分光器
【課題】空間的に小さな体積で済み、一体型で、振動にも強く、大きな電圧を必要とせず、持ち運びができる小型の分光器を提供する。
【解決手段】リニアセンサ1は、赤外線に感度のある複数の画素を所定のピッチで直線状に並べた構成の赤外線センサである。ファブリペロ干渉計2は、2枚の鏡が離間対向するように互いの両端が固定されており、リニアセンサ1を構成する複数の画素の配列方向と平行な方向に対して共振波長が変化する特性を有する。光線平行化装置3は、近赤外光を吸収する所定の厚みのシートにリニアセンサ1を構成する複数の画素の画素ピッチと同じ直径の孔が多数開けられた構成である。光学フィルタ4は、余計な波長の光がファブリペロ干渉計2に入射しないようにする。分光器10は、人間の指などの被測定対象物7に光源6からの光を透過させることで、様々な情報を非侵襲で得ることができる。
【解決手段】リニアセンサ1は、赤外線に感度のある複数の画素を所定のピッチで直線状に並べた構成の赤外線センサである。ファブリペロ干渉計2は、2枚の鏡が離間対向するように互いの両端が固定されており、リニアセンサ1を構成する複数の画素の配列方向と平行な方向に対して共振波長が変化する特性を有する。光線平行化装置3は、近赤外光を吸収する所定の厚みのシートにリニアセンサ1を構成する複数の画素の画素ピッチと同じ直径の孔が多数開けられた構成である。光学フィルタ4は、余計な波長の光がファブリペロ干渉計2に入射しないようにする。分光器10は、人間の指などの被測定対象物7に光源6からの光を透過させることで、様々な情報を非侵襲で得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分光器に係り、特に被測定対象物の分光特性を取得する分光器に関する。
【背景技術】
【0002】
物質を透過したり反射したりする光、あるいは物質の放射する光の分光特性を得ることで、当該物質に関する様々な性質を知ることが可能である。その分光特性を得るのが分光器である。しかしながら、分光器は多くの場合、光学系に大きな体積の空間が必要になる。特に回折格子を使う場合、分解された各波長の光が広がるための大きな体積の空間が必要になるので、装置が大きくなる。一方、ファブリペロ共振器(ファブリペロエタロン)を使う場合、必要な空間が回折格子を使う場合よりも比較的小さな体積で済むので小型化に有利である。
【0003】
特許文献1には、ファブリペロ干渉計とレンズとリニアセンサを組み合わせた分光器が記載されている。この特許文献1記載の分光器では、各波長毎に集光する位置が異なるので、集光位置の直線上に配置したリニアセンサで光強度を読み取り、各画素の位置と信号強度とから所定の演算操作を行って波長分布を得る。
【0004】
また、特許文献2には、ファブリペロ干渉計の間隔を静電引力で可変することで波長分布を得る可変干渉器が記載されている。特許文献2には図示されていないが、この可変干渉器に光の入射方向を制御する部品を設けることで分光器が構成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2692844号公報
【特許文献2】特公平4−046369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の分光器では、ファブリペロ干渉計の大きさのレンズが必要になり、また光を集光させるための比較的大きな体積の空間が必要になり、装置の小型化が十分ではないという問題がある。また、特許文献2記載の可変干渉器を用いて構成される分光器では、静電引力を発生させるため大きな電圧が必要になり、またファブリペロ干渉計全体の平行度を保ったまま距離を変化させるのは難しいという問題がある。更に、上記の特許文献1記載の分光器や特許文献2記載の可変干渉器を用いた分光器は、互いにある程度の隙間のある複数の光学部品により構成されるため、比較的振動に弱いという問題もある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、空間的に小さな体積で済み、一体型で、振動にも強く、大きな電圧を必要とせず、持ち運びができる小型の分光器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、第1の発明の分光器は、所定の波長範囲に感度のある複数の画素を所定のピッチで直線状に配列したリニアセンサと、リニアセンサを構成する複数の画素の配列方向と平行な方向に対して共振波長が変化する特性を有しており、入射光を分光してリニアセンサに入射するファブリペロ干渉計と、ファブリペロ干渉計への入射光を平行化する光線平行化手段と、光線平行化手段に測定する波長の被検出光を入射する光源とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明の分光器は、リニアセンサと被測定対象物との間に、リニアセンサへの入射光の不要な波長を除去する光学フィルタを更に備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明の分光器は、ファブリペロ干渉計が、それぞれ一面に形成された反射面が互いに離間対向する平板状の第1及び第2の誘電体の両端が固定されており、かつ、第1及び第2の誘電体の互いの間隔が一方の固定端の間隔から他方の固定端の間隔まで直線的に変化するように配置されることにより、共振波長の分布を形成している構成であることを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、第4の発明の分光器は、光線平行化手段が、複数の孔が開けられたシートからなり、複数の孔のそれぞれは、軸方向の長さが軸方向に対して垂直方向の横断面の最大長よりも大なる長さであり、内部の側面が無反射状態とされていることを特徴とする。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、第5の発明の分光器は、リニアセンサが、複数の画素のそれぞれが、基板の表面に金属を接触させた構造のショットキー・バリア・ダイオードで構成されており、基板の裏面からファブリペロ干渉計を通して光が入射する構成であることを特徴とする。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、第6の発明の分光器は、ショットキー・バリア・ダイオードに蓄積した電荷を基板と反対導電型の高濃度拡散層に転送する転送手段と、高濃度拡散層に蓄積された電位変化を信号として読み出す読み出し回路手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
更に、上記の目的を達成するため、第7の発明の分光器は、光源はピーク波長が予め既知である光を出射する光源であり、その光源からの光を拡散して光線平行化手段に入射する拡散板と、複数の画素のうち読み出し信号が最大の強度を示した画素をピーク波長を測定している画素と特定し、その特定した画素と隣接する画素との既知の測定波長の差とに基づいて、複数の画素のすべてについてその測定波長を特定する特定手段とを更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、空間的に小さな体積で済み、一体型で、振動にも強く、大きな電圧を必要とせず、持ち運びができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の分光器の一実施の形態の構成図である。
【図2】図1中のファブリペロ干渉計の一例の構成図である。
【図3】ファブリペロ共振器の分解能と反射率を示す特性図である。
【図4】ファブリペロ干渉計の他の各例の構成図である。
【図5】ファブリペロ干渉計の入射光の角度の説明図である。
