説明

免疫モジュレーションのための方法および薬剤ならびに免疫モジュレーターの同定方法

免疫モジュレーションのための方法および薬剤ならびに推定免疫モジュレーターの同定方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体における免疫応答の調節方法に関し、より詳しくは、標準および代替のNF−κB活性化経路の両方に関与するNIKおよびNIK結合性タンパク質を標的化する方法および薬剤、NIK活性のモジュレーションのための分子/薬剤の同定方法、およびその方法によって得られ得る分子/薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
転写因子であるNF−κB/Relファミリーは、炎症性応答および免疫細胞応答、細胞周期調節、分化ならびにアポトーシスからの保護において活性がある[Baeuerle and Baltimore, Cell 87:13-20, (1996); Ghosh et al., Annu. Rev. Immunol. 16: 225-260, (1998)]。哺乳動物において、この転写因子のファミリーは、5つのメンバーp65(RelA)、RelB、c−Rel、NF−κB1(これは、前駆体p105として、およびプロセッシングされた形態p50としての両方で存在する)およびNF−κB2(これは、前駆体p100として、およびそのプロセッシングされた形態p52としての両方で存在する)から構成される。NF−κBタンパク質ホモ二量体およびヘテロ二量体は、細胞質内において、抑制因子であるIκBファミリーとの複合体で存在する。NF−κB1およびNF−κB2の前駆体形態(それぞれ、p105およびp100)は、C末端IκB相同抑制領域(homologous inhibitory region)を含む。これらのNF−κBタンパク質を含む二量体は、IκB相同領域の機能のおかげで細胞質内に保持されている。さらに、NF−κB1/p105およびNF−κB2/p100はまた、他のNF−κBタンパク質の二量体とも会合し得、これらを細胞質内に保持させる。NF−κB活性化は、主に、IκBタンパク質またはNF−κB1/p105およびNF−κB2/p100のIκB相同領域の誘導分解、および続くNF−κB二量体の核への移行により起こる。IκBタンパク質の誘導分解は、NF−κB活性を調節する最も重要な機序をもたらす(Baeuerle and Baltimore, 1996)(Ghosh et al., 1998)(Ghosh and Karin, 2002)。
【0003】
これらのプロセスの知見のほとんどは、遍在するNF−κB二量体p65: p50の活性化の機序に関する。この「標準」経路を開始する必須事象は、IκBリン酸化タンパク質キナーゼIKK2の活性化である。IKK2は、巨大分子複合体である「IKKシグナルソーム」うちに、構造的に相同なキナーゼIKK1およびアダプタータンパク質NEMOと会合した状態で存在する。IκBのIKK2媒介性リン酸化は、そのプロテオソーム分解をもたらし、したがって、その会合したNF−κB二量体の活性化をもたらす(Karin and Ben-Neriah, 2000)。
【0004】
他の研究により、NF−κB2/p100を含むNF−κB二量体が活性化される「代替」経路の知識がある程度得られている。この活性化は、IKK2またはNEMOとは独立して起こるが、IKK1には依存性である。この経路の活性化時のp100のリン酸化は、p100内のIκB相同領域のみが分解される限定的タンパク質分解性プロセッシングを導く。このプロセスにより、生じたp52断片が、いくつかの他のNF−κBタンパク質(主に、RelB)と会合して核に移行するのが可能になる(Xiao et al., 2001)(Senftleben et al., 2001)(Solan et al., 2002)(Coope et al., 2002)(Claudio et al., 2002)(Kayagaki et al., 2002)(Dejardin et al., 2002)(Yilmaz et al., 2003)(Hatada et al., 2003)。
【0005】
腫瘍壊死因子/神経成長因子(TNF/NGF)レセプターファミリーのタンパク質は、免疫系のホメオスタシスの維持に不可欠に関与する細胞表面レセプターの一群である。これらのタンパク質は、その対応するリガンドと相互作用し、免疫細胞の細胞死を誘導するか、または細胞生存を促進する。タンパク質のこの群の生物学的機能は、免疫応答の調節および自己免疫性疾患の病因と密接に関連している[Zhou et al., Immunol. Res. 26:323-336, (2002)]。TNFレセプターは、多くの免疫防御活性およびNF−κB活性化を介するある特定の発生(developmental)プロセスを制御する(Wallach et al., 1999)(Locksley et al., 2001)。これらのレセプターのほとんどは、標準NF−κB経路を活性化することができる。加えて、その発現が間質細胞に限定されるリンホトキシン−βレセプター(LTβR)およびリンパ球に存在するいくつかのレセプター(CD40、BlyS/BAFFおよび本発明の研究で示されるようにCD27)もまた、代替経路を活性化する(Dejardin et al., 2002)(Coope et al., 2002)(Claudio et al., 2002)(Kayagaki et al., 2002)(Hatada et al., 2003)。
【0006】
TNFレセプターファミリーのいくつかのレセプターによるNF−κB活性化のシグナル伝達は、TRAFファミリーのアダプタータンパク質へのそれらの結合によって開始される。TNFで処理した細胞では、TRAFは、アダプタータンパク質RIPと協働的に、p55 TNFレセプターへのシグナルソーム成分の補充を助長することが示された(Zhang et al., 2000)(Devin et al., 2000)(Devin et al., 2001)。TNF/NGFレセプターファミリーによるNF−κB活性化に関与するさらなるタンパク質は、「NF−κB誘導性キナーゼ」(NIK)であると同定された(Malinin et al., 1997)。
【0007】
最初は、NIKは、多くの異なる生理学的機能を有する多数の誘導因子に応答して標準NF−κB経路の活性化を媒介することが示唆された(Malinin et al., 1997)。しかしながら、後の非機能性NIK変異体を発現するaly系統マウスおよびNIKノックアウトマウスの研究は、NIKが、これらの誘導因子のほとんどの活性において機能的役割を有するという考えに異論を唱えるものであった。NIKは、どちらかというと、リンパ球の発生および機能に特異的に影響を及ぼす限定された組のリガンドによってNF−κBの活性化に選択的に関与することが示された(Shinkura et al., 1999)(Yin et al., 2001)。またさらに、これらの変異体マウス由来の細胞の特徴づけに基づき、NIKは、標準NF−κB経路にはまったく関与しないが、代替経路を排他的に活性化する機能を果たすことが示唆された(Pomerantz and Baltimore, 2002)。NIK−変異体マウスのリンパ球は、高度に異常な分化パターンを示し(Miyawaki et al., 1994)(Shinkura et al., 1999)(Matsumoto et al., 1999)(Yamada et al., 2000)(Karrer et al., 2000)(Fagarasan et al., 2000)、したがって、本発明は、リンパ球におけるNIKシグナル伝達の役割を再評価することを目的とした。
【0008】
本発明において、リンパ球におけるNIKの機能は、ここでは、リンパ芽球株の培養細胞において、そのインビトロ枯渇またはインビトロ抑制の影響を評価することによって再評価した。NIKが、リンパ球におけるTNFによる標準経路の活性化に必要とされないことを示すことをアッセイでは確認した。しかしながら、以下に詳述するように、NIKは、これらの細胞において、CD40リガンド(CD40L)およびBLyS/BAFF誘導による標準経路の活性化に加えて代替経路の活性化にも重要な役割を果たすことがわかった。さらにまた、主にTリンパ球および記憶Bリンパ球において発現され、以前にNIK非依存的に(Akiba et al., 1998)、NF−κBを活性化することが示唆された(Yamamoto et al., 1998)TNF/NGFファミリーレセプターであるCD27(Camerini et al., 1991)は、代替経路を開始することが示された。また本発明者らは、NIKが、SIVA(CD27と会合しているタンパク質(Prasad et al., 1997))に結合し、このレセプターに応答して標準経路および代替NF−κB活性化経路の両方を媒介することを見出した。NIKは、p55 TNFレセプターによるシグナルソームの活性化に必要とされなかったが、CD27によるシグナルソームの活性化は、NIKに依存した。またさらに、p55 TNFレセプターによる誘発とは異なり、CD27による誘発は、NIK依存的に、IKK1のこのレセプターへの選択的補充(CD27による両NF−κB経路のNIK依存的活性化における開始事象であり得るプロセス)を誘導した。
【0009】
NIK依存性NF−κB経路のメンバーの生物学的機能は、免疫応答の調節および自己免疫性疾患の病因と密接に関連している。
【0010】
本発明により、従来技術とは対照的に、NIKは、標準NF−κB活性化経路に関与することが示される。加えて、NIKは、BlySおよびCD40Lによって誘導される代替NF−κB経路に関与することが示され、CD70が、この代替経路の新規な誘導因子であると同定された。
【0011】
このように、本発明の知見により、NF−κB活性化におけるNIKの役割が確立され、したがって、種々の免疫疾患の治療において、種々のNIK標的薬剤を用いることの動機付けが提供される。
【発明の開示】
【0012】
本発明は、免疫障害の治療のための医薬の製造における、NIK−SIVA複合体形成を増加または減少させることができる薬剤の使用に関する。より詳しくは、前記免疫障害は、BlyS/BAFF、CD27、SIVAおよびNIKからなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質の機能異常またはレベル異常を特徴とする。本発明による免疫障害の例は、多発性骨髄腫(MM)、後天性免疫不全症候群(AIDs)、シェーグレン症候群(SS)、B細胞慢性リンパ性白血病(B−CLL)、全身性エリテマトーデス、炎症性大腸疾患、全身性炎症性反応症候群(SIRS)、多臓器不全症候群(MODS)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。
【0013】
一側面において、本発明は、免疫障害の治療のための医薬の製造における、NIK依存性CD27調節を増大または低下させることができる薬剤の使用を提供する。特に、本発明は、たとえば、リン酸化NIK活性化ループに対して指向される抗体などのNIKに結合することができる抗体、またはたとえば、配列番号:15記載のものなどの低分子干渉性RNA分子またはリボザイムなどのNIK依存性CD27調節を低下させるための薬剤の使用を提供する。
【0014】
別の側面において、本発明は、標準経路を介して異常なNF−κB活性化によって引き起こされるか、または悪化する免疫障害の治療のための医薬の製造における、NIKの活性を増大または低下させることができる薬剤の使用を提供する。特に、本発明は、たとえば、リン酸化NIK活性化ループに対して指向される抗体などのNIKに結合することができる抗体、または、たとえば、配列番号:15記載のものなどの低分子干渉性RNA分子、またはリボザイムなどのNIK依存性CD27調節を低下させるための薬剤の使用を提供する。より詳しくは、前記の異常なNF−κB活性化は、CD40L、Blys、CD70の誘導および/またはそのレセプターの活性化によって引き起こされ得る。
【0015】
加えて、本発明は、免疫障害を有する個体に、NIK−SIVA複合体形成を増加または減少させることができる薬剤の治療有効量を投与し、それにより、該個体において免疫障害を治療することを含む、免疫障害の治療方法を提供する。特に、前記免疫障害は、BlyS/BAFF、CD27、SIVAおよびNIKからなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質の機能異常またはレベル異常を特徴とする。より詳しくは、本発明による方法は、多発性骨髄腫(MM)、後天性免疫不全症候群(AIDs)、シェーグレン症候群(SS)、B細胞慢性リンパ性白血病(B−CLL)、全身性エリテマトーデス、炎症性大腸疾患、全身性炎症性反応症候群(SIRS)、多臓器不全症候群(MODS)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するために使用され得る。本発明の一実施態様では、NIK−SIVA相互作用をモジュレートする薬剤の投与は、前記個体のリンパ球などの細胞内で前記薬剤を発現させることによって行なわれ得る。
【0016】
また、本発明は、免疫障害を有する個体に、NIK依存性CD27調節を増大または低下させることができる薬剤の治療有効量を投与し、それにより、該個体において免疫障害を治療することを含む免疫障害の治療方法に関する。特に、この投与は、前記個体のリンパ球などの細胞内で前記薬剤を発現させることによって行なわれ得る。
【0017】
さらなる実施形態において、本発明は、標準経路による異常なNF−κB活性化で引き起こされるか、または悪化する免疫障害の治療方法に関し、該障害に罹患した個体に、NIKの活性を低下または増大させることができる薬剤の治療有効量を投与することを含む、免疫障害の治療方法に関する。特に、異常なNF−κB活性化は、CD40L、CD70もしくはBlysの誘導および/またはそのレセプターの活性化によって引き起こされ得る。本発明の特定の一実施態様では、該方法は、NIKの活性を低下させることができる薬剤、たとえば、リン酸化NIK活性化ループに対して指向される抗体、配列番号:15記載のものなどの低分子干渉性RNA分子、またはリボザイムの使用を含む。
【0018】
本発明はまた、供される細胞内でNIK発現を特異的に下方調節することができる核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド、たとえば、配列番号:15記載のものなど低分子干渉性RNA分子、かかるポリヌクレオチドを含有する構築物および該核酸構築物を含む細胞を提供する。
【0019】
別の実施態様では、本発明は、配列番号:2の座標624〜947、配列番号:3の123〜175および/または配列番号:4の58〜110記載のアミノ酸配列領域に特異的に結合することができる抗体または抗体断片を提供する。
【0020】
加えて、本発明は、NIK−SIVA複合体形成を増加または減少させることができる分子であって、推定免疫モジュレーターである該分子を同定することを含む推定免疫モジュレーターの同定方法を提供する。
【0021】
また、本発明は、NIK依存性CD27調節を増大または低下させることができる分子であって、推定免疫モジュレーターである該分子を同定することを含む推定免疫モジュレーターの同定方法を提供する。
【0022】
さらにまた、本発明は、細胞を該細胞においてNIK依存的標準および代替経路を誘導することができるTNF/NGFレセプターファミリーのリガンドと接触させること、前記接触前、接触後、または接触中に細胞を個々の被験分子とともにインキュベートすること、細胞内の標準経路の活性化を検出すること、および前記リガンドによって誘導される標準経路の誘導をモジュレートすることができる単一の分子/分子群を選択することを含む、NIKの活性をモジュレートすることができる分子のスクリーニング(または同定および/または選択)方法を提供する。
【0023】
一側面において、本発明は、リンパ芽球細胞を該細胞内でNIKおよび標準経路を活性化することができるTNF/NGFレセプターファミリーのリガンドと接触させること、前記接触前、接触後、またはそのあいだに細胞を個々の被験分子とともにインキュベートすること、標準経路の活性化を検出すること、およびNIK非依存的に前記リガンドによって誘導されるが、標準経路を誘導することができる他のどのリガンドによっても誘導されない標準経路の誘導をモジュレートすることができる単一の分子/分子群を選択することを含む、NIK活性をモジュレートすることができる分子のスクリーニング(同定および/または選択)方法を提供する。
【0024】
本発明の一実施態様では、該スクリーニング方法に使用されるリガンドは、CD70、CD40LまたはBlys/BAFFから選択される。
【0025】
本発明の別の実施態様では、該スクリーニング方法に使用される細胞は、リンパ芽球型、たとえば、Ramos細胞、Raji細胞またはBJAB細胞などである。
【0026】
本発明のさらなる実施態様では、標準経路の活性化は、IκB分解、IκBαリン酸化およびp65転位などの標準経路活性化を示すパラメータをモニターすることによるスクリーニング方法で検出される。
【0027】
特に規定のない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施および試験において使用することができるが、好適な方法および材料は以下に記載するものである。矛盾する場合は、定義を含む本特許出願が支配する。加えて、材料、方法および実施例は、例示にすぎず、限定を意図しない。
【0028】
本発明を、添付の図面を参照しながら、単に例示のために本明細書において記載する。図面に対する詳細な以下の具体的な言及に関して、示した特定の内容は、例示のため、および本発明の好ましい実施態様の実例の検討を目的とするにすぎず、本発明の原理および概念的側面の最も有用かつ容易に理解される記載と考えられるものを提供する理由で示したことを強調する。これに関連し、本発明の構造的詳細を本発明の基本的な理解に必要とされる以上に詳細に示す試みはしておらず、本記載内容は、図面と合わせると本発明のいくつかの形態がどのようにして実際に具現化され得るかが当業者に自明となろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、標準経路による異常なNF−κB活性化によって引き起こされるか、または悪化する免疫障害における、NIKの活性を増大または低下させることができる薬剤の使用に関する。別の側面において、本発明は、免疫障害の治療におけるNIK−SIVA複合体形成を増加または減少させることができる薬剤の使用に関する。
【0030】
本発明はまた、NIKの活性をモジュレート(増大または低下)することができる分子のスクリーニング(同定および/または選択)方法、およびその方法によって得られ得る分子に関する。
【0031】
本発明の原理および操作は、図面およびそれに伴う説明を参照すると、より良好に理解されよう。
【0032】
本発明の少なくとも1つの実施態様を詳細に説明する前に、本発明は、その適用が、以下の説明に記載された詳細事項または実施例に例示された詳細事項に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施態様が可能であり、または種々の様式で実施もしくは実行することが可能である。また、本明細書で使用する語法および専門用語は、説明を目的としたものにすぎず、限定するものとみなされるべきでないことを理解されたい。
【0033】
転写因子であるNF−κBファミリーは、炎症性細胞応答および免疫細胞応答、細胞周期調節、分化ならびにアポトーシスからの保護を含む多数の生物学的機能と関連している[Baeuerle and Baltimore, Cell 87:13-20, (1996); Ghosh et al., Annu. Rev. Immunol. 16:225-260, (1998)]。これらの活性の多くは、リンパ球の生存および活性化の調節におけるNF−κB機能の研究からわかった。
【0034】
NF−κBの制御された活性化が正常な先天的および適応的免疫応答に必須であること、ならびにリンパ球におけるNF−κBシグナル伝達の異常な調節が慢性炎症や自己免疫からリンパ腫に及ぶ疾患の発症をもたらすことは、充分確立されている[Ruland and Mak, Semin. Immunol. 3:177-83 (2003)]。したがって、リガンド−レセプター相互作用をブロックすることによるNF−κBシグナルの停止は、TおよびBリンパ球の活性化および成長、炎症、線維芽細胞増殖ならびに細胞死と関連するシグナル伝達活性の有効な抑制を可能にする。したがって、NF−κB活性の調節は、上述の細胞シグナル伝達活性と関連する種々の障害の治療に有益であることが示され得る。
【0035】
NF−κB活性化は、先の背景の項目で詳細に記載した標準および代替と称する2つの並行するシグナル伝達経路の少なくとも一方の活性化に起因する。
【0036】
NF−κB活性化における重要な要素の1つは、NF−κB誘導キナーゼ(NIK)である。このタンパク質は、最初は、多数の誘導因子に応答して標準NF−κB経路の活性化に関与するとされていたが[N. L. Malinin, M. P. Boldin, A. V. Kovalenko, D. Wallach, Nature 385,540-4 (1997); H. Akiba et al., J Biol Chem 273, 13353-8. (1998)]、これらの参照した従来技術文献の研究は、過剰発現したNIK変異体のシグナル伝達をブロックする能力に基づくものであり、これは、該アプローチが、NIKは標準経路のTNF活性化において機能するという証拠を提供した事実から明白であるように今では信頼できないとされている実験アプローチであり、それ以来、否定されている知見である[L. Yin et al., Science 291,2162-5. (2001)]。
【0037】
したがって、より最近の研究は、初期の知見に異論を唱えるものであり、NIKは標準経路の活性化に関与せず、NIKがCD27シグナル伝達に関与することを示した研究は誤りであったという確かな証拠を提供する[S. Ghosh, M. Karin, Cell 109 Suppl, S81-96 (Apr, 2002); E. Dejardin et al., Immunity 17,525-35 (Oct, 2002) and J. L. Pomerantz, D. Baltimore, Mol Cell 10,693-5 (Oct, 2002)。
【0038】
したがって、NIK阻害は、全身性炎症性反応症候群の治療における可能な治療的アプローチであることが示されているが、標準経路によるNF−κB活性化によって引き起こされるかまたは悪化する疾患において、NIK抑制剤を有効な薬物として利用することは非常に考えにくい。というのは、現在、当技術分野の業界では、標準経路の活性化におけるNIKの役割は明らかに疑わしいと考えられているからである。
