説明

全反射減衰を利用した測定装置

【課題】ピペットを挿抜した際に生じるセンサユニットの傾きを防止する。
【解決手段】押さえ部材の押圧部80bの底面に、傾き防止部材85a〜85dを4カ所に設ける。これら傾き防止片85a〜85dは、押圧部80bの底面80eに直交する面86と、該直交する面86に向けて傾斜する斜面87とを備えた楔形状から構成されている。センサユニット12が測定位置にセットされると、押さえ部材80が下降を開始する。この下降の際に、傾き防止部材85a,85bの斜面87が、センサユニット12の稜線12eに、傾き防止部材85c,85dの斜面87が、センサユニット12の稜線12cにそれぞれ線接触される。これにより、センサユニット12がレール70に押圧された状態で保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニットにピペットを挿抜して測定を行う表面プラズモン共鳴などの全反射減衰を利用した測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンパク質やDNAなどの生化学物質間における相互作用の測定や、薬品のスクリーニングなどを行う際に、全反射減衰を利用して試料の反応を測定する測定装置が知られている。
【0003】
このような全反射減衰を利用した測定装置の1つに、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)現象を利用した測定装置(以下、SPR測定装置と称す)がある。なお、表面プラズモンとは、金属中の自由電子が集団的に振動することによって生じ、その金属の表面に沿って進む自由電子の粗密波である。
【0004】
例えば、特許文献1などで知られるKretschmann配置を採用したSPR測定装置では、透明な誘電体(以下、プリズムと称す)上に形成された金属膜の表面をセンサ面として、このセンサ面上で試料を反応させた後、プリズムを介してセンサ面の裏面側から全反射条件を満たすように金属膜を照射し、その反射光を測定している。
【0005】
全反射条件を満たすように金属膜に照射された光のうち、エバネッセント波と呼ばれるわずかな光は、反射せずに金属膜内を透過してセンサ面側に染み出す。この際、エバネッセント波の振動数と表面プラズモンの振動数とが一致するとSPRが発生し、反射光の強度を大きく減衰させる。また、この減衰が発生する光の入射角度(共鳴角)は、金属膜上の屈折率に応じて変化する。すなわち、SPR測定装置は、金属膜からの反射光を捉えて共鳴角を検出することにより、センサ面上の試料の反応状況を測定する。
【0006】
ところで、タンパク質やDNAなどの生体試料は、乾燥による変性や失活を防ぐため、生理的食塩水や純水、または各種のバッファ液などの溶媒に溶かされた試料溶液として扱われることが多い。特許文献1記載のSPR測定装置は、こうした生体試料の相互作用などを調べるものであり、センサ面の上には試料溶液を送液するための流路が設けられている。なお、この流路とプリズムは、装置本体に設けられた測定ステージに配置されており、ガラス基板上に金属膜を形成したチップ型のセンサユニットを測定ステージに装着することで、前述の測定が行われる。
【0007】
特許文献1では、ポンプやバルブなどに接続された配管(チューブ)を介して、試料溶液を保管する容器から直接流路に試料溶液を送り込むようにしているが、この方法では、配管内に付着した試料が後に注入する試料溶液中に混入してしまう、いわゆるコンタミネーションが生じやすいという問題があった。
【0008】
この問題を解決するため、本出願人は、先端に小孔が形成された略円錐筒状のピペットチップと、このピペットチップを着脱自在に保持するヘッド部とからなるピペットを用いて、容器に保管された試料溶液などの液体を流路に分注するSPR測定装置を提案している(例えば、特願2004−287615号明細書参照)。このSPR測定装置では、分注する液体毎にピペットチップを交換することで、流路に液体を送り込む際に生じるコンタミネーションを防止することができる。
【0009】
また、このSPR測定装置では、流路が形成された流路部材と、上面に金属膜が形成されたプリズムと、流路部材の底面とプリズムの上面とを接合させた状態(流路と金属膜とを対面させた状態)で保持する保持部材とからなるセンサユニットを用いている。流路は、流路部材を略U字状に刳り貫いて形成される送液管であり、その両端を流路部材の上面に露呈させている。また、流路の底部は開放されており、この底部が金属膜で塞がれる。これにより、流路に液体を送り込むことで流路内に位置した金属膜に液体を接触させることができる。ピペットで流路内に液体を送り込む際には、露呈した流路の端部にピペットの先端を挿し込み、吸引した液体を吐出することによって行われる。
【特許文献1】特許第3294605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ピペットを流路に挿し込む際や、挿し込まれたピペットを流路から引き抜く際に、センサユニットを動かしてしまう、或いはセンサユニットを傾かせてしまうという問題があった。SPRによる検出信号は、非常に微細なものであるため、センサユニットのわずかな傾きも測定誤差の要因となってしまう。また、ピペットを流路から引き抜く方向は、保持部材が流路部材をプリズムに押し付ける方向と反している。このため、ピペットを引き抜く際に流路部材の押し付け力が弱められ、流路部材とプリズムとの間に隙間が生じて、流路内に注入された液体が漏れ出てしまうという問題もあった。
【0011】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、ピペットを挿抜した際に生じるセンサユニットの傾きを防止することができるようにした全反射減衰を利用した測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するため、本発明の全反射減衰を利用した測定装置は、一面に薄膜層が形成された誘電体ブロックと、前記薄膜層に試料溶液を送液する流路が形成された流路部材とからなるセンサユニットが着脱自在にセットされる測定ステージと、この測定ステージにセットされた前記センサユニットの前記流路にピペットを挿抜して、前記流路内に前記試料溶液を注入する分注手段と、前記薄膜層に全反射条件を満足するように光を照射する光源と、前記薄膜層からの反射光を受光して電気信号に光電変換する検出手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、前記測定ステージに前記センサユニットがセットされた後に、前記センサユニットの上面端部のうち、対向する端部のそれぞれに当接して、挿し込まれるピペットによる前記センサユニットの傾きを抑制する斜面を複数有する傾き抑制機構を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、前記傾き抑制機構は、前記複数の斜面が形成された傾き抑制部材と、この傾き抑制部材を下降、或いは上昇させる昇降手段とを備えていることを特徴とする。
【0014】
また、前記傾き抑制部材は、前記斜面がセンサユニットに当接された状態で、前記ピペットの前記流路への挿抜を可能にする貫通孔又は切り欠きが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の全反射減衰を利用した測定装置によれば、一面に薄膜層が形成された誘電体ブロックと、前記薄膜層に試料溶液を送液する流路が形成された流路部材とからなるセンサユニットが着脱自在にセットされる測定ステージと、この測定ステージにセットされた前記センサユニットの前記流路にピペットを挿抜して、前記流路内に前記試料溶液を注入する分注手段と、前記薄膜層に全反射条件を満足するように光を照射する光源と、前記薄膜層からの反射光を受光して電気信号に光電変換する検出手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、前記測定ステージに前記センサユニットがセットされた後に、前記センサユニットの上面端部のうち、対向する端部のそれぞれに当接して、挿し込まれるピペットによる前記センサユニットの傾きを抑制する斜面を複数有する傾き抑制機構を備えたので、例えばピペットを流路に挿し込む際にセンサユニットの傾きを抑制することができ、また、ピペットを引き抜く際に、流路部材と誘電体ブロックとの間に隙間が生じて、流路内に注入された液体が漏れ出ることを防止することができる。
