説明

処理作業装置及び処理作業方法並びに表示パネルモジュール組立装置および組立方法

【課題】
アライメントに必要な時間を短縮して作業効率を向上できる、あるいは、設備を低減できる処理作業装置及び処理作業方法を提供することにある。また、複数種類の処理作業からなる表示パネルモジュール組立装置または組立方法において、各処理作業の作業効率を向上することである。
【解決手段】
隣接する作業装置から搬送された表示パネル基板の処理辺に複数の処理作業箇所で処理を行ない、前記複数の処理作業箇所のうち少なくとも1箇所で前記処理部とのアライメントを行ない、その他の処理作業箇所のうち少なくとも1箇所で、前記アライメントで得られたデータに基づき前記処理部の位置決めする位置決め手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶やプラズマなどのFPD(=Flat Panel Display)の表示パネル(表示セル基板)の周辺に駆動ICの搭載やCOF(Chip on Film),FPC(Flexible Printed Circuits)などのいわゆるTAB(=Tape Automated Bonding)接続および周辺基板(PCB=printed circuit board)を実装する処理作業装置及びそれ等から構成される表示パネルモジュール組立装置に関するものである。より具体的には、処理作業装置や表示パネルモジュール組立装置における処理作業箇所でのアライメントをより効率的に行なう処理作業装置及び表示パネル基板搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示パネルモジュール組立装置は、液晶、プラズマなどのFPDの表示パネル基板(以下単に基板と略し、その他の基板、例えばPCBの場合はPCB基板と明記する。)に、複数の処理作業工程を順次行なうことで、該基板の周辺に、駆動IC,TABおよびPCB基板などを実装する装置である。
【0003】
例えば、処理工程の一例としては、(1)基板端部のTAB貼付け部を清掃する端子クリーニング工程、(2)清掃後の基板端部に異方性導電フィルム(ACF=Anisotropic Conductive Film) を貼付けるACF工程、(3)ACFを貼付けた位置に基板配線を位置決めしてTABやICを搭載する搭載工程、(4)搭載したTABを加熱圧着することで、ACFフィルムにより固定する圧着工程、(5)搭載したTABやICの位置や接続状態を検査する検査工程、(6)TABの基板側と反対側にPCB基板をACFなどで貼付け搭載するPCB工程(複数の工程)などからなる。さらには、処理する基板の辺の数や処理するTABやICの数などで各処理装置の数や基板を回転する処理ユニットなどが必要となる。
【0004】
表示パネルモジュール組立装置は、これらの処理作業工程を行なう処理作業装置を連続して配置し、その間を基板搬送手段により基板を搬送することで、基板周辺処理を行なうものである。
【0005】
上記処理工程は、処理作業を行なう前に、基板と処理ユニットの間のアライメントを行なう必要があり、特にACF工程、搭載工程は、一つの基板の処理辺に複数の処理作業箇所がある。アライメントに関する従来技術としては下記の特許文献がある。
【0006】
【特許文献1】特開2008−218567号公報
【特許文献2】特開2003−76290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記、特許文献1には、前記一つの基板の処理辺に複数ある処理作業箇所毎にアライメントマークをCCDカメラで検出し、その結果に基づいて基板と処理ユニットの間のアライメントを行なう方法が開示されている。
【0008】
しかし、各処理作業ごとにアライメントを行なうと、その分の処理時間が掛かり、タクトが上がらないという課題がある。
【0009】
また、上記、特許文献2には、各処理作業装置に搬送されてきた基板を保持するとともに、位置決め動作を行った後、各処理作業を実施することが開示されている。上記したように、表示パネルモジュール組立装置は、複数種類の処理作業装置を連結し、連続して表示パネルに各種処理作業が行なわれる。上記、特許文献2に開示された処理作業装置の構成では、その処理作業内容により、処理作業時間には差が生じてしまう。このため、時間の短い工程の処理作業装置は、時間のかかる工程の処理作業装置の終了を待つことになり、基板の搬送間隔は、時間のかかる工程の処理作業装置に律速されるとともに、時間の短い工程の処理作業装置では作業停止している時間が発生することになる。
