説明

内臓外科処置のための装置及び方法

本発明は、内臓外科処置のための装置及び方法を提供する。本発明の装置及び方法は、体の内臓箇所を補強するステップ、粘膜下の分離部(ブレブ)を生成するステップ、及び/又はブレブによって下にある組織から分離された粘膜組織を切除するステップを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の規定に基づいて、2005年5月11日に出願された「内臓外科処置のための装置及び方法」という題の米国特許仮出願第60/679,760号に対する優先権を主張する。この仮出願は参照によって全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、内臓外科処置のための装置及び方法に関する。詳しくは、本発明は、例えば粘膜切除処置と合わせて有益に使用できる装置に関する。
【背景技術】
【0003】
いろいろな病変、例えば表在性腫瘍、ポリープ、内痔核、などは、まわりの組織に対して比較的薄いために体内の場所から除去することが難しいことがある。例えば胃腸管における内視鏡的粘膜切除術(EMR)、ポリープ切除、などの外科処置を容易にするために粘膜下組織への液体注入を行うことができる。注入された液体は、切除する組織の下に粘膜下クッションを有利に形成できる。粘膜下液体クッションを形成するために用いられる液体の例としては、例えば、食塩水、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン溶液、メチルセルロース溶液(例えば、2003年12月4日に公開された「粘膜下流体クッションのための組成物」という題の米国特許出願第2003/0225460号に記載されているようなもの)、などがあげられる。
【0004】
粘膜下液体クッションが存在しない場合、医師は大きな無茎性ポリープやその他の病変を切除した時に、その下にある固有筋層を傷つけずには済まない。粘膜下液体クッションによって病変を持ち上げることにより病変をまわりの組織から分離することができ、病変の切除の際に固有筋層を傷つけずに保護することができる。
【0005】
粘膜下液体クッションを形成した後、粘膜下液体クッションの基底部のまわりにループにしたスネアを用いて切除を行うことができる。スネア切除デバイスの例は、例えば米国特許第5,542,948号 (Weave et al.)及び同第6,210,416号(Chu et al.)に記載されている。スネア・デバイスを用いる切除は、普通、切断を増強し、場合によっては出血を減らす外科用電気エネルギーの使用によって補われる。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、内臓外科処置のための装置及び方法を提供する。本発明の方法は、例えば、体の内臓箇所を補強するステップ、粘膜下の分離部(ブレブ)を生成するステップ、及び/又はブレブによって下にある組織から分離された粘膜組織を切除するステップを備えている。
【0007】
本発明の装置、デバイス、及び方法は、組織を切除しようとする体内のどんな適当な箇所でも、例えば結腸(ポリープ又はその他の組織を−例えば直腸からアクセスして−切除するために)、膀胱(膀胱癌を−例えば尿道からアクセスして−切除するために)で利用できる。さらに、本発明の装置、デバイス、及び方法は、深在筋肉バイオプシーを得るためにも(例えば、パーキンソン病などの神経疾患、胃運動障害、などを診断するために)利用できる。別の応用の可能性として、本発明の装置、デバイス、及び方法は、内視鏡によって器具が胃に送達される経胃外科処置で利用できる。その後、器具を胃壁を通して腹腔に進め、そこで選択された外科処置を行うことができる。本発明の装置、デバイス、及び方法はまた、ここでは明記されない目的にも利用できる。
【0008】
本発明の内臓外科装置のうち、組織切除に利用できるいくつかの装置が図55〜57に示されている。図示された装置は、体のいろいろな内臓箇所、例えば体管腔(結腸、胃腸、血管、尿道、など)、を開いて支えるために利用できる。ブレブに関して言うと、図55〜57の装置は、粘膜下スペースを生成するために用いられる気体、液体、又はその他の物質が存在しない時に粘膜下スペースを維持するために利用できる。ケージによって画定されたスペースに、いろいろなデバイス、例えば撮像デバイス、組織切除デバイス、などを進入させることができる。
【0009】
ブレブを生成する装置及び方法は、組織を分離して気体で満たされた粘膜下スペースを生成するための気体の送達を備えていることが好ましい。気体は、大気圧よりも大きな圧力で送達されることが好ましい。加圧気体を用いて気体で満たされたブレブを生成することは、液体を用いて形成されるブレブに比べていくつかの利点がある。加圧気体によって生成されたブレブの方が背が高くなる、すなわち、気体で満たされた粘膜下スペースは、下にある組織の平面から法線方向に測った時に、より高くなるということが観測された。また、気体で満たされたブレブ内では、液体で満たされたブレブに比べて組織の分離がより明確になるということも観測された。
【0010】
気体で満たされたブレブの別の利点として、“インサイド−アウト”切除のために設計された電気外科カッティング・デバイスは、気体で満たされたブレブと共に用いるとより効果的であるということがあげられる。以下で説明するように、本発明の切除デバイスのいくつかは、組織の“インサイド−アウト”切除を行うために用いると効果的である。カッティング器具を用いて組織をブレブの外側からブレブ内の粘膜下スペースの方へカットしてゆく従来の粘膜組織切除と異なり、本発明の方法は、好ましくは、ブレブの組織を切除デバイスによって穿刺し、切除の少なくとも一部を粘膜下スペースに進めてゆく。切除デバイス(又はその一部)が粘膜下スペース内に配置された後、ブレブ内で持ち上げられた組織を粘膜下スペースの内側から外側へカットすることができる。カッティング動作をブレブ内から外側へ向けることによって、ブレブの下にある組織のカッティング及び/又は穿刺がずっと起こりにくくなる。
【0011】
気体で満たされたブレブを形成するために用いることができる気体のうち、用いる気体としては二酸化炭素が好ましい。二酸化炭素を用いる利点としては、例えば、二酸化炭素が容易に組織に吸収され、塞栓症を引き起こしにくいということがあげられる。さらに、二酸化炭素は可燃性でなく、容易に入手できる。さらに詳しくは、用いる気体は本質的に二酸化炭素から成ることが好ましい。気体で満たされたブレブを形成するために送達される流体が圧倒的に気相である限り、水、食塩水、などの少量の液体が二酸化炭素に含まれていてもよいことは理解されるであろう。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態では、ブレブの粘膜下スペース内に固体物質の切除バリアを形成することが好ましい。固体物質の切除バリアを形成することによって、組織を除去するために刃など通常のカッティング器具を用いても、下にある組織壁に穿刺する危険が著しく小さくなる。切除バリアは、パラフィン、硬化物質(例えば、シアノアクリレート接着剤)、発泡物質、ゲル、など、いろいろな物質で作ることができる。熱して液体状態にして粘膜下スペースに注入することができ、そこで冷却して硬化して切除バリアを形成するパラフィンを用いることが好ましい。
【0013】
いくつかの実施形態では、切除装置は好ましくは細長体の先端に配置された切除フレームを備えている。好ましくは、切除フレームが、切除フレームによって画定される切除開口を通って延びている組織を切除できるカッティング器具を支持する。実施形態によっては、好ましくは、装置はステープルとステープリング台を備え、切除フレームを引っ込めると選択された組織の切除と切除された組織のまわりの縁を綴じるような残った組織へのステープルの留置の両方が起こる。
【0014】
カッティング器具は、好ましくは、切除フレームの間隔をあけた二つのレールの間に配置される。切除フレームが細長体に対して伸長位置にある時に、好ましくは、カッティング器具は細長体の先端から外に出ている。伸長位置への切除フレームの動きは細長体に対して先端方向への動きと記述できる。引込み位置への切除フレームの動きは、好ましくは、カッティング器具を細長体の先端へ向けて動かして、又は別の仕方で切除開口を閉じる。実施形態によっては、カッティング器具のこのような動きは細長体に対して基端方向へカッティング器具を動かすものと記述できる。
【0015】
切除フレームが伸長位置にある時に、好ましくは、切除開口は間隔をあけた二つのレールと切除フレームが伸長位置にある時のカッティング器具によって画定され、切除フレームが伸長位置から引込み位置へ動かされると、切除開口のサイズは減少し、切除開口を通って延びている組織はカッティング器具によって切断される。
【0016】
切除フレームは互いに間隔をあけた一対のレールを備えていることが好ましい。好ましくは、レールはねじれと曲げに抵抗する剛体部材であり、また長さ方向の圧縮に著しい強度を示す。これは、張力にのみ著しい強度を示し、曲げとねじれに対する抵抗がきわめて小さいスネア・タイプの切除デバイスで用いられるワイヤやケーブルと対照的である。
【0017】
カッティング器具と間隔をあけたレールが好ましくはU字形状の切除開口を画定し、U字形状の開口が好ましくは細長体の先端によって閉じられる。例えば、レールは真直であり、互いに略平行であることが好ましい。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、細長体は、細長体の先端まで延びている流体送達管腔を備え、細長体の先端で流体送達管腔にニードルが取り付けられる。ニードルは、ニードルが細長体の先端から延びている注入位置と、ニードルが細長体の内部に位置している格納位置の間で可動であることが好ましい。
【0019】
流体送達管腔とニードルを備えている本発明の装置は、さらに流体送達管腔と結合した流体源を備えていることができる。流体源は、本発明に従って粘膜下流体クッションを形成するために必要に応じて流体を供給できる。流体源によって供給される流体は通常知られているような液体であってもよい。あるいはまた、本発明の流体源は、本発明に従って粘膜下流体クッションを形成するための気体を供給することもできる。気体は、例えば、二酸化炭素であってもよい。
【0020】
本発明に関連して議論されるような切除フレームの使用は、ブレブを形成するための気体送達システムに関して有利になる。例えば、切除フレームを延ばして切除しようとする組織のまわりに配置することができる。配置されたら、切除フレームを用いてブレブを形成しようとする箇所の周縁のまわりに圧力を加えることができる。切除フレームによって加えられる圧力は、気体がフレームの下の組織を分離させる可能性を小さくすることによってブレブのサイズを限定するのに役立つ。
【0021】
本発明に関連して他の切除デバイスも提供できる。それらの切除デバイスは、ここで説明したような“インサイド−アウト”切除処置において使用されるように適合させることができる。そのようなデバイスのいくつかの例示的実施形態が本明細書で図11〜57に関連して説明される。
【0022】
ある態様では、本発明は、先端に開口を有する管腔を備えている送達シース(delivery sheath)を備えている組織制御デバイスを提供する。送達シースは先端と基端の間で延びている長手軸線を規定し、ケージが送達シースの管腔内部に配置され、ケージは先端保持具から基端保持具へ延びている複数の支材を有し、管腔内で可動であり、管腔の先端開口から出して前進させることができる。ケージは管腔内にある時は抑止された形態にあり、管腔から出して先の方へ前進させると広がった形態になり、広がった形態では支材は長手軸線から半径方向外側へ移動している。
【0023】
別の態様では、本発明は、内臓外科処置のための送達シースを備えている組織制御デバイスを提供する。送達シースは、送達シースの先端に開口を備えている管腔を有し、先端と基端の間で延びている長手軸線を規定し、ケージが送達シースの管腔内部に配置され、先端保持具から基端方向へ延びている複数の支材を有し、ケージは管腔内で可動であり、管腔の先端開口から出して前進させることができ、ケージは管腔内にある時は抑止された形態にあり、管腔から出して先の方へ前進させると広がった形態になり、広がった形態では支材は長手軸線から半径方向外側へ移動する。
【0024】
別の態様で、本発明は、以前の段落で説明した組織制御デバイスを使用する方法であって、送達シースの先端を体の内臓位置に前進させた後に送達シースからケージを展開させることによって使用する方法を提供する。ケージが展開される時、好ましくは、複数の支材は長手軸線から半径方向外側へ移動する。
【0025】
別の態様で、本発明は、内視鏡的切除装置を提供する。この内視鏡的切除装置は、基端と先端を有する細長体を備え、細長体の先端の近くに配置され、間隔をあけた二つのレールを備えている切除フレームであって、広がった位置と引込み位置を有する切除フレームと、切除フレームの間隔をあけた二つのレールの間に配置されたカッティング器具とを備え、切除フレームが広がった位置にある時にカッティング器具は細長体の先端から移動し、切除フレームが引込み位置へ移動するとカッティング器具が細長体の先端の方へ動き、切除フレームが広がった位置にある時に間隔をあけた二つのレールとカッティング器具によって画定される切除開口を備え、切除フレームが広がった位置から引込み位置へ動かされると切除開口のサイズが減少し、切除開口を通って延びている組織がカッティング器具によって切断される。
【0026】
別の態様で、本発明は、選択された箇所で粘膜組織を分離する方法であって、対象者の粘膜組織における選択された部位を同定するステップと、気体送達管腔の先端を粘膜下で選択された部位に配置するステップと、気体送達管腔の先端を通して選択された部位の粘膜組織に気体を送達するステップとを備え、気体は周囲大気圧よりも大きな気体圧力で送達され、気体が粘膜組織を分離して気体で満たされた粘膜下スペースを生成することを特徴とする方法を提供する。
【0027】
別の態様で、本発明は、選択された箇所で粘膜組織を分離する方法であって、選択された部位における粘膜組織に周囲大気圧よりも大きな気体圧力で気体を送達し、気体が粘膜組織を分離して気体で満たされた粘膜下スペースを生成するステップと、気体で満たされた粘膜下スペースにバリア前駆物質を注入し、バリア前駆物質が粘膜下スペースで硬化して粘膜下バリアを形成することにより粘膜下スペースで粘膜下バリアを形成するステップとを備えている方法を提供する。
【0028】
