説明

全反射減衰を利用した測定方法及びそのプログラム

【課題】 測定領域と参照領域とを個別の流路で送液する際の、測定精度の低下を抑えるとともに、装置の大型化や複雑化をも抑える。
【解決手段】 センサユニット10には、プリズム14の上面に形成された金属膜25と、この金属膜25に液体を接触させながら送液する流路20とからなるセンサセル18が複数設けられている。SPR測定装置30は、送液ヘッド32に設けられた一対のピペット46a、46bで、試料溶液を各センサセル18の流路20に注入する。この際、ピペット46a、46bが吸引保持した試料溶液を、各センサセル18の流路20に等量ずつ分配して注入する。これにより、送液ヘッド32の移動時間が短くなり、注入タイミングの時間差に起因する測定精度の低下が抑えられる。また、流路20毎にピペットを設ける必要がないので、装置の大型化や複雑化も抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性を有する誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層と、試料が溶解した試料溶液を前記薄膜層に接触させながら送液する流路とからなるセンサセルが複数設けられたセンサユニットに、全反射条件を満たす光を照射して前記薄膜層上での前記試料の反応を測定する全反射減衰を利用した測定方法と、この測定方法を実行させるプログラムとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンパク質やDNAなどの生化学物質間における相互作用の測定や、薬品のスクリーニングなどを行う際に、全反射減衰を利用して試料の反応を測定する測定装置が知られている。
【0003】
このような全反射減衰を利用した測定装置の1つに、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)現象を利用した測定装置(以下、SPR測定装置と称す)がある。なお、表面プラズモンとは、金属中の自由電子が集団的に振動することによって生じ、その金属の表面に沿って進む自由電子の粗密波である。
【0004】
例えば、特許文献1などで知られるKretschmann配置を採用したSPR測定装置では、透明な誘電体(以下、プリズムと称す)上に形成された金属膜の表面をセンサ面として、このセンサ面上で試料を反応させた後、プリズムを介してセンサ面の裏面側から全反射条件を満たすように金属膜を照射し、その反射光を測定している。
【0005】
全反射条件を満たすように金属膜に照射された光のうち、エバネッセント波と呼ばれるわずかな光は、反射せずに金属膜内を透過してセンサ面側に染み出す。この際、エバネッセント波の振動数と表面プラズモンの振動数とが一致するとSPRが発生し、反射光の強度を大きく減衰させる。また、この減衰が発生する光の入射角度(共鳴角)は、金属膜上の屈折率に応じて変化する。すなわち、SPR測定装置は、金属膜からの反射光を捉えて共鳴角を検出することにより、センサ面上の試料の反応状況を測定する。
【0006】
ところで、タンパク質やDNAなどの生体試料は、乾燥による変性や失活を防ぐため、生理的食塩水や純水、または各種のバッファ液などの溶媒に溶かされた試料溶液として扱われることが多い。特許文献1記載のSPR測定装置は、こうした生体試料の相互作用などを調べるものであり、センサ面の上には試料溶液を送液するための流路が設けられている。また、センサ面にはリガンドとなる試料を固定させるためのリンカー膜が設けられており、流路にリガンド溶液を注入してリンカー膜にリガンドを固定(固定工程)させた後、アナライト溶液を注入してリガンドとアナライトとを接触(測定工程)させることにより、その相互作用を測定する。
【0007】
流路とプリズムは、装置本体に設けられた測定ステージに配置されている。前述の測定は、ガラス基板上に金属膜を形成したチップ型のセンサユニットを測定ステージにセットすることで行われる。流路には、配管(ゴムチューブなどを含む)やバルブなどを介してポンプが接続されており、このポンプによって容器に保管された試料溶液を流路内に送り込むようにしているが、この方法では、配管内に付着した試料が後に注入する試料溶液中に混入してしまう、いわゆるコンタミネーションが生じやすいという問題があった。
【0008】
この問題を解決するため、本出願人は、先端に小孔が形成された略円錐筒状のピペットチップと、このピペットチップを着脱自在に保持するヘッド部とからなるピペットを用いて、容器に保管された試料溶液などの液体を流路に送液するSPR測定装置を提案している(例えば、特願2004−288534号明細書参照)。このSPR測定装置では、送液する液体毎にピペットチップを交換することで、流路に液体を送り込む際に生じるコンタミネーションを防止することができる。
【0009】
また、このSPR測定装置では、流路が形成された流路部材と、上面に金属膜が形成されたプリズムと、流路部材の底面とプリズムの上面とを接合させた状態(流路と金属膜とを対面させた状態)で保持する保持部材とからなるセンサユニットを用いている。このセンサユニットの金属膜上にも、前述と同様のリンカー膜が設けられており、リガンド溶液やアナライト溶液などの試料溶液をピペットで流路内に送り込むことによって測定が行われる。