【0039】
本発明により、従来技術とは対照的に、NIKは標準NF−κB活性化経路に関与することが確立された。加えて、NIKは、CD70/CD27シグナル伝達による代替NF−κB経路の活性化にも関与することがわかった。
【0040】
本発明の知見により、NF−κB活性化におけるNIKの役割が確立され、したがって、種々のNIK標的薬剤を、NF−κB活性化によって引き起こされるかまたは悪化する種々の免疫疾患の治療において用いることの動機付けが提供される。
【0041】
以下の実施例の項目に説明するように、本発明者らは、NIKが、CD40リガンド(CD40L)、BLyS/BAFFおよびCD27による標準経路の活性化に加えて、代替経路の活性化にも非常に重要な役割を果たすことを確立した。さらにまた、NIKは、CD27と会合しているタンパク質のSIVA(Prasad et al., 1997)に結合し、それにより、このレセプターに応答して標準および代替の両方のNF−κB活性化経路を媒介することがわかった。NIKは、p55 TNFレセプターによるシグナルソームの活性化に必要とされなかったが、CD27によるシグナルソームの活性化は、NIKに依存した。さらに、p55 TNFレセプターによる誘発とは異なり、CD27による誘発は、NIK依存的に、IKK1のこのレセプターへの選択的補充(CD27による両NF−κB経路のNIK依存活性化の開始事象であり得るプロセス)を誘導した。
【0042】
本発明の研究が可能にした代替経路および標準NF−κB活性化経路の解明により(図6参照)、これらの経路のトランスデューサーおよびエフェクターの無秩序な活性の有害な影響を特異的に阻止することを目的とする改善された治療法の設計が可能になる。
【0043】
したがって、本発明は、個体における免疫障害の治療方法を提供する。
【0044】
本明細書で使用する場合、語句「免疫障害」は、NIK依存性NF−κBシグナル伝達(すなわち、標準経路および代替経路、たとえば、図6に示したものなど)に関与する少なくとも1種のタンパク質(以下にさらに記載する)の異常な活性が存在する過剰抗原特異的または抗原非特異的(すなわち、先天的)免疫応答の不十分さと関連する障害をいう。かかる障害の例としては、限定されないが、多発性骨髄腫(MM)、後天性免疫不全症候群(AIDs)、シェーグレン症候群(SS)、B細胞慢性リンパ性白血病(B−CLL)、全身性エリテマトーデス、炎症性大腸疾患、全身性炎症性反応症候群(SIRS)、多臓器不全症候群(MODS)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、アジソン病、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイドーシス、貧血、喘息、アテローム性動脈硬化、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、気管支炎、胆嚢炎、接触性皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、真性糖尿病、気腫、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーヴズ病、橋本甲状腺炎、好酸球増多症、過敏性腸症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋または心膜の炎症、変形性関節症、骨粗鬆症、膵炎、多発性筋炎、慢性関節リウマチ、強皮症、全身性アナフィラキシー、全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、ヴェルナー症候群、および癌の合併症、血液透析、ならびに体外循環;ウイルス性、細菌性、真菌性、寄生生物性、原生動物性および寄生虫性感染;ならびに外傷が挙げられる。
【0045】
本明細書で使用する場合、用語「治療する」は、前記免疫障害の有害効果を予防、治癒、逆転、減衰、緩和、最小化、抑制または停止することをいう。
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトをいう。
【0047】
本発明によれば、個体には、NIK依存NF−κBシグナル伝達に関与する標的遺伝子または標的遺伝子産物(すなわち、RNAまたはタンパク質)の活性をモジュレートすることができる薬剤の治療有効量が提供され、それにより、該個体において免疫障害が治療され得る。
【0048】
本明細書で使用する場合、語句「活性をモジュレートする」は、標的遺伝子または標的遺伝子の産物の固有の触媒活性(たとえば、NIKのキナーゼ活性)、相互作用活性(たとえば、実施例の項目の実施例1に説明したようなNIK−SIVA相互作用)または発現(たとえば、実施例の項目の実施例2に説明したようなNIK発現)を増大または低下することをいう。
【0049】
いくつかの遺伝子およびその産物が、本発明にしたがって標的として使用され得る(図6を参照)。かかる標的遺伝子の例を、以下に、これが関与する免疫障害の例とともに列挙する。
【0050】
BLyS−BLySは、BAFF−レセプタータンパク質に結合し、成熟B細胞の生存およびB細胞応答を助長する。このタンパク質は、末梢血白血球内で豊富に発現され、単球およびマクロファージにおいて特異的に発現される。また、これは、脾臓、リンパ節、骨髄、T細胞および樹状細胞においても見られる。多発性骨髄腫(MM)におけるBリンパ球刺激因子(BLyS)の関与は、いくつかの側面において実証された。MM細胞は、BLySレセプターを発現することが示され、同様に、BLySが、MM細胞の増殖能および生存をモジュレートすることが示された。BLysタンパク質はまた、MM患者の骨髄においても見られた[Novak et al., Blood. 先行公開(Epub ahead of print) (2003)]。BLySレベルはグロブリンとともに、HIV疾患が進行するにつれて増大することがわかった[Rodriguez et al., AIDS. 17:1983-1985 (2003)]。別の自己免疫性疾患であるシェーグレン症候群(SS)におけるBLyS分子の関与は、Bリンパ球のポリクローナル活性化を媒介するその能力、およびその自己抗体の産生におけるその役割によって明らかにされた。また、ヒトSS患者において、そのBLySレベルは、自己抗体のレベルと相関することが示された。したがって、BLySは、該疾患の顕著な特徴である特異的自己反応性B細胞の活性化および自己抗体産生レベルのモジュレーションに、ある役割を果たし得る[Mariette et al., Ann. Rheum. Dis. 62:168-171, (2003)]。BLySがある役割を果たすことが示された別の疾患は全身性エリテマトーデスである。マウスにおけるBLySの過剰発現は、全身性エリテマトーデス様(SLE様)疾患をもたらす。BLySの過剰発現はまた、ヒトSLEにおいてもよく見られる。BLySアンタゴニストでのSLE易発性マウスの治療は、疾患進行を改善し、生存を向上させる[Stohl, Arthritis Res. Ther. 5: 136-138, (2003)]。ByLSの効果は、末梢および骨髄におけるCD5(+)B細胞の蓄積を特徴とする疾患であるB細胞慢性リンパ性白血病(B−CLL)において明らかにされた。調べた全てのB−CLL患者の細胞は、BLySに対する3種類の既知レセプターの1種以上を発現した。患者のサブセット由来のB−CLL細胞はBLySおよびAPRILのmRNAを異常に発現するが、これらの分子は正常B細胞では検出可能でなかった。加えて、BLySは、B−CLL細胞をアポトーシスから保護し、細胞生存を向上させることがわかった[Novak et al., Blood. 100:2973-2979, (2002)]。2種類のタンパク質APRILおよびBLySのヘテロ三量体は、全身性免疫リウマチ疾患の患者由来の血清試料において見られ、これは、リウマチ疾患におけるこれらの分子の役割をも示唆する[Roschke et al., J. Immunol. 169:4314-4321, (2002)]。したがって、本発明は、前記免疫障害を克服するための、NIK依存NF−κB経路によるBLysシグナル伝達の下方調節を想定する。
【0051】
CD40L−このリガンドは、CD40レセプターへの結合により、NIK依存性NF−κBシグナル伝達を活性化し得る(実施例の項目の実施例6を参照)。CD40Lは、HIV感染に関与することが示された。HIV感染において見られる相対的CD40L欠損の逆転は、AIDSにおいて免疫回復を助長し得ることが示唆された[Kornbluth, J. Leukoc. Biol. 68:373-382, (2000)]。したがって、本発明は、上記の免疫障害を克服するための、NIK依存性NF−κB経路によるCD40Lシグナル伝達の上方調節を想定する。
【0052】
CD27−B細胞慢性リンパ性白血病(B−CLL)細胞によるCD27の発現は、この疾患の臨床試験結果に影響することが示された[Bannerji and Byrd, Curr. Opin. Oncol. 12:22-29, (2000)]。CD27はまた、多発性骨髄腫患者において不均一な発現を有することが示された。低CD27発現は、疾患リスクの高い患者と相関することがわかった[Guikema et al., Br. J. Haematol. 121:36-43, (2003)]。CD27はまた、全身性エリテマトーデス患者において、リンパ球計測数および疾患過程と関連して見い出された[Swaak et al., Clin. Rheumatol. 14:293-300, (1995)]。したがって、本発明は、治療対象の免疫障害に応じた、NIK依存NF−κB経路によるCD27シグナル伝達の上方調節または下方調節の選択を想定する。
【0053】
NIK−「NF−κB誘導キナーゼ」は、SIVA、TRAF2、TRAF5、TRAF6、IKKAおよびNF−カッパB-2/P100に結合する。このタンパク質は、精巣、小腸、脾臓、胸腺、末梢血白血球、前立腺、卵巣および結腸において弱く発現される。
【0054】
SIVA−CD27およびSIVAにおける上方調節は、腎機能障害(たとえば、虚血性および損傷性腎組織)において示された。両タンパク質の発現は、アポトーシスまたは壊死による死を受けることが知られた細胞集団において見られた[Schumer et al., Am. J. Pathol. 140:831-838, (1992); Shimzu and Yamanaka, Virchows Archiv. B Cell Pathol. 64:171-180; (1993), Basile et al., Am J. Physiol. 272:F640-F647, (1997)]。CD27媒介性腎アポトーシスの変更を指令するストラテジーは、急性虚血性腎損傷の過程にプラスの効果を与えることが示唆された[Padanilam et al., Kidney Int. 54:1967-1975, (1998)]。したがって、本発明は、上記の腎障害を克服するための、NIK依存NF−κB経路によるSIVAシグナル伝達の下方調節を想定する。コクサッキーウイルスB3(CVB3)のキャプシドタンパク質VP2とのSIVA相互作用は、CVB3誘発性疾患を持続させることが示された[Henke (2003) Clin. Exp. Med. 2(4):192-6]。したがって、本発明は、ウイルス性障害を克服するための、NIK依存性NF−κB経路によるSIVAシグナル伝達の下方調節を想定する。SIVA−CD27相互作用の欠如は骨髄腫発生に関与し、これは、骨髄腫発生を克服するための、NIK依存性NF−κB経路によるSIVA−CD27シグナル伝達の上方調節を示唆する[Katayama (2003) Br J Haematol. 120(2):223-34]。
【0055】
上述のように、免疫障害の治療は、本発明によれば、たとえば、上記のものなどの少なくとも1種類の標的遺伝子または遺伝子産物の活性を増大(すなわち、上方調節)または低下(すなわち、下方調節)することができる薬剤を個体に与えることにより行なわれ得る。
【0056】
本発明の標的遺伝子の発現を上方調節することができる薬剤は、本発明の標的遺伝子の少なくとも機能的部分が発現されるように設計および構築された外因性ポリヌクレオチド配列であってもよい。したがって、外因性ポリヌクレオチド配列は、免疫障害をモジュレートすることができるCD27(GenBank受託番号NM_001242)、CD40L(GenBank受託番号NM_000074)、BLys(GenBank受託番号NM_006573)、SIVA(SIVA1およびSIVA2 それぞれ、GenBank受託番号NM_006427およびNM_021709)またはNIK(GenBank受託番号NM_003954)分子をコードするDNAまたはRNAの配列であり得る。
【0057】
したがって、たとえば、外因性NIKを哺乳動物細胞において発現させるため、NIKをコードするポリヌクレオチド配列(配列番号:1)を、好ましくは、哺乳動物細胞発現に適した核酸構築物内にライゲートする。かかる核酸構築物としては、該細胞内でのポリヌクレオチド配列の転写を構成的または誘導的に指令するためのプロモーター配列が含まれる。好適なプロモーターは、たとえば、Bリンパ球においてNIK発現を指令することができるレンチウイルス系ベクター(たとえば、pSUPER)由来のプロモーターであり得る(実施例2参照)。本発明の核酸構築物は、さらなるポリヌクレオチド配列、たとえば、選択マーカーまたはレポーターポリペプチドをコードする配列、細菌の複製起点をコードする配列、単一のmRNA(IRES)からいくつかのタンパク質を翻訳させる配列(たとえば、NIKとSIVAの同時発現を指令し、各々のより高い発現レベルを得、したがって、より高いNF−κB活性化レベルを得るため)(実施例の項目の実施例1を参照)、プロモーター/キメラポリペプチドコード領域のゲノム集積のための配列および/または哺乳動物発現ベクター(pcDNA3、pcDNA3.1(+/−)、pZeoSV2(+/−)、pSecTag2、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cyto、pCR3.1(これらはインビトロジェンから入手可能)、pCI(これはプロメガから入手可能)、およびpBK−RSVおよびpBK−CMV(これらはストラタジーンから入手可能)、pTRES(これらはクロンテックから入手可能))ならびに一般的に含まれるその誘導体などの配列などをさらに含み得る。
【0058】
核酸構築物は個体に、任意の適当な投与様式、たとえば、以下に記載のもの(すなわち、インビボ遺伝子治療)を用いて投与され得ることを認識されたい。あるいはまた、核酸構築物を適当な細胞内に、適切な遺伝子送達ビヒクル/方法(トランスフェクション、形質導入、相同組換えなど)および必要に応じて発現系により導入し、次いで、改変細胞を拡大培養し、個体にもどす(すなわち、エキソビボ遺伝子治療)。
【0059】
現在のところ好ましいインビボ核酸導入手法としては、アデノウイルス、レンチウイルス、I型単純ヘルペスウイルスまたはアデノ随伴ウイルス(AAV)などのウイルス系または非ウイルス系構築物によるトランスフェクションおよび脂質系システムが含まれる。遺伝子の脂質媒介導入に有用な脂質は、たとえば、DOTMA、DOPE、およびDC−Cholである[Tonkinson et al., Cancer Investigation, 14 (1) :54-65 (1996)]。遺伝子治療における使用に最も好ましい構築物はウイルスであり、最も好ましくはアデノウイルス、AAV、レンチウイルスまたはレトロウイルスである。レトロウイルス系構築物などのウイルス系構築物は、少なくとも1種類の転写プロモーター/エンハンサーもしくは遺伝子座規定エレメント、またはたとえば、選択的スプライシング、核RNA輸出またはメッセンジャーの翻訳後修飾などの他の手段によって遺伝子発現を制御する他のエレメントを含む。かかるベクター構築物はまた、該ウイルス系構築物に既に存在する場合を除いて、パッケージングシグナル、末端反復配列(LTRs)またはその部分、および使用するウイルスに適切な正および負鎖プライマー結合性部位を含む。加えて、かかる構築物は、典型的には、これが内在する宿主細胞由来のペプチドの分泌のためのシグナル配列を含む。好ましくは、この目的のためのシグナル配列は、哺乳動物シグナル配列または本発明のポリペプチドバリアントのシグナル配列である。任意に、構築物はまた、ポリアデニル化を指令するシグナルならびに1つ以上の制限部位および翻訳末端配列を含む。一例として、かかる構築物は、典型的には、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第二鎖DNA合成の起点および3’LTRまたはその部分を含む。非ウイルス系の他のベクター、たとえば、カチオン系脂質、ポリリシンおよびデンドリマーなどを使用してもよい。
【0060】
また、本発明の標的遺伝子を上方調節することができる薬剤は、本発明の標的遺伝子をコードする内在性DNAまたはmRNAの転写および/または翻訳を増加させることができる任意の化合物であり得る。たとえば、PHAを用いてCD27およびCD70を増加させることができる。加えて、CD27レベルを増大させるために抗CD2抗体および抗CD3抗体が使用され得る(de Jonget al.)が、CD70レベルを増大させるためにはCD40Lの発現が用いられ得る(Hintzenet al.)。
【0061】
あるいはまた、加えて、上方調節は、個体に少なくとも1種類の標的、たとえば、上記のものなどを投与することによって行なわれ得る。かかるタンパク質は、たとえば、標準的な固相手法を用いることなどによって生化学的に合成され得る。このような方法としては、排他的固相合成、部分固相合成法、断片縮合、古典的な溶液合成が挙げられる。これらの方法は、好ましくは、ペプチドが比較的短い(すなわち、10kDa)場合および/または組換え手法により作製できない(すなわち、核酸配列にコードされていない)ため、異なる化学反応を伴う場合に使用される。
【0062】
固相ペプチド合成手法は、当該技術分野でよく知られており、John Morrow Stewart and Janis Dillaha Young, Solid Phase Peptide Syntheses(第2版, Pierce Chemical Company, 1984)にさらに記載されている。
【0063】
合成ペプチドは分取用高速液体クロマトグラフィー[Creighton T. (1983) Proteins, structures and molecular principles. WH Freeman and Co. N.Y.]によって精製することができ、その組成はアミノ酸配列決定により確認することができる。
【0064】
大量の本発明のペプチドが所望される場合、本発明のタンパク質を、たとえば、HEK293T細胞における組換えCD70の大規模産生について記載されたもの(以下の実施例の項目の実施例2参照)、ならびにBitter et al., (1987) Methods in Enzymol. 153:516-544、Studier et al. (1990) Methods in Enzymol. 185:60-89、Brisson et al. (1984) Nature 310:511-514、Takamatsu et al. (1987) EMBO J. 6:307-311、Coruzzi et al. (1984) EMBO J. 3:1671-1680 and Brogli et al., (1984) Science 224:838-843、Gurley et al. (1986) Mol. Cell. Biol. 6:559-565 and Weissbach & Weissbach, 1988, Methods for Plant Molecular Biology, Academic Press, NY, Section VIII, pp 421-463に記載されたものなどの組換え手法を用いて作製してもよい。
【0065】
本発明のタンパク質標的はまた、市販品として入手され得ることを理解されたい。たとえば、組換えBAFF(カタログ番号PF088)および組換えCD40L(カタログ番号PF091)は、メルク バイオサイエンスから入手可能である。
【0066】
上記のように、本発明による免疫障害の処置はまた、たとえば、上記のものなどのその産物の標的遺伝子を下方調節することによって行なわれ得る。
【0067】
本発明の標的遺伝子産物を下方調節することができる薬剤の一例は、標的遺伝子産物に特異的に結合し、エフェクター分子へのその結合を阻害することができる抗体または抗体断片である。たとえば、NIKのアミノ酸座標624〜947(配列番号:2)、SIVA1のアミノ酸座標123〜175(配列番号:3)またはSIVA2のアミノ酸座標58〜110(配列番号:4)に指向される抗体は、NIK−SIVA複合体形成を抑制し、それにより、NF−κBシグナル伝達を低減する。あるいはまた、本発明の抗体は、標的遺伝子産物のそのエフェクター分子への結合は依然として維持し得るが、その触媒活性を阻害し得るものであってもよい。リン酸化NIK活性化ループに指向されるかかる抗体を、以下の実施例の項目の実施例4に記載する。
【0068】
好ましくは、該抗体は、標的遺伝子産物の少なくとも1種類のエピトープに特異的に結合する。本明細書で使用する場合、用語「エピトープ」は、抗体のパラトープが結合する抗原上の任意の抗原決定基をいう。
【0069】
エピトープ決定基は、通常、化学的に活性な表面分子(たとえば、アミノ酸または炭化水素側鎖など)の集団からなり、通常、特異的な三次元の構造的特徴および特異的な帯電特性を有する。
【0070】
用語「抗体」は、本明細書で使用する場合、マクロファージに結合することができるインタクトな分子およびその機能性断片(たとえば、Fab、F(ab’)2およびFvなど)を含む。これらの機能性抗体断片は、以下のように定義する。(1)Fabは、抗体分子の一価の抗原結合性断片を含む断片であり、完全な抗体を酵素パパインによる消化によってインタクトな軽鎖および1つの重鎖の一部分を作製され得る。(2)Fab’は、完全な抗体のペプシンによる処理後、還元によってインタクトな軽鎖および重鎖の一部分を生成させることにより得られ得る抗体分子の断片である。1つの抗体分子につき、2つのFab’断片が得られる。(3)(Fab’)2は、完全な抗体を酵素ペプシンで処理する(その後の還元は行なわない)ことにより得られ得る抗体の断片である。F(ab’)2は、2つのジスルフィド結合によって互いに支持する2つのFab’断片の二量体である。(4)Fvは、2つの鎖として発現された軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域を含有する遺伝子工学的に作製した断片と定義される。(5)単鎖抗体(「SCA」)は、適当なポリペプチドリンカーで連結された軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域を、遺伝子工学的に融合した単鎖分子として含有する遺伝子工学的に作製した分子である。
