説明

光起電性モジュールに有用なフルオロポリマーコーティングされたフィルム

ポリマー基材フィルムおよびポリマー基材フィルム上のフルオロポリマーコーティングを含む、フルオロポリマーコーティングされたフィルム。フルオロポリマーコーティングは、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシ、無水物、およびこれらの混合物から選択される官能基を含む相溶性のある接着性ポリマーとブレンドされた、フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー並びにフッ化ビニリデンポリマーのホモポリマーおよびコポリマーから選択されるフルオロポリマーを含む。ポリマー基材フィルムは、相溶性のある接着性ポリマーと相互作用してフルオロポリマーコーティングの基材フィルムへの結合を促進する官能基を表面に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電性モジュールのバックシートとして有用なフルオロポリマーコーティングされたフィルムの形成に関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力電池は、太陽光から電気エネルギーを作り出すのに使用され、従来の発電法に代わる環境に優しい方法を提供する。これらの太陽電池は様々な半導体システムから構成され、それらは、水分、酸素、および紫外線などの環境作用から保護されなければならない。電池は、通常、光起電性モジュールとして知られている多層構造を形成するガラスおよび/又はプラスチックフィルムの封止層によって両面が被覆されている。フルオロポリマーフィルムは、その優れた強度、耐候性、耐紫外線性、および防湿性のため、光起電性モジュールの重要な構成成分として認識されている。これらのモジュールにとりわけ有用なものは、モジュールのバックシートの役割をするフルオロポリマーフィルムとポリエステルフィルムのフィルム複合材料である。このような複合材料は、従来、フルオロポリマー(特に、ポリフッ化ビニル(PVF))の予備形成フィルムをポリエステル基材フィルム(特に、ポリエチレンテレフタレート)に接着したものから製造されてきた。PVFなどのフルオロポリマーをモジュールの裏面保護シートとして使用するとき、その特性によってモジュールの寿命が著しく改善され、最大25年までのモジュールの保証が可能になる。フルオロポリマー裏面保護シートは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとのラミネートの形態で、典型的には、PETが2枚のフルオロポリマーフィルムの間に挟設された状態で使用されることが多い。
【0003】
しかし、何年も屋外に曝された後に剥離しない結合を有する、ポリマー基材上に予備形成フルオロポリマーフィルムを積層したラミネートは製造が困難である。米国特許公報(特許文献1)(シムス(Simms))、米国特許公報(特許文献2)(キム(Kim)ら)、および米国特許公報(特許文献3)(シュミット(Schmidt)ら)などの従来技術のシステムは、耐久性のあるラミネート構造を作る予備形成フィルムのためのプライマーおよび接着剤を記載している。しかし、これらの方法は、実際の積層工程の前に、少なくとも1つの接着剤層、又はプライマーと接着剤の層の両方の塗布を必要とする。次いで、積層工程は、ラミネートを形成するために熱と圧力を加えることを必要とする。従って、予備形成フルオロポリマーフィルムを使用する従来技術のラミネートは製造に費用がかかる、および/又は、資本集約型の装置を必要とする。予備形成フルオロポリマーフィルムは、製造中およびその後の処理中の取り扱いのために強度を提供するのに十分な厚さを有していなければならないため、得られるラミネートは、また、厚く高価なフルオロポリマー層、即ち、有効な保護層に必要とされる以上に厚いフルオロポリマー層を組み込むことがある。
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,133,854号明細書
【特許文献2】米国特許第5,139,878号明細書
【特許文献3】米国特許第6,632,518号明細書
【特許文献4】米国特許第3,524,906号明細書
【特許文献5】米国特許第4,931,324号明細書
【特許文献6】米国特許第5,707,697号明細書
【特許文献7】米国特許第6,242,547号明細書
【特許文献8】米国特許第6,403,740号明細書
【特許文献9】米国特許第3,087,827号明細書
【特許文献10】米国特許第3,087,828号明細書
【特許文献11】米国特許第3,087,829号明細書
【特許文献12】米国特許第2,419,008号明細書
【特許文献13】米国特許第2,510,783号明細書
【特許文献14】米国特許第2,599,300号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ポリマー基材フィルムおよびポリマー基材フィルム上のフルオロポリマーコーティングを含む、フルオロポリマーコーティングされたフィルムを提供する。フルオロポリマーコーティングは、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシ、無水物、およびこれらの混合物から選択される官能基を含む相溶性のある接着性ポリマーとブレンドされた、フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー並びにフッ化ビニリデンポリマーのホモポリマーおよびコポリマーから選択されるフルオロポリマーを含む。ポリマー基材フィルムは、相溶性のある接着性ポリマーと相互作用してフルオロポリマーコーティングの基材フィルムへの結合を促進する官能基を表面に含む。
【0006】
