説明

分割されたリングの圧縮成形方法

本発明は、ポリマー粉末または金属粉末から、離隔または間隙(5、10)を有する成形部品(1)を製造するための方法である。この離隔または間隙は、プレス部品を形成するための粉末成形材料をダイキャビティに充填する前、その間、またはその後に、ダイキャビティ内にセパレータまたは間隙形成材料を挿入することによって形成される。プレス部品を形成した後、セパレータまたは間隙形成材料を除去して離隔または間隙を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末から得られる成形部品に関する。より詳細には、本発明は、粉末組成物から成形部品を得て、この成形部品に、離隔、または間隙、あるいは両方を設けるための方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2006年6月15日に出願された米国仮特許出願第60/813,812号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
シールリングおよびピストンリングなどの機械部品および機械構成部品は、圧縮成形などの粉末成形技術を用いて作製することができる。成形用粉末は、金属、セラミック、またはポリマーなどの材料から調製することができる。
【0004】
融点または軟化点が非常に高いポリマーは、容易に流動せず、このため、一般に射出成形可能であるものとみなされていない。多くの場合、粉末成形技術が、かかるポリマーから成形部品を製造する好ましい方法である。しかしながら、非溶融粉末は通常、溶融可能すなわち熱可塑性のポリマーほど容易に流動したり成形型内に分配されたりしないため、微細な離隔またはより広いギャップなどの特徴部を部品内に成形するのが困難であることがある。離隔を必要とする部品の一例は、シールリングであり得、ここで離隔により、リングを開いて、軸上に配置することが可能になり、または熱膨張が可能になる。これ以降、「離隔」、「ギャップ」、および「継手」という用語は同義的に使用される場合がある。
【0005】
機械部品および機械構成部品の製造において、耐熱樹脂が金属を代替することが多くなってきている。結果として、機械部品および機械構成部品のための製造および代替費用のかなりの削減が実現されている。機械部品および機械構成部品の金属を代替するために、耐熱樹脂は、機械的摩耗、表面応力、および極端な温度条件に対する高い耐性を有している必要がある。さらに、耐熱樹脂の性能特性は、代替される金属の性能特性と同等以上である必要がある。
【0006】
ポリイミドは、その機械的強度、寸法安定性、熱安定性、化学安定性、難燃性、および誘電特性のために特に好ましい耐熱樹脂である。1965年4月20日にエドワーズ(Edwards)に付与された米国特許公報(特許文献1)に記載されているものなどのポリイミドが、多種多様な商業的用途に使用可能である。これらのポリマーは、応力下および高温でのその性能特性により、ブシュ、シール、電気絶縁体、断熱材、コンプレッサ翼およびインペラ、ピストンおよびピストンリング、ギヤ、スレッドガイド、カム、ブレーキライニング、ならびにクラッチフェースとして有用である。
【0007】
使用するのに適したポリマーの望ましいグループは、高温で望ましい機械的特性を保持するものである。しかしながら、このグループのポリマーは、非常に高温で溶融したり、または溶融せずに分解したりすることが多い。さらに、溶融相でのその粘度が非常に高い。したがって、これらのポリマーは、加工しにくい(intractable)、すなわち、溶融加工できないものとみなされている。このため、これらのポリマーを成形品に成形することは良くても高コストであり、多くの場合難しい。例えば、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とからなるナイロンは、優れた耐熱性を示すが、その結晶融点に達する前に分解するため、溶融紡糸または成形できない。同様に、ピロメリット酸無水物(pyromellitic anhydride)と芳香族ジアミンとからなるポリイミドなどの、多くの他の実質的に芳香族のポリマーは溶融加工できない。かかる加工しにくいポリマーを有用な物品へと加工するのに粉末加工および焼結技術が用いられている。このため、本出願の文脈では、「溶融加工できない」とは、はっきりした融点を有する樹脂微粒子の場合少なくとも260℃の溶融転移温度(「Tm」)を有するか、またははっきりした融点を有さないが少なくとも260℃までの温度で安定である樹脂微粒子を指す。
【0008】
シールリングは、様々な材料から、最も一般的には鋳鉄などの金属、および様々なポリマーから作製されている。優れた高温特性、低い摩擦係数、および低減された耐磨耗性を有するポリマーが、シールリング用途に特に有用であることが分かっている。リングがピストンまたは軸上に配置され、リング材料が非弾性であることが多いため、ピストンまたは軸の取付けならびにピストンまたは軸からの取り外しを容易にするために、離隔をリングに配置しなければならない。離隔はまた、シールリングの熱膨張および熱収縮を可能にする。シールリングは、例えばコンプレッサ、オートマチックトランスミッション、およびパワーステアリング装置におけるように、軸またはロッドとボアとの間にシールを形成するために、機械的装置に用いられる。シールリングは、一般に、開いた環形状をとっており、円筒状のハウジング内に位置する軸またはロッドの周囲の溝に装着することができる。シールリングの機能は通常、円筒状のハウジング内で軸またはロッドを回転させたり脈動させたりしながら、リングの一方の側から他方の側への流体の漏れを制御することである。シールリングは継手を備えて作製されており、この継手は、例えば軸の熱膨張または熱収縮の際に起こるように、シールリングが装着される軸またはロッドの膨張または収縮とともにリングを膨張または収縮させる。