【0071】
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体ならびにその断片の作製方法は、当該技術分野において周知である(たとえば、引用により本明細書に組み込まれる Harlow and Lane, Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1988を参照)。
【0072】
本発明による抗体断片は、抗体のタンパク質分解性加水分解により、または大腸菌もしくは哺乳動物細胞(たとえば、チャイニーズハムスター卵巣細胞培養物または他のタンパク質発現系)において該断片をコードするDNAを発現させることにより調製することができる。抗体断片は、慣用法による完全な抗体のペプシンまたはパパイン消化により得ることができる。たとえば、抗体断片は、ペプシンを用いた抗体の酵素による切断によって作製でき、F(ab’)2で示される5S断片を提供する。この断片を、チオール還元剤および、任意には、ジスルフィド結合の切断によって生じるスルフヒドリル基の保護基を使用することにより、3.5S Fab’一価断片を生成させることができる。あるいはまた、ペプシンを用いた酵素による切断により、2つの一価のFab’断片とFc断片とが直接生成される。これらの方法は、たとえば、Goldenbergの米国特許第4,036,945号および同第4,331,647号、ならびにそれらに記載された参考文献(これらの特許は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。また、Porter, R. R. [Biochem. J. 73:119-126 (1959)]も参照のこと。たとえば、一価の軽/重鎖断片を形成するための重鎖の分離、断片のさらなる切断などの抗体を切断する他の方法、または他の酵素的、化学的または遺伝子工学的な手法もまた、断片がインタクトな抗体に認識される抗原に結合する限り、使用され得る。
【0073】
Fv断片は、VH鎖とVL鎖の結合を含む。この結合は、Inbar et al., [Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 69:2659-62 (1972)]に記載のように、非共有結合性であり得る。あるいはまた、可変鎖は、分子間ジスルフィド結合によって連結されたものであっても、グルタルアルデヒドなどの化学薬品によって架橋されたものであってもよい。好ましくは、Fv断片は、ペプチドリンカーによって連結されたVH鎖およびVL鎖を含有する。このような単鎖抗原結合性タンパク質(sFv)は、オリゴヌクレオチドによって連結されたVHドメインおよびVLドメインをコードするDNA配列を含有する構造遺伝子を構築することにより調製される。該構造遺伝子を発現ベクター内に挿入し、続いて、これを、大腸菌などの宿主細胞に導入する。組換え宿主細胞は、2つのVドメインを架橋するリンカーペプチドによって単一のポリペプチド鎖を合成する。sFvの作製方法は、たとえば、[Whitlow and Filpula, Methods 2:97-105 (1991);Bird et al., Science 242:423-426 (1988);Pack et al., Bio/Technology 11:1271-77 (1993);および米国特許第4,946,778号(引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0074】
抗体断片の別の形態は、単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRペプチド(「最小限の認識単位」)は、目的の抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することにより得ることができる。かかる遺伝子は、たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応を用い、抗体産生細胞のRNAから可変領域を合成することにより調製される。たとえば、Larrick and Fry [Methods, 2:106-10 (1991)]を参照のこと。
【0075】
非ヒト(たとえば、マウス)抗体のヒト化形態は、免疫グロブリン、その免疫グロブリン鎖もしくは断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’).sub.2または抗体の他の抗原結合性の部分配列)のキメラ分子であり、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含む。ヒト化抗体としては、ヒト抗体(レシピエント抗体)の相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基と置き換えられたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)が挙げられる。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が、対応する非ヒト残基と置き換えられる。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体においても外来性CDRまたはフレームワーク配列においても見られない残基を含有し得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含有し、ここで、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト抗体のものに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてが関連するヒトコンセンサス配列のものに対応する。また、最適には、ヒト化抗体は、免疫グロブリン由来の免疫グロブリン定常領域(Fc)(典型的にはヒト免疫グロブリンもの)の少なくとも一部分を含む[Jones et al., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332:323-329 (1988); and Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
【0076】
非ヒト抗体のヒト化の方法は、当該技術分野において周知である。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から導入された1個以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば外来性残基とよばれ、典型的には、外来性可変ドメインから採用される。本質的に、ヒト化は、Winter および共働者[Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332:323-327 (1988);Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法にしたがって、齧歯類のCDRまたはCDR配列を、ヒト抗体の対応する配列の代わりに使用することによって行なわれ得る。したがって、かかるヒト化抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に短いものが、非ヒト種由来の対応する配列で置き換えられている。実際面では、ヒト化抗体は、典型的にはいくつかのCDR残基やいくつかのFR残基が、齧歯類抗体内の類似部位由来の残基で置き換えられたヒト抗体であり得る。
【0077】
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーなどの当該技術分野において公知の種々の手法を用いて作製することができる[Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]。Cole et al., and Boernerらの手法もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である (Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p.77 (1985) and Boerner et al., J. Immunol., 147 (1):86-95 (1991)]。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活化されているトランスジェニック動物(たとえば、マウス)に導入することにより作製することができる。抗原によってチャレンジされると、ヒト抗体産生が観察され、これは、ヒトにおいて見られるものと、すべての点(遺伝子再編成、鎖合成および抗体レパートリーなど)において非常に類似する。このアプローチは、たとえば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、および以下の科学雑誌:Marks et al., Bio/Technology 10,:779-783 (1992);Lonberg et al., Nature 368:856-859 (1994);Morrison, Nature 368 812-13 (1994);Fishwild et al., Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14:826 (1996); and Lonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13,65-93 (1995)に記載されている。
【0078】
本発明の標的遺伝子を下方調節することができる別の薬剤は低分子干渉性RNA(siRNA)分子である。
【0079】
RNA干渉は、2段階のプロセスであり、第1段階は、開始段階とよばれるもので、投入dsRNAが21〜23ヌクレオチド(nt)低分子干渉性RNA(siRNA)に消化され(おそらく、dsRNA特異的リボヌクレアーゼのRNアーゼIIIファミリーのメンバーであるDicerの作用による)、これは、dsRNA(直接、または導入遺伝子またはウイルスにより導入)をATP依存的にプロセッシング(切断)する。逐次的な切断事象がRNAを、各々、2ヌクレオチドの3’突出端を有する19〜21bp二重らせん(siRNA)に分解する[Hutvagner and Zamore Curr. Opin. Genetics and Development 12:225-232 (2002); and Bernstein Nature 409:363-366 (2001)]。
【0080】
エフェクター段階では、siRNA二重らせんは、ヌクレアーゼ複合体に結合し、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を形成する。siRNA二重らせんのATP依存的巻き戻しは、RISCの活性化に必要とされる。次いで、活性なRISCは、相同な転写物を、塩基対相互作用により標的化し、mRNAを、siRNAの3’末端から12ヌクレオチド断片に切断する[Hutvagner and Zamore Curr. Opin. Genetics and Development 12:225-232 (2002);Hammond et al., (2001) Nat. Rev. Gen. 2:110-119 (2001);ならびに Sharp Genes. Dev. 15:485-90 (2001)]。切断機構は、なお解明の余地があるが、研究により、各RISCは、単一のsiRNAおよびRNアーゼを含むことが示された[Hutvagner and Zamore, Curr. Opin. Genetics and Development 12:225-232, (2002)]。
【0081】
RNAiの顕著な効力のため、RNAi経路における増幅工程が示唆されている。増幅は、より多くのsiRNAを精製し得る投入dsRNAのコピーにより、または形成されるsiRNAの複製により起こり得る。あるいはまた加えて、増幅は、RISCの多数回の代謝回転事象により行なわれ得る[Hammond et al., Nat. Rev. Gen. 2:110-119 (2001), Sharp Genes. Dev. 15:485-90 (2001);Hutvagner and Zamore Curr. Opin. Genetics and Development 12:225-232 (2002)]。RNAiに関するさらなる情報については、以下の概説Tuschl ChemBiochem. 2:239-245 (2001);Cullen Nat. Immunol. 3:597-599 (2002); and Brantl Biochem. Biophys. Act. 1575:15-25 (2002)を参照のこと。
【0082】
本発明での使用に好適なRNAi分子の合成は、以下のようにして行なわれ得る。第1に、mRNA配列は、AAジヌクレオチド配列をAUG開始コドンの下流でスキャンする。各AAおよび3’隣接19ヌクレオチドの発生を潜在的siRNA標的部位として記録する。好ましくは、siRNA標的部位は、オープンリーディングフレームから選択され、これは、非翻訳領域(UTR)は調節タンパク質接合性部位を多く含むためである。UTR結合性タンパク質および/または翻訳開始複合体は、siRNAエンドヌクレアーゼ複合体の結合と相互作用し得る[Tuschl ChemBiochem. 2:239-245]。しかしながら、5’UTRに指向されたsiRNAが細胞性GAPDH mRNAの約90%減少を媒介し、タンパク質レベルを完全になくしたGAPDHについて示されたように(www.ambion.com/techlib/tn/91/912.html)、非翻訳領域に指向されるsiRNAもまた有効であり得ることは認識されよう。
【0083】
第2に、潜在的標的部位を、任意の配列アラインメントソフトウェア(たとえば、NCBIサーバー(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)から入手可能なBLASTソフトウェアなど)を用いて、適切なゲノムデータベース(たとえば、ヒト、マウス、ラットなど)と比較する。他のコード配列との有意な相同性を示す推定標的部位を選出する。
【0084】
適格な標的配列をsiRNA合成用の鋳型として選択する。好ましい配列は低G/C含量を含むものである。それは、これらが、ジーンサイレンシングの媒介において、55%より高いG/C含量を有するものと比べ、より有効であることが証明されているためである。いくつかの標的部位は、好ましくは、評価用標的遺伝子の長さにより選択される。
【0085】
NIKのmRNAに特異的にハイブリダイズしてその合成を停止することができるSiRNA分子を、以下の実施例の項目の実施例2に記載する(配列番号:15)。
【0086】
選択したsiRNAのより良好な評価のため、好ましくは、陰性対照が、合わせて使用される。陰性対照siRNAは、好ましくは、siRNAと同じヌクレオチド組成を含むが、ゲノムに対する有意な相同性を欠く。したがって、siRNAのスクランブルヌクレオチド配列が好ましく使用されるが、任意の他の遺伝子に対して有意な相同性はまったく示さないものとする。
【0087】
本発明の標的遺伝子を下方調節することができる別の薬剤は、本発明の標的遺伝子のmRNA転写物またはDNA配列を特異的に切断することができるDNAzyme分子である。DNAzymeは、一本鎖と二本鎖のどちらの標的配列も切断することができる一本鎖ポリヌクレオチドである (Breaker, R. R. and Joyce, G. Chemistry and Biology 1995;2:655;Santoro, S. W. & Joyce, G. F. Proc. Natl, Acad. Sci. USA 1997;943:4262)。DNAzymeの一般的なモデル(「10-23」モデル)が提案されている。「10-23」DNAzymeは、各々7〜9個のデオキシリボヌクレオチドからなる2つの基質認識ドメインと隣接する15デオキシリボヌクレオチドの触媒性ドメインを有する。この型のDNAzymeは、その基質RNAをプリン−ピリミジン混合配列で効果的に切断することができる(Santoro, S. W. & Joyce, G. F. Proc. Natl, Acad. Sci. USA 199;DNAzymeの概説については、Khachigian, LM [Curr Opin Mol Ther 4:119-21 (2002)を参照のこと]。
【0088】
一本鎖および二本鎖の標的切断部位を認識する、合成によって作製したDNAzymeの構築および増幅の例は、Joyceらに対する米国特許第6,326,174号に開示されている。ヒトウロキナーゼレセプターに対して指向された同様の設計のDNAzymeは、最近、ウロキナーゼレセプター発現を阻害し、結腸癌細胞転移をインビボで成功裡に抑制することが観察された(Itoh et al., 20002, Abstract 409, Ann Meeting Am Soc Gen Ther www.asgt.org)。別の適用において、bcr−ab1癌遺伝子に相補的なDNAzymeは、癌遺伝子発現を白血病細胞において成功裡に抑制し、CMLおよびALLの場合において自己骨髄移植組織の再発率を低下させた。
【0089】
本発明の標的遺伝子の下方調節はまた、標的遺伝子産物をコードするmRNA転写物と特異的にハイブリダイズすることができるアンチセンスポリヌクレオチドを用いることにより行なわれ得る。
【0090】
標的遺伝子を効率的に下方調節するために使用され得るアンチセンス分子の設計は、アンチセンスアプローチに重要な2つの側面を考慮して行なわれなければならない。第1の側面は、オリゴヌクレオチドを適切な細胞の細胞質内に送達することであり、第2の側面は、細胞内の指定のmRNAに、その翻訳を阻害する様式で特異的に結合するオリゴヌクレオチドを設計することである。
【0091】
従来技術は、オリゴヌクレオチドを多種多様な細胞型に効率的に送達するために使用され得る多数の送達ストラテジーを教示している[たとえば、Luft, J Mol Med 76:75-6,1998;Kronenwett et al., Blood 91:852-62,1998;Rajur et al., Bioconjug Chem 8:935-40, 1997;Lavigne et al., Biochem Biophys Res Commun 237:566-71,1997; and Aoki et al. (1997) Biochem Biophys Res Commun 231:540-5, 1997を参照のこと]。
【0092】
加えて、標的mRNAおよびオリゴヌクレオチドの両方における構造的改変のエネルギー特性の説明となる熱力学サイクルに基づいて、その標的mRNAに対して最も高いと予測される結合親和性を有する配列を同定するためのアルゴリズムもまた使用可能である[たとえば、Walton et al., Biotechnol Bioeng 65:1-9,1999を参照のこと]。
【0093】
かかるアルゴリズムは、アンチセンスアプローチを細胞において実施するために成功裡に使用されている。たとえば、Waltonらによって開発されたアルゴリズムは、科学者らが、ウサギβ-グロビン(RBG)およびマウス腫瘍壊死因子-α(TNFα)転写物に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを成功裡に設計するのを可能にした。同じ研究グループは、つい最近、細胞培養物内において、3種のモデル標的mRNA(ヒト乳酸デヒドロゲナーゼAおよびBならびにラットgpl30)に対する、合理的に選択したオリゴヌクレオチドのアンチセンス活性(速度論的(kinetic)PCR技術により評価)は、ホスホジエステルおよびホスホロチオエートのオリゴヌクレオチド化学成分を有する2つの細胞型における3種の異なる標的に対する試験を含むほとんどすべての場合において有効であることが証明されたことを報告した。
【0094】
加えて、インビトロ系を用いた特異的オリゴヌクレオチドの設計および効率の予測のためのいくつかのアプローチが公表された(Matveeva et al., Nature Biotechnology 16,1374-1375 (1998)]。
【0095】
いくつかの臨床試験により、アンチセンスオリゴヌクレオチドの安全性、実現可能性および活性が実証された。たとえば、癌の治療に好適なアンチセンスオリゴヌクレオチドが成功裡に使用されており (Holmund et al., Curr Opin Mol Ther 1:372-85,1999)、一方で、アンチセンスオリゴヌクレオチド標的化c−myb遺伝子、p53およびBcl−2による血液悪性腫瘍の治療は、臨床試験に入り、患者に耐容性であることが示された[Gerwitz Curr Opin Mol Ther 1:297-306 (1999)]。
【0096】
つい最近、ヒトヘパラナーゼ遺伝子発現のアンチセンス媒介型抑制は、マウスモデルにおいてヒト癌細胞の胸膜播種を阻害することが報告された[Uno et al., Cancer Res 61:7855-60 (2001)]。
【0097】
したがって、現在一致している認識は、上記のようなアンチセンス技術分野における最近の発展が非常に正確なアンチセンス設計アルゴリズムおよび多種多様なオリゴヌクレオチド送達系の作製をもたらし、当業者が過度試行錯誤実験に頼ることなく、既知配列の発現の下方調節に適したアンチセンスアプローチを設計および実施することが可能になったということである。
【0098】
本発明の標的遺伝子を下方調節することができる別の薬剤は、標的遺伝子産物をコードするmRNA転写物を特異的に切断することができるリボザイム分子である。リボザイムは、ますます、目的のタンパク質をコードするmRNAの切断による遺伝子発現の配列特異的抑制に使用されるようになっている[Welch et al., Curr Opin Biotechnol. 9:486-96 (1998)]。任意の特定の標的RNAを切断するためのリボザイムの設計が可能なことにより、これらは基礎研究と治療適用の両方において、有益なツールとなっている。治療分野では、リボザイムは、感染性疾患におけるウイルス性RNA、癌における優性癌遺伝子および遺伝性障害における特定の体細胞変異を標的化するために利用されている[Welch et al., Clin Diagn Virol. 10:163-71 (1998)]。最も注目すべきことは、HIV患者のためのいくつかのリボザイム遺伝子療法プロトコルが、すでにフェーズ1臨床試験に入っていることである。つい最近では、リボザイムはトランスジェニック動物試験、遺伝子標的確認および経路解明に使用されている。いくつかのリボザイムが臨床試験の種々の段階にある。ANGIOZYMEは、ヒト臨床試験で試験された最初の化学合成リボザイムであった。ANGIOZYMEは、血管新生経路の重要な成分であるVEGF−r(血管内皮成長因子レセプター)の形成を特異的に抑制する。Ribozyme Pharmaceuticals, Inc.ならびに他の企業により、動物モデルにおいて抗血管新生治療の重要性が実証された。HEPTAZYMEは、C型肝炎ウイルス(HCV)RNAを選択的に破壊するよう設計されたリボザイムであり、細胞培養アッセイにおいて、C型肝炎ウイルス性RNAを減少させるのに有効であることがわかった(Ribozyme Pharmaceuticals, Incorporated-WEBホームページ)。