本発明は、予備形成フルオロポリマーフィルムを用いたラミネートの製造よりも少ない全処理工程のフルオロポリマーコーティングされたポリマーフィルムを提供すると同時に、基材への強力な接着性および良好な耐久性をフルオロポリマーコーティングされた基材に提供する。更に、フルオロポリマーをコーティングの形態で提供すると、必要に応じて、フルオロポリマー層を薄くし、費用を節約することが可能になる。フルオロポリマーコーティングを使用すると、フルオロポリマーコーティングされたフィルムの意図された用途に合わせて調整されるフルオロポリマー層への添加剤(例えば、バリア性を改善するフィラー)の組み込みも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(フルオロポリマー)
本発明によるフルオロポリマーコーティングされたフィルムに有用なフルオロポリマーは、フッ化ビニル(VF)のホモポリマーおよびコポリマー、並びにフッ化ビニリデン(VF2)ポリマーのホモポリマーおよびコポリマーから選択される。好ましくは、フルオロポリマーは、少なくとも60モル%のフッ化ビニルを含むフッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、並びに少なくとも60モル%のフッ化ビニリデンを含むフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択される。より好ましくは、フルオロポリマーは少なくとも80モル%のフッ化ビニルを含むフッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、並びに少なくとも80モル%のフッ化ビニリデンを含むフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択される。フルオロポリマーと非フルオロポリマー(例えば、アクリルポリマー)とのブレンドも本発明の実施に適していることがある。ホモポリマーポリフッ化ビニル(PVF)およびホモポリマーポリフッ化ビニリデン(PVDF)は本発明の実施に好適である。
【0008】
VFコポリマー又はVF2コポリマーを用いた本発明の実施では、コモノマーは、フッ素化コモノマーであっても又は非フッ素化コモノマーであってもよく、又はこれらの混合物であってもよい。「コポリマー」の用語は、ジポリマー、ターポリマー、テトラポリマーなどを形成するようなVF又はVF2と任意の数の追加のフッ素化モノマー単位とのコポリマーを意味する。非フッ素化モノマーを使用する場合、使用される量は、コポリマーがフルオロポリマーの望ましい特性、即ち、耐候性、耐溶剤性、バリア性などを維持するように制限されなければならない。好ましくは、フルオロオレフィン、フッ素化ビニルエーテル、又はフッ素化ジオキソールを含むフッ素化コモノマーが使用される。有用なフッ素化コモノマーの例としては、とりわけ、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール(PDD)およびパーフルオロ−2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン(PMD)が挙げられる。
【0009】
ホモポリマーPVDFコーティングは高分子量PVDFから形成することができる。PVDFとアルキル(メタ)アクリレートポリマーとのブレンドを使用することができる。ポリメチルメタクリレートが特に望ましい。典型的には、これらのブレンドはPVDF50〜70重量%、およびアルキル(メタ)アクリレートポリマー、好ましくはポリメチルメタクリレート30〜50重量%を含むことができる。このようなブレンドは、ブレンドを安定化させるために相溶化剤および他の添加剤を含有してもよい。主成分としてのポリフッ化ビニリデン又はフッ化ビニリデンコポリマーとアクリル樹脂のこのようなブレンドは、米国特許公報(特許文献4);米国特許公報(特許文献5);および米国特許公報(特許文献6)に記載されている。
【0010】
ホモポリマーPVFコーティングは、高分子量PVFから形成することができる。好適なVFコポリマーは、米国特許公報(特許文献7)および米国特許公報(特許文献8)(アショルド(Uschold))に教示されている。
【0011】
(相溶性のある接着性ポリマー)
本発明によるフルオロポリマーコーティングされたフィルムに使用される相溶性のある接着性ポリマーは、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシ、無水物、およびこれらの混合物から選択される官能基を含む。相溶性のある接着性ポリマーは、好ましくは(1)組成物中のフルオロポリマーと相溶性がある主鎖組成、および(2)基材フィルム表面の相補的官能基と反応できるペンダント官能基を有する。接着性ポリマーの主鎖とフルオロポリマーとの相溶性は様々であるが、フルオロポリマーコーティングを基材フィルムに固定するのに望ましい量で接着性ポリマーをフルオロポリマー中に導入できるように十分な相溶性がある。しかし、一般に、大部分フッ化ビニルとフッ化ビニリデンから誘導されたホモポリマーおよびコポリマーは、前述の官能基を有するアクリル、ウレタン、脂肪族ポリエステル、ポリエステルウレタン、アクリルアミド、尿素、およびポリカーボネート主鎖に有利な相溶性を示す。
【0012】
アクリルおよびアクリルアミドモノマーから誘導されたフリーラジカル付加重合体は、多くの使用可能な官能性モノマーを使用してペンダント官能基を導入するのに好適である。幾つかの代表例は、エポキシ基を導入するためにグリシジルアクリレートおよびメタクリレートを含む。次いで、エポキシ官能性アクリルとアンモニア又は一級アルキルアミンとの反応により、それらを反応性アミノアルコール基に転換することができる。カルボン酸、イソシアネート、ヒドロキシ、および無水物官能基は、全て、それぞれアクリル/メタクリル酸、イソシアナトエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、又は無水マレイン酸を使用して得ることができる。当該技術分野で周知のように、他の多くの官能性モノマーが官能基の導入に使用可能である。