【0010】
リンカー膜には、リガンドとの結合基を有する測定領域と、結合基を失活させた参照領域とが形成されている。上述のSPR測定装置は、光源から測定領域と参照領域とに光を照射し、それぞれの領域からの反射光を検出器で光電変換して測定信号と参照信号とを取得している。こうして得られた2つの信号の差や比を求めて補正を行うと、センサユニットの個体差や液体の温度変化などの外乱に起因するノイズをキャンセルした精度の高い測定結果を得ることができる。
【特許文献1】特許第3294605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、タンパク質やDNAなどの生体試料を扱う測定では、目的としない物質がリンカー膜上に結合してしまう、いわゆる非特異吸着が問題になる。測定領域と参照領域とに生じる非特異吸着量が均等であれば、前述の補正を行うことで非特異吸着の影響も抑えることができるが、結合基を有する測定領域と、結合基を失活させた参照領域とでは、表面の性質が異なるため、送液する試料の種類によっては、各領域での非特異吸着の量に差が生じてしまうことがあった。こうした差は、補正を行っても除去されず、測定誤差の要因となってしまう。
【0012】
また、測定領域と参照領域とを別々に形成し、それぞれ個別の流路で送液するようにすると、測定領域にのみリガンド溶液を送液できるようになる。これにより、参照領域の結合基を失活させることなく、各領域の表面の性質を合わせて非特異吸着量に差が生じることを防止することができるが、各領域の流路にピペットで順番に試料溶液を注入していくと、測定信号と参照信号との間に大きな時間差が生まれてしまうため、精度の高い測定を行うことができない。一方で、各領域の流路毎にピペットを設けて、各領域に同時に送液することも考えられるが、装置の大型化や複雑化、及びこれらにともなうコストアップなどが懸念される。
【0013】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、測定領域と参照領域とを個別の流路に分けて各領域での非特異吸着量の差を防止する際に、各信号の時間差による測定精度の低下を抑えるとともに、装置の大型化や複雑化をも抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を達成するため、本発明の全反射減衰を利用した測定方法は、透光性を有する誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層と、試料が溶解した試料溶液を前記薄膜層に接触させながら送液する流路とからなるセンサセルが複数設けられたセンサユニットをセットし、前記試料溶液の吸引と吐出とを行うピペットで前記流路に前記試料溶液を注入して前記薄膜層に前記試料を接触させ、光源から前記薄膜層に向けて照射された全反射条件を満たす光の反射光を検出器で受光して光電変換することにより、前記薄膜層上での前記試料の反応状況を表す測定信号を取得する際に、容器に収容された前記試料溶液を前記ピペットで吸引し、前記ピペットが吸引保持した前記試料溶液を複数の前記流路に等量ずつ分配して注入することを特徴とする。
【0015】
なお、前記各センサセルには、前記測定信号を前記検出器で取得するための測定領域を有する測定用センサセルと、前記測定信号のノイズを除去する際に用いられる参照信号を前記検出器で取得するための参照領域を有する参照用センサセルとが、少なくとも1つずつあり、前記ピペットが吸引保持した前記試料溶液の半分を、前記測定用センサセルと前記参照用センサセルとのいずれか一方に注入した後、前記ピペットを移動させて、残り半分の前記試料溶液を他方に注入することが好ましい。
【0016】
また、前記測定信号と前記参照信号とを、前記試料溶液の注入前から前記検出器によって同時に取得し、前記測定信号から前記参照信号を差し引いて、前記測定信号のノイズを除去する際に、前記測定用センサセルと前記参照用センサセルとの間の前記ピペットの移動に起因する前記試料溶液の注入タイミングの時間差を補正することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明のプログラムは、透光性を有する誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層と、試料が溶解した試料溶液を前記薄膜層に接触させながら送液する流路とからなるセンサセルが複数設けられたセンサユニットのセットが可能な測定ステージと、前記試料溶液の吸引と吐出とを行って前記流路に前記試料溶液を注入するピペットと、前記薄膜層に向けて全反射条件を満たす光を照射する光源と、前記薄膜層からの反射光を受光して光電変換することにより、前記薄膜層上での前記試料の反応状況を表す測定信号を取得する検出器と、これらの各部を統括的に制御する制御部とを備えた全反射減衰を利用した測定装置に用いられ、容器に収容された前記試料溶液を前記ピペットに吸引させるステップと、前記ピペットが吸引保持した前記試料溶液を複数の前記流路に等量ずつ分配して注入するステップとを前記制御部に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ピペットが吸引保持した試料溶液を複数の流路に等量ずつ分配して注入するようにしたので、逐一容器まで戻って試料溶液を吸引することなく連続して複数の流路に試料溶液を注入することができる。