説明

分散剤

【課題】ポリウレタン分散剤、および「ドロップオンデマンド」式プリント法などの非接触型プリント法で使用するためのインクを含む、非水系有機媒体、特に極性有機媒体中に分散された粒子状固体を含有する分散液、ミルベース、塗料およびインクを提供すること。
【解決手段】本発明は、粒子状固体、有機媒体、ならびに第三アミン基を有する横方向結合ペンダント基、本質的に直鎖の骨格、およびそうした側鎖の混合体を含む、ポリエステルまたはポリエーテルの横方向結合溶媒可溶化側鎖を有するポリウレタン分散剤を含む非水系組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン分散剤に関し、「ドロップオンデマンド」式プリント法などの非接触型プリント法で使用するためのインクを含む、非水系有機媒体、特に極性有機媒体中に分散された粒子状固体を含有する分散液、ミルベース、塗料およびインクに関する。具体的には、その分散剤は、横方向結合(laterally attached)第三アミン基、本質的に直鎖の骨格、および、そうした側鎖の混合体を含む溶媒可溶化ポリエステルまたはポリエーテル鎖の横方向結合側鎖を有する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシエチレン側鎖を含むポリウレタンは知られており、特許文献に記載されている。例えば、特許文献1は、出発アルコールとして用いられるポリアルキレンオキシドが、3個以下の炭素原子によって隔てられた少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を有し、そのヒドロキシ基がジイソシアネートと反応することを特徴とする、ポリアルキレンオキシド側鎖を有するポリウレタンを製造するための方法を開示している。ポリウレタンは泡状物、乳液および分散液を安定化または不安定化させるために用いることができる。これらは、顔料や充てん材と共に用いることもできる。
【0003】
特許文献2はポリウレタン骨格を有する水溶性アクリル系グラフトコポリマーを開示している。そのグラフト化コポリマーは、骨格の中かまたはグラフト化されたアクリル部分中に組み込むことができるカルボン酸官能基を有する。
【0004】
特許文献3は、そうした側鎖の混合体を含む、ポリエステル、ポリアクリル、ポリエーテルまたはポリオレフィンの横方向結合の溶媒可溶化側鎖を備えた本質的に直鎖の骨格を有するポリウレタン分散剤を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第060,430号明細書
【特許文献2】特開平7−179801号公報
【特許文献3】国際公開第2004/104064号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、粒子状固体、有機媒体、ならびに、そうした側鎖の混合体を含むポリエステルまたはポリエーテルの横方向結合溶媒可溶化側鎖を有し、かつ第三アミンを有するペンダント型側鎖基を有する1つまたは複数の本質的に直鎖の骨格を有するポリウレタン分散剤を含む非水系組成物が提供される。非水系組成物と別個に、ポリウレタン分散剤についても説明する。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
粒子状固体、有機媒体、ならびに本質的に直鎖の骨格、そうした側鎖の混合体を含むポリエステルまたはポリエーテルの横方向結合溶媒可溶化側鎖およびを第三アミンを有するペンダント型側鎖を有するポリウレタン分散剤を含む非水系組成物。
(項目2)
第三アミンを有する前記ペンダント型側鎖が、少なくとも1個の原子によって前記本質的に直鎖の骨格から隔てられており、前記第三アミンが少なくとも部分的に四級化されている、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記第三アミンが、20個未満の原子によって前記本質的に直鎖の骨格から隔てられている、項目1または2に記載の組成物。
(項目4)
前記第三アミンが、3〜10個の炭素原子によって前記本質的に直鎖の骨格から隔てられており、前記第三アミンの少なくとも20モル%が四級化されている、項目1に記載の組成物。
(項目5)
前記ポリエーテル鎖が、60重量%未満のエチレンオキシドを含むポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)である、項目1から4のいずれかに記載の組成物。
(項目6)
前記ポリエステル鎖が、その混合物を含む、1〜26個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンから得ることができる、または得られた、項目1から4のいずれかに記載の組成物。
(項目7)
前記ラクトンがε−カプロラクトンまたはδ−バレロラクトンあるいはその混合物である、項目6に記載の組成物。
(項目8)
前記ポリエステルまたはポリエーテル側鎖の数平均分子量が300〜10,000ダルトンである、項目1から7のいずれかに記載の組成物。
(項目9)
前記ポリウレタン分散剤が前記ペンダント型側鎖内に、各100g分散剤について10〜180ミリグラム当量の第三アミン基をさらに含む、項目1から8のいずれかに記載の組成物。
(項目10)
前記ポリウレタン分散剤が、32〜3,000ダルトンの数平均分子量を有する形成化合物の残基をさらに含む、項目1から9のいずれかに記載の組成物。
(項目11)
溶媒可溶化横方向側鎖の合計重量割合が、ポリウレタン分散剤の合計重量に対して5%以上である、項目1から10のいずれかに記載の組成物。
(項目12)
前記溶媒可溶化ポリエーテル鎖が、式1の化合物
【化18】

(式中、
RはC1〜20−ヒドロカルビル基であり、
は、水素、メチルまたはエチルであり、そのうちの60%未満は水素であり、
およびRは、それぞれ独立に、C1〜8−ヒドロキシアルキルであり、
ZはC2〜4−アルキレンであり、
Xは−O−または−NH−であり、
Yはポリイソシアネートの残基であり、
mは5〜150であり、
pは1〜4であり、
qは1または2である)
の残基を含む、項目1から5、8または9のいずれかに記載の組成物。
(項目13)
前記溶媒可溶化ポリエーテル鎖が、式2の化合物
【化19】

(式中、
RはC1〜20−ヒドロカルビル基であり、
は、水素、メチルまたはエチルであり、そのうちの60%未満は水素であり、
はイソシアネート反応性有機基であり、
は水素またはイソシアネート反応性有機基であり、
ZはC2〜4−アルキレンであり、
mは5〜150であり、
nは0〜1である)
の残基を含む、項目1から5、8または9のいずれかに記載の組成物。
(項目14)
前記溶媒可溶化ポリエーテル鎖が、式3の化合物
【化20】

(式中、
RはC1〜20−ヒドロカルビル基であり、
は、水素、メチルまたはエチルであり、そのうちの60%未満は水素であり、
WはC2〜6−アルキレンであり、
mは5〜150である)
の残基を含む、項目1から5、8または9のいずれかに記載の組成物。
(項目15)
前記横方向結合溶媒可溶化ポリエステル側鎖が、式6の化合物
【化21】

(式中、
はC1〜50−ヒドロカルビル基であり、
AはC1〜26−アルキレンおよび/またはC2〜26−アルケニレンであり、
mは5〜150である)
の残基である、項目1、6または7のいずれかに記載の組成物。
(項目16)
本質的に直鎖の骨格、ならびにポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖に対して60重量%未満のエチレンオキシドを含むポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)の横方向結合溶媒可溶化ポリエーテル鎖、および各100g分散剤について10〜180ミリグラム当量のペンダント型側鎖中の第三アミン基を有するポリウレタン分散剤であって、前記第三アミンが1〜20個の炭素原子によって前記本質的に直鎖の骨格から隔てられているポリウレタン分散剤。
(項目17)
前記ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖が、ポリエーテル鎖の一端に、イソシアネートと反応する、1つのヒドロキシルと1つの第二アミノ基を含むポリエーテルの残基である、項目16に記載のポリウレタン分散剤。
(項目18)
前記ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖が、ポリエーテル鎖の一端に、イソシアネートと反応し、5個以上の原子で隔てられている2つのヒドロキシル基を含むポリエーテルの残基である、項目16に記載のポリウレタン分散剤。
(項目19)
各100g分散剤について、その塩もしくは四級化体を含む第三アミンまたはヒンダー芳香族アミン基を有する10〜180ミリグラム当量のペンダント鎖をさらに含む、項目16に記載のポリウレタン分散剤。
(項目20)
本質的に直鎖の骨格、ならびに横方向結合溶媒可溶化ポリエステル側鎖、および各100g分散剤について10〜180ミリグラム当量のペンダント型側鎖中の第三アミン基を有するポリウレタン分散剤であって、前記第三アミンが1〜20個の炭素原子によって前記本質的に直鎖の骨格から隔てられているポリウレタン分散剤。
(項目21)
前記第三アミンが、3〜10個の炭素原子によって前記本質的に直鎖の骨格から隔てられている、項目20に記載のポリウレタン分散剤。
(項目22)
前記ポリエステル側鎖が、ポリエステル鎖の一端に、イソシアネートと反応し、かつ5〜17個の原子によって隔てられている2つのヒドロキシル基を含むポリエステルの残基である、項目20または21に記載のポリウレタン分散剤。
(項目23)
ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖に対して60重量%未満のエチレンオキシドを含むポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)の少なくとも1つの横方向結合溶媒可溶化ポリエーテル鎖をさらに含む、項目20に記載のポリウレタン分散剤。
(項目24)
皮膜形成樹脂および項目1に記載の組成物を含む非水系ミルベース、塗料またはインク。
(項目25)
粒子状固体、有機媒体、ならびに本質的に直鎖の骨格、およびそうした側鎖の混合体を含むポリエステルまたはポリエーテルの横方向結合溶媒可溶化側鎖および第三アミン基を有するペンダント鎖を有するポリウレタン分散剤を含む非水系組成物であって、前記第三アミンが1〜20個の炭素原子によって前記本質的に直鎖の骨格から隔てられている非水系組成物。
(項目26)
前記ポリウレタン分散剤が、本質的に直鎖の骨格、およびペンダント型側鎖中に、各100g分散剤について、その塩もしくは四級化体を含む10〜180ミリグラム当量の第三アミンをさらに含む横方向結合溶媒可溶化ポリアクリレートを有する、項目25に記載の非水系組成物。
(項目27)
くし型微細構造を有するポリウレタン分散剤を作製するための方法であって、
a)2.0〜2.5個の平均官能基数を有する1つまたは複数のポリイソシアネートと、
b)少なくとも1つのポリエステルまたはポリエーテル鎖、およびその化合物の一端に配置され、それによってポリエステルまたは鎖がポリウレタンポリマー骨格に対して横方向に配置される、イソシアネートと反応する少なくとも2つの基を有する1つまたは複数の化合物と、
c)次式の第三アミノ基を有する、その塩を含む1つまたは複数の化合物と、
【化22】

