説明

冷陰極電子源およびその製造方法

【課題】 容易に製造することができ、かつ解像度の高い冷陰極電子源およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の冷陰極電子源30は、導電膜5および導電膜6に印加された電圧によってCNT膜4から電子を放出する冷陰極電子源であって、絶縁膜2と、絶縁膜2上に形成された導電膜5と、導電膜5上に形成された導電膜6と、導電膜5と導電膜6との間に形成された絶縁膜7とを備えている。絶縁膜2および導電膜5の各々には孔2a,5aの各々が開口しており、導電膜6には孔2a,5aに繋がる孔12が開口している。さらに、孔2a,5aの底部に形成されたCNT膜4を備えている。絶縁膜7から離れるに従って孔12の口径が減少している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極電子源およびその製造方法に関し、より特定的には、第1および第2ゲート電極に印加された電圧によって電子放出膜から電子を放出する冷陰極電子源およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在主流の陰極線管(CRT)に代わる画像表示装置として、平面型(フラットパネル形式)の表示装置が種々検討されている。このような平面型の表示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PDP)などが挙げられる。また、熱的励起によらず固体から真空中に電子を放出することが可能な冷陰極電子源(冷陰極電界電子放出表示装置)、いわゆるフィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)も提案されており、高解像度、高輝度のカラー表示、および低消費電力の観点から注目を集めている。
【0003】
冷陰極電子源は、一般に、2次元マトリクス状に配列された各画素に対応して冷陰極電子放出領域が形成されたカソード・パネルと、電子放出領域から放出された電子との衝突により励起されて発光する蛍光体層を有するアノード・パネルとが、真空層を介して対向配置された構成を有する。カソード・パネル上に形成された各電子放出領域は、通常、1つあるいは複数の冷陰極電界電子放出素子から構成されている。
【0004】
従来の画像表示装置の構造が、たとえば特開平11−233044号公報(特許文献1)に開示されている。上記特許文献1には、真空に保持された真空容器中に、蛍光体層と、複数の電子源を有する電子放出源と、電子放出源から放出された電子ビームを偏向させる偏向電極と、電子ビームを集束させ、その集束された電子ビームを蛍光体層の所定位置にランディングさせる機能を有する超集束電極とを備えた画像表示装置が開示されている。具体的には、電子放出源と蛍光体層との間に超集束電極が配置されており、電子放出源と超集束電極との間に偏向電極が配置されている。また、蛍光体層、超集束電極、偏向電極、および電子放出源の各々は板状であり、互いに所定の間隔を隔てて配置されている。偏向電極および超集束電極には、複数の電子源の各々から放出される電子を通過させるための複数の電子通過窓の各々が開口されている。
【0005】
この画像表示装置では、電子放出源、偏向電極、および超集束電極の各々に適切な電圧が印加されると、電子放出源の表面に強い電場がかかり、トンネル効果により電子放出源から電子が放出される。放出された電子は、超集束電極に印加された電圧により所定のスポット径に集束されて、蛍光体層にランディングする。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示された画像表示装置では、超集束電極と偏向電極と電子放出源との各々が、互いに空間を隔てて配置されているので、電子放出源から放出された電子が超集束電極と偏向電極との間、あるいは偏向電極と電子放出源との間の空間を通過して、隣接する別の電子通過窓を通過して蛍光体層にランディングする問題があった。
【0007】
そこで、このような問題を解決すべく、電子放出源から放出された電子が超集束電極と偏向電極との間、および偏向電極と電子放出源との間の空間を無くすために、積層した導電層および絶縁層の上にゲート電極を形成する技術が、たとえば特開2000−90861号公報(特許文献2)に開示されている。
【0008】
上記特許文献2には、第1ゲート電極と、第1絶縁層と、電子放出層と、第2絶縁層と、第2ゲート電極と、開口部とから構成されている冷陰極電界電子放出装置が開示されている。具体的には、第1ゲート電極はカソード・パネル用基板に相当する支持体上に形成され、第1絶縁層は第1ゲート電極上を含む支持体上に形成されている。また、電子放出層は第1絶縁層上に形成され、第2絶縁層は電子放出層上を含む第1絶縁層上に形成され、第2ゲート電極は第2絶縁層上に形成されている。開口部は、第2ゲート電極、第2絶縁層、電子放出層および第1絶縁層を貫通しており、開口部の底部には第1ゲート電極の表面が露出している。そして、開口部の壁面から突出した電子放出層の端部から電子が放出される。
