説明

光配線用樹脂組成物および光電気複合配線基板

【課題】本発明は電気配線板との熱膨張係数差が小さく、かつプロセス温度が近く、かつ光伝搬損失が小さく、かつ電気配線板との複合化に適した光配線用樹脂組成物と、光電気複合配線基板を提供する。
【解決手段】平均粒子径が1nm以上100nm以下である無機フィラーと樹脂を有し、無機フィラーの屈折率nfと樹脂の屈折率nrの比nf/nrが0.8以上1.2以下を満たす樹脂組成物であり、樹脂組成物の熱膨張係数が−1×10−5/℃以上4×10−5/℃以下、および−20℃から90℃における屈折率の真の温度依存性が−1×10−4/℃以上1×10−4/℃以下であり、波長0.6〜0.9μm、もしくは波長1.2〜1.6μmにおいて実質的に光吸収がない光配線用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気配線板との複合に適した光配線材料と光電気複合配線基板に関する。本光配線はLSI(Large Scale Integrated Circuit;大規模集積回路)間の高速信号伝送を光信号で行う「ボード上光配線」(光インターコネクション)を実現する。
【背景技術】
【0002】
LSI技術が進歩し、その情報処理速度、集積規模が増大してきている。これにより、マイクロプロセッサの高性能化やメモリチップの大容量化が急速に進んできている。そして、これらのLSIの高機能を利用した映像情報を主体とする情報家電など多様な電子機器が市場に登場してきている。それはパソコン、ハードディスクレコーダー、DVDレコーダーなどである。
【0003】
そこで、従来の電気信号により行われてきた機器内のボード間、あるいはボード内のチップ間など比較的短距離間の信号伝送において、より一層の高速化および高密度化が困難となってきた。(1)高速化に対しては、配線のCR(C:配線の静電容量、R:配線の抵抗)時定数による信号遅延が問題となり、(2)電気配線の高密度化に対しては、EMI(Electromagnetic Interference)ノイズやチャンネル間のクロストークが問題となっている。
【0004】
そこで、これらの課題を解消する技術のひとつとして、光配線(光インターコネクション)技術がある。光配線は、機器間、機器内のボード間、あるいはボード内のチップ間など種々の箇所に適用可能である。中でも、チップ間のような短距離間の信号の伝送には、チップが搭載されている基板表面や内層に光信号を導波する光配線層を形成し、これによる光信号伝送システムを用いることが好適である。
【0005】
このような光信号伝送システムには、電気信号を光信号に変換するための発光素子、光信号を電気信号に変換するための受光素子、および発光素子や受光素子を制御するための電気信号の授受を行うためのICなどと、これらの素子への電力供給が必要である。また、比較的低速で、低密度な配線で行うことができる信号伝送には、電気信号による方が有利である場合が多い。したがって、配線基板には、基板表面あるいは内層に電気配線を形成することも必要である。つまり、光配線と電気配線が共存する光電気複合配線基板が必要となる。
【0006】
光配線用樹脂組成物としては、ポリシラン(特許文献1参照)、ポリシロキサン(特許文献2参照)、フッ素化ポリイミド(特許文献3参照)、シリカゲル−ポリスチレン複合系材料(特許文献4参照)、フッ素化アクリルポリマー(特許文献5参照)などがある。これらいずれの材料も、固化のための熱処理温度が高い、耐熱性が不十分である、熱膨張率が大きい、のいずれかの理由で、電気配線板との複合化に不適当である。
【0007】
無機フィラーと樹脂を複合した光配線材料(光導波路材料)としては、無機フィラーに酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカなどを用いたものがある(特許文献6、7参照)。しかしながら、用いられている粒子の粒子径が大きいこと、および/または酸化チタンや酸化アルミニウムの屈折率が樹脂に比べて大きいことのために、粒子によるレーリー散乱が大きく、その結果光伝搬損失が大きくなりやすいという問題点があった。
【0008】
電気配線と光配線とを備えたハイブリッド型の光配線基板としては、光配線層が絶縁層の内部に配置された形態(特許文献8参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2004−12635号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2004−102247号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開平4−328504号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開平11−109154号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開平10−333105号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特開2000−44811号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】特開2002−277664号公報(特許請求の範囲)
【特許文献8】特開2002−6161号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
かかる状況に鑑み、本発明は、電気配線板との熱膨張係数差が小さく、かつ屈折率の温度依存性が小さく、かつ光伝搬損失が小さく、かつ電気配線板との複合化に適した光配線用樹脂組成物、およびそれを用いた光電気複合配線基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、平均粒子径が1nm以上100nm以下である無機フィラーと樹脂を有し、無機フィラーの屈折率nfと樹脂の屈折率nrの比nf/nrが0.8以上1.2以下を満たす樹脂組成物であり、樹脂組成物の熱膨張係数が−1×10−5/℃以上4×10−5/℃以下、および−20℃から90℃における屈折率の真の温度依存性が−1×10−4/℃以上1×10−4/℃以下であり、波長0.6〜0.9μm、もしくは波長1.2〜1.6μmにおいて実質的に光吸収がない光配線用樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光配線用樹脂組成物によれば、電気配線板との熱膨張係数差が小さく、かつ屈折率の温度依存性が小さく、電気配線層との複合形成に適した光配線層を得ることができる。本発明の樹脂組成物を用いることによって光伝搬損失が小さく、かつ温度変化に対する耐久性と光伝送特性が安定している光電気複合配線基板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
電気配線板は、一般に樹脂と無機物の複合材料となっており、その物性も樹脂と無機物の中間の値を示す。電気配線板との複合に適した光配線材料は、光を効率良く導波するという特性以外に、特に信頼性の面から熱的や機械的な特性、製造プロセスなどを電気配線板のそれらとマッチングさせることが必要である。したがって、これを実現するためには、光配線材料も樹脂材料と無機材料の複合材料とすることが有効な手段となる。しかしながら、複合材料中では、複合した材料間の界面が存在し、それが光散乱の原因となり、光伝搬損失を増大させる要因となりやすい。この光散乱の大きさは、材料間の屈折率差や、界面の大きさ、界面の量に依存する。これらを精密に制御することにより、光散乱を実用上問題のない低レベルに抑制することが可能になる。
