説明

分岐トンネル分合流部構造およびその構築方法

【課題】 開削部分に当る供用中の地上の道路を交通規制する範囲を小さくすることで、安価に且つ強靭に、しかも短期間に安全に施工する分岐トンネル2の分合流部構造およびその構築方法を提供する。
【解決手段】 本線トンネル1に沿って地中連続壁体3を構築し、前記本線トンネル1と前記地中連続壁体3との間に、前記本線トンネル1から分合流して構築される分岐トンネル2の分合流部構造であって、前記本線トンネル1の上下部分から前記地中連続壁体3に向けて山留材8、9が延設され、前記山留材8、9と前記本線トンネル1と前記地中連続壁体3で囲まれた内部空間に、鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートの覆工体が構築され、該覆工体の内側に分合流部空間18が形成されて、分合流部躯体17が構築された

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分岐トンネルが本線トンネルから分合流する部分の構造およびその構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、首都圏や都市部等の住宅の密集した地域の渋滞解消の目的で、多くの道路が計画、又は、建設されている。それらの道路は、地上の用地取得が困難なため、地下に建設されることが増えてきている。
【0003】
従来、シールド機で地下高速道路等のトンネルの分合流部を構築する場合、地上から開削した開削分合流部にシールドトンネルを接続する開削工法によって構築するのが主流であった。また、近年では、2本のトンネルの通過部分の外側を、止水と山留めを目的とした連続地中壁を施工しておき、シールド通過後に2本のシールドトンネル間を掘削し、連結部のセグメントを解体し、分岐構造物を構築する方法が提案されている。従来の技術として、特許文献に記載のあるものとしては次の(1)の1件を挙げる。
(1)特許文献1(特開2003−148086号公報)
【0004】
掘削可能なセグメントを2つのトンネルが対向する側面に配置し、このトンネルの坑内から分合流部を構成する鉛直方向支持部材を、補強部材を兼ねて構築する。ランプ出入口に構築したU字擁壁部の一方から矩形シールドをトンネル間に向けて掘進し、該トンネル間を掘削すると同時に掘削可能なセグメントを掘削する。矩形シールドをトンネルと並進した後に路上部の他のU字擁壁へ向けて掘進し、分合流部の掘削後、一方のトンネルのセグメントと補強部材を取り外し、分合流部と一方のトンネルのセグメントとの一体化を行う。
【0005】
特許文献1は、矩形シールド機を2つのトンネル間に掘進させてはいるものの、2つのトンネル間を、接続連結部のセグメントを解体しながら、掘削しているため、ランプ構造物を構築する際の水平防護には、従来通りの工費や工期がかかり、工事の安全度も旧態依然であった。
【特許文献1】特開2003−148086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、開削工法を使用した場合、当該トンネル分合流部の真上の地上からその部分を全面的に開削しなければならないと言う煩わしさがあり、更にまた、工費、工期、安全面で旧態依然としたものが残っていた。
【0007】
そこで、この発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、開削部分に当る供用中の地上の道路を交通規制する範囲を小さくすることで、安価に且つ強靭に、しかも短期間に安全に施工する分岐トンネルの分合流部構造およびその構築方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
係る課題を達成するために、この発明は提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、本線トンネルに沿って地中連続壁体を構築し、前記本線トンネルと前記地中連続壁体との間に、前記本線トンネルから分合流して構築される分岐トンネルの分合流部構造であって、前記本線トンネルの上下部分から前記地中連続壁体に向けて山留材が延設され、前記山留材と前記本線トンネルと前記地中連続壁体で囲まれた内部空間に、鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートの覆工体が構築され、該覆工体の内側に分合流部空間が形成されて、分合流部躯体が構築されたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記山留材としてパイプルーフを使用し、該パイプルーフと前記鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートの覆工体を一体構造としたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記地中連続壁体が土留め用トンネルであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