光源装置を用いることにより、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を射出することができる。これにより、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を供給することが可能な照明装置を得られる。
【0016】
さらに、本発明に係るモニタ装置は、上記の照明装置と、照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とする。上記の照明装置を用いることにより、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を供給することができる。これにより、明るく、かつ高品質な像をモニタすることが可能なモニタ装置を得られる。
【0017】
さらに、本発明に係る画像表示装置は、上記の光源装置を有し、光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする。上記の光源装置を用いることにより、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を射出することができる。これにより、明るく、かつ高品質な画像を表示することが可能な画像表示装置を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1に係る光源装置10の概略構成を示す。光源装置10は、複数のレーザ光を射出するレーザアレイである。光源装置10は、半導体素子11、第二高調波発生(Second−Harmonic Generation;SHG)素子14、体積ホログラム15を有する。SHG素子14及び体積ホログラム15は、半導体素子11からの光を入射させる光学素子である。
【0020】
半導体素子11は、基本波光を射出する9つの発光部13を備える面発光型のアレイ光源である。9つの発光部13は、特定の方向へ並列している。半導体素子11は、光を反射する不図示のミラー層を有する。半導体素子11は、サブマウント12上にマウントされている。サブマウント12は、半導体素子11で発生した熱を放散させる放熱基板である。
【0021】
SHG素子14は、半導体素子11からの基本波光を入射させることにより、基本波光に対して半分の波長の高調波光を射出する。SHG素子14は、半導体素子11からの光の波長を変換する波長変換素子である。例えば、基本波光は赤外光であって、高調波光は可視光である。SHG素子14は、例えば、非線形光学結晶であるニオブ酸リチウム(LiNbO)の分極反転結晶(Periodically Poled Lithium Niobate;PPLN)である。
【0022】
体積ホログラム15は、半導体素子11のミラー層との間において、半導体素子11からの基本波光を共振させる外部共振器である。体積ホログラム15は、基本波光を選択的に反射し、高調波光を透過させる。体積ホログラム15は、半導体素子11及び体積ホログラム15の間で共振させる光の波長を選択する波長選択部としての機能を果たす。体積ホログラム15としては、例えば、VHG(Volume Holographic Grating)を用いることができる。VHGは、LiNbO、BGO等のフォトリフラクティブ結晶、ポリマー等を用いて形成できる。
【0023】
半導体素子11の発光部13から射出した基本波光は、SHG素子14へ入射する。SHG素子14で生じた高調波光は、体積ホログラム15を透過し、光源装置10の外部へ射出する。半導体素子11が設けられた側からSHG素子14を透過した基本波光は、体積ホログラム15で反射する。体積ホログラム15で反射した基本波光は、SHG素子14へ入射する。体積ホログラム15からSHG素子14へ入射し、SHG素子14を透過した基本波光は、半導体素子11へ入射する。半導体素子11へ入射した基本波光は、半導体素子11のミラー層で反射した後、半導体素子11からSHG素子14へ向けて射出する。ミラー層及び体積ホログラム15で反射した基本波光は、発光部13から新たに射出した基本波光と共振することにより増幅する。
【0024】
図2は、体積ホログラム15の構成を説明するものである。体積ホログラム15には、干渉縞が記録されている。干渉縞は、高屈折率部分と低屈折率部分とが周期的に配列された周期構造として記録される。体積ホログラム15は、干渉縞とブラッグ条件が適合する光のみを、回折により選択的に反射する。体積ホログラム15は、互いに並列された第1領域21、第2領域22、及び第3領域23について、互いに異なる間隔で干渉縞が記録されている。体積ホログラム15は、領域ごとに異なる間隔で記録された干渉縞により、領域ごとに異なる波長の光を反射する。体積ホログラム15は、領域ごとに異なる波長の光を反射することで、領域ごとに異なる波長を選択して光を共振させる。第1領域21及び第2領域22の間、第2領域22及び第3領域23の間には、それぞれ境界領域24が設けられている。
【0025】
図3は、干渉縞が記録された記録材料25の要部斜視構成を示す。図4は、記録材料25のうち図3の一点鎖線により示す断面における干渉縞の記録について説明するものである。体積ホログラム15は、記録材料25に干渉縞を記録することにより形成される。干渉縞は、二方向から入射した光の干渉により生じる。露光用光源からの光は、マスク26に形成された開口部27を通過した後、記録材料25へ入射する。干渉縞の間隔は、2つの露光用光源の間隔dに応じて適宜調整することができる。また、露光用光源を並列させた方向について、開口部27より狭い範囲に2つの露光用光源を配置した場合は、開口部27の幅より広い幅の領域が露光される。開口部27より広い範囲に2つの露光用光源を配置した場合は、開口部27の幅より狭い幅の領域が露光される。
【0026】
