内燃機関
【課題】複数の油圧クラッチと、それらの油圧クラッチの油圧を個別に制御する複数の油圧制御弁と、各油圧制御弁および各油圧クラッチを間を結ぶ制御オイル供給路の制御油圧を個別に検出する複数のクラッチ用油圧センサとを備える内燃機関において、複数の油圧クラッチに個別に対応した油圧センサをコンパクトに配置して大型化を回避する。
【解決手段】複数のクラッチ用油圧センサ235,236が、それらの軸線を機関本体32の鞍乗り型車両への搭載状態で前後方向に指向させつつ相互に平行に近接配置されて機関本体32に配設される。
【解決手段】複数のクラッチ用油圧センサ235,236が、それらの軸線を機関本体32の鞍乗り型車両への搭載状態で前後方向に指向させつつ相互に平行に近接配置されて機関本体32に配設される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の油圧クラッチと、それらの油圧クラッチの油圧を個別に制御する複数の油圧制御弁と、各油圧制御弁および各油圧クラッチを間を結ぶ制御オイル供給路の制御油圧を個別に検出する複数のクラッチ用油圧センサとを備える内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧クラッチに供給される制御オイルの油圧を検出するための油圧センサが機関本体に取付けられるようにした内燃機関が、特許文献1等で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2009−197662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、単一の油圧クラッチに供給される油圧を検出するための単一の油圧センサが機関本体に取付けられているのであるが、複数の油圧クラッチを備える内燃機関ではそれらの油圧クラッチの断・接を精度良く制御するには、各油圧クラッチに個別に対応した複数の油圧センサが必要であり、それらの油圧センサを異なる方向に配置される油路に沿って配設するとなると、油圧センサの配置に必要なスペースが大きくなり、内燃機関の大型化を招く可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、複数の油圧クラッチに個別に対応した油圧センサをコンパクトに配置して大型化を回避し得るようにした内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の油圧クラッチと、それらの油圧クラッチの油圧を個別に制御する複数の油圧制御弁と、各油圧制御弁および各油圧クラッチ間を結ぶ制御オイル供給路の制御油圧を個別に検出する複数のクラッチ用油圧センサとを備える内燃機関において、複数の前記クラッチ用油圧センサが、それらの軸線を機関本体の鞍乗り型車両への搭載状態で前後方向に指向させつつ相互に平行に近接配置されて前記機関本体に配設されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、油圧発生手段および前記油圧制御弁間に介設されるとともに円筒状のフィルタケースを有するオイルフィルタが、複数の前記クラッチ用油圧センサの軸線と交差する方向に前記フィルタケースの軸線を配置しつつ機関本体の前記鞍乗り型車両への搭載状態では複数の前記クラッチ用油圧センサと前後にずれて前記機関本体に配設されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、一対の油圧クラッチに個別に対応した一対の前記クラッチ用油圧センサと、前記オイルフィルタへの供給油圧を検出するオイルフィルタ用油圧センサとが相互に平行に配置されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第2または第3の特徴の構成に加えて、前記フィルタケースの軸方向に沿う前記オイルフィルタ用油圧センサの外端よりも外方に前記フィルタケースの外端が配置されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第3または第4の特徴の構成に加えて、前記機関本体に、一対の前記クラッチ用油圧センサおよび前記オイルフィルタ用油圧センサのうち最下方の油圧センサよりも外側方に突出する突部が前記最下方の油圧センサの近傍に位置するようにして突設されることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第2〜第5の特徴の特徴の構成のいずれかに加えて、前記機関本体の鞍乗り型車両への搭載状態で前記オイルフィルタの後方に、前記機関本体に設けられて該機関本体から側方に膨出するレベルゲージ挿入筒が配置されることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第3〜第6の特徴の構成のいずれかに加えて、一対の前記クラッチ用油圧センサおよび前記オイルフィルタ用油圧センサが、機関本体の側面の前側下部に配設され、前記機関本体の前面下部が下方に向かうにつれて後方に位置するように湾曲して形成され、一対の前記クラッチ用油圧センサおよび前記オイルフィルタ用油圧センサのうち最下方の油圧クラッチを機関本体に取り付けるための取付けボスが、残余の油圧クラッチを機関本体に取り付けるための取付けボスよりも後方にずれた位置に配置されることを第7の特徴とする。
【0013】
本発明は、第1〜第7の特徴の構成のいずれかに加えて、複数の前記油圧センサが、クランクシャフトならびに該クランクシャフトに連動して回転可能なメインシャフト間の動力伝達の断・接を切り換えるクラッチよりも下方かつ前記クランクシャフトよりも前方に配置されるようにして、前記クランクシャフトの軸線方向一端側で前記機関本体の側面に配設されることを第8の特徴とする。
【0014】
さらに本発明は、第3〜第8の特徴の構成のいずれかに加えて、機関本体の複数箇所の被潤滑部に供給される潤滑用オイルの供給油圧を検出する潤滑用油圧センサが、前記クラッチ用油圧センサおよび前記オイルフィルタ用油圧センサよりも前方で機関本体に取付けられることを第9の特徴とする。
【0015】
なお実施の形態の第1および第2メインシャフト60,61が本発明のメインシャフトに対応し、実施の形態の第1および第2油圧クラッチ71,72が本発明のクラッチに対応し、第2オイルポンプ116が本発明の油圧発生手段に対応し、実施の形態の第2オイルフィルタ178が本発明のオイルフィルタに対応する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の特徴によれば、複数のクラッチ用油圧センサが、それらの軸線を前後方向に指向させて相互に平行に近接配置されるので、複数のクラッチ用油圧センサをそれらの方向を揃えて効率よくコンパクトに配置することができ、内燃機関の大型化を回避することができる。
【0017】
また本発明の第2の特徴によれば、円筒状のフィルタケースを有するオイルフィルタが、クラッチ用油圧センサの長手方向と交差する方向にフィルタケースの軸線を配置しつつクラッチ用油圧センサと前後にずれて配置されるので、オイルフィルタおよびクラッチ用油圧センサのを機関本体の左右方向で重ならないようにして前後にずらせて配置することができ、左右方向での内燃機関の大型化を抑制することができる。
【0018】
本発明の第3の特徴によれば、一対のクラッチ用油圧センサと、オイルフィルタ用油圧センサとが相互に平行に配置されるので、クラッチ用油圧センサに加えてオイルフィルタ用油圧センサを効率よくコンパクトに配置することができる。
【0019】
本発明の第4の特徴によれば、オイルフィルタ用油圧センサの外端よりも外方にフィルタケースの外端が配置されるので、鞍乗り型車両が倒れたときにフィルタケースの外端でオイルフィルタ用油圧センサを保護することができる。
【0020】
本発明の第5の特徴によれば、一対のラッチ用油圧センサおよびオイルフィルタ用油圧センサのうち最下方の油圧センサよりも外側方に突出する突部が最下方の油圧センサの近傍で機関本体に突設されるので、鞍乗り型車両が倒れたときに前記突部で最下方の油圧センサを保護することができる。
【0021】
本発明の第6の特徴によれば、オイルフィルタの後方に機関本体から側方に膨出するレベルゲージ挿入筒が配置されるので、オイルフィルタの周囲のデッドスペースを利用してレベルゲージ挿入筒を配置することで左右方向での内燃機関の大型化を回避することができる。
【0022】
本発明の第7の特徴によれば、機関本体の前面下部が下方に向かうにつれて後方に位置するように湾曲して形成され、機関本体の側面の前側下部に配設されるクラッチ用油圧センサおよびオイルフィルタ用油圧センサのうち最下方の油圧クラッチ用の取付けボスが、残余の油圧クラッチの取付けボスよりも後方にずれて配置されるので、機関本体の下部から前方に油圧センサの一部を突出しないようにすることができる。
【0023】
本発明の第8の特徴によれば、クランクシャフトおよびメインシャフト間の動力伝達の断・接を切り換えるクラッチよりも下方かつクランクシャフトよりも前方に複数の油圧クラッチが配置されるので、クランクシャフトの軸線方向一端側で機関本体の側面に複数の油圧クラッチが配設される場合に、内燃機関を構成する部品中で最も幅が大きくなるクラッチや、機関本体の幅寸法に影響を及ぼすクランクシャフトを回避して空きスペースに複数の油圧センサを配置することができ、内燃機関の大型化を抑制することができる。
【0024】
さらに本発明の第9の特徴によれば、潤滑用オイルの供給油圧を検出する潤滑用油圧センサが、クラッチ用油圧センサおよびオイルフィルタ用油圧センサよりも前方で機関本体に取付けられるので、クラッチ用油圧センサおよびオイルフィルタ用油圧センサと、潤滑用油圧センサとを相互の干渉を回避しつつ効率よく配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】機関本体を図1と同一方向から見た側面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図3の4矢示部拡大図である。
【図5】オイルポンプユニットおよびオイルストレーナを図2および図6の5−5線に沿って示す断面図である。
【図6】図6の6矢視図である。
【図7】オイルポンプユニットを図5の7−7線矢視から見た図である。
【図8】図5の8−8線断面図である。
【図9】図6および図8の9−9線断面図である。
【図10】図6の10−10線断面図である。
【図11】オイル供給系の構成を示す図である。
【図12】図2の要部拡大図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【図14】図12の14−14線断面図である。
【図15】図12の15−15線断面図である。
【図16】図14および図15の16矢視図である。
【図17】仕切り部材の孔との連通部に斜線を施すようにして支持ホルダの仕切り部材に臨む面を示す図である。
【図18】仕切り部材をクラッチカバー側から見た側面図である。
【図19】制御弁側供給油路の配置をクラッチカバーの外面側から見て示す図である。
【図20】図16の20矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について、添付の図1〜図20を参照しながら説明すると、先ず図1において、鞍乗り型車両である自動二輪車の車体フレームFは、前輪WFを軸支したフロントフォーク25を操向可能に支承するヘッドパイプ26と、該ヘッドパイプ26から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム27…と、それらのメインフレーム27…よりも急傾斜で後下がりに延びる左右一対のダウンフレーム28…と、前記メインフレーム27…の後端から下方に延びる左右一対のセンターフレーム29…と、該センターフレーム29…の上部から後上がりに延びる左右一対のシートレール30…と、前記センターフレーム29…の中間部および前記シートレール30…の後部間を結ぶリヤフレーム31…とを備える。
【0027】
前記メインフレーム27…、ダウンフレーム28…およびセンターフレーム29…で囲まれる領域には、多気筒たとえば2気筒である内燃機関Eと、該内燃機関Eの機関本体32に一部が内蔵される変速機M(図3参照)とを備えるパワーユニットPが車体フレームFで支持されるようにして配置され、該パワーユニットPが発揮する動力で駆動される後輪WRを後端部で軸支するスイングアーム34の前端部が、前記センターフレーム29…に上下揺動可能に支承される。また前記内燃機関Eの上方でメインフレーム27…に収納ボックス35が搭載され、該収納ボックス35の後方にタンデム型の乗車用シート36が前記シートレール30…で支持されるようにして配置され、乗車用シート36の下方に燃料タンクTが配置される。
【0028】
図2において、前記内燃機関Eの機関本体32は、車幅方向に延びる軸線を有するクランクシャフト37を回転自在に支承するクランクケース38と、前傾したシリンダ軸線Cを有してクランクケース38の前部上端に結合されるシリンダブロック39と、該シリンダブロック39の上端に結合されるシリンダヘッド40と、該シリンダヘッド40の上端に結合されるヘッドカバー41と、前記クランクケース38の下部に結合されるオイルパン42とを備える。
【0029】
図3を併せて参照して、前記クランクケース38は、クランクシャフト37の軸線を通る水平面に沿う割り面で上下に分割可能とした上ケース半体43および下ケース半体44が結合されて成るものであり、シリンダブロック39は上ケース半体43と一体に形成される。
【0030】
前記シリンダブロック39は、車幅方向に並列して配置される複数たとえば2つのシリンダボア45,45を有するものであり、それらのシリンダボア45…にピストン46…が摺動可能に嵌合され、シリンダボア45…の配列方向すなわち車幅方向に沿って延びて前記クランクケース38で回転自在に支承される前記クランクシャフト37に前記ピストン46…が連接される。
【0031】
前記クランクケース38の左側面には、前記機関本体32の一部を構成する発電機カバー47が前記クランクケース38との間に発電機室48を形成する発電機カバー47が結合され、発電機室48内に収容される発電機49のロータ50が、発電機室48内に突入した前記クランクシャフト37の端部に固定され、発電機49のステータ51は、前記ロータ50で囲繞されるようにして発電機カバー47に固定される。
【0032】
またクランクケース38の上部には、図2で示すように、スタータモータ52が固定配置されており、そのスタータモータ52からの動力を伝達する減速ギヤ列53の一部を構成する被動ギヤ54が、一方向クラッチ55を介して前記ロータ50に連結される。
【0033】
前記クランクケース38の右側面には、該クランクケース38との間にクラッチ室59を形成するクラッチカバー58が機関本体32の一部を構成するようにして結合される。而して前記クランクケース38内には、前記クランクシャフト37と平行な軸線を有して該クランクケース38で回転自在に支承される第1および第2メインシャフト60,61と、カウンタシャフト62との間に選択的に確立可能な複数変速段のギヤ列たとえば第1速〜第6速ギヤ列G1〜G6が設けられて成る変速機Mが収容される。
【0034】
第1および第2メインシャフト60,61は同軸に配置されており、クランクケース38の右側壁を回転自在に貫通する第1メインシャフト60の一端部はクランクケース38の左側壁にボールベアリング63を介して回転自在に支承され、この第1メインシャフト60の他端部は前記クラッチカバー58で回転自在に支承される。また第2メインシャフト61は、第1メインシャフト60を同軸に囲繞して前記クランクケース38の右側壁を回転自在に貫通するものであり、クランクケース38の右側壁および第2メインシャフト61間にはボールベアリング64が介装され、第1および第2メインシャフト60,61間には、複数のニードルベアリング65,65…が介装される。
【0035】
前記カウンタシャフト62の一端部は、クランクケース38の左側壁との間にボールベアリング66および環状のシール部材67を介在させてクランクケース38の左側壁後部から突出され、またカウンタシャフト62の他端部はクランクケース38の右側壁にニードルベアリング68を介して回転自在に支承される。
【0036】
而して第1メインシャフト60およびカウンタシャフト62間に、第1速ギヤ列G1、第3ギヤ列G3および第5速ギヤ列G5が設けられ、第2メインシャフト61およびカウンタシャフト62間に、第2速ギヤ列G2、第4速ギヤ列G4および第6速ギヤ列G6が設けられる。
【0037】
前記クランクケース38の左側壁から突出した前記カウンタシャフト62の一端部には駆動スプロケット69が固定されており、この駆動スプロケット69に巻き掛けられる無端状のチェーン(図示せず)により、変速機Mから出力される回転動力が前記後輪WRに伝達される。
【0038】