【0013】
本発明では、無機フィラーによる光配線内の導波光の光散乱を抑制するために、無機フィラーの平均粒子径が1nm以上100nm以下であることが必要である。無機フィラーの平均粒子径が1nm以上であると、無機フィラー粒子が凝集しにくくより均一に分散することが容易になる。無機フィラーの平均粒子径が100nm以下であると膜形成時に無機フィラー粒子の沈降などによる屈折率の偏りが生じにくい。そのため光導波の乱れが小さくなり、信号伝送エラーが起きにくくなる。無機フィラーの平均粒子径が40nm以下であると、樹脂と無機フィラーの屈折率差を極端に小さくしなくてもレーリー散乱を抑制しやすくなる。この場合、さらには、樹脂と無機フィラーそれぞれの組成揺らぎなどにより発生する局所的な樹脂と無機フィラーの屈折率差によるレーリー散乱も小さい値に抑制しやすくなる。
【0014】
なお、本発明の無機フィラーの平均粒子径の測定は、光配線用樹脂組成物の硬化薄膜の超薄切片に対するXMA測定、および透過型電子顕微鏡(TEM)観察により行うことができる。この超薄切片には、光配線用樹脂組成物の硬化薄膜を、膜厚方向に断面を切り出したものを用いる。無機フィラーと樹脂では電子線に対する透過率が異なるので、TEM観察像中で無機フィラーと樹脂はコントラストの違いにより識別できる。複数種の無機フィラーが使用されている場合の各無機フィラーの同定は、XMA測定に基づく元素分析および電子線回折像観察による結晶構造解析により行うことができる。TEM観察像の画像解析から、無機フィラーと樹脂の面積の分布を求め、無機フィラーの断面を円形と近似して面積から粒子径を算出できる。粒子径の評価は倍率5000倍と40000倍のTEM画像について行えばよい。算出された粒子径の分布を倍率が5000倍のTEM画像において0.1μm刻みのヒストグラム、倍率が40000倍のTEM画像において0.01μm刻みのヒストグラムで表す。得られたヒストグラムの各カラムに対し、その中心値と度数の積を求める。次にそれらの積の和を度数の総和で除したものを平均粒子径とする。なお、粒子径分布の評価は、TEMのかわりに走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、上記と同様の解析を行うことによってもできる。
【0015】
また、上記以外にも、無機フィラーのブラウン運動による散乱光の揺らぎを測定する動的光散乱法、無機フィラーを電気泳動したときの散乱光のドップラー効果を測定する電気泳動光散乱法などによって平均粒子径を測定することができる。レーザー回折式、レーザー散乱式の粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製LA−920や(株)島津製作所製SALD−1100、日機装(株)製MICROTRAC−UPA150等がある。
【0016】
本発明においては、無機フィラーの含有量は特に限定されない。無機フィラーの体積含有量は、5体積%以上95体積%以下であることが好ましく、20体積%以上80体積%以下がより好ましい。無機フィラーの体積含有量が、5体積%以上では、無機フィラーの添加による熱膨張係数制御と屈折率の温度依存性制御の効果が大きく、20体積%以上の場合、熱膨張係数が4×10−5/℃以下となりやすい。無機フィラーの体積含有量が、95体積%以下であると、膜が脆くなりにくく、僅かな応力でクラックが発生したり、膜が破壊することがない。無機フィラーの体積含有量が、80体積%以下であると接する材料との間の接着力が強くなり、層間剥離などによる信頼性低下が起きにくい。
【0017】
本発明は無機フィラーの屈折率nfと樹脂の屈折率nrの比nf/nrが、0.8以上1.2以下であることが好ましく、より好ましくは0.9以上1.1以下である。nf/nrが0.8以上になると、散乱による光伝搬損失が小さくなるため実用的に有用である。nf/nrが0.9以上になると、nf/nrが小さい場合に必要となる散乱による光伝搬損失を小さくするための極端に粒子径の小さい無機フィラー粒子を用いる必要がなく、それらの粒子の凝集を抑制しつつ均一に分散させやすくなる。また、nf/nrが、1.2以下であると散乱による光伝搬損失が小さくなり、実用的に有用である。nf/nrが、1.1以下であると、nf/nrが小さい場合に必要となる散乱による光伝搬損失を小さくするための極端に粒子径の小さい無機フィラー粒子を用いる必要がなく、それらの粒子が凝集しないように均一に分散させやすくなる。
【0018】
本発明の光配線用樹脂組成物の熱膨張係数は、−20℃から90℃において−1×10−5/℃以上4×10−5/℃以下であることが好ましく、より好ましくは、1.5×10−5/℃以上2.5×10−5/℃以下である。光配線用樹脂組成物の−20℃から90℃における熱膨張係数が、−1×10−5/℃以上4×10−5/℃以下であると、電気配線板材料との熱膨張率差が小さいため、光電気複合配線基板としたときに層間剥離が起きにくい。光配線用樹脂組成物の熱膨張係数が1.5×10−5/℃以上2.5×10−5/℃以下であると、熱膨張係数が一般に約20ppm/℃である電気配線板材料との熱膨張率差が非常に小さいため、光電気複合配線基板としたときに、熱変動時に光電気複合配線基板に反りが発生しにくい。このため、光実装部品と光導波路のアライメントに誤差が生じにくく、かつ光電気複合配線基板と光実装部品の接続点にクラックが発生したりすることがない。
【0019】
本発明の光配線用樹脂組成物は、−20℃から90℃における屈折率の真の温度依存性が−1×10−4/℃以上1×10−4/℃以下であることが好ましく、より好ましくは、−1×10−5/℃以上1×10−5/℃以下である。光配線用樹脂組成物の−20℃から90℃における屈折率の真の温度依存性が−1×10−4/℃以上1×10−4/℃以下であると、使用時の温度変化により、光配線長の変化が小さく、受発光部品との光結合にずれが生じにくくなり、伝送信号エラー率を小さくすることができる。光配線用樹脂組成物の−20℃から90℃における屈折率の真の温度依存性が−1×10−5/℃以上1×10−5/℃以下であると、使用時の温度変化による光路長変化により、波長多重伝送システムでの波長選択にエラーが起きにくくなる。なお、本発明における屈折率の真の温度依存性とは、温度変化による材料の体積変化分をキャンセルする補正を行った後の屈折率の温度依存性のことである。すなわち、温度をTからTに変化させた際、屈折率を測定する光の入射方向に対し、材料の長さがXからXへ変化した場合、光学的な意味の材料密度は、X/Xになる。そこで、温度TとTの間の真の屈折率の温度依存性(D)は、温度Tの時の屈折率nと温度Tの時の屈折率nとから下記式で求められる。
【0020】
【数1】

【0021】
光配線において重要な光伝搬損失は、光配線の構造、光配線パターン、加工後の光配線表面の状態や、光配線材料の物性に依存する。材料の物性由来の光伝搬損失には、材料による吸収と散乱がある。吸収は、透明な材料、すなわち導波させる光の波長において吸収を持たない材料を用いることで抑制できる。しかしながら、散乱に関しては、本発明のように無機フィラー、すなわち粒子を含む材料においてはレーリー散乱が問題となる。
