説明

入退出管理システム

【課題】施設を訪れた訪問者の適否等をチェックして、来訪者に対する施設内のセキュリティを高めた入退出管理システムを提供する。
【解決手段】中央管理装置と、該装置と通信回線で互いに接続された各地の訪問者受付装置からなる入退出管理システムにおいて、中央処理装置は、施設への訪問予定者に事前に付与した訪問者識別コードと該訪問予定者の顔写真データを予め装置内のデータベース内に登録する。該訪問予定者が施設を来訪した際に、中央処理装置は、訪問者受付装置が取り込んだ訪問者識別コードと来訪者の顔写真データとを受領し、受領データがデータベース内に登録されたデータと一致した場合にのみ、施設内への入場許可指令を訪問者受付装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設への訪問者の入退出を一元的に管理するシステムであり、より詳細には、施設へ来訪した訪問者の適否、ならびに施設内における訪問者の行動の適否等をトータル的にチェックする入退出管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年における情報・通信技術の発達や、電子デバイスの性能の飛躍的な向上、ならびにその小型化、低コスト化の進展に伴い、各種の情報・通信技術や多数の電子デバイス等を用いた、施設内への入退出管理システムが広く普及するようになった。すなわち、企業の事業所や各種の公共施設等において、これらの施設を訪れる訪問者が、予め施設内の面会者とアポイントを取った適正な者であるか否かを自動的に判定し、不審者の侵入を防止して施設内のセキュリティを担保するシステムが広く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1ないし3に示された従来技術には、予め訪問者に何らかの固有識別コードを付与しておき、訪問先の受付側機器において係る識別コードを含む種々の情報を記憶保存し、これらの記憶情報と来訪した訪問者から提示された各種の情報を基にして訪問者の適否を自動的にチェックするシステムが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−128230号公報
【特許文献2】特開2004−360200号公報
【特許文献3】特開2003−108751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの従来技術においては、予め訪問者に付与される固有識別コードは二次元コード(いわゆるQRコード)や特定の暗号化コードであるため、例えば、これらのコードを不正に取得した者や、これらのコードが記憶された携帯端末等の機器を盗み取った者が、適正な訪問者に成り済まして施設内に侵入する事態を防止することが困難であった。
【0006】
また、これらの従来技術は、施設内への不正な訪問者の侵入防止を解決課題としているため、適正な手続きで施設内に入った者が面会者とは会わずに、施設内で何らかの不正行為を働いた後に退出するという事態を防ぐことが困難であった。因みに、このような事態を防止すべく、従来は、適正な面会者が訪問者の持参した入門票等に確認押印やサインを行うなどの方法がとられてきたが、これら認証方法は煩雑かつ不正確でもありその実効に疑問が持たれていた。
【0007】
本発明は、従来技術におけるこのような課題の解決を目的とするものであって、より具体的には、施設を訪れた訪問者の適否、ならびに施設内における訪問者の行動履歴をトータル的にチェックして、施設内のセキュリティを高めた入退出管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点による入退出管理システムは、上記の課題を解決するため、
複数の施設に設置された訪問者受付装置と、所定の通信回線網を介して前記訪問者受付装置の各々と接続された中央処理装置とを含み、施設への訪問予定者の予約が為された際に、前記中央処理装置は、該訪問予定者に対して固有の訪問者識別コードを付与・登録し、該訪問予定者の所持する携帯端末に対して前記訪問者識別コードを予め送信する入退出管理システムであって、
前記中央処理装置は、
前記訪問者識別コードと、訪問予定者の所持する携帯端末から中央処理装置に送信された訪問予定者の顔写真データとを関連付けて登録したデータベース手段を含み、
前記訪問者受付装置は、
前記訪問予定者の施設への来訪時に、当該訪問者の所持する携帯端末から提示された前記訪問者識別コードと、来訪時に当該訪問者を撮影した顔写真データとを取り込んで前記中央処理装置に送信する訪問者情報取込み手段を含み、
前記中央処理装置は、前記データベース手段に登録されている訪問者識別コードおよび顔写真データと、前記訪問者情報取込み手段から送られてきた訪問者識別コードおよび顔写真データとを比較して両者が一致した場合にのみ、訪問者の施設内への入場許可指令を前記訪問者受付装置に送ることを特徴とする。
【0009】
したがって、このような構成によれば、施設への訪問予定者に予め付与された固有の訪問者識別コードに加え、訪問者の顔写真データを基にしてその適否を判定するので、施設内への不審者の侵入を効果的に予防することができる。
【0010】
また、本発明の第2の観点による入退出管理システムは、上記第1の観点による入退出管理システムにおいて、
前記携帯端末は、前記訪問者識別コードを表示可能なディスプレイ画面と、訪問予定者自身を撮影可能なカメラ機能とを備えた携帯電話機であることを特徴とする。
【0011】
したがって、このような構成によれば、高性能かつ低価格で全国に普及している通常の携帯電話機を入退出管理システムの一部として利用するため、高機能を有する入退出管理システムを簡易な構成と低コストで実現することができる。
【0012】
また、本発明の第3の観点による入退出管理システムは、
施設の出入り口に設けられた来訪者管理装置と、当該装置筐体に対し着脱自在に設けられており、来訪者が施設内に携行する複数の可搬型端末とを含む入退出管理システムであって、
前記来訪者管理装置は、
前記可搬型端末に設けられた内部メモリに書き込まれた各種の情報を読み出す端末インターフェイス手段を含み、
前記可搬型端末は、
施設への来訪者の訪問先面会者が所持する記憶媒体に記録された固有の面会者識別コードを読み込み、かつ当該コードを前記内部メモリに書き込む面会者インターフェイス手段を含み、
来訪者が訪問先面会者に面会した際に、前記面会者インターフェイス手段は、来訪者もしくは訪問先面会者からの指令に応じて、前記面会者識別コードを前記内部メモリに書き込むことを特徴とする。
【0013】
したがって、このような構成によれば、来訪者が施設内で面会した面会者に関する情報は、全て可搬型端末のメモリ内に記憶されるので施設内における来訪者の行動履歴の把握が容易となる。
【0014】
また、本発明の第4の観点は、上記第3の観点による入退出管理システムにおいて、
前記端末インターフェイス手段によって前記内部メモリから読み出された面会者識別コードの有無のチェックにより、施設内における来訪者の行動履歴の適否を判定することを特徴とする。
【0015】
したがって、このような方法によれば、施設に入場した来訪者の履歴を内部メモリに書き込まれた面会者識別コードの有無によって判定することが可能となる。
【0016】
また、本発明の第5の観点による入退出管理システムは、上記第3の観点による入退出管理システムにおいて、
前記来訪者管理装置は、
前記可搬型端末に設けられた内部メモリに書き込まれた各種の情報を読み出す機能と共に、前記内部メモリに各種の情報を書き込む機能を併せ持つ、端末インターフェイス手段を含み、
前記可搬型端末は、
施設への来訪者の訪問先面会者が所持する記憶媒体に記録された固有の面会者識別コードを読み込み、その読み込み時刻と共に前記内部メモリに書き込む面会者インターフェイス手段を含み、
来訪者が施設へ入場する際には、前記端末インターフェイス手段は、当該来訪者に固有の来訪者識別コードおよび入場時刻を来訪者入場情報として前記内部メモリに書き込み、
来訪者が訪問先面会者に面会した際には、前記面会者インターフェイス手段は、来訪者若しくは面会者の指令に応じて、前記面会者識別コードおよびその読み込み時刻を面会者情報として前記内部メモリに書き込み、
来訪者が施設から退場する際には、前記端末インターフェイス手段は、退場時刻を来訪者退場情報として前記内部メモリに書き込むことを特徴とする。
【0017】
したがって、このような構成によれば、来訪者の施設への入場から退場に至るまでの情報は、全て可搬型端末のメモリ内に記憶されるので施設内における来訪者の行動履歴の把握が容易となる。
【0018】
また、本発明の第6の観点による入退出管理システムは、上記第3の観点による入退出管理システムにおいて、
前記端末インターフェイス手段が読み出した前記可搬型端末の内部メモリの情報に基づいて、施設への来訪者の各々の行動履歴を管理する管理サーバー手段を、さらに含むことを特徴とする
【0019】
したがって、このような構成によれば、施設に入場した来訪者に関する情報を、管理サーバー手段を用いて管理することが可能となり、施設内における来訪者の異常行動などを容易に検知することができる。
