説明

出力回路及びデータドライバ及び表示装置

【課題】高速動作に対応可能とし、出力段の貫通電流を抑制可能とした出力回路を提供する。
【解決手段】差動増幅段50、出力増幅段30、増幅加速回路10、容量接続制御回路20を備え、出力増幅段30は出力端子2とトランジスタ101、102を備え、増幅加速回路10は、差動増幅段の第1、第2の出力3、4と出力端子2間に夫々接続されたスイッチSW1とトランジスタ103並びにトランジスタ104とスイッチSW2を備え、容量接続制御回路20は、一端が出力端子に接続された容量素子C1、C2と、C1の他端と第1の電圧供給端子NE1との間に接続されたスイッチSW21と、C1の他端と前記差動増幅段の第1の差動対の出力7の間に接続されたスイッチSW22と、C2の他端と第2の電圧供給端子NE2との間に接続されたスイッチSW23と、C2の他端と差動増幅段の第2の差動対の出力8の間に接続されたスイッチSW24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線負荷を駆動する出力回路とそれを用いたデータドライバ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、表示装置は、薄型、軽量、低消費電力を特徴とする液晶表示装置(LCD)が幅広く普及し、携帯電話機(モバイルフォン、セルラフォン)やPDA(パーソナルデジタルアシスタント)、ノートPC等のモバイル機器の表示部に多く利用されてきた。しかし最近では液晶表示装置の大画面化や動画対応の技術も高まり、モバイル用途だけでなく据置型の大画面表示装置や大画面液晶テレビも実現可能になってきている。これらの液晶表示装置としては、高精細表示が可能なアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置が利用されている。また薄型表示デバイスとして有機発光ダイオード(Organic light−emitting diode:OLED)を用いたアクティブマトリクス駆動方式の表示装置も開発されている。
【0003】
はじめに、図15を参照して、アクティブマトリクス駆動方式の薄型表示装置(液晶表示装置及び有機発光ダイオード表示装置)の典型的な構成について概説しておく。なお、図15(A)には、薄型表示装置の要部構成がブロック図にて示され、図15(B)には、液晶表示装置の表示パネルの単位画素の要部構成、図15(C)には、有機発光ダイオード表示装置の表示パネルの単位画素の要部構成がそれぞれ示されている。図15(B)、及び図15(C)の単位画素は、模式的な等価回路で示す。
【0004】
図15(A)を参照すると、一般に、アクティブマトリクス駆動方式の薄型表示装置は、電源回路940、表示コントローラー950、表示パネル960、ゲートドライバ970、データドライバ980で構成される。表示パネル960は、画素スイッチ964と表示素子963を含む単位画素がマトリクス状に配置され(例えばカラーSXGAパネルの場合、1280×3画素列×1024画素行)、各単位画素にゲートドライバ970から出力される走査信号を送る走査線961と、データドライバ980から出力される階調電圧信号を送るデータ線962とが格子状に配線される。なお、ゲートドライバ970及びデータドライバ980は、表示コントローラー950によって制御され、それぞれ必要なクロックCLK、制御信号等が表示コントローラー950より供給され、映像データは、デジタル信号にてデータドライバ980に供給される。電源回路940は、ゲートドライバ970、データドライバ980に必要な電源を供給する。表示パネル960は、半導体基板で構成され、特に大画面表示装置ではガラス基板やプラスチック基板等の絶縁性基板上に薄膜トランジスタ(TFT)で画素スイッチ等を形成した半導体基板が広く使われている。
【0005】
上記表示装置は、画素スイッチ964のオン・オフを走査信号により制御し、画素スイッチ964がオンとなるときに、映像データに対応した階調電圧信号が表示素子963に印加され、該階調電圧信号に応じて表示素子963の輝度が変化することで画像を表示するものである。
【0006】
1画面分のデータの書き換えは、1フレーム期間(60Hz駆動時は通常、約0.017秒)で行われ、各走査線961で1画素行毎(ライン毎)、順次、選択(画素スイッチ964がオン)され、選択期間内に、各データ線962より階調電圧信号が画素スイッチ964を介して表示素子963に供給される。なお、走査線で複数画素行を同時に選択したり、60Hz以上のフレーム周波数で駆動される場合もある。
【0007】
液晶表示装置の場合、図15(A)及び図15(B)を参照すると、表示パネル960は、単位画素として画素スイッチ964と透明な画素電極973をマトリクス状に配置した半導体基板と、面全体に1つの透明な電極974を形成した対向基板と、これら2枚の基板を対向させて間に液晶を封入した構造からなる。なお単位画素を構成する表示素子963は、画素電極973、対向基板電極974、液晶容量971及び補助容量972を備えている。また表示パネルの背面に光源としてバックライトを備えている。
【0008】
走査線961からの走査信号により画素スイッチ964がオン(導通)となるときに、データ線962からの階調電圧信号が画素電極973に印加され、各画素電極973と対向基板電極974との間の電位差により液晶を透過するバックライトの透過率が変化し、画素スイッチ964がオフ(非導通)とされた後も、該電位差を液晶容量971及び補助容量972で一定期間保持することで表示が行われる。
【0009】
なお、液晶表示装置の駆動では液晶の劣化を防ぐため、対向基板電極974のコモン電圧に対して画素ごと通常1フレーム周期で電圧極性(正又は負)を切替える駆動(反転駆動)が行われる。このため、データ線962の駆動も、画素単位で電圧極性を変化させて駆動するドット反転駆動やフレーム単位で電圧極性を変化させて駆動するカラム反転駆動等が行われている。
【0010】
有機発光ダイオード表示装置の場合、図15(A)及び図15(C)を参照すると、表示パネル960は、単位画素として、画素スイッチ964、及び、2つの薄膜電極層に挟まれた有機膜からなる有機発光ダイオード982、有機発光ダイオード982に供給する電流を制御する薄膜トランジスタ(TFT)981をマトリックス状に配置した半導体基板からなる。TFT981と有機発光ダイオード982は、異なる電源電圧が供給される電源端子984、985との間に直列形態で接続されており、TFT981の制御端子電圧を保持する補助容量983を更に備える。なお、1画素に対応した表示素子963は、TFT981、有機発光ダイオード982、電源端子984、985及び補助容量983で構成される。
【0011】
走査線961からの走査信号により画素スイッチ964がオン(導通)となるときに、データ線962からの階調電圧信号がTFT981の制御端子に印加され、該階調電圧信号に対応した電流が、TFT981から有機発光ダイオード982に供給され、電流に応じた輝度で有機発光ダイオード982が発光することで表示が行われる。画素スイッチ964がオフ(非導通)とされた後も、TFT981の制御端子に印加された該階調電圧信号を補助容量983で一定期間保持することで発光が保持される。なお画素スイッチ964、TFT981はnチャネル型トランジスタの例を示すが、pチャネル型トランジスタで構成することも可能である。また有機EL素子は電源端子984側に接続される構成も可能である。また、有機発光ダイオード表示装置の駆動では、液晶表示装置のような反転駆動は必要ない。
【0012】
なお、有機発光ダイオード表示装置は、上記に説明したデータ線962からの階調電圧信号に対応して表示を行う構成とは別に、データドライバから出力された階調電流信号を受けて表示を行う構成もあるが、本発明ではデータドライバから出力された階調電圧信号を受けて表示を行う構成に限定する。
【0013】
図15(A)において、ゲートドライバ970は、少なくとも2値の走査信号を供給すればよいのに対し、データドライバ980は、各データ線962を階調数に応じた多値レベルの階調電圧信号で駆動することが必要とされる。このため、データドライバ980は、映像データに対応した階調電圧信号をデータ線962に増幅出力する出力回路を備えている。
【0014】
薄型表示装置を有するハイエンド用途のモバイル機器、ノートPC、モニタ、TV等においては近年高画質化の需要が高まっている。具体的には、RGB各8ビット映像データ(約1680万色)以上の多色化(多階調化)や、動画特性向上や3次元表示対応のためフレーム周波数(1画面を書き換える駆動周波数)を120Hzや更にそれ以上高くする要求も出始めている。フレーム周波数がN倍となると、1データ出力期間はおよそ1/Nとなる。
【0015】
このため、表示装置のデータドライバは、多階調化に対応した非常に高精度な電圧出力とともに、データ線の高速駆動が求められるようになってきている。そのため、データドライバ980の出力回路は、データ線容量を高速に充放電するための非常に高い駆動能力が求められる。しかし出力回路の高駆動能力化に伴い出力回路の消費電流も増加するため、消費電力の増加や発熱の問題も新たに生じてきている。
【0016】
表示装置のデータ線を高速駆動する技術として以下の技術が開示されている。
【0017】
図16は、特許文献1(特開2007−208316号公報)の図1から引用した図である。入力変化時に入出力の電位差を検出(93)して出力段(81、82)を深くオンさせるとともに、差動入力段(50)の電流を増加させる制御回路(90)を備え、スルーレート(単位時間当たりの出力電圧の変化量)を高くする。また出力段80の貫通電流を抑制する出力補助回路(100)を備える。具体的には、制御回路(90)は、ゲートがそれぞれ共通接続されて入力端子INに接続され、ソースが出力端子OUTにそれぞれ接続されたNchトランジスタ93−1及びPchトランジスタ93−2と、トランジスタ93−1、93−2のドレインと電源VDD、VSSとの間にそれぞれ接続された電流源91、92と、出力段トランジスタ81のゲートと出力端子OUT間に接続され、ゲートがNchトランジスタ93−1のドレインと電流源91との接続点ノードN15に接続されたPchトランジスタ94−7と、出力段トランジスタ(Nchトランジスタ)82のゲートと出力端子OUT間に接続され、ゲートがPchトランジスタ93−2のドレインと電流源92との接続点ノードN16に接続されたNchトランジスタ94−8を備えている。
【0018】
差動入力段50は、Pch差動対(61、62)を駆動する電流源51と並列接続された補助電流源53と、Pchトランジスタ65とを備え、Nch差動対(63、64)を駆動する電流源52と並列接続された補助電流源54と、Nchトランジスタ66を備える。
【0019】
入力端子INと出力端子OUTの電圧が同じときには、トランジスタ93−1、93−2、94−7、94−8はそれぞれオフしている。入力端子INの電圧が出力端子OUTの電圧に対して例えばVDD側へ大きく変化すると、トランジスタ93−1がオンし、トランジスタ94−7のゲート(ノードN15)を出力端子OUTの電圧からトランジスタ93−1の閾値電圧分高い電圧まで引き下げる。これにより、トランジスタ94−7がオンとなり、出力段トランジスタ81のゲート電圧が引き下げられ、出力端子OUTは急速に入力端子INの電圧に近づくように充電される。
【0020】
また、このとき、トランジスタ94−7のゲート(ノードN15)が引き下げられると、差動入力段50のトランジスタ65がオンして、Pch差動対(61、62)の駆動は電流源51に電流源53が加わり、容量84の充放電を加速させる。
【0021】
出力端子OUTが入力端子INの電圧に近づくと、トランジスタ93−1はオフとなり、続いてトランジスタ94−7もオフとなり、出力端子OUTの充電動作は自動的に停止する。ノードN15の電圧は電源VDDとなり、差動入力段50のトランジスタ65がオフとなる。
【0022】
なお、入力端子INの電圧がVDD側へ変化するときは、トランジスタ93−2、94−8、66はオフしている。
【0023】
一方、入力端子INの電圧がVSS側へ大きく変化すると、今度はトランジスタ93−2、94−8、82がオンして、出力端子OUTを急速放電して入力端子INの電圧に近づけ、放電動作は自動的に停止する。また、差動入力段50のトランジスタ66もトランジスタ93−2が動作している間オンとなり、Nch差動対(63、64)の駆動電流を増加させて、容量83の充放電を加速させる。このとき、トランジスタ93−1、94−7、65はいずれもオフしている。
【0024】
制御回路90は、入力端子INの電圧が出力端子OUTの電圧に対して大きく変化するときに動作し、出力端子OUTを急速に入力端子INの電圧に近づける。一方、差動入力段50の補助電流源53、54は、制御回路90の動作に応じて各差動対と接続され、容量83、84の充放電を加速させる。これにより、出力端子OUTを入力端子INの変化後の電圧に高速駆動することができる。
【0025】
出力段80において、出力段トランジスタ81、82のゲートとドレイン(出力端子OUT)の間に位相補償容量83、84がそれぞれ接続されている。位相補償容量83、84は素子の寄生容量に比べて十分大きい容量値とされる。
【0026】
出力端子OUTの電圧が急速に変化すると、容量83又は容量84の容量性カップリングにより、出力段80に、大きな貫通電流が流れる、という問題がある(関連技術の課題)。
【0027】
出力段のPchトランジスタ81のゲート電圧が引き下げられ、出力端子OUTの電圧がVDD側に急速に変化すると、容量84の容量性カップリングにより、Nchトランジスタ82のゲート端子の電位が上昇し、出力段のNchトランジスタ82のゲート・ソース間電圧が拡大することで、電源VDD、VSS間の貫通電流が流れる。
【0028】
一方、出力段のNchトランジスタ82のゲート電圧が引き上げられ、出力端子OUTの電圧がVSS側に急速に変化すると、容量83の容量性カップリングにより、トランジスタ81のゲート端子の電位が下降し、出力段のPchトランジスタ81のゲート・ソース間電圧が拡大することで、電源VDD、VSS間の貫通電流が流れる。
【0029】
このような貫通電流の発生を防ぐため、図16に示すように、出力段トランジスタ81、82のゲート電圧の変化に応じて動作する出力補助回路100が設けられている。
【0030】
例えば、入力端子INの電圧が出力端子OUTの電圧に対して、VDD側へ大きく変化するとき、制御回路90が動作して、出力段トランジスタ81のゲート電位が引き下げられ、出力端子OUTは、急速に入力端子INの電圧に近づけられる。
【0031】
出力端子OUTの急速な電圧上昇に伴い、容量84の容量性カップリングにより出力段トランジスタ82のゲート電圧も上昇しようとする。
【0032】
出力補助回路100が存在しない場合、出力段トランジスタ82のゲート電圧が大きく上昇すると、出力段80には、電源VDDからVSSへ大きな貫通電流が発生することになる。
【0033】
これに対して、出力段トランジスタ81のゲート電位が引き下げられるとき、出力補助回路100のPchトランジスタ111がオンし、Nchトランジスタ115のゲート電位を引き上げ、Nchトランジスタ115(ドレインが出力段トランジスタ82のゲートに接続され、ソースがダイオード接続されたNchトランジスタ116を介してVSSに接続される)をオンさせ、出力段トランジスタ82のゲート電位の上昇を抑えるように作用する。これにより、出力段80の貫通電流を抑制する。
