説明

共振マイクロエレクトロメカニカルシステムをスターとするのに用いられるアンプにおけるDCオフセットを克服するためのシステム及び方法

【課題】共振マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)初期化成功を補償するシステム及び方法、特にESDによるDCオフセットを克服する方法を提供する。
【解決手段】システム20は、共振センサ24、駆動デバイス26、チャージアンプおよび電圧利得回路28を含む。スタートアップ時に、チャージアンプ及び電圧利得回路は、共振センサから信号を受信し、DCオフセットに関するこの信号を補償するために、駆動に関するクロック信号を生成し、これを用いて、安定した状態の動作モードにおける共振センサを実現する。回路は、受信された信号に関する信号にグリッチを生成するようにトグル切り替えされた複数の利得スイッチを含む。グリッチは、DCオフセットを補償する。受信された信号に関する信号が、リファレンス信号を越えている場合、比較器は、駆動デバイスに関するクロック信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)ジャイロのスタートアップは、エレクトロニクス・ノイズを増幅することによって実行され、比較器に入り、次いで、ドライブ波形を生成するロジックを駆動する。最初の駆動ステージの入力(アンプのチャージ)は、しばしば、ESDダイオードのような静電放電(ESD)保護を含む。ESD保護はしばしば、DCオフセットを導くリーク電流を導入する。DCオフセットが大きすぎると、最初の駆動ステージの比較器は決してスイッチせず(クロック信号が駆動コンポーネントに送られない)、駆動信号は生成されず、センサは決してスタートしない。低周波ハイパスフィルタを加えることによってこの問題を可決することも可能であるけれども、これは、特定用途向け集積回路(ASIC)内の貴重なボードスペースまたはダイスペースを消費する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、共振マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の初期化の成功を保証するためのシステム及び方法を提供する。例示のシステムは、共振センサ、駆動デバイス、可変利得チャージアンプ、および、可変利得電圧アンプを含む。スタートアップで、チャージアンプは、共振センサから信号を受信し、DCオフセットに関するこの信号を補償し、駆動デバイスに関するクロック信号を生成し、かくして、安定した状態の動作モードに共振センサを配置する。
【0003】
本発明のある態様では、回路は、回路の利得を調整するためにコントロール可能な複数の利得スイッチを含む。受信した信号に関する信号がリファレンス信号を超える場合、回路は、駆動デバイスに関するクロック信号を生成する比較器を含む。利得スイッチのトグル切り替えによって、受信した信号に関する信号にグリッチが生成し、順番に、比較器をスイッチングさせる。比較器のゼロ交差によって、駆動のサイクルが生成させられる。駆動は、エネルギを共振器に加える。共振器の置換によって、チャージアンプの出力が可視になり、DCオフセットを克服する。
【0004】
本発明の別の態様では、コントローラは、事前定義された周波数で1またはそれ以上の利得スイッチをトグル切り替えする。事前定義された周波数は、センサの所望の共振に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】本発明によって形成された例示のシステムのブロック図を示す。
【図2】チャージアンプおよび図2の電圧利得回路のコンポーネントを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)デバイス20がスタートに失敗する状況を回避することにより、静電放電(ESD)コンポーネント(例えば、ダイオード)によって導入されたDCオフセットを克服する、共振マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)デバイス20を例示する。
【0007】
MEMSデバイス20は、1又はそれ以上のセンサ24、駆動ジェネレータ26、チャージアンプ、利得回路28、および、コントローラ30を含む。駆動センサ26よびチャージアンプおよび電圧利得回路28は、センサ24(例えば、共振プルーフマスまたはダブルエンド(double-ended)チューニングフォーク)と信号通信されている。コントローラ30は、利得回路28のコンポーネントと信号通信される。コントローラ30は、チャージアンプおよび電圧利得回路28によってスパイク信号を生成することができ、該スパイク信号は、経験的ないかなるDCオフセットをも克服するのに十分な大きさであり、それにより、利得回路28によって駆動ジェネレータ26に関するクロック信号を出力させることができる。
【0008】