別の態様で、本発明は、選択された箇所で組織を切除する方法であって、対象者の粘膜組織における選択された部位を同定するステップと、流体送達管腔の先端を粘膜下で選択された部位に配置するステップと、流体送達管腔の先端を通して選択された部位の粘膜組織に流体を送達するステップと、流体を周囲大気圧よりも大きな圧力で送達し、選択された箇所に粘膜下流体クッションを形成するステップと、粘膜下流体クッションの近くに切除フレームを延ばした位置にして、粘膜下流体クッションが切除開口を通して延びている状態で、切除デバイスを配置するステップと、切除デバイスを引っ込めた位置に動かし、カッティング器具が粘膜下流体クッションの上に持ち上げられた組織を切断するステップとを備えている方法を提供する。
【0029】
別の態様で、本発明は、パラフィンと、パラフィンを加熱するのに適合した加熱デバイスと、加熱されたパラフィンを粘膜下の場所に送達するのに適合した送達デバイスとを備えている粘膜下バリア・キットを提供する。
【0030】
別の態様で、本発明は、加圧気体源と、管腔と、組織を穿刺する先端と、加圧気体源から気体を受け入れるのに適合した基端とを有する無菌気体送達デバイスとを備え、管腔は気体送達デバイスの基端から気体送達デバイスの先端へ延びていることを特徴とする粘膜組織分離キットを提供する。このようなキットは、例えば粘膜下バリア前駆物質と粘膜下バリア前駆物質を粘膜下の場所に送達するのに適合した送達デバイスによって補うことができる。別の実施形態では、このキットは、例えば、パラフィンと、パラフィンを加熱するのに適合した加熱デバイスと、加熱されたパラフィンを粘膜下の場所に送達するのに適合した送達デバイスとによって補うことができる。
【0031】
別の態様で、本発明は、組織切除デバイスであって、先端と、先端で開いている外側シース管腔と、外側シース基端とを有する外側シースと、外側シース管腔内部で動くのに適合した内側シースであって、先端と、内側シース先端で開いている内側シース管腔とを備えている内側シースと、内側シース管腔内部で可動な、先端を有するコアと、コアの先端に取り付けられた先端と内側シースに取り付けられた基端を有する第一の切除ワイヤと、内側シースの先端の方へのコアの先端の移動が、第一の切除ワイヤの一部を半径方向でコアから離れるように移動させ、切除ワイヤに操作的に結合された電気導体であって、電気エネルギーを外側シースの基端から切除ワイヤへ送達できる電気導体とを備えている組織切除デバイスを提供する。
【0032】
別の態様で、本発明は、組織切除デバイスであって、先端と基端を有する細長体と、細長体の先端に取り付けられたカッティングヘッドと、カッティングヘッドはカッティングフィンを備え、カッティングフィンが体内に配置される引込み位置と、カッティングフィンがカッティングヘッドから延びている伸長位置を有し、カッティングフィンが伸長位置にある時に細長体とカッティングヘッドを基端の方向へ引くとカッティングフィンが組織をカットすることを特徴とする組織切除デバイスを提供する。
【0033】
別の態様で、本発明は、組織切除デバイスであって、先端と基端を有する細長体と、細長体の先端に操作的に蝶番結合された切除装置とを備え、切除装置は第一及び第二のジョー(jaws)を備え、第一及び第二のジョーのうち少なくとも一つのジョーは回転することができて、第一及び第二のジョーが、第一及び第二のジョーの間に組織を配置できる開いた位置と、第一及び第二のジョーの内側表面が第一及び第二のジョーの間に配置された組織に接触し、第一及び第二のジョーの間に配置された組織をカッティング部材によってカットできる閉じた位置を有し、第一及び第二のジョーの少なくとも一方が組織穿刺ジョーを備え、組織穿刺ジョーが先端方向へ進められると組織穿刺ジョーは組織を穿刺できることを特徴とする組織切除デバイスを提供する。
【0034】
別の態様で、本発明は、組織切除デバイスであって、先端と基端を有する細長体を備え、先端は、第一の側面と、第一の側面に対向した位置にある第二の側面とを備え、細長体の先端から延びている一対の切除ワイヤをさらに備え、各切除ワイヤは細長体の先端の第一の側面に取り付けられた基端を有し、各切除ワイヤは先端を有し、切除ワイヤの先端は、細長体の先端の第二の側面の近くで互いに取り付けられる、組織切除デバイスを提供する。
【0035】
別の態様で、本発明は、組織切除装置であって、チャンネルを有する管状体と、チャンネルは管状体の先端で開いている、先端と基端を有するスプレッダーシースと、長手軸線がシースの先端と基端の間に延び、スプレッダーシースは管状体のチャンネル内に配置され、管状体のチャンネル内でスプレッダーシースは先端の方及び基端の方へ軸方向に可動であり、スプレッダーシースの先端の近くの第一及び第二のスプレッダーアームを備え、第一のスプレッダーアーム及び第二のスプレッダーアームは、第一のスプレッダーアーム及び第二のスプレッダーアームが長手軸線と整列している閉じた位置と、第一のスプレッダーアーム及び第二のスプレッダーアームがそれぞれ長手軸線と少なくとも15度の角度を成す開いた位置の間で可動であり、第一のスプレッダーアーム及び第二のスプレッダーアームが管状体のチャンネル内にある時に第一のスプレッダーアーム及び第二のスプレッダーアームは閉じた位置にあり、第一のスプレッダーアーム及び第二のスプレッダーアームが先端の方へ管状体のチャンネルから外へ進められた時に第一のスプレッダーアーム及び第二のスプレッダーアームは開いた位置に移動することを特徴とする組織切除装置を提供する。
【0036】
別の態様で、本発明は、組織切除デバイスであって、基端と先端と管腔を有するシースを備え、管腔はシースの先端で開いており、管腔内に配置されたスネアを備え、スネアは管腔内で先端の方及び基端の方へ軸方向に可動であり、先端の方へ管腔の開口から外へ進めることができ、シースがシースの先端の近くでアングルつきチップを有し、アングルつきチップはシースの基端からアングルつきチップのセクションまでのシースによって規定される長手軸線から外れた方向に向いたシース・セクションを備えていることを特徴とする組織切除デバイスを提供する。
【0037】
別の態様で、本発明は、組織切除デバイスであって、基端と先端を有するシースと、シースに形成された管腔とを備え、管腔は、シースの先端に近い箇所でシース側面に先端方向の開口を備え、管腔内に配置された、管腔内で先端の方及び基端の方へ軸方向に可動なスネアを備え、スネアは管腔の先端方向の開口の外へ先端方向に進めることができる組織切除デバイスを提供する。
【0038】
別の態様で、本発明は、組織切除デバイスであって、基端と先端と管腔を有するシースを備え、管腔はシースの先端に開口を備え、管腔内に配置されたスネアを備え、スネアは管腔内で先端の方及び基端の方へ軸方向に可動であり、先端の方へ管腔の開口から外へ進めることができ、スネアはシースの先端の近くでループとして終端する一対のワイヤを備え、ワイヤは長方形の断面輪郭を有し、シースの基端の近くに配置されたプランジャー、を備え、プランジャーはシースの管腔を横断し、ワイヤの対の間に配置されて、シースの長手軸線に対して横方向へのプランジャーの動きがワイヤをそれぞれの長手軸線のまわりに回転させ、ワイヤの回転がスネアをシースの長手軸線から曲がって離れさせるように、ワイヤと協同で動作するリブをプランジャーが備えていることを特徴とする組織切除デバイスを提供する。
【0039】
別の態様で、本発明は、組織切除バリアを設ける方法を提供する。この方法は、ブレブの粘膜下スペースにバリアシートを挿入するステップと、バリアシートを粘膜下スペースで展開するステップを備え、バリアシートは粘膜下スペースの下の粘膜下組織と粘膜下スペースの上の粘膜組織の間に配置されることを特徴とする。
【0040】
別の態様で、本発明は、バリアシート展開装置であって、管腔を有する送達シースを備え、管腔は送達シースの先端に開口を備え、送達シースの管腔内に配置されたバリアシートを備え、バリアシートは管腔内にある時に一つ以上のコイルを有する、バリアシート展開装置を提供する。
【0041】
本発明のこれらの及びその他の特徴及び利点は、以下で本発明のいろいろな例示的実施形態に関して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明のいくつかの例示的な実施形態についての以下の詳細な説明では、その一部を構成する添付図面が参照される。図面では、本発明を実施する特定の実施形態が実例として示される。他の実施形態を用いることもできるし、本発明の範囲を逸脱することなく構造的な変更を加えることもできることは言うまでもない。
【0043】
いろいろな実施形態で、本発明は三つの基本的なコンポーネントを備えている、すなわち、粘膜下流体クッションを生成できる注入装置、粘膜下流体クッションの上に持ち上げられた組織を切除できる切除装置、及び組織除去プロセスの一部として組織をステープル固定できるステープリング装置、である。以下で説明される図の多数で示されているように、三つのコンポーネント、すなわち、注入装置、切除装置、及びステープリング装置、が全て同じ器具に合体されていることが好ましい。しかし、異なるコンポーネントを別々の器具として設けても、あるいはコンポーネントのうち二つを単一の器具に統合してもよいことは理解されるであろう。さらに、装置は内視鏡的に送達するのに適合していることが好ましいが、本発明の装置は適当などのような方法によって、例えば外科的な方法によって、導入してもよい。
【0044】
本発明に係る装置の一例が図1に示されている。装置は、先端32を有する細長体30を備えている。細長体30は、好ましくは、本発明の装置を収容するために形成された適当な数のチャンネルを有する内視鏡である。
【0045】
装置は、粘膜12とその下にある固有筋層10を備えている組織の選択された部位14の近くに配置されて示されている。選択された部位14は、好ましくは、医師が切除したいと思う腫瘍、ポリープ、内部痔核、などの形の病変を備えている。
【0046】
図示された細長体30は、細長体30の少なくとも一部を通って延びている流体送達管腔24を備えている。流体送達管腔24は細長体30の先端32の近くで終端することが好ましい。また、流体送達管腔24は細長体30の基端(図示せず)の方へ基端方向に延びていることが好ましい。
【0047】
図1に示された装置は、さらにニードル20を備え、それは好ましくは細長体30の先端32の近くで流体送達管腔24に取り付けられる。ニードル20は、好ましくは図1に見られるように、ニードル20の先端22が細長体30の先端32から延びている注入位置の間で可動である。また、ニードル20は、ニードル20の先端22が細長体30の先端32を超えて延びていない、例えば細長体30の内部に引っ込められているシース格納位置まで可動であることが好ましい。
【0048】
図2は、ニードル20の先端22が選択された部位14の近くの組織に挿入された後の図1の装置を示す。ニードル20がこの組織に流体を送達し、粘膜下流体クッション16によって粘膜12がその下にある固有筋層10から分離されることが好ましい。粘膜下流体クッション16を形成するために用いられる流体は、好ましくはニードル20を通して送達され、ニードル20は好ましくは細長体30を通って延びている流体管腔24によって流体源28と流体連通している。
【0049】
流体源28は、供給される流体によっていろいろな形態をとりうる。流体源28は、弁(及び好ましくは圧力調節器)を通して別のポンプを必要とせずに流体が小出しできるように加圧される。他の例では、加圧された又は加圧されない貯蔵容器と組み合わせたポンプ機構が設けられる。流体が送達される圧力はいろいろであるが、気体の場合の圧力は140 kPa(20 psig)以上であることが好ましい。調節器又はその他の圧力制御デバイスによる圧力コントロールを設けることができる。
【0050】
粘膜下流体クッション16を形成するために用いられる流体は、液体、気体、又はそれらの組み合わせである。場合によっては、粘膜下流体クッション16を形成するために用いられる流体は液体、例えば食塩水、ヒアルロン酸ナトリウム、グリセリン溶液、メチル・セルロース溶液(例えば、2003年12月4日に公開された「粘膜下流体クッションを生成するための組成物」という題の米国特許出願公開第2003/0225460号に記載されているようなもの)など、であることが好ましい。
【0051】
別の場合には、粘膜下流体クッション16を形成するために用いられる流体は気体、例えば、気体の二酸化炭素を備えている気体、であることが好ましい。別の場合には、流体は本質的に一つ以上の気体、例えば本質的に気体の二酸化炭素から成ることが好ましい。気体状の流体を用いて粘膜下流体クッションを形成することは、ここで述べたような液体流体を用いて形成される粘膜下流体クッションに比べて利点がある。
【0052】
ブレブで粘膜下スペースを形成するために用いられる気体及び/又は液体は、場合によって、好ましくは、ここで説明するような切除バリアを形成するための固体(すなわち、非流動性)物質で置き換えられる。切除バリアとして好適と考えられる物質の例としては、パラフィン、生体適合性シアノアクリレート接着剤組成物、などがある。さらに別の実施形態では、切除バリアはゲル−又はポリマーをベースとする構造物質(例えば発泡体、など)であって、送達する時には硬化せず、粘膜下スペースで膨張/硬化させることができる物質によって得られる。いくつかの実施形態では、切除バリアは好ましくは生物分解性及び/又は生体吸収性であり、時間と共にゆっくりと消滅する。
【0053】
好適な膨張性物質として考えられる一つは、ポリ乳酸ポリマー(PLA、例えばポリ-DL-ラクチド、など)である。これは、NMP(N-メチル-2-ピロリドン)などの溶媒に溶かすと液体として供給でき、ポリマー混合物からNMPが拡散してしまうと硬化して柔軟な構造物質になる。NMPもPLAも、一般に人(又は動物)の体内で用いても不活性で生体吸収性であると考えられている。その他の膨張性構造物質は当業者には公知であろう。
【0054】
流体を用いてブレブが生成された後、流体が硬化、固化、又は他の形で非流動性になる実施形態では、流体はバリア前駆物質と呼ばれる。このような方法では、粘膜下バリアの形成は、バリア前駆物質を気体で満たされた粘膜下スペースに注入するステップを備え、バリア前駆物質が硬化して粘膜下バリアを形成する。ここで説明したバリア前駆物質の例としては、例えば、加熱されたパラフィン(例えば、摂氏65度以上の温度に加熱されたパラフィン)、シアノアクリレート組成物、未硬化生体適合性発泡物質、などである。その他のバリア前駆物質としては、例えば、光−放射を印加して硬化させることができる生体適合性光硬化物質がある。
【0055】
