説明

入出力回路、半導体制御システム、および入出力回路の制御方法

【課題】デジタル信号を高速で送受信するための入出力回路を、EM耐性を保ちつつ、小さな回路面積で、実現する。
【解決手段】出力バッファ21は、電源−グランド間に接続されたトランジスタTP1,TN1と、ノードn1と入出力端子23との間に接続された抵抗素子R1とを備え、出力バッファ22は、電源−グランド間に接続されたトランジスタTP2,TN2と、ノードn2と入出力端子23との間に接続された抵抗素子R2とを備えている。信号入力モードにおいて、出力バッファ21,22によって1つの終端回路を構成する。例えば、トランジスタTP1,TN2をON、トランジスタTN1,TP2をOFFにし、抵抗素子R1,R2を通る電流パスを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像機器や通信機器等に搭載される、デジタル信号を高速で送受信するための入出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
PC(Personal Computer)、デジタルテレビ、ブルーレイレコーダ等の最近の映像機器では、画像処理や数値演算処理を行うプロセッサと、画像データや演算データをバッファリングするためのDRAM(Dynamic Random Access Memory)とが用いられている。プロセッサの性能向上に伴い、DRAMとの間のデータ伝送量が年々増加しており、データ伝送の高速化や多ビット化が進んでいる。
【0003】
プロセッサとDRAMとの間のデータ送受信を行うためのDRAMインタフェースには、一般に、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)で規定されたDDR(Double Data Rate)規格が用いられる。このDDR規格では、IO回路として、送信側では、プッシュプル型のオフ・チップ・ドライバ(OCD)が用いられ、受信側では、信号の反射を抑えるために、テブナン型のオン・ダイ・ターミネーション(ODT)が用いられる。
【0004】
図7は従来の入出力回路の構成の一例であり、101はOCD回路、102はODT回路、103はOCD回路101の制御回路である。DDR規格では、送信・受信のいずれについても抵抗値が規定されている。例えばDDR3規格では、OCDの抵抗値は30〜68Ω、ODTの抵抗値は80〜240Ωと決められている。このため、信号の送受信を行う際に、10mA前後の電流IH,ILが、送信側、受信側に常時流れることになる。さらに、OCD,ODTの抵抗値に関しては、I−V特性も細かく規定されており、このため、OCD回路やODT回路として、トランジスタと抵抗素子を直列に接続した構成が、一般に用いられている。図7の構成では、OCD回路101では、電源とグランドとの間に、トランジスタTP01、抵抗素子Rp1,Rn1、トランジスタTN01が直列に接続されている。また、ODT回路102では、電源とグランドとの間に、トランジスタTP02、抵抗素子Rp2,Rn2、トランジスタTN02が直列に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−133943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今のLSI製造プロセスの微細化に伴い、例えばLSIの内部ロジック回路については、小面積化がかなりの程度実現されている。ところが、OCD回路のようなドライブ回路やODT回路のような終端回路については、上述したように例えば10mA前後の電流を常時流す必要があるため、トランジスタや抵抗素子のサイズが自ずと決まってしまい、このため小面積化が進んでいない。このことは、LSIのコスト削減の妨げになっている。
【0007】
さらに、プロセスの微細化に伴う配線層の薄膜化の進行により、EM(Electro Migration)の観点から、単位配線幅当たりに流すことが可能な電流量が低下している。このことも、ドライブ回路や終端回路の小面積化における大きな問題となっている。
【0008】