【0009】
この冷陰極電界電子放出装置において、第1ゲート電極、第2ゲート電極、および電子放出層の各々に適切な電圧を印加すると、電子放出層の端部から放出された電子のほとんどが、まず、第1ゲート電極に向かって飛翔する。そして、第1ゲート電極に衝突した電子のほとんどは、反跳して蛍光体層に向かって飛翔する。また、第1ゲート電極に衝突した電子の一部によって2次電子放出が生じる。これらの反跳した電子および2次電子は、開口部の直上方向に方向性良く飛翔して蛍光体層に衝突する。
【特許文献1】特開平11−233044号公報
【特許文献2】特開2000−90861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
蛍光体層に衝突する電子ビームのスポット径をより小さくすることにより、解像度を高めることができる。蛍光体層に衝突する電子ビームのスポット径を小さくするためには、カソード電極から集束電極(第2ゲート電極)の上面までの距離を大きくし、かつ電子を放出するための開口部の径を小さくすることが必要である。上記特許文献2において、電子放出層から第2ゲート電極までの距離を大きくするためには、第2ゲート電極と電子放出層との間に存在する第2絶縁膜の膜厚を大きくすることや、第2ゲート電極自体の膜厚を大きくすることが考えられる。しかしながら、第2絶縁膜の膜厚を大きくすることや、第2ゲート電極自体の膜厚を大きくすることは困難であった。
【0011】
第2絶縁膜は通常、印刷法を用いて形成するので、第2絶縁膜の膜厚を大きくしようとすると、何度も絶縁膜を重ねて印刷する必要がある。このため、製造工程が複雑になるという問題があった。また、下層の絶縁膜と上層の絶縁膜との間で位置ずれが生じやすく、寸法精度が悪化するという問題があった。このため、第2絶縁膜の膜厚を大きくすることは困難であった。
【0012】
また、第2ゲート電極自体の膜厚を大きくしようとすると、開口部(孔)を容易に形成することができなくなるという問題があった。すなわち、膜厚の大きな導電体に孔を形成するには、製造効率の観点からウエットエッチングが用いられる。しかし、膜厚の大きな第2ゲート電極を形成し、ウエットエッチングにより第2ゲート電極に孔を形成しようとすると、第2ゲート電極が等方的にエッチングされるので、第2ゲート電極の膜厚と同程度の口径を有する孔が形成される。このように、第2ゲート電極には第2ゲート電極の厚さよりも小さい口径を有する孔を形成することができないという問題があった。このため、第2ゲート電極自体の膜厚を大きくすることは困難であった。
【0013】
したがって、本発明の目的は、容易に製造することができ、かつ解像度の高い冷陰極電子源およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の冷陰極電子源は、第1および第2ゲート電極膜に印加された電圧によって電子放出膜から電子を放出する冷陰極電子源であって、第1絶縁膜と、第1絶縁膜上に形成された第1ゲート電極膜と、第1ゲート電極膜上に形成された第2ゲート電極膜と、第1ゲート電極膜と第2ゲート電極膜との間に形成された第2絶縁膜とを備えている。第1絶縁膜および第1ゲート電極膜には第1の孔が開口しており、第2ゲート電極膜には第1の孔に繋がる第2の孔が開口している。さらに、第1の孔の底部に形成された電子放出膜を備えている。第2絶縁膜から離れるに従って第2の孔の口径が減少している。
【発明の効果】
【0015】
本発明の冷陰極電子源およびその製造方法によれば、第2ゲート電極をエッチングすることで、第2ゲート電極の膜厚よりも小さい口径の凹部が形成される。凹部では第2ゲート電極の膜厚が小さくなっているので、この凹部内に第2ゲート電極の膜厚よりも小さい口径を有する貫通孔を形成することにより、第2絶縁膜から離れるに従って口径が減少している第2の孔を形成することができる。したがって、容易に製造することができ、かつ解像度の高い冷陰極電子源を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷陰極電子源の構造を示す平面図である。図2は、本発明の実施の形態1における冷陰極電子源の第1ゲート電極膜より下部の構造を示す平面図である。
【0018】
図1および図2を参照して、本実施の形態の冷陰極電子源30の上部には第2ゲート電極膜としての導電膜6が露出している。導電膜6にはマトリクス状に配列した複数の孔12(第2の孔)が開口されている。複数の孔12の各々の口径は変化している。すなわち、複数の孔12の各々は、導電膜6の上部表面に開口している複数の孔6bの各々と、導電膜6の内部で複数の孔6bの各々と連通している孔6aとを有している。複数の孔6bの各々はたとえばレーストラック状の平面形状を有している。
【0019】