本発明に係る装置はまた、好ましくは、粘膜下流体クッションを形成することによって持ち上げられた組織を切除するための切除デバイスを備えている。図3〜7は、そのような切除デバイスとその動作のある例示的な実施形態を示す。切除デバイスは、好ましくは、細長体30の先端32に配置されたハウジング内に設けられる。図3に見られるように、ハウジングは好ましくは開口26を備え、図1及び2に関して上で述べたようなシース格納位置にある時にはニードル20がそこに引っ込められる。
【0056】
ハウジングはまた、切除フレームが引込み位置にある時に格納される開口40を備える。図4に眼を向けると、切除フレームが伸長位置にあって細長体30の先端32から延びている状態が示されている。切除フレームは、好ましくは、間隔をあけた二つのレール42aと42b(ここで全体としてレール42と呼ぶ)と、細長体30の先端32から間隔をあけた箇所で二つのレール42を結合するクロス部材50を備えている。
【0057】
切除フレームの細かい構成に関わりなく、レール42とクロス部材50が、クロス部材50と細長体30の先端32の間に位置する切除開口44を画定することが好ましい。切除フレームのレール42とクロス部材50がU字形状の切除開口44を画定することが好ましい。
【0058】
さらに、クロス部材50がカッティング器具を備え、切除フレームの引込み位置(図3に見られる)への動きが、クロス部材50上のカッティング器具を細長体30の先端32の方へ動かすようになっていることが好ましい。切除フレームを、図4に見られる伸長位置から図3に見られる引込み位置へ動かすと切除開口44のサイズが小さくなる。
【0059】
図5に示されているように、選択された組織(例えば、粘膜下流体クッションの上に持ち上げられた組織)が切除開口44を通して延びていると、図6に見られるようにその組織をクロス部材50上に配置されたカッティング器具によって切除することができる。この場合、切除フレームは細長体30の先端32にあるハウジング内にほぼ完全に引っ込められる。粘膜下流体クッションによって持ち上げられた選択された組織が除去すべき病変14を備えていることが好ましい。
【0060】
クロス部材50上のカッティング器具は、適当などんな形態であってもよく、例えば、刃、ワイヤ、などであってよい。カッティング器具の切断作用は、例えば電気エネルギーによって補うことができる(例えば、カッティング器具は電気外科デバイスであってもよい)。
【0061】
本発明の切除フレームは、剛体部材であるレール42によって構成されることが好ましい。ここで用いられる場合、剛体部材という用語は、ねじれと曲げに抵抗し、長さ方向の圧縮に顕著な強度を示す構造を指す。これはスネア・タイプの切除デバイスで用いられるワイヤやケーブル(これは引っ張りにだけ顕著な強度を示し、曲げとねじれに対する抵抗はきわめて小さい)と対照的である。さらに本発明の切除フレーム42は真直で互いに略平行であることが好ましい。
【0062】
図7及び8は、本発明のオプションとしてのその他の特徴を説明するために、切除デバイスの一部を示す。レール42aと42b及びクロス部材50を備えている請求項1に記載のフレームが図7に示されている。図示されたクロス部材50は、図8に見られるように刃52をカッティング器具として備えている。
【0063】
好ましくは、クロス部材50はまた細長体30の先端32の先端32の近くに保持されたステープル60と相互作用するのに適合したアンビル面54を備えている。アンビル面54とステープル60の相互作用が切除フレーム内に捕らえられた組織のステープル綴じとなって、刃52によって切除された組織が除去された後、残った組織の縁がステープル60によって保持されるようになることが好ましい。切除とステープリングの作用が、好ましくは、切除フレームが伸長位置から引込み位置の方へ(図8の矢印48の方向に)動かされた時に実質的に同時に起こる。切除フレームが伸長位置にある時にステープル60とステープリング・アンビル54が切除開口の対向する側に配置されていることによって、好ましくは、ここで述べたような切除フレームの引込み位置への移動がステープル60をステープリング・アンビル54に強く接触させる。ステープル60とステープリング・アンビル54は協同動作して、切除フレームが伸長位置から引込み位置の方へ動かされると、切除開口を通って延びた組織をステープルで綴じる。
【0064】
ステープル60は、アンビル面54によって変形されるように示されているが、本発明に係るデバイスによっては、ステープルが他のメカニズムによって変形されることもあることは理解されるであろう。例えばステープルは、物理的な力が加わらなくても変形する形状記憶物質(例えば、Nitinolなど)から作られていてもよい。
【0065】
図9及び10は、本発明の装置に組み込むことができるオプションとしての別の特徴を示す。これは、複数の切除部位へ送達するために複数セットのステープルを貯えることができるステープル・カートリッジの形をしている。カートリッジ70は、二つのチャンネル72と74に配置されたステープル60を備えている。カートリッジ70は二つのチャンネルしか含まないが、本発明に係るカートリッジは二つより多くのチャンネルでステープルを備えていることができることは言うまでもない。
【0066】
ステープル60は、好ましくは、チャンネル72と74のそれぞれに、チャンネルの長手軸線73に対して鋭角に傾くように配置される(図10参照)。各チャンネルはまた、好ましくは、ステープル60をチャンネルの開いた端の方へ付勢するようになっている部材76を備えている。部材76は、弾性部材(例えば、ばね、エラストマー物品、など)、油圧又は空気圧、ラチェット機構、などによってステープルの方向に付勢できる。ステープル60をカートリッジ70から小出しする時に、部材76を用いてステープル60をチャンネルの開口の方へ進めることができる。
【0067】
図11及び16は、本発明に関連して使用できる別の切除デバイスを示す。切除デバイス100は、好ましくは、ここで説明するような“インサイド−アウト” 切除処置に関連して用いられる。
【0068】
デバイス100は、外側シース102,内側シース104,及びコア106を備えている。内側シース104と外側シース102は軸方向で(すなわち、長さ方向で)互いに対して可動である、例えば内側シース104が外側シース102の管腔内部で動く。コア106は内側シース104の管腔内部で内側シース104に対して軸方向で可動である。
【0069】
デバイス100はまた、組織を切断するために設けられた一本以上のワイヤ108を備えている。図示されたデバイスは二本の切除ワイヤ108を備えているが、本発明のデバイスは切除ワイヤを一本しか含まないことも、三本以上の切除ワイヤを備えていることもある。切除ワイヤ108は、コア106の先端107に取り付けられる。切除ワイヤ108の基端は内側シース104に、好ましくは内側シース104の先端105の近くに取り付けられる。あるいはまた、切除ワイヤ108が選択された切除部位へ外側シースを進めるのにあまり妨げにならない限り、切除ワイヤ108の基端は外側シース102に取り付けてもよい。
【0070】
切除ワイヤ108は、好ましくは公知の電気外科技術にしたがってワイヤに供給される電気エネルギーを用いて組織を切断することができる。そのため、デバイス100はデバイスの基端(図示せず)から先端(図示)へ延びている導体を備えていることが好ましい。導体は、ワイヤ、シース内又はその上に形成された電気配線、などの形をとることができる。
【0071】
図11に示されているように、選択された箇所までデバイス100を進める間、内側シース104,コア106,及び切除ワイヤ108は外側シース102の内部に引っ込めることが好ましい。その位置に達したら、外側シース102と内側シース104は、好ましくは、内側シース104が外側シース102から外へ延びているように操作される(例えば、図12参照)。
【0072】
コア106が内側シース104から外へ完全に延ばされた時に、好ましくは、切除ワイヤ108がコア106のすぐ近くにある。しかし、コア104の先端105とコア106の先端107は共に動かされるので、切除ワイヤ108は、それらの端が内側シース104とコア106に固定されて取り付けられているので、図12及び13に示されるようにコア106から半径方向外向きに動くことが好ましい。
【0073】
二本の切除ワイヤ108を備えているデバイス100では、図14及び15に最も良く見られるように、ワイヤ108はコア106のまわりで周方向にずれていることが好ましい。切除ワイヤ108の間のずれは度で測ることができ、切除ワイヤ108は、約30度以上、45度以上、又は90度以上である角度α(アルファ)だけずれていることが好ましい。
【0074】
図16は、ブレブの粘膜下スペースの内部で展開されたデバイス100を示す。デバイス100は、好ましくは、ブレブを形成している組織を貫いて、切除ワイヤ108を有するコア106が粘膜下スペースの内部で展開することができる。いったんその位置に達したら、好ましくはコア106と内側シース104を操作して、コア106から切除ワイヤ108が半径方向外向きに延びて分離された粘膜組織に接触し切断するようにする。ここで述べているように、電気エネルギーをワイヤ108に供給して切断を助けることが好ましい。
【0075】
実施形態によっては、切除ワイヤ108は形状記憶金属(例えば、ニッケル・チタン合金、など)で構成し、ワイヤ108の温度に基づいて切除ワイヤ108の形をさらに変えることができるようにすることが好ましい。例えば、ワイヤ108が電気外科処置の際に昇温する場合、その温度上昇を有利に利用してワイヤ108の高さを増大させる、又は選ばれたいろいろな形をワイヤ108にとらせることができる。
【0076】
図17〜23は、本発明に関連して使用できる別の切除デバイスを示す。好ましくは、切除デバイス200はまた、ここで説明するような“インサイド−アウト”切除処置に関連して使用される。
【0077】
デバイス200は、先端203を有する細長体202を備えている。細長体202の先端203にはカッティングヘッド210が取り付けられている。好ましくは、カッティングヘッド210は、好ましくは図17に見られるようなフィンの形をしたカッティング部材212を備えている。好ましくは、カッティング部材212は組織を切断する適合するエッジ214を備えている。送達及び組織の選択的切断を助けるために、カッティング部材212は、例えば選択された箇所へのデバイス200の送達の間、エッジ214をカッティングヘッドに引き込むように格納可能であることが好ましい(カッティング部材212をカッティングヘッド210に引っ込めた状態のデバイス200を示している図18を参照)。図示された実施形態では、カッティング部材212は好ましくはカッティングヘッド210におけるピン211のまわりで回転する。
【0078】
好ましくは、カッティング部材212は、組織を切断する時にカッティング・エッジを助けるために電気エネルギーが供給される電気外科カッティング・デバイスとして使用するのに適合する。カッティング部材212に電気エネルギーを供給するために、導体をカッティング部材212に操作的に結合することが好ましい。導体は、好ましくは、細長体202に沿って基端方向に電源まで延びている。
【0079】
カッティングヘッド210はまた、好ましくは、ブレブを形成する組織を穿刺する時にデバイス200を助けるための穿刺ワイヤ216又はその他の穿刺構造を備えている。穿刺ワイヤ216は、好ましくは、比較的太いモノフィラメント・ポリマー又はその他の構造である。細長体202を選択された箇所まで進める時に組織の不必要な穿刺を防ぐために、穿刺ワイヤ216(又はその他の構造)は、好ましくは、カッティングヘッド210内に引っ込めることができる。
【0080】
図20〜23は、ブレブに関連したデバイス200の使用を示す。図20では、デバイス200は、穿刺ワイヤ216がブレブの組織を穿刺するように進められる。カッティング部材212は、好ましくは、図20に見られるようにカッティングヘッド210内に引込み位置にある。
【0081】
図21はブレブに挿入された後のデバイス200を示しており、カッティングヘッド210がブレブ内に形成された粘膜下スペースに完全に挿入されている。穿刺ワイヤ216はカッティングヘッド210に引っ込められた状態で示されているが、処置のこの時点では穿刺ワイヤ216は必ずしも引っ込められていなくてもよい。
【0082】
図22は、カッティング部材212がカッティングヘッド210から延ばされた状態のデバイス200を示す。カッティング部材212は、また、ブレブの組織へのカットを開始した状態で示されている。図23は、細長体202と取り付けられたカッティング部材212を備えているカッティングヘッド210が基端方向へ引っ込められて(すなわち、挿入の時に形成された開口を通ってブレブから出てゆき)ブレブの一部を成す組織が切断された後の粘膜下スペースにおけるカッティングヘッド210を示す。所望量の組織が切断された後、別の切断動作のためにカッティングヘッド210を再び粘膜下スペースの内部に入れることができる。
【0083】
図24〜29は、本発明に関連して使用できる別の切除デバイスを示す。この切除デバイスもまた、好ましくは、ここで説明するような“インサイド−アウト”切除処置に関連して用いられる。
【0084】
図24は、ある切除デバイス300’を示す斜視図である。この切除デバイス300’は、先端にカッティングヘッドを有する細長体302’を備え、先端はジョー(jaws)310’と312’を備え、それらは両方共軸311’のまわりに蝶番結合されている。ジョー310’は、好ましくは内側表面321’上にカッティング部材320’を備え、ジョー312’は、好ましくは内側表面323’上にカッティング部材322’を備えている。場合によっては、一方のジョーだけにカッティング部材を設けるだけで十分であり、他方のジョーは、例えば対向するジョーが切断動作する際にそれを受ける表面になる。さらにジョー310’と312’は、単一の刃の形のカッティング部材320’と322’を備えているが、本発明に関連して使用されるカッティング部材は、所望の組織切断を可能にするどんな所望の形態又は形であってもよいことは理解されるであろう。
【0085】
カッティング部材320’と322’は、好ましくは、電気外科カッティングに電気エネルギーを用いて、当業者に公知のように組織切除を助ける。カッティングに電気エネルギーを用いる場合、好ましくは、必要な電気エネルギーをカッティング部材に送給するために導体が設けられる。電気導体は、好ましくは、細長体に沿って基端(図示せず)から先端まで延びている。
【0086】
