説明

再液化システムにおいて圧縮より前にボイルオフガスを周囲温度に予熱するための方法及び装置

再液化システムにおいて貯蔵槽(74)から流れているLNGのボイルオフガス(BOG)の流れ(1)を圧縮(C11、C12、C13)より前に予熱する方法及び装置である。この方法は、BOGの流れ(1)より高温の第2のクーラントの流れ(59)に対するBOGの流れ(1)の第1の熱交換器(H10)における熱交換を含み、この場合、第2のクーラントの流れ(59)は、第1のクーラントの流れ(56)を前記第2のクーラントの流れ(59)と第3のクーラントの流れ(57)とに選択的に分割することにより得られ、前記第3のクーラントの流れは再液化システムのコールドボックス(H20)内の第1のクーラント通路内に流入され、これにより、BOGは圧縮より前に周囲温度に近い温度に達し、かつBOGからの低温デューティは再液化システム内に実質的に保存され、かつコールドボックス(H20)内の熱応力が減らされる。BOGは、圧縮段階より前に、BOGの流れ(1)より高温の熱交換以前の前記クーラントとの熱交換により、実質的に周囲温度に予熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(LNG)からのボイルオフガスの再液化の分野に関する。より特別には、本発明は、貯蔵槽から流れているLNGのボイルオフガス(BOG)を再液化システムにおいて圧縮するより前に予備加熱するための方法及び装置、並びに再液化プラントにおいてLNGのボイルオフガス(BOG)を冷却するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LNG再液化システム(LNG RS)の導入に伴ってLNG輸送船の新世代が確立された。これまでは、全てのLNG輸送船は、基本的に輸送中に積荷から蒸発したボイルオフガス(BOG)を燃料とする蒸気タービンシステムにより駆動される。BOGの総量が要求される全出力を満たすに不十分であるときは、強制蒸発により追加のLNGをボイラーに供給しなければならなかった。
【0003】
新たなLNG RSは、全てのBOGを集め、冷却し再液化し、従って積載時及びバラスト航海時を通して総積荷の保存の可能性を開いた。それから、蒸気タービンと比べて効率の高い通常の低速ディーゼルエンジンを推進用に使用することができた。
【0004】
かかる再液化プラントについての種々の態様、従ってこれらの改良が種々の特許において説明された。従来技術(例えば、特許文献1)は、基本的に、窒素のブライトンサイクルの改善及び予備冷却のための冷却窒素の利用に焦点を合わせている。しかし、所要動力を少なくするようにシステムを改良することに対する更なる要求がある。
【特許文献1】ノルウェー特願第20051315号 明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の船の大部分は、そのボイラーに給油するために低温遠心BOG圧縮機を利用する。低温圧縮を選ぶ理由の多くは、周囲温度における圧縮と比較して圧縮機の大きさを著しく減らせるであろうためである。ファン列が遠心圧縮機用に応用可能であり、更に低い吸入温度が1段当たりより高い圧力比を確保するであろうことを示す。従って、ガス密度が増加し、体積流量が最小に減らされ、そしてBOG圧縮機の大きさ及び効率がより有利になるであろう。
【0006】
BOGシステムにおいては低温デューティ(duty)を保存する必要がないため−事実上、BOGはボイラーに導入する前に追加的に加熱されることが普通である−BOG圧縮機の下流には熱排出用のいかなる手段もなく、圧縮熱は計画的に圧縮ガスにより吸収される。
【0007】
低温BOG圧縮機のこの通常の慣行は、LNG再液化システムの運転用に向けられた新しいBOG圧縮機の設計に更に適用されてきた。これは、冷却サイクルを、積荷収容システムにおいて吸収される過熱及び蒸発熱に加えてBOG圧縮機からの圧縮熱を除去するような大きさにすべきであるため、エネルギーの観点から非効率な運転に帰着する。
【0008】
なお、低温BOG圧縮機が適用されたときに別の問題が生ずる。アフタークーラー(インタークーラー)が使用されないため、小容量でのリサイクルはBOG圧縮機の上流の温
度管理に依存する。この目的に必要な冷却デューティは、BOG圧縮機の効率に大きく依存し、一方では処理される流れの種々の特性に依存するであろうため、予測困難であることが有り得る。この冷却を提供するために再凝結したBOGを使用することは、タンクにおける還流される再液化BOGの単位当たり出力で測定されるプラントの性能も低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