【0016】
なお、前記傾き抑制機構は、前記複数の斜面が形成された傾き抑制部材と、この傾き抑制部材を下降、或いは上昇させる昇降手段とを備えているから、斜面によってセンサユニットの傾きを押さえることができる上に、センサユニットを測定ステージに押し付けることができる。
【0017】
また、前記傾き抑制部材は、前記斜面がセンサユニットに当接された状態で、前記ピペットの前記流路への挿抜を可能にする貫通孔又は切り欠きが形成されているので、ピペットの挿し込み動作、或いはピペットを引く抜く動作時に、確実にセンサユニットの傾きを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1に示すように、SPRを利用した測定方法は、大きく分けて、固定工程と、測定工程(データ読み取り工程)と、データ解析工程との3つの工程からなる。SPR測定装置は、固定工程を行う固定機10と、測定工程を行う測定機11と、測定機11によって得られたデータを解析するデータ解析機とからなる。
【0019】
測定は、SPRセンサであるセンサユニット12を用いて行われる。センサユニット12は、一方の面がSPRが発生するセンサ面13aとなる金属膜(薄膜層)13と、このセンサ面13aの裏面の光入射面13bと接合されるプリズム(誘電体ブロック)14と、前記センサ面13aと対向して配置され、リガンドやアナライトが送液される流路16が形成された流路部材41とを備えている。
【0020】
金属膜13としては、例えば、金や銀などが使用され、その膜厚は、例えば、50nmである。この膜厚は、金属膜の素材、照射される光の発光波長などに応じて適宜選択される。プリズム14は、その上面に前記金属膜13が形成される透明な誘電体であり、光入射面13bに向けて、全反射条件を満たすように照射された光を集光する。流路16は、略U字形に屈曲された送液管であり、液体を注入する注入口16aと、それを排出する排出口16bとを持っている。流路16の管径は、例えば、約1mm程度であり、注入口16aと排出口16bの間隔は、例えば、約10mm程度である。
【0021】
また、流路16の底部は、開放されており、この開放部位はセンサ面13aによって覆われて密閉される。これら流路16とセンサ面13aによってセンサセル17が構成される。後述するように、センサユニット12は、こうしたセンサセル17を複数個備えている(図3参照)。
【0022】
固定工程は、センサ面13aにリガンドを固定する工程である。固定工程は、センサユニット12を固定機10にセットして行われる。固定機10には、1対のピペット19a、19bからなるピペット対19が設けられている。ピペット対19は、各ピペット19a、19bが、注入口16aと排出口16bのそれぞれに挿入される。各ピペット19a、19bは、それぞれが流路16への液体の注入と、流路16からの吸い出しを行う機能を備えており、一方が注入動作を行っているときには、他方が吸い出し動作を行うというように、互いに連動する。このピペット対19を用いて、注入口16aから、リガンドを溶媒に溶かしたリガンド溶液21が注入される。
【0023】
センサ面13aのほぼ中央部には、リガンドと結合するリンカー膜22が形成されている。このリンカー膜22は、センサユニット12の製造段階において予め形成される。リンカー膜22は、リガンドを固定するための固定基となるので、固定するリガンドの種類に応じて適宜選択される。
【0024】
リガンド溶液21を注入するリガンド固定化処理を行う前には、まず、リンカー膜22に固定用バッファ液が送液され、リンカー膜22を湿らせてリガンドを結合しやすくするリンカー膜22の活性化処理が施される。例えば、アミンカップリング法では、リンカー膜22としてカルボキシメチルデキストランが使用され、リガンド内のアミノ基をこのデキストランに直接共有結合させる。この場合の活性化液としては、N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)とN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)との混合液が使用される。この活性化処理の後、固定用バッファ液によって流路16が洗浄される。
【0025】
固定用バッファ液や、リガンド溶液21の溶媒(希釈液)としては、例えば、各種のバッファ液(緩衝液)の他、生理的食塩水に代表される生理的塩類溶液や、純水が使用される。これらの各液の種類、pH値、混合物の種類及びその濃度などは、リガンドの種類に応じて適宜決められる。例えば、リガンドとして生体物質を使用する場合には、pHを中性付近に調整した生理的食塩水が使用される場合が多い。しかし、上記アミンカップリング法では、リンカー膜22は、カルボキシメチルデキストランにより負(マイナス)に帯電するので、このリンカー膜22と結合しやすいようにタンパク質を正(プラス)に帯電させるため、生理的とはいえない高濃度のリン酸塩を含む緩衝作用の強いリン酸緩衝溶液(PBS:phosphatic−buffered,saline)などが使用される場合もある。
【0026】
こうした活性化処理及び洗浄が行われた後、センサセル17へリガンド溶液21が注入されてリガンド固定化処理が行われる。リガンド溶液21が流路16へ注入されると、溶液中で拡散しているリガンド21aが徐々にリンカー膜22へ近づいて、結合する。こうしてセンサ面13aにリガンド21aが固定される。固定化には、通常、約1時間程度かかり、この間、センサユニット12は、温度を含む環境条件が所定の条件に設定された状態で保管される。なお、固定化が進行している間、流路16内のリガンド溶液21を静置しておいてもよいが、流路16内のリガンド溶液21を攪拌して流動させることが好ましい。こうすることで、リガンドとリンカー膜22との結合が促進され、リガンドの固定量を増加させることができる。
【0027】
センサ面13aへのリガンド21aの固定化が完了すると、前記流路16からリガンド溶液21が排出される。リガンド溶液21は、ピペット19bによって吸い出されて排出される。固定化が完了したセンサ面13aは、流路16へ洗浄液が注入されて洗浄処理が行われる。この洗浄後、必要に応じて、ブロッキング液を流路16へ注入して、リンカー膜22のうち、リガンドが結合しなかった反応基を失活させるブロッキング処理が行われる。ブロッキング液としては、例えば、エタノールアミン−ヒドロクロライドが使用される。このブロッキング処理の後、再び流路16が洗浄される。この後、流路16には、乾燥防止液が注入される。こうして、センサユニット12は、センサ面13aが乾燥防止液に浸された状態で、測定までの間保管される。
【0028】
測定工程は、センサユニット12を測定機11にセットして行われる。測定機11にも、固定機10のピペット対19と同様のピペット対26が設けられている。このピペット対26によって、注入口16aから、流路16へ各種の液が注入される。測定工程では、まず、流路16へ測定用バッファ液が注入される。この後、アナライトを溶媒に溶かしたアナライト溶液27を注入し、その後、再び測定用バッファ液が注入される。なお、最初に測定用バッファ液を注入する前に、いったん流路16の洗浄を行ってもよい。データの読み取りは、基準となる信号レベルを検出するために、最初に測定用バッファ液を注入した直後から開始され、アナライト溶液27の注入後、再び測定用バッファ液が注入されるまでの間行われる。これにより、基準レベル(ベースライン)の検出、アナライトとリガンドの反応状況(結合状況)、測定用バッファ液の注入による結合したアナライトとリガンドとの脱離までのSPR信号を測定することができる。