図5は、記録材料25の領域ごとに異なる間隔の干渉縞を記録する手順を説明するものである。2つの露光用光源は、紙面奥行き方向へ並列しており、図中では手前側の一つの露光用光源のみが描かれている。記録材料25の露光は、領域ごとに行う。ここでは、第1領域21、及び第2領域22について干渉縞を記録する手順を例として説明する。工程aでは、記録材料25の一部を露光する。露光用光源の間隔d(図4参照)は、第1領域21に記録する干渉縞の間隔に応じて設定される。工程aにおける露光後、矢印方向へ記録材料25を移動する。
【0027】
次に、工程bでは、記録材料25のうち工程aにて露光済みの部分に隣接する部分を露光する。露光用光源の間隔dは、第2領域22に記録する干渉縞の間隔に応じて設定される。第1領域21及び第2領域22の間の境界領域24は、工程aにおける露光領域と、工程bにおける露光領域との重複部分に相当する。第1領域21は、工程aにおける露光領域から工程bにおける露光領域を除いた領域に相当する。第2領域22は、工程bにおける露光領域から工程aにおける露光領域と、第3領域23に対する露光による露光領域とを除いた領域に相当する。記録材料25の移動、及び開口部27を介した露光を繰り返すことにより、領域ごとに異なる間隔の干渉縞が記録された体積ホログラム15を得ることができる。
【0028】
図6は、干渉縞を記録する他の手順を説明するものである。図5の場合と同様に、2つの露光用光源は紙面奥行き方向へ並列しており、図中には手前側の一つの露光用光源のみが描かれている。境界領域24は、露光領域同士の重複部分とする他、露光領域同士の隙間部分としても良い。工程aにおける露光の後、記録材料25の移動は、工程aにおける露光領域と工程bにおける露光領域との間に隙間ができるように行う。第1領域21は、工程aにおける露光領域に相当する。第2領域22は、工程bにおける露光領域に相当する。第1領域21及び第2領域22の間の境界領域24は、工程aにおける露光領域、及び工程bにおける露光領域の隙間部分に相当する。この場合も、領域ごとに異なる間隔の干渉縞を記録することができる。図5及び図6を用いて説明するいずれの手順においても、境界領域24を設けることで、領域ごとに所定の間隔の干渉縞を記録することが可能となる。
【0029】
図7は、SHG素子14の構成を説明するものである。SHG素子14は、互いに分極を反転させた自発分極層34及び分極反転層35を交互に並列させた分極反転構造を有する。分極反転構造は、コヒーレント長ごとに非線形光学定数の符号を反転させて構成されている。SHG素子14の分極反転構造は、互いに並列された第1領域31、第2領域32、及び第3領域33について、互いに異なる周期で構成されている。
【0030】
図8は、結晶基板36の領域ごとに異なる周期の分極反転構造を形成する手順を説明するものである。分極反転構造は、自発分極を持つ結晶基板36へ電圧を印加することにより形成できる。結晶基板36は、例えば、非線形光学結晶であるニオブ酸リチウム(LN)により構成されている。結晶基板36への電圧印加の前に、結晶基板36上に絶縁層37を形成する。絶縁層37は、第1領域31、第2領域32、第3領域33で互いに異なる周期のパターンをなす。
【0031】
第1領域31における絶縁層37のパターンの周期は、第1領域31に形成する分極反転構造の周期に応じて設定される。第2領域32における絶縁層37のパターンの周期は、第2領域32に形成する分極反転構造の周期に応じて設定される。第3領域33における絶縁層37のパターンの周期は、第3領域33に形成する分極反転構造の周期に応じて設定される。領域ごとに異なる周期のパターンをなす絶縁層37は、例えば、フォトリソグラフィー技術を用いて形成できる。
【0032】
次に、絶縁層37が形成された結晶基板36へパルス電圧を印加する。結晶基板36へのパルス電圧の印加は、電極或いは電解液を介して行う。結晶基板36のうち絶縁層37が形成された部分以外の部分は、パルス電圧の印加により、自発分極が反転する。結晶基板36のうち絶縁層37が形成された部分は、自発分極が残される。結晶基板36のうち自発分極を反転させた部分が、分極反転層35となる。結晶基板36のうち自発分極が残された部分が、自発分極層34となる。絶縁層37は、電圧印加の後、除去される。このようにして、領域ごとに異なる周期の分極反転構造を持つSHG素子14を得ることができる。
【0033】
図9は、半導体素子11の構成を説明するものである。半導体素子11は、9つの発光部13を第1ブロック41、第2ブロック42、及び第3ブロック43に分けて構成されている。第1ブロック41、第2ブロック42、及び第3ブロック43のいずれも、互いに並列させた3つの発光部13で構成されている。発光部13は、第1ブロック41と、第2ブロック42と、第3ブロック43とにおいて、互いに異なる波長の基本波光を射出する。第1ブロック41を構成する発光部13は、例えば、1062nmの基本波光を射出する。第2ブロック42を構成する発光部13は、例えば、1064nmの基本波光を射出する。第3ブロック43を構成する発光部13は、例えば、1066nmの基本波光を射出する。このように、発光部13は、ブロックごとに異なる波長の光を射出する。
【0034】
第1ブロック41を構成する発光部13のピッチP1と、第2ブロック42を構成する発光部13のピッチP2とは、同一である。第1ブロック41及び第2ブロック42の間における発光部13のピッチP12は、ピッチP1、P2より大きい。第2ブロック42及び第3ブロック43における発光部13のピッチも、第1ブロック41及び第2ブロック42における発光部13のピッチと同様に設定されている。このように、発光部13は、ブロック41、42、43同士の間隔が、ブロック41、42、43内における発光部13同士の間隔より大きくなるように配置されている。
【0035】
図10は、半導体素子11、SHG素子14、体積ホログラム15の位置関係について説明するものである。SHG素子14及び体積ホログラム15は、第1領域31、21同士、第2領域32、22同士、第3領域33、23同士の、光線に直交する面内における位置がそれぞれ一致するように配置されている。半導体素子11は、第1ブロック41と第1領域31、21、第2ブロック42と第2領域32、22、第3ブロック43と第3領域33、23について、光線に直交する面内における位置がそれぞれ一致するように配置されている。半導体素子11は、SHG素子14の領域、体積ホログラム15の領域に合わせて、複数のブロックを並列させる。