これにより、測定領域と参照領域とを個別の流路に分けて各領域での非特異吸着量の差を防止する際にも、各信号の時間差による測定精度の低下を抑えることができる。また、流路毎にピペットを設ける必要がないので、装置が大型になったり、複雑になったりすることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、SPRを利用した測定に用いられるセンサユニット10の分解斜視図である。センサユニット10は、流路20が形成された流路部材12と、SPRを発生させるための金属膜(薄膜層)25が上面に形成されたプリズム(誘電体ブロック)14と、流路部材12の底面とプリズム14の上面とを接合させた状態で保持する保持部材16とからなる。
【0020】
金属膜25の表面には、リガンドとなる試料を固定させるための結合基を有するリンカー膜26が、長尺状のプリズム14と金属膜25との長手方向に沿って所定の間隔を隔てて複数(本例では6つ)設けられている。固定されたリガンドとアナライトとの反応を測定する領域となる各リンカー膜26は、センサユニット10の製造段階において予め形成されるものであり、例えば、カルボキシメチルデキストランなどが用いられる。なお、各リンカー膜26の材料は、固定するリガンドの種類などに応じて適宜選択される。
【0021】
流路部材12は、これらのリンカー膜26毎に用意され、各流路20と各リンカー膜26とが対面するように金属膜25上に並べて配置される。なお、本例では、1つの流路20が形成された流路部材12を6つ用いるようにしているが、6つの流路20が並べて形成された長尺状の流路部材を用いるようにしてもよい。また、本例では、6つのリンカー膜26を製膜するようにしているが、これに限らず、例えば、金属膜25の全面に1つのリンカー膜を製膜するようにしてもよい。
【0022】
流路部材12は、略直方体状に成形されており、その長手方向に沿って流路20が設けられている。流路20は、流路部材12の上面に2つの出入口20a、20bを有しており、流路部材12の底面に形成された直線状の溝部20cと、この溝部20cの一端から流路部材12の上面に貫通して出入口20aを形成する送排液管20dと、溝部20cの他端から流路部材12の上面に貫通して出入口20bを形成する送排液管20eとによって、略コの字型に成形されている。なお、各流路20の管径は、例えば、1mm程度であり、各出入口20a、20bの間隔は、例えば、10mm程度である。
【0023】
各流路20の溝部20cは、流路部材12がプリズム14に当接した際に、金属膜25によって覆われて密閉されるとともに、その中央付近でリンカー膜26と対面する。これにより、各流路20は、一方の出入口から注入された液体を、各溝部20cで金属膜25、及びリンカー膜26に接触させながら流し、他方の出入口から排出させる。以降、これら流路20、金属膜25、リンカー膜26によって構成される部分を、センサセル18(図2参照)と称す。つまり、本例のセンサユニット10では、各流路部材12とプリズム14とによって、6つのセンサセル18が構成される。
【0024】
また、流路部材12には、例えば、ゴムやPDMS(ポリジメチルシロキサン)などといった弾性材料が用いられている。これにより、流路部材12の底面をプリズム14の上面に圧接させた際に、流路部材12が弾性変形して金属膜25との接合面の隙間を埋め、金属膜25との密着性を高める。
【0025】
ところで、各流路20に液体を入れ替えるようにして送液を行うと、排出する液体が流路内に微量に残留してしまい、次に注入する液体と混ざり合ってしまうことがある。こうした混液の度合い(以下、置換率と称す)は、例えば、流路20の中央付近と壁面付近や、注入する出入口の付近と排出する出入口の付近など、流路20内の場所によっても変化する。このため、本例では、各溝部20cの中央付近と各リンカー膜26とが対面するようにし、どちらの出入口から液体を注入した際にも、置換率に大きな差が生じないようにしている。但し、注入する出入口に近いほど置換率がよいことが知られており、各出入口20a、20bが、注入と排出とのいずれか一方に決められている場合には、注入側の各出入口20a、20bに近い位置で溝部20cとリンカー膜26とを対面させるようにしてもよい。
【0026】
プリズム14は、その上面に金属膜25が形成された透明な誘電体であり、底面側から全反射条件を満たすように照射された光を上面(金属膜25)に集光する。金属膜25は、各流路部材12に形成された流路20と対面するように、例えば、蒸着法などによって短冊状に成形されている。この金属膜25としては、例えば、金や銀などが使用され、その膜厚は、例えば、50nmである。なお、この膜厚は、金属膜25の素材、プリズム14に照射される光の波長などに応じて適宜選択される。
【0027】
