説明

内燃機関の排ガスに含まれる粒子の分離装置

本発明は、排ガスの流れが濾材を通じて導かれ、粒子が吸収されかつ保持(4)される、内燃機関の排ガスに含まれる粒子の分離装置に関する。本発明は、従来の粒子フィルタに関して費用効果的な方法で分離を改善するはずである。本発明によれば、濾材(1)は、少なくとも2つの層(11、12、13)を有する開気孔発泡金属から作成され、それは各々が、濾材を通じた流れの方向に互いとは異なる厚み、気孔率および/または孔径を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排ガスに含まれる粒子の分離装置に関し、この装置は、通常ディーゼル微粒子除去装置と呼ばれる。
【背景技術】
【0002】
これらの用途のため、主にそれらの装置は、分離がセラミック部材、好ましくはシリコンカーバイドでできている部材を使用して実行されるように以前から使用されてきた。これらのセラミック材料は、明らかに高温での使用に適しているが、材料に起因する実質的な不都合を有する。一方で、これは、特に車両の可動装置における燃料消費増加効果を有する比較的高い密度の結果として記録される大きい固有の質量に関連がある。セラミック材料はその上、振動し積荷を替える場合には砕けやすく、壊れるまたは損傷する傾向がある。
【0003】
通常ハウジングに使用される金属と本質的に異なる熱的な膨張に起因してさらなる不都合が生じ、それはさらなる労力および/または費用でのみ補うことができるだけである。
【0004】
さらに公知の解決法は、繊維構造を使用する。後者は、製造費用を増加させる特性を必要とする。例えば、温度抵抗に加えて、繊維構造はまた、十分な長期の分離能力を達成しなければならない。そのような繊維構造は、しかしながらまた、あらゆる追加措置なしで十分に高い強度を有しない。
【0005】
本質的に公知のさらなる可能性は、大量の粒子、または、個々の粒子の局所的合成物の使用である。固有の強度も、ここで十分に存在しない。
【発明の開示】
【0006】
したがって、費用効率が高い方法で内燃機関の排ガスに含まれる粒子の分離を改善することは、本発明の目的である。
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有している装置によって、本発明に従い解決される。
【0008】
都合が良い態様およびさらなる展開は、従属クレームにおいて表される特徴によって達成することができる。
【0009】
本発明の装置において、粒子を含む内燃機関の排ガスは、濾材を通じて導かれる。濾材は、開気孔発泡金属でできていて、これに関してそのような気泡の少なくとも2つの層で作成される。個々の層の厚み、気孔率および/または平均孔径は異なる。例えば、粒子を含む排ガスが流れる第1の層は、排ガスが続いて流れる層よりも、より大きい厚み、より大きい気孔率および/またはより大きい平均孔径を有する。2以上の層が濾材を形成する場合、それぞれの層の厚み、気孔率および/または平均孔径は、流れの方向において連続してサイズが減少する。
【0010】
粒子を含む排ガスは、少なくとも1つの吸気通路を経て装置に導入され、濾材を通過した後、少なくとも1つの排気通路を経て放出されることができる。
【0011】
濾材のための開気孔発泡成形層は好ましくは、ニッケル、鉄、または、ニッケル合金、または、鉄の合金、特にクロミウム、および、任意に都合が良い特性を含む合金要素を含むさらなる合金を使用して作成される。そのようなニッケル合金が好ましくは使われるべきである。
【0012】
そのような開気孔発泡金属の最高10の層までのうちできるだけ3つの層が、良好な分離能力のために濾材を形成する。層はできる限り互いに接触していて、個々の層の間の中空の空間はできるだけ避けられる。このため、濾材を形成する層は、いずれにしろ分離のためには使われない外側の端で互いに連結されることができる。連結は、直径に沿って対向する端面に制限されることができる。
【0013】
濾材を形成する層は、少なくとも1.5mmの全体の厚みを有する。
【0014】
これに関連して、粒子を含む排ガスが最初に流れる層は少なくとも200μmの平均孔径を有する。
【0015】
それは、層で形成される濾材の全体の層の厚みの少なくとも40%を占める。
【0016】
この後に流れる第2層は、第1の層より小さい少なくとも100μmである平均孔径を有する。
【0017】