【0013】
好ましい相溶性のある接着性ポリマーは、アミン官能性ポリマー、より好ましくはアミン官能性アクリルポリマーである。
【0014】
(顔料およびフィラー)
必要に応じて、製造中、フルオロポリマーコーティング組成物分散体に顔料およびフィラーを組み込むことにより、様々な色、不透明度、および/又は他の特性効果を達成することができる。顔料は、好ましくは、フルオロポリマー固体を基準にして約1〜約35重量%の量で使用される。使用され得る典型的な顔料としては、無機珪質顔料(例えば、シリカ顔料)などの透明顔料と従来の顔料の両方が挙げられる。使用され得る従来の顔料としては、二酸化チタンおよび酸化鉄などの金属酸化物;金属水酸化物;アルミニウムフレークなどの金属フレーク;クロム酸鉛などのクロム酸塩;スルフィド;硫酸塩;炭酸塩;炭酸塩;カーボンブラック;シリカ;タルク;陶土;フタロシアニンブルーおよびグリーン;オルガノレッド(organo reds);オルガノマルーン(organo maroons)並びに他の有機顔料および染料が挙げられる。処理中、高温で安定な顔料が好ましい。また、フルオロポリマーコーティングの望ましい特性、例えば、耐候性に対する著しい悪影響を防止するように顔料の種類と量を選択することも好ましい。
【0015】
顔料を、顔料が組み込まれるフルオロポリマー組成物と同じであっても又はそれと相溶性があってもよい分散樹脂と混合することによって、顔料をミルベースに配合することができる。サンドグラインド法、ボールミル法、アトライター粉砕法、又は2本ロールミル法などの従来の手段で顔料分散体を形成することができる。一般に必要でないか又は使用されないが、ガラス繊維およびミネラルフィラー、滑り防止剤、可塑剤、および核形成剤等の他の添加剤を組み込むことができる。
【0016】
(UV添加剤および熱安定剤)
フルオロポリマーコーティング組成物は、1つ又は複数の光安定剤を添加剤として含有してもよい。光安定剤添加剤としては、ヒドロキシベンゾフェノンおよびヒドロキシベンゾトリアゾールなどの紫外線を吸収する化合物が挙げられる。他の可能な光安定剤添加剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)および酸化防止剤が挙げられる。必要に応じて熱安定剤を使用することもできる。
【0017】
(バリア粒子)
好ましい実施形態では、フルオロポリマーコーティング組成物は、バリア粒子を含む。好ましくは、粒子は小板状の粒子である。このような粒子は、コーティングの塗布中に配向する傾向があり、水、溶媒および酸素などのガスは粒子自体を容易に透過できないため、得られるコーティング中に機械的バリアが形成され、それによって水、溶媒、およびガスの浸透が低減する。光起電性モジュールでは、例えば、バリア粒子はフルオロポリマーの防湿性を実質的に向上させ、太陽電池に提供される保護を強化する。使用される場合、バリア粒子は、好ましくは、コーティング中のフルオロポリマー組成物の総乾燥重量を基準にして約0.5〜約10重量%の量で存在する。
【0018】
典型的な小板状のフィラー粒子の例としては、マイカ、ガラスフレーク、およびステンレス鋼フレーク、およびアルミニウムフレークが挙げられる。小板状の粒子は、好ましくは、酸化鉄又は酸化チタンなどの酸化物層でコーティングされたマイカ粒子を含むマイカ粒子である。これらの粒子は、約10〜200μm、好ましくは20〜100μmの平均粒度を有し、約300μmを超える平均粒度を有するフレークの粒子は50%以下である。酸化物層でコーティングされたマイカ粒子は、米国特許公報(特許文献9)(クレンケ(Klenke)およびストラットン(Stratton));米国特許公報(特許文献10)(リントン(Linton));および米国特許公報(特許文献11)(リントン(Linton))に記載されている。これらの特許に記載されているマイカは、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、アンチモン、スズ、鉄、銅、ニッケル、コバルト、クロム、又はバナジウムの酸化物又は含水酸化物でコーティングされている。コーティングされたマイカの混合物を使用することもできる。
【0019】
(フルオロポリマーコーティング組成物配合物)
フルオロポリマーコーティング組成物は、フルオロポリマーをフルオロポリマーの溶液又は分散体の形態のどちらかで含有してもよい。フルオロポリマーの典型的な溶液又は分散体は、フィルム形成/乾燥プロセス中の泡の形成を回避するのに十分高い沸点を有する溶媒を使用して調製される。分散体の形態のポリマーでは、フルオロポリマーの凝集(coalescence)を助ける溶媒が好ましい。これらの溶液又は分散体中のポリマー濃度は、溶液の作業可能な粘度を達成するように調整され、特定のポリマー、組成物の他の構成成分、および使用されるプロセス装置および条件によって様々である。好ましくは、溶液では、フルオロポリマーは、組成物の総重量を基準にして約10重量%〜約25重量%の量で存在する。分散体では、フルオロポリマーは、好ましくは、組成物の総重量を基準にして約25重量%〜約50重量%の量で存在する。
【0020】
コーティング組成物中のポリマーの形態は、フルオロポリマーと使用される溶媒の種類に依存する。ホモポリマーPVFは、通常、分散体の形態である。ホモポリマーPVDFは、選択される溶媒に応じて分散体又は溶液の形態とすることができる。例えば、ホモポリマーPVDFは、室温で、ケトン、エステル、および幾つかのエーテルなどの多くの極性有機溶媒中で安定な溶液を形成することができる。好適な例としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、およびテトラヒドロフラン(THF)が挙げられる。コモノマー含有量および選択される溶媒に応じて、VFおよびVF2のコポリマーを分散体又は溶液の形態のどちらかで使用してもよい。
