説明

入力装置および入力制御プログラム

【課題】表示更新後、操作者が誤って操作受付画像を指定してしまった場合であっても、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できる入力装置および入力制御プログラムを提供すること。
【解決手段】MFP1は、二画面表示への更新後に操作ボタン32が指定される場合であって、その指定された操作ボタン32の表示領域に、表示更新前、他の処理が割り当てられた操作ボタン32の少なくとも一部が表示されていたとき、操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効とする。このようにすれば、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置および入力制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画面上に表示されたスイッチを押下することにより、指示を入力可能な各種装置が知られている。例えば、特許文献1には、コピー機能や電話機能など複数の機能を有する複合機であって、画面上のスイッチを押下することで指示を入力可能なものが開示されている。特許文献1に開示された構成によれば、ある機能の表示を行っている際に、他の機能のジョブの割り込みがあった場合、画面を分割し、一方の画面には元から表示されていたスイッチを表示し、他方の画面には、割り込んできた他の機能のジョブに関するスイッチを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−135780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成では、画面上のスイッチを操作者が押下しようとする直前に何らかのイベントが発生し、急に画面が分割される場合、操作者は画面の変化に気づかず、または勢い余って、画面を押下してしまうことがある。そして、押下した位置に、操作者が押下しようとしたスイッチとは別のスイッチが新たに表示されている場合、操作者の意図しない処理が実行されてしまう問題点があった。例えば、操作者が画面上のスイッチを押下しようとしているとき、突然外部から電話の着信があり、画面上の操作者が押そうとしていた位置に、「電話切断スイッチ」が突然現れて、操作者がその「電話切断スイッチ」を押下してしまった場合には、操作者の意志に反して電話が切断されることになる。
【0005】
なお、このような問題は複合機以外の各種装置でも生じ得る。例えば、パーソナルコンピュータにおいて、ウェブページ閲覧中、ポップアップ広告が突然出現する場合、或いは、パーソナルコンピュータにおける作業中、ダイアログボックスが突然出現する場合にも、操作者は誤って、突然出現するポップアップ広告やダイアログボックスを指定してしまい易いという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、表示更新後、操作者が誤って操作受付画像を指定してしまった場合であっても、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できる入力装置および入力制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の入力装置は、表示面に表示された操作受付画像のうちいずれかが操作により指定されると、当該操作によって指定される前記操作受付画像に予め割り当てられた処理を実行するものであって、前記表示面における表示を更新する表示更新手段と、通信可能な外部装置からの要求に応じて、前記表示更新手段により表示を更新する場合において、前記操作受付画像を指定する操作が行われると、当該操作に対する処理の実行を無効とする無効化手段とを備える。
【0008】
また、上記の入力装置は、前記表示面に重ねられる検出領域を有し、前記検出領域に対する入力媒体の接触および接近を検出する検出手段を備えていても良い。この場合、検出領域は、表示面に密着して重ねられていても良いし、表示面との間に隙間を空け、または透明フィルムなどを挟む状態で、表示面に重ねられていても良い。
【0009】
なお、本発明は、入力装置、該入力装置を制御する制御装置、入力方法、入力装置を制御する入力制御プログラム、該入力制御プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で構成することができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の入力装置によれば、通信可能な外部装置からの要求に応じて表示が更新される場合において、操作受付画像を指定する操作が行われると、当該操作に対する処理の実行は無効とされる。よって、通信可能な外部装置からの要求に応じて表示が更新される場合において、操作者が誤って操作受付画像を指定してしまった場合であっても、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できるという効果がある。
【0011】
請求項2記載の入力装置によれば、請求項1記載の入力装置の奏する効果に加え、表示更新前に他の処理が割り当てられていた操作受付画像を操作しようとした操作者が、表示更新後、誤って別の操作受付画像を指定してしまった場合であっても、当該操作に対する処理の実行は無効とされるので、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できるという効果がある。
【0012】
請求項3記載の入力装置によれば、請求項1または2に記載の入力装置の奏する効果に加え、表示更新前に他の処理が割り当てられていた操作受付画像を操作しようとした操作者が、表示更新後、誤って別の操作受付画像を指定してしまった場合であっても、操作者が意図した処理を実行できるという効果がある。
【0013】
請求項4記載の入力装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の入力装置の奏する効果に加え、表示更新前に操作受付画像が表示されていた領域とは異なる領域に表示された操作受付画像が、表示更新後に指定される場合、当該操作受付画像に割り当てられた処理が実行されるので、操作者が意図した処理を実行できるという効果がある。
【0014】
請求項5記載の入力装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の入力装置の奏する効果に加え、操作者が誤って操作受付画像を指定してしまった場合であっても、表示更新後の所定時間以内であれば、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できるという効果がある。
【0015】
請求項6記載の入力装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の入力装置の奏する効果に加え、操作者が連続的な操作を行っている途中に、表示が更新された場合であっても、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できるという効果がある。
【0016】
