説明

共鳴型非接触給電システムの受電側設備

【課題】充電時に給電側設備から出力される電力が変化しても、給電側設備から効率良く電力伝送が行われるように受電側設備の整合器の調整を容易に行う。
【解決手段】移動体側設備20は、2次側共鳴コイル21bと、整流器23と、2次側共鳴コイル21bと整流器23との間に設けられた2次側整合器22と、充電器24と、バッテリ25と、バッテリ25の充電時に2次側整合器22の調整を行う車両側コントローラ26とを備えている。車両側コントローラ26は、充電時に給電側設備10からの出力上昇過程における充電電力と、2次側整合器22の整合状態との関係をデータとして記憶装置33に記憶させ、給電側設備10からの出力下降過程においては、上昇過程において記憶装置33に記憶させたデータに基づいて2次側整合器22が充電電力に対応する適切な状態になるように2次側整合器22の調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共鳴型非接触給電システムの受電側設備に係り、詳しくは給電側設備から非接触で供給される電力が充電される蓄電装置を備えた移動体に搭載されて使用されるのに好適な共鳴型非接触給電システムの受電側設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共鳴法によって車両外部の電源からワイヤレスで充電電力を受電し、車載の蓄電装置を充電可能な充電システムが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の充電システムは、電動車両と給電装置とを備え、電動車両は、2次自己共振コイル(2次側共鳴コイル)と2次コイルと、整流器と蓄電装置とを含み、給電装置は、高周波電力ドライバと、1次コイルと、1次自己共振コイル(1次側共鳴コイル)とを備える。2次自己共振コイルの巻数は、蓄電装置の電圧、1次自己共振コイルと2次自己共振コイルとの距離、1次自己共振コイル及び2次自己共振コイルの共鳴周波数に基づいて設定される。給電装置と車両との間の距離は、車両の状況(積載状況やタイヤの空気圧等)によって変化するところ、給電装置の1次自己共振コイルと車両の2次自己共振コイルとの間の距離の変化は、1次自己共振コイル及び2次自己共振コイルの共鳴周波数に変化をもたらす。そこで、2次自己共振コイルの導線間に可変コンデンサを接続し、蓄電装置の充電時に、蓄電装置の充電電力を電圧センサ及び電流センサの検出値に基づいて算出し、その充電電力が最大となるように、2次自己共振コイルの可変コンデンサの容量を調整することにより2次自己共振コイルのLC共振周波数を調整することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−106136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、1次自己共振コイルと2次自己共振コイルとの距離が、車両の状況(積載状況やタイヤの空気圧等)によって変化した場合にも、給電側から受電側に電力を効率良く供給する方法として、蓄電装置の充電時に、蓄電装置の充電電力が最大となるように、2次自己共振コイルの可変コンデンサの容量を調整することは開示されている。しかし、特許文献1の方法では、充電開始から充電終了まで充電電力が最大になるように2次自己共振コイルの可変コンデンサの容量を調整する必要があり、調整に手間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、充電時に蓄電装置の充電状態が変化しても、給電側設備から効率良く電力伝送が行われるように受電側設備の整合器の調整を容易に行うことができ、効率良く充電を行うことができる共鳴型非接触給電システムの受電側設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、給電側設備の1次側共鳴コイルからの電力を受電する2次側共鳴コイルと、前記2次側共鳴コイルが受電した電力を整流する整流器と、前記2次側共鳴コイルと前記整流器との間に設けられた2次側整合器と、
前記整流器により整流された電力が供給される充電器と、前記充電器に接続された蓄電装置と、前記蓄電装置の充電時に前記2次側整合器の調整を行う制御手段とを備えている。前記制御手段は、前記充電時に前記給電側設備からの出力上昇過程における充電電力と、前記2次側整合器の整合状態との関係をデータとして記憶装置に記憶させ、前記給電側設備からの出力下降過程においては、前記上昇過程において記憶装置に記憶させたデータに基づいて前記2次側整合器が充電電力に対応する適切な状態になるように前記2次側整合器の調整を行う。ここで、「蓄電装置」とは充放電可能な直流電源を意味し、2次電池に限らず、大容量のキャパシタも採用可能である。
