説明

光量調整装置、色ずれ量検出装置及び画像形成装置

【課題】パターン形成、出力読み取りの処理1回で調整できるようにする。
【解決手段】光量調整パターン印刷部103が書き込みユニット16に光量調整パターン印刷を指示し、書き込みユニット16によって光量調整パターンを転写ベルト18上に印刷し(ステップS101)、センサ40F,40C,40Rがパターンからの反射光量を検出し、光量設定値算出部102がセンサ40F,40C,40Rの出力を読み取って(ステップS102)、光量調整値を算出し(ステップS103)、これに基づいて光量設定部101が印字の際の光量を設定する。これにより1回の処理で光量調整値の算出が可能となり、光量調整が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力される画像信号に応じて半導体レーザを点灯制御して光書き込みを行う複写機、プリンタ、FAX、印刷機(全てカラーも含む)等の画像形成装置に係り、特に、画像形成装置のカラー画像を形成する際の位置ずれ量検出技術及び光量調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像形成装置では、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック各色の出力画像における色ずれをなくすことは画像品質向上のために重要であり、特に、書き込み光学系と画像担持体を各色毎に1セット持つ4連タンデム方式の場合、各色の画像がそれぞれ異なる光学系、画像担持体で形成されるため、色ずれは重要な課題となる。これを補正する手法として、転写ベルトなどに位置ずれ検出用のパターンを書き込み、前記パターンをセンサで読んでずれ量を検出し、書き込みタイミングや光学系補正手段で補正することが一般に行われている。
【0003】
このような従来技術として、例えば特許文献1に開示された発明が公知である。この発明は、 搬送体の表面状態に左右されることなく、かつ、搬送体の転写面色に左右されることなく、僅かな光量で搬送体に転写される各色ずれパターンと搬送体自体との反射率の差異を検知して色ずれを補正することを目的とし、正反射光学系となる光センサにより検知される搬送ベルトの下地反射状態に基づき一連の色ずれ検知パターン像を正反射光学系を介して読み取るための基準電圧を可変設定し、該基準電圧と光センサから出力される出力信号とを比較してコントロールユニットがパルス信号を生成し、該生成されるパルス信号に基づき各色画像間の色ずれ量を演算し、該演算された色ずれ量に基づいて、基準色以外の各画像形成ステーションによる画像の位置を補正制御するように構成されている。
【0004】
なお、関連する技術として、特許文献2ないし4に開示された発明も公知である。
【特許文献1】特開2001−318501公報
【特許文献2】特開2003−228216公報
【特許文献3】特開2003−098795公報
【特許文献4】特開2003−280317公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1に開示された発明では、色ずれ検知パターンの出力を光量検知手段で必ず読む工程があるため、色ずれ検知を行う前にパターン照射する発光光量を所望のレベルに調整しておく必要がある。
【0006】
すなわち前記従来技術では、光量調整においては光量の設定値を変更してはパターンの出力を読むことを複数回繰り返し、所望の目標値の出力を得られる光量設定値を求めていた。このために調整に時間がかかることは否めなかった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、パターン形成、出力読み取りの処理を最小限の回数で実施し、光量調整及び色ずれ量の検出ができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、第1の手段は、画像担持体にパターンを形成する手段と、発光素子と受光素子を含み、前記形成されたパターンからの反射光の光量を検出する手段と、前記発光素子の現在の設定光量で前記パターンからの反射光の光量を一度検出し、その検出結果から目標出力電圧を算出する手段と、前記算出する手段によって算出された目標出力電圧から印字する際の光量を設定する手段とを備えた光量調整装置を特徴とする。
【0009】
第2の手段は、第1の手段において、前記パターンが光量調整用パターンであることを特徴とする。
【0010】
第3の手段は、第1または第2の手段において、前記算出する手段は、前記光量を設定する手段によって設定された光量と前記検出する手段の出力との関係を示す直線のX切片(直線上で検知手段の出力の値が0となる点の発光手段への光量設定値、0の場合を含む)を予め求めておき、一度検出した前記パターンの出力値を通る直線から目標の出力電圧となる光量設定値を得ることを特徴とする。
【0011】
