説明

光通信モジュール及び光通信装置

【課題】光通信において光結合後の光を検出する。
【解決手段】光を出射する発光素子102と、前記発光素子102からの光が入射される光伝送媒体108と、前記光伝送媒体108に設けられ、前記発光素子102からの前記光伝送媒体108に出射されて前記光伝送媒体中108を伝搬される光の一部を分岐する分岐部112と、前記分岐部112によって分岐された前記発光素子102からの光を受光する第1受光素子110と、を備える光通信モジュールとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信モジュール及び光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信モジュールは、屋内・屋外問わずさまざまな環境で使用されている。光通信モジュールは、光信号を安定して出力することが求められる。光通信モジュールによる光信号の出力は、温度変化や振動などの使用環境に影響を受けやすい。そのため、光通信モジュールにおける光出力レベルの変動を抑制することが求められる。
【0003】
図1は、従来の光通信モジュールの例(1)を示す図である。図1は、光通信モジュール2100の光軸に平行な断面構造の例である。図1の光通信モジュール2100は、送信側の構成を例示している。図1の光通信モジュール2100は、LD−CHIP(Laser Diode Chip)2102、レンズ2104、フェルール2106、光ファイバ2108、M−PD(Monitor Photo Diode)2110を含む。光ファイバ2108は、フェルール
2106を介して、筐体に保持される。ここでは、LD−CHIP2102からレンズ2104側に出射される光をフロント光(フロント側の光)、M−PD2110側に出射される光をバック光(バック側の光)という。図1において、LD−CHIP2102に対してレンズ2104や光ファイバ2108等が存在する側をフロント側という。図1において、LD−CHIP2102に対してM-PD2110が存在する側をバック側という
。LD−CHIP2102からレンズ2104側に出射されるフロント光は、レンズ2104、光ファイバ2108等を介して、光通信モジュール2100から出力される。光通信モジュール2100から出力された光は、受信側の装置によって受光される。
【0004】
LD−CHIP2102は、発光素子である。LD−CHIP2102から出射された光(フロント光)は、レンズ2104によって集光され、フェルール2106内の光ファイバ2108に光結合される。光ファイバ2108に光結合された光は、光ファイバ2108を介して出力される。
【0005】
また、M−PD2110は、受光素子である。M−PD2110は、LD−CHIP2102のバック光をモニタリングする。LD−CHIP2102の光出力レベルは、M−PD2110が受光したバック光の強度に基づいて、APC(Auto Power Control)回路によって、一定の光出力レベルを維持するように制御される。バック光によるAPC制御は、LD−CHIP2102自体の光出力の変動を抑制し得る。
【0006】
図2は、従来の光通信モジュールの例(2)を示す図である。図2は、光通信モジュール2200の光軸に平行な断面構造の例である。図2の光通信モジュール2200は、送信側の構成及び受信側の構成を例示している。光通信モジュール2200は、LD−CHIP2202、第1レンズ2204、フェルール2206、光ファイバ2208、M−PD2210、第1フィルタ2212、第2フィルタ2222、第2レンズ2224、PD(Photo Diode)2226を含む。
【0007】
LD−CHIP2202から出射された光(フロント光)は、図1の例と同様に、光ファイバを介して出力される。また、LD−CHIP2202の光出力レベルは、図1の例と同様に、M−PD2210が受光したバック光の強度に基づいて、APC回路によって、一定の光出力レベルを維持するように制御される。
【0008】
さらに、外部から光ファイバ2208を通って入力される光は、第1フィルタ2212
によって反射される。反射された光から第2フィルタ2222によって所定の波長の光が選択される。さらに、第2フィルタ2222を通過した光は、第2レンズ2224によって集光され、PD2226によって受光される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−239079号公報
【特許文献2】特開2004−294513号公報
【特許文献3】特開2002−252418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
光通信モジュール2100のLD−CHIP2102のフロント側の光学系は、フェルール2106等の温度変化によって光結合特性が変化するトラッキングエラーや外部応力(振動、衝撃等)による光学変動等を生じ得る。LD−CHIP2102のフロント側の光学変動等は、光通信モジュール2100から出力される光に影響を及ぼすが、バック側の光に影響をほとんど及ぼさない。また、LD−CHIP2102の特性や不具合等によって、LD−CHIP2102のフロント側の光の光出力レベルが、LD−CHIP2102のバック側の光の光出力レベルに依存しないことがある。よって、光通信モジュール2100から出力される光の強度は、LD−CHIP2102のバック側の光の強度に依存しないことがある。従って、光通信モジュール2100は、LD−CHIP2102のバック側の光を使用してAPC制御をしても、光出力レベルを安定させられないことがある。これは、光通信モジュール2200についても同様である。フロント側の光に影響を及ぼすものとして、例えば、各部品の熱膨張、熱収縮、振動、衝撃、レンズの振動、ファイバの振動などが挙げられる。
【0011】
本件開示の技術は、光通信において光結合後の光を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
開示の技術は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
【0013】
即ち、開示の一態様は、
光を出射する発光素子と、
前記発光素子からの光が入射される光伝送媒体と、
前記光伝送媒体に設けられ、前記発光素子からの前記光伝送媒体に出射されて前記光伝送媒体中を伝搬される光の一部を分岐する分岐部と、
前記分岐部によって分岐された前記発光素子からの光を受光する第1受光素子と、
を備える光通信モジュールである。
【発明の効果】
【0014】
開示の技術によれば、光通信において光結合後の光を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、従来の光通信モジュールの例(1)を示す図である。
【図2】図2は、従来の光通信モジュールの例(2)を示す図である。
【図3】図3は、光通信モジュール(1)の光軸に平行な断面構造の例を示す図である。
【図4】図4は、波長分離多層膜平板ガラスの例を示す図である。
【図5】図5は、フィルタの特性の例を示す図である。
【図6】図6は、フェルールの組み立ての例(1−1)を示す図である。
【図7】図7は、フェルールの組み立ての例(1−2)を示す図である。
【図8】図8は、フェルールの組み立ての例(1−3)を示す図である。
【図9】図9は、フェルールの組み立ての例(1−4)を示す図である。