最後に排ガスが流れる第3の層は、それの前に配置される層よりも小さい、言い換えると少なくとも100μmより小さい平均孔径を有する。
【0018】
層で形成される濾材は、平らな表面を有するプレート形状において構成されることができる。
【0019】
それは、しかしながらまた、管状の形状において構成され、中空の円柱を形成することができる。この場合、内側は、吸気通路、または、排気通路も形成することができる。1以上の排気通路または吸気通路はまた、対応する間仕切壁によって放射状に外側に、または、内側にも形成されることができる。そのような実施態様については、回転対称が認められる必要はない。四角形または矩形の形状のような異なる断面形状もまた選ばれ、したがって、例えば、自動車のような所望の取付け状態への適合を考慮することができる。
【0020】
複数の層から形成される濾材はまた、螺旋形に縦軸に巻きつかせることができる。
【0021】
濾材および吸排気通路は、U形状において作成されることができ、これに関連して、排ガスもまた、このように作成される装置を通じてU形状に沿って流れることができ、排ガスは通過しながら、吸気通路から濾材を通じて排気通路へ連続して流れる。
【0022】
吸気通路への粒子を含む排ガスの流入方向は、最初に排ガスが流れる層の表面に並列して並べることができる。排ガス容積全体が濾材を通じて流れなければならず、流入後に排気通路を経て粒子のない環境に放出されることができるように、そのような吸気通路の反対に配置された前方側面端部はそれから閉じることができる。これに関連して、粒子を含む排ガスが流れる濾材の対応する表面を有する吸気通路に沿った濾材の全長は分離のために利用できる。この文脈において、「粒子のない」とは、少なくとも予め設定された量が認められると理解されるべきである。
【0023】
粒子を含む排ガスが吸気通路に流れる方向において吸気通路の空いている断面を減少することは都合が良い。吸気通路における粒子を含む排ガスの流れにおいて、空いている断面が減少するとその流れの速度はそれによって増加し、粒子の分離を改善させる。流れの方向における吸気通路の空いている断面の減少は、これに関連して連続的に作成される。吸気通路における粒子を含む排ガスの流れの速度はしたがって、吸気通路および反対の位置に配置された吸気通路の正面端部の近くへの流入から始まり、ほぼ2倍になることができる。
【0024】
これは、1以上の吸気通路が形成されるハウジングの対応する構造によって達成されることができる。しかしながら、この効果をもたらす対応する間仕切壁もまた挿入される。
【0025】
さらなる可能性は、粒子を含む排ガスの流入方向において濾材の全体の層の厚みを大きくすることであり、それによって、空いている断面は減少し、流れの速度は増加することができる。これに関連して、粒子を含む排ガスが流れる第1の層だけがこの方向においてより厚くなることができる。
【0026】
しかしながら濾材もまた、層のうちの少なくとも1つが段階的な形状で変化する気孔率および/または平均孔径を有するように構成されることができる。これは、流入方向において前から後ろに減少するようにされるべきである。
【0027】
そのような実施態様は、少ない断面を有する1以上の吸気通路が存在する前に説明されたものと結びつけることができる。
【0028】
加えて、開気孔発泡金属の表面は、少なくとも局所的に被覆を備えることができる。例えば、最初に粒子を含む排ガスが流れる層の吸気通路の方向に外側に面する表面のみが、被覆されることができる。
【0029】
被覆により、層の比表面積の拡大および/または触媒効果が達成され、それが、粒子の分離能力の増加、または、環境に放出される排ガスの品質の改良を生じる。
【0030】
図1において、排ガスが連結管を経て導入されて、また周囲に放出される本発明による装置の例が示される。濾材によって各々が互いに分離される複数の吸気通路2および排気通路3を有する有効な部分は、その間で配置される。粒子を含む排ガスは個々の吸気通路に流れ、それから個々の濾材1を通じて流れ、排気通路3を経て放出される。吸気および排気通路2および3は、濾材1と同様に互いに並列して整列され、全体は、四角または矩形の断面を有する。吸気通路2および排気通路3は、濾材1を通じて流れ、排気通路3から出る排ガスを放出するために面しているそれらの端部で相互に閉じられる。
【0031】