【図6】光線平行化方法の一例を説明する図である。
【図7】図1中の光線平行化装置の一例の斜視図である。
【図8】リニアセンサを含むチップ内の一例の構成図である。
【図9】リニアセンサの1画素と読み出し回路の一例の構造断面図及び回路図である。
【図10】図9の動作説明用タイミングチャートである。
【図11】本発明の分光器の一実施の形態の要部の補正方法の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明になる分光器の一実施の形態の構成図を示す。同図に示すように、本実施の形態の分光器10は、赤外線に感度のあるリニアセンサ1、ファブリペロ干渉計2、光線を平行化する光線平行化装置3、及び特定の波長を透過させる光学フィルタ4が互いに密着又は殆ど隙間なく接している一体化された分光器本体5と、光源6とから構成され、分光器本体5と光源6との間に設置された被測定対象物(ここでは指を想定)7の分光特性を測定する。ここでは、分光器10は、被測定対象物7である指に光源6から発する光を透過させ、波長1μm〜2μmの赤外線の分光特性を得るものとする。
【0019】
リニアセンサ1は、赤外線に感度のある複数の画素を所定のピッチで直線状に並べた構成の赤外線センサである。このリニアセンサ1としては、例えば赤外線を吸収して熱に変換する熱型センサ、温度の変化を抵抗の変化で読み取る抵抗ボロメータ方式のセンサ、直列につないだ熱電対の電圧を読み取るサーモパイル方式のセンサ、焦電素子を使った方式のセンサ、あるいは光を直接光電変換により取り出す量子型のセンサを用いることができる。量子型のセンサとしては、InGaAs系の化合物半導体のフォトダイオードアレイ、あるいはシリコン基板にショットキー・バリア・ダイオードを形成し、シリコン基板と金属薄膜との界面で起こる光電変換を利用するショットキー・バリア・ダイオード方式センサなどが考えられる。ここでは、一例としてショットキー・バリア・ダイオード方式センサを使うものとする。
【0020】
ファブリペロ干渉計2は、2枚の鏡が離間対向するように互いの両端が固定されており、例えばそれらの一方の固定端の間隔が0.25μmで、もう一方の固定端の間隔が0.5μmであり、かつ、それら2つの固定端の間が直線的に変化している構造である。上記の2つの固定端のそれぞれの間隔0.25μmと0.5μmとは、それぞれ測定する最短波長である1μmと最長波長である2μmの4分の1の長さに対応している。これら2つの固定端の各間隔は測定したい波長により変えられる。このファブリペロ干渉計2は、リニアセンサ1を構成する複数の画素の配列方向と平行な方向に対して共振波長が変化する特性を有しており、入射光を分光してリニアセンサ1に入射する。
【0021】
光線平行化装置3は、ファブリペロ干渉計2にある角度の範囲で垂直に光を入射することを目的としている。この光線平行化装置3は、特定の寸法の孔が多数開き、ある角度以外の光を遮光する構造を持っていたり、または光ファイバを多数並べた構造をしている。従って、高々数mmの厚さの形状であり、またファブリペロ干渉計2と接着することも可能で、空間的な体積をとらない。
【0022】
光学フィルタ4は、余計な波長の光がファブリペロ干渉計2に入射しないようにするためのもので、例えば1μm以下の光がファブリペロ干渉計2に入ると、干渉し検出する可能性があるために設けられる。後述するが、シリコン基板にショットキー・バリア・ダイオードでセンサを作る場合には、シリコン基板自体が光学フィルタ作用をするため、この光学フィルタ4を省くことが可能となる。
【0023】
なお、ファブリペロ干渉計2、光線平行化装置3、光学フィルタ4は図1に示した順番に並んでいなくてもよい。例えば、光線平行化装置3はファブリペロ干渉計2の上に配置することも可能である(つまり、干渉させてから、余計な波長の光を取り除いてもよい)。また、光学フィルタ4はどの位置にあっても、結果として検出される光に差はない。配置については、設計により適宜最適な配置にすればよい。つまり、ファブリペロ干渉計2、光線平行化装置3、及び光学フィルタ4はどのような順番に並んでいてもよい。また、光学フィルタ4はファブリペロ干渉計2、光線平行化装置3、あるいはリニアセンサ1の表面に多層膜として形成し、それぞれと一体化させることも可能である。
【0024】
光源6は、測定したい波長の光を出す光源であればよい。例えば、ハロゲンランプは近赤外線領域の光を比較的一様に出し、手に入れ易いので光源として好適である。その他、1つあるいは複数の発光ダイオード(LED)を使ったり、LEDを1次光源にした蛍光体などでもよい。またレーザのような指向性のある光を被測定対象物7に入射させ、その拡散光を測定してもよい。また、光源6の位置は、図1の実施の形態ではリニアセンサ1の反対側になっているが、リニアセンサ1と同じ方向から光を被測定対象物7に反射させたり、あるいは光ファイバなどを用いて被測定対象物7に密着させ、その拡散光を検出するようにしてもよい。
【0025】
被測定対象物7は、ここでは生体のサンプルとして人間の生きた指とする。分光器10は、人間の指に光源6からの光を透過させることで、様々な情報を非侵襲(生体に影響を及ぼさないこと)で得ることができる。例えば、波長1.5〜1.6μm付近にはグルコースの吸収帯があり、この領域を含む分光特性を得ることで、血糖値が測定できることが知られている(例えば、特開2000−131322号公報参照)。
【0026】
なお、本実施の形態の分光器10は、このような応用を念頭においているが、被測定対象物7として生体に限っているものではなく、その他の無機物、有機物の化学的な特性を計測することを目的としてもよいことは勿論である。
【0027】
次に、このような構成の分光器10において、どのように光が分光され、検出されるのかについて説明する。まず、分光を行っている光学部品であるファブリペロ干渉計2について図2を使って説明する。
【0028】
まず、ファブリペロ干渉計2は次のような特性を持っているものとする。測定波長が1〜2μmで、波長分解能が10nmであるとする。この波長分解能の分だけリニアセンサ1の画素を用意すると、リニアセンサ1の画素数は100個になる。リニアセンサ1の画素ピッチを30μmとすると、リニアセンサ1の全体の長さは3000μm(=3mm)となる。
【0029】
ファブリペロ干渉計2の構造は以下のようになる。ファブリペロ干渉計2は、近赤外領域で透明な例えば平板状の誘電体(例えば石英)20aと20bとが互いに離間対向され、誘電体20aと20bの対向する一つの表面23a、23bに例えば金が蒸着により形成されて反射面とされている。誘電体20a、20bの光の出射面と入射面にはそれぞれ無反射コーティングの多層膜22a、22bが設けられている。
【0030】
誘電体20aと20bとは、各一端が長さ0.25μmのスペーサ21aにより固定され、各他端が長さ0.5μmのスペーサ21bにより固定されている。なお、上記の0.25μmと0.5μmの数値は測定波長1〜2μmの4分の1のことである。また、誘電体20a、20bの間隔は、一方の固定端の間隔(スペーサ21aの長さ)から他方の固定端の間隔(スペーサ21bの長さ)まで直線的に変化する構成である。反射面23aを有する誘電体20aは第1の鏡を構成し、反射面23bを有する誘電体20bは第2の鏡を構成する。ファブリペロ干渉計2は、これら2つの鏡の間隔が、リニアセンサ1の複数の画素の配列方向と平行な方向に変化することにより、共振波長の分布を形成している。
【0031】
反射面23aと23bの反射率は、分解能に応じて98.5%以上である。図3は、分解能と反射率の関係を示す。
【0032】