【0029】
測定用バッファ液や、アナライト溶液27の溶媒(希釈液)としては、例えば、各種のバッファ液(緩衝液)の他、生理的食塩水に代表される生理的塩類溶液や、純水が使用される。これらの各液の種類、pH値、混合物の種類及びその濃度等は、リガンドの種類に応じて適宜決められる。例えば、アナライトを溶けやすくするために、生理的食塩水にDMSO(ジメチル−スルホ−オキシド)を含ませてもよい。このDMSOは、信号レベルに大きく影響する。上述したとおり測定用バッファ液は基準レベルの検出に用いられるので、アナライトの溶媒中にDMSOが含まれる場合には、そのDMSO濃度と同程度のDMSO濃度を持つ測定用バッファ液を使用することが好ましい。
【0030】
なお、アナライト溶液27は、長期間(例えば、1年)保管されることも多く、そうした場合には、経時変化によって、初期のDMSO濃度と測定時のDMSO濃度との間に濃度差が生じてしまう場合がある。厳密な測定を行う必要がある場合には、こうした濃度差をアナライト溶液27を注入したときの参照信号(ref信号)のレベルから推定し、測定データに対して補正(DMSO濃度補正)が行われる。
【0031】
ここで、参照信号(ref信号)とは、後述するように、センサ面上に設けられリガンドが固定されない参照領域に対応するSPR信号であり、リガンドが固定されアナライトとの反応を生じる測定領域の測定信号(act信号)と比較参照される信号である。測定に際しては、前記測定信号と参照信号の2つの信号が検出され、データ解析に際しては、例えば、それら2つのSPR信号の差分を取り、これを測定データとして解析がなされる。こうすることで、例えば、複数のセンサセル間の個体差や、液体の温度変化など、外乱に起因するノイズをキャンセルすることが可能となり、S/N比の良好な信号が得られるようにしている。
【0032】
DMSO濃度補正のための補正データは、アナライト溶液27を注入する前に、DMSO濃度が異なる複数種類の測定用バッファ液をセンサセル17に注入して、このときのDMSO濃度変化に応じた、ref信号のレベルとact信号のレベルのそれぞれの変化量を調べることにより求められる。
【0033】
測定部31は、照明部32と検出器(検出手段)33からなる。上述したとおり、リガンドとアナライトの反応状況は、共鳴角(光入射面に対して照射された光の入射角)の変化として表れるので、照明部32は、全反射条件を満足する様々な入射角の光を光入射面13bに対して照射する。照明部32は、例えば、光源34と、集光レンズ、拡散板、偏光板を含む光学系36とからなり、配置位置および設置角度は、照明光の入射角が、上記全反射条件を満足するように調整される。
【0034】
光源34としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、SLD(Super Luminescent Diode)などの発光素子が使用される。こうした発光素子を1個使用し、この単一光源から1つのセンサセル17に向けて光が照射される。なお、複数のセンサセル17を同時に測定するような場合には、単一光源からの光を分光して複数のセンサセル17に照射してもよいし、各センサセル17に対して発光素子が1つずつ割り当てられるように複数の発光素子を並べて使用してもよい。拡散板は、光源34からの光を拡散して、発光面内の光量ムラを抑える。偏光板は、照射光のうち、SPRを生じさせるp偏光のみを通過させる。なお、LDを使用する場合など、光源が発する光線自体の偏光の向きが揃っている場合には、偏光板は不要である。また、偏光が揃っている光源を使用した場合でも、拡散板を通過することにより、偏光の向きが不揃いになってしまう場合には、偏光板を使用して偏光の向きが揃えられる。こうして拡散および偏光された光は、集光レンズによって集光されてプリズム14に照射される。これにより、光強度にバラツキがなく様々な入射角を持つ光線を光入射面13bに入射させることができる。
【0035】
検出器33は、光入射面13bで反射する光を受光して、その光強度に応じたレベルの電気信号を出力する。光入射面13bには、様々な角度で光線が入射するので、光入射面13bでは、それらの光線が、それぞれの入射角に応じた様々な反射角で反射する。検出器33は、これらの様々な反射角の光線を受光する。センサ面13a上の媒質に変化が生じると屈折率が変化して、反射光の光強度が減衰する光の入射角(SPRが発生する共鳴角)も変化する。センサ面13a上にアナライトを送液すると、アナライトとリガンドの反応状況に応じてセンサ面13a上の屈折率が変化するため、それに応じて共鳴角も変化する。
【0036】
検出器33は、例えば、CCDエリアセンサやフォトダイオードアレイが使用され、光入射面13bにおいて様々な反射角で反射する反射光を受光し、それらを光電変換してSPR信号として出力する。リガンドとアナライトの反応状況は、この受光面内における反射光の減衰位置の推移として表れる。例えば、アナライトがリガンドと接触する前後では、センサ面13a上の屈折率が異なり、SPRが発生する共鳴角が異なる。そして、アナライトがリガンドと接触して反応を開始すると、それに応じて共鳴角が変化を開始し、前記受光面内における反射光の減衰位置が移動し始める。こうして得た反応状況を表すSPR信号が、データ解析機に出力される。データ解析工程では、測定機11で得たSPR信号を解析して、アナライトの特性を分析する。
【0037】
なお、測定部31の構成が明確になるように、便宜的に、図1では、光入射面13bへの入射光線およびそこで反射する反射光線の向きが、流路16内の液体の流れ方向と平行になるように、照明部32および検出器33を配置した形態で示しているが、図2に示すように、実際には、入射光線および反射光線の向きが、前記流れ方向と直交する方向に照射されるように、照明部32および検出器33が配置される。もちろん、測定部31をこの図1に示しているように配置して測定してもよい。
【0038】
図2に示すように、リンカー膜22上には、リガンドが固定されアナライトとリガンドとの反応が生じる測定領域(act領域)22aと、リガンドが固定されず、前記測定領域の信号測定に際しての参照信号を得るための参照領域(ref領域)22bとが形成される。このref領域22bは、上述したリンカー膜22を製膜する際に形成される。形成方法としては、例えば、リンカー膜22に対して表面処理を施して、リンカー膜22の半分程度の領域について、リガンドと結合する結合基を失活させる。これにより、リンカー膜22の半分がact領域22aとなり、残りの半分がref領域22bとなる。
【0039】
検出器33は、act領域22aに対応するSPR信号をact信号として出力し、ref領域22bに対応するSPR信号をref信号として出力する。これらact信号とref信号は、基準レベルの検出から結合反応を経て脱離に至るまで、ほぼ同時に計測される。データ解析は、こうして得られたact信号とref信号の差や比を求めて行われる。データ解析機は、例えば、act信号とref信号との差分データを求め、この差分データを測定データとし、これに基づいて解析を行う。こうすることで、上述したとおり、センサユニットや各センサセルの個体差や、液体の温度変化などの外乱に起因するノイズをキャンセルすることができるので、精度の高い測定が可能になる。
【0040】
照明部32及び検出器33は、これら各act信号及びref信号の2チャンネルの計測を行うことができるように構成されている。例えば、照明部32を、1個の発光素子を反射ミラーなどを用いて、act領域22aとref領域22bのそれぞれに向けて入射する複数の光線に分光する。そして、各チャンネル用の複数のフォトダイオードアレイで構成した検出器33により、各光線をそれぞれ受光する。
【0041】