プリズム14の長手方向の両側面には、保持部材16の係合部16aと係合する係合爪14aが設けられている。これらの係合により、各流路部材12が保持部材16とプリズム14とによって挟み込まれ、その底面とプリズム14の上面とが圧接された状態で保持される。こうして、各流路部材12、プリズム14、保持部材16の各部が一体化し、センサユニット10が構成される。なお、プリズム14には、例えば、ホウケイクラウン(BK7)やバリウムクラウン(Bak4)などに代表される光学ガラスや、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネイト(PC)、非晶性ポリオレフィン(APO)などに代表される光学プラスチックなどを用いることができる。
【0028】
保持部材16の上面には、各流路20の各出入口20a、20bに対応する位置に、ピペット(図2参照)の先端が進入する受け入れ口16bが形成されている。各受け入れ口16bは、ピペットから吐出される液体が各出入口20a、20bへ導かれるように、漏斗形状をしている。保持部材16が各流路部材12を挟み込んでプリズム14と係合すると、各受け入れ口16bの下面は、各出入口20a、20bのそれぞれと接合して、各受け入れ口16bと流路20とが連結される。
【0029】
なお、センサユニット10のプリズム14や保持部材16などに、例えば、非接触式のICメモリであるRFID(Radio Frequency IDentification)タグなどを取り付けるようにしてもよい。例えば、読み込み専用のRFIDタグにセンサユニット10毎の固有のID番号を書き込んでおき、測定などの各工程を行う前にこのID番号を読み込むことで、センサユニット10の識別を行うことができる。これにより、複数のセンサユニット10を同時に処理する際にも、間違ったアナライトの注入や、測定結果の取り違えなどといった問題の発生を防止することができる。さらには、読み書き可能なRFIDタグを用いて、例えば、固定したリガンドの種類やリガンドを固定させた日時、及び反応させたアナライトの種類などを、測定に掛かる各工程毎に書き込んでいくようにしてもよい。
【0030】
図2は、全反射減衰を利用した測定装置としてのSPR測定装置30の構成を概略的に示す説明図である。SPR測定装置30は、センサユニット10の金属膜25上での試料の反応状況を表すSPR信号を取得する測定部31と、センサユニット10の各流路20に種々の液体を送液する送液ヘッド32、及びこれらの各部を統括的に制御するコントローラ(制御部)33によって構成されている。コントローラ33は、測定プログラム(プログラム)34aを記憶するメモリ34と、この測定プログラム34aに従って逐次演算処理を行うCPU35と、CPU35の演算結果に応じてSPR測定装置30内の各部と信号を送受する入出力制御回路36とからなる。つまり、このコントローラ33は、メモリ34に記憶された測定プログラム34aをCPU35が逐次処理し、入出力制御回路36を介して各種の制御信号を送受することによってSPR測定装置30の各部を制御し、測定を実行する。
【0031】
測定部31は、センサユニット10に全反射条件を満足するように光を照射する2つの照明40、41と、センサユニット10によって全反射した光を受光して電気信号に光電変換する検出器42とからなる。各照明40、41と検出器42とは、図示を省略した測定ステージに固定される。測定ステージは、例えば、台形状に成形された台座であって、各照明40、41と検出器42とを全反射条件を満足する所定の角度で固定するとともに、センサユニット10を着脱自在に保持して各照明40、41の光路上にセンサユニット10を位置決めする。また、各照明40、41と検出器42とは、コントローラ33に接続されている。各照明40、41は、コントローラ33によって点灯、及び消灯が制御される。検出器42は、コントローラ33からの駆動信号に基づいて駆動され、変換した電気信号をコントローラ33に出力する。
【0032】
各照明40、41は、全反射条件を満足する様々な入射角の光を、プリズム14に向けて照射する。各照明40、41は、例えば、集光レンズ、拡散板、偏光板などからなる光学系と、光源(いずれも図示は省略)とから構成されており、全反射条件を満足するとともに、プリズム14に入射して上面に集光された光が、それぞれ各センサセル18に照射されるように配置位置および設置角度が調整されている。
【0033】
各照明40、41の光源としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、SLD(Super Luminescent Diode)などの発光素子が使用される。各照明40、41は、こうした発光素子を1個使用し、この単一光源からプリズム14に向けて光を照射する。拡散板は、光源からの光を拡散させ、発光面内の光量ムラを抑える。偏光板は、照射光のうち、SPRを生じさせるp偏光のみを通過させる。なお、LDを使用する場合など、光源が発する光線自体の偏光の向きが揃っている場合には、偏光板は不要である。また、偏光が揃っている光源を使用した場合でも、拡散板を通過することにより、偏光の向きが不揃いになってしまう場合には、偏光板を使用して偏光の向きを揃える。こうして拡散および偏光された光は、集光レンズによって集光されてプリズム14に照射される。これにより、光強度にバラツキがなく様々な入射角を持つ光が、各センサセル18に入射する。