【0021】
ホモポリマーポリフッ化ビニル(PVF)を使用する本発明の1つの好ましい形態では、フルオロポリマーの分散体を使用して好適なコーティング配合物を調製する。分散体の性質および調製は、米国特許公報(特許文献12);米国特許公報(特許文献13);および米国特許公報(特許文献14)に詳細に記載されている。好ましいPVF分散体は、ジメチルアセトアミド、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、およびジメチルスルホキシド中で形成される。
【0022】
分散体の形態のフルオロポリマーコーティング組成物を調製するために、フルオロポリマーおよび相溶性のある接着性ポリマー、並びに、任意に1つ又は複数の分散剤および/又は顔料は、一般に、まず好適な溶媒中で一緒にミリングされる。或いは、様々な構成成分は、別々にミリングされるか又は適切に混合される。相溶性のある接着性ポリマーなどの溶媒に可溶性の構成成分は、ミリングを必要としない。
【0023】
分散体の調製に様々なミルを使用することができる。典型的には、ミルは、ボールミル、オハイオ州アクロン、ユニオンプロセス(Union Process,Akron,Ohio)から入手可能なアトライター(ATTRITOR)(登録商標)、又は、ペンシルバニア州エクストン、ネッチュ社(Netzsch,Inc.,Exton,Pennsylvania)から入手可能な「ネッチュ(Netzsch)」などの媒体攪拌ミルにおけるようなサンド、スチールショット、ガラスビーズ、セラミックショット、ジルコニア又はペブルなどの高密度の攪拌される粉砕媒体を使用する。PVFの解凝集を引き起こすのに十分な時間、分散体をミリングする。ネッチュ(Netzsch)ミル中の分散体の典型的な滞留時間は、30秒〜10分の範囲である。
【0024】
接着性ポリマーは、ポリマー基材フィルムへの所望の結合を提供するのに十分なレベルで、しかしフルオロポリマーの所望の特性が著しく悪影響を受けるレベル未満でコーティング組成物に使用される。好ましくは、コーティング組成物は、フルオロポリマーの重量を基準にして約1〜約40重量%の接着性ポリマー、より好ましくは約1〜約25重量%の接着性ポリマー、最も好ましくは1〜約20重量%の接着性ポリマーを含有する。
【0025】
(基材フィルムおよびプライマー)
本発明に使用されるポリマー基材フィルムは様々なポリマーから選択されてもよく、熱可塑性樹脂が好ましい。ポリマー基材フィルムは、相溶性のある接着性ポリマーと相互作用してフルオロポリマーコーティングの基材フィルムへの結合を促進する官能基をその表面に含む。ポリマー基材フィルムは、好ましくはポリエステルであり、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押出物からなる群から選択されるポリエステルである。
【0026】
また、フィラーは基材フィルム中に含まれてもよく、基材フィルム中にフィラーが存在すると基材の物理的特性が改善され得、例えば、弾性強度および引張強度が高くなり得る。それらはまたフルオロポリマーの基材フィルムへの接着性も改善し得る。例示的なフィラーの1つは硫酸バリウムであるが、他のものを使用してもよい。
【0027】
コーティングされるポリマー基材フィルムの表面は、本来、ポリエステルフィルム中のヒドロキシおよび/又はカルボン酸、又はポリアミドフィルム中のアミンおよび/又は酸官能基におけるような結合に好適な官能基を有してもよい。多くのポリマー基材フィルムは、活性化を必要とし得るか又は活性化によって更に有利になるが、これは表面処理によって達成されてもよい。即ち、表面にカルボン酸、スルホン酸、アジリジン、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシ、無水物および/又はこれらの混合物の官能基を形成することによって表面を受容性にすることができる。BFなどの気体状のルイス酸又は硫酸又は熱水酸化ナトリウムなどへの化学的暴露によって活性化を達成することができる。好ましくは、一面又は両面を直火にさらすと同時に反対側の面を冷却することによって表面を活性化することができる。また、フィルムにコロナ処理又は大気窒素プラズマ処理などの高周波スパーク放電を行うことによって、活性化を達成することもできる。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、プライマー層(primer layer)がポリマー基材フィルム上に堆積され、フルオロポリマーコーティング組成物中の相溶性のある接着性ポリマーと相互作用してフルオロポリマーコーティングの基材フィルムへの結合を促進する官能基を提供する。好適なプライマーとしては、ポリアミン、ポリアミド、アクリルアミドポリマー(とりわけ非晶質アクリルアミド)、ポリエチレンイミン、エチレンコポリマー又はターポリマー、酸変性されたポリオレフィン(例えば、マレイン酸化されたポリオレフィン)、アクリレート又はメタクリレートポリマー(例えば、乳化重合体)、ポリエステル(例えば、分散体)、ポリウレタン(例えば、分散体)、エポキシポリマー、エポキシアクリルオリゴマー、およびこれらの混合物が挙げられる。この一例は、ポリエチレンイミンプライマーコーティングの塗布によるアミン官能基の導入である。第2の例は、本願特許出願人によりバイネル(BYNEL)(登録商標)の商標で販売されているポリマーなどの酸又は無水物官能性熱可塑性ポリマーと、ベースのPET基材フィルムとの共押出である。例えば、製造中に延伸されるPET基材フィルム上にプライマーを使用するとき、基材フィルムの延伸前又は延伸後のどちらかにプライマーを塗布することができる。
