説明

光調節装置

【課題】基板上に配置するコイルのヨーク体積を稼ぎつつ、回転軸部材の回転によって動く可動部材のバタツキを抑え、安定駆動させる。
【解決手段】開口が形成された基板と、開口から入射する光を調整する少なくとも1つの光調節手段と、光調節手段を動作させる少なくとも1つの電磁駆動源と、を有し、光調節手段には磁性を有する回転軸部材が設けられ、回転軸部材を電磁駆動源を用いて回転させることにより、光調節手段を、開口から退避した第1の静止位置と、開口に重なる第2の静止位置と、に相互に移動させることで、開口から入射する光を調整する光調節装置において、電磁駆動源はヨークと、ヨークに巻かれた巻線コイルで構成され、ヨークの先端部が、巻線コイルの巻線数に拘わらず、回転軸部材の位置を規定する拘束点近傍で回転軸部材に対向するように、電磁駆動源が基板に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像機能を有した携帯機器やマイクロビデオスコープ等の小型光学装置の高性能化に伴い、レンズや絞り等の光学素子も、従来の固定焦点レンズ、固定開口絞りから、フォーカスレンズ、可変絞りを適用する要求が高まっており、その光学素子の更なる小型化、省電力化は勿論のこと、安定した動作が望まれる。
【0003】
図15に示す特許文献1の電磁駆動シャッタ900では、コイル950を基板930(シャッタプレート)の円周上に沿って配置している為、ヨーク960(コイル芯材)の体積を多くとることができ、安定的な駆動力を得ることが可能となる。更にコイル950の構成が単純である為、部品点数も少なく、アセンブリも容易で、小型化に適している。ここで、図15は、従来の電磁駆動シャッタの構成を示す斜視図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−303914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の電磁駆動シャッタ900では、コイル950を基板930上に設置する際、コイル線を巻いた厚みの分だけ、ヨーク960が基板930から離れてしまう。このため、ヨーク960の先端が、基板930から離れた位置で、回転軸である磁石940(ロータ)に対向することになる。磁石940に対向するヨーク960の先端の位置が基板930から離れれば離れるほど可動部材のバタツキが大きくなり、その結果、安定した駆動ができなくなってしまう。
【0006】
本願は上記に鑑みてなされたものであって、基板上に配置するコイルのヨーク体積を稼ぎつつ、回転軸部材の回転によって動く可動部材のバタツキを抑え、安定駆動させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光調節装置は、開口が形成された基板と、開口から入射する光を調整する少なくとも1つの光調節手段と、光調節手段を動作させる少なくとも1つの電磁駆動源と、を有し、光調節手段には磁性を有する回転軸部材が設けられ、回転軸部材を電磁駆動源を用いて回転させることにより、光調節手段を、開口から退避した第1の静止位置と、開口に重なる第2の静止位置と、に相互に移動させることで、開口から入射する光を調整する光調節装置において、電磁駆動源はヨークと、ヨークに巻かれた巻線コイルで構成され、ヨークの両先端部が、巻線コイルの巻線数に拘わらず、回転軸部材の位置を規定する拘束点近傍を含む領域で回転軸部材に対向するように、電磁駆動源が基板に配置されていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る光調節装置において、ヨークの両先端部は、光軸方向に折り曲げることによって、拘束点近傍で回転軸部材に対向することが好ましい。
【0009】
本発明に係る光調節装置において、ヨークの両先端部は、回転軸部材に対し平行となるように基板に向かって垂直方向に折り曲げることによって、拘束点近傍で回転軸部材に対向することが好ましい。
【0010】
本発明に係る光調節装置において、ヨークの両先端部は、光軸方向に折り曲げた後に、さらに回転軸部材側へ折り曲げることによって、拘束点近傍で回転軸部材に対向することが好ましい。
【0011】
本発明に係る光調節装置において、ヨークは、基板の厚さ方向において、巻線コイルが巻かれていない部分のうち少なくとも先端部が、巻線コイルが巻かれた部分より厚いことが好ましい。
【0012】
本発明に係る光調節装置において、ヨークの両先端部は、少なくとも2つの板材を積層させることが好ましい。
【0013】
本発明に係る光調節装置において、開口が形成された基板には切り欠き部が設けられており、電磁駆動源の巻線コイル部はきりかき部へはめ込まれることが好ましい。