導電膜6の下部には、第1ゲート電極膜としての複数の導電膜5が形成されている。複数の導電膜5の各々は行方向(図2中横方向)に延びている。また、複数の導電膜5の下部のガラス基板1上にはカソード電極としての複数の導電膜3の各々が形成されている。複数の導電膜3の各々は列方向(図2中縦方向)に延びている。複数の導電膜5の各々と複数の導電膜3の各々とは互いに交差するように配置されている。複数の導電膜5の各々と複数の導電膜3の各々との各交差部近傍にドットが形成されている。なお、本実施の形態では、1つのドットが6個のゲートホールで形成されており、6個のゲートホールの各々は列方向に並んでいる。ゲートホールを構成している孔5a,2aの底部には、導電膜3と、導電膜3上に形成された電子放出膜としてのCNT(Carbon Nano Tube)膜4とが露出している。行方向に延びた導電膜5のうちいずれかに電圧を印加して、列方向に延びた導電膜3のうちいずれかに電圧を印加することにより、電圧を印加した導電膜同士が交差する位置に形成されたドットを選択することができる。
【0020】
図3は、図2における1つのゲートホールの構造を示す斜視図である。図4は、図1のIV−IV線に沿った断面図である。図5は、図1のV−V線に沿った断面図である。
【0021】
図3〜図5を参照して、本実施の形態の冷陰極電子源30は、ガラス基板1と、絶縁膜2(第1絶縁膜)と、導電膜5と、絶縁膜7(第2絶縁膜)と、導電膜6と、導電膜3と、CNT膜4とを備えている。ガラス基板1の主表面上に絶縁膜2が形成されており、絶縁膜2上に導電膜5が形成されている。導電膜5上に絶縁膜7が形成されており、絶縁膜7上に導電膜6が形成されている。絶縁膜2および導電膜5の各々には第1の孔としての孔2aおよび孔5aの各々が開口している。また、絶縁膜7および導電膜6の各々には孔7aおよび孔12の各々が開口している。孔2a、孔5a、孔7a、および孔12は互いに繋がっており、これらの孔によって1つのゲートホールが構成されている。導電膜6に形成された孔12は、孔6aと孔6bとを有しており、孔6bの口径は孔6aの口径よりも小さくなっている。すなわち、絶縁膜7から離れるに従って孔12の口径が減少している。孔2aの底部のガラス基板1の主表面上には導電膜3が形成されており、導電膜3の一部を覆うようにCNT膜4が形成されている。
【0022】
冷陰極電子源30では、導電膜3がカソード電極として機能し、導電膜5が引出電極として機能し、導電膜6が集束電極として機能する。すなわち、導電膜3、導電膜5、および導電膜6の各々に適切な電圧が印加されると、CNT膜4の表面に強い電場がかかり、トンネル効果によりCNT膜4から電子が放出される。放出された電子は、孔2a、孔5a、孔7a、および孔12を通過し、導電膜6に印加された電圧により所定のスポット径に集束されて、冷陰極電子源30の上方(図4中上方)に配置された図示しない蛍光体層(スクリーン)に衝突する。このように、導電膜6は電子ビームを集束する集束レンズとして機能する。なお、CNTのアスペクト比は非常に大きく、CNTの先端は尖鋭であるので、CNT膜4の表面に強い電場を集中させ易い。このため、CNTは冷陰極電子源の電子放出膜に好適である。
【0023】
導電膜5および導電膜6は、CNT膜4の各々から放出された電子が適切に集束してスクリーンに衝突するように、CNT膜4とスクリーンとの間の適切な位置に設けられている。具体的には、導電膜6は、スクリーンになるべく近い位置であって、導電膜5からなるべく離れた位置に設けられている。このように、導電膜6をスクリーンに近づけることは、レンズを物面より像面に近づけることに相当するので、導電膜6の集束レンズとしての倍率を容易に小さくすることができる。その結果、スクリーンに衝突する電子ビームのスポット径をより小さくすることが可能となり、高い解像度を得ることができる。導電膜5から導電膜6の上面までの距離は、たとえば200μmであり、孔6bの短軸の長さはたとえば140μmであり、短軸の長さはたとえば10μmである。
【0024】
次に、本実施の形態における冷陰極電子源の製造方法を、図6〜図10を用いて説明する。なお、図6〜図10では1つのゲートホールの製造方法について示している。
【0025】
図6を参照して、たとえば透明導電膜であるITO膜から成る導電膜3の膜をガラス基板1上に形成する。導電膜3は、たとえばスパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いて形成される。本実施の形態では透明導電膜を用いているが、本発明は透明導電膜に限定されるものではなく、また、印刷法を用いて形成することも可能であり、本発明に係る効果に差異はない。導電膜3の膜厚はたとえば0.3μmである。次に、フォトリソグラフィなどの方法を用いてこの膜をパターニングし、ライン状の電極である導電膜3を得る。
【0026】
次に、導電膜3上にCNT膜4を形成する。その際、導電膜3の上面の一部を覆うようにCNT膜4を形成する。CNT膜4の幅(図6中横方向の長さ)はたとえば100μmである。
【0027】
より具体的には、CNT粉末を含むスクリーン印刷ペーストを用いて、スクリーン印刷法によりCNT膜4を形成する。このとき、CNT粉末の平均粒径を1.5μmとし、ペーストの組成比は、重量比で、(CNT):(エチルセルロース):(ブチルカルビトール):(ブチルカルビトールアセテート)=4:13:42:41とする。スクリーン印刷用マスクとしては、250番メッシュのスクリーン版を用いる。