また、検出器33として、CCDエリアセンサを用いた場合には、同時に受光した各チャンネルの反射光を画像処理によってact信号とref信号として認識することもできる。しかし、こうした画像処理による方法が難しい場合には、act領域22aとref領域22bに対して入射させるタイミングを微小時間ずらして、各チャンネルの信号を受光するようにしてもよい。入射タイミングをずらす方法としては、例えば、光路上に、配置角度が180度ずれた位置に2つの孔が形成された円板を配置し、この円板を回転させることにより、各チャンネルの入射タイミングがずらされる。各孔は、中心からの距離が各領域22a、22bの間隔だけ異なる位置に配置されており、これにより、一方の孔が光路内に進入したときには、act領域22aに光線が入射し、他方の孔が光路内に進入したときには、ref領域22bに光線が入射する。
【0042】
図3は、センサユニット12の分解斜視図である。センサユニット12は、流路16が形成された流路部材41と、上面に金属膜13が形成されたプリズム14と、流路部材41の底面とプリズム14の上面とを接合させた状態で保持する保持部材42とからなる。金属膜13の表面には、リガンドを固定化するリンカー膜22が複数(本例では6つ)設けられている。各リンカー膜22は、長尺状のプリズム14と金属膜13との長手方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられている。流路部材41は、このリンカー膜22毎に用意され、各流路16と各リンカー膜22とが対面するように金属膜13上に並べて配置される。なお、本例では、リンカー膜22及び流路部材41の数が6つの例を示しているが、これらの数は、6つに限らず、5つ以下でもよいし、7つ以上でもよい。また、本例では、1つの流路16が形成された流路部材41を6つ用いるようにしているが、6つの流路16が並べて形成された長尺状の流路部材を用いるようにしてもよい。
【0043】
流路部材41は、略直方体状に成形されており、流路16は、その長手方向に沿って略U字型に形成されている。この流路16は、その底面に接合される金属膜13とともにセンサセル17(図1参照)を構成する。そのため、流路部材41は、金属膜13との密着性を高めるために、例えば、ゴムやPDMS(ポリジメチルシロキサン)などといった弾性材料で成形されている。流路部材41の底面をプリズム14の上面に圧接させると、流路部材41が弾性変形して金属膜13との接合面の隙間を埋める。これにより、流路16の開放された底部がプリズム14の上面によって水密に覆われる。
【0044】
プリズム14の上面には、蒸着によって短冊状の金属膜13が形成されている。プリズム14の長手方向の両側面には、保持部材42の係合部42aと係合する係合爪14aが設けられている。これらの係合により、各流路部材41が保持部材42とプリズム14とによって挟み込まれ、その底面とプリズム14の上面とが圧接された状態で保持される。また、各係合爪14aの下には、垂直面14bが形成されている。プリズム14は、金属膜13に光を集光するため、金属膜13が形成された上面の幅よりも底面の幅の方が短い台形状の断面を有するように成形されている。すなわち、プリズム14の長手方向の両側面は、鉛直方向に対して斜めであり、各垂直面14bは、鉛直方向に沿うように両側面に突設されている。これらの各垂直面14bは、センサユニット12を保持する際に用いられる。
【0045】
プリズム14の短辺方向の両端部には、突部14cが設けられている。センサユニット12は、ホルダ45(図4参照)に収納された状態で、固定機10や測定機11にセットされる。突部14cは、ホルダ45のスリットと嵌合することにより、センサユニット12をホルダ内の所定の収納位置に位置決めする。また、プリズム14の底面には、その長手方向に沿って溝部14dが形成されている。後に詳述するが、この溝部14dは、測定工程において測定機11にセットされたセンサユニット12を、測定機11内で搬送する際に用いられる。
【0046】
なお、プリズム14には、例えば、ホウケイクラウン(BK7)やバリウムクラウン(Bak4)などに代表される光学ガラスや、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネイト(PC)、非晶性ポリオレフィン(APO)などに代表される光学プラスチックなどを用いることができる。
【0047】
保持部材42の上面には、各流路16の注入口16aおよび排出口16bに対応する位置に、ピペット(19a、19b、26a、26b)の先端が進入する注入側受け入れ口42b、排出側受け入れ口42cが形成されている。各受け入れ口42b、42cは、ピペットから吐出される液体が各注入口16aへ導かれるように、漏斗形状をしている。保持部材42が各流路部材41を挟み込んでプリズム14と係合すると、各受け入れ口42b、42cのそれぞれの下面は、注入口16aおよび排出口16bと接合して、各受け入れ口42b、42cと流路16とが連結される。
【0048】
なお、センサユニット12のプリズム14や保持部材42などに、例えば、非接触式のICメモリであるRFID(Radio Frequency IDentification)タグなどを取り付けるようにしてもよい。例えば、読み込み専用のRFIDタグにセンサユニット12毎の固有のID番号を書き込んでおき、各工程を行う前にこのID番号を読み込むことで、センサユニット12の識別を行うことができる。これにより、複数のセンサユニット12に対して同時に固定や測定を行う場合にも、間違ったアナライトの注入や、測定結果の取り違えなどといった問題の発生を防止することができる。さらには、読み書き可能なRFIDタグを用いて、例えば、固定したリガンドの種類やリガンドを固定させた日時、及び反応させたアナライトの種類などを、各工程毎に書き込んでいくようにしてもよい。
【0049】
図4は、測定機11の構成を概略的に示す斜視図である。測定機11は、ホルダ搬送機構50、ピックアップ機構(搬送機構)51、ピペットヘッド移動機構52、測定ステージ53からなり、これらの各部が筐体54に収容されている。また、測定機11の各部は、これらを統括的に制御するコントローラ55によって制御される。ホルダ搬送機構50は、搬送ベルト60と、この搬送ベルト60に取り付けられたキャリッジ61と、このキャリッジ61に取り付けられ、リガンド固定化済みのセンサユニット12が収納されたホルダ45を載置するプレート(載置部)62とからなる。ホルダ搬送機構50は、搬送ベルト60を回転させることによってホルダ45が載置されたプレート62をY方向へ移動させ、ピックアップ機構51によってホルダ45から押し上げられる押上位置に、ホルダ45内の各センサユニット12を移動させる。
【0050】
ホルダ45は、センサユニット12を複数個(例えば、8個)収納できるようになっており、センサユニット12の突部14cと嵌合して、センサユニット12を位置決めするスリットが設けられている。ホルダ45の底部は、センサユニット12の両端部を支持する支持部を除いて、開口になっている。また、このホルダ45が載置されるプレート62は、枠状に成形されており、ホルダ45の開口に対応するように開口62aが設けられている。
【0051】
ピックアップ機構51は、ホルダ45から各センサユニット12をピックアップする機構であり、ホルダ45に収納されたセンサユニット12を下方から上方に向けて押し上げる押し上げ機構63と、この押し上げ機構63によって押し上げられたセンサユニット12の両端を挟み込んで保持するハンドリングヘッド64と、このハンドリングヘッド64をX方向に移動させるハンドリングヘッド移動機構65からなる。押し上げ機構63は、プレート62の開口62aとホルダ45の開口とを介してホルダ45内に進入し、センサユニット12の底面と当接してこれを押し上げる押し上げ部材63aと、この押し上げ部材63aを駆動して上下に昇降させる押し上げ部材駆動機構63bとからなる。押し上げ部材63aは、Z方向に移動してセンサユニット12を押し上げる。すなわち、前述の押上位置は、この押し上げ部材63aと対面する位置である。
【0052】