本発明は、デジタル信号を高速で送受信するための入出力回路を、EM耐性を保ちつつ、小さな回路面積で、実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様では、入出力回路は、第1の出力バッファと、第2の出力バッファと、前記第1および第2の出力バッファが共通に接続される入出力端子とを備えている。そして、前記第1の出力バッファは、電源と第1ノードとの間に接続された第1のトランジスタと、前記第1ノードとグランドとの間に接続された第2のトランジスタと、前記第1ノードと前記入出力端子との間に接続された第1の抵抗素子とを備え、前記第2の出力バッファは、電源と第2ノードとの間に接続された第3のトランジスタと、前記第2のノードとグランドとの間に接続された第4のトランジスタと、前記第2のノードと前記入出力端子との間に接続された第2の抵抗素子とを備えている。
【0010】
そして、前記第1および第2の出力バッファを介して信号出力を行う信号出力モードと、前記第1および第2の出力バッファを終端回路として設定する信号入力モードとを切り替える。さらに、前記信号入力モードにおいて、前記第1および第4のトランジスタをON状態にし、前記第2および第3のトランジスタをOFF状態にする第1状態、または、前記第2および第3のトランジスタをON状態にし、前記第1および第4のトランジスタをOFF状態にする第2状態に設定する制御を行う。
【0011】
この態様によると、第1の出力バッファにおいて、第1の抵抗素子が電源側とグランド側とで共用されており、同様に第2の出力バッファにおいて、第2の抵抗素子が電源側とグランド側とで共用されている。これにより、抵抗素子を削減することができる。また、信号出力モードにおいて、第1および第2の抵抗素子には、信号“H”出力時と信号“L”出力時とで、逆向きに電流が流れる。このため、抵抗素子のEM劣化が抑制されるので、抵抗素子の幅を小さく抑えることが可能になる。さらに、信号入力モードにおいて、第1および第2の出力バッファを組み合わせて終端回路が構成され、このとき、電源からグランドに向けて、第1および第2の抵抗素子を通る電流パスが形成される。したがって、ドライバ回路と終端回路の両方の機能を果たす入出力回路を、EM耐性を保ちつつ、小さな回路面積で、実現することができる。
【0012】
そして、前記信号入力モードにおいて、前記第1状態と前記第2状態とを、所定のタイミングで、切り替えるのが好ましい。
【0013】
これによると、信号入力モードにおいて、第1および第2の抵抗素子に流れる電流の向きが切り替わるので、抵抗素子とそれに繋がる配線やビアのEM耐性を向上させることができる。また、活性化するトランジスタも切り替わるので、各トランジスタとその配線に流れる平均電流量も減少し、これにより、トランジスタ配線のEM劣化を抑制することができる。したがって、抵抗素子の幅やトランジスタ配線の幅等を縮小することが可能となり、回路面積削減を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、ドライバ回路と終端回路の両方の機能を果たす入出力回路を、EM耐性を保ちつつ、小さな回路面積で、かつ、低消費電力で、実現することができる。これにより、映像機器や通信機器等に搭載されるLSIの、信頼性確保とコスト削減を両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る入出力回路が搭載される半導体制御システムの一例である。
【図2】実施形態に係る入出力回路の構成と信号出力モードにおける動作を示す図である。
【図3】実施形態に係る入出力回路の構成と信号入力モードにおける動作を示す図である。
【図4】実施形態に係る入出力回路の構成と信号入力モードにおける動作を示す図である。
【図5】実施形態に係る入出力回路の等価回路図であり、(a)が信号出力時、(b)が信号入力時である。
【図6】出力バッファを複数ユニットに分割配置した構成の一例である。
【図7】従来の入出力回路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は実施形態に係る入出力回路が搭載される半導体制御システムの一例である。図1において、1は画像処理や演算処理等を行うプロセッサ、2はDRAM(Dynamic Random Access Memory)、3はOS(Operating System)や制御プログラムを格納するPROM(Programmable Read Only Memory)である。プロセッサ1はCPU11を有しており、PROM3に格納されたOSや制御プログラムの命令に従って画像処理や演算処理等を行う。DRAM2は制御プログラムや演算データ、画像データ等をプロセッサ1と高速にやりとりするためのバッファとして使用される。プロセッサ1はCPU11とDRAM2との間で大容量のデータを高速に送受信するためのDRAMインタフェース12を有している。