図2は、チャージアンプおよび電圧利得回路28の例示的な構成を図示する。回路28は、入力ターミナルと出力ターミナルとの間に並列に接続されたスイッチ/キャパシタ対32,34を備えた共振MEMSデバイス20からのESD保護された信号を受信する第1のチャージアンプ52(フィードバックキャパシタを備えたオペアンプ)を含む。通常の作動では、異なる容量値が、異なるチャージアンプ利得に関して選択されうる。抵抗40は、第1のアンプ52の出力と、第2のアンプ42(符号変換器)の入力との間に配置される。複数のスイッチ/抵抗対44,46は、第2のアンプ42の入力ターミナルと出力ターミナルとの間に並列に接続される。第2のアンプ42の出力ターミナルは、キャパシタ50の入力に接続される。キャパシタ50は、第1及び第2のアンプ52、42に関するリファレンス信号でもあるリファレンス信号と、入力信号とを比較する。
【0009】
ある実施形態では、スイッチ対32,34,44,46のスイッチは、コントローラ30に接続される。デバイス20のスタートアップ中(図1)、コントローラ30は、スイッチ対32,34,44,46のうちの1つのスイッチをトグルさせる(切り替える)。これにより、入力での信号パスにおいて過渡信号またはグリッチを比較器50に導入する。導入されたグリッチが、(ESD保護コンポーネントによって導入された電圧リークによって生じる)DCオフセットよりも大きい場合、比較器50は、トリップし、クロックを生成し、モーター駆動を生成し、共振のスタートアップを許可する。
【0010】
利得が、(駆動ジェネレータ26の所望の駆動/モータ周波数でまたはその近くで)急速にチャージされる場合、駆動信号は、対応する周波数で生成されうる。それゆえ、DCオフセットは、実際の共振器置換が、DCオフセットを克服するのに十分にビルドアップされるまで、利得(スイッチ)を急速に切り替えることにより克服される。
【0011】
コントローラ30は、共振器振幅がビルドアップされるまで、利得(観念的には、共振器周波数)を急速に切り替えるハードウェハ、及び/又は、ソフトウェアシステムである。ついで、デバイス20は、安定した状態の利得で稼動を続ける。
【0012】
別の実施形態では、比較器50によって見られる信号の1つだけのスパイクで、システムをスタートさせるのに十分である。スイッチ/キャパシタおよびスイッチ/抵抗対32,34,44,46に使用されるキャパシタ及び抵抗のサイズは、それぞれのアンプにわたる所望の利得に依存して変化する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振センサ(24)と、
前記共振センサに駆動信号を送信するように構成された駆動デバイス(26)と、
前記共振センサからの信号を受け、安定した状態の動作モードでの共振センサにするためにDCオフセットに関して補償する駆動デバイスに関するクロック信号を生成するように構成された回路(28)と、を有し、
前記回路が、
該回路の利得を調整するためにコントロール可能な複数の利得スイッチと、
前記受信された信号に関する信号がリファレンス信号を超える場合に、駆動デバイスに関するクロック信号を生成するように構成された比較器と、
を有する、
ことを特徴とする、共振マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)デバイス(20)。
【請求項2】
前記受信された信号に関する信号にグリッチを生成するための複数の利得スイッチの少なくとも1つの作動をコントロールするように構成されたコントローラ(30)を更に有し、
前記グリッチがDCオフセットを克服し、前記コントローラが、事前定義された周波数で複数の利得スイッチのうちの少なくとも1つをトグル切り替えし、前記事前定義された周波数が、共振器の所望の周波数に対応する、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
共振マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の方法が、
共振センサ(24)からの信号を受信するステップを有することを特徴とし、
利得回路(28)が、安定した状態の動作モードでの共振センサにするためにDCオフセットに関して補償する駆動デバイス(26)に関するクロック信号を生成し、
前記受信された信号に関する信号がリファレンス信号を超える場合、前記生成することが、利得回路の利得を調節するための複数の利得スイッチのうちの少なくとも1つをコントロールし、駆動デバイスに関するクロック信号を生成することを有し、
前記利得スイッチの少なくとも1つの動作をコントロールすることが、前記受信された信号に関する信号にグリッチを生成させ、前記グリッチはDCオフセットを克服し、前記コントロールすることが、事前定義された周波数で複数の利得スイッチのうちの少なくとも1つをトグル切り替えすることを有し、事前定義された周波数が、駆動信号の所望の周波数に対応する、ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−151797(P2010−151797A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−237331(P2009−237331)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】