さて、反射面のギャップが波長によって異なっているから、図2に示すように、反射面23aと23bとは完全な平行にはなっておらず、両端間では0.25μmの厚さの変化がある。しかしながら、この0.25μmの厚さの変化に対して、誘電体20a、20bの横の長さが3000μmであるから、その傾きは0.3秒程度となり、1秒以下の平行度である。例えば、ギャップが0.5μmのところで反射面23bに対して垂直に光26が入射したとすると、2度反射してもその位置のずれは0.08μmである。従って、図2のファブリペロ干渉計2は、波長2μmの光に対して十分小さく、自己干渉を引き起こすので、ファブリペロ共振器として作用することが分かる。
【0033】
なお、ファブリペロ干渉計2としては、図2のようにエアギャップの構成をとらなくてもよい。例えば、図4(A)に示すように、ギャップの形を誘電体24で作ってもよい。誘電体24は厚さ0.25μmの一端から厚さ0.5μmの他端まで厚さが連続的に変化する台形加工型の構成である。誘電体24の厚さは、図4(A)では誘電率1として0.25μmと0.5μmと表記してあるが、その厚さは誘電率により変わることは勿論である。
【0034】
また、図4(B)に示すように、平行な鏡面を形成している誘電体25の内部の誘電率を所定の方向に徐々に変化させていくような誘電率変調型の誘電体25を作ってもよい。誘電体24、25ともに、光の入射面、出射面には無反射コーティングを施しておくのは勿論のことである。
【0035】
次にファブリペロ干渉計2の入射光の角度について説明する。
【0036】
画素の分解能が10nmなので、図5に示すようにリニアセンサ1内のある画素αと隣の画素βについて考える。検出する波長が画素αと画素βとで10nm異なっているので、角度θが6度程度垂直方向に対して傾くと、光路長が10nmの4分の1波長の2.5μmになり、本来隣の画素βで検出すべき光を画素αで検出してしまう。従って、ファブリペロ干渉計2へ光を入射する前に、何らかの光線平行化手段が必要になる。平行光線の作り方としてはレンズのコリメートによる方法が使える。しかしながら、レンズのコリメートによる方法では、大きな体積の空間が必要になるし、また、光学系は位置ずれが起きないような頑丈な躯体が必要になり、分光器の形状が更に大きくなる。
【0037】
そこで、更に望ましい方法として、ある角度以外の光を遮光してしまう方法がある。この方法は、図6に示すように、直径がリニアセンサ1の画素ピッチと同じ30μmで、深さが直径よりも大である350μmで、内部の側面が光が反射しないような材料で構成された孔31を用いる方法である。この方法によれば、孔31を通る光は5度程度に制限されるので、容易に平行光を作ることができる。そこで、本実施の形態では、光線平行化装置3として、図7の外観斜視図に示すように、近赤外光を吸収する350μm厚のシート32(例えば黒色塗料が入ったプラスチックなどの有機材料)に直径30μmの孔31を金型などで多数開けたものを使用する。
【0038】
なお、図6及び図7に示す光線平行化装置3は、孔31の軸方向に対して垂直な方向の横断面が円形であるものとしているが、形状はこれに限定されるものではなく、四角形や多角形その他の任意の形状であってもよい。ただし、光線平行化装置3の孔は、軸方向に対して垂直方向の横断面の最大長(円形の場合は直径、四角形の場合は対角線、他の形状の場合は断面を横切る長さが最も長くなるところの長さ)よりも、軸方向の長さ(つまり、深さ)が大であり、また、その内部の側面が無反射状態となっている必要がある。
【0039】
このほかの光線平行化方法としては、光ファイバを多数束にしてシート状に加工し、光を通過させる方法がある。光ファイバはある角度以下の光を全反射させ伝搬するので、ここでは全反射の角度が6度以下のファイバを使えば、光ファイバの性質によりある角度の光のみを取り出すことができる。光ファイバ・シートの厚さは数mmもあればよい。
【0040】
次に、リニアセンサ1について詳細に説明する。リニアセンサ1については、前述のように熱型のものや量子型のものがあるが、ここではシリコン基板を使ったショットキー・バリア・ダイオードを使った例を図8に示す。
【0041】
図8において、チップ33は縦1mm、横4mmの小型のチップである。このチップ33の中に赤外線を検出するリニアセンサ1と、読み出し回路34と、A/D変換回路35と、制御回路36と、電源回路37と、入出力(I/O)回路38と、パッド39とが設けられている。
【0042】
リニアセンサ1は、赤外線に感度のある複数の画素が、直線状に例えば30μmピッチで100個並んだ構成である。リニアセンサ1の各画素の縦方向の長さは100μmとする。各画素に読み出し回路34が繋がっており、読み出し回路34が各画素の信号を順に読み出して、A/D変換回路35に供給しデジタル信号に変換させる。制御回路36は読み出し回路34とA/D変換回路35の動作を制御する。電源回路37は外部から供給された電源電圧を適切な電圧に変換して、読み出し回路34、A/D変換回路35、制御回路36にそれぞれ供給する。I/O回路38はチップ33の外部との信号のやり取りを行い、A/D変換回路35、制御回路36、電源回路37と通信する。パッド39は外部との配線を取り持つ領域である。
【0043】
次に、リニアセンサ1の1つの画素とその信号の読み出し方について詳しく説明する。図9は、リニアセンサ1の1画素と読み出し回路の一例の構造断面図及び回路図を示す。同図において、P型のシリコン基板40には、コンタクト用P+拡散層41、金属薄膜42、N型拡散層43、N+拡散層46及び47がそれぞれ形成されている。また、シリコン基板40の上方には転送ゲート電極44、リセット・ゲート電極45が形成されている。
【0044】
コンタクト用P+拡散層41は、グランド電源に配線されている。金属薄膜42はショットキー・バリア・ダイオードを形成するための金属薄膜で、例えばモリブデン(Mo)である。Moはシリコン基板40と電気的に良好に接続するために、少なくともシリコン基板40との界面部分は500℃程度の熱処理によりシリサイド化されている。N型拡散層43はショットキー・バリア・ダイオードが周辺部で低電圧でブレークダウンすることを防ぐためのガードリングである。転送ゲート電極44はショットキー・バリア・ダイオードに蓄積した電子(電荷)をN+拡散層46に転送する。N+拡散層47は電源Vddに接続されている。リセット・ゲート電極45はN+拡散層46をVddにリセットするための電極である。
【0045】
NチャネルMOS型電界効果トランジスタ(FET)48は、ゲートがN+拡散層46に接続され、ドレインがVddに接続され、ソースが出力になっているソースフォロア・アンプである。被検出光49はシリコン基板40の裏面から入る。このシリコン基板40の裏面には光が入射時に反射しないようにするために、多層膜からなる無反射コーティング50が形成されている。ここまでが画素の構造である。
【0046】
画素の出力はスイッチング用MOS型FET(以下、MOSスイッチという)51、53を通してメモリとして作用するキャパシタ52、54に保持される。差動アンプ55は、キャパシタ52、54により保持された画素の読み出し信号の差分信号を増幅する。スイッチング用MOS型FET(MOSスイッチ)56は、オンになったタイミングで差動アンプ55からの画素の差分信号を外部へ出力する。
【0047】
次に、この画素の動作について、図10のタイミングチャートを参照して説明する。所定時間、入射光が入り既に金属薄膜42を有するショットキー・バリア・ダイオードに電子(電荷)が蓄積されているものとする。まず、リセット・ゲート電極45が、図10(A)にハイレベルで示す所定時間オン状態になり、N+拡散層46がVddとなる。次に、MOSスイッチ51が図10(C)にハイレベルで示す所定時間オンになり、N+拡散層46の電位をソースフォロア・アンプ48、MOSスイッチ51を通してオフセット信号としてメモリ作用をするキャパシタ52に記録する。