【図10】図10は、LD−CHIP、M−PD及びAPC回路の例を示す図である。
【図11】図11は、光通信モジュール(2)の光軸に平行な断面構造の例を示す図である。
【図12】図12は、透明フェルールの遮光構造の例(1)を示す図である。
【図13】図13は、透明フェルールの遮光構造の例(2)を示す図である。
【図14】図14は、透明フェルールの遮光構造の例(3)を示す図である。
【図15】図15は、光通信モジュール(3)の光軸に平行な断面構造の例を示す図である。
【図16】図16は、光通信モジュール(4)の光軸に平行な断面構造の例を示す図である。
【図17】図17は、フェルールの組み立ての例(2−1)を示す図である。
【図18】図18は、フェルールの組み立ての例(2−2)を示す図である。
【図19】図19は、フェルールの組み立ての例(2−3)を示す図である。
【図20】図20は、フェルールの組み立ての例(2−4)を示す図である。
【図21】図21は、フェルールの組み立ての例(2−5)を示す図である。
【図22】図22は、光通信モジュール(5)の光軸に平行な断面構造の例を示す図である。
【図23】図23は、光通信モジュール(6)の光軸に平行な断面構造の例を示す図である。
【図24】図24は、光通信モジュール(7)の光軸に平行な断面構造の例を示す図である。
【図25】図25は、光通信モジュール(8)の光軸に平行な断面構造の例を示す図である。
【図26】図26は、光通信装置の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、開示の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。開示の構成の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0017】
〔実施形態1〕
実施形態1の光通信モジュールは、光ファイバに入射したLD−CHIPのフロント側の光の一部を、光ファイバ内に設置したフィルタで反射させ、M−PDで受光する。光通信モジュールは、M−PDで受光した光の強度に基づいて、LD−CHIPの出力を制御する。光通信モジュールは、例えば、光通信装置に組み込まれ、電気信号を光信号に変換し、光信号を送信する。また、光通信モジュールは、他のフェルール等を介して光伝送路(光ファイバ等)に接続され、受信側の他の装置に光信号を送信できる。
【0018】
(構成例)
図3は、光通信モジュールの光軸に平行な断面構造の例を示す図である。光通信モジュール100は、光信号を送信する。図3の光通信モジュール100は、LD−CHIP(Laser Diode Chip)102、レンズ104、フェルール106、光ファイバ108、M−PD(Monitor Photo Diode)110、フィルタ112、APC(Automatic Power Control)回路130を含む。光ファイバ108は、フェルール106、スリーブ114を介して、光通信モジュール100の筐体116に保持される。
【0019】
LD−CHIP102は、発光素子である。LD−CHIP102は、入力された電流の電流値に依存した強度の光を出射する。LD−CHIP102に入力される電流の電流値は、APC回路130によって制御される。APC回路130は、制御部として動作しうる。ここでは、発光素子としてLD−CHIPが使用されるが、他の発光素子が使用されてもよい。LD−CHIP102から出射される光の波長は、例えば、1310nmである。LD−CHIP102は、入力される電気信号に基づく強度の光信号を出力する。
【0020】
レンズ104は、LD−CHIP102からの光を、光ファイバ108の端部に集光し、光結合させる。レンズ104の例として、球面レンズ、非球面レンズ、ボールレンズ等が、挙げられる。レンズ104は、これらに限定されるものではない。レンズ104の光軸は、例えば、光ファイバ108の中心軸と同軸になるように配置される。
【0021】
フェルール106は、光通信モジュール100内で光ファイバ108を固定する。フェルール106には、膨張係数が少ない材料が使用される。フェルール106の材料として、例えば、ジルコニアセラミックス、樹脂、金属などの不透明な材料が使用されうる。フェルール106は、例えば、直径2.5mm、長さ10mmの円柱状である。フェルール106の材料や形状は、これらに限定されるものではない。フェルール106が他のフェルール等と接触して接続されることにより、フェルール106内の光ファイバ108と光伝送路(光ファイバ等)とが接続され得る。
【0022】
フェルール106には、円柱の円の中心部を貫通する穴が開けられ、光ファイバ108が通される。さらに、フェルール106には、フィルタ112が埋め込まれる。フィルタ112は、光ファイバ108を切断するように埋め込まれる。また、フェルール106には、フィルタ112で反射した光を取り出すための穴が開けられる。フィルタ112で反射した光を取り出すための穴の直径は、例えば、1.0mmである。
【0023】
フェルール106は、スリーブ114に圧入される。フェルール106が圧入されたスリーブ114は、筐体116内に固定される。スリーブ114と筐体116とは、例えば、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)溶接されて固定される。
【0024】
光ファイバ108は、光伝送媒体である。光ファイバ108は、LD−CHIP102側の端部で光結合され、入射された光を他方の端部の方向に向けて伝搬する。光ファイバ108は、フェルール106によって、固定される。光ファイバ108の直径は、0.125mmである。光ファイバとして、シングルモードファイバ(SMF)、マルチモードファイバ(MMF)が使用されうる。ここでは、光伝送媒体として光ファイバが使用されるが、光ファイバ以外の光伝送媒体が使用されてもよい。
【0025】
M−PD110は、モニタ用の受光素子である。M−PD110は、主として、LD−CHIP102から出射され、フィルタ112で反射された光を受光する。M−PD110は、受光した光を、受光した光の強度に依存した電気信号(電流)に変換する。M−PD110は、APC回路130に接続される。ここでは、モニタ用の受光素子としてPD(Photo Diode)が使用されるが、PDの代わりに他の受光素子が使用されてもよい。M
−PD110の前に集光用のレンズが設けられてもよい。
【0026】
フィルタ112は、光ファイバ108に入射された光の一部を反射する。フィルタ112は、光ファイバ108を切断するように挿入される。したがって、フィルタ112は、LD−CHIP102から出射され、光ファイバ108を通じて受信側に伝送される光信号の一部を分岐する。フィルタ112の大きさは、切断する光ファイバ108の断面より大きい。フィルタの厚さは、例えば、0.1mmから0.5mm程度である。フィルタ112は、分岐部の一例である。
【0027】
フィルタ112は、所定の波長の範囲の光のほとんどを透過し、所定の波長の範囲の光の一部を反射する。フィルタ112として、例えば、波長分離多層膜付平板ガラスが用いられる。フィルタ112は、波長分離多層膜付平板ガラスに限定されない。
【0028】
図4は、波長分離多層膜平板ガラスの例を示す図である。波長分離多層膜付平板ガラスは、SiO2(低屈折率材料)と、TiO2又はTa2O5(高屈折率材料)等とによる多層膜と、平板ガラスとを含む。