前記クラッチ室59には、前記クランクシャフト37からの動力を伝達する一次減速装置70と、一次減速装置70および前記第1メインシャフト60間に介設される第1の油圧クラッチ71と、一次減速装置70および第2メインシャフト61間に介設される第2の油圧クラッチ72とが収容される。
【0039】
また前記クラッチ室59内で前記クランクシャフト37の端部にはパルサ73が固着されており、このパルサ73の外周に対向するようにして前記クラッチ室59内に配置される回転速センサ74がクラッチカバー58に固定される。
【0040】
図4において、第1メインシャフト60の他端寄り中間部には、第2メインシャフト61に軸方向で隣接する伝動筒軸75が軸方向位置を一定として相対回転可能に装着されており、第1の油圧クラッチ71は、伝動筒軸75および第1メインシャフト60間の動力断・接を切換可能として第1メインシャフト60上に設けられ、第2の油圧クラッチ72は、伝動筒軸75および第2シャフト72間の動力断・接を切換可能として伝動筒軸75および第2メインシャフト61上に設けられる。
【0041】
前記伝動筒軸75には、クランクシャフト37からの動力が一次減速装置70およびダンパースプリング76を介して伝達される。而して一次減速装置70は、前記クランクシャフト37とともに回転する一次駆動ギヤ77と、この一次駆動ギヤ77に噛合するようにして第1および第2メインシャフト60,61と同軸に配置される一次被動ギヤ78とから成り、一次被動ギヤ78が前記ダンパースプリング76を介して伝動筒軸75に連結される。
【0042】
第1の油圧クラッチ71は、一次減速装置70よりも右側に配置されており、一次減速装置70とは反対側に開放した椀状に形成されて前記伝動筒軸75に相対回転不能に結合される第1クラッチアウタ80と、第1メインシャフト60に相対回転不能に結合される第1クラッチインナ81と、第1クラッチアウタ80に軸方向の相対移動を可能として係合される複数枚の第1駆動摩擦板82,82…と、第1駆動摩擦板82,82…と交互に配置されるようにしつつ軸方向の相対移動を可能として第1クラッチインナ81に係合される複数枚の被動摩擦板83,83…と、複数枚ずつ交互に配置される第1駆動摩擦板82,82…および第1被動摩擦板83,83…のうち最外方の摩擦板に対向するリング状の第1受圧板84と、第1受圧板84に第1駆動摩擦板82,82…および第1被動摩擦板83,83…とは反対側から係合することを可能として第1クラッチアウタ80に装着される第1止め輪85と、第1駆動摩擦板82,82…および第1被動摩擦板83,83…を第1受圧板84との間に挟む押圧部86aを外周部に有して第1クラッチアウタ80に液密にかつ摺動可能に嵌合されるとともに第1クラッチアウタ80との間に第1油圧室87を形成する第1ピストン86と、第1ピストン86を第1油圧室87の容積を縮小させる側に付勢する第1クラッチばね88とを備え、第1クラッチインナ81およびクラッチカバー58間にボールベアリング89が介装される。すなわち第1メインシャフト60の他端部は第1クラッチインナ81を介してクラッチカバー58に回転自在に支承されている。
【0043】
このような第1の油圧クラッチ71では、第1油圧室87に液圧が作用していない状態では動力伝達を遮断したクラッチオフ状態にあり、第1油圧室87への油圧の作用時に第1の油圧クラッチ71は、クランクシャフト37から一次減速装置70、ダンパースプリング76および伝動筒軸75を介して第1クラッチアウタ80に伝達される回転動力を第1メインシャフト60に伝達するクラッチオン状態となる。
【0044】
第2の油圧クラッチ72は、一次減速装置70を第1の油圧クラッチ71との間に挟むようにして第1の油圧クラッチ71よりもクランクケース38側に配置されるものであり、前記クランクケース38側に向けて開放した筒状に形成されて前記伝動筒軸75に相対回転不能に結合される第2クラッチアウタ90と、第2メインシャフト61に相対回転不能に結合される第2クラッチインナ91と、第2クラッチアウタ90に軸方向の相対移動を可能として係合される複数枚の第2駆動摩擦板92,92…と、第2駆動摩擦板92,92…と交互に配置されるようにしつつ軸方向の相対移動を可能として第2クラッチインナ91に係合される複数枚の被動摩擦板93,93…と、複数枚ずつ交互に配置される第2駆動摩擦板92,92…および第2被動摩擦板93,93…のうち最外方の摩擦板に対向するリング状の第2受圧板94と、第2受圧板94に第2駆動摩擦板92,92…および第2被動摩擦板93,93…とは反対側から係合することを可能として第2クラッチアウタ90に装着される第2止め輪95と、第2駆動摩擦板92,92…および第2被動摩擦板93,93…を第2受圧板94との間に挟む押圧部96aを外周部に有して第2クラッチアウタ90に液密にかつ摺動可能に嵌合されるとともに第2クラッチアウタ90との間に第2油圧室97を形成する第2ピストン96と、第2ピストン96を第2油圧室97の容積を縮小させる側に付勢する第2クラッチばね98とを備える。
【0045】
このような第2の油圧クラッチ72では、第2油圧室97に液圧が作用していない状態では動力伝達を遮断したクラッチオフ状態にあり、第2油圧室97への油圧の作用時に第2の油圧クラッチ72は、クランクシャフト37から一次減速装置70、ダンパースプリング76および伝動筒軸75を介して第2クラッチアウタ90に伝達される回転動力を第2メインシャフト61に伝達するクラッチオン状態となる。
【0046】
第1の油圧クラッチ71の第1クラッチアウタ80および前記伝動筒軸75には、第1油圧室87に通じる第1油路100が設けられ、第1メインシャフト60の外周には第1油路100に通じる第1環状凹部101が設けられる。また第2の油圧クラッチ72の第2クラッチアウタ90および前記伝動筒軸75には、第2油圧室97に通じる第2油路102が設けられ、第1メインシャフト60の外周には第2油路102に通じる第2環状凹部103が設けられる。
【0047】
第1メインシャフト60の他端部には、相互に平行な第1および第2軸方向油路104,105が内端を閉じるとともに軸方向に延びるようにして設けられ、第1軸方向油路104は第1環状凹部101および第1油路100を介して第1油圧室87に連通し、第2軸方向油路105は第2環状凹部103および第2油路102を介して第2油圧室97に連通する。しかも第1軸方向油路104の外端開口部は栓部材106で閉じられ、第2軸方向油路105の外端は開放したままである。
【0048】
また第1メインシャフト61の他端部は、前記クラッチカバー58に嵌合固定される筒部材107に液密に嵌入されており、筒部材107の外周およびクラッチカバー58との間に形成される環状の第1油室108に第1軸方向油路104を通じさせる連通路110が前記筒部材107に設けられる。また第1メインシャフト60および前記筒部材107と、前記クラッチカバー58との間には、第2軸方向油路105に通じる第2油室109が形成される。
【0049】
ところで、機関本体32の下部の前部寄りには、図2の破線で示すように、オイルポンプユニット112が配置されており、オイルパン42内のオイルを濾過するオイルストレーナ113が前記オイルポンプユニット112に接続される。
【0050】
図5および図6において、前記オイルポンプユニット112は、前記クランクシャフト37の回転に連動して回転する共通のポンプ軸114を有する第1および第2オイルポンプ115,116で構成されるものであり、第1および第2オイルポンプ115,116に共通なポンプケーシング117は、第1ケース部材としてのポンプボディ118と、第2ケース部材としてのポンプカバー119と、ポンプボディ118およびポンプカバー119間に挟まれる平板状のプレート120とから成るものであり、ポンプボディ118,プレート120およびポンプカバー119を複数個たとえば3個のボルト121,121,121で締結することでポンプケーシング117が構成され、このポンプケーシング11は、ポンプボディ118を前記クランクケース38における下ケース半体45の右側壁下部に当接せしめるようにして複数個たとえば3個のボルト122,122,122で前記クランクケース38に取付けられる。
【0051】
ところでクランクケース38の下ケース半体45には、前記クランクシャフト37と平行な軸線を有するバランサ軸123が前記下ケース半体45との間にボールベアリング124,125を介在させて回転自在に支承されており、このバランサ軸123が前記ポンプ軸114に同軸にかつ相対回転不能に連結される。
【0052】
而して前記クランクシャフト37には、図3で示すように駆動ギヤ127が固着されており、この駆動ギヤ127に噛合する被動ギヤ128が前記バランサ軸123に固定される。したがって前記ポンプ軸114はクランクシャフト37の回転に連動して回転することになる。
【0053】
第1オイルポンプ115は、前記ポンプボディ118および前記プレート120間に形成される第1ポンプ室130に、ポンプ軸114に固定されるインナーロータ131と、該インナーロータ131に噛合するアウターロータ132とが収容されて成り、また第2オイルポンプ116は、前記ポンプカバー119および前記プレート120間に形成される第2ポンプ室133に、ポンプ軸114に固定されるインナーロータ134と、該インナーロータ134に噛合するアウターロータ135とが収容されて成る。
【0054】
ところでバランサ軸123には、シリンダブロック39における一対のシリンダボア45…に個別に対応したバランスウエイト136,137が設けられており、両バランスウエイト136,137のうちポンプユニット112側のバランスウイエイト137と、前記ポンプケーシング117との間で前記クランクケース38の下ケース半体45には、前記オイルストレーナ113が備える接続筒部113aを下方から液密に嵌合せしめるようにして一端を下方に開放した接続通路138が設けられる。
【0055】
図7および図8を併せて参照して、前記ポンプケーシング117のポンプボディ118には、第1および第2オイルポンプ115,116に共通の吸入口139が設けられており、この吸入口138は、前記接続通路138の他端部に液密に接続される。すなわち前記バランサ軸123に設けられるバランスウエイト137および前記ポンプケーシング117間に、前記オイルストレーナ113との接続部が位置するようにして、前記吸入口139が、前記バランサ軸123の軸線に沿う方向で機関本体32の内側に向けて開口される。
【0056】
前記吸入口139は、前記ポンプケーシング117におけるポンプボディ118に一体に設けられる仕切り壁140で第1および第2吸入口141,142に分割されるものであり、第1および第2吸入口141,142は前記オイルストレーナ113に共通に接続されることになる。
【0057】
また前記ポンプケーシング117には、第1吸入口141から第1オイルポンプ115の吸入側に至る第1吸入路143と、第2吸入口142から第2オイルポンプ116の吸入側に至るようにして第1吸入路143とは独立した第2吸入路144とが形成され、前記仕切り壁140および前記プレート120で第1および第2吸入路143,144が相互に隔絶される。
【0058】
しかも前記仕切り壁140は、プレート120から前記吸入口139に向かうにつれて幅dを漸次大きくするように形成されている。
【0059】
前記ポンプケーシング117には、第1オイルポンプ115の第1吐出路145が前記クランクケース38側の油路146に通じるようにして形成されており、この第1吐出路145に接続される第1リリーフ弁147が前記プレート120に隣接して前記ポンプボディ118に取付けられる。
【0060】
第1リリーフ弁147は、ポンプボディ118に設けられる有底のリリーフ弁収容孔148に収容されるものであり、一端を入口149として開放するとともに軸方向中間部に周方向に間隔をあけた複数の放出口150,150…を有する円筒状の弁ハウジング151と、前記入口149側を閉じた有底円筒状に形成されて前記弁ハウジング151に摺動可能に嵌合される弁体152と、前記弁ハウジング151の他端部内周に嵌着される止め輪153と、該止め輪153および前記弁体152間に介設されるばね154と、該ばね154で付勢される前記弁体152の前記入口149側に向けての移動を規制するようにして前記弁ハウジング151の一端部側に設けられる規制ピン155とを備える。
【0061】
前記リリーフ収容孔148の外端には、前記弁ハウジング151を前記ポンプ収容孔148の内端壁148aとの間に挟持するようにして栓部材156が螺合されており、前記ポンプ収容孔148の内端壁148aには前記入口149を第1吐出路145に通じさせる連通孔157が設けられる。
【0062】
このような第1リリーフ弁147では、第1吐出路145の圧力が高くなると弁体152がばね154のばね力に抗して後退し、前記入口149が前記放出口150,150…に通じることになり、第1吐出路145を流通するオイルの一部が放出口150,150…から放出される。
【0063】
しかもポンプボディ118の前記プレート120側には前記放出口150,150…に通じる連通孔158が設けられており、前記プレート120には、前記連通孔158を第2吸入路144に通じさせる連通孔159が設けられる。すなわち第1リリーフ弁147から放出されたオイルは第2吸入路144に導かれることになる。
【0064】
図10において、前記ポンプケーシング117において前記ポンプカバー119および前記プレート120間に、第2オイルポンプ116の第2吐出路161が形成されており、前記ポンプカバー119には第2吐出路161に通じる接続管162がクラッチカバー58側に突出するようにして取付けられる。また第2吐出路161に接続される第2リリーフ弁163がポンプカバー119に取付けられる。
【0065】
第2リリーフ弁163は、ポンプカバー119に設けられる有底のリリーフ弁収容孔164に収容されるものであり、一端を入口165として開放するとともに軸方向中間部に周方向に間隔をあけた複数の放出口166,166…を有する有底円筒状の弁ハウジング167と、前記入口165側を閉じた有底円筒状に形成されて前記弁ハウジング167に摺動可能に嵌合される弁体168と、前記弁ハウジング167の他端閉塞部および前記弁体168間に介設されるばね169と、該ばね169で付勢される前記弁体168の前記入口165側に向けての移動を規制するようにして前記弁ハウジング167の一端部側に設けられる規制ピン170とを備える。
【0066】
前記リリーフ収容孔166の外端には、前記弁ハウジング167を前記ポンプ収容孔166の内端壁166aとの間に挟持するようにして栓部材171が螺合されており、前記ポンプ収容孔166の内端壁166aには前記入口165を第2吐出路161に通じさせる連通孔162が設けられる。
【0067】
このような第2リリーフ弁163では、第2吐出路161の圧力が高くなると弁体168がばね169のばね力に抗して後退し、前記入口165が前記放出口166,166…に通じることになり、第2吐出路161を流通するオイルの一部が放出口166,166…から放出される。
【0068】
しかもポンプカバー119の前記プレート120側には前記放出口166,166…に通じる連通孔172が設けられており、前記プレート120には、前記連通孔172を第2吸入路144に通じさせる連通孔173が設けられる。すなわち第2リリーフ弁163から放出されたオイルは第2吸入路144に導かれることになる。
【0069】
図11において、第1オイルポンプ115は、機関本体32の複数箇所の被潤滑部175に第1オイルフィルタ176を介して潤滑用のオイルを供給するものであり、第2オイルポンプ116は、第2オイルフィルタ178を介して変速機Mの油圧制御装置177に制御用のオイル供給するためのものであり、第1オイルフィルタ176は、図2で示すように、前記機関本体32におけるクランクケース38の前壁下部に取付けられ、第2オイルフィルタ178は、クラッチカバー58の前側下部に取付けられる。
【0070】
図12および図13において、第2オイルフィルタ78のフィルタケース181は、前記クラッチカバー58に一体に形成される有底円筒状のケース主部182と、そのケース主部182に、たとえば一対のボルト184,184で結合される蓋部材183とで構成される円筒状のものであり、このフィルタケース181内にリング状に形成される濾過材185が挿入、保持され、前記濾過材185の外周およびフィルタケース181間に未浄化室186が形成され、前記濾過材185内には浄化室187が形成される。
【0071】
前記未浄化室186に通じる入口側通路188が前記ケース主部182の側壁に設けられ、第2オイルポンプ116の第2吐出路161に通じる接続通路189が接続管190を介して前記入口通路188に連通されており、第2オイルポンプ116から吐出されるオイルが前記未浄化室186に供給される。
【0072】