(式中、RαおよびRβは、それぞれ独立に、アルキル、アラルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、かつイソシアネートと反応できる基を含まず、RαとRβは一緒になって5〜8個の炭素原子を含む環構造を形成することができ、Rγはイソシアネートと反応する少なくとも2つの基を含む部分である)
d)イソシアネートと反応する少なくとも2つの基を有する32〜3,000の数平均分子量を有する、任意の1つまたは複数の形成化合物と、
e)イソシアネートと反応する1つの基を含む連鎖停止剤として作用する任意の1つまたは複数の化合物と、
f)単一のイソシアネート基を含む連鎖停止剤として作用する任意の1つまたは複数の化合物と
を一緒に反応させることを含む方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の比較例および実施例により調製した分散液(表1に示す)の粘度を、様々な異なる剪断速度で比較した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によれば、粒子状固体、有機媒体、ならびにそうした側鎖の混合体を含むポリエステルまたはポリエーテルの横方向結合溶媒可溶化側鎖を有し、かつ第三アミンを有する1つまたは複数のペンダント基を有する本質的に直鎖の骨格を有するポリウレタン(PU)分散剤を含む非水系組成物を提供する。溶媒可溶化側鎖の最適な選択は、有機媒体の極性に依存することになる。
【0009】
特許文献3では、くし型微細構造ポリウレタン分散剤に、単独か、または本明細書で記載するポリエーテルもしくはポリエステル鎖と併用して、ポリアクリレートおよび/またはポリオレフィンペンダント型側鎖を使用できることが記されている。これらの他の側鎖は、第三アミンを有するペンダント型側鎖と共に用いることができる。ポリアクリレートおよびポリオレフィン側鎖は、特許文献3の2頁15行目〜3頁5行目;4頁6行目〜5頁28行目;6頁16行目〜7頁2行目;11頁13行目〜30行目;18頁21行目〜19頁15行目;および20頁3行目〜14行目に記載されている。
【0010】
一実施形態では、非水系組成物は任意で5重量%以下、好ましくは2重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満の水を含み、最も好ましくは水を含まない。
【0011】
ポリエステルまたはポリエーテル側鎖は、ポリウレタン骨格から離れて末端ヒドロキシ基を含むことができるが、分散剤の調製の際の架橋をそれが制限するので、そうした鎖はイソシアネートと反応しない末端基、特にC1〜50−ヒドロカルビル基を担持することが非常に好ましい。ヒドロカルビル基は、任意で分枝鎖のアルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルであってよい。
【0012】
シクロアルキル基は、好ましくはシクロプロピル、特にシクロヘキシルなどのC3〜6−シクロアルキルである。アリール基は、好ましくはハロゲン、C1〜20−アルキルまたはC1〜20−アルコキシで置換されていてよいナフチル、特にフェニルなどのC6〜10−アリールである。アラルキル基は、好ましくはフェニル環がハロゲン、C1〜20−アルキルまたはC1〜20−アルコキシで任意で置換されている2−フェニルエチル、特にベンジルである。
【0013】
ポリエステルまたはポリエーテル鎖のアルキル末端基の長さは、有機媒体の性質に大きく依存する。したがって、例えば有機媒体が極性有機液体である場合、ヒドロカルビル基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよいC1〜12-アルキルであることが好ましい。
ヒドロカルビル基には、エチル、プロピル、イソプロピルまたはその混合物が含まれる。ポリウレタン分散剤がポリエーテル側鎖を含む場合、市場での入手が容易であるため、末端アルキル基はC1〜4アルキル、例えばメチルであることが好ましい。有機媒体が非極性有機液体である場合、末端アルキル基は8個を超える炭素原子を含むことが好ましい。それが非極性有機液体中での溶解性を助けるので、アルキル基が分枝鎖していることも好ましい。
【0014】
ポリエーテル鎖は、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖の合計重量に対して60重量%未満、より好ましくは40重量%未満、特に20重量%未満のエチレンオキシドを含むポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)であることが好ましい。
【0015】
(C2〜4−アルキレンオキシド)基のアルキレン部分は、直鎖か、または好ましくは分枝鎖であってよく、これは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドなどのアルキレンオキシドの(共)重合によって、またはテトラヒドロフランから得てもよい。コポリマーはランダムであってもブロックコポリマーであってもよい。
【0016】
ポリエーテル鎖はプロピレンオキシドから得ることが好ましい。分散剤のポリエーテル鎖は、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)モノ−C1〜10−アルキルエーテル、特にメチルまたはブチルエーテルから得ることも好ましい。
【0017】
ポリエステル鎖は、好ましくは、1〜26個の炭素原子を含むヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンから得ることができ、または得る。ヒドロキシカルボン酸の選択は、有機媒体自体の性質によって大きく影響を受ける。有機媒体が極性有機液体である場合、ヒドロキシカルボン酸は最大で8個の炭素原子を含むことが好ましく、有機媒体が非極性有機液体である場合、ヒドロキシカルボン酸は8個を超える炭素原子を含むことが好ましい。ポリエステル鎖は、それが有機媒体の溶解性を助けるため、2つ以上の異なるヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンから得ることができることが特に好ましい。ヒドロキシカルボン酸は飽和であっても不飽和であっても、また直鎖であっても分枝鎖であってもよい。
【0018】
適切なヒドロキシカルボン酸の例は、グリコール酸、乳酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸および4−ヒドロキシデカン酸である。
【0019】
適切なラクトンの例は、β−プロピオラクトンおよび任意でC1〜6−アルキル置換されたδ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトン、例えばβ−メチル−δ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、2−メチル、3−メチル、4−メチル、5−tertブチル、7−メチル−4,4,6−トリメチルおよび4,6,6−トリメチル−ε−カプロラクトン(これらの混合物を含む)である。
【0020】
δ−バレロラクトンおよびε−カプロラクトンから誘導されるポリエステル鎖が特に好ましい。
【0021】
明らかな改変体として、ポリエステルまたはポリエーテル横方向側鎖はそれ自体、そうした鎖の混合体であってよい。したがって、例えばポリエステル側鎖はポリエーテル部分を含むことができ、またその逆も可能である。
【0022】
ポリウレタン分散剤中の横方向ポリエステルまたはポリエーテル側鎖の数平均分子量は、好ましくは10,000ダルトン以下、より好ましくは4,000以下、特に2,500以下である。横方向ポリエステルまたはポリエーテル側鎖の数平均分子量は300以上、より好ましくは600以上、特に800以上であることも好ましい。
【0023】
以下に開示するように、ポリウレタンの骨格は本質的に直鎖である。したがって、それから分散剤を得ることができるイソシアネートは、2.0〜2.5個、より好ましくは2.0〜2.1個、特に約2.0個の官能基数を有することが好ましい。
【0024】
横方向側鎖ポリエステルまたはポリエーテル鎖は、ポリエステルまたはポリエーテルの末端ヒドロキシおよびアミノ(第一および第二)基の残基である酸素および/または窒素原子でポリウレタン骨格と連結されている。
【0025】
横方向側鎖がポリエーテルである場合、それは、ポリエーテル鎖の一端に、イソシアネートと反応する2つのヒドロキシル基か、または1つのヒドロキシルおよび1つの第二アミノ基を含むポリエーテルの残基であることが好ましい。ヒドロキシおよびアミノ基は、最大で6個の炭素原子で隔てられていることが好ましい。ポリエーテルが、イソシアネートと反応する2つのヒドロキシル基を含む場合、それらは、最大で17個の原子、特に16個の炭素原子と1個の窒素原子で隔てられていることが好ましい。2つのヒドロキシル基が、5個以上の原子、特に4個の炭素原子と1個の窒素原子で隔てられていることも好ましい。イソシアネートと反応する、2つのアミノ基(すなわち、第一および/または第二アミノ基)を含むポリエーテルから分散剤を調製することも可能であるが、これはあまり好ましくない。
【0026】
横方向側鎖がポリエステルである場合、それは、ポリエステル鎖の一端に、イソシアネートと反応する2つのヒドロキシル基を含む残基であることが好ましい。そのヒドロキシル基は最大で17個の原子、特に16個の炭素原子と1個の窒素原子で隔てられていることも好ましい。2つのヒドロキシル基は5個以上の原子で隔てられていることが特に好ましい。
【0027】
分散剤は、PUくし型ポリマーの直鎖骨格から離れている、その塩を含む第三アミン基も含む。任意で、第三アミン基は四級化されていてもよい。そうした基をポリウレタン分散剤に含めると、有機液体中の一部の粒子状固体の分散が向上することが分かった。直鎖骨格から離れているポリウレタン分散剤中の第三アミン基の量は、各100gポリウレタン分散剤について、10〜180、より好ましくは20〜110、特に20〜70ミリグラム当量であることが好ましい(PU分散剤は、直鎖ポリウレタン骨格に組み込まれた他の第三アミン基を任意で含むこともできる)。
【0028】
第三アミンは既知の任意の四級化剤で四級化されていてよい。好ましい四級化剤はアルキルハライド、アラルキルハライド、ジアルキルカーボネート、ジアルキルサルフェートまたはエポキシドである。特に好ましい四級化剤はジメチルサルフェート、塩化ベンジルまたはスチレンオキシドである。
【0029】
ポリウレタン内の第三アミン基はある程度四級化されていることが好ましい。
【0030】
例えば、ポリウレタンの下記定義の成分c)中に1つの第三アミン基が存在する場合、ポリウレタン中のこれらの基の四級化度は>20%であることが好ましく、四級化度は>45%であることがより好ましく、>80%であることが最も好ましい。
【0031】
例えば、ポリウレタンの下記定義の成分c)中に1つを超える第三アミン基が存在する場合、ポリウレタン中のこれらの基の四級化度は>10%であることが好ましく、四級化度は>20%であることがより好ましく、>40%であることが最も好ましい。
【0032】
ポリウレタン分散剤は、イソシアネートと反応する2つの基と共に、32〜3,000の数平均分子量を有する形成化合物(formative compound)の残基を含むこともできる。
【0033】
ポリウレタン分散剤は、末端ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレートまたはポリオレフィン鎖を有することもできる。そうした鎖は、横方向鎖について先に説明したものと類似しているが、イソシアネートと反応する基を1つしかもたない化合物からも得ることができる。
【0034】
ポリウレタン分散剤中の溶媒可溶性横方向鎖と末端鎖の合計重量割合は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、特に40%以上である。ポリウレタン分散剤中の溶媒可溶性横方向鎖と末端鎖の合計重量割合は、90%以下、より好ましくは80%以下、例えば45%〜80%または60%〜78%であることも好ましい。一実施形態では、ポリウレタン分散剤中の溶媒可溶性横方向鎖と末端鎖の合計重量割合は、70%以下、例えば55%〜65%である。
【0035】
ポリウレタン分散剤中の溶媒可溶性横方向鎖の重量割合は好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上、特に25%以上または35%以上である。
【0036】
組成物中に存在する粒子状固体は、関係する温度で有機媒体に実質的に不溶である無機または有機の任意の固体材料であってよく、それは、微粉化した形で安定化することが望ましい。
【0037】
適切な固体の例は、ソルベントインク用顔料;塗料およびプラスチック材料用の顔料、増量剤および充てん材;染料、特に分散染料;蛍光増白剤および溶媒染浴、インクおよび他の溶媒適用系用の繊維助剤;油性および逆性の乳剤掘削泥水(oil−based and invert−emulsion drilling mud)用の固体;ドライクリーニング液中のごみおよび固体粒子;粒子状セラミック材料;磁性材料および磁気記録媒体、プラスチック材料に使用されるものなどの難燃剤、ならびに有機媒体中の分散液として施用される殺生物剤、農薬および医薬品である。
【0038】
好ましい粒子状固体は、例えば、カラーインデックス(Colour Index)(1971年)の第3版およびその後の改訂版、ならびに、「顔料」という見出しの章のもとでのその補足に記載されている、一般に認識されている部類の顔料のいずれかからの顔料である。無機顔料の例は二酸化チタン、酸化亜鉛および酸化鉄である。
【0039】
有機顔料の例は、アゾ、ジスアゾ、縮合アゾ、チオインジゴ、インダントロン、イソインダントロン、アンザンスロン、アントラキノン、イソジベンズアントロン、トリフェンジオキサジン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール(DPP)およびフタロシアニンシリーズ、特に銅フタロシアニンおよびその核ハロゲン化誘導体からのもの、また、酸染料、塩基性染料および媒染染料のレーキである。厳密には無機物であるが、カーボンブラックは、その分散特性については、より有機顔料に類似した挙動を示す。好ましい有機顔料は、フタロシアニン、特に銅フタロシアニン、モノアゾ、ジスアゾ、インダントロン、アントラントロン(anthranthrone)、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール(DPP)およびカーボンブラックである。
【0040】
酸化カーボンブラックなどの酸性表面を有する顔料が好ましい。
【0041】
他の好ましい粒子状固体は:タルク、カオリン、シリカ、バライトおよびチョークなどの増量剤および充てん材;アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、混合ケイ素−アルミニウムニトリドおよび金属チタン酸塩などの粒子状セラミック材料;遷移金属、特に鉄およびクロムの磁性酸化物、例えばγ−Fe、Feおよびコバルトドープされた酸化鉄、酸化カルシウム、フェライト、特にバリウムフェライトなどの粒子状磁性材料;ならびに金属粒子、特に金属鉄、ニッケル、コバルトおよびその合金;殺菌剤のフルトリアフェン(flutriafen)、カルベンダジム、クロロタロニルおよびマンコゼブなどの農薬ならびに三水和アルミナおよび水酸化マグネシウムなどの難燃剤である。
【0042】
組成物中に存在する有機媒体は、極性有機媒体または実質的に非極性の芳香族炭化水素もしくはハロゲン化炭化水素であることが好ましい。有機媒体に関連した「極性」という用語は、Journalof Paint Technology、第38巻、1966年、269頁のCrowleyらによる「A ThreeDimensional Approach toSolubility」という題名の文献に記載されてい
るような中程度から強度の結合を形成することができる有機液体または樹脂を意味する。そうした有機媒体は一般に、上記文献で定義されている水素結合数を5つ以上有している。
【0043】
適切な極性有機液体の例は、アミン、エーテル、特に低級アルキルエーテル、有機酸、エステル、ケトン、グリコール、アルコールおよびアミドである。そうした中程度に強い水素結合液体の具体的な多くの例は、IbertMellanによる「Compatibility and Solubility」という題名の本(1968年にNoyesDevelopmentCorporationより出版)の39〜40頁の表2.14に記載されている。これらの液体はすべて、本明細書で用いる極性有機液体という用語の範囲内に包含される。
【0044】
好ましい極性有機液体は、ジアルキルケトン、アルカンカルボン酸とアルカノールのアルキルエステル、特にそれを含み最大で合計6個の炭素原子を含むそうした液体である。挙げることができる好ましい液体および特に好ましい液体の例は、ジアルキルおよびシクロアルキルケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジ−イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−イソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルn−アミルケトンおよびシクロヘキサノン;アルキルエステル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ギ酸エチル、プロピオン酸メチル、酢酸メトキシプロピルおよび酪酸エチル;グリコールならびにグリコールエステルおよびエーテル、例えばエチレングリコール、2−エトキシエタノール、3−メトキシプロピルプロパノール、3−エトキシプロピルプロパノール、2−ブトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピルアセテート、3−エトキシプロピルアセテートおよび2−エトキシ酢酸エチル;アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびイソブタノールならびにジアルキルおよび環状エーテル、例えばジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランである。
【0045】
単独かまたは上記極性溶媒と混合して使用できる実質的に非極性の有機液体は、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素、揮発油などの石油蒸留物、鉱油、植物油、ならびにトリクロロ−エチレン、ペルクロエチレンおよびクロベンゼンなどのハロゲン化脂肪族および芳香族炭化水素である。
【0046】
本発明の分散形態のための媒体として適している極性樹脂の例は、塗料やインクなどの様々な応用分野での使用のためのインク、塗料およびチップの作製に適しているものなどの皮膜形成樹脂である。そうした樹脂の例には、Versamid(商標)やWolfamid(商標)などのポリアミド、およびエチルセルロースやエチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエーテルが含まれる。塗料樹脂の例には、短油性アルキド/メラミン−ホルムアルデヒド、ポリエステル/メラミン−ホルムアルデヒド、熱硬化性アクリル/メラミン−ホルムアルデヒド、長油性アルキドならびにアクリルおよび尿素/アルデヒドなどの複数媒体樹脂が含まれる。
【0047】
樹脂は、強化用繊維や充てん材と配合することができる、いわゆるシート成形化合物およびバルク成形化合物を含む不飽和ポリエステル樹脂であってもよい。そうした成形化合物は、ドイツ特許第3,643,007号、およびP.F.Bruinsによる表題「UnsaturatedPolyester Technology」、Gordon and BreachScience publishers、1976年、211
〜238頁のモノグラフに記載されている。
【0048】
望むなら、分散液は、他の構成要素、例えば樹脂(それが有機媒体をすでに構成してはいない場合)結合剤、流動化剤(英国特許A−1508576号および同A−2108143号に記載されているものなど)、沈降防止剤、可塑剤、レベリング剤(levelling agent)および保存剤を含むことができる。
【0049】
一般にその組成物は5〜95重量%の粒子状固体を含むが、正確な量は、固体の性質ならびに固体と有機媒体の相対密度に依存する。例えば、その固体が有機顔料などの有機材料である組成物は、組成物の合計重量に対して15〜60重量%の固体を含むことが好ましいが、その固体が無機顔料、充てん材または増量剤などの無機材料である組成物は、組成物の合計重量に対して40〜90重量%の固体を含むことが好ましい。
【0050】
組成物は、有機媒体中、40℃以下、特に30℃以下の温度で粒子状固体を粉砕することによって調製するのが好ましい。しかし、固体が、銅フタロシアニンなどの粗製フタロシアニン顔料である場合、より緑色でより明るい色調が得られ得るので、有機液体中、50〜150℃の温度で粉砕を実施するのが好ましいことがある。これは、有機液体が高沸点脂肪族および/または芳香族蒸留物である場合に、特に当てはまる。
【0051】
この組成物は、分散液を作製するのに知られている従来の方法のいずれによっても得ることができる。したがって、固体、有機媒体および分散剤を、任意の順番で混合し、次いで分散が形成されるまで、その混合物を、例えば、ボールミル粉砕、ビーズ粉砕、砂利状粉砕またはプラスチック粉砕によって機械的処理にかけて、固体粒子を適切なサイズに微細化することができる。あるいは、固体を独立に、または有機媒体かもしくは分散剤のいずれかと混合して、処理してその粒子サイズに微細化し、次いで、他の1種または複数の構成要素を加え、その混合物を攪拌して分散液を提供することができる。
【0052】
組成物が、乾燥形態で必要な場合、蒸発などの簡単な分離手段によって粒子状固体から容易に除去できるように、液媒体は揮発性であることが好ましい。しかし、その組成物は液媒体を含むことが好ましい。
【0053】
乾燥組成物が、分散剤および粒子状固体から本質的になる場合、粒子状固体の重量に対して、少なくとも0.2重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、特に少なくとも1.0重量%の分散剤を含むことが好ましい。乾燥組成物は、粒子状固体の重量に対して、100重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、特に10重量%以下の分散剤を含むことが好ましい。
【0054】
上記のように、その組成物は、粒子状固体を、粒子状固体と皮膜形成樹脂結合剤の両方の存在下、液媒体中で粉砕するミルベースを作製するのに特に適している。
【0055】
したがって、本発明のさらに他の態様によれば、粒子状固体、分散剤および皮膜形成樹脂を含むミルベースが提供される。
【0056】
一般に、ミルベースは、ミルベースの合計重量に対して20〜70重量%の粒子状固体を含む。粒子状固体はミルベースの30以上、特に50重量%以上であることが好ましい。
【0057】
ミルベース中の樹脂の量は広い範囲にわたって変えることができるが、好ましくはミルベースの連続/液相の10%重量以上、特に20重量%以上である。樹脂の量は、ミルベースの連続/液相の50重量%以下、特に40重量%以下であることが好ましい。
【0058】
ミルベース中の分散剤の量は粒子状固体の量によるが、好ましくはミルベースの0.5〜5重量%である。
【0059】
ポリウレタン分散剤は、当業界で知られている任意の方法で作製することができるが、
a)2.0〜2.5個の平均官能基数を有する1つまたは複数のポリイソシアネート、
b)少なくとも1つのポリエステルまたはポリエーテル鎖、およびその化合物の一端に配置され、それによってポリエステルまたはポリエーテル鎖がポリウレタンポリマー骨格に対して横方向に配置される、イソシアネートと反応する少なくとも2つの基を有する1つまたは複数の化合物、
c)次式の第三アミノ基
【0060】
【化1】

