説明

出発地から目的地への経路情報に沿って移動しているか否かを報知する携帯端末装置および方法

【課題】基地局やGPS衛星等から携帯端末の現在位置情報が受信できない場合でも、目的地までのルートが正しいか否かを確認できる装置および方法を提供すること。
【解決手段】携帯端末30は、交通手段および施設の情報を発信する設備から近距離通信により該交通手段および施設の情報を取得する施設情報取得部313と、ユーザの出発地から目的地までの経路情報と交通手段および施設の情報とをテキストマッチングすることにより、該経路情報に沿って該ユーザが移動しているかを判定する経路一致判定部314と、経路一致判定部314により判定された結果をユーザに報知する出音部35と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置に関する。特に、出発地から目的地への経路情報に沿って移動しているか否かを報知する携帯端末装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、携帯端末等でユーザを目的地に案内する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法を実現した携帯端末では、地図データを記憶する地図データ記憶部と、基地局やGPS(Global Positioning System)衛星から、この携帯端末の現在位置情報を受信して現在地を割り出す現在地検出部と、現在地検出部により割り出した現在地および地図データ記憶部が記憶する地図データに基づいて目的地までのルートを探索し、当該ルートをユーザに案内するナビゲーション処理部を備える。
【0003】
以上の方法を実現した携帯端末によれば、ナビゲーション処理部により目的地までのルートについてユーザに案内するので、ユーザは、案内を参照して目的地までの道のりを把握し、目的地に向かって移動できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−121153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザは、案内を受けて移動した際に、移動経路が携帯端末により案内された内容と一致しているか否かについて確認したい場合がある。そして、ユーザがこの確認を行うためには、基地局やGPS衛星から、携帯端末の現在位置情報を受信して現在地を割り出す必要がある。
しかしながら、基地局やGPS衛星から、携帯端末の現在位置情報を受信できない場合には、案内された内容と途中経路とが一致しているか否かを確認できない。よって、ユーザが間違えて移動した場合に、ユーザがこの間違いを認識できないおそれがある。
【0006】
本発明は、基地局やGPS衛星等から携帯端末の現在位置情報が受信できない場合でも、目的地までのルートが正しいか否かを確認できる装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
(1) 交通手段および施設の情報を発信する設備から近距離通信により該交通手段および施設の情報を取得する施設情報取得手段と、ユーザの出発地から目的地までの経路情報と前記交通手段および施設の情報とをテキストマッチングすることにより、該経路情報に沿って該ユーザが移動しているかを判定する経路一致判定手段と、前記経路一致判定手段により判定された結果を前記ユーザに報知する報知手段と、を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【0009】
(1)記載の携帯端末装置によれば、経路一致判定手段により、交通手段および施設の情報が経路情報に含まれているか否かを判定し、報知手段により、判定結果をユーザに報知する。
【0010】
このようにすることで、(1)記載の携帯端末装置は、基地局やGPS衛星等から携帯端末装置の現在位置情報が受信できない場合でも、設備から受信した交通手段および施設の情報に基づいて、経路情報に沿ってユーザが移動しているか否かを確認できる。よって、基地局やGPS衛星等から携帯端末装置の現在位置情報が受信できない場合でも、目的地までのルートが正しいか否かを確認できる。
【0011】
(2) 前記ユーザより前記出発地および前記目的地の入力を受け付ける入力受付手段と、前記出発地および前記目的地が入力されたことに応じて、前記経路情報を決定するナビゲーションサーバより該出発地から該目的地までの経路情報を取得する経路情報取得手段と、取得した前記経路情報を記憶する経路情報記憶手段と、を更に備えることを特徴とする(1)に記載の携帯端末装置。
【0012】
(2)記載の携帯端末装置によれば、入力受付手段によりユーザより出発地および目的地の入力を受け付け、経路情報取得手段により、出発地および目的地が入力されたことに応じて、ナビゲーションサーバより出発地から目的地までの経路情報を取得し、経路情報記憶手段により、ナビゲーションサーバより取得した経路情報を記憶する。
【0013】
このようにすることで、ユーザより受け付けた出発地および目的地から得られた経路情報と、設備から受信した交通手段および施設の情報に基づいて、経路情報に沿ってユーザが移動しているか否かを確認できる。