【0010】
各処理作業装置をより効率よく稼動させるためには、時間のかかる工程の処理作業装置を、時間の短い工程の処理作業装置に対して、数を多く連結し、各処理工程のタクトバランスを取ることが考えられる。しかし、この方式では連結される処理作業装置の数が増加し、表示パネルモジュール組立装置全体の長さが非常に長くなってしまう。また、従来装置では、さらにアライメント回数も多くなりさらにタクトが上がらないと共に、装置ごとにアライメントに必要な設備が必要であり、コストが掛かるという課題がある。
【0011】
本発明の第1の目的は、アライメントに必要な時間を短縮して作業効率を向上できる、あるいは、設備を低減できる処理作業装置及び処理作業方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、複数種類の処理作業装置からなる表示パネルモジュール組立装置または組立方法において、各処理作業の作業効率を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、隣接する作業装置から搬送された表示パネル基板の処理辺に複数の処理作業箇所で処理を行ない、前記複数の処理作業箇所のうち少なくとも1箇所で前記処理部と前記表示パネル基板とのアライメントを行ない、その他の処理作業箇所のうち少なくとも1箇所で、前記アライメントで得られたデータに基づき前記処理部の位置決めをすることを第1の特徴とする。
【0014】
また、上記の目的を達成するために、第1の特徴に加え、前記アライメントは、前記複数の処理作業箇所のうち少なくとも1箇所で処理作業箇所に対する前記表示パネル基板の姿勢を検出することを第2の特徴とする。
【0015】
さらに、上記の目的を達成するために、第1または第2の特徴に加え、前記位置決めは前記処理部を制御して行なうことを第3の特徴とする。
【0016】
また、上記の目的を達成するために、第1または第2の特徴に加え、前記位置決めは前記搬送された表示パネル基板の姿勢を制御することを含めて前記処理部の位置決めをすることを第4の特徴とする。
【0017】
さらに、上記の目的を達成するために、第1または第2の特徴に加え、前記処理部は1箇所であることを第5の特徴とする。
【0018】
また、上記の目的を達成するために、第1または第2の特徴に加え、前記処理部を複数有し、前記位置決めは前記アライメントを実施した処理部で得られた前記データに基づき他の処理部の位置決めを行なうことを第6の特徴とする。
【0019】
また、上記の目的を達成するために、第1または第2の特徴に加え、前記処理部を複数有し、前記アライメントは各処理部で処理する処理作業箇所の少なくとも1箇所でアライメントを行ない、前記位置決めは、各処理部が処理する他の処理作業箇所の位置決めをすることを第7の特徴とする。
【0020】
さらに、上記の第1の目的を達成するために、第1乃至第7のいずれかの特徴に加え、処理作業装置はACF貼付処理作業装置またはTAB/IC搭載処理作業装置であることを第8の特徴とする。
【0021】
また、上記の第2の目的を達成するために、表示パネル基板を、処理作業装置間を順次搬送して、前記表示パネル基板の処理辺に各種処理を行なう表示パネルモジュール組立装置あるいは組立方法において、上流側の処理作業装置で得られたアライメント情報に基づいて下流側の処理作業装置はアライメントすることを第9の特徴とする。
【0022】
また、上記の第2の目的を達成するために、第9の特徴に加え、前記アライメント情報とは、上流側の処理作業装置に対する前記表示パネル基板の姿勢であることを第10の特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、アライメントに必要な時間を短縮して作業効率を向上できる、あるいは、設備を低減できる処理作業装置及び処理作業方法を提供することができる。
【0024】
また、本発明によれば、複数種類の処理作業装置からなる表示パネルモジュール組立装置または組立方法において、各処理作業の作業効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の第1の実施形態を図1から図5を用いて説明する。
