内燃機関の制御装置
【課題】ASVが異物を噛み込んだ状態を即座に解消するとともに、二次空気供給装置の異常診断における開固着異常であるとの誤診断を回避することを課題とする。
【解決手段】内燃機関の制御装置は、エアポンプが圧送する二次空気を内燃機関の排気系内に供給する二次空気供給通路と、前記二次空気供給通路を開閉するASVと、を有する二次空気供給装置を備える。内燃機関の制御装置が備える制御部は、ASVを開状態として二次空気供給通路に二次空気を供給する二次空気供給制御(AI制御)に引き続いて、前記開閉手段に開閉動作をさせて異物除去を行う異物除去制御の実行を指令する。AI制御時にAVSが噛み込んだ異物が即座に除去される。異物除去を行った後にOBDを実施することにより、ASVが異物を噛み込んだことに起因する開固着異常の検出が抑制される。
【解決手段】内燃機関の制御装置は、エアポンプが圧送する二次空気を内燃機関の排気系内に供給する二次空気供給通路と、前記二次空気供給通路を開閉するASVと、を有する二次空気供給装置を備える。内燃機関の制御装置が備える制御部は、ASVを開状態として二次空気供給通路に二次空気を供給する二次空気供給制御(AI制御)に引き続いて、前記開閉手段に開閉動作をさせて異物除去を行う異物除去制御の実行を指令する。AI制御時にAVSが噛み込んだ異物が即座に除去される。異物除去を行った後にOBDを実施することにより、ASVが異物を噛み込んだことに起因する開固着異常の検出が抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の排気ポートに外部から空気を送り込み、空気中の酸素と排気ガスとを反応させて排気ポート以降の排出ガスを酸化し、HCやCOなどの未燃ガス排出量を低減させる二次空気供給装置が知られている。このような二次空気供給装置は、エアポンプ(A/P)やエアスイッチングバルブ(以下、ASVと略記する)の作動不良、二次空気を供給する流路の詰まり等の異常が生じると、排気ポートに正常に空気を送り込めないために、内燃機関の排気エミッションが悪化してしまう。このため、二次空気供給装置の故障診断(OBD:On-Board-Diagnostics)が行われる。特許文献1には、二次空気供給装置の故障診断について開示されており、例えば、エアポンプとASVとの間に配置された圧力センサで検出した圧力値と圧力変動値から求める圧力挙動パターンを二次空気の供給時と停止時とでそれぞれ求める。そして、それぞれの場合における圧力挙動パターンの変化に基づいて装置の状態を判定する。ここで、ASVが異物を噛み込んだ場合、ASVが開状態で固着したとして、故障が発生しているとの診断がされることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−83048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二次空気供給(AI:Air Injection、以下AIという)制御は、一般的に内燃機関の冷間始動時に行われる。内燃機関が冷間始動をする場合、二次空気を供給する配管中で生成された氷がASVに向かって移動することがある。そして、ASVが、そのハウジングと弁体との間に異物である氷を噛み込んでしまうことがある。仮にASVが氷を噛み込んだ状態で故障診断が行われると、ASVは開固着異常であると判断される。ところが、異物が氷である場合は、周囲の温度上昇に伴って氷は溶けてしまう。このため、ASVを点検しても異常の原因を突き止めることが困難である。このように、異常が検出されているにもかかわらず、その原因が特定できない場合は、部品交換をしなければならない。
【0005】
異物が氷以外の場合にも同様の問題は生じ得る。すなわち、噛み込まれた異物が除去されれば異常は解消され、実際にはASVの故障は生じていないにもかかわらず、開固着異常であると判断されることがある。この場合も、ASVを点検しても異常の原因を突き止めることが困難であり、原因不明で部品交換をしなければならない。
【0006】
そこで本明細書開示の内燃機関の制御装置は、異物を噛み込んだ状態を即座に解消するとともに、二次空気供給装置の異常診断における開固着異常であるとの誤診断を回避することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本明細書開示の内燃機関の制御装置は、エアポンプが圧送する二次空気を内燃機関の排気系内に供給する二次空気供給通路と、前記二次空気供給通路を開閉する開閉手段と、を有する二次空気供給装置を備える内燃機関の制御装置であって、前記開閉手段を開状態として前記二次空気供給通路に二次空気を供給する二次空気供給制御に引き続いて、前記開閉手段に開閉動作をさせて異物除去を行う異物除去制御の実行を指令する制御部を備える。
【0008】
二次空気供給制御に引き続いて異物除去制御を行うことにより、二次空気供給制御を行ったことに起因して開閉手段が噛み込んだ異物を即座に除去することができる。即座に異物を除去しておけば、以後の異常診断における開固着異常であるとの誤診断を回避することができる。
【0009】
前記異物除去制御の終了条件は、前記異物除去制御における前記開閉手段の開閉回数を参酌して決定される。また、前記異物除去制御の終了条件は、前記異物除去制御の開始時点からの経過時間を参酌して決定される。異物除去制御をできるだけ短期間で終了させることにより、ASVが閉状態でエアポンプが動作する時間、回数を抑制し、異物除去制御を行う際のエアポンプ(A/P)の負担を軽減することができる。
【0010】
前記異物除去制御の終了条件は、前記開閉手段の開閉動作に伴う前記二次空気供給通路内の圧力状態を参酌して決定される。圧力状態を参酌することにより、ASVにおける異物噛み込みの有無を判断することができるため、異物噛み込みが解消していると判断したときは、即座に異物除去制御を終了することができる。
【0011】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値を参酌して判断される。また、前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力変動値を参酌して判断されるようにすることもできる。前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値と、前記開閉手段を開状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値との差分値を参酌して判断されるようにしてもよい。
【0012】
また、前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値と前記開閉手段よりも下流側の圧力値との差分値を参酌して判断されるようにしてもよい。
【0013】
さらに、前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力変動値と、前記開閉手段よりも下流側の圧力変動値との差分値を参酌して判断されるようにしてもよい。
【0014】
また、前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段の前後差圧値と、前記開閉手段を開状態としたときの前記開閉手段の前後差圧値との差分値を参酌して判断されるようにしてもよい。
【0015】
前記エアポンプは、圧送空気量が可変であり、前記制御手段は、前記異物除去制御中に前記エアポンプの圧送空気量を前記異物除去制御が行われていない時間帯の圧送空気量よりも増量することができる。圧送空気量を増量することによって効率よく異物除去を行うことができる。
【0016】
前記制御手段は、前記異物除去制御終了後に前記二次空気供給装置の故障診断制御(OBD)を行う。二次空気供給制御(AI制御)におけるASV開弁に起因する異物噛み込みを解消した後に故障診断を行うことにより、原因不明の開固着異常の検出が回避される。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に開示された内燃機関の制御装置によれば、異物を噛み込んだ状態を即座に解消するとともに、二次空気供給装置の異常診断における開固着異常であるとの誤診断を回避することを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施例の内燃機関の制御装置を搭載したエンジンシステムの概略構成を示す説明図である。
【図2】図2は、ASV及び前側圧力センサを示す説明図である。
【図3】図3は、実施例の内燃機関の制御装置が行う全体制御を示すフロー図である。
【図4】図4は、実施例の内燃機関の制御装置が動作するときのタイムチャートの一例である。
【図5】図5は、実施例の内燃機関の制御装置が行う異物除去制御を示すフロー図である。
【図6】図6は、AI制御フラグの状態を示す説明図である。
【図7】図7は、実施例の内燃機関の制御装置が行う異物除去制御におけるASVの開閉制御を示すフロー図である。
【図8】図8は、図4におけるX部を拡大して示す説明図である。
【図9】図9は、他の実施例における圧力センサの配置を示す説明図である。
【図10】図10は、ASV作動に伴う二次空気供給通路内の圧力状態の変化を示すグラフである。
【図11】図11は、さらに他の実施例における圧力センサの配置を示す説明図である。
【図12】図12は、圧送空気量が可変であるエアポンプにおける印加電圧と吐出量との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。
【実施例】
【0020】
図1は、本明細書開示の発明にかかる内燃機関の制御装置を搭載したエンジンシステム1の一構成例を示した図である。図1にはエンジンの一部の構成のみを示している。図2は、ASV24及び前側圧力センサ241を示す説明図である。
【0021】
図1に示すエンジンシステム1は、動力源であるエンジン100を備えており、エンジン100の運転動作を総括的に制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)10を備えている。また、エンジンシステム1は、エアポンプ(A/P)22、二次空気供給通路23およびASV24を有する二次空気供給装置21を備えている。二次空気供給通路23は、連通孔23aによって、上流側通路231と下流側流路232とに区分けされている。
【0022】