【0034】
検出器42には、例えば、CCDエリアセンサやフォトダイオードアレイなどが使用される。プリズム14の長辺側の一方の側面から入射した光は、プリズム14内を透過して内側からプリズム14の上面(金属膜25の裏面)に集光され、上面で全反射して他方の側面に抜ける。プリズム14には、様々な角度の光が入射するので、プリズム14の上面では、それらの入射光が、それぞれの入射角に応じた反射角で反射する。検出器42は、これらの様々な角度の反射光を受光し、それらを光電変換して光強度に応じたレベルのSPR信号として出力する。また、検出器42は、照明40からの光と、照明41からの光とを受光し、それぞれのSPR信号を出力する。すなわち、測定部31は、各照明40、41と、検出器42とによって、2チャンネルの計測を行うことができるように構成されている。
【0035】
リンカー膜26上の媒質に変化が生じると屈折率が変化して、反射光の光強度が減衰する光の入射角(SPRが発生する共鳴角)も変化する。リンカー膜26上にアナライトを送液すると、アナライトとリガンドの反応状況に応じてリンカー膜26上の屈折率が変化するため、それに応じて共鳴角も変化する。すなわち、リガンドとアナライトとの反応状況は、検出器42の受光面内における反射光の減衰位置の推移として表れる。SPR測定装置30は、取得したSPR信号から減衰位置の推移を解析することによって、アナライトの特性を解析する。
【0036】
また、SPR測定装置30は、リガンドとアナライトとの反応状況を測定する際、各照明40、41の光路上に位置する2つのリンカー膜26のうち、いずれか一方にのみリガンドを固定させる。測定部31は、各照明40、41から同時に光を照射し、リガンドとアナライトとの反応状況を示すSPR信号(以下、測定信号と称す)と、リンカー膜26にリガンドを固定させずに、アナライトだけを送液した際のSPR信号(以下、参照信号と称す)とを取得する。取得された各信号は、コントローラ33に出力され、例えば、メモリ34などに記憶される。
【0037】
コントローラ33は、メモリ34に記憶された測定信号と参照信号との差や比を求めて、その結果を最終的な測定データとし、この測定データを基にアナライトの特性を解析する。これにより、センサユニット10の個体差や液体の温度変化など、外乱に起因するノイズをキャンセルした精度の高い測定結果を得ることができる。このように、本例のSPR測定装置30では、センサユニット10に含まれる6つのセンサセル18のうち、2つを1組として使用し、1つのセンサユニット10で3つの試料の測定を行うことができる。
【0038】
なお、本例では2つの照明40、41を設けて各リンカー膜26の測定を行うようにしているが、これに限ることなく、例えば、単一光源からの光を分光して2つのリンカー膜26に照射するようにしてもよい。また、本例では、1つの検出器42で各照明40、41からの光を受光するようにしているが、各照明40、41のそれぞれに対応した2つの検出器を設けるようにしてもよい。さらには、センサユニット10に含まれる6つのセンサセル18を同時に測定できるように測定部31を構成するようにしてもよい。また、本例のセンサユニット10には、6つのセンサセル18が設けられているが、センサセル18は、少なくとも測定信号用と参照信号用とが、それぞれ1つずつ設けられていればよい。つまり、センサセル18は、センサユニット10に2つ以上設けられていればよい。
【0039】
送液ヘッド32には、流路20の各出入口20a、20bにアクセスするピペット46a、ピペット46bの一対のピペットが設けられている。各ピペット46a、46bのそれぞれには、例えば、シリンジポンプが接続されており、各シリンジポンプの駆動に応じて液体の吸引と吐出とが行われる。また、送液ヘッド32には、コントローラ33と、ヘッド移動機構37とが接続されている。コントローラ33は、測定プログラム34aに基づいて送液ヘッド32にシリンジポンプの駆動信号を送信し、各ピペット46a、46bの液体の吸引と吐出とを制御する。ヘッド移動機構37は、例えば、搬送ベルト、プーリ、キャリッジ、モータなどから構成される周知の移動機構であり、コントローラ33の制御の下、送液ヘッド32を前後左右上下の3方向に移動させる。
【0040】
送液ヘッド32の各ピペット46a、46bは、先端に小孔が形成された略円錐筒状をなしており、各々の間隔が各出入口20a、20bの間隔に対応するようにされている。また、各ピペット46a、46bの先端部は、交換可能なチップ状(以下、「ピペットチップ」と称す)にされている。ピペットチップは、送液する液体と直接接触するので、各ピペット46a、46bを介して異種の液体の混液が生じないように、送液毎に交換される。SPR測定装置30には、複数のピペットチップを保管するピペットチップ保管部(図示は省略)が設置されている。ピペットチップの交換は、ヘッド移動機構37を駆動して送液ヘッド32をピペットチップ保管部にアクセスさせることによって行われる。
【0041】