第4の手段は、第1ないし第3のいずれかの手段において、前記パターンは前記検出する手段のスポット径より主走査方向の幅寸法が大きいことを特徴とする。
【0012】
第5の手段は、第1ないし第4のいずれかの手段において、前記パターンはハーフトーンのパターンから形成されていることを特徴とする。
【0013】
第6の手段は、第1、第3、第4及び第5のいずれかの手段において、前記パターンが色ずれ検知に使用するトリガーパッチからなり、当該トリガーパッチが予め設定された1つの色で形成され、前記光量を設定する手段は、前記1つの色の出力レベルを目標値に設定することを特徴とする。
【0014】
第7の手段は、第1ないし第5のいずれかの手段において、前記パターンがマゼンタ、シアン、イエローの3色について形成され、前記光量を設定する手段は、その内の検出レベルの最も高い色の出力が目標値となるように調整することを特徴とする。
【0015】
第8の手段は、第1ないし第7のいずれかの手段に係る光量調整装置によって光量を調整した後、色ずれ量を検出する色ずれ量検出手段を備えた色ずれ量検出装置を特徴とする。
【0016】
第9の手段は、第8の手段において、前記色ずれ量検出手段が、色ずれ検知用パターンを前記光量を検出する手段によって検出された光量に基づいて色ずれ量を検出することを特徴とする。
【0017】
第10の手段は、第9の手段において、前記色ずれ検知用パターンが、主走査方向に3個以上形成された前記光量を検出する手段の検知幅より大寸のトリガパターンと、これらのトリガパターンに対して副走査方向に列状に形成されたマゼンタ、シアン、イエローの3色のパターン群、及びこれらの3色のパターン群のそれぞれに対して主走査方向に所定間隔で隣接して形成されたブラックのパターンとからなることを特徴とする。
【0018】
第11の手段は、第10の手段において、前記光量を検出する手段が主走査方向に3個以上設けられ、前記光量を検出する手段により前記色ずれ検知用パターンを検出する場合、中央の列のパターンでトリガをかけることを特徴とする。
【0019】
第12の手段は、第11の手段において、前記光量を設定する手段は、光量を設定する際、前記トリガをかけないパターンの列について前記トリガをかけるパターンの列と同一または異なる目標値を設定することを特徴とする。
【0020】
第13の手段は、第1ないし第7のいずれかの手段に係る光量調整装置を画像形成装置が備えていることを特徴とする。
【0021】
第14の手段は、第8ないし第12のいずれかの手段に係る色ずれ量検出装置を画像形成装置が備えていることを特徴とする。
【0022】
なお、後述の実施形態において、画像担持体は感光体ドラム14K、14C、14M、14Yに、画像担持体にパターンを形成する手段は書き込みユニット16、作像ユニット12K、12C、12M、12Y、現像ユニット13K、13C、13M、13Y及び転写ベルト18に、光量を検出する手段はセンサ40に、目標出力電圧を算出する手段は光量設定値算出部102に、光量を設定する手段は光量設定部101に、光量調整用パターンは符号45に、トリガーパッチは符号48に、色ずれ検知用パターンが主走査色ずれ検知用パターン46及び副走査色ずれ検知用パターン47に、色ずれ量検出手段が位置ずれ量算出部112にそれぞれ対応する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、パターン形成、出力読み取りの処理1回で調整できるようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。このカラー画像形成装置は、1つの手差しトレイ36、2つの給紙カセット34(第1給紙トレイ)、34(第2給紙トレイ)の3つの給紙トレイを持ち、手差しトレイ36より給紙された転写紙は給紙コロ37により直接レジストローラ23へ、また第1及び第2給紙トレイ34から給紙された転写紙は、給紙コロ35により中間ローラ39を経て、レジストローラ23に搬送され、感光体上に作像された画像が転写紙の先端にほぼ一致するタイミングでレジストクラッチ(不図示)がONされ、転写ベルト18へと搬送され、この転写ベルト18とこれに当接した紙吸着ローラ41とで構成される紙吸着ニップ通過する際、吸着ローラ41に印加されたバイアスにより転写ベルト18に吸着され、所定のプロセス線速で搬送される。
【0025】
次に、転写ベルト18に吸着された転写紙には、転写ベルト18をはさんで各色の感光体ドラム14K、14C、14M、14Yと対向した位置に配置された転写ブラシ21K、21C、21M、21Yにトナーの帯電極性(マイナス)と逆極性の転写バイアス(プラス)が印加されることにより、各感光体ドラム14K、14C、14M、14Yに作像された各色のトナー像がYellow→Magenta→Cyan→Bkの順で転写される。
【0026】