【0036】
第1ブロック41の発光部13から射出した基本波光は、SHG素子14の第1領域31へ入射する。SHG素子14の第1領域31における分極反転構造の周期は、第1ブロック41の発光部13からの基本波光の波長に対応して設定されている。第2ブロック42の発光部13から射出した基本波光は、SHG素子14の第2領域32へ入射する。SHG素子14の第2領域32における分極反転構造の周期は、第2ブロック42の発光部13からの基本波光の波長に対応して設定されている。第3ブロック43の発光部13から射出した基本波光は、SHG素子14の第3領域33へ入射する。SHG素子14の第3領域33における分極反転構造の周期は、第3ブロック43の発光部13からの基本波光の波長に対応して設定されている。
【0037】
領域31、32、33へ入射する基本波光の波長に対応して分極反転構造の周期を設定することにより、各ブロック41、42、43からの基本波光を効率良く波長変換することができる。例えば、第1ブロック41からの1062nmの基本波光は、531nmの高調波光へ変換される。第2ブロック42からの1064nmの基本波光は、532nmの高調波光へ変換される。第3ブロック43からの1066nmの基本波光は、533nmの高調波光へ変換される。なお、SHG素子14について、「互いに異なる光学特性を持たせる」とは、互いに異なる波長の光を波長変換可能に構成されることをいうものとする。
【0038】
SHG素子14の第1領域31を透過した基本波光は、体積ホログラム15の第1領域21へ入射する。体積ホログラム15の第1領域21における干渉縞の間隔は、第1ブロック41の発光部13からの基本波光の波長に対応して設定されている。SHG素子14の第2領域32を透過した基本波光は、体積ホログラム15の第2領域22へ入射する。体積ホログラム15の第2領域22における干渉縞の間隔は、第2ブロック42の発光部13からの基本波光の波長に対応して設定されている。SHG素子14の第3領域33を透過した基本波光は、体積ホログラム15の第3領域23へ入射する。体積ホログラム15の第3領域23における干渉縞の間隔は、第3ブロック43の発光部13からの基本波光の波長に対応して設定されている。
【0039】
領域21、22、23へ入射する基本波光の波長に対応して干渉縞の間隔を設定することにより、各ブロック41、42、43からの基本波光を効率良く反射することができる。なお、体積ホログラム15について、「互いに異なる光学特性を持たせる」とは、互いに異なる波長の光を反射可能に構成されることをいうものとする。また、体積ホログラム15は、SHG素子14の各領域31、32、33からの高調波光をいずれも透過させる。以上により、光源装置10は、高い効率で光を射出することが可能となる。
【0040】
半導体素子11は、複数の発光部13(図9参照)を設けることにより、半導体素子11から射出する光の位相をランダムにさせることが可能となる。光の位相をランダムにさせることにより、スペックルノイズを低減させる効果を得られる。n個の発光部13からの光を用いることにより、光源装置10は、スペックルコントラストを(n)−1/2倍に低減できる。スペックルコントラストは、スペックルノイズの明暗の程度を表す。本実施例の場合、9つの発光部13を用いることにより、1つの発光部13を用いる場合と比較して、スペックルコントラストを約3分の1程度とすることができる。
【0041】
図11は、レーザ光のスペクトル幅とスペックルコントラストとの関係を示す。スペックルコントラストは、スペックルノイズにより生じる明暗が最大であるときを100%として表している。ここでは、横軸で表すスペクトル幅において互いに異なる3波長、5波長、11波長のレーザ光を射出する場合について示している。本実施例では、531nm〜533nmの間で1nmごとに3波長のレーザ光を射出する。スペクトル幅2nmにおいて3波長のレーザ光を射出することにより、スペックルコントラストを約60%に低減することが可能となる。このように、複数の発光部13を用いること、及び複数の波長のレーザ光を射出することにより、スペックルノイズを低減できる。
【0042】
図12は、本実施例の比較例に係る光源装置45について説明するものである。光源装置45は、いずれも等間隔で配置された発光部13により光を射出する半導体素子46を有する。この場合も、複数の発光部13を用いること、及び互いに異なる波長のレーザ光を射出することにより、スペックルノイズを低減できる。境界領域24を持つ体積ホログラム15に、等間隔の発光部13を持つ半導体素子46を組み合わせると、一部の発光部13からの基本波光が境界領域24へ入射する場合がある。境界領域24へ入射した基本波光を共振させることは困難であるため、光源装置45は、高い効率でレーザ光を射出することが困難となる場合がある。
【0043】
これに対して、本実施例では、複数の発光部13で構成される複数のブロックを、体積ホログラム15、SHG素子14の各領域に合わせて並列させる。ブロック同士の間隔が、ブロック内における発光部13同士の間隔より大きくなるように発光部13を配置することで、発光部13からの光を体積ホログラム15の各領域へ正確に入射させることができる。各ブロックからの光の波長に応じて体積ホログラム15、SHG素子14の光学特性を適宜決定することにより、光源装置10は、高い効率でレーザ光を射出できる。これにより、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を射出することができるという効果を奏する。
【0044】