(式中、RαおよびRβは、それぞれ独立に、アルキル、アラルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、イソシアネートと反応する基を含まない。RαおよびRβは一緒になって5〜8個の炭素原子を含む環構造を形成することができる。Rγは、イソシアネートと反応する少なくとも2つの基を含む部分である)
を有するその塩を含む1つまたは複数の化合物、
d)イソシアネートと反応する少なくとも2つの基を有する32〜3,000の数平均分子量を有する任意の1つまたは複数の形成化合物、
e)イソシアネートと反応する1つの基を含む、連鎖停止剤として作用する任意の1つまたは複数の化合物、
f)単一のイソシアネート基を含む、連鎖停止剤として作用する任意の1つまたは複数の化合物
を一緒に反応させることによって得ることができ、または得る。
【0061】
上記した通り、そのポリウレタン分散剤は本質的に直鎖の骨格を有しており、その結果、成分(b)、(c)および(d)が、イソシアネートと反応するただ2つの基を含むことが非常に好ましい。成分(a)が2.1〜2.0個、特に約2個の官能基を有することも好ましい。その理由は、ポリウレタン分散剤の鎖間の架橋を制限するからである。
【0062】
PU中に組み込まれる前かその後に、成分c)を四級化することが好ましい。PU中に組み込まれた後に、成分c)を四級化することが特に好ましい。
【0063】
γはイソシアネートと反応する2〜2.1個の基を含むことが好ましい。Rγはイソシアネートと反応する正確に2個の基を含むことが特に好ましい。
【0064】
酸を加えて、成分c)中の第三アミン部分との塩を形成させることができる。
【0065】
成分(a)は、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサンジイソシアネート(HDI)、α,α−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−MDI)、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート(2,4’−MDI)およびジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(HMDI)などのジイソシアネートまたはジイソシアネートの混合物であることが好ましい。成分(a)はTDI、IPDIまたはMDIのいずれかであることが好ましい。
【0066】
成分(b)であるポリエーテル鎖を有する化合物は、60%未満のポリ(エチレンオキシド)を含み、かつ、イソシアネートと反応する2つの基も好ましくは含むポリ(C2〜3−アルキレンオキシド)であることが好ましい。エチレンオキシドの量は、ポリ(C2〜3−アルキレンオキシド)鎖の40重量%未満、特に20重量%未満であることが好ましい。イソシアネートと反応するこれらの基を含む有機化合物中に、ポリエーテル横方向鎖を組み込むのにはいくつかの方法がある。
【0067】
したがって、イソシアネートと反応する2つの基がどちらもヒドロキシルである場合、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖は、2個以上の官能基を有するイソシアネートによって結合されていることが好都合である。この種の化合物は、米国特許第4,794,147号に記載されている。この特許は、単官能性ポリエーテルをポリイソシアネートと連続的に反応させて部分的にキャップしたイソシアネート中間体を生成させ、その中間体を、少なくとも1つの活性アミノ水素および少なくとも2つの活性ヒドロキシル基を有する化合物と反応させることを含んでいる。
【0068】
このタイプの化合物の1つの好ましい部類は、式1で表わされるものである。
【0069】
【化2】