この各色の転写工程を経た転写紙は、転写ベルトユニットの駆動ローラ19で転写ベルト18から曲率分離され、定着部24に搬送され、定着ベルト25と加圧ローラ26により構成される定着ニップ通過により、トナー像が転写紙に定着され、その後、片面プリントの場合には、FDトレイ30へと排出される。
【0027】
また、予め両面印刷モードを選択した場合には、定着部24を通過した転写紙は、両面反転ユニット(不図示)に送られ、同ユニット部にて転写紙の表裏を反転されてから、転写ユニット下部に位置する両面搬送ユニット33に搬送され、搬送ローラ38によって搬送路32から再び中間ローラ39を経て、レジストローラ23に搬送され、以降は、片面プリント時に行われるプロセス動作と同様の動作を経て、定着部24を通過し、FDトレイ30へと排出される。
【0028】
以下、このカラー画像形成装置の作像部における動作を詳述する。
本画像形成部は、各色ともに感光体ドラム14K、14C、14M、14Y、帯電ローラ、クリーニング部を持つ作像ユニット12K、12C、12M、12Yと、現像ユニット13K、13C、13M、13Yにより構成されている。画像形成時、感光体ドラム14K、14C、14M、14Yはメインモータ(不図示)により回転駆動され、帯電ローラに印加されたACバイアス(DC成分はゼロ)により除電され、その表面電位が例えば略−50vの基準電位となる。
【0029】
次に感光体ドラム14K、14C、14M、14Yは、帯電ローラにACバイアスを重畳したDCバイアスを印加することによりほぼDC成分に等しい電位に均一に帯電されて、その表面電位が例えば略−500v〜−700v(目標帯電電位はプロセス制御部により決定される)に帯電される。プリンタ画像としてコントローラ部より送られてきたデジタル画像情報は、各色毎の2値化されたLD発光信号に変換されシリンダレンズ、ポリゴンモータ、fθレンズ、第1〜第3ミラー、及びWTLレンズを介して(書き込みユニット16)、各色の感光体ドラム14K、14C、14M、14Y上に照射されることにより、照射された部分の感光体上表面電位が例えば略−50vとなり、画像情報に対応した静電潜像が作像される。
【0030】
感光体上の各色画像情報に対応した静電潜像は現像ユニット13K、13C、13M、13Yによる現像工程では、現像スリーブにACバイアスを重畳した例えばDC:−300〜−500vが印加されることにより、LD書き込みにより電位が低下した画像部分にのみトナー(Q/M:−20〜−30μC/g)が現像され、トナー像が形成される。
【0031】
このように作像された各色の感光体上のトナー画像は、レジストローラ23より搬送され、紙吸着ローラ41のニップ通過により転写ベルト18上に吸着された転写紙上に、この転写ベルトをはさんで感光体と対向した位置に配置されている転写ブラシ21K、21C、21M、21Yに印加されるトナーの帯電極性とは逆極性のバイアス(転写バイアス)により転写紙上に転写される。なお、符号40は後述の光量調整パターンを検出するセンサである。符号20は転写ベルト18と感光体12K,12C,12M,12Yとの接触を確保するためのローラで有り、図では20M,20Yのみ示している。なお、前記電位などの各値は一例である。
【0032】
図2は光量を調整する制御構成を示す機能ブロック図、図3は光量調整手順を示すフローチャートである。光量調整制御部100は、光量設定部101、光量設定値算出部102、光量調整パターン印刷部103、書き込みユニット16及びセンサ(光量検知手段)40からなる。
【0033】
この実施形態では、光量調整を行う場合、図3のフローチャートに示すように光量調整パターン印刷部103が書き込みユニット16に光量調整パターン印刷を指示し、書き込みユニット16によって図6に示すように光量調整パターンを転写ベルト18上に印刷し(ステップS101)、センサ40F,40C,40Rがパターンからの反射光量を検出し、光量設定値算出部102がセンサ40F,40C,40Rの出力を読み取って(ステップS102)、光量調整値を算出し(ステップS103)、これに基づいて光量設定部101が印字の際の光量を設定する。
【0034】
図4は光量設定値と光量調整パターン出力値との関係を示す図、図5はセンサ40の構成を示す概念図である。光量の調整を行う場合には、予め光量設定値に対するセンサ40の光量調整パターン読み取り時の出力の関係を示す直線LからX切片(直線上で検知手段の出力の値が0となる点の発光手段への光量設定値、0の場合を含む)を求めておく。このX切片の値は機械間で固定としても良いし、機械毎に設定しても良い。実際に色合わせを実行する際には、まず現在の光量Aをセンサ40の発光部40aに設定し、光量調整用パターン(後述の45)からの反射光量のセンサ40の受光部40bからの検知出力値Bを読み取る。次に、この出力値Bが目標出力値Cとなる光量設定値を、前記X切片と座標(X,Y)=(現在の光量設定値、読み取り結果値)を通る直線Lより求める。すなわち、調整後の設定値Dは、
調整後の設定値=(調整前の設定値−X切片)×目標出力値/読み取り結果値+X切片
