説明

処理装置および処理装置のメンテナンス方法

【課題】簡易な構成でメンテナンスを行なうことができる処理装置および処理装置のメンテナンス方法を提供すること。
【解決手段】ワークWを搬送する搬送ステージ13〜15と、搬送ステージ13〜15上を移動するワークWに所定の処理を施して検査する検査ユニット100と、搬送ステージ13〜15および検査ユニット100を収容する外装16と、を備えたFPD検査装置1であって、外装16に設けられた挿入孔16aを介して外装16の外部から内部に延び、内部側の端部がメンテナンス対象箇所に向けて配設され、搬送ステージ13〜15および検査ユニット100に対するメンテナンスを行なうメンテナンス手段を挿通するメンテナンス管20を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置に関し、特にフラットパネルディスプレイ用のガラス基板や半導体基板やプリント基板などを検査・処理する処理装置および処理装置のメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラス基板や半導体基板やプリント基板などの処理対象基板を検査・処理する処理装置は、ガラス基板等の大型化に伴って大型化している。処理装置の大型化によって、処理を行う各可動部も大型化しており、作業者の安全を損なうおそれがあった。この問題に対し、作業者の安全を確保するため、処理装置は、可動部等が外装カバーによって覆われている。
【0003】
ところで、処理装置内で障害が発生した場合または処理装置のメンテナンスを行なう場合、処理装置の内部を確認する必要が生ずる。また、場合によっては、処理装置内に作業者が入って作業を行なう必要がある。
【0004】
上述した確認作業が可能なシステムとして、監視局の監視端末に表示された各監視カメラからの監視映像に大画面表示装置の操作ボタン等を配置し、GUI操作によって監視端末で大画面表示装置の画面操作を行なう技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−288773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1が開示する技術によって処理装置内を監視する場合、処理装置内の監視すべき箇所にそれぞれ監視カメラを配設しなければならないため、装置にかかるコストが増大してしまうおそれがあった。また、従来の処理装置では、作業者が処理装置の内部でメンテナンスをする場合、処理装置の電源をオフする必要があるため、メンテナンス後の検査・処理の開始が遅れ、その結果、処理対象基板の検査に時間を要してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、簡易な構成でメンテナンスを行なうことができる処理装置および処理装置のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる処理装置は、処理対象の基板を載置するステージと、前記基板に所定の処理を施す処理ユニットと、前記ステージおよび前記処理ユニットを収容する外装と、を備えた処理装置であって、前記外装に設けられた挿入孔を介して前記外装の外部から内部へ延び、内部側の端部がメンテナンス対象箇所に向けて配設され、前記ステージおよび前記処理ユニットに対するメンテナンスを行なうメンテナンス手段を挿通するメンテナンス管を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるメンテナンス方法は、処理対象の基板を載置するステージと、前記基板に所定の処理を施す処理ユニットと、前記ステージおよび前記処理ユニットを収容する外装と、を備えた処理装置に対して行なうメンテナンス方法であって、前記外装に設けられた挿入孔を介して前記外装の外部から内部へ延び、複数のメンテナンス対象箇所に向けてそれぞれ配設される複数のメンテナンス管のうち、メンテナンス対象のメンテナンス管に対して、前記ステージおよび前記処理ユニットに対するメンテナンスを行なうメンテナンス手段を挿通する挿通ステップと、前記メンテナンス管に挿通したメンテナンス手段を用いてメンテナンスを行なうメンテナンスステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる処理装置および処理装置のメンテナンス方法は、外装の外側から処理装置内部のメンテナンス対象箇所に向けてメンテナンス管を配設し、メンテナンス管内にメンテナンス手段を挿通して外装の外部から内部の観察および処理ができるようにしたので、簡易な構成でメンテナンスを行なうことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかるフラットパネルディスプレイ(FPD)検査装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1にかかるFPD検査装置の要部の構成を模式的に示す側面図である。