(式中、
RはC1〜20−ヒドロカルビル基であり、
は、水素、メチルまたはエチルであり、そのうちの60%未満は水素であり、
およびRは、それぞれ独立に、C1〜8−ヒドロキシアルキルであり、
ZはC2〜4−アルキレンであり、
Xは−O−または−NH−であり、
Yはポリイソシアネートの残基であり、
mは5〜150であり、
pは1〜4であり、
qは1または2である)
Rはアルキル、アラルキル、シクロアルキルまたはアリールであってよい。
【0070】
Rがアラルキルである場合、それはベンジルまたは2−フェニルエチルであることが好ましい。
【0071】
Rがシクロアルキルである場合、それはシクロヘキシルなどのC3〜8−シクロアルキルであることが好ましい。
【0072】
Rがアリールである場合、それはナフチルまたはフェニルであることが好ましい。
【0073】
Rがアルキルである場合、それは直鎖であっても分枝鎖であってもよく、12個以下、より好ましくは8個以下、特に4個以下の炭素原子を含むことが好ましい。Rはメチルまたはブチルであることが特に好ましい。
【0074】
Zで表わされるC2〜4−アルキレン基はエチレン、トリメチレン、1,2−プロピレンまたはブチレンであってよい。
【0075】
mは10以上であることが好ましい。Mが100以下、特に80以下であることも好ましい。
【0076】
qが2である場合、2つの異なるポリウレタンポリマー鎖と結合することができるが、qは1であることが非常に好ましい。
【0077】
ポリイソシアネートが2個を超える官能基を有する場合、成分(b)である化合物は、1つを超えるポリ(アルキレンオキシド)鎖を担持することができる。しかし、pが1であり、qが1であり、Yがジイソシアネートの残基であることが非常に好ましい。
【0078】
が水素とメチルの混合体であり、Zが1,2−プロピレンであり、Xが−NH−である場合、式1の化合物は、Huntsman Corporationから入手することができるJeffamine(商標)Mポリエーテルなどのポリアルキレングリコールアミンの誘導体である。
【0079】
とRはどちらも2−ヒドロキシエチルであることが好ましい。
【0080】
XがOであることも好ましい。
【0081】
式1の化合物は一般に、単官能性ポリエーテルを、トルエンなどの不活性溶媒中、任意で酸触媒の存在下、50〜100℃の温度で所望のイソシアネート値に達するまで、ポリイソシアネートと反応させることによって調製する。一実施形態では、酸触媒が存在しており、他の実施形態では、酸触媒は存在していない。ジエタノールアミンなどの必要な第二アミンを加える場合、通常温度を40〜60℃に下げる。
【0082】
有用な式1の化合物は、250〜5,000の数平均分子量を有するポリ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテルまたはJeffamine(商標)Mシリーズポリエーテルを、TDIなどのジイソシアネートと反応させ、続いてジエタノールアミンと反応させることによって、成分(b)として用いられている。
【0083】
成分(b)として使用できる化合物の第2の好ましいタイプは式2の化合物である。
【0084】
【化3】