【0048】
次に、転送ゲート電極44が図10(B)にハイレベルで示す所定時間オン状態になり、金属薄膜42を有するショットキー・バリア・ダイオードに蓄積されていた電子(電荷)がN+拡散層46に転送され電位が変化する。次に、MOSスイッチ53が図10(D)にハイレベルで示す所定時間オンになり、N+拡散層46の電位をソースフォロア・アンプ48、MOSスイッチ53を通してメモリ作用をするキャパシタ54に記録する。
【0049】
ここまでの動作はリニアセンサ1の全画素で一斉に行われる。
【0050】
次に、読み出し回路34は図10(E)にハイレベルで示す所定のタイミングでMOSスイッチ56をオンにして、差動アンプ55から出力されるキャパシタ52とキャパシタ53に記録された各信号の差分信号を真の信号として出力し、A/D変換回路35に引き渡す。このMOSスイッチ56がオンになるタイミングは画素により異なり、順次読み出されることになる。ここでキャパシタ52とキャパシタ54に記録された各信号の差分信号を真の信号として出力するのは、ソースフォロア・アンプとなるNチャネルMOS型FET48のしきい値電圧のばらつきを除去するためである。
【0051】
ところで、金属薄膜42を有するショットキー・バリア・ダイオードには通常のPN接合を使ったフォトダイオードに比べて界面におけるダークカレントが多いという問題がある。このダークカレントは画素毎にばらつく性質がある。そこで、ダークカレントの影響を除去するために、光信号が入らない状態で予め画素毎のダークカレント信号をメモリに記録しておき、信号から除去すると、雑音の少ない信号を得ることができる。
【0052】
なお、被検出光49がシリコン基板40の裏面から入射し、シリコン基板40の表面で光電変換されるため、可視光はシリコン基板40に吸収され、近赤外光だけが検出される。従って、可視光のみをカットしたい場合は前述のように光学フィルタ4は必要ない。
【0053】
また、ショットキー・バリア・ダイオードに使う金属はMoに限らず、Sc、Er、Y、Ti、Hf、Mn、Zr、C(グラファイト)、Nb、Cr、Co、Ni、Fe、W、Ta、Pd、Al、Rh、Be、Re、Ir、Ptが使用可能である。
【0054】
さて、このような1個〜4個の部品を重ねて作られる分光器10の分光器本体5は縦、横、高さがそれぞれ数mm程度の大きさにすることが可能で、非常に小さい。また、その際に部品の位置ずれに対する許容度が非常に高い。
【0055】
例えば、ファブリペロ干渉計2とリニアセンサ1との間で特定の画素が特定の波長を測定するように合わせこむ必要がない。多少ずれても図11に示すような方法で簡単に補正できるからである。ここでは、分光器本体5に対してある波長分布をもつ光源、例えば63で示すように1.5μmでピークを持つことが分かっている特性の光源62を用意する。例えば、LEDはある波長でピークを持ち、波長がそのピークの波長から離れるほど適度に強度が低下する、所謂波長の裾が広がっている波長対強度特性を有するので、上記の光源62として都合がよい。
【0056】
拡散板61は、光源62からの光を光強度のバラツキがないようにして分光器本体5内に入射する。その結果、特定の分光分布が得られるが、そのとき信号強度が最大になる画素の測定波長が1.5μmであると簡単に確認することができる。それが分かると、隣の画素との測定波長の差が10nmであることが分かっているから、全ての画素の測定波長が確定する。この補正結果を例えば制御回路36などに記録しておけば、読み出し回路34を適切に制御して、正しい分光特性を出力することができる。
【0057】
このように、本実施の形態の分光器10は、特許文献1記載の分光器よりも空間的に小さな体積で済み、一体型で、振動にも強く、また、特許文献2記載の可変干渉器を用いた分光器のような大きな電圧を必要とせず、持ち運びができる小型の分光器である。また、本実施の形態の分光器10は光学部品であるにも関わらず、位置ずれに強いため、分光器のコスト低減に大いに貢献するものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る分光器は小型軽量な赤外線分光器であるため、特に、生体系や医療現場における分光特性の取得に有効で、例えば血糖値センサなどに使用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 リニアセンサ
2 ファブリペロ干渉計
3 光線平行化装置
4 光学フィルタ
5 分光器本体
6 光源
7 被測定対象物
10 分光器
20a、20b、24、25 誘電体
21a、21b スペーサ
22a、22b 多層膜
23a、23b 反射面
31 孔
32 シート
33 チップ
34 読み出し回路
35 A/D変換回路
36 制御回路
37 電源回路
38 I/O回路
39 パッド
40 シリコン基板
41 コンタクト用P+拡散層
42 金属薄膜
43 N型拡散層
44 転送ゲート電極
45 リセット・ゲート電極
46、47 N+拡散層
48 NチャネルMOS型電界効果トランジスタ(ソースフォロア・アンプ)
51、53、56 スイッチング用MOS型電界効果トランジスタ
52、54 キャパシタ
55 差動アンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は分光器に係り、特に被測定対象物の分光特性を取得する分光器に関する。
【背景技術】
【0002】
物質を透過したり反射したりする光、あるいは物質の放射する光の分光特性を得ることで、当該物質に関する様々な性質を知ることが可能である。その分光特性を得るのが分光器である。しかしながら、分光器は多くの場合、光学系に大きな体積の空間が必要になる。特に回折格子を使う場合、分解された各波長の光が広がるための大きな体積の空間が必要になるので、装置が大きくなる。一方、ファブリペロ共振器(ファブリペロエタロン)を使う場合、必要な空間が回折格子を使う場合よりも比較的小さな体積で済むので小型化に有利である。
【0003】
特許文献1には、ファブリペロ干渉計とレンズとリニアセンサを組み合わせた分光器が記載されている。この特許文献1記載の分光器では、各波長毎に集光する位置が異なるので、集光位置の直線上に配置したリニアセンサで光強度を読み取り、各画素の位置と信号強度とから所定の演算操作を行って波長分布を得る。
【0004】
また、特許文献2には、ファブリペロ干渉計の間隔を静電引力で可変することで波長分布を得る可変干渉器が記載されている。特許文献2には図示されていないが、この可変干渉器に光の入射方向を制御する部品を設けることで分光器が構成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2692844号公報
