免震継手構造、該免震継手構造に用いる免震継手及び該免震継手構造の施工方法
【課題】安価で、しかも、限られたスペース内に施工出来て、変位吸収量を増大させることが出来る免震継手構造及び該免震継手構造の施工方法を提供する。
【解決手段】免震継手10は、可撓性樹脂材料としての高密度ポリエチレン管が用いられて、地盤側直管部11と、建物側直管部12とは、略水平に延設されると共に、上下方向に所定の寸法Hが、設けられて離し置きされている。
また、地盤側直管部11及び建物側直管部12に対して平行に位置して、各地盤側直管部11及び建物側直管部12と、各々曲管部13,14を介して、接続される中央直管部15が設けられていて、側面視で略S字状となるように、接続されている。
水平直管部13d,14dの付き合わせられた端部同士が、EF継手16(電気融着継手)によって、融着接合されて接続されている。
【解決手段】免震継手10は、可撓性樹脂材料としての高密度ポリエチレン管が用いられて、地盤側直管部11と、建物側直管部12とは、略水平に延設されると共に、上下方向に所定の寸法Hが、設けられて離し置きされている。
また、地盤側直管部11及び建物側直管部12に対して平行に位置して、各地盤側直管部11及び建物側直管部12と、各々曲管部13,14を介して、接続される中央直管部15が設けられていて、側面視で略S字状となるように、接続されている。
水平直管部13d,14dの付き合わせられた端部同士が、EF継手16(電気融着継手)によって、融着接合されて接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤側と建物側との間で、相対変位が生じても、配管に亀裂等破損が生じることがない免震継手構造、該免震継手構造に用いる免震継手及び該免震継手構造の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図15に示すような免震継手構造が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
このような従来の免震継手構造では、建物1側と、建物1が載置される地盤2側との間に、図示省略の免震装置が装着された建物構造には、主に、可撓性を有するポリエチレン配管からなる免震継手3が、提案されている。
【0004】
この免震継手3は、主に建物側及び地盤側に位置する一対の水平直管部3b,3b及び、高さ方向の落差Hに対応させて、縦方向に延設された縦直管部3cとを有し、これらの水平直管部3b,3b及び、縦直管部3cとの間が、90°屈曲部3d,3dによって接続されている。
【0005】
また、建物側の水平直管部3bの端部には、建物側配管4のフランジ部4aに接続されるルーズフランジ部3aが設けられると共に、地盤2側から延設される地盤側配管5のフランジ部5aには、前記地盤側の水平直管部3bの端部に設けられたルーズフランジ部3eが接続されることにより、この免震継手3を介在させて、前記建物側配管4が、前記地盤側配管5に接続されるように構成されている。
【0006】
次に、この従来の免震継手構造の作用効果について説明する。
【0007】
このように構成された従来の免震継手構造では、地震等により、地盤2が揺れても、前記可撓性を有するポリエチレン配管からなる免震継手3が、撓み変形を起こすことにより、建物1側に、地盤2の変位が伝わりにくい。
【0008】
このため、図示省略の免震装置の免震機能を充分に発揮させることができる。
【0009】
また、他の従来の免震継手構造としては、高価な可撓性継手を用いるものも知られている(例えば、特許文献2,3,4等参照。)。
【特許文献1】特開2001−208241号公報(第0006段落乃至第0032段落、図1)
【特許文献2】特許2598772号公報 (発明の詳細な説明、図1,図2)
【特許文献3】特許第3260698号公報(第0017段落乃至第0031段落、図1)
【特許文献4】特許第3714772号公報(第0010段落乃至第0019段落、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の免震継手構造では、縦方向の前記縦直管部3cが、上下一対の90°屈曲部3d,3dによって、前記水平直管部3b,3bと接続されているので、前記地盤2と建物1との相対変位量が大きいと、この免震継手3に発生する歪みも大きくなる。
【0011】
例えば、一般的な免震マンション(集合住宅)では、変位吸収量が、水平面内で、全方向に600mm必要とされている。
【0012】
このため、地盤2と建物1との間に形成される床下空間を充分に確保できず、高さ方向寸法が大きく設定出来ない場合、前記縦直管部3cの高さ方向寸法Hも、小さくなり、歪みが増大して吸収出来ず、免震継手3が塑性変形してしまう虞があり、前記600mmの変位を吸収することは難しかった。
【0013】
また、他の従来例の免震継手構造に用いられる可撓性継手は、高価で、施工コストが上昇してしまうといった問題もあった。
【0014】
更に、上水用に用いる自在継手の場合、常に管内が、水で満たされているので、自重に加えて、この内部の水の重量も、この自在継手と共に、支持しなければならない。
【0015】
しかしながら、被支持部を固定して、支持剛性を高める構成では、免震継手3の可動範囲を狭めてしまう虞がある。
【0016】
特に、上下階の間に形成される空間の高さ方向寸法は、一定の制約がある(例えば、一般的なマンションの場合、約2m)。このため、変位吸収量を確保しつつ、充分な吊り下げ力を得ることは、困難であった。
【0017】
そこで、この発明は、安価で、しかも、限られたスペース内に施工出来て、要求される600mmの変位吸収量を確保することが出来る免震継手構造及び該免震継手構造の施工方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、建物側と、建物が載置される地盤側との間に免震装置が設けられた建物構造に用いられて、前記地盤側から延設された地盤側配管と、前記建物側から延設された建物側配管とを接続する免震継手を有する免震継手構造であって、前記免震継手は、可撓性樹脂管によって構成されると共に、地盤側配管に接続されて延設された地盤側直管部と、前記建物側配管に接続されて、延設された建物側直管部と、該地盤側直管部及び該建物側直管部に対して平行に位置して、各地盤側直管部及び該建物側直管部に、各々曲管部を介して接続される中央直管部を有して、略S字状に接続されている免震継手構造を特徴としている。
【0019】
また、請求項2に記載されたものは、前記曲管部は、2本の90°ベンド管を、接続することにより構成されている請求項1記載の免震継手構造を特徴としている。
【0020】
更に、請求項3に記載されたものは、前記曲管部は、U字管を用いて構成されている請求項1記載の免震継手構造を特徴としている。
【0021】
そして、請求項4に記載されたものは、前記曲管部は、バット融着により接続されている請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の免震継手構造を特徴としている。
【0022】
また、請求項5に記載されたものは、前記中央直管部は、EF継手によって接続されている請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の免震継手構造を特徴としている。
【0023】
更に、請求項6に記載されたものは、前記地盤側直管部及び、建物側直管部のうち、少なくとも何れか一方の端部には、フランジ接続用継手が設けられている請求項1乃至5のうち、何れか一項記載の免震継手構造を特徴としている。
【0024】
そして、請求項7に記載されたものは、前記地盤側直管部又は、前記建物側直管部と、前記フランジ接続用継手との接続部を挟持するクランプ部材を有すると共に、該クランプ部材を装着する台座本体を有する請求項6記載の免震継手構造を特徴としている。
【0025】
また、請求項8に記載されたものは、前記地盤側直管部又は、前記建物側直管部と、前記フランジ接続用継手との接続部には、EF継手が用いられると共に、該EF継手によって、接続された該接続部を挟持するクランプ部材を有すると共に、該クランプ部材を装着する台座を有する請求項6記載の免震継手構造を特徴としている。
【0026】
更に、請求項9に記載されたものは、前記中央直管部に設けられた継手又はEF継手による接続部を、ワイヤ部材に連結される金属バンド部材を用いて、前記建物側から吊り下げる請求項5乃至8のうち、何れか一項記載の免震継手構造を特徴としている。
【0027】
また、請求項10に記載されたものは、前記ワイヤ部材を、前記建物側に設けられて、該ワイヤ部材の長手方向に移動可能に、係合させる吊り下げ手段によって、支持させると共に、該ワイヤ部材の先端には、錘部材を垂下させる請求項9記載の免震継手構造を特徴としている。
【0028】
そして、請求項11に記載されたものは、地盤側から延設された地盤側配管と、建物側から延設された建物側配管とを接続する免震継手であって、該免震継手は、可撓性樹脂管によって構成されると共に、地盤側配管に接続されて延設された地盤側直管部と、前記建物側配管に接続されて、延設された建物側直管部と、該地盤側直管部及び該建物側直管部に対して平行に位置して、各地盤側直管部及び該建物側直管部に、各々曲管部を介して接続される中央直管部を有して、略S字状に接続されている免震継手を特徴としている。
【0029】
また、請求項12に記載されたものは、前記曲管部は、2本の90°ベンド管をバット融着で接続することにより、180°折り返す形状を各々呈して、前記中央直管部の両端部に設けられると共に、該中央直管部で分割された接続部では、EF継手が用いられて、電気融着される請求項11記載の免震継手構造に用いられる免震継手を特徴としている。
【0030】
更に、請求項13に記載されたものは、前記曲管部は、一対のU字管を用いて、前記中央直管部の両端部にバット融着されると共に、該中央直管部で分割された接続部では、EF継手が用いられて、電気融着される請求項12記載の免震継手構造に用いられる免震継手を特徴としている。
【0031】
そして、請求項14に記載されたものは、前記中央直管部で分割された地盤側継手と、建物側継手とを該中央直管部で、EF継手によって、接続する請求項1乃至10のうち、何れか一項記載の免震継手構造の施工方法を特徴としている。
【発明の効果】
【0032】
このように構成された請求項1記載の発明では、可撓性樹脂管を略S字状に接続する前記中央直管部が、前記地盤側直管部及び前記建物側直管部の両方に対して平行に設けられている。
【0033】
このため、例えば、水平方向に敷設された前記地盤側配管及び、前記建物側配管に、該免震継手が接続された状態では、前記中央直管部が、水平方向に延設されて、例えば、地盤と、建物との間に形成される床下空間の高さ方向スペースを必要としない。
【0034】
また、水平方向の変位は、主に、前記曲管部に加わるので、前記中央直管部の長手方向寸法を増大させることなく、充分な変位吸収量を確保できる。
【0035】
更に、可撓性樹脂材料のみで、該免震継手を構成できるので、安価で、施工コストの増大も抑制される。
【0036】
また、請求項2に記載されたものは、2本の90°ベンド管を、接続することにより、前記曲管部が、構成されている。このため、二次成形加工が比較的容易な既存の安価な90°ベンド管によって形成出来るので、更に、免震継手の製造コストの増大が抑制される。
【0037】
更に、請求項3に記載されたものは、U字管が用いられて、前記曲管部が形成されているので、曲管部の曲率半径や或いは湾曲形状の自由度を向上させて、前記狭い床下空間内での施工効率を向上させることができる。
【0038】
また、請求項4に記載されたものは、前記曲管部が、バット融着により接続されているので、予め工場内等で、接続作業を行える。
【0039】
しかも、バット融着によるビード形成幅が狭いので、前記免震継手の可撓性を損なう虞が無い。
【0040】
更に、請求項5に記載されたものは、前記歪み変形量が比較的少ない中央直管部が、EF継手によって接続されている。このため、前記免震継手全体の可撓性を損なう虞が無い。
【0041】
また、請求項6に記載されたものは、前記地盤側直管部及び、建物側直管部の端部に設けられたフランジ接続用継手によって、金属配管によって構成される前記地盤側配管又は、建物側配管と接続可能であるので、維持管理性と汎用性が向上する。
【0042】
更に、請求項7に記載されたものは、前記地盤側直管部又は、前記建物側直管部と、前記フランジ接続用継手との接続部が、クランプ部材によって挟持されている。
【0043】
このため、該クランプ部材を装着する台座本体によって地盤側若しくは、建物側に、前記免震継手の両端部が確実に固定されて、変位に対して縁切りされる。
【0044】
従って、地震が発生しても、該免震継手を介して、建物側に、地盤側の変位が伝わらない。
【0045】
そして、請求項8に記載されたものは、EF継手によって、接続された該接続部が、上下方向から金属製クランプ部材によって、挟持される。
【0046】
このため、該金属製クランプ部材を装着する台座本体によって前記地盤側若しくは、建物側に、前記免震継手の両端部が確実に固定されて、変位に対して縁切りされる。
【0047】
従って、地震が発生しても、該免震継手を介して、建物側に、地盤側の変位が伝わらない。
【0048】
更に、請求項9に記載されたものは、ワイヤ部材に連結された金属バンド部材によって、前記中央直管部に設けられたEF継手による接続部が、前記建物側から吊り下げられる。
【0049】
このため、更に、施工スペースの汎用性が向上すると共に、建物側に、地盤側の変位が伝わらない。
