説明

共振器及びその製造方法

【課題】入出力特性の悪化を招くことなく、振動子と半導体基板との間に、ギャップを精度良く形成する。
【解決手段】共振器は、半導体基板1の上に形成された第1の犠牲膜2A,2Bと、第1の犠牲膜2A,2Bの上に形成された第2の犠牲膜4A,4Bと、第2の犠牲膜4A,4Bの上に形成された固定電極6A,6Bと、振動子3Xとを備えている。振動子3Xと第2の犠牲膜4A,4B及び固定電極6A,6Bとの間には、第1のギャップ7A,7Bが形成されている。振動子3Xと半導体基板1との間には、第2のギャップ8が形成されている。第1の犠牲膜2A,2Bの端面は第2のギャップ8に露出し、且つ、第2の犠牲膜4A,4Bの端面は第1のギャップ7A,7Bに露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振器及びその製造方法、特に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用した共振器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、無線通信システムの基準発振器として、主に、水晶を用いた水晶発振器が利用されている。水晶発振器は、温度特性等の観点から、多くの無線通信システムで活用されている。しかしながら、水晶発振器は、IC(Integrated Circuit)との集積化が困難である。このため、近年、シリコンプロセス技術を用いた共振器、即ち、MEMS技術を利用した共振器が注目されている。
【0003】
共振器は、基板、振動子、及び固定電極等を備えている。振動子と固定電極との間及び振動子と基板との間には、ギャップが形成されている。ギャップは、エッチングにより犠牲膜を除去することで形成される。
【0004】
エッチングによる犠牲膜の除去時に、犠牲膜が過剰にエッチングされて、固定電極が基板に付着して、スティッキングが発生するという問題がある。「スティッキング」とは、エッチングによる犠牲膜の除去時に、構造体(例えば固定電極)が、基板又は他の構造体(例えば振動子)に付着する現象をいう。そこで、スティッキングの発生を防止するため、壁状体(エッチストップ層)を設ける技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
以下に、従来の共振器の構成について、図17(a) 及び(b) を参照しながら説明する。図17(a) 及び(b) は、従来の共振器の構成を示す図であり、図17(a) は、斜視図であり、図17(b) は、図17(a) に示すXVIIb-XVIIb線における断面図である。
【0006】
図17(a) 及び(b) に示すように、従来の共振器は、シリコン基板101と、振動子103Xと、固定電極106A,106Bと、BOX(Buried Oxide)層102A,102Bと、TEOS膜105A,105Bとを備えている。BOX層102A,102B及びTEOS膜105A,105Bは、犠牲膜である
図17(b) に示すように、振動子103Xと固定電極106A,106Bとの間には、微小ギャップ109A,109Bが形成されている。振動子103Xとシリコン基板101との間には、ギャップ110が形成されている。
【0007】
固定電極106A及び固定電極106Bのうちの一方の固定電極に、入力信号が印加されると、振動子103Xにねじり変位が生じ、このねじり変位を出力信号として他方の固定電極から出力する。
【0008】
図17(b) に示すように、壁状体108A,108Bは、固定電極106A,106Bを貫通し、下端がシリコン基板101に接触している。壁状体108A,108Bの平面形状は、図17(a) に示すように、コの字状である。
【0009】
以下に、従来の共振器の製造方法について、図18(a) 〜(c) 、図19(a) 〜(c) 及び図20(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図18(a) 〜図20(c) は、従来の共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0010】
まず、図18(a) に示すように、シリコン基板101上に、シリコン酸化膜であるBOX層102を介して、単結晶シリコン層103を形成する。これにより、シリコン基板101、BOX層102及び単結晶シリコン層103を有するSOI(Silicon On Insulator)基板104が形成される。その後、単結晶シリコン層103の上に、振動子パターンを有するマスクMaを形成する。
【0011】
次に、図18(b) に示すように、マスクMaを用いて、単結晶シリコン層103に対して、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いた結晶異方性ウェットエッチングを行う。これにより、断面形状が三角形状の振動子103Xを形成する。その後、マスクMaを除去する。
【0012】
次に、図18(c) に示すように、BOX層102の上に、振動子103Xを覆うTEOS膜105を形成する。その後、TEOS膜105の上に、ポリシリコン膜106を形成する。その後、ポリシリコン膜106の上に、壁状体パターンを有するレジストRe1を形成する。
【0013】
次に、図19(a) に示すように、レジストRe1をマスクとして、ポリシリコン膜106、TEOS膜105及びBOX層102に対して、エッチングを行う。これにより、貫通溝107A,107Bを形成する。貫通溝107A,107Bの平面形状は、図17(a) から判るように、コの字形状である。
【0014】
次に、図19(b) に示すように、貫通溝107A,107B内に、シリコン窒化膜を充填して、壁状体108A,108Bを形成する。
【0015】
次に、図19(c) に示すように、フォトリソグラフィにより、ポリシリコン膜106の上に、固定電極パターンを有するレジストRe2を形成する。
【0016】
次に、図20(a) に示すように、レジストRe2をマスクとして、ポリシリコン膜106に対して、ドライエッチングを行う。これにより、固定電極106A,106Bを形成する。その後、レジストRe2を除去する。
【0017】
次に、図20(b) に示すように、フッ酸を用いたウェットエッチングにより、TEOS膜105を除去する。
【0018】
次に、図20(c) に示すように、引き続き、フッ酸を用いたウェットエッチングにより、TEOS膜105及びBOX層102を除去する。これにより、振動子103Xと固定電極106A,106Bとの間に、微小ギャップ109A,109Bを形成する。振動子103Xと半導体基板101との間に、ギャップ110を形成する。
【0019】
このとき、平面形状がコの字状の壁状体108A,108Bにより、BOX層102及びTEOS膜105における壁状体108A,108Bで囲まれた部分がエッチングされることを防止し、BOX層102及びTEOS膜105が過剰にエッチングされることを防止する。これにより、固定電極106A,106Bがシリコン基板101に付着して、スティッキングが発生することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2008−72209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、従来の共振器では、以下に示す問題がある。
【0022】
従来では、シリコン窒化膜、即ち、絶縁膜である壁状体108A,108Bが、固定電極106A,106Bを貫通するため、電流路が制限され、入出力特性が悪化するという問題がある。
【0023】
さらに、従来では、壁状体108A,108Bを形成するが故に、製造工程が複雑化し、製造コストが増大するという問題がある。具体的には、従来では、図18(c) に示すように、レジストRe1を形成した後、図19(a) に示すように、レジストRe1をマスクとして、貫通溝107A,107Bを形成し、その後、図19(b) に示すように、貫通溝107A,107B内に、壁状体108A,108Bを形成する。このように、ポリシリコン膜(固定電極用膜)106の形成後で且つ固定電極パターンを有するレジストRe2の形成前に、レジストRe1の形成、貫通溝107A,107Bの形成及び壁状体108A,108Bの形成を行う必要がある。よって、製造工程が複雑化し、製造コストが増大する。
【0024】
前記に鑑み、本発明の目的は、入出力特性の悪化を招くことなく、振動子と半導体基板との間に、ギャップを精度良く形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記の目的を達成するため、本発明に係る共振器は、半導体基板の上に形成された第1の犠牲膜と、第1の犠牲膜の上に形成された第2の犠牲膜と、第2の犠牲膜の上に形成された固定電極と、振動子とを備え、振動子と第2の犠牲膜及び固定電極との間には、第1のギャップが形成され、振動子と半導体基板との間には、第2のギャップが形成されており、第1の犠牲膜の端面は第2のギャップに露出し、且つ、第2の犠牲膜の端面は第1のギャップに露出している。
【0026】
本発明に係る共振器によると、第1の犠牲膜よりもエッチング速度が速い第2の犠牲膜を用いることができ、第1の犠牲膜に対する第2の犠牲膜の選択比を、例えば2以上にすることができる。これにより、第2の犠牲膜における振動子の側面の上に形成された部分を除去する時に、第1の間隔と第2の間隔とが互いに同一になるように、第2の犠牲膜を除去することができる。このため、その後に行う第2のギャップの形成時に、第2のギャップの形状を、振動子の中心線を対称軸とする線対称な形状にすることができる。よって、振動子と半導体基板との間に、精度が良く且つ対称性が高い第2のギャップを形成することができる。「第1の間隔」とは、振動子の両側方のうち一方の側方に位置する第2の犠牲膜の端面と振動子の中心線との間隔をいう。「第2の間隔」とは、振動子の両側方のうち他方の側方に位置する第2の犠牲膜の端面と振動子の中心線との間隔をいう。
【0027】
さらに、従来のように固定電極を貫通する壁状体を設けることがないため、入出力特性の悪化を招くことはない。
【0028】
本発明に係る共振器において、第1のギャップは、エッチングにより第2の犠牲膜における振動子の側方に位置する部分が除去されることで形成されたギャップであり、第2のギャップは、エッチングにより第1の犠牲膜における振動子の下方に位置する部分が除去されることで形成されたギャップであり、第1の犠牲膜に対する第2の犠牲膜の選択比は、2以上であることが好ましい。
【0029】
本発明に係る共振器において、第2の犠牲膜と固定電極との間に形成された第3の犠牲膜をさらに備え、固定電極は、第3の犠牲膜の上に形成され、第1のギャップは、振動子と第2の犠牲膜、第3の犠牲膜及び固定電極との間に形成されていることが好ましい。
【0030】
本発明に係る共振器において、第1のギャップは、エッチングにより第2の犠牲膜及び第3の犠牲膜における振動子の側方に位置する部分が除去されることで形成されたギャップであり、第3の犠牲膜に対する第2の犠牲膜の選択比は、2以上であることが好ましい。
【0031】