【0029】
(コーティング塗布)
本発明によるフルオロポリマーコーティングされたフィルムを製造するためのフルオロポリマー組成物は、予備形成フィルムの形成を必要とすることなく、従来のコーティング手段で液体として直接、好適なポリマー基材フィルムに塗布することができる。このようなコーティングの製造方法としては、従来のキャスティング法、浸漬法、スプレー法、および塗装法が挙げられる。フルオロポリマーコーティングがフルオロポリマーを分散体の形態で含有するとき、それは、典型的には、スプレー、ロール、ナイフ、カーテン、グラビアコーター、又は、条痕若しくは他の欠陥のない均一なコーティングの塗布を可能にする他の任意の方法などの従来の手段を使用して、分散体を基材フィルム上にキャスティングすることによって塗付される。スプレーおよびローラ塗布は最も好都合な塗布方法である。キャスティングされた分散体の乾燥コーティング厚さは、好ましくは約2.5μm(0.1ミル)〜約250μm(10ミル)、好ましくは約13μm(0.5ミル)〜約130μm(5ミル)である。
【0030】
塗布後、湿潤溶液または分散体を乾燥させて溶媒を除去し、必要に応じて熱凝集させて基材フィルム上にフルオロポリマーコーティングを形成する。フルオロポリマーが溶液の形態である幾つかの組成物では、組成物を基材フィルム上にコーティングし、周囲温度で空気乾燥させることができる。凝集フィルムを作るために必要ではないが、コーティングをより迅速に乾燥させるために、一般に加熱することが望ましい。従って、乾燥温度は好ましくは約25℃(周囲条件)〜約200℃(オーブン温度−フィルム温度はこれより低い)の範囲である。使用される温度は、また、接着性ポリマー中の官能基とポリマー基材フィルムの官能基との相互作用を促進し、フルオロポリマーコーティングの基材フィルムへの確実な結合を提供するのに十分でなければならない。この温度は、使用される接着性ポリマーと基材フィルムの官能基によって様々であり、室温から、後述のような分散体の形態のフルオロポリマーの凝集に必要とされる温度を超えるオーブン温度までの範囲にわたり得る。
【0031】
組成物中のフルオロポリマーが分散体の形態であるとき、溶媒を除去し、また、フルオロポリマー粒子が凝集して連続フィルムになるのに十分高温にフルオロポリマーを加熱することも必要である。好ましくは、コーティング中のフルオロポリマーは、約150℃〜約250℃の温度に加熱される。使用される溶媒は、好ましくは、凝集を助ける、即ち、溶媒が存在しないときに必要とする温度よりも低い温度を使用して凝集させることを可能にする。従って、ポリマーを凝集させるのに使用される条件は、使用されるフルオロポリマー、キャスティングされる分散体の厚さおよび基材フィルム、並びに他の運転条件によって様々である。ホモポリマーPVFコーティングおよび約1〜約3分の滞留時間では、約340°F(171℃)〜約480°F(249℃)のオーブン温度を使用してフィルムを凝集させることができ、約380°F(193℃)〜約450°F(232℃)の温度が特に満足であることが分かった。オーブンの温度は、勿論、フルオロポリマーコーティングが到達する温度を表すのではなく、これはオーブンの温度よりも低い。
【0032】
本発明の好ましい形態では、フルオロポリマーコーティング組成物は基材フィルムに塗布される。好ましくは、基材フィルムは、前記相溶性のある接着性ポリマーと相互作用して結合を促進する官能基を提供するプライマー層を具備する。好ましくは、基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、又はポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押出物などのポリエステルである。本発明の別の好ましい形態では、フルオロポリマーコーティングは基材フィルムの両面に塗付される。これをポリマー基材フィルムの両面で同時に実施してもよく、又は、交互に、コーティングされた基材フィルムを乾燥させて、コーティングされていない側に裏返し、同じコーティングヘッドで再び処理してフィルムの反対側にコーティングを塗布し、フィルムの両面でコーティングを達成することができる。
【0033】
(光起電性モジュール)
本発明に従って製造された、フルオロポリマーコーティングされたフィルムは、光起電性モジュールにとりわけ有用である。光起電性モジュールの典型的な構成は、厚いガラス層をグレージング材として具備する。ガラスは、架橋されたエチレン酢酸ビニルなどの防湿性のプラスチック封止化合物中に埋設されている結晶シリコンウエハおよびワイヤを備える太陽電池を保護する。或いは、封止材料で両面が被覆されているキャリヤシート上のCIGS(銅−インジウム−ガリウム−セレン化物)、CTS(カドミウム−テルル−スルフィド)、a−Si(非晶質シリコン)、および他のものなどの様々な半導体材料からなる薄膜太陽電池が適用され得る。バックシートが封止剤に接着されている。本発明に従って製造されたフルオロポリマーコーティングされたフィルムは、このようなバックシートに有用である。フルオロポリマーコーティングは、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシ、無水物、およびこれらの混合物から選択される官能基を含有する相溶性のある接着性ポリマーとブレンドされた、フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー並びにフッ化ビニリデンポリマーのホモポリマーおよびコポリマーから選択されるフルオロポリマーを含む。ポリマー基材フィルムは、相溶性のある接着性ポリマーと相互作用してフルオロポリマーコーティングの基材フィルムへの結合を促進する官能基を表面に含む。ポリマー基材フィルムは、好ましくはポリエステルであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押出物からなる群から選択されるポリエステルである。ポリエステルは、電気絶縁性および防湿性を提供し、バックシートの経済的な構成成分である。好ましくは、ポリマー基材フィルムの両面がフルオロポリマーでコーティングされ、ポリエステルが2層のフルオロポリマーコーティングの間にあるサンドイッチを作り出す。フルオロポリマーフィルムは優れた強度、耐候性、耐紫外線性、および防湿性をバックシートに提供する。