3つの層1.1; 1.2;および1.3で作成される濾材の構造は、図2において示されるように、図1の拡張した詳細図で図示される。層1.1; 1.2;および1.3は、ニッケル合金を含む開気孔発泡体から作成される。
【0032】
粒子を含む排ガスが初めに流れる吸気通路2の方向に最初に流れる層1.1は、0.8mmの平均孔径を有する。
【0033】
第2の層1.2は、0.58mmの平均孔径を有する。排気通路3の方向に配置される濾材1の層1.3は、0.45mmの平均孔径を有する。
【0034】
図3は、排ガスが粒子の分離のために流れる濾材1によって互いから別々に分けられる2つの吸気および排気通路2および3を有する場合における可能性を図示する。この文脈において、どのように排ガスの流れが導かれるか、および、どのように吸気および排気通路2および3の相互に反対の位置に配置された端部の端面が気密的に閉じるかが明らかになる。
【0035】
図4は、濾材1を通じて流れる粒子を含む排ガスのための2つの吸気通路2を有し、各々の場合、粒子のない排ガスを共通の排気通路3を経て周囲に放出する例を示す。
【0036】
支持構造物4による安定性または強度の増加のための可能性は、図5において概略的な形状で示される。そのような支持構造物は、ハウジング壁の濾材1に、または、吸気または排気通路2または3の壁に確実に接合されるように連結される。これは、支持構造物4を形成することができるウェブまたは金属シートを使用して達成される。これに関連して、互いの個々の構成部分の間隔は、本発明により装置において長期間、認められる。支持構造物4は、しかしながら、排ガスの流れの関係が不都合に影響されないように、構成され、配置され、かつ必要な大きさにされるべきである。
【0037】
図6において、粒子を含む排ガスの流入方向に、円錐形にテーパをつける吸気通路2の空いている断面を有した例が示される。
【0038】
したがって、粒子を含む排ガスの流れの速度は、吸気通路2および反対の位置に配置された吸気通路2の端部の近くへの流入から始まり、吸気通路1の流れにおいて増加することができる。気密的な方法で閉じる吸気通路2の端面の抑制効果は、正面端部の前で簡単に作用し、流れ速度はまたそこで低くなる。
【0039】
吸気通路2の空いている断面のサイズの減少はここで、追加的な間仕切壁5によって概略的に示される。
【0040】
図7は、段階的な形状において構成される濾材1が、吸気通路2に流れる粒子を含む排ガスの方向に選ばれた例を示す。これに関連して、濾材1の気孔率および平均孔径はこの方向においてサイズが減少するので、濾材1による排ガスの流れの抵抗は吸気通路2の端部の方向に増加する。これは、吸気通路2において粒子を含む排ガスの流れの均質化を生じることができる。
【0041】
濾材1の1つの領域のみがそのような実施態様において被覆を備えることができ、その被覆はまた触媒的に有効であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明は、以下の例に関して更に詳細に説明される。ここで:
【図1】濾材と同様に互いに並列された複数の吸気および排気通路を有する、本発明による装置の例の斜視概略図である;
【図2】例1による装置の拡張部である;
【図3】濾材と同様に、各々の場合の2つの吸気および排気通路を有する例である;
【図4】粒子を含む排ガスが2つの濾材に流れかつ通過し、共通の排気通路を経て放出される、2つの別々の吸気通路を有する例である;
【図5】支持構造物を有する例である;
【図6】概略形状における、空いている断面が減少した吸気通路を有する例である;
【図7】概略形状における、濾材で段階的な気孔率または平均孔径を有する実施態様である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排ガスに含まれる粒子の分離装置であって、該内燃機関の該排ガスの流れが濾材を通じて導かれ、該排ガスの流れからの粒子が吸収されかつ該濾材において保たれる分離装置において、
該濾材(1)が少なくとも2つの層(1.1、1.2、1.3)を有する開気孔発泡金属から作成され、該層(1.1、1.2、1.3)の厚み、平均気孔率および/または平均孔径は、該濾材(1)を通じた流れの方向にサイズが減少することにおいて特徴付けられる分離装置。
【請求項2】