【0028】
CNT膜4の印刷後は、たとえば大気中において120℃のCNT膜4を乾燥し、その後、大気中において500℃〜550℃でCNT膜4を10分間焼成し、CNT膜4中の樹脂および溶剤を燃焼分解する。その後、CNT膜4にたとえば近紫外波長のレーザを4MW/cm2の密度で照射する。これにより、冷陰極電子源30の放出電流密度を改善することができる。
【0029】
図7を参照して、導電膜3およびCNT膜4を覆うように、たとえば粒径5μm〜10μmのガラス粒子とバインダとを混合したガラスペーストをガラス基板1上に塗布する。そして、ガラスペーストを熱処理することにより、たとえば10μmの膜厚のガラスよりなる絶縁膜2を形成する。なお、ガラスよりなる絶縁膜2の他、真空蒸着法、スパッタリング法またはCVD法によりSiO2、SiN、またはSiONよりなる絶縁膜2を形成してもよい。また、スピンコートによりSOG(Spin On Glass)やポリイミド樹脂よりなる絶縁膜2を形成してもよい。また、コーティング法などによって形成することも可能である。
【0030】
次に、導電膜5を構成する導電性材料としての銀粒子と、樹脂などの有機物よりなるバインダとを含む銀ペーストをスクリーン印刷法により絶縁膜2上に印刷する。導電性材料としては銀粒子の他に、金や白金などを用いてもよい。続いて、空気中においてたとえば400℃で2時間、熱処理される。この熱処理で銀ペーストに含まれているバインダが酸化して飛散し、絶縁膜2上には銀粒子のみが残る。銀粒子同士は互いに密着して連続膜となり、銀粒子同士の導通が保たれる。この銀の連続膜が導電膜5となる。
【0031】
図8を参照して、たとえばフォトリソグラフィなどの方法を用いて導電膜5および絶縁膜2をエッチングし、CNT膜4に達する孔5aおよび孔2aを開口する。孔2aの底部には導電膜3およびCNT膜4が露出する。
【0032】
なお、ここで挙げたフォトリソグラフィとは、半導体製造技術において、光や電子線等を利用して平面基板にパターンを転写する写真製版のことを意味する。この工程では、レジストの塗布、露光、エッチングおよびレジストの除去等の様々な工程を含んでいるが、一般的な工程であるため、ここでは一つの工程に含めて説明する。
【0033】
図9を参照して、ガラス基板1とは別にたとえば200μmの厚さの導電膜6を準備し、導電膜6中のゲートホールが形成されるべき位置に孔6a(凹部)の各々を形成する。導電膜6は、たとえばFe(鉄)−Ni(ニッケル)系合金や、Fe−Ni−Co(コバルト)系合金よりなっている。これらの材料の熱膨張率はガラス基板1の熱膨張率に近いので、ガラス基板1との間に熱応力が発生することを抑止できる。孔6aはウエットエッチングにより形成される。このため、導電膜6は等方的にエッチングされ、孔6aの口径aと孔6aの深さbとはほぼ同じ(1:1)になる。本実施の形態では、たとえば150μmの深さbの孔6aを形成する。このとき、孔6aの口径aもほぼ150μmとなる。なお、図1において、互いに隣接する孔12の中心間の距離は、通常200μm以上あるので、孔12同士の間隔は少なくとも50μm確保される。
【0034】
図10を参照して、孔6aと貫通するように、たとえばウエットエッチングにより導電膜6に孔6b(貫通孔)を開口する。ここで、導電膜6の膜厚は200μmであり、孔6aの深さは150μmであるので、孔6aが形成されている部分の導電膜6の膜厚は50μmとなっている。上述のように、ウエットエッチングにより開口された孔では、孔の口径と孔の深さとがほぼ同じになるので、孔6bの口径を50μmとすることができる。このように、本実施の形態では、導電膜6に凹部を形成し、その後凹部内に貫通孔を形成することで、導電膜6の膜厚よりも小さい口径を有する孔12を形成することができる。
【0035】
続いて、図5を参照して、たとえばフリットガラスのような接着性のある絶縁膜7を導電膜6に塗布する。次に、酸素雰囲気中で仮焼成を行ないフリットガラス中に含まれている有機物を除去する。そして、絶縁膜7を介して導電膜5上に導電膜6を配置し、たとえば希ガス雰囲気中においてフリットガラスが溶融する温度まで加熱して導電膜5と導電膜6とを接着する。これにより、孔7aを有する絶縁膜7が導電膜5と導電膜6との間に形成される。フリットガラスは流動性が高いため、絶縁膜7としてフリットガラスを用いることで孔6a,6bが絶縁膜7によって目詰まりしにくくなる。さらに、目詰まりしてもブロア等で吹き飛ばすことで容易に目詰まりを解消することができる。
【0036】
なお、導電膜5と導電膜6とを接着する際、導電膜6を導電膜5に押し付けることにより、導電膜6の平坦性を確保することができる。また、導電膜5と導電膜6との接触面積を増やすことができるので、導電膜5と導電膜6との固着性を向上することができる。以上の工程により、本実施の形態の冷陰極電子源30が完成する。
【0037】