【0026】
本発明の一実施形態である処理作業装置1の基本構成を、ACF貼付処理作業装置6を例に、図1により説明する。図1のACF貼付処理作業装置6は、一つの処理作業装置内において実際に処理作業を行なう処理ユニット30を複数台(30a、30b、30c)配置し、これ等を全体的に制御し、あるいは上位制御部50との情報等の送受信を行なう統括制御部60からなる。この様な形態にすることで、一つの処理作業装置つまり、一枚の基板10に対して、複数の処理ユニット30が同時に作業を行なうことが可能となり、各処理作業装置の作業効率が向上したのと同じ効果が得られる。
【0027】
一般に、基板10の処理辺および処理作業箇所には、基準マークが設けられている。図1の基板10に基準マークの一例を示す。基準マークとしては、表示パネル端部を示す端部マーク21とともに、TABやICなどの処理作業箇所である搭載位置20を示すアライメントマークとなる搭載位置マーク22などが形成されている。
【0028】
図1に示した実施形態のACF貼付処理作業6では、一つの基板10における処理辺の異なる処理作業箇所に、複数の処理ユニット30が同時に作業を行なうことから、独立に動作させる自由度を確保するために、各処理ユニット30が独立に位置決めできる機能を設けた。
【0029】
図2に、このような機能を実現するための処理ユニット30aの一実施形態を示す。処理ユニット30は、基板等への処理行なう処理ヘッド31、搭載位置20に位置決めされACFテープを圧着する処理部である圧着ツール32、処理ユニット走行レール61上をX方向に移動し、さらにY、Zおよびθ方向へ処理ユニット全体を移動させるXYZθ稼動手段33、基板上の基準マークを検出するCCDカメラ34と、CCDカメラ34からの映像を処理する画像処理部36及び統括制御部60からの情報を基づき処理ヘッド31を制御する処理ヘッド制御部35からなる。
【0030】
処理ユニット30aと他の処理ユニット30b、30cとの異なる点は、他の処理ユニット30b、30cには、CCDカメラ34と、CCDカメラ34からの映像を処理する画像処理部36がない点である。
【0031】
また、本実施形態では、X軸移動手段を最も下に配置している。これは、X軸が基板10の処理辺と並行な方向の移動手段であるため、移動距離が最も長くなるためである。このような構成にすることで、処理ユニット走行レール61は、処理作業装置に備えられる複数の処理ユニット30で共通化することもできる。
従って、X軸稼動手段は、処理ユニットを基板の処理位置間で移動させる目的と各処理位置での位置決めをする目的の両方に使われる。高速の処理位置間の移動と高精度な処理位置への位置決めを両立するために、処理ユニットを基板の処理位置間で移動させる移動距離の大きなX軸の上に、高精度な処理位置への位置決めのために、X軸の微調用の稼動手段を、他の軸の移動手段とともに設ける方法も考えられる。現実的には、X軸が複数必要なとなるので、コストと必要精度を勘案して構成を選択する必要がある。
【0032】
本実施形態における主要な特徴であるアレイメントの方法について説明する。
本実施形態のACF貼付処理作業では、複数ある処理作業箇所に対応して設けられた搭載位置20のうち一箇所で基板10との位置ズレを検出しアライメントし、その他の搭載位置は、その検出した位置ズレデータとその他の搭載位置の基板上の位置情報に基づいて、それぞれの搭載位置における位置決めをする。
【0033】
図3は上記の処理フローを示したものである。図4はCADデータから得られるアライメント情報データ例を示したものである。
【0034】
先ず、処理ユニット30aの処理ヘッド制御部35aは、(1)基板が投入されると、処理ユニット30aを基板端部に移動させ、端部マーク21を検出する。そして、(2)前記端部マークの検出結果に基づいて、処理ユニット30aを左端搭載位置201のアライメントマーク221L、221Rの位置に移動させる。(3)画像処理部36は、処理ヘッド制御部35aの指令により、CCDカメラ34によりアライメントマークを撮像し、圧着ツール32に対する搭載位置201の、即ち基板10の傾きθk、及び、現在の圧着ツール32の中心位置(X0、Y0)に対する搭載位置20aの中心位置のX、Y方向の位置ズレ(ΔX,ΔY)を検出し、(4)統括制御部60に転送する。
【0035】