【0022】
レーリー散乱は、粒子の散乱断面積と、粒子密度の積で表される。粒子の散乱断面積は下記の数式で表される。
【0023】
【数2】

【0024】
式においてaは無機フィラーの平均粒子径(cm)、nfは無機フィラーの屈折率、nrは樹脂の屈折率、λは光配線内を導波する光の波長(μm)である。
【0025】
また粒子密度は、下記数式で表される。
【0026】
【数3】

【0027】
上記2つの数式によってレーリー散乱による光伝搬損失(dB/cm)を表すと、下記式のLのようになり、本発明は、0≦L≦0.5の範囲である必要がある。
【0028】
【数4】

【0029】
Vは無機フィラーの体積含有率、aは無機フィラーの平均粒子径(cm)、nfは無機フィラーの屈折率、nrは樹脂の屈折率、λは光配線内を導波する光の波長(μm)である。0.05≦V≦0.95、1≦a≦100、1.2≦nf≦2.4、1.3≦nr≦2、0.6≦λ≦0.9もしくは1.2≦λ≦1.6である。
Lは光伝搬損失を表すもので、負の数となることはない。また、Lが0.5より大きくなると光伝搬(導波)損失が大きすぎ、光配線材として用いた場合に、高速信号伝送時にエラー率が高くなり、実用的でない。
【0030】
波長0.6〜0.9μmには、He−NeガスレーザーやGaAs系などの化合物半導体レーザーの発振波長があり、伝送信号光としての利用に関して有望である。したがって、光配線用樹脂組成物が、0.6〜0.9μm波長帯域において式(1)を満たす特性を有していることは実用上重要である。LSI間で情報のやりとりを行う場合、個々のLSIが情報を送り出すのに異なる波長を用いることで、波長多重方式により複数のLSIからの光を一つの光配線にまとめて通すことができる。波長多重方式は、実質的に配線の高密度化を図ることができるため実用上有効な手段である。また波長1.2〜1.6μmにおいては、InGaAsPなどの半導体レーザーの発振波長があり、本発明の光配線用樹脂組成物が1.2〜1.6μm波長帯域で式(1)を満たす特性を有していることは実用上重要である。また、本発明の光配線用樹脂組成物は、波長0.6〜0.9μmもしくは波長1.2〜1.6μmにおいて実質的に光吸収がない組成物であることが必要である。
【0031】
本発明において、光配線用樹脂組成物の熱膨張係数測定方法は特に限定されないが、熱機械測定装置(TMA)やストレス測定装置などを用いて行うことができる。また本発明における光配線用樹脂組成物の屈折率測定方法は、特に限定されないが、プリズムカップラー装置などを用いて行うことができる。無機フィラーの屈折率は、一般に同組成のバルク材料のものにほぼ等しいが、より正確には下記にようにして測定することができる。まず、無機フィラーを分散するための樹脂硬化物単体の屈折率(n)を測定する。次に、この樹脂に所定の無機フィラーを均一に分散した硬化物を作製し、この屈折率(n)を測定する。無機フィラーの屈折率(n)と、樹脂の体積百分率(V%)と、無機フィラーの体積百分率(V%)との下記関係式から求めることができる。屈折率の温度依存性を評価する場合は、測定試料の温度変化ができる評価装置を用いる。
【0032】
【数5】

【0033】
本発明で用いる樹脂は特に限定されないが、無機フィラーとの組み合わせにおいて上記に説明したnf/nrが0.8以上1.2以下を満たすものであれば良く、さらに好ましくは式(1)を満たすものであれば良い。例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレン、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド、アクリル樹脂、シアネート樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリノルボルネン、BT(ビスマレイド・トリアジン)樹脂、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアリレート、メラミン樹脂、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、アラミド樹脂などを用いることができる。
【0034】
本発明で用いる無機フィラーは、特に限定されないが、Si−O結合、Mg−O結合、Al−O結合のいずれかの結合を含む材料から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。Si−O結合、Mg−O結合、Al−O結合を有する材料は、化学的に安定であり、そのため固体状態でエネルギーギャップが大きい、つまり透明であるものが多い。また、これらの材料は、固体状態の屈折率が、樹脂の屈折率域である1.4〜1.8程度の間になるものが多く好ましい。例えば、SiO、Al、MgO、MgAlやAlとSi、MgとAl、MgとSi、TiとSiの複酸化物や固溶体などがあり、さらにこれらに、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo,Tc、Ru、Ag、In、Sn、Sb、Te、Cs、Ba、Hf、Ta、W、Re、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er,Tm、Yb、Luなどの酸化物を固溶させたものを用いることができる。その他の複酸化物として、CaSiO、ZrSiO、BaCrO、ZnCrOなどを用いることができる。金属硫酸塩も無機フィラーとして好ましく用いることができ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウムなどが挙げられる。硫酸バリウムとしては、粒子径が小さいものを得やすいという点から、沈降性硫酸バリウムが好ましい。その他の無機物として、炭酸バリウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩や、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウムなどのフッ化物を用いることができる。これらの無機物以外でも、屈折率が1.4〜2.4の範囲であれば単独で、もしくは前記酸化物と複合させた形で用いることができる。
【0035】
光配線は、その中を光導波させるため、屈折率が大きいコア層の周囲を屈折率が小さいクラッド層が覆うという構造をとる。光は主にコア層を導波し、その周囲を覆うクラッド層が光を閉じこめる働きをする。コア層とクラッド層の屈折率差が大きいほど、光の閉じこめ効果は大きい。このような光配線では、小さい曲率半径で配線を曲げても光が漏れにくい。本発明の光配線材料は樹脂と無機フィラーを主成分としているため、無機フィラーによる散乱で発生する光伝搬損失を小さく抑えるためには、樹脂と無機フィラーの屈折率差を小さくするのが効果的である。したがって、コア層を形成する光配線材料には高屈折率の樹脂とそれに近似した屈折率を有する無機フィラーを用い、クラッド層を形成する光配線材料には、低屈折率の樹脂とそれに近似した屈折率を有する無機フィラーを用いるのが、低損失であり、かつコア層とクラッド層の屈折率差が大きい光配線材料を実現するのに好適な手段である。
【0036】
