説明

再封性包装袋

【課題】本発明は、万人に容易に開封でき、かつ再封可能な再封性包装袋を提供することを目的とするものである。
【解決手段】包装袋の開口部に、2枚のフィルムと該フィルムの間に粘着剤層を有するタブシールが包装袋を形成する2枚のフィルムとの間に接着されている開口部を有する包装袋で、前記タブシールの形状が、タブシールの両サイドから中心に向かって徐々に狭くなっていて、さらに、タブシールの開口部の外側で、しかも袋のフィルムに未シール部が設けられていることを特徴とする再封性包装袋であり、前記タブシールが、オレフィン系樹脂からなるフィルムと、ゴム質共重合体と、粘着付与剤の混合物からなる粘着剤と、オレフィン系樹脂からなるフィルムとにより構成されていることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡便で、かつ衛生性に優れた包装袋で、しかも優れた良好な粘着性を有する再封性包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックジッパー等に代わり、再粘着フィルムや再粘着テープ等を用いることで、乾燥や薬剤効果を逃さないようにした包装袋の再封性を可能にした包装袋が提案されている。
【特許文献1】特開2004−122374号公報
【特許文献2】特開2004−83094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記に示すような再粘着フィルム、再粘着テープを開封口に用いることは、粘着剤間の凝集剥離を利用しているため、開封時に加える力を大きくする必要が生じるため、万人に利便性を提供することが難しくなる。また、ジッパーの代替えとして三方シール製袋品に再粘着フィルム若しくは再粘着テープを使用した場合、包装袋の開封口から指などを差し込み開封するため、粘着層の剥離状態が均一にならず、再封時に必要な再粘着強度が得られないという欠点が発生する。
【0004】
そこで本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、万人に容易に開封でき、かつ再封可能な再封性包装袋を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において上記目的を達成するために提供される包装袋は、図1及び図2に示すように、包装袋開封口のサイド部から逆サイド部まで接着されたタブシールを持つ包装袋で、それぞれの角部から開封することができる再粘着性包装袋である。
【0006】
本発明において請求項1は、
包装袋の開口部に、2枚のフィルムと該フィルムの間に粘着剤層を有するタブシールが包装袋を形成する2枚のフィルムとの間に接着されている開口部を有する包装袋で、前記タブシールの形状が、タブシールの両サイドから中心に向かって徐々に狭くなっていて、さらに、タブシールの開口部の外側で、しかも袋のフィルムに未シール部が設けられていることを特徴とする再封性包装袋である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の再封性包装袋において、
前記タブシールが、オレフィン系樹脂からなるフィルムと、ゴム質共重合体及び粘着付与剤の混合物からなる粘着剤と、オレフィン系樹脂からなるフィルムとにより構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の再封性包装袋において、
前記ゴム質共重合体が、スチレンブロックを構成成分の一部とするゴム質ブロック共重合体またはエチレンを必須成分として得られたゴム質共重合体のいずれかであり、粘着付与剤がロジン樹脂、テンペン樹脂、石油樹脂のいずれか、またはその組み合わせであることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の再封性包装袋において、
前記タブシールが、オレフィン系樹脂からなるフィルムと、粘着剤層と、基材層と、オレフィン系樹脂からなるフィルムからなることを特徴とするものである。
【0010】
さらに請求項5の発明は、請求項1乃至は請求項4に記載の再封性包装袋において、
前記粘着剤層が、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、αβ不飽和カルボン酸変性エチレン重合体のいずれか、またはこれらのブレンド樹脂からなり、基材層がスチレン系エラストマーからなることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6の発明は、
ハップ剤が、請求項1から請求項5のいずれかに包装されていることを特徴とする再封性包装袋である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の再封性包装袋は、未シール部を開き、図1及び図2のいずれかのサイド部(角部)から中央部に向かって開封することにより粘着層の剥離のきっかけが容易に形成され、その後の開封が容易に行うことができる。また無理に開けるのではなく、サイド部から順次に開封するため剥離面が平滑になり、再封時に必要な再粘着強度が発現しやすい。
【0013】
上記に述べたように、開封を容易に行うことができ、また再封時に必要な粘着強度をを保つことができる。従って、医療関係の物品や食品を始めとする各種の分野で利用することができる。特に、貼布剤など軽包装に優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の最良の形態を図に基づき詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例における再封性包装袋を示す説明図である。また、図2は、本発明の他の実施例における再封性包装袋を示す説明図である。