【0007】
この発明によれば、制御手段は、蓄電装置の充電時において2次側整合器の調整を行う場合、給電側設備からの出力上昇過程における充電電力と、2次側整合器の整合状態との関係をデータとして記憶装置に記憶させる。そして、給電側設備からの出力下降過程においては、上昇過程において記憶装置に記憶させたデータに基づいて、2次側整合器が充電電力に対応する適切な状態になるように2次側整合器が調整される。そのため、給電側設備からの出力上昇過程においては、充電電力に対応して2次側整合器が適切なインピーダンスになるように2次側整合器の調整を行う必要がある。しかし、給電側設備からの出力下降過程においては、記憶装置に記憶させたデータに基づいて2次側整合器の調整が行われるため、2次側整合器を充電電力に対応する適切な状態に容易に調整することができる。したがって、充電時に充電電力が変化しても、給電側設備から効率良く電力伝送が行われるように受電側設備の2次側整合器の調整を容易に行うことができ、効率良く充電を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、充電時に蓄電装置の充電状態が変化しても、給電側設備から効率良く電力伝送が行われるように受電側設備の整合器の調整を容易に行うことができ、効率良く充電を行うことができる共鳴型非接触給電システムの受電側設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態に係る非接触給電システムの構成図。
【図2】充電時の充電電力の経時変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を車載バッテリを充電するための共鳴型非接触給電システムに具体化した一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
図1に示すように、共鳴型非接触給電システムは、地上側に設けられる給電側設備(送電側設備)10と、移動体としての車両(自動車)に搭載された受電側設備としての移動体側設備20とで構成されている。
【0011】
給電側設備10は、交流電源としての高周波電源11、1次側整合器12、1次側コイル13及び電源側コントローラ14を備えている。高周波電源11には、電源側コントローラ14から電源オン/オフ信号が送られ、この信号により高周波電源11がオン/オフされる。高周波電源11は、共鳴系の予め設定された共鳴周波数に等しい周波数の交流電力、例えば数MHz程度の高周波電力を出力する。
【0012】
1次側コイル13は、1次コイル13aと1次側共鳴コイル13bで構成されている。1次コイル13aは、1次側整合器12を介して高周波電源11に接続されている。1次コイル13aと1次側共鳴コイル13bとは同軸上に位置するように配設され、1次側共鳴コイル13bにはコンデンサCが並列に接続されている。1次コイル13aは、1次側共鳴コイル13bに電磁誘導で結合され、高周波電源11から1次コイル13aに供給された交流電力が電磁誘導で1次側共鳴コイル13bに供給される。
【0013】
1次側整合器12は、可変リアクタンスとしての2つの可変コンデンサ15,16とインダクタ17とから構成されている。一方の可変コンデンサ15は高周波電源11に並列に接続され、他方の可変コンデンサ16は1次コイル13aに並列に接続されている。インダクタ17は両可変コンデンサ15,16間に接続されている。1次側整合器12は、可変コンデンサ15,16の容量が変更されることでそのインピーダンスが変更される。可変コンデンサ15,16は、例えば、図示しない回転軸がモータにより駆動される公知の構成で、モータが電源側コントローラ14からの駆動信号により駆動されるようになっている。
【0014】
移動体側設備20は、2次側コイル21、2次側整合器22、整流器23、充電器24、充電器24に接続された蓄電装置としてのバッテリ25及び制御手段としての車両側コントローラ26を備えている。また、移動体側設備20は、バッテリ25の電圧を検出する電圧センサ27と、整流器23から充電器24に流れる電流を検出する電流センサ28を備えている。車両側コントローラ26は、電圧センサ27及び電流センサ28の検出信号に基づいてバッテリ25の充電電力を演算する。充電器24は、整流器23で整流された直流をバッテリ25に充電するのに適した電圧に変換するDC/DCコンバータ(図示せず)を備えている。車両側コントローラ26は、充電時に充電器24のDC/DCコンバータのスイッチング素子を制御する。
【0015】