、本線トンネルに沿って地中連続壁体を構築し、前記本線トンネルと前記地中連続壁体との間に、前記本線トンネルから分合流して構築される分岐トンネルの分合流部構築方法であって、前記本線トンネルの上下部分から山留材を挿通して、前記上下部分から前記山留材の挿通先端を前記地中連続壁体に向けて延設すると共に、前記上下の山留材で囲まれた内部地山を掘削しながら、前記上下の山留材に支保材を配設し、前記掘削された空間及び前記本線トンネルの内側に鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートを打設して分合流部空間を擁する分合流部躯体を構築したことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、本線トンネルに沿って土留め用トンネルを構築し、前記本線トンネルと前記土留め用トンネルとの間に、前記本線トンネルから分合流して構築される分岐トンネルの分合流部構築方法であって、前記本線トンネルの上下部分から山留材を挿通して、前記上下部分から前記山留材の挿通先端を前記土留め用トンネルに向けて延設すると共に、前記上下の山留材で囲まれた内部地山を掘削しながら、前記上下の山留材に支保材を配設し、前記掘削された空間及び前記本線トンネルの内側に鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートを打設して分合流部空間を擁する分合流部躯体を構築したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記、請求項1に記載の発明によれば、本線トンネルに沿って地中連続壁体を構築し、前記本線トンネルと前記地中連続壁体との間に、前記本線トンネルから分合流して構築される分岐トンネルの分合流部構造であって、前記本線トンネルの上下部分から前記地中連続壁体に向けて山留材が延設され、前記山留材と前記本線トンネルと前記地中連続壁体で囲まれた内部空間に、鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートの覆工体が構築され、該覆工体の内側に分合流部空間が形成されて、分合流部躯体が構築されたことを特徴とするので、前記分合流部の構築は地中での作業となり、前記地中連続壁体の施工時に一部の交通規制を行うので、交通渋滞や騒音等の発生が少ない。更に、前記地中連続壁体も前記本線トンネル自体も山留めの役目を果たし、土水圧による滑動を防止できるため、容易に内部地山を掘削できる。しかも、前記本線トンネル覆工体を構造体の一部として使用することにより、新たな土留めの施工工程を必要とせず、分合流部構築の工費節減及び工期短縮に寄与する。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果に加えて、前記山留材としてパイプルーフを使用し、該パイプルーフと前記鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートの覆工体を一体構造としたことを特徴とするので、前記上下のパイプルーフの配設により、前記本線トンネルの覆工体の一部を解体するに際しても水平防護されているため、より簡単に且つ迅速に解体できる。更に、本来仮設構造体として配置するパイプルーフや前記本線トンネル覆工体の一部を分合流部躯体本体構造の一部として有効活用できる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の効果に加えて、前記地中連続壁体が土留め用トンネルであることを特徴とするので、該土留め用トンネルをシールド工法乃至推進工法で掘削すれば、前記地中連続壁体を地上から埋設しなくても済むので、供用されている道路を交通規制して作業を行うこともないため、交通渋滞や騒音等の公害も発生しない。また、本来仮設構造体として配置する山留材、前記本線トンネルの覆工体の一部、更に前記土留め用トンネルの覆工体を前記分合流部躯体本体構造の一部として有効活用できる。特に、前記土留め用トンネルは、該土留め用トンネル内部から止水注入でき、周辺地山を地盤改良し易く、山留めの役目を果たし、土水圧による滑動を防止できるため、容易に内部地山を掘削できる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、本線トンネルに沿って地中連続壁体を構築し、前記本線トンネルと前記地中連続壁体との間に、前記本線トンネルから分合流して構築される分岐トンネルの分合流部構築方法であって、前記本線トンネルの上下部分から山留材を挿通して、前記上下部分から前記山留材の挿通先端を前記地中連続壁体に向けて延設すると共に、前記上下の山留材で囲まれた内部地山を掘削しながら、前記上下の山留材に支保材を配設し、前記掘削された空間及び前記本線トンネルの内側に鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートを打設して分合流部空間を擁する分合流部躯体を構築したことを特徴とするので、前記分合流部の構築は地中での作業となり、前記地中連続壁体の施工時に一部の交通規制を行うので、交通渋滞や騒音等の発生が少ない。