半導体素子11は、3つのブロックを備える構成に限られず、複数のブロックを備える構成であれば良い。また、光源装置10は、スペクトル幅2nmにおいて3波長の高調波光を射出するものに限られず、適宜変更しても良い。図11に示すように、3波長又は5波長の高調波光に対してスペクトル幅を2nm以上としても、スペックルコントラストへの影響は少ない。一方、高調波光のスペクトル幅を2nm以下とする場合、高調波光のコヒーレント長が短くなることにより、スペックルコントラストの低減が可能となる。高調波光のスペクトル幅が1nm以下となると、高調波光のスペクトル幅が1nm以上の場合に比べてスペックルコントラスト低減の効果は少なくなる。よって、3波長又は5波長のレーザ光に対してスペックルノイズを効果的に低減するには、基本波光のスペクトル幅を2nm程度とし、高調波光のスペクトル幅を1nm程度とすることが望ましい。
【0045】
また、3波長から5波長、11波長と多くの波長のレーザ光を射出することにより、スペックルコントラストをさらに低減できる。各ブロックは、3つの発光部13で構成する場合に限られず、複数の発光部13で構成するものであれば良い。多くの発光部13を設けるほど、光の位相をランダムにでき、スペックルノイズを低減できる。SHG素子14及び体積ホログラム15は、半導体素子11に設けられるブロックの数及び大きさに応じて、互いに異なる光学特性を持たせる領域の数及び大きさを適宜決定することができる。SHG素子14及び体積ホログラム15は、全ての領域について互いに異なる光学特性を持たせる構成に限られない。SHG素子14及び体積ホログラム15は、互いに異なる光学特性を持たせた複数の領域が存在するものであれば良い。半導体素子11は、全てのブロックが互いに異なる波長の光を射出する構成に限られない。半導体素子11は、互いに異なる波長の光を射出する複数のブロックが存在するものであれば良い。
【実施例2】
【0046】
図13は、本発明の実施例2に係る光源装置50の概略構成を示す。本実施例の光源装置50は、上記実施例の体積ホログラム15に代えて、バンドパスフィルタ55及び共振ミラー56を有することを特徴とする。上記実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。バンドパスフィルタ55及び共振ミラー56は、半導体素子11からの光を入射させる光学素子である。
【0047】
バンドパスフィルタ55は、半導体素子11及びSHG素子14の間の光路に設けられている。バンドパスフィルタ55は、基本波光を選択的に透過させる。バンドパスフィルタ55は、半導体素子11及び共振ミラー56の間で共振させる光の波長を選択する波長選択部として機能する。共振ミラー56は、基本波光を反射し、高調波光を透過させる。
【0048】
半導体素子11の発光部13から射出した基本波光は、バンドパスフィルタ55を透過した後、SHG素子14へ入射する。SHG素子14で生じた高調波光は、共振ミラー56を透過し、光源装置50の外部へ射出する。半導体素子11が設けられた側からSHG素子14を透過した基本波光は、共振ミラー56で反射する。共振ミラー56からSHG素子14へ入射し、SHG素子14を透過した基本波光は、バンドパスフィルタ55を透過した後、半導体素子11へ入射する。共振ミラー56及び半導体素子11の間で共振する光は、バンドパスフィルタ55により狭帯域化される。
【0049】
図14は、バンドパスフィルタ55の構成を説明するものである。バンドパスフィルタ55は、基材57及び誘電体多層膜58を有する。基材57は、透明部材を用いて構成された板状部材である。誘電体多層膜58は、基材57上に設けられている。誘電体多層膜58は、誘電体により構成された複数の層を積層させた積層体である。誘電体多層膜58は、互いに並列された第1領域51、第2領域52、及び第3領域53について、互いに異なる厚さの層を用いて構成されている。バンドパスフィルタ55は、領域ごとに異なる厚さの層で構成された誘電体多層膜58により、領域ごとに異なる波長の光を透過させる。バンドパスフィルタ55は、領域ごとに異なる波長の光を透過させることで、領域ごとに異なる波長を選択する。半導体素子11及び共振ミラー56は、バンドパスフィルタ55により選択された波長の光を共振させる。第1領域51及び第2領域52の間、第2領域52及び第3領域53の間には、それぞれ境界領域54が設けられている。
【0050】
図15は、領域ごとに異なる厚さの層を用いて構成された誘電体多層膜58を形成する手順を説明するものである。ここでは、第1領域51、及び第2領域52について誘電体多層膜58を形成する手順を例として説明する。誘電体多層膜58は、マスク60を用いた誘電体材料の蒸着により形成する。誘電体材料は、マスク60に設けられた開口部61を介して、基材57上に蒸着させる。
【0051】
工程aでは、基材57の第1領域51に開口部61を合わせて誘電体材料を蒸着させることで、第1領域51について誘電体多層膜58を形成する。工程aにおける蒸着の後、矢印方向へ基材57を移動する。基材57の移動は、工程aにおいて形成される誘電体多層膜58と、工程bにおいて形成される誘電体多層膜58との間に隙間ができるように行う。工程bでは、基材57の第2領域52に開口部61を合わせて誘電体材料を蒸着させることで、第2領域52について誘電体多層膜58を形成する。境界領域54は、誘電体多層膜58を形成した領域同士の隙間部分である。基材57の移動、及び開口部61を介した誘電体材料の蒸着を繰り返すことにより、領域ごとに異なる厚さの層を用いて構成された誘電体多層膜58を得ることができる。
【0052】
図16は、誘電体多層膜58を形成する他の手順を説明するものである。境界領域54は、誘電体多層膜58同士の隙間部分とする他、誘電体多層膜58同士の重畳部分としても良い。工程aにおける蒸着後、基材57の移動は、工程aにて形成された誘電体多層膜58の一部に工程bにて形成される誘電体多層膜58を重畳させるように行う。この場合も、領域ごとに異なる厚さの層を用いて構成された誘電体多層膜58を形成することができる。図15及び図16を用いて説明するいずれの場合も、境界領域54を設けることで、領域ごとに所定の厚さの層を用いて構成された誘電体多層膜58を形成することが可能となる。なお、共振ミラー56は、広帯域の赤外光を反射し、広帯域の可視光を透過させるものであれば良く、全領域について一様に形成された誘電体多層膜を有する構成にできる。
