説明

光電センサ

【課題】検出対象物体に合わせて検出領域を調整して、検出対象物体が小さい場合であっても検出精度を維持できる光電センサを提供する
【解決手段】透過型光電センサ1は、投光部13の投光部スリット15から投光され検出領域を通過した光を受光部14が受光して、検出領域の検出対象物体の有無を検出する。検出対象物体の大きさに合わせて、アタッチメント30,40を装着し、検出領域の幅を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は透過型光電センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップ部品等の特性ランク選別装置において、当該部品等の通過を検出するために光電センサが用いられている。特にチップ部品等が小型である場合、特許文献1に開示されたような従来の光電センサを用いるとともに、投光部と受光部に挟まれた検出領域に、チップ部品を通過させるためのガラス管を設置する。部品無通過時には投光部が投光した光がチップ部品に遮光されることなく受光部で受光するのに対し、部品通過時には投光の一部がチップ部品により遮光されて受光量が減少するので、受光量の変化に基づいてチップ部品の通過有無を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−43921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光電センサは以上のように構成されているので、部品無通過時において光電センサの投光部から投光された光のうち、受光部で受光される光が通過する領域(検出領域)であって、部品通過時における、チップ部品の通過位置に相当する検出領域の幅に比して検出対象物体の、光軸と直交する方向の大きさが小さいほど遮光量が少なくなり、物体無通過時と物体通過時の光量変化が乏しくなって検出精度が悪化してしまう。
従って、光電センサの検出領域が検出対象物体の大きさに合っていない場合には、検出精度が悪化するという課題があった。一方、検出対象物体の大きさに合わせて、検出領域の小さい又は大きい光電センサを複数使い分ける場合には、コストが増大してしまう。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、検出対象物体に合わせて検出領域を調整して、検出対象物体が小さい場合であっても検出精度を維持できる光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る光電センサは、検出領域へ投光する投光部と、検出領域を挟んで投光部に対向し、投光部からの光を受光する受光部と、投光部及び受光部のうちの少なくとも一方に着脱自在に装着されて、光の一部を遮光するアタッチメントとを備えるものである。
【0007】
請求項2の発明に係る光電センサは、投光部及び受光部を一体に支持する筐体を備えるものである。
【0008】
請求項3の発明に係る光電センサは、筐体を、両腕部が対向するコ字状とし、一方の腕が投光部を支持し、他方の腕が受光部を支持するものである。
【0009】
請求項4の発明に係る光電センサは、筐体をロ字状とし、対向する一対の辺のうちの一方が投光部を支持し、他方が受光部を支持するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、投光部及び受光部のうちの少なくとも一方に着脱自在に装着されて、光の一部を遮光するアタッチメントを備えるようにしたので、検出領域を検出対象物体に合わせて調整可能な光電センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る透過型光電センサの構成を示す分解斜視図である。
【図2】筐体に連結片を連結した場合の透過型光電センサの斜視図である。
【図3】筐体にアタッチメントを装着した場合の透過型光電センサの斜視図である。
【図4】実施の形態2に係る透過型光電センサの構成を示す分解斜視図であり、筐体をロ字状に形成した例である。
【図5】実施の形態3に係る透過型光電センサの構成を示す分解斜視図であり、投光部及び受光部を別体に形成した例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る透過型光電センサ1の構成を示す分解斜視図である。図1において、透過型光電センサ1は、コ字状の筐体10と、コ字形状開放端に連結する連結片20と、検出領域調整用のアタッチメント30,40とからなる。
【0013】
筐体10には、不図示のアンプから伸びる投光用光ファイバ11及び受光用光ファイバ12の各一端が接続される。投光用光ファイバ11の先端(以下、投光部13と称す)は、筐体10のコ字形状の一方の腕に支持され、コ字形状の凹部に相当する検出領域側を向いている。検出領域側の側面には投光部スリット15が形成されており、投光部13から出る拡散光は投光部スリット15によりスリット光となって検出領域に投光される。この投光部スリット15の幅が検出領域の幅に等しい。
【0014】
受光用光ファイバ12の先端(以下、受光部14と称す)は、筐体10のコ字形状の他方の腕に支持され、検出領域を挟んで投光部13と対向する。検出領域側の側面には受光部スリットが、投光部スリット15と同じように形成されている。投光部13の投光は、検出領域を進み、受光部スリットを通って受光部14で受光され、受光用光ファイバ12を通ってアンプへ入る。
【0015】
また、筐体10のコ字形状開放端には、各係合穴17が形成され、連結片20の各係合爪21がそれぞれ係合する。この連結片20は、透過型光電センサ1の検出領域にガラス管、パイプ等を設置するために、及び後述するアタッチメント30,40を装着するために、取り外し可能に設けられている。
【0016】