【0018】
本実施形態に係る入出力回路は、例えば、図1のDRAMインタフェース12に設けられている。例えば、最近の標準的なPC(Personal Computer)では、プロセッサ1とDRAM2との間は100本以上の信号線で結ばれており、数百Mbps以上の速度でデータ転送を行う。このために、DRAMインタフェース12には、各信号線毎に、100個以上の入出力回路が搭載される。
【0019】
なお、本実施形態に係る入出力回路は、例えば、画像処理や数値演算を行うLSIや、高速にデジタル信号を通信する機器等にも使用される。
【0020】
図2〜図4は本実施形態に係る入出力回路の構成と動作を示す図である。図2〜図4において、20はバッファ部、30は入出力制御回路である。40は入出力の相手側の回路部である。
【0021】
バッファ部20は、第1の出力バッファ21、第2の出力バッファ22、第1および第2の出力バッファ21,22が共通に接続される入出力端子23、および入力バッファ24を備えている。第1の出力バッファ21は、電源と第1ノードn1との間に接続された第1のトランジスタとしてのトランジスタTP1と、第1ノードn1とグランドとの間に接続された第2のトランジスタとしてのトランジスタTN1と、第1ノードn1と入出力端子23との間に接続された第1の抵抗素子としての抵抗素子R1とを備えている。第2の出力バッファ22は、電源と第2ノードn2との間に接続された第3のトランジスタとしてのトランジスタTP2と、第2ノードn2とグランドとの間に接続された第4のトランジスタとしてのトランジスタTN2と、第2ノードn2と入出力端子23との間に接続された第2の抵抗素子としての抵抗素子R2とを備えている。
【0022】
入出力制御回路30は、信号発生器31、切替スイッチ32およびインバータ33を備えており、第1の出力バッファ21のトランジスタTP1,TN1、および、第2の出力バッファ22のトランジスタTP2,TN2のゲートに信号を出力する。そして、第1および第2の出力バッファ21,22を介して信号出力を行う信号出力モードと、第1および第2の出力バッファ21,22を終端回路として設定する信号入力モードとを切り替える。図2は信号出力モードにおける動作を示し、図3および図4は信号入力モードにおける動作を示す。
【0023】
図2を参照して信号出力モードにおける動作について説明する。図2に示すように、信号出力モードにおいて、切替スイッチ32は上側に設定され、入出力制御回路30は、第1および第2の出力バッファ21,22に同一の信号、すなわち信号発生器31から出力された信号を出力する。信号発生器31が信号“L(Low)”を出力したときは、トランジスタTP1,TP2がON状態になり、トランジスタTN1,TN2がOFF状態になる。このため、第1および第2の出力バッファ21,22から信号“H(High)”が入出力端子23に出力される。一方、信号発生器31が信号“H”を出力したときは、トランジスタTP1,TP2がOFF状態になり、トランジスタTN1,TN2がON状態になる。このため、第1および第2の出力バッファ21,22から信号“L”が入出力端子23に出力される。
【0024】
ここで、本実施形態に係る入出力回路では、出力バッファ21,22において、電源側とグランド側とで、抵抗素子R1,R2が共用されている。例えば第1の出力バッファ21において、信号“H”を出力するときは、トランジスタTP1と抵抗素子R1とで出力抵抗を構成し、信号“L”を出力するときは、トランジスタTN1と抵抗素子R1とで出力抵抗を構成する(図2では電流の向きを白抜き矢印で示している。)。このように抵抗素子R1,R2を共用することによって、例えば図7のような従来の、電源側とグランド側の両方に抵抗素子を設けた構成に比べて、抵抗素子を削減することができる。これにより、レイアウト面積を従来よりも小さくすることができる。