2次側コイル21は、2次コイル21aと2次側共鳴コイル21bで構成されている。2次コイル21aと2次側共鳴コイル21bとは同軸上に位置するように配設され、2次側共鳴コイル21bにはコンデンサCが接続されている。2次コイル21aは、2次側共鳴コイル21bに電磁誘導で結合され、共鳴により1次側共鳴コイル13bから2次側共鳴コイル21bに供給された交流電力が電磁誘導で2次コイル21aに供給される。2次コイル21aは、2次側整合器22に接続されている。
【0016】
なお、1次コイル13a、1次側共鳴コイル13b、2次側共鳴コイル21b及び2次コイル21aの巻数、巻径は給電側設備10から移動体側設備20へ給電(伝送)しようとする電力の大きさ等に対応して適宜設定される。
【0017】
この実施形態では、1次側整合器12、1次コイル13a、1次側共鳴コイル13b、2次側共鳴コイル21b、2次コイル21a、2次側整合器22、整流器23、充電器24及びバッテリ25が共鳴系を構成する。
【0018】
2次側整合器22は、可変リアクタンスとしての2つの可変コンデンサ29,30とインダクタ31とから構成されている。インダクタ31は両可変コンデンサ29,30間に接続されている。一方の可変コンデンサ29は2次コイル21aに並列に接続され、他方の可変コンデンサ30は整流器23に接続されている。2次側整合器22は、可変コンデンサ29,30の容量が変更されることでそのインピーダンスが変更される。可変コンデンサ29,30は、例えば、図示しない回転軸がモータにより駆動される公知の構成で、モータが車両側コントローラ26からの駆動信号により駆動されるようになっている。
【0019】
車両側コントローラ26は、CPU32及び記憶装置(メモリ)33を備えている。記憶装置33には、充電時に車両側コントローラ26が2次側整合器22の調整を行うための制御プログラムが記憶されている。車両側コントローラ26は、充電時には制御プログラムにしたがって、給電側設備10からの出力上昇過程における充電電力と、2次側整合器22の整合状態との関係をデータとして記憶装置33に記憶させる。また、車両側コントローラ26は、給電側設備10からの出力下降過程においては、上昇過程において記憶装置33に記憶させたデータに基づいて2次側整合器22を充電電力に対応する適切な状態になるように2次側整合器22の調整、即ち可変コンデンサ29,30の調整を行う。
【0020】
次に前記のように構成された共鳴型非接触給電システムの作用を説明する。
車両に搭載されたバッテリ25を充電する場合、車両は給電側設備10の所定の充電停止位置に停止する。車両が給電側設備10の所定の充電位置に停止した後、車両側コントローラ26は、電源側コントローラ14に給電要求信号を送信する。電源側コントローラ14は、給電要求信号を受信すると、給電を開始する。そして、給電側設備10の高周波電源11から1次コイル13aに共鳴周波数の交流電圧が印加され、1次側共鳴コイル13bから電力が非接触共鳴で2次側共鳴コイル21bへ供給される。2次側共鳴コイル21bが受電した電力は、2次側整合器22及び整流器23を介して充電器24に供給され、充電器24に接続されたバッテリ25が充電される。
【0021】
なお、車両に搭載されたバッテリ25を充電する場合、車両は給電側設備10と移動体側設備20との間で効率良く非接触給電が行われる充電位置に正確に停止するとは限らない。そのため、充電に先立って、1次側整合器12及び2次側整合器22の調整が行われる場合もある。
【0022】
給電側設備10から移動体側設備20に非接触で供給(給電)される電力、即ち充電電力は一定ではなく、バッテリ25の充電状態(SOC)によって変化する。また、1次側共鳴コイル13bと2次側共鳴コイル21bとの距離が給電側設備10から効率良く電力伝送が行われるのに適した距離であっても、バッテリ25の充電状態によって2次側整合器22のインピーダンスを充電電力に対応した適切な値に調整しなければ効率の良い状態で充電を継続することはできない。
【0023】
充電が効率良く行われる場合、充電開始から終了までの給電側設備10から出力される電力の変化は充電電力の変化に対応し、図2に示すように、充電初期には充電電力の変化が大きな状態で最大値まで上昇した後、下降時には充電電力が上昇時より変化割合が小さな状態で徐々に下降する。即ち、給電側設備10は、充電時に高周波電源11からの出力電力が単調増加するように出力した後、充電終了まで単調減少するように出力する。充電電力が最大に達するまでの時間は、充電電力が最大の状態から充電停止までの時間より短い。
【0024】