【0053】
図13に戻って、バンドパスフィルタ55及びSHG素子14は、第1領域51、31同士、第2領域52、32同士、第3領域53、33同士の、光線に直交する面内における位置がそれぞれ一致するように配置されている。半導体素子11は、第1ブロック41と第1領域51、31、第2ブロック42と第2領域52、32、第3ブロック43と第3領域53、33について、光線に直交する面内における位置がそれぞれ一致するように配置されている。半導体素子11は、バンドパスフィルタ55の領域、SHG素子14の領域に合わせて、複数のブロックを並列させる。
【0054】
第1ブロック41の発光部13から射出した基本波光は、バンドパスフィルタ55の第1領域51へ入射する。バンドパスフィルタ55の第1領域51における誘電体多層膜58を構成する層の厚さは、第1ブロック41の発光部13からの基本波光の波長に対応して設定されている。第2ブロック42の発光部13から射出した基本波光は、バンドパスフィルタ55の第2領域52へ入射する。バンドパスフィルタ55の第2領域52における誘電体多層膜58を構成する層の厚さは、第2ブロック42の発光部13からの基本波光の波長に対応して設定されている。第3ブロック43の発光部13から射出した基本波光は、バンドパスフィルタ55の第3領域53へ入射する。バンドパスフィルタ55の第3領域53における誘電体多層膜58を構成する層の厚さは、第3ブロック43の発光部13からの基本波光の波長に対応して設定されている。
【0055】
領域51、52、53へ入射する基本波光の波長に対応して誘電体多層膜58の層の厚さを設定することにより、各ブロック41、42、43からの基本波光を効率良く透過させることができる。なお、バンドパスフィルタ55について、「互いに異なる光学特性を持たせる」とは、互いに異なる波長の光を透過可能に構成されることをいうものとする。SHG素子14の各領域31、32、33を透過した光は、共振ミラー56へ入射する。共振ミラー56は、各ブロック41、42、43からの各波長の基本波光を反射する。また、共振ミラー56は、SHG素子14の各領域31、32、33からの高調波光をいずれも透過させる。本実施例の場合も、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を射出することができる。
【0056】
なお、バンドパスフィルタ55は、半導体素子11及びSHG素子14の間の光路に設ける場合に限られず、SHG素子14及び共振ミラー56の間の光路に設けることとしても良い。バンドパスフィルタ55は、半導体素子11に設けられるブロックの数及び大きさに応じて、互いに異なる光学特性を持たせる領域の数及び大きさを適宜決定することができる。バンドパスフィルタ55は、全ての領域について互いに異なる光学特性を持たせる構成に限られない。バンドパスフィルタ55は、互いに異なる光学特性を持たせた複数の領域が存在するものであれば良い。
【実施例3】
【0057】
図17は、本発明の実施例3に係る光源装置70の概略構成を示す。本実施例の光源装置70は、上記のSHG素子14(図10参照)を用いず、波長変換がなされていない光を光源装置70外へ射出することを特徴とする。上記実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。半導体素子11からの光は、体積ホログラム71へ入射する。体積ホログラム71へ入射した光の大部分は、体積ホログラム71で反射し、半導体素子11の方向へ進行する。また、体積ホログラム71は、半導体素子11及び体積ホログラム71間で増幅した光の一部を透過させ、光源装置70外部へ射出する。かかる構成により、レーザ光の高出力化及び狭帯域化が可能となる。
【0058】
第1ブロック41を構成する発光部13は、例えば、659nmの基本波光を射出する。第2ブロック42を構成する発光部13は、例えば、660nmの基本波光を射出する。第3ブロック43を構成する発光部13は、例えば、661nmの基本波光を射出する。半導体素子11及び体積ホログラム71は、第1ブロック41と第1領域21、第2ブロック42と第2領域22、第3ブロックと第3領域23について、光線に直交する面内における位置がそれぞれ一致するように配置されている。
【0059】
第1ブロック41の発光部13から射出した光は、体積ホログラム71の第1領域21へ入射する。第1領域21における干渉縞の間隔は、第1ブロック41の発光部13からの光の波長に対応して設定されている。第2ブロック42の発光部13から射出した光は、体積ホログラム71の第2領域22へ入射する。第2領域22における干渉縞の間隔は、第2ブロック42の発光部13からの光の波長に対応して設定されている。第3ブロック43の発光部13から射出した光は、体積ホログラム71の第3領域23へ入射する。第3領域23における干渉縞の間隔は、第3ブロック43の発光部13からの光の波長に対応して設定されている。
【0060】
領域21、22、23へ入射する光の波長に対応して干渉縞の間隔を設定することにより、各ブロック41、42、43からの光を効率良く反射することができる。光源装置70は、スペクトル幅2nmにおいて3波長のレーザ光を射出する。本実施例の場合も、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を射出することができる。
【実施例4】
【0061】
図18は、本発明の実施例4に係る光源装置75の概略構成を示す。本実施例の光源装置75は、内部に共振器構造を持つレーザ光源76を有することを特徴とする。上記実施例と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。レーザ光源76は、基本波レーザを発振する9つの発光部13を備えるアレイ光源である。レーザ光源76からの光は、SHG素子14へ入射する。レーザ光源76及びSHG素子14は、第1ブロック41と第1領域31、第2ブロック42と第2領域32、第3ブロック43と第3領域33について、光線に直交する面内における位置がそれぞれ一致するように配置されている。