請求項7記載の入力装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の入力装置の奏する効果に加え、操作者がある操作受付画像を指定しようとする直前に、表示が更新された場合であっても、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できるという効果がある。
【0017】
請求項8記載の入力装置によれば、請求項7記載の入力装置の奏する効果に加え、操作者が入力媒体を接近させているときに表示が更新された場合であっても、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できるという効果がある。
【0018】
請求項9記載の入力装置によれば、請求項1から8のいずれかに記載の入力装置の奏する効果に加え、操作受付画像および前記操作受付画像の近傍を含む操作受付領域内を指定する操作に対する処理の実行が無効とされるので、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを確実に抑制できるという効果がある。
【0019】
請求項10記載の入力装置によれば、請求項1から9のいずれかに記載の入力装置の奏する効果に加え、指定する操作に対する処理の実行が無効とされる操作受付画像は、指定する操作に対する処理の実行が有効とされる操作受付画像とは異なる態様で表示されるので、指定可能な操作受付画像であるか否かが、視覚的に明らかであり、操作者にとって操作性が良いという効果がある。
【0020】
請求項11記載の入力制御プログラムによれば、入力装置において実行されることにより、請求項1記載の入力装置と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態であるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、コピー機能選択中、LCDの表示面に表示される画面の一例を示す図であり、(b)は、電話機能割り込み中、LCDの表示面に表示される二画面の一例を示す図である。
【図3】第1実施形態のMFPのCPUが実行する更新処理を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態のMFPのCPUが実行する更新処理を示すフローチャートである。
【図5】第3実施形態のMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図6】第3実施形態のMFPのCPUが実行する割込処理を示すフローチャートである。
【図7】第3実施形態のMFPのCPUが実行する操作ボタン押下時処理を示すフローチャートである。
【図8】第4実施形態のMFPのCPUが実行する近接検知時処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の入力装置の第1実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の電気的構成を示したブロック図である。
【0023】
MFP1は、コピー機能、FAX機能、スキャン機能、及び、プリンタ機能などの各種機能を有している。MFP1のLCD16には、選択中の機能に関する操作ボタン32(図2)が表示されるが、ある機能の選択中、別の機能の割り込み要求が発生した場合、MFP1は、LCD16における画面を二分割する。そして、二画面のうち一方には、元から選択していた機能の操作ボタン32を表示し、他方には、後から割り込んだ機能の操作ボタン32を表示する。特に、本実施形態のMFP1は、別の機能の割り込み要求が発生した際に操作ボタン32の配置が変化したために、操作者が誤って別の操作ボタン32を指定してしまった場合であっても、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できるように構成されている。以下、詳細を説明する。
【0024】
MFP1には、CPU10、ROM11、RAM12、フラッシュメモリ14、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、NCU23、モデム24が主に設けられている。CPU10、ROM11、RAM12、フラッシュメモリ14は、バスライン26を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、NCU23、モデム24、バスライン26は、入出力ポート27を介して互いに接続されている。
【0025】
CPU10は、ROM11やRAM12やフラッシュメモリ14に記憶される固定値やプログラム或いは、NCU23を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート27と接続された各部を制御するものである。
【0026】
ROM11は、入力制御プログラム11a、操作ボタン管理テーブル11b、操作ボタン位置テーブル11cなどを格納した書換不能なメモリである。CPU10は、入力制御プログラム11aに従い、更新処理(図3)を実行する。操作ボタン管理テーブル11bは、LCD16に表示される操作ボタン32(図2)と、各操作ボタン32に予め割り当てられた処理との対応関係を記憶したテーブルである。操作ボタン位置テーブル11cは、各操作ボタン32の表示領域を記憶するテーブルである。操作ボタン32については、図2を参照して後述する。
【0027】
RAM12は、書換え可能な揮発性のメモリであり、前回操作位置メモリ12aが設けられている。前回操作位置メモリ12aは、前回指定された操作ボタン32を記憶するメモリであり、いずれかの操作ボタン32が指定される毎に更新される。フラッシュメモリ14は、書換可能な不揮発性のメモリである。操作キー15は、MFP1に指示を入力するためのハードキーである。LCD16は液晶表示装置であって、表示面16a(図2)を有し、その表示面16aに画像を表示する。
【0028】
タッチパネル17は、表示面16aに重ねられる検出領域17a(図2)を有し、検出領域17aに対する、操作者の指などの入力媒体の接触および接近を検出する静電容量方式のタッチパネルである。タッチパネル17において、その検出領域17a(図2)の全域は格子状に細かく区分けされ、区分けされた単位領域毎に静電センサを配設している。タッチパネル17の検出領域17aに、入力媒体が接近または接触すると、静電センサにより検出される。検出領域17a内の各単位領域には、その検出領域17aに向かって左上の頂点を原点とし、右方向をX方向、下方向をY方向とする座標系に基づいて、座標情報が対応づけられている。タッチパネル17は、入力媒体の接近または接触が検出された静電センサの座標情報を出力する。
【0029】
スキャナ20は、FAX機能、スキャン機能、又は、コピー機能の実行時に原稿を読み取るためのものである。プリンタ21は、記録用紙に画像を印刷するためのものである。NCU23は、電話回線の制御を行うものである。モデム24は、ファクシミリ送信時には送信信号を電話回線での伝送に適した形態に変調し、一方、ファクシミリ受信時には電話回線から送られてきた変調信号を復調するものである。
【0030】
図2(a)は、コピー機能の選択中、LCD16の表示面16aに表示される画面の一例を示す図であり、(b)は、コピー機能の選択中において電話機能の割り込みがあったときに、LCD16の表示面16aに表示される画面の一例を示す図である。図2(a)に示すように、表示面16aの全域を1つの機能に割り当てた表示を、以下、全画面表示と称する。また、図2(b)に示すように、表示面16a内を二分割し、各分割領域にそれぞれ別の機能を割り当てた表示を、以下、二画面表示と称する。