【0050】
また、請求項10に記載されたものは、前記ワイヤ部材の先端に垂下された錘部材によって、前記吊り下げ手段を介して、前記接続部を垂下させた金属バンド部材が、上方に向けて引き上げ力を与えられて、前記免震継手の自重等が支持される。
【0051】
そして、地震による揺れで、前記免震継手の位置が、変位しても、前記吊り下げ手段を介して吊り下げられた錘部材が上下して、変位を吸収すると共に、揺れが収まると、略元に位置に戻るように、バランスする。
【0052】
更に、請求項11に記載されたものは、可撓性樹脂管を略S字状に接続する前記中央直管部が、前記地盤側直管部及び前記建物側直管部の両方に対して平行に設けることにより、例えば、水平方向に敷設された前記地盤側配管及び、前記建物側配管に、該免震継手が接続された状態では、前記中央直管部が、水平方向に延設されて、地盤と、建物との間に形成される床下空間の高さ方向スペースを必要としない。
【0053】
また、水平方向の変位は、主に、前記曲管部に加わるので、前記中央直管部の長手方向寸法を増大させることなく、充分な変位吸収量を確保できる。
【0054】
更に、可撓性樹脂材料のみで、該免震継手を構成できるので、安価で、施工コストの増大も抑制される。
【0055】
更に、請求項12に記載されたものは、前記曲管部が、2本の90°ベンド管をバット融着で接続することにより、180°折り返す形状を各々呈している。
【0056】
また、該曲管部を接続する前記中央直管部が分割されて、分割された状態での二部材を略同一形状に形成することが出来、製造効率が良好である。
【0057】
しかも、施工現場で前記EF継手を用いて、該接続部を電気融着することにより、容易に、略S字状に接続することができる。
【0058】
このため、前記中央直管部の両端部に予め前記曲管部が設けられていても、該中央直管部で分割された二部材が、搬送時に嵩張ることなく、搬送を容易に行うことが出来る。
【0059】
更に、請求項13に記載されたものは、前記曲管部が、U字管で構成されていて、前記中央直管部にバット融着で接続されている。
【0060】
また、該曲管部を接続する前記中央直管部が分割されて、分割された状態での二部材を略同一形状に形成することが出来、製造効率が良好である。
【0061】
しかも、施工現場で前記EF継手を用いて、該接続部を電気融着することをより、容易に、略S字状に接続することができる。
【0062】
このため、前記中央直管部の両端部に予め180°折り返す形状を呈する前記U字管が設けられていても、該中央直管部で分割された二部材が、搬送時に嵩張ることなく、搬送を容易に行うことが出来る。
【0063】
また、請求項14に記載されたものは、前記中央直管部で分割された地盤側継手と、建物側継手とが、該中央直管部で、EF継手によって、接続される。
【0064】
このため、分解して施工現場まで搬送した後、施工現場で、前記EF継手を用いて、該中央直管部を接続することにより、搬送時に嵩張ることがなく、しかも、限られたスペース内に施工出来て、施工性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
次に、図面に基づいて、この発明を実施するための最良の実施の形態の免震継手構造、免震継手及び該免震継手構造の施工方法について、説明する。なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0066】
まず、この実施の形態の免震継手構造の構成から説明すると、この実施の形態では、図1,図2に示すように、建物1側の躯体底面部1aと、建物1が載置される地盤2側との間に、免震装置7…が設けられている建物構造に用いられる免震継手10を有する免震継手構造が例示されている。
【0067】
この免震継手構造では、免震継手10が、前記地盤2側から延設された地盤側配管5のフランジ部5aと、前記建物1側から延設された建物側配管4のフランジ部4aとの間に介在されて、各々接続されるように構成されている。
【0068】
この実施の形態の免震継手10は、可撓性樹脂材料としての高密度ポリエチレン管が用いられて、主に構成されていて、前記地盤側配管5のフランジ部5aに、金属製フランジ部11aを介して接続されて延設された地盤側直管部11と、前記建物側配管4のフランジ部4aに、金属製のフランジ部12aを介して接続されて、延設された建物側直管部12とを有している。
【0069】
これらの地盤側直管部11と、前記建物側直管部12とは、略水平に互いに平行に延設されると共に、上下方向に所定の寸法Hが、設けられて離し置きされている。
【0070】
また、この免震継手10には、図5及び図6に示すように、これらの地盤側直管部11及び建物側直管部12に対して平行に位置して、地盤側直管部11及び建物側直管部12と、各々曲管部13,14を介して、接続される中央直管部15が設けられていて、側面視で略S字状となるように、接続されている。
【0071】
この実施の形態の免震継手10の曲管部13,14は、各々同一形状の2本の90°ベンド管13a,13a及び14a,14aを、バット融着部13b,14bによって、接続することにより、180°折り返す形状を呈するように構成されている。
【0072】
また、この実施の形態の建物側の90°ベンド管13aの端部は、前記建物側直管部12とバット融着13cによって一体に接続されると共に、前記地盤側の90°ベンド管14aの端部も前記地盤側直管部11とバット融着14cによって一体に接続されている。
【0073】
更に、この実施の形態の前記中央直管部15は、前記90°ベンド管13a,14aの水平直管部13d,14dによって構成されていて、これらの水平直管部13d,14dの付き合わせられた端部同士が、EF継手16(電気融着継手)によって、融着接合されて接続されている。
【0074】
この中央直管部15に設けられたEF継手16による接続部は、図3に示すように、上下方向から、側面視略ハット状の金属バンド部材17,18が、このEF継手16の周囲に、上下から挟持するように装着される共に、ボルト部材19,19及びナット部材20,20によって、左,右鍔部17a,17a及び18a,18a間が、締結されている。
【0075】
これらの左,右鍔部17a,17a及び18a,18aには、各々アイボルト部材21,21が、螺着されていて、前記建物1側の躯体底面部1aから、斜めに張設される一対のワイヤ部材22,22によって、これらのアイボルト部材21,21が吊り下げられている。
【0076】
このワイヤ部材22,22は、主に、長さ調整用のターンバックル部材23,23と、これらの各ターンバックル部材23,23の前後に設けられて、振動を吸収する金属製スプリング部材24,24によって主に構成されている。
【0077】
また、これらの左,右各ワイヤ部材22,22の上端部には、リング部材25,25が設けられていて、前記建物1の躯体底面部1aに、長手方向を、前記中央直管部15と一致させて吊り下げられたガイドバー部材26,26が、このリング部材25,25の中央孔部25a,25aに、スライド自在となるように挿通されている。
【0078】
更に、この実施の形態では、図2に示すように、前記地盤側直管部11及び建物側直管部12のうち、フランジ接続用継手としての金属製フランジ部11a,12aが接続される接続端面11b,12b近傍では、前記地盤側直管部11及び建物側直管部12と、前記フランジ接続用継手11a,12aとを各々接続するEF継手27,28が用いられている。
【0079】
そして、このEF継手27,28の前後には、各々地盤側台座部材32及び、建物側台座部材31の金属製クランプ部材29a,29bが、各々前記地盤側直管部11及び建物側直管部12の端縁近傍を固定するように設けられている。
【0080】
この金属製クランプ部材29a,29bは、前記地盤側台座部材32及び、建物側台座部材31の台座本体32a及び、31aから立設されたボルト部材29c,29cが、貫通されている。
【0081】
そして、このボルト部材29c,29cに、ナット部材29d,29dが、螺着されることにより、上下方向から前記地盤側直管部11及び建物側直管部12の端部近傍が挟持されて、前記地盤2及び、前記建物1の躯体底面部1aに各々固定されるように構成されている。
【0082】
この実施の形態では、図1に示されるように、前記建物側配管4のフランジ部4a及び地盤側配管5のフランジ部5aとの接続部である金属製フランジ部11a,12aよりも、免震継手10側で、各々上下方向から前記各金属製クランプ部材29a,29bによって、前記免震継手10の両端部が固定されている。
【0083】
次に、この実施の形態の免震継手構造、免震継手及びこの免震継手構造の施工方法の作用効果について、説明する。
【0084】
この実施の形態では、図6に示されるように、まず、工場内で、前記曲管部13,14が、2本の90°ベンド管13a,13a及び14a,14aをバット融着13b,14bで各々融着させて接続することにより、180°折り返す形状に一体に形成すると共に、建物側直管部12及び地盤側直管部11を、バット融着13c,14cで一体となるように接続する。
【0085】
そして、前記建物側直管部12及び地盤側直管部11の端部に、フランジ接続用継手としての金属製フランジ部12a,11aが、EF継手27,28によって、接続される。
【0086】
この実施の形態では、水平直管部13dと、14dとの間で分割された状態での二部材が、略同一形状を呈するので、製造効率が良好である。
【0087】
この状態で、施工現場まで、搬送が行われて、図1及び図2に示されるように、建物1側の躯体底面部1aと、地盤2側との間の床下空間に、この免震継手10を装着する際に、図5に示すように、前記EF継手16が用いられて、水平直管部13dと、水平直管部14dとの間が電気融着されることにより接合されて、これらの水平直管部13dと、水平直管部14dとからなる中央直管部15を、前記建物側直管部12及び地盤側直管部11と平行になるように設けた側面視略S字状を呈するように連結される。
【0088】
このため、EF継手16を含む3つの部材に分解して、施工現場まで搬送した後、施工現場で、前記EF継手16を用いて、この中央直管部15を接続することにより、搬送時に嵩張ることがなく、しかも、床下空間等の限られたスペース内に介装させて、施工出来て、搬送性及び施工作業性が良好である。
【0089】
この実施の形態の免震継手10では、図1に示すように、可撓性樹脂管が、略S字状に接続される前記中央直管部15が、前記地盤側直管部11及び前記建物側直管部12の両方に対して平行に設けられている。
【0090】
このため、例えば、水平方向に敷設された前記地盤側配管11及び、前記建物側配管12に、この免震継手10が接続された状態では、前記中央直管部15が、水平方向に延設されて、高さ方向寸法Hの増大が抑制される。
【0091】
例えば、地盤2と、建物1との間に形成される床下空間の高さ方向スペースは、同一変位吸収量を得る場合、図15に示す従来の縦直管部3cを有する免震継手3に比して必要としない。
【0092】
更に、図2中に示すように、地盤側台座部材32の金属製クランプ部材29a,29b及び、建物側台座部材31の金属製クランプ部材29a,29bとの間の寸法Lが、建物1の限られた床下スペース内に、収納可能となるように設定可能である。
【0093】
また、水平方向の変位は、主に、この免震継手10を固定する部分及び前記曲管部13,14に加わる。
【0094】
図7に示すように、建物側直管部12の端部を固定して、前記地盤側直管部11の端部を、矢印−X方向に水平移動させると、建物側直管部12の端部近傍の上面側の一部aと、曲管部13の90°ベンド管13aの上面及び傾斜面部の一部bに、最も大きな応力が作用して、歪みが発生する。
【0095】
この際、前記地盤側直管部11の端部の変位量が、約600mmであっても、高密度ポリレン樹脂素材(ヤング率100(kg/平方ミリメートル)、ポアソン比0.4、許容応力2.4(kgf/平方ミリメートル。(降伏応力2.4kgf/ミリメートル、安全率1.0で設定。))の場合、許容歪みとして与えられる3.0%以内を達成できる。
【0096】
ここで、前記地盤側直管部11の端部から、建物側直管部12の端部までの奥行き方向の寸法を1.133m、高さ方向寸法H=2mで、各管部の直径を約147mm、肉厚を約6mmとした場合を示している。
【0097】
また、図8に示すように、建物側直管部12の端部を固定して、前記地盤側直管部11の端部を、矢印Y方向に水平移動させると、建物側直管部12の端部近傍の側面側の一部cと、曲管部14の90°ベンド管14aの内側傾斜面部の一部dに、最も大きな応力が作用して、歪みが発生する。
【0098】
この結果から、水平に延設される中央直管部15には、大きな応力が作用せず、上下に位置する前記曲管部13,14によって、応力が分散されて、歪みを減少させていることがわかる。
【0099】
従って、前記中央直管部15の長手方向寸法や、高さ方向寸法Hを増大させることなく、変位吸収量を増大させることが出来、床下空間の施工スペースが限られた免震構造を有する建物1に適用しても、充分な変位吸収量を確保できる。
【0100】
更に、この実施の形態では、前記免震継手10が、可撓性樹脂材料である高密度ポリエチレン管のみで、この免震継手10が、略構成できるので、安価で、施工コストの増大も抑制される。
【0101】
また、この実施の形態では、2本の90°ベンド管13a,13a及び14a,14aが、接続されることにより、前記曲管部13,14が、構成されている。
【0102】