本実施の形態の冷陰極電子源30は、導電膜5および導電膜6に印加された電圧によってCNT膜4から電子を放出する冷陰極電子源であって、絶縁膜2と、絶縁膜2上に形成された導電膜5と、導電膜5上に形成された導電膜6と、導電膜5と導電膜6との間に形成された絶縁膜7とを備えている。絶縁膜2および導電膜5の各々には孔2a,5aの各々が開口しており、導電膜6には孔2a,5aに繋がる孔12が開口している。さらに、孔2a,5aの底部に形成されたCNT膜4を備えている。絶縁膜7から離れるに従って孔12の口径が減少している。
【0038】
本実施の形態の冷陰極電子源30の製造方法は、導電膜5および導電膜6に印加された電圧によってCNT膜4から電子を放出する冷陰極電子源の製造方法であって、以下の工程を備えている。CNT膜4と、絶縁膜2と、導電膜5とを積層して形成する。CNT膜4に達する孔2a,5aの各々を絶縁膜2および導電膜5に形成する。導電膜6をエッチングすることにより孔6aを形成する。導電膜6をエッチングすることにより、孔6a内に孔6bを形成する。導電膜5上に絶縁膜7を介して導電膜6を接着する。
【0039】
本実施の形態の冷陰極電子源30およびその製造方法によれば、導電膜6をエッチングすることで、導電膜6の膜厚よりも小さい口径の孔6aが形成される。孔6aでは導電膜6の膜厚が小さくなっているので、孔6a内に導電膜6の膜厚よりも小さい口径を有する孔6bを形成することにより、絶縁膜7から離れるに従って口径が減少している孔12を形成することができる。したがって、容易に製造することができ、かつ解像度の高い冷陰極電子源を得ることができる。
【0040】
また、絶縁膜7から離れるに従って口径が減少していることで、以下の効果を得ることができる。CNT膜4から放出された電子は、導電膜6に開口された孔12の最も口径の小さい部分において集束される。言い換えれば、導電膜6に開口された孔12の最も口径の小さい部分が集束レンズとして機能する。上述のように、導電膜3から集束レンズを離すほど集束特性が向上する。したがって、絶縁膜7から離れるに従って孔12の口径が減少していることで、集束特性を向上できる。
【0041】
本実施の形態の冷陰極電子源30の製造方法において、絶縁膜7は接着層であり、導電膜6の接着の際、導電膜5と導電膜6とを絶縁膜7で接着する。
【0042】
これにより、導電膜5と導電膜6との間の絶縁の確保と、導電膜5と導電膜6との接着とを同時に行なうことができるので、製造工程を簡略化することができる。
【0043】
本願発明者らは、上記の効果を確認すべく、カソード電極(図1の導電膜3)から集束電極(図1の導電膜6)の上面までの距離と電子ビーム径との関係について2次元でのシミュレーションを行なった。
【0044】
図11は、シミュレーションを行なった冷陰極電子源の構造を示す断面図である。
【0045】
図11を参照して、ガラス基板101上に絶縁膜102が形成されており、絶縁膜102上にゲート電極105が形成されている。絶縁膜102、ゲート電極105の各々には、孔102a、孔105aの各々が形成されており、孔102a、孔105aの各々の底部のガラス基板101上にはカソード電極103と、電子放出膜104とが積層して形成されている。また、ゲート電極105の上部には、集束電極106が配置されている。集束電極106には孔106aが形成されている。カソード電極103から集束電極106の上面までの距離を距離dとし、集束電極106の孔106aの口径を口径wとした。ガラス基板1から9mm離れた位置にスクリーン(図示なし)が配置されている。カソード電極103とスクリーンとの間には9kVの電圧が印加されている。電子放出膜104の幅は40μmである。距離dおよび口径wを変化させて電子ビーム径を算出した。
【0046】
図12は、カソード電極から集束電極の上面までの距離dと電子ビーム径との関係を示す図である。
【0047】
図12を参照して、距離dが大きくなるに従って電子ビーム径が小さくなっていることが分かる。これは、集束電極106の位置に集束レンズがあり、物点(カソード電極103)の位置とレンズ(集束電極106の上面)の位置とが離れるに従って、スクリーン上での結像状態での倍率が低下しているためであると考えられる。
【0048】
通常、スクリーンには0.2mm間隔で赤、緑、および青の蛍光体層が塗布されており、電子放出膜104から放出される電子は、所定の色の蛍光体層に衝突する。電子ビーム径が蛍光体層の各色の間隔よりも大きいと、所定の色以外の蛍光体層にも電子が衝突する。その結果、蛍光体層において意図しない発光が起こり、色純度が低下し画質が劣化する。このような理由により、画質劣化を防止するためには電子ビーム径が0.2mm以下である必要がある。そして、図12の結果から、電子ビーム径を0.2mm以下とするためには距離dを200μm以上とする必要があることが分かる。
【0049】
次に、本願発明者らは、集束電極の口径wと電子ビーム径との関係について2次元でのシミュレーションを行なった。
【0050】
また、図13は、集束電極の口径wと電子ビーム径との関係を示す図である。
【0051】