再液化システムにおいて貯蔵槽から流れているLNGのボイルオフガス(BOG)を圧縮より前に予備加熱する方法にして、第1の熱交換器において、BOGの流れを、BOGの流れより高い温度を有する第2のクーラントの流れに対して熱交換することを含む方法であって:第1のクーラントの流れを前記第2のクーラントの流れと第3のクーラントの流れとに選択的に分割することにより第2のクーラントの流れが得られ、前記第3のクーラントの流れは再液化システムのコールドボックスの第1のクーラント通路内に流入され、これにより、エクセルギー損失を最小にし、かつコールドボックスにおける熱応力を減らすために、第1の熱交換器におけるクーラントの分割を最適にすることにより、BOGが圧縮前に周囲温度近くに達し、そして低温BOGと熱交換することを特徴とする前記方法が提供される。
【0010】
また、再液化プラントにおいて貯蔵槽から流れているLNGのボイルオフガス(BOG)の流れを冷却する方法にして:BOGを圧縮し;圧縮されたBOGをコールドボックスにおいてクーラントに対して熱交換し;実質的に再液化されたBOGをコールドボックスから貯蔵槽に流すことを含む方法であって、圧縮段階の前に、BOGと前記クーラントとの熱交換によりBOGを実質的に周囲温度に予熱し、前記クーラントが熱交換の前にBOGより高い温度を有することを特徴とする前記方法が提供される。
【0011】
一実施例においては、コールドボックスと貯蔵槽との間の再液化されたBOGの圧力が、BOG圧縮機の排出圧力及び貯蔵槽圧力とは無関係に制御され、そして生じたベントガスの量及びベントガスの構成を管理することができる。
【0012】
再液化システムにおけるLNGのボイルオフガス(BOG)の冷却装置にして:クーラントとBOGとの間の熱交換のための閉ループクーラント回路;LNG貯蔵槽に流動的に連結された入り口側を有するBOG圧縮機;BOG圧縮器の出口側に流動的に連結されたBOG入り口のあるBOG流路を有するコールドボックスであって、前記BOG流路が貯蔵槽に流動的に連結された、実質的に再液化されたBOG用の出口を有し;BOGとクーラントとの間の熱交換のためのクーラント流路を更に有する前記コールドボックスを備えた前記冷却装置であって、貯蔵槽とBOG圧縮器の入り口側との間の流体連結における第1の熱交換器であって、クーラント回路の圧縮膨張器のアフタークーラーの下流であるがコールドボックスのクーラント流路の上流のある点において、閉ループのクーラント回路に流動的に連結されたクーラント流路を有する前記第1の熱交換器を特徴とし、これによりBOG圧縮機が、システムの周囲温度又はこれに近い温度を有するBOGを受け取る前記冷却装置も提供される。
【0013】
一実施例において、本発明は、コールドボックス出口と貯蔵槽とを有する流体連結におけるセパレーター、コールドボックス出口管路における第1の弁及び貯蔵槽に連結された管路における第2の弁を更に備え、前記セパレーターはベント管路(11)も備え、これによりセパレーター内の圧力を制御することができ、かつベントガスの量とベントガスの組成とを調整することができる装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
さて、周囲温度BOG圧縮機を有するLNG RSの新規な特徴を示している図1を参
照して説明することとする。
【0015】
図面は、ある量のLNG72を保持している積荷タンク74を図式的に示す。LNGから蒸発したBOGは、第1の熱交換器H10に連結された管路1に入る。BOGは、この熱交換器において、後述されるようにほぼ周囲温度まで加熱される。BOGは、この予備加熱に続いて、管路2を経て第1段BOG圧縮機C11に入る。BOG圧縮機は、図面に示されるように管路3−7を介してインタークーラーH11、H12、及びアフタークーラーH13を経て互いに連結された3段遠心圧縮機C11、C12、C13として示される。但し、別形式の圧縮機も等しく応用することができる。予備加熱は、圧縮により生じた熱がインタークーラーH11、H12及びアフタークーラーH13において冷却水を通して排出されることを確保する。
【0016】
