内部欠陥検査方法及び内部欠陥検査装置
【課題】欠陥検出感度が高く、電磁波照射方向の欠陥寸法も検出できる方法及び装置を提供すること。
【解決手段】検査対象部材を透過する波長のテラヘルツパルス光を該検査対象部材に照射する照射工程と、前記検査対象部材を透過した前記テラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形を検出する検出工程と、を有し、前記電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から前記検査対象部材の内部欠陥を検査することを特徴とする内部欠陥検査方法。
【解決手段】検査対象部材を透過する波長のテラヘルツパルス光を該検査対象部材に照射する照射工程と、前記検査対象部材を透過した前記テラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形を検出する検出工程と、を有し、前記電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から前記検査対象部材の内部欠陥を検査することを特徴とする内部欠陥検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、射出成形、圧縮成形、押出成形等で製造された部材の内部欠陥検査方法及び装置に関する。詳しくは、検査対象部材に電磁波を照射して部材を透過する電磁波の変化から部材内部の欠陥を検査する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂やゴムといった高分子材料、ガラスやセラミックスといった無機材料などからなる部材は、押出成形、射出成形や加圧焼成等で製造される。しかし、製造された部材は、異物混入、材料配合の不均一性、ボイド(空隙)等の内部欠陥をもっている場合がある。
【0003】
これらの欠陥を検査するための従来の方法は、部材を透過する波長の電磁波(テラヘルツ波)を照射し、部材を透過した電磁波の透過強度の変化から欠陥を検査するものである(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−43230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の欠陥検査方法は、断面形状が一定の細長部材(パイプ等)であって、部材を透過した電磁波の透過強度の変化から欠陥を検出するが、透過強度は、内部欠陥だけでなく部材表面状態、部材組成の均一性、等の影響を受けるため、ノイズが多く欠陥検出感度、欠陥検出精度が低かった。また、透過強度は照射方向によって積分されるため、照射方向の欠陥の寸法を知ることができなかった。さらに、従来の欠陥検出方法は、一定断面形状での欠陥の有無は定性的に評価できるが、形状がパイプ形状でない部材の欠陥を定量的に評価することができなかった。従って、欠陥の3次元形状である大きさや形を定量評価することができなかった。
【0005】
本発明は、上記の従来の欠陥検査方法の問題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、欠陥検出感度が高く、電磁波照射方向の欠陥寸法も検査できる方法及び装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、検査対象部材を透過する波長のテラヘルツパルス光を該検査対象部材に照射する照射工程と、前記検査対象部材を透過した前記テラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形を検出する検出工程と、を有し、前記電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から前記検査対象部材の内部欠陥を検査することを特徴とする内部欠陥検査方法である。
【0007】
また、請求項2に係る発明は請求項1の内部欠陥検査方法であって、前記位相情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との時間差であり、前記振幅情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との振幅比であることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に係る発明は請求項1または2の内部欠陥検査方法であって、前記波長は100μm〜3mmであり、前記検査対象部材は高分子材料であることを特徴としている。
【0009】
課題を解決するためになされた請求項4に係る発明は、短パルスレーザ光を発生するレーザ光源と、前記レーザ光源から発生された前記短パルスレーザ光をポンプ光とプローブ光とに分割する光分割手段と、前記光分割手段で分割された前記プローブ光或いは前記ポンプ光の時間遅延を制御する光遅延手段と、前記光分割手段で分割された前記ポンプ光でポンプされて検査対象部材を透過する波長のテラヘルツパルス光を発生するテラヘルツパルス光発生手段と、前記テラヘルツパルス光発生手段から発生された前記テラヘルツパルス光を前記検査対象部材に照射する照射手段と、前記検査対象物材を透過した前記テラヘルツパルス光を受光する受光手段と、前記受光手段で受光した前記テラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形を前記プローブ光で検出する検出手段と、前記電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から前記検査対象部材の内部欠陥を判別する欠陥判別器と、を備えたことを特徴とする内部欠陥検査装置である。
【0010】
また、請求項5に係る発明は請求項4の内部欠陥検査装置であって、前記照射手段の開口数をNA1とし、前記受光手段の開口数をNA2とするとき、NA1<NA2であることを特徴としている。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、請求項4又は5に記載の内部欠陥検出装置であって、前記照射手段の光軸(z軸)と直交する水平軸(x軸)及び或いは垂直軸(y軸)方向に前記検査対象部材を走査する走査手段をさらに備えることを特徴としている。
【0012】
また、請求項7に係る発明は、請求項4ないし6のいずれか1項の内部欠陥検査装置であって、前記位相情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との時間差であり、前記振幅情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との振幅比であることを特徴としている。
【0013】
また、請求項8に係る発明は請求項4ないし7のいずれか1項の内部欠陥検査装置であって、前記テラヘルツパルス光の波長は100μm〜3mmであり、前記検査対象部材は樹脂材料であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明の方法及び装置によれば、以下の効果が得られる。
【0015】
(1)検査対象部材を透過したテラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形の位相情報と振幅情報は、内部欠陥の影響を強く受けるので、欠陥検出感度が高い。
【0016】
(2)内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との時間差及び振幅比は、内部欠陥のみの影響を受けるので、より一層欠陥検出感度が高い。また、上記時間差は、光軸方向(照射方向)の欠陥寸法に依存し、上記振幅比は、光軸方向と直交する横断面における欠陥の寸法に依存するので、時間差から光軸方向の欠陥寸法を、振幅比から光軸方向と直交する横断面における欠陥の寸法を検出することができる。
【0017】
(3)高分子材料は、波長が100μm〜3mmのテラヘルツパルス光に対して透明であり、検査対象部材を透過したテラヘルツパルス光の検出感度が高い。