エンジン100は、車両に搭載される火花点火式の多気筒エンジンであって、各気筒は燃焼室11を構成するピストン12を備えている。各燃焼室11のピストン12は、エンジン100のシリンダに摺動自在に嵌合されており、それぞれコネクティングロッドを介して出力軸部材であるクランクシャフトに連結されている(図示しない)。
吸気ポート13に流入した吸入空気はインジェクタ20から噴射された燃料と混合し、ピストン12の上昇運動により燃焼室11内で圧縮される。エンジンECU10は、クランク角センサからのピストン12の位置、および吸気カム角センサからのカム軸回転位相の情報に基づき、燃焼室内の点火プラグ18を点火させて圧縮混合ガスを着火させ、燃焼室11内で膨張させてピストン12を下降させる。この下降運動がコネクティングロッドを介してクランクシャフトの軸回転に変更されることにより、エンジン100は動力を得る。
この場合、エンジン100は、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンに限られず、ガソリンとアルコールとを任意の割合で混合した燃料を使用するフレキシブルフューエルエンジンであってもよい。また、エンジン100は、火花点火式に限られず、圧縮自着火式エンジンであってもよい。そして、エンジンシステム1は、エンジン100と複数の電動モータとを組み合わせたハイブリッドシステムであってもよい。
なお、エンジン100は、本発明の内燃機関の一構成例である。
【0023】
各気筒の燃焼室11には、それぞれ燃焼室11と連通する吸気ポート13と、吸気ポート13に連結し、吸入空気を吸気ポート13から燃焼室11へと導く吸気通路14とが接続されている。また、各気筒の燃焼室11には、それぞれ燃焼室11と連通する排気ポート15と、燃焼室で発生した排気ガスをエンジン100の外部へと導く排気通路16が接続されている。
【0024】
吸気通路14には、エアフロメータ、スロットルバルブ17およびスロットルポジションセンサが設置されている。エアフロメータおよびスロットルポジションセンサは、それぞれ吸気通路14を通過する吸入空気量、スロットルバルブ17の開度を検出し、検出結果をエンジンECU10に送信する。エンジンECU10は、送信された検出結果に基づいて吸気ポート13および燃焼室11へ導入される吸入空気量を認識し、スロットルバルブ17の開度を調整することで吸入空気量を調節する。
スロットルバルブ17は、ステップモータを用いたスロットルバイワイヤ方式を適用することが好ましいが、例えばステップモータの代わりにワイヤなどを介してアクセルペダル(図示しない)と連動し、スロットルバルブ17の開度が変更されるような機械式スロットル機構を適用することもできる。
【0025】
排気通路16の先には浄化触媒19が設けられている。燃焼後の排気ガスは、排気弁が開いた際に排気ポート15、排気通路16から浄化触媒19を通過してエンジン100の外部へと排出される。浄化触媒19は、エンジン100の排ガスを浄化するために用いられるもので、例えば三元触媒やNOx吸蔵還元型触媒などが適用される。
【0026】
また、排気通路16には、排気温センサ、A/Fセンサ、O2センサが設けられていおり(図示しない)、燃焼後の排気ガスの温度、空燃比を検出し、その結果をエンジンECU10へと送信する。エンジンECU10は、排気温センサ、A/FセンサおよびO2センサの検出結果に基づいて燃焼室の燃焼情報を取得し、最適な燃焼状態となるように燃料噴射量を調整するフィードバック制御を実行する。
【0027】
排気ポート15には、二次空気供給装置21が連結している。エアポンプ22は、エンジンECU10の指令に従って、エンジン100外部またはエアクリーナから取り込んだ二次空気を、二次空気供給通路23を通じて排気ポート15へと供給する。これにより、排気ポート15中のHCやCO等の未燃ガスを、供給された二次空気中の酸素とを反応させて再燃焼させることで、エンジン100からの未燃ガスの排出量を低減させる。
【0028】
二次空気供給通路23に装着されたASV24は、エンジンECU10の指令に従って二次空気供給通路23を連通または閉鎖する。ASV24は、開閉手段の一例であり、ソレノイド式の開閉弁である。ASV24は、先端部に弁部24a1が設けられたシャフト部材24aを備える。また、シャフト部材24aの周囲に配置されたソレノイド24bを備える。さらに、バネ部材24cを備える。バネ部材24cは、コイルスプリングであるが、他の形式のバネ部材であってもよい。バネ部材は、シャフト部材24aが備えるバネ受け用の鍔部24a2とソレノイド24bの収容部との間に挟持され、シャフト部材24aを閉弁側に付勢している。ソレノイド24bが通電されていないときは、弁部24a1は閉状態となっている。ソレノイド24bに通電されると、シャフト部材24aが押し下げられ、弁部24a1が連通孔23aを開放し、開状態となる。シャフト部材24aが押し下げられるとバネ部材24cは圧縮され、シャフト部材24aを閉弁方向へ移動させる付勢力を強める。ASV24は、エアポンプ22から排気ポート15へと供給される二次空気の量を調節し、排気ガス中の未燃ガス量に見合った二次空気を排気ポート15へと供給することで、浄化触媒19の過剰な酸化反応を抑制する。
【0029】
なお、ASV24は、ソレノイド式に限定されるものではなく、他のどのような形式の開閉弁であってもよい。例えば、ASV24は、バタフライ式の開閉弁やスライド式の開閉弁であってもよい。内燃機関の制御装置は、二次空気供給通路23における上流側通路231の圧力、すなわち、ASV24の前側の圧力を検出する前側圧力センサ241を備えている。
【0030】
エンジンECU10は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)と、データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。エンジンECU10は、エンジン100の各部に備えられたクランク角センサ、水温センサ、エアフロメータ、排気温センサ、A/Fセンサ、O2センサ等の検出結果を読み込み、それら検出結果に基づいてスロットルバルブ17の動作、点火プラグ18の動作、インジェクタ20の動作など、エンジン100の運転動作を統合的に制御する。
【0031】
エンジンECU10は、イグニッションOFF後もデータを記憶保持するバックアップ用メモリとしてのスタンバイRAM10aを備えている。スタンバイRAM10aには、適宜更新される学習値等が記憶されるようになっている。なお、バックアップ用メモリとしてEEPROM等の不揮発性メモリを用いることも可能である。
【0032】
そして、エンジンECU10は、エンジン100の運転状態に基づいて二次空気供給装置21の運転を制御する。また、このECU10は、本明細書開示の内燃機関の制御装置における制御部の機能を担い、AI制御、異物除去制御、故障診断制御に関する演算、指令を行う。
【0033】
図3は、内燃機関の制御装置、具体的には、エンジンECU10が行う全体制御を示すフロー図である。エンジンECU10は、まず冷間始動時であること等、AI制御が必要であるときは、AI制御を行う(ステップS51)。AI制御は、ASV24を開状態に保ち、二次空気供給通路23に二次空気を供給する。ASV24の開状態は、排気ガスの状態に応じて決定されるが、通常20秒〜30秒の間である。ASV24は、一定期間、開状態を維持した後、閉状態に戻るが、このとき、連通孔23aの周囲に異物である氷を噛み込むことがある。そこで、AI制御が終了したら、これに引き続いて異物除去制御を行う(ステップS52)。異物除去制御は、ASV24に開閉動作をさせることによって異物を除去する。そして、異物除去制御が終了した後にOBDを行う(ステップS53)。異物除去制御を経てOBDを行うことにより、異物噛み込みに起因する開固着異常の検出を回避することができる。この結果、開固着異常が観測されたときにその原因が不明であるという状態を回避することができる。
【0034】
つぎに、図4に示すタイムチャート、図5に示すフロー図を参照して、エンジンECU10が行うAI制御及び異物除去制御について説明する。特に、AI制御から異物除去制御へ移行及び異物除去制御の終了条件の判定について詳述する。
【0035】
まず、ステップS1では、AI制御履歴があるかないかを確認する。AI制御履歴は、イグニッションオフの動作とともに、消去される。このため、イグニッションがオンとされた直後に行われる第一巡目のステップS1の処理では、Yesと判断し、ステップS2へ進む。
【0036】
ステップS2では、AI作動条件、すなわち、AI制御が実施される条件が成立しているか否かを判断する。AI制御が実施され、AIが作動する条件は、例えば、エンジン始動時の冷却水温や、吸気温度、内燃機関始動後の経過時間、バッテリ電圧等の各種パラメータを参照して判断する。ステップS2でYesと判断したときはステップS3へ進む。
【0037】
ステップS3では、AI停止条件が不成立の状態であるか否かを判断する。AI制御は、通常、冷間始動時に触媒暖機が完了するまで行われる。本実施例では、エンジン吸入空気量の積算値が所定値を越えた場合にAI停止条件が満たされたものと判断する。なお、AI停止条件として、水温上昇幅や、その他のパラメータを採用することができる。水温上昇幅を採用したときは、水温上昇幅が所定値を越えたことをAI停止条件とすることができる。ステップS3でYesと判断したときは、ステップS4へ進む。なお、ステップS3でNoと判断したときは、ステップS7へ進む。
【0038】
ステップS4では、AI中断条件が不成立の状態であるか否かを判断する。AI制御は、例えば、車両が急加速状態になった場合などは中断する。このため、本実施例では、瞬時吸気量が所定値を越えた場合にAI制御を中断する判断を行う。ステップS4でYesと判断したときは、ステップS5へ進む。なお、ステップS4でNoと判断したときは、ステップS7へ進む。
【0039】
ステップS5では、実際にAI制御を開始する。すなわち、エアポンプ(A/P)22を始動し、ASV24を開状態とする。そして、図4に示すようにAI制御フラグをONとする。
【0040】
ステップS6では、図4に示すように異物除去完了フラグをOFFとしておく。ASV24は、AI制御に伴い開状態となると、氷(異物)を噛み込むおそれがある。そこで、ASV24がAI制御に伴う開状態を経験したときには、必ず異物除去制御を行うことを担保するために、この時点で一旦異物除去完了フラグをOFFにしておく。ステップS6の後、処理はリターンとなる。
【0041】