本発明に係る共振器において、第1のギャップに露出する第3の犠牲膜の端面及び第2のギャップに露出する第1の犠牲膜の端面は、第1のギャップに露出する第2の犠牲膜の端面よりも突出していてもよい。
【0032】
本発明に係る共振器において、固定電極は、半導体基板の表面に沿って延びる第1の部分と、振動子の側面に沿って延びる第2の部分とを有していることが好ましい。
【0033】
本発明に係る共振器において、第1のギャップは、振動子と固定電極との間に形成され、且つ、間隔が第2のギャップの間隔よりも狭い微小ギャップを含むことが好ましい。
【0034】
本発明に係る共振器において、振動子の断面形状は、三角形状であることが好ましい。
【0035】
本発明に係る共振器において、振動子の底面と半導体基板の表面との距離は、固定電極における半導体基板の表面と対向する面と半導体基板の表面との距離よりも短くてもよい。
【0036】
本発明に係る共振器において、第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、第2の犠牲膜は、BPSG膜、BSG膜、PSG膜、シリコン窒化膜又はタングステン膜であることが好ましい。
【0037】
本発明に係る共振器において、第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、第2の犠牲膜は、BPSG膜、BSG膜又はPSG膜であり、第3の犠牲膜は、TEOS膜であることが好ましい。
【0038】
前記の目的を達成するため、本発明に係る共振器の製造方法は、半導体基板の上に、第1の犠牲膜を形成する工程(a)と、第1の犠牲膜の上に、振動子を形成する工程(b)と、第1の犠牲膜の上に、振動子を覆う第2の犠牲膜を形成する工程(c)と、第2の犠牲膜の上に、固定電極を形成する工程(d)と、エッチングにより、第2の犠牲膜における振動子の側面の上に形成された部分を除去して、振動子と第2の犠牲膜及び固定電極との間に、第1の犠牲膜を露出する第1のギャップを形成する工程(e)と、工程(e)の後に、第1の犠牲膜における振動子の下方に位置する部分を除去して、振動子と半導体基板との間に、第1の犠牲膜の端面を露出する第2のギャップを形成する工程(f)とを備え、工程(e)において、第1の犠牲膜に対する第2の犠牲膜の選択比は、2以上である。
【0039】
本発明に係る共振器の製造方法によると、第1の犠牲膜に対する第2の犠牲膜の選択比を、例えば2以上にすることができる。これにより、第2の犠牲膜における振動子の側面の上に形成された部分を除去する時に、第1の間隔と第2の間隔とが互いに同一になるように、第2の犠牲膜を除去することができる。このため、その後に行う第2のギャップの形成時に、第2のギャップの形状を、振動子の中心線を対称軸とする線対称な形状にすることができる。よって、振動子と半導体基板との間に、精度が良く且つ対称性が高い第2のギャップを形成することができる。
【0040】
さらに、従来のように固定電極を貫通する壁状体を設けることがないため、入出力特性の悪化を招くことはない。
【0041】
本発明に係る共振器の製造方法において、工程(f)は、第2の犠牲膜における振動子の側方に位置する部分を除去する工程を含んでもよい。
【0042】
本発明に係る共振器の製造方法において、工程(c)の後で且つ工程(d)の前に、第2の犠牲膜の上に、第3の犠牲膜を形成する工程(g)をさらに備え、工程(d)において、固定電極は、第3の犠牲膜の上に形成され、工程(e)は、エッチングにより、第2の犠牲膜における振動子の側面の上に形成された部分及び第3の犠牲膜における振動子の側方に位置する部分を除去して、振動子と第2の犠牲膜、第3の犠牲膜及び固定電極との間に、第1のギャップを形成する工程を含み、工程(e)において、第3の犠牲膜に対する第2の犠牲膜の選択比は、2以上であることが好ましい。
【0043】
本発明に係る共振器の製造方法において、工程(c)において、第2の犠牲膜は、振動子の側面の上及び第1の犠牲膜における振動子の側方に位置する部分の上に形成され、工程(g)において、第3の犠牲膜は、第1の犠牲膜の上に、第2の犠牲膜を覆うように形成されてもよい。
【0044】
本発明に係る共振器の製造方法において、工程(f)は、第2の犠牲膜及び第3の犠牲膜における振動子の側方に位置する部分を除去する工程を含んでもよい。
【0045】
本発明に係る共振器の製造方法において、工程(c)において、第2の犠牲膜は、振動子の側面の上に形成され、工程(c)の後で且つ工程(d)の前に、第1の犠牲膜の上に、第2の犠牲膜を覆う第3の犠牲膜を形成する工程(h)をさらに備え、工程(d)において、固定電極は、第3の犠牲膜の上に形成され、工程(e)は、エッチングにより、第2の犠牲膜、及び第3の犠牲膜における振動子の側方に位置する部分を除去して、振動子と第3の犠牲膜及び固定電極との間に、第1のギャップを形成する工程を含み、工程(e)において、第3の犠牲膜に対する第2の犠牲膜の選択比は、2以上であることが好ましい。
【0046】
本発明に係る共振器の製造方法において、工程(f)は、第3の犠牲膜における振動子の側方に位置する部分を除去する工程を含んでもよい。
【0047】
本発明に係る共振器の製造方法において、第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、第2の犠牲膜は、BPSG膜、BSG膜又はPSG膜であり、工程(e)のエッチングは、フッ酸を用いた気相エッチングであることが好ましい。
【0048】
本発明に係る共振器の製造方法において、第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、第2の犠牲膜は、シリコン窒化膜であり、工程(e)のエッチングは、リン酸を用いたウェットエッチングであることが好ましい。
【0049】
本発明に係る共振器の製造方法において、第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、第2の犠牲膜は、タングステン膜であり、工程(e)のエッチングは、過酸化水素水を用いたウェットエッチングであることが好ましい。
【0050】
本発明に係る共振器の製造方法において、第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、第2の犠牲膜は、BPSG膜、BSG膜又はPSG膜であり、第3の犠牲膜は、TEOS膜であり、工程(e)のエッチングは、フッ酸を用いた気相エッチングであることが好ましい。
【発明の効果】
【0051】
本発明に係る共振器及びその製造方法によると、入出力特性の悪化を招くことなく、振動子と半導体基板との間に、ギャップを精度良く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る共振器の構成を示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に係る共振器の構成を示す断面図であり、図1に示すII-II線における断面図である。
【図3】図3(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】図4(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図5】図5(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図6】図6(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7】図7(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図8】図8(a) 〜(c) は、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図9】図9(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図10】図10(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図11】図11(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図12】図12(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図13】図13(a) 〜(c) は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図14】図14(a) 〜(c) は、本発明の第3の実施形態に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図15】図15(a) 〜(c) は、本発明の第3の実施形態に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図16】図16(a) 〜(c) は、本発明の第3の実施形態に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図17】図17(a) 及び(b) は、従来の共振器の構成を示す図であり、図17(a) は、斜視図であり、図17(b) は、図17(a) に示すXVIIb-XVIIb線における断面図である。
【図18】図18(a) 〜(c) は、従来の共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図19】図19(a) 〜(c) は、従来の共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図20】図20(a) 〜(c) は、従来の共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0054】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る共振器について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る共振器の構成を示す平面図である。図2は、本実施形態に係る共振器の構成を示す断面図であり、図1に示すII-II線における断面図である。
【0055】
図2に示すように、本実施形態に係る共振器は、半導体基板1の上に形成された犠牲膜2A,2Bと、犠牲膜2A,2Bの上に形成された犠牲膜4A,4Bと、犠牲膜4A,4Bの上に形成された固定電極6A,6Bと、振動子3Xとを備えている。振動子3Xの側面と犠牲膜4A及び固定電極6Aとの間には、犠牲膜4Aの端面が露出したギャップ7Aが形成されている。振動子3Xの側面と犠牲膜4B及び固定電極6Bとの間には、犠牲膜4Bの端面が露出したギャップ7Bが形成されている。振動子3Xの底面と半導体基板1との間には、犠牲膜2A,2Bの端面が露出したギャップ8が形成されている。
【0056】
固定電極6A,6Bは、半導体基板1の表面に沿って延びる平坦部分(第1の部分)と、振動子3Xの側面に沿って延びる傾斜部分(第2の部分)とを有している。
【0057】