で求められる。
【0035】
図6は転写ベルト18上に光量調整パターンを形成した状態を示す図である。センサは前側、中央、後側の3個所に設けられた3つのセンサ40F,40C,40Rからなり、転写ベルト18の画像形成領域にC,M,Yの各色について設けられた光量調整パターン45CF,45MF,45YF、45CC,45MC,45YC、45CR,45MR,45YRを読み取る(以下、符号45で光量調整パターンを代表する)。光量調整パターン45は、副走査方向に2ドット幅で、10ドット間隔で設けられ、主走査方向についてはセンサ40のスポット径より大寸に設定されている。また、副走査方向の本数は任意であるが、この場合も、形成した光量調整パターン45の副走査方向の外形形状が少なくともセンサ40のスポット径より大寸に形成されるように設定されている。
【0036】
光量調整は前述の図3のフローチャートに示した手順で行われる。光量の調整は光量調整パターンの濃度を図6のようにハーフトーンで調整するため、光量調整時の目標出力値を、図7に示す色ずれ検知用またはトリガー検知用パターン46,47,48の目標出力値と異なる値で設定できる。このため光量調整時の失敗を低減する目標設定と、ダイナミックレンジ有効活用、トリガー信頼性確保のための後の色ずれ検知用46,47またはトリガー検知用パターン48の目標設定を、それぞれ独立に設定して両立させることができる。
【0037】
図7は色ずれ検知用の印刷パターンの一例を示す図である。同図に示すように主走査色ずれ検知用パターン46は副走査方向に配置されたマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の3色のパターン46M,46C,46Yと、これら3色の配置方向に沿って形成されたブラック(K)のパターン46Kから構成されている。前記3色のパターン46M,46C,46Yは副走査方向に沿って延びる直線上に形成されているが、ブラックのパターン46Kは所定幅(所定ドット数)ずつ主走査方向に移動した位置に形成される。これにより、MCY3色のパターン46M,46C,46YとKのパターン46Kが重なる位置が検出され、その位置が主走査方向の位置ずれない位置となる。図では副走査方向に関して3番目のパターン群46−3と、N番目のパターン群46−N(Nは3以上の整数)との間に1番目のパターン46−1と2番目のパターン46−2とのずれ量だけ順にずれた黒と3色のパターン46K,46M,46C,46Yのパターン群が省略されている。なお、色ずれ検知パターン46でトリガー検知するためのパターン48は全て例えばシアンで統一しておく。このほかに色ずれ検知用の色はセンサ40に対する感度で選択しても良い。この色の光量調整用パターン45を図6のシアンのパターンのように形成し、この出力を目標値に調整すれば、トリガーの信頼性が保証される。光量調整時に一色の出力レベルを目標値に調整するだけでよければ、他の色の光量調整用パターンはなくとも良い。
【0038】
また副走査色ずれ検知用パターン47は主走査方向にセンサ40の検知幅より大寸の所定幅で、かつ副走査方向に所定間隔毎に形成された複数のシアン(C)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)のパターン47C,47Y,47Mと、隣接する各色のパターン47C,47Y,47M間の間隔より若干狭い予め設定された間隔で形成された複数の黒(K)のパターン47Kから構成されている。図7では、イエローのパターン47Yに隣接して黒のパターン47Kが形成され、マゼンタのパターン47Mに対して副走査方向に隣接して黒のパターン47Kが形成され、シアンのパターン47Cに副走査方向に隣接して黒のパターン47Kが形成され、というように黒のパターン47Kと他の色のパターン47C,47Y,47Mが順次並んで形成され、黒のパターン47Kが他のパターン47C,47Y,47Mよりも狭い間隔で形成されているので、いずれかの位置で黒のパターン47Kと他のパターン47C,47Y,47Mが重なり、その位置が検出できる。そして、その位置が副走査方向に位置ずれのない位置となる。このときの検知光量の出力を基準として色ずれ(位置ずれ)が検出できる。
【0039】
また、光量調整時には図6に示すようにマゼンタ、シアン、イエローの3色のパターンの出力を1回読み、その3色の内の最大値が目標値となるように光量調整すれば、後に図7に示すような色ずれ検知パターンの読み取りを行う場合に、3色の濃度に差異があっても色ずれパターンの目標値を超えないことが保証される。
【0040】