イグニションオン後、ステップ1〜ステップ6の処理を行った後、再びステップS1の判断を行うとき、ステップS1における判断は再びYesとなる。再びステップS1でYesと判断した後に、ステップS3又はステップS4においてNoと判断したときは、ステップS7へ進む。ステップS7では、AI制御履歴ありとの記録を行う。すなわち、AI制御が停止された場合や、中断された場合には、AI制御履歴ありとされる。ここで、図6を参照して、AI制御が中断した場合のAI制御フラグについて説明する。AI制御フラグは、AI制御に伴ってASV24が開状態とされているときにONとされる。そして、中断条件が成立し、ASV24が閉状態とされた状態のときにOFFとされる。このように、AI制御が中断されたときであっても、それ以前にAI制御フラグがONとされていれば、AI制御履歴はありとする。要は、AI制御に伴って、ASV24が開状態となり、異物を噛み込むおそれがある状態を経験したときは、AI制御履歴はありとする。
【0042】
ステップS7の後は、処理は再びリターンとなる。S7を経由して再びステップS1に戻ってきたときは、ステップS1においてYesと判断される。ステップS1でYesと判断したときは、ステップS8へ進む。
【0043】
ステップS8では、異物除去完了フラグがOFFとなっているか否かを判断する。ステップS6を経由した後、異物除去制御が行われていない場合は、ステップS8でYesと判断し、ステップS9へ進む。
【0044】
ステップS9では、異物除去制御フラグがOFFであるか否かを判断する。図4に示すようにAI制御が行われているときは、異物除去制御フラグはOFFとされている。ステップS1からの一連の制御がスタートした後、最初にステップS9の処理がされるときは、Yesと判断される。ステップS9でYesと判断した後は、ステップS10へ進む。
【0045】
ステップS10では、ASV24を一旦閉状態とする。このタイミングは、AI制御による触媒暖機が完了したと判断されるタイミングと一致している。AI制御が終了すると引き続き異物除去制御が行われる。ASV24を閉状態とすることは、ステップS11以降で引き続き行われる異物除去制御に備えた措置となる。ASV24が閉状態とされたとき、エアポンプ(A/P)22の駆動は継続されているので、ASV24よりも上流側の圧力は上昇し始める。
【0046】
ステップS10に引き続き行われるステップS11では、異物除去制御フラグをONとして、異物除去制御が実行されていることを示す。そして、ステップS12において、異物除去制御を開始する。なお、ステップS11の処理は、ステップS10の処理、又は、ステップS12の処理と同時に行ってもよい。
【0047】
図7は、実施例の内燃機関の制御装置が行う異物除去制御におけるASVの開閉制御を示すフロー図である。まず、ステップS111において、ステップS10においてASV24を閉状態としてから所定時間が経過したか否かを判断する。ここで、ASV閉後の所定時間は、任意に決定することができる。例えば、AI制御におけるASV24の開期間よりも短い期間とすることができる。AI制御におけるASVの開期間が、20秒〜30秒の間に設定されている場合、所定時間は、この時間より短時間とする。本実施例では、500m秒としている。
【0048】
ステップS111で所定時間の経過が確認され、Yesと判断した後は、ステップS112へ進む。一方、Noと判断したときは、ステップS111の処理を繰り返す。ステップS112では、ASV24を開状態とする。そして、ステップS113において、ASV24を開状態とした後に所定時間が経過したか否かの判断を行う。本実施例では、500m秒としている。ステップS113で所定時間の経過が確認され、Yesと判断した後は、ステップS114へ進む。一方、Noと判断したときは、ステップS113の処理を繰り返す。ステップS114では、ASV24を閉状態とする。
【0049】
このように短い周期でASV24を開閉して連通孔23a周辺に噛み込まれた異物を吹き飛ばし、除去する。なお、ASV24の開閉は、異物を砕き、除去し易くする効果も発揮し得る。
【0050】
ステップS12における異物除去制御の開始と合せて、異物除去制御終了条件の監視を開始する(ステップS13)。具体的には、ASV24の開閉回数のカウントを開始する。閉状態から開状態に移行し、開状態が終了するまでの動作が一回とカウントされる。ステップS13の後、処理はリターンとなる。
【0051】
ステップS13を経由して、再びステップS9の処理を行うとき、異物除去制御が実行されているため、異物除去制御フラグがOFFではないとしてNoと判断する。そして、ステップS14へ進む。
【0052】
ステップS14では、異物除去終了条件が充足されているかを判断する。具体的に、ASV24の開閉制御の回数を参酌して、その回数が予め定めた所定回数行われたか否かを判断する。ステップS14でNoと判断したときは、ステップS15へ進む。ステップS15では、ステップS12で開始した異物除去制御を継続する。そして、引き続き行われるステップS16では、ステップS13で開始した監視を継続する処理をする。ステップS15、ステップS16の処理は順番を入れ換えてもよいし、同時に行ってもよい。ステップS16の後、処理はリターンとなる。
【0053】
ステップS14で、異物除去制御終了条件が充足したと判断し、Yesと判断したときは、ステップS17へ進む。ステップS17では、ASV24を閉状態とする。そして、ステップS18では、異物除去制御フラグをOFFとするとともに異物除去制御完了フラグをONとしておく。
【0054】
ステップS18に続いて行われるステップS19では、エアポンプ(A/P)22を停止する。ASV24を閉状態にした後、エアポンプ(A/P)22を停止するのは、排気ガスが二次空気供給通路23内に浸入することを回避するためである。ステップS19の後、処理はリターンとなる。
【0055】
ステップS18において異物除去完了フラグがONとされた後に、再びステップS8の処理を行うとき、Noと判断する。そしてステップS20においてAI制御履歴を消去しておく。ステップS20の後、処理はリターンとなる。
【0056】
以上で、AI制御から異物除去制御までの一連の処理が完了する。異物除去制御が完了した後は、図3のフロー図に示すようにOBDへ移行することができる(S53)。ASV24に噛み込まれる異物が予め除去された状態でOBD制御を行うことができる。すなわち、予め異物除去が行われ、ASV24が異物を噛み込んだことに起因する開固着異常の検出がされない状態でOBD制御が行われる。この結果、OBD制御で原因不明の異常を検出する機会は減少する。原因不明の異常が検出されたときは、部品交換をしなければならない。原因不明の異常を検出する機会が減少すれば、メンテナンスコストの削減となる。なお、OBDには、ASV24の故障の故障診断だけでなく、エアポンプ(A/P)22の故障診断が含まれる。OBDは、従来知られている種々の方法を含め、他の方法で行うことができる。OBDは、例えば、二次空気供給停止時の圧力及び圧力変動値を前側圧力センサ241により測定し、これらの測定値に基づいて故障を判断することができる。
【0057】
OBDに先行して異物除去制御を行うことにより、以下の効果も期待される。すなわち、ASV24が異物を噛み込んだ状態は、二次空気を導入する配管内への排気ガスの逆流にも繋がる。排気ガスの逆流は、カーボンの付着や、他の異物侵入の原因になる。異物除去制御をAI制御に引き続いて行っておくことにより、これらの不都合を早期に解消することができる。
【0058】
上記実施例では、異物除去制御終了条件として、ASV24の開閉回数を採用している。この開閉回数のカウントに代えて、異物除去制御実施時間を採用することもできる。具体的には、異物除去制御の開始時点からの経過時間を参酌する。図4のタイムチャートに示すように、異物除去制御フラグをONとするタイミングで異物除去制御実施時間の計測を開始する。そして、予め定めた時間が経過したときに異物除去制御終了条件が満たされたとして異物除去制御を終了することができる。異物除去制御をできるだけ短期間で終了させることにより、ASVが閉状態でエアポンプ(A/P)22が動作する時間、回数を抑制し、異物除去制御を行う際のエアポンプ(A/P)22の負担を軽減することができる。
【0059】
また、異物除去制御終了条件は、ASV24の開閉動作に伴う二次空気供給通路23内の圧力状態を参酌して決定してもよい。例えば、ASV24を閉状態としたときのASV24よりも上流側の圧力値(ASV前圧力)を参酌して二次空気供給通路23内の圧力状態を判断する。そして、異物除去制御終了条件が満たされているか否かを判断する。ASV24よりも上流側の圧力値は、前側圧力センサ241により測定することができる。図4には、ASV前圧力の変化が示されている。ASV前圧力は、ASV24の開閉に応じて変化する。すなわち、ASV24が閉状態となると上昇し、開状態となると低下する。また、ASV24を開状態とすると、排気ポートと連通するため、排気脈動の影響が現れ、微小な上下動が観測される。
【0060】
図8は、図4におけるX部を拡大して示す説明図である。ASV24が異物を噛み込んでいなければ、ASV24を閉状態とすることにより、連通孔23aが閉塞されるため、ASV前圧力として規定値Pmaxが観測される。このPmaxが観測されたときは、異物が除去されたと判断することができるため、異物除去制御終了条件が満たされたと判断する。一方、図8中、破線で示すように、異常が認められるときは、連通孔23aが完全に閉塞できない状態となっている。このため、ASV前圧力は、Pmaxまで到達しない。圧力状態を参酌することにより、ASV24における異物噛み込みの有無を判断することができるため、異物噛み込みが解消していると判断したときは、即座に異物除去制御を終了することができる。
【0061】
また、他の条件として、前側圧力センサ241により観測されるASV24よりも上流側の圧力変動値Paを参酌することもできる。連通孔23aが閉塞されていれば、排気脈動の影響は受けない。このため、ASV24を閉状態としているにもかかわらず、圧力変動値Paが観測されているときは、ASV24が異物を噛み込んだ状態であると判断することができる。一方、この圧力変動値Paが観測されなくなれば、異物は除去されたと判断することができる。
【0062】