【0099】
細胞内で標的遺伝子の発現を調節するさらなる方法は、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド(TFO)によるものである。最近の研究により、二本鎖らせんDNA内のポリプリン/ポリピリミジン領域を配列特異的に認識し、これに結合し得るTFOが設計され得ることが示された。このような認識規則は、Maher III, L. J. et al., Science, 1989;245:725-730;Moser H. E. et al., Science, 1987;238:645-630;Beal, P. A. et al., Science, 1992;251:1360-1363;Cooney, M. et al., Science, 1988;241:456-459; and Hogan, M. E. et al., EP公開公報第375408号に概略が示されている。たとえば、インターカレーターの導入および主鎖置換などのオリゴヌクレオチドの修飾、ならびに結合条件(pHおよびカチオン濃度)の至適化は、TFO活性に対する固有の障害(たとえば、電荷斥力および不安定性など)の克服に役立っており、最近、合成オリゴヌクレオチドが特定配列に標的化し得ることが示された(最近の概説として、Seidman and Glazer, J Clin Invest 2003;112:487-94を参照のこと)。
【0100】
一般に、三重鎖形成性オリゴヌクレオチドは、配列対応:
オリゴ 3’--A G G T
二重鎖 5’--A G C T
二重鎖 3’--T C G A
を有する。
【0101】
しかしながら、A−ATおよびG−GCトリプレットは、最大三重らせん安定性を有することが示された(Reither and Jeltsch, BMC Biochem, 2002, Septl2, Epub)。同じ著者により、A−ATおよびG−GC規則にしたがって設計されたTFOは、非特異的三重鎖を形成しないことが示され、これは、この三重鎖形成が確かに配列特異的であることを示す。
【0102】
したがって、標的遺伝子調節領域内の任意の所与の配列に対し、三重鎖形成性配列を創出するのがよい。三重鎖形成性オリゴヌクレオチドは、好ましくは、少なくとも15、より好ましくは25、さらにより好ましくは30またはそれ以上のヌクレオチド長(50または100bpまで)である。
【0103】
TFOでの細胞のトランスフェクション(たとえば、カチオン系リポソームにより)、および標的DNAとの三重らせん構造の形成により、立体構造的および機能的変化が誘導され、転写開始および伸長が阻止され、所望の配列変化を内在性DNA内に導入することが可能になり、遺伝子発現の特異的下方調節がもたらされる。TFOで処理した細胞内でのかかる遺伝子発現の抑制の例としては、哺乳動物細胞内でのエピソームsupFG1遺伝子および内在性HPRT遺伝子のノックアウト(Vasquez et al., Nucl Acids Res. 1999;27:1176-81, and Puri, et al., Biol Chem, 2001;276:28991-98)、ならびにEts2転写因子(前立腺癌病因に重要)(Carbone et al., Nucl Acid Res. 2003;31:833-43)およびプロ炎症性ICAM−1遺伝子(Besch et al., J Biol Chem, 2002;277:32473-79)の発現の配列特異的および標的特異的下方調節が挙げられる。加えて、Vuyisich and Bealは、最近、配列特異的TFOが、dsRNAに結合し、dsRNA依存性酵素(たとえば、RNA依存性キナーゼなど)の活性を阻害し得ることを示した(Vuyisich and Beal, Nuc. Acids Res 2000;28:2369-74)。
【0104】
加えて、前記原理にしたがって設計されたTFOは、DNA修復を行なうことができる特異的変異誘発を誘導し得、したがって、内在性遺伝子の発現の下方調節と上方調節の両方をもたらす(Seidman and Glazer, J Clin Invest 2003;112:487-94)。有効なTFOの設計、合成および投与の詳細な記載は、Froehlerらに対する米国特許出願第2003 017068号および2003 0096980号、ならびにEmanueleらに対する同第2002 0128218号および同第2002 0123476号、ならびにLawnに対する米国特許第5,721,138号に見られ得る。
【0105】
たとえば前述のものなどのポリヌクレオチドおよびポリペプチドもまた、標的遺伝子産物の活性を下方調節するために使用され得ることは認識されよう。
【0106】
したがって、たとえば、マウス自然突然変異であるリンパ組織形成不全症(aly)を含むNIKポリペプチドまたはこれをコードするポリヌクレオチドを用いてNIK依存性NF−κBシグナル伝達を下方調節することができる。この変異は、常染色体劣性であり、該変異を有するマウスにおいて、免疫欠損に伴うリンパ節およびパイアー斑の全身性欠乏、脾臓構造および胸腺構造の破壊をもたらすことが示された[Shinkura (1999) Nature Genet. 22: 74-77]。
【0107】
ポリペプチドおよびこれをコードするポリヌクレオチドの下方調節は、優性ネガティブ機能(野生型標的遺伝子産物の活性に対して本質的に優性な効果)を特徴とし得ることは認識されよう。たとえば、キナーゼ欠損NIKのタンパク質産物は、エフェクタータンパク質(たとえば、SIVA)に結合し得、したがって、不活性な複合体が形成され、NIK依存性NF−κBシグナル伝達が阻害される。NIKの優性ネガティブ変異体は、当該技術分野でよく知られており、たとえば、Hay (2003) Biochem. Biophys. Acta. 1642(1-2):33-44; and Chandrasekar (2003) Biochem. J. 373:547-58を参照されたい。NF−κB活性化をブロックするIKKaの優性ネガティブ分子は、Shikama (2003) Eur. J. Immunol. 33:1998-2006に記載されている。TRAF−2の優性ネガティブ分子は、Costabnzo (2003) J. Cell Physiol. 195:402-10に記載されている。
【0108】
あるいはまた、本発明の標的遺伝子を下方調節することができる薬剤は、本発明の標的遺伝子産物をコードする内在性DNAまたはmRNAの転写および/または翻訳のプロセスまたはレベルを低下させることができる任意の化合物であり得る。たとえば、De Jonge 1991に記載のように、CD27 mRNAレベルに対してPMA治療を使用し得る(後述)。
【0109】
本発明において使用され得るさらなる薬剤(すなわち、推定免疫モジュレーター)は、NIK依存NF−κBシグナル伝達を増加または減少させることができるその能力を調べることによって同定され得ることは認識されよう。したがって、たとえば、薬剤は、NIK−SIVA複合体形成またはNIK依存性CD27調節を増加または減少させるその能力について、当該技術分野でよく知られた、以下の実施例の項目の実施例1〜3に記載の細胞学的、遺伝学的および/または生化学的方法を用いて試験し得る。
【0110】
NIKの活性をモジュレートするために使用され得る分子/薬剤は、細胞を、該細胞内でNIK依存性標準および代替経路を誘導することができるTNF/NGFレセプターファミリーのリガンドと接触させること、前記接触前、接触後、または接触中に細胞を個々の被験分子とともにインキュベートすること、細胞内の標準経路の活性化を検出すること、および前記リガンドによって誘導される標準経路の誘導をモジュレートすることができる単一の分子/分子群を選択することによってスクリーニング(同定および/または選択)され得る。
【0111】
好ましい実施形態では、CD70、CD40LまたはBlys/BAFFリガンドが分子のスクリーニングに使用される。あるいはまた、以下にCD70について例示するように、NIK依存性標準および代替経路を誘導することができる新たなリガンドを同定してもよい。
【0112】
分子のスクリーニングのための標準経路活性化の検出は、IκB分解、IκBαリン酸化およびp65移行標準経路を示すパラメータをモニターすることにより行なわれ得る。
【0113】
本発明の好ましい実施形態では、リンパ芽球細胞型、たとえば、Ramos細胞、Raji細胞およびBJAB細胞が、本発明の分子のスクリーニングに使用される。
【0114】
加えて、NIKの活性をモジュレートするために使用され得る分子/薬剤は、リンパ芽球細胞を、該細胞内でNIKおよび標準経路を活性化することができるTNF/NGFレセプターファミリーのリガンドと接触させること、前記接触前、接触後、またはそのあいだに細胞を個々の被験分子とともにインキュベートすること、標準経路の活性化を検出すること、およびNIK非依存的に前記リガンドによって誘導されるが、標準経路を誘導することができる他のどのリガンドによっても誘導されない標準経路の誘導をモジュレートすることができる単一の分子/分子群(たとえば、TNFなど)を選択することによってスクリーニングされ得る。
【0115】
本発明の薬剤は被験体に、それ自体を投与してもよく、または薬学的に許容され得る担体と混合された医薬組成物の一部として配合してもよい。
【0116】
本明細書において使用する場合、「医薬組成物」は、本明細書に記載の1種類以上の活性成分または薬剤と他の化学成分(たとえば、生理学的に好適な担体および賦形剤など)との調製物をいう。医薬組成物の目的は、化合物の生物体への投与を容易にすることである。
【0117】
本明細書において、用語「活性成分」は、生物学的効果を担う調製物をいう。
【0118】
以下、本明細書において、語句「生理学的に許容され得る担体」および「薬学的に許容され得る担体」は、互換的に使用され得、生物体に対して有意な刺激を引き起こさず、かつ投与された化合物の生物学的活性および特性を無効にしない担体または希釈剤をいう。アジュバントは、これらの語句に含まれる。薬学的に許容され得る担体に包含される成分の一例は、たとえば、ポリエチレングリコール(PEG)、有機系および水性媒体の両方において広範囲の溶解度を有する生体適合性ポリマー(Mutter et al. (1979))であり得る。
【0119】
本明細書において、用語「賦形剤」は、活性成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質をいう。賦形剤の例としては、限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類および数種のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油ならびにポリエチレングリコールが挙げられる。
【0120】
薬物の製剤化および投与のための手法は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”, Mack Publishing Co., Easton, PA, 最新版(引用により本明細書に組み込まれる)に見られ得る。
【0121】
投与の好適な経路としては、たとえば、経口、経直腸、経粘膜、特に経皮、腸または非経口送達(筋肉内、皮下および髄内注射など)ならびに鞘内、直接脳質内、静脈内、腹腔内、鼻腔内または眼球内注射が挙げられ得る。あるいはまた、調製物を、全身的ではなく局所に、たとえば、調製物を直接患者の身体の特定領域内に注射することにより投与してもよい。
【0122】
本発明の医薬組成物は、当該技術分野において周知の方法によって、たとえば、慣用的な混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、微粒化、乳化、カプセル封入、内包または凍結乾燥方法によって製造され得る。
【0123】
本発明に従う使用のための医薬組成物は、慣用的な様式で、活性成分の薬学的に使用可能な調製物への加工処理を容易にする1種類以上の生理学的に許容され得る担体(賦形剤および補助剤を含む)を用いて製剤化され得る。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
【0124】
注射用としては、医薬組成物の活性成分は、水溶液中、好ましくは生理学的に適合性のある緩衝液(たとえば、ハンクス溶液、リンゲル液または生理食塩緩衝液)中に製剤化され得る。経粘膜投与用としては、障壁を透過するのに適当な浸透剤を製剤中に使用する。かかる浸透剤は、一般的に、当該技術分野において公知である。
【0125】
経口投与用としては、医薬組成物は、活性化合物を当該技術分野において周知の薬学的に許容され得る担体と組み合わせることによって容易に製剤化され得る。かかる担体は、医薬組成物を、患者による経口摂取のための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル剤、シロップ、スラリー剤、懸濁剤などに製剤化するのを可能にする。経口使用のための薬理学的調製物は、固体賦形剤を用い、任意に、得られた混合物を磨砕し、所望により適当な補助剤を添加した後、顆粒混合物に加工処理して錠剤または糖衣錠コアを得ることにより作製され得る。好適な賦形剤は、特に、充填剤(たとえば、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールなどの糖類など) ;セルロース調製物(たとえば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、イモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど);および/または生理学的に許容され得るポリマー(たとえば、ポリビニルピロリドン(PVP)など)である。所望により、たとえば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(たとえば、アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤を添加してもよい。
【0126】
糖衣錠コアには適当なコーティングが施される。この目的のため、任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールジェル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る濃縮糖溶液が使用され得る。異なる組み合わせの活性化合物投薬量を識別または特徴付けるため、染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加してもよい。
【0127】
経口で使用することができる医薬組成物としては、ゼラチン製の押し込み型カプセルならびにゼラチンおよび可塑剤(たとえば、グリセロールまたはソルビトールなど)で作製された軟質密封カプセルが挙げられる。押し込み型カプセルは、活性成分を、充填剤(たとえば、ラクトース)、結合剤(たとえば、デンプンなど)、滑剤(たとえば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)および任意に安定化剤などと混合した状態でを含み得る。軟質カプセルでは、活性成分を、適当な液体(たとえば、脂肪油、液状パラフィンまたは液状ポリエチレングリコールなど)中に溶解または懸濁させ得る。また、安定化剤を添加してもよい。経口投与のためのすべての製剤は、選択した投与経路に適した用量であるべきである。
【0128】
口内投与用としては、組成物は、慣用的な様式で製剤化される錠剤またはトローチ剤の形態をとり得る。
【0129】
鼻腔吸入による投与用としては、本発明による使用のための活性成分は、加圧パックからのエアロゾル噴霧提示または好適なプロペラント(たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用を伴うネブライザーの形態で簡便に送達される。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、定量を到達するためのバルブを設けることにより決定され得る。ディスペンサーにおける使用のために、化合物の粉末ミックスおよび適当な粉末基剤(たとえば、ラクトースまたはデンプンなど)を含む、たとえばゼラチン製のカプセルおよびカートリッジが製剤化され得る。
【0130】
本明細書に記載の医薬組成物は、たとえば、ボーラス注射または連続輸液により、非経口投与用に製剤化され得る。注射用の製剤は、単位投薬形態で、たとえば、任意に保存料を添加したアンプルまたは反復投与容器にて提示され得る。該組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤またはエマルジョンであり得、製剤用剤(たとえば、懸濁剤、安定剤および/または分散剤など)を含み得る。
【0131】
非経口投与用の医薬組成物としては、水溶性形態の活性調製物の水溶液が挙げられる。加えて、活性成分の懸濁液は、適切な油性または水性注射懸濁剤として調製され得る。好適な親油性の溶媒またはビヒクルとしては、ゴマ油などの脂肪油、または合成脂肪酸エステル(たとえば、オレイン酸エチル、トリグリセリドもしくはリポソームなど)が挙げられる。水性注射用懸濁剤は、該懸濁剤の粘度を増加させる物質、たとえば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含み得る。任意に、懸濁剤はまた、好適な可塑剤、または高度に濃縮された溶液の調製を可能にするために活性成分の溶解度を増加させる薬剤を含み得る。
【0132】
あるいはまた、活性成分は、使用前に好適なビヒクル(たとえば、発熱物質無含有の滅菌水系溶液)で構築するための粉末形態であり得る。
【0133】
本発明の医薬組成物はまた、たとえば、慣用的な座剤用基剤(たとえば、ココアバターまたは他のグリセリドなど)を用い、経直腸組成物(たとえば、座剤または停留浣腸など)に製剤化され得る。
【0134】
本発明の状況における使用に適した医薬組成物としては、活性成分が意図した目的を達成するのに有効な量で含まれる組成物が挙げられる。より詳細には、治療有効量は、疾患の症状を予防、緩和もしくは改善することができるか、または治療対象の個体の生存を延長することができる活性成分の量を意味する。
【0135】
治療有効量の決定は、充分、当業者の能力の範囲内である。
【0136】
本発明の方法において使用される任意の調製物について、治療有効量または治療投薬量は、まず、インビトロアッセイから概算され得る。たとえば、ある投薬量が動物モデルにおいて策定され得、かかる情報を用い、ヒトにおいて有用な投薬量をより正確に決定することができる。
【0137】
本明細書に記載の活性成分の毒性または治療的効能は、インビトロでの標準的な製薬手順により、細胞培養物または実験動物において決定され得る。これらのインビトロ細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを、ヒトにおける使用のための用量範囲を策定するために使用することができる。該用量は、使用した投薬形態および用いた投与経路に応じて異なり得る。正確な製剤、投与経路および用量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択され得る(たとえば、“The Pharmacological Basis of Therapeutics”, 第1章 p.1のFingl et al., 1975を参照のこと)。
【0138】
治療対象の状態の重篤度および応答性に応じて、投薬は、1回、または数日間から数週間持続する治療過程をともなって、または治癒するまで、もしくは疾患状態の減退が達成されるまでの複数回の投与であり得る。
【0139】
投与される組成物の量は、もちろん、治療対象の個体、苦痛の重篤度、投与様式、処方する医師の判断などによる。
【0140】
適合性のある医薬用担体内に製剤化された本発明の調製物を含有する組成物はまた、適切な容器内で調製および配置され、適応症状の治療のためにラベル表示される。
【0141】
本発明の組成物は、所望により、活性成分を含有する単位投薬形態を1つ以上含み得る、たとえば、FDA承認キットなどのパックまたはディスペンサーデバイスにて提示され得る。パックはたとえば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチックのホイルを含み得る。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための使用説明書が添付されてもよい。パックまたはディスペンサーにはまた、政府機関による医薬品の製造、使用または販売規制により指示された形態の容器に関連する通知が添付されてもよく、該通知は、組成物の形態またはヒト用もしくは獣医用投与の該機関による承認を反映する。かかる通知は、たとえば、処方薬について米国食品医薬品局により承認されたラベル表示、または承認製品挿入物であり得る。
【0142】
明確にするため別々の実施態様において記載した本発明のある特定の諸特徴は、単一の実施態様において組合せで提供され得ることは認識されよう。また、逆に、簡潔にするため単一の実施態様において記載した本発明の種々の特徴は、単独または任意の適当な下位の組み合わせで使用され得る。
【0143】
本発明のさらなる目的、利点および新規特徴は、限定を意図しないが、以下の実施例の試験を行なうと、当業者に自明となろう。加えて、上記に示し、かつ以下の特許請求の範囲に請求した本発明の種々の実施形態および側面の各々について、以下の実施例において実験的裏づけが見出されよう。
【実施例】
【0144】
次に、上記の記載とともに非限定的に本発明を説明する以下の実施例について言及する。
【0145】