図5は、ハンドリングヘッド64の構成を説明する拡大図である。ハンドリングヘッド64は、ヘッド本体200と、2本の軸202を介してヘッド本体200に保持される可動部材201とから構成されている。ヘッド本体200には、例えば、スライドベアリングなどの直動型の軸受け(図示は省略)が設けられている。ヘッド本体200は、この軸受けに各軸202を挿通して、可動部材201をX方向にスライド自在に保持する。ヘッド本体200と可動部材201とには、それぞれピン203、204が設けられている。各ピン203、204には、可動部材201をヘッド本体200に引き付けるように付勢するスプリング205がかけられている。また、ヘッド本体200と可動部材201とのそれぞれの底面には、略L字状に形成された爪部206、207が設けられている。ハンドリングヘッド64は、図4、及び図5に示すように、この一対の爪部206、207でセンサユニット12を挟持する。なお、センサユニット12を挟持していないハンドリングヘッド64は、スプリング205の付勢力によってヘッド本体200と可動部材201とが当接した状態(図6(a)参照)で保持される。また、各爪部206、207の間隔は、ヘッド本体200と可動部材201とが当接した状態で、センサユニット12の長さよりもわずかに狭まるようにされている。
【0053】
ヘッド本体200には、ナット部208が設けられている。図4に示すように、このナット部208は、ボールネジ66と、このボールネジ66を回転させるステッピングモータ67とからなるハンドリングヘッド移動機構65に接続されている。ステッピングモータ67は、例えば、コントローラ55に接続されており、コントローラ55からのパルス信号に応じてボールネジ66を所定のステップ角で回転させる。ボールネジ66は、ナット部208と嵌合し、そのネジピッチとステッピングモータ67による回転角とに応じて、ハンドリングヘッド64をX方向に移動させる。これにより、ハンドリングヘッド64は、ピックアップ位置と測定ステージ53の測定位置mpとの間で移動する。ハンドリングヘッド64は、ピックアップ位置でセンサユニット12を挟持し、その状態でX方向へ移動してセンサユニット12を測定位置mpに搬送する。また、測定が終了した後、ピックアップ位置に移動してセンサユニット12をリリースし、測定済みのセンサユニット12をホルダ45に戻す。
【0054】
ハンドリングヘッド64がセンサユニット12を挟持する際には、押し上げ機構63がセンサユニット12を押し上げていない状態で、ピックアップ位置へと移動する。可動部材201には、板状に突き出た当接部209が形成されており、図6(a)に示すように、ハンドリングヘッド64がピックアップ位置へと移動する間に、この当接部209と当接ピン220とが当接する。当接ピン220は、例えば、測定機11の筐体54などに固定されており、当接部209との当接によって可動部材201の移動を係止する。
【0055】
図6(b)に示すように、ヘッド本体200は、当接ピン220によって係止された可動部材201をスプリング205の付勢力に抗して引き出しながらピックアップ位置に移動する。可動部材201が引き出されると、各爪部206、207の間隔が広がる。これにより、ハンドリングヘッド64のセンサユニット12の受け入れ態勢が整う。押し上げ機構63は、ハンドリングヘッド64がピックアップ位置に到達したことに応じて、押し上げ部材駆動機構63bを駆動する。押し上げ部材駆動機構63bは、ハンドリングヘッド64の各爪部206、207が挟持可能な位置までホルダ45内のセンサユニット12を押し上げる。ハンドリングヘッド64は、押し上げ機構63によるセンサユニット12の押し上げが完了したことに応じて、測定位置mpへの移動を開始する。
【0056】
測定位置mpへの移動を開始したハンドリングヘッド64は、各爪部206、207の間隔を狭めていき、図6(c)に示すようにセンサユニット12を挟持する。前述のように、各爪部206、207の間隔は、ヘッド本体200と可動部材201とが当接した状態で、センサユニット12の長さよりもわずかに狭まるようにされている。このため、可動部材201の爪部207は、狭められた分だけ引き出された位置でセンサユニット12に当接し、ヘッド本体200の爪部206とともにスプリング205の付勢力に応じてセンサユニット12を挟持固定する。センサユニット12を挟持したハンドリングヘッド64は、図6(d)に示すように、挟持した状態で測定位置mpに向かって移動し、測定位置mpにセンサユニット12を搬送する。なお、測定済みのセンサユニット12をホルダ45に戻す際には、上記と反対の手順を踏めばよい。
【0057】
図4に示すように、測定ステージ53は、センサユニット12の測定を行う照明部32(図11参照)、検出器33と、センサユニット12を移動させるレール70と、測定位置mpに移動したセンサユニット12をレール70に押し付けて測定位置mpに保持するZ方向押さえ機構71と、センサユニット12の長手方向の両側面を挟み込んで保持するY方向押さえ機構72と、これらの各部が取り付けられる台座73とから構成されている。
【0058】
レール70の上面には、センサユニット12の溝部14dと嵌合する凸部が形成されている。押し上げ部材63aのセンサユニット12と当接する一端には、レール70と同様に溝部14dと嵌合する凸部が形成されており、押し上げ部材駆動機構63bは、凸部が形成された押し上げ部材63aの一端面とレール70とが面一になる位置まで押し上げ部材63aを上昇させる。ハンドリングヘッド64は、ピックアップ位置でセンサユニット12を挟持した後、レール70の上を摺動させるようにして、センサユニット12をピックアップ位置と測定位置mpとの間で移動させる。これにより、移動時におけるセンサユニット12の落下などが防止され、安全かつ確実にセンサユニット12を各位置の間で移動させることができる。
【0059】
照明部32と検出器33は、レール70を挟むようにして配置されている。センサユニット12は、6つのセンサセル17を有しており、測定は各センサセル17毎に行われる。コントローラ55は、センサユニット12を各センサセル17の配列ピッチで移動させるようにステッピングモータ67にパルス信号を送り、各センサセル17を照明部32の光路上に位置する測定位置mpに順次進入させる。
【0060】
図7は、Z方向押さえ機構71の構成を示す斜視図である。Z方向押さえ機構(傾き抑制機構)71は、押さえ部材(傾き抑制部材)80、ステッピングモータ81、スライダ82、スプリングプランジャ83などによって構成されている。
【0061】
略L字状に成形された押さえ部材80は、アーム部80aと、アーム部80aに略直交する押圧部80bとから構成されている。この押さえ部材80は、アーム部80aに固定された丸棒状の接続部材84を介してスプリングプランジャ83のプランジャ部83bに取り付けられている。
【0062】
上述したように、押圧部80bは、アーム部80aに対して略直交して設けられている。図8に示すように、この押圧部80bは、矩形板形状から構成されており、押圧部80bの幅は、センサユニット12の幅よりも広く形成されている。この押圧部80bには、その上面から下面にかけて、貫通孔80c,80dが設けられている。この貫通孔80cは、測定位置mpに位置するセンサユニット12に設けられた流路16の注入口16aに一致するように、貫通孔80dは、該流路16の排出口16bに一致するように、それぞれ設けられている。これら貫通孔80c,80dには、ピペット対26のピペット26a,26bがそれぞれ挿通されることで、測定位置mpに保持されたセンサセル17にピペット対26をアクセスさせる。なお、ピペット対26のアクセスが可能であればよいので、貫通孔80c,80dに限らず、切り欠きなどを形成するようにしてもよい。
【0063】
この押圧部80bの底面80eには、傾き防止片85が設けられている。この傾き防止片85は、押圧部80bの底面80eに直交する面86と、該直交する面86に向けて傾斜する斜面87とを備えた楔形状から構成されている。この傾き防止片85の斜面87は、測定位置mpにあるセンサユニット12の上面のうち、センサユニット12の幅方向の端部に押し付けられることによって、ピペット対26の挿抜などによるセンサユニット12の傾きを防止する(図11参照)。本例では、センサユニット12の端部として、センサユニット12の上面12aと側面12bとの稜線12c、或いはセンサユニット12の上面12aと側面12dとの稜線12eに上述した斜面87が押し付けられる(線接触される)ものとして説明する。この傾き防止片85が押圧部80bの底面80eの4カ所に設けられている。なお、以下では、これら傾き防止片の符号として、符号85a〜85dを付して説明する。