(5) 統括制御部60は、転送された検出結果と前記アライメント情報データに基づき、1番目の搭載位置201及び2番目以降の各搭載位置20n(n=1、2、3・・・)における圧着ツール32の位置決めデータ(Xn、Yn、θn)を求め、(6)各処理ヘッド制御部35に転送する。すべての搭載位置の傾きθnは基板10の傾きとなるからθkであり、各搭載位置の中心位置(Xn、Yn)は、搭載位置20との中心位置間距離Lを基板の傾斜で調整したものとなる。その結果、各搭載位置における圧着ツール32の位置決めデータ(Xn、Yn、θn)は次式となる。
θ1=θk (i)
X1=X0+ΔX (ii)
Yn=Y0+ΔY (iii)
θn=θk (iv)
Xn=X1+ n ×L×Cosθk (v)
Yn=Y1+ n ×L×Sinθk (vi)
(7)(5)の結果に基づいて、各処理ヘッド制御部35a〜bは、統括制御部60に割当てられた搭載位置に圧着ツールを順次移動させ、搭載位置を有する各処理作業箇所でACF処理を行なう。(8)各処理ヘッド制御部35a〜bは処理が終了したら、統括制御部60にその旨を伝送する。
【0036】
図5は、作業員が作業品種を指定からその作業が終了するまでの処理フローを示したものである。
先ず(a)作業員が作業品種を指定する。(b)新品種かどうか判断し、既品種ならば直接ステップ(d)にいく。(c)新品種であるならば、上位制御部50は図4に示すアライメント情報データをCADデータから作成・保存し、ステップ(d)にいく。(d)統括制御部60は、アライメント情報データを上位制御部50から受取る。(e)その後、図3に示す(1)〜(8)の処理を行なう。(f)統括制御部60は、必要枚数の処理が終了したかどうかを判断する。終了でなければ、上述したステップ(e)に行き、終了していれば次のStep(g)にいく。(g)品種切替の要求があるか判断し、あれば、ステップ(a)に戻り、なければ処理を終了する。
【0037】
本実施形態では、アライメント処理を行なう搭載位置を左端にしたが、右端でも、中央の位置でもどこでもよい。また、一台のCCDカメラ34でアライメント処理したが、圧着ツール32の両側に設けた2台で行なってもよい。さらに、アライメント情報データをCADデータから得たが、作業員が入力手段51から直接入力してもよい。
【0038】
本実施形態によれば、一箇所の処理作業箇所の搭載位置におけるアライメント処理に基づいて、その他の処理作業箇所の位置決めを一度に行なうことができ、アライメントに必要な時間を短縮でき、作業効率を向上できる。CCDカメラ34及び画像処理部36を一式設けるだけで良く、全体として、設備を低減できる処理作業装置及び処理作業方法を提供するができる。
【0039】
上記実施形態においては、一箇所のみでアライメント処理を実施したが、例えば基板サイズが大きく、基板10の撓み等の理由により一箇所でアライメントが無理な場合は、例えば各処理ユニットにCCDカメラ34及び画像処理部36を設け、各処理ユニット内での1箇所のアライメントで処理ユニット内における他の搭載位置での位置決め処理を実施してもよい。この実施形態においては、設備低減効果は得ることができないが、処理時間短縮による作業効率を向上の効果を得ることができる。
【0040】
逆に、例えば基板サイズが小さく、複数の処理ユニットが必要なく1台の処理ユニットで本実施形態と同一の処理を行なうことにより、本実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0041】
また、すべてのアライメント動作を処理ユニット側で実施したが、基板側、即ち搬送側で実施してもよい。特に、θ及びY方向に関しては、一度動作での補正でき、各搭載位置ではX方向のみの補正を行なえばよい。但し、基板サイズが大きいと搬送側のアライメント動作により基板ズレが発生する場合もあるので、アライメント動作を処理ユニット側で実施するか、搬送側で実施するかはそのときの状況に応じて決める。
【0042】
さらに上記実施形態ではACF装置あるいはACF処理工程について説明したが、本実施形態の装置構成及び処理工程は、ACF装置と同様に、同一基板で複数の作業処理を実施する装置構成あるいは処理工程に適用できる。例えば、ACFを貼付けた位置に基板配線を位置決めしてTABやICを搭載するTAB/IC搭載処理作業装置、及び搭載工程に適用できる。なお、図2では、パネル上部にCCDカメラを備えた場合について図示したが、ACF貼付け後など、アライメントマークを上部より確認できない場合には、CCDカメラをパネル下部側に備えてよい。