(式中、
R、R、Zおよびmは上記定義通りであり、
はイソシアネート反応性有機基であり、
は水素またはイソシアネート反応性有機基であり、
nは0または1である)
式2と類似した化合物の例が欧州特許第317258号に開示されている。
【0085】
およびRで表わされる有機基は、−OH、−SH、−COOH、−POおよび−NHR(Rは水素または任意の置換アルキルである)などのイソシアネート−反応基を含む有機基である。イソシアネート反応性基の具体的な例としては、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルコキシアルキル、ヒドロキシ(ポリアルキレンオキシ)アルキルおよびヒドロキシアルコキシカルボニルアルキルを挙げることができる。
【0086】
式2の化合物の好ましいタイプは、nがゼロであり、Zが1,2−プロピレンであり、Rが−CHCHC(O)−O−(L)−Hであるものである。ただし、Lはヒドロカルビル基またはアルコキシ基であり、Lは好ましくはC〜Cヒドロカルビル基またはアルコキシ基であり、qは1〜20、好ましくは1〜6、最も好ましくは1である。Rは水素である。このタイプの化合物は、ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンと、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたはヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシ官能性アクリレートのマイケル付加反応によって得ることができ、または得る。ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンの適切な供給源は、Huntsman Corporationから入手できるポリエーテルのJeffamine(商標)Mシリーズである。ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンと2−ヒドロキシ官能性アクリレートの反応は一般に、任意でハイドロキノンまたはブチル化ヒドロキシトルエンなどの重合防止剤の存在下、空気の存在下、50〜100℃の温度で実施する。
【0087】
式2の化合物の他の好ましいタイプは、nがゼロであり、Zが1,2−プロピレンであり、RとRがどちらも2−ヒドロキシエチルであるものである。このタイプの化合物は、酸性条件下で、ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンをエチレンオキシドと反応させることによって調製することができる。
【0088】
式2の化合物のさらに好ましい他のタイプは、nがゼロであり、Zが1,2−プロピレンであり、Rが−CHCHC(O)−O−(L)−Hであり、Rが水素であるものである。ただし、Lはヒドロカルビル基またはアルコキシ基であり、Lは好ましくはC〜Cヒドロカルビル基またはアルコキシ基であり、qは1〜20、好ましくは1〜6、最も好ましくは1である。Rは水素である。このタイプの化合物は、酸性条件下で、ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンを約1化学量論当量のエチレンオキシドと反応させることによって調製することができる。
【0089】
ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンは、以下の概略スキーム(ただし、RおよびRは上記定義通りである)により、
【0090】
【化4】

ポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルとアクリロニトリルの反応、および水素還元によっても得ることができる。
【0091】
nがゼロであり、Zが1,3−プロピレンであり、Rが2−ヒドロキシエチルであり、Rが水素である、式2の化合物の他の好ましいタイプは、式2Aのポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンと2−ヒドロキシエチルアクリレートまたはヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシ官能性アクリレートの反応によって得ることができる。
【0092】
成分(b)として使用できる化合物の第3の好ましいタイプは、式3の化合物である。
【0093】
【化5】

ただし、R、Rおよびmは上記定義通りであり、WはC2〜6−アルキレン、特にエチレンである。このタイプの化合物は、ヒドロキシアミンとポリ(アルキレンオキシド)アクリレートのマイケル付加反応によって得ることができ、または得る。
【0094】
成分(b)として使用できる化合物の第4の好ましいタイプは、式4の化合物である。
【0095】
【化6】

(式中、
R、R、Z、mおよびnは上記定義通りであり、
は、水素、ハロゲンまたはC1〜4アルキルを表し、
Qは二価電子求引基であり、
Tは置換基を担持するかまたはヘテロ原子を含むことができる二価炭化水素基である)
Qで表わされる電子求引基の例には、−CO−、−COO−、−SO−、−SO−、−SOO−および−CONR−(Rは水素またはアルキルである)が含まれる。
【0096】
Tで表わされる炭化水素基には、アルキレン、アリーレンおよびその混合物が含まれ、前記基は任意で置換基を担持するかまたはヘテロ原子を含むことができる。Tで表わされる適切な基の例は、1〜12個の炭素原子を含むアルキレン基、式−(CHCHRO)(Rは上記定義通りであり、xは1〜10である)のオキシアルキレンおよびポリオキシアルキレン基、フェニレンおよびジフェニレン基、ならびに
【0097】
【化7】

(式中、Yは−O−、−S−、−CH−、−CO−または−SO−である)などの他のアリーレン基である。
【0098】
式4の化合物は、2モルのポリ(アルキレンオキシド)モノアルキルエーテルモノアミンと1モルの式5の不飽和化合物
【0099】
【化8】

(式中、Q、TおよびRは上記定義通りである)
のマイケル付加反応によって、得ることができ、または得る。
【0100】
式5の不飽和化合物の例は特に、TがC4〜10−アルキレン残基、ポリオキシアルキレン残基またはオキシエチル化ビスフェノールA残基であるジアクリレートおよびジメタクリレートである。
【0101】
成分(b)がイソシアネートと反応する2つの基を含むポリエステルである場合、ポリエステル鎖は、重合末端部分として作用するヒドロキシかまたはカルボキシ含有化合物の存在下で、1種または複数のヒドロキシカルボン酸またはそのラクトンを重合させることによって作製することができる。
【0102】
連鎖停止化合物としてヒドロキシ含有化合物を用いて得られるポリエステルは、好ましくは式6のものである。
【0103】
【化9】

(式中、mは上記定義通りであり、
はC1〜50−ヒドロカルビル基であり、
AはC1〜26−アルキレンおよび/またはC2〜26−アルケニレンである)
連鎖停止化合物カルボキシル基含有化合物を用いて得られるポリエステルは、好ましくは式7のものである。
【0104】
【化10】

(式中、R、Aおよびmは上記定義通りである)
式6および/または7のポリエステルは一般に、1つまたは複数のヒドロキシカルボン酸を、不活性雰囲気で、エステル化触媒の存在下、50〜250℃で、ヒドロキシ含有化合物かまたはカルボキシ含有化合物と共に反応させることによって作製される。典型的な工程条件はWO01/80987に記載されている。
【0105】
式6の化合物を、式1の化合物の調製のために記載されているのと同様の条件下で、ポリイソシアネートおよび第二アミンと反応させてポリエステル類似物を生成させることができる。
【0106】
式7の化合物を、エチレングリコールまたはプロピレングリコールなどのジオールと反応させてモノヒドロキシ化合物に転換させ、得られたモノヒドロキシ誘導体を、式1のポリエーテルに類似したポリエステルの調製における式6の化合物と同様の仕方で処理することができる。
【0107】
ポリエステルの一端に、イソシアネートに対して反応性である2個の官能基を含むポリエステルは、アミノアルコールとポリエステルアクリレート、例えばポリカプロラクトンアクリレートとエタノールアミンのマイケル付加反応によって調製することができる。
【0108】
モノヒドロキシ官能性ポリマー鎖(ポリエーテルまたはポリエステルは、イソシアネート官能性アクリレートとの最初の反応、続く、アルカノールアミンのマイケル付加反応により付加物を得ることによって、一端にヒドロキシルとイミノ基の両方を含むポリマー鎖に転換させることができる。
【0109】
以下のスキームは、モノヒドロキシ官能性ポリエステルから出発するそうした合成による転換法を示す。
【0110】
【化11】