【0034】
一方、入力端子INの電圧がVSS側へ大きく変化するときには、出力補助回路100のNchトランジスタ112がオンし、Pchトランジスタ114のゲート電位を下げ、Pchトランジスタ114をオンさせ(ドレインが出力段トランジスタ81のゲートに接続され、ソースがダイオード接続されたNchトランジスタ113を介してVDDに接続される)、容量83の容量性カップリングによる出力段トランジスタ81のゲートの低下を抑制し、出力段80の貫通電流を抑制する。
【0035】
また、出力補助回路100は、出力段トランジスタ81、82のゲート電圧が変化したときに、差動入力段50の補助電流源53、54を活性化させるトランジスタスイッチ65−9、66−10を備えている。補助電流源53、54が活性化されると、容量83、84の充放電が加速される。
【0036】
図17は、特許文献2(特開2007−281661号公報)の図1からそのまま引用した図面であり、液晶表示装置のデータ線を駆動する増幅回路の構成が示されている。増幅回路において、プッシュプル出力段のPch及びNchトランジスタのゲートとドレイン(出力端子)間に位相補償容量が固定接続されていると、容量性カップリングによって貫通電流が発生するため、図17の増幅回路では、プッシュプル出力段(Pchトランジスタ14、Nchトランジスタ15)の出力端子に第1端子が接続された2つの容量(31、32)の第2端子を、前出力期間からの極性の変化の有無と出力期間の切替りに応じて、出力段のゲート又は電源に接続を切替えることにより、貫通電流を抑制している。
【0037】
特許文献2(特開2007−281661号公報)の図5のタイミングチャートを参照すると、
・負極から正極への充電時には、容量31の第2端子は出力段トランジスタ14のゲートに、容量32の第2端子はGNDに接続され、
・正極から負極への放電時には、容量31の第2端子はVDDに、容量32の第2端子は出力段トランジスタ15のゲートに接続され、
・極性が同一の場合には、容量31、32の第2端子はそれぞれ出力段トランジスタ14、15のゲートに接続され、
・出力期間内の接続は一定とされる。
【0038】
これにより、出力変化時の出力段の貫通電流を防いでいる。
【0039】
図18は、特許文献3(特開平06−326529号公報)の図1に対応する図である。図18は、特許文献3の図1の差動増幅器の出力端子を反転入力端子へ帰還接続したボルテージフォロワの構成である。関連技術として以下に説明する。図18を参照すると、差動増幅段において、電流源113で駆動されるNch差動対(111、112)の出力対がPch低電圧カスコードカレントミラー(131〜134)のトランジスタ131、133の接続点及びトランジスタ132、134の接続点(ノード7)にそれぞれ接続される。また電流源123で駆動されるPch差動対(121、122)の出力対がNch低電圧カスコードカレントミラー(141〜144)のトランジスタ141、143の接続点及びトランジスタ142、144の接続点(ノード8)にそれぞれ接続される。Pch及びNch低電圧カスコードカレントミラー間は、トランジスタ133、143のドレイン間に浮遊電流源151が接続され、トランジスタ134、144のドレイン間に浮遊電流源(152、153)が接続される。
【0040】
出力増幅段において、電源E1と出力端子2間に接続されたPchトランジスタ101のゲートはトランジスタ134のドレイン(ノード3)に接続され、電源E2と出力端子2間に接続されたNchトランジスタ102のゲートはトランジスタ144のドレイン(ノード4)に接続され、トランジスタ101、102はプッシュプル出力段を構成する。
【0041】
位相補償容量C1、C2の第1端子は、出力端子2に共通接続され、位相補償容量C1、C2の第2端子は、トランジスタ132、134の接続点(ノード7)及びトランジスタ142、144の接続点(ノード8)にそれぞれ接続される。
【0042】
図18に示した差動増幅器の動作について以下に説明する。なお、出力安定状態における電流源113、123の電流をI1、I2とし、浮遊電流源151の電流をI3、浮遊電流源(152、153)の合計電流をI4とする。また入力電圧VIはステップ電圧とする。
【0043】
例えば、入力端子1の入力電圧VIが出力端子2の出力電圧VOに対して電源E1側へ大きく変化したとき、Nch差動対のトランジスタ111、112は、それぞれオフ、オンとなり、電流源113の電流I1はトランジスタ112に流れる。
【0044】
ここで、Pch低電圧カスコードカレントミラーのトランジスタ131には、トランジスタ111と電流源151の電流I3の合計電流が流れ、この電流のミラー電流が、トランジスタ132に流れるが、トランジスタ111はオフであるため、電流I3のミラー電流がトランジスタ132に流れる。このとき、トランジスタ132に流れる電流は、出力安定状態時よりも小さく、トランジスタ112に流れる電流は、出力安定状態時よりも大きくなる。
【0045】
このため、トランジスタ132、134の接続点(ノード7)の電圧は少し低下して、トランジスタ134のゲート・ソース間電圧(絶対値)が小さくなり、トランジスタ134から浮遊電流源(152、153)へ供給される電流が減少する。
【0046】
一方、Pch差動対のトランジスタ121、122は、入力電圧VIが電源E1側へ大きく変化したとき、それぞれオン、オフとなり、電流源123の電流I2はトランジスタ121に流れる。
【0047】
ここで、Nch低電圧カスコード・カレントミラーのトランジスタ141は、トランジスタ121と電流源151の合計電流のミラー電流がトランジスタ142に流れるため、電流(I2+I3)のミラー電流がトランジスタ142に流れる。
【0048】
このとき、トランジスタ142に流れる電流は、出力安定状態時よりも大きく、トランジスタ122に流れる電流は出力安定状態時よりも小さい。このため、トランジスタ142、144の接続点(ノード8)の電圧は、少し低下して、トランジスタ144のゲート・ソース間電圧が大きくなり、トランジスタ144が浮遊電流源(152、153)から引き抜く電流が増加する。
【0049】
トランジスタ134、144の電流がそれぞれ減少、増加することにより、浮遊電流源のトランジスタ152のゲート・ソース間電圧(絶対値)は小さくなり、トランジスタ153のゲート・ソース間電圧は大きくなる。これにより出力段トランジスタ101のゲート電圧は大きく低下し、出力段トランジスタ101による電源E1から出力端子2への充電電流が増加する。また出力段トランジスタ102のゲート電圧も低下することにより出力段トランジスタ102による出力端子2から電源E2への放電電流が減少する。このため出力端子2の出力電圧VOは上昇する。そして出力電圧VOが入力電圧VIに到達すると出力安定状態となる。なお、出力電圧VOは、差動対をなすトランジスタ対の一方がオン、他方がオフとなって動作する間は一定のスルーレートで変化する。
【0050】
出力電圧VOの時間変化は、位相補償容量C1、C2の充放電に寄与する電流との関係で表すことができる。上記のように、入力電圧VIが電源E1側へ大きく変化したとき、容量C1の電位差は減少する。この作用は、容量C1に寄与するトランジスタ132、134、112の合成電流(I1−I3+I4´)で決まり、出力電圧VOの時間変化(dVO/dt)は、次式(1)で近似できる。
【0051】
dVO/dt≒(I1−I3+I4´)/C1 …(1)
【0052】
ここで、電流I4´は、トランジスタ134の電流変化により浮遊電流源(152、153)の合計電流が出力安定状態の電流I4から変化した電流を表す。入力電圧VIが電源E1側へ変化したとき、容量C2の電位差は増加する。
【0053】
この作用は容量C2に寄与するトランジスタ142、144の合成電流(I2+I3−I4´)で決まり、出力電圧VOの時間変化(dVO/dt)は、次式(2)で近似できる。
【0054】
dVO/dt≒(I2+I3−I4´)/C2 …(2)
【0055】
(1)、(2)式より、電流I3、I4´が消去され、出力電圧VOの時間変化(dVO/dt)について解くと、次式(3)が得られる。
【0056】
dVO/dt≒(I1+I2)/(C1+C2) …(3)
【0057】
すなわち、出力電圧VOのスルーレートは、Nch差動対(111、112)及びPch差動対(121、122)を駆動する電流源(113、123)の電流I1、I2と、位相補償容量C1、C2で定まる一定のスルーレートで変化する。
【0058】
入力端子1の入力電圧VIが出力端子2の出力電圧VOに対して電源E2側へ大きく変化するときの動作の詳細の説明は省略するが、上記した、入力電圧VIが電源E1側へ変化するときの作用から容易に理解できる。
【0059】
なお、容量C1とNch差動対の出力対の一つ(トランジスタ112のドレイン)が共通接続されるトランジスタ132、134の接続点(ノード7)は、トランジスタ134のゲート・ソース間電圧を変化させる程度の電位変動は伴うが、その下限電圧は、トランジスタ134のゲートバイアス電圧BP1で制限されるため、ノード7の動作点は、電源E1から少し低い電圧付近に常に保たれる。
【0060】
同様に、容量C2とPch差動対の出力対の一つ(トランジスタ122のドレイン)が共通接続されるトランジスタ142、144の接続点(ノード8)は、トランジスタ144のゲート・ソース間電圧を変化させる程度の電位変動は伴うが、その上限電圧はトランジスタ144のゲートバイアス電圧BN1で制限されるため、ノード8の動作点は電源E2から少し高い電圧付近に常に保たれる。
【0061】
また、出力段トランジスタ101のゲートが接続されるトランジスタ134のドレイン(ノード3)は、入力電圧VIが電源E1側へ変化するとき、浮遊電流源のNchトランジスタ153から電流が引き抜かれるため、十分低い電圧まで変化することができる。このため、出力段トランジスタ101は高い電流駆動能力により、出力端子2を高速充電することができる。
【0062】
同様に、出力段トランジスタ102のゲートが接続されるトランジスタ144のドレイン(ノード4)も、入力電圧VIが電源E2側へ変化するとき、浮遊電流源のPchトランジスタ152から電流が供給されるため、十分高い電圧まで変化することができる。このため、出力段トランジスタ102は高い電流駆動能力により、出力端子2を高速放電することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】特開2007−208316号公報
【特許文献2】特開2007−281661号公報
【特許文献3】特開平06−326529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0064】
以下に関連技術の分析を与える。
【0065】
上記した関連技術は、上記したように、各種課題を有している。例えば図16に示すような構成とした場合、制御回路90、差動入力段50の補助電流源53、54や出力補助回路100の付加により、出力段の貫通電流を抑制して高スルーレート化することはできるが、追加のトランジスタの数が多く、面積が増加し、コストが大となる。また、差動入力段50の補助電流源53、54を動作させて、容量83、84の充放電を加速させているが、出力端子OUTの電圧の急速変化に追随させて容量83、84の充放電を高速に行うには、補助電流源53、54の電流値を十分大きくしなければならず、このため、消費電流が増大する。
【0066】
また、図17の回路は、液晶表示装置のデータ線の駆動において、カラム反転駆動のような同極性が連続する出力電圧の変化に対しては、容量31、32の第2端子がそれぞれ出力段14、15のゲートに接続されているため、貫通電流を抑制することはできない。さらに、有機発光ダイオード表示装置のデータ線の駆動では、極性信号がなく、大きな出力電圧変化に対して、貫通電流を抑制することができない。
【0067】
また、図18の回路は、出力電圧の変化が、差動対を駆動する電流I1、I2と位相補償容量C1、C2で定まるため、出力電圧の変化を高速化するためには、差動対を駆動する電流I1、I2を増加させる必要があり、消費電流が大きくなる。なお、位相補償容量C1、C2を小さくすることで、スルーレートは向上するが、出力安定性が損なわれるため現実的ではない。
【0068】
本発明の目的は、高速動作に対応可能とし、出力段の貫通電流を抑制可能とした出力回路、及び該出力回路を備えたデータドライバ、及び表示装置を提供することにある。また、本発明は、上記目的を達成するとともに、構成を簡易化し、消費電流の増大を抑制する出力回路、及び該出力回路を備えたデータドライバ、及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0069】
前記課題の少なくとも1つを解決するため、本発明によれば、信号を入力する入力端子と、信号を出力する出力端子と、差動増幅段と、出力増幅段と、増幅加速回路と、容量接続制御回路と、を備えた出力回路が供給される。
本発明において、前記出力増幅段は、第1の電源と前記出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2端子と、前記差動増幅段の第1の出力に接続された制御端子とを有する第1導電型の第1のトランジスタと、
第2の電源と前記出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2端子と、前記差動増幅段の第2の出力に接続された制御端子とを有する第2導電型の第2のトランジスタと、を備えている。
本発明において、前記増幅加速回路は、第1及び第2のスイッチと、
前記出力端子に接続された第1端子と、前記入力端子に接続された制御端子と、前記差動増幅段の前記第1の出力に前記第1のスイッチを介して接続される第2端子とを有する第2導電型の第3のトランジスタと、
前記出力端子に接続された第1端子と、前記入力端子に接続された制御端子と、前記差動増幅段の前記第2の出力に前記第2のスイッチを介して接続される第2端子とを有する第1導電型の第4のトランジスタと、を備えている。
本発明において、前記差動増幅段は、前記入力端子と前記出力端子とそれぞれ接続される第1及び第2の入力を有する第1の差動トランジスタ対と、
前記第1の差動トランジスタ対に電流を供給する第1の電流源と、
前記第1の電源に共通に接続された第1端子と、前記第1の差動トランジスタ対の出力対に第1及び第2のノードでそれぞれ接続された第2端子とを有し、制御端子同士が共通接続された第1導電型の第1のトランジスタ対と、
前記第2の電源に共通に接続された第1端子と、第3及び第4のノードにそれぞれ接続された第2端子とを有し、制御端子同士が共通接続された第2導電型の第2のトランジスタ対と、
前記第1のノードに接続された第1端子と、前記差動増幅段の前記第1の出力に接続された第2端子と、第1のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第1導電型の第5のトランジスタと、
前記第3のノードに接続された第1端子と、前記差動増幅段の前記第2の出力に接続された第2端子と、第2のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第2導電型の第6のトランジスタと、
前記第2及び第4のノードとの間に接続された第1の連絡回路と、
前記差動増幅段の前記第1及び第2の出力との間に接続された第2の連絡回路と、を備えている。
本発明において、前記容量接続制御回路は、第1端子が前記出力端子に接続された第1の容量素子と、