さらに、他の条件として、ASV24を閉状態としたときのASV24よりも上流側の圧力値と、ASV24を開状態としたときのASV24よりも上流側の圧力値との差分値Pbを参酌することができる。ASV24を閉状態としたときに、異物を噛み込んでいなければ、差分値Pbは所定値以上となる。このため、この差分値Pbに応じて異物除去が完了した状態であるか否かを判断することができる。
【0063】
上記実施例では、ASV24の上流側に前側圧力センサ241を装備している。これに対し、図9に示すように、前側圧力センサ241とともにASV24よりも下流側に設けられた後側圧力センサ242を装備して、これらのセンサによって得られる測定値に基づいて異物除去制御終了条件を判断することもできる。
【0064】
図10は、ASV24の作動に伴う二次空気供給通路23内の圧力状態の変化を示すグラフである。図10は、説明を分かりやすくするため、模式的に波形を描き、波形の一部を誇張して描いている。図10中、符号(a)は、ASV24が異物を噛み込んでおらず、ASV24が正常に作動しているときの上流側圧力の変化を示す。すなわち、ASV24が正常であるときに、前側圧力センサ241により測定される絶対圧の変化を示している。ASV24の上流側の圧力は、ASV24が開状態のときに、排気脈動の影響を受ける。ASV24が閉状態となったときに、ASV24の上流側の絶対圧は上昇する。そして、完全にASV24が閉じた状態となると、排気脈動の影響は観測されなくなる。図10中、符号(b)は、ASV24が異物を噛み込んでいるときのASV前圧力の変化を示している。ASV24が異物を噛み込んでいるときは、ASV24の上流側も排気ポート15側と連通状態となるため、排気脈動の影響が観測される。また、絶対圧の最大値も正常時と比較して低い。図10中、符号(c)は、ASV24の下流側圧力(ASV後圧力)の変化を示す。ASV24の下流側の絶対圧は、常時、排気脈動の影響を受ける。
【0065】
図10中、符号(d)は、ASV24が異物を噛み込んでおらず、正常に作動しているときのASV前圧力とASV後圧力との差圧の変化を示している。ASV24が開状態のとき、ASV24の上流側と下流側は、ともに排気脈動の影響を受ける。符号(d)が示すグラフは、ともに排気脈動の影響を受けるASV前圧力とASV後圧力との差圧であるため、ASV24が開状態のときに観測される波形には、微小な上下動は現れていない。これに対し、ASV24が閉状態のときは、ASV24の下流側のみ、排気脈動の影響を受ける。符号(d)が示すグラフは、排気脈動の影響を受けるASV後圧力と、排気脈動の影響を受けないASV前圧力との差圧であるため、ASV24が閉状態のときに観測される波形には、微小な上下動が現れている。
【0066】
図10中、符号(e)は、ASV24に異物が噛み込まれたときのASV前圧力とASV後圧力との差圧の変化を示している。ASV24が異物を噛み込んでいるときは、ASV24の上流側も排気ポート15側と連通状態となるため、ASV24の上流側と下流側は、ともに排気脈動の影響を受ける。符号(e)が示すグラフは、ともに排気脈動の影響を受けるASV前圧力とASV後圧力との差圧であるため、観測される波形には、微小な上下動は現れていない。
【0067】
以上説明したように、前側圧力センサ241と後側圧力センサ242を用いることにより、種々の数値を得ることができる。得られた数値は、異物除去制御終了条件を判断するときに、用いることができる。
【0068】
例えば、ASV24を閉状態としたときのASV24よりも上流側の圧力値(ASV前圧力)とASV24よりも下流側の圧力値(ASV後圧力)との差分値を参酌して判断する。ASV24を閉状態としたとき、ASV24が異物を噛み込んでいなければ、ASV24の上流側の圧力は高くなるため、下流側との差分値は大きくなり、例えば、差分値Pd11が観測される。一方、この差分値が、所定値よりも小さかったときは、ASV24が異物を噛み込み、上流側と下流側とが連通状態となっていると判断することができる。例えば、差分値Pd11よりも小さい値である差分値Pd12が観測されたときは、ASV24が異物を噛み込んでいると判断する。異物除去制御を行ったことにより差分値が所定値を上回ったときは、異物除去が完了したとして、異物除去制御を終了させる。
【0069】
また、図9に示すように、前側圧力センサ241及び後側圧力センサ242を備えた場合、以下の判断を行うこともできる。ASV24を閉状態としたときのASV24よりも上流側の圧力変動値と、ASV24よりも下流側の圧力変動値との差分値を参酌して判断する。ASV24を閉状態としたとき、ASV24が異物を噛み込んでいなければ、図10中、符号(d)で示すように、圧力変動値の差分値Pd2が観測される。すなわち、ASV24よりも上流側の圧力変動値と、ASV24よりも下流側の圧力変動値との差分値に、微小な上下動が観測される。一方、図10中、符号(e)で示すように、微小な上下動が観測されず、差分値Pd3がほぼ0に等しければ、上流側の圧力変動値も排気脈動の影響を受けていると判断することができる。すなわち、ASV24が異物を噛み込み、上流側と下流側とが連通状態となっていると判断することができる。異物除去制御を行ったことにより、差分値に微小な上下動が観測されたときは、異物除去が完了したとして、異物除去制御を終了させる。
【0070】
また、図9に示すように、前側圧力センサ241及び後側圧力センサ242を備えた場合、以下の判断を行うこともできる。ASV24を閉状態としたときのASV24の前後差圧値と、ASV24を開状態としたときのASV24の前後差圧値との差分値を参酌することができる。ASV24が開状態のときの前後差圧値は、ほぼ0となる。ASV24が閉状態のときの前後差圧値はASV24が開状態のときと比較して大きくなる。ASV24が異物を噛み込んでいなければ、差分値Pd4が観測される。一方、ASV24が異物を噛み込んでいれば、差分値Pd4よりも小さい値である差分値Pd5が観測される。異物除去制御を行ったことにより、ASV24の上流側と下流側とが遮断され、差分値が所定の値よりも大きくなったときは、異物除去が完了したとして、異物除去制御を終了させる。
【0071】
このようにASV24の上流側の圧力と下流側の圧力との差分値を参酌する場合、前側圧力センサ241及び後側圧力センサ242との組み合わせに代えて、図11に示すように前後差圧センサ243を装備することもできる。前後差圧センサ243を装備することにより、上記と同様にASV24の前後の圧力状態に基づく異物除去制御の終了条件判定を行うことができる。
【0072】
以上説明したように、異物除去制御を行うことにより、OBDにおける誤診断を抑制することができる。ここで、異物除去をより効率よく行うために、以下の構成とすることもできる。
【0073】
二次空気供給装置21は、圧送空気量が可変であるエアポンプ(A/P)22を装備する。そして、制御手段であるエンジンECU10は、異物除去制御中にエアポンプ22の圧送空気量を異物除去制御が行われていない時間帯の圧送空気量よりも増量する。図12は、エアポンプ22の印加電圧と吐出流量との関係を示すグラフである。エンジンECU10は、異物除去制御が実行されているときに、印加電圧を上昇させる。これにより、圧送空気量が増量される。この結果、ASV24を通過する空気の勢いが増す。この結果、異物が除去され易くなる。
【0074】
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1,2 エンジンシステム
10 エンジンECU(制御部)
10a スタンバイRAM
15 排気ポート
21 二次空気供給装置
22 エアポンプ
23 二次空気供給通路
24 ASV(開閉手段)
31 圧力センサ(圧力検出手段)
100 エンジン
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の発明は、内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の排気ポートに外部から空気を送り込み、空気中の酸素と排気ガスとを反応させて排気ポート以降の排出ガスを酸化し、HCやCOなどの未燃ガス排出量を低減させる二次空気供給装置が知られている。このような二次空気供給装置は、エアポンプ(A/P)やエアスイッチングバルブ(以下、ASVと略記する)の作動不良、二次空気を供給する流路の詰まり等の異常が生じると、排気ポートに正常に空気を送り込めないために、内燃機関の排気エミッションが悪化してしまう。このため、二次空気供給装置の故障診断(OBD:On-Board-Diagnostics)が行われる。特許文献1には、二次空気供給装置の故障診断について開示されており、例えば、エアポンプとASVとの間に配置された圧力センサで検出した圧力値と圧力変動値から求める圧力挙動パターンを二次空気の供給時と停止時とでそれぞれ求める。そして、それぞれの場合における圧力挙動パターンの変化に基づいて装置の状態を判定する。ここで、ASVが異物を噛み込んだ場合、ASVが開状態で固着したとして、故障が発生しているとの診断がされることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−83048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二次空気供給(AI:Air Injection、以下AIという)制御は、一般的に内燃機関の冷間始動時に行われる。内燃機関が冷間始動をする場合、二次空気を供給する配管中で生成された氷がASVに向かって移動することがある。そして、ASVが、そのハウジングと弁体との間に異物である氷を噛み込んでしまうことがある。仮にASVが氷を噛み込んだ状態で故障診断が行われると、ASVは開固着異常であると判断される。ところが、異物が氷である場合は、周囲の温度上昇に伴って氷は溶けてしまう。このため、ASVを点検しても異常の原因を突き止めることが困難である。このように、異常が検出されているにもかかわらず、その原因が特定できない場合は、部品交換をしなければならない。
【0005】
異物が氷以外の場合にも同様の問題は生じ得る。すなわち、噛み込まれた異物が除去されれば異常は解消され、実際にはASVの故障は生じていないにもかかわらず、開固着異常であると判断されることがある。この場合も、ASVを点検しても異常の原因を突き止めることが困難であり、原因不明で部品交換をしなければならない。
【0006】