【0020】
また、本発明の第7の観点による入退出管理システムは、上記第3の観点による入退出管理システムにおいて、
前記来訪者管理装置は、前記端末インターフェイス手段が読み出した前記可搬型端末の内部メモリの情報に基づいて、施設への来訪者の各々の行動履歴を管理する管理サーバー手段を、さらに含むことを特徴とする。
【0021】
したがって、このような構成によれば、施設に入場した来訪者に関する情報を管理する管理サーバー手段を来訪者管理装置内に内蔵させるため、システム全体の利便性を向上させることができる。
【0022】
また、本発明の第8の観点による入退出管理システムは、
本発明の第1の観点による入退出管理システムに含まれる訪問者受付装置と中央処理装置、および第7の観点による入退出管理システムに含まれる来訪者管理装置と可搬型端末を備えたことを特徴とする。
【0023】
したがって、このような構成によれば、施設への訪問者の適否判断を行う訪問者受付装置と中央処理装置、ならびに施設内に入場した来訪者の行動のチェックを行う来訪者管理装置と可搬型端末を統合して運用することが可能となり、施設における訪問者の入退出をトータル的に管理することができる。
【0024】
また、本発明の第9の観点による入退出管理システムは、
本発明の第1の観点による入退出管理システムに含まれる訪問者受付装置と、第1の観点による中央処理装置であって、さらに第6の観点による管理サーバー手段の機能を含む中央処理装置、および第3の観点による入退出管理システムに含まれる来訪者管理装置と可搬型端末とを備えたことを特徴とする。
【0025】
したがって、このような構成によれば、中央処理装置が各々の施設の来訪者管理装置における管理サーバー手段の機能を担うため、各施設を統合した全体的な訪問者の入退出をトータル的に管理することが可能となる。
【0026】
また、本発明の第10の観点による入退出管理システムは、
施設の出入り口に設けられた来訪者管理装置と、当該装置筐体に対し着脱自在に設けられており来訪者が施設内に携行する複数の可搬型端末に加え、さらに、各々の来訪者の行動履歴を管理する管理サーバー手段とを備えたことを特徴とする入退出管理システムであって、
前記来訪者管理装置は、
前記可搬型端末に設けられた内部メモリに書き込まれた各種の情報を読み出す機能と共に、前記内部メモリに各種の情報を書き込む機能を併せ持つ、端末インターフェイス手段を含み、
前記可搬型端末は、
施設への来訪者の訪問先面会者が所持する記憶媒体に記録された固有の面会者識別コードを読み込み、その読み込み時刻と共に前記内部メモリに書き込む面会者インターフェイス手段を含み、
来訪者が施設へ入場する際には、前記端末インターフェイス手段は、当該来訪者に固有の来訪者識別コードおよび入場時刻を来訪者入場情報として前記内部メモリに書き込み、
来訪者が訪問先面会者に面会した際には、前記面会者インターフェイス手段は、来訪者若しくは面会者の指令に応じて、前記面会者識別コードおよびその読み込み時刻を面会者情報として前記内部メモリに書き込み、
来訪者が施設から退場する際には、前記端末インターフェイス手段は、前記内部メモリから前記来訪者入場情報および面会者情報を読み出して、来訪者の退場時刻を示す来訪者退場情報と共に前記管理サーバー手段に送信することを特徴とする。
【0027】
したがって、このような構成によれば、可搬型端末の内部メモリに記憶された各種の情報を、来訪者管理装置から管理サーバー手段にリアルタイムで送信できるため、施設内における来訪者の履歴管理をオンラインで行なうことが可能となる。
【0028】
また、本発明の第11の観点は、上記第10の観点による入退出管理システムにおいて、
前記端末インターフェイス手段より送信された前記来訪者入場情報、前記面会者情報、および前記来訪者退場情報に基づいて、施設への来訪者の各々の行動履歴を管理することを特徴とする。
【0029】
したがって、このような方法によれば、管理サーバーは来訪者管理装置から送信された各種の情報に基づいて、来訪者の履歴管理をリアルタイムに行うことが可能となる。
【0030】
また、本発明の第12の観点による入退出管理システムは、上記第5の観点による入退出管理システムにおいて、
来訪者が施設に入場する際に、前記来訪者管理装置は、前記端末インターフェイス手段を介して前記可搬型端末に設けられた内部メモリに施設からの退出不許可コードを書き込み、
来訪者が訪問先面会者に面会した際に、前記可搬型端末は、前記面会者インターフェイス手段を介して前記面会者情報を前記内部メモリに書き込むと同時に前記退出不許可コードを内部メモリから消去し、
来訪者が施設から退場する際に、前記来訪者管理装置は、前記端末インターフェイス手段を介して前記可搬型端末に設けられた内部メモリから前記退出不許可コードの存否を検知し、当該コードを検出した場合に所定の警報処理を行なうことを特徴とする
【0031】
したがって、このような構成によれば、訪問者が施設内から退場する際に可搬型端末の内部メモリの退出不許可コードを確認することによって、訪問者が施設内において予定されたとおりの適正な訪問活動を行なったか否かを容易に判定することができる。
【0032】
また、本発明の第13の観点による入退出管理システムは、上記第3の観点による入退出管理システムにおいて、
施設内の複数個所に設置され、端末毎に固有の端末識別コードを所定の無線媒体を介して各端末の周辺地域内に送信する無線標識端末と、
前記可搬型端末の内部において、前記無線標識端末からの送信信号を受信し該信号に含まれた前記端末識別コードを前記内部メモリに書き込む無線信号受信手段と、をさらに含むことを特徴とする。
【0033】
したがって、このような構成によれば、施設内において訪問者が無線標識端末の傍に留まり、或いはその近傍を通過すれば、必ずその履歴が可搬型端末の内部メモリに書き込まれるため、訪問者の面会の適否だけではなく、さらに施設内における訪問者の移動状況を正確に記録することが可能となる。
【0034】
また、本発明の第14の観点による入退出管理システムは、上記第13の観点による入退出管理システムにおいて、
前記無線信号受信手段は、前記無線標識端末からの送信信号を受信した際に、端末識別コードを前期内部メモリに書き込むと同時に、無線標識端末からの送信信号を受信した時刻を内部メモリに書き込む、あるいは端末識別コードの書き込みを実行するときの時刻を内部メモリに書き込むことを特徴とする。
【0035】
したがって、このような構成によれば、施設内において訪問者が無線標識端末の傍に留まり、あるいはその近傍を通過した時刻が訪問者の行動履歴として可搬型端末の内部メモリに書き込まれるため、施設内における訪問者の移動状況をより一層明確に記録することが可能となる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、施設への訪問者が適正な訪問予定者であるか否か、或いは施設内に入場した来訪者が面会者との適正な面談を行なっているか否か等の状況を、自動的かつ的確に判定することができるので、施設への訪問者に対するセキュリティ管理を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下において、本発明を実施するための最良の形態である複数の実施例に関し、それぞれの添付図面を参照しつつ説明を行なう。
【実施例1】
【0038】
先ず、本発明の一つの実施形態である入退出管理システムの実施例1について、図1に示すシステム構成図に基づいて説明を行なう。同図に示すように、本実施例1による入退出管理システムは、主に、企業A社の事業所や支店・支社等の各施設に設置された訪問者受付装置20、A社の管理本部や集中管理センターに設けられた中央処理装置10から構成されている。なお、中央処理装置10は、例えば、A社の委託を受けて同社の入退出管理を含めたセキュリティ保全業務を請け負っている警備会社等の中央監視センターに設置する構成としても良い。
【0039】
中央処理装置10と各地の訪問者受付装置20とは、例えば、NTTの加入者回線網や専用回線網等の通信ネットワークによって互いに接続されており、装置相互間において随時データの授受を行なう事ができる。また、A社施設への訪問者が所持する携帯電話機40や、A社の施設内に居る面会者(A社社員)が利用する携帯電話機50も、係る通信ネットワークを介して中央処理装置10に接続されることは言うまでもない。
【0040】
なお、A社施設内の面会者が利用する電話端末の機種は、携帯電話機に限定されるものではなく、例えば、通常の加入者電話機でも良いし、或いは、A社施設内のPBXを介して外部の通信ネットワークと接続が可能なビジネスホン型の電話機であっても良い。一方、A社施設への訪問者が所持する携帯電話機40は、訪問者自身の顔写真を撮影する必要があるため、カメラ機能が付いていることが条件となる。
【0041】
図1からも明らかなように、訪問者受付装置20には、これに付随して撮影カメラ21、操作表示部22、および入退出ゲート装置30等の付帯設備が設けられている。因みに、撮影カメラ21は、A社施設に来訪した訪問者が提示する訪問者識別コード(詳細は後述)や、訪問者の顔写真を撮影するカメラであり、訪問者受付装置20からの指令に応じて各種の撮影を実行するものである。