ただし、R10およびmは上記定義通りである。
【0111】
成分c)の構造は、それが、イソシアネートとの反応によってポリウレタン中に組み込まれる際、成分c)から誘導される第三アミン基が、ポリウレタン骨格に対して横方向に結合しており、その結果、第三窒素原子が骨格上の最も近接した原子から少なくとも1個の原子で隔てられているようになっている。第三窒素原子は、骨格上の最も近接した原子から少なくとも2個の原子で隔てられていることがより好ましく、第三窒素原子は、骨格上の最も近接した原子から少なくとも3個の原子で隔てられていることが特に好ましい。
【0112】
第三窒素原子は、骨格上の最も近接した原子から20個未満の原子で隔てられていることが好ましい。第三窒素原子は、骨格上の最も近接した原子から15個未満の原子で隔てられていることがより好ましい。第三窒素原子は、骨格上の最も近接した原子から10個未満の原子で隔てられていることが特に好ましい。
【0113】
そうした横方向結合第三アミンは、いくつかの粒子状固体に対してより良好なアンカー機能を提供すると考えられる。第三アミンは、部分的かまたは全体的に四級化されて第四アンモニウム塩を形成していてもよい。
【0114】
成分(c)の例は以下のものである:
i)ジアルキルアミノアルキルアミンのヒドロキシ官能基含有α,β−不飽和カルボニル化合物とのマイケル付加反応によって形成される生成物。適切なジアルキルアミノアルキルアミンのいくつかの例は、式R(R)NRNHで表わすことができる。ただし、RおよびRは独立に、C〜Cアルキル部分であり、RおよびRは一緒に5〜8個の炭素原子を含む環構造を形成していてもよい。RはC〜C12直鎖または分枝鎖アルキレンである。ヒドロキシ官能基を含む適切なα,β−不飽和カルボニル化合物の例には、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートまたはヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレートが含まれる。成分c)の好ましい例は、以下に示すような
【0115】
【化12】

ジメチルアミノプロピルアミンと2−ヒドロキシエチルアクリレートの反応によって形成される、2−ヒドロキシエチル3−{[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ}プロパノエート(化合物Z)である。
【0116】
ii)1,1’-{[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]イミノ}ビス−2−プロパ
ノール
【0117】
【化13】

iii)ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール。
【0118】
【化14】

iv)ジアルキルアミノアルキルアクリレートとアミノアルコールのマイケル付加反応生成物。ジアルキルアミノアルキルアクリレートの例には、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートおよびジエチルアミノプロピルアクリレートが含まれる。マイケル付加反応は、ジメチルアミノエチルアクリレートおよびアミノアルコールを用いた以下の反応スキームで示される。
【0119】
【化15】

アミノアルコールの例には、R=(CHであり、0≦n≦11であるC〜C12アルカノールアミンか、またはR=CHOCHCHであるアミノエトキシエタノールが含まれる。
【0120】
v)ポリウレタン中に2つのペンダント第三窒素をもたらす例である2,2−ビス((ジエチルアミノ)メチル)−1,3−プロパンジオール。
【0121】
【化16】

vi)上記に示したような、2モルのジアルキルアミノアルキルアミンと1モルの式5の不飽和化合物のマイケル付加反応によって得ることができ、または得る化合物。
【0122】
【化17】