【0031】
図2(a)に示すように、全画面表示中、表示面16aには、選択中の機能を示す機能表示情報30と、設定値を示す設定値情報31と、複数の操作ボタン32とが表示される。上述したように、表示面16aには、タッチパネル17の検出領域17aが重ねられている。よって、表示面16aに表示された操作ボタン32を操作者が入力媒体33により押下する場合、タッチパネル17によりその操作位置が検出される。
【0032】
本実施形態のMFP1では、操作ボタン32の表示領域を押下する操作が、操作ボタン32を指定する操作に相当する。各操作ボタン32の表示領域は、操作ボタン位置テーブル11cに予め記憶されているので、MFP1は、タッチパネル17により検出される操作位置と各操作ボタン32の表示領域とに基づき、押下された操作ボタン32、すなわち、操作により指定された操作ボタン32を特定する。そして、特定した操作ボタン32に予め割り当てられた処理を実行する。例えば、「部数」の設定値から「1」を減算する処理が割り当てられた操作ボタン32(以下、マイナス操作ボタン32aと称する)が操作された場合、MFP1は、「部数」の設定値から「1」を減算する。なお、MFP1は、操作により指定された操作ボタン32を、前回操作位置メモリ12a(図1)に記憶する。
【0033】
全画面表示中に別の機能の割り込み要求があると、MFP1は、表示面16aにおける表示を二画面表示に更新する(図2(b))。表示面16aに表示される二画面のうち、表示更新前から表示されていた機能に関する画面を、以下、元画面34と称する。また、後から割り込んだ機能に関する画面を割込画面36と称する。なお、全画面表示中における各操作ボタン32の表示領域および二画面表示中における各操作ボタン32の表示領域は、共に、操作ボタン位置テーブル11cに予め記憶されている。
【0034】
図2(a)に示す全画面表示中、操作者がいずれかの操作ボタン32を操作しようとしている時に、表示面16aの表示が二画面表示へ更新されたとする。その場合、各操作ボタン32の配置が変化するのにも拘わらず、操作者は表示更新に気づかず、又は勢い余って、誤って別の操作ボタン32を操作してしまう可能性がある。
【0035】
例えば、図2に示すように、表示更新前にマイナス操作ボタン32aが表示されていた領域に、通話を切断する処理が割り当てられた操作ボタン32(以下、切断操作ボタン32bと称する)が表示される場合、操作者は、マイナス操作ボタン32aと誤って、切断操作ボタン32bを操作してしまうおそれがある。
【0036】
よって、本実施形態のMFP1は、二画面表示への更新後に操作ボタン32が指定される場合であって、その指定された操作ボタン32の表示領域に、表示更新前、他の処理が割り当てられた操作ボタン32の少なくとも一部が表示されていたとき、操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効とする。すなわち、その表示更新後に指定された操作ボタン32に割り当てられた処理を実行しない。このようにすれば、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できる。なお、MFP1は、操作ボタン32に割り当てられた処理を実行するか否かに拘わらず、操作により指定された操作ボタン32を前回操作位置メモリ12aに記憶する。
【0037】
また、MFP1は、表示更新後に指定された操作ボタン32の表示領域に、表示更新前、他の処理が割り当てられた操作ボタン32の少なくとも一部が表示されていたとき、前記他の処理を実行する。このようにすれば、操作者が意図した処理を実行できる。
【0038】
例えば、図2(a)に示すように、全画面表示中、マイナス操作ボタン32aが表示されていた領域に、二画面表示への表示更新後、切断操作ボタン32bが表示され、その切断操作ボタン32bが指定された場合には、切断操作ボタン32bを指定する操作に対する処理の実行は無効とし、元々表示されていたマイナス操作ボタン32aに割り当てられた処理を実行する。すなわち、操作者が意図しない通話切断は実行せずに、代わりに、「部数」の設定値から「1」を減算する処理を実行する。
【0039】
なお、全画面表示中、操作ボタン32が表示されていなかった位置に表示された操作ボタン32、すなわち、全画面表示のときに、操作ボタン32が表示されていた領域とは異なる領域に表示される操作ボタン32が指定される場合、MFP1は、当該操作ボタン32に割り当てられた処理を実行する。
【0040】
図2(b)に示す例で言えば、割込画面36中、「音量」の設定値を増減する処理が割り当てられた操作ボタン32(以下、音量操作ボタン32cと称する)の表示領域は、表示更新前に表示されていた操作ボタン32の表示領域と重ならない。このような操作ボタン32を指定する操作がされた場合、その操作は誤操作ではない可能性が高い。したがって、MFP1は、このような操作ボタン32が指定された場合は、その操作ボタン32に割り当てられた処理を実行する。
【0041】
また、図2においては、タッチパネル17に設定される操作受付領域38を破線で図示している。この操作受付領域38は説明の都合上図示したものであり、表示面16aには表示されず、操作者が視認できるものではない。
【0042】
MFP1は、操作受付領域38内が指定された場合、その操作受付領域38内に表示されている操作ボタン32が指定されたものと判断し、当該操作ボタン32に割り当てられた処理を実行する。したがって、以下の説明において、操作ボタン32が指定された場合とは、操作ボタン32内が指定された場合に加え、操作受付領域38内が指定された場合を含む。また、MFP1は、操作受付領域38内が指定された場合、その操作受付領域38に表示されている操作ボタン32を、指定された操作ボタン32として前回操作位置メモリ12aに記憶する。
【0043】
操作受付領域38は、操作ボタン32と同一形状同一サイズに設定されても良いが、本実施形態では、各操作受付領域38は、操作ボタン32の表示領域よりもやや大きく、操作ボタン32とその近傍を含むように設定されている。すなわち、操作ボタン32の表示領域から少しずれた位置を操作者が操作してしまった場合であっても、MFP1は、操作ボタン32が指定されたものと判断し、操作者が意図した処理を実行する。
【0044】
本実施形態のMFP1は、操作受付領域38内が指定された場合、その操作受付領域38内の操作ボタン32が操作された場合と同様の条件で、その操作に対する処理の実行を有効または無効とする。すなわち、指定された操作受付領域38内の操作ボタン32の表示領域に、表示更新前、他の操作ボタン32の少なくとも一部が表示されていた場合、その操作受付領域38内を指定する操作に対する処理の実行を無効とする。したがって、表示更新後の二画面表示中において、操作ボタン32から少し離れた位置が操作された場合であっても、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できる。
【0045】
なお、割り込んだ機能が終了すると、MFP1は、表示面16aにおける表示を、二画面表示から全画面表示へ更新する。
【0046】