かかる膨張可能なシールリングの継手は、様々な幾何学的形態で作製されており、一般には、リングの機能的要件と求めやすさとを両立するものである。ほぼ全ての設計において、ハウジング内で動作している際に、リングの端部間の離隔の開きが最小限にされるのが好ましい。一般的に知られているシールリング用継手構成としては、突き合わせ継手、スカーフ継手、および段継手(step joint)が挙げられる。これらのシールリングのある用途は、コンプレッサ、ポンプ、オートマチックトランスミッション、およびパワーステアリング装置である。これらのリングに離隔を作製するための公知の方法は、直接成形、機械加工または破断である。かかるリングの機械加工は面倒で手間がかかり、高い部品製造コストにつながる。さらに、リングが機械加工されたら、材料を実際にリングから除去し、それによって、機械加工された縁部を再び互いに接触させたときに、リングは「完全な円ではない」、すなわちもはや円形ではない。
【0009】
ベスペル(Vespel)(登録商標)リングなどの半剛性のリングは、軸のリング溝に配置されるように前記軸にわたって伸張することができない。トランスミッション液などの流体を封止することを目的とするリングは、高圧側および低圧側を有する。リングは、溝に適切に載せられて、シールを形成すべきであり、これによって高圧流体が自由にリングを通過して低圧側に行くのを防止する。しかし、半剛性のリングを取り付けるためには、リングは、リング溝の大きい軸径を越えるように拡張(リングの有効径を増大)されたり、小さい方の軸径に配置されたりできるように離隔を有さなければならない。好ましいリング離隔は、環境条件の変化に応じてリング径の拡大/縮小を可能にするものである。好ましいリング離隔はまた、それが動作する条件の全範囲にわたって一定の封止能力を維持するであろう。好ましい離隔は、段差(step gap)継手またはスカーフ継手リングにおけるような、重なる部分を有するものである。
【0010】
バーグ(Berg)に付与された米国特許公報(特許文献2)には、リングを破断する方法が記載されており、この方法では、まず「切り欠き」をエッチングするか、またはリングの外側表面に刻み目を付け、次に切り欠きを付けた領域を重いもので打って破断を形成する。ヴァン・ライパー(Van Ryper)らに付与された米国特許公報(特許文献3)には、対向する面を形成するためにその厚さを通して破断線を有するシールリングが開示されている。エドワーズ(Edwards)の米国特許公報(特許文献4)には、支持ピンの代わりに窪んだポケットを用いる改良された破断装置が開示されている。
【0011】
キャビティ、溝、チャンバーなどのような間隙を有する部品は、通常、やはり面倒で手間のかかる機械加工によって製造され、高い部品製造コストにつながる。
【0012】
【特許文献1】米国特許第3,179,614号明細書
【特許文献2】米国特許第3,720,418号明細書
【特許文献3】米国特許第5,988,649号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0156004号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
成形プロセスの際に粉末成形部品に離隔および間隙を形成するための方法を与えることが望ましいであろう。粉末成形シールリングに離隔を形成するための効率的な方法を与えることがさらに望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、粉末金属または粉末樹脂を圧縮成形して、部品が形成される際に圧密化プロセスで予め規定された部分的なもしくは完全な離隔仕切りまたは間隙を有する金属または非金属のプレス部品を製造するための方法を提供する。これは、粉末樹脂または粉末金属を充填する前、その間、またはその後に、セパレータまたは間隙形成材料をダイキャビティに挿入することによって行われる。セパレータまたは間隙形成材料は、成形部品の離隔または間隙が必要とされる位置に配置される。好ましい一実施形態では、セパレータ材料は、フィルムまたはシートの形態をとっている。セパレータまたは間隙形成材料は、様々な幾何学形状を有するギャップまたは間隙を付与するために、挿入される前に成形されてもよい。部品をプレスした後、あるセパレータまたは間隙形成材料(紙など)は、硬化または焼結プロセスにおいて、炭化して灰にすることによって取り除くことができ、他のセパレータまたは間隙形成材料(金属など)は物理的に取り除くことができる。
【0015】
一態様では、本発明は、1つまたは複数の離隔を有するプレス部品の製造方法であって、(a)1つまたは複数の工程で、ダイキャビティに粉末成形材料を充填する工程と、(b)前記充填工程の前、その間、またはその後に、プレス部品の所望の離隔の位置における1つまたは複数の箇所において、セパレータ材料をダイキャビティ内に挿入する工程と、(c)粉末成形材料を成形型内に圧縮してプレス部品を形成する工程と、(d)プレス部品を成形型から取り外す工程と、(e)セパレータ材料をプレス部品から取り除く工程とを含む方法を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、1つまたは複数の間隙を有するプレス部品の製造方法であって、(a)1つまたは複数の工程で、ダイキャビティに粉末成形材料を充填する工程と、(b)前記充填工程の前、その間、またはその後に、プレス部品の所望の間隙の位置における1つまたは複数の箇所において、間隙形成材料をダイキャビティ内に挿入する工程と、(c)粉末成形材料を成形型内に圧縮してプレス部品を形成する工程と、(d)プレス部品を成形型から取り外す工程と、(e)間隙形成材料をプレス部品から取り除く工程とを含む方法を提供する。