【0025】
さらに、図7のような従来の構成では、抵抗素子には、常に一定方向に電流が流れる。このため、EM耐性を確保するために、抵抗素子の幅を十分大きく確保することが必要となり、さらにレイアウト面積の増加を招くという問題があった。これに対して本実施形態の入出力回路では、抵抗素子R1,R2には、信号“H”出力時と信号“L”出力時とで、逆向きに電流が流れる。このため、抵抗素子のEM劣化が従来よりも抑制されることになり、したがって、抵抗素子の幅を小さく抑えることが可能になる。
【0026】
図3および図4を参照して信号入力モードにおける動作について説明する。信号入力モードでは、第1および第2の出力バッファ21,22を終端回路として設定する。
【0027】
ここで、例えば図7のような従来の構成において、出力バッファ101のトランジスタTP1,TN1を同時にON状態にすることによって、テブナン型の終端回路102と同様の回路構成を実現することができる。すなわち、出力バッファ101を信号入力時の終端回路として兼用可能である。ところが、本実施形態に係る入出力回路において、例えば第1の出力バッファ21のトランジスタTP1,TN1を同時にON状態にすると、電源−グランド間の抵抗成分がトランジスタTP1,TN1のON抵抗のみとなってしまう。このため、第1の出力バッファ21を終端回路として設定できるものの、動作電流が従来と比べて格段に大きくなってしまう、という問題が生じる。
【0028】
そこで本実施形態では、この問題を解決するために、第1の出力バッファ21と第2の出力バッファ22とを組み合わせて、終端回路を実現する。すなわち、図3および図4に示すように、信号入力モードにおいて、切替スイッチ32は下側に設定され、入出力制御回路30は、第1および第2の出力バッファ21,22に極性が互いに逆の信号を出力する。すなわち、第1の出力バッファ21には信号発生器31の出力信号がそのまま与えられ、第2の出力バッファ22には信号発生器31の出力信号の反転信号が与えられる。
【0029】
図3では、信号発生器31は信号“L”を出力しており、第1の出力バッファ21には信号“L”が与えられる一方、第2の出力バッファ22には信号“H”が与えられる。このとき、第1の出力バッファ21ではトランジスタTP1がON状態、トランジスタTN1がOFF状態になり、第2の出力バッファ22ではトランジスタTP2がOFF状態、トランジスタTN2がON状態になる。この結果、電源からトランジスタTP1、抵抗素子R1、抵抗素子R2、トランジスタTN2を介してグランドに抜ける電流パスが形成される。すなわち、トランジスタTP1,TN2および抵抗素子R1,R2によって終端回路が構成される。この場合の入力抵抗値は、トランジスタTP1のON抵抗と抵抗素子R1の直列抵抗と、トランジスタTN2のON抵抗と抵抗素子R2の直列抵抗との並列抵抗の値となる。したがって、従来と同程度の動作電流によって、終端回路として動作させることが可能となる。
【0030】
また図4では、信号発生器31は信号“H”を出力しており、第1の出力バッファ21には信号“H”が与えられる一方、第2の出力バッファ22には信号“L”が与えられる。このとき、第1の出力バッファ21ではトランジスタTP1がOFF状態、トランジスタTN1がON状態になり、第2の出力バッファ22ではトランジスタTP2がON状態、トランジスタTN2がOFF状態になる。この結果、電源からトランジスタTP2、抵抗素子R2、抵抗素子R1、トランジスタTN1を介してグランドに抜ける電流パスが形成される。すなわち、トランジスタTP2,TN1および抵抗素子R1,R2によって終端回路が構成される。この場合の入力抵抗値は、トランジスタTP2のON抵抗と抵抗素子R2の直列抵抗と、トランジスタTN1のON抵抗と抵抗素子R1の直列抵抗との並列抵抗の値となる。したがって、従来と同程度の動作電流によって、終端回路として動作させることが可能となる。
【0031】
信号入力モードにおいては、図3の状態にしてもよいし、図4の状態にしてもよい。あるいは、図3の状態と図4の状態を、適宜、所定のタイミングで、切り替えるようにしてもよい。例えば、所定の時間周期で図3の状態と図4の状態とを切り替えてもよいし、信号入力モードになる度に、図3の状態と図4の状態とを切り替えるようにしてもよい。