そこで本明細書開示の内燃機関の制御装置は、異物を噛み込んだ状態を即座に解消するとともに、二次空気供給装置の異常診断における開固着異常であるとの誤診断を回避することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本明細書開示の内燃機関の制御装置は、エアポンプが圧送する二次空気を内燃機関の排気系内に供給する二次空気供給通路と、前記二次空気供給通路を開閉する開閉手段と、を有する二次空気供給装置を備える内燃機関の制御装置であって、前記開閉手段を開状態として前記二次空気供給通路に二次空気を供給する二次空気供給制御に引き続いて、前記開閉手段に開閉動作をさせて異物除去を行う異物除去制御の実行を指令する制御部を備える。
【0008】
二次空気供給制御に引き続いて異物除去制御を行うことにより、二次空気供給制御を行ったことに起因して開閉手段が噛み込んだ異物を即座に除去することができる。即座に異物を除去しておけば、以後の異常診断における開固着異常であるとの誤診断を回避することができる。
【0009】
前記異物除去制御の終了条件は、前記異物除去制御における前記開閉手段の開閉回数を参酌して決定される。また、前記異物除去制御の終了条件は、前記異物除去制御の開始時点からの経過時間を参酌して決定される。異物除去制御をできるだけ短期間で終了させることにより、ASVが閉状態でエアポンプが動作する時間、回数を抑制し、異物除去制御を行う際のエアポンプ(A/P)の負担を軽減することができる。
【0010】
前記異物除去制御の終了条件は、前記開閉手段の開閉動作に伴う前記二次空気供給通路内の圧力状態を参酌して決定される。圧力状態を参酌することにより、ASVにおける異物噛み込みの有無を判断することができるため、異物噛み込みが解消していると判断したときは、即座に異物除去制御を終了することができる。
【0011】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値を参酌して判断される。また、前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力変動値を参酌して判断されるようにすることもできる。前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値と、前記開閉手段を開状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値との差分値を参酌して判断されるようにしてもよい。
【0012】
また、前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値と前記開閉手段よりも下流側の圧力値との差分値を参酌して判断されるようにしてもよい。
【0013】
さらに、前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力変動値と、前記開閉手段よりも下流側の圧力変動値との差分値を参酌して判断されるようにしてもよい。
【0014】
また、前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段の前後差圧値と、前記開閉手段を開状態としたときの前記開閉手段の前後差圧値との差分値を参酌して判断されるようにしてもよい。
【0015】
前記エアポンプは、圧送空気量が可変であり、前記制御手段は、前記異物除去制御中に前記エアポンプの圧送空気量を前記異物除去制御が行われていない時間帯の圧送空気量よりも増量することができる。圧送空気量を増量することによって効率よく異物除去を行うことができる。
【0016】
前記制御手段は、前記異物除去制御終了後に前記二次空気供給装置の故障診断制御(OBD)を行う。二次空気供給制御(AI制御)におけるASV開弁に起因する異物噛み込みを解消した後に故障診断を行うことにより、原因不明の開固着異常の検出が回避される。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に開示された内燃機関の制御装置によれば、異物を噛み込んだ状態を即座に解消するとともに、二次空気供給装置の異常診断における開固着異常であるとの誤診断を回避することを課題とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、実施例の内燃機関の制御装置を搭載したエンジンシステムの概略構成を示す説明図である。
【図2】図2は、ASV及び前側圧力センサを示す説明図である。
【図3】図3は、実施例の内燃機関の制御装置が行う全体制御を示すフロー図である。
【図4】図4は、実施例の内燃機関の制御装置が動作するときのタイムチャートの一例である。
【図5】図5は、実施例の内燃機関の制御装置が行う異物除去制御を示すフロー図である。
【図6】図6は、AI制御フラグの状態を示す説明図である。
【図7】図7は、実施例の内燃機関の制御装置が行う異物除去制御におけるASVの開閉制御を示すフロー図である。
【図8】図8は、図4におけるX部を拡大して示す説明図である。
【図9】図9は、他の実施例における圧力センサの配置を示す説明図である。
【図10】図10は、ASV作動に伴う二次空気供給通路内の圧力状態の変化を示すグラフである。
【図11】図11は、さらに他の実施例における圧力センサの配置を示す説明図である。
【図12】図12は、圧送空気量が可変であるエアポンプにおける印加電圧と吐出量との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。
【実施例】
【0020】
図1は、本明細書開示の発明にかかる内燃機関の制御装置を搭載したエンジンシステム1の一構成例を示した図である。図1にはエンジンの一部の構成のみを示している。図2は、ASV24及び前側圧力センサ241を示す説明図である。
【0021】
図1に示すエンジンシステム1は、動力源であるエンジン100を備えており、エンジン100の運転動作を総括的に制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)10を備えている。また、エンジンシステム1は、エアポンプ(A/P)22、二次空気供給通路23およびASV24を有する二次空気供給装置21を備えている。二次空気供給通路23は、連通孔23aによって、上流側通路231と下流側流路232とに区分けされている。
【0022】
エンジン100は、車両に搭載される火花点火式の多気筒エンジンであって、各気筒は燃焼室11を構成するピストン12を備えている。各燃焼室11のピストン12は、エンジン100のシリンダに摺動自在に嵌合されており、それぞれコネクティングロッドを介して出力軸部材であるクランクシャフトに連結されている(図示しない)。
吸気ポート13に流入した吸入空気はインジェクタ20から噴射された燃料と混合し、ピストン12の上昇運動により燃焼室11内で圧縮される。エンジンECU10は、クランク角センサからのピストン12の位置、および吸気カム角センサからのカム軸回転位相の情報に基づき、燃焼室内の点火プラグ18を点火させて圧縮混合ガスを着火させ、燃焼室11内で膨張させてピストン12を下降させる。この下降運動がコネクティングロッドを介してクランクシャフトの軸回転に変更されることにより、エンジン100は動力を得る。
この場合、エンジン100は、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンに限られず、ガソリンとアルコールとを任意の割合で混合した燃料を使用するフレキシブルフューエルエンジンであってもよい。また、エンジン100は、火花点火式に限られず、圧縮自着火式エンジンであってもよい。そして、エンジンシステム1は、エンジン100と複数の電動モータとを組み合わせたハイブリッドシステムであってもよい。
なお、エンジン100は、本発明の内燃機関の一構成例である。
【0023】
各気筒の燃焼室11には、それぞれ燃焼室11と連通する吸気ポート13と、吸気ポート13に連結し、吸入空気を吸気ポート13から燃焼室11へと導く吸気通路14とが接続されている。また、各気筒の燃焼室11には、それぞれ燃焼室11と連通する排気ポート15と、燃焼室で発生した排気ガスをエンジン100の外部へと導く排気通路16が接続されている。
【0024】
吸気通路14には、エアフロメータ、スロットルバルブ17およびスロットルポジションセンサが設置されている。エアフロメータおよびスロットルポジションセンサは、それぞれ吸気通路14を通過する吸入空気量、スロットルバルブ17の開度を検出し、検出結果をエンジンECU10に送信する。エンジンECU10は、送信された検出結果に基づいて吸気ポート13および燃焼室11へ導入される吸入空気量を認識し、スロットルバルブ17の開度を調整することで吸入空気量を調節する。
スロットルバルブ17は、ステップモータを用いたスロットルバイワイヤ方式を適用することが好ましいが、例えばステップモータの代わりにワイヤなどを介してアクセルペダル(図示しない)と連動し、スロットルバルブ17の開度が変更されるような機械式スロットル機構を適用することもできる。
【0025】
排気通路16の先には浄化触媒19が設けられている。燃焼後の排気ガスは、排気弁が開いた際に排気ポート15、排気通路16から浄化触媒19を通過してエンジン100の外部へと排出される。浄化触媒19は、エンジン100の排ガスを浄化するために用いられるもので、例えば三元触媒やNOx吸蔵還元型触媒などが適用される。
【0026】
また、排気通路16には、排気温センサ、A/Fセンサ、O2センサが設けられていおり(図示しない)、燃焼後の排気ガスの温度、空燃比を検出し、その結果をエンジンECU10へと送信する。エンジンECU10は、排気温センサ、A/FセンサおよびO2センサの検出結果に基づいて燃焼室の燃焼情報を取得し、最適な燃焼状態となるように燃料噴射量を調整するフィードバック制御を実行する。
【0027】
排気ポート15には、二次空気供給装置21が連結している。エアポンプ22は、エンジンECU10の指令に従って、エンジン100外部またはエアクリーナから取り込んだ二次空気を、二次空気供給通路23を通じて排気ポート15へと供給する。これにより、排気ポート15中のHCやCO等の未燃ガスを、供給された二次空気中の酸素とを反応させて再燃焼させることで、エンジン100からの未燃ガスの排出量を低減させる。
【0028】