【0042】
操作表示部22は、A社施設に来訪した訪問者がその表示画面上のガイダンスに応じて、キーボードから各種の必要事項を訪問者受付装置20に入力するための入力操作部である。また、入退出ゲート装置30は、A社施設の来訪者用出入り口の入退出を制限するゲート装置であり、その開閉制御は訪問者受付装置20からの指令によって為される。
【0043】
次に、訪問者受付装置20の構成について、図2に示すブロック図を参照しつつ説明を行なう。同図に示されるように、訪問者受付装置20は、主に、カメラ・インターフェイス部23、操作表示・インターフェイス部24、ゲート・インターフェイス部25、通信網・インターフェイス部26、及び動作制御部27から構成されている。なお、以下の記載においては、上記各部の「・インターフェイス部」なる名称を、単に「I/F部」と略記する。
【0044】
カメラI/F部23は、撮影カメラ21と訪問者受付装置20とのインターフェイス機能を司る部分であり、後述する動作制御部27からの指令に応じて撮影カメラ21に対して、映像の撮影やカメラ・ズーム等の各種の動作制御を行い、撮影カメラ21からは、撮影された映像データを取得してこれを動作制御部27に伝達する部位である。なお、映像データについての画像圧縮機能や画像編集機能の一部を当該部位に設ける構成としても良い。
【0045】
操作表示I/F部24は、操作表示部22と動作制御部27とのインターフェイスを司る部位である。なお、操作表示部22として、いわゆる、デスクトップ型やノートブック型のパーソナル・コンピュータを利用することも可能であり、この場合は、それぞれのパーソナル・コンピュータに搭載されたオペレーティングシステムや基本ソフトフェアに対応する形で操作表示I/F部24を構成する。
【0046】
ゲートI/F部25は、動作制御部27からの指令に応じて、A社施設の来訪者用出入り口に設けられた入退出ゲート装置30の開閉を行う部位である。なお、図1および2には明示されていないが、入退出ゲート装置30、およびその近傍には、ゲート開閉動作時の安全確保のため、対人検知用の赤外線センサや開閉動作についての警告表示灯、或いは合成音声による警報出力装置などが備えられている。したがって、これらの付属機器の監視・制御もゲートI/F部25によって為される。
【0047】
通信網I/F部26は、訪問者受付装置20と通信ネットワークとのインターフェイスを司る部位であり、動作制御部27からの指令に応じて、通信ネットワークを介して中央処理装置10との間において各種データの送受信処理を実行する。なお、通信網I/F部26は、本システムにおいて使用される通信ネットワークの種類・属性に応じ、様々な仕様ならびに特性のものが用いられることは言うまでもない。
【0048】
動作制御部27は、訪問者受付装置20に含まれる上記の各部位を統括制御する部位であり、マイクロプロセッサとこれに付随するメモリ回路、およびその周辺駆動回路によって構成されている(何れも図示せず)。なお、訪問者受付装置20の動作を規定する処理プログラムは、係るメモリ内にストアされており、マイクロプロセッサが係る処理プログラムを逐次実行することによって訪問者受付装置20が動作することになる。
【0049】
次に、中央処理装置10の構成について、図3に示すブロック図を参照しつつ説明を行なう。同図に示されるように、中央処理装置10は、主に、データベース部11、通信網I/F部12、及び管理制御部13から構成されている。
【0050】
データベース部11は、例えば、ハードディスクや大容量の半導体メモリ等の大容量記憶媒体によって構成されており、後述する管理制御部13からの指令に応じて、係る記憶媒体に対しデータの書き込みならびに読み出しが行われる。因みに、本実施例においては、A社の施設内に勤務する面会者について、訪問者からの訪問予約案件が成立する毎に、データベース部11の内部に訪問案件データファイルが作成され、同ファイル内に当該案件に関連する各種のデータが蓄積される。
【0051】
通信網I/F部12は、中央処理装置10と通信ネットワークとのインターフェイスを司る部位であり、管理制御部13からの指令に応じて、通信ネットワークを介して各地の訪問者受付装置20との間において各種データの送受信処理を実行する。なお、通信網I/F部12は、本システムにおいて使用される通信ネットワークの種類・属性に応じ、様々の仕様・特性のものが用いられることは言うまでもない。
【0052】
管理制御部13は、中央処理装置10に含まれる上記の各部位を統括制御する部位であり、マイクロプロセッサとこれに付随するメモリ回路、およびその周辺駆動回路によって構成されている(何れも図示せず)。なお、中央処理装置10の動作を規定する処理プログラムは、係るメモリ内にストアされており、マイクロプロセッサが係る処理プログラムを逐次実行することによって中央処理装置10が動作することになる。
【0053】
次に、本実施例1による入退出管理システムの処理動作について説明を行なう。なお、処理動作の説明は、(1)訪問案件の登録時、(2)訪問者の来訪時の二つの事象に分けて行なうものとする。
【0054】
(1)訪問案件の登録時
図4の説明図に示すように、A社の施設内に勤務する社員に対して社外の訪問者が面会を希望する場合、訪問者は、先ず、自らの携帯電話機40を用いて面会者に電話をかけ面会を申し込む。
【0055】
両者の話し合いによって面会のアポイントが成立すると、訪問者は自己の携帯電話機40の電子メールのアドレスを面会者に通知して通話を終了させる。なお、係るメールアドレスの通知は通話ではなく、訪問者から面会者に対する電子メール等によって通知することがメールアドレスの誤認を防ぐうえにおいても好ましい。
【0056】
訪問者からメールアドレスの通知を受けた面会者は、A社本部にある中央処理装置10に電子メールを送信して、今回成立した訪問案件の登録処理を行なう。具体的には、面会者は下記の事項を中央処理装置10に送信する。
[1]訪問者の予定来訪期日
[2]訪問者の氏名、所属等
[3]面会者の氏名、所属等
[4]訪問者携帯電話機のメールアドレス
【0057】
なお、面会者が中央処理装置10に送信する事項は、上記の内容に限定されるものではなく、その他の事項をさらに含むものであっても良い。また、面会者からの中央処理装置10への電子メールの送信は、例えば、インターネット上に設けられている中央処理装置10の所定のサイトに面会者がアクセスを行えば、ガイダンスに従って書誌的事項のみを単純に入力することにより容易に達成されるような構成とすることが好ましい。
【0058】
面会者から中央処理装置10へのアクセスが終了すると、中央処理装置10の管理制御部13は、先ず、当該訪問案件についての訪問案件登録番号と、当該訪問者に付与する訪問者識別コードを決定する。なお、本実施例では、係る訪問者識別コードとして二次元コードを例示しているが、本発明の実施が係る事例に限定されるものでは無いことは言うまでもない。因みに、係る二次元コードには、上記の訪問案件登録番号と、さらに上記の[1]〜[4]に列挙した諸事項がコード化されて含まれるものとする。
【0059】
続いて、管理制御部13は、通信網I/F部12を制御して通信ネットワークを介し訪問者の携帯電話機40に電子メールを送信し、同メールの添付データとして上記の二次元コードを送出する。訪問者は、受信した二次元コードを携帯電話機40のメモリ内に保存し、A社施設内の面会者への訪問が正式に登録されたことを確認する。
【0060】
さらに、管理制御部13は、係る電子メールにおいて訪問者自身の顔写真データの送信要求を送る。この際、管理制御部13は、撮影画像の画素数や、画像圧縮形式等の顔写真データに関する推奨条件を訪問者に通知し了知させることが、その後の処理の円滑を図る上においても好ましい。
【0061】
一方、中央処理装置10からの顔写真データの送信要求を受けた訪問者は、携帯電話機40に備えられたカメラ機能によって自己の顔写真を撮影し、係る顔写真データを電子メールに添付して折り返し中央処理装置10に送信する。中央処理装置10の管理制御部13は、通信網I/F部を介して訪問者からの顔写真データを受信すると、データベース部11の所定のメモリ領域上に、当該訪問案件についての訪問案件データファイルを作成する。
【0062】
訪問案件データファイルの構成例を図5に示す。同図において、訪問案件登録番号は、当該訪問案件について付されたシリアル番号であり、例えば、年度毎或いは月日毎の期日に準拠して設定するようにしても良い。同図に示されるように、当該ファイルには、上記の[1]〜[4]に列挙したような諸事項が記憶されており、さらに、訪問者から受領した訪問者自身の顔写真データもこれに関連付けられてJPEG等の電子データの形で記憶される。なお、同図に示されるファイルの構成は一つの事例を示すものであって、本発明の実施が係る事例に限定されるものでないことはいうまでも無い。
【0063】
(2)訪問者の来訪時
続いて、訪問者が予定の訪問日時にA社施設を訪問したときの処理について、図6の説明図および図7の処理フローチャートに基づいて説明を行なう。
【0064】