前記第1の容量素子の第2端子と第1の電圧供給端子との間に接続された第3のスイッチと、
前記第1の容量素子の前記第2端子と、前記第1のノード及び前記第3のノードのうちの一方のノードとの間に接続された第4のスイッチと、を備えている。
本発明によれば、複数の参照電圧の中から映像デジタル信号に基づき1つを選択するデコーダと、前記デコーダの出力を入力端子に受け表示素子が接続するデータ線を駆動する前記出力回路を備えたデータドライバが供給される。さらに、本発明によれば、該データドライバを備えた表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0070】
本発明によれば、高速動作に対応可能とし、出力段の貫通電流を抑制可能としている。また、本発明によれば、構成を簡易化し、消費電流の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作を説明するタイミング波形図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の動作を説明するタイミング波形図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の変形例の動作を説明するタイミング波形図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の構成を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施形態の構成を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施形態の構成を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例の構成を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施例の構成を示す図である。
【図11】本発明の第5の実施例の構成を示す図である。
【図12】増幅加速回路の別の構成を示す図である。
【図13】増幅加速回路のさらに別の構成を示す図である。
【図14】本発明の出力回路を備えたデータドライバの構成を示す図である。
【図15】(A)は表示装置、(B)、(C)は画素(液晶素子、有機EL素子)を説明する図である。
【図16】関連技術(特許文献1)の構成を示す図である。
【図17】関連技術(特許文献2)の構成を示す図である。
【図18】関連技術(特許文献3)の構成を示す図である。
【図19】本発明の第3の実施例の構成を示す図である。
【図20】本発明の第4の実施例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。なお、本発明の実施形態の説明で参照される図面において、図16、図17の関連技術の図面で用いられる参照符号と一部重なる参照符号(例えば図17の1、2、3、10等)があるが、別の要素であることを注記しておく。また、本発明の実施形態において、関連技術の図面で用いられる参照符号と同一の参照符号を用いている場合(例えば図18)、以下の実施形態においてその点が明記される。
【0073】
本発明は、その一態様(MODE)において、信号を入力する入力端子(1)と、信号を出力する出力端子(2)と、差動増幅段(50)と、出力増幅段(30)と、増幅加速回路(10)と、容量接続制御回路(20)と、を備えている。
【0074】
出力増幅段(30)は、第1の電源(E1)と前記出力端子(2)にそれぞれ接続された第1及び第2端子と、差動増幅段(50)の第1の出力(3)に接続された制御端子を有する第1導電型(P型)の第1のトランジスタ(101)と、第2の電源(E2)と前記出力端子(2)にそれぞれ接続された第1及び第2端子(ソース、ドレイン端子)と、前記差動増幅段の第2の出力に接続された制御端子(ゲート端子)を有する第2導電型(N型)の第2のトランジスタ(102)と、を備えている。
【0075】
増幅加速回路(10)は、第1及び第2のスイッチ(SW1、SW2)と、出力端子(2)に接続された第1端子(ソース端子)と、前記入力端子(1)に接続された制御端子(ゲート端子)と、前記差動増幅段(50)の前記第1の出力(3)に前記第1のスイッチ(SW1)を介して接続される第2端子(ドレイン端子)とを有する第2導電型(N型)の第3のトランジスタ(103)と、前記出力端子(2)に接続された第1端子(ソース端子)と、前記入力端子(1)に接続された制御端子(ゲート端子)と、前記差動増幅段(50)の前記第2の出力(4)に前記第2のスイッチ(SW2)を介して接続される第2端子(ドレイン端子)と、を有する第1導電型(P型)の第4のトランジスタ(104)と、を備えている。
【0076】
差動増幅段(50)は、前記入力端子(1)と前記出力端子(2)とそれぞれ接続される第1、第2の入力を有する第1の差動トランジスタ対(例えば図9の112、111)と、前記第1の差動トランジスタ対に電流を供給する第1の電流源(例えば図9の113)と、前記第1の電源(E1)に共通に接続された第1端子(ソース端子)と、前記第1の差動トランジスタ対の出力対に第1、第2のノード(N1、N2)でそれぞれ接続された第2端子(ドレイン端子)とを有し、制御端子(ゲート端子)同士が共通接続された第1導電型の第1のトランジスタ対(131、132)と、前記第2の電源(E2)に共通に接続された第1端子(ソース端子)と、第3、第4のノード(N3、N4)にそれぞれ接続された第2端子(ドレイン端子)とを有し、制御端子(ゲート端子)同士が共通接続された第2導電型の第2のトランジスタ対(141、142)と、前記第1のノード(N1)に接続された第1端子(ソース端子)と、前記差動増幅段(50)の前記第1の出力(3)に接続された第2端子(ドレイン端子)と、第1のバイアス電圧を受ける制御端子(ゲート端子)とを有する第1導電型の第5のトランジスタ(134)と、前記第3のノード(N3)に接続された第1端子(ソース端子)と、前記差動増幅段(50)の前記第2の出力(4)に接続された第2端子(ドレイン端子)と、第2のバイアス電圧を受ける制御端子(ゲート端子)とを有する第2導電型の第6のトランジスタ(144)と、前記第2及び第4のノード(N2、N4)との間に接続された第1の連絡回路(例えば図9の60L)と、前記差動増幅段(50)の前記第1及び第2の出力(3、4)との間に接続された第2の連絡回路(例えば図9の60R)と、を備えている。
【0077】
容量接続制御回路(20)は、第1端子が前記出力端子(2)に接続された第1の容量素子(例えば図9のC1)と、前記第1の容量素子(例えば図9のC1)の第2端子と第1の電圧供給端子(例えば図9のNE1)との間に接続された第3のスイッチ(例えば図9のSW21)と、前記第1の容量素子(例えば図9のC1)の前記第2端子と前記第1のノード及び前記第3のノードのうちの一方のノード(例えばN1(ノード7))との間に接続された第4のスイッチ(例えば図9のSW22)と、を備えている。
【0078】
本実施形態において、前記差動増幅段(50)は、前記入力端子(1)と前記出力端子(2)とにそれぞれ接続される第1、第2の入力を有する第2の差動トランジスタ対(例えば図9の122、121)をさらに備えた構成としてもよい。第1の差動トランジスタ対(例えば図9の112、111)は第2導電型(N型)、前記第2の差動トランジスタ対(例えば図9の122、121)は第1導電型(P型)とされる。また、容量接続制御回路(20)は、第1端子が前記出力端子(2)に接続された第2の容量素子(例えば図9のC2)と、前記第2の容量素子(例えば図9のC2)の第2端子と第2の電圧供給端子(例えば図9のNE2)との間に接続された第5のスイッチ(例えば図9のSW23)と、前記第2の容量素子(例えば図9のC2)の前記第2端子と前記第1のノード及び第3のノードのうちの前記一方のノードとは異なる他方のノード(例えばN3(ノード8))との間に接続された第6のスイッチ(例えば図9のSW24)と、をさらに備えた構成としてもよい。以下、いくつかの実施形態を説明し、さらに具体的な実施例を説明する。
【0079】
<実施形態1>
図1は、本発明の第1の実施形態の出力回路の構成を示す図である。本実施形態において、出力回路は、好ましくは、配線負荷を駆動する。入力端子1の入力電圧VIと出力端子2の出力電圧VOを差動で受ける差動増幅段50と、差動増幅段50の第1及び第2の出力(ノード3、4)を受けプッシュプル動作して入力電圧VIに応じた出力電圧VOを出力端子2より出力するPchトランジスタ101、Nchトランジスタ102からなる出力増幅段30と、入力電圧VIと出力電圧VOとの電位差を検出して、該電位差に応じて増幅加速を行う増幅加速回路10と、第1端子が出力端子2に接続された容量素子C1、C2を含み、容量素子C1、C2の第2端子の接続を制御する容量接続制御回路20を備える。
【0080】
出力増幅段30は、電源E1と出力端子2間に接続され、ゲートが差動増幅段50の第1の出力(ノード3)を受けるPchトランジスタ101と、電源E2と出力端子2間に接続され、ゲートが差動増幅段50の第2の出力(ノード4)を受けるNchトランジスタ102を有する。
【0081】
増幅加速回路10は、第1端子(ソース端子)同士がそれぞれ出力端子2に共通接続され、ゲート同士が共通接続されて入力信号VIを受けるNchトランジスタ103及びPchトランジスタ104を有し、Nchトランジスタ103の第2端子(ドレイン端子)からの出力電流に応じてPchトランジスタ101のゲート電圧が制御可能とされるとともに、Pchトランジスタ104の第2端子(ドレイン端子)からの出力電流に応じてNchトランジスタ102のゲート電圧が制御可能とされる。Nchトランジスタ103の第2端子(ドレイン端子)は第1のスイッチSW1を介してノード3に接続されている。Nchトランジスタ103は、出力端子2とノード3間に、スイッチSW1と直列形態で接続される。
【0082】
Pchトランジスタ104の第2端子(ドレイン端子)は第2のスイッチSW2を介してノード4に接続されている。Pchトランジスタ104は、出力端子2とノード4間にスイッチSW2と直列形態で接続される。
【0083】
第1、第2のスイッチSW1、SW2は、共にオンのとき、トランジスタ103、104を活性とし、共にオフのとき、トランジスタ103、104を非活性とする。すなわち第1、第2のスイッチSW1、SW2は、増幅加速回路10の活性(動作)、非活性(停止)を制御する。
【0084】
容量接続制御回路20は、第1端子がそれぞれ出力端子2に接続される第1及び第2の容量素子C1、C2と、容量素子C1の第2端子を、第1の電圧を与える第1の電圧供給端子NE1、又は、差動増幅段50のノード7に接続を切り替える第3、第4のスイッチSW21、SW22を備える。
【0085】
また、容量素子C2の第2端子を、第2の電圧を与える第2の電圧供給端子NE2又は差動増幅段50のノード8に接続を切り替える第5、第6のスイッチSW23、SW24を備える。なお、ノード7、8は、差動増幅段50の第1及び第2の出力(ノード3、4)と異なるノードとされ、電圧変動が小さい端子とされる。
【0086】
なお、第1、第2の電圧供給端子NE1、NE2は、それぞれ、出力増幅段30の電源E1、E2としてもよい。
【0087】
差動増幅段50としては、入力電圧VIが供給される入力端子1と出力電圧VOが出力される出力端子2にそれぞれ接続される第1、第2の入力を有するNch差動トランジスタ対(112、111)と、Nch差動トランジスタ対(112、111)を駆動する電流源113と、
Pch差動トランジスタ対(112、111)の出力対と電源E1間に接続され入力電流のミラー電流を出力するPchトランジスタ対(131、132)と、
電源E2に接続され入力電流のミラー電流を出力するNchトランジスタ対(141、142)と、
Pch差動トランジスタ対(112、111)の出力対とPchトランジスタ対(131、132)との接続点対のうち、ミラー電流を出力するPchトランジスタ対(131、132)の出力端(132のドレイン(ノード7))と、差動増幅段50の第1の出力(ノード3)との間に接続され、制御端子(ゲート)に第1のバイアス電圧(BP1)を受けるPchトランジスタ134と、
ミラー電流を出力するNchトランジスタ対(141、142)の出力端(142のドレイン(ノード8))と、差動増幅段50の第2の出力(ノード4)との間に接続され、制御端子(ゲート)に第2のバイアス電圧(BN1)を受けるNchトランジスタ144と、
Pchトランジスタ対(131、132)の入力端(131のドレイン)とNchトランジスタ対(141、142)の入力端(141のドレイン)と間に接続された第1の連絡回路(60L)と、
前記差動増幅段の前記第1及び第2の出力(ノード3、4)との間に接続された第2の連絡回路(60R)と、を備える。
差動増幅段50は、Nch差動トランジスタ対(112、111)と電流源113に代えて、入力端子1と出力端子2にそれぞれ接続される第1、第2の入力を有し、出力対がNchトランジスタ対(141、142)に接続されるPch差動トランジスタ対(122、121)と、Pch差動トランジスタ対(122、121)を駆動する電流源123と、を備えてもよい。あるいは、Nch差動トランジスタ対(112、111)と電流源113と共に、Pch差動トランジスタ対(122、121)と電流源123と、を備えてもよい。
【0088】
差動増幅段50の第1の出力(ノード3)とノード7は、それぞれ第1のバイアストランジスタ134の第1端子(ソース端子)と第2端子(ドレイン端子)とされる。
【0089】
差動増幅段50の第2の出力(ノード4)とノード8は、それぞれ第2のバイアストランジスタ144の第1端子(ソース端子)と第2端子(ドレイン端子)とされる。
【0090】
差動増幅段50は、出力段トランジスタ101、102のゲートが接続される第1及び第2の出力(ノード3、4)と、第1端子が共通に出力端子2に接続される容量素子C1、C2の第2端子が接続されるノード7、8とは互いに分離され、出力電圧VOが急速に変化しても、容量素子C1、C2の容量性カップリングにより出力段トランジスタ101、102に貫通電流が流れることを防止する。
【0091】
図1に示した出力回路の動作について以下に説明する。図1において、増幅加速回路10は、入力端子1の入力電圧VIが出力端子2の出力電圧VOに対して大きく変化したときに、ソースが出力端子2、ゲートが入力端子1に接続されたNchトランジスタ103又はPchトランジスタ104が、入力電圧VIと出力電圧VOの電位差(ゲート・ソース間電圧)に応じた駆動能力で出力段トランジスタ101又は102のゲートを変動させて、出力信号VOを入力電圧VIに急速に近づける。これにより、差動増幅段50の動作によらず、出力端子2の高速駆動が可能となる。
【0092】
なお、増幅加速回路10において、トランジスタ103、104のソースは出力端子2に接続され、ゲートは入力端子1に接続される。入力電圧VIと出力信号VOの差がトランジスタ103、104の閾値電圧(絶対値)よりも小さいときには、トランジスタ103、104はオフとなる。このため、出力電圧VOが入力電圧VIに近づくと自動的に停止する。同様に入力電圧VIの変化が小さいときは、増幅加速回路10は動作しない。なおトランジスタ103、104は十分小さいサイズの素子としてよく、入力端子1に接続されるトランジスタ103、104のゲート寄生容量を小さく抑え、図1の出力回路の入力容量の増加が最小限に抑えられることが好ましい。