一般的に、本明細書において使用される命名法および本発明において用いられる実験手順は、分子的、生化学的、微生物学的および組換えDNA技術を含む。かかる技術は、文献に充分に説明されている。例えば、“Molecular Cloning:A laboratory Manual” Sambrook et al., (1989) ;“Current Protocols in Molecular Biology”第I〜III巻 Ausubel, R. M.編 (1994) ; Ausubel et al., “Current Protocols in Molecular Biology”, John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989) ; Perbal, “A Practical Guide to Molecular Cloning”, John Wiley & Sons, New York (1988) ;Watson et al., “Recombinant DNA”, Scientific American Books, New York; Birren et al.(編)“Genome Analysis:A Laboratory Manual Series”, 1〜4巻, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1998);米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号および同第5,272,057号に記載の方法論;“Cell Biology:A Laboratory Handbook”, I〜III巻 Cellis, J. E.編 (1994) ;“Current Protocols in Immunology” I〜III巻 Coligan J. E.編 (1994) ; Stites et al.(編), “Basic and Clinical Immunology”(第8版), Appleton & Lange, Norwalk, CT (1994) ; Mishell and Shiigi (編), “Selected Methods in Cellular Immunology”, W. H. Freeman and Co., New York (1980)を参照のこと;利用可能な免疫アッセイは特許および科学文献にさらに記載されている。例えば、米国特許第3,791,932号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,850,578号;同第3,853,987号;同第3,867,517号;同第3,879,262号;同第3,901,654号;同第3,935,074号;同第3,984,533号;同第3,996,345号;同第4,034,074号;同第4,098,876号;同第4,879,219号;同第5,011,771号および同第5,281,521号;“Oligonucleotide Synthesis”Gait, M. J.編(1984) ;“Nucleic Acid Hybridization” Hames, B. D., and Higgins S. J.編 (1985) ;“Transcription and Translation” Hames, B. D.および Higgins S. J.編 (1984) ;“Animal Cell Culture” Freshney, R. I.編 (1986) ;“Immobilized Cells and Enzymes” IRL Press, (1986) ;“A Practical Guide to Molecular Cloning” Perbal, B., (1984) および“Methods in Enzymology” 1-317巻, Academic Press;“PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications”, Academic Press, San Diego, CA (1990) ; Marshak et al.,“Strategies for Protein Purification and Characterization - A Laboratory Course Manual”CSHL Press (1996)を参照のこと;これらのすべては、引用により、本明細書に完全に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。他の一般的な参考文献は、本明細書中に提供されている。本発明における手順は、当該技術分野において周知であると考え、読み手の便益のために提供する。本明細書に含まれるすべての情報は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0146】
実施例1
NIK−SIVA結合
NIKのSIVAへの結合およびその同時発現の効果を、結合、同時発現および免疫沈降アッセイを用いて試験した。
【0147】
抗体:
抗HIS抗体は、シグマから購入した。抗mycモノクローナル抗体(クローン−9E10)は、myc−ペプチドアフィニティカラムにてマウス腹水から精製した。
【0148】
細胞:
HEK293T細胞を、10%ウシ胎児血清、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを加えたダルベッコ改変イーグル最少必須培地中で培養した。
【0149】
発現ベクター:
N末端をmycタグ(EQKLISEEDL、配列番号:5)に融合させたNIK発現用ベクター(配列番号:1)を、Michael Kracht博士(ドイツ)から頂いた。ヒトSIVA1(配列番号:6)およびSIVA2(配列番号:7)のcDNAを、ESTからPCR増幅し、pcDNA3.1-HISベクター(インビトロジェン)うちにクローン化した。pEGFPプラスミドはクロンテックから購入した。マウスaly変異(G860R)(Shinkura et al., 1999; NM_016896)に相当する変異を有するヒトNIKを、部位特異的変異誘発キット(ストラタジーン)により、(センス)5'CCAAGCTATTTCAATCGTGTGAAAGTCCAAATAC(配列番号:8)および(アンチセンス)5'GTATTTGGACTTTCACACGATTGAAATAGCTTGG(配列番号:9)を用いて作製した。
【0150】
酵母ツーハイブリッドスクリーニング:
pcNIKベクター由来のBamHI/XhoI消化NIK挿入断片を、Gal4 DNA結合性ドメインベクターpGBKT7(クロンテック)のBamHI/SalI認識部位内にサブクローン化した。形質転換済みヒト骨髄ライブラリー(HL4053AH,クロンテック)を、製造業者の使用説明書(酵母プロトコルハンドブック, クロンテック− www.clontech.com)に従い、ベイトとしてpGBKT−NIKを用いたツーハイブリッドスクリーニングに供した。陽性クローンを、四連選択およびβ−ガラクトシダーゼ活性アッセイにより同定した。SIVAクローンのNIKおよびNIK624〜947への結合を再確認し、NIKのTRAF2への結合は、酵母SFY526レポーター系統(クロンテック)ならびにpGBKT7およびpGADT7ベクターを用いたβ-ガラクトシダーゼ発現アッセイにより評価した。
【0151】
トランスフェクション、免疫ブロテッィングおよび免疫沈降:
トランスフェクトされたタンパク質の免疫共沈降のため、HEK293T細胞を90mm径プレート上に播種し(1.5×106細胞/プレート)、1日後に、リン酸カルシウム沈降法(Sambrook et al., 1989)を用い、全量10μgのDNAを用いて、10%FBSを含むDMEM培地10ml中でトランスフェクトした。コトランスフェクションでは、被験タンパク質をコードするプラスミドの1:1混合物を使用した。トランスフェクション の24時間後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回リンスし、1mlの溶解バッファー(10 mM Tris−HCl(pH 7.6)、250 mM NaCl、1%NP−40、1 mM EDTA、1 mM PMSF)(これは、1×完全プロテアーゼ抑制因子カクテル(ロッシュ モレキュラー バイオケミカルズ)を含む)中で溶解した。予備精製したライセートを2時間4℃でプロテインG-セファロースビーズ(アマシャム バイオサイエンス)にあらかじめ吸着させた抗mycまたは抗HIS抗体2μgとともにインキュベートした。次いで、ビーズを溶解バッファーでリンスし、SDS−PAGEに供し、タンパク質をニトロセルロース膜に移し、表示した抗体でプローブ標識した。抗体を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)標識二次抗体により、高感度化学発光(ECL)ウエスタンブロテッィング検出システム(アマシャム)を製造業者の使用説明書にしたがって用いて可視化した。
【0152】
レポーター遺伝子試験:
NIK媒介NF−κB活性化を、レポーター遺伝子アッセイにより測定した。HEK293T細胞(1.5×105/ウェル)を、6ウェルプレート上に播種し、1日後に、リン酸カルシウム沈降法(Sambrook et al., 1989)によりトランスフェクトした。コトランスフェクションでは、被験タンパク質をコードするプラスミドの1:1混合物を使用した。全DNA濃度を2μg/ウェルに維持するため、pcDNA3(インビトロジェン)「空」ベクターを添加した。トランスフェクションの24時間後、細胞を回収し、溶解し、レポーター遺伝子活性をルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ)を用いて測定した。
【0153】
NIKはSIVA(CD27と会合しているアダプタータンパク質)に結合する:
NIKをベイトとして用いたヒト骨髄ツーハイブリッドライブラリーのスクリーニングにより、NIKは、SIVAと称するタンパク質(これは、主にTおよびBリンパ球で発現されるTNF/NGFファミリーのレセプターであるCD27と会合していることが以前に示された(Prasad et al., 1997))のC末端部分に特異的に結合することがわかった。TRAFのNIKへの結合のように(Malinin et al., 1997)、本発明の研究では、SIVAのC末端部分はNIKのC末端部分に結合すること、およびこの結合はタンパク質全体でなくそれぞれの部分を結合アッセイに用いた場合、より強くなることが示された(図1a)。これは、おそらく、NIKのN末端部分が自身のC末端に結合し、したがって、この部分が他のタンパク質と結合することを阻止する傾向性によるものである(Xiao and Sun, 2000)。
【0154】
NIKとSIVA1またはSIVA2(2つの既知SIVAスプライスバリアント)(Yoon et al., 1999)との、一過的にトランスフェクトしたHEK293細胞内での同時発現により、NIKは哺乳動物細胞においてSIVAに結合し得ることが明らかになった。図1b〜cに示すように、NIKは、トランスフェクト細胞のライセート由来の両スプライスバリアントとともに二方向に免疫共沈降させた。トランスフェクト細胞内のSIVA1またはSIVA2の量は、NIKと同時発現させた場合に増大し、これは会合したNIK分子によるSIVAの安定化を明白に反映する。NIKの発現はまた、2つのSIVAスプライスバリアントのいずれの同時発現によっても増強された(図1b、1c)。このような増強は、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはIKK1を用いたNIKの同時発現では観察されなかった(図1d)。SIVA2の発現は、alyマウスに見られるもの(G860R)に相当する不活性なミスセンス変異を含む同時発現NIKの量を増大させなかったものの、このNIK変異体は、SIVA1と免疫共沈降し、ある程度SIVA2とも免疫共沈降した(図1b〜c)。
【0155】
SIVAはまた、NIK機能に影響を与え得るようであった。単独で発現させると、SIVA1またはSIVA2は、ほんのわずかのNF−κB活性化を引き起こした。しかしながら、両方のスプライスバリアントでは、同時発現NIK aly変異体によるNF−κBの活性化に影響を与えずに、同時発現NIKによるNF−κBの活性化が有意に増強された(図1e)。
【0156】
実施例2
CD27はリンパ球においてIκBとNF−κB2/p100の両方のプロセシングを誘導し、一方で、Ramosリンパ芽球細胞内でのNIK合成の停止は、CD27誘導NF−κB活性化を阻止する
CD70(CD27リガンド)が、リンパ球においてIκBとNF−κB2/p100の両方のプロセッシングを誘導する能力を、p100、p52、RelB、IκBαおよびp65に指向される抗体を用いたウエスタンブロット解析により測定した。誘導されるプロセッシングに対してこれらの細胞内のNIKの存在が与える効果を、NIK抑制細胞における同分子のウエスタンブロット解析により評価した。
【0157】
試薬:
CD70(GenBank受託番号Y13636)を、関連発現構築物でのヒト胚性腎(HEK)293T細胞の大規模トランスフェクションにより産生させた(下記参照)。MG132は、カルビオケムから購入した。Ficoll−Paqueは、アマシャム バイオサイエンスから購入した。G418は、ライフ テクノロジーから購入した。フィトヘムアグルチニン(PHA)はシグマから購入した。すべての試験において、トランスフェクト細胞の条件培地を1:4の希釈率で用いた。
【0158】
抗体:
抗p52抗体は、アップステート バイオテクノロジーから購入し、p65、RelB、CD27およびラミン A/Cに対する抗体は、サンタ クルス バイオテクノロジーから、抗IκBαはトランスダクション ラボラトリーから購入し、抗mycモノクローナル抗体は、実施例1に記載のようにして精製した。抗NIKモノクローナル抗体NIK−81は、N末端に結合するためのシステインを含むNIKキナーゼドメイン(RLGRGSFGEVHRMEDK、配列番号:10)内の配列に相当するKLH結合ペプチドでマウスを免疫化することによって生成させた。抗NIKモノクローナル抗体を、アフィゲル(バイオラッド)にて、BSA結合ペプチドを結合させたアフィニティカラムで精製した。
【0159】
細胞:
ヒト末梢血単核球(PBMC)を、軟膜試料から、450×gでのFicoll−Paque勾配遠心分離により単離した。細胞を、前処理なしでCD70での刺激に供するか、または、1μg/mlのPHAにより48時間活性化した後、PHAなしで12時間放置した。PBMC、ならびにバーキットリンパ腫起源のヒトBリンパ芽球株の細胞、Ramos細胞(Benjamin et al., 1982)、Raji細胞(Pulvertaft, 1964)を、10%ウシ胎児血清、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを加えたRPMI培地中で培養した。HEK293T細胞は、実施例の項目の実施例1に記載のようにして培養した。
【0160】
発現ベクター:
mCD70の細胞外ドメインのcDNAを、ESTからPCR増幅し、修飾ロイシンジッパーおよびFLAGタグ(Fanslow et al., 1994)と融合させた状態でpcDNA3(インビトロジェン)うちにクローン化した。完全長NIKに相当するcDNAを、Gal4 DNA結合性ドメインベクターpGBKT7(クロンテック)うちにクローン化した。配列をNIK siRNAに非相補的となるよう改変したNIKを、(センス)5'GAGGGTCTGGAATACCTACATTCCCGCAGGATTCTGCATGGG(配列番号:11)および(アンチセンス)5'CCCATGCAGAATCCTGCGGGAATGTAGGTATTCCAGACCCTC(配列番号:12)をプライマーとして用いて作製した。
【0161】
siRNAおよびレンチウイルス形質導入:
ヘアピンsiRNAを、pSUPERベクターを用い、既述(Brummelkamp et al., 2002)のようにして発現させた。簡単には、二本鎖オリゴヌクレオチドを、ヒトNIKオープンリーディングフレーム(ヌクレオチド1513〜1531)内の9塩基対スペーサー領域(ttcaagaga 配列番号:15)により連結された領域に相当するフォワード配列およびリバース配列:センス鎖5' gatccccTACCTCCACTCACGAAGGAttcaagagaTCCTTCGTGAGTGGAGGTAtttttggaaa(配列番号:13) ;アンチセンス鎖5'agcttttccaaaaaTACCTCCACTCACGAAGGAtctcttgaaTCCTTCGTGAGTGGAGGTAggg(配列番号:14)を含むように設計した。2つのオリゴヌクレオチドをアニーリングし、pSUPERのBglIIおよびHindIII(Brummelkamp et al., 2002)部位内にクローン化し、H1 RNAプロモーター(Brummelkamp et al., 2002)の制御下で発現させた。コトランスフェクトNIKに対して5倍過剰までのこのpSUPER−NIKで、上記のようにして一過性トランスフェクションを行なった。
【0162】
Ramos細胞内で構成的にpSUPER−NIKを発現させるため、レンチウイルス系ベクター(Lois et al., 2002)を使用した。H1プロモーター(Brummelkamp et al., 2002)およびNIK RNAiを含むカセットを、pSUPERベクターから、EcoRIおよびHindIII(ともにニュー イングランド バイオラブ製)を用いて切り出し、接着末端を、T4 DNA ポリメラーゼ(ニュー イングランド バイオラブ)を用いて平滑末端とし、この平滑末端断片を、GFP発現FUGWレンチウイルス系ベクター(Lois et al., 2002)の平滑末端化PacI部位内に挿入した。形質導入細胞を、GFP発現についてFACSにより分取した(FACS Vantage,ベクトン‐ディッキンソン)。分取した細胞は、GFPの発現およびNIKの欠損を数ヶ月間示した。
【0163】
トランスフェクション、免疫ブロテッィングおよび免疫沈降:
トランスフェクション、免疫ブロテッィングおよび免疫沈降は、実施例の項目の実施例1に記載のようにして行なった。
【0164】
内在性NIKを検出するため、Ramos細胞(2〜4×108;1×108細胞/ml)を溶解し、プロテインG−セファロースビーズに結合させたアフィニティ精製マウス抗NIK抗血清とともに免疫沈降させた。沈降したタンパク質を、ウエスタンブロッティングにより、NIK−81抗体およびSuperSignal West Femto Chemiluminescent Detection Kit(ピアース)を用いて検出した。
【0165】
NK―κBタンパク質の免疫沈降では、10〜20×106細胞由来の核抽出物を希釈し、以下の組成:0.5%NP−40、10 mM HEPES pH 7.9、150 mM NaCl、1 mM EDTA、1 mM EGTA、1 mM ジチオスレイトール(DTT)、1 mM PMSFおよび1×完全プロテアーゼ抑制因子カクテルを得た。プロテインA−セファロースビーズ(アマシャム バイオサイエンス)にあらかじめ吸着させた抗RelB抗体を、予備精製した核ライセートとともに2時間4℃でインキュベートした。免疫沈降物を、SDS−PAGEにより、4〜12%Bis−Tris NuPAGEゲル(インビトロジェン)を用いて解析し、ゲルを、上記のようにしてウエスタンブロテッィングに供した。
【0166】
リンパ系細胞株およびPBMCのリガンド活性化は、典型的には1×106細胞を図に示した時間(0、0.3および4時間または0、1および4時間;図2a〜b)関連リガンドで刺激することにより行ない、核抽出物および細胞質抽出物は記載(Schreiber et al., 1989)のようにして調製し、ウエスタンブロテッィングにより解析した。
【0167】
Raji細胞のリガンド活性化は、細胞を、図に示した時間(0、0.3および4時間または0、1および4時間;図2a〜b)、CD70で刺激することにより行なった。正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞のリガンド活性化は、細胞を図に示した時間(0、0.3、1、4および20時間;図2d〜eまたは0、0.15、0.3、4および16時間;図2h)、CD70で刺激することにより行なった。
【0168】
NIKのNIK(MINUS)細胞への再導入を、Nucleofector Kit Vを製造業者の使用説明書にしたがって(アマクサ バイオシステムズ)用い、発現ベクターによるNIK(MINUS)細胞のヌクレオトランスフェクションにより行なった。簡単には、2×106 NIK(MINUS)細胞を4μgの変異mycタグ化NIKプラスミドおよび1μgのpcDNA3により、溶液V中で、プログラムS18を用いてNucleofector装置にてヌクレオフェクトした。トランスフェクトされたタンパク質を安定的に発現する細胞をG418(1mg/ml)にて選択した。
【0169】
プロテインキナーゼCアッセイ:
対照およびNIK欠損Ramos細胞のPKC活性を、CD70刺激の(0、15および30分間)後に、Signatect Protein Kinase C アッセイシステム(プロメガ)を用いて測定した。PKCの酵素活性は、リン脂質の非存在下でのアッセイ時に得られた値をその存在下で得られた値から差し引くことにより測定した。
【0170】
CD27は、リンパ球においてIκBとNF−κB2/p100の両方のプロセシングを誘導する:
NIKがSIVAに結合する能力は、NIKがCD27の細胞機能に、ある役割を果たし得ることを示唆した。したがって、代替NF−κB活性化経路(これには、NIK機能が関与している)に対するCD27の効果を調べた。
【0171】
ヒト末梢血単核白血球(PBMC)をCD27リガンドであるCD70で処理すると、IκBαの急速な低下が誘導され(図2a、2b、上パネル)、これは、該レセプターが標準NF−κB経路の活性化を誘発し得ることを示す。この低下は、基底IκBαレベルが高い活性化されたPBMCにおいてより容易に検出されたが(図2b、上パネル)、注意深く調べると、ずっと低いレベルのIκBαを含む非刺激PBMCにおいても認められた(図2a、上パネル)。休止PBMCでは、CD70もまた、RelBに加えてNF−κB/p52(p52)の核への移行を誘導した。これは、CD27が、これらの細胞においても代替NF−κB経路を刺激することを示す(図2a、下パネル)。PHA活性化(これは、PBMCにおいてCD27とCD70の両方の発現増大をもたらす(de Jong et al., 1991 and Hintzen et al., 1994))の後、p52とRelBの両方の基底核レベルは非常に高く、適用したCD70のp52生成に対する効果の評価が妨げられた(図2b、下パネル)。
【0172】
また、本発明の研究では、CD70が、RamosおよびRajiリンパ芽球株において、IκBα分解およびRelBとNF−κB2/p52の核移行を誘導することが示された(図2cおよび図2d、2eの左パネル)。CD70でのRaji細胞の処理により、CD70適用の20分以内にIκBα分解が誘導されたが、後に、IκBαレベルは増大した。IκBα分解は、p65、RelBおよびNF−κB2/p52の核移行と関連した(図2c)。
【0173】