訪問者は、A社施設の訪問者受付装置20に到達すると、操作表示部22のディスプレイに表示されたガイダンスにしたがって、自己の携帯電話機40のメモリに記憶されている訪問者識別コードの二次元コードを撮影カメラ21に提示する(ステップS701)。訪問者受付装置20は、撮影カメラ21を介して訪問者が提示した二次元コードを読み取ると、通信ネットワークを介して二次元コードに含まれていた情報をA社本部の中央処理装置10に送信する(図(6a)を参照の事)。
【0065】
中央処理装置10の管理制御部13は、受信した二次元コードに含まれる情報に基づいて、データベース部11に登録されている訪問案件データファイルを検索し、これに該当するファイルがデータベース内に存在するか否かのチェックを行う(ステップS702)。そして、データベース部11内に該当するファイルが存在しないと判定された場合は(ステップS703の「NO」)、その結果を訪問者受付装置20に返送し、訪問者受付装置20は、これを操作表示部22のディスプレイによって訪問者に伝え、訪問者の施設内への入場を拒絶する(ステップS704)。
【0066】
適正な訪問者にも関らず施設への入場を拒絶された場合は、面会者による訪問案件の登録手続きにおいて何らかのミスがあったものと考えられるため、操作表示部22から所定のガイダンスを行い、訪問者に対し、携帯電話等を用いて面会者に直接連絡を取り、新たな訪問手続きを模索するように指示することも可能である。
【0067】
なお、施設への入場拒絶の場合は、不適正な訪問者が面会者にアプローチを行った可能性も考えられるため、ステップS704においては、入場拒絶を受けた訪問者の対応に応じて、中央処理装置10からA社内のセキュリティ保全部門に通報を行うような仕組みをとるようにしても良い。
【0068】
一方、ステップS702におけるチェックの結果、該当する訪問案件データファイルが存在すると判定された場合は(ステップS703の「YES」)、中央処理装置10からの回答を受けた訪問者受付装置20は、訪問者に対して顔写真撮影の指示を出し、撮影カメラ21によって訪問者の顔写真を撮影する(ステップS705)。そして、撮影された訪問者の顔写真は、所定の画像処理等を経て訪問者受付装置20から中央処理装置10に送信される(図(6b)を参照の事)。
【0069】
中央処理装置10の管理制御部13は、訪問者受付装置20から受信した顔写真データと、当該訪問案件データファイルに予め登録されている訪問者の顔写真データとを照合・比較し、今回の訪問者が事前に登録されている訪問者に合致するか否かを判定する(ステップS706)。
【0070】
ステップS706における照合・比較の結果、今回の訪問者が該当する訪問案件ファイルに登録されている訪問者と同一であると判定された場合は(ステップS707の「YES」)、中央処理装置10は、訪問者受付装置20に対して訪問者の入場を許可する指令を送信し、訪問者受付装置20では、係る指令を受けて入退出ゲート装置30を開き、施設内への訪問者の入場を促す(ステップS708)。
【0071】
一方、今回撮影した訪問者の顔写真が、該当する訪問案件データファイルに登録されている訪問者と異なると判定された場合は(ステップS707の「NO」)、ステップS704に移行して、中央処理装置10はその判定結果を訪問者受付装置20に返送する。これを受けて、訪問者受付装置20は、操作表示部22のディスプレイによって訪問者にその旨を伝え訪問者の施設内への入場を拒絶する。
【0072】
なお、前述のステップS702における二次元コードの判定処理と異なり、顔写真データの照合・比較判定の場合は、その判定結果について冗長性があり、明確な判定結果の導出が困難な場合も多い。そこで、ステップS706における照合・比較の結果が不明確な際には、中央処理装置10から訪問者受付装置20の指令に基づき、撮影カメラ21の撮影条件やカメラアングルを変更した撮影を複数回行った後に、これら複数の撮影データに基づいて訪問者の適正を判断することが好ましい。
【0073】
以上に説明したように、本実施例1による入退出管理システムにおいては、施設へ来訪した訪問者の適正判定を、事前に付与した訪問者識別コードと、訪問者の顔写真データの双方を用いて行うため、不正な訪問者の施設への入場を的確に防止することができる。また、施設における訪問者の受付業務を無人化できるので施設内の省力化を推進することも可能となる。
【0074】
なお、以上の説明では、訪問者受付装置20から訪問者に対するガイダンスは、操作表示部22のディスプレイによって行なう場合を説明したが、例えば、操作表示部22に含まれるスピーカなどの音響機器(図示せず)からの合成音声による指示も含めて行うようにしても良い。
【0075】
また、面会者への注意を促す意味においても、訪問者が訪問者受付装置20に提示した訪問者識別コードが適正なものと認知された段階(ステップS703の「YES」)で、中央処理装置10から、面会者の携帯電話機50に対して、音声メッセージによる通知や電子メールによる通知を送り、予定の訪問者が来訪した旨を面会者に通報する構成としても良い。
【実施例2】
【0076】
次に、本発明の他の実施形態である実施例2について説明を行なう。なお、本実施例2による入退出管理システムは、施設内に入場した訪問者の行動履歴の管理をその解決課題としたものである。実施例2による入退出管理システムの構成を図8に示す。
【0077】
同図に示すように、本実施例2による入退出管理システムは、主に、施設の出入り口に設置された来訪者管理装置60、同装置に内蔵されている複数の可搬型端末70、および施設内の面会者(A〜C)の各々が所持している面会者記憶媒体80(80a〜80c)から構成されている。なお、本実施例における面会者、ならびに面会者記憶媒体の数が係る事例に限定されるものでないことは言うまでも無い。
【0078】
先ず、来訪者管理装置60の概略構成を、図(9a)の一部斜視透視図、および図(9b)のブロック図に示す。これらの各図に示されるように、来訪者管理装置60の筐体内には、複数の可搬型端末70を収納した可搬型端末収納機構部61が設けられており、係る可搬型端末収納機構部61には、さらに、開口部シャッタ61a、可搬型端末送り出し機構61b、および可搬型端末保持機構61c等の機構部位が設けられている。
【0079】
可搬型端末収納機構部61は、後述する来訪者管理制御部65からの指令を受けて、上記の各機構部位を作動させ、来訪者管理装置60から可搬型端末70の取り外し、ならびに来訪者管理装置60への可搬型端末70の返却収納に関する処理を司る部位である。
【0080】
なお、来訪者管理装置60は、上記の可搬型端末収納機構部61以外にも、図(9b)に示すように、操作表示部62、可搬型端末I/F部63、操作表示I/F部64、および来訪者管理制御部65の各部位を含んでいる。
【0081】
可搬型端末I/F部63は、来訪者管理制御部65からの指令を受け、所定の無線媒体を通じて、来訪者管理装置60の内部に収納されている可搬型端末70に対し各種データの書き込み、ならびに可搬型端末70から各種データの読み取りを行う機能を有している。
なお、本発明の実施においては、データの書き込みや読み取りの方法は、無線媒体を通じて行う方式に限定されるものではなく、例えば、磁気媒体などの他の方式を応用することも可能である。一方、操作表示部62は、施設内に入場した訪問者がその表示画面上のガイダンスに応じて、キーボードから各種の操作を行うための入力操作部である。
【0082】
操作表示I/F部64は、操作表示部62と来訪者管理制御部65とのインターフェイスを司る部位である。なお、操作表示部62として、いわゆる、デスクトップ型やノートブック型のパーソナル・コンピュータを利用することも可能であり、この場合は、それぞれのパーソナル・コンピュータに搭載されたオペレーティングシステムや基本ソフトフェアに対応した形で操作表示I/F部64を構成する。
【0083】
来訪者管理制御部65は、来訪者管理装置60に含まれる上記の各部位を統括制御する部位であり、マイクロプロセッサとこれに付随するメモリ回路、およびその周辺駆動回路によって構成されている(何れも図示せず)。なお、来訪者管理装置60の動作を規定する処理プログラムは、係るメモリ内にストアされており、マイクロプロセッサが係る処理プログラムを逐次実行することによって来訪者管理装置60が動作することになる。
【0084】
次に、可搬型端末70の構成を、図10に示すブロック図に基づいて説明する。因みに、可搬型端末70は、いわゆる、カードサイズ或いは手帳サイズの非接触型ICカード読取り端末であり、例えば、ISO/IEC15693等の国際標準規格に準拠した通信処理手順に基づいて、ICカードなどの記憶媒体からデータの読み取りを行う機能を有している。なお、本発明の実施においては、可搬型端末は、「非接触用ICカード」用の読み取り端末に限定されるものではなく、例えば、「磁気カード」用の読み取り端末であってもよい。
【0085】