ギャップ7Aは、振動子3Xの側面と固定電極6Aにおける傾斜部分との間に形成された微小ギャップを含む。ギャップ7Bは、振動子3Xの側面と固定電極6Bにおける傾斜部分との間に形成された微小ギャップを含む。微小ギャップの間隔は、ギャップ8の間隔よりも狭い。微小ギャップの間隔は、例えば、犠牲膜4A,4Bの膜厚と同一である。
【0058】
図2に示すように、振動子3Xは、断面形状が、三角形状であることが好ましく、二等辺三角形状であることがより好ましい。この場合、振動子3Xの側面同士は、幅が同一である。言い換えれば、振動子3Xの底角同士は、同一である。振動子3Xの底面は、半導体基板1の表面と平行である。
【0059】
ギャップ7A,7Bは、後述の図4(b) 及び図4(c) に示すように、エッチングにより犠牲膜4における振動子3Xの側方に位置する部分が除去されることで形成されたギャップである。ギャップ8は、後述の図4(c) に示すように、エッチングにより犠牲膜2における振動子3Xの下方に位置する部分が除去されることで形成されたギャップである。犠牲膜2A,2Bに対する犠牲膜4A,4Bの選択比は、2以上であることが好ましい。「犠牲膜2A,2Bに対する犠牲膜4A,4Bの選択比」とは、犠牲膜2A,2Bのエッチング速度に対する犠牲膜4A,4Bのエッチング速度の割合(比)をいう。
【0060】
犠牲膜2A,2Bは、例えばシリコン酸化膜であり、犠牲膜4A,4Bは、例えばBPSG(Boro-phospho silicate glass)膜、BSG(Boro-Silicata Glass)膜又はPSG(Phospho Silicate Glass)膜である。
【0061】
振動子3Xの底面と半導体基板1の表面との距離(言い換えれば、ギャップ8の間隔)は、固定電極6A,6Bにおける半導体基板1の表面と対向する面と半導体基板1の表面との距離よりも、犠牲膜4A,4Bの膜厚分だけ短い。
【0062】
犠牲膜2Aと犠牲膜2Bとは、それらの間にギャップ8を挟んで、互いに離間しており、犠牲膜2Aの端面及び犠牲膜2Bの端面は、ギャップ8に露出している。犠牲膜4A及び固定電極6Aと犠牲膜4B及び固定電極6Bとは、それらの間にギャップ7A,7B及び振動子3Xを挟んで、互いに離間しており、犠牲膜4Aの端面及び犠牲膜4Bの端面は、それぞれ、ギャップ7A及びギャップ7Bに露出している。
【0063】
ギャップ8は、振動子3Xの中心線Lに関して、対称に形成されている。具体的には、図2に示すように、ギャップ8における左側の部分と、ギャップ8における右側の部分とは、振動子3Xの中心線Lを挟んで、対称に形成されている。即ち、ギャップ8の形状は、振動子3Xの中心線Lを対称軸とする線対称な形状である。「振動子3Xの中心線L」とは、振動子3Xの頂点を通り、且つ、半導体基板1の表面に対して垂直な線をいう。
【0064】
犠牲膜2Aの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Aと、犠牲膜2Bの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Bとは、例えば同一である。
【0065】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る共振器の製造方法について、図3(a) 〜(c) 及び図4(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図3(a) 〜図4(c) は、本実施形態に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0066】
まず、図3(a) に示すように、例えばシリコンからなる半導体基板1の上に、犠牲膜2を形成する。犠牲膜2は、例えばシリコン酸化膜である。その後、犠牲膜2の上に、例えば単結晶シリコンからなる振動子用膜3を形成する。これにより、半導体基板1、犠牲膜2及び振動子用膜3を有するSOI(Silicon On Insulator)基板が形成される。
【0067】
その後、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、振動子用膜3の上に、例えば窒化シリコンからなるマスク用膜を形成する。その後、フォトリソグラフィにより、振動子パターンを有するレジスト(図示省略)を形成する。その後、レジストをマスクとして、例えばドライエッチングにより、マスク用膜をパターニングする。これにより、振動子パターンを有するマスクMaを形成する。その後、アッシング及び洗浄により、レジストを除去する。
【0068】
次に、図3(b) に示すように、マスクMaを用いて、振動子用膜3に対して、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いた結晶異方性ウェットエッチングを行う。これにより、犠牲膜2の上に、振動子3Xを形成する。振動子3Xの断面形状は、例えば二等辺三角形状である。この場合、振動子3Xの底角同士は、同一である。振動子3Xの底面は、犠牲膜2と接触している。振動子3Xの高さ及び幅は、それぞれ、振動子用膜3の膜厚で決定される。例えば、振動子用膜3の膜厚が3μm程度である場合、振動子3Xの高さは、3μm程度であり、振動子3Xの底面の幅は、5μm程度である。その後、例えば熱リン酸を用いたウェットエッチングにより、マスクMaを除去する。
【0069】
次に、図3(c) に示すように、例えばCVD法により、犠牲膜2の上に、振動子3Xを覆う犠牲膜4を形成する。犠牲膜4は、例えばBPSG膜である。
【0070】
その後、例えばCVD法により、犠牲膜4の上に、例えばポリシリコンからなる導電膜(固定電極用膜)6を形成する。その後、フォトリソグラフィにより、導電膜6の上に、固定電極パターンを有するレジストReを形成する。レジストReの形成時に、アライメント(位置合わせ)にずれが生じ、図3(c) に示すように、レジストReの開口部が、振動子3Xの中心線Lに関して、非対称に形成されることがある。言い換えれば、間隔WReaと間隔WRebとが、互いに異なることがある。図3(c) から判るように、「間隔WRea,間隔WReb」は、レジストReの開口部の内側面と振動子3Xの中心線Lとの間隔である。
【0071】
次に、図4(a) に示すように、レジストReをマスクとして、例えばドライエッチングにより、導電膜6における振動子3Xの上部(頂点側の部分)の上に形成された部分を除去する。これにより、固定電極6A,6Bを形成する。固定電極6A,6Bは、半導体基板1の表面に沿った平坦部分と、振動子3Xの側面に沿った傾斜部分とを有する。その後、アッシング及び洗浄により、レジストReを除去する。
【0072】
図3(c) に示すように、レジストReの開口部が、振動子3Xの中心線Lに関して、非対称に形成される(言い換えれば、間隔WReaと間隔WRebとが、互いに異なる)場合、図4(a) に示すように、固定電極6Aと固定電極6Bとが、振動子3Xの中心線Lを挟んで、非対称に形成される。言い換えれば、間隔W6Aと間隔W6Bとが、互いに異なる。図4(a) から判るように、「間隔W6A」は、固定電極6Aの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔である。「間隔W6B」は、固定電極6Bの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔である。
【0073】
次に、図4(b) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜4における振動子3Xの側面の上に形成された部分を除去する。これにより、振動子3Xと犠牲膜4a及び固定電極6Aとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ7aを形成する。振動子3Xと犠牲膜4b及び固定電極6Bとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ7bを形成する。
【0074】
ギャップ7aは、振動子3Xの側面と固定電極6Aにおける傾斜部分との間に形成された微小ギャップを含む。ギャップ7bは、振動子3Xの側面と固定電極6Bにおける傾斜部分との間に形成された微小ギャップを含む。微小ギャップの間隔は、犠牲膜4の膜厚で決定される。例えば、犠牲膜4の膜厚が100nm程度以上で且つ300nm程度以下である場合、微小ギャップの間隔は、100nm程度以上で且つ300nm程度以下である。
【0075】
フッ酸を用いた気相エッチングの場合、犠牲膜4(例えばBPSG膜)のエッチング速度を、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)のエッチング速度の2倍以上にすることができる。このため、図3(c) に示すように、レジストReの開口部が、振動子3Xの中心線Lに関して、非対称に形成されることがあっても、犠牲膜4aの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔W4aと、犠牲膜4bの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔W4bとを、互いに同一にすることができる。
【0076】
次に、図4(c) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜2における振動子3Xの下方に位置する部分を除去する。これにより、振動子3Xと半導体基板1との間に、犠牲膜2A,2Bの端面を露出するギャップ8を形成する。それと共に、犠牲膜4a,4bにおける振動子3Xの側方に位置する部分を除去する。これにより、ギャップ7a,7bよりも体積が大きいギャップ7A,7Bを形成する。
【0077】
本実施形態では、図4(b) に示すように、間隔W4aと間隔W4bとを、互いに同一にすることができる。このため、図4(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、ギャップ8を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称に形成することができる。即ち、ギャップ8の形状を、振動子3Xの中心線Lを対称軸とする線対称な形状にすることができる。
【0078】
本実施形態では、図4(b) に示すように、間隔W4aと間隔W4bとを、互いに同一にすることができる。このため、図4(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、犠牲膜2Aの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Aと、犠牲膜2Bの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Bとを、互いに同一にすることができる。
【0079】
以上のようにして、本実施形態に係る共振器を製造することができる。
【0080】