【図3】図3は、図2に示すメンテナンス管内に内視鏡を挿通した場合を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1の変形例1〜3にかかるFPD検査装置の搬送ステージを示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1の変形例1にかかるFPD検査装置の要部の構成を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるFPD検査装置の要部の構成示す模式図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるFPD検査装置の要部の構成を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2にかかるFPD検査装置を示す模式図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態2の変形例にかかるFPD検査装置を示す模式図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態3にかかるFPD検査装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1にかかる処理装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、FPD用のガラス基板や半導体基板やプリント基板などの処理対象基板(以下、ワークという)がインライン型の検査装置を例に挙げて説明する。ただし、これに限定されず、オフライン型の検査装置であってもよい。
【0014】
図1は、本実施の形態1にかかるフラットパネルディスプレイ(FPD)検査装置の概略構成を示す斜視図である。図1に示すように、FPD検査装置1は、矩形をなすワークWを搬送する搬送ステージ13〜15と、搬送ステージ13〜15上を移動するワークWの欠陥を検出する検査ユニット100と、を備える。なお、検査ユニット100は、たとえばワークWの欠陥部分に対して行うレーザ照射修復や塗布修正等の修復ユニット、観察・画像保存する撮像ユニット、配線等の寸法測定、膜厚測定、色測定などを行う測定ユニットなどの処理を所定の位置(処理部)で施す他の処理ユニットに置き替えることもできる。すなわち、処理ユニットには、検査ユニット、修復ユニット、撮像ユニット、露光ユニット、測定ユニット等が含まれる。また、本発明にかかる検査装置は、ワークWを載置するステージ(固定ステージ)上で上述した処理ユニットが基板に対して各処理を行う構成も含む。
【0015】
ガントリステージ10および搬送ステージ13〜15は、たとえば架台11に固定される。架台11は、たとえばブロック状の大理石やスチール材を組み合わせたフレームなど、耐震性の高い部材によって構成される。加えて、架台11と設置面(たとえば床)との間には、たとえばスプリングや油圧ダンパなどで構成された振動吸収機構12が設けられる。これにより、搬送ステージ13〜15および検査ユニット100の振動がさらに防止される。
【0016】
搬送ステージ13〜15は、たとえば長方形の板(浮上プレート)がワークWの搬送方向Dと垂直な方向にすのこ状に組み合わされた構造を有する。この搬送ステージ13〜15を搬送方向Dに並べることで、ワークWの搬送経路が形成される。ワークWの搬送方法としては、搬送ステージ13上に搬入されたワークWを支持して搬送ステージ13に載置するリフトピン、搬送ステージ13に載置されたワークWを整列させる整列機構、搬送ステージ13に浮上プレートを設けてワークWをエア浮上させるとともにワークWを保持して搬送させる吸着搬送、搬送ステージに複数のローラを設けてローラの回転により基板を搬送するローラ搬送等がある。
【0017】
搬送ステージ14は、例えば、図2に示すように、基板面に対して垂直な方向にエア(気体)を噴出させる複数の噴出孔Hを有する浮上プレート140と、噴出孔Hから噴出させるエアを送り込む送風部14aおよびポンプ14bと、送風部14aに設けられ、送風部14aが送り込むエアの圧力を表示する圧力計14cとを有する。
【0018】