図10のブロック図に示されるように、可搬型端末70は、主に、データ読込み部71、データ記憶部72、データ出力部73、および可搬型端末制御部74から構成されている。データ読込み部71とデータ出力部73は、上記の国際標準規格に準拠した通信処理手順に従い、例えば、13.56MHz等の無線周波数を利用して、可搬型端末70の近傍に置かれたICカードからのデータの読み込みを行う。なお、上記の可搬型端末I/F部63との間における各種データの授受もこれらの部位を介して行われる。
【0086】
データ記憶部72は、データ読込み部71がICカード等から読み込んだデータを一時的に記憶するデータ記憶部位である。また、可搬型端末制御部74は、可搬型端末70に含まれる各部位を統括・制御する部位であり、マイクロプロセッサや、それに付随する各種の回路(何れも図示せず)から構成されている。なお、可搬型端末70には、読込みスイッチ75が設けられており、可搬型端末70を所持した訪問者が当該スイッチを手動操作することによって、可搬型端末70の近傍に置かれたICカードからのデータの読み込みを行うことができる。
【0087】
一方、施設内の面会者(A〜C)の各々が所持している面会者記憶媒体80(80a〜80c)は、例えば、FeliCa(登録商標)などのICカードであり、当該カードには、予め、各々の面会者に個別に設定された面会者識別コードが記録されている。
【0088】
次に、本実施例2による入退出管理システムの処理動作について、図11ないし13に基づいて説明を行なう。なお、係る処理動作については説明の便宜上、(1)入場登録処理時、(2)面会者との面会時、(3)退出処理時、の三つの事象に分けて説明を行なうものとする。
【0089】
(1)入場登録処理時
先ず、A社施設に入場した訪問者は、来訪者管理装置60の操作表示部62のディスプレイ上に示されたガイダンス表示に従い、操作表示部62のキーボードを用いて所定の入場登録処理を実行する(図11を参照のこと)。
【0090】
入場登録処理の一例としては、例えば、訪問者が予め面会者などから付与された固有の来訪者識別コードをキーボードから入力するようにしても良い。或いは、訪問者が自己の氏名や所属をキーボードから入力することにより、来訪者管理装置60において係る来訪者識別コードが自動的に作成されるような構成としても良い。
【0091】
訪問者による所定の入場登録処理が終了すると、来訪者管理制御部65は、可搬型端末収納機構部61に対して可搬型端末70の訪問者への給付指令を送出する。可搬型端末収納機構部61は、係る指令を受け取ると収納機構の内部に収納されている複数の可搬型端末70の内から特定の機材を選択し、当該可搬型端末の収納位置に該当する開口部シャッタ61aを開き、さらに、これに対応した可搬型端末送り出し機構61bを駆動させる(図9を参照のこと)。
【0092】
因みに、可搬型端末送り出し機構61bは、例えば、電動によるアクチュエータ機構やスライダー機構を利用した駆動機構であり、可搬型端末70をロック・保持している可搬型端末保持機構61cを開口部シャッタ61aの方向に前進させるものである。なお、可搬型端末送り出し機構61bについては、これ以外にも油圧機構や圧搾空気による動作機構など様々な駆動機構を利用できることは言うまでもない。
【0093】
可搬型端末送り出し機構61bの動作によって、可搬型端末保持機構61cにより担持された可搬型端末70は、開口部シャッタ61aの開口部を通過して来訪者管理装置60の外部に導出される。同時に、係る動作と連携して可搬型端末保持機構61cによる可搬型端末70の保持ロック機構が解除され、可搬型端末保持機構61cから可搬型端末70の取り外しが可能となる。また、訪問者に対しては、操作表示部62のディスプレイ上から、可搬型端末70の取り出しならびにその取り扱いについてのガイダンスが行われる。
【0094】
なお、使用される可搬型端末70の選択は、可搬型端末収納機構部61の内部に収納された複数の可搬型端末70を所定の順序に従って順次選択して行くような仕組みとしても良いし、或いは、来訪者管理制御部65の指令に応じて、可搬型端末収納機構部61がランダムに選択を行うような仕組みとしても良い。なお、収納機構内に納められている複数の可搬型端末70の使用頻度を平均化させる点に鑑みれば、使用する可搬型端末70をランダムに選択する方式を採用することが好ましい。
【0095】
一方、上記の訪問者への可搬型端末70の給付処理と並行して、来訪者管理制御部65は、可搬型端末I/F部63を介して所定の無線媒体を通じ、選択された可搬型端末70に対して、訪問者の来訪日時(訪問者が来訪者管理装置60において手続きを行った日時)、および上記の来訪者識別コードを送信する。可搬型端末70は、データ読込み部71を介してこれらのデータを受信すると、図11に示すように、これをデータ記憶部72に記憶する。
【0096】
(2)面会者との面会時
入場登録処理を終了させた訪問者は、来訪者管理装置60から取り出した可搬型端末70を携行して施設内に入り、所望の面会者に面会して面談を行う。なお、面会者が複数居る場合は、訪問者は図12に示すように順次、各々の面会者(A〜C)との面談を行うことになる。
【0097】
本実施例2による入退出管理システムにおいては、面会者との面談が終了する毎に、訪問者は、面会者の同意を得て面会者が保持している面会者記憶媒体80に可搬型端末70を近接させ、可搬型端末70の読込みスイッチ75を押下する。これによって、可搬型端末70のデータ読込み部71が起動され、面会者記憶媒体80に記録されている面会者固有の面会者識別コードが可搬型端末70に読み込まれ、かつデータ記憶部72に記憶される。
【0098】
なお、面会者記憶媒体80からのデータの読み込み完了は、例えば、データの読み込みが正常に行われたことを示すLEDランプを可搬型端末70に設け(図示せず)、係るランプの点灯によって訪問者に通知するにしても良いし、或いは、可搬型端末70に設けた小型スピーカ(図示せず)からの音声ガイダンスによって行うようにしても良い。
【0099】
また、可搬型端末制御部74は、データ読込み部71が面会者記憶媒体80に記録された面会者識別コードの読み込みを行う際に、内蔵する時刻機能(図示せず)から読み込み動作が実行された時刻データを抽出して、係るデータを面会者記憶媒体80からの読込みデータと併せてデータ記憶部72に記憶する。
【0100】
因みに、図12に示す事例で説明すれば、来訪者(来訪者識別コード:ABC456XYZ)は、平成21年10月17日の13時30分20秒に入場して、先ず、面会者A(面会者識別コード:XXX111)と面談を行い、同日の14時30分00秒に面会を終了している。この訪問者は、続いて面会者B(面会者識別コード:YYY222)、および面会者C(面会者識別コード:ZZZ333)面談を行い、それぞれ15時10分50秒、および16時00分10秒に面会を終了している。
【0101】
訪問者は、面会を予定していた面会者との面会が終了する毎に、上記の処理を繰り返し実行するので、訪問者が携行している可搬型端末70のデータ記憶部72には、図12に示されるように、面会者A〜Cの各々の面会者識別コードが、その面会終了時間とともに逐次累積され記憶されて行くことになる。
【0102】
(3)退出処理時
訪問者がA社施設内での面会者との面談を終了させて施設の出入り口に帰着すると、訪問者は、操作表示部62を介して来訪者管理装置60に面会終了の通知を行う。具体的には、訪問者が、操作表示部62のガイダンスに従って退出の旨と自己の来訪者識別コードを操作表示部62に入力する。来訪者管理制御部65は、係る入力を確認すると、可搬型端末収納機構部61に指令を送り、当該来訪者が携行した可搬型端末70の収納処理を開始する。
【0103】
すなわち、係る指令を受領した可搬型端末収納機構部61は、当該来訪者が携行した可搬型端末70の収納されていた位置の開口部シャッタ61aを開き、続いて同位置の可搬型端末送り出し機構61bを動作させ、該当する可搬型端末保持機構61cを開口部シャッタ61aの開口部を通して前方に延伸させる。訪問者は、操作表示部62からのガイダンスに従って携行した可搬型端末70を可搬型端末保持機構61cの上に再装着してA社施設から退出する(図13を参照のこと)。
【0104】
可搬型端末保持機構61cに可搬型端末70が再装着されると、可搬型端末収納機構部61は、可搬型端末送り出し機構61bを動作させて可搬型端末70を搭載した可搬型端末保持機構61cを収納機構内に取り込んで、開いていた開口部シャッタ61aを閉じる。このようにして、訪問者によって使用された可搬型端末70が来訪者管理装置60の内部に返却収納されると、来訪者管理制御部65は、可搬型端末I/F部63を介して所定の無線媒体を通じ返却された可搬型端末70に対して、当該可搬型端末が返却された時刻データを送信する。可搬型端末70は、データ読込み部71を介してこれを受信すると、図13に示すようにこれをデータ記憶部72に記憶する。
【0105】
したがって、本実施例2による入退出管理システムによれば、可搬型端末70に記憶されたデータを、例えば、入退出管理用の管理サーバー等の設備(図示せず)において処理することにより当日の来訪者の行動を正確に管理することができる。これによって、面会者との面談終了時間から施設退出までの時間が異常に長い訪問者や、面会者識別コードが記憶されていない訪問者等は、異常事例として容易に検出することが可能となる。
【0106】