【0029】
図5は、フィルタの特性の例を示す図である。図5のグラフでは、横軸が光の波長であり、縦軸が透過損失である。図5のグラフで示される特性を有するフィルタは、波長1310nm付近の光のほとんどを透過し、波長1490nm付近の光のほとんどを反射する。また、図5のグラフで示される特性を有するフィルタは、波長1310nm付近の光を所定の割合で反射する。図5の例では、透過する光の強度は1310nmで0.3dB低下し、1490nmで30dB低下する。
【0030】
ここで、フィルタ112として図5のグラフで示される特性を有するフィルタが使用されるとする。さらに、LD−CHIP102から出力される光の波長が1310nmであるとする。このとき、LD−CHIP102から光ファイバ108に入射された光のうち、ほとんどの光がフィルタ112を透過し、一部の光がフィルタ112で反射して、M−PD110に入射される。
【0031】
フィルタ112の反射面またはM−PD110を受光するためにフェルール106にあけられる縦穴と、フェルール106の中心軸とのなす角は、M−PD110が光ファイバからの光を安定して受光できれば、それぞれ、どのような角度であってもよい。
【0032】
(フェルールの組み立ての例)
図6から図9は、フェルール106の組み立ての例を示す図である。フェルール106には、光ファイバ108及びフィルタ112が組み込まれる。図6(A)は、フェルール106等の斜視図である。図6(A)のフェルール106の手前が、LD−CHIP102からの光が入射される端面側である。図6(B)は、図6(A)の線分a1−a´1及び線分b1−b´1を含む平面でのフェルール106等の断面図である。図6(C)は、図6(B)の線分c1−c´1を含み、図6(B)の断面と直角に交わる平面でのフェルール106等の断面である。他の同様の図(図7等)においても同様である。
【0033】
図6(A)のように、ジルコニアセラミックス等のフェルールの材料が、円柱状に成形される。円柱の円形の平面の一方を下面とし、他方を上面とする。図6(B)の右側を下面側とし、左側を上面側とする。フェルール106の上面側は、光通信モジュール100において、LD-CHIP102側に設置される。また、円柱の曲面を側面とする。下面
の中心から上面の中心までを結ぶ線分含む直線を、中心軸とする。
【0034】
図6のように、円柱の中心軸に光ファイバを通す穴(貫通穴、横穴)があけられる。穴の形状は円形であり、穴の中心は中心軸である。使用する光ファイバの直径が125μmである場合、穴の直径は125μmか、125μmよりも若干大きいものとする。例えば、穴の直径は、125.5μmである。光ファイバの断面が円形でない場合、光ファイバの断面に合わせた形状の横穴があけられてもよい。
【0035】
さらに、図6のように、フェルール106の側面から光ファイバを通す穴に達するまで、縦穴があけられる。即ち、光ファイバ108の側面から中心軸まで穴があけられる。あけられた縦穴から光ファイバ108に入射された光の一部が取り出される。あけられた縦
穴と中心軸とのなす角は、例えば、90度である。縦穴は、円柱状であっても、中心軸付近を頂点とする円錐状であってもよい。
【0036】
次に、図7のように、接着剤が充填された貫通穴(横穴)に、光ファイバ108が挿入される。また、接着剤が塗布された光ファイバ108が貫通穴に挿入されてもよい。光ファイバ108は、接着剤が硬化することにより、フェルール106に固定される。光ファイバ108は、フェルール106の下面から上面まで挿入される。フェルール106及び光ファイバ108の端面(上面及び下面)は、研磨される。光ファイバ108が研磨されることで、光が光ファイバ108に入射し易くなる。
【0037】
次に、図8のように、フィルタ112を挿入するスリットが、フェルール106の側面からあけられる。スリットと中心軸とのなす角は、例えば、45度である。スリットは、フィルタ112の大きさに合わせられる。スリットは、中心軸と縦穴との接続部分に向けてあけられる。フィルタ112を挿入するスリットは、例えば、ダイシングの技術で加工される。このとき、光ファイバは、切断される。
【0038】
次に、図9のように、スリットにフィルタ112が挿入される。フィルタ112は、例えば、接着剤により硬化される。フィルタ112のサイズ及びスリットのサイズが小さいほど、フィルタ112とフェルール106との間の摩擦抵抗が小さくなり、フィルタ112が挿入されやすくなる。
【0039】
縦穴には、透明の樹脂が充填されてもよい。このとき、透明の樹脂として、光ファイバのクラッド部分の屈折率と同じ屈折率を有する樹脂が使用されることが好ましい。また、光ファイバの硬化の際に、透明な接着剤を使用して縦穴を充填し、光ファイバの固定と同時に硬化させてもよい。
【0040】
(APC回路)
図10は、LD−CHIP、M−PD及びAPC回路の例を示す図である。APC回路130は、図10の例に限定されない。APC回路130には、LD−CHIP102及びM−PD110が接続される。APC回路130は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC; Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されうる。
【0041】
APC回路130は、M−PD110で受光した光の強度に基づいて、LD−CHIP102に印加される電力を制御する。APC回路130は、M−PD110で受光される光の強度が一定に保持されるように、LD−CHIP102に印加される電力を制御する。
【0042】
M−PD110には、逆バイアスがかけられている。M−PD110に光が入射すると、電流が流れる。即ち、M−PD110がフィルタ112からの反射光を受光すると、光は電気信号(電流)に変換される。M−PD110で変換された電気信号は、基準電圧及びアンプ(Amp)により増幅されて、フィードバックループ制御回路に入力される。図1
0のAPC回路の基準電圧及びアンプの構成の構成は、図10のような構成に限定されず、M−PD110で変換された電気信号、即ち、抵抗Rの両端の電圧が増幅されればどのような構成でもよい。また、M−PD110で変換された電気信号に対する増幅は、フィードバックループ制御回路内で行われてもよい。電流は、電圧に変換されてもよい。
【0043】
フィードバックループ制御回路は、入力された信号の大きさ、即ち、M−PD110で受光した光の強度が目標値となるように、LD−CHIP102のバイアス電流を制御する。フィードバックループ制御回路は、入力された信号の大きさと信号の所定の基準値(
目標値)とを比較して、LD−CHIP102のバイアス電流を調整する。
【0044】
例えば、フィードバックループ制御回路は、M−PD110で受光した光の強度が光の強度の基準値の2分の1である場合、LD−CHIP102に供給される電流が2倍になるように、バイアス電流を調整する。これにより、LD−CHIP102から出射される光の強度が2倍になり、M−PD110で受光される光の強度が基準値と同程度になることが期待される。
【0045】
(実施形態1の作用効果)