検査ユニット100は、搬送ステージ14が形成する搬送経路上に設定された検査ラインL14を通過するワークWを、顕微鏡101を介して撮像する図示しない撮像部を有する。この検査ユニット100によって取得された画像を解析することで、ワークWに欠陥が存在するか否かを検出することができる。なお、検査ユニット100は、顕微鏡101を固定する移動ステージ102がガントリステージ10に保持されており、ワークWの搬送方向Dに対して垂直な方向および/または平行な方向に移動することが可能である。また、検査ユニット100は、検査ラインL14を上方から撮像するように設けられる。本説明では、検査ユニット100が設けられる領域を検査空間PRという。また、検査空間PR以外の領域を搬送空間TRという。
【0019】
また、FPD検査装置1は、検査空間PRおよび搬送空間TRを囲む外装16を備え、内部空間(クリーンルーム)を形成する。このクリーンルームは、ワークの搬入口および搬出口ならびに下部のダクトおよび後述するメンテナンス管20の挿入孔16a以外、密閉された空間である。
【0020】
外装16は、メンテナンス管20を挿入可能な挿入孔16aと、検査ユニット100の上方に、外装16の内部空間にクリーンな空気(以下、クリーンエアという)を送り込むFFU17とを有する。
【0021】
FFU17は、パーティクルなどのダストが除去されたクリーンエアを送出する。この結果、特に検査ユニット100近傍および検査ラインL14周辺(検査空間PR)を、ダストの少ないクリーンな状態とすることができる。また、検査ユニット100近傍および検査ラインL14周辺に集中して送出されたクリーンな空気は、クリーンルーム内でダウンフローを形成したのち、主に下部の排気口から排気される。
【0022】
メンテナンス管20は、外装の外部側から内部側に延び、内部側の端部がメンテナンス対象箇所に向けて配設された略管状をなす。メンテナンス管20は、図2に示すように、外装16の挿入孔16aを介して内部に挿入され、先端部がメンテナンス対象箇所である圧力計14cに向けられている。
【0023】
図3は、図2に示すメンテナンス管20に内視鏡200を挿通した場合を示す模式図である。内視鏡200は、屈曲可能な線状をなし、先端部に撮像ユニット201aを有するメンテナンス手段としての挿通部201と、撮像ユニット201aの撮像画像を表示する表示部202と、撮像ユニット201aの撮像処理を指示する操作部203とを有する。なお、挿通部201の撮像ユニット201a近傍は、操作部203を操作することによって任意の方向に屈曲させることが可能である。
【0024】
内視鏡200の挿通部201をメンテナンス管20内に挿通させると(挿通ステップ)、撮像ユニット201aがメンテナンス管20の先端部に配置される。この結果、撮像ユニット201aが圧力計14cを表示部202に表示させることによって、外装16の外部から浮上プレート140の噴出孔Hから噴出するエアの圧力を確認する(メンテナンスステップ)ことが可能となる。
【0025】
上述した実施の形態1のように、メンテナンス管の先端部をメンテナンス対象箇所に向け、内視鏡等のメンテナンス手段を挿通することによって、装置の電源をオフすることなく、メンテナンス対象箇所の確認を行なうことが可能となり、装置の再起動にかかる時間を削減し、メンテナンス後に再度検査を開始するまでの時間を短縮することができる。また、メンテナンス管を複数のメンテナンス対象箇所にそれぞれ配設し、確認を行なうメンテナンス管に内視鏡を挿通することで、各メンテナンス対象箇所に撮像ユニット(監視カメラ)を配置することなく、1つの撮像ユニットのみで複数のメンテナンス対象箇所をそれぞれ確認することができるため、装置構成を簡略化し、装置にかかるコストを抑制させることが可能となる。
【0026】
また、従来の処理装置では、作業者が処理装置の内部でメンテナンスをする場合、装置の電源をオフする必要があるため、メンテナンス後の検査・処理の開始が遅れ、その結果、処理対象基板の検査に時間を要してしまうという問題があった。これに対し、本実施の形態1にかかる検査装置は、電源をオフすることなくメンテナンスを行なうことができるため、メンテナンス後、再度検査を開始するまでの時間を短縮することができる。
【0027】
(変形例)
図4は、本実施の形態1の変形例1~3にかかるFPD検査装置の搬送ステージを示す模式図である。FPD検査装置において、構成要素が駆動する各部分は、メンテナンス対象箇所として該当する。搬送ステージ13は、図4に示すように、図2に示す搬送ステージ14の浮上プレート140と同等の構成を有する浮上プレート130(基板浮上機構)と、搬送ステージ13に載置されたワークWを整列させる複数の整列部131A〜131Eを有する整列機構131と、ワークWの端部を吸着保持して搬送させる吸着搬送機構132と、搬送ステージ13上に搬入されたワークWを支持して搬送ステージ13に載置するリフトピン133(支持機構)とを備える。