このため、二次成形加工が比較的容易な90°ベンド管13a,13a、14a,14aによって、前記曲管部13,14が形成出来るので、更に、免震継手10の製造コストの増大が抑制される。
【0103】
しかも、前記90°ベンド管13a,13a、14a,14aは、肉厚等の寸法精度が安定しているので、所望の変位吸収性能を容易に発揮させることが出来る。
【0104】
また、前記曲管部13,14が、バット融着により接続されているので、予め工場内等で、接続作業を行える。
【0105】
しかも、バット融着13bによるビード形成幅が狭いので、前記免震継手10の可撓性を損なう虞が無い。
【0106】
更に、前記歪み変形量が比較的少ない中央直管部15が、EF継手16によって接続されている。このため、前記免震継手10全体の可撓性を損なう虞が無い。
【0107】
また、図1に示すように、前記地盤側直管部11及び、建物側直管部12の端部に設けられたフランジ接続用継手11a,12aによって、金属配管によって構成される前記地盤側配管5のフランジ部5a又は、建物側配管4のフランジ部4aと接続可能であるので、汎用性が向上する。
【0108】
そして、前記EF継手27,28によって、接続されたフランジ接続用継手接続部が、上下方向から金属製クランプ部材29a,29a及び29b,29bによって、挟持される。
【0109】
このため、金属製クランプ部材29b,29bを装着する台座本体31a,32aによって、前記地盤2側及び、建物1側の躯体底面部1aに、前記免震継手10の両端部が確実に固定されて、変位に対して縁切りされる。
【0110】
従って、建物1側に、地盤2側の変位が伝わらず、前記免震装置7,7に所望の免震性能を発揮させることができる。
【0111】
更に、前記ワイヤ部材22,22に連結された金属バンド部材17,18によって、前記中央直管部15に設けられたEF継手16による接続部が、前記建物1側から吊り下げられる。
【0112】
この実施の形態では、前記ワイヤ部材22,22の上端部に設けられた前記リング部材25,25が、前記建物1の躯体底面部1aに、長手方向を、前記中央直管部15と一致させて吊り下げられたガイドバー部材26,26に挿通されて、長手方向にスライド自在となるように挿通されている。
【0113】
このため、更に、安定して、前記免震継手10が躯体底面部1aに吊り下げ装着されると共に、前記リング部材25,25が、前記ガイドバー部材26,26に沿って回転可能であるので、Y方向の変位も許容される。
【0114】
このため、更に、施工スペースの汎用性が向上すると共に、建物側に、地盤側の変位が伝わらない。
【0115】
そして、この実施の形態では、前記曲管部13が、2本の90°ベンド管をバット融着で接続することにより、180°折り返す形状を各々呈している。
【0116】
しかも、施工現場で前記EF継手16を用いて、中央直管部15の水平直管部13d,14d同士を付き合わせて、電気融着することにより、容易に、略S字状に接続することができる。
【0117】
このため、前記中央直管部15の両端部に、予め前記曲管部13,14が設けられていても、中央直管部15で分割された二部材が、搬送時に嵩張ることなく、搬送を容易に行うことが出来る。
【実施例1】
【0118】
図9は、この発明の実施の形態の実施例1の免震継手構造を示している。
【0119】
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0120】
この実施例1の免震継手構造では、高さ方向スペースが限られた床下空間に、前記免震継手10を横置き配置したものを示している。
【0121】
この実施例1では、前記EF継手16が、ワイヤ部材122によって、吊り下げられている。
【0122】
次に、この実施例1の作用効果について説明する。
【0123】
この実施例1では、前記実施の形態の免震継手及び該免震継手構造の作用効果に加えて、更に、前記EF継手16が、ワイヤ部材122によって、吊り下げられている。
【0124】
このため、他の支持具や台座等の部材を不要として、部品点数の増大を抑制できる。
【0125】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例2】
【0126】
図10は、この発明の実施の形態の実施例2の免震継手構造を示している。
【0127】
なお、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0128】
この実施例2の免震継手構造では、曲管部113,113が、予め一体に形成されるU字管で構成されていて、前記中央直管部115にバット融着で接続されている。
【0129】
次に、この実施例2の作用効果について、説明する。
【0130】
この実施例2では、前記実施の形態及び実施例1の免震継手及び該免震継手構造の作用効果に加えて、更に、前記U字管が用いられて、前記曲管部113,113が形成されているので、曲管部113の曲率半径や或いは湾曲形状の自由度を向上させて、前記狭い床下空間内での施工効率を向上させることができる。
【0131】
また、図10に示すように、曲管部113,113を接続する前記中央直管部115が、水平直管部115a及び115bに二分割されて、分割された状態での二部材を略同一形状に形成することが出来、製造効率が良好である。
【0132】
しかも、施工現場で前記EF継手16を用いて、この接続部を電気融着することをより、容易に、略S字状に接続することができる。
【0133】
このため、前記中央直管部115の両端部に予め180°折り返す形状を呈する前記曲管部113,113が設けられていても、中央直管部115の水平直管部115a及び115bの突き合わせ部で分割された二部材が、搬送時に嵩張ることなく、搬送を容易に行うことが出来る。
【0134】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0135】
図11乃至図12は、この発明の実施の形態の実施例3の免震継手構造を示している。
【0136】
なお、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0137】
まず、構成上の相違から説明すると、この実施例3の免震継手構造では、前記免震継手10を吊り下げて、支持する部分の構成を前記実施の形態と相違させている。
【0138】
すなわち、この実施例3では、前記実施の形態のターンバックル部材23及びスプリング部材24を用いたワイヤ部材22に代えて、施工現場で任意の長さに切断可能なワイヤ部材222,222の一端222a,222aに、ワイヤクリップ部材43,43…が用いられて、前記金属製バンド部材17,18が連結されていると共に、他端222b,222bには、錘部材44,44が、各々連結されている。
【0139】
また、前記建物1の躯体底面部1aには、断面略コ字状を呈する一対のC型鋼材45,45が、一定間隔を置いて、並設されている。
【0140】
そして、これらのC型鋼材45,45には、吊り下げ手段としての滑車部材46,46が、各々設けられている。
【0141】
これらの滑車部材46,46は、各々上部を前記C型鋼材45,45に固着させて、下方に開放された略U字状のブラケット部材46b,46bに、各々左,右一対の円盤状フランジ部に挟持されたワイヤ溝部を凹設して、扁平鼓形状を呈する滑車本体46a,46aが、回転自在に枢着されて、主に構成されている。
【0142】
この滑車部材46の滑車本体46a,46aには、前記ワイヤ部材222,222が、係合されている。
【0143】
このため、通常の吊り下げ状態では、前記錘部材44,44と、内部に水が満たされた前記免震継手10とのバランスが保たれて、図12に示すように、前記アイボルト21から、前記滑車部材46,46までの水平線からの前記各ワイヤ部材222,222の迎え角α1,α2が、各々約60度となるように、前記免震継手10を挟んで、正面視略M字状の対称型を呈するように、連結配索されて、前記EF継手16部分に、上方に向けて引き上げ力が与えられて、前記免震継手10の自重及び内部の水の重量等が支持される。
【0144】
そして、前記接続部としてのEF継手16,16を接続する前記金属バンド部材17,18が、前記免震継手10の移動に伴って、左右方向へ、移動可能なように、これらのワイヤ部材222,222が、張設されたまま、これらの滑車本体46a,46aを、各々回転させて、このワイヤ部材222,222の先端に垂下された錘部材44,44を上下方向へ移動させるように構成されている。
【0145】
また、この実施例3の免震継手構造では、前記錘部材44,44の錘本体44a,44aが、各々略円柱形状を呈するように形成されている。
【0146】
このうち、錘本体44aの上面部には、前記ワイヤ部材222を挿通する半円環形状の吊り下げリング部44bが、一体に形成されている。
【0147】
更に、この錘本体44aの下面部には、他の錘部材44を連結して吊り下げる一対の半円環形状の連結リング部44c,44cが、一体に形成されている。
【0148】
そして、この錘部材44,44の周囲には、この錘部材44,44の鉛直上下方向の移動をガイドするガイド部材としてガイド筒部材47,47が、各々設けられている。
【0149】
これらのガイド筒部材47,47の内部には、前記錘部材44,44を略全長に渡り、挿通可能なガイド空間部47a,47aが形成されていて、中空円筒形状を呈している。
【0150】
更に、これらの各ガイド筒部材47,47の上部外周面部47b,47bが、前記建物1の躯体底面部1aに固着されたL字状ブラケット部材48,48に、取付バンド部材49,49が用いられて、長手方向を鉛直方向に沿わせた状態で、各々固定されている。
【0151】
次に、この実施例3の免震継手構造及び該免震継手構造の施工方法の作用効果について説明する。
【0152】
この実施例3では、前記実施の形態及び実施例1,2の作用効果に加えて、更に、まず、この免震継手10の施工を行う際に、前記実施の形態の図1に示すようなターンバックル部材23…を必要とせず、施工現場で、適当な長さに、前記各ワイヤ部材222,222を切断することが出来、調整可能である。
【0153】
すなわち、前記ワイヤ部材222,222を、前記滑車部材46,46の滑車本体46a,46aに係合させると共に、これらのワイヤ部材222,222の一端を、前記金属製バンド部材17,18に固着されたアイボルト部材21,21に挿通して、折り返されて、略環状とされると共に、前記ワイヤクリップ部材43,43によって、ワイヤ部材222,222の適当な位置に、各々固定されて連結される。
【0154】
また、これらのワイヤ部材222,222の他端は、錘部材44,44の上部に一体に形成された各吊下げリング部44b,44bの孔部内に挿通されて、折り返されて、略環状とされると共に、前記ワイヤクリップ部材43,43によって、ワイヤ部材222,222の適当な位置に、この他端が、各々固定されて連結される。
【0155】
そして、前記ガイド筒部材47,47のガイド空間部47a,47a内に、このガイド筒部材47,47の上端部開口から、前記錘部材44,44が挿通されて、図12に示されるように、左,右略対称となる正面視略M字型にバランスが取られて、施工が概略完了する。
【0156】
このような地震が無く、振動が加わらない状態である通常の吊り下げ状態では、前記錘部材44,44と、内部に水が満たされた前記免震継手10とのバランスが保たれて、図12に示すように、前記アイボルト21から、前記滑車部材46,46までの水平線からの前記各ワイヤ部材222,222の迎え角α1,α2が、各々約60度となるように、前記免震継手10を挟んで、正面視略M字状の対称型を呈する。
【0157】
このため、上下左右に、略同一の力が、前記金属製バンド部材17,18に、前記ワイヤ部材222,222から、前記EF継手16部分に、与えられて、引き上げ力として作用し、前記免震継手10の自重及び内部の水の重量等が支持される。
【0158】
そして、地震による揺れで、前記免震継手10の位置が、上下左右に変位しても、前記滑車部材46,46を介して吊り下げられた錘部材44,44が、上下方向に移動して、前記免震継手10に余計な応力を与えること無く、変位が吸収される。
【0159】
また、地震による揺れが収まると、略元に位置に戻るように、前記アイボルト21から、前記滑車部材46,46までの水平線からの前記各ワイヤ部材222,222の迎え角α1,α2が、各々約60度となるように、前記免震継手10を挟んで、正面視略M字状の対称型を呈するようにバランス位置まで復帰する。
【0160】
この実施例3に記載された免震継手構造では、施工時、ターンバックルを必要とせず、ワイヤ部材222の両端の加工処理が不要であるので、施工現場において、ワイヤ部材222の長さの調整が容易である。
【0161】
このため、施工現場で、ワイヤ部材222,222を切断、及び前記ワイヤクリップ部材43,43を用いて、長さ調整後、連結固定すれば、あらゆる建物1等の床下空間の上下方向寸法の相違に対応することができる。
【0162】
また、前記錘部材44の上下方向の移動によって、前記免震継手10の左右方向への移動を吸収出来るので、最大で、地盤2表面から、躯体底面部1aまでの空間上下方向寸法距離と略同等のストロークを確保できる。
【0163】
このため、前記実施の形態のスプリング部材24,24を用いた前記ワイヤ部材22に比して、大きなストロークを設定出来、可動範囲の大きな略S字状に接続された可撓性樹脂管から構成される前記免震継手10に用いて好適である。
【0164】
しかも、この実施例3では、前記ガイド筒部材47の内部に形成されたガイド空間部47aが、上下方向の略全長に渡り、前記錘部材44を挿通可能なように形成されている。