しかも前記フィルタケース181のケース主部182には、第2オイルフィルタ178への供給油圧を検出するオイルフィルタ用油圧センサ191が、その軸線を円筒状のフィルタケース181の軸線に直交させるようにしつつ前記入口通路188に先端を臨ませるようにして取付けられる。
【0073】
また第2オイルフィルタ178におけるフィルタケース181の軸方向に沿う前記オイルフィルタ用油圧センサ191の外端よりも外方に、図13で示すように、蓋部材183の外端が配置される。
【0074】
また前記クラッチカバー58には、前記浄化室187に通じる出口通路192が設けられており、その出口通路192にはフィルタ193が装着される。
【0075】
図14〜図16を併せて参照して、変速機Mの前記油圧制御装置177は、第1油圧クラッチ71の油圧を制御する第1油圧制御弁194と、第2油圧クラッチ72の油圧を制御する第2油圧制御弁195とから成るものであり、前記クラッチカバー58の内面側に配設される。しかも第1および第2油圧制御弁194,195は、弁ハウジング196,198と、弁ハウジング196,198に収容されるスプール弁体197,199を有するリニアソレノイド弁である。
【0076】
第1および第2油圧制御弁194,195は、相互に平行にして支持ホルダ200に挿入、保持されるものであり、この支持ホルダ200が、前記クラッチカバー58および前記弁ハウジング196,198間に平板状の仕切り部材201を介在させるようにして前記クラッチカバー58の内面側に取付けられ、支持ホルダ200のクラッチカバー58への取付け状態で第1および第2制御弁194,195の軸線は水平となる。しかも前記支持ホルダ200は、仕切り部材201を前記クラッチカバー58の内面との間に挟むようにして複数個たとえば6のボルト202,202…で前記クラッチカバー58に取付けられる。
【0077】
ところで第1および第2油圧制御弁194,195と、第1および第2油圧クラッチ71,72との間は、第1および第2制御オイル供給油路203,204で個別に結ばれる。それらの第1および第2制御オイル供給油路203,204の一部を構成する第1および第2カバー側供給油路203a,204aは、油圧制御装置177から第1メインシャフト60側に向けて後ろ上がりに傾斜するようにして前記クラッチカバー58に設けられており、第1カバー側給油路203aの下流端は第1油圧クラッチ71の第1油圧室87に通じる第1油室108に連通され、第2カバー側給油路204aの下流端は第2油圧クラッチ72の第2油圧室97に通じる第2油室109に連通される。
【0078】
前記仕切り部材201の両面側、すなわち仕切り部材201のクラッチカバー58側の面ならびに仕切り部材201の支持ホルダ200側の面には、第1および第2カバー側供給油路203a,204aとともに第1および第2制御オイル供給油路203,204を構成するようにして第1および第2カバー側制御供給油路203a,204aに個別に通じるとともに相互に交差する第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが形成されるとともに、第2オイルフィルタ178から第1および第2油圧制御弁194,195までの供給油路205(図13参照)が形成される。
【0079】
図17において、前記支持ホルダ200には、第1油圧制御弁194の入力ポート、出力ポート、フィードバック用ポートおよびドレンポートにそれぞれ通じる入口孔206、出口孔207,フィードバック用孔208および逃がし孔209と、第2油圧制御弁195の入力ポート、出力ポート、フィードバック用ポートおよびドレンポートにそれぞれ通じる入口孔211、出口孔212、フィードバック用孔213および逃がし孔214とが設けられ、出口孔207およびフィードバック用孔208間を結ぶ溝210と、出口孔212およびフィードバック用孔213間を結ぶ溝215とが、支持ホルダ200の仕切り部材201に臨む面に設けられる。
【0080】
一方、仕切り部材201には、図18で示すように、第1油圧制御弁194側で支持ホルダ200に設けられている入口孔206および出口孔207に対応した透孔216,217が、支持ホルダ200およびクラッチカバー58間に仕切り部材201が挟まれたときに図17の斜線で示すように前記入口孔206および出口孔207に通じるようにして設けられるとともに、第2油圧制御弁195側で支持ホルダ200に設けられている入口孔211および出口孔212に対応した透孔218,219が、支持ホルダ200およびクラッチカバー58間に仕切り部材201が挟まれたときに図17の斜線で示すように前記入口孔211および出口孔212に通じるようにして設けられる。
【0081】
また前記仕切り部材201には、第2オイルフィルタ177の出口通路192に通じる透孔220と、その透孔220に一端を通じさせるとともに第1および第2油圧制御弁194,195の軸線に沿う方向に延びるようにして前記支持ホルダ200の前記仕切り部材201に臨む面に向けられる溝222の他端に通じる孔221とが設けられ、クラッチカバー58の前記仕切り部材201に臨む面には、図19で示すように、前記透孔221を、透孔216,218に通じさせるようにして湾曲した溝223が設けられる。
【0082】
而して第2オイルフィルタ178から第1および第2油圧制御弁194,195までの供給油路205は、前記仕切り部材201の透孔220、前記支持ホルダ200の溝222、前記仕切り部材201の透孔221、前記クラッチカバー58の溝223、前記仕切り部材201の透孔216,218および前記支持ホルダ200の入口孔206,211で構成され、供給油路205の一部が前記仕切り部材201の両面に臨んで支持ホルダ200およびクラッチカバー58に設けられる溝222,223で構成される。
【0083】
前記支持ホルダ200の前記仕切り部材201側に臨む面ならびに前記クラッチカバー58の前記仕切り部材201に臨む面には、前記仕切り部材201の両面と協働して第1および第2制御弁側供給油路203b,204bを構成する溝226,227が設けられる。
【0084】
すなわちクラッチカバー58の前記仕切り部材201に臨む面には、仕切り部材201の透孔207を介して支持ホルダ200の出口孔207に通じる溝226が設けられ、この溝226は前記仕切り部材201に設けられる透孔228に通じる。また支持ホルダ200の仕切り部材201に臨む面には一端を前記透孔228に通じさせる溝227が設けられ、この溝227の他端に通じる透孔229が前記仕切り部材201に設けられ、その透孔229が、第1カバー側制御供給油路203aに連通する。
【0085】
また前記クラッチカバー58の前記仕切り部材201に臨む面には、前記仕切り部材201のクラッチカバー58側の面と協働して第2制御弁側供給油路204bを構成する溝230が設けられる。
【0086】
すなわちクラッチカバー58の前記仕切り部材201に臨む面には、仕切り部材201の透孔219を介して支持ホルダ200の出口孔212に通じる溝230が設けられ、この溝230が第2カバー側制御供給油路204aに連通する。
【0087】
しかも第1および第2制御弁側供給油路203b,204bは相互に交差するものであり、第1制御弁側供給油路203bの一部を構成して支持ホルダ200に設けられる溝227と、第2制御弁側供給油路204bの一部を構成して前記クラッチカバー58に設けられる溝230とが、仕切り部材201の両側に配置されることで、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが相互に交差することになり、その交差部232は、クランクシャフト37の軸線方向への第1および第2油圧制御弁194,195の投影範囲の外側に配置される。
【0088】
ところで第1および第2油圧制御弁194,195には、それらのスプール弁体197,199を駆動するアクチュエータであるソレノイド233,234が付設されるものであり、それらのソレノイド233,234が付設された第1および第2油圧制御弁194,195は、クランクシャフト37の軸線に沿う方向から見た側面視で、前記クランクシャフト37の軸端に配設される一次駆動ギヤ77の下方に配置され、第1および第2制御弁側供給油路103b,104bが、側面視で前記ソレノイド233,234および前記一次駆動ギヤ77間で相互に交差するように配置される。すなわち交差部232が、側面視で前記ソレノイド233,234および前記一次駆動ギヤ77間に配置される。
【0089】
また第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの第1および第2カバー側供給油路203a,204aとは反対側の端部に個別に第1および第2油圧センサ235,236が配設されており、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236は、それらの軸線を機関本体32の自動二輪車への搭載状態で前後方向に指向させつつ相互に平行に近接配置されて機関本体32のクラッチカバー58に配設される。
【0090】
また前記クラッチカバー58には円筒状のフィルタケース181を有する第2オイルフィルタ178が配設されているのであるが、この第2オイルフィルタ178は、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236の軸線と交差する方向に前記フィルタケース181の軸線を配置しつつ機関本体32の自動二輪車への搭載状態では第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236と前後にずれて前記クラッチカバー58に配設され6ている。
【0091】
しかも第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236と、前記オイルフィルタ用油圧センサ191とは、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236間にオイルフィルタ用油圧センサ191を挟むようにして相互に平行に配置される。
【0092】
しかも図12および図15で示すように、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191のうち最下方の油圧センサである第1クラッチ用油圧センサ235よりも外側方に突出する突部58aが、第1クラッチ用油圧センサ235の近傍に位置するようにしてクラッチカバー58に突設される。
【0093】
また機関本体32におけるクランクケース38およびクラッチカバー58の前面下部は、図2および図12で示すように、下方に向かうにつれて後方に位置するように湾曲して形成されるものであり、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191のうち最下方の油圧センサである第1クラッチ用油圧センサ235を機関本体32のクラッチカバー58に取り付けるための取付けボス245が、第2クラッチ用油圧センサ236およびオイルフィルタ用油圧センサ191をクラッチカバー58に取り付けるための取付けボス246,247よりも後方にずれた位置に配置される。
【0094】
而して第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191は、クランクシャフト37の軸線方向一端側の機関本体32の側壁であるクラッチカバー58に配設されるのであるが、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191は、前記クランクシャフト37よりも前方かつ第1および第2油圧クラッチ71,72よりも下方に配置される。
【0095】
また機関本体32の複数箇所の被潤滑部175に供給される潤滑用オイルの供給油圧を検出する潤滑用油圧センサ248が、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191よりも前方に配置されるようにして機関本体32におけるクランクケース38の前面に取付けられる。
【0096】
また第2制御弁側供給油路204bの一部には、前記仕切り部材201を前記クラッチカバー58との間に挟む前記支持ホルダ200をクラッチカバー58に締結する6個のボルト202,202…の1つを迂回するように、該ボルト202の周囲に沿って配置される半円の円弧部237が形成され、前記仕切り部材201に設けられる透孔219および前記クラッチカバー58に設けられる溝230がその円弧部237を構成するように形成される。
【0097】
ところで第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが交差する部分すなわち交差部232に対応して前記クラッチカバー58の外側に、図12で明示するように、該クラッチカバー58の下部から上方に延びて第2オイルフィルタ178の後方に位置するレベルゲージ挿入筒238が配置される。
【0098】
図20を併せて参照して、前記支持ホルダ200には、前記ソレノイド233,234を収容する収容部239が、前記支持ホルダ200と、該支持ホルダ200にボルト241,241で締結されるカバー部材240と構成されるようにして設けられ、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの後方で前記収容部239の上部に、前記ソレノイド233,234に接続されたケーブル242,243を取り出すためのケーブル取り出し孔244が設けられる。
【0099】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、第1および第2オイルポンプ115,116に共通の吸入口139が、第1オイルポンプ115に連なる第1吸入路143の第1吸入口141と、第2オイルポンプ116側に連なって第1吸入路143とは独立した第2吸入路144の第2吸入口142とに仕切り壁140で分割され、第1および第2リリーフ弁147,163の放出口150,166が第2オイルポンプ116側の第2吸入路144に接続されるので、第1オイルポンプ116の第1リリーフ弁147から放出されるオイルも第2オイルポンプ116で吸い込ませるようにし、第2オイルポンプ116側でオイルの循環回路が構成されている場合でも、その循環回路から第1オイルポンプ116の吸入路側にオーバーフローさせることで、第2オイルポンプ116側に引き込まれるオイルを少なくし、オイルがエアを多く混入したオイルの場合には第2オイルポンプ116側でエアの影響が生じないようにすることができ、第1オイルポンプ115の大型化を防止することができる。
【0100】
第1および第2オイルポンプ115,116に共通な単一のオイルストレーナ113に第1および第2吸入口141,142が共通に接続されるので、オイルストレーナ113を単一とすることで部品点数を低減することでできる。
【0101】
第1オイルポンプ115で機関本体32の被潤滑部175に潤滑用のオイルを供給し、第2オイルポンプ116で変速機Mの油圧制御装置177に油圧制御用のオイルを供給するようにし、油圧制御装置177が不作動のときに第2オイルポンプ116側でオイルの循環回路が構成された状態で、機関本体32の被潤滑部175へのオイル供給量不足が生じないようにすることができ、その際、オイルストレーナ113から吸入されるオイルのほぼ全量を第1オイルポンプ115で吸入するようにしてオイルストレーナ113からエアが混入したオイルが吸入される場合でも、エアが混入したオイルが供給されても問題が生じない機関本体32の被潤滑部175側にエアが混入したオイルを導き易くすることができる。
【0102】
ポンプケーシング117は、ポンプボディ118およびポンプカバー119と、ポンプボディ118およびポンプカバー119との間に第1および第2オイルポンプ115,116のポンプ室130,133をそれぞれ形成するようにしてポンプボディ118およびポンプカバー119間に挟まれるプレート120とで構成され、ポンプボディ118およびポンプカバー119の一方であるポンプボディ118に一体に設けられる仕切り壁140およびプレート120で、第1および第2吸入路143,144を相互に隔絶するようにしたので、第1および第2吸入路143,144を相互に隔絶してポンプケーシング117内に形成する構造を簡単に構成することができる。
【0103】
第1リリーフ弁147を隣接させたプレート120に第1リリーフ弁147の放出口150を第2吸入路144に通じさせる連通孔159が設けられるので、第1リリーフ弁147から排出されたオイルを簡単な構造で第2吸入路144に導くことができる。
【0104】
機関本体32の自動二輪車への搭載状態では仕切り壁140が吸入口139を上下に分割するように配置されるので、自動二輪車の加・減速によって吸入口139内でのオイルの前後方向での偏りが生じても、第1および第2吸入路143,144のオイル流通量変化が生じないようにすることができる。