また、図8に示すように副走査方向に形成する一連の位置ずれ検知パターン46,47(以下、符号46で主走査色ずれ検知用パターン、符号47で副走査色ずれ検知用パターンを代表する)を主走査方向に複数列ならべ、主走査方向で複数のセンサ40F,40C,40Rによって検知する場合、例えば左端の列のパターンのトリガーパターン48で読み取りタイミングの基準を取り、順次パッチの出力を読んで行くと、スキューずれが生じていた場合に点線で示すように右端の列の読み取りタイミングがパターンからずれてしまう問題があった(スキューずれとは主走査方向を水平方向、副走査方向を垂直方向に置いた場合、本来主走査方向は水平でなければならないものが、図8に示すように斜めに形成された画像のことである。)。そこで、このような場合には、中央の列のパターンでトリガをかけると、実線で示すようにこのスキューずれによる読み取りタイミングのずれを軽減できる。
【0041】
また、例えば図7に示すような、副走査方向に形成する一連の位置ずれ検知パターン47を主走査方向に複数列ならべ、主走査方向に複数のセンサ40F,40C,40Rで1回走査して検知する方式の場合、光量調整時には図5に示すようにセンサ40F,40C,40Rに対応する列にパターンを形成した光量調整用パターンを用い、トリガーを検知する列と、トリガーを検知しない列で光量調整時の目標値を異ならせて調整することによって、個々の列に応じて必要最適な光量調整が行える。例えばトリガーをかけるセンター(C)に対してフロント(F)、リア(R)は出力を1.5倍に調整することなどが可能となる。
【0042】
図9は色ずれ検知部の構成を示すブロック図である。色ずれ検知部110は、センサ40、位置ずれ検出パターン印刷部111、位置ずれ量算出部112及び書き込みユニット16から基本的に構成されている。このように構成された色ずれ検知部110では、図10のフローチャートに示すように、まず、位置ずれ検出パターン印刷部111によって図7に示す色ずれ検出パターンをベルト上に印刷し(ステップS201)、センサ40によって検出パターン46,47からの反射光を読み取り(ステップS202)、その読み取り出力に基づいて位置ずれ量算出部112で位置ずれ量を算出する(ステップS203)。
【0043】
なお、この位置ずれ量検知は図11のフローチャートに示すように、光量調整を実施した後に行われる。これは光量が調整されていないと、位置ずれ検知用パターンを検出したときの検出値に基づいて位置ずれ量の算出ができないからである。位置ずれ量の検出は、前記基準値の検出の他に、例えば検出値の最大値と最小値とを用いて、あるいは検出値の変化率に基づいて行うことができる。なお、位置ずれ量の検出自体は公知の技術なので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、従来の光量調整では光量の設定値を変更してはパターンの出力を読むことを複数回繰り返し、所望の目標値の出力を得られる光量設定値を求めていたので調整に時間がかかっていたが、パターン形成、出力読み取りの処理を1回で行えるため、調整時間を短縮できる。これによりユーザの待ち時間を短縮できる。
【0045】
また、光量調整パターンはセンサのスポット径より幅を広くし、相対位置のずれによる出力の変化が起きないため、位置ずれに対して光量調整の信頼性向上、精度向上を図ることができる。
【0046】
また、ハーフトーンの濃度を調整することにより、光量調整の目標値を後の色ずれ検知用またはトリガー検知用パターンの目標出力値と異なる値で目標設定できるため、光量調整パターン読み取り時の出力レンジオーバーが低減し、調整の計算が行えなくなる場合を低減でき、光量調整の信頼性が向上する。またハーフトーンの濃度調整のため安定した出力を得られ、光量調整の精度向上の効果がある。また色ずれ検知用またはトリガー検知用パターンのダイナミックレンジが確保されるため色ずれ検知の精度向上、信頼性向上を図ることができる。
【0047】
また、色ずれ検知時のトリガー処理が一度または複数回存在し、このトリガーパッチを全て一色で形成し、光量調整時にこの一色の出力レベルを目標値に調整することで色ずれ検知時のトリガーの信頼性を保証できる。
【0048】
また、光量調整パターンはマゼンタ、シアン、イエローの3色について出力を読み、その内出力レベルの最も高い色の出力が目標値となるように調整することによって、たとえ3色に濃度の違いが生じていても、後の色ずれ検知の際に全色ともダイナミックレンジを考慮した目標値を超えることがないため、色ずれ検知の精度向上、信頼性向上を図ることができる。
【0049】
また、中央の列のパターンでトリガをかけることにより、スキューずれによる読み取りタイミングのずれを軽減でき、色ずれ検知の信頼性が向上する。
【0050】
また、トリガーを検知する列と、トリガーを検知しない列で光量調整時の目標値を異ならせることによって、トリガ検知に最適な光量調整目標値と色ずれ検知に最適な光量調整目標値が異なっていても、個々の列に応じて必要最適な光量調整が行え、色ずれ検知の精度向上、信頼性向上の効果がある。
【0051】
さらに、色ずれ検知を行う前に必ず光量調整を実施することにより、色ずれ検知の信頼性、精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係るカラー画像形成装置の概略構成図である。