【0062】
第1ブロック41の発光部13から射出した基本波レーザは、SHG素子14の第1領域31へ入射する。SHG素子14の第1領域31における分極反転構造の周期は、第1ブロック41の発光部13からの基本波レーザの波長に対応して設定されている。第2ブロック42の発光部13から射出した基本波レーザは、SHG素子14の第2領域32へ入射する。SHG素子14の第2領域32における分極反転構造の周期は、第2ブロック42の発光部13からの基本波レーザの波長に対応して設定されている。第3ブロック43の発光部13から射出した基本波レーザは、SHG素子14の第3領域33へ入射する。SHG素子14の第3領域33における分極反転構造の周期は、第3ブロック43の発光部13からの基本波レーザの波長に対応して設定されている。
【0063】
SHG素子14から射出した高調波光は、光源装置75の外部へ射出する。領域31、32、33へ入射する基本波レーザの波長に対応して分極反転構造の周期を設定することにより、各ブロック41、42、43からの基本波光を効率良く波長変換することができる。本実施例の場合も、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を射出することができる。
【0064】
上記各実施例の光源装置に設けるアレイ光源は、一方向へ並列させた発光部13を有する構成に限られない。例えば、図19に示す半導体素子81は、互いに直交する二方向へ並列させた発光部13を有する。半導体素子81は、正方形形状のサブマウント82上にマウントされている。半導体素子81は、36個の発光部13を9つのブロック84に分けて構成されている。各ブロック84は、4つの発光部13により構成されている。発光部13は、各ブロック84において縦方向及び横方向に2つずつ並列している。ブロック84は、縦方向及び横方向にいずれも3つ並列している。発光部13は、ブロック84同士の間隔が、ブロック84内における発光部13同士の間隔より大きくなるように配置されている。半導体素子81に組み合わせて用いられる光学素子は、ブロック84と同様に並列させた9つの領域について、互いに異なる光学特性を持たせて構成される。
【0065】
発光部13は、互いに直交する二方向へ並列させる場合に限られない。例えば、図20に示す半導体素子85は、横方向、及び斜め方向へ並列させた発光部13を有する。半導体素子85は、長方形形状のサブマウント86上にマウントされている。半導体素子85は、4〜8個の発光部13で構成される3つのブロック87を有する。発光部13は、ブロック87同士の間隔が、ブロック87内における発光部13同士の間隔より大きくなるように配置されている。以上のように、アレイ光源の構成は、適宜変更することができる。
【実施例5】
【0066】
図21は、本発明の実施例5に係るモニタ装置90の概略構成を示す。モニタ装置90は、装置本体91と、光伝送部92とを有する。装置本体91は、上記実施例1の光源装置10(図1参照)を備える。光伝送部92は、2つのライトガイド94、95を有する。光伝送部92のうち被写体(不図示)側の端部には、拡散板96及び結像レンズ97が設けられている。第1ライトガイド94は、光源装置10からの光を被写体へ伝送する。拡散板96は、第1ライトガイド94の射出側に設けられている。第1ライトガイド94内を伝播した光は、拡散板96を透過することにより、被写体側にて拡散する。光源装置10から拡散板96までの光路中の各部は、被写体を照明する照明装置を構成する。
【0067】
第2ライトガイド95は、被写体からの光をカメラ93へ伝送する。結像レンズ97は、第2ライトガイド95の入射側に設けられている。結像レンズ97は、被写体からの光を第2ライトガイド95の入射面へ集光させる。被写体からの光は、結像レンズ97により第2ライトガイド95へ入射した後、第2ライトガイド95内を伝播してカメラ93へ入射する。
【0068】
第1ライトガイド94、第2ライトガイド95としては、多数の光ファイバを束ねたものを用いることができる。光ファイバを用いることで、光を遠方へ伝送させることができる。カメラ93は、装置本体91内に設けられている。カメラ93は、光源装置10からの光により照明された被写体を撮像する撮像部である。第2ライトガイド95から入射した光をカメラ93へ入射させることで、カメラ93による被写体の撮像ができる。上記実施例1の光源装置10を用いることにより、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を供給することができる。これにより、明るく、かつ高品質な像をモニタすることができるという効果を奏する。なお、モニタ装置90は、上記実施例のいずれの光源装置を用いることとしても良い。
【実施例6】
【0069】
図22は、本発明の実施例6に係るプロジェクタ100の概略構成を示す。プロジェクタ100は、スクリーン109へ光を投写し、スクリーン109で反射する光を観察することで画像を鑑賞するフロント投写型のプロジェクタである。プロジェクタ100は、赤色(R)光用光源装置101R、緑色(G)光用光源装置101G、青色(B)光用光源装置101Bを有する。各色光用光源装置101R、101G、101Bは、いずれも上記実施例1の光源装置10(図1参照)と同様の構成を有する。プロジェクタ100は、各色光用光源装置101R、101G、101Bからの光を用いて画像を表示する画像表示装置である。
【0070】