屈折率が大きい方、すなわちコア層用の光配線材料に用いる樹脂は、透明性と屈折率の大きさの点から、屈折率が1.55以上1.75以下であるA群の、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂から少なくとも1種選ばれることが好ましい。無機フィラーは、透明性と屈折率の大きさの点から、屈折率が1.55以上1.75以下であるB群の、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、チタンとシリコンの複酸化物から少なくとも1種選ばれることが好ましい。樹脂材料では、屈折率が1.75を越えるような樹脂は、仮に合成することができたとしても非常に高価である、硬化温度が高い、溶剤に溶けにくい、といった問題が生じやすい。コア層用の光配線材料に用いる樹脂の屈折率が1.55未満となったり、無機フィラーの屈折率が1.55未満となったりすると、コア層とクラッド層との屈折率差が小さくなり、光の閉じこめ効果が小さくなってしまう。
【0037】
屈折率が小さい方、すなわちクラッド層用の光配線材料に用いる樹脂は、透明性と屈折率の大きさの点から、屈折率が1.3以上1.55以下であるC群の、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリシランから少なくとも1種選ばれることが好ましい。無機フィラーは、透明性と屈折率の大きさの点から、屈折率が1.3以上1.55以下であるD群の、シリカ、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ハイドロタルサイト、フッ化マグネシウム、チタンとシリコンの複酸化物から少なくとも1種選ばれることが好ましい。なお、無機フィラーで屈折率が1.3未満のものはほとんど存在しないため、実質的に屈折率1.3以上の無機フィラーを用いることになる。チタンとシリコンの複酸化物は、チタンとシリコンの含有比率を調整することにより、屈折率を調整することができる。相対的にチタン含有量を大きくすると屈折率が大きくなり、相対的にシリコン含有量を大きくすると屈折率が小さくなる。
【0038】
本発明で用いる樹脂は熱硬化性であることが好ましい。電気配線基板を形成する樹脂は、熱硬化性樹脂である場合が多く、電気配線基板との複合の際に、プロセス親和性が高く、好適である。つまり、電気配線板に光配線を複合させるプロセスにおいて、電気配線板の既存プロセスをそのまま用いることや、複合のためのプロセスのみを付加しその他プロセスを変更しなくてよいなどのメリットがある。
【0039】
用いる樹脂が熱硬化性でない場合は、電気配線基板との複合の際にプロセスが複雑になりやすく、特に電気部品実装にあるハンダプロセスなどの高温プロセス時に、耐熱性が不十分になりやすい。
【0040】
熱硬化性樹脂としては具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド、シアネート樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリノルボルネンなどを用いることができる。しかしながら、特にこれらには限定されない。
ここで、エポキシ樹脂とは、分子構造中にエポキシ基(オキシラン環)を2個以上含むプレポリマーを有する樹脂のことである。
【0041】
エポキシ樹脂の中でも、波長0.4〜0.9μmにおける透明性が高いことや無機フィラーを高濃度で分散することが容易であることから、シクロヘキサン環を有するものやナフタレン骨格を有するものが好ましい。
【0042】
また、エポキシ樹脂のエポキシ当量が100g/eq以上300g/eq以下であることが好ましい。エポキシ当量が100g/eq以上であると、硬化反応で生成する水酸基が少なく水酸基濃度が低いため、吸湿しにくく、吸湿による屈折率変化が起きにくくなる。エポキシ当量が300g/eq以下であると、架橋密度が大きくなるため、硬化時の内部応力の上昇に伴う密着性や耐クラック性の低下が小さい。
【0043】
本発明は、必要に応じて硬化剤が添加される。例えば、一般にエポキシ樹脂に使用されている硬化剤を添加することができる。このような硬化剤としては、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、アミノトリアジン化合物、ナフトール化合物などが例示される。また、これらの硬化剤は相互に併用してもよい。
【0044】
さらに、硬化剤と共に硬化促進剤を用いることができる。このような硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、トリフェニルホスフィン、トリス(2,4−ペンタジオナト)コバルトなどの金属キレート化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、などが挙げられる。
【0045】
樹脂組成物を波長1.2〜1.6μmにおいて透明化しようとするには、樹脂中に存在するC−H結合を減らすことが有効である。炭素と結合している水素をフッ素や重水素と置換することでC−H結合を減らすことができる。
【0046】
本発明で用いる樹脂は硬化温度が200℃以下であることが好ましい。本発明において硬化温度とは、用いる樹脂の分子間の架橋反応が起こり網目状に高分子化する反応が起きる温度と、既に高分子化した状態で溶媒に溶けている樹脂を、その溶媒を蒸発させることで固化させる温度との両方を指す。
【0047】
なお、本発明で用いる樹脂は、熱硬化性樹脂でなくても耐熱性が十分であればよい。熱硬化性樹脂ではないが耐熱性が十分な樹脂としてアラミド樹脂などが挙げられる。アラミド樹脂としては、透明性と耐熱性に優れるという点からカルボン酸ジクロライドとジアミンから重合されたものを好ましく用いることができる。
【0048】
ジアミンとしては、例えば4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられ、好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレンが挙げられる。
【0049】
カルボン酸ジクロライドとしては、例えばテレフタル酸ジクロライド、2−クロロ−テレフタル酸ジクロライド、2−フルオロ−テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、オルトフタル酸ジクロライド、ナフタレンジカルボニルクロライド、ビフェニルジカルボニルクロライド、ターフェニルジカルボニルクロライドなどが挙げられる。
【0050】
本発明において光配線用樹脂組成物は、無機フィラーを樹脂へ分散したペーストを塗布、乾燥、固化することによって得られる。このペーストは、例えば、無機フィラー粉末を樹脂溶液に加えて混合分散する方法や、予め無機フィラーを適当な溶媒中に分散した分散液を作製し、その分散液と樹脂溶液を混合するレットダウン法などによって作製される。また、この無機フィラー分散液にゾルとして市販されているものを用いることもできる。例えば、シリカであれば、オルガノシリカゾル、コロイダルシリカゾルとして、日産化学工業(株)、扶桑化学工業(株)、触媒化成工業(株)などから販売されている粒子径数nm〜100nm以上のものが挙げられる。
【0051】
また、樹脂または溶媒中へ無機フィラーを分散させる方法は特に限定されず、例えば、超音波分散、ボールミル、ロールミル、クレアミックス、ホモジナイザー、ビーズミル、メディア分散機などの方法を用いることができるが、特に、分散性の点でボールミル、ホモジナイザー、ビーズミルを用いることが好ましい。
【0052】