本実施形態によると、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)に対する犠牲膜4(例えばBPSG膜)の選択比を、2以上にすることができる。これにより、図4(b) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングによる犠牲膜4の除去時に、間隔W4aと間隔W4bとが互いに同一になるように、犠牲膜4を除去することができる。このため、図4(c) に示すように、ギャップ8の形状を、振動子3Xの中心線Lを対称軸とする線対称な形状にすることができ、精度が良く且つ対称性が高いギャップ8を形成することができる。
【0081】
さらに、従来のように固定電極106A,106Bを貫通する壁状体108A,108Bを設けることがないため、入出力特性の悪化を招くことはない。さらに、壁状体108A,108Bの形成により製造工程が複雑化することはない。
【0082】
なお、本実施形態では、理解を容易にする為に、例えばフッ酸を用いた気相エッチングによる犠牲膜4の除去工程(図4(b) 参照)と例えばフッ酸を用いた気相エッチングによる犠牲膜2,4の除去工程(図4(c) 参照)とを、分離して説明したが、図4(b) に示す工程のエッチングと図4(c) に示す工程のエッチングとは、同一のエッチング(例えばフッ酸を用いた気相エッチング)である。従って、図4(b) に示す工程と図4(c) に示す工程とは、連続した一連の工程である。犠牲膜4が除去されてギャップ7a,7bに犠牲膜2の上面が露出された直後、犠牲膜2の除去が開始される。
【0083】
なお、本実施形態では、犠牲膜4として、BPSG膜を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。犠牲膜4として、例えばBSG膜又はPSG膜を用いてもよい。フッ酸を用いた気相エッチングの場合、犠牲膜4(例えばBSG膜又はPSG膜)のエッチング速度を、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)のエッチング速度の2倍以上にすることができる。このため、犠牲膜4として、例えばBSG膜又はPSG膜を用いた場合、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
(第1の実施形態の第1の変形例)
以下に、本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係る共振器の製造方法について、図5(a) 〜(c) 及び図6(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図5(a) 〜図6(c) は、本変形例に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。図5(a) 〜図6(c) において、第1の実施形態と同様の構成要素には、図3(a) 〜図4(c) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第1の実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0085】
まず、図5(a) に示すように、第1の実施形態における図3(a) に示す工程と同様の工程を行う。
【0086】
次に、図5(b) に示すように、第1の実施形態における図3(b) に示す工程と同様の工程を行う。
【0087】
次に、図5(c) に示すように、例えばCVD法により、犠牲膜2の上に、振動子3Xを覆う犠牲膜14を形成する。犠牲膜14は、例えばシリコン窒化膜である。本変形例では、BPSG膜である犠牲膜4に代えて、シリコン窒化膜である犠牲膜14を用いる。その後、第1の実施形態と同様に、導電膜6及びレジストReを形成する。
【0088】
次に、図6(a) に示すように、第1の実施形態における図4(a) に示す工程と同様の工程を行う。
【0089】
次に、図6(b) に示すように、例えば熱リン酸を用いたウェットエッチングにより、犠牲膜14における振動子3Xの側面の上に形成された部分を除去する。本変形例では、シリコン窒化膜である犠牲膜14を用いるため、フッ酸を用いた気相エッチングに代えて、熱リン酸を用いたウェットエッチングを用いる。これにより、振動子3Xと犠牲膜14a及び固定電極6Aとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ7aを形成する。振動子3Xと犠牲膜14b及び固定電極6Bとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ7bを形成する。
【0090】
熱リン酸を用いたウェットエッチングの場合、犠牲膜14(例えばシリコン窒化膜)のエッチング速度を、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)のエッチング速度の2倍以上にすることができる。このため、図5(c) に示すように、レジストReの開口部が、振動子3Xの中心線Lに関して、非対称に形成されることがあっても、犠牲膜14aの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔W14aと、犠牲膜14bの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔W14bとを、互いに同一にすることができる。
【0091】
次に、図6(c) に示すように、第1の実施形態における図4(c) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜2における振動子3Xの下方に位置する部分を除去する。これにより、振動子3Xと半導体基板1との間に、犠牲膜2A,2Bの端面を露出するギャップ8を形成する。このとき、特に、犠牲膜14にシリコン窒化膜を、犠牲膜2にシリコン酸化膜を用いた場合、犠牲膜14a,14b(シリコン窒化膜)は殆どエッチングされることがなく、僅かにエッチングされるに留まる。
【0092】
本変形例では、図6(b) に示すように、間隔W14aと間隔W14bとを、互いに同一にすることができる。このため、図6(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、ギャップ8を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称に形成することができる。
【0093】
本変形例では、図6(b) に示すように、間隔W14aと間隔W14bとを、互いに同一にすることができる。このため、図6(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、犠牲膜2Aの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Aと、犠牲膜2Bの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Bとを、互いに同一にすることができる。
【0094】
このように、第1の実施形態では、図4(b) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングを行った後、引き続き、図4(c) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングを行う。これに対し、本変形例では、図6(b) に示すように、例えば熱リン酸を用いたウェットエッチングを行った後、図6(c) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングを行う。
【0095】
以上のようにして、本変形例に係る共振器を製造することができる。
【0096】
本変形例によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
(第1の実施形態の第2の変形例)
以下に、本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係る共振器の製造方法について、図7(a) 〜(c) 及び図8(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図7(a) 〜図8(c) は、本変形例に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。図7(a) 〜図8(c) において、第1の実施形態と同様の構成要素には、図3(a) 〜図4(c) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第1の実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0098】
まず、図7(a) に示すように、第1の実施形態における図3(a) に示す工程と同様の工程を行う。
【0099】
次に、図7(b) に示すように、第1の実施形態における図3(b) に示す工程と同様の工程を行う。
【0100】
次に、図7(c) に示すように、例えばスパッタ法により、犠牲膜2の上に、振動子3Xを覆う犠牲膜24を形成する。犠牲膜24は、例えばタングステン膜(W膜)24である。本変形例では、BPSG膜である犠牲膜4に代えて、タングステン膜である犠牲膜24を用いる。その後、第1の実施形態と同様に、導電膜6及びレジストReを形成する。
【0101】
次に、図8(a) に示すように、第1の実施形態における図4(a) に示す工程と同様の工程を行う。
【0102】
次に、図8(b) に示すように、例えば過酸化水素水を用いたウェットエッチングにより、犠牲膜24における振動子3Xの側面の上に形成された部分を除去する。本変形例では、タングステン膜である犠牲膜24を用いるため、フッ酸を用いた気相エッチングに代えて、過酸化水素水を用いたウェットエッチングを用いる。これにより、振動子3Xと犠牲膜24a及び固定電極6Aとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ7aを形成する。振動子3Xと犠牲膜24b及び固定電極6Bとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ7bを形成する。
【0103】
過酸化水素水を用いたウェットエッチングの場合、犠牲膜24(例えばタングステン膜)のエッチング速度を、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)のエッチング速度の2倍以上にすることができる。このため、図7(c) に示すように、レジストReの開口部が、振動子3Xの中心線Lに関して、非対称に形成されることがあっても、犠牲膜24aの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔W24aと、犠牲膜24bの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔W24bとを、互いに同一にすることができる。
【0104】