【0018】
(4)検査対象部材を透過したテラヘルツパルス光を開口数の大きな受光手段で受光するので、検査対象部材と欠陥との屈折率差によってテラヘルツパルス光が散乱されても検査対象部材を透過したテラヘルツパルス光を効率よく受光することができる。
【0019】
(5)検査対象部材を走査する走査手段を備えているので、内部欠陥を3次元的に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
図1は、本発明の内部欠陥検査装置の全体構成図である。この図に示すように、本発明の検査対象部材の内部欠陥検査装置は、レーザ光源1、光分割手段2、光遅延手段3、テラヘルツパルス光発生手段4、照射手段5、走査手段9、受光手段6、検出手段7、欠陥判別器10を備える。また、図1において、M1〜M6は平面鏡、L1〜L3はレンズ、PM1〜PM4は軸外し放物面鏡、W1〜W3は窓である。Kは筐体で、テラヘルツパルス光の光路を外部から隔離する。筐体Kの内部は真空または窒素雰囲気であり、テラヘルツパルス光が空気を構成する分子で吸収されることを防止する。
【0022】
レーザ光源1は、例えば、モードロックファイバレーザ装置で、パルス幅がフェムト秒〜ピコ秒の短パルスレーザ光Lを発生する。例えば、中心波長780nm帯、平均出力20mW、繰り返し周波数50MHz、の小型ファイバレーザが用いられる。
【0023】
光分割手段2は、例えば、ビームスプリッタまたはウェッジプレートであり、短パルスレーザ光Lをポンプ光Puとプローブ光Prとに分割する。
【0024】
光遅延手段3は、例えば、コーナミラーを矢印R1方向(x方向)に移動するステージ(図示せず)に取り付けた装置であり、ポンプ光Puの光路長を制御して遅延時間を走査する。なお、本実施形態の内部欠陥検査装置では、光遅延手段3が、ポンプ光Puの光路中に挿入されているが、プローブ光Prの光路中に挿入されてもよい。
【0025】
テラヘルツパルス光発生手段4は、例えば、低温成長GaAsダイポールアンテナ、InSb結晶、InAs半導体結晶等である。
【0026】
照射手段5は、例えば、軸外し放物面鏡PM1とPM2とからなり、発生手段4から発生されたテラヘルツパルス光Sをコリメートして、検査対象部材8の平行する2面81、82の一方の面81付近に、光軸(z軸)OAが面81、82に直交するように集光する。例えば、軸外し放物面鏡PM1によりコリメートされたテラヘルツパルス光のビーム径は、約15mmであり、これを焦点距離150mmの軸外し放物面鏡PM2 で集光すると、集光径が約2mmになる。従って、照射手段5の開口数、すなわち、検査対象部材に入射されるテラヘルツパルス光の開口数NA1は、約0.05である。
【0027】
走査手段9は、例えば、x軸移動ステージであり、矢印R2方向に検査対象部材8を移動させる。
【0028】
受光手段6は、例えば、軸外し放物面鏡PM3とPM4とからなり、検査対象部材8を透過したテラヘルツパルス光S’をコリメートして、検出手段7に集光する。軸外し放物面鏡PM3 は、焦点距離150mm、口径50mmであり、受光手段6の開口数NA2は、約0.16である。
【0029】
検出手段6は、例えば、電気光学(EO)結晶としてのZnTe結晶61、ウォルストンプリズム62、バランス検出器63を備えている。バランス検出器63は、検査対象部材8を透過したテラヘルツパルス光S’によりZnTe結晶61に誘起される複屈折によって生じるプローブ光Prの偏光回転量を差動増幅機構を用いて抽出する。従って、検出手段6から後述の欠陥判別器7に入力される信号は、図2に示すような電場振幅時間分解波形である。図2は、欠陥の無い検査対象部材8を透過したテラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形である。なお、ZnTe結晶61を例えば、低温成長GaAsダイポールアンテナにし、テラヘルツパルス光を検出する際発生するプローブ光Prによる光起電流を増幅する電流アンプを備えるようにしてもよい。
【0030】
欠陥判別器7は、例えばパソコンであり、検出手段7からの信号を図示しないロックインアンプで増幅した信号を受けて、図2のような電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から欠陥を判別する。
【0031】
次に、本実施形態の内部欠陥検査装置で欠陥を検査する原理を説明する。図3は、図1における検査対象部材8付近の拡大斜視図、図4は図1における検査対象部材8付近の拡大x−z平面視図である。検査対象部材8は、光軸OA方向(z方向)の厚さがl(エル)で、80はy方向に延びる直径2dの円柱状欠陥である。2aは、テラヘルツパルス光Sの光束の光軸方向と直交する横断面における径である。
【0032】
図5は、図4の矢印R2方向(x方向)に検査対象部材8を走査手段9で移動させ、テラヘルツパルス光Sの照射位置xrを変化させたときの電場振幅時間波形(信号と略記する)を模式的に示している。下側のケース1〜ケース4は、テラヘルツパルス光Sの光束が欠陥径以下の場合(2a≦2d)であり、上側のケース5〜ケース8は、テラヘルツパルス光Sの光束が欠陥径より大きい場合(2a>2d)である。横軸のt1に現れる信号は、直径2d1の欠陥を透過したテラヘルツパルス光であり、t2に現れる信号は、直径2d2(ただし、d2<d1)の欠陥を透過したテラヘルツパルス光、t3に現れる信号は欠陥を透過しないテラヘルツパルス光である。
【0033】
まず、電場振幅時間波形の位相情報の一つであるΔt1(=t3−t1)、Δt2(=t3−t2)、Δt3(=t2−t1)と欠陥の光軸方向(z方向)の大きさとの関係を説明する。
【0034】
テラヘルツパルス光の伝搬時間は、光路長を光速度cで割ることで求まり、光路長は伝搬媒質の屈折率n、伝搬距離をl(エル)とすると、nlとなる。従って、検査対象部材の屈折率をn、欠陥部の屈折率をn’とすると、
Δt1=2d1(n−n’)/c (1)
Δt2=2d2(n−n’)/c (2)
Δt3=2(d1−d2)(n−n’)/c (3)
となる。よって、(1)〜(3)式から、nとn’が既知であれば、欠陥のz方向の大きさが求まる。通常、検査対象部材の屈折率nは既知であるが、欠陥部の屈折率n’は不明の場合が多い。その場合は、欠陥の大きさの絶対値は求まらないが、相対値を求めることができる。また、欠陥部がボイドのような空隙であれば、n’=1であるので、大きさの絶対値を求めることができる。
【0035】
次に、電場振幅時間波形の振幅情報の一つであるt1での信号とt3での信号の振幅比、t1での信号とt2での信号の振幅比、と欠陥のx方向の寸法との関係を説明する。
【0036】
まず、ケース5〜ケース7に注目することにする。これらのケースは欠陥のx方向寸法より大きな光束のテラヘルツパルス光を入射させ、検査対象部材をx方向に移動させて、照射位置を変える場合である。ケース5は移動量(オフセット量)がゼロの場合で、欠陥を透過したテラヘルツパルス光の信号S’1(0,d1)と透過しなかった信号S’2(0,d1)とが検出される。ケース7は移動量が大きく、テラヘルツパルス光の全てが欠陥を透過しない場合で、欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光の信号S’(>d1,d1)のみが検出される。ケース6はケース5とケース7の間の場合で、ケース5より欠陥を透過しないテラヘルツパルス光が増えるため、欠陥を透過したテラヘルツパルス光の信号S’1(<d1,d1)の振幅はS’1(0,d1)より小さく、欠陥を透過しない信号S’2(<d1,d1)がその分増え、欠陥を透過した信号S’1と透過しなかった信号S’2との比が欠陥のx方向寸法に依存することがわかる。従って、大きさが既知の欠陥サンプルを用いて、キャリブレーションすることで、振幅比からx方向の寸法を求めることができる。
【0037】