【0043】
次に、本発明の第二の実施形態を図6を用いて説明する。図6は、本発明の一実施形態である表示パネルモジュール組立装置(図(a))とその基板の搬送装置の基本構成(図(a)(b))を示した図である。
【0044】
図6(a)の装置は、基板10を保持する基板保持手段12とその基板を隣接する処理作業装置の位置まで搬送するための基板搬送手段11からなる搬送装置によって、図中左から右に向かって基板を順次搬送しながら、基板の周辺部に各種処理作業を行って、ICやTABなどの実装組立作業を行なう装置である。図6の装置は、まず、基板長辺側の処理作業装置群を示したもので、その後段には、図示していないが、基板長辺側の処理を行った後、基板を回転手段で回転させ、次に、基板短辺側の処理を行なう長辺側と同様な構成を有する処理作業装置群がある。
【0045】
図6で示す基板長辺側の処理として、左から(1)基板端部のTAB貼付け部を清掃する端子クリーニング工程,(2)清掃後の基板端部に異方性導電フィルム (ACF)を貼付けるACF工程,(3)ACFを貼付けた位置に、基板配線と位置決めしてTABやICを搭載する搭載工程,(4)搭載したTABやICを加熱圧着することで、ACFフィルムにより固定する圧着工程を順次行なうように構成されており、図中の4〜7は、それぞれ、端子クリーニング処理作業装置4、ACF貼付処理作業装置5a、5b,TAB/IC搭載処理作業装置6,本圧着処理作業装置7を示している。ACF貼付処理作業装置が2台あるのは、同作業の処理時間が長いために、2台の装置で作業を分担し、表示パネルモジュール組立装置の各装置の処理時間を均一化し、表示パネルモジュール組立装置としてスループットの向上を図るためである。
【0046】
図6(a)に関して説明した処理作業装置以外にも、表示パネルモジュール組立装置全体としては、残りの基板2辺(長辺,短辺)に対する処理工程やTABの基板側と反対側にPCB基板をACFなどで貼付け搭載するPCB処理工程(複数の処理工程よりなる),さらには処理作業後の基板の検査工程などの数多くの処理作業装置が、連ねられて構成される。どのような処理作業装置を連ねる必要があるかは、組立作業を行なう表示パネルモジュール構成に依存することは言うまでもない。
【0047】
次に、図6(b)及び図7を用いて基板の搬送装置の構成及び搬送方法について説明する。
基板搬送装置は、各処理作業装置の間に固定的に設置された基板保持手段12と、搬送方向に前後に移動して基板保持手段から次の基板保持手段まで基板10を搬送する基板搬送手段11からなる。図6(a)において基板10は、その下方に配置されている基板保持手段12や基板搬送手段11を図示するために、一部破断して表示するとともに、外形を点線で示した。
【0048】
図7は基板10の搬送方向であるX方向から見たA−A断面図である。同図に示すように、基板保持手段12は基板搬送方向に細長い基板保持部材12Aを複数(図7では4本)有する。一方、基板搬送手段は前記基板保持部材12Aの間に複数(図7では3本)並置した、やはり、基板搬送方向に細長い基板搬送部材11Aと、図(a)(b)に示すように基板10を前記基板保持部材11Aに載置又は離間するために前記基板搬送部材11Aを昇降させる基板搬送部材昇降手段14と、基板搬送手段をガイドレール15上を搬送方向に移動させるスライダ29を有する。
【0049】
このような構造における搬送方法を、図6に示す基板10cをACF貼付処理作業装置5bからTAB/IC搭載処理作業装置6に搬送する場合を例に説明する。基板搬送手段11a(図6、図7における小文字の添え字は場所を示す)は、ACF貼付処理作業装置5bの場所で、図7(b)に示すように基板10cを基板搬送部材11aAにより保持し、基板搬送部材昇降手段14aにより上昇させ、基板10cを基板保持部材12aから離間させる。その後、基板10cを上昇保持したままで、スライダ29aにより基板10cをTAB/IC搭載処理作業装置6の位置まで搬送する。このとき、基板搬送部材11aAは、基板保持部材12cAの部材の間を搬送する。TAB/IC搭載処理作業装置6では、基板10cを下降させ基板保持部材12cAに載置(図7(a))し、基板搬送部材11aAを基板10cから離間させる。そして、基板10cはTAB/IC搭載処理作業装置6で搭載作業が処理される。この搭載作業中に、基板搬送手段11aは、基板を保持していない姿勢を保持し、次の基板を搬送するためにACF貼付処理作業装置5bまで戻る。上記一連動作は、10c以外の基板においても同期して行なわれので、全ての作業が同期して搬送され、処理が行なわれることになる。