光通信モジュール100は、LD−CHIP102から光(光信号)を出射する。LD−CHIP102から出射された光は、レンズ104を介して、フェルール106内の光ファイバ108の端部で、光結合される。光結合された光は、光ファイバ108内を伝播し、フィルタ112を透過する。フィルタ112を透過した光は、光通信モジュール100から出力される。また、光結合された光のうち一部の光は、フィルタ112で反射され、M−PD110で受光される。M−PD110は、LD−CHIP102から出射され光ファイバに入射しフィルタ112で反射された光を受光する。よって、光通信モジュール100から出力される光の強度は、M-PD110で受光される光の強度に依存する。
M−PD110で受光された光は、光の強度に依存した電気信号に変換される。APC回路130は、M−PD110で受光された光の強度に応じて、LD−CHIP102に供給する電流値を制御する。APC回路130は、M−PD110で受光される光の強度が一定になるように、LD−CHIP102から出射する光の強度を制御する。光通信モジュール100は、光結合後の光ファイバ108を伝搬する光の強度に基づいて、LD−CHIP102から出射する光の強度を調整できる。
【0046】
フィルタ112は所定の割合で光を反射するので、M−PD110で受光される光の強度が一定になることで、光通信モジュール100から出力される光の強度が安定する。
【0047】
光通信モジュール100は、LD−CHIP102のフロント側で生じる、各部品の熱膨張、熱収縮、振動、衝撃、レンズの振動、ファイバの振動などの影響を、打ち消すように、LD−CHIP102から出射される光の強度を制御する。
【0048】
光通信モジュール100によれば、フロント側で発生する光学変動(温度変化、外部応力)に対し、安定した光出力レベルを保つことが可能となる。光通信モジュール100は、例えば、フェルールが振動して光ファイバ108に入射する光の強度が変化した場合、フィルタ112で反射されるフロント側の光を受光することにより、当該光の強度の変化を反映してLD−CHIP102の出力を制御できる。光通信モジュール100は、フロント側の光学変動による影響をフィードバックし、LD−CHIP102の出力を制御できる。
【0049】
光通信モジュール100は、フロント側における温度変化や光学変動等の影響を受けた光を出力する。また、M−PD110は、同様に、フロント側における温度変化や光学変動等の影響を受けた光を受光する。APC回路130は、M−PD110で受光した光の強度に基づいて、LD−CHIP102から出射する光の強度を制御する。APC回路130がM−PD110で受光される光の強度が一定になるように制御することで、光通信モジュール100は、フロント側における温度変化や光学変動等の影響を受けても、安定した光出力をできる。
【0050】
〔実施形態2〕
次に実施形態2について説明する。実施形態2は、実施形態1との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0051】
実施形態2では、フェエールとして、透明の材料が使用される。
【0052】
(構成例)
図11は、光通信モジュールの光軸に平行な断面構造の例を示す図である。光通信モジュール200は、光信号を送信する。図11の光通信モジュール200は、LD−CHIP202、レンズ204、フェルール206、光ファイバ208、M−PD210、フィルタ212、APC回路230を含む。光ファイバ208は、フェルール206及びスリーブ214を介して、光通信モジュール200の筐体216に保持される。
【0053】
フェルール206は、透明材料が使用された透明フェルールである。フェルール206の材料として、例えば、透明な樹脂、ガラスなどの透明な材料が使用される。透明な材料とは、少なくとも光ファイバを使用した光通信で用いられる波長の帯域の光を透過する材料をいう。実施形態1のフェルール106では、フィルタで反射した光を取り出すための穴(縦穴)があけられたが、本実施形態のフェルール206では、縦穴をあけなくてもよい。透明な材料が使用されるため、光通信モジュール200は、縦穴をあけなくてもフィルタ212で反射された光をM−PD210で受光できるからである。よって、フェルール206の制作は、容易になる。フェルール206の外形は、フェルール106の外形と、縦穴部分を除いて、同様である。
【0054】
フェルール206において、図6(A)等のフェルール106と同様に、円柱の円形の平面の一方を下面とし、他方を上面とする。フェルール206の上面側は、光通信モジュール200において、LD-CHIP202側に設置される。また、円柱の曲面を側面と
する。下面の中心から上面の中心までを結ぶ線分含む直線を、中心軸とする。フェルール206の上面付近を端部ともいう。
【0055】
フェルール206の上面側から光が入ると、この光は、光ファイバ108内を伝搬する光に対してノイズとなりうる。従って、フェルール206の上面側において、光ファイバ208以外から入射される光は、除去されることが好ましい。
【0056】
図12は、透明フェルールの遮光構造の例(1)を示す図である。図12は、透明フェルールの上面付近の中心軸を通る断面の例を示す図である。図12の右側から、LD−CHIPが出射する光が入射される。図12の透明フェルールは、上面があらかじめ粗研磨されている。上面が粗研磨されることにより、上面において光が乱反射され、フェルール内に光が入りにくくなる。さらに、透明フェルールに挿入する光ファイバは、粗研磨した上面より少し飛び出すように挿入される。光ファイバの端面は研磨される。
【0057】
図13は、透明フェルールの遮光構造の例(2)を示す図である。図13は、透明フェルールの上面付近の中心軸を通る断面の例を示す図である。図13の右側から、LD−CHIPが出射する光が入射される。図12の例では、透明フェルールの上面が粗研磨されたが、図13の例では、上面を遮光材料で覆うことにより、光が遮断される。遮光材料として、例えば、黒色の樹脂が使用される。さらに、透明フェルールに挿入する光ファイバは、黒色の樹脂で覆われた上面より少し飛び出すように挿入される。光ファイバの端面は研磨される。また、黒色の樹脂と光ファイバとが一緒に研磨されてもよい。これにより、フェルールの上面では、光ファイバ部分以外において、光は遮断される。
【0058】
図14は、透明フェルールの遮光構造の例(3)を示す図である。図14は、透明フェルールの上面付近の中心軸を通る断面の例を示す図である。図14の右側から、LD−CHIPが出射する光が入射される。図14の例では、上面近傍で、中心軸と直角に交わり、中心軸を含むほぼ半円状の穴を2つあける。一方の穴と上面からの距離とが、他方の穴
と上面との距離と異なるようにされる。透明フェルールを上面側から見たときに、2つの半円状の穴がほぼ重ならないように配置される。2つの半円状の穴には、遮光材料が挿入される。遮光材料として、例えば、黒色の樹脂が使用される。この遮光材料により、透明フェルールの上面側から入射した光は、下面側から見えなくなる。さらに中心軸に、光ファイバを通す穴があけられる。光ファイバは、あけられた穴に挿入され、硬化される。その後、上面側は、研磨される。これにより、フェルールの上面から入射される光は、光ファイバ部分以外において、遮断される。
【0059】
光通信モジュール200のフェルール206として、例えば、図12、図13、または、図14の透明フェルールが使用されうる。フェルール206の下面は、フェルール206の上面と同様に、図12乃至図14のような遮光構造を有してもよい。図12乃至図14の透明フェルールの遮光構造は、それぞれ、遮光部の例である。
【0060】
(実施形態2の作用効果)