また、このような管理サーバー機能を来訪者管理装置60の内部に設けることによって、施設内における訪問者の動向のチェック、ならびに異常事例の検出をリアルタイムに行なう事が可能となり、訪問者に対する施設のセキュリティをより一層高めることができる。なお、この場合は、訪問者の行動履歴の異常事例を検出した際には、来訪者管理装置60から施設内のセキュリティ保全部門に対して所定の通報を行うような構成としても良い。
【0107】
(実施例2における他の応用例)
なお、以上の説明では、来訪者管理装置60が自動的に、入場する訪問者に可搬型端末70を給付し、退場する訪問者から可搬型端末70を回収する事例を示したが、本実施例2による入退出管理システムは、係る事例に限定されるものではなく、例えば、図14に示すような構成としても良い。
【0108】
同図において、来訪者管理装置60aは、上述した来訪者管理装置60から、可搬型端末収納機構部61、操作表示部62、および操作表示I/F部64を取り除いたものである。来訪者管理装置60aの上面には可搬型端末70を挿入して固定できるスロット上の溝部が設けられており、通常は複数の可搬型端末70が係る溝部に装着されている。
【0109】
施設内への入場の際、訪問者が来訪者管理装置60aの溝部から任意の可搬型端末70を抜き取ると、来訪者管理装置60a内部の可搬型端末I/F部63は、抜き取られた可搬型端末70に対し、所定の来訪者識別コードと、抜き取られた日時を自動的に書き込む。これによって、可搬型端末70のデータ記憶部72には係るデータが記憶され、訪問者は抜き取った可搬型端末を携行して施設内に入場する。
【0110】
なお、施設内において訪問者が各々の面会者A〜Bと面会を行い、各々の面会者が所持する面会者記録媒体80(80a〜80c)から、各々の面会者に固有の面会者識別コードを可搬型端末70に書き込んでいく過程は、前述した図12の場合と同様であるためその説明は省略する。
【0111】
一方、施設内からの退場の際には、訪問者が携行していた可搬型端末70を来訪者管理装置60aの溝部に装着すると、これを検知した可搬型端末I/F部63が返却された可搬型端末70に対して、返却時刻、即ち訪問者の退場時刻を書き込み、係るデータが可搬型端末70のデータ記憶部72に記憶される。
【0112】
なお、前述の来訪者管理装置60の場合と同様に、来訪者管理装置60aにおいても、装置の内部、或いはその外部に管理サーバー機能(図示せず)を付加することによって、施設内における訪問者の行動履歴を管理・把握することが容易となる。
【0113】
また、可搬型端末70が、いわゆるカードサイズ程度にまで小型化が可能の場合は、来訪者管理装置60aを、例えば、フレキシブル・ディスクを収納するようなカード・ボックスタイプの収納箱に小型化するようにしても良い。これによって、来訪者管理装置60aの設置若しくは撤去が容易となり、本実施例2による入退出管理システムの利便性が増加する。
【0114】
(実施例2による他の応用例)
以上に説明した実施例2による入退出管理システムでは、訪問者が施設内に携行する可搬型端末70は、個々の面会者を面会者識別コードによって認識する機材を用いたが、訪問者の携行機材としては、これ以外の機材を利用することも可能である。例えば、訪問者の携行機材として、カメラ機能と当該カメラで撮影した画像データを記憶するメモリとを備えた可搬型端末を用いるようにしても良い。
【0115】
カメラ機能付の可搬型端末を利用した場合、訪問者は、予定された面会者との面談を終了する毎に面会者の同意を得て、その顔写真を携行した可搬型端末を用いて撮影し、施設からの退出時に可搬型端末を来訪者管理装置60に返却する。そして、可搬型端末の返却を受けた来訪者管理装置60、或いは入退出管理用の管理サーバーは、可搬型端末のメモリ内に記憶された面会者の顔写真の画像データを基にして、訪問者が面談した相手の面会者の照合を行なう。
【0116】
なお、この場合は、来訪者管理装置60、或いは入退出管理用の管理サーバー内に、施設内に勤務する社員の顔写真データを登録したデータベースが予め設けられており、係るデータベースと、可搬型端末のメモリ内に記憶された面会者の顔写真の画像データとを比較して面会者の照合が行なわれる。
【0117】
(実施例2における他の応用例)
また、本実施例2による入退出管理システムの他の応用事例としては、訪問者が施設内に入場する際に、可搬型端末70のデータ記憶部72に所定の退出不許可コードを書き込み、予定された面会者と面談を行うことによって係る退出不許可コードを抹消するようなシステムとしても良い。すなわち、施設への訪問者は適正な訪問活動を実行しなければ施設内から退場することができず、これによって面会を騙って施設内への侵入を謀る不審者を排除することが可能となる。本事例について図17に基づき説明を行なう。
【0118】
(1)入場登録処理時
訪問者が施設内に入場する際に、訪問者が来訪者管理装置60aの溝部から任意の可搬型端末70を抜き取ると、来訪者管理装置60a内部の可搬型端末I/F部63は、抜き取られた可搬型端末70に対し、所定の来訪者識別コードと、抜き取られた日時を自動的に書き込む。本事例においては同時に、所定の退出不許可コードを可搬型端末70のデータ記憶部72に書き込むものとする。退出不許可コードは如何なる形式のものであっても良いが、セキュリティの確保などの点に鑑みれば、例えば、日替わりでランダムに変化するような暗号コードなどを採用することが好ましい。
【0119】
(2)面会者との面会時
可搬型端末70を携行して施設内に入場した訪問者は、順次所定の面会者(この場合はA〜C)と面談を行い、前述のように、面会者の同意を得て面会者が保持している面会者記憶媒体80に可搬型端末70を近接させ、可搬型端末70の読込みスイッチ75を押下する。これによって、可搬型端末70のデータ読込み部71が起動され、面会者記憶媒体80に記録されている各面会者固有の面会者識別コードが可搬型端末70に読み込まれ、かつデータ記憶部72に記憶される。本事例では、さらに、係る面会者識別コードの読み込みが行われると、同時にデータ記憶部72に記憶されていた退出不許可コードが抹消される。
【0120】
(3)退出処理時
訪問者が施設内での面会者との面談を終了させ施設の出入り口に帰着し、携行していた可搬型端末70を来訪者管理装置60aの溝部に装着すると、来訪者管理制御部65は、可搬型端末I/F部63を介して、先ず、可搬型端末70のデータ記憶部72に記憶されていた退出不許可コードの有無をチェックする。係るチェックの結果、退出不許可コードが抹消されていれば、来訪者管理制御部65は、訪問者が施設内で適正な訪問活動を行なったものと判定し、可搬型端末I/F部63を介して返却された可搬型端末70に返却時刻等を書き込み、ゲート等を開放して訪問者の退場を許可する。
【0121】
一方、係るチェックの結果、退出不許可コードが検出された場合は、訪問者が適正な面会者と面談をしていないことを意味し、場内における訪問者の行動に不審点が見出されるため、来訪者管理制御部65は、ゲート等を閉鎖したまま、所定の警報処理或いは関係部所への通知処理を実施する。
【0122】
なお、以上の本事例の説明では、前述した図14に示された事例をベースとしたシステムについて説明を行なったが、例えば、図8に示すように来訪者管理装置60が操作表示部62を有する事例をベースとしてシステムを構成しても良い。この場合は、訪問者が操作表示部62を用いて予め面会者等の情報を可搬型端末70の内部メモリ入力できるので、訪問者が予定された面会者A〜Cの全ての面会を終了させたことをもって、上記の退出不許可コードの抹消処理を行なうようにしても良い。これによって、システムのセキュリティをさらに高めることができる。
【0123】
また、後述する第3実施例(本発明の第1実施例と第2実施例とを組み合わせたシステム)において、上記の退出不許可コードに関する概念を導入するようにしても良い。これによって、施設内において訪問者が訪れる予定の面会者に関するデータが、A社本部に設けられた中央処理装置10から訪問者受付装置20を介して来訪者管理装置60または60aに送られてくるため、訪問者が操作表示部62を用いて予め面会者等の情報を入力する手間を省くことができる。
【0124】
(実施例2おける他の応用例)
さらに、本実施例2による入退出管理システムの他の応用事例としては、例えば、施設内に設けた複数のポイントに、無線媒体を用いて可搬型端末70へのデータ書き込みを強制的に行う無線標識端末装置90(図18参照)を配置する構成としても良い。無線標識端末装置90には、端末毎に固有の端末識別コードが付されており、例えば、電波等の所定の無線媒体を介して係る端末識別コードを、図18の1a〜3cに示すような各無線標識端末装置90の周辺エリアに送信している。
【0125】
因みに、無線標識端末装置90からの無線媒体の送出は常時行われるようにしても良いが、省エネルギーの観点に鑑みれば間欠的に送出を行なうことが好ましい。また、端末識別コードによって各無線標識端末装置90を識別できるため、各装置から送出される無線媒体は全て同一の形式が採用できる(例えば、無線媒体として電波を用いた場合は、同一の周波数、かつ同一の変調方式を用いることができる)。