【0064】
これら傾き防止片85a〜85dのうち、傾き防止片85a,85bは、センサユニット12の長手方向に、また、測定位置mpを中心にして線対称となるように、所定の間隔を空けて設けられている。同様にして、傾き防止片85c,85dは、センサユニット12の長手方向に、測定位置mpを中心にして線対称となるように、所定の間隔を空けて設けられている。一方、傾き防止片85a、85cは、貫通孔80c,80dを中心にして線対称となるように、同様にして、傾き防止片85b,85dは、貫通孔80c,80dを中心にして線対称となるように、それぞれ配置されている。
【0065】
図7に示すように、ステッピングモータ81は、例えば、測定機11のコントローラ55などに接続されており、コントローラ55からのパルス信号に応じて回転駆動される。ステッピングモータ81とスライダ82とは、回転運動を直線運動に変換する、例えば、ラックアンドピニオンなどのスライド移動機構を介して接続されている。スライダ82は、ステッピングモータ81の回転に応じて、図9(b)中二点鎖線で示す、センサユニット12をレール70に押し付けるための保持位置と、図9(b)中実線で示す、センサユニット12の押し付けを解除する解除位置との間でZ方向にスライド移動する。また、略板状に成形されたスライダ82には、アーム部82aが形成されており、このアーム部82aにスプリングプランジャ83が固定されている。
【0066】
スプリングプランジャ83は、略有底円筒状のケース83aと、このケース83aにスライド自在に保持されるプランジャ部83bとからなる。プランジャ部83bは、ケース83aの内部に収納されたスプリング(図示は省略)によって、ケース83aの外に突出する方向に付勢されている。このプランジャ部83bは、押圧に応じてスプリングを縮めながらケース83aの内部に移動する。また、押圧が解除されると、スプリングの付勢力によって再びケース83aの外に突出する。
【0067】
スプリングプランジャ83は、スライダ82に固定されているので、押さえ部材80、スプリングプランジャ83及び接続部材84の各部材は、スライダ82に従動してZ方向に移動する。図9(b)中二点鎖線で示すように、このZ方向への移動の際に、押さえ部材80は、その底面80eが、測定位置mpにセットされたセンサユニット12の上面よりも低い位置まで移動することができるように、スプリングプランジャ83の長さが調節されている。このため、センサユニット12が測定位置mpにある際には、図9(b)の実線、或いは図11で示すように、押さえ部材80の底面80eに設けられた傾き防止片85a〜85eの斜面86のそれぞれに、センサユニット12の上面端部であって、その幅方向の端部が当接することになる。このとき、図9に示すように、本来到達すべき位置までの差分(図中A)が生じる。スプリングプランジャ83のプランジャ部83bは、この差分を打ち消すようにA分だけケース82a内に押し縮められる。プランジャ部82bは、前述のようにケース82a内に収納されたスプリングによって突出する方向に付勢されており、接続部材84を介してスプリングの付勢力を押さえ部材80に伝える。これにより、センサユニット12を保持した押さえ部材80は、スプリングプランジャ83からの付勢力に応じて、センサユニット12をレール70に押し付ける。
【0068】
一方、スライダ82が解除位置に移動すると、図9(a)、或いは図10に示すように、押さえ部材80の底面80eに設けられた傾き防止部材85a〜85dの斜面86がそれぞれセンサユニット12から離れる。Z方向押さえ機構71は、このように押さえ部材80の位置を上下動させることにより、センサユニット12をレール70に押し付けて測定位置mpに保持するとともに、センサユニット12のセンサセル17にピペット対26が挿抜されたときに、センサユニット12の傾きを防止する。また、押し付けを解除することにより、ハンドリングヘッド64によるセンサユニット12の移動を可能にする。
【0069】
図7に示すように、Y方向押さえ機構72には、測定位置mpを中心にして略対称に配置された2つの固定ピン90が設けられている。各固定ピン90は、固定部材91を介して台座73に固定されており、そのピッチは、センサユニット12の長手方向の両側面に形成された各垂直面14bのピッチに合わせられている。
【0070】
図10、或いは図11に示すように、Y方向押さえ機構72には、レール70を挟んで各固定ピン90のそれぞれと正対した2つのスプリングプランジャ92が設けられている。各スプリングプランジャ92は、Z方向押さえ機構71のスプリングプランジャ83と同様に、ケース92aとプランジャ部92bとからなる。プランジャ部92bは、ケース92a内に収納されたスプリング(図示は省略)によってケース92aの外に突出する方向に付勢されている。また、各スプリングプランジャ92は、固定部材93を介して台座73に固定されている。
【0071】
対面する各固定ピン90の先端と各プランジャ部91bの先端との間隔は、センサユニット12の幅よりもわずかに狭められている。各プランジャ部91bは、センサユニット12が測定位置mpに送られた際に、プリズム14の側面と当接してケース92a内に押し込められる。各プランジャ部91bが押し込められた各スプリングプランジャ92は、ケース92a内に収納したスプリングの付勢力によってセンサユニット12を押圧し、センサユニット12を各固定ピン90に押し付けて挟持する。
【0072】
また、各固定ピン90、及び各スプリングプランジャ92は、測定位置mpを中心にして略対称に配置されているので、Y方向押さえ機構72は、測定位置mpにある測定対象となるセンサセル17の両端を挟持する。このように挟み込むことにより、Y方向押さえ機構72は、センサユニット12のY軸方向の位置ズレを防止するとともに、センサユニット12のZ軸回りやX軸回りの回転を防止する。また、各固定ピン90、及び各スプリングプランジャ92のピッチは、各垂直面14bのピッチに合わせられており、Y方向押さえ機構72は、センサセル17が測定位置mpに合わせられた際に、各垂直面14bを挟持する。前述のようにプリズム14の両側面は斜めになっており、この斜面を挟持すると上方向にずれる力が働いてしまう。各垂直面14bは、このような挟持による位置ズレを防止するために形成されたものであり、Y方向押さえ機構72は、各垂直面14bを挟持してセンサユニット12を確実に測定位置mpに保持する。
【0073】
センサユニット12は、測定位置mpに移動した際に、Y方向押さえ機構72によって長手方向の両側面が押さえられるとともに、Z方向押さえ機構71によってレール70に押し付けられる。また、ハンドリングヘッド64によって両端部が挟み込まれているので、測定位置mpに移動したセンサユニット12は、X、Y、Zのそれぞれの方向から押さえられるようになる。すなわち、Z方向押さえ機構71がレール70に押し付けるZ方向が請求項記載の第1方向に相当し、ハンドリングヘッド64が搬送するX方向が請求項記載の第2方向に相当し、このZ方向とX方向とに直交するY方向が請求項記載の第3方向に相当する。
【0074】
図4に戻って、ピペットヘッド移動機構52は、ピペット対26を有するピペットヘッド75をX、Y、Zの3方向に移動させる。このピペットヘッド移動機構52は、例えば、搬送ベルト、プーリ、キャリッジ、モータなどから構成される周知の移動機構であり、ピペットヘッド75を上下させる昇降機構と、この昇降機構ごとピペットヘッド75をY方向へ移動させるY方向移動機構と、これらをX方向へ移動させるX方向移動機構とからなる。
【0075】