アタッチメント30の上下面には各係合穴31が形成され、これら係合穴31は、筐体10の上下面に形成された各係合爪18に係合する。アタッチメント40は、アタッチメント30と同一形状であり、単に向きを変えて使用する。このアタッチメント40にも、上下面に各係合穴41が形成され、これら係合穴41は、連結片20の上下面に形成された各係合爪22に係合する。
【0017】
図2に、筐体10に連結片20を連結した場合の透過型光電センサ1の斜視図を示し、図3に、筐体10にアタッチメント30,40を装着した場合の透過型光電センサ1の斜視図を示す。アタッチメント30,40を装着せずに透過型光電センサ1を使用する場合、図2に示すように、先ずガラス管100を検出領域に設置し、続いて筐体10に連結片20を連結する。この場合は、検出領域の幅が広いので大径のガラス管100を設置でき、大きい検出対象物体をガラス管100内に通過させることができる。投光部13から投光した光は投光部スリット15を通って検出領域へ進み、ガラス管100を透過して、受光部スリットを通って受光部14で受光される。ガラス管100の、検出領域に相当する範囲に通過中の検出対象物体が存在していると投光の一部が遮光されるので、このときの受光量の変化に基づいて透過型光電センサ1が通過有無を検出する。検出領域の幅、即ち投光部スリット15の幅が検出対象物体に比して大きいと、十分な遮光量が得られず、検出精度が悪化する。
【0018】
そこで、検出対象物体が小さい場合には、筐体10にアタッチメント30,40を装着して、検出領域の幅を検出対象物体の大きさに合うよう狭める。図3では、筐体10の検出領域にアタッチメント30が装着され、ガラス管100より小径のガラス管101が設置され、さらに、筐体10の開放端に、アタッチメント40が装着された連結片20が連結される。アタッチメント30,40が投光部スリット15及び受光部スリットの一部をそれぞれ被覆するので、投光した光及び受光する光の一部を遮光して検出領域の幅を狭くすることができる。よって、検出対象物体が小さくとも物体検出に必要な遮光量が得られ、検出精度が悪化することはない。
【0019】
なお、図3の例では、アタッチメント30,40を共に装着したが、検出対象物体の大きさに応じてアタッチメント30(又はアタッチメント40)のみ装着することもできる。また、アタッチメント30,40の形状は、投光部スリット15及び受光部スリットの一部を覆う形状であれば図示例以外の形状でもよく、例えばアタッチメント30,40一体形状でもよい。さらに、連結片20を用いずに、筐体10にアタッチメント40を直接装着できるようにしてもよい。
【0020】
なお、透過型光電センサ1において、投光部スリット15から投光されたスリット光は、円柱状のガラス管100,101内に入射するときその一部が屈折してしまい、ガラス管100,101内に検出対象物体を検出できない領域、所謂デッドゾーンが生じることがある。この場合、ガラス管100,101を設けなければ検出領域であった箇所の一部が上述のデッドゾーンになることとなる。そこで、透過型光電センサ1の検出領域を囲む面にミラーを設けて反射率を高め、デッドゾーン発生を防止、またはその範囲を縮小するようにしてもよい。
図1の例では、アタッチメント30,40非装着時に検出領域を囲む面に側面ミラー19,20を設け、また、アタッチメント30,40装着時に検出領域を囲む面に側面ミラー32,42を設けている。
【0021】
以上より、実施の形態1によれば、透過型光電センサ1を、投光部スリット15を経由して検出領域へ投光する投光部13と、検出領域を挟んで投光部13に対向し、投光部13からの光を受光部スリットを経由して受光する受光部14と、投光部13及び受光部14を一体に支持するコ字状の筐体10と、投光部13及び受光部14のうちの少なくとも一方に着脱自在に装着されて、光の一部を遮光するアタッチメント30,40とを備えるように構成した。このため、単一の光電センサの検出領域を検出対象物体に合わせて調整することができ、検出対象物体が小さい場合であっても検出精度を維持可能な光電センサを提供することができる。
【0022】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、透過型光電センサ1の筐体10をコ字状にして、ガラス管100,101設置のために連結片20を取り外し可能に形成する構成としたが、筐体10の形状はこれに限定されるものではなく、筐体10をロ字状に構成してもよい。図4は、実施の形態2に係る透過型光電センサ1aの構成を示す分解斜視図であり、筐体10をロ字状に形成した例である。なお、図4において図1と同一又は相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。透過型光電センサ1aの場合、筐体10の対向する一対の辺の一方で投光部13を支持し、他方で受光部14を支持する。また、アタッチメント30,40の各上面に係合穴31,41をそれぞれ形成し、これらアタッチメント30,40を筐体10の上方から装着する。
【0023】
以上より、実施の形態2によれば、透過型光電センサ1aを、投光部スリット15を経由して検出領域へ投光する投光部13と、検出領域を挟んで投光部13に対向し、投光部13からの光を受光部スリットを経由して受光する受光部14と、投光部13及び受光部14を一体に支持するロ字状の筐体10と、投光部13及び受光部14のうちの少なくとも一方に着脱自在に装着されて、光の一部を遮光するアタッチメント30,40とを備えるように構成した。このため、上記実施の形態1と同様に、単一の光電センサの検出領域を検出対象物体に合わせて調整することができ、検出対象物体が小さい場合であっても検出精度を維持可能な光電センサを提供することができる。
【0024】
実施の形態3.