また、SPR測定装置30には、各流路20へ注入する種々の液体(リガンド溶液、アナライト溶液、洗浄液、バッファ液など)を収容するウエルプレート(容器)38が設置されている。ヘッド移動機構37は、送液ヘッド32を移動させて、ウエルプレート38や測定ステージにセットされたセンサユニット10などにアクセスさせる。
【0042】
送液ヘッド32には、各ピペット46a、46bを独立に突出させるピペット突出機構(図示は省略)が組み込まれている。送液ヘッド32は、ウエルプレート38にアクセスして各ウエル内の液体を吸引する際、図3(a)に示すように、液体を吸引する側のピペットのみを突出させて、ウエル内の液体に浸す。これにより、例えば、他方のピペットがウエル内に侵入して、異なる液体に浸されてしまうことなどが防止される。なお、本例では、1つのウエルプレート38の各ウエルに異なる液体を保管するようにしているが、保管する液毎に個別のウエルプレートを設けるようにしてもよい。
【0043】
一方、送液ヘッド32で各流路20に液体を送液する際には、図3(b)に示すように、各ピペット46a、46bを、流路20の各出入口20a、20bに挿し込む。送液ヘッド34は、この状態で一方のピペットから吸引した液体を吐出し、他方のピペットから流路20内の流体(空気や予め注入されていた液体など)を吸引することにより、各流路20内の流体を入れ換えるようにして送液を行う。
【0044】
次に、図4に示すフローチャートを参照しながら、上記構成によるSPR測定装置30の作用について説明する。CPU35は、例えば、SPR測定装置30への電源の投入や、測定実行の指示などに応じて、メモリ34から測定プログラム34aを読み出す。これにより、SPR測定装置30が測定可能な状態になる。リガンドとアナライトとの反応状況を測定する際には、まず、センサユニット10を測定ステージにセットし、各照明40、41のそれぞれの光路上にセンサセル18が来るように位置決めする。SPR測定装置30は、センサユニット10にリガンドを固定する固定工程と、固定したリガンドにアナライトを接触させて、その際のSPR信号を取得する測定工程と、取得したSPR信号を解析するデータ解析工程とを行って、リガンドとアナライトとの反応状況を測定する。
【0045】
SPR測定装置30は、センサユニット10がセットされた後、オペレータからの固定開始指示が入力されたことに応じて固定工程を開始する。SPR測定装置30のコントローラ33は、固定開始指示が入力されたことに応答してヘッド移動機構37を駆動し、送液ヘッド32をウエルプレート38に移動させる。送液ヘッド32をウエルプレート38にアクセスさせたコントローラ33は、ピペット突出機構を駆動してピペット46aを突出させ、リガンド溶液を保管するウエル内にピペット46aを進入させる。ウエル内に進入してリガンド溶液に浸されたピペット46aは、所定量のリガンド溶液を吸引する。ピペット46aにリガンド溶液を吸引させたコントローラ33は、送液ヘッド32をセンサユニット10に移動させる。センサユニット10に移動した送液ヘッド32は、各照明40、41のそれぞれの光路上に位置する2つのセンサセル18のうち、いずれか一方の流路20の各出入口20a、20bに各ピペット46a、46bを挿し込む。
【0046】
各ピペット46a、46bを挿し込んだコントローラ33は、ピペット46aが吐出、ピペット46bが吸引を行うように、それぞれを駆動して流路20内にリガンド溶液を注入する。これにより、リガンド溶液の注入によってリガンドが固定された一方のリンカー膜26が測定信号を取得するための測定領域となり、リガンドが固定されていない他方のリンカー膜26が参照信号を取得するための参照領域となる。以上により、固定工程が終了する。なお、流路20にリガンド溶液を注入する前に、流路20内の洗浄やリンカー膜26の活性化処理などを行うようにしてもよい。また、固定化が進行している間、流路20内のリガンド溶液を静置しておいてもよいが、各ピペット46a、46bの吸引と吐出とを交互に駆動し、流路20内のリガンド溶液を攪拌して流動させるようにしてもよい。こうすることで、リガンドとリンカー膜26との結合が促進され、リガンドの固定量を増加させることができる。
【0047】
一方のセンサセル18に測定領域を形成したSPR測定装置30は、温度などの環境条件を一定に保った状態でセンサユニット10を保持し、オペレータからの測定開始指示が入力されたことに応じて測定工程を開始する。コントローラ33は、測定開始指示が入力されたことに応答して、各照明40、41と検出器42とによるデータ読み取りを開始させる。また、これと同時に、ヘッド移動機構37を駆動して送液ヘッド32をウエルプレート38に移動させる。ウエルプレート38に送液ヘッド32を移動させたコントローラ33は、ピペット突出機構を駆動してピペット46aを突出させ、ピペット46aに所定量のアナライト溶液を吸引させる。
【0048】