次に、ケース1〜ケース3に注目することにする。これらのケースは欠陥のx方向寸法以下の光束のテラヘルツパルス光を入射させ、検査対象部材をx方向に移動させて、照射位置を変える場合である。ケース1は移動量がゼロの場合で、欠陥を透過したテラヘルツパルス光の信号S’1(0,d1)のみが検出される。ケース2は、移動量が大きく、テラヘルツパルス光の全てが欠陥を透過しない場合で、欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光の信号S’(≧2a,d1)のみが検出される。ケース3はケース1とケース2の間の場合で、欠陥を透過したテラヘルツパルス光の信号S’1(<a,d1)と透過しなかった信号S’2(<a,d1)とが検出される。これらの信号S’1(<a,d1)、S’2(<a,d1)の振幅は、上記ケース5〜ケース7の場合のように、照射位置xrの値、すなわち移動量に依存するため、S’1(<a,d1)とS’2(<a,d1)との振幅比から欠陥のx方向寸法を求めることができる。
【0038】
次に、ケース1とケース8に注目することにする。ケース1は欠陥のx方向寸法以下の光束のテラヘルツパルス光が入射する場合で、この場合、全てのテラヘルツパルス光が欠陥を透過する。それに対して、ケース8は欠陥がケース1の場合より小さく、欠陥のx方向寸法より大きい光束のテラヘルツパルス光が入射する場合であり、この場合、テラヘルツパルス光の一部が欠陥部を透過し、残部が欠陥部を透過しない。その結果、欠陥部を透過するテラヘルツパルス光の信号S’1(0,d2)の振幅は、ケース1の場合の信号S’(0,d1)より小さく、両信号の振幅比が欠陥のx方向寸法に依存することがわかる。従って、大きさが既知の様々な欠陥サンプルを用いて、キャリブレーションすることで、振幅比からx方向の寸法を求めることができる。
【0039】
なお、図6に示すように、検査対象部材8をx’軸と直交するy’軸(紙面に垂直)の周りに回転(矢印R2’)させることにより、非対称な内部欠陥80’の形状を計測すること、すなわちCT計測することができる。
【0040】
光は、屈折率の異なる界面を通過するとき屈折する。例えば、図4のような円柱状の欠陥があると、欠陥検査部材の屈折率が大きい場合、欠陥部と屈折率差が大きくなり、テラヘルツパルス光Sは欠陥部でレンズ作用や臨界角による全反射を受けて、検出手段に到達しなくなる。そこで、以下に欠陥がボイドで欠陥の屈折率n’=1(媒質がなく空気)の場合、検査対象部材の屈折率nがどのくらいであれば、レンズ作用や全反射を回避できるかを説明することにする。
【0041】
図7に空気から媒質中に光が進む場合の屈折角の入射角依存性を示す。直線はn=1の場合を示しており、媒質がない場合(つまり空気があるだけの状態)に相当する。これに対して、n>1の場合、入射角が大きくなるにつれ屈折角が小さくなる傾向にある。この傾向はnが大きいほど顕著である。一般的に、光計測で使用される入射角は0°に近い方が理想的であるが、現実は20°程度まで使用される。この場合、20°入射におけるn=1の直線からのズレ量が50%程度以下であれば、n=1の光学系をそのまま用いても比較的簡単に効率よく計測することができる。従って、n=2以下の媒質、すなわち、検査対象部材の屈折率nがn≦2であることが好ましい。
【0042】
図8に媒質から空気中に光が進む場合の屈折角の入射角依存性を示す。この場合、臨界角が存在する。臨界角は、屈折率が大きいほど小さな入射角にある。n=2では、入射角30°付近で臨界角になる。この場合も30°でのn=1の直線からのズレ量を50%以下に設定すると、n=1の光学系をそのまま用いることが可能になる。従って、図6と同様、n=2以下の媒質であることが好ましい。
【0043】
以上をまとめると、屈折率nがn≦2であれば、透過測定において、検査対象部材による屈折や臨界角による散乱やレンズ作用の影響を少なくして計測することできるようになる。テラヘルツパルス光の波長を100μm〜3mmにし、検査対象部材を高分子材料にすると、n≦2の条件を満たすことができるので、散乱やレンズ作用の影響を少なくして効率よい検査が可能になる。
【0044】
検査対象部材による屈折や臨界角による散乱やレンズ作用の影響を、さらに少なくするためには、以下に説明するように、照射手段の開口数NA1より受光手段の開口数NA2を大きくすればよい。図9は、検査対象部材8から検出手段7のEO結晶71までの光線軌跡を模式的に示している。図9で、θ1は検査対象部材8へ集光照射されるテラヘルツ光Sの開口半角、θ2は受光部材6の開口半角である。また、○は、検査対象部材8がない場合のテラヘルツ光(参照光)の中で最も外側の光路を通る光線、△は、光軸(OA)を通る光線、□は、検査対象部材8の入射面や内部欠陥での界面で屈折により最も外側に曲げられた光線である。検査対象部材を透過したテラヘルツ光の開口数NA1はNA1=nsinθ1、受光部材の開口数NA2はNA2=nsinθ2である。今、上記のように、例えば、NA1=0.05、NA2=0.16の場合、すなわち、NA1<NA2の場合、屈折により曲げられた光線(□)も受光手段で受光することができ、EO結晶に入射される。従って、検査対象部材を透過したテラヘルツ光をロスすることなく受光検出でき、散乱やレンズ作用の影響を全く受けない効率よい検査が可能になる。
【0045】
また、受光手段に軸外し放物面鏡を使用すると、屈折により曲げられた光線(□)、光軸を通る光線(△)、参照光の中で最も外側を通る光線(○)のいずれもが、放物面鏡PM3の焦点から出ているため、これらの光線は軸外し放物面鏡PM4でEO結晶71の上に集光されるとき、必ず同一焦点に位相差なしで到達する。従って、正確な位相情報を検出することができる。その結果、精度の高い欠陥検出ができる。
【実施例1】
【0046】
検査原理の実証試験として、図10に示すような欠陥検査部材を作製し、実験を行った。使用した検査部材は、z方向厚さl=3mmのポリブチレンテレフタレート(PBT)ブロックで、直径2mm(=2d1)と直径1.4mm(=2d2)の穴がy方向にあけられている。
【0047】
まず、図1の内部欠陥検査装置で検査対象部材の屈折率を測定した。図11はテラヘルツパルス光を検出手段6で検出した電場振幅時間分解波形をフーリエ変換して得られたスペクトル強度と位相である。図11で(ロ)は検査対象部材をセットする前のテラヘルツパルス光スペクトル(参照光スペクトル)、(イ)は検査対象部材をセットして検査対象部材を透過後のスペクトル(信号光スペクトル)、(ニ)は参照光位相、(ハ)は信号光位相である。
【0048】
図12は、図11から算出した透過率(ホ)と位相差(ヘ)で、透過率は(信号光強度)/(参照光強度)、位相差は(信号光位相)−(参照光位相)から求められた。図11から、透過率が1THz以上(波長300μm以下)ではほとんどゼロ、すなわちほとんど透過しないことがわかる。連続的に変化していた位相差も1.4THz(波長約200μm)周辺でノイズが増えているが、これは透過率が小さいために解析に必要な信号強度が得られていないことに起因する。従って、この検査対象部材では1.4THzより低周波(波長約200μm以上)の光を透過することがわかる。一方、低周波側でも透過率が1を越える部分が0.2THz以下(波長約1.5mm以上)に出現している。これも信号光強度或いは参照光強度の弱い部分が存在するため、解析処理ができないためと考えられる。従って、以後の解析範囲を0.2THz〜1.4THzに限定する必要がある。
【0049】
図13は上記図12の結果から算出された複素屈折率である。実部(ト)は屈折率、虚部(チ)は吸収係数である。これから、本実施例の検査対称部材の屈折率nは0.2THz〜1.4THz(200μm〜1.5mm)の範囲で約1.85であることがわかる。上記結果では、ノイズの影響やPBT高分子材料の透過率の影響で波長が200μm〜1.5mmのテラヘルツ光の例を示したが、さらにノイズを減らした場合や他の材料を用いた場合では、100μm〜3mmまで測定波長を拡張しても様々な高分子材料では屈折率が約2程度と考えられる。
【0050】