図3は、MFP1のCPU10が実行する更新処理を示すフローチャートである。この更新処理は、例えば、選択中の機能とは異なる他の機能の割込要求の発生時に表示面16aを二画面表示に更新し、ユーザ操作に基づく各種処理を実行する処理である。
【0047】
まず、CPU10は、電話の着信など、所定の割込要求があるか否かを判断する(S302)。S302の判断が否定される場合(S302:No)、CPU10は、通常動作を行う(S316)。ここで、通常動作を行うとは、いずれかの操作ボタン32が指定された場合、その操作ボタン32に割り当てられた処理を実行することを意味している。
【0048】
S302の判断が肯定される場合(S302:Yes)、CPU10は、割込要求を実行し(S304)、表示面16aを全画面表示から二画面表示へ更新する(S305)。
【0049】
次に、CPU10は、表示更新前に表示されていた操作ボタン32と重なる領域に、表示更新後、別の操作ボタン32が表示されたか否かを判断する。換言すれば、表示更新後に表示されている操作ボタン32のうち、いずれかの表示領域には、表示更新前において、他の操作ボタン32の少なくとも一部が表示されていたか否かを判断する(S306)。S306の判断が否定される場合(S306:No)、CPU10は、通常動作を行う(S316)。
【0050】
一方、S306の判断が肯定される場合(S306:Yes)、次に、CPU10は、連続的な操作が行われたか否かを判断する(S308)。具体的には、前回、操作が行われた時から所定の連続判断時間内に、次の操作が行われたか否かを判断する。二画面表示への更新後、最初にS308の判断をする場合には、表示の更新時点をはさんで表示更新前から表示更新後にかけて連続的な操作が行われたか否かを判断することになり、二画面表示への更新後、二回目以降にS308の判断をする場合には、表示更新後において連続的な操作が行われたか否かを判断することになる。
【0051】
S308の判断が肯定される場合(S308:Yes)、次に、CPU10は、その連続的な操作により、前回指定された操作ボタン32と同じ位置にある操作ボタン32が指定されたかを判断する(S309)。上述したように、前回操作位置メモリ12aには、前回の操作により指定された操作ボタン32が記憶されている。よって、前回の操作により指定された操作ボタン32と、今回の操作により指定された操作ボタン32とが同一である場合、S309の判断が肯定される。ただし、二画面表示への更新後(S305)、最初にS309の判断をする際には、CPU10は、表示更新前の操作により指定された操作ボタン32の表示領域と、表示更新後の操作により指定された操作ボタン32の表示領域とが重なるか否かを判断し、これらが重なると判断した場合、S309の判断が肯定される。
【0052】
S309の判断が肯定される場合(S309:Yes)、CPU10は、操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効とし、操作位置に二画面表示への更新前に表示されていた操作ボタン32に割り当てられた処理を実行する(S312)。すなわち、表示更新前の操作によって実行した処理を再実行する。
【0053】
次に、CPU10は、S308から処理を繰り返す。すなわち、表示更新後、同一の操作ボタン32が連続的に指定される間は、その操作に対する処理の実行を全て無効とすると共に、表示更新前の操作によって実行した処理を繰り返し実行する。
【0054】
例えば、図2(a)に示す全画面表示中、操作者がマイナス操作ボタン32aを連続的に操作している途中に、二画面表示に更新され、二画面表示への更新前にマイナス操作ボタン32aが表示されていた領域には、新たに切断操作ボタン32bが表示されたとする。連続操作中の操作者が表示面16aを注視していない場合、操作位置に新たに切断操作ボタン32bが表示されたことに気づかず、連続操作を継続する場合がある。
【0055】
そのような場合であっても、本実施形態の更新処理によれば、マイナス操作ボタン32aと重なる領域に表示される切断操作ボタン32bが連続的に指定される間は、切断操作ボタン32bを指定する操作に対する処理の実行を無効とすると共に、切断操作ボタン32bが指定される毎に、マイナス操作ボタン32aに割り当てられた処理を実行する。よって、誤操作に拘わらず、操作者の意図に合った処理を実行することができる。
【0056】
一方、S308の判断が否定される場合(S308:No)、すなわち、前回操作の後、所定の連続判断時間内に次の操作が行われなかった場合、または、S309の判断が否定される場合(S309:No)、すなわち、連続的な操作が行われたが、前回の操作により指定された操作ボタン32の表示領域と、今回の操作により指定される操作ボタン32の表示領域とが重ならない場合、次に、CPU10は、表示更新後、所定時間以上経過したか否かを判断する(S314)。
【0057】
S314の判断が否定される場合(S314:No)、すなわち、表示更新後、所定時間以内は、CPU10は、操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効とする。そして、指定された操作ボタン32の表示領域に、表示更新前において表示されていた操作ボタン32を特定し、その操作ボタン32に割り当てられた処理を実行する(S315)。そして、表示更新後、所定時間を経過した後は、通常動作を行い(S316)、S302の処理に戻る。
【0058】
したがって、表示更新後の所定時間以内は、操作者が誤って操作ボタン32を指定してしまった場合であっても、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できる。なお、図3のフローチャートにおいては説明を省略しているが、表示更新後、所定時間以内であっても、表示更新前の操作ボタン32の表示領域とは重ならない領域に表示された操作ボタン32が指定された場合、CPU10は、指定された操作ボタン32に割り当てられている処理を実行する。
【0059】
一方、S314の判断が肯定される場合(S314:Yes)、CPU10は、通常動作を行い(S316)、S302の処理に戻る。表示更新後、所定時間以内は、表示更新に気づかず、操作ボタン32を誤って操作してしまう可能性が高いが、表示更新後、所定時間経過後は、操作ボタン32を誤って指定してしまう可能性は低いからである。
【0060】
第1実施形態のMFP1によれば、連続操作中に二画面表示へ更新されたために、操作者が誤って操作ボタン32を指定してしまう場合や、表示更新に気づかずに、操作者が誤って操作ボタン32を指定してしまう場合であっても、その操作に対する処理の実行が無効とされるので、操作者の意図しない処理の実行が抑制される。
【0061】
図4を参照して、第2実施形態のMFP1について説明する。この第2実施形態のMFP1は、タッチパネル17が、操作者の指の接触だけではなく接近も検出可能であることを利用したものである。なお、第2実施形態のMFP1の電気的構成は、図1を参照して説明した第1実施形態のMFP1の電気的構成と同じであり、第2実施形態のMFP1において表示面16aに表示される画面は、図2を参照して説明した画面と同じであるため、図示及び詳細な説明は省略する。
【0062】