無機フィラー分散の際、分散性を向上させるために、例えば、無機フィラーの表面処理、分散剤の添加、界面活性剤の添加、溶剤の添加などを行っても良い。無機フィラーの表面処理としては、シラン系、チタン系、アルミニウム系などの各種カップリング剤、脂肪酸、リン酸エステルなどによる処理のほか、ロジン処理、酸性処理、塩基性処理などが挙げられる。さらに、ノニオン性、カチオン性、アニオン性の界面活性剤、多価カルボン酸などの湿潤剤、両親和性物質、高立体障害の置換基を有する樹脂などの添加を行うこともできる。また、分散時または分散後の系の極性は、溶剤の添加で制御することができる。また、ペーストは必要に応じて、要求特性を満足させる範囲内で安定化剤、分散剤、沈降防止剤、可塑剤、酸化防止剤などを含有してもよい。
【0053】
本発明の光電気複合配線基板は、有機物と繊維基材を有する層と導体層と光導波(光配線)層を有しており、光導波層に前記本発明の光配線用樹脂組成物を用いている。また有機物と繊維基材を有する層と導体層と光導波層を積層して形成してもよい。
【0054】
有機物と繊維基材を有する層とは、電気配線基板に用いられているものであれば特に限定されず、エポキシ樹脂、フッソ樹脂、ポリフェニレンオキサイド、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂等の単独、変成物、混合物などを繊維基材に含浸、乾燥して作製したプリプレグを、加熱、成型硬化したものなどを用いることができる、樹脂には必要に応じて硬化剤、反応開始剤、充填剤、溶剤等、シリカなどの無機粒子を含有させてもよい。
【0055】
繊維基材としては、ガラス織布、ガラス不繊布、ガラスペーパー等のガラス繊維からなるもの、紙(パルプ)、アラミド、ポリエステル、フッ素樹脂等の有機繊維からなる織布や不織布、金属繊維、カーボン繊維、鉱物繊維等からなる織布、不織布が挙げられる。繊維基材の中では、耐熱性と強度の点からガラス繊維が好ましく、その中でも、プリプレグの硬化後の平坦性が高くなるため、開繊加工されたものがより好ましい。開繊加工では、タテ糸及びヨコ糸のどちらかが、またはともに隣り合う糸同士が、実質的に隙間なく配列されている。
【0056】
導体層としては、導電性の高い金属箔や導電性のペースト硬化物などを用いることができる。金属箔としては銅、アルミニウム、ニッケル、金等の単独、合金、複合箔が挙げられ、銅箔を好ましく用いることができる。
【0057】
光導波層は、アンダークラッディング層/コア層/オーバークラッディング層から構成されている。コア層の屈折率は、アンダークラッディング層の屈折率、オーバークラッディング層の屈折率のいずれよりも大きい必要がある。コア層の屈折率がアンダークラッディング層の屈折率やオーバークラッディング層の屈折率より大きくない場合は、光導波が起こらない。
【0058】
光導波層に形成する光導波路の構造としては、大きく分けて、上下層の光を閉じ込めるだけのスラブ光導波路と、横方向の光も閉じ込める構造になっているチャンネル光導波路とがある。チャンネル光導波路は、光が主に伝搬する屈折率の大きいコア部とその回りを覆う屈折率の小さいクラッディング部とから構成され、コア部をクラッディング部に埋め込んだ埋込形と、光導波路断面の形状が凸であるリッジ形および表面に誘電体等を配置して近傍の屈折率を変化させた装荷形とがある。
【0059】
光導波層は、異なる屈折率を有する少なくとも2層(コア層とクラッディング層)を有し、このとき各層の屈折率差が0.05以上であることが好ましい。光配線や光部品間の光軸調整(アライメント)コスト低減の観点から、光電気複合配線基板ではマルチモード型の光導波路を設けることが好しく、光配線の取り回し時に曲率半径の小さい屈曲部を設けても光の閉じ込めが十分できることが好ましい。これら2点のことを達成するには、光学的にはコア層とクラッディング層間の屈折率差が大きければ大きいほど有利である。したがって、この屈折率差が0.05以上であると、光配線や光部品間の光軸調整(アライメント)を非常に精密に行ったり、クラッディング層を非常に厚くしたりする必要がなく、コスト高の要因とならない。
【0060】
アンダークラッディング層、コア層、オーバークラッディング層の屈折率や厚みは、設計する光導波路により任意に選択することができる。マルチモード導波路の場合は、コア層とアンダークラッディング層の屈折率差が大きくなるようにしたり、コア層とオーバークラッディング層の屈折率差が大きくなるようにしたり、コア層を厚くしたりするのが適している。シングルモードの場合は、コア層とアンダークラッディング層の屈折率差が小さくなるようにしたり、コア層とオーバークラッディング層の屈折率差が小さくなるようにしたり、コア層を薄くしたりする。これらを行うことによりシングルモード伝搬を実現する。
【0061】
本発明の光電気複合配線基板は、例えば以下のようにして作製することができる。まず、電気配線用の基板上に、アンダークラッディング層用の光配線用ペーストを塗布し、乾燥し、光配線用樹脂組成物の膜として形成する。次に、コア層用の光配線用ペーストを塗布し、乾燥し、光配線用樹脂組成物の膜として形成する。必要に応じてコア層にパターン形成加工を行う。パターン形成加工は、リアクティブエッチングなどにより行うことができる。コア層の光配線用ペーストに感光性のものを用いた場合は、露光・現像を行うフォトリソグラフィによりパターン形成を行うことができる。続いて、コア層の上にオーバークラッディング層用の光配線用ペーストを塗布し、乾燥し、光配線用樹脂組成物の膜として形成する。その後、必要に応じて電気配線用の基板と重ね、加熱プレスなどにより光電気複合配線基板を得ることができる。光導波層は、光電気複合配線基板の内層に形成してもよいし、表層に形成してもよい。内層に形成する場合は、光電気複合配線基板の表面を電子部品の表面実装に広く使えるという利点がある。
【0062】
アンダークラッディング層を形成する電気配線板の面の粗度が大きいと、その影響で、形成したアンダークラッディング層表面の平滑性が損なわれ、さらにその上に形成するコア層との界面が粗になってしまいやすい。アンダークラッディング層とコア層の界面が粗になると、コア層を中心に伝搬する光の伝送損失が大きくなってしまう。このような場合は、アンダークラッディング層形成前の電気配線板表面に平坦化層を設けることでアンダークラッディング層とコア層の界面が粗になることを避けることができる。平坦化層は、平坦化の機能やアンダークラッディング層との接着性が十分であればその材質は限定されないが、中でもエポキシ樹脂などを用いることができる。電気配線板表面の平坦化は、平坦化層を設ける以外にも、電気配線板表面を研磨して平滑にする方法などを用いることもできる。
【0063】
光配線用ペーストから塗布膜を形成する方法としては特に限定されず、例えば、スピンナー、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーターなどを用いるものが挙げられる。
【0064】
本発明において、光電気複合配線基板の電気配線部の形成は、通常の電気配線形成に使用されるプロセスを用いることができる。これらのプロセスとしては、配線用材料となる銅箔などの金属箔のウェットエッチングによる配線形成、銅、ニッケル、金などの電解メッキや無電解メッキによる配線形成、スパッタなどの気相法による金属層形成、配線加工などの方法をあげることができる。光電気複合配線基板上に電子部品を実装する場合は、ハンダを用いた方法など通常使用されるプロセスを用いることができる。