【0014】
本発明に係る光調節装置において、光調節手段は複数設けられ、各々異なる径の開口が形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明に係る光調節装置において、光調節手段は複数設けられ、各々異なる光学レンズが形成されていることが好ましい。
【0016】
本発明に係る光調節装置において、光調節手段は複数設けられ、各々異なる光学フィルターが形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る光調節装置は、基板上に配置するコイルのヨーク体積を稼ぎつつ、回転軸となる磁石の拘束点近傍でヨーク先端部を対向させるように配置することで、回転軸部材の回転によって動く光調節手段のバタツキを抑え、安定駆動させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る光調節装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】組み上げた状態の第1実施形態に係る光調節装置の構成を示す斜視図である。
【図3】比較例に係る光調節装置の構成を示す側面図である。
【図4】第1実施形態に係る光調節装置の構成を示す側面図である。
【図5】光調節手段の光学開口が第1の静止位置にある状態を示す斜視図である。
【図6】光調節手段の光学開口が第2の静止位置にある状態を示す斜視図である。
【図7】第2実施形態に係る光調節装置の構成を示す分解斜視図である。
【図8】組み立てた状態の第2実施形態に係る光調節装置の構成を示す斜視図である。
【図9】第3実施形態に係る光調節装置の構成を示す分解斜視図である。
【図10】組み立てた状態の第3実施形態に係る光調節装置の構成を示す斜視図である。
【図11】第4実施形態に係る光調節装置の構成を示す分解斜視図である。
【図12】組み立てた状態の第4実施形態に係る光調節装置の構成を示す斜視図である。
【図13】第5実施形態に係る光調節装置の構成を示す分解斜視図である。
【図14】組み立てた状態の第5実施形態に係る光調節装置の構成を示す斜視図である。
【図15】従来の電磁駆動シャッタの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る光調節装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
(第1実施形態)
図1から図6を参照して、第1実施形態に係る光調節装置100について説明する。図1は第1実施形態に係る光調節装置100の構成を示す分解斜視図である。図2は、組み上げられた状態の光調節装置100の構成を示す斜視図である。
【0021】
光調節装置100は、光学開口102が形成された基板101と、光学開口112が形成された基板111と、光学開口122が形成された板状の光調節手段121と、光調節手段121の移動を規制する2つの規制部131、132と、光調節手段121を移動させる電磁駆動源141と、を備える。この光調節装置100では、基板101と基板111は同一の直径を備えた円板であって、これらの中心に光学開口102と光学開口112が設けられている。また、光調節手段121の光学開口122は、光学開口102及び光学開口112よりも小さな開口径を備える。
【0022】
基板101、111には、光学開口102と光学開口112を互いに合わせて積層したときに対応する位置に、回転軸穴103、113がそれぞれ形成されている。基板101、111との間に配置される光調節手段121には、磁性を有する回転軸部材123が設けられている。回転軸部材123は、その両端が、回転軸穴103、113に回動可能にそれぞれ挿入される
また、基板101と基板111の間には、光調節手段121が回動するための羽根室を形成する為に、スペーサー部材(不図示)が配置されている。
【0023】
電磁駆動源141は、板状のヨーク部材142(ヨーク)と、2つの巻線コイル部(巻線コイル)143a、143bと、を備え、基板101上に配置される。巻線コイル部143a、143bは、ヨーク部材142の両端部において、ヨーク部材142の両先端部144a、144bが露出するようにそれぞれ巻かれている。ヨーク部材142の両先端部144a、144bは、回転軸部材123に対向する位置にくるように、基板101側へそれぞれ曲げられている。
【0024】