次に、図8(c) に示すように、第1の実施形態における図4(c) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜2における振動子3Xの下方に位置する部分を除去する。これにより、振動子3Xと半導体基板1との間に、犠牲膜2A,2Bの端面を露出するギャップ8を形成する。このとき、特に、犠牲膜24にタングステン膜を、犠牲膜2にシリコン酸化膜を用いた場合、犠牲膜24a,24b(タングステン膜)は殆どエッチングされることがなく、僅かにエッチングされるに留まる。
【0105】
本変形例では、図8(b) に示すように、間隔W24aと間隔W24bとを、互いに同一にすることができる。このため、図8(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、ギャップ8を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称に形成することができる。
【0106】
本変形例では、図8(b) に示すように、間隔W24aと間隔W24bとを、互いに同一にすることができる。このため、図8(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、犠牲膜2Aの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Aと、犠牲膜2Bの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Bとを、互いに同一にすることができる。
【0107】
このように、第1の実施形態では、図4(b) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングを行った後、引き続き、図4(c) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングを行う。これに対し、本変形例では、図8(b) に示すように、例えば過酸化水素水を用いたウェットエッチングを行った後、図8(c) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングを行う。
【0108】
以上のようにして、本変形例に係る共振器を製造することができる。
【0109】
本変形例によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0110】
なお、第1の実施形態及びその第1,第2の変形例では、犠牲膜2に対する犠牲膜4,14,24の選択比が、2以上である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。犠牲膜4,14,24のエッチング速度は、犠牲膜2のエッチング速度よりも速ければよく、犠牲膜2に対する犠牲膜4,14,24の選択比が、少なくとも2以上であることが好ましい。
【0111】
なお、第1の実施形態では、犠牲膜2として、シリコン酸化膜を用い、犠牲膜4として、BPSG膜を用い(BPSG膜の代わりに、BSG膜又はPSG膜を用い)、図4(b) に示す工程のエッチングとして、フッ酸を用いた気相エッチングを用いる場合を具体例に挙げて説明した。第1の変形例では、犠牲膜2として、シリコン酸化膜を用い、犠牲膜14として、シリコン窒化膜を用い、図6(b) に示す工程のエッチングとして、リン酸を用いたウェットエッチングを用いる場合を具体例に挙げて説明した。第2の変形例では、犠牲膜2として、シリコン酸化膜を用い、犠牲膜24として、タングステン膜を用い、図8(b) に示す工程のエッチングとして、過酸化水素水を用いたウェットエッチングを用いる場合を具体例に挙げて説明した。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。犠牲膜2に対する犠牲膜4,14,24の選択比が、2以上(少なくとも2以上)になるように、犠牲膜2及び犠牲膜4,14,24の膜種並びにエッチングの種類を適宜選択すればよい。
【0112】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る共振器の製造方法について、図9(a) 〜(c) 及び図10(a) 〜(c) を参照しながら説明する。図9(a) 〜図10(c) は、本実施形態に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。図9(a) 〜図10(c) において、第1の実施形態と同様の構成要素には、図3(a) 〜図4(c) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本実施形態では、第1の実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0113】
まず、図9(a) に示すように、第1の実施形態における図3(a) に示す工程と同様の工程を行う。
【0114】
次に、図9(b) に示すように、第1の実施形態における図3(b) に示す工程と同様の工程を行う。
【0115】
次に、図9(c) に示すように、例えばCVD法により、犠牲膜2の上に、振動子3Xを覆う犠牲膜34を形成する。犠牲膜34は、例えばBPSG膜である。その後、例えばCVD法により、犠牲膜34の上に、犠牲膜35を形成する。犠牲膜35は、例えばTEOS膜である。その後、第1の実施形態と同様に、導電膜6及びレジストReを形成する。このように、第1の実施形態では、犠牲膜4(例えばBPSG膜)を形成した後、導電膜6を形成する。これに対し、本実施形態では、犠牲膜34(例えばBPSG膜)の形成後で且つ導電膜6の形成前に、犠牲膜35(例えばTEOS膜)を形成する。「TEOS膜」とは、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原料としたCVD法により形成される膜をいう。
【0116】
次に、図10(a) に示すように、第1の実施形態における図4(a) に示す工程と同様の工程を行う。
【0117】
次に、図10(b) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜34における振動子3Xの側面の上に形成された部分及び犠牲膜35における振動子3Xの側方に位置する部分を除去する。これにより、振動子3Xと犠牲膜34a、犠牲膜35a及び固定電極6Aとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ37aを形成する。振動子3Xと犠牲膜34b、犠牲膜35b及び固定電極6Bとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ37bを形成する。このように、第1の実施形態では、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜4(例えばBPSG膜)における振動子3Xの側面の上に形成された部分を除去する。これに対し、本実施形態では、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜34(例えばBPSG膜)における振動子3Xの側面の上に形成された部分及び犠牲膜35(例えばTEOS膜)における振動子3Xの側方に位置する部分を除去する。
【0118】
フッ酸を用いた気相エッチングの場合、犠牲膜34(例えばBPSG膜)のエッチング速度を、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)のエッチング速度及び犠牲膜35(例えばTEOS膜)のエッチング速度の2倍以上にすることができる。このため、図9(c) に示すように、レジストReの開口部が、振動子3Xの中心線Lに関して、非対称に形成されることがあっても、犠牲膜34aの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔W34aと、犠牲膜34bの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔W34bとを、互いに同一にすることができる。
【0119】
上記の通り、犠牲膜34のエッチング速度は、犠牲膜35のエッチング速度の2倍以上である。このため、犠牲膜35のエッチング量は、犠牲膜34のエッチング量よりも少ない。よって、図10(b) に示すように、犠牲膜35a,35bの端面は、犠牲膜34a,34bの端面よりも突出する。
【0120】
次に、図10(c) に示すように、第1の実施形態における図4(c) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜2における振動子3Xの下方に位置する部分を除去する。これにより、振動子3Xと半導体基板1との間に、犠牲膜2A,2Bの端面を露出するギャップ8を形成する。それと共に、犠牲膜34a,34b及び犠牲膜35a,35bにおける振動子3Xの側方に位置する部分を除去する。これにより、ギャップ37a,37bよりも体積が大きいギャップ37A,37Bを形成する。ギャップ37Aには、犠牲膜34Aの端面及び犠牲膜35Aの端面が、ギャップ37Bには、犠牲膜34Bの端面及び犠牲膜35Bの端面が露出している。
【0121】
ギャップ37Aは、振動子3Xの側面と固定電極6Aにおける傾斜部分との間に形成された微小ギャップを含む。ギャップ37Bは、振動子3Xの側面と固定電極6Bにおける傾斜部分との間に形成された微小ギャップを含む。微小ギャップの間隔は、犠牲膜34の膜厚と犠牲膜35の膜厚とを合計した合計膜厚で決定される。例えば、犠牲膜34の膜厚が100nm程度であり、犠牲膜35の膜厚が100nm程度である場合、微小ギャップの間隔は、100nm程度以上で且つ300nm程度以下である。
【0122】
本実施形態では、図10(b) に示すように、間隔W34aと間隔W34bとを、互いに同一にすることができる。このため、図10(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、ギャップ8を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称に形成することができる。
【0123】
本実施形態では、図10(b) に示すように、間隔W34aと間隔W34bとを、互いに同一にすることができる。このため、図10(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、犠牲膜2Aの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Aと、犠牲膜2Bの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Bとを、互いに同一にすることができる。
【0124】
上述の通り、犠牲膜34のエッチング速度は、犠牲膜2のエッチング速度及び犠牲膜35のエッチング速度の2倍以上である。このため、犠牲膜2のエッチング量及び犠牲膜35a,35bのエッチング量は、犠牲膜34a,34bのエッチング量よりも少ない。よって、図10(c) に示すように、犠牲膜2A,2Bの端面及び犠牲膜35A,35Bの端面は、犠牲膜34A,34Bの端面よりも突出する。
【0125】
以上のようにして、本実施形態に係る共振器を製造することができる。
【0126】
本実施形態と第1の実施形態との構成上の相違点は、以下の点である。