【0014】
(3) 前記経路情報は、前記交通手段および施設の情報として、電車・バスの行先情報、前記目的地までの該電車の停車駅の情報、および前記目的地までの該バスの停留所の情報、ならびに前記目的地までに所在する施設の名称、住所、および所在する地点の名称のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の携帯端末装置。
【0015】
(3)記載の携帯端末装置によれば、経路情報に交通手段および施設の情報として、電車・バスの行先情報、目的地までの該電車の停車駅の情報、および目的地までの該バスの停留所の情報、ならびに目的地までに所在する施設の名称、住所、および所在する地点の名称のうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0016】
(4) 前記報知手段は、出音することにより前記判定された結果を前記ユーザに報知することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の携帯端末装置。
【0017】
(4)記載の携帯端末装置によれば、出音することにより判定結果をユーザに報知することができるので、携帯端末装置の表示画面を都度確認する必要がなく、ユーザが表示画面を確認できない状況でも経路情報に沿って移動しているか否かを確認できる。
【0018】
(5) 出発地から目的地への経路情報に沿って移動しているか否かを報知する方法であって、交通手段および施設の情報を発信する設備から近距離通信により該交通手段および施設の情報を取得するステップと、ユーザの出発地から目的地までの経路情報と前記交通手段および施設の情報とをテキストマッチングすることにより、該経路情報に沿って該ユーザが移動しているかを判定するステップと、前記判定するステップにより判定された結果を前記ユーザに報知するステップと、を備えることを特徴とする方法。
【0019】
このような方法によれば、当該方法を実施することにより、(1)と同様の効果が期待できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基地局やGPS衛星等から携帯端末の現在位置情報が受信できない場合でも、目的地までのルートが正しいか否かを確認できる装置および方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係るナビゲーションシステム1の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る経路情報DB321を示す図である。
【図3】本実施形態に係るナビゲーションサーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る携帯端末30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係る携帯端末30が出発地および目的地の入力を受け付けて経路情報を取得するときの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る携帯端末30において交通手段および施設の情報が経路情報に含まれるか否かを判定するときの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る携帯端末30の表示部33に出発地および目的地の入力を受け付ける画像が表示されたときの一例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る携帯端末30の表示部33に経路情報が表示されたときの一例を示す図である。
【図9】本実施形態に係る携帯端末30の表示部33に報知用画像が表示されたときの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係るナビゲーションシステム1の全体構成を示す図である。
【0024】
ナビゲーションシステム1は、ナビゲーションサーバ10と、案内設備20と、ナビゲーションサーバ10とネットワークN1を介して通信可能であり、かつ、案内設備20とネットワークN2を介して通信可能である携帯端末30と、を備える。
【0025】
ネットワークN1は、携帯端末30の基地局を介して行われる通信ネットワークである。携帯端末30は、所定の通信規格に基づいてネットワークN1を介した通信を行う。ネットワークN2は、携帯端末30の基地局を介して行われない通信ネットワークである。ネットワークN2は、例えば、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)といった無線の近距離通信により実現される。
【0026】
ナビゲーションサーバ10は、出発地から目的地までの経路情報を決定する。ナビゲーションサーバ10は、サーバ側制御部11と、サーバ側記憶部12と、を備える。
【0027】
サーバ側記憶部12は、ナビゲーションサーバ10として機能させるための各種プログラム(図示省略)、本発明の機能を実行するプログラム(図示省略)、位置DB121を記憶する。位置DB121は、図示を省略するが、経路情報を決定する際に用いられる各地点の位置情報や、各地点同士の所要移動時間といった情報を記憶する。