図4は、第2実施形態のMFP1のCPU10が実行する更新処理を示すフローチャートである。なお、図4に示すフローチャートのうち、図3に示すフローチャートと同一のステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。第2実施形態の更新処理は、操作ボタン32の指定が予測されている状態で表示が更新され、且つ、二画面表示への更新後に表示される別の操作ボタン32が、表示更新後の操作により指定された場合、当該別の操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効とする処理である。
【0063】
まず、CPU10は、タッチパネル17により、操作者の指などの入力媒体33の接近を、二画面表示への更新前から検出していたか否かを判断する(S402)。なお、MFP1は、タッチパネル17の検出結果を、一定時間、RAM12などに保存しており、CPU10は、RAM12に保存した過去の検出結果を参照することにより、S402の判断を行う。S402の判断が否定される場合(S402:No)、すなわち、入力媒体33の接近を二画面表示への更新前から検出していない場合、CPU10は、通常動作を行う(S316)。
【0064】
一方、S402の判断が肯定される場合(S402:Yes)、CPU10は、入力媒体33の接近を検出した位置に、表示更新前に表示されていた操作ボタン32とは別の操作ボタン32が表示されているか否かを判断する(S404)。
【0065】
S404の判断が否定される場合(S404:No)、CPU10は通常動作を行う(S316)。一方、S404の判断が肯定される場合(S404:Yes)、すなわち、入力媒体33の接近を検出した位置に、新たに別の操作ボタン32が表示されている場合、操作者は、表示更新前に表示されていた操作ボタン32を操作しようとしていたのにも拘わらず、新たに表示された別の操作ボタン32を指定してしまうことが予測される。
【0066】
このように、新たに表示された別の操作ボタン32の指定が予測される状態において、次に、CPU10は、この新たに表示された別の操作ボタン32が、二画面表示への更新後、所定の判断時間以内に行われる操作により実際に指定されたか否かを判断する(S406)。すなわち、入力媒体33の接近を検出していた位置に、入力媒体33が実際に触れたか否かを判断する。
【0067】
S406の判断が否定される場合(S406:No)、すなわち、新たに表示された別の操作ボタン32が、二画面表示への更新後、所定の判断時間以内に指定されない場合、CPU10は、通常動作を行う(S316)。一方、S406の判断が肯定される場合(S406:Yes)、CPU10は、操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効とし、表示更新前に表示されていた操作ボタン32に割り当てられていた処理を実行する(S408)。そして、CPU10は通常動作をし(S316)、S302から処理を繰り返す。すなわち、第2実施形態の更新処理によれば、表示更新後、操作ボタン32を指定する1回目の操作に対する処理の実行を無効とするが、2回目以降の操作については無効としない。
【0068】
第2実施形態の更新処理によれば、操作者がある操作ボタン32を指定しようとして、指などの入力媒体33を表示面16aに接近させている状態において、突然、表示が更新された場合であっても、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できる。
【0069】
なお、連続操作中、すなわち、所定の連続判断時間内に、同一の操作ボタン32が複数回、指定されている最中に、二画面表示への更新が行われる場合において、入力媒体33の接近が検出されずS402の判断が否定されたとしても、CPU10は、連続判断時間内は、操作ボタン32の指定が予測される状態と判断しても良い。その場合、CPU10は、図4に示すS404の判断に代えて、連続的に操作されていた操作ボタン32の表示領域に、表示更新後、別の操作ボタン32が表示されたか否かを判断し、S406の判断に代えて、その別の操作ボタン32が実際に指定されたか否かを判断する。そして、その別の操作ボタン32が実際に指定されたと判断された場合に、その操作に対する処理の実行を無効とするように構成しても良い。
【0070】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図5は、本発明の第3実施形態であるMFP1の電気的構成を示したブロック図である。図5に示す第3実施形態のMFP1の構成のうち、第1実施形態のMFP1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
第3実施形態のMFP1には、計時回路25A、有線LANインターフェイス25B(以下、有線LANI/F25B)、無線LANインターフェイス25C(以下、無線LANI/F25C)が設けられている。計時回路25A、有線LANI/F25B、無線LANI/F25Cは、入出力ポート27に接続されている。
【0072】
計時回路25Aは、現在時刻(日付けを含む)を計時する回路である。有線LANI/F25Bは、MFP1をインターネットやLAN回線に有線で接続するためのインターフェイスである。無線LANI/F25Cは、インターネットやLAN回線に無線で接続するためのインターフェイスである。
【0073】
第3実施形態のMFP1において、CPU10は、ROM11に記憶された入力制御プログラム11aに従い、後述する割込処理(図6)および操作ボタン押下時処理(図7)を実行する。
【0074】
また、第3実施形態のMFP1において、RAM12には、表示更新時刻メモリ12b、操作ボタン重複位置メモリ12c、操作ボタン押下時刻メモリ12d、操作ボタン押下位置メモリ12e、前回操作時刻メモリ12fが設けられる。表示更新時刻メモリ12bは、LCD16の表示面16a(図2)の表示が二画面表示へ更新された時刻のうち最新の時刻を記憶する。操作ボタン重複位置メモリ12cは、表示更新前の全画面表示中における操作ボタン32の表示領域と、表示更新後の二画面表示における操作ボタン32の表示領域とが重なる場合、その重なる位置を記憶する。操作ボタン押下時刻メモリ12dは、操作ボタン32が押下された時刻を記憶する。操作ボタン押下位置メモリ12eは、操作ボタン押下時刻メモリ12dに記憶された時刻に押下された位置を記憶する。前回操作時刻メモリ12fは、表示面16a内が押下された時刻のうち、前回押下された時刻を記憶する。
【0075】
図6は、MFP1のCPU10が実行する割込処理を示すフローチャートである。この割込処理は、通信可能な外部装置からの要求があった場合に開始される処理であって、通信可能な外部装置からの要求に応じて、表示面16aにおける表示を二画面表示に更新する。この割込処理の開始前、表示面16aには、選択中の機能の全画面表示が行われているものとする。
【0076】
なお、本明細書において「通信可能な外部装置からの要求」とは、操作キー15やタッチパネル17などのMFP1が備える入力装置以外から、すなわちMFP1を操作中の操作者以外から、MFP1に入力される要求を意味している。したがって、例えば、コピー機能の選択中に、外部装置から電話の着信を受ける場合(すなわち外部装置から通話要求を受ける場合)、有線LANI/F25Bや無線LANI/F25Cを介してパーソナルコンピュータなどの外部装置から印刷要求を受ける場合またはスキャナ20による画像取り込みの要求を受信する場合、図示しない電話回線を介して外部装置からファクシミリデータを受信する場合(すなわちファクシミリ通信要求を受ける場合)、において表示面16aにおける表示を更新することが、通信可能な外部装置からの要求に応じて、表示面16aの表示を更新する場合の具体例に該当する。