図13を参照して、集束電極106の口径wを小さくするとスクリーン上の電子ビーム径は若干小さくなることが分かる。一方で、集束電極106の口径wを小さくすると、電子が孔106aを透過する透過効率が低下するというマイナスの効果も生じる。透過効率を大きく低下させることなく電子ビーム径を0.2mm以下にするためには、集束電極106の口径wを60μmとする必要があることが分かる。
【0052】
図12および図13の結果から、冷陰極電子源の解像度を高くするためには、カソード電極から集束電極の上面までの距離dを200μm以上とし、集束電極106の口径wを60μmとする必要があることが分かる。本実施の形態の冷陰極電子源によれば、集束電極106の膜厚よりも小さい口径wの孔106aを形成することができるので、このような構造を容易に実現することができる。具体的には、図4において、導電膜6の膜厚をたとえば140μmとし、絶縁膜7の膜厚をたとえば60μmとし、導電膜6の孔6bの口径をたとえば40μmとすることにより実現可能である。
【0053】
なお、本実施の形態においては、絶縁膜7としてフリットガラスを用いる場合について示したが、本発明はこのような場合の他、絶縁膜7としてポリイミド系の絶縁材料を用いてもよい。ポリイミド系の絶縁材料を用いることにより、高温加熱する必要がなくなるので、加熱により導電膜3などに与えるダメージを低減することができる。また、ポリイミド系の絶縁材料は緻密であるので、絶縁膜7中に隙間が発生することなく良好な絶縁耐力を確保することができる。
【0054】
また、本実施の形態においては、図4および図5に示す断面形状を有する導電膜6を形成する場合について示したが、本発明はこのような場合の他、図5に示す断面形状の導電膜6に代わって、たとえば図14に示すような台形の断面形状の孔12を有する導電膜6を形成してもよい。この場合には、1回のエッチングで孔12を形成することができる。
【0055】
(実施の形態2)
図15は、本発明の実施の形態2における冷陰極電子源の構造を示す平面図である。図16は、図15のXVI−XVI線に沿った断面図である。なお、図15のIV−IV線に沿った断面図は図4と同様になっている。
【0056】
図15および図16を参照して、本実施の形態の冷陰極電子源30においては、孔6aが列方向に直線状に延びている。そして、直線状に延びた孔6a内の所定の位置に孔6bが開口されている。つまり、列方向に並んでいる孔6bの各々は同一の孔6a内に開口されている。このような構造は、図9に示す孔6aの形成の際、列方向に延びた孔6aを形成することによって得られる。なお、図15のIV−IV線に沿った断面図は、図4と同様になっている。
【0057】
なお、これ以外の構造およびその製造方法は、図1〜図10に示す実施の形態1の冷陰極電子源30およびその製造方法とほぼ同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
本実施の形態の冷陰極電子源30によれば、実施の形態1の冷陰極電子源と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態1の場合に比べて、孔6aを開口する際の加工誤差が生じにくくなるので、冷陰極電子源の製造時の歩留まりを改善することができる。
【0059】
(実施の形態3)
図17は、本発明の実施の形態3における冷陰極電子源の構造を示す断面図である
図17を参照して、本実施の形態の冷陰極電子源30においては、絶縁膜9が絶縁膜7上に形成されている。孔6a内には絶縁膜9の一部が形成されている。絶縁膜9は孔9aを有している。本実施の形態においては、絶縁膜7および9が第2絶縁膜に対応している。
【0060】
なお、これ以外の構造は、図1〜図5に示す実施の形態1の冷陰極電子源30とほぼ同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0061】
続いて、本実施の形態における冷陰極電子源30の製造方法について説明する。
【0062】
本実施の形態の製造方法は、まず図6〜図10に示す実施の形態1の製造工程と同様の製造工程を経る。よってその説明を省略する。
【0063】
図18〜図20は、本発明の実施の形態3における冷陰極電子源の製造方法を工程順に示す断面図である。
【0064】
図18を参照して、孔6a内を埋めるように導電膜6上(図18中下方)に感光性のフォト誘電体よりなる絶縁膜9を形成する。このとき、孔12内を完全に埋めるように絶縁膜9を形成してもよい。
【0065】
図19を参照して、孔6bを通して絶縁膜9の一部へたとえばUV(ultraviolet)光10を照射し、絶縁膜9を露光する。
【0066】
図20を参照して、絶縁膜9におけるUV光10を照射した部分を除去し、絶縁膜9に孔9aを開口する。孔9aの口径は孔6bの口径とほぼ同じになっている。
【0067】
図17を参照して、たとえばフリットガラスよりなる絶縁膜7を用いて絶縁膜9と導電膜5とを接触し、絶縁膜7および9を介して導電膜5上に導電膜6を配置する。以上の工程により、本実施の形態の冷陰極電子源30が完成する。
【0068】
本実施の形態の冷陰極電子源30においては、孔12内には絶縁膜9の一部が形成されている。