【0127】
第1の実施形態では、図2に示すように、犠牲膜2A,2Bと固定電極6A,6Bとの間に、犠牲膜4A,4Bが形成されている。振動子3Xの底面と半導体基板1の表面との距離は、固定電極6A,6Bにおける半導体基板1の表面と対向する面と半導体基板1の表面との距離よりも、犠牲膜4A,4Bの膜厚分だけ短い。
【0128】
これに対し、本実施形態では、図10(c) に示すように、犠牲膜2A,2Bと固定電極6A,6Bとの間に、犠牲膜34A,34B及び犠牲膜35A,35Bが順次形成されている。振動子3Xの底面と半導体基板1の表面との距離は、固定電極6A,6Bにおける半導体基板1の表面と対向する面と半導体基板1の表面との距離よりも、犠牲膜34A,34Bの膜厚と犠牲膜35A,35Bの膜厚とを合計した合計膜厚分だけ短い。犠牲膜2A,2Bの端面及び犠牲膜35A,35Bの端面は、犠牲膜34A,34Bの端面よりも突出している。
【0129】
本実施形態によると、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)に対する犠牲膜34(例えばBPSG膜)の選択比を、2以上にし、且つ、犠牲膜35(例えばTEOS膜)に対する犠牲膜34の選択比を、2以上にすることができる。これにより、図10(b) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングによる犠牲膜34,35の除去時に、間隔W34aと間隔W34bとが互いに同一になるように、犠牲膜34を除去することができる。このため、図10(c) に示すように、ギャップ8の形状を、振動子3Xの中心線Lを対称軸とする線対称な形状にすることができ、精度が良く且つ対称性が高いギャップ8を形成することができる。
【0130】
さらに、犠牲膜34のエッチング速度を、犠牲膜35のエッチング速度の2倍以上にすることができる。言い換えれば、犠牲膜35のエッチング速度を、犠牲膜34のエッチング速度の2分の1以下にすることができる。これにより、犠牲膜35が過剰にエッチングされることを防止することができる。このため、犠牲膜35A,35Bと固定電極6A,6Bとの接触面積を増大させて、固定電極6A,6Bを安定に保持することができる。
【0131】
さらに、従来のように固定電極106A,106Bを貫通する壁状体108A,108Bを設けることがないため、入出力特性の悪化を招くことはない。さらに、壁状体108A,108Bの形成により製造工程が複雑化することはない。
【0132】
(第2の実施形態の変形例)
以下に、本発明の第2の実施形態の変形例に係る共振器の製造方法について、図11(a) 〜(c) 、図12(a) 〜(c) 及び図13(a) 〜(c)を参照しながら説明する。図11(a) 〜図13(c) は、本変形例に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。図11(a) 〜図13(c) において、第2の実施形態と同様の構成要素には、図9(a) 〜図10(c) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第2の実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0133】
まず、図11(a) に示すように、第2の実施形態における図9(a) に示す工程と同様の工程を行う。
【0134】
次に、図11(b) に示すように、第2の実施形態における図9(b) に示す工程と同様の工程を行う。
【0135】
次に、図11(c) に示すように、例えばCVD法により、犠牲膜2の上に、振動子3Xを覆う犠牲膜44を形成する。犠牲膜44は、例えばBPSG膜である。その後、フォトリソグラフィにより、犠牲膜44の上に、レジストRexを形成する。
【0136】
次に、図12(a) に示すように、レジストRexをマスクとして、犠牲膜44に対して、例えばドライエッチングを行う。これにより、振動子3Xの側面の上、及び犠牲膜2における振動子3Xの側方に位置する部分の上に、犠牲膜44Xを残存させる。その後、アッシング及び洗浄により、レジストRexを除去する。
【0137】
次に、図12(b) に示すように、例えばCVD法により、犠牲膜2の上に、犠牲膜44Xを覆う犠牲膜45を形成する。犠牲膜45は、例えばTEOS膜である。
【0138】
このように、本変形例では、図12(a) に示すように、振動子3Xの側面、及び犠牲膜2の上面における振動子3Xの側方に位置する部分を覆う犠牲膜44X(例えばBPSG膜)を形成した後、図12(b) に示すように、犠牲膜2の上に、犠牲膜44Xを覆う犠牲膜45(例えばTEOS膜)を形成する。これに対し、第2の実施形態では、振動子3Xの側面、及び犠牲膜2の上面における振動子3Xで覆われた部分以外の部分を覆う犠牲膜34(例えばBPSG膜)を形成した後、犠牲膜34の上に、犠牲膜35(例えばTEOS膜)を形成する。
【0139】
その後、第2の実施形態と同様に、導電膜6を形成する。
【0140】
次に、図12(c) に示すように、第2の実施形態と同様に、レジストReを形成する。
【0141】
次に、図13(a) に示すように、第2の実施形態における図10(a) に示す工程と同様の工程を行う。
【0142】
次に、図13(b) に示すように、第2の実施形態における図10(b) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜44Xにおける振動子3Xの側面の上に形成された部分及び犠牲膜45における振動子3Xの側方に位置する部分を除去する。これにより、振動子3Xと犠牲膜44Xa、犠牲膜45a及び固定電極6Aとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ47aを形成する。振動子3Xと犠牲膜44Xb、犠牲膜45b及び固定電極6Bとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ47bを形成する。
【0143】
フッ酸を用いた気相エッチングの場合、犠牲膜44X(例えばBPSG膜)のエッチング速度を、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)のエッチング速度及び犠牲膜45(例えばTEOS膜)のエッチング速度の2倍以上にすることができる。このため、図12(c) に示すように、レジストReの開口部が、振動子3Xの中心線Lに関して、非対称に形成されることがあっても、犠牲膜44Xaの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔W44Xaと、犠牲膜44Xbの端面と振動子3Xの中心線Lとの間隔W44Xbとを、互いに同一にすることができる。
【0144】
次に、図13(c) に示すように、第2の実施形態における図10(c) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜2における振動子3Xの下方に位置する部分を除去する。これにより、振動子3Xと半導体基板1との間に、犠牲膜2A,2Bの端面を露出するギャップ8を形成する。それと共に、犠牲膜44Xa,44Xb及び犠牲膜45a,45bにおける振動子3Xの側方に位置する部分を除去する。これにより、ギャップ47a,47bよりも体積が大きいギャップ47A,47Bを形成する。ギャップ47Aには、犠牲膜44XAの端面及び犠牲膜45Aの端面が、ギャップ47Bには、犠牲膜44XBの端面及び犠牲膜45Bの端面が露出している。
【0145】
本変形例では、図13(b) に示すように、間隔W44Xaと間隔W44Xbとを、互いに同一にすることができる。このため、図13(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、ギャップ8を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称に形成することができる。
【0146】
本変形例では、図13(b) に示すように、間隔W44Xaと間隔W44Xbとを、互いに同一にすることができる。このため、図13(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、犠牲膜2Aの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Aと、犠牲膜2Bの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Bとを、互いに同一にすることができる。
【0147】
以上のようにして、本変形例に係る共振器を製造することができる。
【0148】
本変形例と第2の実施形態との構成上の相違点は、以下の点である。
【0149】
第2の実施形態では、図10(c) に示すように、犠牲膜34A,34Bの上に、犠牲膜35A,35Bが形成されている。犠牲膜35A,35Bは、犠牲膜34A,34Bに接触している一方、犠牲膜2A,2Bに接触していない。
【0150】
これに対し、本変形例では、図13(c) に示すように、犠牲膜2A,2B及び犠牲膜44XA,44XBの上に、凸状の犠牲膜45A,45Bが形成されている。犠牲膜45A,45Bは、犠牲膜2A,2B及び犠牲膜44XA,44XBに接触している。
【0151】
本変形例によると、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0152】
なお、第2の実施形態及びその変形例では、犠牲膜34,44として、BPSG膜を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。犠牲膜34,44として、例えばBSG膜又はPSG膜を用いてもよい。フッ酸を用いた気相エッチングの場合、犠牲膜34,44(例えばBSG膜又はPSG膜)のエッチング速度を、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)のエッチング速度及び犠牲膜35,45(例えばTEOS膜)のエッチング速度の2倍以上にすることができる。このため、犠牲膜34,44として、例えばBSG膜又はPSG膜を用いた場合、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0153】
(第3の実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態に係る共振器の製造方法について、図14(a) 〜(c) 、図15(a) 〜(c) 及び図16(a) 〜(c)を参照しながら説明する。図14(a) 〜図16(c) は、本実施形態に係る共振器の製造方法を工程順に示す断面図である。図14(a) 〜図16(c) において、第2の実施形態と同様の構成要素には、図9(a) 〜図10(c) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本実施形態では、第2の実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0154】
まず、図14(a) に示すように、第2の実施形態における図9(a) に示す工程と同様の工程を行う。