更に、前記地中連続壁体も前記本線トンネル自体も山留めの役目を果たし、土水圧による滑動を防止できるため、容易に内部地山を掘削できる。しかも、前記本線トンネル覆工体を構造体の一部として使用することにより、新たな土留めの施工工程を必要とせず、分合流部構築の工費節減及び工期短縮に寄与する。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、本線トンネルに沿って土留め用トンネルを構築し、前記本線トンネルと前記土留め用トンネルとの間に、前記本線トンネルから分合流して構築される分岐トンネルの分合流部構築方法であって、前記本線トンネルの上下部分から山留材を挿通して、前記上下部分から前記山留材の挿通先端を前記土留め用トンネルに向けて延設すると共に、前記上下の山留材で囲まれた内部地山を掘削しながら、前記上下の山留材に支保材を配設し、前記掘削された空間及び前記本線トンネルの内側に鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートを打設して分合流部空間を擁する分合流部躯体を構築したことを特徴とするので、前記土留め用トンネルをシールド工法乃至推進工法で掘削すれば、前記地中連続壁体を地上から埋め込まなくても済む。従って、地表に工事現場を全く必要としないので、地表で供用されている道路を交通規制して作業を行うこともないため、交通渋滞や騒音等の公害も発生しない。また、本来仮設構造体として配置する山留材、前記本線トンネルの覆工体の一部、更に前記分岐トンネルの覆工体の一部を前記分合流部躯体本体構造の一部として有効活用できる。特に、前記土留め用トンネルは、該土留め用トンネル内部から止水注入でき、周辺地山を地盤改良し易く、山留めの役目を果たし、土水圧による滑動を防止できるため、容易に内部地山を掘削できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
〔発明の実施の形態1〕
【0019】
この発明の実施の形態1では、パイプルーフ工法による分岐トンネルの分合流部構造及びその構築方法について詳細に説明する。図1乃至図5は、この発明の実施の形態1に係る図で、図1は、分合流部のトンネル長方向水平縦断面部分の構造を、図2又は図3は、分合流部の異なる鉛直横断面部分の構造を示している。
【0020】
図1及び図2に示すように、予め、地中に道路用の本線トンネル1が構築されており、この本線トンネル1に接近して分流する分岐トンネル2を所定の位置Bまで掘進し、構築する。他方、後述する山留材たるパイプルーフの延設端を支持する地中連続壁体3を位置Aから本線トンネル1に次第に近接していくように位置Dまで施工する。
【0021】
前記分岐トンネル2は、シールド工法で掘進するが、該分岐トンネル2が施工される予定の周辺地山に本線トンネル1から地盤条件(土質、水圧、土被り、N値等)に応じて、地盤改良を施し、その地山を「地盤改良された周辺地山4」とする。本線トンネル1の覆工体を支持する支保材7a及び筋交い支保材を仮設する。
【0022】
次に、前記本線トンネル1の覆工体内側より、前記分岐トンネル2の上側に上版パイプルーフ8を、下側に下版パイプルーフ9を設置する。上下版パイプルーフ8、9を構成する各単体であるパイプ10(図2又は3参照)の先端は、地中連続壁体3に貫通又は貫入するように延設されている。上下版パイプルーフ8、9を構築するための掘削方法は、ケーシングを電動モータで回転させながら回転軸方向に押し込むスクリューオーガ式で、上下版パイプルーフ8、9は、上下同時に又は順次施工される。上下版パイプルーフ8、9は、図示しないジョイントを介して隣接するパイプ10と連結しながら地盤改良された周辺地山4中に挿通していく。上下版パイプルーフ8、9の各パイプ10の延設された先端部分近辺を前記地中連続壁体3で支持する。
【0023】
また、地中連続壁体3に上下版パイプルーフ8、9の貫通又は貫入する縁付近の地山に止水用の補足地盤改良を施し、その地山を「止水注入改良された地山11」とする。この補足地盤改良は、止水性を増した地盤と成すために、上下同時に又は順次施工される。尤も、止水性の充分に有る地盤の場合は、この補足地盤改良は施工する必要が無い。また、必要に応じて上下版パイプルーフ8、9の周囲に補足地盤改良を行うことがある。
【0024】
図2、図3及び図4に示すように、分合流部の拡幅作業を進める。すなわち、本線トンネル1の覆工体の一部12を位置C付近から解体し、地山(原地盤5)を地中連続壁体3の手前まで掘削し、山留を垂直支保材7bにより補強する。横桁支保材6を当接して水平に設置する。これを順次分岐トンネル2の位置Bまで繰り返す。このように、間隔を空けて仮設した垂直支保材7bで、上下版パイプルーフ8、9を仮支持しながら、掘削されて構築された空間内の上下に横桁支保材6が構築される。覆工体の一部12を撤去する拡幅作業は、覆工体の一部12の上から順に行い、迅速に上下版パイプルーフ8、9に垂直支保材を仮設する。本線トンネル1と分岐トンネル2の端部の分合流部区間端部である妻部19は、その妻部19の上から順に掘削し、掘削と共に掛矢板等で山留めを施していく。分岐トンネル2の周囲の妻部を施工し、最後にシールド機を解体する。前記垂直支保材及び前期横桁支保材6仮設時に、図示しない作業架台も仮設する。