【0028】
まず、変形例1について図4,5を参照して説明する。図5は、本実施の形態の変形例1にかかるFPD検査装置の要部の構成(整列機構131)を示す模式図である。整列機構131は、搬送ステージ13上に載置されたワークWに当接し、所定位置まで移動することによって、ワークWを整列させるローラ131aを有する。整列機構131(整列部131A〜131E)は、ワークWを取り囲むようにワークWの各辺に配置される。図4においては、1つの辺に2つの整列部131B,131Cが配置され、他の辺にそれぞれ1つの整列部131A,131D,131Eが配置されている。
【0029】
このとき、整列機構131は、整列部131A〜131CがまずワークWに当接して挟み込み、図4のy軸方向に平行な辺を整列させた後、整列部131D,131EをワークWに当接させて、図4のx軸方向に垂直な方向の辺を整列させる。なお、整列後にワークWとの接触を避けるため、整列機構131は、図4のz軸方向(上下方向)に移動する移動機構を有することが好ましい。
【0030】
メンテナンス管21は、この整列機構131の各ローラ131aの側面に先端部が向くように配設される。メンテナンス管21に図3に示す内視鏡200の挿通部201を挿通させることで、撮像ユニット201aによってローラ131aを側面から確認することが可能となる。なお、メンテナンス管21の一部を整列機構131の駆動部に固定してもよい。駆動部に固定することにより整列機構131の駆動中においてもローラ131aを確認することが可能となる。
【0031】
つぎに、変形例2について図4,6を参照して説明する。図6は、本実施の形態の変形例2にかかるFPD検査装置の要部の構成(吸着搬送機構132)を示す模式図である。吸着搬送機構132は、浮上プレート130の図4のy方向の両端側に設けられ、搬送方向Dに沿って形成される搬送レール132c上を移動する搬送部132aと、搬送部132aに固定され、ワークWを吸着保持する吸着パッド132bとを有する。吸着パッド132bは、ワークWが載置される面に吸気孔(図示せず)と吸気機構(図示せず)とを有し、吸着パッド132bに載置されたワークWを吸着保持する。搬送レール132cは、搬送ステージ13〜15を連通して設けられ、吸着保持されたワークWは、搬送部132aの搬送レール132c上の移動に従って、搬送ステージ13〜15を移動する。
【0032】
メンテナンス管22は、図6に示すように、吸着搬送機構132の側面側に傾斜して設けられ、先端部が吸着パッド132bの上面側に向いている。メンテナンス管22に図3に示す内視鏡200の挿通部201を挿通させることで、撮像ユニット201aによって吸着パッド132bの上面を確認することが可能となる。
【0033】
なお、メンテナンス管22の一部を吸着搬送機構132の駆動部に固定してもよい。駆動部に固定することにより吸着搬送機構132の駆動中においても吸着パッド132bを確認することが可能となる。また、メンテナンス管22の一部を吸着搬送機構132の駆動部に固定した状態で、メンテナンス管22の先端部を搬送レール132cに向けてもよい。吸着搬送機構132の駆動により搬送レール132c全体を確認することが可能となる。
【0034】
続いて、変形例3について図4,7を参照して説明する。図7は、本実施の形態の変形例3にかかるFPD検査装置の要部の構成(リフトピン133)を示す模式図である。リフトピン133は、各浮上プレート130の間にそれぞれ複数設けられ、図4のz軸方向に移動可能である。リフトピン133は、外部の搬送機構からワークWをFPD検査装置1に受け入れる際に、リフトピン133が上昇してワークWを支持し、支持後下降して浮上プレート130上にワークWを載置する。
【0035】
メンテナンス管23は、図7に示すように、各リフトピン133の頂点を通過する線Lと高さが等しく、撮像ユニット201aの光軸と線Lとが交わるように設けられる。メンテナンス管23に図3に示す内視鏡200の挿通部201を挿通させることで、撮像ユニット201aによってリフトピン133の先端部分または各リフトピン133の相対的な高さを確認することが可能となる。
【0036】
(実施の形態2)