次いで、加圧されたBOGは、管路8を介して第2の熱交換器(又は「コールドボックス」)H20に送り込まれ、ここで後述されるようにクーラントと熱交換される。クーラントは、好ましくは窒素である。この熱交換に続いて、実質的に再液化されたBOGは、セパレーターF10に連結された管路9、10を経てコールドボックスH20から出る。セパレーターにはベント管路11が設けられる。再液化されたBOGを膨張させるために、コールドボックスとセパレーターとの間の管路9、10に絞り弁V10が配置される。再液化されたBOGは、分離に続いて、図1に示されるように、管路12、13を介して積荷タンク74内のLNG72の中に送られる。この管路には、セパレーターF10とタンク74との間に弁11が配置される。これの目的は後で説明されるであろう。
【0017】
閉窒素ブレイトン冷却サイクルが、ここでは、図示のように管路51−55により互いに連結されたインタークーラーH21、H22、アフタークーラー23、及び1段のエキスパンダーE20のある3段圧縮機C21、C22、C23により示される。(例えば特許文献1において説明されたようなその他の冷却サイクルの機能もこれに関して利用することができる)。加圧されたクーラント(窒素)は、三方弁V12に連結された管路56を介して圧縮機及びアフタークーラーH23から出る。三方弁V12は、更に下に詳細に説明されるように、管路56内を流れる高圧窒素の流れを別々の管路57,59内の異なった2個の流れに選択的に流すように管理することができる。三方弁V12の第1の出口は、管路59を介して第1の熱交換器H10のクーラント入り口に連結される。図1に示されるように、管路60が、管路61を介して第1の熱交換器H10のクーラント出口と第2の熱交換器H20の中央部分とを連結する。管路57は、三方弁V12の第2の出口を、第2の熱交換器H20の上方部分の第1のクーラント通路82の入り口に連結する。第1のクーラント通路82の出口は、管路58を介して上述の管路60上の入り口点に連結される。管路61は、図1に示されるようにコールドボックスの中央部分の近くで、前記入り口点とコールドボックス内の第2のクーラント通路84の入り口とを連結する。クーラントは、第2のクーラント通路84を通って流れ、そして管路62を介してエキスパンダーE20内に入る。膨張したクーラントは、第3のクーラント通路86の入り口に連結された管路63を介して第2の熱交換器(コールドボックス)H20の下方部分に入り、そして熱交換器を出て管路50を介して圧縮機C21、C22、23に還流する。ここに説明された三方弁V12による流量の分割は、通常の管路制御弁、オリフィス、等のような別の流量制御構成により同様に行うことができる。重要な態様は、変動しているBOGの流量状態をうまく処理するようにこの流量分割を行えることである。
【0018】
一般に、この方法は、従来提案された再液化設計とは異なる新しい三つの特徴を含む。
1. 船の蒸気ヘッダー管路1内のBOGから低温デューティの大部分を確実に抽出し得
る熱交換器H10が再液化システム内に保存されて残る。
2. BOG圧縮機C11、C12、C13は、そのH11、H12、H13の圧縮熱を
周囲に排出することにより、周囲条件又はこれに近い条件下で作動する。
3. 主熱交換器(コールドボックス)H20に入ってくるBOGの流れ8の、普通のB
OG圧縮機の排出圧力と比べて一般により高い圧力が、より高い温度レベルにおける
凝結の発生を可能とし、同時に管路9におけるコールドボックス出力圧力と積荷タン
ク74における貯蔵時圧力との間のある圧力レベルにおけるセパレーターF10にお
ける分離圧力の制御の可能性を開く。この圧力制御はセパレーターのベント管路11
を通る流量の制御との組合せにおいて理解されねばならない(図1には流量制御弁は
示されない)。分離圧力の調整により、ベント流量、並びにタンク74に戻される凝
結物の成分を、オペレーターの選択に従って制御することができる。ベントガス流量
の最小化はより高い所要再液化動力の入力をもたらし、逆の場合は逆の結果をもたら
す。従って、分離圧力の調整は、オペレーターに対して、LNG RS運転の経済的
最適化のための最も有利な条件の選択を許すであろう。
【0019】
1.BOG圧縮機上流の熱交換器
タンク74から来るBOGの低温度デューティをシステム内に保存するために、BOG圧縮機C11、C12、C13上流の熱交換器H10が取り付けられる。BOGの流れからできるだけ多くの低温デューティを取り出すために、BOG温度を周囲温度近くまで上げることができなければならない。システム内に低温デューティを保存するために、このデューティは、BOGの流れより高温において源を発するデューティ再液化システム内の別の流れにより吸収させる必要がある。
【0020】