切除デバイス300’に関連して示された一つの特徴は、二つのジョー310’と312’は蝶番又はその他の仕方で細長体302’に対して回転できるということである。切除デバイス300’のある変形例では、一方のジョーだけが蝶番で回転できるようになっている。そのような実施形態が図25〜29に示されている。その実施形態では、好ましくは、切除デバイス300は細長体302の先端303に対して回転しないジョー310を備えている。しかし、対向するジョー312は、好ましくは軸311のまわりで回転して、ジョー310と312は、開いた位置(図25に見られる)から閉じた位置(図27に見られる)に動かされ、ジョーはそれらの間にある組織を切断するように合わせられる。
【0087】
デバイス300のジョー310と312の一方又は両方は、組織、例えばブレブを形成する組織を穿刺できるような形又は構造を有することが好ましい。図示された実施形態では、ジョー310は好ましくは、細長体302の先にあり、好ましくは組織を穿刺するのに適合するチップ(tip)314を備えている。場合によっては、組織穿刺は電気外科エネルギーによって助けられるが、別の場合には穿刺は純然たる機械的作用である。
【0088】
図26は組織穿刺チップ314を用いてデバイス300のジョー310がブレブに挿入されている使用中のデバイス300を示す。ジョー312は、好ましくは、ジョー310から離れる方向に回転されて二つのジョーが開いた位置になる。デバイス300が先端方向に進められると、ジョー310はますます大きくブレブの粘膜下スペースに挿入される。
【0089】
図27は、ジョー310と312の間にある組織を切断できるように、デバイス300のジョー310と312が閉じた位置にある状態を示す。図28は、デバイス300を取り去った後、そこに切り込みが形成されたブレブを示す。図29は、例えばブレブ内部で持ち上げられた組織の除去を助けるためにブレブの別の側面を切断するために、ブレブに対して再び配置されたデバイス300を示す。
【0090】
図30〜33は、本発明に関連して使用できる別の切除デバイスを示す。デバイス400は、細長体402と細長体402の先端403に取り付けられたキャップ410を備えている。キャップ410は、好ましくは、二つの縁がカッティング部材412を備えているスコップの形である。カッティング部材412は、好ましくは、細長体402の先端403の片側に取り付けられた基端を備えている。カッティング部材412はまた、好ましくは、キャップ410に取り付けられた先端を備え、先端はキャップ410のチップ414に収束する。
【0091】
カッティング部材412は、好ましくは、電気外科カッティング動作で電気エネルギーを用いて、当業者に公知のように組織切除を助ける。カッティング動作で電気エネルギーを用いる場合、好ましくは、必要な電気エネルギーをカッティング部材に送給するために導体が設けられる。電気導体は、好ましくは、細長体に沿って基端(図示せず)から先端403まで延びている。キャップ410の反対側に配置されたカッティング部材412は互いに電気的に隔離して、各カッティング部材412のカッティング動作を(電気外科的に補強する場合)独立に制御できるようにすることが好ましい。
【0092】
図31〜33は、ブレブ内部で持ち上げられた組織の切除に使用しているデバイス400を示す。キャップ410の略スコップ形状は、好ましくは、シャベルと同様の仕方でキャップ410に取り付けられたカッティング部材412と組織を接触した状態に保持するのに役立つ。キャップ410は、ブレブの組織の最初の貫通と穿刺を助けるように比較的鋭いチップ(尖端)を有することが好ましい。
【0093】
ここで説明するように、ブレブの粘膜下スペース内に切除バリアを設けることが有益になることがある。切除バリアは、従来の切除デバイス及び/又は本発明の切除デバイスの少なくともいくつかに関連して使用できる。
【0094】
ある例示的な実施形態では、切除バリアは、熱したパラフィンをブレブの粘膜下スペースに注入し、パラフィンを固化する温度まで放置冷却させることによって形成できる。図34は、熱したパラフィンを粘膜下スペースに注入するための一つの可能な装置を示し、図35は、図34の装置で使用できるパラフィンのスティック520を示す斜視図である。
【0095】
本発明に関連して用いられるパラフィンは、好ましくは、無菌の医療用パラフィンである。医療用パラフィンは、融点が摂氏65度で、組織と接触していると急速に冷却/固化する。さらに、例えば、融点を下げるため(例えば、乳化剤)、可視性を高めるため(例えば、着色剤)などの目的でパラフィンに一種以上の物質を組み込むことが望ましい場合がある。
【0096】
デバイス500は、従来のホットグルー・ガンの一般的な形をしており、好ましくは、加熱チャンバ502と、パラフィンを加熱チャンバ502からオリフィス506を通して押し出すプランジャー504を備えている。その後、熱せられたパラフィンはチャンネル507を通ってポート508に達する。
【0097】
送達デバイス510(好ましくは、例えばニードルの形)が、好ましくはポート508に取り付けられている。送達デバイス510は、好ましくは管腔を備え、それを通って熱せられたパラフィンが先端512に進む。送達デバイスの先端512は組織、例えばブレブの組織、を穿刺するのに適合していることが好ましい。
【0098】
送達デバイス510は、管腔を通る熱せられたパラフィンの温度があるレベルに維持され、管腔内でパラフィンが固化する(そして粘膜下スペースに熱せられたパラフィンが送達されるのを妨げる)ことを防止するように、管腔に熱を供給する手段を備えていることが好ましい。場合によっては、加熱手段は、電気抵抗ヒーター、送達デバイスにポンプで送られる熱せられた流体を受ける流体チャンバ、RF又はマイクロ波エネルギーを熱エネルギーに変換するRF又はマイクロ波加熱エレメント、などによって与えられる。管腔を加熱することに代わる手段として、送達デバイスは、好ましくは、デバイスの正常な使用の間に熱せられたパラフィンが固化しないように管腔のまわりに十分な断熱設備を備える。
【0099】
図36〜40は、組織を除去するために使用できる別の装置を示す。除去される組織は、ここで説明したように気体、液体、又は固体物質を用いて形成された粘膜下クッションを用いて持ち上げても持ち上げなくてもよい。装置600は、先端612と基端(図示せず)を備えている管状体610を備えている。使用時には、先端612は、好ましくは、切除すべき組織まで進められ、基端は患者の体の外側に残され、そこで操作される。管状体610は、好ましくは、例えば内視鏡である。管状体610は、好ましくは、チャンネルを備え、そこにスプレッダーシース620が配置される。スプレッダーシース620は管腔を備え、そこに切除デバイス630が配置される。管腔はシース620の長さ(長手軸線)に沿って延び、スプレッダーシース620の先端に開口を有する。切除デバイス630は、スプレッダーシース620の管腔内で先端の方及び基端の方へ軸方向に可動であり、切除デバイス620は先端方向でスプレッダーシース620の管腔の開口から外へ進めることができる。
【0100】
展開された形態のスプレッダーシース620が、自身のシース630を通って進められたスネア640の形の切除デバイスと共に図36に示されている。図37〜40は、引き続く展開段階にある装置600を示す。図36に眼を向けると、スプレッダーシース620は先端(図示)と基端(図示せず)を備えている。スプレッダーシース620の先端は、好ましくは、スプレッダーアーム622と624を備え、スプレッダーアーム622と624は、スプレッダーアームが長手軸線602と整列している閉じた位置(図37参照)とスプレッダーアーム622と624がそれぞれ長手軸線602と角度β(ベータ)を成す開いた位置(例えば、図40に示されているような位置)の間で可動である。各スプレッダーアーム622と624が長手軸線602と成す角度は、少なくとも15度、場合によっては少なくとも30度、別の場合には少なくとも45度、であることが好ましい。
【0101】
スプレッダーアーム622と624は、例えば図37に示されているように、管状部材610のチャンネル内にある時は閉じた位置に配置される。長手軸線602に沿って先端方向で管状部材610から出てゆくスプレッダーシース620の軸方向の動きが、図37〜40のシリーズに示されるように、スプレッダーアーム622と624が開いた形態をとることを可能にすることが好ましい。開いた形態で、スプレッダーアーム622と624は、例えば、約1.5センチメーターの長さを有し、スプレッダーアーム622と624に近いスプレッダーシース620は10 Frenchのサイズを有することが好ましい。スプレッダーアーム622と624は、好ましくは、90度以上の挟角まで(各スプレッダーアームがデバイスに規定された長手軸線から45度外れた位置まで動いて)開くことができる。
【0102】
スプレッダーアーム622と624は、管状部材610のチャンネル内部で拘束されていない時には、開いた形態に付勢されることが好ましい。この付勢は、例えば、弾性部材、形状記憶金属(例えば、ニッケル・チタン合金、ポリマー、など)、機械的ばね(例えば、リーフスプリング、コイルばね、など)、ピストン、などの付勢手段によって行われる。スプレッダーアーム622と624は、管状部材610の内部へ(基端方向へ)軸方向で引き戻された時には、閉じた位置に戻ることが好ましい。
【0103】
図36〜40では、両方のスプレッダーアーム622と624は同じように閉じた位置から開いた位置へ動くように図示されているが、全ての実施形態でスプレッダーアーム622と624は同じように動く訳ではないことは理解されるであろう。例えば、ある実施形態では、一方のスプレッダーアームだけが閉じた位置から開いた位置へ動き、他方のアームは静止したままである。
【0104】
図36〜40の実施形態に関連して、自身のシース630を通して送達されるスネア640の形の切除デバイスも示されている。スネア640は、図示の実施形態では、好ましくは、自身のシース630の中にあってスプレッダーシース620の管腔を通して先端方向に進められる。使用時には、スネアシース630は、例えば図39に見られるように、スプレッダーシース620から外へ進められ、続いて、例えば図36及び40に見られるように、スネア640が先端方向にスネアシース630から外へ進められる。好ましくは、スネア640は二つのアーム642と644を備え、それらがスネア640の先端646で結合される。望むなら、スネア640は電気外科エネルギーの助けを借りて組織切除を行うこともできる。
【0105】
図36〜40の装置の一つの可能な用途は、ポリープが結腸の膨起しわ(haustral fold)のすぐ上又は先に見つかった場合のポリープ切除である。そのような状況の一つを図41に示す。既存の切除デバイスを用いた手法によってこのような組織が切除されているが、それでもある種のポリープは依然として除去することが困難である。しかし、図36〜40の装置を用いると、スプレッダーアーム622と624を用いて、膨起しわを押し下げてその位置に保持することができ、ポリープへの視界をクリアにしてスネア640をもっと容易にポリープの回りにかけることができる。また、図36〜40の装置を用いて膨起しわを抑え、その裏側を調べて別のポリープがそこに有るかどうかを決定できる。
【0106】
図42〜46は、組織を除去するために使用できる別の切除デバイスを示す。除去される組織は、ここで説明したように気体、液体、又は固体物質を用いて形成された粘膜下クッションを用いて持ち上げても持ち上げなくてもよい。
【0107】
図42に示されているように、切除デバイス700は、先端712と基端714を有するシース710を備えている。シース710は、好ましくは、先端712で開く管腔を備えている。
【0108】
デバイス700はまた、好ましくは、シース710の管腔内に配置されたスネア720を備えている。スネア720は、好ましくは、シース710の管腔内で先端方向及び基端方向へ軸方向に可動であり、スネア720をシース710の先端712で管腔の開口から外へ先端方向に進めることができる。
【0109】
シース710は、好ましくは、シース710の先端712の近くにアングルつきチップを備えている。アングルつきチップは、基端714からアングルつきチップまでのシース710によって規定される長手軸線702から軸外に向けられたシース710のセクション716を備えている。アングルつきチップを備えているシース710のセクション716は、好ましくは、基端714から先端712までのシース710の全長の10%以下である。
【0110】
アングルつきチップの結果として、スネア720は、シース710の先端712から外へ先端方向に進められた時に、(図43に示されているように)長手軸線702から好ましくは20度以上外れたある角度θ(シータ)でシース710を出てゆく。アングルつきチップを形成するシースのセクション716は、その長さにわたって略真直であるように図示されているが、これは曲がっていても、真直である及び/又は曲がっている複数のセクションから構成されてもよいということは理解されるであろう。それと関わりなく、スネア720がここで述べたように長手軸線702を外れたある角度で出てゆくことが好ましい。
【0111】
アングルつきチップの考えられる利点としては、例えば、両方のコンポーネント(すなわち、シースとスネア)の長手軸線に沿ってスネアがシースを出てゆく従来のシースに比べて、スネア720がシース710を出てゆく時のこわさ(stiffness)が増大することがあげられる。このスネアのこわさの増大は、スネアが図44〜46のシリーズに示されているようにポリープ又は他の組織を輪で囲む能力を向上させる。
【0112】
組織を除去するために使用できる切除デバイスの別の実施形態が図47に示されている。除去しようとする組織は、(ポリープの場合のように)まわりの組織から持ち上げることができる。場合により、組織はここで述べたような気体、液体又は固体物質を用いて形成された粘膜下クッションによって持ち上げられることも、持ち上げられないこともある。
【0113】
切除デバイス800は、先端812と基端814を有するシース810を備えている。シース810は、好ましくは、管腔816を備え、これはシース810の先端812に近い箇所でシース810の側面を通って開いている。しかし、シース810自身は、その先端と基端812と814の間に規定される長手軸線に沿って延びている。対照的に、先端側開口に近い管腔816の先端セクションは、シース810の先端と基端812と814の間に規定される長手軸線から外れた方向に向いている。管腔の側面開口は、シース810の最先端からシース810の全長(先端と基端812と814の間で測られる)の10%以下の範囲内にあることが好ましい。
【0114】
デバイス800はまた、好ましくは、シース810の管腔816内に配置されたスネア820を備えている。スネア820は、好ましくは、管腔816の内部で先端の方及び基端の方へ軸方向に可動であり、スネア820を先端方向へシース810の側面の開口を通って管腔816の開口から外へ進めることができるようになっている。