【0069】
本実施の形態の冷陰極電子源30の製造方法は、以下の工程をさらに備えている。孔6aを埋めるように導電膜6上に絶縁膜9を形成する。孔6bを通して絶縁膜9の一部を露光する。露光された絶縁膜9を除去する。
【0070】
本実施の形態の冷陰極電子源30およびその製造方法によれば、孔6aを埋めるように絶縁膜9を形成しても、孔6bを通して絶縁膜9の一部を露光することで孔9aを絶縁膜9の所定の位置に開口することができる。したがって、孔9b以外の部分への絶縁膜9の形成が容易になる。
【0071】
(実施の形態4)
図21は、本発明の実施の形態4における冷陰極電子源の構造を示す断面図である。
【0072】
図21を参照して、本実施の形態の冷陰極電子源30においては、たとえばフリットガラスよりなる絶縁膜7が絶縁体粒子13を含んでいる。絶縁体粒子13は、たとえばガラスよりなっている。
【0073】
なお、これ以外の構造およびその製造方法は、図1〜図10に示す実施の形態1の冷陰極電子源30およびその製造方法とほぼ同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
本実施の形態の冷陰極電子源30において、絶縁膜7は絶縁体粒子13を含んでいる。
【0075】
本実施の形態の冷陰極電子源30によれば、絶縁体粒子13の存在により導電膜5と導電膜6との絶縁を安定して確保することができる。絶縁体粒子13は、特に導電膜5と導電膜6とを絶縁膜7を用いて接着する場合に有効である。すなわち、導電膜5と導電膜6とを絶縁膜7を用いて接着する場合、導電膜6の平坦性を確保するために導電膜6を導電膜5に押し付ける。このとき、加圧により導電膜5と導電膜6との間から絶縁膜7が流出しても、絶縁体粒子13によって導電膜5と導電膜6との絶縁を安定して確保することができる。このように、絶縁膜7が絶縁体粒子13を含んでいることによって良好な絶縁耐力を確保することができる。
【0076】
(実施の形態5)
図22は、本発明の実施の形態5における冷陰極電子源の構造を示す断面図である。
【0077】
図22を参照して、本実施の形態の冷陰極電子源30においては、導電膜5に最も近い部分における孔12の口径D1が孔2aおよび孔5aの口径D2よりも小さい。つまり、導電膜5上に導電膜6が配置される際に互いに対向する導電膜5の表面11aと導電膜6の表面11bとのうち、導電膜5の表面11aの方が導電膜6の表面11bよりも広い。絶縁膜7は、たとえばフリットガラスのような流動性の大きい材料よりなっており、導電膜6の表面11bからその一部がはみ出るように導電膜6の表面11a上に形成されている。孔12の口径D1および孔5aの口径D2詳細な条件は、導電膜6の配置精度、孔6aの寸法精度、絶縁膜7の粘度、絶縁膜7の表面張力、および絶縁膜7の粘性等によって決められることが好ましい。
【0078】
なお、これ以外の構造およびその製造方法は、図1〜図10に示す実施の形態1の冷陰極電子源30およびその製造方法とほぼ同様であるので、同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
本実施の形態の冷陰極電子源30において、導電膜5に最も近い部分における孔12の口径D1は孔2aおよび孔5aの口径D2よりも大きい。
【0080】
導電膜5と導電膜6とを絶縁膜7を用いて接着する場合、導電膜6の平坦性を確保するために導電膜6を導電膜5に押し付ける。このとき、加圧により導電膜5と導電膜6との間から絶縁膜7が流出しやすい。本実施の形態の冷陰極電子源30では、導電膜5の表面11aの方が導電膜6の表面11bよりも広くなっているので、流出した絶縁膜7は導電膜5の表面11a上に留まる。したがって、導電膜5から垂れ落ちてCNT膜4に付着することが抑止されるので、冷陰極電子源の品質を向上することができる。
【0081】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の形態1における冷陰極電子源の構造を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における冷陰極電子源の第1ゲート電極膜より下部の構造を示す平面図である。
【図3】図2における1つのゲートホールの構造を示す斜視図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図1のV−V線に沿った断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における冷陰極電子源の製造方法の第1工程を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における冷陰極電子源の製造方法の第2工程を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1における冷陰極電子源の製造方法の第3工程を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1における冷陰極電子源の製造方法の第4工程を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1における冷陰極電子源の製造方法の第5工程を示す断面図である。