【0093】
容量接続制御回路20は、増幅加速回路10が動作して出力電圧VOが急速に変化するときに、容量素子C1、C2の第2端子を、電圧供給端子NE1、NE2にそれぞれ接続する。これにより、出力電圧VOの急速な変化に対応して容量素子C1、C2の充放電を行うことができる。
【0094】
関連技術の差動増幅器(図18)では、差動対を駆動する電流源からの電流に基づく差動増幅段の作用により、容量素子C1、C2の充放電が行われ、一定のスルーレートで出力電圧が変化する。
【0095】
本実施形態においては、出力電圧の急速な変化に対して、差動増幅段50の作用によらず、電圧供給端子NE1、NE2から、出力電圧VOの急速な変化に応じた充放電を瞬時に行うことができる。
【0096】
容量接続制御回路20は、出力電圧VOの急速な電圧変化の後、容量素子C1、C2の第2端子を、電圧供給端子NE1、NE2から、差動増幅段50のノード7、8にそれぞれ接続切替する。
【0097】
これにより、図1の出力回路は、差動増幅段50の作用に応じて、容量素子C1、C2の充放電や出力増幅段(101、102)が動作する本来の差動増幅器の動作となる。
【0098】
なお、この接続切替時(容量素子C1、C2の第2端子の接続先を電圧供給端子NE1、NE2から差動増幅段50のノード7、8にそれぞれ切替えるとき)までに、出力電圧VOの急速な変化に追随して、容量素子C1、C2の充放電がなされている。このため、容量素子C1、C2の第2端子の接続先のノード7、8への切替え後は、速やかに、差動対を駆動する電流源からの電流に基づく差動増幅器の動作に移行し、出力端子2を、入力電圧VIに応じた電圧に高速に駆動することができる。
【0099】
本実施形態によれば、高速駆動の実現にあたり、関連技術(図16)のように差動対を駆動する電流を増加させる必要はない。したがって、本実施形態によれば、高速駆動を実現しながら、低消費電力化が可能である。
【0100】
<本実施形態と関連技術との比較>
以下に、図1の本実施形態の増幅加速回路10と、図16に示した関連技術の制御回路90とを比較して説明する。
【0101】
図1の本実施形態の増幅加速回路10では、トランジスタ103、104が入力電圧VIと出力電圧VOとの電位差に応じて動作して、出力段トランジスタ101、102のゲート電圧を直接変動させるため、増幅加速動作の応答速度が速く、出力電圧VOが入力電圧VI付近に到達したときも速やかに増幅加速動作を停止する。また、スイッチSW1、SW2を加えた増幅加速回路10は、最小、4つの素子で構成することができる。
【0102】
一方、図16の関連技術の制御回路90においては、トランジスタ93−1、93−2が入力電圧VIと出力電圧VOとの電位差に応じて動作し、トランジスタ93−1、93−2のドレインと電流源91、92との接続点(ノードN15、N16)の電圧変化に一旦変換し、ノードN15、N16の電圧変化に応じてトランジスタ94−7、94−8が動作し、出力段トランジスタ81、82のゲート電圧を変動させる構成とされている。このため、図16の関連技術において、最小限、必要な素子数は、図1の本実施形態の増幅加速回路10よりも多くなり、回路面積が増大する。
【0103】
また、図16の関連技術において、ノードN15、N16の電圧変化の応答速度は、トランジスタ93−1、93−2に流れる電流から電流源91、92の電流の差分に依存する。
【0104】
このため、図16の関連技術において、電流源91、92の電流が大きいと、出力段トランジスタ81、82のゲート電圧を変動させる応答が遅くなる。一方、図16の関連技術において、電流源91、92の電流値が小さいと、出力段トランジスタ81、82のゲート電圧の変動の停止が遅れる。
【0105】
なお、図16の関連技術の制御回路90では、ノードN15、N16の電圧によって、差動入力段50の補助電流源53、54の制御を行う必要があるため、図1の本実施形態の増幅加速回路10のような構成を適用することはできない。以上で、図1の本実施形態と図16の関連技術の比較を終える。
【0106】
<実施形態1の動作(スイッチ制御)>
図2は、出力端子2に接続された配線負荷を駆動する図1の出力回路の各スイッチの制御タイミングと出力電圧波形を説明する図である。
【0107】
図2を参照すると、入力電圧VIに応じた出力電圧VOを出力端子2より出力する1出力期間TDに対して、期間T1、T2が設けられている。
【0108】
入力電圧VIは、出力期間単位のステップ信号であるとする(ただし同一電圧が連続する場合も含む)。
【0109】
図2には、入力電圧VIが高電圧(電源E1)側に大きく変化するときの1出力期間の様子が示されている。図2において、1出力期間TD開始後の期間T1に、図1のスイッチSW1、SW2、SW21、SW23がオンし、スイッチSW22、SW24がオフとされ、増幅加速回路10のトランジスタ103、104が動作可能となり、容量素子C1、C2の第2端子は電圧供給端子NE1、NE2にそれぞれ接続される。
【0110】
入力電圧VIが出力電圧VOに対して電源E1(高位電源)側へ大きく変化すると、増幅加速回路10のトランジスタ103が動作して、出力トランジスタ101のゲート(ノード3)は出力端子2の電圧からトランジスタ103の閾値電圧分高い電圧まで引き下げられる。
【0111】
これにより、出力段トランジスタ101は、ゲート・ソース間電圧が広がり、出力電圧VOを入力電圧VIに近づけるように出力端子2を急速充電する。
【0112】
配線負荷容量が大きい場合、出力電圧VOは、入力信号VIの変化直後は急速に変化するが途中から鈍ってくる。
【0113】
これは、出力電圧VOの上昇に伴って、出力段トランジスタ101のゲート(ノード3)電圧が上昇し、出力段トランジスタ101による出力端子2の充電能力が低下するとともに、出力端子2から配線負荷内へ電荷が伝播するためである。
【0114】
なお、図2において、配線負荷は図示されないが、一般的に直列接続された複数の抵抗素子と、各抵抗素子の接続点とGND間に接続される複数の容量素子からなる等価回路で表される。
【0115】
また、期間T1では、容量素子C1、C2の第2端子は、電圧NE1、NE2に接続され、容量素子C1、C2は、出力電圧VOの急速な変化に追随して急速に充放電される。
【0116】
後述される図9、図10等の差動増幅器は、容量素子C1、C2の第2端子の電位変動が小さい構成であるため、電圧NE1、NE2をその電位近傍に設定することで、出力電圧VOの急速な変化に対して容量素子C1、C2の高速充放電が行われる。このため、期間T1後の差動増幅段50による増幅動作に速やかに移行させることができる。
【0117】
期間T1後の期間T2では、スイッチSW1、SW2、SW21、SW23をオフ、スイッチSW22、SW24をオンとされ、増幅加速回路10は非活性とされる。容量素子C1、C2の第2端子は差動増幅段50のノード7、8に接続され、図1の出力回路は、通常の差動増幅器の動作となる。
【0118】
容量C1、C2は、出力電圧VOの急速な変化に応じて充放電されているため、期間T1からT2への変化時も速やかに移行する。
【0119】
そして、期間T1終了時の出力電圧から入力信号VIに応じた最終到達電圧までは、差動増幅段50の差動対の駆動電流により容量C1、C2の第2端子の充放電が行われ、それに応じた駆動速度で出力電圧VOは変化する。
【0120】
図2の破線は、関連技術の差動増幅器(例えば図18に示した構成)の出力波形(比較例)であり、入力信号VIの変化に対して一定のスルーレートで出力電圧が変化する様子を示している。
【0121】
図18に示した関連技術の差動増幅器で説明したように、スルーレートは、差動対を駆動する電流と位相補償容量により決まる。本実施形態では、出力電圧の急速変化を増幅加速回路10で行い、容量C1、C2の急速充放電を電圧供給端子NE1、NE2で行うため、関連技術の差動増幅器のスルーレートよりも高速な駆動を実現することができる。また、本実施形態によれば、差動増幅段50の電流を増加させなくても高速駆動を実現することができる。このため、関連技術の差動増幅器よりも消費電流を縮減することができ、低消費電力化が可能となる。
【0122】
入力電圧VIが電源E2(低位電源)側へ大きく変化する場合については、図示しないが、図2の期間T1、T2と同様の制御が行われる。期間T1に増幅加速回路10のトランジスタ104が動作して出力トランジスタ102のゲート(ノード4)が変化し、出力端子2の出力電圧VOを入力電圧VIに近づけるように急速放電する。同時に、容量素子C1、C2も出力電圧VOの急速な変化に追随して急速に充放電される。
【0123】
期間T2では、増幅加速回路10は非活性とされ、図1の出力回路は通常の差動増幅器の動作に移行して入力信号VIに応じた出力電圧へ出力端子2を駆動する。
【0124】
なお、スイッチSW1、SW2について説明を補足しておく。
【0125】
スイッチSW1、SW2は、増幅加速回路10の活性、非活性を制御するとともに、トランジスタ103、104の不具合動作を防止する。
【0126】
差動増幅器による配線負荷の駆動では、出力電圧VOが入力電圧VIに近づいても、配線負荷内へ電荷が伝播していくため、差動増幅器は配線負荷遠端の駆動が完了するまで出力端子2に大きな電流を供給し続ける。
【0127】
このため、差動増幅器の出力段トランジスタのゲートは、十分な電流を供給するため大きく変動している。
【0128】
例えば図2の期間T2において、増幅加速回路10が活性とされている場合、出力電圧VOが入力電圧VIに近づいたときに増幅加速回路10が自動停止すれば問題ない。
【0129】
しかし、入力電圧VIが電源E1に近い高位電圧で、出力電圧VOが入力電圧VI付近に近づいても、配線負荷へ電流を供給するため、出力段トランジスタ101のゲートが低電位側へ変動している場合がある。このとき、Nchトランジスタ103がオンとなり、出力段トランジスタ101のゲートの低電位側への変動を妨げることで、配線負荷の駆動速度が遅くなる。
【0130】
しかしながら、本実施形態においては、図2の期間T2ではスイッチSW1、SW2により増幅加速回路10を非活性に制御しており、駆動速度が低下するのを防いでいる。
【0131】
<実施形態2>
次に本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。図3を参照すると、本実施形態では、図1の構成に対して、配線負荷との間にスイッチ(出力スイッチ)SW9が設けられている。出力スイッチSW9は、出力期間の切替り時に、出力端子2と配線負荷を一時的に切断する。
【0132】
出力スイッチSW9がオフの間は、出力端子2から配線負荷への電荷移動が遮断されるため、増幅加速回路10の動作により、出力電圧VOは鈍らずに、入力電圧VI付近まで急速に変化し、その電圧に対応して、容量C1、C2の充放電も行なわれる。
【0133】
容量C1、C2は、出力電圧VOのほぼ最終到達電圧に応じた充放電が完了することで、出力スイッチSW9がオンとされても、配線負荷を高速に駆動することができる。
【0134】
また、表示装置のデータ線駆動では、出力期間の切替り時に出力回路とデータ線を一時的に切断する駆動を行う場合があり、その場合の切断回路として、出力スイッチSW9を用いることもできる。
【0135】
図4は、出力スイッチSW9を介して出力端子2に接続された配線負荷を駆動する図3の出力回路における各スイッチの制御タイミングを説明する図である。1出力期間TDに対して、期間T1、T2が設けられている。
【0136】
図2と同様に、図4に示す例でも、入力電圧VIが高電圧(電源E1)側に大きく変化するときの1出力期間の様子を示している。図4において、1出力期間TD開始後の期間T1に、スイッチSW1、SW2、SW21、SW23がオン、スイッチSW22、SW24、SW9がオフとされ、増幅加速回路10のトランジスタ103、104が動作可能となり、容量素子C1、C2の第2端子は電圧供給端子NE1、NE2にそれぞれ接続される。
【0137】
入力電圧VIが出力電圧VOに対して電源E1(高位電源)側へ大きく変化すると、増幅加速回路10のトランジスタ103が動作して出力トランジスタ101のゲート(ノード3)が変化し、出力端子2の出力電圧VOを入力電圧VIに近づけるように急速充電する。同時に、容量素子C1、C2も出力電圧VOの急速な変化に追随して、電圧供給端子NE1、NE2から供給される電荷により急速に充放電される。
【0138】
このとき、出力スイッチSW9により、出力端子2は配線負荷と切断されているため、出力電圧VOはほとんど鈍ることなく、入力電圧VI付近まで瞬時に到達する。このため、容量C1、C2は、出力電圧VOの最終到達電圧手前まで充放電が完了する。
【0139】
期間T1の終了時にスイッチSW1、SW2、SW21、SW23がオフとされ、期間T1に続く期間T2では、スイッチSW22、SW24がオンとされた後に出力スイッチSW9がオンとされる。これにより、増幅加速回路10のトランジスタ103、104は、停止(非活性化)され、容量素子C1、C2の第2端子は、差動増幅段50のノード7、8に接続され、出力端子2は、出力スイッチSW9を介して配線負荷に接続される。
【0140】
図3に示した本実施形態の出力回路は、期間T2では、通常の差動増幅器の動作に移行する。
【0141】
出力電圧VOは、出力端子2が配線負荷に接続された瞬間、配線負荷への電荷伝播により少し電圧が低下するが、その後は、速やかに入力電圧VIに応じた最終到達電圧へ近づいていく。
【0142】
出力スイッチSW9と配線負荷の接続ノード9の電圧VOLは、期間T1では、出力スイッチSW9により出力端子2から切断されており、一つ前の出力期間の電圧が保持される。そして、期間T2で出力スイッチSW9がオンした直後、瞬時に入力電圧VI付近まで駆動され、その後は、入力電圧VIに応じた最終到達電圧へ近づいていく。
【0143】
図4の破線は、関連技術の差動増幅器(例えば図18)で出力スイッチを介して配線負荷を駆動したときの出力スイッチと配線負荷の接続ノード電圧の出力波形(電圧VOLとの比較波形)である。
【0144】
図18に示した関連技術の差動増幅器について説明したように、該差動増幅器のスルーレートは、差動対を駆動する電流と位相補償容量により決まるため、差動増幅器の出力端子電圧は配線負荷との接続の有無によらずに変化する。
【0145】
そのため、関連技術の差動増幅器の出力スイッチと配線負荷との接続ノード電圧(図4の破線)は、期間T1では一つ前の出力期間の電圧が保持され、期間T2では、期間T1に一定のスルーレートで変化した電圧まで瞬時に変化した後、再び、期間T1と同じスルーレートで入力電圧VIに応じた最終到達電圧へ近づいていく。
【0146】
本実施形態では、出力スイッチSW9によって、出力端子2と配線負荷を期間T1に切断する構成(電気的に非導通)としたことにより、配線負荷への電荷伝播の影響を受けずに、出力端子2を出力電圧VOの最終到達電圧手前まで変化させ、容量C1、C2も、最終到達電圧手前までの充放電を完了させることができる。これにより、一定のスルーレートで駆動する関連技術の差動増幅器よりも高速な配線負荷の駆動を実現することができる。また、本実施形態によれば、前記実施形態1で参照した図2の制御による図1の出力回路よりも高速駆動を実現することができる。
【0147】