図8は、本実施の形態2にかかるFPD検査装置1aを示す模式図である。図8に示すFPD検査装置1aにおいて、ガントリステージ10は、リニアモータ30と、リニアモータ30に平行に設けられるリニアガイド31と、矢印Y方向に屈曲可能な略筒状のケーブルベア32とを有する。検査ユニット100は、顕微鏡101と、顕微鏡101を保持し、リニアモータ30およびリニアガイド31に対して矢印Y方向に移動可能に支持された移動ステージ102とを有する。なお、リニアモータ30、リニアガイド31および移動ステージ102によって、駆動部を構成する。
【0037】
メンテナンス管24は、屈曲性または伸縮性を有する樹脂等を用いて実現され、外装16に形成された挿入孔16bから内部に挿入され、ケーブルベア32内を挿通して先端部が移動ステージ102に固定されている。ここで、メンテナンス管24の先端部は、リニアガイド31に近接する位置に固定されている。また、メンテナンス管24の外部側の端部は、注入器300に接続されている。
【0038】
注入器300は、メンテナンス管24を介してリニアガイド31にメンテナンス手段としてのグリス等の潤滑剤を塗布する。注入器300は、図示しないポンプまたはシリンジによってメンテナンス管24内にグリスを注入する。
【0039】
メンテナンス管24は、移動ステージ102に固定されているため、移動ステージ102の移動に連動してリニアガイド31にグリスを塗布することが可能である。このとき、メンテナンス管24は、ケーブルベア32によって管の移動方向が抑制されるため、撓み、ひねり等が生ずることなく移動することができ、メンテナンス管24の移動によって管が他の部材に接触することがない。
【0040】
上述した実施の形態2にかかるFPD検査装置1aによって、内視鏡による確認のほか、メンテナンス対象箇所に対してグリスを塗布することが可能となる。また、移動する部材であってもケーブルベアを用いて部材に固定することで、他の部材に影響なくメンテナンスを行なうことができる。
【0041】
(変形例)
図9は、本実施の形態2の変形例にかかるFPD検査装置1bを示す模式図である。図9に示すFPD検査装置1bは、図8に示すFPD検査装置1aとほぼ同等の構成を有する。FPD検査装置1bは、ケーブルベア32を挿通したメンテナンス管24が、先端付近で二つのメンテナンス管24a,24bに分岐させる分岐ユニット24cを有する。
【0042】
分岐ユニット24cによって分岐されたメンテナンス管24a,24bの端部は、移動ステージ102の各リニアガイド31近傍にそれぞれ配置され、注入器300によってリニアガイド31に潤滑剤を塗布することができる。
【0043】
(実施の形態3)
図10は、本実施の形態3にかかるFPD検査装置1cを示す模式図である。図10に示すFPD検査装置1cは、図8に示すFPD検査装置1aとほぼ同等の構成を有する。FPD検査装置1cは、ケーブルベア32に対して二本のメンテナンス管24,25を挿通し、それぞれ移動ステージ102に固定する。
【0044】
移動ステージ102に固定されたメンテナンス管24,25にそれぞれ注入器300、内視鏡200を接続することによって、内視鏡200によって観察しながらグリスの塗布を行なうことが可能となる。メンテナンス管24,25によって、異なるメンテナンス、例えば、内視鏡による観察とグリスの塗布とを同時に行なうことができる。
【0045】
なお、実施の形態2,3にかかるメンテナンス管の先端の配置は、リニアガイド31にグリスを塗布できる位置であるものとして説明したが、移動ステージ102のグリス塗布位置であってもよい。また、メンテナンス管によるグリスの塗布は、グリスの塗布を行なう他の箇所、例えばワークWの吸着搬送を行なう搬送レール等に適用することが可能であり、必要に応じて、ケーブルベア32を設けることで、他の部材への影響を抑制することができる。
【0046】
また、グリス等の潤滑剤のほか、エタノール等を注入器によってメンテナンス対象箇所に塗布して部材の洗浄を行なうことも可能である。例えば、吸着パッドの上面に向けてメンテナンス管を配置し、エタノールを塗布して洗浄してもよい。
【0047】
上述した実施の形態1〜3および変形例にかかるメンテナンス管は、任意に組み合わせて複数配置することができる。各メンテナンス対象箇所にそれぞれメンテナンス管を配設し、内視鏡を挿通または注入器を接続するのみで、装置電源をオフすることなく外部から内部のメンテナンスを行なうことが可能となり、メンテナンス箇所それぞれに撮像ユニット等を設ける必要がないため、製造コストまたは装置の使用にかかるコストを削減することが可能となる。
【0048】
なお、内視鏡は、撮像ユニットのみに限らず、撮像ユニットに加えて挿通部の先端に潤滑剤等を塗布できる機構、処理対象物を挟んで保持できる把持機構等の処置具を有する構成であってもよい。