【実施例】
【0034】
(試験方法)
(180度剥離強度)
2インチ/分でモデル4201インストロン(Model 4201 Instron)を使用し、ピーク値を記録し、3つのサンプルを平均して(ASTM D1876−01T−剥離試験)、剥離強度を測定する。剥離開始段階でサンプルが手で容易に剥離した場合、0の値を記録した。
【0035】
(湿潤剥離試験)
湿潤箱から取り出した後、サンプルにレーザーナイフと直定規で刻み目を付け、幅1/4インチの細片を作る。取手として1インチの突出部を使用し、フィルムが破壊するか又は剥離が起こるまでこのタブをおおよそ180度の角度でゆっくり均一な張力で引っ張る。EVA/ガラス又はEVA/フルオロポリマーコーティング界面のどちらかでのフィルムの破壊又は剥離は、結果が可であると考えられる。フルオロポリマーコーティングとPET基材の間の剥離は不可と考えられる。
【0036】
(クロスハッチ接着性)
湿潤箱から取り出した後、ステンレス鋼製テンプレートを補助として用いてサンプルにレーザーナイフで刻み目を付け、フィルムを貫通してガラス表面に達する約3/32インチ(2.4mm)離間した11本の平行な切り目を作る。第1の切り目に対して直角でこの手順を繰り返し、100個の正方形の格子を作る。透明テープ(3Mブランドの467番のPSAテープ)の細片、0.75×2.16インチ(1.9×5.5cm)を、テープが刻まれた線に対して平行な方向に配置された状態で、線が刻まれた領域上にしっかりと押し付けた。次いで、テープを90°の角度で迅速に、しかし急に動かすことなく引っ張る。フルオロポリマーコーティングとPET基材の間にどのような破壊があっても、不可と考えられる。
【0037】
(水蒸気透過度(WVTR))
モコン・パーマトロン(Mocon Permatron)−W(登録商標)700インンスツルメント(Instrument)を37.8℃、および浸透(permiant)相対湿度100%で使用して測定する。
【0038】
(実施例1〜5)
実施例1〜5は、ポリエチレンイミン(PEI)又はエチレンアクリル酸コポリマー(EAA)のどちらかで予め下塗りされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをコーティングするのに使用されているアミン官能性アクリル接着剤又はエポキシ官能性アクリル接着剤を含有するPVFベースのコーティングの結合を示す。結果から、一般に接着性ポリマーが多いほうが良好であることが分かる。結果から、接着性ポリマーが含まれていない場合、有効な結合は達成されないことが分かる。
【0039】
(PVFベースのコーティング配合物)
【0040】
【表1】

【0041】
(PET+プライマー基材)
【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
(手順)
1.表1の成分を組み合わせ、ペイントシェーカーで15分攪拌して混合する。
2.12ミルのドローダウンナイフを使用して表2および表3の4ミルのPETウェブのそれぞれに表1の混合物のドローダウンを調製し、約1.2ミルの乾燥フルオロポリマーコーティングを作る。
3.剥離試験を容易にすることを助けるため、純粋なPVF分散体の高粘稠ビーズ(炭酸プロピレン中42%)を湿潤ドローダウンの1つの縁部に沿って塗布する。
4.コーティングされたウェブを金属フレームの中に固定し、3分間、200℃又は220℃のどちらかに予備加熱されたオーブンに入れる。
5.凝集し乾燥したフィルムをオーブンから取り出し、冷却する。
6.1インチの細片を高粘稠なPVFビーズに対して垂直に切断して作る。
7.小刀を使用してPVFビーズのところで剥離を開始する。
8.2インチ/分でモデル4201インストロン(Model 4201 Instron)を使用し、ピーク値を記録し、3つのサンプルを平均して(ASTM D1876−01T−剥離試験)、剥離強度を測定する。剥離開始段階でサンプルが手で容易に剥離した場合、0の値を記録した。
【0045】
【表4】

【0046】
(湿潤試験)
(サンプル調製)
工程3の縁部のビーズを省いたこと以外、フルオロポリマーコーティングされたPET基材を実施例1〜5のものと同様に調製する。サンプルをオーブンから取り出し、冷却した後、手持ち式の実験用コロナ処理機を使用してフルオロポリマーコーティング面をコロナ処理する。次いで、以下の手順を使用し、コロナ処理されたサンプルをガラス板(4インチ×8インチ×1/8インチ)に積層した。
【0047】
1インチのフルオロポリマーコーティングされたPET突出部を有するように、次のサンドイッチを真空プレート上に配置する:
―――― フルオロポリマーコーティング面を下にしたフルオロポリマーコーティングされたPET
−−−− 反応性EVAフィルム
‐‐‐‐ ガラス板
1.サンドイッチを中心に配置し、シリコーンゴムパッドで覆う。
2.ゴムパッド上に金属フレームを配置し、20分間真空に引く。
3.サンドイッチ+真空プレートを室温のオーブンに入れ、150℃の目標まで加熱を始める。
4.サンプルを150℃で20分間保持する。
5.サンプルをオーブンから取り出し、真空を解除し、冷却する。