【0025】
図5に示すように、トンネル分合流拡幅部の本体である分合流部躯体17が、分合流部内壁のコンクリートが養生後、硬化して、構築される。本線トンネル1の覆工体内側部分に鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートが打設され、分合流部側壁14が、更に、上版パイプルーフ8を埋設するように、その下にコンクリートを打設し、分合流部上版15が、下版パイプルーフ9も埋設するように、その上にコンクリートを打設し、分合流部下版16が、本発明に係る分合流部躯体17の内壁を成す。この躯体17の構造は、鉄骨の上版パイプルーフ8、下版パイプルーフ9と本線トンネル1の覆工体とが連結されて、一体化する。コンクリートの打設は、崩落の危険を少しでも減らすために下の方から、分合流部下版16、分合流部側壁14、分合流部上版15の順に行うことが好適である。垂直水平支保材の一部を、分合流部躯体17の一部として利用する。分合流部躯体17を構築し、その内部空間を分合流部空間18とする。分合流部上版15、分合流部下版16、及び分合流部側壁14を構成するコンクリートが養生され、硬化し構築された後、不要になった仮設垂直支保材を撤去する。
【0026】
ここで、地中連続壁体3は、必ずしも本線トンネル1に平行に構築する必要は無く、分岐トンネル2が本線トンネル1に合流するに従って、トンネル分合流部のトンネル幅を狭めるように、本線トンネル1側に近づけて設置することによって、打設するコンクリートボリュームや上下版パイプルーフ8、9を節減できる。
【0027】
この発明の実施の形態1におけるトンネル分合流部の完成図を図5に示す。
【0028】
トンネル分合流部は、分合流部上版15、分合流部下版16及び分合流部側壁14を有する分岐部空間で囲まれている。
【0029】
このトンネル分合流部の構築方法によれば、図3に示す通り「山留材」であった上下版パイプルーフ8、9及び横桁支保材6は、それぞれ分合流部上版15及び分合流部下版16に埋設され「補強部材」となり、そのままトンネル分合流部躯体17となる。
【0030】
上下版パイプルーフ8、9の施工工事と地盤4の地盤改良工事を本線トンネル1内より行い、本線トンネル1と分岐トンネル2とが、地中で連結し分合流を行うため、分合流部真上の開削工事を必要とせず、地表の供用施設の影響や、道路規制の必要性は最小限に抑えることができるので、騒音等の公害も軽微である。
【0031】
なお、この実施の形態1では、図示しない本線シールド機及び分岐シールド機の断面形状は、それぞれ円形及び矩形にし、上下版パイプルーフ8、9を施工したが、円形や矩形に限定することなく、馬蹄形、円弧状矩形等どのような形状でもよく、またシールド形式も制限はない。
【0032】
また、本線トンネル1の供用後の車線本数は、3車線に限らず、その他の複数車線でも1車線でも構わない。
【0033】
そして、シールドの覆工体には、ダクタイル製、鋼製等を使用したり、打設するコンクリートには、高流動性のもの等を使用しても良い。
〔発明の実施の形態2〕
【0034】
この発明の実施の形態2では、パイプルーフ工法による分岐トンネルの分合流部の構造とその構築方法について、発明の実施の形態1との違いに関して説明する。図6、7は、この発明の実施の形態2に係る図で、それぞれ分合流部の縦、横断面部分の構造を示している。
【0035】
図7に示すように、分岐トンネル2から見て、本線トンネル1と反対側に、土留め用矩形トンネル3a、3b、3cがシールド工法あるいは、推進工法で構築されている。上版パイプルーフ8、下版パイプルーフ9が、それぞれ上部土留め用矩形トンネル3a、下部土留め用矩形トンネル3cに貫入して、支持されている。
【0036】
この実施の形態2は、地中連続壁体3を埋設する必要も無く、全く地上の用地を使用しないので、地表の供用施設の影響や、道路規制の必要性が無く、騒音等の公害も発生しない。トンネル分合流部の掘削、支保材の架設、分合流部躯体17の構築方法は実施の形態1と同様である。
【0037】
ここで、土留め用矩形トンネル3a、3b、3cは、必ずしも本線トンネル1に平行に掘削する必要は無く、トンネル分合流部のトンネル幅を狭めるように、本線トンネル1側に近づけて掘削することによって、トンネル分合流部躯体17の打設するコンクリートボリュームや上下版パイプルーフ8、9を節減できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明は、土木、建築等、特に、地下高速道路等のトンネル掘削工法において、分岐部分、すなわち、地中での分流合流箇所の工法を地上からの開削工法によらずに、地下で進めることができるので、未来型地下都市構築のためのジオフロント、例えば、大深度地下計画等にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】この発明の実施の形態1に係る本線トンネル1及び分岐トンネル2の分合流部の構造を示す、トンネル長方向水平縦断面図である。