【0155】
次に、図14(b) に示すように、第2の実施形態における図9(b) に示す工程と同様の工程を行う。
【0156】
次に、図14(c) に示すように、例えばCVD法により、犠牲膜2の上に、振動子3Xを覆う犠牲膜54を形成する。犠牲膜54は、例えばBPSG膜である。
【0157】
次に、図15(a) に示すように、犠牲膜54に対して、例えば全面ドライエッチングを行う。これにより、振動子3Xの側面の上に、サイドウォール状の犠牲膜54a,54bを形成する。犠牲膜54aの幅w54aと犠牲膜54bの幅w54bとは、互いに同一である。
【0158】
次に、図15(b) に示すように、例えばCVD法により、犠牲膜2の上に、犠牲膜54a,54bを覆う犠牲膜55を形成する。犠牲膜55は、例えばTEOS膜である。
【0159】
このように、本実施形態では、図15(a) に示すように、振動子3Xの側面を覆う犠牲膜54a,54b(例えばBPSG膜)を形成した後、図15(b) に示すように、犠牲膜2の上に、犠牲膜54a,54bを覆う犠牲膜55(例えばTEOS膜)を形成する。これに対し、第2の実施形態では、振動子3Xの側面、及び犠牲膜2の上面における振動子3Xで覆われた部分以外の部分を覆う犠牲膜34(例えばBPSG膜)を形成した後、犠牲膜34の上に、犠牲膜35(例えばTEOS膜)を形成する。
【0160】
その後、第2の実施形態と同様に、導電膜6を形成する。
【0161】
次に、図15(c) に示すように、第2の実施形態と同様に、レジストReを形成する。
【0162】
次に、図16(a) に示すように、第2の実施形態における図10(a) に示す工程と同様の工程を行う。
【0163】
次に、図16(b) に示すように、第2の実施形態における図10(b) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜54a,54bの全部及び犠牲膜55における振動子3Xの側方に位置する部分を除去する。これにより、振動子3Xと犠牲膜55a及び固定電極6Aとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ57aを形成する。振動子3Xと犠牲膜55b及び固定電極6Bとの間に、犠牲膜2の上面を露出するギャップ57bを形成する。
【0164】
フッ酸を用いた気相エッチングの場合、犠牲膜54a,54b(例えばBPSG膜)のエッチング速度を、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)のエッチング速度及び犠牲膜55(例えばTEOS膜)のエッチング速度の2倍以上にすることができる。このため、図15(c) に示すように、レジストReの開口部が、振動子3Xの中心線Lに関して、非対称に形成されることがあっても、犠牲膜54a,54bを完全に除去することができる。このため、犠牲膜2の上面における犠牲膜54aが除去されて露出された部分の露出幅Waと、犠牲膜2の上面における犠牲膜54bが除去されて露出された部分の露出幅Wbとを、互いに同一にすることができる。
【0165】
次に、図16(c) に示すように、第2の実施形態における図10(c) に示す工程と同様の工程を行う。具体的には、例えばフッ酸を用いた気相エッチングにより、犠牲膜2における振動子3Xの下方に位置する部分を除去する。これにより、振動子3Xと半導体基板1との間に、犠牲膜2A,2Bの端面を露出するギャップ8を形成する。それと共に、犠牲膜55a,55bにおける振動子3Xの側方に位置する部分を除去する。これにより、ギャップ57a,57bよりも体積が大きいギャップ57A,57Bを形成する。ギャップ57Aには、犠牲膜55Aの端面が、ギャップ57Bには、犠牲膜55Bの端面が露出している。
【0166】
ギャップ57Aは、振動子3Xの側面と固定電極6Aにおける傾斜部分との間に形成された微小ギャップを含む。ギャップ57Bは、振動子3Xの側面と固定電極6Bにおける傾斜部分との間に形成された微小ギャップを含む。微小ギャップの間隔は、犠牲膜54の膜厚の約半分と犠牲膜55の膜厚とを合計した合計膜厚で決定される。例えば、犠牲膜54の膜厚が100nm程度であり、犠牲膜55の膜厚が100nm程度である場合、微小ギャップの間隔は、100nm程度以上で且つ300nm程度以下である。
【0167】
本実施形態では、図16(b) に示すように、間隔Waと間隔Wbとを、互いに同一にすることができる。このため、図16(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、ギャップ8を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称に形成することができる。
【0168】
本実施形態では、図16(b) に示すように、間隔Waと間隔Wbとを、互いに同一にすることができる。このため、図16(c) に示すように、犠牲膜2を、振動子3Xの中心線Lに関して、対称にエッチングすることができるので、犠牲膜2Aの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Aと、犠牲膜2Bの端面と振動子3Xの中心線Lとの最大間隔W2Bとを、互いに同一にすることができる。
【0169】
以上のようにして、本実施形態に係る共振器を製造することができる。
【0170】
本実施形態と第2の実施形態との構成上の相違点は、以下の点である。
【0171】
第2の実施形態では、図10(c) に示すように、犠牲膜2A,2Bと固定電極6A,6Bとの間に、犠牲膜34A,34B及び犠牲膜34A,34Bよりもエッチング速度が遅い犠牲膜35A,35Bが順次形成されている。振動子3Xの底面と半導体基板1の表面との距離は、固定電極6A,6Bにおける半導体基板1の表面と対向する面と半導体基板1の表面との距離よりも、犠牲膜34A,34Bの膜厚と犠牲膜35A,35Bの膜厚とを合計した合計膜厚分だけ短い。
【0172】
これに対し、本実施形態では、図16(c) に示すように、犠牲膜2A,2Bと固定電極6A,6Bとの間に、犠牲膜55A,55Bが形成されている。犠牲膜55A,55Bは、製造途中時に完全に除去される犠牲膜54a,54bよりもエッチング速度が遅い。振動子3Xの底面と半導体基板1の表面との距離は、固定電極6A,6Bにおける半導体基板1の表面と対向する面と半導体基板1の表面との距離よりも、犠牲膜55A,55Bの膜厚分だけ短い。
【0173】
本実施形態によると、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)に対する犠牲膜54(例えばBPSG膜)の選択比を、2以上にし、且つ、犠牲膜55(例えばTEOS膜)に対する犠牲膜54の選択比を、2以上にすることができる。これにより、図16(b) に示すように、例えばフッ酸を用いた気相エッチングによる犠牲膜54a,54b,55の除去時に、犠牲膜54a,54bを完全に除去することができる。このため、図16(c) に示すように、ギャップ8の形状を、振動子3Xの中心線Lを対称軸とする線対称な形状にすることができ、精度が良く且つ対称性が高いギャップ8を形成することができる。
【0174】
さらに、犠牲膜55のエッチング速度を、犠牲膜54のエッチング速度の2分の1以下にすることができる。これにより、犠牲膜55が過剰にエッチングされることを防止することができる。このため、犠牲膜55A,55Bと固定電極6A,6Bとの接触面積を増大させて、固定電極6A,6Bを安定に保持することができる。
【0175】
さらに、従来のように固定電極106A,106Bを貫通する壁状体108A,108Bを設けることがないため、入出力特性の悪化を招くことはない。さらに、壁状体108A,108Bの形成により製造工程が複雑化することはない。
【0176】
なお、本実施形態では、犠牲膜54として、BPSG膜を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。犠牲膜54として、例えばBSG膜又はPSG膜を用いてもよい。フッ酸を用いた気相エッチングの場合、犠牲膜54(例えばBSG膜又はPSG膜)のエッチング速度を、犠牲膜2(例えばシリコン酸化膜)のエッチング速度及び犠牲膜55(例えばTEOS膜)のエッチング速度の2倍以上にすることができる。このため、犠牲膜54として、例えばBSG膜又はPSG膜を用いた場合、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0177】
なお、第2の実施形態及びその変形例並びに第3の実施形態では、犠牲膜2に対する犠牲膜34,44,54の選択比が、2以上であり、且つ、犠牲膜35,45,55に対する犠牲膜34,44,54の選択比が、2以上である場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。犠牲膜34,44,54のエッチング速度は、犠牲膜2のエッチング速度及び犠牲膜35,45,55のエッチング速度よりも速ければよく、犠牲膜2に対する犠牲膜34,44,54の選択比が、少なくとも2以上であり、且つ、犠牲膜35,45,55に対する犠牲膜34,44,54の選択比が、少なくとも2以上であることが好ましい。
【0178】
なお、第2の実施形態及びその変形例並びに第3の実施形態では、犠牲膜2として、シリコン酸化膜を用い、犠牲膜34,44,54として、BPSG膜を用い(BPSG膜の代わりに、BSG膜又はPSG膜を用い)、犠牲膜35,45,55として、TEOS膜を用い、図10(b) ,図13(b) ,図16(b) に示す工程のエッチングとして、フッ酸を用いた気相エッチングを用いる場合を具体例に挙げて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。犠牲膜2に対する犠牲膜34,44,54の選択比が、2以上(少なくとも2以上)になり、且つ、犠牲膜35,45,55に対する犠牲膜34,44,54の選択比が、2以上(少なくとも2以上)になるように、犠牲膜2、犠牲膜34,44,54及び犠牲膜35,45,55の膜種並びにエッチングの種類を適宜選択すればよい。
【0179】
なお、第1の実施形態及びその第1,第2の変形例、第2の実施形態及びその変形例、並びに第3の実施形態では、例えば気相エッチングにより、犠牲膜2における振動子3Xの下方に位置する部分を除去する場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばウェットエッチングにより、犠牲膜2における振動子3Xの下方に位置する部分を除去してもよい。
【0180】
なお、第1の実施形態及びその第1,第2の変形例、第2の実施形態及びその変形例、並びに第3の実施形態では、固定電極6A,6Bとして、例えばポリシリコン膜を用いる場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、タングステン膜等の金属膜、ポリシリコン膜と金属膜との積層膜、又はタングステンシリサイド膜(WSix膜)等のシリサイド膜を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明は、入出力特性の悪化を招くことなく、振動子と半導体基板との間に、ギャップを精度良く形成することができ、振動子と半導体基板との間に形成されたギャップを有する共振器及びその製造方法に有用である。