【0126】
一方、本事例において用いられる可搬型端末70aの構成を図19に示す。同図に示された可搬型端末70aの基本構成は、前述の図10に示されたものと同一であるが、無線標識端末装置90からの無線媒体による送信信号を受信し、同信号に重畳された端末識別コードを抽出して、これをデータ記憶部72に書き込む無線信号受信部76を更に含んでいる点で相違する。
【0127】
可搬型端末70aを携帯した訪問者が無線標識端末装置90の無線媒体がカバーしている周辺エリアに入ると、当該装置からの送信信号を受信した無線信号受信部76は、受信信号から抽出した端末識別コードをデータ記憶部72に書き込む。なお、係るデータの書き込みは、読込みスイッチ75の押下によらず行われることはいうまでもない。
【0128】
また、上記データの書き込みに際しては、当該装置からの送信信号を受信し端末識別コードを抽出した時刻を、可搬型端末制御部74に内蔵された時刻機能(図示せず)から読み込み、これを端末識別コードと共にデータ記憶部72に書き込むようにしても良い。あるいは、前述した面会者情報の書き込みのときと同様に、端末識別コードの書き込み時刻も当該コードと共にデータ記憶部72に書き込まれるようにしても良い。さらにまた、無線標識端末装置90は、端末識別コードを送信するときに時刻情報を共に送信し、無線信号受信部76は、端末識別コードと当該時刻情報の双方を受信・抽出して、これをデータ記憶部72に書き込むようにしても良い。
【0129】
なお、訪問者が、例えば、面会者Aと面談を行なう場合には、面会者Aの職場近傍にある端末装置の周辺エリア1aに長時間留まることになり、その間、当該エリアに設置された無線標識端末装置90からの送信信号を何度も受信することになる。係る場合には、データ記憶部72のメモリ容量の節約を図る観点から、可搬型端末制御部74において、今回受信した端末識別コードと前回受信した端末識別コードとを比較し、コードが同一の場合には今回受信したデータの書き込みを行わないようにしても良い。
【0130】
それ故、このような無線標識端末を応用した事例による入退出管理システムにおいては、来訪者管理装置60、或いは入退出管理用の管理サーバーによって可搬型端末70のチェックが為された際に、訪問者の面会者への面会履歴だけではなく、施設内における訪問者の移動ルートも明確となり、施設内での訪問者の行動をより正確に把握することが可能となる。
【実施例3】
【0131】
次に、本発明の他の実施形態である実施例3について説明を行なう。因みに、実施例3による入退出管理システムは、図15のシステム構成図に示されるように、前述の実施例1および実施例2による入退出管理システムを組み合わせたものである。即ち、本実施例3による入退出管理システムは、主に、A社本部に設けられた中央処理装置10、A社各施設に設けられた訪問者受付装置20、同じく各施設に設けられた来訪者管理装置60、および同装置に内蔵された可搬型端末70から構成される。
【0132】
本実施例におけるA社施設内の訪問者受付装置20と、来訪者管理装置60との関係を図16に示す。同図に示されるように、訪問者受付装置20と来訪者管理装置60とは、互いに来訪者管理装置I/F部28、および訪問者受付装置I/F部66の二つのインターフェイス部位によって接続されている。
【0133】
これらのインターフェイス部位は、例えば、IDEやIEEE1284のようなパラレル・インターフェイス・バス、或いは、USBやIEEE1394のようなシリアル・インターフェイス・バスによって互いに接続されており、所定の通信処理手順に基づいて相互にデータの授与を行うものである。
【0134】
因みに、上記各々のインターフェイス部位の間における通信処理手順は、二つの部位が互いに同等の立場でデータの授与を行う構成であっても良いし、或いは、相互のどちらかをマスター(主局)とし、他の一方をスレーブ(従局)として、マスター側の通信制御指令に基づいて相互間のデータの授与を行う構成であっても良い。
【0135】
なお、運用ならびに保守の容易性という点に鑑みれば、図15のシステム構成図に模式的に示したように、訪問者受付装置20と来訪者管理装置60の双方を一つの筐体内に収納して、あたかも一体の施設側装置として構成することが好ましい。また、装置筐体内に所定の切換手段(図示せず)を設け、受付装置20の操作表示部22と、来訪者管理装置60の操作表示部62とを一台の操作表示部で共用する構成としても良い。
【0136】
本実施例3による入退出管理システムは、以上に説明した実施例1および実施例2を合わせた場合と同様であるためその詳細な説明は省略するが、本実施例の場合は、中央処理装置10が実施例2の後半において言及した入退出管理用の管理サーバーの役目を担うことになる。したがって、中央処理装置10のデータベース部11に設けられた訪問案件データファイルには、実施例2の場合における各種の情報が当該案件にリンクされて記憶される。
【0137】
すなわち、訪問案件データファイルには、実施例1の図5に示された事項に加えて施設内における訪問者の行動履歴も追加され、中央処理装置10は、同ファイルの訪問案件登録番号を用い、これらの情報を全て勘案して施設における訪問者の入退出管理を行なうことができる。したがって、施設から退出する訪問者の行動に異常が検出された場合は、例えば、施設出入り口のゲート装置30を閉ざして訪問者を施設内に足止めし、施設内のセキュリティ保全部門に通報を行う等の迅速な対応が可能となる。
【0138】
以上に説明したように、本発明による各実施例によれば、施設への訪問者の入退出管理をトータル的に行うことが可能であり、訪問者に対するセキュリティ対策を大幅に向上させることができる。
【0139】
なお、本発明は以上に説明した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、本発明を構成する各部位の形状や配置、或いはその素材等は、本発明の趣旨を逸脱することなく、現実の実施対応に即して適宜変更ができるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0140】
以上に説明した本発明の構成は、施設内の面会者に対して施設外の訪問者が頻繁に訪れる環境にあって、施設への訪問者の入退出をトータル的に管理するシステムにおいてその利用が可能である。

【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明の第1の実施例による入退出管理システムの構成を示す図である。
【図2】図1の訪問者受付装置20の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の中央処理装置10の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施例による入退出管理システムの動作処理(訪問案件登録時)を説明する第1の図である。
【図5】本発明の第1の実施例における訪問案件データファイルの構成例を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施例による入退出管理システムの動作処理(訪問者来訪時)を説明する第2の図である。
【図7】本発明の第1の実施例による入退出管理システムの動作処理(訪問者来訪時)を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施例による入退出管理システムの構成を示す図である。
【図9】図8の来訪者管理装置60の構成を示す図である。
【図10】図8の可搬型端末70の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施例による入退出管理システムの動作処理(入場時)を説明する第1の図である。
【図12】本発明の第2の実施例による入退出管理システムの動作処理(面会時)を説明する第2の図である。
【図13】本発明の第2の実施例による入退出管理システムの動作処理(退出時)を説明する第3の図である。
【図14】本発明の第2の実施例による入退出管理システムの他の構成を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施例による入退出管理システムの構成を示す図である。
【図16】図15のA社施設内における各装置の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の第2の実施例による入退出管理システムの他の構成を示す図である。
【図18】本発明の第2の実施例による入退出管理システムの他の構成を示す図である。
【図19】図18の可搬型端末70aの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0142】
10 … 中央処理装置
11 … データベース部
12 … 通信網I/F部
13 … 管理制御部
20 … 訪問者受付装置
21 … 撮影カメラ
22 … 操作表示部
23 … カメラI/F部
24 … 操作表示I/F部
25 … ゲートI/F部
26 … 通信網I/F部
27 … 動作制御部
28 … 来訪者管理装置I/F部