車両側コントローラ26は、充電時の給電側設備10からの出力上昇過程において、所定時間毎に電圧センサ27及び電流センサ28の検出信号を入力し、その検出信号に基づいて充電電力を演算する。また、車両側コントローラ26は、可変コンデンサ29,30を調整して2次側整合器22をその充電電力における整合状態、即ち適切なインピーダンスに調整する。そして、充電電力と、2次側整合器22の整合状態との関係をデータとして記憶装置33に記憶させる。例えば、充電電力と可変コンデンサ29,30の容量との関係をデータとして記憶装置33に記憶させる。
【0025】
そして、車両側コントローラ26は、給電側設備10からの出力下降過程、即ち充電電力下降過程においては、上昇過程において記憶装置33に記憶させたデータに基づいて2次側整合器22を充電電力に対応する適切な状態になるように2次側整合器22の調整、即ち可変コンデンサ29,30の調整を行う。具体的には、充電電力下降過程におけるある時点の充電電力に対応する適切な可変コンデンサ29,30の容量として、上昇過程における同じ充電電力に対する適切な可変コンデンサ29,30の容量を採用する。例えば、図2における上昇過程のA点の充電電力に対する適切な可変コンデンサ29,30の容量を、下降過程におけるB点の充電電力に対する適切な可変コンデンサ29,30の容量として採用する。したがって、充電電力の下降過程においては、所定時間毎に電圧センサ27及び電流センサ28の検出信号から充電電力を演算し、その充電電力に対する可変コンデンサ29,30の容量に可変コンデンサ29,30の容量を調整することで、2次側整合器22の調整が行われて給電側設備10から効率良く電力伝送が行われる。
【0026】
車両側コントローラ26は、例えば、バッテリ25の電圧が所定電圧になった時点からの経過時間により充電完了を判断し、充電が完了すると、電源側コントローラ14に充電完了信号を送信する。電源側コントローラ14は、充電完了信号を受信すると電力伝送を終了する。
【0027】
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)共鳴型非接触給電システムの受電側設備である移動体側設備20は、給電側設備10の1次側共鳴コイル13bからの電力を受電する2次側共鳴コイル21bと、2次側共鳴コイル21bが受電した電力を整流する整流器23と、2次側共鳴コイル21bと整流器23との間に設けられた2次側整合器22とを備えている。また、移動体側設備20は、整流器23により整流された電力が供給される充電器24と、充電器24に接続されたバッテリ25と、バッテリ25の充電時に2次側整合器22の調整を行う車両側コントローラ26とを備えている。車両側コントローラ26は、充電時に給電側設備10からの出力上昇過程における充電電力と、2次側整合器22の整合状態との関係をデータとして記憶装置33に記憶させる。また、給電側設備10からの出力下降過程においては、上昇過程において記憶装置33に記憶させたデータに基づいて2次側整合器22を充電電力に対応する適切な状態になるように2次側整合器22の調整を行う。したがって、充電時に充電状態が変化しても、給電側設備10から効率良く電力伝送が行われるように受電側設備の2次側整合器22の調整を容易に行うことができ、効率良く充電を行うことができる。
【0028】
(2)給電側設備10は、充電時に高周波電源11からの出力電力が単調増加するように出力した後、充電終了まで単調減少するように、かつ出力電力が最大の状態から充電停止までの時間より、出力電力が最大に達するまでの時間の方が短くなるように出力する。したがって、出力電力が最大の状態から充電停止までの時間より、出力電力が最大に達するまでの時間の方が長い場合に比べて2次側整合器22の調整に要する時間を短くすることができる。
【0029】
(3)2次側整合器22として、二つの可変コンデンサ29,30と一つのインダクタ31とで構成されたπ型の整合器が使用されている。したがって、一方の可変コンデンサ(例えば、可変コンデンサ29)によりインピーダンスを大きく調整し、他方の可変コンデンサ(例えば、可変コンデンサ30)でインピーダンスを微調整することにより、インピーダンス調整を簡単に行うことが可能になる。
【0030】
(4)給電側設備10に1次側整合器12が設けられている。バッテリ25の充電時に、車両が給電側設備10と移動体側設備20との間で効率良く非接触給電が行われる充電位置に正確に停止するとは限らない。しかし、充電に先立って、1次側整合器12及び2次側整合器22の調整を行うことにより、高周波電源11の出力周波数を変更せずに給電側設備10から効率良く電力伝送が行われる状態に調整できる。
【0031】