【0115】
スネア820はシース810の側面を通って出てゆくので、好ましくは、スネア820は長手軸線802と、長手軸線から好ましくは20度以上外れたある角度λ(ラムダ)を成す。アングルつきスネア820の考えられる利点としては、例えば、従来のシースでは両方のコンポーネント(すなわち、シースとスネア)の長手軸線に沿ってスネアがシースを出てゆくのと比べて、スネア820がシース810を出てゆく時のこわさ(stiffness)が増大することがあげられる。このスネア820のこわさの増大は、スネアがポリープ又は他の組織を輪で囲む能力を向上させる。
【0116】
切除デバイスのさらに別の実施形態が図48A〜48C,49A〜49C,及び50A〜50Cに示されている。図48A〜48Cに眼を向けると、切除デバイス900は、スネア920が配置されている管腔を備えているシース910という形をしている。シース910は先端912と基端914を備えている。シース910の管腔は、好ましくは、シースの先端912で開いている。
【0117】
スネア920は、好ましくは、シース910の管腔内で先端の方及び基端の方へ軸方向に可動であり、スネア920は先端912における管腔の開口から外へ先端方向に進めることができるようになっている。スネア920は、図48Aに見られるように、シース910の先端912と基端914によって規定される長手軸線が横たわる平面904内でスネア920が実質的に存在する方向から動くことができることが好ましい。しかし、ここで説明するように、スネアを操作することによってスネア920をこの平面904の上又は下に曲げることができる。例えば、図48Bは、この平面904からある方向に曲がるスネア920を示し、図48Cは、この平面904から反対方向に曲がるスネア920を示している。
【0118】
図48A〜48Cに示された位置の間のスネア920の動きは、シース910の管腔916内のスネアのワイヤ922と924を操作することによって実現される。図49A〜49Cはシース910の先端912と基端914の間の位置におけるワイヤ922と924の向きを示している。図49Aに見られる状態で、ワイヤ922と924は管腔916の内部でニュートラルな向きにある。図49Bでは、ワイヤ922はその軸のまわりに時計回りに回転し、ワイヤ924は反時計回りに回転している。結果は図48Bに示されており、スネア920は平面904に対して上向きに曲がっている。図49Cでは、ワイヤ922と924は逆向きに回転している。すなわち、ワイヤ922は、図49Aのニュートラルな位置から反時計回りに回転し、ワイヤ924は時計回りに回転している。結果は図48Cに示されており、スネア920は平面904に対して下向きに曲がっている。
【0119】
図50A〜50Cは、ここで述べたようにワイヤ922と924を回転させてスネア920の向きをコントロールするために用いられるある装置を示している。この装置は、好ましくは、シース910の基端914の近くに配置されたプランジャー930を備えている。図示されたプランジャー930は、シース910の管腔916を横断してワイヤ922と924の間に配置される。プランジャー930は、好ましくは、リブ932を備え、それがワイヤ922と924と協同動作して、長手軸線902に対して直角方向の(図50A〜50Cでページの外への)プランジャーの動きがワイヤ922と924をそれぞれの長手軸線のまわりに回転させるようになっている。
【0120】
図50A〜50Cはワイヤ922と924を回転させる一つのメカニズムを示しているが、図50A〜50Cに示されたメカニズムの代わりに、多数の他のメカニズムを用いて同じ機能を遂行できる。
【0121】
図51〜54は、バリアシートがブレブの粘膜下スペース内部で展開される本発明の別の例示的な装置及び方法を示す。特に、図51は、粘膜下スペース1002の内部に配置される、好ましくは切除しようとするポリープ又はその他の組織の下に配置されるバリアシート1070を(部分断面図で)示す。バリアシート1070は、好ましくは、中央エリア1072と、好ましくは中央エリア1072の周縁のまわりに延びている持ち上げられたリップ1071を備えている。リップ1071は、中央エリア1072の物質と一体で形成しても、それに取り付けてもよい。さらに、リップ1071は、中央エリア1072の周縁のまわりに連続して延びても、不連続であってもよい。
【0122】
バリアシート1070は、切除処置の際に下にある粘膜下組織を保護するバリアとして機能するように設けられる。組織を除去するために使用される刃などの従来のカッティング器具がバリアシートを容易に穿刺又は切断できないことが好ましい。その結果、好ましくは、バリアシート1070は、下にある組織の壁を穿刺する危険を著しく小さくする。バリアシート1070のその他の考えられる機能としては、例えば、バリアシートの下にある組織に導入された気体、液体、又は発泡物質、などの拡散を減らすこと、切除の際に医師に触知応答を提供すること(それにより、例えば、粘膜下スペースの底面、又は−オプションとしてのリップ1071を用いて−縁の所在についての情報を提供すること)、などがあげられる。
【0123】
場合によっては、本発明のバリアシートは形状記憶性質を示す一種以上の物質から製造することが好ましい。例えば、バリアシート1070のリップ1071は形状記憶物質で製造し、中央エリア1072は形状記憶性質を示す物質又は示さない物質で製造することが好ましい。あるいはまた、中央エリア1072は形状記憶性質を示す物質で製造し、リップ1071は形状記憶性質を示す物質又は示さない物質で製造してもよい。異なる二種以上の物質で製造されるバリアシートは、いろいろな方法で、例えば共押出、共射出成形、インサート成形、などによって製造できる。
【0124】
バリアシート1070を粘膜下スペース1002に送達することは適当などんな方法で遂行してもよい。ある例示的な装置及び方法を図52〜54に関連して説明する。一般に、バリアシート1070は、カテーテル状のデバイスによって、その中にバリアシートをコイル状にして送達することが好ましい。したがって、送達はバリアシート1070を押し又は排出し、粘膜下スペース1002内でそれがほどけるようにすることによって遂行される。
【0125】
コイル状のバリアシート1070は、好ましくは、例えば図52に示されているように送達シース1010の先端1012の近くに配置される。その結果、バリアシート1070を粘膜下スペース1002に挿入する時には、バリアシート1070は好ましくは送達シース1010の管腔1020の内部に配置される。バリアシート1070を展開する時、それは送達シース1010の先端の開口を通してシース1010の管腔1020から外へ出される。バリアシート1070は管腔1020の内部にある時はコイル状形態で保持されているので、管腔1020からバリアシート1070を排出することによってバリアシート1070が粘膜下スペース1002内で広げられる。
【0126】
管腔1020からバリアシート1070を排出するためには多くの異なる方法を用いることができるが、図52に示された例示的な方法は、排出デバイス1080を備え、これが好ましくは先端1012の方へ進んで、先端の方へ(すなわち、シース1010の先端方向へ)進む時に表面1082を用いて管腔1020からバリアシート1070を押し出す。排出デバイス1080は、好ましくは送達シース1010の基端1014の近くに配置されたアクチュエータ1084と操作的に結合される。
【0127】
図52に示されている別のオプショナルな特徴は、シース1010の先端1012が、ブレブの組織などの組織に穿刺又は貫通して、管腔1020の開口が粘膜下スペースの内部に配置され、そこでバリアシート1070を展開できるように成っているということである。あるいはまた、シース1010を他のいろいろな方法及び/又は装置によって粘膜下スペースに挿入してもよい。
【0128】
図52に示されたシース、排出デバイス、アクチュエータ、などは例示的な性質のものであり、本発明のバリアシートを送達し展開できるどんな適当な装置又はメカニズムも用いることができる。
【0129】
本発明のバリアシートに関連した別の変形例が図53及び54に示されている。特に、図53は図52における線53−53に沿ったバリアシート1070とシース1010の断面図である。バリアシート1070は、管腔1020の内部に配置される時は一つのコイルしか含まない。あるいはまた、本発明のバリアシートは他のいろいろな形態で送達シースの管腔内に格納できる。そのような選択肢のひとつが図54の断面図に示されており、そこではバリアシート1170がシース1110の管腔1120内にある時に二つのコイル1174と1176を備えている。コイル1174と1176は、好ましくは、図示されているように反対方向に互いに内側に巻かれている。2コイル形態の考えられるひとつの利点は、粘膜下スペース内でのバリアシート1170のコイルのほどけが図54に示されているような二つの小さなコイルで容易になるということである。
【0130】
本発明のバリアシートはいろいろな異なる物質で製造することができるが、それらの物質は好ましくはここで述べたような機能的特性(例えば、柔軟性及びコイルが巻いたりほどけたりするのに十分な形状記憶性)を有する。いくつかの実施形態では、バリアシートは好ましくは生物吸収性物質で作られる。そのような物質の例としては、例えば、フィルム、織物、不織布、フィルム及び/又は布積層体、などがある。材料物質は、GORE-TEX布、ポリプロピレン、ポリウレタン、などである。バリアシートを作るのに用いる物質は焼灼電流に耐えられる(例えば、導電度が低い)ことが好ましい。好適な物質の例は、例えば米国特許出願第2002/0161114号(Gunatillake et al.)、米国特許第6,080,474号(Oakley et al.)、米国特許第6,021,524号(Wu et al.)、及び米国特許第5,368,930号(Samples)に記載されている。
【0131】
本発明のバリアシートに用いる物質の厚さは、好ましくは、例えば1ミリメーター以下である(場合によっては、例えば腹腔鏡処置などでは、もっと大きい)。バリアシートの全体サイズは選ばれた処置の必要によって異なる、例えば、バリアシートは、場合によってさしわたし10センチメーター以上になることも、さしわたし1センチメーター以下になることもある。
【0132】
組織切除を助けるために使用できるさらに別の装置が図55及び56に示されている。図示された装置は、体内のいろいろな箇所、例えば体管腔(結腸、胃腸、血管、尿道、など)を開いて支えるのに使用できる。ブレブに関連して言うと、図55及び56の装置を用いて、粘膜下スペースを生成するために用いられる気体、液体、又はその他の物質がなくても粘膜下スペースを維持することができる。
【0133】
図示したデバイスは、送達シース1210とケージ1230を備えている。送達シース1210は管腔を備え、管腔は送達シース1210の先端に開口を有する。送達シース1210は、その先端と基端の間に延びている長手軸線を規定する。ケージ1230は、管腔を通って送達シース1210の基端まで延びているアクチュエータと操作的に結合されている。アクチュエータは、好ましくは、ケージ1230を管腔の外へ進めたり、ケージ1230を管腔内部に引っ込めたりするように動くことができる。ケージ1230をシース1210の管腔1220の外へ、例えば組織を支持するために、ケージ1230が広がるように進めることができる。
【0134】
ケージ1230は、先端保持具1234と基端保持具1236の間に延びている支材1232を備えている。基端保持具1236は、好ましくは、装置の基端から操作して、シース1210とケージ1230が基端方向及び先端方向に互いに相対的に動かすことができる。ケージ1230がシース1210の管腔1220から外へ延びているような動きはアクチュエータ1228(図55にその先端が示されている)を用いて遂行される。
【0135】
ケージ1230の支材1232は、好ましくは、管腔1220の内部にある時は抑止された形態にあり、先端方向へ進められて管腔1220の外へ出ると広がった形態になる。図55に示されているような広がった形態では、好ましくは、支材1232はシース1210の長さ方向に延びている長手軸線1202から半径方向外側へ動く。支材1232は、管腔1220の外で展開する時、その膨張を抑制する体内箇所にある時は完全には広がらないことがある。しかし、好ましくは、支材1232がまわりの組織に及ぼす力によって組織は長手軸線1202から外側へ押しやられる。
【0136】
支材1232は全ての方向にほぼ等しく広がるように図示されているが、支材が一つ以上の方向だけに優先的に広がることもできることは理解されるであろう。さらに、支材1232は広がった時に略ベル型になるように図示されているが、それがいろいろな異なる形を取ることもできることは言うまでもない。
【0137】
ケージ1230を広げる膨張力は好ましくは支材自身によって供給され、好ましくは、支材は、送達のためにシース1210の管腔1220内にある時は抑止でき、管腔1220の拘束から解放された時には広がることができる物質から作られる。さらに、支材1232は、管腔1220の外へ進められた後にケージ1230を管腔1220に引き戻すことを可能にする弾性又は弾力性などの物理的特性を有することが好ましい。後退と前進を用いて、例えばブレブの粘膜下スペース内部又は他の選択された箇所で(例えば、結腸、胃腸、血管、尿道、などの体管腔で)ケージ1230のサイズをコントロールできることが好ましい。
【0138】
ケージ1230の支材1232として好適な物質の例は、例えば金属、ポリマー、形状記憶金属、形状記憶ポリマー、などである。先端及び基端保持具1234と1236は同じ物質で作っても異なる物質で作ってもよい。
【0139】
図55及び56に示された装置の別のオプショナルな特徴は、ケージ1230は、広げられたケージ1230の体積へ装置1240を通すことが可能になるように設計できるということである。この装置1240は、例えば撮像デバイス(例えば、結腸鏡、など)、切除デバイス(ケージ1230を囲む又はその中に延びている組織を切除するため)、などである。好ましくは、装置1240は好ましくは送達シース1210の内部で長手方向に可動であり、ケージ1230が広がった形態にある時はケージ1230の中に進めることができる。また、装置1240は基端方向に引っ込めて、装置1240を送達シース1210の中に引き戻すことができることが好ましい。
【0140】