30 … 入退出ゲート装置
40 … 訪問者携帯電話機
50 … 面会者携帯電話機
60、60a … 来訪者管理装置
61 … 可搬型端末収納機構部
62 … 操作表示部
63 … 可搬型端末I/F部
64 … 操作表示I/F部
65 … 来訪者管理制御部
66 … 訪問者受付装置I/F部
70、70a … 可搬型端末
71 … データ読込み部
72 … データ記憶部
73 … データ出力部
74 … 可搬型端末制御部
75 … 読込みスイッチ
76 … 無線信号受信部
80 … 面会者記憶媒体
90 … 無線標識端末



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の施設に設置された訪問者受付装置と、所定の通信回線網を介して前記訪問者受付装置の各々と接続された中央処理装置とを含み、施設への訪問予定者の予約が為された際に、前記中央処理装置は、該訪問予定者に対して固有の訪問者識別コードを付与・登録し、該訪問予定者の所持する携帯端末に対して前記訪問者識別コードを予め送信する入退出管理システムであって、
前記中央処理装置は、
前記訪問者識別コードと、訪問予定者の所持する携帯端末から中央処理装置に送信された訪問予定者の顔写真データとを関連付けて登録したデータベース手段を含み、
前記訪問者受付装置は、
前記訪問予定者の施設への来訪時に、当該訪問者の所持する携帯端末から提示された前記訪問者識別コードと、来訪時に当該訪問者を撮影した顔写真データとを取り込んで前記中央処理装置に送信する訪問者情報取込み手段を含み、
前記中央処理装置は、前記データベース手段に登録されている訪問者識別コードおよび顔写真データと、前記訪問者情報取込み手段から送られてきた訪問者識別コードおよび顔写真データとを比較して両者が一致した場合にのみ、訪問者の施設内への入場許可指令を前記訪問者受付装置に送ることを特徴とする入退出管理システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記訪問者識別コードを表示可能なディスプレイ画面と、訪問予定者自身を撮影可能なカメラ機能とを備えた携帯電話機であることを特徴とする請求項1に記載の入退出管理システム。
【請求項3】
施設の出入り口に設けられた来訪者管理装置と、当該装置筐体に対し着脱自在に設けられており、来訪者が施設内に携行する複数の可搬型端末とを含む入退出管理システムであって、
前記来訪者管理装置は、
前記可搬型端末に設けられた内部メモリに書き込まれた各種の情報を読み出す端末インターフェイス手段を含み、
前記可搬型端末は、
施設への来訪者の訪問先面会者が所持する記憶媒体に記録された固有の面会者識別コードを読み込み、かつ当該コードを前記内部メモリに書き込む面会者インターフェイス手段を含み、
来訪者が訪問先面会者に面会した際に、前記面会者インターフェイス手段は、来訪者もしくは訪問先面会者からの指令に応じて、前記面会者識別コードを前記内部メモリに書き込むことを特徴とする入退出管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の入退出管理システムにおいて、
前記端末インターフェイス手段によって前記内部メモリから読み出された面会者識別コードの有無のチェックにより、施設内における来訪者の行動履歴の適否を判定する方法。
【請求項5】
前記来訪者管理装置は、
前記可搬型端末に設けられた内部メモリに書き込まれた各種の情報を読み出す機能と共に、前記内部メモリに各種の情報を書き込む機能を併せ持つ、端末インターフェイス手段を含み、
前記可搬型端末は、
施設への来訪者の訪問先面会者が所持する記憶媒体に記録された固有の面会者識別コードを読み込み、その読み込み時刻と共に前記内部メモリに書き込む面会者インターフェイス手段を含み、
来訪者が施設へ入場する際には、前記端末インターフェイス手段は、当該来訪者に固有の来訪者識別コードおよび入場時刻を来訪者入場情報として前記内部メモリに書き込み、
来訪者が訪問先面会者に面会した際には、前記面会者インターフェイス手段は、来訪者若しくは面会者の指令に応じて、前記面会者識別コードおよびその読み込み時刻を面会者情報として前記内部メモリに書き込み、
来訪者が施設から退場する際には、前記端末インターフェイス手段は、退場時刻を来訪者退場情報として前記内部メモリに書き込むことを特徴とする請求項3に記載の入退出管理システム。
【請求項6】
前記端末インターフェイス手段が読み出した前記可搬型端末の内部メモリの情報に基づいて、施設への来訪者の各々の行動履歴を管理する管理サーバー手段を、さらに含むことを特徴とする請求項3に記載の入退出管理システム。
【請求項7】
前記来訪者管理装置は、前記端末インターフェイス手段が読み出した前記可搬型端末の内部メモリの情報に基づいて、施設への来訪者の各々の行動履歴を管理する管理サーバー手段を、さらに含むことを特徴とする請求項3に記載の入退出管理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の訪問者受付装置と中央処理装置、および請求項7に記載の来訪者管理装置と可搬型端末を備えたことを特徴とする入退出管理システム。
【請求項9】
請求項1に記載の訪問者受付装置と、請求項1に記載の中央処理装置であって更に請求項6に記載の管理サーバー手段の機能を含む中央処理装置、および請求項3に記載の来訪者管理装置と可搬型端末とを備えたことを特徴とする入退出管理システム。
【請求項10】
施設の出入り口に設けられた来訪者管理装置と、当該装置筐体に対し着脱自在に設けられており来訪者が施設内に携行する複数の可搬型端末に加え、さらに、各々の来訪者の行動履歴を管理する管理サーバー手段とを備えたことを特徴とする入退出管理システムであって、
前記来訪者管理装置は、
前記可搬型端末に設けられた内部メモリに書き込まれた各種の情報を読み出す機能と共に、前記内部メモリに各種の情報を書き込む機能を併せ持つ、端末インターフェイス手段を含み、
前記可搬型端末は、
施設への来訪者の訪問先面会者が所持する記憶媒体に記録された固有の面会者識別コードを読み込み、その読み込み時刻と共に前記内部メモリに書き込む面会者インターフェイス手段を含み、
来訪者が施設へ入場する際には、前記端末インターフェイス手段は、当該来訪者に固有の来訪者識別コードおよび入場時刻を来訪者入場情報として前記内部メモリに書き込み、
来訪者が訪問先面会者に面会した際には、前記面会者インターフェイス手段は、来訪者若しくは面会者の指令に応じて、前記面会者識別コードおよびその読み込み時刻を面会者情報として前記内部メモリに書き込み、
来訪者が施設から退場する際には、前記端末インターフェイス手段は、前記内部メモリから前記来訪者入場情報および面会者情報を読み出して、来訪者の退場時刻を示す来訪者退場情報と共に前記管理サーバー手段に送信することを特徴とする入退出管理システム。
【請求項11】
請求項10に記載の入退出管理システムにおいて、
前記端末インターフェイス手段より送信された前記来訪者入場情報、前記面会者情報、および前記来訪者退場情報に基づいて、施設への来訪者の各々の行動履歴を管理する方法。
【請求項12】
来訪者が施設に入場する際に、前記来訪者管理装置は、前記端末インターフェイス手段を介して前記可搬型端末に設けられた内部メモリに施設からの退出不許可コードを書き込み、
来訪者が訪問先面会者に面会した際に、前記可搬型端末は、前記面会者インターフェイス手段を介して前記面会者情報を前記内部メモリに書き込むと同時に前記退出不許可コードを内部メモリから消去し、
来訪者が施設から退場する際に、前記来訪者管理装置は、前記端末インターフェイス手段を介して前記可搬型端末に設けられた内部メモリから前記退出不許可コードの存否を検知し、当該コードを検出した場合に所定の警報処理を行なうことを特徴とする請求項5に記載の入退出管理システム。
【請求項13】
施設内の複数個所に設置され、端末毎に固有の端末識別コードを所定の無線媒体を介して各端末の周辺地域内に送信する無線標識端末と、
前記可搬型端末の内部において、前記無線標識端末からの送信信号を受信し該信号に含まれた前記端末識別コードを前記内部メモリに書き込む無線信号受信手段と、をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の入退出管理システム。
【請求項14】
前記無線信号受信手段は、前記端末識別コードを前記内部メモリに書き込むと共に、前記無線標識端末からの送信信号を受信した時刻、もしくは前記端末識別コードを書き込む時刻を、前記内部メモリに書き込むことを特徴とする請求項13に記載の入退出管理システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−48817(P2011−48817A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154382(P2010−154382)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(591165252)キング通信工業株式会社 (22)
【Fターム(参考)】