【0016】
図に示す(10)は、再封性包装袋であり、(11)はこの包装袋の開封口における未シール部を示し、(12)はタブシール部であり、(14)は包装袋のヒートシール部で、(15)はヒートシールされたボトム部を示す、また(H1)及び(H2)は包装袋の開封口における角部を示すものである。
【0017】
本発明は、粘着剤層を有する積層体であるタブシールを包装袋の開封口に設けたもので、粘着剤層間の層間剥離若しくは凝集剥離を利用することでリシール機能を持たせた再封性包装袋である。
【0018】
図1に示すように、包装袋(10)の開封口(11)に、2枚のフィルムとこのフィルムの間に粘着剤層シール部を有するタブシール(12)が包装袋を形成する2枚のフィルムとの間に接着されている包装袋である。このタブシールの形状が、タブシールの両サイドから包装袋の中心に向かって、この粘着剤層シール部が確保できる範囲で徐々に狭くなっている略左右対称の傾斜形状を有するものである。さらに、タブシールの粘着剤層シール部の外側で、しかも袋のフィルムに未シール部(11)を設けた再封性包装袋である。この包装袋のタブシール(12)以外の部分は両側にサイドシール部(14,14)とボトム部(15)を設けた所謂三方シールされた包装袋である。
【0019】
図2に示す包装袋においても図1の包装袋同様に、包装袋の開封口に取り付けるタブシ
ール(12)のシール形状においても開封口シール部が確保できる範囲で徐々に狭くなる略左右対称の傾斜形状で、必要な開封再粘着剤層シール部(12a)線上に達したとき、包装のボトム部(15)と平行となる形状を有する。この包装袋の場合においても、粘着剤層シール部(12a)の外側で、しかも袋のフィルムに未シール部(11)を設けたものである。
【0020】
さらに、粘着剤層シール部(12,12a)を有する開封口のタブシールは、包装袋のサイド側から逆のサイド側まで余すことなく取り付けられているものである。
【0021】
次に、再粘着シールは積層体(タブシール)は、オレフィン系樹脂からなるフィルムにゴム質共重合体と粘着付与剤の混合物からなる粘着剤と、オレフィン系樹脂からなるフィルムを順次積層したものである。
【0022】
前記ゴム質共重合体が、スチレンブロックを含有するコム質ブロック共重合体またはエチレンを必須成分として得られたゴム質共重合体のいずれかであり、粘着付与剤がロジン樹脂、テンペン樹脂、石油樹脂のいずれか、またはその組み合わせたものである。
【0023】
また他の再粘着シールは積層体(タブシール)として、オレフィン系樹脂フィルムに、前記粘着剤層が、エチレンαオレフィン共重合体、プロピレン−αオレィン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンαβ不飽和共重合体のいずれかの低結晶或いは非結晶性ポリマーや石油樹脂、またはこれらのブレンド樹脂からなり、さらに基材層としてスチレン系エラストマーを用いたものである。
【0024】
これらの粘着剤をオレフィン系樹脂からなるフィルムの間に積層し、任意の包装袋の開封口に溶着或いは接着させて再封性包装袋を得た。得られた包装袋は乾燥や揮発を防ぐ再封性機能が高いので、限定はしないがハップ剤等を収納するには最適である。
【0025】
本発明の再開封性包装袋は、例えば、次の方法で製造することができる。
【0026】
すなわち、まず、剥離性基体フィルム(例えば、PETフィルム)A上に、前記粘着剤Bとポリオレフィン樹脂Cとを共押出する。得られた積層体を、タブシールの形状に打ち抜き、2枚のタブシール状積層体を製造する。次に、これら2枚のタブシール状積層体を、それぞれ、包装袋を構成する2枚のフィルムのそれぞれに接着する。この接着は、前記ポリオレフィン樹脂をシーラント層として熱圧着することで可能である。次に、フィルムに接着された前記タブシール状積層体から剥離性基体フィルムAを剥離除去して、粘着剤を露出させる。そして、露出したこれら粘着剤同士が対面するように、前記2枚のフィルムを重ね合わせ、れら粘着剤同士を含めてその周囲をシールすることにより、本発明の再開封性包装袋を製造することが可能である。なお、タブシールが基材層を有する場合には、この基材層を含めて共押出すれば良い。
【0027】
次に、本発明の再封性包装袋の開封は、図1及び図2に示すように、袋の左右の角部の何れかより開封することにより、粘着剤層の剥離のきっかけが容易に形成され、その後の開封が容易に行うことができる。また無理に開けるのではなくいずれかのサイドから順次開封するので剥離面が平滑になり、再封時に必要な再粘着強度が得られ易い(図3を参照)。
【実施例1】
【0028】
PETフィルムを剥離性基体フィルムAとして使用し、この剥離性基体フィルムA上に、押出温度200〜240℃の条件で、次の組成の粘着剤B1及びポリエチレン樹脂C(宇部興産(株)製)を共押出してタブシール状積層体を製造した。なお、剥離性基体フィ
ルムAの厚みは12μm、粘着剤Bの厚みは20μm、ポリオレフィン樹脂の厚みは20μmである。
【0029】
粘着剤B1組成
スチレン−ブタジエンブロック共重合体 50重量%
テンペン樹脂 20重量%
(ヤスハラケミカル(株)製;YSレジンPX1150)
ポリエチレン 30重量%
得られた積層体から剥離性基体フィルムAを剥離除去して粘着剤層Bを露出させ、この粘着剤層B同士を接着させて、その接着強度を測定した。また、再接着を繰り返してその再接着の際の接着強度を測定した。