次に、図3、図4を参照して、ヨーク部材142の両先端部144a、144bについて説明する。図3は、比較例に係る光調節装置の構成を示す側面図である。図4は、第1実施形態に係る光調節装置100の構成を示す側面図である。図3では、光調節装置100と同様の部材については同一の符号を付している。
【0025】
図3に示す比較例では、ヨーク部材142の先端部154bを曲げることなく、電磁駆動源141を基板101上に配置している。このように構成すると、ヨーク部材142の先端部154bは、巻線コイル部143bの厚さ分だけ、光調節手段121から離れた位置で回転軸部材123と対向することになる。したがって、巻線コイル部143bが厚くなればなるほど、ヨーク部材142の先端部154bは光調節手段121から離れてしまい、光調節手段121の駆動が不安定となりやすい。
【0026】
これに対して、図4に示す第1実施形態に係る光調節装置100では、ヨーク部材142の先端部144bを光調節手段121側へ、すなわち基板101側へ、折り曲げている。これにより、ヨーク部材142の先端部144bが光調節手段121の近くで回転軸部材123に対向している。このような構成は、他方の先端部144aについても同様である。
【0027】
ヨーク142の両先端部144a、144bは、回転軸部材123の位置を規定する拘束点近傍で回転軸部材123に対向するように折り曲げられている。拘束点とは、回転軸部材123が基板101の径方向にぶれることを抑えることによって回転軸部材123の位置を規定するという観点から、基板101の上面上において回転軸穴103が描く円部分である。
【0028】
また、「拘束点の近傍」とは、例えば、巻線コイル部143a、143bを構成するコアの下面と、このコアにコイルを巻くことによって形成される巻線コイル部143a、143bの最下面との間の範囲とすることができる。このようにすると、コイルの厚さに応じて両先端部144a、144bの折り曲げ方を変えることによって、巻線コイル部143a、143bの巻線数に拘わらず、拘束点近傍で両先端部144a、144bを回転軸部材123にそれぞれ対向させることが可能となる。
さらに、「拘束点の近傍」は、回転軸部材のうちの拘束点に最も近い領域とすることもできる。
【0029】
次に図5、図6を参照して、光調節装置100の動作について説明する。図5は、光調節手段121が第1の静止位置にある状態を示す斜視図である。図6は、光調節手段121が第2の静止位置にある状態を示す斜視図である。なお、図5、図6においては、基板101及び電磁駆動源141の図示を省略している。
【0030】
光調節手段121は、電磁駆動源141を用いて回転軸部材123を回動させることによって、回転軸部材123の中心軸を回動中心として回動する。具体的には、電磁駆動源141に電流を印加することによってヨーク部材142の両先端部144a、144bから発生する磁力で回転軸部材123を回転させ、光調節手段121を第1の静止位置と、第2の静止位置と、に相互に移動させる。
【0031】
図5に示すように、光調節手段121が移動して規制部132に当接したとき、光調節手段121の光学開口122は、基板111の光学開口112、及び、基板101の光学開口102から退避した第1の静止位置にある。このとき、光調節装置100の光学開口は基板101に形成した光学開口102となる。
【0032】
一方、図6に示すように、光調節手段121が移動して規制部131に当接したとき、光調節手段121の光学開口122は、基板111の光学開口112、及び、基板101の光学開口102に重なる第2の静止位置にある。このとき、光調節装置100の光学開口は光調節手段121に形成された光学開口122となる。
【0033】
上述のように、第1実施形態に係る光調節装置100は、図4に示すように、電磁駆動源141のヨーク部材142の両先端部144a、144bを、光調節手段121側へ折り曲げていることに特徴がある。
【0034】
一般に、電磁駆動源141を直接、基板101上に配置する場合、巻線コイル部143a、143bの厚さはコイルの巻数に対応して増えていく。このため、コイルの巻数が増えるにつれてヨーク部材142が板状の光調節手段121の上面から離れてしまい、それに伴って、ヨーク部材142の両先端部144a、144bも光調節手段121から離れてしまうことになる。この結果、ヨーク部材142の両先端部144a、144bから発生する磁力が、光調節手段121から離れた位置で回転軸部材123に働くと、回転軸部材123の回転ブレが生じて光調節手段121のバタツキが大きくなってしまい、その結果、光調節手段121の安定した動作が困難になってしまう。
【0035】