同様のIκBα分解パターンが、CD70適用後にRamos細胞において観察された(図2e、左パネル)。IκBα分解は、核p65レベルの長期増大と関連した(図2e、左パネル)。他方において、RelBの核移行は、どちらかというとゆっくりと起こり、CD70適用の約4時間後に最大移行に達した(図2d、左パネル)。p52の核移行は、最初の20分以内に開始し、20時間維持された。Ramos細胞の核内へのp100の蓄積は、RelBと会合したこのタンパク質の核への誘導された移行を反映することが示唆されるプロセス(Yilmaz et al., 2003)である、最初の1時間以内に現れた(図2d、左パネル)。
【0174】
Ramosリンパ芽球細胞におけるNIK合成の停止は、標準および代替NF−κB経路の両方のCD27誘導型活性化を阻止する:
CD27による種々のNF−κB形態の活性化におけるNIKの役割を調べるため、Ramos細胞におけるNIK合成を、NIK合成を阻止することができるヘアピン低分子干渉性RNA(siRNA)を発現するレンチウイルス系ベクターをこれらの細胞に感染させることによって停止させた。ウエスタン解析により、一過性発現様式および安定的発現様式の両方を確認し、siRNAベクターは、有効にNIKの合成を停止させた(図2f、上および中央パネル)。既報のNF−κB代替経路におけるNIKの関与から予測されるように、CD70でのNIK(MINUS)Ramos細胞の処理では、p52またはRelBのその核への移行は誘導されなかった。これらの細胞においてCD70により誘導されたp100の移行もまた、有意に遅滞された(図2d、右パネル)。また、NIK欠損により、CD70は、IκBα分解も核p65移行(ともに標準経路の表示)も誘導することができなかった(図2e、右パネル)。
【0175】
対照試験により、NIK(MINUS)Ramos細胞がCD27を正常Ramos細胞のものに匹敵するレベルで発現し、したがって、CD27誘発時に正常なプロテインキナーゼC(PKC)活性化を示す(Erlichman and Howard, 1999)ことを確認した(図2gおよびその差込図)。これらの結果は、NIK(MINUS)Ramos細胞がNF−κBを活性化できないことは、異常なCD27機能によって引き起こされるのではないことを示した。この観察結果を確認するため、これらの細胞を、mycタグ化NIK cDNA(これには、NIK siRNAに非相補的となるように保存配列変化が導入されている)でトランスフェクトすることにより、NIK発現をNIK(MINUS)細胞に対して復活させた(図2f、下パネル)。これらの細胞においてIκBαおよび核p52レベルは、通常よりもいくぶん高かったが(おそらく、超正常発現レベルの結果としての自発的NIKシグナル伝達により)、再構築されたNIK(MINUS)細胞はCD70に応答する能力を回復し、核p52の増加およびIκBαの一過性の減少の両方を伴っており(図2h)、代替および標準NF−κB経路の両方の活性化におけるNIKの枢要な役割がさらに確認された。
【0176】
実施例3
標準および代替NF−κB経路に対するNIK抑制の効果
CD40、BLyS、TNF、タプシガルジンまたはPMAが、標準および代替NF−κB経路を誘導する能力を、p100、p52、RelB、IκBαおよびp65に指向される抗体を用いたウエスタンブロット解析により測定した。これらの細胞内にNIKが存在する効果を、NIK抑制細胞における同分子のウエスタンブロット解析により評価した。
【0177】
試薬:
hCD154(CD40L)およびhBLyS/BAFFの産生は、関連発現構築物でのヒト胚性腎(HEK)293T細胞の大規模トランスフェクションにより行った(下記参照)。すべての試験において、トランスフェクト細胞の条件培地は、実施例2に記載のとおりとした。G. Adolf博士(Boehringer Institute, Vienna,オーストリア)より頂いたTNFを細胞に50 ng/mlの濃度で適用した。タプシガルジン、4β−ホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PMA)およびフィトヘムアグルチニン(PHA)は、シグマから購入した。
【0178】
抗体:
p65、RelB、p52、p100、IκBαに対する抗体の供給源は、実施例の項目の実施例2に記載している。抗c−Relは、サンタ クルス バイオテクノロジーから購入した。抗βアクチンおよび抗FLAGは、シグマから購入した。抗ホスホIκBαは、セル シグナリング テクノロジーから購入した。
【0179】
細胞:
Ramos(Benjamin et al., 1982)細胞は、実施例の項目の実施例2に記載のようにして培養した。
【0180】
発現ベクター:
hCD154(CD40L)(ATCCクローン79814)およびhBLyS/BAFF(Resgenクローン631119)の細胞外ドメインのcDNAを、ESTからPCR増幅し、修飾ロイシンジッパーおよびFLAGタグ(Fanslow et al., 1994)と融合させた状態でpcDNA3(インビトロジェン)うちにクローン化した。NIK抑制は、実施例の項目の実施例2に記載のようにして生成させた。
【0181】
トランスフェクション、免疫ブロテッィングおよび免疫沈降:
トランスフェクション、免疫ブロテッィングおよび免疫沈降は、実施例の項目の実施例1に記載のようにして行なった。リン酸化IκBαを、プロテオソーム阻害剤MG132(25μM)で前処理(2時間)した後、検出した。
【0182】
正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞のリガンド活性化は、細胞を示した時間:0、0.2、0.5、1および16時間(図3a)、0、0.25、1および16時間(図3a〜b)CD40Lで、0.3、4および20時間の期間(図3c〜d)BLySで、0、0.3、4および20時間の期間(図3e)または0、0.3、4および20時間の期間(図3f)TNFで刺激することにより行なった。
【0183】
CD70およびTNFによる細胞刺激は、0、15分間および4時間行なった(図3g)。タプシガルジンおよびPMAによる刺激は、0、30分間および4時間行なった(図3h)。
【0184】
リンパ球におけるNF−κB活性化に対するTNFファミリーの種々のリガンドの効果の試験により、2つのリガンドCD40リガンド(CD40L)(Berberich et al., 1994)(Coope et al., 2002)およびBLyS/BAFF(Claudio et al., 2002)(Kayagaki et al., 2002)(Hatada et al., 2003)による標準および代替NF−κB経路の両方の活性化が示された。他方において、TNFは、標準経路は有効に誘発することができるが、代替経路を誘発することはできないようである(Matsushima et al., 2001)(Yin et al., 2001)(Dejardin et al., 2002)(Yilmaz et al., 2003)。TNFは、ほんのわずかの核p52増加を誘導し、例えばCD40Lなどのリガンドにより誘導されるよりずっと少なく(Yilmaz et al., 2003)(Derudder et al., 2003)、これは、おそらく、p100の合成の刺激によるためである(de Wit et al., 1998)。TNFはまた、RelBの合成を誘導し(Bren et al., 2001)、明らかにRelBはp100:RelB二量体の誘導された核移行により、一部が核内に蓄積される(Yilmaz et al., 2003)。
【0185】
本発明の研究におけるRamos細胞のCD40L、BLyS/BAFFおよびTNFに対する応答は、既報と一致する。すべての3つのリガンドは標準経路の活性化を誘導し、これは、p65の急速な核移行に反映された(図3b、3f、左パネル)。この移行は、IκBαの減少と関連し(図3b、3f、左パネル)、または、BLyS/BAFF誘導の場合は、細胞レベルで可視的な変化を伴わないIκBαのリン酸化が検出された(図3d、左パネル)。CD40LおよびBLyS/BAFFはまた、RelBに加えて核p52の顕著な増加を誘導し、ともに、代替経路の活性化を反映する(図3a、3c、左パネルs)。TNFは、RelBの核移行は誘導したが、核p52の増大eはほんのわずかであった(図3e、左パネル)。Ramos細胞の核抽出物由来の種々のNF−κBタンパク質の免疫共沈降の評価により、CD70は、主にRelB:p52の核蓄積を増加させるが、RelB:p52の核蓄積もまた増加させ、一方、TNFは、RelB:p52を増加させることなく、RelB:p100の核レベルの増加を誘導することを確認した(図3g)。
【0186】
CD40L、BLyS/BAFF、TNF、タプシガルジンおよびPMAによるNF−κB経路の誘導を、NIK発現が停止されたRamos細胞において試験した。CD40LおよびBLySのNF−κB活性化に対するすべての効果(p100、p52、RelBおよびp65の核移行ならびに細胞質におけるIκBα分解)がNIK(MINUS)Ramos細胞において停止した(図3a〜d、右パネル)。対照的に、TNFによるIκBα分解の誘導、その結果生じるp65の核移行、ならびにp100およびRelBの核移行の誘導は、NIKを発現する細胞と同様に有効にNIK(MINUS)細胞において起こった(図3e、3f、右パネル)。また、NIK枯渇は、タプシガルジン(筋小胞体ストレスの誘導によりNF−κBの活性化を誘発する筋小胞体Ca2+アデノシン三リン酸の阻害剤(Pahl and Baeuerle, 1996))または4β−ホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PMA)(PKCの刺激によりNF−κBを活性化する薬剤(Sen and Baltimore, 1986))に応答したIκBα分解に対して、影響はなかった(図3h)。
【0187】
NF−κBに対するCD70、CD40およびBLyS/BAFFの効果に対する非応答性の低下に加え、NIK(MINUS)Ramos細胞はまた、その基底NF−κBタンパク質レベルのある程度の構成的変化を示した。これらは、基底p52の顕著な減少、およびRelBとc−Relの有意な減少、ならびにp100およびIκBαのある程度の減少を示した(図3e、3fおよび3i)。上記のすべてのタンパク質の発現は、一部、NF−κB活性化に依存する(Hannink and Temin, 1990; Ten et al., 1992; Lombardi et al., 1995 ならびに Bren et al., 2001)。p65は、その発現がNF−κBに依存しておらず(Ueberla et al., 1993)、NIK(MINUS)Ramos細胞において通常の量で存在したが(図3i)その基底核レベルは低下した(図2e)。NIK(MINUS)細胞におけるNF−κBタンパク質レベルのこのような構成的変化は、alyマウスのリンパ球において観察されるものとよく似ている(Yamada et al., 2000)。これらは、おそらく、NF−κBをサイレントな程度までNIK依存的に連続的に活性化するいくつかの自己分泌メディエーター(1種または複数)の効果の停止を反映する。
【0188】
実施例4
IκBα分解に対するNIKのリン酸化活性化-ループに対する抗体の効果
NIKのリン酸化活性化-ループ(αp−NIK)に対する抗体を、Ramos細胞およびBJAB細胞内に導入し、NIK活性を即座に除去した。CD70およびCD40LおよびTNFによるIκBα分解の誘導に対するこれらの抗体の効果を測定した。
【0189】
試薬:
CD70は、実施例の項目の実施例2に記載のようにして生成した。CD40Lは、実施例の項目の実施例3に記載のようにして生成した。TNFは、実施例の項目の実施例3に記載のようにして得た。[γ32P]ATPは、アマシャム バイオサイエンスから購入した。
【0190】
抗体:
IκBα抗体は、実施例の項目の実施例2に記載している。抗mycモノクローナル抗体は、実施例の項目の実施例1に記載のようにして精製した。リン酸化NIK活性化ループ(α−pNIK)に対するモノクローナル抗体は、Thr559がリン酸化されたNIK活性化ループに相当するKLH結合ペプチドでマウスを免疫化することによって生成した。抗NIKモノクローナル抗体NIK−81は、実施例の項目の実施例2に記載のようにして生成した。両方の抗NIKモノクローナル抗体を、その対応するペプチドが結合されたアフィニティカラムにて精製した。
【0191】
細胞:
Ramos細胞およびHEK293T細胞は、実施例の項目の実施例1に記載している。BJAB細胞(Clements et al., 1975)は、10%ウシ胎児血清、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを加えたRPMI培地中で培養した。
【0192】
発現ベクター:
CD70の細胞外ドメインのcDNAを、実施例の項目の実施例2に記載のようにしてクローン化した。hCD154(CD40L)およびhBLyS/BAFFは、実施例の項目の実施例3に記載のようにしてクローン化した。
【0193】
トランスフェクション、免疫ブロテッィングおよび免疫沈降:
トランスフェクション、免疫ブロテッィングおよび免疫沈降は、実施例の項目の実施例1および実施例2に記載のようにして行なった。
【0194】
抗体トランスフェクション:
Pro−ject Protein Transfection Reagent Kit(ピアース)を製造業者の使用説明書にしたがって用い、血清無含有培地中で、抗体を細胞内にトランスフェクトした。抗体トランスフェクション後、リガンドを、通常(血清含有)培地(10%FBS含有RPMI 1640)中に3〜4時間適用した。
【0195】
FITCタグ化免疫グロブリンの取込みの評価:
FITCタグ化免疫グロブリン取込みの評価を、トランスフェクションの0、1、4および8時間後に、蛍光顕微鏡検査により行なった。
【0196】
NIK(MINUS)細胞と正常細胞間で観察されたリガンド効果の差が、長期NIK欠損の結果として細胞に起こるかかる構成的変化に派生的であるという可能性を排除するため、NIK活性化を即座に除去した。NIK活性化は、その活性化ループのリン酸化を伴う(Lin et al., 1998)。リン酸化NIK活性化ループ(α−pNIK)に相当するホスホペプチドに対して生成させ、Ramos細胞内に導入したモノクローナル抗体は、NIKのインビトロキナーゼ機能を、用量依存的に有効に阻止することが示された(図4a、上パネル)。図4bは、タンパク質トランスフェクションキットでのRamos細胞の処理により、該細胞内への一過性だが有効な免疫グロブリンの導入が可能になったことを示す。α−pNIK抗体のRamos細胞内への導入は、TNFによるIκBα分解の誘導に対して影響はなかった。しかしながら、この抗体は、CD70またはCD40LによるIκBα分解の誘導を有効に阻止した(図4c)。BJAB細胞では、CD40LがIκBα分解を誘導し、この誘導は、α−pNIK抗体を導入すると、有意に減少した(図4d)。これらの所見により、NIKはTNFによる標準経路の活性化に関与しないが、リンパ球におけるその機能は他のリガンドによる標準経路の活性化には重要であることがさらに確認される。
【0197】
実施例5
標準経路の活性化に対するCD70の効果
TNFおよびCD70がIKKシグナルソームを活性化する能力を比較した。標準経路の機序に対するその効果を、対照およびNIK欠損細胞において調べた。該細胞内にNIKが存在する効果を、NIK抑制細胞において同分子のウエスタンブロット解析により評価した。
【0198】
試薬:
CD70は、実施例の項目の実施例2に記載してあり、TNFは、実施例の項目の実施例3に記載している。
【0199】
抗体:
抗mycは、実施例の項目の実施例1に記載のようにして精製した。抗IκBαおよび抗NIK(NIK−81)は、実施例の項目の実施例2に記載している。抗ホスホIκBαは、実施例の項目の実施例3に記載している。リン酸化NIK活性化ループ(α−pNIK)に対する抗体は、実施例の項目の実施例4に記載している。抗FLAG M2-ビーズは、シグマから、IKKα(M280 & H744)は、サンタ クルス バイオテクノロジーから、抗IKKβおよび抗IKKγは、BD―ファーミンゲンから購入した。
【0200】
細胞:
Ramos細胞およびPBMC細胞は、実施例の項目の実施例2に記載している。
【0201】
発現ベクター:
GST−IκBαは、シグナル ファーマシューティカルより頂いた。NIK抑制ベクターは、実施例の項目の実施例2に記載している。
【0202】
トランスフェクション、免疫ブロテッィングおよび免疫沈降:
トランスフェクション、免疫ブロテッィングおよび免疫沈降は、実施例の項目の実施例2および実施例3に記載のようにして行った。休止PBMCとRamos細胞由来のCD70/CD27リガンド-レセプター複合体の免疫沈降では、細胞ライセートを、前述のキナーゼ試験について記載したようにして調製し、4時間、4℃で、25μlの50%M2−FLAGアガロースビーズ/ml ライセートとともにインキュベートした。TNF−レセプター複合体を、記載(Zhang et al., 2000)のようにして沈降させた。細胞ライセート由来のシグナルソームは、IKK1に対する2種類の異なる抗体の1:1混合物を用いて免疫沈降させた(M−280およびH−744, サンタ クルス)。25μlの50%プロテインA−セファロースビーズ/ml ライセートに吸着させた抗IKKα抗体10μgを用い、免疫沈降を2時間4℃で継続させた。
【0203】
正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞におけるインビトロGST−IκBαリン酸化を、示した時間の間(0、0.25および4時間)(図5a)CD70またはTNFで細胞を刺激することにより行なった。
【0204】
キナーゼ試験:
レセプター複合体および細胞質内シグナルソームのインビトロIKKキナーゼ活性を、細菌で発現させたGST−IκBα(1−54)(Uhlik et al., 1998 and Dejardin et al., 2002))を基質として用い、既報(Uhlik et al., 1998 and Dejardin et al., 2002)のようにして評価した。つまり、2〜4×108Ramos細胞を、30分間4℃で、溶解バッファー(20 mM HEPES pH 7.6、250 mM NaCl、0.5% NP−40、20 mM β−グリセロホスフェート、1 mM EDTA、20 mM p−ニトロフェニルホスフェート、0.1 mM バナジン酸ナトリウム、2 mM フッ化ナトリウム、1 mM DTT、1 mM PMSFおよび1×完全プロテアーゼ抑制因子カクテル)中で撹拌することにより溶解した。細胞残屑を10,000×gでの遠心分離により除去し、ライセートを、プロテインA/Gビーズ(これには、ウサギ/マウス免疫前血清が吸着されている)で予備精製し、次いで、2時間4℃で免疫沈降に供した。免疫沈降物を、溶解バッファーで4回、およびキナーゼバッファー(20 mM HEPES pH 7.6、20 mM MgCl2、20 mMβ−グリセロホスフェート、1 mM EDTA、2 mM p−ニトロフェニルホスフェートおよび2 mM DTT)で2回洗浄した。キナーゼ反応は、20μlのビーズに結合した免疫沈降タンパク質を、1μgのGST−IκBα(1−54)および5μci[γ32P]ATPを含有するキナーゼバッファー(40μl)中、30℃で30分間インキュベートすることにより進行させた。NIKのキナーゼ活性を、同じ条件下でトランスフェクトHEK293T細胞内で過剰発現され、抗myc抗体を用いて免疫沈降させた、mycタグ化NIKを用いて評価した。キナーゼ試験は、α−pNIKまたは対照としてのIgGの存在下で、免疫沈降物を抗体と1時間、4℃でプレインキュベートした後に行なった。キナーゼ反応の試料は、SDS−PAGEにて分離し、ニトロセルロース膜に移し、オートラジオグラフィーにより可視化し、示されたタンパク質をウエスタンブロット解析に供した。
【0205】
CD70による標準経路の活性化は、IKK1のCD27への選択的NIK依存性補充と関連する:
標準経路における重要な事象は、IKKシグナルソームのIκBキナーゼ活性に対する刺激である。これらの2つのリガンドによる標準経路活性化の機序の違いを調べるため、TNFおよびCD70がIKKシグナルソームを活性化する能力を比較した。
【0206】
TNFおよびCD70は、ともに、IKKシグナルソームのインビトロキナーゼ機能を増強することがわかり、これは、GST−IκBαのリン酸化(図5a)ならびにIKKの自己リン酸化およびNEMOのリン酸化(図5b)において明示される。しかしながら、TNFによるシグナルソームの活性化は、NIK欠損による影響を受けなかったが、シグナルソームに対するCD70の効果は、NIK(MINUS)細胞において抑制された(図5a、b)。
【0207】
TNFによるシグナルソームの活性化後、シグナルソームの全ての3つの成分(IKK1、IKK2およびNEMO)は、サイトゾル内で形成した複合体に見られるのと同じ比率で補充する。TNF処理時のp55 TNFレセプターへのシグナルソーム補充は、野生型細胞の場合と同様に有効にNIK(MINUS)細胞において誘導される(図5c、右パネル)。CD70は、標準シグナルソームの3つの成分の1つの成分IKK1だけのCD27への補充を誘導するようであり、CD70処理時のCD27へのその補充は、NIK(MINUS)細胞において完全に排除され、これは、NIK機能がこのプロセスに必要とされることを示す(図5c、左パネル)。また、CD70処理時のCD27へのIKK1の同様の選択的補充がPBMCにおいて観察された(図5d)。p55 TNFレセプターおよびCD27の両方の場合において、レセプター結合IKKのキナーゼ活性は、細胞質内シグナルソームのものよりも弱かった(図5cの上および下パネル、ならびに図5dの右および左パネルのGST−IκBαのリン酸化)。これは、この補充が、完全なシグナルソームの活性化はもたらさず、単に、活性化プロセスの開始をもたらすことを示す。
【0208】
TNFによるシグナルソームの活性化における最も初期に知られた事象は、p55 TNFレセプターへのその補充(アダプタータンパク質RIPおよびTRAF2の該レセプターへの補充により助長されるプロセス)である。CD70は、CD27へのRIPの補充を誘導しない。しかしながら、図6aに示すように、これは、TRAF2の補充は誘導する。興味深いことに、CD27に補充されたTRAF2分子は、おそらくユビキチン化に相当する大きな電気泳動パターン変形を示した。また、CD70はシグナルソームの補充を誘導した。TNFレセプターへのシグナルソームの補充は、長期であったが、シグナルソームの3つの成分のCD27との結合は、ほんの数分間しか観察し得なかった。後の時点で、CD27複合体におけるIKK2およびNEMOの量は、急激に減少した。しかしながら、驚いたことに、該レセプターと結合したIKK1の量は、長期間、高いまま維持された(図6a、左パネル)。CD27と結合したIKK1のCD70処理後の同様の選択的維持はまた、PBMCにおいても観察された(図6b)。