【図2】光量を調整する制御構成を示す機能ブロック図である。
【図3】光量調整手順を示すフローチャートである。
【図4】光量設定値と光量調整パターン出力値との関係を示す図である。
【図5】センサの構成を示す概念図である。
【図6】転写ベルト18に光量調整パターンを形成した状態を示す図である。
【図7】色ずれ検知用の印刷パターンの一例を示す図である。
【図8】色ずれ検知用の印刷パターンの他の例を示す図である。
【図9】色ずれ検知部の構成を示すブロック図である。
【図10】色ずれ検知手順を示すフローチャートである。
【図11】光量調整と色ずれ検知の処理手順の順番を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
12K、12C、12M、12Y 作像ユニット
13K、13C、13M、13Y 現像ユニット
14K、14C、14M、14Y 感光体ドラム
16 書き込みユニット
18 転写ベルト
40 センサ
45 光量調整用パターン
46 主走査位置ずれ検知用パターン
47 副走査位置ずれ検知用パターン
48 トリガーパッチ
101 光量設定部
102 光量設定値算出部
112 位置ずれ量算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像担持体にパターンを形成する手段と、
発光素子と受光素子を含み、前記形成されたパターンからの反射光の光量を検出する手段と、
前記発光素子の現在の設定光量で前記パターンからの反射光の光量を一度検出し、その検出結果から目標出力電圧を算出する手段と、
前記算出する手段によって算出された目標出力電圧から印字する際の光量を設定する手段と、
を備えていることを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
前記パターンが光量調整用パターンであることを特徴とする請求項1記載の光量調整装置。
【請求項3】
前記算出する手段は、
前記光量を設定する手段によって設定された光量と前記検出する手段の出力との関係を示す直線のX切片を予め求めておき、一度検出した前記パターンの出力値を通る直線から目標の出力電圧となる光量設定値を得ることを特徴とする請求項1または2記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記パターンは前記検出する手段のスポット径より主走査方向の幅寸法が大きいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光量調整装置。
【請求項5】
前記パターンはハーフトーンのパターンから形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光量調整装置。
【請求項6】
前記パターンが色ずれ検知に使用するトリガーパッチからなり、当該トリガーパッチが予め設定された1つの色で形成され、前記光量を設定する手段は、前記1つの色の出力レベルを目標値に設定することを特徴とする請求項1、3、4及び5のいずれか1項に記載の光量調整装置。
【請求項7】
前記パターンがマゼンタ、シアン、イエローの3色について形成され、前記光量を設定する手段は、その内の検出レベルの最も高い色の出力が目標値となるように調整することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光量調整装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光量調整装置によって光量を調整した後、色ずれ量を検出する色ずれ量検出手段を備えていることを特徴とする色ずれ量検出装置。
【請求項9】
前記色ずれ量検出手段が、色ずれ検知用パターンを前記光量を検出する手段によって検出された光量に基づいて色ずれ量を検出することを特徴とする請求項8記載の色ずれ量検出装置。
【請求項10】
前記色ずれ検知用パターンが、主走査方向に3個以上形成された前記光量を検出する手段の検知幅より大寸のトリガパターンと、これらのトリガパターンに対して副走査方向に列状に形成されたマゼンタ、シアン、イエローの3色のパターン群、及びこれらの3色のパターン群のそれぞれに対して主走査方向に所定間隔で隣接して形成されたブラックのパターンとからなることを特徴とする請求項9記載の色ずれ量検出装置。
【請求項11】
前記光量を検出する手段が主走査方向に3個以上設けられ、前記光量を検出する手段により前記色ずれ検知用パターンを検出する場合、中央の列のパターンでトリガをかけることを特徴とする請求項10記載の色ずれ量検出装置。
【請求項12】
前記光量を設定する手段は、光量を設定する際、前記トリガをかけないパターンの列について前記トリガをかけるパターンの列と同一または異なる目標値を設定することを特徴とする請求項11記載の色ずれ量検出装置。