光通信モジュール200のフェルール206として、透明材料が使用される。フェルール206として透明材料が使用されることで、フェルール206に縦穴をあけなくてもフロント側の光をM−PD210で受光できる。また、フェルール206の上面側を図12、図13、図14のような遮光構造とすることで、透明フェルールに入射した光によるノイズによるエラー等が低減される。
【0061】
〔実施形態3〕
次に実施形態3について説明する。実施形態3は、実施形態1及び2との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0062】
実施形態3では、光通信モジュールが受信側の構成を有する。光通信モジュールは、例えば、光通信装置に組み込まれ、電気信号と光信号と相互に変換し、光信号を送受信する。また、光通信モジュールは、他のフェルール等を介して光伝送路(光ファイバ等)に接続され、他の装置との間で光信号を送受信できる。
【0063】
(構成例)
図15は、光通信モジュールの光軸に平行な断面構造の例を示す図である。光通信モジュール300は、光信号を送信し、光信号を受信する。図15の光通信モジュール300は、LD−CHIP302、第1レンズ304、フェルール306、光ファイバ308、M−PD310、第1フィルタ312、APC回路330を含む。光通信モジュール300は、第2フィルタ322、第2レンズ324、PD326を含む。光ファイバ308は、フェルール306及びスリーブ314を介して、光通信モジュール300の筐体316に保持される。
【0064】
フェルール306は、実施形態1のフェルール106と同様に組み立てられる。ただし、フェルール306にあけられる縦穴(中心軸を通り、中心軸とのなす角が90度の穴)は、貫通する。この縦穴の一方をLD−CHIP302からの光が通り、この縦穴の他方を、外部から入力される光が通る。
【0065】
第1フィルタ312は、LD−CHIP302から光ファイバ308に入射された光のほとんどを透過し、一部を反射する。また、外部(図15の左側)から光ファイバ308を通って入力される光は、第1フィルタ312によって反射される。反射された光のうち所定の波長の光が、第2フィルタ322を、透過する。さらに、第2フィルタ322を透過した光は、第2レンズ324によって集光され、PD326によって受光される。PD326によって受光された光は、電気信号に変換される。
【0066】
第1フィルタ312として、例えば、図5のグラフで示される特性を有するフィルタが使用される。ここで、LD−CHIP102から出力される光の波長が、1310nmであり、外部から光ファイバ308を通って入力される光の波長は、1490nmであるとする。このとき、LD−CHIP302から光ファイバ308に入射された光のうち、ほとんどの光が第1フィルタ312を透過する。また、LD−CHIP302から光ファイバ308に入射された光のうち、一部の光が第1フィルタ312で反射して、M−PD310に入射する。また、外部から光ファイバ308を通って入力される光は、第1フィルタ312で反射し、PD326に入射する。
【0067】
LD−CHIP302から出射される光の波長として、外部から光ファイバ308を通って入力されてPD326によって受光される光の波長と異なる波長が使用される。
【0068】
第2フィルタ322は、LD−CHIP302から出射される光をカットし、外部から光ファイバ308を通って入力される光を通す。即ち、第2フィルタ322は、LD−CHIP302から出射される光の波長を遮断し、外部から光ファイバ308を通って入力される光の波長を透過する。第2フィルタ322として、図4のような波長分離多層膜平板ガラスが使用されうる。
【0069】
第2レンズ324は、第2フィルタ322を透過した光を、PD326に集光する。第2レンズ324の例として、球面レンズ、非球面レンズ、ボールレンズ等が、挙げられる。第2レンズ324は、これらに限定されるものではない。
【0070】
PD326は、受光素子である。PD326は、外部から光ファイバ308を通って入力される光を受光する。受光した光は、電気信号に変換され、処理される。
【0071】
(実施形態3の作用効果)
光通信モジュール300は、LD−CHIP302から出射される光(光信号)を、第1フィルタ312等を介して、外部に出力する。LD−CHIP302から出射される光(光信号)の一部は、第1フィルタ312で反射し、M−PD310に入射する。APC回路330は、M−PD310で受光された光の強度に基づいて、LD−CHIP302から出射する光の強度を制御する。APC回路330は、M−PD310で受光される光の強度が一定になるように、LD−CHIP302から出射する光の強度を制御する。
【0072】
また、第1フィルタ312は、外部(図15の左側)から光ファイバ308を通って入力される光(光信号)を反射する。第1フィルタ312で反射された光は、PD326で受光される。第1フィルタ312は、受信側の光の抽出と、送信側の光の抽出とを、行うことができる。
【0073】
光通信モジュール300によれば、外部からの光信号を受信する構成を備えた場合でも、フロント側で発生する光学変動(温度変化、外部応力)に対し、安定した光出力レベルを保つことが可能となる。
【0074】
〔実施形態4〕
次に実施形態4について説明する。実施形態4は、実施形態1乃至3との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0075】
実施形態4では、光通信モジュールが受信側の構成を有し、フェエールとM−PDとが一体型構造を採る。
【0076】
(構成例)
図16は、光通信モジュールの光軸に平行な断面構造の例を示す図である。光通信モジュール400は、光信号を送信し、光信号を受信する。図16の光通信モジュール400は、LD−CHIP402、第1レンズ404、フェルール406、光ファイバ408、M−PD410、第1フィルタ412、APC回路430を含む。光通信モジュール400は、第2フィルタ422、第2レンズ424、PD426を含む。光ファイバ408は、フェルール406及びスリーブ414を介して、光通信モジュール400の筐体416に保持される。
【0077】
フェルール406には、円柱の円の中心部を貫通する穴が開けられ、光ファイバ408が通される。また、フェルール406には、第1フィルタ412が埋め込まれる。第1フィルタ412は、光ファイバ408を切断するように埋め込まれる。
【0078】
フェルール406には、第1フィルタ412で反射した光を取り出すための穴が開けられる。第1フィルタ412で反射した光を取り出すための穴の直径は、例えば、1.0mmである。さらに、フェルール406には、M−PD410が設置されるための穴があけられる。M−PD410が設置されるための穴は、第1フィルタ412で反射した光を取り出すための穴を広げるようにして、フェルール406の側面近傍に設けられる。
【0079】
M−PD410は、モニタ用の受光素子である。M−PD410は、主として、LD−CHIP102から出射した光を受光する。M−PD410の前に集光用のレンズが設けられてもよい。M−PD410は、第1フィルタ412で反射された光を受光する。
【0080】