【0165】
このため、前記ガイド筒部材47の下端から、前記錘部材44が、抜出可能であるので、更に、大きなストロークを確保できると共に、万一、前記地盤2の表面に、前記錘部材44が、当接しても、前記ワイヤ部材222が、収縮方向に撓み、更なる前記免震継手10の移動も、吸収できる。
【0166】
また、この実施例3では、前記ワイヤ部材222の先端に垂下された錘部材44,44が上下方向へ移動する際、前記ガイド筒部材47の内部のガイド空間部47a内を通り、内周面によって、水平左右方向へ振れないようにガイドされる。
【0167】
この実施例3のガイド筒部材47は、前記L字状ブラケット部材48によって、建物1の躯体底面部1aに固着されている。
【0168】
従って、ガイド筒部材47自体も、地盤側2に固定される場合に比して揺れにくい。
【0169】
また、この実施例3では、ワイヤ部材222は、一切、地盤側に連結されていないので、地震の振動による影響が、増大すること無く、前記免震継手10の移動を抑制する方向へ作用する。
【0170】
このため、図12に示すように、前記アイボルト21から、前記滑車部材46,46までの水平線からの前記各ワイヤ部材222,222の迎え角α1,α2が、各々約60度となるように設定されて、前記免震継手10と、前記錘部材44及びワイヤ部材222をガイドするガイド筒部材47までの間隔が、一定の寸法以上となるように設定される。
【0171】
すなわち、迎え角α1,α2が、各々約60度となるように設定されることにより、図11に示すように、前記免震継手10の上部の建物側直管部12から、下部の地盤側直管部11等の上下方向の設定寸法Hが大きくて、地震の震動による水平方向への移動量が、大きくなっても、前記免震継手10と、これらのガイド筒部材47,47とが、干渉する虞が減少する。
【0172】
また、この迎え角α1,α2が、各々約60度となるように設定されているので、前記EF継手16による連結部分の支持に必要とされる上方への引き上げ力を分力として、充分に確保できると共に、この実施例3では、正面視略M字状の対称型を呈するように、連結配索されているので、左,右水平方向への引っ張り力も、左,右で、同一とすることができる。
【0173】
従って、地震が収まって、前記免震装置7,7の作用により、前記免震継手10が、前記地盤2と、建物1との間の通常位置に復帰すると、これらの各左,右の錘部材44,44の上下方向高さ位置も、図12に示すように、略同一上下方向位置に復帰して、正面視略M字状の対称型を呈するように戻り、前記免震継手10が支持される。
【0174】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例4】
【0175】
図13乃至図14は、この発明の実施の形態の実施例4の免震継手構造を示している。
【0176】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至3と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0177】
この実施例4の免震継手構造では、前記実施例1の免震継手構造と同様に、高さ方向スペースが限られた床下空間に、前記免震継手10が横置き配置されて、直列接続された錘部材44,44が、連結された一本のワイヤ部材322によって、吊り下げられて、支持される構成が示されている。
【0178】
まず、構成上の相違から説明すると、この実施例4では、前記EF継手16の周囲に嵌着された金属製バンド部材117が、左,右一対の合わせフランジ部117a,117aに開口形成されたワイヤ孔117b,117b同士が合わせられて、これらのワイヤ孔117b,117bに前記ワイヤ部材322の一端322aが挿通されると共に、折り返されて、略環状に連結されると共に、前記ワイヤクリップ部材43によって、ワイヤ部材322の適当な位置に、この他端322bが、固定されて、連結される。
【0179】
また、前記接続部としての前記EF継手16の略真上に位置するC型鋼材45の下面側に、固着されて下方に向けて、アイボルト部材21が、突設されている。
【0180】
そして、このワイヤ部材322が、このアイボルト部材21に開口形成された挿通孔21aに挿通されるとともに、前記C型鋼材45と、所定寸法W2離し置きされるC型鋼材145に装着された滑車部材46の滑車本体46aに、係合されている。
【0181】
この所定寸法W2は、図14に示されるように、前記免震継手10の前記EF継手16と、前記ガイド筒部材47直管部111との間の寸法W1よりも大きく(W2>W1)なるように設定されて、前記免震継手10が、上下左右に移動する場合でも、前記錘部材44,44をガイドするガイド筒部材47と干渉しないように、設定されている。
【0182】
次に、この実施例4の作用効果について、説明する。
【0183】
この実施例4では、前記実施の形態及び実施例1乃至3の作用効果に加えて、更に、地震が無く、震動が加わらない状態である通常の吊り下げ状態では、前記錘部材44,44と、内部に水が満たされた前記免震継手10とのバランスが保たれて、図13及び図14に示すように、前記免震継手10が、支持される。
【0184】
そして、地震による揺れで、前記免震継手10の位置が、左右に変位しても、前記アイボルト21及び、滑車部材46を介して吊り下げられた錘部材44,44が、前記ガイド筒部材47の内部を、上下方向に移動して、前記免震継手10に余計な応力を与えること無く、変位が吸収される。
【0185】
また、地震による揺れが収まると、図14に示すように、前記免震継手10が、前記錘部材44,44とバランスする位置まで復帰する。
【0186】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0187】
即ち、前記実施の形態では、前記EF継手16が用いられて、水平直管部13dと、水平直管部14dとの間が電気融着されることにより接合されているが、特にこれに限らず例えば、バット融着により接合されていても良く、これらの水平直管部13dと、水平直管部14dとからなる中央直管部15が、前記建物側直管部12及び地盤側直管部11と平行になるように設けられた側面視略S字状を呈するように連結されるものであるならば、どの部分にバット融着による接合を行っても良く、形状、数量、組み合わせ及び接続方法が特に限定されるものではない。
【0188】
また、前記実施の形態では、免震継手10が、可撓性樹脂材料としての高密度ポリエチレン(HDPE)管を用いて、主に構成されているが、特にこれに限らず、例えば、中密度ポリエチレン(MDPE)、或いはポリブデン(PB)及びこれらの組み合わせであってもよく、管体の形状、数量、大きさ及び材質が、特に、限定されるものではない。
【0189】
更に、この実施の形態では、前記ターンバックル部材23及びスプリング部材24を用いたワイヤ部材22を示して説明してきたが、特にこれに限らず、前記実施例3及び実施例4に記載されている錘部材44を、前記ターンバックル部材23又は、前記スプリング部材24のうち、少なくとも何れか一方と組み合わせる等、どのように組み合わせて構成されていても良く、吊り下げ手段としての前記アイボルト部材21及び前記滑車部材46との数量、配置、及び組み合わせ及び形状が、どのように構成されていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】この発明の最良の実施の形態の免震継手構造で、免震継手を縦配管した全体の構成を説明する斜視図である。
【図2】実施の形態の免震継手構造で、全体の構成を説明する建物の床下空間の側面図である。
【図3】実施の形態の免震継手構造で、図2中A−A線に沿った位置での断面図である。
【図4】実施の形態の免震継手構造で、図3中B部の模式的な拡大斜視図である。
【図5】実施の形態の免震継手構造で、免震継手の斜視図である。
【図6】実施の形態の免震継手構造で、免震継手の分解斜視図である。
【図7】実施の形態の免震継手構造で、免震継手に矢印−X方向の変位を与えた場合の歪みの様子を説明する斜視図である。
【図8】実施の形態の免震継手構造で、免震継手に矢印Y方向の変位を与えた場合の歪みの様子を説明する斜視図である。
【図9】実施の形態の実施例1の免震継手構造で、免震継手を横置き配置した場合の全体の構成を説明する斜視図である。
【図10】実施の形態の実施例2の免震継手で、曲管部にU字管を用いた免震継手の構成を説明する斜視図である。
【図11】実施の形態の実施例3の免震継手で、免震継手を縦配管した全体の構成を説明する斜視図である。
【図12】実施の形態の実施例3の免震継手で、免震継手を縦配管した図11中E−E線に沿った位置での構成を説明する縦断面図である。
【図13】実施の形態の実施例4の免震継手で、免震継手を水平配管した全体の構成を説明する模式的な斜視図である。
【図14】実施の形態の実施例4の免震継手で、免震継手を水平配管した図13中F−F線に沿った位置での構成を説明する模式的な断面図である。
【図15】一従来例の免震継手構造で、縦直管部を有する免震継手を用いた構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0191】
1 建物
2 地盤
4 建物側配管
5 地盤側配管
10,110 免震継手
11 地盤側直管部
11a,12a 金属製フランジ部(フランジ接続用継手)
12 建物側直管部
13,13 曲管部
13a,14a 90°ベンド管
13b,13c,14b,14c バット融着部
15,115 中央直管部
113,113 曲管部(U字管)
21 アイボルト(吊り下げ手段)
29a,29b 金属製クランプ部材
31a,32a 台座本体
31,131 建物側台座部材
32 地盤側台座部材
44,44 錘部材
46 滑車部材(吊り下げ手段)
47 ガイド筒部材(ガイド部材)
111 直管部
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤側と建物側との間で、相対変位が生じても、配管に亀裂等破損が生じることがない免震継手構造、該免震継手構造に用いる免震継手及び該免震継手構造の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図15に示すような免震継手構造が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
このような従来の免震継手構造では、建物1側と、建物1が載置される地盤2側との間に、図示省略の免震装置が装着された建物構造には、主に、可撓性を有するポリエチレン配管からなる免震継手3が、提案されている。
【0004】
この免震継手3は、主に建物側及び地盤側に位置する一対の水平直管部3b,3b及び、高さ方向の落差Hに対応させて、縦方向に延設された縦直管部3cとを有し、これらの水平直管部3b,3b及び、縦直管部3cとの間が、90°屈曲部3d,3dによって接続されている。
【0005】
また、建物側の水平直管部3bの端部には、建物側配管4のフランジ部4aに接続されるルーズフランジ部3aが設けられると共に、地盤2側から延設される地盤側配管5のフランジ部5aには、前記地盤側の水平直管部3bの端部に設けられたルーズフランジ部3eが接続されることにより、この免震継手3を介在させて、前記建物側配管4が、前記地盤側配管5に接続されるように構成されている。
【0006】
次に、この従来の免震継手構造の作用効果について説明する。
【0007】
このように構成された従来の免震継手構造では、地震等により、地盤2が揺れても、前記可撓性を有するポリエチレン配管からなる免震継手3が、撓み変形を起こすことにより、建物1側に、地盤2の変位が伝わりにくい。
【0008】
このため、図示省略の免震装置の免震機能を充分に発揮させることができる。
【0009】
また、他の従来の免震継手構造としては、高価な可撓性継手を用いるものも知られている(例えば、特許文献2,3,4等参照。)。
【特許文献1】特開2001−208241号公報(第0006段落乃至第0032段落、図1)
【特許文献2】特許2598772号公報 (発明の詳細な説明、図1,図2)
【特許文献3】特許第3260698号公報(第0017段落乃至第0031段落、図1)
【特許文献4】特許第3714772号公報(第0010段落乃至第0019段落、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の免震継手構造では、縦方向の前記縦直管部3cが、上下一対の90°屈曲部3d,3dによって、前記水平直管部3b,3bと接続されているので、前記地盤2と建物1との相対変位量が大きいと、この免震継手3に発生する歪みも大きくなる。
【0011】
例えば、一般的な免震マンション(集合住宅)では、変位吸収量が、水平面内で、全方向に600mm必要とされている。
【0012】
このため、地盤2と建物1との間に形成される床下空間を充分に確保できず、高さ方向寸法が大きく設定出来ない場合、前記縦直管部3cの高さ方向寸法Hも、小さくなり、歪みが増大して吸収出来ず、免震継手3が塑性変形してしまう虞があり、前記600mmの変位を吸収することは難しかった。
【0013】
また、他の従来例の免震継手構造に用いられる可撓性継手は、高価で、施工コストが上昇してしまうといった問題もあった。
【0014】
更に、上水用に用いる自在継手の場合、常に管内が、水で満たされているので、自重に加えて、この内部の水の重量も、この自在継手と共に、支持しなければならない。
【0015】