【0209】
また、TNFおよびCD70はともに、標準NF−κB複合体の3成分IκBα、p65およびp50すべての補充を誘導した。p100プロセッシングはCD70によって誘導され、TNFによっては誘導されなかったが、p100のそのレセプターへの補充は、TNFによって誘導され、CD70によっては誘導されなかった(図6a、右パネル)。この補充は、以前に、p100内のデスドメインが、p55 TNFレセプター結合アダプタータンパク質TRADD内のデスドメインに結合することにより起こることが示されており、NF−κBを活性化するのではなく、このレセプターによるカスパーゼ−8活性化を介した細胞死誘導を増幅する機能を果たすようである(Wang et al., 2002)。
【0210】
NIK−細胞において、p55 TNFレセプターへの補充は、野生型細胞の場合と同様に有効に起こった(図6c、右パネル)。対照的に、シグナルソームの成分のCD27への補充は、完全に排除された(図6c、d、左パネル)。「キナーゼ死」NIKでなく野生型NIKのNIK−細胞への導入により、CD70に応答した補充が維持された(図6d、中央および右パネル)。また、TNFでなくCD70は、NIKのそのレセプターへの補充を誘導した。この補充は、該野生型酵素を発現する細胞およびその「nik死」変異体を発現した細胞の両方で観察することができた。(図6d)。したがって、シグナルソームの成分のCD27への補充はNIKキナーゼ機能に依存するが、NIK自体のレセプターへの補充は、その酵素活性とは独立して起こるようである。
【0211】
実施例6
TNFおよびCD70によるNF−κB活性化を開始する機序の推測的モデル
TNFによるNF−κBのNIK非依存的活性化における開始事象と、CD70によるNIK依存的活性化における開始事象とを比較すると、標準経路の活性化におけるNIKの関与が、特定の誘導因子の効果に限定されることが本発明者らにより示される。
【0212】
p55 TNFレセプターによるNF−κBの活性化は、すべてのシグナルソームのこれへの補充と関連し、このプロセスでは、シグナルソームの成分がTRAF2およびRIPと相互作用する(Zhang et al., 2000)(Devin et al., 2000)(Devin et al., 2001)。CD70による標準経路の活性化は、そのTNFによる活性化と同様、シグナルソームの成分IKK1、IKK2およびNEMOのレセプター複合体への補充と関連する。しかしながら、TNFと異なり、CD70はまた、NIKならびにシグナルソームの成分IKK2およびNEMOのそのレセプターへの補充も誘導する。
【0213】
NIKとともにシグナルソームがCD27に補充されたすぐ後に、レセプター複合体内でIKK2およびNEMOの両方が急激に減少する。しかしながら、IKK1およびNIKはともに、長期間、該レセプターと結合したままである。後者の形態のCD27複合体が、おそらく、代替経路を開始させる役割を果たす(図7の仮想モデルを参照)。
【0214】
完全シグナルソームのCD27への補充と同様、レセプターとのIKK1の後続の優先的結合は、NIKを欠く細胞または非機能性NIK変異体を発現する細胞においては観察され得ない。
【0215】
明らかに、CD70による補充におけるこれらの2つの状況は機序的に関連しており、それにより、NIK依存代替活性化経路の開始が標準経路の開始と対であることが裏付けられる。
【0216】
本発明により、NIKは、SIVA(CD27と結合していると思われるタンパク質(Prasad et al., 1997))に結合することがわかった。従来技術の研究では、SIVAがCD27による細胞死の誘導を媒介することが示されていた。しかしながら、細胞死誘導は、2つの既知のSIVAスプライスバリアントの一方だけ、すなわちSIVA1(これはデスドメインモチーフを含む(Yoon et al., 1999))に限定されるようである。本発明者らは、SIVA2(これはデスドメインを欠く)およびSIVA1の両方がNIKに、2つのスプライスバリアントに共通するC末端領域を介して結合し、過剰発現されたNIKによるNF−κBの活性化を潜在的に増強することを示す。SIVAが非機能性NIK aly変異体によるNF−κBの活性化を増強しないという事実により、SIVAがNIKによるNF−κB活性化にある程度の役割を果たすという可能性の証拠が得られる。この役割が、実際、CD27によるNIK機能の誘発、またはNIK機能の他の別の側面と関連するか否かは、解明の余地がある。そのシグナル伝達においてNIKを伴うことがこれまでに示された他のレセプターは、いずれもSIVAに結合することが知られていない。これらのレセプターは、NIK活性化において、他の別のアダプタータンパク質を伴っている可能性がある。
【0217】
標準および代替NF−κB活性化経路により媒介される活性は、異なってはいるが、相互関係を有する。2つの経路により生成するNF−κB二量体は、異なるDNA配列モチーフを認識し、したがって、異なるプロモーターに影響することにより、異なる遺伝子の発現を制御し得る(Perkins et al., 1992)(Lin et al., 1995)(Dejardin et al., 2002)(Hoffmann et al., 2003)。また、この2つの経路は、異なる速度論的特徴を有する。標準経路の活性化は急速であり、主にはNF−κB阻害タンパク質(IκBおよびNF−κB/p100など)の合成を誘導するという理由により、一過性であることがわかった。対照的に、代替経路は、刺激後、ほんの数時間で有効な活性化に達し、長期間活性な状態が維持される。これらの違いにより、この2つの経路が、異なる機能を果たす異なる組の遺伝子を制御することが可能になる。したがって、その急速な誘導と一致して、標準経路によって活性化された二量体は、初期先天性免疫応答を媒介する一組の遺伝子を制御し、一方、代替経路によって生成される二量体は、長期間でよりゆっくりと誘導される適応性免疫応答に対して多様な様式で寄与する活性を制御する。これらの機能の違いは、2種類の活性を制御するリガンドに帰属する機能と相関する。前炎症性サイトカイン(例えば、TNFおよびインターフェロンIL−1など)は、潜在的に、標準経路を刺激し得るものの、代替経路を刺激する能力は(もしあったとしても)ほとんどないがLTα1β2、CD40L、BLyS/BAFFおよびCD70などの適応性免疫を制御するリガンドは、標準経路の活性化に加えて代替経路も有効に誘発し得る。
【0218】
しかしながら、代替経路を活性化する同じリガンドが標準経路も活性化するという単なる事実が、これらの2つの経路により調節される遺伝子間の機能的相互作用を許容する。またさらに、2つのシグナル伝達経路が相互作用し、互いの活性化に影響を与える。標準経路の誘導は、p100およびRelB(de Wit et al., 1998)(Bren et al., 2001)(これらは、代替経路の影響を受ける前駆体二量体を一緒になって形成し、したがって、後者を増強する)の合成を誘発する。p100はまた逆に、RelBへの結合に加えて、標準経路により制御される二量体(p50:p50およびc−Rel:p50)と結合するので、したがって、これらの機能をブロックするため、代替経路によるそのプロセッシングは、標準経路の活性化を永続させるのに有用である。
【0219】
機能的に異なるが相互に作用する2組のNF−κB二量体の活性化機序を、同じ誘導因子によって協調させるのを可能にするためには、これらは、ともに共通するが異なる調節エレメントに制御される必要がある。他の研究では、代替経路または標準経路に特有のいくつかの成分が開示されている。本発明者らにより、NIKが、これらの2つの異なるNF−κB経路において共通する関与因子としての機能を果たし得ることが、初めて示される。
【0220】
本発明を、その具体的な実施態様とともに記載したが、多くの代替、改良および変形が当業者に自明であることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲内に含まれるかかるすべての代替、改良および変形が、含まれるものとする。本明細書に記載されたすべての刊行物、特許および特許出願ならびにGenBank受託番号は、個々の刊行物、特許もしくは特許出願またはGenBank受託番号が、具体的に個々に示されて引用により本明細書に組み込まれているかのように、同程度に、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本出願におけるいずれの参考文献の引用または特定は、かかる参考文献が本発明に対する従来技術として利用され得ることの承認として解釈されるべきではない。
【0221】
引用した参考文献
(さらなる参考文献は、本文中で引用している)
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【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1a】NIKのSIVAへの結合を示す。SIVAへのNIKの酵母ツーハイブリッド結合アッセイを示す。NIKおよびそのC末端変異体(NIK624〜947)のSIVAのC末端部分(SIVA1のアミノ酸123〜175もしくはSIVA2のアミノ酸58〜110)またはTRAF2への結合を、形質転換SFY526酵母を用いて評価した。1時間および3時間以内の強い呈色反応を、それぞれ「++」および「+」で示し、「−」は、24時間以内に呈色がなかったことを示す。このアッセイは、C末端SIVA断片がNIKのC末端部分に結合し、この結合は、完全長NIKタンパク質で観察されるものよりも強いことを示す。
【図1b】NIKのSIVAへの結合を示す。上パネルは、myc−NIK、HIS−SIVA1、HIS−SIVA2またはmyc−aly NIKを発現するプラスミドでのHEK293T細胞のトランスフェクションパターンを示す表である。「+」は、対応するプラスミドをトランスフェクションに使用したことを示し、そうでない場合を「−」で示す。中央パネルは、SIVA1およびSIVA2と融合させたHISに対する抗体を用いたSIVAとのNIK(またはalyマウスにおいて見られるものに相当するミスセンス変異が導入されたNIK)の免疫共沈降を表す。免疫共沈降は24時間後に評価した。下パネルは、NIKおよびaly NIKと融合させたmycタグに対する抗体を用いた、全細胞ライセートに関するウエスタンブロット解析である。
【図1c】NIKのSIVAへの結合を示す。上パネルは、HIS−SIVA1、HIS−SIVA2、myc−NIKまたはmyc−aly NIKを発現するプラスミドでのHEK293T細胞のトランスフェクションパターンを示す表である。「+」は、対応するプラスミドをトランスフェクションに使用したことを示し、そうでない場合を「−」で示す。中央パネルは、NIKおよびaly NIKと融合させたmycに対する抗体を用いた、一過的にトランスフェクトされたHEK293T細胞由来のNIKとのSIVAの免疫共沈降であり、免疫共沈降は24時間後に評価した。下パネルは、SIVA1およびSIVA2と融合させたHISタグに対する抗体を用いた、全細胞ライセートに関するウエスタンブロット解析である。図1bおよび1cは、NIKが、SIVA1およびSIVA2と二方向に免疫共沈降し、「aly NIK」は、SIVA1と免疫共沈降し、少しの程度でSIVA2とも免疫共沈降することを示す。
【図1d】NIKのSIVAへの結合を示す。上パネルは、myc−NIK、HIS−hIKK1、pEGFP、pcHIS−SIVA1またはpcHIS−SIVA2を発現するプラスミドでのHEK293T細胞のトランスフェクションパターンを示す表である。「+」は、対応するプラスミドをトランスフェクションに使用したことを示し、そうでない場合を「−」で示す。下パネルは、NIKと融合させたmycタグに対する抗体を用いた、全細胞ライセートに関するウエスタンブロット解析である。この図は、トランスフェクト細胞におけるNIKの量が、SIVA1またはSIVA2との同時発現によって増加することを示す。
【図1e】NIKのSIVAへの結合を示す。同時発現されたSIVAによるNIK媒介NF−κB活性化の増強を示す棒グラフである。NIKまたはaly NIKの過剰発現の、単独またはSIVA1またはSIVA2と一緒での、HEK293T細胞におけるHIV−ルシフェラーゼ発現に対する効果を、トランスフェクションの24時間後に評価した。値は、2つの実験(各々は、三重で行なった)で得られた平均である。このグラフは、SIVAがNIK機能に影響を及ぼし得ることを示す。
【図2a】CD70(CD27リガンド)による、リンパ球における標準経路と代替経路の両方の誘導、およびNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。CD70適用後の休止PBMCの細胞質内のIκBαレベル、ならびにCD70処理後の休止PBMCの核内のp52およびRelBレベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、IκBαの急速な減少ならびにNF−κB/p52(p52)およびRelBの核への移行を示す。
【図2b】CD70(CD27リガンド)による、リンパ球における標準経路と代替経路の両方の誘導、およびNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。CD70処理時の、刺激されたPBMCの細胞質内のIκBαレベル、ならびに刺激されたPBMCの核内のp100、p52およびRelBレベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、IκBαの急速な減少を示す。
【図2c】CD70(CD27リガンド)による、リンパ球における標準経路と代替経路の両方の誘導、およびNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。CD70処理時の、Raji細胞の細胞質内のIκBαレベル、ならびにRaji細胞の核内のp100、p52、RelBおよびp65レベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、IκBα分解ならびにRelBおよびNF−κB2/p52の核移行を示す。
【図2d】CD70(CD27リガンド)による、リンパ球における標準経路と代替経路の両方の誘導、およびNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。CD70処理時の、正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞の細胞質内のp100およびp52レベル、ならびにこれらの細胞の核内のp100、p52およびRelBレベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、正常Ramos細胞におけるRelBおよびNF−κB2/p52の核移行の誘導、ならびにNIK(MINUS)Ramos細胞におけるp100の核移行の遅滞を示す。図2eは、CD70処理時の、正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞の細胞質内のIκBαレベル、ならびにこれらの細胞の核内のp65レベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、IκBα分解ならびに正常Ramos細胞におけるp65の核移行を示す。
【図2f】CD70(CD27リガンド)による、リンパ球における標準経路と代替経路の両方の誘導、およびNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。NIK siRNAの発現によるNIK合成の抑制を示す。上パネルは、mycタグ化NIKを一過的に発現し、かつpSUPER−NIKにより1:1、1:2、1:3 および 1:5の比率でコトランスフェクトされたHEK293細胞におけるNIKレベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析を示す。この図は、NIKが有効に抑制されることを示す。中央パネルは、対照としてレンチウイルス系GFPで形質導入したRamos細胞と比べてレンチウイルス系pSUPER−NIKを構成的に発現するRamos細胞(NIK(MINUS)細胞)におけるNIKレベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析を示す。この図は、NIKが有効に抑制されることを示す。下パネルは、mycタグ化NIKを構成的に発現することによりNIK発現がこれに対して回復されるNIK(MINUS)Ramos細胞におけるNIKレベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析を示す。この図は、NIK発現が回復されたことを示す。
【図2g】CD70(CD27リガンド)による、リンパ球における標準経路と代替経路の両方の誘導、およびNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。正常(黒バーおよびNIK(MINUS)(白バー)Ramos細胞におけるCD70誘導性プロテインキナーゼC(PKC)活性化を示す棒グラフである。PKC活性化は、細胞ライセートにおいて、Signatect PKCアッセイシステムを用い、該細胞へのCD70適用後の種々の時点(0、15および30分間)において行なった。バーは、三重試験の平均を表す。正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞におけるCD27レベルを、差込図に示す。この図は、NIK(MINUS)Ramos細胞が正常Ramos細胞の場合に匹敵するレベルでCD27を発現し、CD27誘発時に正常な程度のプロテインキナーゼC(PKC)活性化を示すことを示す。
【図2h】CD70(CD27リガンド)による、リンパ球における標準経路と代替経路の両方の誘導、およびNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。NIK(MINUS)再構築Ramos細胞の細胞質内のIκBαレベル、およびこの細胞の核内のp52レベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、これらの細胞がCD70に応答する能力を回復し、核p52の増加およびIκBαの一過性の減少の両方を伴うことを示す。
【図3a】CD40L、BLyS/BAFF、TNF、タプシガルジンまたはPMAによる標準および代替NF−κB経路の両方の誘導、ならびにNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。CD40L処理後の、正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞の核内のp100、p52およびRelBレベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、正常Ramos細胞におけるp100、p52およびRelBの核移行の誘導を示す。
【図3b】CD40L、BLyS/BAFF、TNF、タプシガルジンまたはPMAによる標準および代替NF−κB経路の両方の誘導、ならびにNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。CD40L処理後の、正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞の細胞質内のIκBαレベル、ならびにこれらの細胞の核内のp65レベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、正常Ramos細胞におけるIκBαの減少と関連するp65の核移行の急速な誘導を示す。
【図3c】CD40L、BLyS/BAFF、TNF、タプシガルジンまたはPMAによる標準および代替NF−κB経路の両方の誘導、ならびにNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。BLyS処理後の、正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞の核内のp100、p52およびRelBレベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、正常Ramos細胞におけるp52およびRelBの核移行の誘導を示す。
【図3d】CD40L、BLyS/BAFF、TNF、タプシガルジンまたはPMAによる標準および代替NF−κB経路の両方の誘導、ならびにNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。BLyS処理後の、正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞の細胞質内のリン酸化IκBαレベル、ならびにこれらの細胞の核内のp65レベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、正常Ramos細胞における細胞レベルで明白な変化を伴わないIκBαのリン酸化と関連するp65の急速な核移行を示す。
【図3e】CD40L、BLyS/BAFF、TNF、タプシガルジンまたはPMAによる標準および代替NF−κB経路の両方の誘導、ならびにNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。TNF処理後の、正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞の核内のp100、NS、p52およびRelBレベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、正常Ramos細胞におけるp100およびRelBの核移行の誘導だけでなく核p52のほんのわずかな増加、ならびにNIK(MINUS)Ramos細胞におけるp100およびRelBの核移行を示す。
【図3f】CD40L、BLyS/BAFF、TNF、タプシガルジンまたはPMAによる標準および代替NF−κB経路の両方の誘導、ならびにNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。TNF処理後の、正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞の細胞質内のIκBαレベル、ならびにこれらの細胞の核内のp65レベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、正常およびNIK(MINUS)Ramosの両方におけるIκBα分解の誘導およびp65の核移行を示す。