M−PD410は、フェルール406に搭載される。即ち、M−PD410は、フェルール406に直接取り付けられる。フェルール406が外部応力等により振動した場合、M−PD410はフェルール406に搭載されるので、M−PD410はフェルール406と一緒に振動する。このため、M−PD410は、フェルール406が振動しても、第1フィルタ412によって反射された光を、フェルール406が振動していないときと同様に、受光できる。M−PDがフェルールに固定されていない場合、フェルールが振動すると、第1フィルタで反射された光の一部または全部を受光できないことがある。
【0081】
(フェルールの組み立ての例)
図17から図21は、フェルール406の組み立ての例を示す図である。フェルール406には、光ファイバ408及び第1フィルタ412が組み込まれる。図17(A)は、フェルール406等の斜視図である。図17(A)のフェルール406の手前が、LD−CHIP402からの光が入射される端面側である。図17(B)は、図17(A)の線分a5−a´5及び線分b5−b´5を含む平面でのフェルール406等の断面図である。図17(C)は、図17(B)の線分c5−c´5を含み、図17(B)の断面と直角に交わる平面でのフェルール406等の断面である。他の同様の図(図18等)においても同様である。
【0082】
図17(A)のように、ジルコニアセラミックス等のフェルールの材料が、円柱状に成形される。円柱の円形の平面の一方を下面、他方を上面とする。図17(B)の右側を下面側、左側を上面側とする。フェルール406の上面側は、光通信モジュール400において、LD-CHIP402側に設置される。また、円柱の曲面を側面とする。下面の中
心から上面の中心までを結ぶ線分含む直線を、中心軸とする。
【0083】
図17のように、円柱の中心軸に光ファイバを通す穴(貫通穴、横穴)があけられる。穴の形状は円形であり、穴の中心は中心軸である。使用する光ファイバの直径が125μmである場合、穴の直径は125μmか、125μmよりも若干大きいものとする。例えば、穴の直径は、125.5μmである。光ファイバの断面が円形でない場合、光ファイ
バの断面に合わせた形状の横穴があけられてもよい。
【0084】
さらに、図17のように、フェルール406の側面から光ファイバを通す穴を通り、反対側に達するまで、縦穴があけられる。即ち、光ファイバ408の側面から中心軸を通って反対側の側面まで穴があけられる。あけられた縦穴から光ファイバ408に入射された光の一部が取り出される。あけられた縦穴と中心軸とのなす角は、例えば、90度である。縦穴は、原則として、円柱状であるが、他の形状であってもよい。
【0085】
さらに、図17のように、縦穴を広げるようにして、M−PD410を固定するための穴があけられる。穴は、M−PD410の形状に合わせてあけられる。
【0086】
次に、図18のように、接着剤が充填された貫通穴(横穴)に、光ファイバ108が挿入される。光ファイバ108は、接着剤が硬化することにより、フェルール106に固定される。光ファイバ108は、フェルール106の下面から上面まで挿入される。フェルール106及び光ファイバ108の端面(上面及び下面)は、研磨される。
【0087】
また、縦穴には、M−PD410が固定される部分を除き、透明の樹脂が充填される。このとき、透明の樹脂として、光ファイバのクラッド部分の屈折率と同じ屈折率を有する樹脂が使用されることが好ましい。また、光ファイバの硬化の際に、透明な接着剤を使用して縦穴を充填し、光ファイバの固定と同時に硬化させてもよい。透明の樹脂は、縦穴に充填されなくてもよい。
【0088】
次に、図19のように、第1フィルタ412を挿入するスリットが、フェルール406の側面からあけられる。スリットと中心軸とのなす角は、例えば、45度である。スリットは、第1フィルタ412の大きさに合わせられる。スリットは、中心軸と縦穴との接続部分に向けてあけられる。第1フィルタ412を挿入するスリットは、例えば、ダイシングの技術で加工される。このとき、光ファイバは、切断される。
【0089】
次に、図20のように、スリットに第1フィルタ412が挿入される。第1フィルタ412は、例えば、接着剤により硬化される。第1フィルタ412のサイズ及びスリットのサイズが小さいほど、第1フィルタ412とフェルール406との間の摩擦抵抗が小さくなり、第1フィルタ412が挿入されやすくなる。
【0090】
次に、図21のように、M−PD410の形状に合わせてあけられた穴に、M−PD410を接着剤により固定する。これにより、M−PD410と第1フィルタ412との相対位置は、固定される。M−PD410が第1フィルタ412のそばに設置されることで、M−PD410の受光部分のサイズが小さくても、第1フィルタ412によって反射される光をもれなく受光しうる。
【0091】
(実施形態4の作用効果)
光通信モジュール400では、第1フィルタ412とM−PD410とがフェルール406に固定される。第1フィルタ412とM−PD410とがフェルール406に固定されて一緒に動くことで、フィルタ412とM−PD410との相対的位置が変化しない。よって、フェルール406が外部応力等により振動しても、第1フィルタ412で反射された光は、振動の影響を受けずにM−PD410で受光される。また、第1フィルタ412とM−PD410とがフェルール406に固定されることで、M−PD410における集光率が上がる。
【0092】
M−PD410で受光される光の強度は、LD−CHIP402からフロント側に出射された光が第1フィルタ412で反射されるまでに受ける影響に依存する。よって、光通
信モジュール400は、LD−CHIP402からフロント側に出射された光が第1フィルタ412で反射されるまでに受ける影響に基づいて、LD−CHIP402から出射される光の強度を制御できる。
【0093】
光通信モジュール400によれば、LD−CHIP402のフロント側における、温度変化や、外部応力が発生しても、安定した出力が得られる。
【0094】
光通信モジュール400のようなLD−CHIPがフェルールに固定される構成は、実施形態1や実施形態2のような外部から光信号を受信する構成を有さない光通信モジュールにおいて適用されてもよい。
【0095】
〔実施形態5〕
次に実施形態5について説明する。実施形態5は、実施形態1乃至4との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0096】
実施形態5では、フェエールとして透明の材料が使用される。
【0097】
(構成例)
図17は、光通信モジュールの光軸に平行な断面構造の例を示す図である。光通信モジュール500は、光信号を送信し、光信号を受信する。図17の光通信モジュール500は、LD−CHIP502、第1レンズ504、フェルール506、光ファイバ508、M−PD510、第1フィルタ512、APC回路530を含む。光通信モジュール500は、第2フィルタ522、第2レンズ524、PD526を含む。光ファイバ508は、フェルール506及びスリーブ514を介して、光通信モジュール500の筐体516に保持される。
【0098】
フェルール506は、透明材料が使用された透明フェルールである。フェルール506の材料として、例えば、透明な樹脂、ガラスなどの透明な材料が使用される。実施形態3のフェルール306では、第1フィルタで反射した光を取り出すための穴(縦穴)があけられたが、本実施形態のフェルール506では、縦穴をあけなくてもよい。透明な材料が使用されるため、光通信モジュール500は、縦穴をあけなくても第1フィルタ512で反射された光をM−PD510及びPD526で受光できるからである。よって、フェルール506の制作は、容易になる。フェルール506には、実施形態2の図12、図13、図14のような遮光構造が適用されうる。