(5)移動体側設備20は車両(自動車)に搭載され、給電側設備10に1次側整合器12が設けられている。車両の場合、車両が給電側設備10の所定の充電停止位置に停止した状態でも、車両の状況(積載状況やタイヤの空気圧等)によって、1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21b間の距離が予め設定された給電側設備10から効率良く電力伝送が行われる値と異なる状態になり、共鳴周波数がずれる場合がある。しかし、1次側整合器12が設けられている場合は、1次側整合器12を調整することで簡単に対応することができる。
【0032】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 車両側コントローラ26は、1回の充電時の給電側設備10からの出力上昇過程における充電電力と、2次側整合器22の整合状態との関係をデータとして記憶装置に記憶させるだけでなく、複数回の充電時の前記データを記憶装置33に記憶させ、そのデータを平均して使用するようにしてもよい。例えば、今回のデータと過去の所定回数のデータとを平均して使用するようにしてもよい。
【0033】
○ 充電時における高周波電源11からの電力の出力状態は、出力電力が単調増加するように出力した後、充電終了まで単調減少するように出力するものに限らない。例えば、出力電力が最大になるまでの途中で電力が一定の状態あるいは一度下降した後、再び上昇する状態が存在してもよい。
【0034】
○ 充電時における高周波電源11からの電力の出力状態は、出力電力が最大の状態から充電停止までの時間より、出力電力が最大に達するまでの時間の方が長くなるように出力してもよい。
【0035】
○ 車両側コントローラ26の記憶装置33に、1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21b間の距離が予め設定された状態におけるバッテリ25の充電状態(SOC)と、その状態に対応する2次側整合器22の適切なインピーダンスとの関係を示すデータを記憶させておく。そして、車両側コントローラ26は、充電時に電圧センサ27の検出信号からバッテリ25の充電状態を確認し、その充電状態に対応するインピーダンスを基準にして2次側整合器22の調整を行う。この場合、充電状態を確認せずに2次側整合器22の調整を行う場合に比べて、調整を短時間で行うことが可能になる。
【0036】
○ バッテリ25の充電状態を電圧センサ27の検出信号から確認する代わりに、バッテリ25の充電後、放電時の放電電圧及び電流量を検出・積算して、充電開始時の充電状態を検出するようにしてもよい。この場合、バッテリ25の電圧から充電状態を検出する場合に比べて充電状態を正確に検出することができる。
【0037】
○ 共鳴型非接触給電システムが、給電側設備10と移動体側設備20との間で非接触給電を行うためには、1次コイル13a、1次側共鳴コイル13b、2次コイル21a及び2次側共鳴コイル21bの全てが必須ではなく、少なくとも1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21bを備えていればよい。即ち、1次側コイル13を1次コイル13a及び1次側共鳴コイル13bで構成する代わりに、1次側共鳴コイル13bを1次側整合器12を介して高周波電源11に接続し、2次側コイル21を2次コイル21a及び2次側共鳴コイル21bで構成する代わりに、2次側共鳴コイル21bを2次側整合器22を介して整流器23に接続してもよい。しかし、1次コイル13a、1次側共鳴コイル13b、2次コイル21a及び2次側共鳴コイル21bの全てを備えた構成の方が、共鳴状態に調整するのが容易で、1次側共鳴コイル13bと2次側共鳴コイル21bとの距離が大きくなった場合でも共鳴状態を維持し易い。
【0038】
○ 移動体としての車両は、走行駆動力を発生する電動機を備えた車両を意味し、電気自動車や、電動機とともに内燃機関をさらに動力源として搭載したハイブリッド車あるいは車両駆動用の直流電源として蓄電装置とともに燃料電池をさらに搭載した車両等が挙げられる。また、運転者を必要とする車両に限らず無人搬送車でもよい。
【0039】
○ 移動体は、車両に限らず、充電時以外は給電側設備から離れて移動するもの、例えば、ロボットであってもよい。
○ 1次側整合器12及び2次側整合器22は、二つの可変コンデンサとインダクタを備えた構成に限らず、インダクタとして可変インダクタを備えた構成や、可変インダクタと二つの非可変コンデンサとからなる構成としてもよい。
【0040】
○ 1次側整合器12及び2次側整合器22はπ型に限らず、T型やL型の整合器であってもよい。
○ 高周波電源11は、出力交流電圧の周波数が変更可能でも変更不能でもよい。
【0041】