そこで、光調節装置100では、図4に示すように、ヨーク部材142の両先端部144a、144bが、拘束点近傍で回転軸部材123に対向するように、光調節手段121側へ折り曲げており、これにより巻線コイル部143a、143bにおける巻線数に拘わらずに光調節手段121のバタツキを抑え、安定駆動を可能としている。
【0036】
(第2実施形態)
図7、図8を参照して、第2実施形態に係る光調節装置200について説明する。図7は光調節装置200の構成を示す分解斜視図である。図8は組み立てた状態の光調節装置200の構成を示す斜視図である。なお、図7、図8において、第1実施の形態に係る光調節装置100と同一の構成要素には、同一の付番をし、説明を省略する。
【0037】
第2実施形態の電磁駆動源241は、ヨーク部材242(ヨーク)と巻線コイル部243a、243bとを備える。第2実施形態の電磁駆動源241においては、ヨーク部材242の両先端部244a、244bの形状が第1実施形態の両先端部144a、144bと異なる。
【0038】
具体的には、両先端部244a、244bは、巻線コイル部243a、243bから延出した先端を回転軸部材123と平行になるように光調節手段121側へ折り曲げた後、さらに、回転軸部材123側へ垂直に折り曲げている。別言すると、ヨーク部材242の両先端部244a、244bは、光調節装置200の光軸方向(図7、図8の上下方向)に沿うように折り曲げた後に、光調節手段121及び基板101と平行になるように折り曲げている。
【0039】
この結果、図7、図8に示すように、両先端部244a、244bの先端245a、245bは、基板101の近傍であって光調節手段121の近傍で回転軸部材123とそれぞれ対向する。すなわち、両先端部244a、244bは、回転軸部材123の位置を規定する拘束点近傍で回転軸部材123にそれぞれ対向している。
【0040】
このように、ヨーク部材242の両先端部244a、244bが、光調節手段121近傍で回転軸部材123と対向できるように、ヨーク部材242の両先端部244a、244bが折り曲げられている。この構成により、両先端部244a、244bから発生する磁力が光調節手段121の近傍に働くため、回転軸部材123の回転ブレを抑えることができ、これにより、巻線コイル部243a、243bにおける巻線数に拘わらずに、光調節手段121の動作中のバタツキを抑え、安定した動作を可能としている。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0041】
(第3実施形態)
図9、図10を参照して、第3実施形態に係る光調節装置300について説明する。図9は光調節装置300の構成を示す分解斜視図である。図10は組み立てた状態の光調節装置300の構成を示す斜視図である。なお、図9、図10において、第1実施の形態に係る光調節装置100と同一の構成要素には、同一の付番をし、説明を省略する。
【0042】
第3実施形態の電磁駆動源341は、ヨーク部材342(ヨーク)と巻線コイル部343a、343bとを備える。第3実施形態の電磁駆動源341においては、ヨーク部材342の両先端部344a、344bの形状が第1実施形態の両先端部144a、144bと異なる。
【0043】
より具体的には、両先端部344a、344bは、巻線コイル部343a、343bから延出した先端を回転軸部材123と平行になるように光調節手段121側へ折り曲げている。すなわち、ヨーク部材342の両先端部344a、344bは、光調節装置300の光軸方向(図9、図10の上下方向)に沿うように折り曲げられている。
【0044】
この構成により、図9、図10に示すように、両先端部344a、344bの先端345a、345bは、基板101から上方に突出した回転軸部材123を覆うように、基板101の近傍であって光調節手段121の近傍で回転軸部材123とそれぞれ対向する。したがって、ヨーク部材342の両先端部344a、344bは、回転軸部材123の位置を規定する拘束点近傍で回転軸部材123にそれぞれ対向している。
【0045】
このように、第1、第2実施形態同様、ヨーク部材342の両先端部344a、344bが、光調節手段121近傍で回転軸部材123と対向できるように、ヨーク部材342の両先端部344a、344bが光調節手段121側へ折り曲げられている。この構成によれば、両先端部344a、344bから発生する磁力が光調節手段121の近傍に働くため、回転軸部材123の回転ブレを抑えることができ、これにより、巻線コイル部343a、343bにおける巻線数に拘わらずに、光調節手段121の動作バタツキを抑え、安定動作を可能としている。
【0046】