図14は、光束2aが2a=2.5mmのテラヘルツパルス光Sを検査対象部材に照射したときの、透過テラヘルツパルス光S’の電場振幅時間分解波形である。(リ)は、図10に示すように、テラヘルツパルス光Sが大きな欠陥の中心を透過するように照射した場合の電場振幅時間分解波形、(ヌ)は小さな欠陥中心を透過するように照射した場合の電場振幅時間分解波形である。
【0051】
図14からΔt1=5.63psで、(1)式からn=1.85とすると、2d1=2mmと求まる。また、Δt2=3.93psで、(2)式から2d2=1.4mmと求まる。さらに、Δt3=01.69psで、(3)式から2(d1−d2)=0.6mmであることがわかる。すなわち、検査対象部材を透過したテラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形の位相情報から欠陥の光軸方向の寸法を測定できることが立証された。
【実施例2】
【0052】
次に、別の実証試験結果を示す。本実施例は、照射位置xrを一定ピッチでx方向にオフセットする以外は、検査対象部材もテラヘルツパルス光Sの光束も実施例1と同じである。図15は照射位置xrを0.5mmずつオフセットさせて照射する場合の、←・→で示す光束と欠陥の重なり状態を模式的に示している。
【0053】
図16は、2d1=2mmの穴にテラヘルツパルス光Sを照射した場合の透過テラヘルツパルス光S’の電場振幅時間分解波形である。図16において、(ル)はオフセットゼロの場合の電場振幅時間分解波形、(オ)は0.5mmオフセットさせた場合の電場振幅時間分解波形、・・・(タ)は2.5mmオフセットさせた場合の電場振幅時間分解波形である。S’1は欠陥を透過したテラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形、S’2、S’は透過しなかったテラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形である。図16からS’1の振幅Ibを、S’2(S’)の振幅I0を、それぞれ求める。一方、テラヘルツパルス光Sの光束断面積Σと該断面積とオーバラップする欠陥断面積σを幾何学的に求める。図17はIb/I0とσ/Σ関係をプロットしたグラフで、2d1=2mmの穴(○)と2d2=1.4mmの穴(△)が同一曲線に乗り、この曲線をキャリブレーション曲線とすることで、欠陥のx方向の寸法を求めることができる。すなわち、電場振幅時間分解波形の振幅情報から欠陥の光軸方向と直交するx方向の寸法を測定できることが立証された。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の内部欠陥検査装置の全体構成図である。
【図2】電場振幅時間分解波形の一例である。
【図3】図1における検査対象部材8付近の拡大斜視図である。
【図4】図1における検査対象部材8付近の拡大x−z平面視図である。
【図5】図4の矢印R2方向に検査対象部材8を移動させ、テラヘルツパルス光Sの照射位置xrを変化させたときの電場振幅時間波形を模式的に示す図である。
【図6】検査対象部材回転走査して検査する状況を説明する図である。
【図7】光が空気から媒質中に進む場合の屈折角の入射角依存性を示すグラフである。
【図8】光が媒質から空気中に進む場合の屈折角の入射角依存性を示すグラフである。
【図9】検査対象部材から検出手段までの光線軌跡を模式的に示す図である。
【図10】実施例1の欠陥検査部材である。
【図11】テラヘルツパルス光を検出手段6で検出した電場振幅時間分解波形をフーリエ変換して得られたスペクトル強度と位相である。
【図12】図11から算出された透過率と位相差である。
【図13】図12から算出された複素屈折率である。
【図14】実施例1において、光束2aが2a=2.5mmのテラヘルツパルス光Sを検査対象部材に照射したときの、透過テラヘルツパルス光S’の電場振幅時間分解波形である。
【図15】実施例2において、照射位置xrを0.5mmずつオフセットさせて照射する場合の、光束と欠陥の重なり状態を模式的に示す図である。
【図16】実施例2において、2d1=2mmの穴にテラヘルツパルス光Sを照射した場合の透過テラヘルツパルス光S’の電場振幅時間分解波形である。
【図17】電場振幅時間分解波形の振幅比と欠陥断面積/光束断面積の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0055】
1・・・・・・・・・レーザ光源
2・・・・・・・・・光分割手段
3・・・・・・・・・光遅延手段
4・・・・・・・・・テラヘルツパルス光発生手段
5・・・・・・・・・照射手段
6・・・・・・・・・受光手段
7・・・・・・・・・検出手段
8・・・・・・・・・検査対象部材
9・・・・・・・・・走査手段
10・・・・・・・・欠陥判別器
Pu ・・・・・・・ポンプ光
Po ・・・・・・・プローブ光
S、S’・・・・・・テラヘルツパルス光
【技術分野】
【0001】
この発明は、射出成形、圧縮成形、押出成形等で製造された部材の内部欠陥検査方法及び装置に関する。詳しくは、検査対象部材に電磁波を照射して部材を透過する電磁波の変化から部材内部の欠陥を検査する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂やゴムといった高分子材料、ガラスやセラミックスといった無機材料などからなる部材は、押出成形、射出成形や加圧焼成等で製造される。しかし、製造された部材は、異物混入、材料配合の不均一性、ボイド(空隙)等の内部欠陥をもっている場合がある。
【0003】
これらの欠陥を検査するための従来の方法は、部材を透過する波長の電磁波(テラヘルツ波)を照射し、部材を透過した電磁波の透過強度の変化から欠陥を検査するものである(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−43230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の欠陥検査方法は、断面形状が一定の細長部材(パイプ等)であって、部材を透過した電磁波の透過強度の変化から欠陥を検出するが、透過強度は、内部欠陥だけでなく部材表面状態、部材組成の均一性、等の影響を受けるため、ノイズが多く欠陥検出感度、欠陥検出精度が低かった。また、透過強度は照射方向によって積分されるため、照射方向の欠陥の寸法を知ることができなかった。さらに、従来の欠陥検出方法は、一定断面形状での欠陥の有無は定性的に評価できるが、形状がパイプ形状でない部材の欠陥を定量的に評価することができなかった。従って、欠陥の3次元形状である大きさや形を定量評価することができなかった。
【0005】
本発明は、上記の従来の欠陥検査方法の問題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、欠陥検出感度が高く、電磁波照射方向の欠陥寸法も検査できる方法及び装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、検査対象部材を透過する波長のテラヘルツパルス光を該検査対象部材に照射する照射工程と、前記検査対象部材を透過した前記テラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形を検出する検出工程と、を有し、前記電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から前記検査対象部材の内部欠陥を検査することを特徴とする内部欠陥検査方法である。
【0007】
また、請求項2に係る発明は請求項1の内部欠陥検査方法であって、前記位相情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との時間差であり、前記振幅情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との振幅比であることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に係る発明は請求項1または2の内部欠陥検査方法であって、前記波長は100μm〜3mmであり、前記検査対象部材は高分子材料であることを特徴としている。