しかしながら、被支持部を固定して、支持剛性を高める構成では、免震継手3の可動範囲を狭めてしまう虞がある。
【0016】
特に、上下階の間に形成される空間の高さ方向寸法は、一定の制約がある(例えば、一般的なマンションの場合、約2m)。このため、変位吸収量を確保しつつ、充分な吊り下げ力を得ることは、困難であった。
【0017】
そこで、この発明は、安価で、しかも、限られたスペース内に施工出来て、要求される600mmの変位吸収量を確保することが出来る免震継手構造及び該免震継手構造の施工方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、建物側と、建物が載置される地盤側との間に免震装置が設けられた建物構造に用いられて、前記地盤側から延設された地盤側配管と、前記建物側から延設された建物側配管とを接続する免震継手を有する免震継手構造であって、前記免震継手は、可撓性樹脂管によって構成されると共に、地盤側配管に接続されて延設された地盤側直管部と、前記建物側配管に接続されて、延設された建物側直管部と、該地盤側直管部及び該建物側直管部に対して平行に位置して、各地盤側直管部及び該建物側直管部に、各々曲管部を介して接続される中央直管部を有して、略S字状に接続されている免震継手構造を特徴としている。
【0019】
また、請求項2に記載されたものは、前記曲管部は、2本の90°ベンド管を、接続することにより構成されている請求項1記載の免震継手構造を特徴としている。
【0020】
更に、請求項3に記載されたものは、前記曲管部は、U字管を用いて構成されている請求項1記載の免震継手構造を特徴としている。
【0021】
そして、請求項4に記載されたものは、前記曲管部は、バット融着により接続されている請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の免震継手構造を特徴としている。
【0022】
また、請求項5に記載されたものは、前記中央直管部は、EF継手によって接続されている請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の免震継手構造を特徴としている。
【0023】
更に、請求項6に記載されたものは、前記地盤側直管部及び、建物側直管部のうち、少なくとも何れか一方の端部には、フランジ接続用継手が設けられている請求項1乃至5のうち、何れか一項記載の免震継手構造を特徴としている。
【0024】
そして、請求項7に記載されたものは、前記地盤側直管部又は、前記建物側直管部と、前記フランジ接続用継手との接続部を挟持するクランプ部材を有すると共に、該クランプ部材を装着する台座本体を有する請求項6記載の免震継手構造を特徴としている。
【0025】
また、請求項8に記載されたものは、前記地盤側直管部又は、前記建物側直管部と、前記フランジ接続用継手との接続部には、EF継手が用いられると共に、該EF継手によって、接続された該接続部を挟持するクランプ部材を有すると共に、該クランプ部材を装着する台座を有する請求項6記載の免震継手構造を特徴としている。
【0026】
更に、請求項9に記載されたものは、前記中央直管部に設けられた継手又はEF継手による接続部を、ワイヤ部材に連結される金属バンド部材を用いて、前記建物側から吊り下げる請求項5乃至8のうち、何れか一項記載の免震継手構造を特徴としている。
【0027】
また、請求項10に記載されたものは、前記ワイヤ部材を、前記建物側に設けられて、該ワイヤ部材の長手方向に移動可能に、係合させる吊り下げ手段によって、支持させると共に、該ワイヤ部材の先端には、錘部材を垂下させる請求項9記載の免震継手構造を特徴としている。
【0028】
そして、請求項11に記載されたものは、地盤側から延設された地盤側配管と、建物側から延設された建物側配管とを接続する免震継手であって、該免震継手は、可撓性樹脂管によって構成されると共に、地盤側配管に接続されて延設された地盤側直管部と、前記建物側配管に接続されて、延設された建物側直管部と、該地盤側直管部及び該建物側直管部に対して平行に位置して、各地盤側直管部及び該建物側直管部に、各々曲管部を介して接続される中央直管部を有して、略S字状に接続されている免震継手を特徴としている。
【0029】
また、請求項12に記載されたものは、前記曲管部は、2本の90°ベンド管をバット融着で接続することにより、180°折り返す形状を各々呈して、前記中央直管部の両端部に設けられると共に、該中央直管部で分割された接続部では、EF継手が用いられて、電気融着される請求項11記載の免震継手構造に用いられる免震継手を特徴としている。
【0030】
更に、請求項13に記載されたものは、前記曲管部は、一対のU字管を用いて、前記中央直管部の両端部にバット融着されると共に、該中央直管部で分割された接続部では、EF継手が用いられて、電気融着される請求項12記載の免震継手構造に用いられる免震継手を特徴としている。
【0031】
そして、請求項14に記載されたものは、前記中央直管部で分割された地盤側継手と、建物側継手とを該中央直管部で、EF継手によって、接続する請求項1乃至10のうち、何れか一項記載の免震継手構造の施工方法を特徴としている。
【発明の効果】
【0032】
このように構成された請求項1記載の発明では、可撓性樹脂管を略S字状に接続する前記中央直管部が、前記地盤側直管部及び前記建物側直管部の両方に対して平行に設けられている。
【0033】
このため、例えば、水平方向に敷設された前記地盤側配管及び、前記建物側配管に、該免震継手が接続された状態では、前記中央直管部が、水平方向に延設されて、例えば、地盤と、建物との間に形成される床下空間の高さ方向スペースを必要としない。
【0034】
また、水平方向の変位は、主に、前記曲管部に加わるので、前記中央直管部の長手方向寸法を増大させることなく、充分な変位吸収量を確保できる。
【0035】
更に、可撓性樹脂材料のみで、該免震継手を構成できるので、安価で、施工コストの増大も抑制される。
【0036】
また、請求項2に記載されたものは、2本の90°ベンド管を、接続することにより、前記曲管部が、構成されている。このため、二次成形加工が比較的容易な既存の安価な90°ベンド管によって形成出来るので、更に、免震継手の製造コストの増大が抑制される。
【0037】
更に、請求項3に記載されたものは、U字管が用いられて、前記曲管部が形成されているので、曲管部の曲率半径や或いは湾曲形状の自由度を向上させて、前記狭い床下空間内での施工効率を向上させることができる。
【0038】
また、請求項4に記載されたものは、前記曲管部が、バット融着により接続されているので、予め工場内等で、接続作業を行える。
【0039】
しかも、バット融着によるビード形成幅が狭いので、前記免震継手の可撓性を損なう虞が無い。
【0040】
更に、請求項5に記載されたものは、前記歪み変形量が比較的少ない中央直管部が、EF継手によって接続されている。このため、前記免震継手全体の可撓性を損なう虞が無い。
【0041】
また、請求項6に記載されたものは、前記地盤側直管部及び、建物側直管部の端部に設けられたフランジ接続用継手によって、金属配管によって構成される前記地盤側配管又は、建物側配管と接続可能であるので、維持管理性と汎用性が向上する。
【0042】
更に、請求項7に記載されたものは、前記地盤側直管部又は、前記建物側直管部と、前記フランジ接続用継手との接続部が、クランプ部材によって挟持されている。
【0043】
このため、該クランプ部材を装着する台座本体によって地盤側若しくは、建物側に、前記免震継手の両端部が確実に固定されて、変位に対して縁切りされる。
【0044】
従って、地震が発生しても、該免震継手を介して、建物側に、地盤側の変位が伝わらない。
【0045】
そして、請求項8に記載されたものは、EF継手によって、接続された該接続部が、上下方向から金属製クランプ部材によって、挟持される。
【0046】
このため、該金属製クランプ部材を装着する台座本体によって前記地盤側若しくは、建物側に、前記免震継手の両端部が確実に固定されて、変位に対して縁切りされる。
【0047】
従って、地震が発生しても、該免震継手を介して、建物側に、地盤側の変位が伝わらない。
【0048】
更に、請求項9に記載されたものは、ワイヤ部材に連結された金属バンド部材によって、前記中央直管部に設けられたEF継手による接続部が、前記建物側から吊り下げられる。
【0049】
このため、更に、施工スペースの汎用性が向上すると共に、建物側に、地盤側の変位が伝わらない。
【0050】
また、請求項10に記載されたものは、前記ワイヤ部材の先端に垂下された錘部材によって、前記吊り下げ手段を介して、前記接続部を垂下させた金属バンド部材が、上方に向けて引き上げ力を与えられて、前記免震継手の自重等が支持される。
【0051】
そして、地震による揺れで、前記免震継手の位置が、変位しても、前記吊り下げ手段を介して吊り下げられた錘部材が上下して、変位を吸収すると共に、揺れが収まると、略元に位置に戻るように、バランスする。
【0052】
更に、請求項11に記載されたものは、可撓性樹脂管を略S字状に接続する前記中央直管部が、前記地盤側直管部及び前記建物側直管部の両方に対して平行に設けることにより、例えば、水平方向に敷設された前記地盤側配管及び、前記建物側配管に、該免震継手が接続された状態では、前記中央直管部が、水平方向に延設されて、地盤と、建物との間に形成される床下空間の高さ方向スペースを必要としない。
【0053】
また、水平方向の変位は、主に、前記曲管部に加わるので、前記中央直管部の長手方向寸法を増大させることなく、充分な変位吸収量を確保できる。
【0054】
更に、可撓性樹脂材料のみで、該免震継手を構成できるので、安価で、施工コストの増大も抑制される。
【0055】
更に、請求項12に記載されたものは、前記曲管部が、2本の90°ベンド管をバット融着で接続することにより、180°折り返す形状を各々呈している。
【0056】
また、該曲管部を接続する前記中央直管部が分割されて、分割された状態での二部材を略同一形状に形成することが出来、製造効率が良好である。
【0057】
しかも、施工現場で前記EF継手を用いて、該接続部を電気融着することにより、容易に、略S字状に接続することができる。
【0058】
このため、前記中央直管部の両端部に予め前記曲管部が設けられていても、該中央直管部で分割された二部材が、搬送時に嵩張ることなく、搬送を容易に行うことが出来る。
【0059】
更に、請求項13に記載されたものは、前記曲管部が、U字管で構成されていて、前記中央直管部にバット融着で接続されている。
【0060】
また、該曲管部を接続する前記中央直管部が分割されて、分割された状態での二部材を略同一形状に形成することが出来、製造効率が良好である。
【0061】
しかも、施工現場で前記EF継手を用いて、該接続部を電気融着することをより、容易に、略S字状に接続することができる。
【0062】
このため、前記中央直管部の両端部に予め180°折り返す形状を呈する前記U字管が設けられていても、該中央直管部で分割された二部材が、搬送時に嵩張ることなく、搬送を容易に行うことが出来る。
【0063】
また、請求項14に記載されたものは、前記中央直管部で分割された地盤側継手と、建物側継手とが、該中央直管部で、EF継手によって、接続される。
【0064】
このため、分解して施工現場まで搬送した後、施工現場で、前記EF継手を用いて、該中央直管部を接続することにより、搬送時に嵩張ることがなく、しかも、限られたスペース内に施工出来て、施工性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
次に、図面に基づいて、この発明を実施するための最良の実施の形態の免震継手構造、免震継手及び該免震継手構造の施工方法について、説明する。なお、前記従来例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0066】
まず、この実施の形態の免震継手構造の構成から説明すると、この実施の形態では、図1,図2に示すように、建物1側の躯体底面部1aと、建物1が載置される地盤2側との間に、免震装置7…が設けられている建物構造に用いられる免震継手10を有する免震継手構造が例示されている。
【0067】
この免震継手構造では、免震継手10が、前記地盤2側から延設された地盤側配管5のフランジ部5aと、前記建物1側から延設された建物側配管4のフランジ部4aとの間に介在されて、各々接続されるように構成されている。
【0068】
この実施の形態の免震継手10は、可撓性樹脂材料としての高密度ポリエチレン管が用いられて、主に構成されていて、前記地盤側配管5のフランジ部5aに、金属製フランジ部11aを介して接続されて延設された地盤側直管部11と、前記建物側配管4のフランジ部4aに、金属製のフランジ部12aを介して接続されて、延設された建物側直管部12とを有している。
【0069】
これらの地盤側直管部11と、前記建物側直管部12とは、略水平に互いに平行に延設されると共に、上下方向に所定の寸法Hが、設けられて離し置きされている。
【0070】
また、この免震継手10には、図5及び図6に示すように、これらの地盤側直管部11及び建物側直管部12に対して平行に位置して、地盤側直管部11及び建物側直管部12と、各々曲管部13,14を介して、接続される中央直管部15が設けられていて、側面視で略S字状となるように、接続されている。
【0071】
この実施の形態の免震継手10の曲管部13,14は、各々同一形状の2本の90°ベンド管13a,13a及び14a,14aを、バット融着部13b,14bによって、接続することにより、180°折り返す形状を呈するように構成されている。