ただし、Q、TおよびRは上記定義通りである。
【0123】
式5の不飽和化合物の例は、特に、TがC4〜10−アルキレン残基、ポリオキシアルキレン残基またはオキシエチル化ビスフェノールA残基であるジアクリレートである。
【0124】
ポリウレタンの成分(d)である形成化合物は、イソシアネートとの反応性の関連で二官能性であることが好ましいが、ポリウレタンポリマー骨格の少量の分枝鎖が望ましい場合、少量のより高い官能性のものを用いることができる。しかし、成分(d)は二官能性であることが好ましい。好ましい反応基はアミノおよびヒドロキシであり、成分(d)はジアミンまたは特にジオールであることが非常に好ましい。存在する場合、成分(d)は主に、ポリウレタンポリマーの溶解性を変えるための鎖延長剤として用いられる。
【0125】
適切なジアミンの例は、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミンおよび1,6−ヘキサンジアミンである。
【0126】
適切なジオールの例は、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、1,2−ドデカンジオール、2−フェニル−1,2−プロパンジオール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ブタンジオールおよびネオペンチルグリコールである。ジオールは、ポリ(C2〜4−アルキレングリコール)、ポリエステルまたはポリアクリル酸ジオールなどのポリエーテルであってもよい。ポリアルキレングリコールは、その混合物を含む反復エチレンオキシ、プロピレンオキシもしくはブチレンオキシ基を含むランダムまたはブロック(コ)ポリマーであってよい。
【0127】
成分d)である分散剤の形成化合物は、任意で、その塩を含む1つまたは複数の酸基を含むこともできる。好ましい酸基はカルボン酸基である。
【0128】
酸基が塩の形態である場合、それは、ナトリウム、カリウムまたはリチウムなどのアルカリ金属の塩、C1〜8−アルキルアミンまたはC1〜8−アルカノールアミンなどのアミンの塩であってよく、またC1〜8−アルキルは四級アンモニウムカチオンまたはベンザルコニウムカチオンなどの四級アンモニウムカチオンであってもよい。存在する場合、酸基は遊離酸の形態であることが好ましい。カルボン酸成分の好ましい例は、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)やジメチロール酪酸(DMBA)である。
【0129】
成分d)である分散剤の形成化合物は、任意で、イソシアネートと反応しない、その塩を含む1つまたは複数のアミノ基を含むこともできる。アミノ基が塩の形態である場合、それは無機または有機酸の塩の形態であってよい。そうした酸の例は塩酸および酢酸である。アミノ基は、既知の任意の四級化剤で四級化されていてよい。好ましい四級化剤は、アルキルハライド、アラルキルハライド、ジアルキルカーボネート、ジアルキルサルフェートまたはエポキシドである。特に好ましい四級化剤はジメチルサルフェート、塩化ベンジルまたはスチレンオキシドである。
【0130】
上記した通り、ポリウレタンポリマー骨格は、特徴として本質的に直鎖であることが好ましい。しかし、ある程度少ない量の分枝鎖は許容され、この分枝鎖は、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンまたはペンタエリスリトールなどのより高次の官能性ポリオールによって導入されることが好都合である。
【0131】
以下に開示するように、成分(e)である連鎖停止化合物は、イソシアネートに関して単官能性である。単官能性基は好ましくはアミノまたはヒドロキシ基である。好ましい末端基は、ポリウレタンの成分(b)である横方向側鎖化合物の調製で用いたのと同様のポリ(C2〜4−アルキレン)モノアルキルエーテルおよびモノアルキルエーテルアミンである。
【0132】
連鎖停止化合物(成分f)として作用するモノイソシアネートの例は、フェニルイソシアネートである。
【0133】
成分(f)の量はゼロであることが非常に好ましい。
【0134】
ポリウレタンポリマーがそれから得ることができる上記化合物の典型的な量はすべて、ポリウレタンポリマーの合計重量に対して、10〜50%の成分(a)、10〜80%の成分(b)、1〜24%の成分(c)、0〜25%の成分(d)、0〜50%の成分(e)および0〜20%の成分(f)である。
【0135】
成分(e)が単官能性ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(アルク)アクリレートまたはポリオレフィンである場合、成分(b)と成分(e)の合計量は好ましくは35%以上であり、成分(e)が単官能性ポリエーテル、ポリエステルまたはポリ(アルク)アクリレート以外である場合、成分(b)の量は好ましくは35%以上である。
【0136】
本発明によるポリウレタンポリマーは、当業界で既知の任意の方法で調製することができる。一般に、ポリウレタンポリマーは、実質的に無水の条件下、一般に0〜130℃の温度の不活性雰囲気で、任意で不活性溶媒の存在下、かつ任意で触媒の存在下で、2.0〜2.5個(成分(a))の官能基を有する1つまたは複数のイソシアネートを、それぞれ一端に位置する、イソシアネートと反応する少なくとも2つの基(成分(b))を有することを特徴とする、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖を有するポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリル酸、またはポリオレフィンから選択される1つまたは複数の化合物と反応させることによって得ることができ、または得る。任意で、少なくとも1つの酸またはアミン基を有する1つまたは複数の化合物(成分(c))、鎖延長剤として作用する1つまたは複数の形成化合物(成分(d))、および成分(e)および(f)である連鎖停止化合物として作用する任意の1つまたは複数の化合物の存在下で反応を実施することもできる。
【0137】
不活性雰囲気は、周期律表の不活性ガスのいずれによっても提供することができるが、窒素が好ましい。
【0138】
ポリウレタンポリマー/プレポリマーの調製は、触媒の存在下で実施することができる。特に好ましい触媒は、ジラウリン酸ジブチルすず(DBTDL)などの脂肪酸のすず錯体や第三アミンである。
【0139】
本発明によるポリウレタンポリマーの本質的特徴は、それが、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリエステル、ポリ(アルク)アクリレートまたはポリオレフィンであってよい規定量の横方向ポリマー側鎖を含む、大部分が直鎖であるポリウレタンポリマー骨格を含むことである。したがって、残留イソシアネート官能基を有するプレポリマーの配合物を含む、イソシアネート基とイソシアネート反応基の比に関して当業者に明らかな多くの改変体が存在することになる。1つのケースでは、成分(a)によって提供される合計イソシアネート基の比は、成分(b)、ならびに、存在する場合、成分(c)(d)および(e)によってイソシアネート反応基によって提供される合計量より少ない。どの末端イソシアネート反応基も反応することができる。
【0140】
あるいは、成分(a)および任意の成分(f)によって提供されるイソシアネート基の合計数の比は、成分(b)ならびに、存在する場合、成分(c)、(d)および(e)によって提供されるイソシアネート反応基の合計数の比より大きい。したがって、得られるポリウレタンは残留イソシアネート官能基を含むプレポリマーである。次いでこのプレポリマーは、任意で溶媒中に溶解させる前かまたはその間に、異なるプレポリマー鎖と結合する成分(d)などの他の鎖延長剤、および/または、成分(e)である連鎖停止化合物と反応させることができる。一実施形態では、溶媒中に溶解させる前にプレポリマーを鎖延長剤と反応させる。一実施形態では、溶媒へ溶解させる際にプレポリマーを鎖延長剤と反応させる。一実施形態では、溶媒の非存在下でプレポリマーを鎖延長剤と反応させる。
【0141】
特に溶媒が全く存在しないもとで反応を実施する環境で粘度を制御する手段であるので、ポリウレタンポリマーの調製の際にプレポリマーを調製することは有用である。
【0142】
イソシアネート官能基を含むプレポリマーを作製する場合、鎖延長は、水自体によって、あるいはポリオール、アミノ−アルコール、第一もしくは第二脂肪族、脂環式、芳香族、アラリファティック(araliphatic)もしくは複素環ポリアミン、特にジアミン、ヒドラジンまたは置換ヒドラジンによって実施することができる。
【0143】
適切な鎖延長剤の例には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、トリス(2−アミノエチル)アミン、3,3’−ジニトロベンジジン、4,4’メチレンビス(2−クロルアニリン)、3,3’−ジクロロ−4、4’ビ−フェニルジアミン、2,6−ジアミノピリジン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、メタンジアミン、m−キシレンジアミン、イソホロンジアミンおよびジエチレントリアミンとアクリレートまたはその加水分解生成物との付加体が含まれる。ヒドラジン、アセトンアジンなどのアジン、例えばジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレン−ビス−ヒドラジン、カルボジヒドラジンなどの置換ヒドラジン、アジピン酸モノ−もしくはジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、1,3−フェニレンジスルホン酸ジヒドラジド、ω−アミノカプロン酸ジヒドラジドなどのジカルボン酸およびスルホン酸のヒドラジド、γ−ヒドロキシル酪酸ヒドラジドなどのラクトンとヒドラジドの反応によって作製されるヒドラジド、上記グリコールのいずれかなどのグリコールのビス−セミ−カルバジド炭酸エステルなどの物質も含まれる。ヘキサメチレンジアミンが特に好ましい。
【0144】
鎖延長は高温、低温、周囲温度のいずれでも行うことができる。好都合な温度は約5℃〜95℃である。
【0145】
ポリウレタンポリマーの調製においてプレポリマーを用いる場合、ポリウレタンポリマーの分子量を制御するために、鎖延長剤および連鎖停止化合物の量を選択する。鎖延長剤中のイソシアネート−反応基の数が、プレポリマー中の遊離イソシアネート基の数とほぼ等しい場合、高分子量が好都合となる。低分子量のポリウレタンポリマーには、ポリウレタンプレポリマーとの反応において、鎖延長剤と連鎖停止剤の組合せを用いることが好都合である。
【0146】
粘度を制御するために、ポリウレタンポリマー/プレポリマーが生成する前か、その間かまたはその後に不活性溶媒を加えることができる。適切な溶媒の例は、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ダイグライム、N−メチルピロリドン、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピル、酢酸エチル、エチレンおよびプロピレングリコールジアセテート、エチレンとプロピレングリコールアセテートのアルキルエーテル、トルエン、キシレンおよびt−ブタノールやジアセトンアルコールなどの立体障害アルコールである。好ましい溶媒は酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピルおよびN−メチルピロリドンである。
【0147】
ポリウレタンポリマーの数平均分子量は好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上、特に4,000以上である。ポリウレタンポリマーの数平均分子量が50,000以下、より好ましくは30,000以下、特に20,000以下であることも好ましい。
【0148】
上記した通り、ポリウレタン分散剤のうちのいくつかは新規である。したがって、本発明の他の態様として、本質的に直鎖の骨格、およびポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖に対して60重量%未満のエチレンオキシドを含む、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)の横方向結合溶媒可溶化ポリエーテル側鎖を有するポリウレタン分散剤を提供する。そうした分散剤の1つの好ましい下位グループでは、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖は、ポリエーテル鎖の一端に、イソシアネートと反応する1つのヒドロキシルと1つのイミノ(第二アミン)基を含むポリエーテルの残基である。ポリエーテル分散剤の第2の好ましい下位グループでは、ポリ(C2〜4−アルキレンオキシド)鎖は、ポリエーテル鎖の一端に、イソシアネートと反応し、かつ5個以上の原子で隔てられている2つのヒドロキシル基を含むポリエーテルの残基である。
【0149】
本発明のさらに他の態様としては、本質的に直鎖の骨格、および横方向結合溶媒可溶化ポリエステル側鎖を有するポリウレタン分散剤を提供する。そうしたポリエステル分散剤の1つの好ましい下位グループでは、ポリエステル側鎖は、ポリエステル鎖の一端に、イソシアネートと反応し、かつ好ましくは5〜17個の原子で隔てられている2つのヒドロキシル基を含むポリエステルの残基である。
【0150】
工業的応用
本発明の組成物から作製される分散液およびミルベースは、高固体塗料を含む塗料、インク、特にフレキソ印刷インク、グラビア印刷インクおよびスクリーン印刷インク、ディスプレースクリーン装置および非水系セラミックプロセスのためのカラーィルター層において使用するのに特に適している。
【0151】
以下の実施例は、本発明の実例を提供するものである。これらの実施例は、限定的なものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。それと異なる言及がない限り、すべての参照は重量部である。
【実施例】
【0152】
中間体A
Jeffamine M2005(200部、Huntsman社品)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(11.61部)および2,6−ジ−tertブチル−4−メチルフェノール(0.03部)を、70℃で48時間、マイケル付加反応が完結するまで一緒に攪拌した。これを中間体Aとする。
【0153】
中間体B
1−ドデカノール(64.1部)とε−カプロラクトン(509.97部)を窒素雰囲気下、150℃で一緒に攪拌した。ジルコニウムブトキシド触媒(2.9部)を加え、反応物を180℃に加熱し、攪拌しながら20時間保持した。20℃に冷却した後、生成ポリエステルをワックス状固形物として得た。これを中間体Bとする。
【0154】
中間体C
トリレンジイソシアネート(41.71部)を、窒素雰囲気下で、50℃に加熱した反応器に加えた。中間体B(400部)を酢酸エチル(400部)と混合し、オーブン中で50℃に加熱し、次いで、50〜60℃で攪拌しながら2時間かけて反応器に加えた。60℃で攪拌しながら1時間反応を続行した。次いで反応物を20℃に冷却し、ジエタノールアミン(25.18部)を加えた。攪拌しながら、残留するイソシアネートがなくなるまで35℃で反応を続行した。次に、ロータリーエバポレーターで酢酸エチルを除去し、次いで、真空オーブンで残留溶媒を除去した。これを中間体Cとする。
【0155】
中間体D
3−ジメチルアミノ−1−プロピルアミン(400部)を反応器にチャージし、0℃に冷却した。2−ヒドロキシエチルアクリレート(454.57部)を滴下漏斗にチャージし、マイケル付加反応が完結するまで3時間かけて反応器に加えた。これを中間体Dとする。
【0156】
中間体E
エタノールアミン(30.54部)および2−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.01部)を反応器にチャージし、次いで0℃に冷却した。2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(71.59部)を滴下漏斗にチャージし、次いで、反応温度を0℃に保持しながら、1時間かけて反応器に加えた。次いで温度を50℃に上げて1時間、さらに70℃に上げて4時間、マイケル付加反応が完結するまで加熱した。これを中間体Eとする。
【0157】
中間体F
3−アミノ−1−プロパノール(37.56部)および2−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.01部)を反応器にチャージし、次いで0℃に冷却した。2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(71.59部)を滴下漏斗にチャージし、次いで、反応温度を0℃に保持しながら1時間かけて反応器に加えた。次いで温度を50℃に上げて1時間、さらに70℃に上げて4時間、マイケル付加反応が完結するまで加熱した。これを中間体Fとする。
【0158】
中間体G
2−(2−アミノエトキシ)エタノール(42.07部)および2−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.01部)を反応器にチャージし、次いで0℃に冷却した。2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(57.27部)を滴下漏斗にチャージし、次いで、反応温度を0℃に保持しながら、1時間かけて反応器に加えた。次いで温度を50℃に上げて1時間、さらに70℃に上げて4時間、マイケル付加反応が完結するまで加熱した。これを中間体Gとする。
【0159】
中間体H
6−アミノ−1−ヘキサノール(35.16部)および2−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.01部)を反応器にチャージし、70℃に加熱した。次いで、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート(42.96部)を、マイケル付加反応が完結するまで1時間かけて滴下した。これを中間体Hとする。
【0160】
中間体I
3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン(39.07部)をフラスコにチャージし、0℃に冷却した。2−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.01部)を2−ヒドロキシエチルアクリレート(34.84部)中に溶解し、滴下漏斗にチャージし、次いで、温度を0℃に保持しながら、1時間かけて反応器に加えた。次いで温度を50℃に上げて1時間、さらに70℃に上げて4時間、マイケル付加反応が完結するまで加熱した。これを中間体Iとする。
【0161】
中間体J
3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン(55.9部)をフラスコにチャージし、0℃に冷却した。2−tert−ブチル−4−メチルフェノール(0.01部)を2−ヒドロキシエチルアクリレート(34.84部)中に溶解し、滴下漏斗にチャージし、次いで、温度を0℃に保持しながら、1時間かけて反応器に加えた。次いで温度を50℃に上げて1時間、さらに70℃に上げて4時間、マイケル付加反応が完結するまで加熱した。これを中間体Jとする。
【0162】
中間体K
Jeffamine M600(100部、Huntsman社品)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(19.03部)を、80℃で20時間、マイケル付加反応が完結するまで一緒に攪拌した。これを中間体Kとする。
【0163】
中間体L
1−ドデカノール(114.6部)、ε−カプロラクトン(666.73部)およびδ−バレロラクトン(215.44部)を、窒素雰囲気下、150℃で一緒に攪拌した。ジルコニウムブトキシド触媒(4.0部)を加え、反応物を180℃に加熱し、20時間攪拌を継続した。20℃に冷却した後、生成したポリエステルをワックス状固形物として得た。これを中間体Lとする。
【0164】
中間体M
トリレンジイソシアネート(85.97部)を、窒素雰囲気下で、50℃に加熱した反応器に加えた。中間体L(800部)オーブン中で50℃に加熱し、次いで、50〜60℃で攪拌しながら2時間かけて反応器に加えた。60℃で攪拌しながら1時間反応を続行した。次いで反応物を20℃に冷却し、ジエタノールアミン(51.90部)を加えた。35℃で攪拌しながら、残留するイソシアネートがなくなるまで反応を続行した。これを中間体Mとする。
【0165】
以下の実施例において、生成した分散剤の分子量を、溶離液として1重量%のトリエチルアミンを含むテトラヒドロフランを用いて、ゲル透過クロマトグラフィーにより特性評価した。数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)値はポリスチレン標準品に対して測定した。溶媒中で重合を行うため、溶液中の最終固形分含量を重量分析により測定した。
【0166】
(比較例1)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(21.10部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(154.05部)、中間体A(80.30部)およびN−メチルジエタノールアミン(8.6部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。Jeffmaine M2005(44.05部、Hunstman社品)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から100部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn13,300およびMw30,200の分子量値を示した。塩化ベンジル(5.6部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量49.4重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0167】
(比較例2)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(31.39部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(154.04部)、中間体A(80.30部)およびN−メチルジエタノールアミン(17.28部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。Jeffmaine M2005(65.54部、Hunstman社品)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から100部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn9,300およびMw19,600の分子量値を示した。塩化ベンジル(5.6部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量49.8重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0168】
(実施例1)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(20.52部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(152.84部)、中間体A(73.70部)および1,1’−{[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]イミノ}ビス−2−プロパノール(15.78部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。Jeffmaine M2005(42.84部、Hunstman社品)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から100部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn8,700およびMw14,700の分子量値を示した。塩化ベンジル(5.5部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量54.8重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0169】
(実施例2)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(20.52部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(152.85部)、中間体A(73.70部)および中間体D(15.78部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。Jeffmaine M2005(42.85部、Hunstman社品)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から100部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn6,000およびMw15,200の分子量値を示した。塩化ベンジル(5.6部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量51.1重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0170】
(実施例3)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(22.72部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(159.6部)、中間体C(80.40部)および1,1’−{[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]イミノ}ビス−2−プロパノール(16.88部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。中間体B(39.6部)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から100部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn6,200およびMw18,100の分子量値を示した。塩化ベンジル(6.0部)および酢酸メトキシプロピル(6.0部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量50.9重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0171】
(実施例4)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(23.25部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(125.43部)、中間体A(56.20部)および中間体E(20.55部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。Jeffamine M2005(25.43部、Hunstman社品)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から150部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn3000およびMw7300の分子量値を示した。塩化ベンジル(2.32部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量48.1重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0172】
(実施例5)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(22.61部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(124.73部)、中間体A(56.20部)および中間体F(21.19部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。Jeffmaine M2005(24.73部、Hunstman社品)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から150部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn3600およびMw8200の分子量値を示した。塩化ベンジル(2.43部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量47.8重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0173】
(実施例6)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(21.37部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(123.37部)、中間体A(56.20部)および中間体G(22.43部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。Jeffmaine M2005(23.37部、Hunstman社品)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から150部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn4400およびMw10600の分子量値を示した。塩化ベンジル(2.16部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量49.0重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0174】
(実施例7)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(26.48部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(111.94部)、中間体K(56.20部)および中間体H(17.32部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。Jeffamine M600(11.94部、Hunstman社品)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から174部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn4200およびMw10600の分子量値を示した。塩化ベンジル(1.67部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量54.8重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0175】
(実施例8)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(21.77部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(125.19部)、中間体M(56.20部)および中間体I(22.03部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。中間体L(25.19部)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から200部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn10100およびMw20200の分子量値を示した。塩化ベンジル(2.11部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量50重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0176】
(実施例9)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(12.93部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(112.38部)、中間体M(33.72部)および中間体J(13.35部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。中間体L(52.38部)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から175部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn6700およびMw15500の分子量値を示した。塩化ベンジル(1.14部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量50重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0177】
(実施例10)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(26.68部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて酢酸メトキシプロピル(130.87部)、中間体M(56.20部)および3−(ジエチルアミノ)−1,2−プロパンジオール(17.12部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。Jeffamine M2005(30.87部、Huntsman社品)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から211部の生成溶液を取り出した。この物質のGPC分析はMn7800およびMw27000の分子量値を示した。塩化ベンジル(2.43部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量49.7重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0178】
(実施例11)
トリレン−2,4−ジイソシアネート(37.17部、テクニカルグレード、80%)を窒素雰囲気下で反応器にチャージし、続いて中間体A(82.50部)および1,1’−{[3−(ジメチルアミノ)−プロピル]イミノ}ビス−2−プロパノール(30.33部)をチャージした。混合物を攪拌しながら70℃に加熱した。中間体L(115.14部)を加え、反応混合物を70℃で2時間保持した。この時点でイソシアネートは残留していなかった。反応器から211部の生成物を取り出した。この物質のGPC分析はMn9500およびMw17300の分子量値を示した。塩化ベンジル(1.49部)および酢酸メトキシプロピル(50部)を反応器中の残留溶液にチャージし、これを70℃で攪拌しながら20時間保持して固形分含量48.3重量%を有する四級化されたPU分散剤を得た。
【0179】
顔料分散性能
溶媒キシレン、酢酸メトキシプロピルおよび酢酸ブチルのブレンド液を1:1:1の重量比で作製した。顔料分散剤1〜3を、溶媒ブレンド液中で比較例1および2と比較した。
【0180】
顔料分散液は、以下の表1に詳述した材料を、リストに挙げた順に4オンスのガラス瓶に加えて調製した。それぞれの場合、顔料の添加割合は35重量%であり、分散剤の有効含量は使用した顔料の質量に対して18重量%であった。
【0181】
【表1】