排ガスが前記濾材(1)を通って少なくとも1つの吸気通路(2)を経て、および、少なくとも1つの排気通路(3)を経て放出されることにおいて特徴付けられる請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記濾材(1)がニッケル、鉄、または、その合金でできている開気孔発泡体から構成されることにおいて特徴付けられる請求項1または2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記濾材(1)が最高10までの層(1.1、1.2、1.3)で作成されることにおいて特徴付けられる請求項1から3のうちの1つに記載の装置。
【請求項5】
粒子を含む排ガスが最初に流れる前記層(1.1)は少なくとも200μmの平均孔径を有することにおいて特徴付けられる請求項1から4のうちの1つに記載の装置。
【請求項6】
層(1.1、1.2、1.3)でできている濾材が少なくとも1.5mmの全体の厚みを有することにおいて特徴付けられる請求項1から5のうちの1つに記載の装置。
【請求項7】
前記濾材(1)がプレート形状で作成されることにおいて特徴付けられる請求項1から6のうちの1つに記載の装置。
【請求項8】
前記濾材(1)が管状の形状において作成されることにおいて特徴付けられる請求項1から7のうちの1つに記載の装置。
【請求項9】
前記濾材(1)が螺旋形に巻回されることにおいて特徴付けられる請求項1から8のうちの1つに記載の装置。
【請求項10】
前記濾材(1)、吸気通路(複数)(2)および排気通路(複数)(3)がU型において作成されることにおいて特徴付けられる請求項1から9のうちの1つに記載の装置。
【請求項11】
粒子を含む排ガスが、最初に流れる前記層(1.1)の表面に並列して並べられる流れの方向を有する吸気通路(2)に導入されることにおいて特徴付けられる請求項1から10のうちの1つに記載の装置。
【請求項12】
粒子を含む排ガスが互いに分離される前記吸気通路(2)を経て入り、少なくとも1つの濾材(1)を通じて流れた後、共通の排気通路(3)を経て放出されることにおいて特徴付けられる請求項1から11のうちの1つに記載の装置。
【請求項13】
吸気通路(2)の空いている断面が、粒子を含む前記排ガスの前記流れの方向において減少したサイズで作成されることにおいて特徴付けられる請求項1から12のうちの1つに記載の装置。
【請求項14】
前記吸気通路(2)の前記空いている断面が大きさにおいて連続的に減少されることにおいて特徴付けられる請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記層(1.1、1.2、1.3)の少なくとも1つにおける前記濾材(1)の気孔率および/または平均孔径は、粒子を含む前記排ガスの吸気通路(2)への流入方向で大きさにおいて減少することにおいて特徴付けられる請求項1から14のうちの1つに記載の装置。
【請求項16】
前記気孔率および/または平均孔径は、段階的な形状でサイズが減少することにおいて特徴付けられる請求項1から15のうちの1つに記載の装置。
【請求項17】
前記濾材の全体の厚みおよび/または前記少なくとも1つの層の厚みが、前記吸気通路に流れる粒子を含む前記排ガスの前記流れの方向に伸張されることにおいて特徴付けられる請求項1から16のうちの1つに記載の装置。
【請求項18】
前記濾材(1)の前記開気孔発泡金属の表面が少なくとも局所的に被覆を備えることにおいて特徴付けられる請求項1から17のうちの1つに記載の装置。
【請求項19】
前記被覆が比表面積を拡大する、および/または、触媒的に有効であることにおいて特徴付けられる請求項1から18のうちの1つに記載の装置。
【請求項20】
支持構造物(4)が前記濾材(1)で係合することにおいて特徴付けられる請求項1から19のうちの1つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−530523(P2009−530523A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554681(P2008−554681)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001327
【国際公開番号】WO2007/096085
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(508236103)シーヴィアールディ インコ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】