【0028】
サーバ側制御部11は、ナビゲーションサーバ10に係る各機能を統括的に制御する部分であり、本発明に係る各機能として、地点情報受付部111と、経路情報決定部112と、を備える。
【0029】
地点情報受付部111は、携帯端末30より、出発地の情報および目的地の情報を受け付ける。具体的には、地点情報受付部111は、携帯端末30より、出発地の情報および目的地の情報を受信することにより、出発地の情報および目的地の情報を受け付ける。地点情報受付部111は、出発地の情報および目的地の情報を受け付けたことに応じて、出発地の情報および目的地の情報を経路情報決定部112に入力する。
【0030】
経路情報決定部112は、地点情報受付部111から出発地の情報および目的地の情報が入力されたことに応じて、位置DB121を参照して出発地から目的地までの経路情報を決定する。そして、決定した経路情報を携帯端末30に送信する。経路情報は、例えば、Aやダイクストラ法といった経路探索アルゴリズムに基づいて決定される。また、経路情報決定部112は、1または複数の経路情報を決定する。
【0031】
案内設備20は、例えば、駅構内や、地下鉄出入口や、鉄道車両内部といった公共設備や公共施設である。複数の案内設備20のそれぞれは、携帯端末30と、ネットワークN2を介して、無線による近距離通信が可能である。複数の案内設備20のそれぞれは、携帯端末30が受信可能な交通手段および施設の情報を発信する。この交通手段および施設の情報は、当該案内設備20の地点名や地点名の詳細情報といった施設に関する情報、電車・バスの行先情報、目的地までの電車の停車駅の情報、および目的地までのバスの停留所の情報、ならびに目的地までに所在する施設の名称、住所、および所在する地点の名称を含む。この交通手段および施設の情報は、近距離通信により発信されるので、当該案内設備20から所定の範囲内に位置する携帯端末30が取得可能である。これらの情報を取得した携帯端末30は、GPSといった位置取得サービスを利用することなく、案内設備20の設置位置に所在することを保証される。
【0032】
携帯端末30は、例えば、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)といったユーザが携帯可能な機器により構成される。携帯端末30は、端末側制御部31と、端末側記憶部32と、表示部33と、操作部34と、報知手段としての出音部35と、を備える。
【0033】
表示部33は、携帯端末30の機能に関する情報や、出発地および目的地の入力を受け付ける入力受付情報や、出発地から目的地までの経路情報等を表示する。操作部34は、携帯端末30を操作するユーザからの直接的な入力を受け付ける。出音部35は、経路情報に沿って移動していない場合に警告音等を出音する。
【0034】
端末側記憶部32は、携帯端末30として機能させるための各種プログラム(図示省略)、本発明の機能を実行するプログラム(図示省略)、および経路情報記憶手段としての経路情報DB321を記憶する。
【0035】
図2は、本実施形態に係る経路情報DB321を示す図である。経路情報DB321は、ユーザが指定した出発地から目的地までの経路情報であって交通手段および施設の情報を含む情報を、ナビゲーションサーバ10より取得したものを記憶する。経路情報DB321は、出発地から目的地までの経路情報の種別を記憶する「経路情報種別」フィールドと、経路情報における途中経路の順番を示す「途中経路SEQ(シーケンス)」フィールドと、途中経路における地点名を示す「地点名」フィールドと、当該途中経路における経路の詳細内容を示す「詳細内容」フィールドと、を含んでいる。
【0036】
図1に戻り、端末側制御部31は、携帯端末30に係る各機能を統括的に制御する部分であり、本発明に係る各機能として、入力受付手段としての入力受付部311、経路情報取得手段としての経路情報取得部312、施設情報取得手段としての施設情報取得部313、経路一致判定手段としての経路一致判定部314、および出音制御部315を備える。
【0037】
入力受付部311は、ユーザより出発地および目的地の入力を受け付ける。具体的には、入力受付部311は、表示部33に出発地および目的地の入力を受け付ける入力受付情報を表示させて、操作部34によりユーザからの入力を受け付ける。出発地および目的地が入力されると、入力受付部311は、出発地および目的地の情報を経路情報取得部312に入力する。出発地および目的地の情報とは、ユーザより入力された出発地および目的地の文字情報である。
【0038】
経路情報取得部312は、地点情報としての出発地および目的地が入力されたことに応じて、ネットワークN1を介してナビゲーションサーバ10に出発地の情報および目的地の情報を送信し、経路情報を取得する。経路情報取得部312は、経路情報を取得すると、当該経路情報を経路情報DB321に記憶させる。さらに、経路情報取得部312は、経路情報DB321に記憶させた経路情報を表示部33に表示させる。
【0039】
施設情報取得部313は、複数の案内設備20のそれぞれから、ネットワークN2を利用した近距離通信により、交通手段および施設の情報を取得する。