【図11】シミュレーションを行なった冷陰極電子源の構造を示す断面図である。
【図12】カソード電極から集束電極の上面までの距離dと電子ビーム径との関係を示す図である。
【図13】集束電極の口径wと電子ビーム径との関係を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態1における冷陰極電子源の他の構造を示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2における冷陰極電子源の構造を示す平面図である。
【図16】図15のXVI−XVI線に沿った断面図である。
【図17】本発明の実施の形態3における冷陰極電子源の構造を示す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態3における冷陰極電子源の製造方法の第1工程を示す断面図である。
【図19】本発明の実施の形態3における冷陰極電子源の製造方法の第2工程を示す断面図である。
【図20】本発明の実施の形態3における冷陰極電子源の製造方法の第3工程を示す断面図である。
【図21】本発明の実施の形態4における冷陰極電子源の構造を示す断面図である。
【図22】本発明の実施の形態5における冷陰極電子源の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1,101 ガラス基板、2,7,9,102 絶縁膜、3,5,6 導電膜、4 CNT膜、2a,5a,6a,6b,7a,9a,9b,12,102a,105a,106a 孔、10 UV光、11a,11b 表面、13 絶縁体粒子、30 冷陰極電子源、103 カソード電極、104 電子放出膜、105 ゲート電極、106 集束電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2ゲート電極膜に印加された電圧によって電子放出膜から電子を放出する冷陰極電子源であって、
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成された前記第1ゲート電極膜と、
前記第1ゲート電極膜上に形成された前記第2ゲート電極膜と、
前記第1ゲート電極膜と前記第2ゲート電極膜との間に形成された第2絶縁膜とを備え、
前記第1絶縁膜および前記第1ゲート電極膜には第1の孔が開口しており、前記第2ゲート電極膜には前記第1の孔に繋がる第2の孔が開口しており、
前記第1の孔の底部に形成された前記電子放出膜をさらに備え、
前記第2絶縁膜から離れるに従って前記第2の孔の口径が減少していることを特徴とする、冷陰極電子源。
【請求項2】
前記第2絶縁膜が絶縁体粒子を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の冷陰極電子源。
【請求項3】
前記第1ゲート電極膜に最も近い部分における前記第2の孔の口径が前記第1の孔の口径よりも大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の冷陰極電子源。
【請求項4】
第1および第2ゲート電極膜に印加された電圧によって電子放出膜から電子を放出する冷陰極電子源の製造方法であって、
前記電子放出膜と、第1絶縁膜と、前記第1ゲート電極膜とを積層して形成する工程と、
前記電子放出膜に達する第1の孔を前記第1絶縁膜および前記第1ゲート電極膜に形成する工程と、
前記第2ゲート電極膜をエッチングすることにより凹部を形成する工程と、
前記第2ゲート電極膜をエッチングすることにより、前記凹部内に貫通孔を形成する工程と、
前記第1ゲート電極膜上に第2絶縁膜を介して前記第2ゲート電極膜を接着する接着工程とを備える、冷陰極電子源の製造方法。
【請求項5】
前記第2絶縁膜は接着層であり、
前記接着工程において、前記第1ゲート電極膜と前記第2ゲート電極膜とを前記第2絶縁膜で接着することを特徴とする、請求項4に記載の冷陰極電子源の製造方法。
【請求項6】
前記凹部を埋めるように前記第2ゲート電極膜上に前記第2絶縁膜を形成する工程と、
前記貫通孔を通して前記第2絶縁膜の一部を露光する工程と、
露光された前記第2絶縁膜を除去する工程とをさらに備える、請求項4または5に記載の冷陰極電子源の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−4643(P2006−4643A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176636(P2004−176636)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「革新的温暖化対策技術プログラム カーボンナノチューブFEDプロジェクト」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】