【0105】
またポンプ軸114に同軸にかつ相対回転不能に連結されるバランサ軸123に設けられるバランサウエイト137と、ポンプケーシング117との間で吸入口139をオイルストレーナ113に接続するようにして、バランサウエイト137およびポンプケーシング117間のスペースを有効に利用して吸入口をオイルストレーナ113に接続することができる。
【0106】
しかも仕切り壁140の幅dが吸入口139側に向かうにつれて漸次大きくなっているので、吸い込んだオイルが衝突する部分である仕切り壁140の先端部での剛性を高めることができる。
【0107】
機関本体32の一部を構成して第1および第2油圧クラッチ71,72を覆うクラッチカバー58には、第1および第2油圧制御弁194,195と、第1および第2油圧クラッチ71,72との間を個別に結ぶ第1および第2制御オイル供給油路203,204の一部を構成する第1および第2カバー側供給油路203a,204aが設けられ、クラッチカバー58と、第1および第2油圧制御弁194,195の弁ハウジング196,198との間に仕切り部材201が介設され、第1および第2カバー側供給油路203a,204aとともに第1および第2制御オイル供給油路203,204を構成するようにして第1および第2カバー側制御供給油路203a,204aに個別に通じるとともに相互に交差する第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが、仕切り部材201の両面側に形成されるので、仕切り部材201の一面側および他面側間で制御弁側供給油路203b,204bを移行させることで、制御弁側供給油路203b,204bを交差することが容易であり、仕切り部材201はごく薄いものであればよいので、クラッチカバー58を厚くすることなく、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bを交差させることができ、内燃機関Eの大型化を回避することができる。
【0108】
また第1および第2油圧制御弁194,195を保持する支持ホルダ200が仕切り部材201を前記クラッチカバー58との間に挟んで該クラッチカバー58に取付けられ、支持ホルダ200の仕切り部材201側に臨む面ならびにクラッチカバー58の仕切り部材201に臨む面に、仕切り部材201の両面と協働して第1および第2制御弁側供給油路203b,204bを構成する溝226,227,230がそれぞれ設けられるので、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの経路が複雑であっても溝加工ですみ、簡単に第1および第2制御弁側供給油路203b,204bを形成することができる。
【0109】
またソレノイド233,234がそれぞれ付設された第1および第2油圧制御弁194,195が、クランクシャフト37の軸線に沿う方向から見た側面視では、一次駆動ギヤ77の下方に配置され、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが、前記側面視で前記ソレノイド233,234および一次駆動ギヤ77間で相互に交差するように配置されるので、アクチュエータおよび一次駆動ギヤ間の空間を狭くしても、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bを交差せることでその狭い空間を通すことができる。
【0110】
しかも第1および第2制御弁側供給油路203b,204bは、クランクシャフト37の軸線方向への第1および第2油圧制御弁194,195の投影範囲の外側で相互に交差するように配置されるので、相互に交差することでその交差方向で必要とされる第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの配置スペースが大きくなるものの、第1および第2油圧制御弁194,195が配設されている部分でエンジン幅が大きくなることを抑制することができる。
【0111】
第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの第1および第2カバー側供給油路203a,204aとは反対側の端部には、個別にクラッチ用油圧センサ235,236が配設されており、第1および第2油圧クラッチ71,72の制御油圧を相互に独立して検出することができる。
【0112】
第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの少なくとも1つである第2制御弁側供給油路204bの一部には、仕切り部材201をクラッチカバー58との間に挟む支持ホルダ200をクラッチカバー58に締結する複数のボルト202…の1つを迂回するように、その1つのボルト202の周囲に沿って配置される半円状の円弧部237が形成されるので、ボルト202による締結部分での取付け強度を増し、そのボルト202付近からのオイル漏れを抑制することができる。
【0113】
また第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが交差する部分に対応して前記クラッチカバー58の外側に、該クラッチカバー58の下部から上方に延びるレベルゲージ挿入筒238が配置されるので、第1および第2油圧制御弁194,195が配置されている部分に比べてエンジン幅に余裕がある部分にレベルゲージ挿入筒238が配置されることでエンジンEの大型化を抑制することができる。
【0114】
また支持ホルダ200には、ソレノイド233,234を収容する収容部239が設けられ、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの後方で収容部239の上部に、ソレノイド233,234に接続されたケーブル242,243を取り出すためのケーブル取り出し孔244が設けられるので、第1および第2制御弁側供給油路203b,204b側が邪魔にならないようにしてケーブル242,243を取り出すことができ、組付け性およびメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0115】
また第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236が、それらの軸線を機関本体32の自動二輪車への搭載状態で前後方向に指向させつつ相互に平行に近接配置されてクラッチカバー58に配設されるので、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236をそれらの方向を揃えて効率よくコンパクトに配置することができ、内燃機関Eの大型化を回避することができる。
【0116】
ところでクラッチカバー58には、第2オイルポンプ116と、第1および第2油圧制御弁194,195との間に介設されるとともに円筒状のフィルタケース181を有する第2オイルフィルタ178が、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236の軸線と交差する方向にフィルタケース181の軸線を配置するようにして配設されており、この第2オイルフィルタ178が機関本体32の自動二輪車への搭載状態では第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236と前後にずれて配置されるので、第2オイルフィルタ178と、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236を機関本体32の左右方向で重ならないようにして前後にずらせて配置することができ、左右方向での内燃機関Eの大型化を抑制することができる。
【0117】
また第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236と、第2オイルフィルタ178への供給油圧を検出するオイルフィルタ用油圧センサ191とが相互に平行に配置されるので、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236に加えてオイルフィルタ用油圧センサ191を効率よくコンパクトに配置することができる。
【0118】
またフィルタケース181の軸方向に沿うイルフィルタ用油圧センサ191の外端よりも外方にフィルタケース181の外端が配置されることにより、自動二輪車が倒れたときにフィルタケース181の外端でオイルフィルタ用油圧センサ191を保護することができる。
【0119】
しかも第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236およびオイルフィルタ用油圧センサ191のうち最下方の第1クラッチ用油圧センサ235よりも外側方に突出する突部58aが、第1クラッチ用油圧センサ235の近傍に位置するようにしてクラッチカバー58に突設されるので、自動二輪車が倒れたときに前記突部58aで最下方の第1クラッチ用油圧センサ235を保護することができる。
【0120】
また第2オイルフィルタ178の後方に、機関本体32の一部を構成するクラッチカバー58から側方に膨出するレベルゲージ挿入筒238が配置されるので、第2オイルフィルタ178の周囲のデッドスペースを利用してレベルゲージ挿入筒238を配置することで左右方向での内燃機関Eの大型化を回避することができる。
【0121】
第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236と、オイルフィルタ用油圧センサ191とは、機関本体32の側面の前側下部に配設され、機関本体32の前面下部が下方に向かうにつれて後方に位置するように湾曲して形成され、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236およびオイルフィルタ用油圧センサ191のうち最下方の第1クラッチ用油圧センサ235を機関本体32に取り付けるための取付けボス245が、残余の油圧クラッチ236,191を機関本体32に取り付けるための取付けボス246,247よりも後方にずれた位置に配置されるので、機関本体32の下部から前方に第1クラッチ用油圧センサ235の一部を突出しないようにすることができる。
【0122】
また第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191が、クランクシャフト37の軸線方向一端側の機関本体32の側壁であるクラッチカバー58に配設されるのであるが、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191は、前記クランクシャフト37よりも前方かつ第1および第2油圧クラッチ71,72よりも下方に配置されるので、内燃機関Eを構成する部品中で最も幅が大きくなる第1および第2油圧クラッチ71,72や、機関本体32におけるクランクケース38の幅寸法に影響を及ぼすクランクシャフト37を迂回して、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191を配置することができ、内燃機関Eの大型化を抑制することができる。
【0123】
さらに機関本体32の複数箇所の被潤滑部175に供給される潤滑用オイルの供給油圧を検出する潤滑用油圧センサ248が、前記クラッチ用油圧センサ235,236およびオイルフィルタ用油圧センサ191よりも前方で機関本体32に取付けられるので、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236およびオイルフィルタ用油圧センサ191と、潤滑用油圧センサ248とを相互の干渉を回避しつつ効率よく配置することができる。
【0124】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0125】
37・・・クランクシャフト
32・・・機関本体
58a・・・突部
71,72・・・油圧クラッチ
116・・・油圧発生手段である第2オイルポンプ
175・・・被潤滑部
178・・・オイルフィルタである第2オイルフィルタ
181・・・フィルタケース
191・・・オイルフィルタ用油圧センサ
194,195・・・油圧制御弁
203,204・・・制御オイル供給路
235,236・・・クラッチ用油圧セン
238・・・レベルゲージ挿入筒
245,246,247・・・取付けボス
248・・・潤滑用油圧センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の油圧クラッチと、それらの油圧クラッチの油圧を個別に制御する複数の油圧制御弁と、各油圧制御弁および各油圧クラッチを間を結ぶ制御オイル供給路の制御油圧を個別に検出する複数のクラッチ用油圧センサとを備える内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧クラッチに供給される制御オイルの油圧を検出するための油圧センサが機関本体に取付けられるようにした内燃機関が、特許文献1等で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2009−197662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、単一の油圧クラッチに供給される油圧を検出するための単一の油圧センサが機関本体に取付けられているのであるが、複数の油圧クラッチを備える内燃機関ではそれらの油圧クラッチの断・接を精度良く制御するには、各油圧クラッチに個別に対応した複数の油圧センサが必要であり、それらの油圧センサを異なる方向に配置される油路に沿って配設するとなると、油圧センサの配置に必要なスペースが大きくなり、内燃機関の大型化を招く可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、複数の油圧クラッチに個別に対応した油圧センサをコンパクトに配置して大型化を回避し得るようにした内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の油圧クラッチと、それらの油圧クラッチの油圧を個別に制御する複数の油圧制御弁と、各油圧制御弁および各油圧クラッチ間を結ぶ制御オイル供給路の制御油圧を個別に検出する複数のクラッチ用油圧センサとを備える内燃機関において、複数の前記クラッチ用油圧センサが、それらの軸線を機関本体の鞍乗り型車両への搭載状態で前後方向に指向させつつ相互に平行に近接配置されて前記機関本体に配設されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、油圧発生手段および前記油圧制御弁間に介設されるとともに円筒状のフィルタケースを有するオイルフィルタが、複数の前記クラッチ用油圧センサの軸線と交差する方向に前記フィルタケースの軸線を配置しつつ機関本体の前記鞍乗り型車両への搭載状態では複数の前記クラッチ用油圧センサと前後にずれて前記機関本体に配設されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第2の特徴の構成に加えて、一対の油圧クラッチに個別に対応した一対の前記クラッチ用油圧センサと、前記オイルフィルタへの供給油圧を検出するオイルフィルタ用油圧センサとが相互に平行に配置されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第2または第3の特徴の構成に加えて、前記フィルタケースの軸方向に沿う前記オイルフィルタ用油圧センサの外端よりも外方に前記フィルタケースの外端が配置されることを第4の特徴とする。
【0010】
本発明は、第3または第4の特徴の構成に加えて、前記機関本体に、一対の前記クラッチ用油圧センサおよび前記オイルフィルタ用油圧センサのうち最下方の油圧センサよりも外側方に突出する突部が前記最下方の油圧センサの近傍に位置するようにして突設されることを第5の特徴とする。
【0011】
本発明は、第2〜第5の特徴の特徴の構成のいずれかに加えて、前記機関本体の鞍乗り型車両への搭載状態で前記オイルフィルタの後方に、前記機関本体に設けられて該機関本体から側方に膨出するレベルゲージ挿入筒が配置されることを第6の特徴とする。
【0012】
本発明は、第3〜第6の特徴の構成のいずれかに加えて、一対の前記クラッチ用油圧センサおよび前記オイルフィルタ用油圧センサが、機関本体の側面の前側下部に配設され、前記機関本体の前面下部が下方に向かうにつれて後方に位置するように湾曲して形成され、一対の前記クラッチ用油圧センサおよび前記オイルフィルタ用油圧センサのうち最下方の油圧クラッチを機関本体に取り付けるための取付けボスが、残余の油圧クラッチを機関本体に取り付けるための取付けボスよりも後方にずれた位置に配置されることを第7の特徴とする。
【0013】