【請求項13】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光量調整装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項8ないし12のいずれか1項に記載の色ずれ量検出装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像担持体にパターンを形成する手段と、
発光素子と受光素子を含み、前記形成されたパターンからの反射光の光量を検出する手
段と、
前記発光素子の現在の設定光量で前記パターンからの反射光の光量を一度検出し、その
検出結果から目標出力電圧となる光量設定値を算出する手段と、
前記算出する手段によって算出された光量設定値から印字する際の光量を設定する手段と、
を備えていることを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
前記パターンが光量調整用パターンであることを特徴とする請求項1記載の光量調整装
置。
【請求項3】
前記算出する手段は、
前記光量を設定する手段によって設定された光量と前記検出する手段の出力との関係を
示す直線のX切片を予め求めておき、前記予め求められた直線のX切片と一度検出した前記パターンの出力値を通る直線から目標の出力電圧となる光量設定値を得ることを特徴とする請求項1または2記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記パターンは前記検出する手段のスポット径より主走査方向の幅寸法が大きいことを
特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光量調整装置。
【請求項5】
前記パターンはハーフトーンのパターンから形成されていることを特徴とする請求項1
ないし4のいずれか1項に記載の光量調整装置。
【請求項6】
前記画像担持体に形成するパターンのうち、色ずれ検知用パターンの副走査方向の先頭部分にトリガーパッチを配置し、当該トリガーパッチが予め設定された1つの色で形成され、前記光量を設定する手段は、前記1つの色の出力レベルを目標値に設定することを特徴とする請求項1、3、4及び5のいずれか1項に記載の光量調整装置。
【請求項7】
前記パターンがマゼンタ、シアン、イエローの3色について形成され、前記光量を設定
する手段は、その内の検出レベルの最も高い色の出力が目標値となるように調整すること
を特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光量調整装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光量調整装置によって光量を調整した後、色
ずれ量を検出する色ずれ量検出手段を備えていることを特徴とする色ずれ量検出装置。
【請求項9】
前記色ずれ量検出手段が、前記色ずれ検知用パターンを前記光量を検出する手段によって検出された光量に基づいて色ずれ量を検出することを特徴とする請求項8記載の色ずれ量検出装置。
【請求項10】
前記色ずれ検知用パターンが、主走査方向に3個以上形成された前記光量を検出する手
段の検知幅より大寸のトリガパターンと、これらのトリガパターンに対して副走査方向に
列状に形成されたマゼンタ、シアン、イエローの3色のパターン群、及びこれらの3色の
パターン群のそれぞれに対して主走査方向あるいは副走査方向に所定の変化量で順次位置をずらして形成されたブラックのパターンとからなることを特徴とする請求項9記載の色ずれ量検出装置。
【請求項11】
前記色ずれ検知用パターンが主走査方向に3個以上設けられ前記色ずれ検知用パターンを検出する際のトリガを中央部に設けられるパターンのトリガパッチよってかけることを特徴とする請求項6、8、9及び10のいずれか1項に記載の色ずれ量検出装置。
【請求項12】
前記光量を設定する手段は、光量を設定する際、前記色ずれ検知用パターンのトリガをかけないパターンの列の光量を設定する手段に設定する光量設定値の目標値を、前記トリガをかけるパターン列の光量設定値と異なる値に設定することを特徴とする請求項8又は11記載の色ずれ量検出装置。
【請求項13】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光量調整装置を備えていることを特徴とする
画像形成装置。
【請求項14】
請求項8ないし12のいずれか1項に記載の色ずれ量検出装置を備えていることを特徴
とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−187993(P2006−187993A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2533(P2005−2533)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】