【図2】同実施の形態1に係る本線トンネル1及び分岐トンネル2の分合流部の構造を示す、図1のY−Y線に沿う鉛直横断面図である。
【図3】同実施の形態1に係る本線トンネル1及び分岐トンネル2の分合流部の施工中期工程を示す、図1のQ−Q線に沿う鉛直横断面図である。
【図4】同実施の形態1に係る本線トンネル1及び分岐トンネル2の分合流部の施工中期工程を示す、図3のX−X線に沿う鉛直縦断面図である。
【図5】同実施の形態1に係る本線トンネル1及び分岐トンネル2の分合流部中腹の施工完成期を示す、鉛直横断面図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る本線トンネル1及び分岐トンネル2の分合流部の施工完成期を示す、トンネル長方向水平縦断面図である。
【図7】同実施の形態2に係る本線トンネル1及び分岐トンネル2の分合流部の施工完成期を示す、図6のS−S線に沿う鉛直横断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 本線トンネル
2 分岐トンネル
3 地中連続壁体
3a 上部土留め用矩形トンネル
3b 中部土留め用矩形トンネル
3c 下部土留め用矩形トンネル
4 地盤改良された周辺地山
5 原地盤(地山)
6 横桁支保材
7a 本線トンネル1の覆工体支持用支保材
7b 山留用支保材
8 上版パイプルーフ(山留材)
9 下版パイプルーフ(山留材)
10 パイプ
11 補足地盤改良された止水用縁付近の地山
12 本線トンネル1の覆工体の一部
13 分岐トンネル2の覆工体の一部
14 分合流部側壁
15 分合流部上版
16 分合流部下版
17 分合流部躯体
18 分合流部空間
19 妻部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本線トンネルに沿って地中連続壁体を構築し、前記本線トンネルと前記地中連続壁体との間に、前記本線トンネルから分合流して構築される分岐トンネルの分合流部構造であって、前記本線トンネルの上下部分から前記地中連続壁体に向けて山留材が延設され、前記山留材と前記本線トンネルと前記地中連続壁体で囲まれた内部空間に、鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートの覆工体が構築され、該覆工体の内側に分合流部空間が形成されて、分合流部躯体が構築されたことを特徴とする分岐トンネルの分合流部構造。
【請求項2】
前記山留材としてパイプルーフを使用し、該パイプルーフと前記鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートの覆工体を一体構造としたことを特徴とする請求項1に記載の分岐トンネルの分合流部構造。
【請求項3】
前記地中連続壁体が土留め用トンネルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の分岐トンネルの分合流部構造。
【請求項4】
本線トンネルに沿って地中連続壁体を構築し、前記本線トンネルと前記地中連続壁体との間に、前記本線トンネルから分合流して構築される分岐トンネルの分合流部構築方法であって、前記本線トンネルの上下部分から山留材を挿通して、前記上下部分から前記山留材の挿通先端を前記地中連続壁体に向けて延設すると共に、前記上下の山留材で囲まれた内部地山を掘削しながら、前記上下の山留材に支保材を配設し、前記掘削された空間及び前記本線トンネルの内側に鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートを打設して分合流部空間を擁する分合流部躯体を構築したことを特徴とする分岐トンネルの分合流部構築方法。
【請求項5】
本線トンネルに沿って土留め用トンネルを構築し、前記本線トンネルと前記土留め用トンネルとの間に、前記本線トンネルから分合流して構築される分岐トンネルの分合流部構築方法であって、前記本線トンネルの上下部分から山留材を挿通して、前記上下部分から前記山留材の挿通先端を前記土留め用トンネルに向けて延設すると共に、前記上下の山留材で囲まれた内部地山を掘削しながら、前記上下の山留材に支保材を配設し、前記掘削された空間及び前記本線トンネルの内側に鉄筋コンクリート又は鉄骨コンクリートを打設して分合流部空間を擁する分合流部躯体を構築したことを特徴とする分岐トンネルの分合流部構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−112137(P2006−112137A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−301037(P2004−301037)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000207780)大豊建設株式会社 (77)
【Fターム(参考)】