【0072】
また、この実施の形態の建物側の90°ベンド管13aの端部は、前記建物側直管部12とバット融着13cによって一体に接続されると共に、前記地盤側の90°ベンド管14aの端部も前記地盤側直管部11とバット融着14cによって一体に接続されている。
【0073】
更に、この実施の形態の前記中央直管部15は、前記90°ベンド管13a,14aの水平直管部13d,14dによって構成されていて、これらの水平直管部13d,14dの付き合わせられた端部同士が、EF継手16(電気融着継手)によって、融着接合されて接続されている。
【0074】
この中央直管部15に設けられたEF継手16による接続部は、図3に示すように、上下方向から、側面視略ハット状の金属バンド部材17,18が、このEF継手16の周囲に、上下から挟持するように装着される共に、ボルト部材19,19及びナット部材20,20によって、左,右鍔部17a,17a及び18a,18a間が、締結されている。
【0075】
これらの左,右鍔部17a,17a及び18a,18aには、各々アイボルト部材21,21が、螺着されていて、前記建物1側の躯体底面部1aから、斜めに張設される一対のワイヤ部材22,22によって、これらのアイボルト部材21,21が吊り下げられている。
【0076】
このワイヤ部材22,22は、主に、長さ調整用のターンバックル部材23,23と、これらの各ターンバックル部材23,23の前後に設けられて、振動を吸収する金属製スプリング部材24,24によって主に構成されている。
【0077】
また、これらの左,右各ワイヤ部材22,22の上端部には、リング部材25,25が設けられていて、前記建物1の躯体底面部1aに、長手方向を、前記中央直管部15と一致させて吊り下げられたガイドバー部材26,26が、このリング部材25,25の中央孔部25a,25aに、スライド自在となるように挿通されている。
【0078】
更に、この実施の形態では、図2に示すように、前記地盤側直管部11及び建物側直管部12のうち、フランジ接続用継手としての金属製フランジ部11a,12aが接続される接続端面11b,12b近傍では、前記地盤側直管部11及び建物側直管部12と、前記フランジ接続用継手11a,12aとを各々接続するEF継手27,28が用いられている。
【0079】
そして、このEF継手27,28の前後には、各々地盤側台座部材32及び、建物側台座部材31の金属製クランプ部材29a,29bが、各々前記地盤側直管部11及び建物側直管部12の端縁近傍を固定するように設けられている。
【0080】
この金属製クランプ部材29a,29bは、前記地盤側台座部材32及び、建物側台座部材31の台座本体32a及び、31aから立設されたボルト部材29c,29cが、貫通されている。
【0081】
そして、このボルト部材29c,29cに、ナット部材29d,29dが、螺着されることにより、上下方向から前記地盤側直管部11及び建物側直管部12の端部近傍が挟持されて、前記地盤2及び、前記建物1の躯体底面部1aに各々固定されるように構成されている。
【0082】
この実施の形態では、図1に示されるように、前記建物側配管4のフランジ部4a及び地盤側配管5のフランジ部5aとの接続部である金属製フランジ部11a,12aよりも、免震継手10側で、各々上下方向から前記各金属製クランプ部材29a,29bによって、前記免震継手10の両端部が固定されている。
【0083】
次に、この実施の形態の免震継手構造、免震継手及びこの免震継手構造の施工方法の作用効果について、説明する。
【0084】
この実施の形態では、図6に示されるように、まず、工場内で、前記曲管部13,14が、2本の90°ベンド管13a,13a及び14a,14aをバット融着13b,14bで各々融着させて接続することにより、180°折り返す形状に一体に形成すると共に、建物側直管部12及び地盤側直管部11を、バット融着13c,14cで一体となるように接続する。
【0085】
そして、前記建物側直管部12及び地盤側直管部11の端部に、フランジ接続用継手としての金属製フランジ部12a,11aが、EF継手27,28によって、接続される。
【0086】
この実施の形態では、水平直管部13dと、14dとの間で分割された状態での二部材が、略同一形状を呈するので、製造効率が良好である。
【0087】
この状態で、施工現場まで、搬送が行われて、図1及び図2に示されるように、建物1側の躯体底面部1aと、地盤2側との間の床下空間に、この免震継手10を装着する際に、図5に示すように、前記EF継手16が用いられて、水平直管部13dと、水平直管部14dとの間が電気融着されることにより接合されて、これらの水平直管部13dと、水平直管部14dとからなる中央直管部15を、前記建物側直管部12及び地盤側直管部11と平行になるように設けた側面視略S字状を呈するように連結される。
【0088】
このため、EF継手16を含む3つの部材に分解して、施工現場まで搬送した後、施工現場で、前記EF継手16を用いて、この中央直管部15を接続することにより、搬送時に嵩張ることがなく、しかも、床下空間等の限られたスペース内に介装させて、施工出来て、搬送性及び施工作業性が良好である。
【0089】
この実施の形態の免震継手10では、図1に示すように、可撓性樹脂管が、略S字状に接続される前記中央直管部15が、前記地盤側直管部11及び前記建物側直管部12の両方に対して平行に設けられている。
【0090】
このため、例えば、水平方向に敷設された前記地盤側配管11及び、前記建物側配管12に、この免震継手10が接続された状態では、前記中央直管部15が、水平方向に延設されて、高さ方向寸法Hの増大が抑制される。
【0091】
例えば、地盤2と、建物1との間に形成される床下空間の高さ方向スペースは、同一変位吸収量を得る場合、図15に示す従来の縦直管部3cを有する免震継手3に比して必要としない。
【0092】
更に、図2中に示すように、地盤側台座部材32の金属製クランプ部材29a,29b及び、建物側台座部材31の金属製クランプ部材29a,29bとの間の寸法Lが、建物1の限られた床下スペース内に、収納可能となるように設定可能である。
【0093】
また、水平方向の変位は、主に、この免震継手10を固定する部分及び前記曲管部13,14に加わる。
【0094】
図7に示すように、建物側直管部12の端部を固定して、前記地盤側直管部11の端部を、矢印−X方向に水平移動させると、建物側直管部12の端部近傍の上面側の一部aと、曲管部13の90°ベンド管13aの上面及び傾斜面部の一部bに、最も大きな応力が作用して、歪みが発生する。
【0095】
この際、前記地盤側直管部11の端部の変位量が、約600mmであっても、高密度ポリレン樹脂素材(ヤング率100(kg/平方ミリメートル)、ポアソン比0.4、許容応力2.4(kgf/平方ミリメートル。(降伏応力2.4kgf/ミリメートル、安全率1.0で設定。))の場合、許容歪みとして与えられる3.0%以内を達成できる。
【0096】
ここで、前記地盤側直管部11の端部から、建物側直管部12の端部までの奥行き方向の寸法を1.133m、高さ方向寸法H=2mで、各管部の直径を約147mm、肉厚を約6mmとした場合を示している。
【0097】
また、図8に示すように、建物側直管部12の端部を固定して、前記地盤側直管部11の端部を、矢印Y方向に水平移動させると、建物側直管部12の端部近傍の側面側の一部cと、曲管部14の90°ベンド管14aの内側傾斜面部の一部dに、最も大きな応力が作用して、歪みが発生する。
【0098】
この結果から、水平に延設される中央直管部15には、大きな応力が作用せず、上下に位置する前記曲管部13,14によって、応力が分散されて、歪みを減少させていることがわかる。
【0099】
従って、前記中央直管部15の長手方向寸法や、高さ方向寸法Hを増大させることなく、変位吸収量を増大させることが出来、床下空間の施工スペースが限られた免震構造を有する建物1に適用しても、充分な変位吸収量を確保できる。
【0100】
更に、この実施の形態では、前記免震継手10が、可撓性樹脂材料である高密度ポリエチレン管のみで、この免震継手10が、略構成できるので、安価で、施工コストの増大も抑制される。
【0101】
また、この実施の形態では、2本の90°ベンド管13a,13a及び14a,14aが、接続されることにより、前記曲管部13,14が、構成されている。
【0102】
このため、二次成形加工が比較的容易な90°ベンド管13a,13a、14a,14aによって、前記曲管部13,14が形成出来るので、更に、免震継手10の製造コストの増大が抑制される。
【0103】
しかも、前記90°ベンド管13a,13a、14a,14aは、肉厚等の寸法精度が安定しているので、所望の変位吸収性能を容易に発揮させることが出来る。
【0104】
また、前記曲管部13,14が、バット融着により接続されているので、予め工場内等で、接続作業を行える。
【0105】
しかも、バット融着13bによるビード形成幅が狭いので、前記免震継手10の可撓性を損なう虞が無い。
【0106】
更に、前記歪み変形量が比較的少ない中央直管部15が、EF継手16によって接続されている。このため、前記免震継手10全体の可撓性を損なう虞が無い。
【0107】
また、図1に示すように、前記地盤側直管部11及び、建物側直管部12の端部に設けられたフランジ接続用継手11a,12aによって、金属配管によって構成される前記地盤側配管5のフランジ部5a又は、建物側配管4のフランジ部4aと接続可能であるので、汎用性が向上する。
【0108】
そして、前記EF継手27,28によって、接続されたフランジ接続用継手接続部が、上下方向から金属製クランプ部材29a,29a及び29b,29bによって、挟持される。
【0109】
このため、金属製クランプ部材29b,29bを装着する台座本体31a,32aによって、前記地盤2側及び、建物1側の躯体底面部1aに、前記免震継手10の両端部が確実に固定されて、変位に対して縁切りされる。
【0110】
従って、建物1側に、地盤2側の変位が伝わらず、前記免震装置7,7に所望の免震性能を発揮させることができる。
【0111】
更に、前記ワイヤ部材22,22に連結された金属バンド部材17,18によって、前記中央直管部15に設けられたEF継手16による接続部が、前記建物1側から吊り下げられる。
【0112】
この実施の形態では、前記ワイヤ部材22,22の上端部に設けられた前記リング部材25,25が、前記建物1の躯体底面部1aに、長手方向を、前記中央直管部15と一致させて吊り下げられたガイドバー部材26,26に挿通されて、長手方向にスライド自在となるように挿通されている。
【0113】
このため、更に、安定して、前記免震継手10が躯体底面部1aに吊り下げ装着されると共に、前記リング部材25,25が、前記ガイドバー部材26,26に沿って回転可能であるので、Y方向の変位も許容される。
【0114】
このため、更に、施工スペースの汎用性が向上すると共に、建物側に、地盤側の変位が伝わらない。
【0115】
そして、この実施の形態では、前記曲管部13が、2本の90°ベンド管をバット融着で接続することにより、180°折り返す形状を各々呈している。
【0116】
しかも、施工現場で前記EF継手16を用いて、中央直管部15の水平直管部13d,14d同士を付き合わせて、電気融着することにより、容易に、略S字状に接続することができる。
【0117】
このため、前記中央直管部15の両端部に、予め前記曲管部13,14が設けられていても、中央直管部15で分割された二部材が、搬送時に嵩張ることなく、搬送を容易に行うことが出来る。
【実施例1】
【0118】
図9は、この発明の実施の形態の実施例1の免震継手構造を示している。
【0119】
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0120】
この実施例1の免震継手構造では、高さ方向スペースが限られた床下空間に、前記免震継手10を横置き配置したものを示している。
【0121】
この実施例1では、前記EF継手16が、ワイヤ部材122によって、吊り下げられている。
【0122】
次に、この実施例1の作用効果について説明する。
【0123】
この実施例1では、前記実施の形態の免震継手及び該免震継手構造の作用効果に加えて、更に、前記EF継手16が、ワイヤ部材122によって、吊り下げられている。
【0124】
このため、他の支持具や台座等の部材を不要として、部品点数の増大を抑制できる。
【0125】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例2】
【0126】
図10は、この発明の実施の形態の実施例2の免震継手構造を示している。
【0127】
なお、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0128】
この実施例2の免震継手構造では、曲管部113,113が、予め一体に形成されるU字管で構成されていて、前記中央直管部115にバット融着で接続されている。
【0129】
次に、この実施例2の作用効果について、説明する。
【0130】
この実施例2では、前記実施の形態及び実施例1の免震継手及び該免震継手構造の作用効果に加えて、更に、前記U字管が用いられて、前記曲管部113,113が形成されているので、曲管部113の曲率半径や或いは湾曲形状の自由度を向上させて、前記狭い床下空間内での施工効率を向上させることができる。
【0131】