R光用光源装置101Rは、R光を射出する光源装置である。拡散素子102は、照明領域の整形、拡大、照明領域における光量分布の均一化を行う。拡散素子102としては、例えば、回折光学素子である計算機合成ホログラム(Computer Generated Hologram;CGH)を用いることができる。フィールドレンズ103は、R光用光源装置101Rからの光を平行化させ、R光用空間光変調装置104Rへ入射させる。R光用光源装置101R、拡散素子102、及びフィールドレンズ103は、R光用空間光変調装置104Rを照明する照明装置を構成する。R光用空間光変調装置104Rは、照明装置からのR光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。R光用空間光変調装置104Rで変調されたR光は、色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム105へ入射する。
【0071】
G光用光源装置101Gは、G光を射出する光源装置である。拡散素子102及びフィールドレンズ103を経た光は、G光用空間光変調装置104Gへ入射する。G光用光源装置101G、拡散素子102、及びフィールドレンズ103は、G光用空間光変調装置104Gを照明する照明装置を構成する。G光用空間光変調装置104Gは、照明装置からのG光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。G光用空間光変調装置104Gで変調されたG光は、クロスダイクロイックプリズム105のうちR光が入射する面とは異なる面へ入射する。
【0072】
B光用光源装置101Bは、B光を射出する光源装置である。拡散素子102及びフィールドレンズ103を経た光は、B光用空間光変調装置104Bへ入射する。B光用光源装置101B、拡散素子102、及びフィールドレンズ103は、B光用空間光変調装置104Bを照明する照明装置を構成する。B光用空間光変調装置104Bは、照明装置からのB光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置であって、透過型液晶表示装置である。B光用空間光変調装置104Bで変調されたB光は、クロスダイクロイックプリズム105のうちR光が入射する面、及びG光が入射する面とは異なる面へ入射する。透過型液晶表示装置としては、例えば高温ポリシリコンTFT液晶パネル(High Temperature Polysilicon;HTPS)を用いることができる。
【0073】
クロスダイクロイックプリズム105は、互いに略直交させて配置された2つのダイクロイック膜106、107を有する。第1ダイクロイック膜106は、R光を反射し、G光及びB光を透過させる。第2ダイクロイック膜107は、B光を反射し、R光及びG光を透過させる。クロスダイクロイックプリズム105は、それぞれ異なる方向から入射したR光、G光及びB光を合成し、投写レンズ108の方向へ射出する。投写レンズ108は、クロスダイクロイックプリズム105で合成された光をスクリーン109に向けて投写する。
【0074】
上記の光源装置10と同様の構成を有する各色光用光源装置101R、101G、101Bを用いることにより、スペックルノイズを低減でき、かつ高い効率で光を射出することができる。これにより、明るく、かつ高品質な画像を表示することができるという効果を奏する。なお、各色光用光源装置101R、101G、101Bは、上記実施例のいずれの光源装置と同様の構成であっても良い。
【0075】
プロジェクタは、空間光変調装置として透過型液晶表示装置を用いる場合に限られない。空間光変調装置としては、反射型液晶表示装置(Liquid Crystal On Silicon;LCOS)、DMD(Digital Micromirror Device)、GLV(Grating Light Valve)等を用いても良い。プロジェクタは、色光ごとに空間光変調装置を備える構成に限られない。プロジェクタは、一の空間光変調装置により2つ又は3つ以上の色光を変調する構成としても良い。プロジェクタは、空間光変調装置を用いる場合に限られない。プロジェクタは、ガルバノミラー等の走査手段により光源装置からのレーザ光を走査させ、被照射面において画像を表示するレーザスキャン型のプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、画像情報を持たせたスライドを用いるスライドプロジェクタであっても良い。プロジェクタは、スクリーンの一方の面に光を供給し、スクリーンの他方の面から射出する光を観察することで画像を鑑賞する、いわゆるリアプロジェクタであっても良い。
【0076】
本発明の光源装置は、画像表示装置である液晶ディスプレイに適用しても良い。本発明の光源装置と導光板とを組み合わせることにより、液晶パネルを照明する照明装置として用いることができる。この場合も、明るく高品質な画像を表示することができる。本発明の光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に適用される場合に限られない。本発明の光源装置は、例えば、レーザ光を用いた露光のための露光装置やレーザ加工装置等の光学系に用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明に係る光源装置は、モニタ装置や画像表示装置に用いる場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図2】体積ホログラムの構成を説明する図。
【図3】干渉縞が記録された記録材料の要部斜視構成を示す図。
【図4】干渉縞の記録について説明する図。
【図5】記録材料の領域ごとに異なる間隔の干渉縞を記録する手順を説明する図。
【図6】干渉縞を記録する他の手順を説明する図。
【図7】SHG素子の構成を説明する図。
【図8】領域ごとに異なる周期の分極反転構造を形成する手順を説明する図。
【図9】半導体素子の構成を説明する図。
【図10】半導体素子、SHG素子、体積ホログラムの位置関係を説明する図。
【図11】レーザ光のスペクトル幅とスペックルコントラストとの関係を示す図。
【図12】実施例1の比較例に係る光源装置について説明する図。