【0017】
本発明は、添付の図面とともに解釈される以下の詳細な説明からより十分に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書で使用する際に、以下の用語は、以下の意味を有するものとする。
(a)「圧縮成形」とは、圧力のみを加えるか、あるいは熱および圧力を同時にまたは順次加えることによって、ポリマー粉末、非ポリマー粉末またはそれらの混合物から部品を作製するための、直接成形および焼結、静水圧成形、押出ラム成形、および/または当業者に公知の他の方法を含む任意の方法を意味するものとし、この方法によって、粉末を圧密化して後続の加工工程を通して形状を維持するのに十分に高い密度を有する成形品を形成する。
(b)「直接成形」とは、粉末をダイまたは成形型内に圧縮して、未焼成(green)または未硬化部品を製造することを意味するものとする。
(c)「焼結」とは、ばらばらの粒子を加熱して、溶融させずに粘性塊を形成するための方法を意味するものとする。
(d)「炭化」とは、材料を灰になるまで加熱することによる分解を意味するものとする。
(e)「端部ギャップ(end gap)」とは、部品の2つの対向する端部間の空間的離隔を意味するものとする。
(f)「継手」とは、1つまたは複数の物品の複数の部分が接合される領域を意味するものとする。
(g)「突き合わせ継手」とは、端部の重なりのない、2つの端部の継手を意味するものとする。
(g)「段継手」とは、段形状の、重なっている継手を意味するものとする。
(h)「スカーフ継手」とは、角度付け(angling)、面取り、相欠き(halving)、または切欠きによって形成された相補的に係合する部分を有する、重ねられた端部を含む部品の列になった(in−line)継手を意味するものとする。
(i)「セパレータ」とは、成形型内の粉末成形材料に導入される仕切りを意味するものとする。
(j)「セパレータ材料」とは、セパレータの構成に用いられる物質を意味するものとする。
【0019】
本発明は、少なくとも1つの離隔、および/または少なくとも1つの間隙を有するプレス部品を有利に作製する方法を提供する。本方法により、成形プロセスの際に離隔を設けることが可能になり、離隔を形成するための機械加工または破断などのさらなる工程が不要になる。
【0020】
一実施形態では、本発明は、粉末を圧縮成形するための方法である。好ましい方法は、圧縮の前に、紙などのセパレータ材料を、粉末を充填したダイキャビティに挿入することである。別の実施形態では、キャビティを充填する前、またはキャビティを部分的に充填した後か、またはキャビティを充填した後に、金属などのセパレータ材料をダイキャビティに挿入する。
【0021】
セパレータ材料の形態およびその厚さおよび剛性により、圧縮成形および焼結の後の離隔の形状が決まる。予め充填されたダイキャビティの粉末を通して挿入される際にセパレータ材料の位置および形状を制御するのに十分に剛性である紙または類似の材料が好ましい。かかるセパレータ材料を、充填が完了される前に、部分的に充填されたキャビティとともに用いることもできる。紙または類似の材料は、容易に取り除かれる灰からなる離隔領域を残して、高い焼結温度で炭素に変わるというさらなる利点を与える。金属などの他のセパレータ材料は、圧縮後に取り除くことができる。セパレータ材料は、セパレータ材料の上端および下端を露出するように位置決めされてもまたはそのように位置決めされなくてもよい。
【0022】
次に、粉末成形材料は、従来の圧縮成形技術を用いて、成形型内に圧縮されてプレス部品を形成し、次に成形型内から取り外される。セパレータ材料を取り除くのに焼結を用いることができる。
【0023】
セパレータ材料の上端および下端の両方を露出するように位置決めされない場合、プレスおよび焼結された部品を、例えば、機械加工または破断といった最終工程によって加工して、離隔を完成させなければならない。焼結プロセスの後、プレス部品の一部を変位するか、またはリングの場合にはリング端部を離隔点における他方の端部から変位するのに十分な力をかけるだけで離隔を露出させる。この工程は、セパレータがリングの断面全体を通した完全な離隔を与える場合には省略される。
【0024】
また、本発明は、少なくとも1つの間隙を有するプレス部品を製造するための方法を提供する。1つまたは複数の間隙を有するプレス部品の製造方法であって、1つまたは複数の工程で、ダイキャビティに粉末成形材料を充填する工程と、前記充填工程の前、その間、またはその後に、前記プレス部品の所望の間隙の位置における1つまたは複数の箇所において、間隙形成材料をダイキャビティ内に挿入する工程と、粉末成形材料を成形型内に圧縮して前記プレス部品を形成する工程と、前記プレス部品を前記成形型から取り外す工程と、前記間隙形成材料を前記プレス部品から取り除く工程とを含む方法を提供する。
【0025】
間隙は、間隙形成材料を用いて形成可能であり、フィルムまたはシートのセパレータ材料または間隙形成材料を用いることに限定されない。例えば、チューブ、カラムまたは他の形の幾何学形状を用いて、後の機械加工工程を必要とせずに部品の孔すなわち、間隙を設けてもよい。間隙は、キャビティ、溝、チャンバーの形態または様々な形状の他の形態であってもよい。溝を用いて、例えば、部品を通過する流体を冷却することができる。間隙を形成するのに用いられる材料は、離隔を形成するのに用いられる材料と同じである。間隙形成材料は、炭化によってプレス部品から取り除くことが可能な材料から選択されるのが好ましい。間隙形成材料の選択は、間隙の寸法内で許容され得る公差にも依存する。公差が厳しくなるほど、高度に圧縮され成形の圧力によって変形されない間隙形成材料に対する要求が高まる。圧縮された紙または剛性のボール紙は、かかる用途のための2つの候補となる間隙形成材料である。