【0050】
図6(b)において処理作業装置4から5bまでは同一の搬送手段を用いている。このような構成は、これ等の処理作業装置間における基板配置位置の間隔が一定である場合のみ適用が可能となる。この結果、装置構成や制御手段の簡略化に寄与できる。
【0051】
このような表示パネルモジュール組立装置において、上流側の処理作業装置において行われたアライメント情報、あるいはアライメント情報に基づく基板の姿勢情報を下流側の処理作業装置に転送する。下流側の処理作業装置に搬送されたときに、搬送によって多少姿勢が変化するが、下流側の処理作業装置は前記情報を得ることによって、下流側の処理作業装置での端部マークやアライメントマークの検出が容易となり、処理時間の短縮を図ることができる。前後の処理作業装置のアライメント変化によってアライメントの搬送誤差を把握でき、その誤差が許容範囲内であるならば、前のアライメント情報をそのまま使うことができる。
【0052】
そこで、例えば、端子クリーニング処理作業装置4で得た基板の傾き具合や端部マーク21の装置に対するズレ具合等のアライメント情報をACF貼付処理作業装置5に転送することにより、ACF貼付処理作業装置5では、そのアライメント処理において端部マーク21の検出時間の短縮が図れる。特に、端子クリーニング処理作業装置4及び2台のACF貼付処理作業装置5は、図6に示すように基板搬送手段を共有しておりその効果期待できる。他の処理作業装置間においても同様である。
【0053】
上記第2の実施形態によれば、端部マークやアライメントマーク検出が容易になり、あるいは場合によってはアライメント情報を共有でき処理時間の短縮を図ることができる。
【0054】
この効果は、一つでの処理作業装置における1枚の基板による短縮効果が小さくても、多くの処理作業装置で多数の基板を処理する表示パネルモジュール組立装置全体としては大幅なスループットの向上が期待され、作業効率の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態である処理作業装置の基本構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態である処理ユニットを示す図である。
【図3】本発明の実施形態であるアライメント処理フローを示す図である。
【図4】本発明の実施形態におけるアライメント情報データを示す図である。
【図5】本発明の実施形態における作業員が作業品種を指定からその作業が終了するまでの処理フローを示した図である。
【図6】本発明の第二の実施形態である表示パネルモジュール組立装置(図(a))とその基板の搬送装置の基本構成(図(a)(b))を示した図である。
【図7】本発明の第二の実施形態である表示パネルモジュール組立装置(図(a))とその基板の搬送装置の動作状態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1:処理作業装置
4:端子クリーニング処理作業装置
5:ACF貼付処理作業装置
6:TAB/IC搭載処理作業装置
7:本圧着処理作業装置
10:基板(表示パネル基板) 11:基板搬送手段
11A:基板搬送部材 12:基板保持手段
12A:基板保持部材 14:基板搬送部材昇降手段
15:スライドステージのガイドレール
20:搭載位置 21:基板端部を示す端部マーク
22:TABやICなどの搭載位置を示すアライメント(搭載位置)マーク
29:スライドステージのスライダ
30:処理作業を行なう処理ユニット 31:処理ヘッド
32:圧着ツール
33:処理ユニット全体を移動させるXYZθ稼動手段
34:基板上の基準マークを検出するCCDカメラ
35:処理ヘッド制御部 36:画像処理部
50:上位制御部 51:入力手段
60:統括制御部 61:処理ユニット走行レール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する作業装置から搬送された表示パネル基板の処理辺に複数の処理作業箇所で処理を行なう処理部を少なくとも1箇所有する処理作業装置において、