【0030】
また、比較のため、前記剥離性基体フィルムAと粘着剤層Bとの間の接着強度を測定した。また、再接着を繰り返してその再接着の際の接着強度を測定した。
【実施例2】
【0031】
粘着剤B2として住友化学(株)製タフセレンH3002を使用した他は実施例1と同様にタブシール状積層体を製造し、接着強度を測定した。
【実施例3】
【0032】
粘着剤Bとポリエチレン樹脂Cとの間に、基材層としてスチレンエラストマーを介在させた他は、実施例1及び2と同様にタブシール状積層体を製造し、接着強度を測定した。
【0033】
<テスト>
上記実施例1〜3に基づき各試作品の層関剥離と凝集剥離のテストを行い、この結果を表1に示す。
【0034】
このテストの測定は、相関剥離の測定方法は、
・試験装置:引っ張り試験機(JIS.K7127に定められている試験装置)
・試験片 :幅25mm,長さ100mm(試験片つかみ部分を含む)
・試験速度:300mm/min
・剥離角度:90°(T型)
・測定方法:それぞれ測定を行う剥離間でフィルムを剥がし、試験片のつかみ部分を作
製する。この試験片のつかみ部分を試験機のつかみ具に取り付ける。この
とき試験片のの剥離角度が90°(T型)になるように注意し、試験片が
試験中につかみ具の中で滑らないように固定する。試験速度は300mm
/minとし、得られたグラフから平均値を求めた。試験片はN=3用意
して、その平均値を測定値とした。
【0035】
【表1】

【0036】
以上のテスト結果、本発明に係るタブシールは、繰り返して再接着した場合であっても接着強度が1.0N/25mm前後を保ち、十分な再シー強度があることが確認できた。の強度は、たとえば、ハップ剤を収容して開封部を逆さにしても内容物がこぼれることがなく、また、手で簡単に開封できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の袋体に包装される物品は、とくに限定されないが、特に、ハップ剤、硬膏剤、冷却シート、パッチ剤、リザーバー型貼付剤、創傷被覆剤、絆創膏等の貼付剤、水や揮発成分を含む食品、化学肥料、農薬等の化学物質、化粧品等に好適に使用されることができ
、好ましくは、ハップ剤、硬膏剤、冷却シート、バッチ剤、リザーバー型貼付剤、創傷被覆剤、絆創膏等の貼付剤に用いられることが望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例における再封性包装袋を示す説明図である。
【図2】本発明の他の実施例における再封性包装袋を示す説明図である。
【図3】本発明における再封性包装袋の開封方法の説明図である。
【符号の説明】
【0039】
10…再封性包装袋
11…開封口の未シール部
12,12a…再粘着シール部(タブシール部分)
14……ヒートシール部
15……ボトム部(ヒートシール部)
H1,H2…開封口の角部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋の開口部に、2枚のフィルムと該フィルムの間に粘着剤層を有するタブシールが包装袋を形成する2枚のフィルムとの間に接着されている開口部を有する包装袋であって、前記タブシールの形状が、タブシールの両サイドから中心に向かって徐々に狭くなっていて、さらに、タブシールの開口部の外側で、しかも袋のフィルムに未シール部が設けられていることを特徴とする再封性包装袋。
【請求項2】
前記タブシールが、オレフィン系樹脂からなるフィルムと、ゴム質共重合体及び粘着付与剤の混合物からなる粘着剤と、オレフィン系樹脂からなるフィルムとにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の再封性包装袋。
【請求項3】
前記ゴム質共重合体が、スチレンブロックを構成成分の一部とするゴム質ブロック共重合体またはエチレンを必須成分として得られたゴム質共重合体のいずれかであり、粘着付与剤がロジン樹脂、テンペン樹脂、石油樹脂のいずれか、またはその組み合わせであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の再封性包装袋。
【請求項4】
前記タブシールが、オレフィン系樹脂からなるフィルムと、粘着剤層と、基材層と、オレフィン系樹脂からなるフィルムからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の再封性包装袋。
【請求項5】
前記粘着剤層が、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレィン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、αβ不飽和カルボン酸変性エチレン重合体のいずれか、またはこれらのブレンド樹脂からなり、基材層がスチレン系エラストマーからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の再封性包装袋。
【請求項6】
ハップ剤が包装されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の再封性包装袋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−45439(P2007−45439A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230460(P2005−230460)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】