【0009】
課題を解決するためになされた請求項4に係る発明は、短パルスレーザ光を発生するレーザ光源と、前記レーザ光源から発生された前記短パルスレーザ光をポンプ光とプローブ光とに分割する光分割手段と、前記光分割手段で分割された前記プローブ光或いは前記ポンプ光の時間遅延を制御する光遅延手段と、前記光分割手段で分割された前記ポンプ光でポンプされて検査対象部材を透過する波長のテラヘルツパルス光を発生するテラヘルツパルス光発生手段と、前記テラヘルツパルス光発生手段から発生された前記テラヘルツパルス光を前記検査対象部材に照射する照射手段と、前記検査対象物材を透過した前記テラヘルツパルス光を受光する受光手段と、前記受光手段で受光した前記テラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形を前記プローブ光で検出する検出手段と、前記電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から前記検査対象部材の内部欠陥を判別する欠陥判別器と、を備えたことを特徴とする内部欠陥検査装置である。
【0010】
また、請求項5に係る発明は請求項4の内部欠陥検査装置であって、前記照射手段の開口数をNA1とし、前記受光手段の開口数をNA2とするとき、NA1<NA2であることを特徴としている。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、請求項4又は5に記載の内部欠陥検出装置であって、前記照射手段の光軸(z軸)と直交する水平軸(x軸)及び或いは垂直軸(y軸)方向に前記検査対象部材を走査する走査手段をさらに備えることを特徴としている。
【0012】
また、請求項7に係る発明は、請求項4ないし6のいずれか1項の内部欠陥検査装置であって、前記位相情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との時間差であり、前記振幅情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との振幅比であることを特徴としている。
【0013】
また、請求項8に係る発明は請求項4ないし7のいずれか1項の内部欠陥検査装置であって、前記テラヘルツパルス光の波長は100μm〜3mmであり、前記検査対象部材は樹脂材料であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明の方法及び装置によれば、以下の効果が得られる。
【0015】
(1)検査対象部材を透過したテラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形の位相情報と振幅情報は、内部欠陥の影響を強く受けるので、欠陥検出感度が高い。
【0016】
(2)内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との時間差及び振幅比は、内部欠陥のみの影響を受けるので、より一層欠陥検出感度が高い。また、上記時間差は、光軸方向(照射方向)の欠陥寸法に依存し、上記振幅比は、光軸方向と直交する横断面における欠陥の寸法に依存するので、時間差から光軸方向の欠陥寸法を、振幅比から光軸方向と直交する横断面における欠陥の寸法を検出することができる。
【0017】
(3)高分子材料は、波長が100μm〜3mmのテラヘルツパルス光に対して透明であり、検査対象部材を透過したテラヘルツパルス光の検出感度が高い。
【0018】
(4)検査対象部材を透過したテラヘルツパルス光を開口数の大きな受光手段で受光するので、検査対象部材と欠陥との屈折率差によってテラヘルツパルス光が散乱されても検査対象部材を透過したテラヘルツパルス光を効率よく受光することができる。
【0019】
(5)検査対象部材を走査する走査手段を備えているので、内部欠陥を3次元的に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0021】
図1は、本発明の内部欠陥検査装置の全体構成図である。この図に示すように、本発明の検査対象部材の内部欠陥検査装置は、レーザ光源1、光分割手段2、光遅延手段3、テラヘルツパルス光発生手段4、照射手段5、走査手段9、受光手段6、検出手段7、欠陥判別器10を備える。また、図1において、M1〜M6は平面鏡、L1〜L3はレンズ、PM1〜PM4は軸外し放物面鏡、W1〜W3は窓である。Kは筐体で、テラヘルツパルス光の光路を外部から隔離する。筐体Kの内部は真空または窒素雰囲気であり、テラヘルツパルス光が空気を構成する分子で吸収されることを防止する。
【0022】
レーザ光源1は、例えば、モードロックファイバレーザ装置で、パルス幅がフェムト秒〜ピコ秒の短パルスレーザ光Lを発生する。例えば、中心波長780nm帯、平均出力20mW、繰り返し周波数50MHz、の小型ファイバレーザが用いられる。
【0023】
光分割手段2は、例えば、ビームスプリッタまたはウェッジプレートであり、短パルスレーザ光Lをポンプ光Puとプローブ光Prとに分割する。
【0024】
光遅延手段3は、例えば、コーナミラーを矢印R1方向(x方向)に移動するステージ(図示せず)に取り付けた装置であり、ポンプ光Puの光路長を制御して遅延時間を走査する。なお、本実施形態の内部欠陥検査装置では、光遅延手段3が、ポンプ光Puの光路中に挿入されているが、プローブ光Prの光路中に挿入されてもよい。
【0025】
テラヘルツパルス光発生手段4は、例えば、低温成長GaAsダイポールアンテナ、InSb結晶、InAs半導体結晶等である。
【0026】
照射手段5は、例えば、軸外し放物面鏡PM1とPM2とからなり、発生手段4から発生されたテラヘルツパルス光Sをコリメートして、検査対象部材8の平行する2面81、82の一方の面81付近に、光軸(z軸)OAが面81、82に直交するように集光する。例えば、軸外し放物面鏡PM1によりコリメートされたテラヘルツパルス光のビーム径は、約15mmであり、これを焦点距離150mmの軸外し放物面鏡PM2 で集光すると、集光径が約2mmになる。従って、照射手段5の開口数、すなわち、検査対象部材に入射されるテラヘルツパルス光の開口数NA1は、約0.05である。
【0027】
走査手段9は、例えば、x軸移動ステージであり、矢印R2方向に検査対象部材8を移動させる。
【0028】
受光手段6は、例えば、軸外し放物面鏡PM3とPM4とからなり、検査対象部材8を透過したテラヘルツパルス光S’をコリメートして、検出手段7に集光する。軸外し放物面鏡PM3 は、焦点距離150mm、口径50mmであり、受光手段6の開口数NA2は、約0.16である。
【0029】
検出手段6は、例えば、電気光学(EO)結晶としてのZnTe結晶61、ウォルストンプリズム62、バランス検出器63を備えている。バランス検出器63は、検査対象部材8を透過したテラヘルツパルス光S’によりZnTe結晶61に誘起される複屈折によって生じるプローブ光Prの偏光回転量を差動増幅機構を用いて抽出する。従って、検出手段6から後述の欠陥判別器7に入力される信号は、図2に示すような電場振幅時間分解波形である。図2は、欠陥の無い検査対象部材8を透過したテラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形である。なお、ZnTe結晶61を例えば、低温成長GaAsダイポールアンテナにし、テラヘルツパルス光を検出する際発生するプローブ光Prによる光起電流を増幅する電流アンプを備えるようにしてもよい。
【0030】
欠陥判別器7は、例えばパソコンであり、検出手段7からの信号を図示しないロックインアンプで増幅した信号を受けて、図2のような電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から欠陥を判別する。