○ 給電側設備10の1次側整合器12を省略してもよい。しかし、1次側整合器12を省略した場合は、給電側から電力を効率良く受電側に供給するためには、1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21b間の距離が予め設定された値となるように、移動体を所定の充電停止位置に停止させる必要がある。
【0042】
○ 蓄電装置は充放電可能な直流電源であればよく、バッテリ(2次電池)25に限らず、例えば、大容量のキャパシタであってもよい。
○ 1次コイル13a、1次側共鳴コイル13b、2次側共鳴コイル21b及び2次コイル21aのコイルは、その軸心が水平方向あるいは鉛直方向に延びるように設けられる構成に限らず水平方向に対して斜めに延びるように設けられる構成であってもよい。
【0043】
○ 充電器24に昇圧回路を設けずに、2次側コイル21から出力される交流電流を整流器23で整流しただけでバッテリ25に充電するようにしてもよい。
○ 1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21bに接続されたコンデンサCを省略してもよい。しかし、コンデンサCを接続した構成の方が、コンデンサCを省略した場合に比べて、共鳴周波数を下げることができる。また、共鳴周波数が同じであれば、コンデンサCを省略した場合に比べて、1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21bの小型化が可能になる。
【0044】
○ 1次コイル13a、1次側共鳴コイル13b、2次側共鳴コイル21b及び2次コイル21aが全て同じ径に形成されている必要はない。例えば、1次側共鳴コイル13b及び2次側共鳴コイル21bは同じ径で、1次コイル13a及び2次コイル21aは異なる径としてもよい。
【0045】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項1に記載の発明において、前記受電側設備は、移動体に搭載されて使用される。
【0046】
(2)前記技術的思想(1)に記載の発明において、前記移動体は、電動車両である。
(3)請求項1及び前記技術的思想(1),(2)のいずれか一項に記載の発明において、前記給電側設備は、前記充電時に前記高周波電源からの出力電力が単調増加するように出力した後、充電終了まで単調減少するように、かつ出力電力が最大の状態から充電停止までの時間より、出力電力が最大に達するまでの時間の方が短くなるように出力する。
【0047】
(4)請求項1及び前記技術的思想(1)〜(3)のいずれか一項に記載の発明において、前記記憶装置には、前記1次側共鳴コイル及び前記2次側共鳴コイル間の距離が予め設定された状態における前記蓄電装置の状態と、その状態に対応する前記2次側整合器の適切なインピーダンスとの関係を示すデータが記憶されている。
【0048】
(5)請求項1及び前記技術的思想(1)〜(4)のいずれか一項に記載の発明において、前記2次側整合器には、二つの可変コンデンサと一つのインダクタとで構成されたπ型の整合器が使用されている。
【符号の説明】
【0049】
10…給電側設備、13b…1次側共鳴コイル、21b…2次側共鳴コイル、22…2次側整合器、23…整流器、24…充電器、25…蓄電装置としてのバッテリ、26…制御手段としての車両側コントローラ、33…記憶装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電側設備の1次側共鳴コイルからの電力を受電する2次側共鳴コイルと、
前記2次側共鳴コイルが受電した電力を整流する整流器と、
前記2次側共鳴コイルと前記整流器との間に設けられた2次側整合器と、
前記整流器により整流された電力が供給される充電器と、
前記充電器に接続された蓄電装置と、
前記蓄電装置の充電時に前記2次側整合器の調整を行う制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記充電時に前記給電側設備からの出力上昇過程における充電電力と、前記2次側整合器の整合状態との関係をデータとして記憶装置に記憶させ、前記給電側設備からの出力下降過程においては、前記上昇過程において前記記憶装置に記憶させたデータに基づいて前記2次側整合器が充電電力に対応する適切な状態になるように前記2次側整合器の調整を行うことを特徴とする共鳴型非接触給電システムの受電側設備。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−244530(P2011−244530A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112096(P2010−112096)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】