【特許文献2】特公平4−046369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の分光器では、ファブリペロ干渉計の大きさのレンズが必要になり、また光を集光させるための比較的大きな体積の空間が必要になり、装置の小型化が十分ではないという問題がある。また、特許文献2記載の可変干渉器を用いて構成される分光器では、静電引力を発生させるため大きな電圧が必要になり、またファブリペロ干渉計全体の平行度を保ったまま距離を変化させるのは難しいという問題がある。更に、上記の特許文献1記載の分光器や特許文献2記載の可変干渉器を用いた分光器は、互いにある程度の隙間のある複数の光学部品により構成されるため、比較的振動に弱いという問題もある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、空間的に小さな体積で済み、一体型で、振動にも強く、大きな電圧を必要とせず、持ち運びができる小型の分光器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、第1の発明の分光器は、所定の波長範囲に感度のある複数の画素を所定のピッチで直線状に配列したリニアセンサと、リニアセンサを構成する複数の画素の配列方向と平行な方向に対して共振波長が変化する特性を有しており、入射光を分光してリニアセンサに入射するファブリペロ干渉計と、ファブリペロ干渉計への入射光を平行化する光線平行化手段と、光線平行化手段に測定する波長の被検出光を入射する光源とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明の分光器は、リニアセンサと被測定対象物との間に、リニアセンサへの入射光の不要な波長を除去する光学フィルタを更に備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明の分光器は、ファブリペロ干渉計が、それぞれ一面に形成された反射面が互いに離間対向する平板状の第1及び第2の誘電体の両端が固定されており、かつ、第1及び第2の誘電体の互いの間隔が一方の固定端の間隔から他方の固定端の間隔まで直線的に変化するように配置されることにより、共振波長の分布を形成している構成であることを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、第4の発明の分光器は、光線平行化手段が、複数の孔が開けられたシートからなり、複数の孔のそれぞれは、軸方向の長さが軸方向に対して垂直方向の横断面の最大長よりも大なる長さであり、内部の側面が無反射状態とされていることを特徴とする。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、第5の発明の分光器は、リニアセンサが、複数の画素のそれぞれが、基板の表面に金属を接触させた構造のショットキー・バリア・ダイオードで構成されており、基板の裏面からファブリペロ干渉計を通して光が入射する構成であることを特徴とする。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、第6の発明の分光器は、ショットキー・バリア・ダイオードに蓄積した電荷を基板と反対導電型の高濃度拡散層に転送する転送手段と、高濃度拡散層に蓄積された電位変化を信号として読み出す読み出し回路手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
更に、上記の目的を達成するため、第7の発明の分光器は、光源はピーク波長が予め既知である光を出射する光源であり、その光源からの光を拡散して光線平行化手段に入射する拡散板と、複数の画素のうち読み出し信号が最大の強度を示した画素をピーク波長を測定している画素と特定し、その特定した画素と隣接する画素との既知の測定波長の差とに基づいて、複数の画素のすべてについてその測定波長を特定する特定手段とを更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、空間的に小さな体積で済み、一体型で、振動にも強く、大きな電圧を必要とせず、持ち運びができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の分光器の一実施の形態の構成図である。
【図2】図1中のファブリペロ干渉計の一例の構成図である。
【図3】ファブリペロ共振器の分解能と反射率を示す特性図である。
【図4】ファブリペロ干渉計の他の各例の構成図である。
【図5】ファブリペロ干渉計の入射光の角度の説明図である。
【図6】光線平行化方法の一例を説明する図である。
【図7】図1中の光線平行化装置の一例の斜視図である。
【図8】リニアセンサを含むチップ内の一例の構成図である。
【図9】リニアセンサの1画素と読み出し回路の一例の構造断面図及び回路図である。
【図10】図9の動作説明用タイミングチャートである。
【図11】本発明の分光器の一実施の形態の要部の補正方法の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明になる分光器の一実施の形態の構成図を示す。同図に示すように、本実施の形態の分光器10は、赤外線に感度のあるリニアセンサ1、ファブリペロ干渉計2、光線を平行化する光線平行化装置3、及び特定の波長を透過させる光学フィルタ4が互いに密着又は殆ど隙間なく接している一体化された分光器本体5と、光源6とから構成され、分光器本体5と光源6との間に設置された被測定対象物(ここでは指を想定)7の分光特性を測定する。ここでは、分光器10は、被測定対象物7である指に光源6から発する光を透過させ、波長1μm〜2μmの赤外線の分光特性を得るものとする。
【0019】
リニアセンサ1は、赤外線に感度のある複数の画素を所定のピッチで直線状に並べた構成の赤外線センサである。このリニアセンサ1としては、例えば赤外線を吸収して熱に変換する熱型センサ、温度の変化を抵抗の変化で読み取る抵抗ボロメータ方式のセンサ、直列につないだ熱電対の電圧を読み取るサーモパイル方式のセンサ、焦電素子を使った方式のセンサ、あるいは光を直接光電変換により取り出す量子型のセンサを用いることができる。量子型のセンサとしては、InGaAs系の化合物半導体のフォトダイオードアレイ、あるいはシリコン基板にショットキー・バリア・ダイオードを形成し、シリコン基板と金属薄膜との界面で起こる光電変換を利用するショットキー・バリア・ダイオード方式センサなどが考えられる。ここでは、一例としてショットキー・バリア・ダイオード方式センサを使うものとする。
【0020】
ファブリペロ干渉計2は、2枚の鏡が離間対向するように互いの両端が固定されており、例えばそれらの一方の固定端の間隔が0.25μmで、もう一方の固定端の間隔が0.5μmであり、かつ、それら2つの固定端の間が直線的に変化している構造である。上記の2つの固定端のそれぞれの間隔0.25μmと0.5μmとは、それぞれ測定する最短波長である1μmと最長波長である2μmの4分の1の長さに対応している。これら2つの固定端の各間隔は測定したい波長により変えられる。このファブリペロ干渉計2は、リニアセンサ1を構成する複数の画素の配列方向と平行な方向に対して共振波長が変化する特性を有しており、入射光を分光してリニアセンサ1に入射する。
【0021】
光線平行化装置3は、ファブリペロ干渉計2にある角度の範囲で垂直に光を入射することを目的としている。この光線平行化装置3は、特定の寸法の孔が多数開き、ある角度以外の光を遮光する構造を持っていたり、または光ファイバを多数並べた構造をしている。従って、高々数mmの厚さの形状であり、またファブリペロ干渉計2と接着することも可能で、空間的な体積をとらない。
【0022】
光学フィルタ4は、余計な波長の光がファブリペロ干渉計2に入射しないようにするためのもので、例えば1μm以下の光がファブリペロ干渉計2に入ると、干渉し検出する可能性があるために設けられる。後述するが、シリコン基板にショットキー・バリア・ダイオードでセンサを作る場合には、シリコン基板自体が光学フィルタ作用をするため、この光学フィルタ4を省くことが可能となる。
【0023】