【0031】
次に、本実施形態の内部欠陥検査装置で欠陥を検査する原理を説明する。図3は、図1における検査対象部材8付近の拡大斜視図、図4は図1における検査対象部材8付近の拡大x−z平面視図である。検査対象部材8は、光軸OA方向(z方向)の厚さがl(エル)で、80はy方向に延びる直径2dの円柱状欠陥である。2aは、テラヘルツパルス光Sの光束の光軸方向と直交する横断面における径である。
【0032】
図5は、図4の矢印R2方向(x方向)に検査対象部材8を走査手段9で移動させ、テラヘルツパルス光Sの照射位置xrを変化させたときの電場振幅時間波形(信号と略記する)を模式的に示している。下側のケース1〜ケース4は、テラヘルツパルス光Sの光束が欠陥径以下の場合(2a≦2d)であり、上側のケース5〜ケース8は、テラヘルツパルス光Sの光束が欠陥径より大きい場合(2a>2d)である。横軸のt1に現れる信号は、直径2d1の欠陥を透過したテラヘルツパルス光であり、t2に現れる信号は、直径2d2(ただし、d2<d1)の欠陥を透過したテラヘルツパルス光、t3に現れる信号は欠陥を透過しないテラヘルツパルス光である。
【0033】
まず、電場振幅時間波形の位相情報の一つであるΔt1(=t3−t1)、Δt2(=t3−t2)、Δt3(=t2−t1)と欠陥の光軸方向(z方向)の大きさとの関係を説明する。
【0034】
テラヘルツパルス光の伝搬時間は、光路長を光速度cで割ることで求まり、光路長は伝搬媒質の屈折率n、伝搬距離をl(エル)とすると、nlとなる。従って、検査対象部材の屈折率をn、欠陥部の屈折率をn’とすると、
Δt1=2d1(n−n’)/c (1)
Δt2=2d2(n−n’)/c (2)
Δt3=2(d1−d2)(n−n’)/c (3)
となる。よって、(1)〜(3)式から、nとn’が既知であれば、欠陥のz方向の大きさが求まる。通常、検査対象部材の屈折率nは既知であるが、欠陥部の屈折率n’は不明の場合が多い。その場合は、欠陥の大きさの絶対値は求まらないが、相対値を求めることができる。また、欠陥部がボイドのような空隙であれば、n’=1であるので、大きさの絶対値を求めることができる。
【0035】
次に、電場振幅時間波形の振幅情報の一つであるt1での信号とt3での信号の振幅比、t1での信号とt2での信号の振幅比、と欠陥のx方向の寸法との関係を説明する。
【0036】
まず、ケース5〜ケース7に注目することにする。これらのケースは欠陥のx方向寸法より大きな光束のテラヘルツパルス光を入射させ、検査対象部材をx方向に移動させて、照射位置を変える場合である。ケース5は移動量(オフセット量)がゼロの場合で、欠陥を透過したテラヘルツパルス光の信号S’1(0,d1)と透過しなかった信号S’2(0,d1)とが検出される。ケース7は移動量が大きく、テラヘルツパルス光の全てが欠陥を透過しない場合で、欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光の信号S’(>d1,d1)のみが検出される。ケース6はケース5とケース7の間の場合で、ケース5より欠陥を透過しないテラヘルツパルス光が増えるため、欠陥を透過したテラヘルツパルス光の信号S’1(<d1,d1)の振幅はS’1(0,d1)より小さく、欠陥を透過しない信号S’2(<d1,d1)がその分増え、欠陥を透過した信号S’1と透過しなかった信号S’2との比が欠陥のx方向寸法に依存することがわかる。従って、大きさが既知の欠陥サンプルを用いて、キャリブレーションすることで、振幅比からx方向の寸法を求めることができる。
【0037】
次に、ケース1〜ケース3に注目することにする。これらのケースは欠陥のx方向寸法以下の光束のテラヘルツパルス光を入射させ、検査対象部材をx方向に移動させて、照射位置を変える場合である。ケース1は移動量がゼロの場合で、欠陥を透過したテラヘルツパルス光の信号S’1(0,d1)のみが検出される。ケース2は、移動量が大きく、テラヘルツパルス光の全てが欠陥を透過しない場合で、欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光の信号S’(≧2a,d1)のみが検出される。ケース3はケース1とケース2の間の場合で、欠陥を透過したテラヘルツパルス光の信号S’1(<a,d1)と透過しなかった信号S’2(<a,d1)とが検出される。これらの信号S’1(<a,d1)、S’2(<a,d1)の振幅は、上記ケース5〜ケース7の場合のように、照射位置xrの値、すなわち移動量に依存するため、S’1(<a,d1)とS’2(<a,d1)との振幅比から欠陥のx方向寸法を求めることができる。
【0038】
次に、ケース1とケース8に注目することにする。ケース1は欠陥のx方向寸法以下の光束のテラヘルツパルス光が入射する場合で、この場合、全てのテラヘルツパルス光が欠陥を透過する。それに対して、ケース8は欠陥がケース1の場合より小さく、欠陥のx方向寸法より大きい光束のテラヘルツパルス光が入射する場合であり、この場合、テラヘルツパルス光の一部が欠陥部を透過し、残部が欠陥部を透過しない。その結果、欠陥部を透過するテラヘルツパルス光の信号S’1(0,d2)の振幅は、ケース1の場合の信号S’(0,d1)より小さく、両信号の振幅比が欠陥のx方向寸法に依存することがわかる。従って、大きさが既知の様々な欠陥サンプルを用いて、キャリブレーションすることで、振幅比からx方向の寸法を求めることができる。
【0039】
なお、図6に示すように、検査対象部材8をx’軸と直交するy’軸(紙面に垂直)の周りに回転(矢印R2’)させることにより、非対称な内部欠陥80’の形状を計測すること、すなわちCT計測することができる。
【0040】
光は、屈折率の異なる界面を通過するとき屈折する。例えば、図4のような円柱状の欠陥があると、欠陥検査部材の屈折率が大きい場合、欠陥部と屈折率差が大きくなり、テラヘルツパルス光Sは欠陥部でレンズ作用や臨界角による全反射を受けて、検出手段に到達しなくなる。そこで、以下に欠陥がボイドで欠陥の屈折率n’=1(媒質がなく空気)の場合、検査対象部材の屈折率nがどのくらいであれば、レンズ作用や全反射を回避できるかを説明することにする。
【0041】
図7に空気から媒質中に光が進む場合の屈折角の入射角依存性を示す。直線はn=1の場合を示しており、媒質がない場合(つまり空気があるだけの状態)に相当する。これに対して、n>1の場合、入射角が大きくなるにつれ屈折角が小さくなる傾向にある。この傾向はnが大きいほど顕著である。一般的に、光計測で使用される入射角は0°に近い方が理想的であるが、現実は20°程度まで使用される。この場合、20°入射におけるn=1の直線からのズレ量が50%程度以下であれば、n=1の光学系をそのまま用いても比較的簡単に効率よく計測することができる。従って、n=2以下の媒質、すなわち、検査対象部材の屈折率nがn≦2であることが好ましい。
【0042】
図8に媒質から空気中に光が進む場合の屈折角の入射角依存性を示す。この場合、臨界角が存在する。臨界角は、屈折率が大きいほど小さな入射角にある。n=2では、入射角30°付近で臨界角になる。この場合も30°でのn=1の直線からのズレ量を50%以下に設定すると、n=1の光学系をそのまま用いることが可能になる。従って、図6と同様、n=2以下の媒質であることが好ましい。
【0043】
以上をまとめると、屈折率nがn≦2であれば、透過測定において、検査対象部材による屈折や臨界角による散乱やレンズ作用の影響を少なくして計測することできるようになる。テラヘルツパルス光の波長を100μm〜3mmにし、検査対象部材を高分子材料にすると、n≦2の条件を満たすことができるので、散乱やレンズ作用の影響を少なくして効率よい検査が可能になる。
【0044】