上記実施の形態1,2では、筐体10が投光部13及び受光部14を一体で支持する構成としたが、これに限定されるものではなく、投光部13及び受光部14を別体で支持する構成にしてもよい。図5は、実施の形態3に係る透過型光電センサ1cの構成を示す分解斜視図であり、投光部13及び受光部14を別体に形成した例である。なお、図5において図1と同一又は相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。透過型光電センサ1cは、投光部13を支持する筐体10aと、受光部14を支持する筐体10bとが別体で形成されているため、使用する際には、投光部スリット15と受光部スリットとが対向するように筐体10a,10bを位置合わせする必要がある。
【0025】
アタッチメント50の上下面には各係合穴51が形成され、これら係合穴51は、筐体10aの上下面に形成された各係合爪52に係合して、投光部スリット15の一部を被覆する。アタッチメント60は、アタッチメント50と同一形状であり、単に向きを変えて使用する。このアタッチメント60にも、上下面に各係合穴61が形成され、これら係合穴61が筐体10bの上下面に形成された各係合爪62に係合して、受光部スリットの一部を被覆する。
【0026】
以上より、実施の形態3によれば、透過型光電センサ1cを、投光部スリット15を経由して検出領域へ投光する投光部13と、検出領域を挟んで投光部13に対向し、投光部13からの光を受光部スリットを経由して受光する受光部14と、投光部13及び受光部14のうちの少なくとも一方に着脱自在に装着されて、光の一部を遮光するアタッチメント50,60とを備えるように構成した。このため、上記実施の形態1,2と同様に、検出対象物体に合わせて検出領域を調整することができ、検出対象物体が小さい場合であっても検出精度を維持可能な光電センサを提供することができる。
【0027】
なお、上記実施の形態1〜3に示した透過型光電センサは、筐体とガラス管とを別体に設けたが、一体に設けてもよい。あるいは、ガラス管を用いずに、検出対象物体を直接、検出領域内に通過させるようにしてもよい。
【0028】
また、上記実施の形態1〜3では、アタッチメントが投光部スリット及び受光部スリットの各一部をそれぞれ被覆する構成としたが、これは、投光部の投光に拡散光を用いるためである。上記実施の形態1〜3では拡散光を投光部スリットでスリット光にして検出領域に投光するので、投光部スリットと受光部スリットをそれぞれ被覆する必要がある。
ただし、投光部の投光にレーザ光源を用いる、あるいはコリメータレンズ等を用いることにより、投光を平行光として用いる場合には投光部スリット又は受光部スリットの少なくともどちらか一方を被覆すれば足りる。また、レーザ光を用いる場合には、必ずしも投光部スリット及び受光部スリットを設けなくても良く、投光部又は受光部の一部を直接被覆すればよい。
【符号の説明】
【0029】
1,1a,1b 透過型光電センサ
10,10a,10b 筐体
11 投光用光ファイバ
12 受光用光ファイバ
13 投光部
14 受光部
15 投光部スリット
17 係合穴
18 係合爪
19 側面ミラー
20 連結片
21 係合爪
22 係合爪
23 側面ミラー
30,40,50,60 アタッチメント
31,41,51,61 係合穴
32,42 側面ミラー
52,62 係合爪
100,101 ガラス管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域へ投光する投光部と、
前記検出領域を挟んで前記投光部に対向し、前記投光部からの光を受光する受光部と、
前記投光部及び前記受光部のうちの少なくとも一方に着脱自在に装着されて、光の一部を遮光するアタッチメントとを備える光電センサ。
【請求項2】
投光部及び受光部を一体に支持する筐体を備えることを特徴とする請求項1記載の光電センサ。
【請求項3】
筐体は、両腕部が対向するコ字状とし、一方の腕が投光部を支持し、他方の腕が受光部を支持することを特徴とする請求項2記載の光電センサ。
【請求項4】
筐体はロ字状とし、対向する一対の辺のうちの一方が投光部を支持し、他方が受光部を支持することを特徴とする請求項2記載の光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−27532(P2011−27532A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173232(P2009−173232)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】