なお、本実施形態において、容量C1、C2は、期間T2で出力スイッチSW9がオンした直後に少し低下した電圧から出力電圧VOの最終到達電圧までの電位差分だけを差動増幅段50の作用により充放電するだけでよい。したがって、本実施形態によれば、差動増幅段50の差動対の駆動電流を増加させなくても高速駆動を実現することができる。このため、本実施形態によれば、低消費電力化が可能である。
【0148】
なお、入力電圧VIが電源E2(低位電源)側へ大きく変化する場合については、図示しないが、図4の期間T1、T2と同様の制御が行われる。
【0149】
期間T1に増幅加速回路10のトランジスタ104が動作して出力トランジスタ102のゲート(ノード4)が変化し、出力端子2の出力電圧VOを入力電圧VI付近まで急速放電する。同時に容量素子C1、C2も急速充放電される。期間T2では、増幅加速回路10は非活性とされ、図3の出力回路は通常の差動増幅器の動作に移行する。
【0150】
出力端子2は、出力スイッチSW9を介して配線負荷に接続され、出力電圧VOは、出力端子2が配線負荷に接続された瞬間、配線負荷への電荷伝播により少し電圧が上昇するが、その後は速やかに入力電圧VIに応じた最終到達電圧へ近づいていく。
【0151】
配線負荷のノード9は、期間T1では一つ前の出力期間の電圧が保持され、期間T2で出力スイッチSW9がオンした直後、瞬時に入力電圧VI付近まで駆動され、その後は入力電圧VIに応じた最終到達電圧へ近づいていく。
【0152】
<実施形態3>
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。図5は、本発明の第3の実施形態を説明するタイミング波形図である。本実施形態の構成は、図3の前記実施形態の構成と同一とされる。
【0153】
本実施形態は、図4のタイミング制御を変形したものである。図5は、図4と同様に、出力スイッチSW9を介して、出力端子2に接続された配線負荷を駆動する図3の出力回路の各スイッチの制御タイミングを説明する図である。
【0154】
図5に示すように、本実施形態では、図4の期間T1を期間T1aとT1bに分割し、期間T1aに、スイッチSW1、SW2、SW21、SW23がオン、スイッチSW22、SW24がオフとされ、期間T1b及び期間T2に、スイッチSW1、SW2、SW21、SW23がオフ、スイッチSW22、SW24がオンとされる。出力スイッチSW9は期間T1a、T1bにオフ、期間T2にオンとされる。
【0155】
図4において、出力スイッチSW9がオフのとき、増幅加速回路10の動作により出力電圧VOは入力電圧VI付近までに瞬時に変化し、容量素子C1、C2も急速充放電が行われることを説明した。
【0156】
このため、図5に示すように、本実施形態によるスイッチの制御においては、十分短い期間T1aで、出力電圧VOの変化と容量素子C1、C2の急速充放電を行ない、次の期間T1bで、通常の差動増幅器の動作に移行した図3の出力回路により、出力電圧VOを入力電圧VIに応じた最終到達電圧に到達させ、容量C1、C2も、出力電圧VOの最終到達電圧に応じた充放電を完了させている。
【0157】
そして、期間T2において、出力端子2は、配線負荷に接続され、出力電圧VOは、出力端子2が配線負荷に接続された瞬間、配線負荷への電荷伝播により少し電圧が低下するが、速やかに入力電圧VIに応じた最終到達電圧へ近づいていく。
【0158】
出力スイッチSW9と配線負荷の接続ノード9の電圧VOLは、期間T1a、T1bでは、出力スイッチSW9により出力端子2から切断(電気的に非導通と)されており、一つ前の出力期間の電圧が保持され、期間T2で出力スイッチSW9がオンした直後、瞬時に入力電圧VI付近まで駆動され、その後は入力電圧VIに応じた最終到達電圧へ近づいていく。図5の点線は関連技術の差動増幅器(例えば図18)で出力スイッチを介して配線負荷を駆動したときの出力スイッチと配線負荷の接続ノード電圧の出力波形(電圧VOLとの比較波形)で、図4と同様である。
【0159】
図5に示す制御では、期間T1a、T1bで、出力端子2を出力電圧VOの最終到達電圧まで変化させ、容量C1、C2も最終到達電圧に応じた充放電に完了させることができる。これにより、期間T2での容量C1、C2は、期間T2で出力スイッチSW9がオンした直後に少し低下した電位差分だけを差動増幅段50の作用により補充するだけでよい。したがって、容量C1、C2の容量値が比較的大きい場合でも差動増幅段50の差動対の駆動電流を増加させなくても高速駆動を実現することができ、低消費電力化が可能である。
【0160】
なお、図5に示す例では、スイッチSW1、SW2は、期間T1aのみオンとしているが、期間T1bもオンとしてもよい。期間T1bでは、図3の出力回路が通常の差動増幅器の動作に移行するが、出力スイッチSW9がオフとされている間は、出力段トランジスタ101、102は出力端子2の寄生容量を駆動するだけなので、出力段トランジスタ101、102のゲートが大きく変動することはない。したがって、本実施形態において、増幅加速回路10は、自動停止のまま、図2に関して補足説明したような、駆動を妨げる動作は、生じない。
【0161】
<実施形態4>
次に本発明の第4の実施形態を説明する。図6は、本発明の第4の実施形態の構成を示す図である。本実施形態は、図1の実施形態の変形例である。
【0162】
図1の回路構成において、配線負荷容量が大きく、高速駆動のため出力段トランジスタ101、102のサイズを大きくする場合、出力段トランジスタ101、102のゲートとドレイン(出力端子2)間の寄生容量が増加する。
【0163】
このような出力回路において、増幅加速回路10により出力電圧VOが急速に変化すると、寄生容量の容量性カップリングにより貫通電流が発生する場合がある。この貫通電流の電流値は、関連技術(図16、図17)で説明した出力段トランジスタのゲート・ドレイン(出力端子)間に容量素子が接続されることにより生じる貫通電流の電流値に比べると十分小さいが、低消費電力化を特に求められる場合には、無視できない場合がある。
【0164】
そこで、この寄生容量の容量性カップリングにより生じる貫通電流を防ぐため、本実施形態では、出力段トランジスタを分割して、出力段トランジスタ101、102と、出力段トランジスタ101A、102Aとし、出力段トランジスタ101A、102Aは、増幅加速回路10により、出力電圧VOが急速に変化する期間T1(図2の期間T1)で非活性となるようにスイッチSW31、SW33をオン、スイッチSW32、SW34をオフとする。このとき出力段トランジスタ101A、102Aは出力端子2と接続された状態で非活性とされる。
【0165】
また、期間T2(図2の期間T2)では、出力段トランジスタ101A、102Aを活性とするように、スイッチSW31、SW33をオフ、スイッチSW32、SW34をオンとする。
【0166】
これにより、出力電圧VOが急速に変化するとき、出力段トランジスタ101、102の寄生容量の容量性カップリングが生じるが、出力段トランジスタを分割したことにより寄生容量が小さくなり、貫通電流を抑えることができる。出力段トランジスタ101A、102Aは、出力端子2が入力電圧VIにある程度近づいた後の期間T2に活性となる。このため、この時点からの出力電圧VOの変化は小さく、出力段トランジスタ101A、102Aの寄生容量の容量性カップリングによる影響は小さい。ただし、出力段トランジスタを分割することにより、期間T1で、配線負荷が接続された出力端子2を入力信号VIに応じた電圧に近づける能力がやや低下する。図6のその他の各スイッチは、図2と同様の制御を行う。
【0167】
<実施形態5>
次に本発明の第5の実施形態を説明する。図7は、本発明の第5の実施形態の構成を示す図である。図7を参照すると、本実施形態は、図3の構成を変形したものである。
【0168】
図3に示した回路構成において、配線負荷容量が大きく、高速駆動のため出力段トランジスタ101、102のサイズを大きくする場合、出力段トランジスタ101、102のゲートとドレイン(出力端子2)間の寄生容量が増加する。
【0169】
このような出力回路では、増幅加速回路10により出力電圧VOが急速に変化すると、寄生容量の容量性カップリングにより貫通電流が発生する場合がある。
【0170】
本実施形態では、この寄生容量の容量性カップリングにより生じる貫通電流を防ぐため、図6と同様に、出力段トランジスタを分割して、十分サイズの小さい出力段トランジスタ101、102とサイズの大きい出力段トランジスタ101A、102Aとし、出力段トランジスタ101A、102Aは幅加速回路10により出力電圧VOが急速に変化する期間(図4の期間T1又は図5の期間T1a)で非活性となるようにスイッチSW31、SW33をオン、スイッチSW32、SW34をオフとする。このとき、出力段トランジスタ101A、102Aは出力端子2と接続された状態で非活性とされる。
【0171】
出力電圧VOの変化が小さい期間(図4の期間T2又は図5の期間T1b、T2)では出力段トランジスタ101A、102Aを活性とするようにスイッチSW31、SW33をオフ、スイッチSW32、SW34をオンとする。
【0172】
これにより、出力電圧VOが急速に変化するとき、サイズの小さい出力段トランジスタ101、102の寄生容量の容量性カップリングが生じても、寄生容量が小さいため、貫通電流はほとんど生じない。また出力電圧VOが急速に変化するとき、出力スイッチSW9がオフされているため、出力段トランジスタ101、102のサイズが小さくても、出力端子2の電圧VOは、瞬時に入力電圧VI付近に到達する。一方、出力段トランジスタ101A、102Aは、出力電圧VOが急速に変化する期間で非活性(オフ状態)とされるが、出力端子2に接続された出力段トランジスタ101A、102Aのドレイン端子は、出力電圧VOに追随して入力電圧VI付近まで変化する。このため、出力段トランジスタ101A、102Aが活性(オン状態)とされた後のドレイン端子の電圧変化は小さい。したがって、出力段トランジスタ101A、102Aの寄生容量による容量性カップリングは小さい。このため、出力段トランジスタ101A、102Aの寄生容量による貫通電流を抑えることができる。
【0173】
出力スイッチSW9がオフで、出力端子2と配線負荷が切断(電気的に非導通と)されている期間では、十分サイズの小さい出力段トランジスタ101、102で出力電圧VOを高速変化させることが可能である。
【0174】
一方、出力段トランジスタ101A、102Aは、少なくとも出力スイッチSW9がオンとされる期間(図4の期間T2又は図5の期間T2)では、活性とされるようにスイッチSW31〜SW34が制御される。
【0175】
なお、出力段トランジスタ101A、102Aは、出力スイッチSW9がオンとされる前でも、出力電圧VOの急速な変化が完了している期間(図5の期間T1b)において活性状態となるように、スイッチSW31〜SW34を制御してもよい。
【0176】
本実施形態において、上記した以外の図7中の各スイッチは、図4又は図5と同様の制御が行われる。図7の出力回路は、配線負荷容量が大きい場合でも、貫通電流を抑えて高速駆動が実現できる。
【0177】
<実施形態6>
次に本発明の第6の実施形態を説明する。図8は、本発明の第6の実施形態の構成を示す図である。本実施形態は図3の別の変形例である。
【0178】
図3の出力回路に対して、図4に示したスイッチ制御を行う場合、出力期間の切替わりで、配線負荷の駆動開始が出力スイッチSW9をオンとする期間T2からとなる。
【0179】
仮に、図4のスイッチ制御で、期間T1においても、配線負荷を駆動できれば、更に高速駆動が可能となり、フレーム周波数が高く出力期間が短い表示装置のデータ線駆動にも対応できる。
【0180】
そこで、本実施形態では、図8に示すように、出力スイッチSW9と配線負荷の接続ノード9にソースが共通接続され、電源E1、E2にドレインがそれぞれ接続され、ゲートが出力端子2に共通接続されるNchトランジスタ201とPchトランジスタ202を更に備える。
【0181】
図8に示した本実施形態の出力回路において、図4に示したスイッチ制御を行う場合、期間T1に、出力端子2は、入力電圧VI付近まで急速に駆動される。
【0182】
このため、期間T1に、トランジスタ201、202は、ゲートに出力端子2の出力電圧VOを受けてソースフォロワ動作し、入力信号VIからトランジスタ201又は202の閾値電圧(絶対値)程度手前の電圧まで配線負荷を駆動することが可能となる。
【0183】
期間T2では、出力スイッチSW9がオンとなり、出力段トランジスタ101、102により入力電圧VIに応じた最終到達電圧まで高速に配線負荷を駆動する。
【0184】
トランジスタ201、202により期間T1も配線負荷が駆動されるため、図3の出力回路よりも、更に高速駆動を実現することができる。
【0185】
また、本実施形態において、トランジスタ201、202はともにソースフォロワ動作を行うため、ノード9の電圧が急速に変化しても、寄生容量の容量性カップリングによる貫通電流は発生せず、期間T2ではゲート(出力端子2)とソース(ノード9)が同電位となるため自動停止する。
【0186】
図3に示した出力回路に対して、図5に示したスイッチ制御を行う場合も、期間T1a、T1bに、トランジスタ201、202により、入力信号VIからトランジスタ201又は202の閾値電圧(絶対値)程度手前の電圧まで配線負荷が駆動されるため、図3の出力回路より更に高速駆動となる。
【0187】
なお、図8に示す例では、トランジスタ201、202が出力回路の入力容量に影響を与えない構成となっている。
【0188】
図8の構成に対して、トランジスタ201、202の共通ゲートを入力端子1に接続することも可能ではあるが、その場合、トランジスタ201、202の共通ゲートの寄生容量分だけ出力回路の入力容量が増加することになる。特に、トランジスタ201、202の駆動能力を高めるために各々のトランジスタサイズを増加させると、それに応じて、出力回路の入力容量も増加することになる。出力回路の入力容量が増加すると、出力回路の入力電圧VIを供給する不図示の前段回路(後述する表示用データドライバのデコーダ等)のインピーダンスが比較的高い場合には、出力回路の入力電圧VIのステップ信号が鈍ってしまい、出力回路の出力信号VOも鈍り、配線負荷の高速駆動が実現できない場合がある。
【0189】
これに対して、図8に示した回路構成の場合、トランジスタ201、202によって出力回路の入力容量が増加することはない。また、出力端子2に接続されるトランジスタ201、202の共通ゲートの電圧は、増幅加速回路10の動作により、出力段トランジスタ101、102の高い駆動能力によって入力電圧VIの変化に追随して変化することから、出力回路の前段回路(不図示)のインピーダンスが高い場合でも、配線負荷の高速駆動を実現することができる。以下、具体的な実施例を説明する。
【実施例】
【0190】
<実施例1>