検査対象部材による屈折や臨界角による散乱やレンズ作用の影響を、さらに少なくするためには、以下に説明するように、照射手段の開口数NA1より受光手段の開口数NA2を大きくすればよい。図9は、検査対象部材8から検出手段7のEO結晶71までの光線軌跡を模式的に示している。図9で、θ1は検査対象部材8へ集光照射されるテラヘルツ光Sの開口半角、θ2は受光部材6の開口半角である。また、○は、検査対象部材8がない場合のテラヘルツ光(参照光)の中で最も外側の光路を通る光線、△は、光軸(OA)を通る光線、□は、検査対象部材8の入射面や内部欠陥での界面で屈折により最も外側に曲げられた光線である。検査対象部材を透過したテラヘルツ光の開口数NA1はNA1=nsinθ1、受光部材の開口数NA2はNA2=nsinθ2である。今、上記のように、例えば、NA1=0.05、NA2=0.16の場合、すなわち、NA1<NA2の場合、屈折により曲げられた光線(□)も受光手段で受光することができ、EO結晶に入射される。従って、検査対象部材を透過したテラヘルツ光をロスすることなく受光検出でき、散乱やレンズ作用の影響を全く受けない効率よい検査が可能になる。
【0045】
また、受光手段に軸外し放物面鏡を使用すると、屈折により曲げられた光線(□)、光軸を通る光線(△)、参照光の中で最も外側を通る光線(○)のいずれもが、放物面鏡PM3の焦点から出ているため、これらの光線は軸外し放物面鏡PM4でEO結晶71の上に集光されるとき、必ず同一焦点に位相差なしで到達する。従って、正確な位相情報を検出することができる。その結果、精度の高い欠陥検出ができる。
【実施例1】
【0046】
検査原理の実証試験として、図10に示すような欠陥検査部材を作製し、実験を行った。使用した検査部材は、z方向厚さl=3mmのポリブチレンテレフタレート(PBT)ブロックで、直径2mm(=2d1)と直径1.4mm(=2d2)の穴がy方向にあけられている。
【0047】
まず、図1の内部欠陥検査装置で検査対象部材の屈折率を測定した。図11はテラヘルツパルス光を検出手段6で検出した電場振幅時間分解波形をフーリエ変換して得られたスペクトル強度と位相である。図11で(ロ)は検査対象部材をセットする前のテラヘルツパルス光スペクトル(参照光スペクトル)、(イ)は検査対象部材をセットして検査対象部材を透過後のスペクトル(信号光スペクトル)、(ニ)は参照光位相、(ハ)は信号光位相である。
【0048】
図12は、図11から算出した透過率(ホ)と位相差(ヘ)で、透過率は(信号光強度)/(参照光強度)、位相差は(信号光位相)−(参照光位相)から求められた。図11から、透過率が1THz以上(波長300μm以下)ではほとんどゼロ、すなわちほとんど透過しないことがわかる。連続的に変化していた位相差も1.4THz(波長約200μm)周辺でノイズが増えているが、これは透過率が小さいために解析に必要な信号強度が得られていないことに起因する。従って、この検査対象部材では1.4THzより低周波(波長約200μm以上)の光を透過することがわかる。一方、低周波側でも透過率が1を越える部分が0.2THz以下(波長約1.5mm以上)に出現している。これも信号光強度或いは参照光強度の弱い部分が存在するため、解析処理ができないためと考えられる。従って、以後の解析範囲を0.2THz〜1.4THzに限定する必要がある。
【0049】
図13は上記図12の結果から算出された複素屈折率である。実部(ト)は屈折率、虚部(チ)は吸収係数である。これから、本実施例の検査対称部材の屈折率nは0.2THz〜1.4THz(200μm〜1.5mm)の範囲で約1.85であることがわかる。上記結果では、ノイズの影響やPBT高分子材料の透過率の影響で波長が200μm〜1.5mmのテラヘルツ光の例を示したが、さらにノイズを減らした場合や他の材料を用いた場合では、100μm〜3mmまで測定波長を拡張しても様々な高分子材料では屈折率が約2程度と考えられる。
【0050】
図14は、光束2aが2a=2.5mmのテラヘルツパルス光Sを検査対象部材に照射したときの、透過テラヘルツパルス光S’の電場振幅時間分解波形である。(リ)は、図10に示すように、テラヘルツパルス光Sが大きな欠陥の中心を透過するように照射した場合の電場振幅時間分解波形、(ヌ)は小さな欠陥中心を透過するように照射した場合の電場振幅時間分解波形である。
【0051】
図14からΔt1=5.63psで、(1)式からn=1.85とすると、2d1=2mmと求まる。また、Δt2=3.93psで、(2)式から2d2=1.4mmと求まる。さらに、Δt3=01.69psで、(3)式から2(d1−d2)=0.6mmであることがわかる。すなわち、検査対象部材を透過したテラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形の位相情報から欠陥の光軸方向の寸法を測定できることが立証された。
【実施例2】
【0052】
次に、別の実証試験結果を示す。本実施例は、照射位置xrを一定ピッチでx方向にオフセットする以外は、検査対象部材もテラヘルツパルス光Sの光束も実施例1と同じである。図15は照射位置xrを0.5mmずつオフセットさせて照射する場合の、←・→で示す光束と欠陥の重なり状態を模式的に示している。
【0053】
図16は、2d1=2mmの穴にテラヘルツパルス光Sを照射した場合の透過テラヘルツパルス光S’の電場振幅時間分解波形である。図16において、(ル)はオフセットゼロの場合の電場振幅時間分解波形、(オ)は0.5mmオフセットさせた場合の電場振幅時間分解波形、・・・(タ)は2.5mmオフセットさせた場合の電場振幅時間分解波形である。S’1は欠陥を透過したテラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形、S’2、S’は透過しなかったテラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形である。図16からS’1の振幅Ibを、S’2(S’)の振幅I0を、それぞれ求める。一方、テラヘルツパルス光Sの光束断面積Σと該断面積とオーバラップする欠陥断面積σを幾何学的に求める。図17はIb/I0とσ/Σ関係をプロットしたグラフで、2d1=2mmの穴(○)と2d2=1.4mmの穴(△)が同一曲線に乗り、この曲線をキャリブレーション曲線とすることで、欠陥のx方向の寸法を求めることができる。すなわち、電場振幅時間分解波形の振幅情報から欠陥の光軸方向と直交するx方向の寸法を測定できることが立証された。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の内部欠陥検査装置の全体構成図である。
【図2】電場振幅時間分解波形の一例である。
【図3】図1における検査対象部材8付近の拡大斜視図である。
【図4】図1における検査対象部材8付近の拡大x−z平面視図である。
【図5】図4の矢印R2方向に検査対象部材8を移動させ、テラヘルツパルス光Sの照射位置xrを変化させたときの電場振幅時間波形を模式的に示す図である。
【図6】検査対象部材回転走査して検査する状況を説明する図である。
【図7】光が空気から媒質中に進む場合の屈折角の入射角依存性を示すグラフである。
【図8】光が媒質から空気中に進む場合の屈折角の入射角依存性を示すグラフである。
【図9】検査対象部材から検出手段までの光線軌跡を模式的に示す図である。
【図10】実施例1の欠陥検査部材である。
【図11】テラヘルツパルス光を検出手段6で検出した電場振幅時間分解波形をフーリエ変換して得られたスペクトル強度と位相である。
【図12】図11から算出された透過率と位相差である。
【図13】図12から算出された複素屈折率である。
【図14】実施例1において、光束2aが2a=2.5mmのテラヘルツパルス光Sを検査対象部材に照射したときの、透過テラヘルツパルス光S’の電場振幅時間分解波形である。
【図15】実施例2において、照射位置xrを0.5mmずつオフセットさせて照射する場合の、光束と欠陥の重なり状態を模式的に示す図である。
【図16】実施例2において、2d1=2mmの穴にテラヘルツパルス光Sを照射した場合の透過テラヘルツパルス光S’の電場振幅時間分解波形である。