6.85℃/湿度85%に制御された湿潤箱内のペイントサンプルラックに、得られたラミネートを入れる。
7.サンプルを湿潤箱に1000時間曝した後、剥離試験とクロスハッチテープ試験の両方を使用して接着性を調べる。
【0048】
(実施例6〜9)
実施例6〜9は、ポリアリルアミンプライマーで下塗りされたPETフィルムをコーティングするのに使用されているアミン官能性アクリル接着剤を含有するPVFコーティング組成物を示す。
【0049】
(実施例6)
実施例6は、ポリアリルアミンプライマーで下塗りされた、顔料を含まないPETフィルム、および顔料を含むPETフィルムの両面への白色PVFコーティングの塗布を示す。
【0050】
白色PVFコーティング配合物を次の表5の処方から調製する。表5に列挙されている熱安定剤溶液は、イルガノックス(Irganox)(登録商標)1035(チバ(Ciba)4.0重量%、ウエストン(Weston)(登録商標)THOP(クロンプトン(Crompton))1重量%、および炭酸プロピレン95重量%から調製される。トルエンおよびイソプロパノールの溶媒中で、メチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート(98/2)をアンモニアと後反応させ、グリシジル基を2−ヒドロキシ−3−アミノプロピル基に転換し、一級アミン官能性アクリルポリマーを生成することによって、表5に列挙されているアミン官能性アクリルポリマー溶液を調製する。
【0051】
【表5】

【0052】
ドクターブレードを使用して、ポリアリルアミンプライマーで下塗りされた顔料を含まない2ミルのPETフィルム上に、およびポリアリルアミンプライマーで下塗りされた硫酸バリウム顔料を含む幅3.8ミルのPETフィルム上に、白色PVFコーティング配合物をコーティングする。コーティングを200℃に予備加熱されたオーブンで10分間焼成する。次いで、冷却されたコーティングフィルムの反対側を同じPVF配合物でコーティングし、200℃で15分間焼成する。表6は、顔料を含むPETフィルム又は顔料を含まないPETフィルム上のコーティングについて得られた乾燥フィルム厚さの範囲を示す。
【0053】
【表6】

【0054】
(実施例7)
実施例7は、ポリアリルアミンプライマーで下塗りされた顔料を含まないPETフィルムおよび顔料を含むPETフィルムの両面への、マイカの真珠光沢バリア粒子を含有するPVFコーティングの塗布を示す。
【0055】
次の表7の処方から真珠光沢PVFコーティング配合物を調製する:
【0056】
【表7】

【0057】
ドクターブレードを使用して、ポリアリルアミンプライマーで下塗りされた顔料を含まない幅2ミルのPETフィルム上に、およびポリアリルアミンプライマーで下塗りされた硫酸バリウム顔料を含む幅3.8ミルのPETフィルム上に、真珠光沢PVFコーティング配合物をコーティングする。これらのコーティングを200℃に予備加熱されたオーブン中で10分間焼成する。次いで、冷却されたコーティングフィルムの反対側を同じPVF配合物でコーティングし、200℃で15分間焼成する。表8は、得られた乾燥コーティング厚さの範囲を示す。
【0058】
【表8】

【0059】
(実施例8)
実施例8では、それぞれ白色顔料を含むフルオロポリマーコーティングおよびマイカ顔料を含むフルオロポリマーコーティングを有する実施例6(サンプル7)および実施例7(サンプル2)の両面コーティングされたPETフィルムの防湿性を、水蒸気透過度(WVTR)を測定することによって評価する。より低いWVTR値によって示されるように、マイカなどのバリア粒子を使用すると防湿性が改善されることが表9から分かる。
【0060】
【表9】

【0061】
(実施例9)
実施例9では、実施例6(サンプル1)により製造された白色の両面コーティングされたPETサンプルの収縮性を、両面に従来の予備形成PVFフィルムが積層されたPETフィルムのサンプルと比較する。前者はPET基材中にフィラー(硫酸バリウム)を含有し、後者は含有しなかった。表10は、様々な温度で測定された収縮データを示す。
【0062】
【表10】

【0063】
(実施例10)
実施例10は、ポリアリルアミンプライマーで下塗りされた顔料を含まないPETフィルム又は顔料を含むPETフィルムの一面への、白色顔料を含むポリビニリデン(PVDF)コーティングおよび顔料を含まないポリビニリデン(PVDF)コーティングの塗布を示す。
【0064】
表11に示す次の構成成分から、顔料を含まないPVDFコーティング配合物を調製する。
【0065】
【表11】

【0066】
混合物を3mmのガラスビーズの存在下、10分間ペイントシェーカーで分散させる。
【0067】
表12に示す次の構成成分から、白色顔料を含むコーティング配合物を調製する。
【0068】
【表12】

【0069】
7ミルのドクターブレードを使用してポリアリルアミンプライマーで下塗りされた顔料を含まない2ミルのPETフィルム、および顔料を含む3.8ミルのPETフィルム上に、7ミルのドクターブレードを使用して透明PVDF配合物と白色PVFD配合物の両方をコーティングする。比較の顔料を含む3.8ミルのPETも同様にコーティングする。コーティングされたフィルムを予備加熱された400°Fの対流オーブンで5分間焼成した。冷却後、小刀を使用してPVFフィルムをPETフィルムから取り外すことを試みた。顔料を含むフィルムと顔料を含まないフィルムは両方とも、下塗りされていないPETから剥離させることができたが、下塗りされたPETから剥離させることはできなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー基材フィルム、および