また、図10に示すように、曲管部113,113を接続する前記中央直管部115が、水平直管部115a及び115bに二分割されて、分割された状態での二部材を略同一形状に形成することが出来、製造効率が良好である。
【0132】
しかも、施工現場で前記EF継手16を用いて、この接続部を電気融着することをより、容易に、略S字状に接続することができる。
【0133】
このため、前記中央直管部115の両端部に予め180°折り返す形状を呈する前記曲管部113,113が設けられていても、中央直管部115の水平直管部115a及び115bの突き合わせ部で分割された二部材が、搬送時に嵩張ることなく、搬送を容易に行うことが出来る。
【0134】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0135】
図11乃至図12は、この発明の実施の形態の実施例3の免震継手構造を示している。
【0136】
なお、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0137】
まず、構成上の相違から説明すると、この実施例3の免震継手構造では、前記免震継手10を吊り下げて、支持する部分の構成を前記実施の形態と相違させている。
【0138】
すなわち、この実施例3では、前記実施の形態のターンバックル部材23及びスプリング部材24を用いたワイヤ部材22に代えて、施工現場で任意の長さに切断可能なワイヤ部材222,222の一端222a,222aに、ワイヤクリップ部材43,43…が用いられて、前記金属製バンド部材17,18が連結されていると共に、他端222b,222bには、錘部材44,44が、各々連結されている。
【0139】
また、前記建物1の躯体底面部1aには、断面略コ字状を呈する一対のC型鋼材45,45が、一定間隔を置いて、並設されている。
【0140】
そして、これらのC型鋼材45,45には、吊り下げ手段としての滑車部材46,46が、各々設けられている。
【0141】
これらの滑車部材46,46は、各々上部を前記C型鋼材45,45に固着させて、下方に開放された略U字状のブラケット部材46b,46bに、各々左,右一対の円盤状フランジ部に挟持されたワイヤ溝部を凹設して、扁平鼓形状を呈する滑車本体46a,46aが、回転自在に枢着されて、主に構成されている。
【0142】
この滑車部材46の滑車本体46a,46aには、前記ワイヤ部材222,222が、係合されている。
【0143】
このため、通常の吊り下げ状態では、前記錘部材44,44と、内部に水が満たされた前記免震継手10とのバランスが保たれて、図12に示すように、前記アイボルト21から、前記滑車部材46,46までの水平線からの前記各ワイヤ部材222,222の迎え角α1,α2が、各々約60度となるように、前記免震継手10を挟んで、正面視略M字状の対称型を呈するように、連結配索されて、前記EF継手16部分に、上方に向けて引き上げ力が与えられて、前記免震継手10の自重及び内部の水の重量等が支持される。
【0144】
そして、前記接続部としてのEF継手16,16を接続する前記金属バンド部材17,18が、前記免震継手10の移動に伴って、左右方向へ、移動可能なように、これらのワイヤ部材222,222が、張設されたまま、これらの滑車本体46a,46aを、各々回転させて、このワイヤ部材222,222の先端に垂下された錘部材44,44を上下方向へ移動させるように構成されている。
【0145】
また、この実施例3の免震継手構造では、前記錘部材44,44の錘本体44a,44aが、各々略円柱形状を呈するように形成されている。
【0146】
このうち、錘本体44aの上面部には、前記ワイヤ部材222を挿通する半円環形状の吊り下げリング部44bが、一体に形成されている。
【0147】
更に、この錘本体44aの下面部には、他の錘部材44を連結して吊り下げる一対の半円環形状の連結リング部44c,44cが、一体に形成されている。
【0148】
そして、この錘部材44,44の周囲には、この錘部材44,44の鉛直上下方向の移動をガイドするガイド部材としてガイド筒部材47,47が、各々設けられている。
【0149】
これらのガイド筒部材47,47の内部には、前記錘部材44,44を略全長に渡り、挿通可能なガイド空間部47a,47aが形成されていて、中空円筒形状を呈している。
【0150】
更に、これらの各ガイド筒部材47,47の上部外周面部47b,47bが、前記建物1の躯体底面部1aに固着されたL字状ブラケット部材48,48に、取付バンド部材49,49が用いられて、長手方向を鉛直方向に沿わせた状態で、各々固定されている。
【0151】
次に、この実施例3の免震継手構造及び該免震継手構造の施工方法の作用効果について説明する。
【0152】
この実施例3では、前記実施の形態及び実施例1,2の作用効果に加えて、更に、まず、この免震継手10の施工を行う際に、前記実施の形態の図1に示すようなターンバックル部材23…を必要とせず、施工現場で、適当な長さに、前記各ワイヤ部材222,222を切断することが出来、調整可能である。
【0153】
すなわち、前記ワイヤ部材222,222を、前記滑車部材46,46の滑車本体46a,46aに係合させると共に、これらのワイヤ部材222,222の一端を、前記金属製バンド部材17,18に固着されたアイボルト部材21,21に挿通して、折り返されて、略環状とされると共に、前記ワイヤクリップ部材43,43によって、ワイヤ部材222,222の適当な位置に、各々固定されて連結される。
【0154】
また、これらのワイヤ部材222,222の他端は、錘部材44,44の上部に一体に形成された各吊下げリング部44b,44bの孔部内に挿通されて、折り返されて、略環状とされると共に、前記ワイヤクリップ部材43,43によって、ワイヤ部材222,222の適当な位置に、この他端が、各々固定されて連結される。
【0155】
そして、前記ガイド筒部材47,47のガイド空間部47a,47a内に、このガイド筒部材47,47の上端部開口から、前記錘部材44,44が挿通されて、図12に示されるように、左,右略対称となる正面視略M字型にバランスが取られて、施工が概略完了する。
【0156】
このような地震が無く、振動が加わらない状態である通常の吊り下げ状態では、前記錘部材44,44と、内部に水が満たされた前記免震継手10とのバランスが保たれて、図12に示すように、前記アイボルト21から、前記滑車部材46,46までの水平線からの前記各ワイヤ部材222,222の迎え角α1,α2が、各々約60度となるように、前記免震継手10を挟んで、正面視略M字状の対称型を呈する。
【0157】
このため、上下左右に、略同一の力が、前記金属製バンド部材17,18に、前記ワイヤ部材222,222から、前記EF継手16部分に、与えられて、引き上げ力として作用し、前記免震継手10の自重及び内部の水の重量等が支持される。
【0158】
そして、地震による揺れで、前記免震継手10の位置が、上下左右に変位しても、前記滑車部材46,46を介して吊り下げられた錘部材44,44が、上下方向に移動して、前記免震継手10に余計な応力を与えること無く、変位が吸収される。
【0159】
また、地震による揺れが収まると、略元に位置に戻るように、前記アイボルト21から、前記滑車部材46,46までの水平線からの前記各ワイヤ部材222,222の迎え角α1,α2が、各々約60度となるように、前記免震継手10を挟んで、正面視略M字状の対称型を呈するようにバランス位置まで復帰する。
【0160】
この実施例3に記載された免震継手構造では、施工時、ターンバックルを必要とせず、ワイヤ部材222の両端の加工処理が不要であるので、施工現場において、ワイヤ部材222の長さの調整が容易である。
【0161】
このため、施工現場で、ワイヤ部材222,222を切断、及び前記ワイヤクリップ部材43,43を用いて、長さ調整後、連結固定すれば、あらゆる建物1等の床下空間の上下方向寸法の相違に対応することができる。
【0162】
また、前記錘部材44の上下方向の移動によって、前記免震継手10の左右方向への移動を吸収出来るので、最大で、地盤2表面から、躯体底面部1aまでの空間上下方向寸法距離と略同等のストロークを確保できる。
【0163】
このため、前記実施の形態のスプリング部材24,24を用いた前記ワイヤ部材22に比して、大きなストロークを設定出来、可動範囲の大きな略S字状に接続された可撓性樹脂管から構成される前記免震継手10に用いて好適である。
【0164】
しかも、この実施例3では、前記ガイド筒部材47の内部に形成されたガイド空間部47aが、上下方向の略全長に渡り、前記錘部材44を挿通可能なように形成されている。
【0165】
このため、前記ガイド筒部材47の下端から、前記錘部材44が、抜出可能であるので、更に、大きなストロークを確保できると共に、万一、前記地盤2の表面に、前記錘部材44が、当接しても、前記ワイヤ部材222が、収縮方向に撓み、更なる前記免震継手10の移動も、吸収できる。
【0166】
また、この実施例3では、前記ワイヤ部材222の先端に垂下された錘部材44,44が上下方向へ移動する際、前記ガイド筒部材47の内部のガイド空間部47a内を通り、内周面によって、水平左右方向へ振れないようにガイドされる。
【0167】
この実施例3のガイド筒部材47は、前記L字状ブラケット部材48によって、建物1の躯体底面部1aに固着されている。
【0168】
従って、ガイド筒部材47自体も、地盤側2に固定される場合に比して揺れにくい。
【0169】
また、この実施例3では、ワイヤ部材222は、一切、地盤側に連結されていないので、地震の振動による影響が、増大すること無く、前記免震継手10の移動を抑制する方向へ作用する。
【0170】
このため、図12に示すように、前記アイボルト21から、前記滑車部材46,46までの水平線からの前記各ワイヤ部材222,222の迎え角α1,α2が、各々約60度となるように設定されて、前記免震継手10と、前記錘部材44及びワイヤ部材222をガイドするガイド筒部材47までの間隔が、一定の寸法以上となるように設定される。
【0171】
すなわち、迎え角α1,α2が、各々約60度となるように設定されることにより、図11に示すように、前記免震継手10の上部の建物側直管部12から、下部の地盤側直管部11等の上下方向の設定寸法Hが大きくて、地震の震動による水平方向への移動量が、大きくなっても、前記免震継手10と、これらのガイド筒部材47,47とが、干渉する虞が減少する。
【0172】
また、この迎え角α1,α2が、各々約60度となるように設定されているので、前記EF継手16による連結部分の支持に必要とされる上方への引き上げ力を分力として、充分に確保できると共に、この実施例3では、正面視略M字状の対称型を呈するように、連結配索されているので、左,右水平方向への引っ張り力も、左,右で、同一とすることができる。
【0173】
従って、地震が収まって、前記免震装置7,7の作用により、前記免震継手10が、前記地盤2と、建物1との間の通常位置に復帰すると、これらの各左,右の錘部材44,44の上下方向高さ位置も、図12に示すように、略同一上下方向位置に復帰して、正面視略M字状の対称型を呈するように戻り、前記免震継手10が支持される。
【0174】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例4】
【0175】
図13乃至図14は、この発明の実施の形態の実施例4の免震継手構造を示している。
【0176】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至3と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0177】
この実施例4の免震継手構造では、前記実施例1の免震継手構造と同様に、高さ方向スペースが限られた床下空間に、前記免震継手10が横置き配置されて、直列接続された錘部材44,44が、連結された一本のワイヤ部材322によって、吊り下げられて、支持される構成が示されている。
【0178】
まず、構成上の相違から説明すると、この実施例4では、前記EF継手16の周囲に嵌着された金属製バンド部材117が、左,右一対の合わせフランジ部117a,117aに開口形成されたワイヤ孔117b,117b同士が合わせられて、これらのワイヤ孔117b,117bに前記ワイヤ部材322の一端322aが挿通されると共に、折り返されて、略環状に連結されると共に、前記ワイヤクリップ部材43によって、ワイヤ部材322の適当な位置に、この他端322bが、固定されて、連結される。
【0179】
また、前記接続部としての前記EF継手16の略真上に位置するC型鋼材45の下面側に、固着されて下方に向けて、アイボルト部材21が、突設されている。
【0180】
そして、このワイヤ部材322が、このアイボルト部材21に開口形成された挿通孔21aに挿通されるとともに、前記C型鋼材45と、所定寸法W2離し置きされるC型鋼材145に装着された滑車部材46の滑車本体46aに、係合されている。
【0181】
この所定寸法W2は、図14に示されるように、前記免震継手10の前記EF継手16と、前記ガイド筒部材47直管部111との間の寸法W1よりも大きく(W2>W1)なるように設定されて、前記免震継手10が、上下左右に移動する場合でも、前記錘部材44,44をガイドするガイド筒部材47と干渉しないように、設定されている。
【0182】
次に、この実施例4の作用効果について、説明する。
【0183】
この実施例4では、前記実施の形態及び実施例1乃至3の作用効果に加えて、更に、地震が無く、震動が加わらない状態である通常の吊り下げ状態では、前記錘部材44,44と、内部に水が満たされた前記免震継手10とのバランスが保たれて、図13及び図14に示すように、前記免震継手10が、支持される。