二次空気供給通路23に装着されたASV24は、エンジンECU10の指令に従って二次空気供給通路23を連通または閉鎖する。ASV24は、開閉手段の一例であり、ソレノイド式の開閉弁である。ASV24は、先端部に弁部24a1が設けられたシャフト部材24aを備える。また、シャフト部材24aの周囲に配置されたソレノイド24bを備える。さらに、バネ部材24cを備える。バネ部材24cは、コイルスプリングであるが、他の形式のバネ部材であってもよい。バネ部材は、シャフト部材24aが備えるバネ受け用の鍔部24a2とソレノイド24bの収容部との間に挟持され、シャフト部材24aを閉弁側に付勢している。ソレノイド24bが通電されていないときは、弁部24a1は閉状態となっている。ソレノイド24bに通電されると、シャフト部材24aが押し下げられ、弁部24a1が連通孔23aを開放し、開状態となる。シャフト部材24aが押し下げられるとバネ部材24cは圧縮され、シャフト部材24aを閉弁方向へ移動させる付勢力を強める。ASV24は、エアポンプ22から排気ポート15へと供給される二次空気の量を調節し、排気ガス中の未燃ガス量に見合った二次空気を排気ポート15へと供給することで、浄化触媒19の過剰な酸化反応を抑制する。
【0029】
なお、ASV24は、ソレノイド式に限定されるものではなく、他のどのような形式の開閉弁であってもよい。例えば、ASV24は、バタフライ式の開閉弁やスライド式の開閉弁であってもよい。内燃機関の制御装置は、二次空気供給通路23における上流側通路231の圧力、すなわち、ASV24の前側の圧力を検出する前側圧力センサ241を備えている。
【0030】
エンジンECU10は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)と、データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。エンジンECU10は、エンジン100の各部に備えられたクランク角センサ、水温センサ、エアフロメータ、排気温センサ、A/Fセンサ、O2センサ等の検出結果を読み込み、それら検出結果に基づいてスロットルバルブ17の動作、点火プラグ18の動作、インジェクタ20の動作など、エンジン100の運転動作を統合的に制御する。
【0031】
エンジンECU10は、イグニッションOFF後もデータを記憶保持するバックアップ用メモリとしてのスタンバイRAM10aを備えている。スタンバイRAM10aには、適宜更新される学習値等が記憶されるようになっている。なお、バックアップ用メモリとしてEEPROM等の不揮発性メモリを用いることも可能である。
【0032】
そして、エンジンECU10は、エンジン100の運転状態に基づいて二次空気供給装置21の運転を制御する。また、このECU10は、本明細書開示の内燃機関の制御装置における制御部の機能を担い、AI制御、異物除去制御、故障診断制御に関する演算、指令を行う。
【0033】
図3は、内燃機関の制御装置、具体的には、エンジンECU10が行う全体制御を示すフロー図である。エンジンECU10は、まず冷間始動時であること等、AI制御が必要であるときは、AI制御を行う(ステップS51)。AI制御は、ASV24を開状態に保ち、二次空気供給通路23に二次空気を供給する。ASV24の開状態は、排気ガスの状態に応じて決定されるが、通常20秒〜30秒の間である。ASV24は、一定期間、開状態を維持した後、閉状態に戻るが、このとき、連通孔23aの周囲に異物である氷を噛み込むことがある。そこで、AI制御が終了したら、これに引き続いて異物除去制御を行う(ステップS52)。異物除去制御は、ASV24に開閉動作をさせることによって異物を除去する。そして、異物除去制御が終了した後にOBDを行う(ステップS53)。異物除去制御を経てOBDを行うことにより、異物噛み込みに起因する開固着異常の検出を回避することができる。この結果、開固着異常が観測されたときにその原因が不明であるという状態を回避することができる。
【0034】
つぎに、図4に示すタイムチャート、図5に示すフロー図を参照して、エンジンECU10が行うAI制御及び異物除去制御について説明する。特に、AI制御から異物除去制御へ移行及び異物除去制御の終了条件の判定について詳述する。
【0035】
まず、ステップS1では、AI制御履歴があるかないかを確認する。AI制御履歴は、イグニッションオフの動作とともに、消去される。このため、イグニッションがオンとされた直後に行われる第一巡目のステップS1の処理では、Yesと判断し、ステップS2へ進む。
【0036】
ステップS2では、AI作動条件、すなわち、AI制御が実施される条件が成立しているか否かを判断する。AI制御が実施され、AIが作動する条件は、例えば、エンジン始動時の冷却水温や、吸気温度、内燃機関始動後の経過時間、バッテリ電圧等の各種パラメータを参照して判断する。ステップS2でYesと判断したときはステップS3へ進む。
【0037】
ステップS3では、AI停止条件が不成立の状態であるか否かを判断する。AI制御は、通常、冷間始動時に触媒暖機が完了するまで行われる。本実施例では、エンジン吸入空気量の積算値が所定値を越えた場合にAI停止条件が満たされたものと判断する。なお、AI停止条件として、水温上昇幅や、その他のパラメータを採用することができる。水温上昇幅を採用したときは、水温上昇幅が所定値を越えたことをAI停止条件とすることができる。ステップS3でYesと判断したときは、ステップS4へ進む。なお、ステップS3でNoと判断したときは、ステップS7へ進む。
【0038】
ステップS4では、AI中断条件が不成立の状態であるか否かを判断する。AI制御は、例えば、車両が急加速状態になった場合などは中断する。このため、本実施例では、瞬時吸気量が所定値を越えた場合にAI制御を中断する判断を行う。ステップS4でYesと判断したときは、ステップS5へ進む。なお、ステップS4でNoと判断したときは、ステップS7へ進む。
【0039】
ステップS5では、実際にAI制御を開始する。すなわち、エアポンプ(A/P)22を始動し、ASV24を開状態とする。そして、図4に示すようにAI制御フラグをONとする。
【0040】
ステップS6では、図4に示すように異物除去完了フラグをOFFとしておく。ASV24は、AI制御に伴い開状態となると、氷(異物)を噛み込むおそれがある。そこで、ASV24がAI制御に伴う開状態を経験したときには、必ず異物除去制御を行うことを担保するために、この時点で一旦異物除去完了フラグをOFFにしておく。ステップS6の後、処理はリターンとなる。
【0041】
イグニションオン後、ステップ1〜ステップ6の処理を行った後、再びステップS1の判断を行うとき、ステップS1における判断は再びYesとなる。再びステップS1でYesと判断した後に、ステップS3又はステップS4においてNoと判断したときは、ステップS7へ進む。ステップS7では、AI制御履歴ありとの記録を行う。すなわち、AI制御が停止された場合や、中断された場合には、AI制御履歴ありとされる。ここで、図6を参照して、AI制御が中断した場合のAI制御フラグについて説明する。AI制御フラグは、AI制御に伴ってASV24が開状態とされているときにONとされる。そして、中断条件が成立し、ASV24が閉状態とされた状態のときにOFFとされる。このように、AI制御が中断されたときであっても、それ以前にAI制御フラグがONとされていれば、AI制御履歴はありとする。要は、AI制御に伴って、ASV24が開状態となり、異物を噛み込むおそれがある状態を経験したときは、AI制御履歴はありとする。
【0042】
ステップS7の後は、処理は再びリターンとなる。S7を経由して再びステップS1に戻ってきたときは、ステップS1においてYesと判断される。ステップS1でYesと判断したときは、ステップS8へ進む。
【0043】
ステップS8では、異物除去完了フラグがOFFとなっているか否かを判断する。ステップS6を経由した後、異物除去制御が行われていない場合は、ステップS8でYesと判断し、ステップS9へ進む。
【0044】
ステップS9では、異物除去制御フラグがOFFであるか否かを判断する。図4に示すようにAI制御が行われているときは、異物除去制御フラグはOFFとされている。ステップS1からの一連の制御がスタートした後、最初にステップS9の処理がされるときは、Yesと判断される。ステップS9でYesと判断した後は、ステップS10へ進む。
【0045】
ステップS10では、ASV24を一旦閉状態とする。このタイミングは、AI制御による触媒暖機が完了したと判断されるタイミングと一致している。AI制御が終了すると引き続き異物除去制御が行われる。ASV24を閉状態とすることは、ステップS11以降で引き続き行われる異物除去制御に備えた措置となる。ASV24が閉状態とされたとき、エアポンプ(A/P)22の駆動は継続されているので、ASV24よりも上流側の圧力は上昇し始める。
【0046】
ステップS10に引き続き行われるステップS11では、異物除去制御フラグをONとして、異物除去制御が実行されていることを示す。そして、ステップS12において、異物除去制御を開始する。なお、ステップS11の処理は、ステップS10の処理、又は、ステップS12の処理と同時に行ってもよい。
【0047】
図7は、実施例の内燃機関の制御装置が行う異物除去制御におけるASVの開閉制御を示すフロー図である。まず、ステップS111において、ステップS10においてASV24を閉状態としてから所定時間が経過したか否かを判断する。ここで、ASV閉後の所定時間は、任意に決定することができる。例えば、AI制御におけるASV24の開期間よりも短い期間とすることができる。AI制御におけるASVの開期間が、20秒〜30秒の間に設定されている場合、所定時間は、この時間より短時間とする。本実施例では、500m秒としている。
【0048】
ステップS111で所定時間の経過が確認され、Yesと判断した後は、ステップS112へ進む。一方、Noと判断したときは、ステップS111の処理を繰り返す。ステップS112では、ASV24を開状態とする。そして、ステップS113において、ASV24を開状態とした後に所定時間が経過したか否かの判断を行う。本実施例では、500m秒としている。ステップS113で所定時間の経過が確認され、Yesと判断した後は、ステップS114へ進む。一方、Noと判断したときは、ステップS113の処理を繰り返す。ステップS114では、ASV24を閉状態とする。
【0049】
このように短い周期でASV24を開閉して連通孔23a周辺に噛み込まれた異物を吹き飛ばし、除去する。なお、ASV24の開閉は、異物を砕き、除去し易くする効果も発揮し得る。
【0050】