【符号の説明】
【0182】
1 半導体基板
2,2A,2B 犠牲膜(第1の犠牲膜)
3 振動子用膜
3X 振動子
4,4a,4b,4A,4B 犠牲膜(第2の犠牲膜)
6 導電膜
6A,6B 固定電極
7a,7b,7A,7B ギャップ(第1のギャップ)
8 ギャップ(第2のギャップ)
14,14a,14b,14A,14B 犠牲膜(第2の犠牲膜)
24,24a,24b,24A,24B 犠牲膜(第2の犠牲膜)
34,34a,34b,34A,34B 犠牲膜(第2の犠牲膜)
35,35a,35b,35A,35B 犠牲膜(第3の犠牲膜)
37a,37b,37A,37B ギャップ(第1のギャップ)
44,44X,44Xa,44Xb,44XA,44XB 犠牲膜(第2の犠牲膜)
45,45a,45b,45A,45B 犠牲膜(第3の犠牲膜)
47a,47b,47A,47B ギャップ(第1のギャップ)
54,54a,54b 犠牲膜(第2の犠牲膜)
55,55a,55b,55A,55B 犠牲膜(第3の犠牲膜)
57a,57b,57A,57B ギャップ(第1のギャップ)
Ma マスク
Re,Rex レジスト
L 振動子の中心線
W2A,W2B 犠牲膜の端面と振動子の中心線との最大間隔
WRea,WReb レジストの開口部の内側面と振動子の中心線との間隔
W6A,W6B 固定電極の端面と振動子の中心線との間隔
W4a,W4b 犠牲膜の端面と振動子の中心線との間隔
W14a,W14b 犠牲膜の端面と振動子の中心線との間隔
W24a,W24b 犠牲膜の端面と振動子の中心線との間隔
W34a,W34b 犠牲膜の端面と振動子の中心線との間隔
W44Xa,W44Xb 犠牲膜の端面と振動子の中心線との間隔
w54a,w54b 犠牲膜の幅
Wa,Wb 露出幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上に形成された第1の犠牲膜と、
前記第1の犠牲膜の上に形成された第2の犠牲膜と、
前記第2の犠牲膜の上に形成された固定電極と、
振動子とを備え、
前記振動子と前記第2の犠牲膜及び前記固定電極との間には、第1のギャップが形成され、
前記振動子と前記半導体基板との間には、第2のギャップが形成されており、
前記第1の犠牲膜の端面は前記第2のギャップに露出し、且つ、前記第2の犠牲膜の端面は前記第1のギャップに露出していることを特徴とする共振器。
【請求項2】
前記第1のギャップは、エッチングにより前記第2の犠牲膜における前記振動子の側方に位置する部分が除去されることで形成されたギャップであり、
前記第2のギャップは、エッチングにより前記第1の犠牲膜における前記振動子の下方に位置する部分が除去されることで形成されたギャップであり、
前記第1の犠牲膜に対する前記第2の犠牲膜の選択比は、2以上であることを特徴とする請求項1に記載の共振器。
【請求項3】
前記第2の犠牲膜と前記固定電極との間に形成された第3の犠牲膜をさらに備え、
前記固定電極は、第3の犠牲膜の上に形成され、
前記第1のギャップは、前記振動子と前記第2の犠牲膜、前記第3の犠牲膜及び前記固定電極との間に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の共振器。
【請求項4】
前記第1のギャップは、エッチングにより前記第2の犠牲膜及び前記第3の犠牲膜における前記振動子の側方に位置する部分が除去されることで形成されたギャップであり、
前記第3の犠牲膜に対する前記第2の犠牲膜の選択比は、2以上であることを特徴とする請求項3に記載の共振器。
【請求項5】
前記第1のギャップに露出する前記第3の犠牲膜の端面及び前記第2のギャップに露出する前記第1の犠牲膜の端面は、前記第1のギャップに露出する前記第2の犠牲膜の端面よりも突出していることを特徴とする請求項3又は4に記載の共振器。
【請求項6】
前記固定電極は、前記半導体基板の表面に沿って延びる第1の部分と、前記振動子の側面に沿って延びる第2の部分とを有していることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の共振器。
【請求項7】
前記第1のギャップは、前記振動子と前記固定電極との間に形成され、且つ、間隔が前記第2のギャップの間隔よりも狭い微小ギャップを含むことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の共振器。
【請求項8】
前記振動子の断面形状は、三角形状であることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の共振器。
【請求項9】
前記振動子の底面と前記半導体基板の表面との距離は、前記固定電極における前記半導体基板の表面と対向する面と前記半導体基板の表面との距離よりも短いことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の共振器。
【請求項10】
前記第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、
前記第2の犠牲膜は、BPSG膜、BSG膜、PSG膜、シリコン窒化膜又はタングステン膜であることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の共振器。
【請求項11】
前記第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、
前記第2の犠牲膜は、BPSG膜、BSG膜又はPSG膜であり、
前記第3の犠牲膜は、TEOS膜であることを特徴とする請求項3〜9のうちいずれか1項に記載の共振器。
【請求項12】
半導体基板の上に、第1の犠牲膜を形成する工程(a)と、
前記第1の犠牲膜の上に、振動子を形成する工程(b)と、
前記第1の犠牲膜の上に、前記振動子を覆う第2の犠牲膜を形成する工程(c)と、
前記第2の犠牲膜の上に、固定電極を形成する工程(d)と、
エッチングにより、前記第2の犠牲膜における前記振動子の側面の上に形成された部分を除去して、前記振動子と前記第2の犠牲膜及び前記固定電極との間に、前記第1の犠牲膜を露出する第1のギャップを形成する工程(e)と、
前記工程(e)の後に、前記第1の犠牲膜における前記振動子の下方に位置する部分を除去して、前記振動子と前記半導体基板との間に、前記第1の犠牲膜の端面を露出する第2のギャップを形成する工程(f)とを備え、
前記工程(e)において、前記第1の犠牲膜に対する前記第2の犠牲膜の選択比は、2以上であることを特徴とする共振器の製造方法。
【請求項13】
前記工程(f)は、前記第2の犠牲膜における前記振動子の側方に位置する部分を除去する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の共振器の製造方法。
【請求項14】
前記工程(c)の後で且つ前記工程(d)の前に、前記第2の犠牲膜の上に、第3の犠牲膜を形成する工程(g)をさらに備え、
前記工程(d)において、前記固定電極は、前記第3の犠牲膜の上に形成され、
前記工程(e)は、エッチングにより、前記第2の犠牲膜における前記振動子の側面の上に形成された部分及び前記第3の犠牲膜における前記振動子の側方に位置する部分を除去して、前記振動子と前記第2の犠牲膜、前記第3の犠牲膜及び前記固定電極との間に、前記第1のギャップを形成する工程を含み、
前記工程(e)において、前記第3の犠牲膜に対する前記第2の犠牲膜の選択比は、2以上であることを特徴とする請求項12又は13に記載の共振器の製造方法。
【請求項15】
前記工程(c)において、前記第2の犠牲膜は、前記振動子の側面の上及び前記第1の犠牲膜における前記振動子の側方に位置する部分の上に形成され、
前記工程(g)において、前記第3の犠牲膜は、前記第1の犠牲膜の上に、前記第2の犠牲膜を覆うように形成されることを特徴とする請求項14に記載の共振器の製造方法。
【請求項16】
前記工程(f)は、前記第2の犠牲膜及び前記第3の犠牲膜における前記振動子の側方に位置する部分を除去する工程を含むことを特徴とする請求項14又は15に記載の共振器の製造方法。
【請求項17】
前記工程(c)において、前記第2の犠牲膜は、前記振動子の側面の上に形成され、
前記工程(c)の後で且つ前記工程(d)の前に、前記第1の犠牲膜の上に、前記第2の犠牲膜を覆う第3の犠牲膜を形成する工程(h)をさらに備え、
前記工程(d)において、前記固定電極は、前記第3の犠牲膜の上に形成され、
前記工程(e)は、エッチングにより、前記第2の犠牲膜、及び前記第3の犠牲膜における前記振動子の側方に位置する部分を除去して、前記振動子と前記第3の犠牲膜及び前記固定電極との間に、前記第1のギャップを形成する工程を含み、
前記工程(e)において、前記第3の犠牲膜に対する前記第2の犠牲膜の選択比は、2以上であることを特徴とする請求項12に記載の共振器の製造方法。
【請求項18】
前記工程(f)は、前記第3の犠牲膜における前記振動子の側方に位置する部分を除去する工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の共振器の製造方法。
【請求項19】
前記第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、
前記第2の犠牲膜は、BPSG膜、BSG膜又はPSG膜であり、
前記工程(e)のエッチングは、フッ酸を用いた気相エッチングであることを特徴とする請求項12又は13に記載の共振器の製造方法。
【請求項20】
前記第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、
前記第2の犠牲膜は、シリコン窒化膜であり、
前記工程(e)のエッチングは、リン酸を用いたウェットエッチングであることを特徴とする請求項12又は13に記載の共振器の製造方法。
【請求項21】
前記第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、
前記第2の犠牲膜は、タングステン膜であり、
前記工程(e)のエッチングは、過酸化水素水を用いたウェットエッチングであることを特徴とする請求項12又は13に記載の共振器の製造方法。
【請求項22】
前記第1の犠牲膜は、シリコン酸化膜であり、
前記第2の犠牲膜は、BPSG膜、BSG膜又はPSG膜であり、
前記第3の犠牲膜は、TEOS膜であり、
前記工程(e)のエッチングは、フッ酸を用いた気相エッチングであることを特徴とする14〜18のうちいずれか1項に記載の共振器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−9156(P2013−9156A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140514(P2011−140514)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】