なお、ファブリペロ干渉計2、光線平行化装置3、光学フィルタ4は図1に示した順番に並んでいなくてもよい。例えば、光線平行化装置3はファブリペロ干渉計2の上に配置することも可能である(つまり、干渉させてから、余計な波長の光を取り除いてもよい)。また、光学フィルタ4はどの位置にあっても、結果として検出される光に差はない。配置については、設計により適宜最適な配置にすればよい。つまり、ファブリペロ干渉計2、光線平行化装置3、及び光学フィルタ4はどのような順番に並んでいてもよい。また、光学フィルタ4はファブリペロ干渉計2、光線平行化装置3、あるいはリニアセンサ1の表面に多層膜として形成し、それぞれと一体化させることも可能である。
【0024】
光源6は、測定したい波長の光を出す光源であればよい。例えば、ハロゲンランプは近赤外線領域の光を比較的一様に出し、手に入れ易いので光源として好適である。その他、1つあるいは複数の発光ダイオード(LED)を使ったり、LEDを1次光源にした蛍光体などでもよい。またレーザのような指向性のある光を被測定対象物7に入射させ、その拡散光を測定してもよい。また、光源6の位置は、図1の実施の形態ではリニアセンサ1の反対側になっているが、リニアセンサ1と同じ方向から光を被測定対象物7に反射させたり、あるいは光ファイバなどを用いて被測定対象物7に密着させ、その拡散光を検出するようにしてもよい。
【0025】
被測定対象物7は、ここでは生体のサンプルとして人間の生きた指とする。分光器10は、人間の指に光源6からの光を透過させることで、様々な情報を非侵襲(生体に影響を及ぼさないこと)で得ることができる。例えば、波長1.5〜1.6μm付近にはグルコースの吸収帯があり、この領域を含む分光特性を得ることで、血糖値が測定できることが知られている(例えば、特開2000−131322号公報参照)。
【0026】
なお、本実施の形態の分光器10は、このような応用を念頭においているが、被測定対象物7として生体に限っているものではなく、その他の無機物、有機物の化学的な特性を計測することを目的としてもよいことは勿論である。
【0027】
次に、このような構成の分光器10において、どのように光が分光され、検出されるのかについて説明する。まず、分光を行っている光学部品であるファブリペロ干渉計2について図2を使って説明する。
【0028】
まず、ファブリペロ干渉計2は次のような特性を持っているものとする。測定波長が1〜2μmで、波長分解能が10nmであるとする。この波長分解能の分だけリニアセンサ1の画素を用意すると、リニアセンサ1の画素数は100個になる。リニアセンサ1の画素ピッチを30μmとすると、リニアセンサ1の全体の長さは3000μm(=3mm)となる。
【0029】
ファブリペロ干渉計2の構造は以下のようになる。ファブリペロ干渉計2は、近赤外領域で透明な例えば平板状の誘電体(例えば石英)20aと20bとが互いに離間対向され、誘電体20aと20bの対向する一つの表面23a、23bに例えば金が蒸着により形成されて反射面とされている。誘電体20a、20bの光の出射面と入射面にはそれぞれ無反射コーティングの多層膜22a、22bが設けられている。
【0030】
誘電体20aと20bとは、各一端が長さ0.25μmのスペーサ21aにより固定され、各他端が長さ0.5μmのスペーサ21bにより固定されている。なお、上記の0.25μmと0.5μmの数値は測定波長1〜2μmの4分の1のことである。また、誘電体20a、20bの間隔は、一方の固定端の間隔(スペーサ21aの長さ)から他方の固定端の間隔(スペーサ21bの長さ)まで直線的に変化する構成である。反射面23aを有する誘電体20aは第1の鏡を構成し、反射面23bを有する誘電体20bは第2の鏡を構成する。ファブリペロ干渉計2は、これら2つの鏡の間隔が、リニアセンサ1の複数の画素の配列方向と平行な方向に変化することにより、共振波長の分布を形成している。
【0031】
反射面23aと23bの反射率は、分解能に応じて98.5%以上である。図3は、分解能と反射率の関係を示す。
【0032】
さて、反射面のギャップが波長によって異なっているから、図2に示すように、反射面23aと23bとは完全な平行にはなっておらず、両端間では0.25μmの厚さの変化がある。しかしながら、この0.25μmの厚さの変化に対して、誘電体20a、20bの横の長さが3000μmであるから、その傾きは0.3秒程度となり、1秒以下の平行度である。例えば、ギャップが0.5μmのところで反射面23bに対して垂直に光26が入射したとすると、2度反射してもその位置のずれは0.08μmである。従って、図2のファブリペロ干渉計2は、波長2μmの光に対して十分小さく、自己干渉を引き起こすので、ファブリペロ共振器として作用することが分かる。
【0033】
なお、ファブリペロ干渉計2としては、図2のようにエアギャップの構成をとらなくてもよい。例えば、図4(A)に示すように、ギャップの形を誘電体24で作ってもよい。誘電体24は厚さ0.25μmの一端から厚さ0.5μmの他端まで厚さが連続的に変化する台形加工型の構成である。誘電体24の厚さは、図4(A)では誘電率1として0.25μmと0.5μmと表記してあるが、その厚さは誘電率により変わることは勿論である。
【0034】
また、図4(B)に示すように、平行な鏡面を形成している誘電体25の内部の誘電率を所定の方向に徐々に変化させていくような誘電率変調型の誘電体25を作ってもよい。誘電体24、25ともに、光の入射面、出射面には無反射コーティングを施しておくのは勿論のことである。
【0035】
次にファブリペロ干渉計2の入射光の角度について説明する。
【0036】
画素の分解能が10nmなので、図5に示すようにリニアセンサ1内のある画素αと隣の画素βについて考える。検出する波長が画素αと画素βとで10nm異なっているので、角度θが6度程度垂直方向に対して傾くと、光路長が10nmの4分の1波長の2.5μmになり、本来隣の画素βで検出すべき光を画素αで検出してしまう。従って、ファブリペロ干渉計2へ光を入射する前に、何らかの光線平行化手段が必要になる。平行光線の作り方としてはレンズのコリメートによる方法が使える。しかしながら、レンズのコリメートによる方法では、大きな体積の空間が必要になるし、また、光学系は位置ずれが起きないような頑丈な躯体が必要になり、分光器の形状が更に大きくなる。
【0037】
そこで、更に望ましい方法として、ある角度以外の光を遮光してしまう方法がある。この方法は、図6に示すように、直径がリニアセンサ1の画素ピッチと同じ30μmで、深さが直径よりも大である350μmで、内部の側面が光が反射しないような材料で構成された孔31を用いる方法である。この方法によれば、孔31を通る光は5度程度に制限されるので、容易に平行光を作ることができる。そこで、本実施の形態では、光線平行化装置3として、図7の外観斜視図に示すように、近赤外光を吸収する350μm厚のシート32(例えば黒色塗料が入ったプラスチックなどの有機材料)に直径30μmの孔31を金型などで多数開けたものを使用する。
【0038】
なお、図6及び図7に示す光線平行化装置3は、孔31の軸方向に対して垂直な方向の横断面が円形であるものとしているが、形状はこれに限定されるものではなく、四角形や多角形その他の任意の形状であってもよい。ただし、光線平行化装置3の孔は、軸方向に対して垂直方向の横断面の最大長(円形の場合は直径、四角形の場合は対角線、他の形状の場合は断面を横切る長さが最も長くなるところの長さ)よりも、軸方向の長さ(つまり、深さ)が大であり、また、その内部の側面が無反射状態となっている必要がある。
【0039】
このほかの光線平行化方法としては、光ファイバを多数束にしてシート状に加工し、光を通過させる方法がある。光ファイバはある角度以下の光を全反射させ伝搬するので、ここでは全反射の角度が6度以下のファイバを使えば、光ファイバの性質によりある角度の光のみを取り出すことができる。光ファイバ・シートの厚さは数mmもあればよい。
【0040】