【0040】
経路一致判定部314は、施設情報取得部313が取得した交通手段および施設の情報と経路情報とをテキストマッチングすることにより、経路情報に沿ってユーザが移動しているかを判定する。すなわち、経路一致判定部314は、施設情報取得部313が取得した交通手段および施設の情報が経路情報に含まれるか否かを判定する。経路一致判定部314は、交通手段および施設の情報が経路情報に含まれると判定した場合には、出音制御部315に判定結果に係る情報を入力せず、交通手段および施設の情報が経路情報に含まれないと判定した場合には、出音制御部315に判定結果に係る情報を入力する。
【0041】
出音制御部315は、出音部35による警告音の出音を制御する。具体的には、経路一致判定部314により、交通手段および施設の情報が経路情報に含まれないと判定した場合に、出音制御部315に、判定結果情報が入力される。出音制御部315は、この判定結果情報を入力されたことに応じて、出音部35に警告音を出音させる。
【0042】
[ナビゲーションサーバのハードウェア構成]
図3は、本実施形態に係るナビゲーションサーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。本発明が実施されるナビゲーションサーバ10は標準的なものでよく、以下に構成の一例を示す。
【0043】
ナビゲーションサーバ10は、サーバ側制御部110を構成するCPU(Central Processing Unit)1010(マルチプロセッサ構成ではCPU1012等複数のCPUが追加されてもよい)、バスライン1005、通信I/F(I/F:インターフェイス)1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、表示装置1022、I/Oコントローラ1070、キーボードおよびマウス等の入力装置1100、ハードディスク1074、光ディスクドライブ1076、ならびに半導体メモリ1078を備える。なお、ハードディスク1074、光ディスクドライブ1076、および半導体メモリ1078をまとめてサーバ側記憶部120と呼ぶ。
【0044】
CPU1010(CPU1012)は、ナビゲーションサーバ10に係る各種機能を統括的に制御する部分であり、ハードディスク1074に記憶された各種プログラムまたはメインメモリ1050に一時的に記憶されたデータを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0045】
通信I/F1040は、ナビゲーションサーバ10が、ネットワークN1を介して携帯端末30等と情報を送受信する場合のネットワーク・アダプタである。通信I/F1040は、モデム、ケーブル・モデムおよびイーサネット(登録商標)・アダプタを含んでよい。
【0046】
メインメモリ1050は、CPU1010により各種プログラムを実行する際に生成されるデータを一時的に記憶する。BIOS1060は、ナビゲーションサーバ10の起動時にCPU1010が実行するブートプログラムや、ナビゲーションサーバ10のハードウェアに依存するプログラム等を記録する。
【0047】
表示装置1022は、CRT(Cathode Ray Tube)や、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ装置を含む。
【0048】
I/Oコントローラ1070には、ハードディスク1074、光ディスクドライブ1076、および半導体メモリ1078等の記憶装置であるサーバ側記憶部120を接続することができる。
【0049】
入力装置1100は、ナビゲーションサーバ10の管理者による入力の受け付けを行うものである。
【0050】
ハードディスク1074は、本ハードウェアをナビゲーションサーバ10として機能させるための各種プログラム、本発明の機能を実行するプログラムおよび上述の位置DB121等を記憶する。なお、ナビゲーションサーバ10は、外部に別途設けたハードディスク(図示せず)を外部記憶装置として利用することもできる。
【0051】
光ディスクドライブ1076としては、例えば、DVD−ROMドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−RAMドライブ、ブルーレイディスク(Blu−ray Disc:登録商標)ドライブを使用することができる。光ディスクドライブ1076を使用する場合には、光ディスクドライブ1076に対応した光ディスク1077を使用する。すなわち、光ディスクドライブ1076により、光ディスク1077に記憶されているプログラムまたはデータを読み取り、I/Oコントローラ1070を介してメインメモリ1050またはハードディスク1074に提供することもできる。
【0052】
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御部等を備えた情報処理装置をいい、ナビゲーションサーバ10は、上述のように、サーバ側制御部110、サーバ側記憶部120等を備えた情報処理装置により構成され、この情報処理装置は、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