【0077】
通信可能な外部装置から要求があると、まず、CPU10は、表示面16aにおける表示を全画面表示から二画面表示へ更新する(S602)。
【0078】
次に、CPU10は、計時回路25Aから現在時刻を取得し、表示更新時刻(T3)として表示更新時刻メモリ12bに保存する(S604)。そして、CPU10は、表示更新前と表示更新後とで、操作ボタン32が重複するタッチパネル17上の位置を求め、操作ボタン重複位置メモリ12cに記憶し(S606)、割込処理を終了する。なお、本実施形態では、タッチパネル17上の位置として、操作ボタン32の重複位置を求めることとするが、表示面16a上の位置として、操作ボタン32の重複位置を求めるように構成しても良い。また、操作ボタン32の重複位置に代えて、操作受付領域38の重複位置を求め、操作ボタン重複位置メモリ12cに記憶するように構成しても良い。
【0079】
図7は、MFP1のCPU10が実行する操作ボタン押下時処理を示すフローチャートである。この操作ボタン押下時処理は、操作ボタン32が押下された場合に実行される処理であって、割込処理(図6)とは独立したタイミングで実行される。
【0080】
まず、CPU10は、計時回路25Aから現在時刻を取得し、操作ボタン押下時刻(T1)として操作ボタン押下時刻メモリ12dに保存する(S702)。そして、タッチパネル17により検出された操作ボタン押下位置を取得し、操作ボタン押下位置メモリ12eに保存する(S704)。
【0081】
次に、CPU10は、表示更新時刻(T3)と操作ボタン押下時刻(T1)との差が所定時間(例えば2秒)以上であるか否かを判断する(S706)。表示更新時刻(T3)と操作ボタン押下時刻(T1)との差が所定時間未満である場合(S706:No)、CPU10は、操作ボタン押下位置メモリ12eに記憶された操作ボタン押下位置が、操作ボタン重複位置メモリ12cに記憶された操作ボタン32の重複位置と一致するか否かを判断する(S708)。
【0082】
なお、S708の判断においては、操作ボタン押下位置と操作ボタン32の重複位置とが完全に一致することまでは要求せず、操作ボタン押下位置(すなわち、入力媒体33の押下が検出された領域)と、操作ボタン32の重複位置との少なくとも一部が重なる場合は、S708の判断が肯定される。
【0083】
操作ボタン押下位置が、操作ボタン32の重複位置と一致すると判断される場合(S708:Yes)、CPU10は、操作ボタン押下時刻(T1)と、前回操作時刻メモリ12fに保存された前回操作時刻(T0)との差が所定の連続判断時間(例えば0.5秒)以上か否かを判断する(S710)。
【0084】
操作ボタン押下時刻(T1)と前回操作時刻(T0)との差が所定の連続判断時間以上であると判断される場合(S710:Yes)、CPU10は、その操作に対する処理の実行を無効とし、S716の処理に移行する。
【0085】
一方、操作ボタン押下時刻(T1)と前回操作時刻(T0)との差が所定の連続判断時間未満であると判断される場合(S710:No)、すなわち、表示の更新時点をはさんで表示更新前から表示更新後にかけて連続的な操作が行われたと判断される場合、CPU10は、二画面表示への更新前に今回の操作位置に表示されていた操作ボタン32に割り当てられた処理を実行し(S712)、S716の処理に移行する。すなわち、操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行は無効とする。
【0086】
一方、表示更新時刻(T3)と操作ボタン押下時刻(T1)との差が所定時間以上であると判断される場合(S706:Yes)、または、操作ボタン押下位置メモリ12eに記憶された操作ボタン押下位置が、操作ボタン重複位置メモリ12cに記憶された操作ボタン32の重複位置と一致しないと判断される場合(S708:No)、CPU10は、操作により指定された操作ボタン32に割り当てられた処理を実行し(S714)、S716の処理に移行する。
【0087】
そして、CPU10は、操作ボタン押下時刻メモリ12dに保存された操作ボタン押下時刻(T1)を、前回操作時刻(T0)として前回操作時刻メモリ12fに保存し(S716)、操作ボタン押下時処理を終了する。
【0088】
第3実施形態のMFP1によれば、第1実施形態のMFP1と同様に、連続操作中に二画面表示へ更新されたために、操作者が誤って操作ボタン32を指定してしまう場合や、表示更新に気づかずに、操作者が誤って操作ボタン32を指定してしまう場合であっても、その操作に対する処理の実行が無効とされるので、操作者の意図しない処理の実行が抑制される。
【0089】
次に第4実施形態について説明する。図8は、第4実施形態のMFP1のCPU10が実行する近接検知時処理を示すフローチャートである。なお、第4実施形態のMFP1の電気的構成を示すブロック図は、図5を参照して説明した第3実施形態のMFP1のブロック図と同じであり、第4実施形態のMFP1のCPU10が実行する割込処理は、図6を参照して説明した第3実施形態の割込処理と同一であるため、図示および詳細な説明を省略する。
【0090】
図8に示す近接検知時処理は、表示面16aに対する入力媒体33の接近がタッチパネル17により検出された場合に実行される処理であって、割込処理(図6)とは独立したタイミングで実行される。
【0091】
まず、CPU10は、計時回路25Aから現在時刻を取得し、操作ボタン近接時刻(T5)としてRAM12に保存する(S802)。次に、CPU10は、タッチパネル17により検出される、入力媒体33の近接位置を取得し、操作ボタン近接位置として操作ボタンRAM12に保存する(S804)。次に、CPU10は、操作ボタン近接位置にある操作ボタン32が実際に押下されたか否か(すなわち、検出された接近位置に入力媒体33が実際に接触したか否か)を判断する(S806)。S806の判断が否定される場合(S806:No)、CPU10は、次に、タッチパネル17による入力媒体33の検知がなくなったか否かを判断し(S808)、入力媒体33の検知がなくなったと判断される場合(S808:Yes)、近接検知時処理を終了する。
【0092】
一方、S808の判断が否定される場合(S808:No)、CPU10は、S802に戻り、操作ボタン近接時刻(T5)および操作ボタン近接位置を更新する(S802,S804)。
【0093】
このようにして処理を繰り返すうちに、操作ボタン近接位置にある操作ボタン32が実際に押下されると(S806:Yes)、CPU10は、計時回路25Aから現在時刻を取得し、操作ボタン押下時刻(T7)として取得し、操作ボタン押下時刻メモリ12dに保存する(S810)。次に、CPU10は、表示更新時刻(T3)と操作ボタン押下時刻(T7)との差が所定時間(例えば2秒)以上であるか否かを判断する(S812)。表示更新時刻(T3)と操作ボタン押下時刻(T7)との差が所定時間未満であると判断される場合(S812:No)、CPU10は、操作ボタン押下位置が、操作ボタン重複位置メモリ12cに記憶された操作ボタン32の重複位置と一致するか否かを判断する(S814)。