ピペット46aにアナライト溶液を吸引させたコントローラ33は、送液ヘッド32をセンサユニット10に移動させ、測定領域を有する測定用のセンサセル18の流路20に、各ピペット46a、46bを挿し込む。各ピペット46a、46bを挿し込んだコントローラ33は、ピペット46aが吐出、ピペット46bが吸引を行うように、それぞれを駆動し、流路20内にアナライト溶液を注入する。この際、ピペット46aは、吸引したアナライト溶液のうち、約半分の量のみを流路20に注入する。測定用のセンサセル18に半分のアナライト溶液を注入したコントローラ33は、送液ヘッド32を移動させて、参照領域を有する参照用のセンサセル18の流路20に各ピペット46a、46bを挿し込み、ピペット46a内に残った半分のアナライト溶液を、その流路20内に注入する。このため、各ピペット46a、46bは、各流路20の容積に対して、2倍以上の液体を吸引保持できることが好ましい。
【0049】
このように、ピペット46aが吸引保持したアナライト溶液を各流路20に等量ずつ分配して注入するようにすれば、各流路20への注入を行う毎に逐一ウエルプレート38に戻る必要がないので、測定信号と参照信号との間に生じる時間差を少なくして、測定精度の低下を抑えることができる。また、吸引保持した同じアナライト溶液を各流路20に注入するので、アナライト溶液の濃度や温度の違いなどによる測定精度の低下も抑えることができる。さらに、流路20毎に各ピペット46a、46bを設ける必要がないので、送液ヘッド32などの大型化や、ヘッド移動機構37などの各種の機構の複雑化をも防止することができる。
【0050】
測定領域のリンカー膜26上では、アナライト溶液の注入に応じてリガンドとアナライトとが反応を始める。検出器42は、測定領域からの反射光に応じたSPR信号を測定信号として取得する。一方、参照領域のリンカー膜26上では、リガンドが固定されていないので、アナライト溶液の送液にともなう屈折率の変化のみが生じる。これにより、検出器42は、参照領域からの反射光に応じたSPR信号を参照信号として取得する。取得された各信号は、コントローラ33に送信され、メモリ34に保存される。
【0051】
各信号を取得したコントローラ33は、各照明40、41と検出器42とによるデータ読み取りを停止し、測定工程を終了する。なお、本例では省略したが、測定工程では、データ読み取りを開始した後、アナライト溶液を送液する前後に測定用バッファ液を各流路20に送液する。これにより、検出器42は、基準レベル(ベースライン)の検出、アナライトとリガンドの反応状況(結合状況)、結合したアナライトとリガンドとの脱離までの各SPR信号を取得する。
【0052】
測定工程を終了したコントローラ33は、測定信号から参照信号を差し引いて測定データを算出し、この測定データを基にしてリガンドとアナライトとの反応状況を解析する。この際、本例では、測定領域と参照領域とを、それぞれ別のセンサセル18に形成して各領域のリンカー膜26の表面の性質を合わせるようにしたので、各領域間に非特異吸着量の差が生じることを抑えることができる。これにより、前記測定データを求めることによって、非特異吸着の影響が確実に抑えられる。
【0053】
また、図5に示すように、測定信号と参照信号との間には、送液ヘッド32の移動にともなう時間差Δtが生じてしまう。このため、コントローラ33は、測定信号を時間tの関数ACT(t)、参照信号を時間tの関数REF(t)としたときに、次式(1)に示すように測定データを算出し、時間差Δtを補正する。このように各センサセル18間の送液ヘッド32の移動に起因するアナライト溶液の注入タイミングの時間差を補正することにより、測定精度の低下がさらに抑えられ、各流路20に同時にアナライト溶液を注入した場合とほとんど変わらない結果を得ることができる。
測定データ = ACT(t)−REF(t+Δt) ・・・ (1)
【0054】
なお、上記実施形態では、ピペット46a、46bで吸引保持したアナライト溶液を2つの流路20に半分ずつ注入するようにしているが、注入する流路20の数は、これに限ることなく、さらに多くの流路20に対して等量ずつ分配して注入するようにしてもよい。例えば、2つの測定領域と1つの参照領域、計3つの信号を同時に取得する場合などには、ピペットに吸引保持したアナライト溶液を、各領域に対応する流路20に3分の1ずつ分配して注入すればよい。
【0055】
また、上記実施形態では、送液ヘッド32に一対のピペット46a、46bを設け、各流路20への液体の注入と排出とを両方ピペットで行うようにしているが、例えば、各流路20への送液方向が一方向に限定されている場合などには、注入側にのみピペットを用いればよい。この際、排出側は、例えば、ポンプに接続されたパイプやチューブなどによって、流路20から溢れ出る液体を吸い上げるようにすればよい。
【0056】
さらに、上記実施形態では、各工程を一つのSPR測定装置30で行うようにしているが、各工程毎に装置を分けるようにしてもよい。こうすることで、複数のセンサユニット10を同時に処理することが可能となり、処理効率を向上させることができる。
【0057】
なお、上記実施形態では、誘電体ブロックとしてプリズム14を示しているが、誘電体ブロックには、この他に、光学ガラスや光学プラスチックなどを板状にしたものや、これらの板状のものとプリズムとを光学面平滑剤(例えば、光学マッチングオイル)で一体化させたものなどを含めるものとする。
【0058】