【0026】
また、本発明は、少なくとも1つの離隔および少なくとも1つの間隙を有するプレス部品の製造方法を提供する。
【0027】
本発明の手順により、いくつかの部品がプレスによって直接成形するのが可能になり、部品の密度勾配がなくなり、二次的な機械加工が必要なくなる。
【0028】
離隔を形成するための一実施形態では、部品をプレスする前に、フィルム材料が、充填された、または部分的に充填されたキャビティの樹脂粉末に戦略的に導入される。このことは重要であるが、その理由は、全ての間隙が容易にかつ均一に充填可能であり、フィルムが、所望の位置および箇所に戦略的に配置されるように樹脂を通って「切れる」ほど剛性である必要はないためである。部品を形成するために樹脂を圧縮する際、フィルムが樹脂とともに「流動」して、部品内、特に仕切り領域内の非常に均一な密度を可能にする。フィルムが樹脂に付着するであろう場合、フィルムは、焼結プロセスで分解によって取り除かれることとなる。したがって、フィルムは、ダイまたはパンチセットの部分のように、樹脂粉末内の物理的な仕切りとして働くが、可撓性であり、圧縮時に樹脂と合わさる。フィルムは、取り除かれると、機械加工または破断を必要とせずに、部品の部分間の非常に小さなギャップ離隔を残す。セパレータ材料は、金属、ポリマー、紙、ボール紙、無機材料またはセラミックを含んでもよい。熱分解を経るフィルム材料の場合、フィルムは、恒久的なものではなく、高温焼結プロセスの際に容易に取り除かれる。手作業で、またはロボットの補助によって、キャビティの上部開口またはダイ壁に戦略的に配置された穿孔から、充填されたキャビティ内にフィルムを挿入してもよい。好ましくは、外側ダイキャビティ壁にスリットを配置して、それを通して、充填されたキャビティ内に側方からフィルムを供給する。場合によっては、所望の離隔の位置における1つまたは複数の箇所においてセパレータ材料を挿入するのが有利であり得る。セパレータ材料がキャビティ壁を通して供給される場合、上側および下側パンチをせん断装置として用いて、次のサイクルに備えて、連続原料からフィルムをカットする。
【0029】
本発明においては、セパレータ材料は成形型に固定されない。固定されない、薄膜のセパレータ材料の性質は、圧縮時に、薄膜が樹脂粉末にしたがってそれとともに移動し、粉末樹脂を、セパレータ材料の周りに流動させ、密に充填させるようなものである。結果として、固定されたセパレータを用いるよりも、優れた品質の微細な離隔が得られる。固定されたセパレータは、例えば成形型内に組み込まれた金属タブといった、成形型の一体部品であるものである。固定されたセパレータの欠点は、セパレータ表面までの密な充填を行うのが難しいことである。品質の低い離隔が結果として生じることがある。成形プロセスの際、本発明に用いられるセパレータ材料は、流動しているおよび圧縮している樹脂との接触部からの応力を受ける。セパレータ材料のタイプに応じて、これらの応力の結果、焼結前の「未焼成」部品のセパレータ材料の縁部を示す図1のセパレータの縁部に沿って示されるわずかな座屈または凹凸のある波形パターンが生じることがある。セパレータ材料の凹凸は、図2に示される、隣接する圧縮された樹脂において対応するパターンを与える。部品の2つの端部は、端部を合わせた際にぴったり「嵌合する」、対向する相補形のパターンを有する。
【0030】
シールリングの場合、傾斜した合わせ面は、加圧された液体または気体の流れを抑える蛇行した経路となり、漏れを低減する。同様の効果がV字形、段および他の離隔で得られる。機械加工によって傾斜したまたはV字形の離隔を形成することが可能であるが、表面は平滑であろう。適切な切断技術を選択することによって、粗面加工された表面を形成することができるであろうが、前記表面は、本発明におけるようなぴったりした合わせ面ではないであろう。
【0031】
様々な形状のセパレータ材料を用いて、シールリングの蛇行した経路を形成することができる。図は、いくつかのセパレータ材料の形態および結果として得られる離隔を例示している。図1は、傾斜したセパレータ材料の縁部2がリング1の上部3および外側4において露出された状態の、焼結前のプレスリング1を示す。図2は、セパレータ材料が取り除かれ、離隔5をよりはっきりと示すためにリング1がわずかに開いた状態の、焼結後の図1のリング1を示す。図3は、V字形のセパレータ材料の縁部7がリング6の上部8および外側9において露出された状態の、焼結前のプレスされたリング6を示す。図4は、セパレータ材料が取り除かれ、離隔10をよりはっきりと示すためにリング6がわずかに開いた状態の、焼結後の図3のリング6を示す。図5は、セパレータ材料12の水平シートの縁部13がリング11の外側13において露出された状態の、焼結前のプレスされたリング11を示す。シートのセパレータ材料12の面は、リング11の上部14の表面に平行である。リング11の上面および底面は、リングの上部14の位置15およびリングの下部の位置16において刻み目または切り欠きを付けられる。位置15は、シートのセパレータ材料12の一端の真上であり、位置16は、シートのセパレータ材料12の反対側の端部の真下である。図6は、セパレータ材料が取り除かれた状態の、焼結後の図5のリング11であって、リングを刻み目または切り欠きの位置で破断して完全な離隔17を設けるために刻み目または切り欠きにおいて切り抜いた後のリング11を示す。リング11は、離隔17をよりはっきりと示すためにわずかに開いて示されている。
【0032】