【0094】
S814の判断が肯定される場合(S814:Yes)、CPU10は、操作ボタン押下時刻(T7)と操作ボタン近接時刻(T5)との間に表示更新時刻(T3)があるか否かを判断する(S816)。すなわち、表示更新前から入力媒体33が近接し、表示更新後に操作が行われたか否かを判断する。S816の判断が肯定される場合(S816:Yes)、すなわち、表示更新後、一回目の操作であると判断される場合、CPU10は、二画面表示への更新前に今回の操作位置に表示されていた操作ボタン32に割り当てられた処理を実行し(S818)、近接検知時処理を終了する。すなわち、操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行は無効とする。
【0095】
一方、S812の判断が肯定される場合(S812:Yes)、または、S814,S816の判断のいずれかが否定される場合(S814,S816:No)、CPU10は、操作により指定された操作ボタン32に割り当てられた処理を実行し(S820)、近接検知時処理を終了する。
【0096】
第4実施形態のMFP1によれば、第2実施形態のMFP1と同様に、操作者がある操作ボタン32を指定しようとして、指などの入力媒体33を表示面16aに接近させている状態において、突然、表示が更新された場合であっても、操作者の意図しない処理が実行されてしまうことを抑制できる。
【0097】
上記実施形態において、MFP1が入力装置の一例に相当し、入力制御プログラム11aが入力制御プログラムの一例に相当し、タッチパネル17が検出手段の一例に相当し、操作ボタン32が操作受付画像の一例に相当し、S305,S602を実行するCPU10が表示更新手段の一例に相当し、S312,S315,S408,S712,S818を実行するCPU10が無効化手段、他処理実行手段の一例に相当する。S316,S714,S820を実行するCPU10が指定処理実行手段、通常実行手段の一例に相当する。S404,S802,S804を実行するCPU10が予測手段の一例に相当する。
【0098】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0099】
例えば、上記実施形態では、タッチパネル17により操作可能なMFP1が入力装置の一例であったが、例えば、マウスやキーボードなどにより操作されるパーソナルコンピュータが、入力装置の一例である場合にも、本発明は適用可能である。この場合、パーソナルコンピュータに接続された表示装置の表示面に表示されるアイコンなどの画要素が、操作受付画像の一例に相当する。また、操作受付画像上にポインタを合わせ、ダブルクリックする操作や、操作受付画像を選択してキーボードのエンターキーを押下する操作が、操作受付画像を指定する操作の一例に相当する。この例においては、操作受付画面上に表示されるポインタなどの指示子が、アイコンなどの操作受付画像を指示している状態を、操作受付画像の指定が予測されている状態とし、該状態において表示が更新され、且つ、表示更新後に表示される操作受付画像が指定される場合、表示更新後に表示される操作受付画像を指定する操作に対する処理の実行を無効とするように構成しても良い。
【0100】
また、上記実施形態において、「表示を更新する」とは、表示面16aの画面を分割することであったが、これに限られるものではなく、「表示を更新する」とは、操作者が視覚的に認識できる程度に、表示面中の表示の少なくとも一部を変化させる場合を含む。例えば、元々表示されている画面に重ねて、ポップアップやダイアログボックスなどの画要素を表示することも、「表示を更新する」ことの一例に相当する。
【0101】
また、上記実施形態では、全画面表示から二画面表示への表示更新後に操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効とするものとして説明した。しかしながら、二画面表示から全画面表示へ更新する際においても、操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効とするように構成しても良い。
【0102】
また、表示更新後に表示される操作ボタン32のうち、指定する操作に対する処理の実行が無効とされる操作ボタン32と、指定する操作に対する処理の実行が有効とされる操作ボタン32とを異なる態様で表示しても良い。このようにすれば、指定可能な操作ボタン32であるか否かが、視覚的に明らかであり、操作者にとって操作性が良い。例えば、指定する操作に対する処理の実行が無効とされる操作ボタン32をグレーアウトとしたり、半透明の表示とすれば、操作者は、操作できない操作ボタン32であることを視覚的に認識できる。
【0103】
また、上記実施形態のMFP1は、操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効とする場合、その指定された操作ボタン32の表示領域に、表示更新前、表示されていた操作ボタン32に割り当てられた処理を実行していた。このように、別の操作ボタン32に割り当てられた処理を実行する場合は、その別の操作ボタン32を、グレーアウトや半透明で表示しても良い。
【0104】
また、上記実施形態のMFP1は、操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効とする場合、その指定された操作ボタン32の表示領域に、表示更新前、表示されていた操作ボタン32に割り当てられた他の処理を実行していたが、前記他の処理を実行せずに、単に、操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効としても良い。
【0105】
また、上記実施形態においては、表示更新後に指定された操作ボタン32の表示領域に、表示更新前、他の処理が割り当てられた操作ボタン32の少なくとも一部が表示されていたときに、当該操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行が無効とされていた。しかしながら、これに代えて、表示更新後に指定された操作ボタン32の表示領域と、表示更新前に表示されていた操作ボタン32の表示領域とが所定の第1面積以上重なる場合に、当該操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効としても良い。
【0106】
また、表示更新後に指定された操作ボタン32の表示領域と、表示更新前、他の処理が割り当てられていた操作ボタン32の表示領域と間の距離が、所定の判定値よりも小さい場合に、当該操作ボタン32を指定する操作に対する処理の実行を無効とするように構成しても良い。
【0107】
また、上記実施形態では、操作ボタン32を指定する操作をタッチパネル17により検出した場合において、当該操作ボタン32に割り当てられた処理を実行しないことが、「当該操作に対する処理の実行を無効とする」ことに相当していた。しかしながら、これに代えて、操作ボタン32が指定される前から、当該操作ボタン32の操作に対する処理の実行を無効とするようにMFP1を構成しても良い。例えば、タッチパネル17を構成する静電センサのうち、操作ボタン32の表示領域にある静電センサの入力信号を遮断して、操作ボタン32を指定する操作を受け付けないようにすることで、「当該操作に対する処理の実行を無効とする」よう、MFP1を構成しても良い。