【0099】
(実施形態5の作用効果)
光通信モジュール500のフェルール506として、透明材料が使用される。フェルール506として透明材料が使用されることで、フェルール506に縦穴をあけなくてもフロント側の光をM−PD510で受光できる。また、同様に、フェルール506として透明材料が使用されることで、フェルール506に縦穴をあけなくても外部からの光をPD526で受光できる。
【0100】
〔実施形態6〕
次に実施形態6について説明する。実施形態6は、実施形態1乃至5との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0101】
実施形態6では、フェエールとして透明の材料が使用され、フェエールとM−PDとが一体型構造を採る。
【0102】
(構成例)
図18は、光通信モジュールの光軸に平行な断面構造の例を示す図である。光通信モジュール600は、光信号を送信し、光信号を受信する。図18の光通信モジュール600は、LD−CHIP602、第1レンズ604、フェルール606、光ファイバ608、M−PD610、第1フィルタ612、APC回路630を含む。光通信モジュール600は、第2フィルタ622、第2レンズ624、PD626を含む。光ファイバ608は、フェルール606及びスリーブ614を介して、光通信モジュール600の筐体616に保持される。
【0103】
フェルール606は、透明材料が使用された透明フェルールである。フェルール606では、実施形態5のフェルール506と同様に、縦穴をあけなくてもよい。また、フェルール606では、実施形態4のフェルール406と同様に、M−PD610がフェルール606に固定される。この構成により、光通信モジュール600は、少なくとも、実施形態4及び実施形態5の光通信モジュールと同様の作用効果を奏する。
【0104】
〔実施形態7〕
次に実施形態7について説明する。実施形態7は、実施形態1乃至6との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0105】
実施形態7では、実施形態1乃至6のようなレセプタクルタイプの光通信モジュールではなく、ピグテールタイプの光通信モジュールが採用される。
【0106】
(構成例)
図24は、光通信モジュールの光軸に平行な断面構造の例を示す図である。光通信モジュール700は、光信号を送信し、光信号を受信する。図24の光通信モジュール700は、LD−CHIP702、第1レンズ704、フェルール706、光ファイバ708、M−PD710、第1フィルタ712、APC回路730を含む。光通信モジュール700は、第2フィルタ722、第2レンズ724、PD726を含む。光ファイバ708は、フェルール706及びスリーブ714を介して、光通信モジュール700の筐体716に保持される。
【0107】
実施形態1乃至6の光通信モジュールは、レセプタクルタイプの光通信モジュールである。レセプタクルタイプの光通信モジュールでは、外線側のフェルールが、光通信モジュールに圧入されて、光通信モジュールのフェルールと光学的に接続される。レセプタクルタイプの光通信モジュールにおいて、光通信モジュールのフェルールと外線側のフェルールとの接続部分をレセプタクル部分という。
【0108】
光通信モジュール700は、実施形態3の光通信モジュール300のレセプタクル部分を、ピグテールタイプに変更したものである。他の実施形態の光通信モジュールのレセプタクル部分がピグテールタイプに変更されてもよい。ピグテールタイプでは、外線側の光ファイバと光通信モジュールのフェルール内の光ファイバとが切断されることなく一体化している。光通信モジュールをピグテールタイプとすることで、他のフェルールとの接続部分における損失が妨げられる。
【0109】
光通信モジュールにおいて、レセプタクル部分がピグテールタイプに変更されても、他の実施形態の光通信モジュールと同様の作用効果が得られる。
【0110】
〔実施形態8〕
次に実施形態8について説明する。実施形態8は、実施形態1乃至7との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0111】
実施形態8では、第2フィルタによって外部から入力される光の光路を変更する。
【0112】
(構成例)
図25は、光通信モジュールの光軸に平行な断面構造の例を示す図である。光通信モジュール800は、光信号を送信し、光信号を受信する。図25の光通信モジュール800は、LD−CHIP802、第1レンズ804、フェルール806、光ファイバ808、M−PD810、第1フィルタ812、APC回路830を含む。光通信モジュール800は、第2フィルタ822、第2レンズ824、PD826を含む。光ファイバ808は、フェルール806及びスリーブ814を介して、光通信モジュール800の筐体816に保持される。
【0113】
フェルール806は、実施形態4のフェルール406と同様に、M−PD810を組み込まれる。
【0114】
第2フィルタ822は、LD−CHIP802から出射される光をカットし、外部から光ファイバ808を通って入力される光を通す。即ち、第2フィルタ822は、LD−CHIP802から出射される光の波長を遮断し、外部から光ファイバ808を通って入力される光の波長を透過する。第2フィルタ822として、図4のような波長分離多層膜平板ガラスが使用されうる。
【0115】
第2フィルタ822は、第1フィルタ812で反射された光を所定の角度で入射させることにより、入射された光の光路を変える。さらに、第2フィルタ822は、入射された光を所定の角度で出射することで、PD826に光を受光させる。第2フィルタ822は、光を屈折させることにより、光の光路を変更することができる。光の光路は、入射される光と第2フィルタ822の入射面との角度、出射する光と第2フィルタ822の出射面との角度、第2フィルタ822の屈折率、第2フィルタ822のサイズによって、調整されうる。
【0116】
第2フィルタ822は、図25のように、プリズムのような形状を採ることで、光の光路を変更できる。
【0117】
(実施形態8の作用効果)
光通信モジュール800によれば、第1レンズ804と光ファイバ808との距離を、例えば、図2のような、従来の光通信モジュールと同様にできる。第1レンズ804と光ファイバ808との距離を従来の光通信モジュールと同様にできることで、例えば、光通信モジュール800において、従来の光通信モジュールと同じ部品を使用することが可能となる。例えば、第1レンズ804から光結合する点までの距離は変わらないため、光通信モジュールと同じレンズが使用されうる。
【0118】
〔実施形態9〕
次に実施形態9について説明する。実施形態9は、実施形態1乃至8との共通点を有する。従って、主として相違点について説明し、共通点については、説明を省略する。
【0119】
実施形態9では、実施形態1乃至8のいずれかの光通信モジュールが組み込まれた光通信装置について説明する。光通信装置は、光信号と電気信号とを相互に変換する処理を行う。
【0120】
(構成例)
図26は、光通信装置の構成の例を示す図である。光通信装置は、光通信で用いられる信号形式とLAN内で用いられる信号形式とを相互に変換する。光通信装置1000は、