【図3g】CD40L、BLyS/BAFF、TNF、タプシガルジンまたはPMAによる標準および代替NF−κB経路の両方の誘導、ならびにNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。Ramos細胞の核抽出物由来の種々のNF−κBタンパク質のRelBを用いた免疫沈降解析である(TNFまたはCD70の該細胞への適用後、15分間および4時間)。p100、NSおよびp52のレベルは、ウエスタンブロット解析により検出した。この図は、CD70は、RelB:p52およびRelB:p100の核蓄積を増強するが、TNFは、RelB:p100のみの核レベルの増加を誘導することを示す。
【図3h】CD40L、BLyS/BAFF、TNF、タプシガルジンまたはPMAによる標準および代替NF−κB経路の両方の誘導、ならびにNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。タプシガルジンまたは4β−ホルボール−12−ミリステート−13-アセテート(PMA)に応答した正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞の細胞質内のIκBαレベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、NIK枯渇が、IκBα分解に対して影響を与えないことを示す。
【図3i】CD40L、BLyS/BAFF、TNF、タプシガルジンまたはPMAによる標準および代替NF−κB経路の両方の誘導、ならびにNIK欠損のこの誘導に対する影響を示す。正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞内のp100、p52、p65、RelB、c−RelおよびIκBαの基底レベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、正常Ramos細胞と比べ、NIK(MINUS)Ramos細胞における基底p52の顕著な減少、およびRelBとc−Relの有意な減少、ならびにp100とIκBαのある程度の減少を示す。
【図4a】TNFには誘導されないCD40LおよびBLySによるIκBα分解が、リン酸化活性化ループに対するα-pNIK抗体によってブロックされることを示す。同じ試料において、NIKレベルのウエスタンブロット解析と比較したリン酸化タンパク質のオートラジオグラムである。0μg、0.5μg、1.0μgおよび2μgのα−pNIK抗体の存在下、または対照2μgのIgGとともに、一過的にトランスフェクトされたHEK293T細胞から免疫沈降させたmyc−NIKの自己リン酸化。この図は、α−pNIKが、NIKのインビトロキナーゼ機能を有効にブロックすることを示す。
【図4b】TNFには誘導されないCD40LおよびBLySによるIκBα分解が、リン酸化活性化ループに対するα-pNIK抗体によってブロックされることを示す。タンパク質トランスフェクション試薬を用いた、抗体のRamos細胞内への導入を示す。Ramos細胞によるFITCタグ化免疫グロブリンの取込みの写真であり、蛍光顕微鏡により、トランスフェクション後の種々の時間(0、1、4および8時間)で評価した。この図は、タンパク質トランスフェクションキットでのRamos細胞の処理により、該細胞内への免疫グロブリンの有効だが一過的な導入が可能になることを示す。
【図4c】TNFには誘導されないCD40LおよびBLySによるIκBα分解が、リン酸化活性化ループに対するα-pNIK抗体によってブロックされることを示す。α−pNIK抗体を有するRamos細胞において、CD70、CD40LまたはTNFにより誘導されるIκBαの分解を検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、α−pNIK抗体が、CD70またはCD40LによるIκBα分解の誘導を有効にブロックすることを示す。
【図4d】TNFには誘導されないCD40LおよびBLySによるIκBα分解が、リン酸化活性化ループに対するα-pNIK抗体によってブロックされることを示す。α−pNIK抗体を有するBJAB細胞におけるCD40LによるIκBαの分解を検出するために設計されたウエスタンブロット解析である。この図は、CD40Lがこれらの細胞においてIκBα分解を誘導し、この誘導はα−pNIK抗体の存在下で有意に減少することを示す。
【図5a】正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞における、IKKの漸増およびIKKシグナルソームの活性化に対するCD70またはTNFの効果を示す。上パネルは、IKK1に対する抗体を用いた免疫沈降により単離した、Ramos細胞におけるIKKシグナルソームのインビトロIκBαリン酸化活性の速度論的解析であり、細胞IκBαレベルを検出するために設計されたウエスタンブロット解析(下パネル)と比較し、正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞へのCD70またはTNFの適用後の示された時間(0、15分間または4時間)で単離した。この図は、TNFおよびCD70がともに、正常Ramos細胞において、IKKシグナルソームのインビトロキナーゼ機能を増強することを示す。NIK欠損Ramos細胞では、シグナルソームのCD70誘導性活性化がブロックされ、インビトロIκBリン酸化はなかったが、シグナルソームのTNF誘導性活性化は、全く影響を受けなかった。
【図5b】正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞における、IKKの漸増およびIKKシグナルソームの活性化に対するCD70またはTNFの効果を示す。正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞へのCD70またはTNFの適用の15分後に単離したIKKシグナルソームのインビトロキナーゼ試験における、IKKの自己リン酸化およびNEMOのリン酸化を示す。この図は、TNFおよびCD70がともに、正常Ramos細胞において、IKKの自己リン酸化およびNEMOのリン酸化を増強することを示す。CD70のシグナルソームに対する効果は、NIK(MINUS)Ramos細胞において停止された。
【図5c】正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞における、IKKの漸増およびIKKシグナルソームの活性化に対するCD70またはTNFの効果を示す。正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞における、CD70またはTNF誘導によるIKK1、IKK2およびNEMOの補充を示す。上パネルは、CD70またはTNFで15分間の刺激前および刺激後に正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞から単離したCD27と会合したレセプター複合体のIKKシグナルソームの成分(左)およびp55 TNFレセプター(右)のインビトロIκBαリン酸化活性および存在を示す。下パネルは、インビトロIκBαリン酸化活性、およびレセプター複合体の単離と同時にRamos細胞から単離したIKKシグナルソームを検出するために設計されたウエスタンブロット解析を示す。キナーゼ試験に導入したIKK1の量は、この図に示した量に対応した。この図は、正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞の両方において、TNFが、シグナルソームの全ての3つの成分(IKK1、IKK2およびNEMO)の補充を、サイトゾルにおいてこれらが形成する複合体において見られるのとほぼ比率で誘導することを示す。CD70は、正常Ramos細胞において、IKK1のみの補充を誘導する。
【図5d】正常およびNIK(MINUS)Ramos細胞における、IKKの補充およびIKKシグナルソームの活性化に対するCD70またはTNFの効果を示す。インビトロIκBαリン酸化活性、ならびにCD27と会合したレセプター複合体およびCD70で15分間の刺激前および刺激後に休止PBMCから単離したシグナルソーム調製物内のIKKシグナルソームの成分の存在を検出するために設計されたウエスタンブロット解析を示す。この図は、CD70がIKK1の選択的補充を誘導することを示す。
【図6a】CD70が、NIKキナーゼ機能に依存するようなCD27へのIKK1の選択的補充後にIKKシグナルソームの補充を誘導すること、およびNIKの補充を、そのキナーゼ機能とは独立して誘導することを示す。CD70またはTNF適用後の種々の時点での、Ramos細胞における、TRAF2およびRIP、IKKシグナルソームの成分(IKK1、IKK2およびNEMO)、標準NF−κB複合体の成分(IκBα、p65およびp50)、ならびにp100のCD27およびp55 TNFレセプター複合体への補充の速度論的解析を示し、細胞質内IKKシグナルソーム(NEMOに対する抗体の使用により、刺激前に単離した;右)の組成、およびIκBαの細胞レベル(下)を比較している。
【図6b】CD70が、NIKキナーゼ機能に依存するようなCD27へのIKK1の選択的補充後にIKKシグナルソームの補充を誘導すること、およびNIKの補充を、そのキナーゼ機能とは独立して誘導することを示す。レセプター複合体および細胞質内シグナルソームにおける、IKKシグナルソームの成分のインビトロIκBリン酸化活性および存在を示す。CD27複合体およびCD27で20分間の刺激前および刺激後に休止PBMCから単離したシグナルソーム調製物を示す。
【図6c】CD70が、NIKキナーゼ機能に依存するようなCD27へのIKK1の選択的補充後にIKKシグナルソームの補充を誘導すること、およびNIKの補充を、そのキナーゼ機能とは独立して誘導することを示す。レセプター複合体および細胞質内シグナルソームにおける、IKKシグナルソームの成分のインビトロIκBリン酸化活性および存在を示す。CD70またはTNFでの20分間の刺激前および刺激後に対照およびNIK-Ramos細胞から単離したCD27(左)およびp55 TNFレセプター(右)と会合したレセプター複合体を示す。
【図6d】CD70が、NIKキナーゼ機能に依存するようなCD27へのIKK1の選択的補充後にIKKシグナルソームの補充を誘導すること、およびNIKの補充を、そのキナーゼ機能とは独立して誘導することを示す。野生型または酵素的に不活性なNIK変異体(KD-NIK)を補充したNIK細胞に対するCD70またはTNFの適用後の種々の時間での、NIKおよびIKK1のCD27への補充、およびp55 TNFレセプター複合体への補充の速度論の比較を示す。
【図7】図7は、TNF(左パネル)およびCD70(右パネル)によるNF−κB活性化を開始する機序の推測モデルを示す。この図は、TNFによるp55 TNFレセプターの活性化(左)およびCD70によるCD27レセプターの活性化(右)からNF−κB活性化へ導かれる分子事象の概略を表す。TNFは、シグナルソームの全ての3つの中心成分のそのレセプターへのNIK非依存的補充を、これらの成分とTRAFおよびRIPとの相互作用に依存するように誘導する。この補充は、標準経路のみを開始する。CD70は、TRAF2の補充および大量ユビキチン化を誘導するが、RIPでは誘導しない。これはまた、NIKの補充を誘導し、また、NIKのキナーゼ機能に依存するように、まず完全なシグナルソーム、ついでIKKのみのCD27への補充を誘導する。完全なシグナルソームのこのレセプターへの補充、および結果として起こるNIKによるIKK1の活性化は、このレセプターによる標準経路の開始機構であり、続いて起こるIKK1の補充は、このレセプターによる代替経路開始機序であろう。点線は、TNFおよびCD70による標準経路の活性化時のp100およびRelBの誘導、および結果として起こるp100:RelB複合体の核への移行を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫障害の治療のための医薬の製造における、NIK−SIVA複合体形成を増加または減少させることができる薬剤の使用。
【請求項2】
前記免疫障害が、BlyS/BAFF、CD27、SIVAおよびNIKからなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質の機能異常またはレベル異常を特徴とする請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記免疫障害が、多発性骨髄腫(MM)、後天性免疫不全症候群(AIDs)、シェーグレン症候群(SS)、B細胞慢性リンパ性白血病(B−CLL)、全身性エリテマトーデス、炎症性大腸疾患、全身性炎症性反応症候群(SIRS)、多臓器不全症候群(MODS)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)からなる群より選択される請求項1記載の使用。
【請求項4】
免疫障害の治療のための医薬の製造における、NIK依存性CD27調節を増大または減少させることができる薬剤の使用。
【請求項5】
NIK依存性CD27調節を減少させるための請求項4記載の使用。
【請求項6】
薬剤が、NIKに結合することができる抗体である請求項5記載の使用。
【請求項7】
薬剤が、リン酸化NIK活性化ループに対して指向される抗体である請求項6記載の使用。
【請求項8】
薬剤が低分子干渉性RNA分子である請求項5記載の使用。
【請求項9】
低分子干渉性RNA分子が配列番号:15のものである請求項8記載の使用。
【請求項10】
薬剤がリボザイムである請求項4記載の使用。
【請求項11】
標準経路による異常なNF−κB活性化によって引き起こされるか、または悪化する免疫障害の治療のための医薬の製造における、NIKの活性を増大または低下させることができる薬剤の使用。
【請求項12】
NIKの活性を低下させるための請求項11記載の使用。
【請求項13】
異常なNF−κB活性化が、CD70の誘導および/またはそのレセプターの活性化によって引き起こされる請求項11記載の使用。
【請求項14】
異常なNF−κB活性化が、CD40Lの誘導および/またはそのレセプターの活性化によって引き起こされる請求項11記載の使用。
【請求項15】
異常なNF−κB活性化が、Blysの誘導および/またはそのレセプターの活性化によって引き起こされる請求項11記載の使用。
【請求項16】
薬剤が、NIKに結合する抗体である請求項11記載の使用。
【請求項17】
薬剤が、リン酸化NIK活性化ループに対する抗体である請求項16記載の使用。
【請求項18】
薬剤が低分子干渉性RNA分子である請求項11記載の使用。
【請求項19】
低分子干渉性RNA分子が配列番号:15のものである請求項18記載の使用。
【請求項20】
薬剤がリボザイムである請求項11記載の使用。
【請求項21】
免疫障害を有する個体に、NIK−SIVA複合体形成を増加または減少させることができる薬剤の治療有効量を投与し、それにより、該個体において免疫障害を治療することを含む免疫障害の治療方法。
【請求項22】
前記免疫障害が、BlyS/BAFF、CD27、SIVAおよびNIKからなる群より選択される少なくとも1種のタンパク質の機能異常またはレベル異常を特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記免疫障害が、多発性骨髄腫(MM)、後天性免疫不全症候群(AIDs)、シェーグレン症候群(SS)、B細胞慢性リンパ性白血病(B−CLL)、全身性エリテマトーデス、炎症性大腸疾患、全身性炎症性反応症候群(SIRS)、多臓器不全症候群(MODS)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)からなる群より選択される請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記投与が、前記個体の細胞内で前記薬剤を発現させることによって行なわれる請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記個体の前記細胞がリンパ球細胞である請求項24記載の方法。
【請求項26】
免疫障害を有する個体に、NIK依存性CD27調節を増加または減少させることができる薬剤の治療有効量を投与し、それにより、該個体において免疫障害を治療することを含む免疫障害の治療方法。
【請求項27】
前記投与が、前記個体の細胞内で前記薬剤を発現させることによって行なわれる請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記個体の前記細胞がリンパ球細胞である請求項27記載の方法。
【請求項29】
標準経路による異常なNF−κB活性化によって引き起こされるか、または悪化する免疫障害の治療方法であって、該障害に罹患した個体に、NIKの活性を低下または増大させることができる薬剤の治療有効量を投与することを含む免疫障害の治療方法。
【請求項30】
薬剤が、NIKの活性を低下させることができる請求項29記載の治療方法。
【請求項31】
異常なNF−κB活性化が、CD40Lの誘導および/またはそのレセプターの活性化によって引き起こされる請求項29記載の治療方法。
【請求項32】
異常なNF−κB活性化が、CD70の誘導および/またはそのレセプターの活性化によって引き起こされる請求項29記載の治療方法。
【請求項33】
異常なNF−κB活性化が、Blysの誘導および/またはそのレセプターの活性化によって引き起こされる請求項29記載の治療方法。
【請求項34】
薬剤が抗体である請求項30記載の治療方法。
【請求項35】
薬剤が、リン酸化NIK活性化ループに対して指向される抗体である請求項34記載の治療方法。
【請求項36】
薬剤が低分子干渉性RNA分子である請求項30記載の方法。
【請求項37】
低分子干渉性RNA分子が配列番号:15のものである請求項36記載の方法。
【請求項38】
薬剤がリボザイムである請求項30記載の方法。
【請求項39】
供される細胞内でNIK発現を特異的に下方調節することができる核酸配列を含む単離ポリヌクレオチド。
【請求項40】
低分子干渉性RNA分子である請求項39記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項41】
前記低分子干渉性RNA分子が配列番号:15のものである請求項40記載の単離ポリヌクレオチド。
【請求項42】
請求項39記載の単離ポリヌクレオチドを含有する核酸構築物。
【請求項43】
請求項42記載の核酸構築物を含む細胞。
【請求項44】
配列番号:2の座標624〜947記載のアミノ酸配列領域に特異的に結合することができる抗体または抗体断片。
【請求項45】
配列番号:3の座標123〜175記載のアミノ酸配列領域に特異的に結合することができる抗体または抗体断片。
【請求項46】
配列番号:4の座標58〜110記載のアミノ酸配列領域に特異的に結合することができる抗体または抗体断片。
【請求項47】
NIK−SIVA複合体形成を増加または減少させることができる分子であって、推定免疫モジュレーターである該分子を同定することを含む推定免疫モジュレーターの同定方法。
【請求項48】
NIK依存性CD27調節を増加または減少させることができる分子であって、推定免疫モジュレーターである該分子を同定することを含む推定免疫モジュレーターの同定方法。
【請求項49】
細胞を、該細胞内でNIK依存性標準経路および代替経路を誘導することができるTNF/NGFレセプターファミリーのリガンドと接触させること、前記接触前、接触後、または接触中に細胞を個々の被験分子とともにインキュベートすること、細胞内の標準経路の活性化を検出すること、および前記リガンドによって誘導される標準経路の誘導をモジュレートすることができる単一の分子/分子群を選択することを含む、NIKの活性をモジュレートすることができる分子のスクリーニング方法。
【請求項50】
TNF/NGFのリガンドが、CD70、CD40LおよびBlys/BAFFから選択される請求項49記載の方法。
【請求項51】
細胞がリンパ芽球型である請求項50記載の方法。
【請求項52】
細胞が、Ramos細胞、Raji細胞およびBJAB細胞から選択される請求項51記載の方法。
【請求項53】
標準経路の活性化が、IκB分解、IκBαリン酸化およびp65転位から選択される標準経路活性化を示すパラメータをモニターすることにより検出される請求項49〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
リンパ芽球細胞を、該細胞内でNIKおよび標準経路を活性化することができるTNF/NGFレセプターファミリーのリガンドと接触させること、前記接触前、接触後、または接触中に細胞を個々の被験分子とともにインキュベートすること、標準経路の活性化を検出すること、およびNIK非依存的に前記リガンドによって誘導されるが、標準経路を誘導することができる他のどのリガンドによっても誘導されない標準経路の誘導をモジュレートすることができる単一の分子/分子群を選択することを含むNIK活性をモジュレートすることができる分子のスクリーニング方法。
【請求項55】
TNF/NGFのリガンドが、CD70、CD40LおよびBlys/BAFFから選択される請求項54記載の方法。
【請求項56】
NIK非依存的形態で標準経路を誘導することができるリガンドがTNFである請求項54記載の方法。
【請求項57】
標準経路の活性化が、IκB分解、IκBαリン酸化およびp65転位から選択される標準経路活性化を示すパラメータをモニターして検出される請求項54記載の方法。
【請求項58】
細胞が、Ramos細胞、Raji細胞およびBJAB細胞から選択される請求項54記載の方法。
【請求項59】
請求項49〜59記載の方法のいずれかによって得られ得るNIKの活性をモジュレートすることができる分子。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図2g】
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【図2h】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図3i】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−517501(P2007−517501A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540777(P2006−540777)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/IL2004/001095
【国際公開番号】WO2005/051423
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(500018608)イエダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド (35)
【Fターム(参考)】