ピペット対26の先端は、交換可能なチップ状(以下、ピペットチップと称す)にされている。ピペットチップは、液体と直接接触するので、このピペットチップを介して異種の液体の混液が生じないように、送液する液体毎に交換される。図示は省略するが、筐体54内のピペットヘッド75がアクセス可能な位置には、交換用のピペットチップを複数保管するピペットチップ保管部が設けられている。
【0076】
また、筐体54内には、アナライト溶液27を保管するウエルプレート76が設けられている。このウエルプレート76は、例えば、筐体54の側面などに固定されたプレート77に載置される。ウエルプレート76の各ウエルには、例えば、異なる種類のアナライト溶液27が収容されている。この他、筐体54内のピペットヘッド75がアクセス可能な位置には、測定用バッファ液や洗浄液などを保管した複数の液保管部(図示は省略)が用意されている。ピペットヘッド移動機構52は、ウエルプレート76や液保管部にピペットヘッド75をアクセスさせて、所望の液体をピペット対26に吸い込ませる。この後、測定ステージ53にピペットヘッド75を移動させて、測定位置mpにあるセンサセル17の流路16にピペット対26を挿し込み、吸引した液体の注入及び排出をピペット対26に行わせる。すなわち、ピペットヘッド75とピペットヘッド移動機構52とによって、請求項記載の分注手段が構成される。
【0077】
次に、図12に示すフローチャートを参照しながら、上記構成による測定機11の作用について説明する。センサユニット12に測定工程を施す際には、まず、リガンド固定化済みのセンサユニット12をホルダ45に収納し、そのホルダ45をホルダ搬送機構50のプレート62にセットする。センサユニット12をセットした後、測定開始指示を入力すると、測定機11による測定工程が開始される。
【0078】
コントローラ55は、測定開始指示に応答して搬送ベルト60を駆動し、プレート62をY方向に移動させてホルダ45内の所定のセンサユニット12を押上位置に移動させる。センサユニット12を押上位置に移動させたコントローラ55は、ハンドリングヘッド64をピックアップ位置に移動させる。ハンドリングヘッド64がピックアップ位置に移動すると、押し上げ機構63が駆動され、押上位置にあるセンサユニット12がホルダ45から押し上げられる。
【0079】
センサユニット12が押し上げられると、ハンドリングヘッド64が測定ステージ53に向けて移動を始める。測定ステージ53への移動を始めたハンドリングヘッド64は、押し上げられたセンサユニット12を各爪部206、207で挟持する。ハンドリングヘッド64は、センサユニット12を挟持した状態で測定ステージ53に移動し、例えば、最も測定ステージ53よりのセンサセル17を測定位置mpにセットする。コントローラ55は、センサユニット12を各センサセル17の配列ピッチで移動させるようにステッピングモータ67にパルス信号を送り、各センサセル17を測定位置mpに順次進入させて、センサセル17毎に測定を行う。なお、センサユニット12の位置制御は、ステッピングモータ67の回転数によるものでもよいし、別途設けられる位置決めセンサなどによるものでもよい。
【0080】
コントローラ55は、測定位置mpにセンサセル17がセットされると、Z方向押さえ機構71のステッピングモータ81にパルス信号を送り、図9(a)或いは図10に示す解除位置にあるスライダ82を保持位置に移動させる。このスライダ82の移動により、押さえ部材80が図9(b)中矢印方向に下降する。図11に示すように、押さえ部材80が下降すると、押さえ部材80の押圧部80aの底面80eに設けられた傾き防止片85a〜85dの斜面86が、それぞれセンサユニット12の幅方向の端部に当接される。このとき、押さえ部材80によって、測定位置mpにあるセンサユニット12がレール70に押し付けられた状態で保持される。
【0081】
また、測定位置mpにセンサセル17が合わせられたセンサユニット12は、Y方向押さえ機構72に長手方向の両側面を挟み込まれ、Y方向への位置ズレが防止されるとともに、ハンドリングヘッド64に両端部を挟み込まれ、X方向への位置ズレも防止される。このように、測定位置mpにあるセンサユニット12は、X、Y、Zのそれぞれの方向から押さえられるので、各方向への位置ズレが確実に防止される。
【0082】
Z方向押さえ機構71にセンサユニット12を保持させたコントローラ55は、測定部31にデータ読み取りを開始させる。また、これと同時にピペットヘッド移動機構52を駆動し、ピペットヘッド75を図示を省略した液保管部に移動させる。液保管部に移動したピペットヘッド75は、ピペット対26に測定用バッファ液を吸い込ませる。測定用バッファ液をピペット対26に吸い込ませたピペットヘッド75は、測定ステージ53に移動し、測定位置mpにセットされた測定対象となるセンサセル17の流路16にピペット対26を挿し込む。流路16に挿し込まれたピペット対26は、一方のピペット26aに吐出させて吸引した測定用バッファ液を流路16内に注入するとともに、他方のピペット26bに吸引させて流路16内に注入された測定用バッファ液を流路16から排出させる。このとき、センサユニット12は、押さえ部材80の押圧部80bに設けられた傾き防止片85a〜85dによってレール70に向けて押圧されているから、ピペット26a、或いはピペット26bの挿入によって傾くことが防止される。
【0083】
ピペット対26に測定用バッファ液の注入、及び排出を行わせたピペットヘッド75は、ピペット対26を流路16から引き抜く。本例では、センサユニット12を、X、Y、Zのそれぞれの方向から押さえているので、ピペット対26を流路16に挿抜する際に、センサユニット12がピペット対の挿し込み、或いは引き抜きによって、傾くことがない。また、Z方向押さえ機構71によって、センサユニット12をレール70に押し付けているので、流路16からピペット対26を引き抜いた際に、流路部材41とプリズム14との間に隙間が生じることが防止される。これにより、流路16内に液体を注入した状態でピペット対26を引き抜く場合にも、注入した液体が漏れ出ることはない。
【0084】
流路16からピペット対26を引き抜いたピペットヘッド75は、図示を省略したピペットチップ保管部に移動し、ピペット対26の先端に挿し込まれたピペットチップを交換する。ピペットチップを交換したピペットヘッド75は、ウエルプレート76に移動し、ピペット対26にアナライト溶液27を吸い込ませる。アナライト溶液27をピペット対26に吸い込ませたピペットヘッド75は、測定ステージ53に移動して測定対象となるセンサセル17の流路16にピペット対26を挿し込み、流路16内へのアナライト溶液27の注入、及び排出を行う。
【0085】
アナライト溶液27の注入、及び排出を行ったピペットヘッド75は、再びピペットチップ保管部に移動し、ピペットチップの交換を行う。ピペットチップの交換を行ったピペットヘッド75は、液保管部に移動してピペット対26に測定用バッファ液を吸い込ませ、その測定用バッファ液を測定対象となるセンサセル17の流路16に注入、及び排出する。これにより、測定部31は、基準レベル(ベースライン)の検出、アナライトとリガンドの反応状況(結合状況)、測定用バッファ液の注入による結合したアナライトとリガンドとの脱離までのSPR信号を取得する。コントローラ55は、この測定用バッファ液の注入、及び排出が完了すると、測定部31のデータ読み取りを停止させる。以上により、1つのセンサセル17に対する測定が終了する。
【0086】
1つのセンサセル17の測定が終了すると、コントローラ55は、Z方向押さえ機構71のステッピングモータ81にパルス信号を送り、スライダ82を解除位置に移動させる。スライダ82を解除位置に移動させ、センサユニット12のレール70への押し付けを解除したコントローラ55は、ハンドリングヘッド移動機構65のステッピングモータ67にパルス信号を送って、次のセンサセル17を測定位置mpにセットする。コントローラ55は、以下同様の手順で、センサユニット12に含まれる6つのセンサセル17に対して測定を行う。全てのセンサセル17の測定を行ったコントローラ55は、ハンドリングヘッド64をピックアップ位置に移動させ、測定済みのセンサユニット12をホルダ45に戻す。