光通信モジュール1002、SERDES(Serialize Deserialize)1004、LSI
1006、RAM1008、ROM1010、PHY1012、RJ45(1016)を含む。LSI1006、RAM1008、ROM1010は、信号変換部として、動作しうる。
【0121】
ここでは、RJ45(1016)側から光通信モジュール1002側に流れる信号を送信側の信号という。逆に、光通信モジュール1002側から、RJ45(1016)側に流れる信号を受信側の信号という。
【0122】
光通信モジュール1002は、上記の実施形態1乃至8のいずれかの光通信モジュールである。光通信モジュール1002は、SERDES1004から受信した送信側の信号(シリアル信号)を光信号に変換し、光ファイバを介して、外部の装置に対して出力する。また、光通信モジュール1002は、光ファイバを介して、外部の装置から受信した光信号を、電気信号に変換し、SERDES1004に出力する。
【0123】
SERDES1004は、光通信モジュールとLSIとの間のインタフェースである。SERDES1004は、送信側の信号または受信側の信号に対して、それぞれ、シリアル化または逆シリアル化を行う。即ち、SERDES1004は、シリアル信号とパラレル信号とを相互に変換する。SERDES1004は、パラレルシリアル変換部として動作し得る。
【0124】
LSI(Large Scale Integration)1006は、光通信回線で用いられる信号形式と
電気通信回線(例えば、LAN(Local Area Network))で用いられる信号形式とを相互に変換する。また、LSI1006は、信号が途切れたことなどの信号の異常を検出して、警報を発する。LSI1006は、ROM1010に格納されるプログラムに基づいて、信号形式の変換等を行う。ROM1010は、LSI1006で使用されるプログラム等を格納する。RAM1008は、プログラムの実行の際に使用されるデータ等を一時的に格納する。RAM1008は、送信側の信号または受信側の信号を一時的に格納する。
【0125】
PHY1012は、物理層に関するインタフェースである。PHY1012は、LSI1006とRJ45(1016)との間のインタフェースを担う。PHY1012は、送信側の信号または受信側の信号に対して、それぞれ、逆シリアル化またはシリアル化を行う。即ち、PHY1012は、シリアル信号とパラレル信号とを相互に変換する。
【0126】
RJ45(1016)は、LANケーブルを接続するコネクタである。RJ45(1016)には、LANケーブル等を介して、パーソナルコンピュータ等の端末装置(情報処理装置)が接続される。
【0127】
光通信装置は、実施形態1乃至8の光通信モジュールを有することで、光出力が安定した光通信を行うことができる。
【0128】
〔その他〕
各実施形態の構成は、上記されたもの以外であっても、適宜、組み合わせて適用されうる。例えば、実施形態8において、フェルール806の代わりに、実施形態6のフェルール606が適用されてもよい。
【符号の説明】
【0129】
100 光通信モジュール
102 LD−CHIP
104 レンズ
106 フェルール
108 光ファイバ
110 M−PD
112 フィルタ
114 スリーブ
116 筐体
130 APC回路
200 光通信モジュール
300 光通信モジュール
302 LD−CHIP
304 第1レンズ
306 フェルール
308 光ファイバ
310 M−PD
312 第1フィルタ
314 スリーブ
316 筐体
322 第2フィルタ
324 第2レンズ
326 PD
330 APC回路
400 光通信モジュール
500 光通信モジュール
600 光通信モジュール
700 光通信モジュール
800 光通信モジュール
1000 光通信装置
1002 光通信モジュール
1004 SERDES
1006 LSI
1008 RAM
1010 ROM
1012 PHY
1016 RJ45
2100 光通信モジュール
2102 LD−CHIP
2104 レンズ
2106 フェルール
2108 光ファイバ
2110 M−PD
2200 光通信モジュール
2202 LD−CHIP
2204 第1レンズ
2206 フェルール
2208 光ファイバ
2210 M−PD
2212 第1フィルタ
2222 第2フィルタ
2224 第2レンズ
2226 PD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する発光素子と、
前記発光素子からの光が入射される光伝送媒体と、
前記光伝送媒体に設けられ、前記発光素子からの前記光伝送媒体に出射されて前記光伝送媒体中を伝搬される光の一部を分岐する分岐部と、
前記分岐部によって分岐された前記発光素子からの光を受光する第1受光素子と、
を備える光通信モジュール。
【請求項2】
前記第1受光素子が受光した光の強度に基づいて、前記発光素子が出射する光の強度を制御する制御部を備える、
請求項1に記載の光通信モジュール。
【請求項3】
前記光伝送媒体は、外部装置からの光が入射され、
前記分岐部は、前記外部装置から前記光伝送媒体を介して入射される光を分岐し、
前記分岐部によって分岐された前記外部装置から前記光伝送媒体を介して入射される光を受光する第2受光素子を備える、
請求項1または2に記載の光通信モジュール。
【請求項4】
前記分岐部及び前記光伝送媒体を固定するフェルールを備える、
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の光通信モジュール。
【請求項5】
前記フェルールの材料は、前記光の波長に対して透明である、
請求項4に記載の光通信モジュール。
【請求項6】
前記フェルールは、端部が粗研磨されている遮光部を有する、
請求項5に記載の光通信モジュール。
【請求項7】
前記フェルールは、遮光材料を含む遮光部を有する、
請求項5に記載の光通信モジュール。
【請求項8】
前記第1受光素子は、前記フェルールに固定される、
請求項4乃至7のいずれか1つに記載の光通信モジュール。
【請求項9】
情報通信装置からの電気通信回線用の信号を光通信回線用の信号に変換する信号変換部と、前記信号変換部によって変換された信号をシリアル信号に変換するパラレルシリアル変換部と、前記シリアル信号を光信号に変換して出力する光通信モジュールを備える光通信装置であって、
前記光通信モジュールは、
前記シリアル信号に基づく光を出射する発光素子と、
前記発光素子からの光が入射される光伝送媒体と、
前記光伝送媒体上に設けられ、前記発光素子からの前記光伝送媒体に出射され、前記光伝送媒体中を伝搬される光の一部を分岐する分岐部と、
前記分岐部及び前記光伝送媒体を固定するフェルールと、
前記分岐部によって分岐された前記発光素子からの光を受光する第1受光素子と、
前記第1受光素子が受光した光の強度に基づいて、前記発光素子が出射する光の強度を制御する制御部と、
を備える
光通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−61481(P2013−61481A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199779(P2011−199779)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】