この別の流れは、典型的に、図1に示されるように高温高圧の窒素の流れ59の一部であろう。窒素の流れの(一部だけではなく)全部、又はBOG圧縮機のアフタークーターの下流からのBOGの流れのような別の流れも可能である。しかし、図1の過程が恐らくは最も有益であり、かかる目的のために商業的に使用される設備の限界と特徴を与えるであろう。従って、窒素圧縮機(compander)のアフタークーターH23の下流の窒素の流れ56を二つの異なった流れ57、59に分割することを含んだ図1の過程だけを次に説明することとする。
【0021】
BOG予熱装置の制御は、2次側におけるクーラント(窒素)流量の制御に基づく。第1の熱交換器H10(予熱装置)において圧縮窒素とBOGとの間で移転されるエネルギーは、BOGの流量と温度とに依存し、従ってBOGの流量が一定である限り、ある固定した値[kW]である。これは、予熱装置H10から出る窒素流の温度が窒素の流量により変化するであろうことを意味する。予熱装置の熱伝達面積が十分に大きい限り、予熱装置H10上流の窒素の流れ内の三方弁V12(又はこれに相当する流量分割用の配置)を二つの異なる目的に使用することができる。
【0022】
A:全工程の熱力学的最適化のため:
流量分割(三方向弁V12)により提供される自由を、コールドボックスH20の上方部分における非常に効率的な熱交換(低LMTD(対数平均温度差)、従って低エクセルギー損失)を確保するために使用することができる。加熱曲線及び冷却曲線は、理論上、コールドボックスの上方部分(温度の高い部分)内の適宜の温度における流れ間の一定の温度差を有し平行であるように設計することができる。
【0023】
ブレイトンサイクルは、加圧窒素が低圧窒素より高い熱容量を持つという考えに基づくので、高圧の質量流量が低温低圧の流量より小さい場合は加熱曲線は単に平行に作ることができる。従って、高圧の流れの分割は、コールドボックスの上方部分内の非常に有効な熱交換を生じ、更に分岐流もBOG予熱器において独立して冷却されるため、低温における二つの高圧窒素の流れの混合に伴うエネルギーペナルティを最小に減らすことができる。
【0024】
流れの分割は、典型的に、BOG圧縮器の吸引温度に基づいて制御されるであろう。
【0025】
B:コールドボックスにおける熱応力を最小に減らすため
三方弁V12(又は別の流量分割用構成)により可能にされる流量分割制御の別の利点は、予熱器H10から出て管路60内を流れる高圧窒素の温度を監視することができ、そして必要であるならば管路61を介してコールドボックスに再導入される流量における急速な温度変動を避けるために制御し得ることである。
【0026】
コールドボックスは通常はアルミニウムで作られ、熱応力に敏感である。望ましくない条件に基づいて予熱器を通過する流量を変える安全制御機能を提供することにより、コールドボックスに入って来る全ての流れの温度を注意深く管理することができる。これは、予熱器が低圧BOG対高圧BOGの熱交換器であるならば、高温BOGの出口温度が低圧の到来BOGにおける変動と同期して変化するため、可能ではなかったであろう。
【0027】
通常、流れ57及び59の流量を定める分割比は、低温BOGから低温デューティをできるだけ多く抽出するために調節されるであろう。しかし、この構成は、コールドボックスの中央部分に入って来る窒素の流れ61の温度に関する分割比の制御も受け入れる。こうすることにより、主熱交換器H20を不利な熱応力に暴露させるかも知れない条件を容易に無くすことができる。
【0028】
熱力学的観点から最適な熱の統合を達成するために、熱交換器H10とH20とを1個の多通路熱交換器に組み合わせることができる。しかし、熱交換器(コールドボックス)H20は、典型的にプレート−フィン式熱交換器であり、急速な温度変動及び大きい局所的な温度接近の両者にある程度敏感であるため、図1の予熱器H10で示されるように、熱伝達の内の幾分かをより頑丈な形式の外部熱交換器に移すことが好ましい。
【0029】
図1に示された熱交換器の構成は、窒素クーラントの流れがBOGの流量と比べて非常に大きいであろうため、主熱交換器H20の中央部分に入って来る流量61の温度変動を弱めるであろう。これにより、コールドボックスにおける熱応力に関するより安全な運転を確保するであろう。
【0030】
2.周囲温度BOG圧縮器
周囲温度BOG圧縮を使用する主な動機は、これが周囲に熱を排出する可能性である。今日、通常商業的に使用されているBOG圧縮器はBOGの流れ内に圧縮熱を保存するが、今回は、圧縮熱を、周囲温度又は近周囲温度で作動している外部ソース(例えば冷却水)に送り出すことができる。
【0031】