破断技術を用いた離隔の形成により、合わせ面が生じるが、破断は、簡単な突き合わせ継手しか形成せず、嵌合するスカーフ継手よりもはるかに短い流体漏れ用経路を形成する。機械加工も破断も、本発明において得られるようなぴったりした合わせ面を有する、傾斜した、重なっている継手を設けることはできない。機械加工を用いて傾斜した継手を設けることができるが、表面に、本発明におけるような凹凸がない。破断は、ぴったりとした相補形の合わせ面を形成するが、傾斜した、重なっている幾何学形状を有する継手を形成することはできない。本発明は、継手の各側が他方の側に対してぴったりとした相補形になっている状態で、凹凸のある表面および重なっている幾何学形状を有する傾斜した継手を提供する。各側がぴったりと相補形となって結合される、本発明において提供される凹凸のある表面または粗面は、漏れに対するさらなる防止を提供するため、本発明の利点である。セパレータ材料として用いるのに適した材料は、ポリマー、無機物、金属、セラミック、繊維材料(紙、ボール紙、もしくは布など)、または複合物を含む。
【0033】
本発明に用いるのに適した成形材料としては、ポリマー、金属、およびセラミックなどの粉末材料が挙げられる。本発明に有用な金属粉末は、当業者に公知の粉末金属技術で用いられるものであろう。かかる金属粉末としては、限定されないが、鉄、鋼、アルミニウム、銅、真ちゅう、青銅、またはニッケルが挙げられる。
【0034】
多種多様なポリマーが本発明において用いるのに適しており、これらとしては、限定されないが、ポリフェニレン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド、酸化ポリフェニレンスルフィド、ポリイミドチオエーテル、ポリオキサミド、ポリイミン、ポリスルホンアミド、ポリイミド、ポリスルホンイミド、ポリイミジン、ポリピラゾール、ポリイソオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリチアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリオキサジアゾール、ポリトリアゾール、ポリトリアゾリン、ポリテトラゾール、ポリキノリン、ポリアントラゾリン、ポリピラジン、ポリキノキサリン、ポリキノキサロン、ポリキナゾロン、ポリトリアジン、ポリテトラジン、ポリチアゾン、ポリピロン、ポリフェナントロリン、ポリカルボシランおよびポリシロキサン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、エポキシポリマー、ビスマレイミドポリマー、フェノールポリマー、フランポリマー、尿素ベースのポリマー、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、ジアリルフタレート、ビニルエステル、メラミン、ナイロンポリマー、液体芳香族ポリアミド、液体芳香族ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリマー上のビニル、およびポリテトラフルオロエチレンもしくはパーフルオロアルコキシなどのフルオロポリマー、液晶ポリマー(LCP)、ウレタン、エチレンビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂、あるいはそれらの混合物、コポリマーまたはブレンドが挙げられる。
【0035】
ポリイミドは1つの好ましいポリマーである。ポリイミドは、ポリマー骨格の主鎖に沿って線状または複素環単位として特徴的な−CO−NR−CO−基を含有する。ポリイミドは、例えば、有機テトラカルボン酸、またはその対応する無水物またはエステル誘導体などのモノマーと、脂肪族または芳香族ジアミンとの反応から得られる。
【0036】
ポリイミドを調製するために用いられるポリイミド前駆体は、ポリイミド前駆体を加熱するかまたは化学的に処理した際に対応するポリイミドになる有機ポリマーである。このように得られるポリイミドの特定の実施形態では、そのポリマー鎖の繰返し単位の約60〜100モルパーセント、好ましくは約70モルパーセント以上、より好ましくは約80モルパーセント以上が、例えば、次式:
【0037】
【化1】

【0038】
(式中、Rは6個の炭素原子の1〜5個のベンゼノイド不飽和環を有する4価芳香族基であり、4個のカルボニル基はR基のベンゼン環中の異なる炭素原子に直接結合しており、カルボニル基の各対はR基のベンゼン環中の隣接する炭素原子に結合しており、Rは炭素原子の1〜5個のベンゼノイド不飽和環を有する2価芳香族基であり、2個のアミノ基はR基のベンゼン環中の異なる炭素原子に直接結合している)
によって表されるポリイミド構造を有する。
【0039】
好ましいポリイミド前駆体は芳香族であり、イミド化されたときに、芳香族化合物のベンゼン環がイミド基に直接結合されたポリイミドを提供する。特に好ましいポリイミド前駆体としては、例えば、次の一般式:
【0040】
【化2】

【0041】
(式中、Rは6個の炭素原子の1〜5個のベンゼノイド不飽和環を有する4価芳香族基であり、4個のカルボニル基はR基のベンゼン環中の異なる炭素原子に直接結合しており、カルボニル基の各対はR基のベンゼン環中の隣接する炭素原子に結合しており、Rは炭素原子の1〜5個のベンゼノイド不飽和環を有する2価芳香族基であり、2個のアミノ基はR基のベンゼン環中の異なる炭素原子に直接結合している)
によって表される繰返し単位を有するポリアミド酸であって、2つ以上の繰返し単位のホモポリマーまたはコポリマーのいずれかであり得るポリアミド酸が挙げられる。
【0042】
上記の一般式で表される繰返し単位を有するポリアミド酸の典型的な例は、ピロメリット酸二無水物(「PMDA」)とジアミノジフェニルエーテル(「ODA」)とから、ならびに3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(「BPDA」)とODAとから得られるものである。閉環されると、前者はポリ(4,4'−オキシジフェニレンピロメリットイミド)になり、後者はポリ(4,4'−オキシジフェニレン−3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボキシイミド)になる。