【0032】
図3と図4とでは、抵抗素子R1,R2に流れる電流の向きが逆になっている。このため、図3の状態と図4の状態とを切り替えることによって、抵抗素子R1,R2に流れる電流の向きを変えることができ、これにより、抵抗素子R1,R2のEMによる劣化を抑制することが可能となる。また、図3と図4とでは、活性化するトランジスタも切り替わるため、図3の状態と図4の状態とを切り替えることによって、各トランジスタとその配線に流れる平均電流量も削減することができる。これにより、トランジスタ配線に対するEM劣化を抑制することができる。したがって、EM耐性の規定値を満たすために必要となる、抵抗素子の幅やトランジスタ配線の幅等を小さくでき、レイアウト面積を削減することが可能になる。
【0033】
なお、通常は、信号出力時における出力抵抗の規定値は、信号入力時における入力抵抗の規定値以下であるため、2個の出力バッファによって1個の終端回路を構成しても、特に問題は生じない。
【0034】
図5は本実施形態に係る入出力回路の等価回路の簡略図であり、(a)は信号出力時における等価回路、(b)は信号入力時における等価回路である。図5(a)に示すように、信号出力時において2個の出力バッファ21,22を並列で用いた場合、出力抵抗Routは、
Rout=(RTP1+R1)//(RTP2+R2)
となる。一方、信号入力時は、図5(b)に示すように、2個の出力バッファ21,22を用いて終端回路を構成した場合、入力抵抗Rinは、
Rin =(RTP1+R1)//(RTN2+R2)
となる。ただし、RTP1,RTP2,RTN2はそれぞれ、トランジスタTP1,TP2,TN2のON抵抗値である。各トランジスタのON抵抗値が互いに等しいとすると、出力抵抗Routと入力抵抗Rinとは等しくなる。例えば、出力抵抗Rout=50Ω、入力抵抗Rin=50Ωを実現する場合には、出力バッファ21,22それぞれの出力抵抗を100Ωとすると、出力抵抗Rout=50Ωを実現できる。また信号入力時は図5(b)のようにすることによって、外部端子から見た入力抵抗Rinは、100Ωと100Ωの並列抵抗すなわち50Ωとなる。
【0035】
もし、出力抵抗と入力抵抗の値を個別に細かく設定したい場合は、図6に示すように、出力バッファを複数ユニット(図6では10個のユニット601〜610)に分割して配置し、使うユニット数を適宜選択するようにすればよい。例えば、図6の構成では、1ユニットの抵抗値をRとすると、信号出力時における出力抵抗は、R,R/2,R/3,…,R/10まで10段階に設定することができる。また、信号入力時における入力抵抗は、R/2,R/4,R/6,R/8,R/10の5段階に設定することができる。
【0036】
さらに、複数ユニットを用いて、活性化するユニットを切り替えて使用することによって、上述したのと同様にトランジスタ配線に流れる平均電流を削減することができるので、EM劣化の抑制が可能となる。
【0037】
なお、上述の実施形態では、入出力制御回路30について、簡易な構成を例にとって説明したが、これに限られるものではない。
【0038】
また、図1に示す半導体制御システムでは、CPU11が、PROM3に格納されたプログラムに従って、DRAMインタフェース12に含まれた入出力回路に対して、信号入力モードと信号出力モードとの切替を指示するものとする。さらには、CPU11は、信号入力モードにおいて、ON状態にあるトランジスタの切替も行ってもよい。例えば、図3に示す状態と図4に示す状態とを、ソフトウェアによって切り替えるようにしてもよい。また、出力バッファが複数ユニットに分割して配置されている場合に、ソフトウェアによって、使うユニット数を適宜選択するようにしてもよい。これにより、信号入力モードにおいて、ON状態にあるトランジスタの切替タイミングや、使用ユニット数を最適化することができる。もちろん、ON状態にあるトランジスタの切替やユニット数の選択を、内部回路によって行ってもよい。
【0039】
また、本実施形態で示した、2個の出力バッファを用いた終端回路の実現手法は、図7に示すような従来の出力バッファ構成や、抵抗デバイスを用いない出力バッファに対しても、適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明では、ドライバ回路と終端回路の両方の機能を果たす入出力回路が、EM耐性を保ちつつ、小さな回路面積で、かつ、低消費電力で、実現されるので、例えば、高速にデジタル信号を伝送するインタフェースLSIの信頼性確保やコスト削減に有用である。