周囲温度圧縮は、別の便益も提供する。典型的に図1に示されたようにアフタークーラーH13がこのシステムと組み合わせられるので、コールドボックスに入って来る圧縮された流れ8の温度は熱排出ソースの温度に関連して確立される。アフター冷却及びインター冷却も、再循環モード及び/又はアンチサージモードでの運転に関連した大きな利点を示す。かかる運転の場合、外部冷却用媒体が、通常、いかなる追加の温度制御もなしに安定運転を確実なものとする。
【0032】
周囲温度BOG圧縮は、ボイルオフ率、組成、温度及び圧力が航海の形式(バラスト航海又は積載航海)及び積荷により非常に変わるLNG輸送船に対して特に有利である。周囲条件に関するインター冷却及びアフター冷却が、圧縮条件を確立し容量管理(リサイクリング等)を容易にする。
【0033】
3.高圧縮比選択の便益
本明細書においては、BOG圧縮器C11、C12、C13における「高い」圧力比とは、LNGを積荷タンクに強制還流させるに十分な圧力差を提供するために厳密に必要な圧力より高い管路8におけるコールドボックス入り口圧力を呼ぶこととする。これが、典型的に、図1に示される2個の弁V10とV11との間の区域に限定される中間圧力レベルに低温セパレーターF10を置くことを許す。このとき、この区域内の圧力は、BOG圧縮機の排出圧力及び積荷タンクの圧力とは独立して制御することができる。従って、システム全体の容量制御の幾分かをこの領域における圧力調整により行うことができる。このため、オペレーター又は自動制御システムは、全てのLNG価格変動中の最も好ましい経済的な条件下で運転するために、発生したベントガスの量、及びベントガスの組成の双方を調整することができる。
【0034】
分離圧力が定められた最低値以下に落ちるほど再液化BOGが過冷却された条件下でセパレーターを迂回するために専用の管路を置くことができる。
【0035】
主熱交換器H20とセパレーターF10との間の圧力差により、セパレーターを主熱交換器からより無関係に置き得ることが確保される。
【0036】
より高いBOG圧縮器の排出圧力が、絞りによるタンク圧力の低下中における(より高い断熱温度変化又はフラッシュガス発生の減少のいずれか形式の)利得を増加させるであろう。
【0037】
最後に、より高いプロセス圧力は、主熱交換器H20における熱伝導係数を大きくし、そしてエクセルギー損失を減らすためにより高い温度で凝結が行われるであろうことを確保する。
【0038】
本技術の熟練者は、三方向弁V12の目的が(i)第1の熱交換器H10に連結された管路59と(ii)コールドボックスH20に連結された管路57との間の流量の分割を選択的に管理することであるのを認めるであろう。このために、上述の三方向弁V12は、例えば、第1の熱交換器H10の下流の管路60における制御可能な絞り弁、及び管路57における固定寸法の絞りにより置換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明を示している単純化された工程の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再液化システムにおいて貯蔵槽(74)から流れているLNGのボイルオフガス(BOG)を圧縮(C11、C12、C13)より前に予備加熱する方法にして、第1の熱交換器(H10)において、BOGの流れを、BOGの流れ(1)より高い温度を有する第2のクーラントの流れ(59)に対して熱交換することを含む方法であって:
第1のクーラントの流れ(56)を前記第2のクーラントの流れ(59)と第3のクーラントの流れ(57)とに選択的に分割することにより第2のクーラントの流れ(59)が得られ、前記第3のクーラントの流れは再液化システムのコールドボックス(H20)の第1のクーラント通路内に流入され、
これにより、エクセルギー損失を最小にし、かつコールドボックス(H20)における熱応力を減らすために、第1の熱交換器におけるクーラントの分割を最適にすることにより、BOGが圧縮前に周囲温度近くに達し、そして低温BOGと熱交換する
ことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
第1のクーラントの流れ(56)の選択的な分割が、第1の熱交換器(H10)の上流で行われる請求項1の方法。
【請求項3】
再液化プラントにおいて貯蔵槽(74)から流れているLNGのボイルオフガス(BOG)の流れを冷却する方法にして:
−BOGを圧縮し(C11、C12、C13);
−圧縮されたBOGをコールドボックス(H20)においてクーラントに対して熱交換し;−実質的に再液化されたBOGをコールドボックス(H20)から貯蔵槽(74)に流すことを含む方法であって、