【図17】電場振幅時間分解波形の振幅比と欠陥断面積/光束断面積の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0055】
1・・・・・・・・・レーザ光源
2・・・・・・・・・光分割手段
3・・・・・・・・・光遅延手段
4・・・・・・・・・テラヘルツパルス光発生手段
5・・・・・・・・・照射手段
6・・・・・・・・・受光手段
7・・・・・・・・・検出手段
8・・・・・・・・・検査対象部材
9・・・・・・・・・走査手段
10・・・・・・・・欠陥判別器
Pu ・・・・・・・ポンプ光
Po ・・・・・・・プローブ光
S、S’・・・・・・テラヘルツパルス光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象部材を透過する波長のテラヘルツパルス光を該検査対象部材に照射する照射工程と、
前記検査対象部材を透過した前記テラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形を検出する検出工程と、を有し、
前記電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から前記検査対象部材の内部欠陥を検査することを特徴とする内部欠陥検査方法。
【請求項2】
前記位相情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との時間差であり、前記振幅情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との振幅比であることを特徴とする請求項1に記載の内部欠陥検査方法。
【請求項3】
前記波長は100μm〜3mmであり、前記検査対象部材は高分子材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の内部欠陥検査方法。
【請求項4】
短パルスレーザ光を発生するレーザ光源と、
前記レーザ光源から発生された前記短パルスレーザ光をポンプ光とプローブ光とに分割する光分割手段と、
前記光分割手段で分割された前記プローブ光或いは前記ポンプ光の時間遅延を制御する光遅延手段と、
前記光分割手段で分割された前記ポンプ光でポンプされて検査対象部材を透過する波長のテラヘルツパルス光を発生するテラヘルツパルス光発生手段と、
前記テラヘルツパルス光発生手段から発生された前記テラヘルツパルス光を前記検査対象部材に照射する照射手段と、
前記検査対象物材を透過した前記テラヘルツパルス光を受光する受光手段と、
前記受光手段で受光した前記テラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形を前記プローブ光で検出する検出手段と、
前記電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から前記検査対象部材の内部欠陥を判別する欠陥判別器と、を備えたことを特徴とする内部欠陥検査装置。
【請求項5】
前記照射手段の開口数をNA1とし、前記受光手段の開口数をNA2とするとき、NA1<NA2であることを特徴とする請求項4に記載の内部欠陥検査装置。
【請求項6】
前記照射手段の光軸(z軸)と直交する水平軸(x軸)及び或いは垂直軸(y軸)方向に前記検査対象部材を走査する走査手段をさらに備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の内部欠陥検査装置。
【請求項7】
前記位相情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との時間差であり、前記振幅情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との振幅比であることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の内部欠陥検査装置。
【請求項8】
前記テラヘルツパルス光の波長は100μm〜3mmであり、前記検査対象部材は高分子材料であることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の内部欠陥検査装置。
【請求項1】
検査対象部材を透過する波長のテラヘルツパルス光を該検査対象部材に照射する照射工程と、
前記検査対象部材を透過した前記テラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形を検出する検出工程と、を有し、
前記電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から前記検査対象部材の内部欠陥を検査することを特徴とする内部欠陥検査方法。
【請求項2】
前記位相情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との時間差であり、前記振幅情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との振幅比であることを特徴とする請求項1に記載の内部欠陥検査方法。
【請求項3】
前記波長は100μm〜3mmであり、前記検査対象部材は高分子材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の内部欠陥検査方法。
【請求項4】
短パルスレーザ光を発生するレーザ光源と、
前記レーザ光源から発生された前記短パルスレーザ光をポンプ光とプローブ光とに分割する光分割手段と、
前記光分割手段で分割された前記プローブ光或いは前記ポンプ光の時間遅延を制御する光遅延手段と、
前記光分割手段で分割された前記ポンプ光でポンプされて検査対象部材を透過する波長のテラヘルツパルス光を発生するテラヘルツパルス光発生手段と、
前記テラヘルツパルス光発生手段から発生された前記テラヘルツパルス光を前記検査対象部材に照射する照射手段と、
前記検査対象物材を透過した前記テラヘルツパルス光を受光する受光手段と、
前記受光手段で受光した前記テラヘルツパルス光の電場振幅時間分解波形を前記プローブ光で検出する検出手段と、
前記電場振幅時間分解波形の位相情報及び或いは振幅情報から前記検査対象部材の内部欠陥を判別する欠陥判別器と、を備えたことを特徴とする内部欠陥検査装置。
【請求項5】
前記照射手段の開口数をNA1とし、前記受光手段の開口数をNA2とするとき、NA1<NA2であることを特徴とする請求項4に記載の内部欠陥検査装置。
【請求項6】
前記照射手段の光軸(z軸)と直交する水平軸(x軸)及び或いは垂直軸(y軸)方向に前記検査対象部材を走査する走査手段をさらに備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の内部欠陥検査装置。
【請求項7】
前記位相情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との時間差であり、前記振幅情報が前記内部欠陥を透過したテラヘルツパルス光と前記内部欠陥を透過しなかったテラヘルツパルス光との振幅比であることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の内部欠陥検査装置。
【請求項8】
前記テラヘルツパルス光の波長は100μm〜3mmであり、前記検査対象部材は高分子材料であることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか1項に記載の内部欠陥検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−76159(P2008−76159A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254306(P2006−254306)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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