ステップS12における異物除去制御の開始と合せて、異物除去制御終了条件の監視を開始する(ステップS13)。具体的には、ASV24の開閉回数のカウントを開始する。閉状態から開状態に移行し、開状態が終了するまでの動作が一回とカウントされる。ステップS13の後、処理はリターンとなる。
【0051】
ステップS13を経由して、再びステップS9の処理を行うとき、異物除去制御が実行されているため、異物除去制御フラグがOFFではないとしてNoと判断する。そして、ステップS14へ進む。
【0052】
ステップS14では、異物除去終了条件が充足されているかを判断する。具体的に、ASV24の開閉制御の回数を参酌して、その回数が予め定めた所定回数行われたか否かを判断する。ステップS14でNoと判断したときは、ステップS15へ進む。ステップS15では、ステップS12で開始した異物除去制御を継続する。そして、引き続き行われるステップS16では、ステップS13で開始した監視を継続する処理をする。ステップS15、ステップS16の処理は順番を入れ換えてもよいし、同時に行ってもよい。ステップS16の後、処理はリターンとなる。
【0053】
ステップS14で、異物除去制御終了条件が充足したと判断し、Yesと判断したときは、ステップS17へ進む。ステップS17では、ASV24を閉状態とする。そして、ステップS18では、異物除去制御フラグをOFFとするとともに異物除去制御完了フラグをONとしておく。
【0054】
ステップS18に続いて行われるステップS19では、エアポンプ(A/P)22を停止する。ASV24を閉状態にした後、エアポンプ(A/P)22を停止するのは、排気ガスが二次空気供給通路23内に浸入することを回避するためである。ステップS19の後、処理はリターンとなる。
【0055】
ステップS18において異物除去完了フラグがONとされた後に、再びステップS8の処理を行うとき、Noと判断する。そしてステップS20においてAI制御履歴を消去しておく。ステップS20の後、処理はリターンとなる。
【0056】
以上で、AI制御から異物除去制御までの一連の処理が完了する。異物除去制御が完了した後は、図3のフロー図に示すようにOBDへ移行することができる(S53)。ASV24に噛み込まれる異物が予め除去された状態でOBD制御を行うことができる。すなわち、予め異物除去が行われ、ASV24が異物を噛み込んだことに起因する開固着異常の検出がされない状態でOBD制御が行われる。この結果、OBD制御で原因不明の異常を検出する機会は減少する。原因不明の異常が検出されたときは、部品交換をしなければならない。原因不明の異常を検出する機会が減少すれば、メンテナンスコストの削減となる。なお、OBDには、ASV24の故障の故障診断だけでなく、エアポンプ(A/P)22の故障診断が含まれる。OBDは、従来知られている種々の方法を含め、他の方法で行うことができる。OBDは、例えば、二次空気供給停止時の圧力及び圧力変動値を前側圧力センサ241により測定し、これらの測定値に基づいて故障を判断することができる。
【0057】
OBDに先行して異物除去制御を行うことにより、以下の効果も期待される。すなわち、ASV24が異物を噛み込んだ状態は、二次空気を導入する配管内への排気ガスの逆流にも繋がる。排気ガスの逆流は、カーボンの付着や、他の異物侵入の原因になる。異物除去制御をAI制御に引き続いて行っておくことにより、これらの不都合を早期に解消することができる。
【0058】
上記実施例では、異物除去制御終了条件として、ASV24の開閉回数を採用している。この開閉回数のカウントに代えて、異物除去制御実施時間を採用することもできる。具体的には、異物除去制御の開始時点からの経過時間を参酌する。図4のタイムチャートに示すように、異物除去制御フラグをONとするタイミングで異物除去制御実施時間の計測を開始する。そして、予め定めた時間が経過したときに異物除去制御終了条件が満たされたとして異物除去制御を終了することができる。異物除去制御をできるだけ短期間で終了させることにより、ASVが閉状態でエアポンプ(A/P)22が動作する時間、回数を抑制し、異物除去制御を行う際のエアポンプ(A/P)22の負担を軽減することができる。
【0059】
また、異物除去制御終了条件は、ASV24の開閉動作に伴う二次空気供給通路23内の圧力状態を参酌して決定してもよい。例えば、ASV24を閉状態としたときのASV24よりも上流側の圧力値(ASV前圧力)を参酌して二次空気供給通路23内の圧力状態を判断する。そして、異物除去制御終了条件が満たされているか否かを判断する。ASV24よりも上流側の圧力値は、前側圧力センサ241により測定することができる。図4には、ASV前圧力の変化が示されている。ASV前圧力は、ASV24の開閉に応じて変化する。すなわち、ASV24が閉状態となると上昇し、開状態となると低下する。また、ASV24を開状態とすると、排気ポートと連通するため、排気脈動の影響が現れ、微小な上下動が観測される。
【0060】
図8は、図4におけるX部を拡大して示す説明図である。ASV24が異物を噛み込んでいなければ、ASV24を閉状態とすることにより、連通孔23aが閉塞されるため、ASV前圧力として規定値Pmaxが観測される。このPmaxが観測されたときは、異物が除去されたと判断することができるため、異物除去制御終了条件が満たされたと判断する。一方、図8中、破線で示すように、異常が認められるときは、連通孔23aが完全に閉塞できない状態となっている。このため、ASV前圧力は、Pmaxまで到達しない。圧力状態を参酌することにより、ASV24における異物噛み込みの有無を判断することができるため、異物噛み込みが解消していると判断したときは、即座に異物除去制御を終了することができる。
【0061】
また、他の条件として、前側圧力センサ241により観測されるASV24よりも上流側の圧力変動値Paを参酌することもできる。連通孔23aが閉塞されていれば、排気脈動の影響は受けない。このため、ASV24を閉状態としているにもかかわらず、圧力変動値Paが観測されているときは、ASV24が異物を噛み込んだ状態であると判断することができる。一方、この圧力変動値Paが観測されなくなれば、異物は除去されたと判断することができる。
【0062】
さらに、他の条件として、ASV24を閉状態としたときのASV24よりも上流側の圧力値と、ASV24を開状態としたときのASV24よりも上流側の圧力値との差分値Pbを参酌することができる。ASV24を閉状態としたときに、異物を噛み込んでいなければ、差分値Pbは所定値以上となる。このため、この差分値Pbに応じて異物除去が完了した状態であるか否かを判断することができる。
【0063】
上記実施例では、ASV24の上流側に前側圧力センサ241を装備している。これに対し、図9に示すように、前側圧力センサ241とともにASV24よりも下流側に設けられた後側圧力センサ242を装備して、これらのセンサによって得られる測定値に基づいて異物除去制御終了条件を判断することもできる。
【0064】
図10は、ASV24の作動に伴う二次空気供給通路23内の圧力状態の変化を示すグラフである。図10は、説明を分かりやすくするため、模式的に波形を描き、波形の一部を誇張して描いている。図10中、符号(a)は、ASV24が異物を噛み込んでおらず、ASV24が正常に作動しているときの上流側圧力の変化を示す。すなわち、ASV24が正常であるときに、前側圧力センサ241により測定される絶対圧の変化を示している。ASV24の上流側の圧力は、ASV24が開状態のときに、排気脈動の影響を受ける。ASV24が閉状態となったときに、ASV24の上流側の絶対圧は上昇する。そして、完全にASV24が閉じた状態となると、排気脈動の影響は観測されなくなる。図10中、符号(b)は、ASV24が異物を噛み込んでいるときのASV前圧力の変化を示している。ASV24が異物を噛み込んでいるときは、ASV24の上流側も排気ポート15側と連通状態となるため、排気脈動の影響が観測される。また、絶対圧の最大値も正常時と比較して低い。図10中、符号(c)は、ASV24の下流側圧力(ASV後圧力)の変化を示す。ASV24の下流側の絶対圧は、常時、排気脈動の影響を受ける。
【0065】
図10中、符号(d)は、ASV24が異物を噛み込んでおらず、正常に作動しているときのASV前圧力とASV後圧力との差圧の変化を示している。ASV24が開状態のとき、ASV24の上流側と下流側は、ともに排気脈動の影響を受ける。符号(d)が示すグラフは、ともに排気脈動の影響を受けるASV前圧力とASV後圧力との差圧であるため、ASV24が開状態のときに観測される波形には、微小な上下動は現れていない。これに対し、ASV24が閉状態のときは、ASV24の下流側のみ、排気脈動の影響を受ける。符号(d)が示すグラフは、排気脈動の影響を受けるASV後圧力と、排気脈動の影響を受けないASV前圧力との差圧であるため、ASV24が閉状態のときに観測される波形には、微小な上下動が現れている。
【0066】
図10中、符号(e)は、ASV24に異物が噛み込まれたときのASV前圧力とASV後圧力との差圧の変化を示している。ASV24が異物を噛み込んでいるときは、ASV24の上流側も排気ポート15側と連通状態となるため、ASV24の上流側と下流側は、ともに排気脈動の影響を受ける。符号(e)が示すグラフは、ともに排気脈動の影響を受けるASV前圧力とASV後圧力との差圧であるため、観測される波形には、微小な上下動は現れていない。
【0067】
以上説明したように、前側圧力センサ241と後側圧力センサ242を用いることにより、種々の数値を得ることができる。得られた数値は、異物除去制御終了条件を判断するときに、用いることができる。
【0068】
例えば、ASV24を閉状態としたときのASV24よりも上流側の圧力値(ASV前圧力)とASV24よりも下流側の圧力値(ASV後圧力)との差分値を参酌して判断する。ASV24を閉状態としたとき、ASV24が異物を噛み込んでいなければ、ASV24の上流側の圧力は高くなるため、下流側との差分値は大きくなり、例えば、差分値Pd11が観測される。一方、この差分値が、所定値よりも小さかったときは、ASV24が異物を噛み込み、上流側と下流側とが連通状態となっていると判断することができる。例えば、差分値Pd11よりも小さい値である差分値Pd12が観測されたときは、ASV24が異物を噛み込んでいると判断する。異物除去制御を行ったことにより差分値が所定値を上回ったときは、異物除去が完了したとして、異物除去制御を終了させる。
【0069】