前記複数の処理作業箇所のうち少なくとも1箇所で前記処理部と前記表示パネル基板とのアライメントを行なうアライメント手段と、その他の処理作業箇所のうち少なくとも1箇所で、前記アライメント手段で得られたデータに基づき前記処理部と前記表示パネル基板との位置決めをする位置決め手段を有することを特徴とする処理作業装置。
【請求項2】
前記アライメント手段は、前記複数の処理作業箇所のうち少なくとも1箇所で処理作業箇所に対する前記表示パネル基板の姿勢を検出する検出手段であることを特徴とする請求項1に記載の処理作業装置。
【請求項3】
前記位置決め手段は前記処理部を制御して行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の処理作業装置。
【請求項4】
前記位置決め手段は前記搬送された表示パネル基板の姿勢を制御することを含めて前記処理部の位置決めをすることを特徴とする請求項1または2に記載の処理作業装置。
【請求項5】
前記処理部は1箇所であることを特徴とする請求項1または2に記載の処理作業装置。
【請求項6】
前記処理部を複数有し、前記位置決め手段は前記アライメントを実施した処理部で得られた前記データに基づき他の処理部の位置決めを行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の処理作業装置。
【請求項7】
前記処理部を複数有し、前記アライメント手段は各処理部で処理する処理作業箇所の少なくとも1箇所でアライメントを行なう手段であり、前記位置決め手段は、各処理部が処理する他の処理作業箇所の位置決めをする手段であることを特徴とする請求項1または2に記載の処理作業装置。
【請求項8】
前記処理作業装置はACF貼付処理作業装置またはTAB/IC搭載処理作業装置であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の処理作業装置。
【請求項9】
表示パネル基板の処理辺に複数の処理作業箇所で処理を行なう処理作業方法において
前記複数の処理作業箇所のうち少なくとも1箇所で前記処理作業装置の処理部と前記表示パネル基板とのアライメントを行ない、その他の処理作業箇所のうち少なくとも1箇所で、前記アライメントで得られたデータに基づき処理部と前記表示パネル基板の位置決めをすることを特徴とする処理作業方法。
【請求項10】
表示パネル基板の処理辺に複数の処理作業箇所で処理を行なう処理作業方法において、
前記複数の処理作業箇所のうち少なくとも1箇所で処理作業箇所に対する前記表示パネル基板の姿勢を検出し、前記検出姿勢に基づき処理部の位置決めをすることを特徴とする処理作業方法。
【請求項11】
表示パネル基板を、処理作業装置間に順次搬送して、前記表示パネル基板の処理辺に各種処理を行なうことで電子部品を実装する表示パネルモジュール組立装置において、
前記請求項1乃至8のいずれかに記載された作業処理装置を有することを特徴とする表示パネルモジュール組立装置。
【請求項12】
表示パネル基板を、処理作業装置間に順次搬送して、前記表示パネル基板の処理辺に各種処理を行なう表示パネルモジュール組立装置において、
上流側の処理作業装置で得られたアライメント情報に基づいて下流側の処理作業装置はアライメントする手段を有することを特徴とする表示パネルモジュール組立装置。
【請求項13】
前記アライメント情報とは、上流側の処理作業装置に対する前記表示パネル基板の姿勢であることを特徴とする請求項12に記載の表示パネルモジュール組立装置。
【請求項14】
表示パネル基板を、処理作業装置間に順次搬送して、前記表示パネル基板の処理辺に各種処理を行なう表示パネルモジュール組立方法において、
上流側の処理作業装置で得られたアライメント情報に基づいて下流側の処理作業装置はアライメントを行なうことを特徴とする表示パネルモジュール組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−160408(P2010−160408A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3607(P2009−3607)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】