本発明は、第1〜第7の特徴の構成のいずれかに加えて、複数の前記油圧センサが、クランクシャフトならびに該クランクシャフトに連動して回転可能なメインシャフト間の動力伝達の断・接を切り換えるクラッチよりも下方かつ前記クランクシャフトよりも前方に配置されるようにして、前記クランクシャフトの軸線方向一端側で前記機関本体の側面に配設されることを第8の特徴とする。
【0014】
さらに本発明は、第3〜第8の特徴の構成のいずれかに加えて、機関本体の複数箇所の被潤滑部に供給される潤滑用オイルの供給油圧を検出する潤滑用油圧センサが、前記クラッチ用油圧センサおよび前記オイルフィルタ用油圧センサよりも前方で機関本体に取付けられることを第9の特徴とする。
【0015】
なお実施の形態の第1および第2メインシャフト60,61が本発明のメインシャフトに対応し、実施の形態の第1および第2油圧クラッチ71,72が本発明のクラッチに対応し、第2オイルポンプ116が本発明の油圧発生手段に対応し、実施の形態の第2オイルフィルタ178が本発明のオイルフィルタに対応する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の特徴によれば、複数のクラッチ用油圧センサが、それらの軸線を前後方向に指向させて相互に平行に近接配置されるので、複数のクラッチ用油圧センサをそれらの方向を揃えて効率よくコンパクトに配置することができ、内燃機関の大型化を回避することができる。
【0017】
また本発明の第2の特徴によれば、円筒状のフィルタケースを有するオイルフィルタが、クラッチ用油圧センサの長手方向と交差する方向にフィルタケースの軸線を配置しつつクラッチ用油圧センサと前後にずれて配置されるので、オイルフィルタおよびクラッチ用油圧センサのを機関本体の左右方向で重ならないようにして前後にずらせて配置することができ、左右方向での内燃機関の大型化を抑制することができる。
【0018】
本発明の第3の特徴によれば、一対のクラッチ用油圧センサと、オイルフィルタ用油圧センサとが相互に平行に配置されるので、クラッチ用油圧センサに加えてオイルフィルタ用油圧センサを効率よくコンパクトに配置することができる。
【0019】
本発明の第4の特徴によれば、オイルフィルタ用油圧センサの外端よりも外方にフィルタケースの外端が配置されるので、鞍乗り型車両が倒れたときにフィルタケースの外端でオイルフィルタ用油圧センサを保護することができる。
【0020】
本発明の第5の特徴によれば、一対のラッチ用油圧センサおよびオイルフィルタ用油圧センサのうち最下方の油圧センサよりも外側方に突出する突部が最下方の油圧センサの近傍で機関本体に突設されるので、鞍乗り型車両が倒れたときに前記突部で最下方の油圧センサを保護することができる。
【0021】
本発明の第6の特徴によれば、オイルフィルタの後方に機関本体から側方に膨出するレベルゲージ挿入筒が配置されるので、オイルフィルタの周囲のデッドスペースを利用してレベルゲージ挿入筒を配置することで左右方向での内燃機関の大型化を回避することができる。
【0022】
本発明の第7の特徴によれば、機関本体の前面下部が下方に向かうにつれて後方に位置するように湾曲して形成され、機関本体の側面の前側下部に配設されるクラッチ用油圧センサおよびオイルフィルタ用油圧センサのうち最下方の油圧クラッチ用の取付けボスが、残余の油圧クラッチの取付けボスよりも後方にずれて配置されるので、機関本体の下部から前方に油圧センサの一部を突出しないようにすることができる。
【0023】
本発明の第8の特徴によれば、クランクシャフトおよびメインシャフト間の動力伝達の断・接を切り換えるクラッチよりも下方かつクランクシャフトよりも前方に複数の油圧クラッチが配置されるので、クランクシャフトの軸線方向一端側で機関本体の側面に複数の油圧クラッチが配設される場合に、内燃機関を構成する部品中で最も幅が大きくなるクラッチや、機関本体の幅寸法に影響を及ぼすクランクシャフトを回避して空きスペースに複数の油圧センサを配置することができ、内燃機関の大型化を抑制することができる。
【0024】
さらに本発明の第9の特徴によれば、潤滑用オイルの供給油圧を検出する潤滑用油圧センサが、クラッチ用油圧センサおよびオイルフィルタ用油圧センサよりも前方で機関本体に取付けられるので、クラッチ用油圧センサおよびオイルフィルタ用油圧センサと、潤滑用油圧センサとを相互の干渉を回避しつつ効率よく配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】機関本体を図1と同一方向から見た側面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図3の4矢示部拡大図である。
【図5】オイルポンプユニットおよびオイルストレーナを図2および図6の5−5線に沿って示す断面図である。
【図6】図6の6矢視図である。
【図7】オイルポンプユニットを図5の7−7線矢視から見た図である。
【図8】図5の8−8線断面図である。
【図9】図6および図8の9−9線断面図である。
【図10】図6の10−10線断面図である。
【図11】オイル供給系の構成を示す図である。
【図12】図2の要部拡大図である。
【図13】図12の13−13線断面図である。
【図14】図12の14−14線断面図である。
【図15】図12の15−15線断面図である。
【図16】図14および図15の16矢視図である。
【図17】仕切り部材の孔との連通部に斜線を施すようにして支持ホルダの仕切り部材に臨む面を示す図である。
【図18】仕切り部材をクラッチカバー側から見た側面図である。
【図19】制御弁側供給油路の配置をクラッチカバーの外面側から見て示す図である。
【図20】図16の20矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について、添付の図1〜図20を参照しながら説明すると、先ず図1において、鞍乗り型車両である自動二輪車の車体フレームFは、前輪WFを軸支したフロントフォーク25を操向可能に支承するヘッドパイプ26と、該ヘッドパイプ26から後下がりに延びる左右一対のメインフレーム27…と、それらのメインフレーム27…よりも急傾斜で後下がりに延びる左右一対のダウンフレーム28…と、前記メインフレーム27…の後端から下方に延びる左右一対のセンターフレーム29…と、該センターフレーム29…の上部から後上がりに延びる左右一対のシートレール30…と、前記センターフレーム29…の中間部および前記シートレール30…の後部間を結ぶリヤフレーム31…とを備える。
【0027】
前記メインフレーム27…、ダウンフレーム28…およびセンターフレーム29…で囲まれる領域には、多気筒たとえば2気筒である内燃機関Eと、該内燃機関Eの機関本体32に一部が内蔵される変速機M(図3参照)とを備えるパワーユニットPが車体フレームFで支持されるようにして配置され、該パワーユニットPが発揮する動力で駆動される後輪WRを後端部で軸支するスイングアーム34の前端部が、前記センターフレーム29…に上下揺動可能に支承される。また前記内燃機関Eの上方でメインフレーム27…に収納ボックス35が搭載され、該収納ボックス35の後方にタンデム型の乗車用シート36が前記シートレール30…で支持されるようにして配置され、乗車用シート36の下方に燃料タンクTが配置される。
【0028】
図2において、前記内燃機関Eの機関本体32は、車幅方向に延びる軸線を有するクランクシャフト37を回転自在に支承するクランクケース38と、前傾したシリンダ軸線Cを有してクランクケース38の前部上端に結合されるシリンダブロック39と、該シリンダブロック39の上端に結合されるシリンダヘッド40と、該シリンダヘッド40の上端に結合されるヘッドカバー41と、前記クランクケース38の下部に結合されるオイルパン42とを備える。
【0029】
図3を併せて参照して、前記クランクケース38は、クランクシャフト37の軸線を通る水平面に沿う割り面で上下に分割可能とした上ケース半体43および下ケース半体44が結合されて成るものであり、シリンダブロック39は上ケース半体43と一体に形成される。
【0030】
前記シリンダブロック39は、車幅方向に並列して配置される複数たとえば2つのシリンダボア45,45を有するものであり、それらのシリンダボア45…にピストン46…が摺動可能に嵌合され、シリンダボア45…の配列方向すなわち車幅方向に沿って延びて前記クランクケース38で回転自在に支承される前記クランクシャフト37に前記ピストン46…が連接される。
【0031】
前記クランクケース38の左側面には、前記機関本体32の一部を構成する発電機カバー47が前記クランクケース38との間に発電機室48を形成する発電機カバー47が結合され、発電機室48内に収容される発電機49のロータ50が、発電機室48内に突入した前記クランクシャフト37の端部に固定され、発電機49のステータ51は、前記ロータ50で囲繞されるようにして発電機カバー47に固定される。
【0032】
またクランクケース38の上部には、図2で示すように、スタータモータ52が固定配置されており、そのスタータモータ52からの動力を伝達する減速ギヤ列53の一部を構成する被動ギヤ54が、一方向クラッチ55を介して前記ロータ50に連結される。
【0033】
前記クランクケース38の右側面には、該クランクケース38との間にクラッチ室59を形成するクラッチカバー58が機関本体32の一部を構成するようにして結合される。而して前記クランクケース38内には、前記クランクシャフト37と平行な軸線を有して該クランクケース38で回転自在に支承される第1および第2メインシャフト60,61と、カウンタシャフト62との間に選択的に確立可能な複数変速段のギヤ列たとえば第1速〜第6速ギヤ列G1〜G6が設けられて成る変速機Mが収容される。
【0034】
第1および第2メインシャフト60,61は同軸に配置されており、クランクケース38の右側壁を回転自在に貫通する第1メインシャフト60の一端部はクランクケース38の左側壁にボールベアリング63を介して回転自在に支承され、この第1メインシャフト60の他端部は前記クラッチカバー58で回転自在に支承される。また第2メインシャフト61は、第1メインシャフト60を同軸に囲繞して前記クランクケース38の右側壁を回転自在に貫通するものであり、クランクケース38の右側壁および第2メインシャフト61間にはボールベアリング64が介装され、第1および第2メインシャフト60,61間には、複数のニードルベアリング65,65…が介装される。
【0035】
前記カウンタシャフト62の一端部は、クランクケース38の左側壁との間にボールベアリング66および環状のシール部材67を介在させてクランクケース38の左側壁後部から突出され、またカウンタシャフト62の他端部はクランクケース38の右側壁にニードルベアリング68を介して回転自在に支承される。
【0036】
而して第1メインシャフト60およびカウンタシャフト62間に、第1速ギヤ列G1、第3ギヤ列G3および第5速ギヤ列G5が設けられ、第2メインシャフト61およびカウンタシャフト62間に、第2速ギヤ列G2、第4速ギヤ列G4および第6速ギヤ列G6が設けられる。
【0037】
前記クランクケース38の左側壁から突出した前記カウンタシャフト62の一端部には駆動スプロケット69が固定されており、この駆動スプロケット69に巻き掛けられる無端状のチェーン(図示せず)により、変速機Mから出力される回転動力が前記後輪WRに伝達される。
【0038】
前記クラッチ室59には、前記クランクシャフト37からの動力を伝達する一次減速装置70と、一次減速装置70および前記第1メインシャフト60間に介設される第1の油圧クラッチ71と、一次減速装置70および第2メインシャフト61間に介設される第2の油圧クラッチ72とが収容される。
【0039】
また前記クラッチ室59内で前記クランクシャフト37の端部にはパルサ73が固着されており、このパルサ73の外周に対向するようにして前記クラッチ室59内に配置される回転速センサ74がクラッチカバー58に固定される。
【0040】
図4において、第1メインシャフト60の他端寄り中間部には、第2メインシャフト61に軸方向で隣接する伝動筒軸75が軸方向位置を一定として相対回転可能に装着されており、第1の油圧クラッチ71は、伝動筒軸75および第1メインシャフト60間の動力断・接を切換可能として第1メインシャフト60上に設けられ、第2の油圧クラッチ72は、伝動筒軸75および第2シャフト72間の動力断・接を切換可能として伝動筒軸75および第2メインシャフト61上に設けられる。
【0041】
前記伝動筒軸75には、クランクシャフト37からの動力が一次減速装置70およびダンパースプリング76を介して伝達される。而して一次減速装置70は、前記クランクシャフト37とともに回転する一次駆動ギヤ77と、この一次駆動ギヤ77に噛合するようにして第1および第2メインシャフト60,61と同軸に配置される一次被動ギヤ78とから成り、一次被動ギヤ78が前記ダンパースプリング76を介して伝動筒軸75に連結される。
【0042】
第1の油圧クラッチ71は、一次減速装置70よりも右側に配置されており、一次減速装置70とは反対側に開放した椀状に形成されて前記伝動筒軸75に相対回転不能に結合される第1クラッチアウタ80と、第1メインシャフト60に相対回転不能に結合される第1クラッチインナ81と、第1クラッチアウタ80に軸方向の相対移動を可能として係合される複数枚の第1駆動摩擦板82,82…と、第1駆動摩擦板82,82…と交互に配置されるようにしつつ軸方向の相対移動を可能として第1クラッチインナ81に係合される複数枚の被動摩擦板83,83…と、複数枚ずつ交互に配置される第1駆動摩擦板82,82…および第1被動摩擦板83,83…のうち最外方の摩擦板に対向するリング状の第1受圧板84と、第1受圧板84に第1駆動摩擦板82,82…および第1被動摩擦板83,83…とは反対側から係合することを可能として第1クラッチアウタ80に装着される第1止め輪85と、第1駆動摩擦板82,82…および第1被動摩擦板83,83…を第1受圧板84との間に挟む押圧部86aを外周部に有して第1クラッチアウタ80に液密にかつ摺動可能に嵌合されるとともに第1クラッチアウタ80との間に第1油圧室87を形成する第1ピストン86と、第1ピストン86を第1油圧室87の容積を縮小させる側に付勢する第1クラッチばね88とを備え、第1クラッチインナ81およびクラッチカバー58間にボールベアリング89が介装される。すなわち第1メインシャフト60の他端部は第1クラッチインナ81を介してクラッチカバー58に回転自在に支承されている。
【0043】
このような第1の油圧クラッチ71では、第1油圧室87に液圧が作用していない状態では動力伝達を遮断したクラッチオフ状態にあり、第1油圧室87への油圧の作用時に第1の油圧クラッチ71は、クランクシャフト37から一次減速装置70、ダンパースプリング76および伝動筒軸75を介して第1クラッチアウタ80に伝達される回転動力を第1メインシャフト60に伝達するクラッチオン状態となる。
【0044】
第2の油圧クラッチ72は、一次減速装置70を第1の油圧クラッチ71との間に挟むようにして第1の油圧クラッチ71よりもクランクケース38側に配置されるものであり、前記クランクケース38側に向けて開放した筒状に形成されて前記伝動筒軸75に相対回転不能に結合される第2クラッチアウタ90と、第2メインシャフト61に相対回転不能に結合される第2クラッチインナ91と、第2クラッチアウタ90に軸方向の相対移動を可能として係合される複数枚の第2駆動摩擦板92,92…と、第2駆動摩擦板92,92…と交互に配置されるようにしつつ軸方向の相対移動を可能として第2クラッチインナ91に係合される複数枚の被動摩擦板93,93…と、複数枚ずつ交互に配置される第2駆動摩擦板92,92…および第2被動摩擦板93,93…のうち最外方の摩擦板に対向するリング状の第2受圧板94と、第2受圧板94に第2駆動摩擦板92,92…および第2被動摩擦板93,93…とは反対側から係合することを可能として第2クラッチアウタ90に装着される第2止め輪95と、第2駆動摩擦板92,92…および第2被動摩擦板93,93…を第2受圧板94との間に挟む押圧部96aを外周部に有して第2クラッチアウタ90に液密にかつ摺動可能に嵌合されるとともに第2クラッチアウタ90との間に第2油圧室97を形成する第2ピストン96と、第2ピストン96を第2油圧室97の容積を縮小させる側に付勢する第2クラッチばね98とを備える。
【0045】
このような第2の油圧クラッチ72では、第2油圧室97に液圧が作用していない状態では動力伝達を遮断したクラッチオフ状態にあり、第2油圧室97への油圧の作用時に第2の油圧クラッチ72は、クランクシャフト37から一次減速装置70、ダンパースプリング76および伝動筒軸75を介して第2クラッチアウタ90に伝達される回転動力を第2メインシャフト61に伝達するクラッチオン状態となる。
【0046】