【0108】
また、表示更新後に表示された割込画面36内のいずれかが操作された場合、その操作全てを無効とするように構成しても良い。この場合は、タッチパネル17の検出領域17aのうち、割込画面36に相当する範囲のみ、静電センサをオフしても良い。
【0109】
また、上記実施形態では、表示更新後に指定された操作ボタン32の表示領域に、表示更新前、他の処理が割り当てられていた操作ボタン32の少なくとも一部が表示されていたとき、当該操作ボタン32を指定する操作は、一律に無効とされていた。しかしながら、そのような条件を満たす操作ボタン32であって、例えば、図2に示すマイナス操作ボタン32aのように、表示更新前から表示されており、表示更新後、別の場所に移動して表示される操作ボタン32については、その操作ボタン32に割り当てられた処理を実行するように構成しても良い。
【0110】
また、上記実施形態では、「連続的な操作」とは、所定の連続判断時間内に、表示面16a内が複数回操作されることであるものとして説明したが、「連続的な操作」は、同じ処理を繰り返し実行させるような指示を入力できる操作であれば良く、例えば、長押し操作、すなわち、所定の長押時間以上継続して同じ位置を押下する操作であっても良い。
【0111】
また、上記実施形態において、MFP1は、インターネットを介してメールを送受信するメール機能を有していても良い。その場合、他の装置からの要求に応じて、メール機能の割込要求が発生したときにも、本発明を適用して良い。
【0112】
また、上記第3,第4実施形態においては、計時回路25Aから取得される現在時刻を、表示更新時刻や操作ボタン押下時刻として保存するものとして説明したが、例えば、表示更新時にタイマのカウントアップを開始するよう構成し、タイマ時刻を表示更新時刻や操作ボタン押下時刻として保存するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0113】
1 MFP(入力装置の一例)
11a 入力制御プログラム
16a 表示面
17 タッチパネル(検出手段の一例)
17a 検出領域
32 操作ボタン(操作受付画像の一例)
34 入力媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面に表示された操作受付画像のうちいずれかが操作により指定されると、当該操作によって指定される前記操作受付画像に予め割り当てられた処理を実行する入力装置であって、
前記表示面における表示を更新する表示更新手段と、
通信可能な外部装置からの要求に応じて、前記表示更新手段により表示を更新する場合において、前記操作受付画像を指定する操作が行われると、当該操作に対する処理の実行を無効とする無効化手段とを備える入力装置。
【請求項2】
前記無効化手段は、
前記表示更新手段による表示更新後、前記操作受付画像が指定された場合、前記指定された操作受付画像の表示領域に、表示更新前、他の処理が割り当てられた操作受付画像の少なくとも一部が表示されていたとき、前記操作受付画像を指定する操作に対する処理の実行を無効とするものである請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記表示更新手段による表示更新後、前記操作受付画像が指定された場合、前記指定された操作受付画像の表示領域に、表示更新前、他の処理が割り当てられた操作受付画像の少なくとも一部が表示されていたとき、前記他の処理を実行する他処理実行手段を備えるものである請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記表示更新手段による表示更新前に前記操作受付画像が表示されていた領域とは異なる領域に表示される操作受付画像が、前記表示更新手段による表示更新後に指定される場合、当該操作受付画像に割り当てられた処理を実行する指定処理実行手段を備えるものである請求項1から3のいずれかに記載の入力装置。
【請求項5】
前記無効化手段は、前記表示更新手段による表示更新後の所定時間以内は、前記操作受付画像を指定する操作に対する処理の実行を無効とするものである請求項1から4のいずれかに記載の入力装置。
【請求項6】
前記無効化手段は、前記表示更新手段による表示の更新時点をはさんで表示更新前から表示更新後にかけて連続的な操作が行われ、表示更新前の操作により指定された操作受付画像の表示領域と、表示更新後の操作により指定される操作受付画像の表示領域とが重なる場合、表示更新後、同一の操作受付画像が連続的に指定される間、前記操作受付画像を指定する表示更新後の操作に対する処理の実行を無効とするものである請求項1から5のいずれかに記載の入力装置。
【請求項7】
前記無効化手段は、前記操作受付画像の指定が予測されている状態で前記表示更新手段により表示が更新され、且つ、表示更新後に表示される操作受付画像が指定された場合、表示更新後に表示される操作受付画像を指定する操作に対する処理の実行を無効とするものである請求項1から6のいずれかに記載の入力装置。
【請求項8】
前記表示面に重ねられる検出領域を有し、前記検出領域に対する入力媒体の接触および接近を検出する検出手段と、
前記検出手段により前記入力媒体の接近が検出されることに基づいて、前記操作受付画像の指定を予測する予測手段とを備え、
前記無効化手段は、前記予測手段により前記操作受付画像の指定が予測されている状態で前記表示更新手段により表示が更新され、且つ、表示更新後に表示される操作受付画像が指定された場合、表示更新後に表示される操作受付画像を指定する操作に対する処理の実行を無効とするものである請求項7記載の入力装置。
【請求項9】
前記操作受付画像および前記操作受付画像の近傍を含む操作受付領域内が指定された場合、前記操作受付領域内に含まれる前記操作受付画像に割り当てられた処理を実行する通常実行手段を備え、
前記無効化手段は、前記操作受付領域内を指定する操作に対する処理の実行を無効とするものである請求項1から8のいずれかに記載の入力装置。
【請求項10】
前記表示更新手段は、表示更新後に表示する操作受付画像のうち、指定する操作に対する処理が無効とされる操作受付画像は、指定する操作に対する処理が有効とされる操作受付画像とは異なる態様で表示するものである請求項1から9のいずれかに記載の入力装置。
【請求項11】
表示面に表示された操作受付画像のうちいずれかが操作により指定されると、当該操作によって指定される前記操作受付画像に予め割り当てられた処理を実行する入力装置において実行される入力制御プログラムであって、
前記入力装置を、
前記表示面における表示を更新する表示更新手段と、
通信可能な外部装置からの要求に応じて、前記表示更新手段による表示を更新する場合において、前記操作受付画像を指定する操作が行われると、当該操作に対する処理の実行を無効とする無効化手段として機能させる入力制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−175613(P2011−175613A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142998(P2010−142998)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】