また、図9に示すように、前側圧力センサ241及び後側圧力センサ242を備えた場合、以下の判断を行うこともできる。ASV24を閉状態としたときのASV24よりも上流側の圧力変動値と、ASV24よりも下流側の圧力変動値との差分値を参酌して判断する。ASV24を閉状態としたとき、ASV24が異物を噛み込んでいなければ、図10中、符号(d)で示すように、圧力変動値の差分値Pd2が観測される。すなわち、ASV24よりも上流側の圧力変動値と、ASV24よりも下流側の圧力変動値との差分値に、微小な上下動が観測される。一方、図10中、符号(e)で示すように、微小な上下動が観測されず、差分値Pd3がほぼ0に等しければ、上流側の圧力変動値も排気脈動の影響を受けていると判断することができる。すなわち、ASV24が異物を噛み込み、上流側と下流側とが連通状態となっていると判断することができる。異物除去制御を行ったことにより、差分値に微小な上下動が観測されたときは、異物除去が完了したとして、異物除去制御を終了させる。
【0070】
また、図9に示すように、前側圧力センサ241及び後側圧力センサ242を備えた場合、以下の判断を行うこともできる。ASV24を閉状態としたときのASV24の前後差圧値と、ASV24を開状態としたときのASV24の前後差圧値との差分値を参酌することができる。ASV24が開状態のときの前後差圧値は、ほぼ0となる。ASV24が閉状態のときの前後差圧値はASV24が開状態のときと比較して大きくなる。ASV24が異物を噛み込んでいなければ、差分値Pd4が観測される。一方、ASV24が異物を噛み込んでいれば、差分値Pd4よりも小さい値である差分値Pd5が観測される。異物除去制御を行ったことにより、ASV24の上流側と下流側とが遮断され、差分値が所定の値よりも大きくなったときは、異物除去が完了したとして、異物除去制御を終了させる。
【0071】
このようにASV24の上流側の圧力と下流側の圧力との差分値を参酌する場合、前側圧力センサ241及び後側圧力センサ242との組み合わせに代えて、図11に示すように前後差圧センサ243を装備することもできる。前後差圧センサ243を装備することにより、上記と同様にASV24の前後の圧力状態に基づく異物除去制御の終了条件判定を行うことができる。
【0072】
以上説明したように、異物除去制御を行うことにより、OBDにおける誤診断を抑制することができる。ここで、異物除去をより効率よく行うために、以下の構成とすることもできる。
【0073】
二次空気供給装置21は、圧送空気量が可変であるエアポンプ(A/P)22を装備する。そして、制御手段であるエンジンECU10は、異物除去制御中にエアポンプ22の圧送空気量を異物除去制御が行われていない時間帯の圧送空気量よりも増量する。図12は、エアポンプ22の印加電圧と吐出流量との関係を示すグラフである。エンジンECU10は、異物除去制御が実行されているときに、印加電圧を上昇させる。これにより、圧送空気量が増量される。この結果、ASV24を通過する空気の勢いが増す。この結果、異物が除去され易くなる。
【0074】
上記実施例は本発明を実施するための一例にすぎない。よって本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1,2 エンジンシステム
10 エンジンECU(制御部)
10a スタンバイRAM
15 排気ポート
21 二次空気供給装置
22 エアポンプ
23 二次空気供給通路
24 ASV(開閉手段)
31 圧力センサ(圧力検出手段)
100 エンジン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアポンプが圧送する二次空気を内燃機関の排気系内に供給する二次空気供給通路と、前記二次空気供給通路を開閉する開閉手段と、を有する二次空気供給装置を備える内燃機関の制御装置であって、
前記開閉手段を開状態として前記二次空気供給通路に二次空気を供給する二次空気供給制御に引き続いて、前記開閉手段に開閉動作をさせて異物除去を行う異物除去制御の実行を指令する制御部を備えた内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記異物除去制御の終了条件は、前記異物除去制御における前記開閉手段の開閉回数を参酌して決定される請求項1記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記異物除去制御の終了条件は、前記異物除去制御の開始時点からの経過時間を参酌して決定される請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記異物除去制御の終了条件は、前記開閉手段の開閉動作に伴う前記二次空気供給通路内の圧力状態を参酌して決定される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力変動値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値と、前記開閉手段を開状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値との差分値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値と前記開閉手段よりも下流側の圧力値との差分値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項9】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力変動値と、前記開閉手段よりも下流側の圧力変動値との差分値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項10】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段の前後差圧値と、前記開閉手段を開状態としたときの前記開閉手段の前後差圧値との差分値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項11】
前記エアポンプは、圧送空気量が可変であり、
前記制御手段は、前記異物除去制御中に前記エアポンプの圧送空気量を前記異物除去制御が行われていない時間帯の圧送空気量よりも増量する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記異物除去制御終了後に前記二次空気供給装置の故障診断制御を行う請求項1乃至10のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項1】
エアポンプが圧送する二次空気を内燃機関の排気系内に供給する二次空気供給通路と、前記二次空気供給通路を開閉する開閉手段と、を有する二次空気供給装置を備える内燃機関の制御装置であって、
前記開閉手段を開状態として前記二次空気供給通路に二次空気を供給する二次空気供給制御に引き続いて、前記開閉手段に開閉動作をさせて異物除去を行う異物除去制御の実行を指令する制御部を備えた内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記異物除去制御の終了条件は、前記異物除去制御における前記開閉手段の開閉回数を参酌して決定される請求項1記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
前記異物除去制御の終了条件は、前記異物除去制御の開始時点からの経過時間を参酌して決定される請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記異物除去制御の終了条件は、前記開閉手段の開閉動作に伴う前記二次空気供給通路内の圧力状態を参酌して決定される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項6】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力変動値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項7】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値と、前記開閉手段を開状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値との差分値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項8】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力値と前記開閉手段よりも下流側の圧力値との差分値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項9】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段よりも上流側の圧力変動値と、前記開閉手段よりも下流側の圧力変動値との差分値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項10】
前記二次空気供給通路内の圧力状態は、前記開閉手段を閉状態としたときの前記開閉手段の前後差圧値と、前記開閉手段を開状態としたときの前記開閉手段の前後差圧値との差分値を参酌して判断される請求項4記載の内燃機関の制御装置。
【請求項11】
前記エアポンプは、圧送空気量が可変であり、
前記制御手段は、前記異物除去制御中に前記エアポンプの圧送空気量を前記異物除去制御が行われていない時間帯の圧送空気量よりも増量する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記異物除去制御終了後に前記二次空気供給装置の故障診断制御を行う請求項1乃至10のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−36423(P2013−36423A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174370(P2011−174370)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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