【0053】
また、ナビゲーションサーバ10は、ハードウェアの数に制限はなく、必要に応じて1または複数のハードウェアで構成してよい。また、複数のハードウェアで構成する場合には、ネットワークN1を介して各ハードウェアを接続してもよい。例えば、各機能ごとに別サーバ(装置)とし、各サーバ間での信号の送受信により、各サーバを連携させることで、本実施形態の機能を実現してもよい。
【0054】
[携帯端末のハードウェア構成]
図4は、本実施形態に係る携帯端末30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0055】
図4に示すように、携帯端末30は、CPU3010、通信I/F3040、メインメモリ3050、補助メモリ3055、表示部33、操作部34、および出音部35がバスライン3005により接続されて構成されている。
【0056】
CPU3010は、携帯端末30を統括的に制御する部分であり、補助メモリ3055に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0057】
メインメモリ3050は、CPU3010により各種プログラムを実行する際に生成されるデータを一時的に記憶する。
【0058】
補助メモリ3055は、フラッシュメモリ等により構成され、携帯端末30が機能するための各種プログラムおよび本発明の機能を実行するプログラムを記憶しており、さらに、経路情報DB321等の各種データベースを構成可能である。
【0059】
表示部33は、LCDや有機EL(Electro Luminescence)によって構成される。操作部34は、各種設定や入力操作を行う操作ボタン群、決定操作ボタン等により構成される。出音部35は、例えば、スピーカ等により構成される。
【0060】
通信I/F3040は、携帯端末30をネットワークN1を介してナビゲーションサーバ10に接続可能、かつ、ネットワークN2を介して案内設備20に接続可能にするためのネットワーク・アダプタである。例えば、携帯端末30は、通信I/F3040を介して、ナビゲーションサーバ10から経路情報を受信したり、案内設備20から交通手段および施設の情報を受信したりすることができる。
【0061】
[処理フロー]
図5は、本実施形態に係る携帯端末30が出発地および目的地の入力を受け付けて経路情報を取得するときの処理の流れを示すフローチャートである。
【0062】
ステップS1では、端末側制御部31(入力受付部311)は、表示部33に出発地および目的地の入力を受け付ける入力受付情報を表示させて、操作部34によりユーザからの入力を受け付ける。
ステップS2では、端末側制御部31(経路情報取得部312)は、地点情報、すなわち、ユーザより受け付けられた出発地の情報および目的地の情報をナビゲーションサーバ10に送信する。
【0063】
ステップS3では、サーバ側制御部11(地点情報受付部111)は、携帯端末30より地点情報を受信する。
ステップS4では、サーバ側制御部11(地点情報受付部111)は、ステップS3にて受信した地点情報を受け付ける。
【0064】
ステップS5では、サーバ側制御部11(経路情報決定部112)は、位置DB121を参照して、ステップS4にて受け付けた地点情報、すなわち、出発地から目的地までの経路情報を決定する。
ステップS6では、サーバ側制御部11(経路情報決定部112)は、ステップS5にて決定した経路情報を携帯端末30に送信する。
【0065】
ステップS7では、端末側制御部31(経路情報取得部312)は、ナビゲーションサーバ10より経路情報を受信する。
ステップS8では、端末側制御部31(経路情報取得部312)は、ステップS7にて受信した経路情報を経路情報DB231に記憶させる。
ステップS9では、端末側制御部31(経路情報取得部312)は、ステップS8にて経路情報DB231に記憶した経路情報を表示部33に表示させる。
【0066】
図6は、本実施形態に係る携帯端末30において交通手段および施設の情報が経路情報に含まれるか否かを判定するときの処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
ステップS11では、案内設備20は、携帯端末30に交通手段および施設の情報を発信する。
ステップS12では、端末側制御部31(施設情報取得部313)は、案内設備20より交通手段および施設の情報を受信する。
【0068】
ステップS13では、端末側制御部31(経路一致判定部314)は、交通手段および施設の情報が経路情報DB231に記憶されている経路情報に含まれているか否かを判定する。具体的には、端末側制御部31(経路一致判定部314)は、交通手段および施設の情報が経路情報DB321の、「地点名」フィールドまたは「詳細内容」フィールドに含まれているか否かを判定する。この判定結果がYESの場合には、端末側制御部31(経路一致判定部314)は、処理を終了し、NOの場合には、出音制御部315に判定結果に係る情報を入力して、ステップS14に移る。
ステップS14では、端末側制御部31(出音制御部315)は、出音部35に警告音を出音させる。
【0069】