送達シース1210には一つの管腔しか図示されていないが、複数の管腔を設けてケージ1230と装置1240を独立に前進及び後退させることができるようにしてもよいことは理解されるであろう。さらに、装置1240は一つしか図示されていないが、一度に二つ以上の装置をケージの中に進めることができることは言うまでもない。
【0141】
装置のさらに別の変形例が図57に示されている。そこでは、ケージ1330に先端保持具が設けられず、シース1310が引っ込められるとケージ1330の支材1332は先端保持具がないまま広がる。図55に示されているような先端保持具は含まれていないが、それでも支材1232の先端は、望むならば互いに結合することができる。好ましくは、シース1310を先端の方へ進めるとケージ1320がつぶれて、支材1332が(例えば図55及び56の実施形態に関連して上で説明したように)シース1310の内部に再び収容される。
【0142】
図示されていないが、本発明の装置は、ニードル、切除フレーム、ステープル、ジョー、カッティング部材、スネア、などを動かすためにいろいろな異なる作動メカニズムを用いる。アクチュエータは、電磁アクチュエータ、油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、スクリュードライブ、ユーザーによる手動操作のために細長体の長さに延びているプッシュプル・ロッド、などの形をしている。普通、選択される特定の作動メカニズムは医療デバイスの当業者には公知である。さらに、本発明の切除デバイスは、好ましくは、体内箇所への送達のために細長体に取り付けられ、内視鏡を通したり、又は内視鏡に取り付けられたりする。いろいろな切除デバイスを作るために用いられる材料物質は、好ましくは医療デバイスに用いるのに適した材料、例えば金属、ポリマー、複合材料、などである。
【0143】
本明細書及び添付クレームにおいて用いる場合、単数形の“a”、“and,”及び“the”は、単数形にはっきりと限定されている場合又は文脈がそうでないとはっきりと指示する場合を除き、複数の指示対象を備えている。
【0144】
本明細書で引用された全ての参照文献及び刊行物は、この開示に全体が参照によってはっきりと組み込まれる。本発明の例示的な実施形態が説明され、本発明の範囲内で可能な変型例についても言及された。本発明のこれら及びその他の変形や変更は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者には明らかであり、本発明はここで記述された例示的な実施形態に限定されない。したがって、本発明は以下に示される特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】図1は、本発明による粘膜下流体クッション形成の開始を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明による粘膜下流体クッションの形成を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明に関連して用いられるある細長体の先端を示す斜視図である。
【図4】図4は、切除フレームが細長体の先端に対して伸長位置にある図3の細長体を示す斜視図である。
【図5】図5は、粘膜下流体クッションが切除開口を通って延びている位置にある切除装置を示す部分断面図である。
【図6】図6は、切除フレームが引込み位置にあり組織を切除して粘膜下流体クッションの上にある病変を除去できる図5の切除装置を示す部分断面図である。
【図7】図7は、本発明に関連して用いられるステープリング装置を示す。
【図8】図8は、図7の線8−8に沿ったステープリング装置の一部の断面図である。
【図9】図9は、本発明に関連して用いられるある例示的なステープル・カートリッジを示す斜視図である。
【図10】図10は、図9のステープル・カートリッジの一部を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明に係るある切除デバイスの部分切り欠き側面図である。
【図12】図12は、内側シースとコアを延ばした状態の図11のデバイスを示す側面図である。
【図13】図13は、コアを部分的に引っ込めた状態の図11及び12のデバイスを示す側面図である。
【図14】図14は、図11〜13に関わるデバイスを示す斜視図であり、デバイスは二本の切除ワイヤを備えている。
【図15】図15は、図14のデバイスに近い先端からの軸方向図である。
【図16】図16は、ブレブ内部の図14及び15のデバイスを示す斜視図である。
【図17】図17は、本発明に係る別の切除デバイスの一部を示す側面図である。
【図18】図18は、カッティング部材を引っ込めた状態の図17の切除デバイスを示す斜視図である。
【図19】図19は、カッティング部材を延ばした状態の図17の切除デバイスを示す斜視図である。
【図20】図20は、図17の切除デバイスを使用するある例示的な方法を示す斜視図である。
【図21】図21は、図17の切除デバイスを使用するある例示的な方法を示す斜視図である。
【図22】図22は、図17の切除デバイスを使用するある例示的な方法を示す斜視図である。
【図23】図23は、図17の切除デバイスを使用するある例示的な方法を示す斜視図である。
【図24】図24は、ジョーが開いた位置にある別の例示的な切除デバイスの一部を示す斜視図である。
【図25】図25は、一つの回転可能なジョーが開いた位置にある別の例示的な切除デバイスを示す側面図である。
【図26】図26は、図25の切除デバイスを使用するある例示的な方法を示す斜視図である。
【図27】図27は、図25の切除デバイスを使用するある例示的な方法を示す斜視図である。
【図28】図28は、図25の切除デバイスを使用するある例示的な方法を示す斜視図である。
【図29】図29は、図25の切除デバイスを使用するある例示的な方法を示す斜視図である。
【図30】図30は、本発明に係る別の切除デバイスの別の例示的な実施形態を示す斜視図である。
【図31】図31は、図30の切除デバイスを使用するある例示的な方法を示す側面図である。
【図32】図32は、図30の切除デバイスを使用するある例示的な方法を示す側面図である。
【図33】図33は、図30の切除デバイスを使用するある例示的な方法を示す側面図である。
【図34】図34は、本発明に係る加熱パラフィンを粘膜下スペースに送達するある例示的なデバイスを示す断面図である。
【図35】図35は、図34のデバイスに関連して使用される一本のパラフィンを示す斜視図である。
【図36】図36は、本発明に係る別の切除装置を示す斜視図である。
【図37】図37は、図36の切除装置の展開におけるいろいろなステージを示す。
【図38】図38は、図36の切除装置の展開におけるいろいろなステージを示す。
【図39】図39は、図36の切除装置の展開におけるいろいろなステージを示す。
【図40】図40は、図36の切除装置の展開におけるいろいろなステージを示す。
【図41】図41は、図36の切除装置を使用するある方法を示す。
【図42】図42は、アングルつきチップを有する別の切除デバイスを示す。
【図43】図43は、アングルつきチップを有する別の切除デバイスを示す。
【図44】図44は、図42及び43の切除デバイスを使用するある方法を示す。
【図45】図45は、図42及び43の切除デバイスを使用するある方法を示す。
【図46】図46は、図42及び43の切除デバイスを使用するある方法を示す。
【図47】図47は、別の切除装置を示す。
【図48A】図48Aは、別の切除デバイスをいろいろな形態で示す。
【図48B】図48Bは、別の切除デバイスをいろいろな形態で示す。
【図48C】図48Cは、別の切除デバイスをいろいろな形態で示す。
【図49A】図49Aは、図48Aのデバイスにおけるスネアにつながるワイヤを示す断面図である。
【図49B】図49Bは、図48Bのデバイスにおけるスネアにつながるワイヤを示す断面図である。
【図49C】図49Cは、図48Cのデバイスにおけるスネアにつながるワイヤを示す断面図である。
【図50A】図50Aは、図48Aの切除デバイスにおけるワイヤの操作に用いられるあるメカニズムを示す。
【図50B】図50Bは、図48Bの切除デバイスにおけるワイヤの操作に用いられるあるメカニズムを示す。
【図50C】図50Cは、図48Cの切除デバイスにおけるワイヤの操作に用いられるあるメカニズムを示す。
【図51】図51は、バリアシートがその中に配置されたブレブを示す断面図である。
【図52】図52は、バリアシートを送達するのに用いられるある装置を示す部分断面図である。
【図53】図53は、図52の線53−53に沿って取られた図52の装置の断面図である。
【図54】図54は、送達シースの管腔内の別のバリアシートを示す断面図である。
【図55】図55は、広げることができるケージ送達装置の一部を示す部分断面図である。
【図56】図56は、図55の線56−56に沿って取られた図55の装置の断面図である。
【図57】図57は、別の広げることができるケージ・デバイスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内臓外科処置に使用する組織制御デバイスであって、前記デバイスは、
管腔を備えている送達シースであって、前記管腔は前記送達シースの先端に開口を備え、前記送達シースはその先端と基端の間に延びている長手軸線を規定する、送達シースと、
前記送達シースの前記管腔内部に配置されたケージであって、前記ケージは基端保持具から先端保持具まで延びている複数の支材を備え、前記ケージは前記管腔内部で可動であり、前記ケージを先端方向に前記管腔の先端開口から外へ進めることができる、ケージとを備え、
前記ケージは、前記管腔内部にある時の抑止された形態と前記管腔の外へ先端方向に進められた時の広がった形態を備え、前記広がった形態で前記支材は前記長手軸線から半径方向外側へ移動することを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記基端保持具は前記送達シースの前記基端の近くに配置されたアクチュエータと操作的に結合され、前記アクチュエータは前記管腔内部で前記ケージを前進又は後退させるように可動であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスは前記送達シース内で長手方向に可動な組織切除装置をさらに備え、前記ケージが広がった形態にある時に前記組織切除装置を前記ケージの中に進めることができることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスは前記送達シース内で長手方向に可動な撮像装置をさらに備え、前記ケージが広がった形態にある時に前記撮像装置を前記ケージの中に進めることができることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
内臓外科処置に使用する組織制御デバイスにおいて、前記デバイスは、
管腔を備えている送達シースであって、前記管腔は前記送達シースの先端に開口を備え、前記送達シースはその先端と基端の間に延びている長手軸線を規定する、送達シースと、
前記送達シースの前記管腔内部に配置されたケージであって、前記ケージは基端保持具から先端方向に延びている複数の支材を備え、前記ケージは前記管腔内部で可動であり、前記ケージを先端方向に前記管腔の先端開口から外へ進めることができる、ケージとを備え、
前記ケージは前記管腔内部にある時の抑止された形態と前記管腔の外へ先端方向に進められた時の広がった形態を備え、前記広がった形態で前記支材は前記長手軸線から半径方向外側へ移動することを特徴とするデバイス。
【請求項6】
前記基端保持具は前記送達シースの前記基端の近くに配置されたアクチュエータと操作的に結合され、前記アクチュエータは前記管腔内部で前記ケージを前進又は後退させるように可動であることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスは前記送達シース内で長手方向に可動な組織切除装置をさらに備え、前記ケージが広がった形態にある時に前記組織切除装置を前記ケージの中に進めることができることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスは前記送達シース内で長手方向に可動な撮像装置をさらに備え、前記ケージが広がった形態にある時に前記撮像装置を前記ケージの中に進めることができることを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記送達シースの先端を体内箇所まで進めた後に前記送達シースから前記ケージを展開させることによって請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイスを使用するステップを備えている方法。
【請求項10】
内視鏡的切除装置において、
基端と先端を備えている細長体と、
前記細長体の先端の近くに配置された切除フレームであって、前記切除フレームは間隔をあけた二つのレールを備え、前記切除フレームは伸長位置と引込み位置を有する、切除フレームと、
前記切除フレームの前記間隔をあけた二つのレールの間に配置されたカッティング器具であって、前記切除フレームが伸長位置にある時に前記カッティング器具は前記細長体の前記先端から移動しており、前記切除フレームの前記引込み位置への動きは前記カッティング器具を前記細長体の前記先端の方へ動かす、カッティング器具と、
前記切除フレームが前記伸長位置にある時に前記間隔をあけた二つのレールと前記カッティング器具によって画定される切除開口であって、前記切除フレームが前記伸長位置から前記引込み位置に動かされると前記切除開口のサイズが減少し、前記切除開口を通って延びている組織が前記カッティング器具によって切断される、切除開口とを備えている、内視鏡的切除装置。
【請求項11】
前記カッティング器具が刃を備えていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記間隔をあけた二つのレールが剛体部材を備えていることを特徴とする請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記切除フレームの前記間隔をあけた二つのレールと前記カッティング器具がU字形状の切除開口を画定することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記細長体の少なくとも一部分を通って延びている流体送達管腔をさらに備え、前記流体送達管腔は前記細長体の前記先端の近くに終端し、前記装置は前記細長体の前記先端の近くで前記流体送達管腔に取り付けられたニードルをさらに備え、