前記ポリマー基材フィルム上のフルオロポリマーコーティングであって、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、無水物、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシ、無水物、およびこれらの混合物から選択される官能基を含む相溶性のある接着性ポリマーとブレンドされた、フッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー並びにフッ化ビニリデンポリマーのホモポリマーおよびコポリマーから選択されるフルオロポリマーを含むフルオロポリマーコーティング、
を含み、
前記ポリマー基材フィルムが、前記相溶性のある接着性ポリマーと相互作用して前記フルオロポリマーコーティングの前記基材フィルムへの結合を促進する官能基を表面に含むことを特徴とする、フルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項2】
前記ポリマー基材フィルムが、前記接着剤と相互作用して前記フルオロポリマーコーティングの前記基材フィルムへの結合を促進する前記官能基を提供するプライマー層を表面に含むことを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項3】
前記ポリマー基材フィルムの表面の前記官能基が、カルボン酸、スルホン酸、アジリジン、アミン、イソシアネート、メラミン、エポキシ、ヒドロキシ、無水物、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項4】
前記相溶性のある接着性ポリマーが官能性アクリルポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項5】
前記相溶性のある接着促進ポリマーがアミン官能性アクリルポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項6】
前記フルオロポリマーが、少なくとも60モル%のフッ化ビニルを含むフッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、並びに、少なくとも60モル%のフッ化ビニリデンを含むフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項7】
前記フルオロポリマーが、少なくとも80モル%のフッ化ビニルを含むフッ化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、並びに、少なくとも80モル%のフッ化ビニリデンを含むフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項8】
前記フルオロポリマーコーティングが、フルオロポリマーの固形分を基準にして前記相溶性のある接着性ポリマーを約1〜約40重量%含むことを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項9】
前記フルオロポリマーコーティングが更に顔料を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項10】
前記フルオロポリマーコーティングが更にフルオロポリマーの固形分を基準にして顔料を約1〜約35重量%含むことを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項11】
前記フルオロポリマーコーティングが前記基材フィルムの両面にあることを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項12】
前記基材フィルムがポリエステルを含むことを特徴とする、請求項2に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項13】
前記プライマーが、ポリアリルアミン/メラミンポリマー、ポリエチレンイミンポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、および酸変性されたポリオレフィンから選択されるポリマーを含むことを特徴とする、請求項9に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項14】
前記フルオロポリマーコーティングが約0.1〜約2.0ミルの厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項15】
前記基材フィルムが約0.5〜約10ミルの厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項16】
前記プライマー層が約20〜約100nmの厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項17】
前記基材フィルムの表面が活性化されていることを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項18】
前記基材フィルムがフィラーを含むことを特徴とする、請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルム。
【請求項19】
請求項1に記載のフルオロポリマーコーティングされたフィルムをバックシートとして含むことを特徴とする光起電性モジュール。

【公表番号】特表2009−522414(P2009−522414A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548775(P2008−548775)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/049624
【国際公開番号】WO2007/079246
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】