【0065】
本発明の光電気複合配線基板には、光電変換素子や光受動部品などを組み込むことができる。光電変換素子としては、発光ダイオード、レーザー、フォトディテクターなどが挙げられる。これらの素子の中でも素子主表面で発光や受光を行う面発光型レーザーや面受光型のフォトディテクターを用いることが、伝搬光の広がりを小さくしやすいこと、信号強度を大きく取りやすいこと、受発光部分の実装構造を簡単にしやすいことから好ましい。
【0066】
さらに本発明の光電気複合配線基板には、受発光素子と光導路の光結合のために、必要に応じて、ミラーやレンズを組み込むことができる。例えば、光路を90度変換するミラーは光導波路端面を45°にダイシングソーなどで切り込むことで形成することができる。その他、光の合分派波器、波長フィルター、波長多重器などの受動光回路を光電気複合配線基板内に作り込んでもよい。
【実施例】
【0067】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0068】
各特性の測定方法、条件は以下の通りである。
<屈折率>
メトリコン社製のプリズムカップラー装置2010(基板加熱装置付)と専用のP−1プリズムを用いて測定した。
【0069】
<光伝搬損失測定>
屈折率測定と同様に、メトリコン社製のプリズムカップラー装置2010(光伝搬損失測定機能付)による所望の波長のレーザーを用いた測定と、カットバック法による測定を行った。
【0070】
<ストレス(熱膨張係数)測定>
KLA−Tencor社製 FLX−2908を用い、室温から90℃の範囲で測定した。シリコンウェハーと銅基板上の両方に被検試料膜を形成し、加熱しながら基板ごと反りを測定し、計算により熱膨張係数を求めた。
【0071】
<サーマルサイクル(TC)試験>
エスペック(株)製のTSE−11−Aを用いて、−55℃と125℃の間のTC試験500サイクルを行った。その後、膜の剥離とクラックの有無を目視により確認した。
【0072】
実施例1
液状エポキシ樹脂(Epotek社製 Product#314)に、γ−ブチロラクトンに分散した平均粒子径12nmのオルガノシリカゾルを、硬化後の体積比で、エポキシ樹脂:シリカ=57:43となるようボールミルを用いて混合した。これをスピンコーターを用いて、石英基板上に塗布し、大気中でオーブンを用いて80℃で1時間乾燥したのち、硬化のために窒素中150℃で1時間加熱を行い、厚さ10μmの屈折率および光伝搬損失測定試料を得た。室温下、波長0.837μmにおいて得られた試料の屈折率は1.484、光伝搬損失は、0.49dB/cmであった。別途、上記と同様にして作製したエポキシ樹脂単体の屈折率は1.51であった。これから、シリカ粒子の屈折率を求めたところ1.45であった。
【0073】
温度を25℃から90℃まで変化させて膜厚変化と屈折率変化を測定し、真の温度依存性を測定したところ、真の屈折率の温度依存性は、0.94×10−4/℃であった。また、ストレス測定装置を用いて、膜面内の熱膨張係数を測定したところ、2.3×10−5/℃であった。
【0074】
次に、表面の銅箔をエッチングアウトした厚さ0.8mmのFR−4基板上に、上記の光伝搬損失測定試料と同様にしてエポキシ−シリカ複合膜を作製し、サーマルサイクル(TC)試験試料を得た。サーマルサイクル試験の結果、膜の剥離もクラックもいずれも認められず、問題がなかった。
【0075】
実施例2〜8
表1に示した組成、条件にした以外は、実施例1と同様にして試料作製、評価を行った。表1に評価結果を示した。
【0076】
実施例9
オルガノシリカゾルに変えて、メチルイソブチルケトン溶媒に分散した酸化アルミニウムスラリーを用い、硬化後の体積比で、エポキシ樹脂:酸化アルミニウム=60:40となるように配合した以外は実施例1と同様にして試料作製を行った。測定波長には0.85μmを用いた。評価結果は表1に示した。
【0077】
実施例10
液状エポキシ樹脂(Epotek社製 Product#314)を、ポリイミド樹脂(東レ(株)製、商品名セミコファイン)に換え、硬化温度を150℃から300℃に変更した以外は実施例1と同様にして試料作製を行った。測定波長には0.85μmを用いた。評価結果は表1に示した。なお、硬化条件がFR−4基板の耐熱性を越えているため、TC試験試料は作製できなかった。
【0078】
実施例11〜14
液状エポキシ樹脂(Epotek社製 Product#314)を、ポリイミド樹脂(東レ(株)製、商品名セミコファイン)に換え、硬化温度を150℃から300℃に変更し、オルガノシリカゾルを、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶媒に分散した酸化アルミニウムスラリーに換え、ポリイミド樹脂と酸化アルミニウムの配合比を表1に示す値にした以外は実施例1と同様にして試料作製を行った。測定波長と評価結果は表1に示した。実施例14の試料のみ、大きな反りにより高温下における屈折率測定が困難であったので高温側の測定は60℃までとした。なお、硬化条件がFR−4基板の耐熱性を越えているため、実施例11〜14ではTC試験試料は作製できなかった。
【0079】
実施例15〜16
液状エポキシ樹脂(Epotek社製 Product#314)を、ポリシロキサン含有樹脂(東レ(株)製 商品名「K31」)に換え、硬化温度を150℃から250℃に変更した以外は実施例1と同様にして試料作製を行った。測定波長と評価結果は表1に示した。なお、硬化条件がFR−4基板の耐熱性を越えているため、TC試験試料は作製できなかった。
【0080】
実施例17〜18
液状エポキシ樹脂(Epotek社製 Product#314)を、フッ素化ポリイミドに換え、硬化温度を150℃から350℃に変更した以外は実施例1と同様にして試料作製を行った。測定波長と評価結果は表1に示した。なお、硬化条件がFR−4基板の耐熱性を越えているため、TC試験試料は作製できなかった。
【0081】
比較例1〜3
表2に示したように一部の条件を変更した以外は、実施例1と同様にして試料作製、評価を行った。評価結果も表2に示した。
【0082】
比較例4
オルガノシリカゾルをチタニアゾルに換えた以外は実施例1と同様にして試料作製、評価を行った。評価結果も表2に示した。
【0083】
比較例5
オルガノシリカゾルをジルコニアゾルに換えた以外は実施例1と同様にして試料作製、評価を行った。評価結果も表2に示した。
【0084】
比較例6〜9
無機フィラーを用いない樹脂単体で膜を形成した以外は実施例1と同様にして試料作製、評価を行った。評価結果も表2に示した。比較例7〜9は、硬化条件がFR−4の耐熱性を越えているため、TC試験試料は作製できなかった。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
実施例19
ビーズミルを用いて、硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、BF−40:平均粒子径10nm)17.4重量部を、N,N−ジメチルアセトアミド80重量部、分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、Disperbyk−111)2.6重量部と混合、分散し、分散液を得た。硬化後の体積比で、エポキシ樹脂:硫酸バリウム=73:27となるように分散液と液状エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンHP4032D)と硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール)をボールミルを用いて混合し、光配線用ペーストを作製した。液状エポキシ樹脂と硬化促進剤の混合比は、重量比で100:2となるようにした。