第1の油圧クラッチ71の第1クラッチアウタ80および前記伝動筒軸75には、第1油圧室87に通じる第1油路100が設けられ、第1メインシャフト60の外周には第1油路100に通じる第1環状凹部101が設けられる。また第2の油圧クラッチ72の第2クラッチアウタ90および前記伝動筒軸75には、第2油圧室97に通じる第2油路102が設けられ、第1メインシャフト60の外周には第2油路102に通じる第2環状凹部103が設けられる。
【0047】
第1メインシャフト60の他端部には、相互に平行な第1および第2軸方向油路104,105が内端を閉じるとともに軸方向に延びるようにして設けられ、第1軸方向油路104は第1環状凹部101および第1油路100を介して第1油圧室87に連通し、第2軸方向油路105は第2環状凹部103および第2油路102を介して第2油圧室97に連通する。しかも第1軸方向油路104の外端開口部は栓部材106で閉じられ、第2軸方向油路105の外端は開放したままである。
【0048】
また第1メインシャフト61の他端部は、前記クラッチカバー58に嵌合固定される筒部材107に液密に嵌入されており、筒部材107の外周およびクラッチカバー58との間に形成される環状の第1油室108に第1軸方向油路104を通じさせる連通路110が前記筒部材107に設けられる。また第1メインシャフト60および前記筒部材107と、前記クラッチカバー58との間には、第2軸方向油路105に通じる第2油室109が形成される。
【0049】
ところで、機関本体32の下部の前部寄りには、図2の破線で示すように、オイルポンプユニット112が配置されており、オイルパン42内のオイルを濾過するオイルストレーナ113が前記オイルポンプユニット112に接続される。
【0050】
図5および図6において、前記オイルポンプユニット112は、前記クランクシャフト37の回転に連動して回転する共通のポンプ軸114を有する第1および第2オイルポンプ115,116で構成されるものであり、第1および第2オイルポンプ115,116に共通なポンプケーシング117は、第1ケース部材としてのポンプボディ118と、第2ケース部材としてのポンプカバー119と、ポンプボディ118およびポンプカバー119間に挟まれる平板状のプレート120とから成るものであり、ポンプボディ118,プレート120およびポンプカバー119を複数個たとえば3個のボルト121,121,121で締結することでポンプケーシング117が構成され、このポンプケーシング11は、ポンプボディ118を前記クランクケース38における下ケース半体45の右側壁下部に当接せしめるようにして複数個たとえば3個のボルト122,122,122で前記クランクケース38に取付けられる。
【0051】
ところでクランクケース38の下ケース半体45には、前記クランクシャフト37と平行な軸線を有するバランサ軸123が前記下ケース半体45との間にボールベアリング124,125を介在させて回転自在に支承されており、このバランサ軸123が前記ポンプ軸114に同軸にかつ相対回転不能に連結される。
【0052】
而して前記クランクシャフト37には、図3で示すように駆動ギヤ127が固着されており、この駆動ギヤ127に噛合する被動ギヤ128が前記バランサ軸123に固定される。したがって前記ポンプ軸114はクランクシャフト37の回転に連動して回転することになる。
【0053】
第1オイルポンプ115は、前記ポンプボディ118および前記プレート120間に形成される第1ポンプ室130に、ポンプ軸114に固定されるインナーロータ131と、該インナーロータ131に噛合するアウターロータ132とが収容されて成り、また第2オイルポンプ116は、前記ポンプカバー119および前記プレート120間に形成される第2ポンプ室133に、ポンプ軸114に固定されるインナーロータ134と、該インナーロータ134に噛合するアウターロータ135とが収容されて成る。
【0054】
ところでバランサ軸123には、シリンダブロック39における一対のシリンダボア45…に個別に対応したバランスウエイト136,137が設けられており、両バランスウエイト136,137のうちポンプユニット112側のバランスウイエイト137と、前記ポンプケーシング117との間で前記クランクケース38の下ケース半体45には、前記オイルストレーナ113が備える接続筒部113aを下方から液密に嵌合せしめるようにして一端を下方に開放した接続通路138が設けられる。
【0055】
図7および図8を併せて参照して、前記ポンプケーシング117のポンプボディ118には、第1および第2オイルポンプ115,116に共通の吸入口139が設けられており、この吸入口138は、前記接続通路138の他端部に液密に接続される。すなわち前記バランサ軸123に設けられるバランスウエイト137および前記ポンプケーシング117間に、前記オイルストレーナ113との接続部が位置するようにして、前記吸入口139が、前記バランサ軸123の軸線に沿う方向で機関本体32の内側に向けて開口される。
【0056】
前記吸入口139は、前記ポンプケーシング117におけるポンプボディ118に一体に設けられる仕切り壁140で第1および第2吸入口141,142に分割されるものであり、第1および第2吸入口141,142は前記オイルストレーナ113に共通に接続されることになる。
【0057】
また前記ポンプケーシング117には、第1吸入口141から第1オイルポンプ115の吸入側に至る第1吸入路143と、第2吸入口142から第2オイルポンプ116の吸入側に至るようにして第1吸入路143とは独立した第2吸入路144とが形成され、前記仕切り壁140および前記プレート120で第1および第2吸入路143,144が相互に隔絶される。
【0058】
しかも前記仕切り壁140は、プレート120から前記吸入口139に向かうにつれて幅dを漸次大きくするように形成されている。
【0059】
前記ポンプケーシング117には、第1オイルポンプ115の第1吐出路145が前記クランクケース38側の油路146に通じるようにして形成されており、この第1吐出路145に接続される第1リリーフ弁147が前記プレート120に隣接して前記ポンプボディ118に取付けられる。
【0060】
第1リリーフ弁147は、ポンプボディ118に設けられる有底のリリーフ弁収容孔148に収容されるものであり、一端を入口149として開放するとともに軸方向中間部に周方向に間隔をあけた複数の放出口150,150…を有する円筒状の弁ハウジング151と、前記入口149側を閉じた有底円筒状に形成されて前記弁ハウジング151に摺動可能に嵌合される弁体152と、前記弁ハウジング151の他端部内周に嵌着される止め輪153と、該止め輪153および前記弁体152間に介設されるばね154と、該ばね154で付勢される前記弁体152の前記入口149側に向けての移動を規制するようにして前記弁ハウジング151の一端部側に設けられる規制ピン155とを備える。
【0061】
前記リリーフ収容孔148の外端には、前記弁ハウジング151を前記ポンプ収容孔148の内端壁148aとの間に挟持するようにして栓部材156が螺合されており、前記ポンプ収容孔148の内端壁148aには前記入口149を第1吐出路145に通じさせる連通孔157が設けられる。
【0062】
このような第1リリーフ弁147では、第1吐出路145の圧力が高くなると弁体152がばね154のばね力に抗して後退し、前記入口149が前記放出口150,150…に通じることになり、第1吐出路145を流通するオイルの一部が放出口150,150…から放出される。
【0063】
しかもポンプボディ118の前記プレート120側には前記放出口150,150…に通じる連通孔158が設けられており、前記プレート120には、前記連通孔158を第2吸入路144に通じさせる連通孔159が設けられる。すなわち第1リリーフ弁147から放出されたオイルは第2吸入路144に導かれることになる。
【0064】
図10において、前記ポンプケーシング117において前記ポンプカバー119および前記プレート120間に、第2オイルポンプ116の第2吐出路161が形成されており、前記ポンプカバー119には第2吐出路161に通じる接続管162がクラッチカバー58側に突出するようにして取付けられる。また第2吐出路161に接続される第2リリーフ弁163がポンプカバー119に取付けられる。
【0065】
第2リリーフ弁163は、ポンプカバー119に設けられる有底のリリーフ弁収容孔164に収容されるものであり、一端を入口165として開放するとともに軸方向中間部に周方向に間隔をあけた複数の放出口166,166…を有する有底円筒状の弁ハウジング167と、前記入口165側を閉じた有底円筒状に形成されて前記弁ハウジング167に摺動可能に嵌合される弁体168と、前記弁ハウジング167の他端閉塞部および前記弁体168間に介設されるばね169と、該ばね169で付勢される前記弁体168の前記入口165側に向けての移動を規制するようにして前記弁ハウジング167の一端部側に設けられる規制ピン170とを備える。
【0066】
前記リリーフ収容孔166の外端には、前記弁ハウジング167を前記ポンプ収容孔166の内端壁166aとの間に挟持するようにして栓部材171が螺合されており、前記ポンプ収容孔166の内端壁166aには前記入口165を第2吐出路161に通じさせる連通孔162が設けられる。
【0067】
このような第2リリーフ弁163では、第2吐出路161の圧力が高くなると弁体168がばね169のばね力に抗して後退し、前記入口165が前記放出口166,166…に通じることになり、第2吐出路161を流通するオイルの一部が放出口166,166…から放出される。
【0068】
しかもポンプカバー119の前記プレート120側には前記放出口166,166…に通じる連通孔172が設けられており、前記プレート120には、前記連通孔172を第2吸入路144に通じさせる連通孔173が設けられる。すなわち第2リリーフ弁163から放出されたオイルは第2吸入路144に導かれることになる。
【0069】
図11において、第1オイルポンプ115は、機関本体32の複数箇所の被潤滑部175に第1オイルフィルタ176を介して潤滑用のオイルを供給するものであり、第2オイルポンプ116は、第2オイルフィルタ178を介して変速機Mの油圧制御装置177に制御用のオイル供給するためのものであり、第1オイルフィルタ176は、図2で示すように、前記機関本体32におけるクランクケース38の前壁下部に取付けられ、第2オイルフィルタ178は、クラッチカバー58の前側下部に取付けられる。
【0070】
図12および図13において、第2オイルフィルタ78のフィルタケース181は、前記クラッチカバー58に一体に形成される有底円筒状のケース主部182と、そのケース主部182に、たとえば一対のボルト184,184で結合される蓋部材183とで構成される円筒状のものであり、このフィルタケース181内にリング状に形成される濾過材185が挿入、保持され、前記濾過材185の外周およびフィルタケース181間に未浄化室186が形成され、前記濾過材185内には浄化室187が形成される。
【0071】
前記未浄化室186に通じる入口側通路188が前記ケース主部182の側壁に設けられ、第2オイルポンプ116の第2吐出路161に通じる接続通路189が接続管190を介して前記入口通路188に連通されており、第2オイルポンプ116から吐出されるオイルが前記未浄化室186に供給される。
【0072】
しかも前記フィルタケース181のケース主部182には、第2オイルフィルタ178への供給油圧を検出するオイルフィルタ用油圧センサ191が、その軸線を円筒状のフィルタケース181の軸線に直交させるようにしつつ前記入口通路188に先端を臨ませるようにして取付けられる。
【0073】
また第2オイルフィルタ178におけるフィルタケース181の軸方向に沿う前記オイルフィルタ用油圧センサ191の外端よりも外方に、図13で示すように、蓋部材183の外端が配置される。
【0074】
また前記クラッチカバー58には、前記浄化室187に通じる出口通路192が設けられており、その出口通路192にはフィルタ193が装着される。
【0075】
図14〜図16を併せて参照して、変速機Mの前記油圧制御装置177は、第1油圧クラッチ71の油圧を制御する第1油圧制御弁194と、第2油圧クラッチ72の油圧を制御する第2油圧制御弁195とから成るものであり、前記クラッチカバー58の内面側に配設される。しかも第1および第2油圧制御弁194,195は、弁ハウジング196,198と、弁ハウジング196,198に収容されるスプール弁体197,199を有するリニアソレノイド弁である。
【0076】
第1および第2油圧制御弁194,195は、相互に平行にして支持ホルダ200に挿入、保持されるものであり、この支持ホルダ200が、前記クラッチカバー58および前記弁ハウジング196,198間に平板状の仕切り部材201を介在させるようにして前記クラッチカバー58の内面側に取付けられ、支持ホルダ200のクラッチカバー58への取付け状態で第1および第2制御弁194,195の軸線は水平となる。しかも前記支持ホルダ200は、仕切り部材201を前記クラッチカバー58の内面との間に挟むようにして複数個たとえば6のボルト202,202…で前記クラッチカバー58に取付けられる。
【0077】
ところで第1および第2油圧制御弁194,195と、第1および第2油圧クラッチ71,72との間は、第1および第2制御オイル供給油路203,204で個別に結ばれる。それらの第1および第2制御オイル供給油路203,204の一部を構成する第1および第2カバー側供給油路203a,204aは、油圧制御装置177から第1メインシャフト60側に向けて後ろ上がりに傾斜するようにして前記クラッチカバー58に設けられており、第1カバー側給油路203aの下流端は第1油圧クラッチ71の第1油圧室87に通じる第1油室108に連通され、第2カバー側給油路204aの下流端は第2油圧クラッチ72の第2油圧室97に通じる第2油室109に連通される。
【0078】
前記仕切り部材201の両面側、すなわち仕切り部材201のクラッチカバー58側の面ならびに仕切り部材201の支持ホルダ200側の面には、第1および第2カバー側供給油路203a,204aとともに第1および第2制御オイル供給油路203,204を構成するようにして第1および第2カバー側制御供給油路203a,204aに個別に通じるとともに相互に交差する第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが形成されるとともに、第2オイルフィルタ178から第1および第2油圧制御弁194,195までの供給油路205(図13参照)が形成される。
【0079】
図17において、前記支持ホルダ200には、第1油圧制御弁194の入力ポート、出力ポート、フィードバック用ポートおよびドレンポートにそれぞれ通じる入口孔206、出口孔207,フィードバック用孔208および逃がし孔209と、第2油圧制御弁195の入力ポート、出力ポート、フィードバック用ポートおよびドレンポートにそれぞれ通じる入口孔211、出口孔212、フィードバック用孔213および逃がし孔214とが設けられ、出口孔207およびフィードバック用孔208間を結ぶ溝210と、出口孔212およびフィードバック用孔213間を結ぶ溝215とが、支持ホルダ200の仕切り部材201に臨む面に設けられる。
【0080】
一方、仕切り部材201には、図18で示すように、第1油圧制御弁194側で支持ホルダ200に設けられている入口孔206および出口孔207に対応した透孔216,217が、支持ホルダ200およびクラッチカバー58間に仕切り部材201が挟まれたときに図17の斜線で示すように前記入口孔206および出口孔207に通じるようにして設けられるとともに、第2油圧制御弁195側で支持ホルダ200に設けられている入口孔211および出口孔212に対応した透孔218,219が、支持ホルダ200およびクラッチカバー58間に仕切り部材201が挟まれたときに図17の斜線で示すように前記入口孔211および出口孔212に通じるようにして設けられる。
【0081】
また前記仕切り部材201には、第2オイルフィルタ177の出口通路192に通じる透孔220と、その透孔220に一端を通じさせるとともに第1および第2油圧制御弁194,195の軸線に沿う方向に延びるようにして前記支持ホルダ200の前記仕切り部材201に臨む面に向けられる溝222の他端に通じる孔221とが設けられ、クラッチカバー58の前記仕切り部材201に臨む面には、図19で示すように、前記透孔221を、透孔216,218に通じさせるようにして湾曲した溝223が設けられる。
【0082】
而して第2オイルフィルタ178から第1および第2油圧制御弁194,195までの供給油路205は、前記仕切り部材201の透孔220、前記支持ホルダ200の溝222、前記仕切り部材201の透孔221、前記クラッチカバー58の溝223、前記仕切り部材201の透孔216,218および前記支持ホルダ200の入口孔206,211で構成され、供給油路205の一部が前記仕切り部材201の両面に臨んで支持ホルダ200およびクラッチカバー58に設けられる溝222,223で構成される。