【0043】
溶液イミド化法によって調製されるポリイミドの典型的な例は、以下の繰返し単位:
【0044】
【化3】

【0045】
(式中、Rは60超〜約85モルパーセントのパラフェニレンジアミン(「PPD」)単位および約15〜40モルパーセント未満のメタフェニレンジアミン(「MPD」)単位である)
を有する剛性の芳香族ポリイミド組成物である。
【0046】
本発明の実施に好ましく用いられるテトラカルボン酸、または本発明の実施に有用な誘導体を調製することができるテトラカルボン酸は以下の一般式で表されるものである。
【0047】
【化4】

【0048】
式中、Aは4価有機基であり、R〜Rは、水素または低級アルキルであり、好ましくはメチル、エチル、またはプロピルを含む。4価有機基Aは好ましくは以下の構造のうちの1つを有する。
【0049】
【化5】

【0050】
ここで、Xは、以下のうちの少なくとも1つを含む。
【0051】
【化6】

【0052】
−O−、−S−、−SO−、−CH−、−CHCH−、および
【0053】
【化7】

【0054】
芳香族テトラカルボン酸成分としては、芳香族テトラカルボン酸、その酸無水物、その塩およびそのエステルが挙げられる。芳香族テトラカルボン酸の例としては、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ホスフィン、2,2−ビス(3',4'−ジカルボキシフェニル)ヘキサフロオロプロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、およびビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンが挙げられる。
【0055】
これらの芳香族テトラカルボン酸は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、およびそれらの混合物が特に好ましい。
【0056】
有機芳香族ジアミンとして、当該技術分野でそれら自体公知である、1つまたは複数の芳香族および/または複素環ジアミンが使用されるのが好ましい。かかる芳香族ジアミンは、構造:HN−R10−NH(式中、R10は16個以下の炭素原子を含有する、任意選択的に、環中に−N−、−O−、または−S−を含む1個以下のヘテロ原子を含有する芳香族基である)によって表すことができる。ジフェニレン基またはジフェニルメタン基であるR10基も本明細書に含まれる。かかるジアミンの代表例は、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、p,p'−メチレンジアニリン、2,6−ジアミノトルエン、および2,4−ジアミノトルエンである。
【0057】
例示に過ぎない芳香族ジアミン成分の他の例としては、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、および1,2−ジアミノベンゼンなどのベンゼンジアミン;4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、および4,4'−ジアミノジフェニルチオエーテルなどのジフェニル(チオ)エーテルジアミン;3,3'−ジアミノベンゾフェノンおよび4,4'−ジアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノンジアミン;3,3'−ジアミノジフェニルホスフィンおよび4,4'−ジアミノジフェニルホスフィンなどのジフェニルホスフィンジアミン;3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルプロパン、および4,4'−ジアミノジフェニルプロパンなどのジフェニルアルキレンジアミン;3,3'−ジアミノジフェニルスルフィドおよび4,4'−ジアミノジフェニルスルフィドなどのジフェニルスルフィドジアミン;3,3'−ジアミノジフェニルスルホンおよび4,4'−ジアミノジフェニルスルホンなどのジフェニルスルホンジアミン;ならびにベンジジンおよび3,3'−ジメチルベンジジンなどのベンジジンが挙げられる。
【0058】
他の有用なジアミンは、少なくとも1個の非ヘテロ原子含有芳香環、または官能基で架橋された少なくとも2個の芳香環を有する。
【0059】
これらの芳香族ジアミンは、単独でまたは組み合わせて用いることができる。1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、およびそれらの混合物が、芳香族ジアミン成分として好ましくは用いられる。
【0060】
本発明のポリマー粉末と組み合わせて様々な充填剤および添加剤を用いてもよい。これらとしては、限定されないが、ガラス繊維、セラミック繊維、ホウ素繊維、ガラスビーズ、ウィスカ、ダイヤモンド粉末、アルミナ、またはシリカ、天然雲母、合成雲母、アルミナ、カーボンブラック、銀粉末、銅粉末、アルミニウム粉末、ニッケル粉末、アラミド繊維、金属繊維、セラミック繊維、ウィスカ、炭化ケイ素、酸化ケイ素、アルミナ、マグネシウム粉末、チタン粉末、チョップト炭素繊維、ミルド炭素繊維、黒鉛、フッ素含有微粉末、層状ケイ酸塩、カオリナイト、白雲母、滑石、フルオロポリマー、二硫化モリブデン、酸化亜鉛、炭化タングステン、シリコーン、カーボンブラック、粒状ポリイミド、窒化ホウ素、アラミド、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0061】