【0088】
光配線用ペーストをスピンコーターを用いて、石英基板上に塗布し、大気中でオーブンを用いて80℃で1時間乾燥したのち、硬化のために窒素中180℃で1時間加熱を行い、厚さ4μmの光伝搬損失測定試料を得た。評価結果は表3に示した。またバーコーターを用いて、得られた光配線用ペーストから、固化膜の膜厚で10、20、30、40、50μmの膜を作製することができた。
【0089】
実施例20
エポキシ樹脂:硫酸バリウム=60:40となるようにした以外は、実施例19と同様して試料を作製した。評価結果は表3に示した。またバーコーターを用いて、得られた光配線用ペーストから、固化膜の膜厚で10、20、30、40、50μmの膜を作製することができた。
【0090】
実施例21
硫酸バリウムに換えて、屈折率が1.61のチタンとシリコンの複酸化物を用い、チタンとシリコンの複酸化物と液状エポキシ樹脂の硬化後の体積比が、20:80になるようにした以外は実施例19と同様にして試料を作製した。評価結果は表3に示した。またバーコーターを用いて、得られた組成物から、固化膜の膜厚で10、20、30、40、50μmの膜を作製することができた。
【0091】
実施例22
実施例19の液状エポキシ樹脂の換わりに、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレンと2クロロ−テレフタル酸ジクロライドを重合させて得たアラミド樹脂を用いた。アラミド樹脂:硫酸バリウム=60:40となるように、アラミド樹脂と実施例19で用いた硫酸バリウム分散液をボールミルを用いて混合し、光配線用ペーストを得た。
【0092】
光配線用ペーストをスピンコーターを用いて、石英基板上に塗布し、大気中でオーブンを用いて80℃で30分間、続いて150℃で30分間、さらに280℃で1分間加熱を行い、厚さ5μmの光伝搬損失測定試料を得た。評価結果は表3に示した。またバーコーターを用いて、得られた組成物から、固化膜の膜厚で10、20、30、40、50μmの膜を作製することができた。
【0093】
【表3】

【0094】
実施例23
黒化処理を行った銅箔(18μm厚さ)付きの0.6mm厚さのFR−4基板上に、厚さ10μmのアンダークラッディング層を形成した。アンダークラッディング層は、以下の様にして形成した。液状エポキシ樹脂(Epotek社製 Product#314)に、γ−ブチロラクトンに分散した平均粒子径7nmのオルガノシリカゾルを、硬化後の体積比で、エポキシ樹脂:シリカ=57:43となるようボールミルを用いて混合し、光配線用ペーストを得た。次にこれをスピンコーターを用いて、塗布し、大気中でオーブンを用いて80℃で1時間乾燥したのち、硬化のために窒素中150℃で1時間加熱を行い、アンダークラッディング層付きFR−4基板を得た。アンダークラッディング層の屈折率は1.484であった。
【0095】
次に、イミド化したポリイミドを溶解した樹脂溶液に、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶媒に分散した粒子径12nmの酸化マグネシウムを添加し、硬化後の体積比で、ポリイミド樹脂:酸化マグネシウム=60:40となるように配合した光配線用ペーストを作製した。これを上記のアンダークラッディング層付きFR−4基板上に塗布し、80℃で1時間乾燥した後、窒素中180℃で1時間、固化を行い、厚さ40μmのコア層1を形成した。コア層の屈折率は1.634であった。次に通常のフォトリソグラフィとリアクティブイオンエッチングにより、幅50μmのコア層をリッジ形状に形成した。
【0096】
さらにこの上にアンダークラッディング層と全く同じ組成のオーバークラッディング層用ペーストを塗布し、80℃で1時間乾燥し、未硬化オーバークラッディング層を形成した。この上に、黒化処理を行った銅箔(厚さ18μm)付きの0.6mm厚さのFR−4基板を重ね、150℃1時間加熱プレスを行い、光電気複合配線基板を得た。
【0097】
この光電気複合配線基板を、光導波路に垂直な端面を形成するように、ダイシング装置(株式会社ディスコ製、DFD−6240)を用いて丁寧にカットした。このようにして基板の両端に上記端面が形成され、光導波路の長さが5cmとなった光電気複合配線基板を得た。一方の端面からのシングルモード光ファイバーによる波長0.85μmの光の導入と、もう一方の端からのフォトディテクターによる受光を行い、カットバック法により、光伝搬損失を求めたところ、0.1dB/cmであった。カットバック法では、ダインシング装置を用いて試料のカットを行い、カット前の光導波路の長さ5cmの試料での伝搬光強度と、カット後2cmの試料の伝搬光強度から光伝搬損失(単位:dB/cm)を求めた。
【0098】
また、光導入用の光ファイバーを左右と上下に動かし、もう一方の端面にあるフォトディテクターの検出光出力から光導入マージンを調べた。左右、上下ともに10μm移動で、フォトディテクターの検出光出力には殆ど変動が無かった。
【0099】
前記の光電気複合基板にTC試験を行ったところ、層間剥離やクラックは認められず、再度カットバック法で光伝搬損失を求めたところ、0.1dB/cmであった。
【0100】
実施例24
液状エポキシ樹脂(Epotek社製 Product# 314)に、γ−ブチロラクトンに分散した平均粒子径12nmのオルガノシリカゾルを、硬化後の体積比で、エポキシ樹脂:シリカ=80:20となるようボールミルを用いて混合した以外は、実施例1と同様にして光配線用ペーストを作製した。次に得られた光配線用ペーストをコア層に用いた以外は、実施例23と同様に光電気複合配線基板を作製した。コア層の屈折率を測定したところ、1.498であった。
【0101】
実施例23と同様にして、光導入マージンを調べたところ、フォトディテクターの検出光出力は、光導入用の光ファイバーの移動に敏感で、光ファイバーの移動に関し、フォトディテクター出力が安定するところがなかった。この試料にTC試験を行ったところ、層間剥離やクラックは認められなかった。
【0102】
実施例25
図1に本実施例で作製するクロストーク特性評価用の光配線基板の断面図を示す。実施例23で用いたアンダークラッディング層3(屈折率〔nb〕:1.484)付きFR−4基板5上に、実施例20で用いた光配線用ペーストを用いて、複数本の幅50μmの並行コア層1(屈折率〔na〕:1.62)を形成した。直線光導波路間のピッチが10、15、20、25、30、35、40μmとなるようにした。この後、実施例23と同様にして、オーバークラッディング層2と光導波路の端面形成を行い、光配線基板を作製した。コア層は、図2に示すように、上記ピッチのとおりどのパターンも並行に形成されていた。なお、図2はクロストーク特性評価用の光配線基板を上から見た図であり、コア層は点線で示した部分に位置する。
【0103】
それぞれの配線ピッチ間でのクロストークの有無を以下の方法で調べた。1本の光導波路の一方の端面からシングルモード光ファイバーを用いて波長0.85μmの光を導入させ、基板面に垂直な方向からCCDカメラで隣接する光導波路を観察し、クロストーク光の有無を観察した。結果を表4に示した。