また、上記実施形態では、全反射減衰を利用した測定装置の一例として、SPR測定装置を示したが、全反射減衰を利用した測定装置としては、この他に、例えば、漏洩モードセンサが知られている。漏洩モードセンサは、誘電体と、この上に順に層設されたクラッド層と光導波層とによって構成された薄膜とからなり、この薄膜の一方の面がセンサ面となり、他方の面が光入射面となる。光入射面に全反射条件を満たすように光を入射させると、その一部が前記クラッド層を透過して前記光導波層に取り込まれる。そして、この光導波層において、導波モードが励起されると、前記光入射面における反射光が大きく減衰する。導波モードが励起される入射角は、SPRの共鳴角と同様に、センサ面上の媒質の屈折率に応じて変化する。この反射角の減衰を検出することにより、前記センサ面上の化学反応が測定される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】センサユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】SPR測定装置の構成を概略的に説明する説明図である。
【図3】送液ヘッドの動作を説明する説明図である。
【図4】SPR測定装置による測定の手順を概略的に示すフローチャートである。
【図5】取得した測定信号と参照信号との一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0060】
10 センサユニット
12 流路部材
14 プリズム(誘電体ブロック)
18 センサセル
20 流路
25 金属膜(薄膜層)
26 リンカー膜
30 SPR測定装置(全反射減衰を利用した測定装置)
33 コントローラ(制御部)
34 メモリ
34a 測定プログラム(プログラム)
35 CPU
38 ウエルプレート(容器)
40 照明
41 照明
42 検出器
46a ピペット
46b ピペット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層と、試料が溶解した試料溶液を前記薄膜層に接触させながら送液する流路とからなるセンサセルが複数設けられたセンサユニットをセットし、
前記試料溶液の吸引と吐出とを行うピペットで前記流路に前記試料溶液を注入して前記薄膜層に前記試料を接触させ、
光源から前記薄膜層に向けて照射された全反射条件を満たす光の反射光を検出器で受光して光電変換することにより、前記薄膜層上での前記試料の反応状況を表す測定信号を取得する全反射減衰を利用した測定方法において、
容器に収容された前記試料溶液を前記ピペットで吸引し、
前記ピペットが吸引保持した前記試料溶液を複数の前記流路に等量ずつ分配して注入することを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項2】
前記各センサセルには、前記測定信号を前記検出器で取得するための測定領域を有する測定用センサセルと、前記測定信号のノイズを除去する際に用いられる参照信号を前記検出器で取得するための参照領域を有する参照用センサセルとが、少なくとも1つずつあり、
前記ピペットが吸引保持した前記試料溶液の半分を、前記測定用センサセルと前記参照用センサセルとのいずれか一方に注入した後、
前記ピペットを移動させて、残り半分の前記試料溶液を他方に注入することを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項3】
前記測定信号と前記参照信号とは、前記試料溶液の注入前から前記検出器によって同時に取得され、
前記測定信号から前記参照信号を差し引いて、前記測定信号のノイズを除去する際に、前記測定用センサセルと前記参照用センサセルとの間の前記ピペットの移動に起因する前記試料溶液の注入タイミングの時間差を補正することを特徴とする請求項2記載の全反射減衰を利用した測定方法。
【請求項4】
透光性を有する誘電体ブロックの一面に形成された薄膜層と、試料が溶解した試料溶液を前記薄膜層に接触させながら送液する流路とからなるセンサセルが複数設けられたセンサユニットのセットが可能な測定ステージと、
前記試料溶液の吸引と吐出とを行って前記流路に前記試料溶液を注入するピペットと、
前記薄膜層に向けて全反射条件を満たす光を照射する光源と、
前記薄膜層からの反射光を受光して光電変換することにより、前記薄膜層上での前記試料の反応状況を表す測定信号を取得する検出器と、
これらの各部を統括的に制御する制御部とを備えた全反射減衰を利用した測定装置に用いられるプログラムであって、
容器に収容された前記試料溶液を前記ピペットに吸引させるステップと、
前記ピペットが吸引保持した前記試料溶液を複数の前記流路に等量ずつ分配して注入するステップとを前記制御部に実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−71648(P2007−71648A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258002(P2005−258002)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】