次に、リニアセンサ1について詳細に説明する。リニアセンサ1については、前述のように熱型のものや量子型のものがあるが、ここではシリコン基板を使ったショットキー・バリア・ダイオードを使った例を図8に示す。
【0041】
図8において、チップ33は縦1mm、横4mmの小型のチップである。このチップ33の中に赤外線を検出するリニアセンサ1と、読み出し回路34と、A/D変換回路35と、制御回路36と、電源回路37と、入出力(I/O)回路38と、パッド39とが設けられている。
【0042】
リニアセンサ1は、赤外線に感度のある複数の画素が、直線状に例えば30μmピッチで100個並んだ構成である。リニアセンサ1の各画素の縦方向の長さは100μmとする。各画素に読み出し回路34が繋がっており、読み出し回路34が各画素の信号を順に読み出して、A/D変換回路35に供給しデジタル信号に変換させる。制御回路36は読み出し回路34とA/D変換回路35の動作を制御する。電源回路37は外部から供給された電源電圧を適切な電圧に変換して、読み出し回路34、A/D変換回路35、制御回路36にそれぞれ供給する。I/O回路38はチップ33の外部との信号のやり取りを行い、A/D変換回路35、制御回路36、電源回路37と通信する。パッド39は外部との配線を取り持つ領域である。
【0043】
次に、リニアセンサ1の1つの画素とその信号の読み出し方について詳しく説明する。図9は、リニアセンサ1の1画素と読み出し回路の一例の構造断面図及び回路図を示す。同図において、P型のシリコン基板40には、コンタクト用P+拡散層41、金属薄膜42、N型拡散層43、N+拡散層46及び47がそれぞれ形成されている。また、シリコン基板40の上方には転送ゲート電極44、リセット・ゲート電極45が形成されている。
【0044】
コンタクト用P+拡散層41は、グランド電源に配線されている。金属薄膜42はショットキー・バリア・ダイオードを形成するための金属薄膜で、例えばモリブデン(Mo)である。Moはシリコン基板40と電気的に良好に接続するために、少なくともシリコン基板40との界面部分は500℃程度の熱処理によりシリサイド化されている。N型拡散層43はショットキー・バリア・ダイオードが周辺部で低電圧でブレークダウンすることを防ぐためのガードリングである。転送ゲート電極44はショットキー・バリア・ダイオードに蓄積した電子(電荷)をN+拡散層46に転送する。N+拡散層47は電源Vddに接続されている。リセット・ゲート電極45はN+拡散層46をVddにリセットするための電極である。
【0045】
NチャネルMOS型電界効果トランジスタ(FET)48は、ゲートがN+拡散層46に接続され、ドレインがVddに接続され、ソースが出力になっているソースフォロア・アンプである。被検出光49はシリコン基板40の裏面から入る。このシリコン基板40の裏面には光が入射時に反射しないようにするために、多層膜からなる無反射コーティング50が形成されている。ここまでが画素の構造である。
【0046】
画素の出力はスイッチング用MOS型FET(以下、MOSスイッチという)51、53を通してメモリとして作用するキャパシタ52、54に保持される。差動アンプ55は、キャパシタ52、54により保持された画素の読み出し信号の差分信号を増幅する。スイッチング用MOS型FET(MOSスイッチ)56は、オンになったタイミングで差動アンプ55からの画素の差分信号を外部へ出力する。
【0047】
次に、この画素の動作について、図10のタイミングチャートを参照して説明する。所定時間、入射光が入り既に金属薄膜42を有するショットキー・バリア・ダイオードに電子(電荷)が蓄積されているものとする。まず、リセット・ゲート電極45が、図10(A)にハイレベルで示す所定時間オン状態になり、N+拡散層46がVddとなる。次に、MOSスイッチ51が図10(C)にハイレベルで示す所定時間オンになり、N+拡散層46の電位をソースフォロア・アンプ48、MOSスイッチ51を通してオフセット信号としてメモリ作用をするキャパシタ52に記録する。
【0048】
次に、転送ゲート電極44が図10(B)にハイレベルで示す所定時間オン状態になり、金属薄膜42を有するショットキー・バリア・ダイオードに蓄積されていた電子(電荷)がN+拡散層46に転送され電位が変化する。次に、MOSスイッチ53が図10(D)にハイレベルで示す所定時間オンになり、N+拡散層46の電位をソースフォロア・アンプ48、MOSスイッチ53を通してメモリ作用をするキャパシタ54に記録する。
【0049】
ここまでの動作はリニアセンサ1の全画素で一斉に行われる。
【0050】
次に、読み出し回路34は図10(E)にハイレベルで示す所定のタイミングでMOSスイッチ56をオンにして、差動アンプ55から出力されるキャパシタ52とキャパシタ53に記録された各信号の差分信号を真の信号として出力し、A/D変換回路35に引き渡す。このMOSスイッチ56がオンになるタイミングは画素により異なり、順次読み出されることになる。ここでキャパシタ52とキャパシタ54に記録された各信号の差分信号を真の信号として出力するのは、ソースフォロア・アンプとなるNチャネルMOS型FET48のしきい値電圧のばらつきを除去するためである。
【0051】
ところで、金属薄膜42を有するショットキー・バリア・ダイオードには通常のPN接合を使ったフォトダイオードに比べて界面におけるダークカレントが多いという問題がある。このダークカレントは画素毎にばらつく性質がある。そこで、ダークカレントの影響を除去するために、光信号が入らない状態で予め画素毎のダークカレント信号をメモリに記録しておき、信号から除去すると、雑音の少ない信号を得ることができる。
【0052】
なお、被検出光49がシリコン基板40の裏面から入射し、シリコン基板40の表面で光電変換されるため、可視光はシリコン基板40に吸収され、近赤外光だけが検出される。従って、可視光のみをカットしたい場合は前述のように光学フィルタ4は必要ない。
【0053】
また、ショットキー・バリア・ダイオードに使う金属はMoに限らず、Sc、Er、Y、Ti、Hf、Mn、Zr、C(グラファイト)、Nb、Cr、Co、Ni、Fe、W、Ta、Pd、Al、Rh、Be、Re、Ir、Ptが使用可能である。
【0054】
さて、このような1個〜4個の部品を重ねて作られる分光器10の分光器本体5は縦、横、高さがそれぞれ数mm程度の大きさにすることが可能で、非常に小さい。また、その際に部品の位置ずれに対する許容度が非常に高い。
【0055】
例えば、ファブリペロ干渉計2とリニアセンサ1との間で特定の画素が特定の波長を測定するように合わせこむ必要がない。多少ずれても図11に示すような方法で簡単に補正できるからである。ここでは、分光器本体5に対してある波長分布をもつ光源、例えば63で示すように1.5μmでピークを持つことが分かっている特性の光源62を用意する。例えば、LEDはある波長でピークを持ち、波長がそのピークの波長から離れるほど適度に強度が低下する、所謂波長の裾が広がっている波長対強度特性を有するので、上記の光源62として都合がよい。
【0056】
拡散板61は、光源62からの光を光強度のバラツキがないようにして分光器本体5内に入射する。その結果、特定の分光分布が得られるが、そのとき信号強度が最大になる画素の測定波長が1.5μmであると簡単に確認することができる。それが分かると、隣の画素との測定波長の差が10nmであることが分かっているから、全ての画素の測定波長が確定する。この補正結果を例えば制御回路36などに記録しておけば、読み出し回路34を適切に制御して、正しい分光特性を出力することができる。
【0057】