【0104】
実施例26
エピコート157S70(ジャパンエポキシレジン(株)製)60重量部をメチルイソブチルケトン40重量部に溶かしたエポキシ樹脂溶液とγ−ブチロラクトンに分散した平均粒子径7nmのオルガノシリカゾルを、硬化後の体積比で、エポキシ樹脂:シリカ=85:15となるようボールミルを用いて混合し、クラッディング層用ペーストを作製した。このペーストをアンダークラッディング層(屈折率〔nb〕:1.56)およびオーバークラッディング層の作製に用いた以外は実施例25と同様にして、光電気複合配線基板を作製した。クロストークの有無の評価結果を表4に示した。
【0105】
実施例27
ビーズミルを用いて、硫酸バリウム(堺化学工業(株)製、BF−40)17.4重量部を、N,N−ジメチルアセトアミド80重量部、分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、Disperbyk−111)2.6重量部と混合、分散し、分散液を得た。
【0106】
硬化後の体積比で、エポキシ樹脂:硫酸バリウム=73:27となるように分散液と液状エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、エピクロンHP4032D)と硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール)をボールミルを用いて混合し、光配線用ペーストを作製した。液状エポキシ樹脂と硬化促進剤の混合比は、重量比で100:2となるようにした。
【0107】
得られたクラッディング層用ペーストをアンダークラッディング層(屈折率〔nb〕:1.58)およびオーバークラッディング層の作製に用いた以外は実施例25と同様にして、光電気複合配線基板を作製した。クロストークの有無の評価結果を表4に示した。
【0108】
【表4】

【0109】
比較例10
無機フィラーを用いない樹脂単体で膜を形成した以外は実施例22と同様にして試料作製、評価を行った。評価結果は表2に示した。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の光配線樹脂組成物は、パソコン、ハードディスクレコーダー、DVDレコーダー、ゲーム機、携帯電話などの高速信号伝送を行う情報機器に用いられる配線基板内のLSI間の情報伝送を行う光配線などに好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】クロストーク評価用の光配線基板の断面図。
【図2】図1のクロストーク評価用の光配線基板の上面図。
【符号の説明】
【0112】
1 コア層
2 オーバークラッディング層
3 アンダークラッディング層
4 黒化処理銅層
5 FR−4基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が1nm以上100nm以下である無機フィラーと樹脂を有し、無機フィラーの屈折率nfと樹脂の屈折率nrの比nf/nrが0.8以上1.2以下を満たす樹脂組成物であり、樹脂組成物の熱膨張係数が−1×10−5/℃以上4×10−5/℃以下、および−20℃から90℃における屈折率の真の温度依存性が−1×10−4/℃以上1×10−4/℃以下であり、波長0.6〜0.9μm、もしくは波長1.2〜1.6μmにおいて実質的に光吸収がない光配線用樹脂組成物。
【請求項2】
平均粒子径が1nm以上100nm以下である無機フィラーと樹脂を有し、無機フィラーの含有率が5体積%以上95体積%以下であり、無機フィラーの屈折率nfと樹脂の屈折率nrの比nf/nrが0.8以上1.2以下を満たす樹脂組成物であり、樹脂組成物の熱膨張係数が−1×10−5/℃以上4×10−5/℃以下、および−20℃から90℃における屈折率の真の温度依存性が−1×10−4/℃以上1×10−4/℃以下であり、波長0.6〜0.9μm、もしくは波長1.2〜1.6μmにおいて実質的に光吸収がない光配線用樹脂組成物。
【請求項3】
無機フィラーの体積含有率、無機フィラーの平均粒子径、無機フィラーの屈折率、樹脂の屈折率が下記式(1)を満たす請求項1または2記載の光配線用樹脂組成物。
【数1】

Vは無機フィラーの体積含有率、aは無機フィラーの平均粒子径(cm)、nfは無機フィラーの屈折率、nrは樹脂の屈折率、λは光配線内を導波する光の波長(μm)である。0.05≦V≦0.95、1≦a≦100、1.2≦nf≦2.4、1.3≦nr≦2、0.6≦λ≦0.9もしくは1.2≦λ≦1.6である。
【請求項4】
熱膨張係数が1.5×10−5/℃以上、3×10−5/℃以下である請求項1または2記載の光配線用樹脂組成物。
【請求項5】
無機フィラーの平均粒子径が1nm以上40nm以下である請求項1または2記載の光配線用樹脂組成物。
【請求項6】
無機フィラーが、Si−O結合、Mg−O結合、Al−O結合のいずれかの結合を含む材料、もしくは金属硫酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の光配線用樹脂組成物。
【請求項7】
樹脂が熱硬化性である請求項1または2記載の光配線用樹脂組成物。
【請求項8】
硬化温度が200℃以下である請求項1または2記載の光配線用樹脂組成物。
【請求項9】
樹脂と無機フィラーが、下記のそれぞれ屈折率が1.55以上1.75以下であるA群と屈折率が1.55以上1.75以下であるB群から少なくとも1種ずつ選ばれるか、または屈折率が1.3以上1.55以下であるC群と屈折率が1.3以上1.55以下であるD群から少なくとも1種ずつ選ばれるものである請求項1または2記載の光配線用樹脂組成物。
A群:ポリイミド樹脂、アラミド樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂
B群:硫酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、チタンとシリコンの複酸化物
C群:エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリシラン
D群:シリカ、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ハイドロタルサイト、フッ化マグネシウム、チタンとシリコンの複酸化物
【請求項10】
有機物と繊維基材を有する層と導体層と光導波層を有する光電気複合配線基板であって、光導波層が請求項1または2記載の樹脂組成物を含有する光電気複合配線基板。
【請求項11】
光導波層が異なる屈折率を有する少なくとも2層を有し、各層の屈折率差が0.05以上である請求項10記載の光電気複合配線基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−291197(P2006−291197A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85190(P2006−85190)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【分割の表示】特願2005−253175(P2005−253175)の分割
【原出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】