図9は、本発明の第1の実施例の構成を示す図であり、図1の実施形態の具体的な回路構成を示す図である。図18の差動増幅段を図1の差動増幅段50に適用した構成である。差動増幅段50は、Nchの第1の差動トランジスタ対(111、112)と、前記第1の差動トランジスタ対(111、112)に電流を供給する第1の電流源(113)と、を有する第1の差動段と、Pchの第2の差動トランジスタ対(121、122)と、第2の差動トランジスタ対(121、122)に電流を供給する第2の電流源(123)と、を有する第2の差動段と、を備え、第1の電源(E1)に共通に接続された第1端子(ソース端子)と、前記第1の差動トランジスタ対の出力対に第1、第2のノード(N1、N2)でそれぞれ接続された第2端子(ドレイン端子)と、を有し、制御端子(ゲート端子)同士が接続されたPchの第1のトランジスタ対(132、131)と、前記第2の電源(E2)に共通に接続された第1端子(ソース端子)と、前記第2の差動トランジスタ対の出力対に第3、第4のノード(N3、N4)でそれぞれ接続された第2端子(ドレイン端子)とを有し、制御端子(ゲート端子)同士が接続されたNchの第2のトランジスタ対(142、141)と、前記第1のノード(N1)に接続された第1端子(ソース端子)と、前記差動増幅段(50)の第1の出力(3)に接続された第2端子(ドレイン端子)と、第1のバイアス電圧(BP1)を受ける制御端子(ゲート端子)とを有するPchトランジスタ(134)と、前記第3のノード(N3)に接続された第1端子(ソース端子)と、前記差動増幅段(50)の第2の出力(4)に接続された第2端子(ドレイン端子)と、第2のバイアス電圧(BN1)を受ける制御端子(ゲート端子)とを有するNchトランジスタ(144)と、前記差動増幅段(50)の前記第2及び第4のノード(N2、N4)の間に接続された第1の連絡回路(60L)と、前記差動増幅段(50)の前記第1及び第2の出力(3、4)の間に接続された第2の連絡回路(60R)と、を備えている。前記第1のノード(N1)は、第1の容量(C1)の第2端子がスイッチ(SW22)を介して接続される差動増幅段(50)のノード(7)とされ、前記第3のノード(N3)は、第の容量(C2)の第2端子はスイッチ(SW24)を介して接続される差動増幅段(50)のノード(8)とされる。またPchトランジスタ(134)と前記第2の連絡回路(60R)との接続点が、差動増幅段(50)の前記第1の出力(3)とされ、Nchトランジスタ(144)と前記第2の連絡回路(60R)との接続点が、前記差動増幅段(50)の前記第2の出力(4)とされる。
【0191】
前記第1の連絡回路(60L)は、前記第2のノード(N2)に接続された第1端子(ソース端子)と、前記第1のトランジスタ対(132、131)の制御端子(ゲート端子)に接続された第2端子(ドレイン端子)と、前記Pchトランジスタ(134)の制御端子(ゲート端子)に接続された制御端子(ゲート端子)を有するPchトランジスタ(133)と、前記第4のノード(N4)に接続された第1端子(ソース端子)と、前記第2のトランジスタ対(142、141)の制御端子(ゲート端子)に接続された第2端子(ドレイン端子)と、前記Nchトランジスタ(144)の制御端子(ゲート端子)に接続された制御端子(ゲート端子)を有するNchトランジスタ(143)と、電流源(151)と、を備えている。また、前記第2の連絡回路(60R)は、前記差動増幅段の前記第1の出力(3)と前記第2の出力(4)にそれぞれ接続された第1端子(ソース)と第2端子(ドレイン)を有し、第3のバイアス電圧(BP2)を受ける制御端子を有するPchトランジスタ(152)と、前記差動増幅段の前記第1の出力(3)と前記第2の出力(4)にそれぞれ接続された第2端子(ドレイン)と第1端子(ソース)を有し、第4のバイアス電圧(BN2)を受ける制御端子(ゲート端子)を有する第10のトランジスタ(153)と、を備えている。
【0192】
図9において、増幅加速回路10と容量接続制御回路20以外は、図18と同一であり、同じ素子については、同じ参照符号が付されている。差動増幅段50の動作は、図18の差動増幅段で説明した内容と同様である。特に補足すれば、容量C1の第2端子が接続切替えされる差動増幅段50のノード7は、Nch差動対(111、112)の出力対とトランジスタ対(131、132)の一接続点(トランジスタ112、132の共通ドレイン)とされており、更にゲートにバイアス電圧BP1を受けるトランジスタ134のソースとも接続されている。
【0193】
図9において、Pchトランジスタ131、132、133、134は低電圧カスコードカレントミラーを構成しており、Nchトランジスタ141、142、143、144も低電圧カスコードカレントミラーを構成している。
【0194】
図18の関連技術のノード7と同様に、図9のノード7の動作点も電源E1から少し低い電圧付近に常に保たれる。また容量C2の第2端子が接続切替えされる差動増幅段50のノード8は、Pch差動対(121、122)の出力対とトランジスタ対(141、142)の一接続点(トランジスタ122、142の共通ドレイン)とされており、更に、ゲートにバイアス電圧BN1を受けるトランジスタ144のソースとも接続されている。
【0195】
図18のノード8と同様に、図9のノード8の動作点も電源E2から少し高い電圧付近に常に保たれる。ノード7、8は電圧変化が小さいため、容量接続制御回路20の電圧供給端子NE1、NE2の電圧をノード7、8の動作点電圧付近の定電圧に設定することができる。電圧供給端子NE1、NE2は、それぞれ電源E1、E2としてもよい。
【0196】
そして、容量C1、C2の第2端子が電圧供給端子NE1、NE2からノード7、8に接続切り替えられたとき、容量C1、C2の第2端子の電圧変動はほとんど生じない。このため、容量C1、C2の第2端子の接続切り替え時でも、出力端子2の速やかな駆動が実現される。
【0197】
一方、出力段トランジスタ101のゲートが接続される差動増幅段50のノード3は、トランジスタ134のドレインと浮遊電流源(152、153)との接続点とされ、ノード7とはトランジスタ134により分離されている。また出力段トランジスタ102のゲートが接続される差動増幅段50のノード4は、トランジスタ144のドレインと浮遊電流源(152、153)との接続点とされ、ノード8とはトランジスタ144により分離されている。
【0198】
このため、ノード7、8が入力電圧VIの変化に応じて大きく変動する場合や出力電圧VOが大きく変動する場合でも、容量C1、C2の容量性カップリングは生じない構成とされる。
【0199】
本実施例の作用効果をより明確にするため、対比構成(比較例)の動作について以下に説明する。
【0200】
本実施例との比較例(不図示)として、図18の関連技術の構成に対して、図1の増幅加速回路10のみを適用した場合について説明する(なお、図面は省略される)。
【0201】
容量C1、C2は出力端子2とノード7、8間にそれぞれ固定接続されているとする。例えば、入力電圧VIが出力電圧VOに対して電源E1(高位電源)側へ大きく変化すると、増幅加速回路10が動作して出力トランジスタ101のゲート(ノード3)が電源E2側へ変化し、出力端子2の出力電圧VOは急速に電源E1(高電位)側へ変化する。
【0202】
このとき、容量C1、C2の第2端子が接続されるノード7、8は、容量C1、C2の容量性カップリングにより、それぞれ少し電源E1側に変動する。
【0203】
これにより、トランジスタ134のドレイン電流は増加し、ノード3の電位を引き上げる作用が生じて、増幅加速回路10の動作を妨げる。一方、トランジスタ144のドレイン電流は減少し、ノード4の電位を引き上げる作用が生じて、出力段トランジスタ102のゲート・ソース間電圧が拡大し、出力段トランジスタ101、102に貫通電流が発生する。
【0204】
したがって、図18の関連技術の回路構成に対して、増幅加速回路10のみを適用しただけでは、本発明の作用効果を実現することはできない。
【0205】
次に、本発明との比較例(不図示)として、図17の関連技術の構成に対して、図1の増幅加速回路10を適用し、図17のスイッチ20、21、22、23を、本実施形態の容量接続制御回路20におけるスイッチSW22、SW21、SW24、SW23とそれぞれ同様の制御をする場合について説明する。
【0206】
図17の関連技術の容量31の第2端子は、電源VDDと出力段トランジスタ14のゲートに接続が切替えられ、容量32の第2端子はGNDと出力段トランジスタ15のゲートに接続が切替られる。
【0207】
なお、本実施例における電圧供給端子NE1、NE2は、図17の電源VDD、接地(GND)にそれぞれ対応する。
【0208】
この比較例において、例えば、入力電圧VIが出力電圧VOに対して電源VDD側へ大きく変化すると、増幅加速回路10が動作して出力段トランジスタ14のゲートがGND側へ変化し、出力端子電圧は急速に上昇する。
【0209】
このとき、容量31、32の第2端子は電源VDD、GNDへそれぞれ接続され、出力端子電圧の変化に応じて容量31、32の充放電も行われる。出力端子電圧が入力端子電圧に近づくと増幅加速回路10は自動停止し、差動入力段の作用により、出力段トランジスタ14、15のゲート電圧は制御される。
【0210】
配線負荷を駆動時では、配線負荷内部への電荷伝播により、出力端子電圧が入力端子電圧に近づいても、配線負荷へ十分な電流を供給するため出力段トランジスタ14のゲートはGND側へ変動し出力端子は充電され続ける。このとき、出力段トランジスタ14のゲート電圧は、配線負荷の抵抗値や容量値、及び配線負荷の駆動状態により異なり一定ではない。
【0211】
ここで、容量31、32の第2端子が出力段トランジスタ14、15のゲートに接続されると、出力段トランジスタ14のゲート電圧は容量31の容量性カップリングにより電源VDD側へ引き上げる作用が生じ、出力段トランジスタ14の充電動作を妨げることになり、この結果、配線負荷の駆動速度が低下する。
【0212】
このように、差動増幅動作時に出力段トランジスタのゲート・ドレイン(出力端子)間に容量が接続される差動増幅器(図17等)に対して、本発明の増幅加速回路10を適用し、容量接続制御回路20と同様のスイッチ制御を行う構成では、容量の第2端子の電圧が接続切替え前後で大きく異なる場合があるため、接続切替え後の差動増幅動作を妨げる作用が生じ、本発明の作用効果を奏することは不可能である。
【0213】
次に、図18の差動増幅段を図3の差動増幅段50に適用した出力回路について説明する。この出力回路は、図9の出力端子2と配線負荷の間に出力スイッチSW9が接続された構成(不図時)となる。この出力回路の動作は図3〜図5での説明の通りである。
【0214】
特に、図5のスイッチ制御による図3の出力回路は、出力スイッチSW9がオフの期間に、増幅加速回路10により出力端子2の電圧を出力電圧VOの最終到達電圧まで変化させ、容量接続制御回路20により容量C1、C2は出力電圧VOの最終到達電圧対応した充放電までほぼ完了させることができる。
【0215】
図18の差動増幅段を図3の差動増幅段50に適用した出力回路において、出力スイッチSW9がオフからオンとされたときの動作について補足説明する。
【0216】
図5の期間T2を参照すると、期間T2の開始時に出力スイッチSW9がオフからオンとされ、出力端子2の出力電圧VOは出力スイッチSW9を介して配線負荷へ電荷が伝播するため少し電圧が低下する。
【0217】
このとき、容量C1、C2の第2端子はノード7、8にそれぞれ接続されており、出力電圧VOの電圧変化により容量C1、C2は小規模の容量性カップリングが生じ、ノード7、8は電源E2側へ若干変動する。
【0218】
これにより、トランジスタ134のドレイン電流は少し減少し、トランジスタ144のドレイン電流は少し増加するため、出力段トランジスタ101、102のゲート(ノード3、4)は電源E2側へ変化する作用を受け、期間T2で出力スイッチSW9のオン直後に一時的に低下した出力電圧VOを戻そうとする作用が生じる。このため、差動増幅段50の電流源113、114からの電流により補充される電荷量は小さく、差動増幅段50の差動対の駆動電流は小さくても駆動速度への影響は小さい。
【0219】
すなわち、容量C1、C2の充放電を出力電圧VOの最終到達電圧に対応するところまで近づけるほど、出力端子2を最終到達電圧に高速に駆動することができ、差動増幅段50の差動対の駆動電流も抑えることが可能となる。
【0220】
なお、差動増幅段50の電流源113、123は、ソース端子が電源E4、E3にそれぞれ接続され、ゲート端子に所定のバイアス電圧が印加されるNch及びPchトランジスタで構成してもよい。電源E3、E4は、それぞれ電源E1、E2と同一でよい。
【0221】
また、図1、図3に限らず、図6乃至図8の差動増幅段50に対しても、図18の関連技術の差動増幅段の構成を適用できることは勿論である。
【0222】
<実施例2>
図10は、本発明の第2の実施例の構成を示す図である。図10を参照すると、差動増幅段50は、図9の差動増幅段50からトランジスタ133、143を削除し、トランジスタ131のドレイン端子と差動トランジスタ111の接続点(N2)に、トランジスタ131のゲート端子と電流源151の一端を接続し、トランジスタ1431のドレイン端子と差動トランジスタ121の接続点(N4)に、トランジスタ141のゲート端子と電流源151の他端を接続した構成である。トランジスタ133、143の削除により出力回路の面積を削減することができる。
【0223】
図10に示した差動増幅段50は、図1、図3、図6〜図8の各実施形態の出力回路の差動増幅段50に置き換えることができる。
【0224】
<実施例3>
次に本発明の第3の実施例を説明する。図19は、本発明の第3の実施例の構成を示す図である。本実施例において、図19の差動増幅段50は、図9において、Pch差動トランジスタ対(122、121)と電流源123とを削除したものである。また、図19の容量接続制御回路20は、図9における容量C2、電圧供給端子NE2、及び、スイッチSW23、SW24を削除したものである。本実施例のように、差動増幅段50の差動トランジスタ対を一導電型のみで構成した場合でも、差動増幅器として動作することは可能である。
【0225】
図19を参照して、本実施例の差動増幅段50の動作について以下に説明する。なお、出力安定状態における電流源113の電流をI1とし、浮遊電流源151の電流をI3、浮遊電流源(152、153)の合計電流をI4とする。
【0226】
例えば入力端子1の入力電圧VIが出力端子2の出力電圧VOに対して電源E1(高電位)側へ大きく変化したとき、Nch差動対のトランジスタ111、112は、それぞれオフ、オンとなり、電流源113の電流I1は、オン状態のトランジスタ112に流れる。
【0227】
ここで、トランジスタ131には、電流源151の電流I3のみが流れ、電流I3のミラー電流がトランジスタ132に流れる。このとき、トランジスタ132に流れる電流の値は、出力安定状態時よりも小さく、トランジスタ112に流れる電流の値は、出力安定状態時よりも大きくなる。
【0228】
このため、トランジスタ132、134の接続点(N1:ノード7)の電圧は少し低下して、トランジスタ134のゲート・ソース間電圧(絶対値)が小さくなり、トランジスタ134のドレイン電流が減少する。
【0229】
一方、トランジスタ141には、連絡回路60Lの電流源151からの電流I3が流れ、そのミラー電流がトランジスタ142に流れる。このとき、トランジスタ142に流れる電流の値は、出力安定状態時とほぼ同等である。
【0230】
ここで、出力段トランジスタ101、102のゲートがそれぞれ接続されるノード3、4(N3、N4)の電圧は、トランジスタ134、144に流れる電流の値の差によって変化する。
【0231】
トランジスタ134に流れる電流が減少すると、ノード3、4(N3、N4)の電圧は、電源E2(低電位)側へ変化し、出力段トランジスタ101による電源E1から出力端子2への充電電流の電流値が増加し、出力段トランジスタ102による出力端子2から電源E2への放電電流の電流値が減少する。これにより出力端子2の出力電圧VOは上昇し、出力電圧VOが入力電圧VIに到達すると出力安定状態となる。
【0232】