さらに、第3実施形態の光調節装置300では、ヨーク部材342の両先端部344a、344bが回転軸部材123を覆うように対向している為、回転軸部材123に対し、ヨーク部材342の両先端部344a、344bから発する磁力が均一的に働く。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0047】
(第4実施形態)
次に図11、図12を参照して、第4実施形態に係る光調節装置400について説明する。図11は光調節装置400の構成を示す分解斜視図である。図12は組み立てた状態の光調節装置400の構成を示す斜視図である。なお、図11、図12において、第1実施の形態と同一の構成要素には、同一の付番をし、説明を省略する。
【0048】
第4実施形態の電磁駆動源441は、ヨーク部材442(ヨーク)と巻線コイル部443a、443bとを備える。第4実施形態の電磁駆動源441においては、ヨーク部材442の両先端部444a、444bの下面に積層部材445a、445bをそれぞれ積層させることで、光調節装置400の光軸方向(図11、図12の上下方向)の厚さを増している。その結果、ヨーク部材442の先端部は、基板101から突出した回転軸部材123を覆うように、基板101の近傍であって光調節手段121近傍で回転軸部材123とそれぞれ対向する。
【0049】
なお、積層部材445a、445bは磁性材料が望ましい。
【0050】
このようにヨーク部材442の先端部を光調節手段121側へ厚くすることで、ヨーク部材442の先端部を光調節手段121近傍で回転軸部材123と対向させている。この結果、ヨーク部材442の先端部が光調節手段121近傍で回転軸部材123に対向することで、先端部444a、444b、及び積層部材445a、445bから発生する磁力が光調節手段121の近傍に働くため、回転軸部材123の回転ブレを抑えることができる。これにより、巻線コイル部443a、443bにおける巻線数に拘わらずに、光調節手段121のバタツキを抑え、安定動作を可能にする。
【0051】
また、第4実施形態では、ヨーク部材142の先端部444a、444b、及び、積層部材445a、445bが回転軸部材123を覆うように対向する為、回転軸部材123に対し、ヨーク部材442の先端部444a、444b、及び積層部材445a、445bから発する磁力が均一的に働く。
【0052】
また、第4実施形態の光調節装置400では、一対の積層部材445a、445bをヨーク部材442の両先端部444a、444bにそれぞれ積層させているが、特に一対の積層部材でなくてもよいし、積層部材445a、445bを用いなくともヨーク部材142先端部のみを光調節手段121側へ厚くすればよい。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0053】
(第5実施形態)
つづいて、図13、図14を参照して、第5実施形態に係る光調節装置500について説明する。図13は光調節装置500の構成を示す分解斜視図である。図14は組み立てた状態の光調節装置500の構成を示す斜視図である。
【0054】
第5実施形態の電磁駆動源541は、ヨーク部材542(ヨーク)と巻線コイル部543a、543bとを備える。巻線コイル部543a、543bは、ヨーク部材542の両端部において、ヨーク部材542の両先端部544a、544bが露出するようにそれぞれ巻かれている。
【0055】
また、基板501には、第1実施形態の基板101と同様に光学開口502及び回転軸穴503が設けられている。さらに、基板501には、図13、図14に示すように、巻線コイル部543a、543bに対応する位置に、切り欠き部504a、504bがそれぞれ設けられている。
【0056】
図14に示すように、電磁駆動源541は、巻線コイル部543a、543bを基板501の切り欠き部504a、504bにそれぞれはめ込んで基板501上に載置する。この結果、ヨーク部材542の両先端部544a、544bは光調節手段121近傍で回転軸部材123と対向する。
【0057】
このように、第5実施形態の光調節装置500では、ヨーク部材542の先端部を折り曲げたり、厚くすることなく、ヨーク部材542の両先端部544a、544bを光調節手段121近傍で回転軸部材123と対向させることが可能となる。したがって、両先端部544a、544bから発生する磁力が光調節手段121の近傍に働くため、回転軸部材123の回転ブレを抑えることができ、これにより、巻線コイル部543a、543bにおける巻線数に拘わらずに、光調節手段121の動作中のバタツキを減少させ、安定した駆動を可能にする。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明に係る光調節装置は、コイルのヨーク体積を増やしつつ光調節手段を安定駆動させる光調節装置に有用である。