【0083】
前記支持ホルダ200の前記仕切り部材201側に臨む面ならびに前記クラッチカバー58の前記仕切り部材201に臨む面には、前記仕切り部材201の両面と協働して第1および第2制御弁側供給油路203b,204bを構成する溝226,227が設けられる。
【0084】
すなわちクラッチカバー58の前記仕切り部材201に臨む面には、仕切り部材201の透孔207を介して支持ホルダ200の出口孔207に通じる溝226が設けられ、この溝226は前記仕切り部材201に設けられる透孔228に通じる。また支持ホルダ200の仕切り部材201に臨む面には一端を前記透孔228に通じさせる溝227が設けられ、この溝227の他端に通じる透孔229が前記仕切り部材201に設けられ、その透孔229が、第1カバー側制御供給油路203aに連通する。
【0085】
また前記クラッチカバー58の前記仕切り部材201に臨む面には、前記仕切り部材201のクラッチカバー58側の面と協働して第2制御弁側供給油路204bを構成する溝230が設けられる。
【0086】
すなわちクラッチカバー58の前記仕切り部材201に臨む面には、仕切り部材201の透孔219を介して支持ホルダ200の出口孔212に通じる溝230が設けられ、この溝230が第2カバー側制御供給油路204aに連通する。
【0087】
しかも第1および第2制御弁側供給油路203b,204bは相互に交差するものであり、第1制御弁側供給油路203bの一部を構成して支持ホルダ200に設けられる溝227と、第2制御弁側供給油路204bの一部を構成して前記クラッチカバー58に設けられる溝230とが、仕切り部材201の両側に配置されることで、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが相互に交差することになり、その交差部232は、クランクシャフト37の軸線方向への第1および第2油圧制御弁194,195の投影範囲の外側に配置される。
【0088】
ところで第1および第2油圧制御弁194,195には、それらのスプール弁体197,199を駆動するアクチュエータであるソレノイド233,234が付設されるものであり、それらのソレノイド233,234が付設された第1および第2油圧制御弁194,195は、クランクシャフト37の軸線に沿う方向から見た側面視で、前記クランクシャフト37の軸端に配設される一次駆動ギヤ77の下方に配置され、第1および第2制御弁側供給油路103b,104bが、側面視で前記ソレノイド233,234および前記一次駆動ギヤ77間で相互に交差するように配置される。すなわち交差部232が、側面視で前記ソレノイド233,234および前記一次駆動ギヤ77間に配置される。
【0089】
また第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの第1および第2カバー側供給油路203a,204aとは反対側の端部に個別に第1および第2油圧センサ235,236が配設されており、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236は、それらの軸線を機関本体32の自動二輪車への搭載状態で前後方向に指向させつつ相互に平行に近接配置されて機関本体32のクラッチカバー58に配設される。
【0090】
また前記クラッチカバー58には円筒状のフィルタケース181を有する第2オイルフィルタ178が配設されているのであるが、この第2オイルフィルタ178は、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236の軸線と交差する方向に前記フィルタケース181の軸線を配置しつつ機関本体32の自動二輪車への搭載状態では第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236と前後にずれて前記クラッチカバー58に配設され6ている。
【0091】
しかも第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236と、前記オイルフィルタ用油圧センサ191とは、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236間にオイルフィルタ用油圧センサ191を挟むようにして相互に平行に配置される。
【0092】
しかも図12および図15で示すように、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191のうち最下方の油圧センサである第1クラッチ用油圧センサ235よりも外側方に突出する突部58aが、第1クラッチ用油圧センサ235の近傍に位置するようにしてクラッチカバー58に突設される。
【0093】
また機関本体32におけるクランクケース38およびクラッチカバー58の前面下部は、図2および図12で示すように、下方に向かうにつれて後方に位置するように湾曲して形成されるものであり、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191のうち最下方の油圧センサである第1クラッチ用油圧センサ235を機関本体32のクラッチカバー58に取り付けるための取付けボス245が、第2クラッチ用油圧センサ236およびオイルフィルタ用油圧センサ191をクラッチカバー58に取り付けるための取付けボス246,247よりも後方にずれた位置に配置される。
【0094】
而して第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191は、クランクシャフト37の軸線方向一端側の機関本体32の側壁であるクラッチカバー58に配設されるのであるが、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191は、前記クランクシャフト37よりも前方かつ第1および第2油圧クラッチ71,72よりも下方に配置される。
【0095】
また機関本体32の複数箇所の被潤滑部175に供給される潤滑用オイルの供給油圧を検出する潤滑用油圧センサ248が、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191よりも前方に配置されるようにして機関本体32におけるクランクケース38の前面に取付けられる。
【0096】
また第2制御弁側供給油路204bの一部には、前記仕切り部材201を前記クラッチカバー58との間に挟む前記支持ホルダ200をクラッチカバー58に締結する6個のボルト202,202…の1つを迂回するように、該ボルト202の周囲に沿って配置される半円の円弧部237が形成され、前記仕切り部材201に設けられる透孔219および前記クラッチカバー58に設けられる溝230がその円弧部237を構成するように形成される。
【0097】
ところで第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが交差する部分すなわち交差部232に対応して前記クラッチカバー58の外側に、図12で明示するように、該クラッチカバー58の下部から上方に延びて第2オイルフィルタ178の後方に位置するレベルゲージ挿入筒238が配置される。
【0098】
図20を併せて参照して、前記支持ホルダ200には、前記ソレノイド233,234を収容する収容部239が、前記支持ホルダ200と、該支持ホルダ200にボルト241,241で締結されるカバー部材240と構成されるようにして設けられ、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの後方で前記収容部239の上部に、前記ソレノイド233,234に接続されたケーブル242,243を取り出すためのケーブル取り出し孔244が設けられる。
【0099】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、第1および第2オイルポンプ115,116に共通の吸入口139が、第1オイルポンプ115に連なる第1吸入路143の第1吸入口141と、第2オイルポンプ116側に連なって第1吸入路143とは独立した第2吸入路144の第2吸入口142とに仕切り壁140で分割され、第1および第2リリーフ弁147,163の放出口150,166が第2オイルポンプ116側の第2吸入路144に接続されるので、第1オイルポンプ116の第1リリーフ弁147から放出されるオイルも第2オイルポンプ116で吸い込ませるようにし、第2オイルポンプ116側でオイルの循環回路が構成されている場合でも、その循環回路から第1オイルポンプ116の吸入路側にオーバーフローさせることで、第2オイルポンプ116側に引き込まれるオイルを少なくし、オイルがエアを多く混入したオイルの場合には第2オイルポンプ116側でエアの影響が生じないようにすることができ、第1オイルポンプ115の大型化を防止することができる。
【0100】
第1および第2オイルポンプ115,116に共通な単一のオイルストレーナ113に第1および第2吸入口141,142が共通に接続されるので、オイルストレーナ113を単一とすることで部品点数を低減することでできる。
【0101】
第1オイルポンプ115で機関本体32の被潤滑部175に潤滑用のオイルを供給し、第2オイルポンプ116で変速機Mの油圧制御装置177に油圧制御用のオイルを供給するようにし、油圧制御装置177が不作動のときに第2オイルポンプ116側でオイルの循環回路が構成された状態で、機関本体32の被潤滑部175へのオイル供給量不足が生じないようにすることができ、その際、オイルストレーナ113から吸入されるオイルのほぼ全量を第1オイルポンプ115で吸入するようにしてオイルストレーナ113からエアが混入したオイルが吸入される場合でも、エアが混入したオイルが供給されても問題が生じない機関本体32の被潤滑部175側にエアが混入したオイルを導き易くすることができる。
【0102】
ポンプケーシング117は、ポンプボディ118およびポンプカバー119と、ポンプボディ118およびポンプカバー119との間に第1および第2オイルポンプ115,116のポンプ室130,133をそれぞれ形成するようにしてポンプボディ118およびポンプカバー119間に挟まれるプレート120とで構成され、ポンプボディ118およびポンプカバー119の一方であるポンプボディ118に一体に設けられる仕切り壁140およびプレート120で、第1および第2吸入路143,144を相互に隔絶するようにしたので、第1および第2吸入路143,144を相互に隔絶してポンプケーシング117内に形成する構造を簡単に構成することができる。
【0103】
第1リリーフ弁147を隣接させたプレート120に第1リリーフ弁147の放出口150を第2吸入路144に通じさせる連通孔159が設けられるので、第1リリーフ弁147から排出されたオイルを簡単な構造で第2吸入路144に導くことができる。
【0104】
機関本体32の自動二輪車への搭載状態では仕切り壁140が吸入口139を上下に分割するように配置されるので、自動二輪車の加・減速によって吸入口139内でのオイルの前後方向での偏りが生じても、第1および第2吸入路143,144のオイル流通量変化が生じないようにすることができる。
【0105】
またポンプ軸114に同軸にかつ相対回転不能に連結されるバランサ軸123に設けられるバランサウエイト137と、ポンプケーシング117との間で吸入口139をオイルストレーナ113に接続するようにして、バランサウエイト137およびポンプケーシング117間のスペースを有効に利用して吸入口をオイルストレーナ113に接続することができる。
【0106】
しかも仕切り壁140の幅dが吸入口139側に向かうにつれて漸次大きくなっているので、吸い込んだオイルが衝突する部分である仕切り壁140の先端部での剛性を高めることができる。
【0107】
機関本体32の一部を構成して第1および第2油圧クラッチ71,72を覆うクラッチカバー58には、第1および第2油圧制御弁194,195と、第1および第2油圧クラッチ71,72との間を個別に結ぶ第1および第2制御オイル供給油路203,204の一部を構成する第1および第2カバー側供給油路203a,204aが設けられ、クラッチカバー58と、第1および第2油圧制御弁194,195の弁ハウジング196,198との間に仕切り部材201が介設され、第1および第2カバー側供給油路203a,204aとともに第1および第2制御オイル供給油路203,204を構成するようにして第1および第2カバー側制御供給油路203a,204aに個別に通じるとともに相互に交差する第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが、仕切り部材201の両面側に形成されるので、仕切り部材201の一面側および他面側間で制御弁側供給油路203b,204bを移行させることで、制御弁側供給油路203b,204bを交差することが容易であり、仕切り部材201はごく薄いものであればよいので、クラッチカバー58を厚くすることなく、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bを交差させることができ、内燃機関Eの大型化を回避することができる。
【0108】
また第1および第2油圧制御弁194,195を保持する支持ホルダ200が仕切り部材201を前記クラッチカバー58との間に挟んで該クラッチカバー58に取付けられ、支持ホルダ200の仕切り部材201側に臨む面ならびにクラッチカバー58の仕切り部材201に臨む面に、仕切り部材201の両面と協働して第1および第2制御弁側供給油路203b,204bを構成する溝226,227,230がそれぞれ設けられるので、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの経路が複雑であっても溝加工ですみ、簡単に第1および第2制御弁側供給油路203b,204bを形成することができる。
【0109】
またソレノイド233,234がそれぞれ付設された第1および第2油圧制御弁194,195が、クランクシャフト37の軸線に沿う方向から見た側面視では、一次駆動ギヤ77の下方に配置され、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが、前記側面視で前記ソレノイド233,234および一次駆動ギヤ77間で相互に交差するように配置されるので、アクチュエータおよび一次駆動ギヤ間の空間を狭くしても、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bを交差せることでその狭い空間を通すことができる。
【0110】
しかも第1および第2制御弁側供給油路203b,204bは、クランクシャフト37の軸線方向への第1および第2油圧制御弁194,195の投影範囲の外側で相互に交差するように配置されるので、相互に交差することでその交差方向で必要とされる第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの配置スペースが大きくなるものの、第1および第2油圧制御弁194,195が配設されている部分でエンジン幅が大きくなることを抑制することができる。
【0111】
第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの第1および第2カバー側供給油路203a,204aとは反対側の端部には、個別にクラッチ用油圧センサ235,236が配設されており、第1および第2油圧クラッチ71,72の制御油圧を相互に独立して検出することができる。
【0112】
第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの少なくとも1つである第2制御弁側供給油路204bの一部には、仕切り部材201をクラッチカバー58との間に挟む支持ホルダ200をクラッチカバー58に締結する複数のボルト202…の1つを迂回するように、その1つのボルト202の周囲に沿って配置される半円状の円弧部237が形成されるので、ボルト202による締結部分での取付け強度を増し、そのボルト202付近からのオイル漏れを抑制することができる。
【0113】
また第1および第2制御弁側供給油路203b,204bが交差する部分に対応して前記クラッチカバー58の外側に、該クラッチカバー58の下部から上方に延びるレベルゲージ挿入筒238が配置されるので、第1および第2油圧制御弁194,195が配置されている部分に比べてエンジン幅に余裕がある部分にレベルゲージ挿入筒238が配置されることでエンジンEの大型化を抑制することができる。
【0114】