【符号の説明】
【0041】
21 第1の出力バッファ
22 第2の出力バッファ
23 入出力端子
30 入出力制御回路
TP1 第1のトランジスタ
TN1 第2のトランジスタ
TP2 第3のトランジスタ
TN2 第4のトランジスタ
R1 第1の抵抗素子
R2 第2の抵抗素子
n1 第1ノード
n2 第2ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の出力バッファと、
第2の出力バッファと、
前記第1および第2の出力バッファが共通に接続される入出力端子と、
前記第1および第2の出力バッファを介して信号出力を行う信号出力モードと、前記第1および第2の出力バッファを終端回路として設定する信号入力モードとを切り替える入出力制御回路とを備え、
前記第1の出力バッファは、
電源と第1ノードとの間に接続された第1のトランジスタと、
前記第1ノードとグランドとの間に接続された第2のトランジスタと、
前記第1ノードと前記入出力端子との間に接続された第1の抵抗素子とを備え、
前記第2の出力バッファは、
電源と第2ノードとの間に接続された第3のトランジスタと、
前記第2のノードとグランドとの間に接続された第4のトランジスタと、
前記第2のノードと前記入出力端子との間に接続された第2の抵抗素子とを備え、
前記入出力制御回路は、前記信号入力モードにおいて、前記第1および第4のトランジスタをON状態にし、前記第2および第3のトランジスタをOFF状態にする第1状態、または、前記第2および第3のトランジスタをON状態にし、前記第1および第4のトランジスタをOFF状態にする第2状態に設定する制御を行う
ことを特徴とする入出力回路。
【請求項2】
請求項1記載の入出力回路において、
前記入出力制御回路は、前記信号入力モードにおいて、前記第1状態と前記第2状態とを、所定のタイミングで、切り替える
ことを特徴とする入出力回路。
【請求項3】
請求項1記載の入出力回路と、
前記入出力回路に対して、前記信号入力モードと前記信号出力モードとの切替を指示する手段とを備えた
ことを特徴とする半導体制御システム。
【請求項4】
第1の出力バッファと、第2の出力バッファと、前記第1および第2の出力バッファが共通に接続される入出力端子とを備えた入出力回路の制御方法であって、
前記第1の出力バッファは、
電源と第1ノードとの間に接続された第1のトランジスタと、
前記第1ノードとグランドとの間に接続された第2のトランジスタと、
前記第1ノードと前記入出力端子との間に接続された第1の抵抗素子とを備え、
前記第2の出力バッファは、
電源と第2ノードとの間に接続された第3のトランジスタと、
前記第2のノードとグランドとの間に接続された第4のトランジスタと、
前記第2のノードと前記入出力端子との間に接続された第2の抵抗素子とを備え、
信号出力モードにおいて、前記第1および第2の出力バッファを介して信号出力を行うよう制御する一方、信号入力モードにおいて、前記第1および第2の出力バッファを終端回路として設定するよう制御するものであり、
前記信号入力モードにおいて、前記第1および第4のトランジスタをON状態にし、前記第2および第3のトランジスタをOFF状態にする第1状態、または、前記第2および第3のトランジスタをON状態にし、前記第1および第4のトランジスタをOFF状態にする第2状態に設定する制御を行う
ことを特徴とする入出力回路の制御方法。
【請求項5】
請求項4記載の入出力回路の制御方法において、
前記信号入力モードにおいて、前記第1状態と前記第2状態とを、所定のタイミングで、切り替える
ことを特徴とする入出力回路の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−234085(P2011−234085A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102046(P2010−102046)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】