【0049】
以上のように、本発明にかかる処理装置は、外部から内部の状態を確認および処理することに有用である。
【符号の説明】
【0050】
1,1a,1b,1c FPD検査装置
10 ガントリステージ
11 架台
12 振動吸収機構
13〜15 搬送ステージ
16 外装
16a,16b 挿入孔
17 FFU
20,21,22,23,24,24a,24b,25 メンテナンス管
24c 分岐ユニット
30 リニアモータ
31 リニアガイド
32 ケーブルベア
100 検査ユニット
101 顕微鏡
102 移動ステージ
131 整列機構
131A〜131E 整列部
131a ローラ
132 吸着搬送機構
132a 搬送部
132b 吸着パッド
132c 搬送レール
133 リフトピン
200 内視鏡
201 挿通部
201a 撮像ユニット
202 表示部
203 操作部
300 注入器
L14 検査ライン
PR 検査空間
TR 搬送空間
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の基板を載置するステージと、前記基板に所定の処理を施す処理ユニットと、前記ステージおよび前記処理ユニットを収容する外装と、を備えた処理装置であって、
前記外装に設けられた挿入孔を介して前記外装の外部から内部へ延び、内部側の端部がメンテナンス対象箇所に向けて配設され、前記ステージおよび前記処理ユニットに対するメンテナンスを行なうメンテナンス手段を挿通するメンテナンス管を備えたことを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記メンテナンス手段は、前記メンテナンス管に挿通される挿通部と、該挿通部の挿通方向の先端側に設けられ、前記メンテナンス対象箇所を撮像する撮像部とを有することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記メンテナンス対象箇所は、当該処理装置の構成要素が駆動する部分であることを特徴とする請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記メンテナンス管は、前記メンテナンス対象箇所の駆動部に固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の処理装置。
【請求項5】
前記メンテナンス手段は、
前記メンテナンス管に挿通される挿通部と、該挿通部の挿通方向の先端側に設けられ、前記メンテナンス対象箇所を撮像する撮像部とを有する内視鏡と、
前記メンテナンス管を介して前記メンテナンス対象箇所に塗布される潤滑剤と、
を有し、
前記メンテナンス対象箇所は、当該処理装置の各駆動部であることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記メンテナンス管は、前記駆動部の動作に連動して屈曲可能なケーブルベアに挿通されることを特徴とする請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記メンテナンス管は、前記駆動部に固定されることを特徴とする請求項5または6に記載の処理装置。
【請求項8】
処理対象の基板を載置するステージと、前記基板に所定の処理を施す処理ユニットと、前記ステージおよび前記処理ユニットを収容する外装と、を備えた処理装置に対して行なうメンテナンス方法であって、
前記外装に設けられた挿入孔を介して前記外装の外部から内部へ延び、メンテナンス対象箇所に向けて配設されるメンテナンス管に対して、前記ステージおよび前記処理ユニットに対するメンテナンスを行なうメンテナンス手段を挿通する挿通ステップと、
前記メンテナンス管に挿通したメンテナンス手段を用いてメンテナンスを行なうメンテナンスステップと、
を含むことを特徴とするメンテナンス方法。
【請求項9】
前記メンテナンス管は、前記メンテナンス対象箇所に対応して複数設けられ、
前記メンテナンス手段は、前記複数のメンテナンス管のうち、メンテナンスを行なうメンテナンス対象箇所のメンテナンス管に挿通されることを特徴とする請求項8に記載のメンテナンス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−257280(P2011−257280A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132403(P2010−132403)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】