【符号の説明】
【0059】
100 光調節装置
101 基板
102 光学開口
103 回転軸穴
111 基板
112 光学開口
113 回転軸穴
121 光調節手段
122 光学開口
123 回転軸部材
131、132 規制部
141 電磁駆動源
142 ヨーク部材(ヨーク)
143a、143b 巻線コイル部(巻線コイル)
144a、144b 先端部
200 光調節装置
241 電磁駆動源
242 ヨーク部材(ヨーク)
243a、243b 巻線コイル部(巻線コイル)
244a、244b 先端部
300 光調節装置
341 電磁駆動源
342 ヨーク部材(ヨーク)
343a、343b 巻線コイル部(巻線コイル)
344a、344b 先端部
345a、345b 先端
400 光調節装置
441 電磁駆動源
442 ヨーク部材(ヨーク)
443a、443b 巻線コイル部(巻線コイル)
444a、444b 先端部
445a、445b 先端部
500 光調節装置
501 基板
502 光学開口
503 回転軸穴
504a、504b 切り欠き部
541 電磁駆動源
542 ヨーク部材(ヨーク)
543a、543b 巻線コイル部(巻線コイル)
544a、544b 先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成された基板と、
前記開口から入射する光を調整する少なくとも1つの光調節手段と、
前記光調節手段を動作させる少なくとも1つの電磁駆動源と、を有し、
前記光調節手段には磁性を有する回転軸部材が設けられ、
前記回転軸部材を前記電磁駆動源を用いて回転させることにより、前記光調節手段を、前記開口から退避した第1の静止位置と、前記開口に重なる第2の静止位置と、に相互に移動させることで、前記開口から入射する光を調整する光調節装置において、
前記電磁駆動源はヨークと、前記ヨークに巻かれた巻線コイルで構成され、
前記ヨークの両先端部が、前記巻線コイルの巻線数に拘わらず、前記回転軸部材の位置を規定する拘束点近傍を含む領域で前記回転軸部材に対向するように、前記電磁駆動源が前記基板に配置されていることを特徴とする光調節装置。
【請求項2】
前記ヨークの両先端部は、光軸方向に折り曲げることによって、前記拘束点近傍で前記回転軸部材に対向することを特徴とする請求項1に記載の光調節装置。
【請求項3】
前記ヨークの両先端部は、前記回転軸部材に対し平行となるように前記基板に向かって垂直方向に折り曲げることによって、前記拘束点近傍で前記回転軸部材に対向することを特徴とする請求項2に記載の光調節装置。
【請求項4】
前記ヨークの両先端部は、光軸方向に折り曲げた後に、さらに前記回転軸部材側へ折り曲げることによって、前記拘束点近傍で前記回転軸部材に対向することを特徴とする請求項2に記載の光調節装置。
【請求項5】
前記ヨークは、前記基板の厚さ方向において、前記巻線コイルが巻かれていない部分のうち少なくとも前記先端部が、前記巻線コイルが巻かれた部分より厚いことを特徴とする請求項1に記載の光調節装置。
【請求項6】
前記ヨークの両先端部は、少なくとも2つの板材を積層させることを特徴とする請求項5に記載の光調節装置。
【請求項7】
前記開口が形成された基板には切り欠き部が設けられており、前記電磁駆動源の巻線コイル部は前記きりかき部へはめ込まれることを特徴とする請求項1に記載の光調節装置。
【請求項8】
前記光調節手段は複数設けられ、各々異なる径の開口が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光調節装置。
【請求項9】
前記光調節手段は複数設けられ、各々異なる光学レンズが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光調節装置。
【請求項10】
前記光調節手段は複数設けられ、各々異なる光学フィルターが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光調節装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−243570(P2010−243570A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88974(P2009−88974)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】