前記ニードルは、前記細長体の前記先端から前記ニードルが延びている注入位置と、前記ニードルが前記細長体の内部に配置されるシース格納位置の間で可動であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記流体送達管腔に結合された流体源をさらに備え、前記流体源が粘膜組織中に粘膜下流体クッションを形成するのに適合した流体を備えていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記流体が液体を備えていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記流体が気体を備えていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項18】
複数のステープルとステープリング台をさらに備え、前記切除フレームが前記伸長位置にある時に前記複数のステープルと前記ステープリング台は切除開口の対向する側に配置され、前記切除フレームの前記引込み位置への動きが前記複数のステープルを前記ステープリング台に強く接触させることを特徴とする請求項10〜17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記切除フレームが前記伸長位置から前記引込み位置に動かされた時に前記複数のステープルと前記ステープリング台が前記切除開口を通って延びている組織をステープルで綴じることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
選択された箇所で粘膜組織を分離する方法において、
対象者の前記粘膜組織の選択された部位を同定するステップと、
前記選択された部位で粘膜下に気体送達管腔の先端を配置するステップと、
前記気体送達管腔の前記先端を通して前記選択された部位で前記粘膜組織に気体を送達するステップとを備え、
前記気体は周囲大気圧より大きな気体圧力で送達され、前記気体が前記粘膜組織を分離して気体で満たされた粘膜下スペースを生成することを特徴とする方法。
【請求項21】
前記気体圧力が140 kPa(20 psig)以上であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記気体が二酸化炭素を含むことを特徴とする請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記気体が本質的に二酸化炭素から成ることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
選択された箇所の周縁に近い粘膜組織の少なくとも一部分に圧力を加えるステップをさらに備えている請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
圧力を加えるステップが前記粘膜組織を請求項10〜19のいずれか1項に記載のデバイスの切除フレームと接触させるステップを備えている請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記気体で満たされた粘膜下スペースにバリア前駆物質を注入するステップをさらに備え、前記バリア前駆物質が硬化して粘膜下バリアを形成することを特徴とする請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記バリア前駆物質が摂氏65度以上の温度のパラフィンを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記粘膜下バリアが固化したパラフィンを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記バリア前駆物質がシアノアクリレート接着剤を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記バリア前駆物質が生体適合性の光硬化物質を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記バリア前駆物質が生体適合性の発泡物質を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項32】
選択された箇所における粘膜組織を分離する方法において、
選択された箇所における粘膜組織に気体を送達するステップであって、前記気体は周囲大気圧より大きな気体圧力で送達され、前記気体が前記粘膜組織を分離して気体で満たされた粘膜下スペースを生成する、ステップと、
前記気体で満たされた粘膜下スペースにバリア前駆物質を注入することによって前記粘膜下スペースに粘膜下バリアを形成するステップ、前記バリア前駆物質が前記粘膜下スペースで硬化して前記粘膜下バリアを生成するステップとを備えている方法。
【請求項33】
前記バリア前駆物質が摂氏65度以上の温度のパラフィンを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記粘膜下バリアが固化したパラフィンを備えていることを特徴とする請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
前記バリア前駆物質がシアノアクリレート接着剤を備えていることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記バリア前駆物質が生体適合性の光硬化物質を備えていることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記バリア前駆物質が生体適合性の発泡物質を備えていることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記気体圧力が140 kPa(20 psig)以上であることを特徴とする請求項32〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記気体が二酸化炭素を含むことを特徴とする請求項32〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記気体が本質的に二酸化炭素から成ることを特徴とする請求項32〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
選択された箇所で組織を切除する方法において、
対象者の粘膜組織における選択された部位を同定するステップと、
流体送達管腔の先端を前記選択された部位で粘膜下に配置するステップと、
前記選択された部位における粘膜組織に前記流体送達管腔の前記先端を通して流体を送達するステップであって、前記流体は周囲大気圧より大きな圧力で送達され、粘膜下流体クッションが前記選択された部位に形成される、ステップと、
前記粘膜下流体クッションの近くに請求項1〜10のいずれかに記載の切除デバイスを配置するステップであって、前記切除フレームは前記伸長位置にあり、前記粘膜下流体クッションが前記切除開口を通って延びている、ステップと、
前記切除デバイスを前記引込み位置に動かすステップであって、前記カッティング器具が前記粘膜下流体クッションの上に持ち上げられた組織を切断する、ステップとを備えている方法。
【請求項42】
前記カッティング器具が刃を備えていることを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記間隔をあけた二つのレールが剛体部材を備えていることを特徴とする請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記切除フレームの前記間隔をあけた二つのレールと前記カッティング器具がU字形状の切除開口を画定することを特徴とする請求項41〜43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記流体を送達するステップが、前記流体送達管腔に取り付けられたニードルを通して前記流体を送達するステップを備え、前記ニードルは、前記細長体の前記先端から前記ニードルが延びている注入位置と、前記ニードルが前記細長体の内部に位置しているシース格納位置の間で可動であることを特徴とする請求項41〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記流体が液体を含むことを特徴とする請求項41〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記流体が気体を含むことを特徴とする請求項41〜45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記切除デバイスを前記引込み位置に動かしながら前記粘膜下流体クッションの上に持ち上げられた組織をステープルで綴じるステップをさらに備えている請求項41〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記切除デバイスが複数のステープルとステープリング台をさらに備え、複数のステープルと前記ステープリング台は、前記切除フレームが前記伸長位置にある時に前記切除開口の対向する側に配置され、前記切除フレームの前記引込み位置への動きが前記複数のステープルを前記ステープリング台に強く接触させることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
パラフィンと、
前記パラフィンを加熱するのに適合した加熱デバイスと、
加熱されたパラフィンを粘膜下の箇所に送達するのに適合した送達デバイスとを備えている粘膜下バリア・キット。
【請求項51】
前記パラフィンが無菌医療用パラフィンを含むことを特徴とする請求項50に記載のキット。
【請求項52】
前記パラフィンが乳化剤を含むことを特徴とする請求項50又は51に記載のキット。
【請求項53】
前記加熱デバイスが、加熱チャンバと、加熱されたパラフィンを前記加熱チャンバにおけるオリフィスを通して前記加熱チャンバから押し出すのに適合したプランジャーを備えていることを特徴とする請求項50〜52のいずれか1項に記載のキット。
【請求項54】
前記送達デバイスが、管腔と、組織を穿刺するのに適合した先端と、前記加熱チャンバのオリフィスと結合するのに適合した基端とを備えたニードルを備えていることを特徴とする請求項53に記載のキット。
【請求項55】
前記送達デバイスが、管腔と、組織を穿刺するのに適合した先端と、加熱されたパラフィンを受けるのに適合した基端とを備えたニードルを備え、前記管腔が前記ニードルの前記基端から前記ニードルの前記先端まで延びていることを特徴とする請求項50に記載のキット。
【請求項56】
前記送達デバイスが、前記送達デバイス中の管腔を加熱する手段を備えていることを特徴とする請求項50〜55のいずれか1項に記載のキット。
【請求項57】
前記送達デバイスが、熱絶縁内部に配置された管腔を備えていることを特徴とする請求項50〜56のいずれか1項に記載のキット。
【請求項58】
粘膜組織分離キットにおいて、
加圧気体源と、
管腔と、組織を穿刺する先端と、前記加圧気体源からの気体を受けるのに適合した基端とを有する無菌気体送達デバイスであって、前記管腔は前記気体送達デバイスの基端から前記管腔が前記気体送達デバイスの先端まで延びている、無菌気体送達デバイスとを備えている、粘膜組織分離キット。
【請求項59】
前記加圧気体源と前記気体送達デバイスの前記基端の間に配置された圧力制御デバイスをさらに備えている請求項58に記載のキット。
【請求項60】
前記気体送達デバイスがニードルを備えることを特徴とする請求項58又は59に記載のキット。
【請求項61】
粘膜下バリア前駆物質と、
前記粘膜下バリア前駆物質を粘膜下の箇所に送達するのに適合した送達デバイスとを備えている請求項58〜60のいずれか1項に記載のキット。
【請求項62】
前記バリア前駆物質がパラフィンを備えていることを特徴とする請求項61に記載のキット。
【請求項63】
前記バリア前駆物質がシアノアクリレート接着剤を備えていることを特徴とする請求項61に記載のキット。
【請求項64】
前記バリア前駆物質が生体適合性の光硬化物質を備えていることを特徴とする請求項61に記載のキット。
【請求項65】
前記バリア前駆物質が生体適合性の発泡物質を備えていることを特徴とする請求項61に記載のキット。
【請求項66】
前記キットが、
パラフィンと、
前記パラフィンを加熱するのに適合した加熱デバイスと、
加熱されたパラフィンを粘膜下の箇所に送達するのに適合した送達デバイスとをさらに備えていることを特徴とする請求項58〜60のいずれか1項に記載のキット。
【請求項67】
前記パラフィンが無菌医療用パラフィンを備えていることを特徴とする請求項66に記載のキット。
【請求項68】
前記パラフィンが乳化剤を備えていることを特徴とする請求項66に記載のキット。
【請求項69】
前記加熱デバイスが、加熱チャンバと、加熱されたパラフィンを前記加熱チャンバにおけるオリフィスを通して前記加熱チャンバから押し出すのに適合したプランジャーとを備えていることを特徴とする請求項66〜68のいずれか1項に記載のキット。
【請求項70】
前記送達デバイスが、管腔と、組織を穿刺するのに適合した先端と、前記加熱チャンバの前記オリフィスと結合するのに適合した基端とを備えたニードルを備えていることを特徴とする請求項69に記載のキット。
【請求項71】
前記送達デバイスが、管腔と、組織を穿刺するのに適合した先端と、加熱されたパラフィンを受けるのに適合した基端とを備えたニードルを備え、前記管腔が前記ニードルの基端から前記ニードルの先端まで延びていることを特徴とする請求項66に記載のキット。
【請求項72】
前記送達デバイスが、前記送達デバイス中の管腔を加熱する手段を備えていることを特徴とする請求項66に記載のキット。
【請求項73】
前記送達デバイスが、熱絶縁内部に配置された管腔を備えていることを特徴とする請求項66に記載のキット。
【請求項74】
組織切除デバイスにおいて、
先端と、前記先端で開いている外側シース管腔と、外側シース基端とを備えている、外側シースと、
前記外側シース管腔内部で動くようになっている内側シースであって、先端と、前記内側シースの前記先端で開いている内側シース管腔とを備えている、内側シースと、
前記内側シース管腔内部で可動であり、かつ先端を備えている、コアと、
前記コアの前記先端に取り付けられた先端と前記内側シースに取り付けられた基端を備えている第一の切除ワイヤ、前記内側シースの前記先端の方への前記コアの前記先端の動きは前記第一の切除ワイヤの一部分を前記コアから半径方向で離れるように動かす、第一の切除ワイヤと、
前記第一の切除ワイヤに操作的に結合された電気導体であって、電気エネルギーを前記外側シースの前記基端から前記第一の切除ワイヤまで送達できる、電気導体とを備えている組織切除デバイス。