本発明の粉末は、温度および圧力の様々な条件下で成形可能である。通常、粉末を成形して、本発明の成形部品を得るためには、約500°F〜約3200°Fの焼結温度を、単独で、または部品面の平方インチ当たり約15,000〜約120,000ポンドの範囲の圧力と組み合わせて用いることができる。保持時間、すなわち粉末が温度および圧力の適切な成形条件で保持される時間は、プロセス条件または他の変数に応じて、約1分間から約5日間まで様々であり得る。
【0062】
従来の成形機器を用いて、粉末をプレスして本発明の部品にすることができる。必要に応じて、手作業および/または自動化された手順を用いることができる。
【実施例】
【0063】
80トンのパウダーメイト(PowderMate)(登録商標)液圧プレスおよび工具セットを用いて、ポリイミド樹脂粉末から、4インチの外径および0.15インチの厚さを有するいくつかのリングを成形した。ダイにポリイミド樹脂を充填し、ピンセットまたはラジオペンチを用いて、予めカットした紙の仕切りを、樹脂を充填したキャビティ内に挿入した。厚さ0.003インチ(0.07mm)の印刷用紙および厚さ0.011インチ(0.27mm)のより硬いインデックスカード紙を用いた。継手の幾何学形状を形成するのに用いられる湾曲部を考慮に入れて、リングの壁厚の幅(外径マイナス内径)、および一端が下パンチ(bottom punch)に接触可能であり、反対側の他端が、充填されたキャビティの上部にちょうど達するような十分な長さに、仕切りを予めカットした。最も簡単な技術および作製される第1のリングは、樹脂を充填したキャビティ内に一定の角度で挿入される厚さ0.003インチ(0.07mm)の印刷用紙でできた直線状の仕切り(湾曲部がない)を使用した。これにより、図2に示したものと同様の、圧縮された波形の斜めの仕切りが形成されるであろう。波形の効果は、紙の剛性特性が低いため、紙の圧縮によって生じた。
【0064】
上記の斜めの仕切りより複雑なリング端部継手を形成する能力を実証するために、挿入される仕切りの幾何学形状を変えることによってさらなるリングを製造した。厚さ0.011(0.27mm)のより重く、より硬いインデックスカード紙をまた用いて、波方のレベルが剛性によって制御され得るかどうかを判定した。セパレータ材料のための「Z」および「V」形態を具体的に試験した。これらの形態を挿入する際、仕切りを挿入し、次に樹脂を仕切りの周りを充填するように戻すために、キャビティにおいて樹脂を手作業でいくらか移動させる必要がある。次に、樹脂を標準的な圧縮力で圧縮して、標準的な圧縮密度になるようにリングを形成して、寸法仕様に合わせた。
【0065】
焼結した後、冷却する際に、仕切りをプレスしたリング端部を、わずかな引張りおよびねじり動作で、容易に離隔させた。リング端部は、互いにぴったりと入れ子になる相補形の突出部と凹みを呈していた。形成された鋭さ(sharpness)および複雑な形状は、他の公知の方法を用いて達成できないであろう。
【0066】
水平なセパレータ材料を用いて、仕切り材料がリングの内側表面および外側表面に露出された状態でリング壁の中間に位置する中央の仕切りを形成することによって、段差リングを形成するための代替的な手法としてさらなるリングを作製した。水平なセパレータ材料形態を図5に示す。
【0067】
これらのリングの製造を、下パンチを半分充填位置(half fill position)に下げ;フィードシューを移動させて半分の位置(half−position)のキャビティを満たし;フィードシューを保管(後部)位置に戻し;下側パンチを完全充填位置(full fill position)まで下げ;厚さ0.003インチ(0.07mm)の予めカットされた紙からなるセパレータ材料を樹脂の上に水平に置き;フィードシューを再び移動させて充填プロセスを完了させ;フィードシューを保管位置に戻し;上側パンチを下げてリングを圧縮成形し、部品を排出する(eject)ことによって行った。
【0068】
リングを全て、セルロース紙製品の仕切りが低酸素焼結サイクルにおいて高熱によって炭化される標準的な条件下で焼結した。
【0069】
図5に示すように、水平なセパレータ材料を有するリングに、その面上で刻み目を入れた。刻み目により、所望の端部および側部で確実に破断が生じるであろう。軸方向の湾曲力を用いて、リングを刻み目において切り抜き、分離技術および破断技術を組み合わせた段差リングを形成した。段の長さは、約0.3インチ(0.7cm)〜約3.5インチ(10cm)で変動した。
【0070】
したがって、厚さ1mm未満および厚さ0.1mm未満の紙が、良好な離隔をもたらした。
【0071】
自動リボン供給システムは、プレス内に、より詳細にはダイ壁を通して、樹脂を充填されたキャビティに仕切り材料を挿入するのを自動化するように設計および作製されるであろう。このプロセスは、技術を自動化するだけでなく、公差が予測可能な、一貫した好ましい幾何学形状を提供するであろう。他の技術を用いてプロセスを自動化することができる。また、仕切り材料は、厚さに対する剛性について最適化することができ、残灰を最小限に抑えるであろう。段差リングについて、リング表面に刻み目を付けることは、上側および下側パンチ面における隆起した線によって行われるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】傾斜したセパレータ材料の縁部が露出された状態の、焼結前のプレスされたリングを示す図である。
【図2】セパレータ材料が取り除かれ、離隔をよりはっきりと示すためにリングがわずかに開いた状態の、焼結後の図1のリングを示す図である。
【図3】V字形のセパレータ材料の縁部が露出された状態の、焼結前のプレスされたリングを示す図である。
【図4】セパレータ材料が取り除かれ、離隔をよりはっきりと示すためにリングがわずかに開いた状態の、焼結後の図3のリングを示す図である。
【図5】水平シートセパレータ材料の縁部が露出された状態の、上面および底面に刻み目のある、焼結前のプレスされたリングを示す図である。