このように、本実施の形態の分光器10は、特許文献1記載の分光器よりも空間的に小さな体積で済み、一体型で、振動にも強く、また、特許文献2記載の可変干渉器を用いた分光器のような大きな電圧を必要とせず、持ち運びができる小型の分光器である。また、本実施の形態の分光器10は光学部品であるにも関わらず、位置ずれに強いため、分光器のコスト低減に大いに貢献するものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る分光器は小型軽量な赤外線分光器であるため、特に、生体系や医療現場における分光特性の取得に有効で、例えば血糖値センサなどに使用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 リニアセンサ
2 ファブリペロ干渉計
3 光線平行化装置
4 光学フィルタ
5 分光器本体
6 光源
7 被測定対象物
10 分光器
20a、20b、24、25 誘電体
21a、21b スペーサ
22a、22b 多層膜
23a、23b 反射面
31 孔
32 シート
33 チップ
34 読み出し回路
35 A/D変換回路
36 制御回路
37 電源回路
38 I/O回路
39 パッド
40 シリコン基板
41 コンタクト用P+拡散層
42 金属薄膜
43 N型拡散層
44 転送ゲート電極
45 リセット・ゲート電極
46、47 N+拡散層
48 NチャネルMOS型電界効果トランジスタ(ソースフォロア・アンプ)
51、53、56 スイッチング用MOS型電界効果トランジスタ
52、54 キャパシタ
55 差動アンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長範囲に感度のある複数の画素を所定のピッチで直線状に配列したリニアセンサと、
前記リニアセンサを構成する前記複数の画素の配列方向と平行な方向に対して共振波長が変化する特性を有しており、入射光を分光して前記リニアセンサに入射するファブリペロ干渉計と、
前記ファブリペロ干渉計への入射光を平行化する光線平行化手段と、
前記光線平行化手段に測定する波長の被検出光を入射する光源と
を備えることを特徴とする分光器。
【請求項2】
前記リニアセンサと被測定対象物との間に、前記リニアセンサへの入射光の不要な波長を除去する光学フィルタを更に備えることを特徴とする請求項1記載の分光器。
【請求項3】
前記ファブリペロ干渉計は、それぞれ一面に形成された反射面が互いに離間対向する平板状の第1及び第2の誘電体の両端が固定されており、かつ、前記第1及び第2の誘電体の互いの間隔が一方の固定端の間隔から他方の固定端の間隔まで直線的に変化するように配置されることにより、共振波長の分布を形成している構成であることを特徴とする請求項1又は2記載の分光器。
【請求項4】
前記光線平行化手段は、複数の孔が開けられたシートからなり、前記複数の孔のそれぞれは、軸方向の長さが前記軸方向に対して垂直方向の横断面の最大長よりも大なる長さであり、内部の側面が無反射状態とされていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項記載の分光器。
【請求項5】
前記リニアセンサは、前記複数の画素のそれぞれが、基板の表面に金属を接触させた構造のショットキー・バリア・ダイオードで構成されており、前記基板の裏面から前記ファブリペロ干渉計を通して光が入射する構成であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項記載の分光器。
【請求項6】
前記ショットキー・バリア・ダイオードに蓄積した電荷を前記基板と反対導電型の高濃度拡散層に転送する転送手段と、
前記高濃度拡散層に蓄積された電位変化を信号として読み出す読み出し回路手段と
を備えることを特徴とする請求項5記載の分光器。
【請求項7】
前記光源はピーク波長が予め既知である光を出射する光源であり、
その光源からの光を拡散して前記光線平行化手段に入射する拡散板と、
前記複数の画素のうち読み出し信号が最大の強度を示した画素を前記ピーク波長を測定している画素と特定し、その特定した画素と隣接する画素との既知の測定波長の差とに基づいて、前記複数の画素のすべてについてその測定波長を特定する特定手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項記載の分光器。
【請求項1】
所定の波長範囲に感度のある複数の画素を所定のピッチで直線状に配列したリニアセンサと、
前記リニアセンサを構成する前記複数の画素の配列方向と平行な方向に対して共振波長が変化する特性を有しており、入射光を分光して前記リニアセンサに入射するファブリペロ干渉計と、
前記ファブリペロ干渉計への入射光を平行化する光線平行化手段と、
前記光線平行化手段に測定する波長の被検出光を入射する光源と
を備えることを特徴とする分光器。
【請求項2】
前記リニアセンサと被測定対象物との間に、前記リニアセンサへの入射光の不要な波長を除去する光学フィルタを更に備えることを特徴とする請求項1記載の分光器。
【請求項3】
前記ファブリペロ干渉計は、それぞれ一面に形成された反射面が互いに離間対向する平板状の第1及び第2の誘電体の両端が固定されており、かつ、前記第1及び第2の誘電体の互いの間隔が一方の固定端の間隔から他方の固定端の間隔まで直線的に変化するように配置されることにより、共振波長の分布を形成している構成であることを特徴とする請求項1又は2記載の分光器。
【請求項4】
前記光線平行化手段は、複数の孔が開けられたシートからなり、前記複数の孔のそれぞれは、軸方向の長さが前記軸方向に対して垂直方向の横断面の最大長よりも大なる長さであり、内部の側面が無反射状態とされていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項記載の分光器。
【請求項5】
前記リニアセンサは、前記複数の画素のそれぞれが、基板の表面に金属を接触させた構造のショットキー・バリア・ダイオードで構成されており、前記基板の裏面から前記ファブリペロ干渉計を通して光が入射する構成であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項記載の分光器。
【請求項6】
前記ショットキー・バリア・ダイオードに蓄積した電荷を前記基板と反対導電型の高濃度拡散層に転送する転送手段と、
前記高濃度拡散層に蓄積された電位変化を信号として読み出す読み出し回路手段と
を備えることを特徴とする請求項5記載の分光器。
【請求項7】
前記光源はピーク波長が予め既知である光を出射する光源であり、
その光源からの光を拡散して前記光線平行化手段に入射する拡散板と、
前記複数の画素のうち読み出し信号が最大の強度を示した画素を前記ピーク波長を測定している画素と特定し、その特定した画素と隣接する画素との既知の測定波長の差とに基づいて、前記複数の画素のすべてについてその測定波長を特定する特定手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項記載の分光器。
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図4】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図4】
【公開番号】特開2012−154780(P2012−154780A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13837(P2011−13837)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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