【請求項75】
前記第一の切除ワイヤが形状記憶金属を備えていることを特徴とする請求項74に記載のデバイス。
【請求項76】
前記コアの前記先端に取り付けられた先端と前記内側シースに取り付けられた基端を有する第二の切除ワイヤをさらに備え、前記内側シースの前記先端の方への前記コアの前記先端の動きが、前記第二の切除ワイヤの一部分を前記コアから半径方向で離れるように動かすことを特徴とする項74又は75に記載のデバイス。
【請求項77】
前記第二の切除ワイヤは前記第一の切除ワイヤから半径方向に30度以上ずれていることを特徴とする請求項76に記載のデバイス。
【請求項78】
前記第二の切除ワイヤは前記第一の切除ワイヤから半径方向に45度以上ずれていることを特徴とする請求項76に記載のデバイス。
【請求項79】
前記第二の切除ワイヤは前記第一の切除ワイヤから半径方向に90度ずれていることを特徴とする請求項76に記載のデバイス。
【請求項80】
組織切除デバイスにおいて、
先端及び基端を備えている細長体と、
前記細長体の前記先端に取り付けられたカッティングヘッドであって、前記カッティングヘッドはカッティングフィンを備え、前記カッティングフィンは、前記カッティングフィンが前記細長体の内部に位置する引込み位置と、前記カッティングフィンが前記カッティングヘッドから延びている伸長位置を有する、カッティングヘッドとを備え、
前記カッティングフィンが前記伸長位置にある時、前記細長体と前記カッティングヘッドを前記基端方向へ引くと前記カッティングフィンが組織を切断することを特徴とする組織切除デバイス。
【請求項81】
前記カッティングフィンが電気外科切除装置を備え、前記デバイスは前記カッティングフィンに操作的に取り付けられた電気導体を備え、前記電気導体が前記カッティングフィンに電気エネルギーを送達できることを特徴とする請求項80に記載のデバイス。
【請求項82】
前記デバイスは前記カッティングヘッドの近くに配置された穿刺構造を備え、前記細長体が前記先端方向へ進められると前記穿刺構造が組織を穿刺するようになっていることを特徴とする請求項80又は81に記載のデバイス。
【請求項83】
前記穿刺構造は前記カッティングヘッドから延びている穿刺ワイヤを備えていることを特徴とする請求項82に記載のデバイス。
【請求項84】
組織切除デバイスにおいて、
先端及び基端を備えている細長体と、
前記細長体の前記先端に取り付けられた蝶番付き切除装置であって、前記蝶番付き切除装置は第一及び第二のジョーを備え、前記第一及び第二のジョーの少なくとも一方のジョーは回転できて、前記第一及び第二のジョーは、組織を前記第一及び第二のジョーの間に配置できる開いた位置と前記第一及び第二のジョーの内側表面が前記第一及び第二のジョーの間に配置された組織と接触する閉じた位置を有する、蝶番付き切除装置と、
前記第一及び第二のジョーの一方又は両方の内側表面に配置された少なくとも一つの電気外科カッティング部材であって、前記第一及び第二のジョーの間に配置された組織を前記カッティング部材によって切断できる、少なくとも一つの電気外科カッティング部材とを備え、
前記第一及び第二のジョーの少なくとも一方が組織穿刺ジョーを備え、前記組織穿刺ジョーを先端方向に進めると前記組織穿刺ジョーは組織を穿刺できることを特徴とする組織切除デバイス。
【請求項85】
前記第一及び第二のジョーの両方がそれぞれの内側表面に電気外科カッティング部材を備えていることを特徴とする請求項84に記載のデバイス。
【請求項86】
前記第一及び第二のジョーの両方が前記開いた位置と前記閉じた位置の間で回転できることを特徴とする請求項84又は85に記載のデバイス。
【請求項87】
組織切除デバイスにおいて、
先端と基端を備えている細長体であって、前記先端は第一の側面と前記第一の側面と反対に配置された第二の側面を備えている、細長体と、
前記細長体の前記先端から延びている一対の切除ワイヤであって、前記切除ワイヤの各々は前記細長体の前記先端の前記第一の側面に取り付けられた基端を備え、前記切除ワイヤの各々は先端を備え、前記切除ワイヤの前記先端は前記細長体の前記先端の前記第二の側面の近くで互いに取り付けられる、一対の切除ワイヤを備えている組織切除デバイス。
【請求項88】
組織切除装置において、
管状体であって、前記管状体の先端で開いているチャンネルを備えている管状体と、
先端と基端を有するスプレッダーシースであって、長手軸線が前記シースの前記先端と前記基端の間に延び、前記スプレッダーシースは前記管状体の前記チャンネル内に配置され、前記スプレッダーシースは前記管状体の前記チャンネル内で先端の方及び基端の方へ軸方向に可動である、スプレッダーシースと、
前記スプレッダーシースの前記先端の近くの第一及び第二のスプレッダーアームであって、前記第一のスプレッダーアーム及び前記第二のスプレッダーアームは、前記第一のスプレッダーアーム及び前記第二のスプレッダーアームが前記長手軸線と整列している閉じた位置と前記第一のスプレッダーアーム及び前記第二のスプレッダーアームがそれぞれ前記長手軸線と少なくとも15度の角度を成す開いた位置の間で可動である、第一及び第二のスプレッダーアームとを備え、
前記第一のスプレッダーアーム及び前記第二のスプレッダーアームが前記管状体の前記チャンネル内にある時に前記第一のスプレッダーアーム及び前記第二のスプレッダーアームは前記閉じた位置にあり、
前記第一のスプレッダーアーム及び前記第二のスプレッダーアームが先端の方へ前記管状体の前記チャンネルから外へ進められると前記第一のスプレッダーアーム及び前記第二のスプレッダーアームは前記開いた位置に移動することを特徴とする組織切除装置。
【請求項89】
前記スプレッダーシースは抑止力が存在しない時に前記第一のスプレッダーアームと前記第二のスプレッダーアームを前記開いた位置へ付勢する手段を備えていることを特徴とする請求項88に記載の装置。
【請求項90】
前記装置が、
前記スプレッダーシース中の管腔、前記管腔は前記長手軸線に沿って延び、前記スプレッダーシースの前記先端に開口を有する、管腔と、
前記スプレッダーシース中の前記管腔内部に配置された切除デバイスであって、前記切除デバイスは前記スプレッダーシース中の前記管腔内部で先端の方及び基端の方へ軸方向に可動であり、前記切除デバイスを先端方向に前記管腔の前記開口の外へ進めることができる、切除デバイスとをさらに備えていることを特徴とする請求項88又は89に記載の装置。
【請求項91】
前記切除デバイスがスネアを備えていることを特徴とする請求項90に記載の装置。
【請求項92】
組織切除デバイスにおいて、
基端、先端、及び管腔を有するシースであって、前記管腔は前記シースの前記先端で開いている、シースと、
前記管腔内部に配置されたスネアであって、前記スネアは前記管腔内部で先端の方及び基端の方へ軸方向に可動であり、前記スネアを先端方向に前記管腔の前記開口の外へ進めることができる、スネアとを備え、
前記シースは前記シースの前記先端の近くにアングルつきチップを備え、前記アングルつきチップは前記シースのあるセクションを備え、そのセクションは前記シースの基端から前記シースの前記セクションまでによって規定される長手軸線から外れた方向に向いていることを特徴とする組織切除デバイス。
【請求項93】
前記アングルつきチップのセクションが前記シースの全長の10 %以下であることを特徴とする請求項92に記載のデバイス。
【請求項94】
前記スネアは、先端方向に前記シースの前記先端から外へ進められた時、前記長手軸線から20度以上外れた角度で前記シースを出てゆくことを特徴とする請求項92又は93に記載のデバイス。
【請求項95】
組織切除デバイスにおいて、
基端及び先端を有するシースと、
前記シースに形成された管腔、前記管腔は前記シースの前記先端の近くの箇所で前記シースの側面に先端開口を有する、管腔と、
前記管腔内部に配置されたスネア、前記スネアは前記管腔内部で先端の方及び基端の方へ軸方向に可動であり、前記スネアを先端方向に前記管腔の前記開口の外へ進めることができる、スネアとを備えている組織切除デバイス。
【請求項96】
前記管腔の前記先端開口に近い先端セクションが前記シースの前記基端と前記先端の間に規定される長手軸線から外れた方向に向いていることを特徴とする請求項95に記載のデバイス。
【請求項97】
前記管腔の前記側面における前記先端開口が最も先端から前記シースの全長の10%以下の範囲内に配置されていることを特徴とする請求項95又は96に記載のデバイス。
【請求項98】
前記スネアは、先端方向に前記管腔の前記先端開口から外へ進められた時、前記長手軸線から20度以上外れた角度で前記シースを出てゆくことを特徴とする請求項95〜97のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項99】
組織切除デバイスにおいて、
基端、先端、及び管腔を備えているシースであって、前記管腔は前記シースの前記先端に開口を備えている、シースと、
前記管腔内部に配置されたスネアであって、前記スネアは前記管腔内部で先端の方及び基端の方へ軸方向に可動であり、前記スネアを先端方向に前記管腔の前記開口の外へ進めることができ、前記スネアは前記シースの前記先端の近くに終端する一対のワイヤを備え、前記ワイヤは長方形の断面輪郭を有する、スネアと、
前記シースの前記基端の近くに配置されたプランジャーであって、前記プランジャーは前記一対のワイヤの間に配置され、前記プランジャーは前記ワイヤと協同動作するリブを備え、前記シースの長手軸線に対して横方向の前記プランジャーの動きが前記ワイヤをそれぞれの長手軸線のまわりに回転させ、前記ワイヤの回転により前記スネアが前記シースの前記長手軸線から曲がって離れる、プランジャーとを備えていることを特徴とする組織切除デバイス。
【請求項100】
組織切除バリアを設ける方法において、
ブレブの粘膜下スペースにバリアシートを挿入するステップと、
前記粘膜下スペース内部で前記バリアシートを展開するステップであって、前記バリアシートは前記粘膜下スペースの下にある粘膜組織と前記粘膜下スペースの上にある粘膜組織の間に配置される、ステップとを備えている方法。
【請求項101】
前記バリアシートを展開するステップが前記粘膜下スペース内部で前記バリアシートをほどくステップを備えていることを特徴とする請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記バリアシートを前記粘膜下スペースに挿入する時に前記バリアシートが送達シースの管腔内部に配置されることを特徴とする請求項100又は101に記載の方法。
【請求項103】
前記バリアシートが前記送達シースの前記管腔内部で一つ以上のコイルを備えていることを特徴とする請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記バリアシートを展開するステップが前記送達シースの前記管腔の外へ前記バリアシートを移動させるステップを備え、前記粘膜下スペース内部で前記バリアシートがほどけることを特徴とする請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記バリアシートが展開後に前記バリアシートの周縁のまわりで持ち上げられたリップを備えていることを特徴とする請求項100〜104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記バリアシートが生体吸収性物質から構成されることを特徴とする請求項100〜105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記送達シースの前記管腔内部で前記バリアシートの近くに配置された排出デバイスをさらに備えていることを特徴とする請求項102〜106のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
バリアシート展開装置において、
管腔を備えている送達シースであって、前記管腔は前記送達シースの先端に開口を備えている、送達シースと、
前記送達シースの前記管腔内部に配置されたバリアシートであって、前記バリアシートは管腔内にある時に一つ以上のコイルを備えている、バリアシートとを備えているバリアシート展開装置。
【請求項109】
前記送達シースの前記管腔内部で前記バリアシートの近くに配置された排出デバイスをさらに備え、前記排出デバイスが先端方向に進んで前記バリアシートを前記管腔から外へ前記開口を通して押し出すことができることを特徴とする請求項108に記載の装置。
【請求項110】
前記バリアシートが二つ以上のコイルを備え、それらのコイルが反対方向に巻かれていることを特徴とする請求項108又は109に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48A】
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【図48B】
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【図48C】
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【図49A】
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【図49B】
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【図49C】
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【図50A】
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【図50B】
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【図50C】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公表番号】特表2008−544773(P2008−544773A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511377(P2008−511377)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/018322
【国際公開番号】WO2006/122279
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(598091963)マヨ ファウンデーション フォー メディカル エデュケーション アンド リサーチ (17)
【Fターム(参考)】