なお、図19の容量接続制御回路20において、スイッチSW21、SW22がそれぞれオフ、オンとされ、容量C1がノード7と出力端子2間に接続されているとき、出力端子2の出力電圧VOは、Nch差動トランジスタ対(112、111)の一方がオン、他方がオフとなって動作する間は、一定のスルーレートで変化する。このときの出力電圧VOのスルーレートは、関連技術(図18)の説明のスルーレートに関する上式(3)において、I2、C2をそれぞれゼロとした式(4)と等価となる。
dVO/dt≒I1/C1 …(4)
【0233】
次に図19の実施例3の差動増幅段50と、図9の実施例1の差動増幅段50の動作レンジについて比較する。
【0234】
図9の実施例1において、電流源113、及び123は、ソース端子が電源E4、E3にそれぞれ接続され、ゲート端子に所定のバイアス電圧が印加されるNchトランジスタ、及びPchトランジスタでそれぞれ構成される。
【0235】
図19の実施例3の差動増幅段50は、Nch差動トランジスタ対(112、111)しか備えていないため、電源E4からNchトランジスタ111、112の閾値電圧分の電圧範囲では動作しない。
【0236】
一方、図9の実施例1の差動増幅段50は、Nch差動トランジスタ対(112、111)とPch差動トランジスタ対(122、121)の両方を備えている。このため、電源E4付近でNch差動トランジスタ対(112、111)の動作が停止しても、Pch差動トランジスタ対(122、121)の動作により差動増幅器として動作可能である。また、電源E3付近でPch差動トランジスタ対(122、121)の動作が停止しても、Nch差動トランジスタ対(112、111)の動作により、差動増幅器として動作可能である。
【0237】
図19と図9の差動増幅段50の動作レンジは、電源電圧が同じ場合(例えばE3とE1が同一、E4とE2が同一)、図19の動作レンジは図9の動作レンジより狭くなる。
【0238】
ただし、図19の実施例3の差動増幅段50の電源E4を、電源E2よりも低くできる場合には、図9の出力回路と同じ出力電圧範囲(電源E1から電源E2の電圧範囲)を持つことができる。
【0239】
図19の実施例3において、差動増幅段50及び容量接続制御回路20は、図1、図3、図6乃至図8の各実施形態の出力回路の差動増幅段50及び容量接続制御回路20に置き換えることができる。各実施形態で説明した増幅加速回路10及び容量接続制御回路20の動作により、配線負荷の高速駆動が可能である。
【0240】
なお、図19の実施例3の差動増幅段50のNch差動トランジスタ対(112、111)と電流源113の代わりに、Pch差動トランジスタ対(122、121)と電流源123のみを備える構成についても同様である。
【0241】
<実施例4>
次に本発明の第4の実施例を説明する。図20は、本発明の第4の実施例の構成を示す図である。本実施例において、図20の差動増幅段50は、図19と同じである。また図20の容量接続制御回路20は、容量C2、電圧供給端子NE2、スイッチSW23、SW24のみで構成される。
【0242】
図20の容量接続制御回路20において、スイッチSW23、SW23がオフ、オンとされ、容量C2がノード8と出力端子2間に接続されているとき、出力電圧VOは、差動トランジスタ対(112、111)の一方のトランジスタがオン、他方のトランジスタがオフとなって動作する間は、一定のスルーレートで変化する。このときの出力電圧VOのスルーレートは、関連技術(図18)の説明のスルーレートに関する(3)式でI1、C1をそれぞれゼロとした式(5)と等価となる。
【0243】
dVO/dt≒I2/C2 …(5)
【0244】
また図20の差動増幅段50の電源E3を電源E1より高くできる場合には、図9の出力回路と同じ出力電圧範囲(電源E1から電源E2の電圧範囲)をもつことができる。
【0245】
図20の差動増幅段50及び容量接続制御回路20は、図1、図3、図6〜図8の各実施形態の出力回路の差動増幅段50及び容量接続制御回路20に置き換えることができる。各実施形態で説明した増幅加速回路10及び容量接続制御回路20の動作により、配線負荷の高速駆動が可能である。
【0246】
<実施例5>
次に本発明の第5の実施例を説明する。図11は、本発明の第5の実施例の構成を示す図である。本実施例において、図11の差動増幅段50は、図9で同一導電型の差動トランジスタ対を複数備えた内挿差動増幅器としたものである。図11には、代表例として、Nch、Pch差動対をそれぞれ2つ備えた構成が示されている。図11を参照すると、電流源113で駆動されVI、VOを差動入力するNch差動トランジスタ対(112、111)、電流源116で駆動されVIA、VOを差動入力するNch差動トランジスタ対(115、114)を備え、Nchトランジスタ111、114のドレインはPchトランジスタ131のドレインに接続され、Nchトランジスタ112、115のドレインはPchトランジスタ132のドレイン(ノード7)に接続されている。電流源123で駆動されVI、VOを差動入力するPch差動トランジスタ対(122、121)、電流源126で駆動されVIA、VOを差動入力するPch差動トランジスタ対(125、124)を備え、Pchトランジスタ121、124のドレインはNchトランジスタ141のドレインに接続され、Pchトランジスタ122、125のドレインはNchトランジスタ142のドレイン(ノード8)に接続されている。
【0247】
同極性の2つの差動対の対をなすトランジスタ同士のサイズを等しく、且つ、それぞれを駆動する電流源の電流値を等しくした場合、出力端子2の出力電圧VOは、2つの入力電圧VI、VIAを1対1に内挿する電圧(VO=(VI+VIA)/2)となる。
【0248】
増幅加速回路10の入力は、複数の差動対の入力の一つ(図11では入力端子1)に接続する。増幅加速回路10は、入力電圧VI及びVIAが大きく変化したとき、出力電圧VOを入力端子1の入力電圧VI付近へ向けて急速に変化させる。2つの入力電圧VI、VIAが比較的近い電圧であれば、入力電圧VIと出力電圧VOの最終到達電圧も近い電圧であるため、図9と同様に出力電圧VOの最終到達電圧への高速駆動が実現できる。
【0249】
図11の差動増幅段50は、図1、図3、図6〜図8の各実施形態の出力回路の差動増幅段50に置き換えることができる。
【0250】
<実施例6>
次に本発明の第6の実施例を説明する。図12は、本発明の第6の実施例の構成を示す図である。本実施例は、増幅加速回路10の構成を変形したものである。図1等に示した実施形態の増幅加速回路10のスイッチSW1、SW2の代わりに、トランジスタ103、104の共通ゲートと出力端子2との間のスイッチSW31と、SW31がオンとされトランジスタ103、104が非活性となるときに、入力端子1と出力端子2間が導通しないように切断するスイッチSW32とを備えても良い。
【0251】
図12において、スイッチSW31は、図1のスイッチSW1、SW2のオン、オフ(図2)と逆の制御とされる(図1のスイッチSW1、SW2がオンのときスイッチSW31はオフ)。スイッチSW32は、図1のSW1、SW2のオン、オフと同じ制御とされる(図1のスイッチSW1、SW2がオンのときスイッチSW32はオン)。
【0252】
スイッチSW32は、出力段トランジスタ103、104の共通ドレインと出力端子2との間に接続されてもよい(不図示)。
【0253】
なお、図12の構成において、入力電圧VIの電圧範囲により、スイッチSW31、SW32はCMOSスイッチ(PchトランジスタとNchトランジスタによる相補型スイッチ)にする必要がある。
【0254】
<実施例7>
次に本発明の第5の実施例を説明する。図13は、本発明の第7の実施例の構成を示す図であり、増幅加速回路10の別の変形例を示す図である。図13に示した回路構成は、図16の関連技術の制御回路90と同じ構成を用いることもできる。
【0255】
<実施例8>
次に本発明の第8の実施例を説明する。図14は、本発明の第8の実施例の表示装置のデータドライバの構成の要部を示す図である。図14を参照すると、このデータドライバは、参照電圧発生回路804と、デコーダ回路群805と、出力回路群806と、ラッチアドレスセレクタ801と、ラッチ群802と、レベルシフタ群803と、を含んで構成される。出力回路群806は、図1、図3、図6〜図11、図19、図20を参照して説明した各実施形態、実施例の出力回路を用いることができる。出力数に対応して、出力回路を複数個備えている。
【0256】
ラッチアドレスセレクタ801は、クロック信号CLKに基づき、データラッチのタイミングを決定する。ラッチ群802は、ラッチアドレスセレクタ801で決定されたタイミングに基づいて、映像デジタルデータをラッチし、STB信号(ストローブ信号)に応じて、ほぼ一斉に、レベルシフタ群803を介してデコーダ回路群805にデジタルデータ信号を出力する。デコーダ回路群805は、各出力毎に、入力されたデジタルデータ信号に応じて、参照電圧発生回路804で生成された参照電圧群から所定個を選択する。出力回路群806は、各出力毎に、デコーダ回路群805の対応するデコーダで選択された所定個の参照電圧を入力し、その電圧に対応する出力電圧を増幅出力する。出力回路群806の出力端子群は表示装置のデータ線に接続される。ラッチアドレスセレクタ801及びラッチ群802はロジック回路で、一般に低電圧(例えば0V〜3.3V)で構成され、対応する電源電圧が供給されている。レベルシフタ群803、デコーダ回路群805及び出力回路群806は、一般に表示素子を駆動するのに必要な高電圧(例えば0V〜18V)で構成され、対応する電源電圧が供給されている。
【0257】
なお、参照電圧発生回路804は、両端に電源が供給された直列形態の複数の抵抗素子による抵抗分割で参照電圧が生成され、複数の抵抗素子の各接続ノードから参照電圧群が出力される構成が一般的に用いられる。またデコーダ回路群805の各出力に対応するデコーダは、デジタルデータ信号の各ビット信号により2つの参照電圧の一方を順次選択していくトーナメント型構成やそれに類する構成等がよく用いられる。
【0258】
このため、出力回路群806の各出力回路へ電圧を供給する参照電圧発生回路804及び各出力に対応するデコーダのインピーダンスは比較的高く、出力回路群806の各出力回路は、データ線を高速駆動するため、入力容量の十分小さい構成が必要とされている。
【0259】
図1、図3、図6〜図11、図19、図20を参照して説明した各実施形態、実施例の出力回路は、入力容量が十分小さい構成とされており、出力回路群806の各出力回路として好適な構成とされている。
【0260】
本実施例によれば、低消費電力で高速駆動が可能なデータドライバ、表示装置を実現可能としている。
【0261】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0262】
1 入力端子
2 出力端子
3 第1出力
4 第2出力
7 差動段の第1出力
8 差動段の第2出力
9 出力スイッチ
10 増幅加速回路
20 容量接続制御回路
30 出力増幅回路
50 差動増幅段
60 連絡段
500 制御信号発生回路
510、511、520、521 スイッチ部
801 ラッチアドレスセレクタ
802 ラッチ
803 レベルシフタ
804 参照電圧発生回路
805 デコーダ
805P 正極デコーダ
805N 負極デコーダ
806 出力増幅回路
940 電源回路
950 表示コントローラー
960 表示パネル
961 走査線
962 データ線
963 表示素子
964 画素スイッチ(薄膜トランジスタ:TFT)
965 液晶容量
966 補助容量
967 対向基板電極
969 表示素子
970 ゲートドライバ
971 液晶容量
972 補助容量
973 画素電極
974 対向基板電極
980 データドライバ
981 薄膜トランジスタ(TFT)
982 有機発光ダイオード
983 補助容量
984 電源端子
985 カソード電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を入力する入力端子と、
信号を出力する出力端子と、
差動増幅段と、
出力増幅段と、
増幅加速回路と、
容量接続制御回路と、
を備え、
前記出力増幅段は、
第1の電源と前記出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2端子と、前記差動増幅段の第1の出力に接続された制御端子とを有する第1導電型の第1のトランジスタと、
第2の電源と前記出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2端子と、前記差動増幅段の第2の出力に接続された制御端子とを有する第2導電型の第2のトランジスタと、
を備え、
前記増幅加速回路は、
第1及び第2のスイッチと、
前記出力端子に接続された第1端子と、前記入力端子に接続された制御端子と、前記差動増幅段の前記第1の出力に前記第1のスイッチを介して接続される第2端子とを有する第2導電型の第3のトランジスタと、
前記出力端子に接続された第1端子と、前記入力端子に接続された制御端子と、前記差動増幅段の前記第2の出力に前記第2のスイッチを介して接続される第2端子とを有する第1導電型の第4のトランジスタと、
を備え、
前記差動増幅段は、
前記入力端子と前記出力端子とそれぞれ接続される第1及び第2の入力を有する第1の差動トランジスタ対と、前記第1の差動トランジスタ対に電流を供給する第1の電流源と、
前記第1の電源に共通に接続された第1端子と、前記第1の差動トランジスタ対の出力対に第1及び第2のノードでそれぞれ接続された第2端子とを有し、制御端子同士が共通接続された第1導電型の第1のトランジスタ対と、
前記第2の電源に共通に接続された第1端子と、第3及び第4のノードにそれぞれ接続された第2端子とを有し、制御端子同士が共通接続された第2導電型の第2のトランジスタ対と、
前記第1のノードに接続された第1端子と、前記差動増幅段の前記第1の出力に接続された第2端子と、第1のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第1導電型の第5のトランジスタと、
前記第3のノードに接続された第1端子と、前記差動増幅段の前記第2の出力に接続された第2端子と、第2のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第2導電型の第6のトランジスタと、
前記第2及び第4のノードとの間に接続された第1の連絡回路と、
前記差動増幅段の前記第1及び第2の出力との間に接続された第2の連絡回路と、
を備え、
前記容量接続制御回路は、
第1端子が前記出力端子に接続された第1の容量素子と、
前記第1の容量素子の第2端子と第1の電圧供給端子との間に接続された第3のスイッチと、
前記第1の容量素子の前記第2端子と、前記第1のノード及び前記第3のノードのうちの一方のノードとの間に接続された第4のスイッチと、
を備えた、ことを特徴とする出力回路。
【請求項2】
前記差動増幅段は、前記入力端子と前記出力端子とにそれぞれ接続される第1、第2の入力を有する第2の差動トランジスタ対と、前記第2の差動トランジスタ対に電流を供給する第2の電流源と、をさらに備え、
前記第1の差動トランジスタ対は第2導電型、前記第2の差動トランジスタ対は第1導電型とされ、
前記容量接続制御回路は、
第1端子が前記出力端子に接続された第2の容量素子と、
前記第2の容量素子の第2端子と第2の電圧供給端子との間に接続された第5のスイッチと、