−圧縮段階の前に、BOGと前記クーラントとの熱交換(H10)によりBOGを実質的に周囲温度に予熱し、前記クーラントが熱交換の前にBOGより高い温度を有する
ことを特徴とする前記方法。
【請求項4】
圧縮前にBOGを加熱するために必要なデューティが、クーラント圧縮膨張器のアフタークーラー(H23)の下流であるがコールドボックス(H20)の上流で、クーラントの流れから移される請求項1及び3の方法。
【請求項5】
BOG予熱器へのクーラントの流れの一部が、クーラント圧縮膨張器と予熱器との間のある点において、予熱器から流れているクーラントの流れと混合される前に、コールドボックス内の専用の流路に向けられる請求項3及び4の方法。
【請求項6】
コールドボックスと貯蔵槽との間の再液化されたBOGの圧力が、BOG圧縮機の排出圧力及び貯蔵槽圧力とは無関係に制御され、そして生じたベントガスの量及びベントガスの構成を管理することができる請求項3の方法。
【請求項7】
再液化システムにおけるLNGのボイルオフガス(BOG)の冷却装置にして:
−クーラントとBOGとの間の熱交換のための閉ループクーラント回路;
−LNG貯蔵槽(74)に流動的に連結された入り口側を有するBOG圧縮機(C11、C12、C13);
−BOG圧縮器の出口側に流動的に連結された(8)BOG入り口のあるBOG流路を有するコールドボックス(H20)であって、前記BOG流路が、貯蔵槽に流動的に連結された(9、10、12、13)、実質的に再液化されたBOG用の出口を有する前記コールドボックス;
−BOGとクーラントとの間の熱交換のためのクーラント流路(82、84、86)を更に有する前記コールドボックス;
を備えた前記冷却装置であって、
貯蔵槽(74)とBOG圧縮器の入り口側との間の流体連結における第1の熱交換器(H10)であって、クーラント回路の圧縮器のアフタークーラー(H23)の下流であるがコールドボックスのクーラント流路の上流のある点において、閉ループのクーラント回路に流動的に連結されたクーラント流路(59、60)を有する前記第1の熱交換器(H10)を特徴とし、
これによりBOG圧縮機が、システムの周囲温度又はこれに近い温度を有するBOGを受け取る前記冷却装置。
【請求項8】
圧縮器のアフタークーラー(H23)の下流管路(56)におけるクーラント回路内の選択弁(V12)、及び
一方の端部において選択弁(V12)の第1の出口に連結され、そして他方の端部において第1に熱交換器(H10)のクーラント通路の入り口に連結されたクーラント管路(59)、及び
−一方の端部において選択弁(V12)の第2の出口に連結され、そして他方の端部においてコールドボックス(H20)内の第1のクーラント通路(82)の入り口に連結されたクーラント管路(57)
を更に備える請求項7の装置。
【請求項9】
第1の熱交換器(H10)のクーラント流路流体連結(59、60)が、一方の端部において第1の熱交換器(H10)のクーラント流路の出口に連結され、他方の端部において第2の熱交換器(H20)の第1のクーラント通路(82)の出口に流動的に連結された管路(58)に連結されたクーラント管路(60)を更に備え、前記管路(58、60)が第2の熱交換器(H20)内の第2のクーラント通路(84)の入り口に連結される請求項7の装置。
【請求項10】
コールドボックス出口と貯蔵槽(74)との流体連結(9)におけるセパレーター(F10)、コールドボックス出口管路(9)における第1の弁(V10)及び貯蔵槽に連結された管路(12)における第2の弁(V11)を更に備え、前記セパレーターはベント管路(11)も備え、これによりセパレーター内の圧力を制御することができ、かつベントガスの量とベントガスの組成とを調整することができる請求項7の装置。

【図1】
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【公表番号】特表2009−533642(P2009−533642A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504142(P2009−504142)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【国際出願番号】PCT/NO2007/000123
【国際公開番号】WO2007/117148
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508301434)ハムワージー・ガス・システムズ・エイ・エス (2)
【Fターム(参考)】