【図6】セパレータ材料が取り除かれた状態の、焼結後の図5のリングであって、リングを刻み目の位置で破断して完全な離隔を設けるために刻み目において切り抜いた後のリングを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の離隔を有するプレス部品の製造方法であって、
(a)1つまたは複数の工程で、ダイキャビティに粉末成形材料を充填する工程と、
(b)前記充填工程の前、その間、またはその後に、前記プレス部品の所望の離隔の位置における1つまたは複数の箇所において、セパレータ材料を前記ダイキャビティ内に挿入する工程と、
(c)前記粉末成形材料を成形型内に圧縮して前記プレス部品を形成する工程と、
(d)前記プレス部品を前記成形型から取り外す工程と、
(e)前記セパレータ材料を前記プレス部品から取り除く工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記セパレータ材料が、フィルムまたはシートの形態にあることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セパレータ材料が、チューブまたはカラムの形態にあることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記粉末成形材料が、粉末金属、粉末ポリマー、および粉末セラミックからなる群から選択される材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記粉末成形材料が、充填剤および添加剤を含有する粉末ポリマーを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記粉末成形材料が、粉末ポリイミドを含んでなる粉末ポリマーを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記セパレータ材料が、ポリマー材料、無機材料、金属材料、セラミック材料、または繊維材料を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
【請求項8】
前記セパレータ材料が、紙、ボール紙または布を含んでなる繊維材料を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
焼結工程を用いて、前記セパレータ材料を前記プレス部品から取り除くことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記セパレータ材料が、平坦、V字形、湾曲形状、またはひだのある形状であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記セパレータ材料が、1.0mm以下の厚さを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記セパレータ材料が、0.1mm以下の厚さを有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記プレス部品が、圧縮成形を用いて形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記部品の離隔において対向する端部が、一方の端部が他方と相補形である粗い凹凸のある表面を有し、それによって合わせ面を形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法を用いて製造されることを特徴とするシールリング。
【請求項16】
前記シールリングが、ポリイミドポリマーを含んでなることを特徴とする請求項1に記載のシールリング。
【請求項17】
1つまたは複数の間隙を有するプレス部品の製造方法であって、
(a)1つまたは複数の工程で、ダイキャビティに粉末成形材料を充填する工程と、
(b)前記充填工程の前、その間、またはその後に、前記プレス部品の所望の間隙の位置における1つまたは複数の箇所において、間隙形成材料を前記ダイキャビティ内に挿入する工程と、
(c)前記粉末成形材料を成形型内に圧縮して前記プレス部品を形成する工程と、
(d)前記プレス部品を前記成形型から取り外す工程と、
(e)前記間隙形成材料を前記プレス部品から取り除く工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記間隙形成材料の前記挿入が、前記充填の前またはその間に行われることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記間隙形成材料が、前記セパレータ材料を炭化して灰にすることによって、前記プレス部品から取り除かれることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記粉末成形材料が、粉末ポリイミドを含んでなることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法を用いて製造されることを特徴とする、1つまたは複数の間隙を有するプレス部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−539658(P2009−539658A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515490(P2009−515490)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/013964
【国際公開番号】WO2007/146381
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】