続いて、ユーザが携帯端末30で、出発地と目的地との入力を受け付けてから警報音を出力するまでの流れについて、図2、図7、および図8を参照しながら説明する。
図7は、本実施形態に係る携帯端末30の表示部33に出発地および目的地の入力を受け付ける画像が表示されたときの一例を示す図である。
【0070】
図7に示されるように、表示部33には、入力受付情報としての出発地入力欄331、目的地入力欄332、OKボタン333が表示されている。
ユーザが表示部33に表示された出発地入力欄331に出発地として「東京」を入力し、目的地入力欄に目的地として「六本木」を入力し、OKボタン333を押下すると、経路情報取得部312は、ナビゲーションサーバ10より2つの経路情報を取得する。そして、経路情報取得部312は、取得した2つの経路情報を経路情報DB321に記憶させる。ここでは、図2に示されるように、経路情報DB321に、経路種別「1」の経路と、経路種別「2」の情報が記憶される。
【0071】
図8は、本実施形態に係る携帯端末30の表示部33に経路情報が表示されたときの一例を示す図である。
【0072】
図8に示されるように、表示部33には、「東京」を出発地とし、「六本木」を目的地とした場合の経路情報として、乗換駅が示されている。なお、図8には、乗換駅の情報のみ示されているが、携帯端末30の経路情報DB321には、図2に示されるように、目的地に到着するまでに通過する全ての地点名(駅名)が記憶されている。
【0073】
ユーザが、例えば、「東京」から移動を開始して、「銀座」に移動したとすると、携帯端末30は、「銀座」に設定されている案内設備20より、「銀座」のテキスト情報を含む交通手段および施設の情報を取得する。そうすると、経路一致判定部314は、「銀座」というテキスト情報が経路情報DB321に記憶されていると判定し、出音制御部315に判定結果に係る情報を入力しない。このため、出音部35から警報音は出音されない。
【0074】
また、ユーザが、その後、「新橋」に移動したとすると、携帯端末30は、「新橋」に設定されている案内設備20より、「新橋」のテキスト情報を含む交通手段および施設の情報を取得する。そうすると、経路一致判定部314は、「新橋」というテキスト情報が経路情報DB321に記憶されていないと判定して、出音制御部315に判定結果に係る情報を入力する。出音制御部315は、判定結果情報を入力されたことに応じて、出音部35に警告音を出音させる。
【0075】
以上の発明によれば、以下のような効果がある。
(1)基地局やGPS衛星等から携帯端末30の現在位置情報が受信できない場合でも、案内設備20から受信した交通手段および施設の情報に基づいて、経路情報に沿ってユーザが移動しているか否かを確認できる。よって、基地局やGPS衛星等から携帯端末30の現在位置情報が受信できない場合でも、目的地までのルートが正しいか否かを確認できる。
【0076】
(2)入力受付部311によりユーザから受け付けた出発地および目的地から得られた経路情報と、案内設備20から受信した交通手段および施設の情報に基づいて、経路情報に沿ってユーザが移動しているか否かを確認できる。
【0077】
(3)出音部35より出音することにより判定結果をユーザに報知することができるので、携帯端末30の表示部33を都度確認する必要がなく、ユーザが表示部33を確認できない状況でも経路情報に沿って移動しているか否かを確認できる。
【0078】
なお、上記実施形態では、出音部35が警告音を出音することで、交通手段および施設の情報に経路情報が含まれないことを報知することとしたが、これに限らない。例えば、携帯端末30にバイブレーション機能を設けて、携帯端末30を振動させたり、表示部33に報知用画像を表示させたりして報知することとしてもよい。さらに、交通手段および施設の情報に経路情報が含まれないことを、出音部35による出音、表示部33への表示、および携帯端末30の振動を組み合わせて報知することとしてもよい。
【0079】
図9は、本実施形態に係る携帯端末30の表示部33に報知用画像が表示されたときの一例を示す図である。図9に示されるように、表示部33に報知用画像が表示されるので、ユーザは、表示部33に表示される報知用画像を確認して、経路に沿って移動していないことを確認できる。
【0080】
また、経路一致判定部314は、経路情報に沿ってユーザが移動しているかについて、経路情報に交通手段および施設の情報が含まれるか否かで判定することとしたが、これに限らない。例えば、交通手段、施設の情報、および経路情報に位置情報を含ませて、交通手段および施設の情報に含まれる位置情報が、経路情報に含まれる位置情報の示す位置から所定の範囲内である場合に、経路情報に沿ってユーザが移動していることとしてもよい。
【0081】
具体的には、経路情報DB321に含まれる「地点名」フィールドおよび交通手段および施設の情報に含まれる位置情報に対する経度・緯度を取得する経度緯度情報取得手段を設ける。そして、経路一致判定部314は、交通手段および施設の情報に含まれる位置情報に対応する経度・緯度が、経路情報DB321に含まれる「地点名」フィールドに含まれる複数の地点名に対応する経度・緯度のいずれからも所定の範囲外となったかについて判定する。このようにすることで、経路情報に沿ってユーザが移動しているかの判定について、柔軟性をもたせることができる。