【図13】本発明の実施例2に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図14】バンドパスフィルタの構成を説明する図。
【図15】誘電体多層膜を形成する手順を説明する図。
【図16】誘電体多層膜を形成する他の手順を説明する図。
【図17】本発明の実施例3に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図18】本発明の実施例4に係る光源装置の概略構成を示す図。
【図19】互いに直交する二方向へ並列させた発光部を有する半導体素子を示す図。
【図20】横方向、及び斜め方向へ並列させた発光部を有する半導体素子を示す図。
【図21】本発明の実施例5に係るモニタ装置の概略構成を示す図。
【図22】本発明の実施例6に係るプロジェクタの概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0079】
10 光源装置、11 半導体素子、12 サブマウント、13 発光部、14 SHG素子、15 体積ホログラム、21 第1領域、22 第2領域、23 第3領域、24 境界領域、25 記録材料、26 マスク、27 開口部、31 第1領域、32 第2領域、33 第3領域、34 自発分極層、35 分極反転層、36 結晶基板、37 絶縁層、41 第1ブロック、42 第2ブロック、43 第3ブロック、45 光源装置、46 半導体素子、50 光源装置、51 第1領域、52 第2領域、53 第3領域、54 境界領域、55 バンドパスフィルタ、56 共振ミラー、57 基材、58 誘電体多層膜、60 マスク、61 開口部、70 光源装置、71 体積ホログラム、75 光源装置、76 レーザ光源、81 半導体素子、82 サブマウント、84 ブロック、85 半導体素子、86 サブマウント、87 ブロック、90 モニタ装置、91 装置本体、92 光伝送部、93 カメラ、94 第1ライトガイド、95 第2ライトガイド、96 拡散板、97 結像レンズ、100 プロジェクタ、101R R光用光源装置、101G G光用光源装置、101B B光用光源装置、102 拡散素子、103 フィールドレンズ、104R R光用空間光変調装置、104G G光用空間光変調装置、104B B光用空間光変調装置、105 クロスダイクロイックプリズム、106 第1ダイクロイック膜、107 第2ダイクロイック膜、108 投写レンズ、109 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する複数の発光部を備えるアレイ光源と、
前記アレイ光源からの光を入射させる光学素子と、を有し、
前記光学素子は、互いに並列させた複数の領域について、互いに異なる光学特性を持たせて構成され、
前記アレイ光源は、互いに並列させた複数の前記発光部で構成された複数のブロックを、前記光学素子の前記領域に合わせて並列させ、
前記発光部は、前記ブロックごとに異なる波長の光を射出することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記発光部は、前記ブロック同士の間隔が、前記ブロック内における前記発光部同士の間隔より大きくなるように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記アレイ光源からの光を共振させる外部共振器を有し、
前記光学素子は、前記アレイ光源及び前記外部共振器の間で共振させる光の波長を選択する波長選択部を有し、
前記波長選択部は、前記領域ごとに異なる波長を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記波長選択部は、前記外部共振器として機能する体積ホログラムであって、
前記体積ホログラムは、前記領域ごとに異なる間隔で記録された干渉縞を有することを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記干渉縞は、前記領域へ入射する前記発光部からの光の波長に対応して設定された間隔をなすことを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記波長選択部は、前記アレイ光源及び前記外部共振器の間の光路に設けられたバンドパスフィルタであって、
前記バンドパスフィルタは、前記領域ごとに異なる厚さの層を用いて構成された積層体を有することを特徴とする請求項3に記載の光源装置。
【請求項7】
前記積層体を構成する層は、前記領域へ入射する前記発光部からの光の波長に対応して設定された厚さをなすことを特徴とする請求項6に記載の光源装置。
【請求項8】
前記光学素子は、前記アレイ光源からの光の波長を変換する波長変換素子を有し、
前記波長変換素子は、互いに分極を反転させた層からなる分極反転構造を有し、
前記分極反転構造は、前記領域ごとに異なる周期で構成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記分極反転構造の前記周期が、前記領域へ入射する前記発光部からの光の波長に対応して設定されたことを特徴とする請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて被照射物を照明することを特徴とする照明装置。
【請求項11】
請求項10に記載の照明装置と、
前記照明装置により照明された被写体を撮像する撮像部と、を有することを特徴とするモニタ装置。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の光源装置を有し、前記光源装置からの光を用いて画像を表示することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−94186(P2009−94186A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261662(P2007−261662)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】