また支持ホルダ200には、ソレノイド233,234を収容する収容部239が設けられ、第1および第2制御弁側供給油路203b,204bの後方で収容部239の上部に、ソレノイド233,234に接続されたケーブル242,243を取り出すためのケーブル取り出し孔244が設けられるので、第1および第2制御弁側供給油路203b,204b側が邪魔にならないようにしてケーブル242,243を取り出すことができ、組付け性およびメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0115】
また第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236が、それらの軸線を機関本体32の自動二輪車への搭載状態で前後方向に指向させつつ相互に平行に近接配置されてクラッチカバー58に配設されるので、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236をそれらの方向を揃えて効率よくコンパクトに配置することができ、内燃機関Eの大型化を回避することができる。
【0116】
ところでクラッチカバー58には、第2オイルポンプ116と、第1および第2油圧制御弁194,195との間に介設されるとともに円筒状のフィルタケース181を有する第2オイルフィルタ178が、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236の軸線と交差する方向にフィルタケース181の軸線を配置するようにして配設されており、この第2オイルフィルタ178が機関本体32の自動二輪車への搭載状態では第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236と前後にずれて配置されるので、第2オイルフィルタ178と、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236を機関本体32の左右方向で重ならないようにして前後にずらせて配置することができ、左右方向での内燃機関Eの大型化を抑制することができる。
【0117】
また第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236と、第2オイルフィルタ178への供給油圧を検出するオイルフィルタ用油圧センサ191とが相互に平行に配置されるので、第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236に加えてオイルフィルタ用油圧センサ191を効率よくコンパクトに配置することができる。
【0118】
またフィルタケース181の軸方向に沿うイルフィルタ用油圧センサ191の外端よりも外方にフィルタケース181の外端が配置されることにより、自動二輪車が倒れたときにフィルタケース181の外端でオイルフィルタ用油圧センサ191を保護することができる。
【0119】
しかも第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236およびオイルフィルタ用油圧センサ191のうち最下方の第1クラッチ用油圧センサ235よりも外側方に突出する突部58aが、第1クラッチ用油圧センサ235の近傍に位置するようにしてクラッチカバー58に突設されるので、自動二輪車が倒れたときに前記突部58aで最下方の第1クラッチ用油圧センサ235を保護することができる。
【0120】
また第2オイルフィルタ178の後方に、機関本体32の一部を構成するクラッチカバー58から側方に膨出するレベルゲージ挿入筒238が配置されるので、第2オイルフィルタ178の周囲のデッドスペースを利用してレベルゲージ挿入筒238を配置することで左右方向での内燃機関Eの大型化を回避することができる。
【0121】
第1および第2クラッチ用油圧センサ235,236と、オイルフィルタ用油圧センサ191とは、機関本体32の側面の前側下部に配設され、機関本体32の前面下部が下方に向かうにつれて後方に位置するように湾曲して形成され、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236およびオイルフィルタ用油圧センサ191のうち最下方の第1クラッチ用油圧センサ235を機関本体32に取り付けるための取付けボス245が、残余の油圧クラッチ236,191を機関本体32に取り付けるための取付けボス246,247よりも後方にずれた位置に配置されるので、機関本体32の下部から前方に第1クラッチ用油圧センサ235の一部を突出しないようにすることができる。
【0122】
また第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191が、クランクシャフト37の軸線方向一端側の機関本体32の側壁であるクラッチカバー58に配設されるのであるが、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191は、前記クランクシャフト37よりも前方かつ第1および第2油圧クラッチ71,72よりも下方に配置されるので、内燃機関Eを構成する部品中で最も幅が大きくなる第1および第2油圧クラッチ71,72や、機関本体32におけるクランクケース38の幅寸法に影響を及ぼすクランクシャフト37を迂回して、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236および前記オイルフィルタ用油圧センサ191を配置することができ、内燃機関Eの大型化を抑制することができる。
【0123】
さらに機関本体32の複数箇所の被潤滑部175に供給される潤滑用オイルの供給油圧を検出する潤滑用油圧センサ248が、前記クラッチ用油圧センサ235,236およびオイルフィルタ用油圧センサ191よりも前方で機関本体32に取付けられるので、第1クラッチ用油圧センサ235、第2クラッチ用油圧センサ236およびオイルフィルタ用油圧センサ191と、潤滑用油圧センサ248とを相互の干渉を回避しつつ効率よく配置することができる。
【0124】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0125】
37・・・クランクシャフト
32・・・機関本体
58a・・・突部
71,72・・・油圧クラッチ
116・・・油圧発生手段である第2オイルポンプ
175・・・被潤滑部
178・・・オイルフィルタである第2オイルフィルタ
181・・・フィルタケース
191・・・オイルフィルタ用油圧センサ
194,195・・・油圧制御弁
203,204・・・制御オイル供給路
235,236・・・クラッチ用油圧セン
238・・・レベルゲージ挿入筒
245,246,247・・・取付けボス
248・・・潤滑用油圧センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の油圧クラッチ(71,72)と、それらの油圧クラッチ(71,72)の油圧を個別に制御する複数の油圧制御弁(194,195)と、各油圧制御弁(194,195)および各油圧クラッチ(71,72)間を結ぶ制御オイル供給路(203,204)の制御油圧を個別に検出する複数のクラッチ用油圧センサ(235,236)とを備える内燃機関において、複数の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)が、それらの軸線を機関本体(32)の鞍乗り型車両への搭載状態で前後方向に指向させつつ相互に平行に近接配置されて前記機関本体(32)に配設されることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
油圧発生手段(116)および前記油圧制御弁(194,195)間に介設されるとともに円筒状のフィルタケース(181)を有するオイルフィルタ(178)が、複数の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)の軸線と交差する方向に前記フィルタケース(181)の軸線を配置しつつ機関本体(32)の前記鞍乗り型車両への搭載状態では複数の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)と前後にずれて前記機関本体(32)に配設されることを特徴とする請求項1記載の内燃機関。
【請求項3】
一対の油圧クラッチ(71,72)に個別に対応した一対の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)と、前記オイルフィルタ(178)への供給油圧を検出するオイルフィルタ用油圧センサ(191)とが相互に平行に配置されることを特徴とする請求項2記載の内燃機関。
【請求項4】
前記フィルタケース(181)の軸方向に沿う前記オイルフィルタ用油圧センサ(191)の外端よりも外方に前記フィルタケース(181)の外端が配置されることを特徴とする請求項2または3記載の内燃機関。
【請求項5】
前記機関本体(32)に、一対の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)および前記オイルフィルタ用油圧センサ(191)のうち最下方の油圧センサ(235)よりも外側方に突出する突部(58a)が前記最下方の油圧センサ(235)の近傍に位置するようにして突設されることを特徴とする請求項3または4記載の内燃機関。
【請求項6】
前記機関本体(32)の鞍乗り型車両への搭載状態で前記オイルフィルタ(178)の後方に、前記機関本体(32)に設けられて該機関本体(32)から側方に膨出するレベルゲージ挿入筒(238)が配置されることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の内燃機関。
【請求項7】
一対の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)および前記オイルフィルタ用油圧センサ(191)が、機関本体(32)の側面の前側下部に配設され、前記機関本体(32)の前面下部が下方に向かうにつれて後方に位置するように湾曲して形成され、一対の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)および前記オイルフィルタ用油圧センサ(191)のうち最下方の油圧クラッチ(235)を機関本体(32)に取り付けるための取付けボス(245)が、残余の油圧クラッチ(236,191)を機関本体(32)に取り付けるための取付けボス(246,247)よりも後方にずれた位置に配置されることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の内燃機関。
【請求項8】
複数の前記油圧センサ(235,236,248)が、クランクシャフト(37)ならびに該クランクシャフト(37)に連動して回転可能なメインシャフト(60、61)間の動力伝達の断・接を切り換えるクラッチ(71,72)よりも下方かつ前記クランクシャフト(37)よりも前方に配置されるようにして、前記クランクシャフト(37)の軸線方向一端側で前記機関本体(32)の側面に配設されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関。
【請求項9】
機関本体(32)の複数箇所の被潤滑部(175)に供給される潤滑用オイルの供給油圧を検出する潤滑用油圧センサ(248)が、前記クラッチ用油圧センサ(235,236)および前記オイルフィルタ用油圧センサ(191)よりも前方で機関本体(32)に取付けられることを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の内燃機関。
【請求項1】
複数の油圧クラッチ(71,72)と、それらの油圧クラッチ(71,72)の油圧を個別に制御する複数の油圧制御弁(194,195)と、各油圧制御弁(194,195)および各油圧クラッチ(71,72)間を結ぶ制御オイル供給路(203,204)の制御油圧を個別に検出する複数のクラッチ用油圧センサ(235,236)とを備える内燃機関において、複数の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)が、それらの軸線を機関本体(32)の鞍乗り型車両への搭載状態で前後方向に指向させつつ相互に平行に近接配置されて前記機関本体(32)に配設されることを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
油圧発生手段(116)および前記油圧制御弁(194,195)間に介設されるとともに円筒状のフィルタケース(181)を有するオイルフィルタ(178)が、複数の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)の軸線と交差する方向に前記フィルタケース(181)の軸線を配置しつつ機関本体(32)の前記鞍乗り型車両への搭載状態では複数の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)と前後にずれて前記機関本体(32)に配設されることを特徴とする請求項1記載の内燃機関。
【請求項3】
一対の油圧クラッチ(71,72)に個別に対応した一対の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)と、前記オイルフィルタ(178)への供給油圧を検出するオイルフィルタ用油圧センサ(191)とが相互に平行に配置されることを特徴とする請求項2記載の内燃機関。
【請求項4】
前記フィルタケース(181)の軸方向に沿う前記オイルフィルタ用油圧センサ(191)の外端よりも外方に前記フィルタケース(181)の外端が配置されることを特徴とする請求項2または3記載の内燃機関。
【請求項5】
前記機関本体(32)に、一対の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)および前記オイルフィルタ用油圧センサ(191)のうち最下方の油圧センサ(235)よりも外側方に突出する突部(58a)が前記最下方の油圧センサ(235)の近傍に位置するようにして突設されることを特徴とする請求項3または4記載の内燃機関。
【請求項6】
前記機関本体(32)の鞍乗り型車両への搭載状態で前記オイルフィルタ(178)の後方に、前記機関本体(32)に設けられて該機関本体(32)から側方に膨出するレベルゲージ挿入筒(238)が配置されることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の内燃機関。
【請求項7】
一対の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)および前記オイルフィルタ用油圧センサ(191)が、機関本体(32)の側面の前側下部に配設され、前記機関本体(32)の前面下部が下方に向かうにつれて後方に位置するように湾曲して形成され、一対の前記クラッチ用油圧センサ(235,236)および前記オイルフィルタ用油圧センサ(191)のうち最下方の油圧クラッチ(235)を機関本体(32)に取り付けるための取付けボス(245)が、残余の油圧クラッチ(236,191)を機関本体(32)に取り付けるための取付けボス(246,247)よりも後方にずれた位置に配置されることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の内燃機関。
【請求項8】
複数の前記油圧センサ(235,236,248)が、クランクシャフト(37)ならびに該クランクシャフト(37)に連動して回転可能なメインシャフト(60、61)間の動力伝達の断・接を切り換えるクラッチ(71,72)よりも下方かつ前記クランクシャフト(37)よりも前方に配置されるようにして、前記クランクシャフト(37)の軸線方向一端側で前記機関本体(32)の側面に配設されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関。
【請求項9】
機関本体(32)の複数箇所の被潤滑部(175)に供給される潤滑用オイルの供給油圧を検出する潤滑用油圧センサ(248)が、前記クラッチ用油圧センサ(235,236)および前記オイルフィルタ用油圧センサ(191)よりも前方で機関本体(32)に取付けられることを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の内燃機関。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−214116(P2012−214116A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80683(P2011−80683)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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