【0184】
そして、地震による揺れで、前記免震継手10の位置が、左右に変位しても、前記アイボルト21及び、滑車部材46を介して吊り下げられた錘部材44,44が、前記ガイド筒部材47の内部を、上下方向に移動して、前記免震継手10に余計な応力を与えること無く、変位が吸収される。
【0185】
また、地震による揺れが収まると、図14に示すように、前記免震継手10が、前記錘部材44,44とバランスする位置まで復帰する。
【0186】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0187】
即ち、前記実施の形態では、前記EF継手16が用いられて、水平直管部13dと、水平直管部14dとの間が電気融着されることにより接合されているが、特にこれに限らず例えば、バット融着により接合されていても良く、これらの水平直管部13dと、水平直管部14dとからなる中央直管部15が、前記建物側直管部12及び地盤側直管部11と平行になるように設けられた側面視略S字状を呈するように連結されるものであるならば、どの部分にバット融着による接合を行っても良く、形状、数量、組み合わせ及び接続方法が特に限定されるものではない。
【0188】
また、前記実施の形態では、免震継手10が、可撓性樹脂材料としての高密度ポリエチレン(HDPE)管を用いて、主に構成されているが、特にこれに限らず、例えば、中密度ポリエチレン(MDPE)、或いはポリブデン(PB)及びこれらの組み合わせであってもよく、管体の形状、数量、大きさ及び材質が、特に、限定されるものではない。
【0189】
更に、この実施の形態では、前記ターンバックル部材23及びスプリング部材24を用いたワイヤ部材22を示して説明してきたが、特にこれに限らず、前記実施例3及び実施例4に記載されている錘部材44を、前記ターンバックル部材23又は、前記スプリング部材24のうち、少なくとも何れか一方と組み合わせる等、どのように組み合わせて構成されていても良く、吊り下げ手段としての前記アイボルト部材21及び前記滑車部材46との数量、配置、及び組み合わせ及び形状が、どのように構成されていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【図1】この発明の最良の実施の形態の免震継手構造で、免震継手を縦配管した全体の構成を説明する斜視図である。
【図2】実施の形態の免震継手構造で、全体の構成を説明する建物の床下空間の側面図である。
【図3】実施の形態の免震継手構造で、図2中A−A線に沿った位置での断面図である。
【図4】実施の形態の免震継手構造で、図3中B部の模式的な拡大斜視図である。
【図5】実施の形態の免震継手構造で、免震継手の斜視図である。
【図6】実施の形態の免震継手構造で、免震継手の分解斜視図である。
【図7】実施の形態の免震継手構造で、免震継手に矢印−X方向の変位を与えた場合の歪みの様子を説明する斜視図である。
【図8】実施の形態の免震継手構造で、免震継手に矢印Y方向の変位を与えた場合の歪みの様子を説明する斜視図である。
【図9】実施の形態の実施例1の免震継手構造で、免震継手を横置き配置した場合の全体の構成を説明する斜視図である。
【図10】実施の形態の実施例2の免震継手で、曲管部にU字管を用いた免震継手の構成を説明する斜視図である。
【図11】実施の形態の実施例3の免震継手で、免震継手を縦配管した全体の構成を説明する斜視図である。
【図12】実施の形態の実施例3の免震継手で、免震継手を縦配管した図11中E−E線に沿った位置での構成を説明する縦断面図である。
【図13】実施の形態の実施例4の免震継手で、免震継手を水平配管した全体の構成を説明する模式的な斜視図である。
【図14】実施の形態の実施例4の免震継手で、免震継手を水平配管した図13中F−F線に沿った位置での構成を説明する模式的な断面図である。
【図15】一従来例の免震継手構造で、縦直管部を有する免震継手を用いた構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0191】
1 建物
2 地盤
4 建物側配管
5 地盤側配管
10,110 免震継手
11 地盤側直管部
11a,12a 金属製フランジ部(フランジ接続用継手)
12 建物側直管部
13,13 曲管部
13a,14a 90°ベンド管
13b,13c,14b,14c バット融着部
15,115 中央直管部
113,113 曲管部(U字管)
21 アイボルト(吊り下げ手段)
29a,29b 金属製クランプ部材
31a,32a 台座本体
31,131 建物側台座部材
32 地盤側台座部材
44,44 錘部材
46 滑車部材(吊り下げ手段)
47 ガイド筒部材(ガイド部材)
111 直管部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物側と、建物が載置される地盤側との間に免震装置が設けられた建物構造に用いられて、前記地盤側から延設された地盤側配管と、前記建物側から延設された建物側配管とを接続する免震継手を有する免震継手構造であって、前記免震継手は、可撓性樹脂管によって構成されると共に、地盤側配管に接続されて延設された地盤側直管部と、前記建物側配管に接続されて、延設された建物側直管部と、該地盤側直管部及び該建物側直管部に対して平行に位置して、各地盤側直管部及び該建物側直管部に、各々曲管部を介して接続される中央直管部を有して、略S字状に接続されていることを特徴とする免震継手構造。
【請求項2】
前記曲管部は、2本の90°ベンド管を、接続することにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の免震継手構造。
【請求項3】
前記曲管部は、U字管を用いて構成されていることを特徴とする請求項1記載の免震継手構造。
【請求項4】
前記曲管部は、バット融着により接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の免震継手構造。
【請求項5】
前記中央直管部は、EF継手によって接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の免震継手構造。
【請求項6】
前記地盤側直管部及び、建物側直管部のうち、少なくとも何れか一方の端部には、フランジ接続用継手が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のうち、何れか一項記載の免震継手構造。
【請求項7】
前記地盤側直管部又は、前記建物側直管部と、前記フランジ接続用継手との接続部を挟持するクランプ部材を有すると共に、該クランプ部材を装着する台座本体を有することを特徴とする請求項6記載の免震継手構造。
【請求項8】
前記地盤側直管部又は、前記建物側直管部と、前記フランジ接続用継手との接続部には、EF継手が用いられると共に、該EF継手によって、接続された該接続部を挟持するクランプ部材を有すると共に、該クランプ部材を装着する台座を有することを特徴とする請求項6記載の免震継手構造。
【請求項9】
前記中央直管部に設けられた継手又はEF継手による接続部を、ワイヤ部材に連結される金属バンド部材を用いて、前記建物側から吊り下げることを特徴とする請求項5乃至8のうち、何れか一項記載の免震継手構造。
【請求項10】
前記ワイヤ部材を、前記建物側に設けられて、該ワイヤ部材の長手方向に移動可能に、係合させる吊り下げ手段によって、支持させると共に、該ワイヤ部材の先端には、錘部材を垂下させることを特徴とする請求項9記載の免震継手構造。
【請求項11】
地盤側から延設された地盤側配管と、建物側から延設された建物側配管とを接続する免震継手であって、該免震継手は、可撓性樹脂管によって構成されると共に、地盤側配管に接続されて延設された地盤側直管部と、前記建物側配管に接続されて、延設された建物側直管部と、該地盤側直管部及び該建物側直管部に対して平行に位置して、各地盤側直管部及び該建物側直管部に、各々曲管部を介して接続される中央直管部を有して、略S字状に接続されていることを特徴とする免震継手。
【請求項12】
前記曲管部は、2本の90°ベンド管をバット融着で接続することにより、180°折り返す形状を各々呈して、前記中央直管部の両端部に設けられると共に、該中央直管部で分割された接続部では、EF継手が用いられて、電気融着されることを特徴とする請求項11記載の免震継手構造に用いられる免震継手。
【請求項13】
前記曲管部は、一対のU字管を用いて、前記中央直管部の両端部にバット融着されると共に、該中央直管部で分割された接続部では、EF継手が用いられて、電気融着されることを特徴とする請求項12記載の免震継手構造に用いられる免震継手。
【請求項14】
前記中央直管部で分割された地盤側継手と、建物側継手とを該中央直管部で、EF継手によって、接続することを特徴とする請求項1乃至10のうち、何れか一項記載の免震継手構造の施工方法。
【請求項1】
建物側と、建物が載置される地盤側との間に免震装置が設けられた建物構造に用いられて、前記地盤側から延設された地盤側配管と、前記建物側から延設された建物側配管とを接続する免震継手を有する免震継手構造であって、前記免震継手は、可撓性樹脂管によって構成されると共に、地盤側配管に接続されて延設された地盤側直管部と、前記建物側配管に接続されて、延設された建物側直管部と、該地盤側直管部及び該建物側直管部に対して平行に位置して、各地盤側直管部及び該建物側直管部に、各々曲管部を介して接続される中央直管部を有して、略S字状に接続されていることを特徴とする免震継手構造。
【請求項2】
前記曲管部は、2本の90°ベンド管を、接続することにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の免震継手構造。
【請求項3】
前記曲管部は、U字管を用いて構成されていることを特徴とする請求項1記載の免震継手構造。
【請求項4】
前記曲管部は、バット融着により接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の免震継手構造。
【請求項5】
前記中央直管部は、EF継手によって接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のうち、何れか一項記載の免震継手構造。
【請求項6】
前記地盤側直管部及び、建物側直管部のうち、少なくとも何れか一方の端部には、フランジ接続用継手が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のうち、何れか一項記載の免震継手構造。
【請求項7】
前記地盤側直管部又は、前記建物側直管部と、前記フランジ接続用継手との接続部を挟持するクランプ部材を有すると共に、該クランプ部材を装着する台座本体を有することを特徴とする請求項6記載の免震継手構造。
【請求項8】
前記地盤側直管部又は、前記建物側直管部と、前記フランジ接続用継手との接続部には、EF継手が用いられると共に、該EF継手によって、接続された該接続部を挟持するクランプ部材を有すると共に、該クランプ部材を装着する台座を有することを特徴とする請求項6記載の免震継手構造。
【請求項9】
前記中央直管部に設けられた継手又はEF継手による接続部を、ワイヤ部材に連結される金属バンド部材を用いて、前記建物側から吊り下げることを特徴とする請求項5乃至8のうち、何れか一項記載の免震継手構造。
【請求項10】
前記ワイヤ部材を、前記建物側に設けられて、該ワイヤ部材の長手方向に移動可能に、係合させる吊り下げ手段によって、支持させると共に、該ワイヤ部材の先端には、錘部材を垂下させることを特徴とする請求項9記載の免震継手構造。
【請求項11】
地盤側から延設された地盤側配管と、建物側から延設された建物側配管とを接続する免震継手であって、該免震継手は、可撓性樹脂管によって構成されると共に、地盤側配管に接続されて延設された地盤側直管部と、前記建物側配管に接続されて、延設された建物側直管部と、該地盤側直管部及び該建物側直管部に対して平行に位置して、各地盤側直管部及び該建物側直管部に、各々曲管部を介して接続される中央直管部を有して、略S字状に接続されていることを特徴とする免震継手。
【請求項12】
前記曲管部は、2本の90°ベンド管をバット融着で接続することにより、180°折り返す形状を各々呈して、前記中央直管部の両端部に設けられると共に、該中央直管部で分割された接続部では、EF継手が用いられて、電気融着されることを特徴とする請求項11記載の免震継手構造に用いられる免震継手。
【請求項13】
前記曲管部は、一対のU字管を用いて、前記中央直管部の両端部にバット融着されると共に、該中央直管部で分割された接続部では、EF継手が用いられて、電気融着されることを特徴とする請求項12記載の免震継手構造に用いられる免震継手。
【請求項14】
前記中央直管部で分割された地盤側継手と、建物側継手とを該中央直管部で、EF継手によって、接続することを特徴とする請求項1乃至10のうち、何れか一項記載の免震継手構造の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−24870(P2009−24870A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313301(P2007−313301)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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