【0087】
本実施形態では、押圧部80bの底面80eに傾き防止片85を4カ所に設けたが、これに限定する必要はなく、例えば、押圧部80bの長手方向に延びた傾き防止片を貫通孔80c,80dの中心を結んだ線を基準にして線対称となるように2箇所に設けたり、押圧部80bの底面80eの形状を、押圧部80bの幅方向の中心に向けて下り傾斜する斜面を設けることも可能である。また、この他に、押圧部の底面から突出し、測定位置にあるセンサユニットの上面に当接するボスを設ける、或いは、貫通孔の周縁部に沿ってリブを立設させ、該リブの先端を、センサユニットの上面に当接させることも可能である。
【0088】
本実施形態では、押圧部に設けられる斜面をセンサユニットの上面と側面との稜線に押し付ける場合について説明したが、これに限定する必要はなく、例えばセンサユニットにおいて、稜線ではなく、テーパ面が形成されている場合には、上述した斜面をテーパ面に面接触させて、センサユニットの傾きを抑制することも可能である。
【0089】
本実施形態では、押さえ部材をセンサユニットの上方から下降させ、押さえ部材の押圧部に設けられた傾き防止片の斜面をセンサユニットの上面と側面との稜線に線接触させるようにしたが、この他に、例えば、センサユニットを、センサユニットの幅方向に沿って移動する傾き防止部材をセンサユニットの側面上部に突き当てることも可能である。
【0090】
なお、上記実施形態のZ方向押さえ機構71は、スプリングプランジャ83の押圧力によってセンサユニット12をレール70に押し付けるようにしているが、これに限ることなく、例えば、ステッピングモータ81の回転数などによってスライダ82の位置制御を行い、弾性材料で成形された流路部材41を所定量押しつぶすようにして、センサユニット12をレール70に押し付けてもよい。この際、流路部材41のつぶし量は、0.3mm程度であることが好ましい。
【0091】
また、上記実施形態では、Z方向押さえ機構71でセンサユニット12をレール70に押し付ける際に、一度仮押さえをしてから本押さえを行うようにしているが、仮押さえの回数は、一度に限ることなく複数回行うようにしてもよい。また、センサユニット12の傾きなどを検出するセンサを設け、このセンサの検出結果に基づいて、センサユニット12が正しい姿勢となるまで仮押さえを行うようにしてもよい。
【0092】
さらに、上記実施形態では、Y方向押さえ機構72として固定ピン90とスプリングプランジャ92とを用いているが、これに限ることなく、例えば、正対した2つのピンと、少なくとも一方のピンを移動させるスライド移動機構とによるものでもよい。これによれば、各ピンの間隔を変えてセンサユニット12を挟持する位置と挟持を解除する位置との間で移動させることにより、Y方向の挟持を行うことができる。なお、スライド移動機構には、モータとギアとで構成されるものや、ソレノイドなどといった周知の機構を用いればよい。
【0093】
なお、上記実施形態では、誘電体ブロックとしてプリズム14を示しているが、誘電体ブロックには、この他に、光学ガラスや光学プラスチックなどを板状にしたものや、これらの板状のものとプリズムとを光学面平滑剤(例えば、光学マッチングオイル)で一体化させたものなどを含めるものとする。
【0094】
また、上記実施形態では、全反射減衰を利用した測定装置の一例として、SPR測定装置を示したが、全反射減衰を利用した測定装置としては、この他に、例えば、漏洩モードセンサが知られている。漏洩モードセンサは、誘電体と、この上に順に層設されたクラッド層と光導波層とによって構成された薄膜とからなり、この薄膜の一方の面がセンサ面となり、他方の面が光入射面となる。光入射面に全反射条件を満たすように光を入射させると、その一部が前記クラッド層を透過して前記光導波層に取り込まれる。そして、この光導波層において、導波モードが励起されると、前記光入射面における反射光が大きく減衰する。導波モードが励起される入射角は、SPRの共鳴角と同様に、センサ面上の媒質の屈折率に応じて変化する。この反射角の減衰を検出することにより、前記センサ面上の化学反応が測定される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】SPR測定方法の説明図である。
【図2】1つのセンサセルを抜き出して説明する説明図である。
【図3】センサユニットの概略構成を示す分解斜視図である。
【図4】測定機の構成を概略的に示す斜視図である。
【図5】ハンドリングヘッドの構成を示す拡大図である。
【図6】ハンドリングヘッドがセンサユニットを挟持する手順を示す説明図である。
【図7】Z方向押さえ機構の構成を概略的に示す斜視図である。
【図8】押さえ部材の押圧部の構成を示す斜視図である。
【図9】押さえ部材がセンサユニットと当接した状態と当接が解除された状態とを示す説明図である。
【図10】解除位置にあるY方向押さえ機構の構成をに示す部分側面図である。
【図11】保持位置にあるY方向押さえ機構の構成をに示す部分側面図である。
【図12】測定工程の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
10 固定機
11 測定機
12 センサユニット
13 金属膜(薄膜層)
14 プリズム(誘電体ブロック)
16 流路
17 センサセル
26 ピペット対
26a、26b ピペット
32 照明部
33 検出器(検出手段)
34 光源
41 流路部材
52 ピペットヘッド移動機構
53 測定ステージ
64 ハンドリングヘッド
70 レール
71 Z方向押さえ機構(傾き抑制機構)
72 Y方向押さえ機構
73 台座
75 ピペットヘッド
80 押さえ部材(傾き抑制部材)
80c,80d 貫通孔
81 ステッピングモータ(昇降手段)
82 スライダ(昇降手段)
83 スプリングプランジャ
85 傾き防止片
90 固定ピン
91 固定部材
92 スプリングプランジャ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に薄膜層が形成された誘電体ブロックと、前記薄膜層に試料溶液を送液する流路が形成された流路部材とからなるセンサユニットが着脱自在にセットされる測定ステージと、この測定ステージにセットされた前記センサユニットの前記流路にピペットを挿抜して、前記流路内に前記試料溶液を注入する分注手段と、前記薄膜層に全反射条件を満足するように光を照射する光源と、前記薄膜層からの反射光を受光して電気信号に光電変換する検出手段とを備えた全反射減衰を利用した測定装置において、
前記測定ステージに前記センサユニットがセットされた後に、前記センサユニットの上面端部のうち、対向する端部のそれぞれに当接して、挿し込まれるピペットによる前記センサユニットの傾きを抑制する斜面を複数有する傾き抑制機構を備えたことを特徴とする全反射減衰を利用した測定装置。
【請求項2】
前記傾き抑制機構は、前記複数の斜面が形成された傾き抑制部材と、この傾き抑制部材を下降、或いは上昇させる昇降手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の全反射減衰を利用した測定装置。
【請求項3】
前記傾き抑制部材は、前記斜面がセンサユニットに当接された状態で、前記ピペットの前記流路への挿抜を可能にする貫通孔又は切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項2記載の全反射減衰を利用した測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−71837(P2007−71837A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262362(P2005−262362)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】