【0082】
また、交通手段および施設の情報が電車・バスの行先情報である場合に、経路一致判定部314において、経路情報に含まれる電車・バスの行先情報と、交通手段および施設の情報に含まれる電車・バスの行先情報が合致しているか否かについて判定することで、経路情報に沿ってユーザが移動しているかについて判定することとしてもよい。
ここで、行先情報には、電車が各駅停車の電車であるか、急行電車であるかといった情報も含むこととし、これらの情報に基づいて、経路一致判定部314が経路情報に沿ってユーザが移動しているかについて判定することとしてもよい。
【0083】
また、経路一致判定部314は、経路情報に沿ってユーザが移動しているかについて、携帯端末30が経路情報をナビゲーションサーバ10から取得してから所定時間内だけ判定することとしてもよい。すなわち、所定時間が経過した後は、ユーザが目的地に向かわなかったと判定して、経路情報に沿ってユーザが移動しているかの判定を中断することとしてもよい。
【0084】
また、ネットワークN2は、ブルートゥースといった近距離通信手段に限らず、例えば可視光通信により実現されることとしてもよい。すなわち、案内設備20に、情報を含んだ可視光を照射して情報を発信可能な可視光発信部を設け、携帯端末30に可視光送信部より発信された情報を受信可能な可視光受信部を設ける。例えば、案内設備20に設けられた照明により情報を発信させ、携帯端末30に設けた可視光受信部で受信させる。このようにすることで、案内設備20に備えられた照明を利用して、交通手段および施設の情報を発信できるので、案内設備20に、他の通信手段を設ける必要がなくなる。また、照明といった至る所に設けられている設備を利用できるので、交通手段および施設の情報をより詳細に発信できる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0086】
1 ナビゲーションシステム
10 ナビゲーションサーバ
11 サーバ側制御部
12 サーバ側記憶部
20 案内設備
30 携帯端末
31 端末側制御部
32 端末側記憶部
33 表示部
34 操作部
35 出音部
111 地点情報受付部
112 経路情報決定部
121 位置DB
311 入力受付部
312 経路情報取得部
313 施設情報取得部
314 経路一致判定部
315 出音制御部
321 経路情報DB
N1、N2 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通手段および施設の情報を発信する設備から近距離通信により該交通手段および施設の情報を取得する施設情報取得手段と、
ユーザの出発地から目的地までの経路情報と前記交通手段および施設の情報とをテキストマッチングすることにより、該経路情報に沿って該ユーザが移動しているかを判定する経路一致判定手段と、
前記経路一致判定手段により判定された結果を前記ユーザに報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記ユーザより前記出発地および前記目的地の入力を受け付ける入力受付手段と、
前記出発地および前記目的地が入力されたことに応じて、前記経路情報を決定するナビゲーションサーバより該出発地から該目的地までの経路情報を取得する経路情報取得手段と、
取得した前記経路情報を記憶する経路情報記憶手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記経路情報は、前記交通手段および施設の情報として、電車・バスの行先情報、前記目的地までの該電車の停車駅の情報、および前記目的地までの該バスの停留所の情報、ならびに前記目的地までに所在する施設の名称、住所、および所在する地点の名称のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記報知手段は、出音することにより前記判定された結果を前記ユーザに報知することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項5】
出発地から目的地への経路情報に沿って移動しているか否かを報知する方法であって、
交通手段および施設の情報を発信する設備から近距離通信により該交通手段および施設の情報を取得するステップと、
ユーザの出発地から目的地までの経路情報と前記交通手段および施設の情報とをテキストマッチングすることにより、該経路情報に沿って該ユーザが移動しているかを判定するステップと、
前記判定するステップにより判定された結果を前記ユーザに報知するステップと、
を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−266316(P2010−266316A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117442(P2009−117442)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】