前記第2の容量素子の前記第2端子と、前記第1のノード及び前記第3のノードのうち前記一方のノードとは異なる他方のノードとの間に接続された第6のスイッチと、
をさらに備えた、ことを特徴とする請求項1に記載の出力回路。
【請求項3】
前記第1の連絡回路は、
前記第2のノードに接続された第1端子と、前記第1のトランジスタ対の制御端子に接続された第2端子と、前記第5のトランジスタの制御端子に接続された制御端子とを有する第1導電型の第7のトランジスタと、
前記第4のノードに接続された第1端子と、前記第2のトランジスタ対の制御端子に接続された第2端子と、前記第6のトランジスタの制御端子に接続された制御端子とを有する第2導電型の第8のトランジスタと、
前記第7のトランジスタの第2端子と前記第8のトランジスタの第2端子間に接続された第3の電流源と、
を備え、
前記第2の連絡回路は、
前記差動増幅段の前記第1の出力及び前記第2の出力にそれぞれ接続された第1端子及び第2端子と、第3のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第1導電型の第9のトランジスタと、
前記差動増幅段の前記第1の出力及び前記第2の出力にそれぞれ接続された第2端子と第1端子と、第4のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第2導電型の第10のトランジスタと、
を備えている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力回路。
【請求項4】
前記第1の連絡回路は、
前記第2のノードと前記第4のノード間に接続された第3の電流源を備え、
前記第2の連絡回路は、
前記差動増幅段の前記第1及び前記第2の出力にそれぞれ接続された第1端子及び第2端子と、第3のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第9のトランジスタと、
前記差動増幅段の前記第1の出力及び前記第2の出力にそれぞれ接続された第2端子及び第1端子と、第4のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第10のトランジスタと、
を備えている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の出力回路。
【請求項5】
前記容量接続制御回路において、
前記入力信号に応じた出力信号を前記出力端子から出力する出力期間開始後の予め定められた第1の期間に、
前記第3のスイッチをオン、前記第4のスイッチをオフとして、前記第1の容量素子の前記第2端子を前記第1の電圧供給端子に接続し、
前記出力期間内の前記第1の期間以後、
前記第3のスイッチをオフ、前記第4のスイッチをオンとして、前記第1の容量素子の前記第2端子を、前記第1のノード及び前記第3のノードのうちの前記一方のノードに接続する、ことを特徴とする請求項1に記載の出力回路。
【請求項6】
前記容量接続制御回路において、
前記入力信号に応じた出力信号を前記出力端子より出力する出力期間開始後の第1の期間に、
前記第5のスイッチをオン、前記第6のスイッチをオフとして、前記第2の容量素子の前記第2端子を前記第2の電圧供給端子に接続し、
前記出力期間内の前記第1の期間以後は、
前記第5のスイッチをオフ、前記第6のスイッチをオンとして、前記第2の容量素子の前記第2端子を、前記第1のノード及び前記第3のノードのうちの前記他方のノードに接続する、ことを特徴とする請求項2に記載の出力回路。
【請求項7】
前記容量接続制御回路において、
前記第1のノード及び前記第3のノードのうちの前記一方のノードが、前記第1のノードとされ、前記第1の容量素子の前記第2端子が、前記第4のスイッチを介して前記第1のノードに接続されており、
前記第1のノード及び前記第3のノードのうちの前記他方のノードが前記第3のノードとされ、前記第2の容量素子の前記第2端子が、前記第6のスイッチを介して前記第3のノードに接続されており、
前記入力信号に応じた出力信号を前記出力端子から出力する出力期間開始後の予め定められた第1の期間に、
前記第3及び第5のスイッチをオン、前記第4及び第6のスイッチをオフとして、前記第1及び第2の容量素子の前記第2端子を、前記第1及び第2の電圧供給端子にそれぞれ接続し、
前記出力期間内の前記第1の期間以後、
前記第3及び第5のスイッチをオフ、前記第4及び第6のスイッチをオンとして、前記第1及び第2の容量素子の前記第2端子を、前記差動増幅段の前記第1及び第3のノードにそれぞれ接続する、ことを特徴とする請求項2に記載の出力回路。
【請求項8】
前記出力端子に一端が接続され、他端が負荷に接続される出力スイッチを更に備え、
前記出力スイッチは、前記出力期間内の前記第1の期間を含む第2の期間にオフとされ、
前記出力期間内の前記第2の期間以後はオンとされる、ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項9】
前記増幅加速回路において、
前記出力期間内の前記第1の期間に、
前記第1及び第2のスイッチをオンし、前記第3のトランジスタを前記第1のトランジスタの制御端子と前記出力端子間で導通させ、且つ、前記第4のトランジスタを前記第2のトランジスタの制御端子と前記出力端子間で導通させ、
前記出力期間内の前記第1の期間以後は、
前記第1及び第2のスイッチをオフとし、前記第3のトランジスタを、前記第1のトランジスタの制御端子と前記出力端子間で非導通とし、且つ、前記第4のトランジスタを前記第2のトランジスタの制御端子と前記出力端子間で非導通とする、ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項10】
前記出力増幅段は、
前記第1の電源と前記出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2端子を有する第1導電型の第11のトランジスタと、
前記第2の電源と前記出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2端子を有する第2導電型の第12のトランジスタと、
前記第11のトランジスタの制御端子と前記第1の電源間に接続された第7のスイッチと、
前記第11のトランジスタの制御端子と前記差動増幅段の前記第1の出力間に接続された第8のスイッチと、
前記第12のトランジスタの制御端子と前記第2の電源間に接続された第9のスイッチと、
前記第12のトランジスタの制御端子と前記差動増幅段の前記第1の出力間に接続された第10のスイッチと、
を備えている、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の出力回路。
【請求項11】
前記入力信号に応じた出力信号を前記出力端子から出力する出力期間開始後の予め定められた第1の期間に、
前記第7、第9のスイッチをオン、前記第8、第10のスイッチをオフとし、
前記出力期間内の前記第1の期間以後、
前記第7、第9のスイッチをオフ、前記第8、第10のスイッチをオンとすることを特徴とする請求項10に記載の出力回路。
【請求項12】
前記出力増幅段は、
前記第1の電源と前記出力スイッチの前記他端にそれぞれ接続された第1及び第2端子と、前記出力スイッチの一端と前記出力端子の接続点に接続された制御端子を有する第1導電型の第11のトランジスタと、
前記第2の電源と前記出力スイッチの前記他端にそれぞれ接続された第1及び第2端子と、前記出力スイッチの一端と前記出力端子の接続点に接続された制御端子を有する第2導電型の第12のトランジスタと、
を備えた、ことを特徴とする請求項8に記載の出力回路。
【請求項13】
第2の入力端子を有し、
前記差動増幅段は、
前記第2の入力端子と前記出力端子にそれぞれ第1、第2の入力が接続された第2導電型の第3の差動トランジスタ対と、前記第3の差動トランジスタ対に電流を供給する第4の電流源とを有し、前記第3の差動トランジスタ対の出力対は、前記第1の差動トランジスタ対の出力対と前記第1及び第2のノードで接続され、
前記第2の入力端子と前記出力端子にそれぞれ第1、第2の入力が接続された第1導電型の第4の差動トランジスタ対と、前記第4の差動トランジスタ対に電流を供給する第5の電流源とを有し、前記第4の差動トランジスタ対の出力対は前記第2の差動トランジスタ対の出力対と前記第3及び第4のノードで接続される、ことを特徴とする請求項2に記載の出力回路。
【請求項14】
信号を入力する入力端子と、
信号を出力する出力端子と、
差動増幅段と、
出力増幅段と、
増幅加速回路と、
容量接続制御回路と、
を備え、
前記出力増幅段は、
第1の電源と前記出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2端子と、前記差動増幅段の第1の出力に接続された制御端子とを有する第1導電型の第1のトランジスタと、
第2の電源と前記出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2端子と、前記差動増幅段の第2の出力に接続された制御端子とを有する第2導電型の第2のトランジスタと、
を備え、
前記増幅加速回路は、
第1及び第2のスイッチと、
前記出力端子と前記差動増幅段の前記第1の出力とにそれぞれ接続された第1及び第2端子を有する第2導電型の第3のトランジスタと、
前記出力端子と前記差動増幅段の前記第2の出力とにそれぞれ接続された第1及び第2端子を有する第1導電型の第4のトランジスタと、
前記第3及び第4のトランジスタの制御端子の共通接続点と前記出力端子との間に接続された第1のスイッチと、
前記第3及び第4のトランジスタの制御端子の共通接続点と前記入力端子との間に接続された第2のスイッチと、
を備え、
前記差動増幅段は、
前記入力端子と前記出力端子とそれぞれ接続される第1及び第2の入力を有する第1の差動トランジスタ対と、前記第1の差動トランジスタ対に電流を供給する第1の電流源と、
前記第1の電源に共通に接続された第1端子と、前記第1の差動トランジスタ対の出力対に第1及び第2のノードでそれぞれ接続された第2端子とを有し、制御端子同士が共通接続された第1導電型の第1のトランジスタ対と、
前記第2の電源に共通に接続された第1端子と、第3及び第4のノードにそれぞれ接続された第2端子とを有し、制御端子同士が共通接続された第2導電型の第2のトランジスタ対と、
前記第1のノードに接続された第1端子と、前記差動増幅段の前記第1の出力に接続された第2端子と、第1のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第1導電型の第5のトランジスタと、
前記第3のノードに接続された第1端子と、前記差動増幅段の前記第2の出力に接続された第2端子と、第2のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第2導電型の第6のトランジスタと、
前記第2及び第4のノードとの間に接続された第1の連絡回路と、
前記差動増幅段の前記第1及び第2の出力との間に接続された第2の連絡回路と、
を備え、
前記容量接続制御回路は、
第1端子が前記出力端子に接続された第1の容量素子と、
前記第1の容量素子の第2端子と第1の電圧供給端子との間に接続された第3のスイッチと、
前記第1の容量素子の前記第2端子と、前記第1及び第3のノードのうちの一方のノードとの間に接続された第4のスイッチと、
を備えた、ことを特徴とする出力回路。
【請求項15】
信号を入力する入力端子と、
信号を出力する出力端子と、
差動増幅段と、
出力増幅段と、
増幅加速回路と、
容量接続制御回路と、
を備え、
前記出力増幅段は、
第1の電源と前記出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2端子と、前記差動増幅段の第1の出力に接続された制御端子を有する第1導電型の第1のトランジスタと、
第2の電源と前記出力端子にそれぞれ接続された第1及び第2端子と、前記差動増幅段の第2の出力に接続された制御端子を有する第2導電型の第2のトランジスタと、
を備え、
前記増幅加速回路は、
前記第1の電源に一端が接続された第1の電流源と、
前記出力端子と前記第1の電流源の他端とにそれぞれ接続された第1及び第2端子を有し、制御端子が前記入力端子に接続された第2導電型の第3のトランジスタと、
前記第2の電源に一端が接続された第2の電流源と、
前記出力端子と前記第2の電流源の他端とにそれぞれ接続された第1及び第2端子を有し、制御端子が前記入力端子に接続された第1導電型の第4のトランジスタと、
前記出力端子と前記差動増幅段の前記第1の出力にそれぞれ接続された第1及び第2端子を有し、制御端子が前記第3のトランジスタと前記第1の電流源の前記他端との接続点に接続された第1導電型の第5のトランジスタと、
前記出力端子と前記差動増幅段の前記第2の出力にそれぞれ接続された第1及び第2端子を有し、制御端子が前記第3のトランジスタと前記第2の電流源の前記他端との接続点に接続された第2導電型の第6のトランジスタと、
を備え、
前記差動増幅段は、
前記入力端子と前記出力端子とそれぞれ接続される第1及び第2の入力を有する第1の差動トランジスタ対と、前記第1の差動トランジスタ対に電流を供給する第1の電流源と、
前記第1の電源に共通に接続された第1端子と、前記第1の差動トランジスタ対の出力対に第1及び第2のノードでそれぞれ接続された第2端子とを有し、制御端子同士が共通接続された第1導電型の第1のトランジスタ対と、
前記第2の電源に共通に接続された第1端子と、第3及び第4のノードにそれぞれ接続された第2端子とを有し、制御端子同士が共通接続された第2導電型の第2のトランジスタ対と、
前記第1のノードに接続された第1端子と、前記差動増幅段の前記第1の出力に接続された第2端子と、第1のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第1導電型の第7のトランジスタと、
前記第3のノードに接続された第1端子と、前記差動増幅段の前記第2の出力に接続された第2端子と、第2のバイアス電圧を受ける制御端子とを有する第2導電型の第8のトランジスタと、
前記第2及び第4のノードとの間に接続された第1の連絡回路と、
前記差動増幅段の前記第1及び第2の出力との間に接続された第2の連絡回路と、
を備え、
前記容量接続制御回路は、
第1端子が前記出力端子に接続された第1の容量素子と、
前記第1の容量素子の第2端子と第1の電圧供給端子との間に接続された第3のスイッチと、
前記第1の容量素子の第2端子と前記第1及び第3のノードのうちの一方のノードとの間に接続された第4のスイッチと、
を備えた、ことを特徴とする出力回路。
【請求項16】
複数の参照電圧の中から映像デジタル信号に基づき1つを選択するデコーダと、前記デコーダの出力を入力端子に受け表示素子が接続するデータ線を駆動する出力回路を備えたデータドライバであって、前記出力回路が請求項1乃至15のいずれか1項に記載の出力回路からなるデータドライバ。
【請求項17】
請求項16に記載のデータドライバを備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−171975(P2011−171975A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33497(P2010−33497)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】