#ピグメントレッド177はCiba社から入手
##ヒドロキシ官能性ポリアクリレートはBayer社から入手。
【0182】
それぞれの場合、混合物を緩やかに攪拌して顔料を十分湿潤させた。125部の3mm直径ガラスビーズを瓶に加えた。瓶をScandex分散機モデル200−K中に置き、内容物を1時間振動性振とう(oscillatory shaking)により粉砕した。
【0183】
分散液の粘度を、2.5°/15mmの錐体形状を有するBohlin Visco V88粘度計を用いて、ある剪断速度の範囲にわたって測定した。粘度対剪断速度データを添付の図1に示す。
【0184】
比較例分散剤を用いて作製した顔料分散液は、低剪断速度で著しく高い粘度を有しており、本発明の分散剤を用いて作製したものより偽塑性であることが明らかに示されている。
【0185】
以下の成分と混合することによって、ポリウレタンコーティング配合物を、上記調製のミルベース分散液のそれぞれから作製した。
【0186】
【表2】

*ポリイソシアネートはBayer社から入手。
【0187】
得られたコーティング配合物を、ナンバー4Kのバーを備えた自動膜塗布器(automatic film applicator)を用いて、Lenetaの白黒カード上に引き延ばした。コーティング物を空気乾燥させた。コーティング物の光沢とヘイズをByk Gardner4600ヘイズ−光沢計を用いて測定した。色強度をMacbeth Coloureye XTH分光光度計で測定した。透明度は、標準D65照明のもとVeriVideの視覚的評価キャビネットで目視評価した。結果を以下の表3に示す。
【0188】
【表3】

データから分かるように、本発明の分散剤をベースとしたコーティングの特性は、透明度と色強度の両方に関して、比較例より著しく改善されている。
【0189】
分散剤1〜11(1.0部)を酢酸ブチル(7.0部)に溶解して分散液を調製した。3mm直径ガラスビーズ(20部)および赤色顔料(2.0部、Paliogen Maroon L3920、BASF社品)を加え、内容物を、水平振とう機で16時間かけて粉砕した。得られたミルベースはすべて優れた流動性を示した。
【0190】
【表4】

上記に引用した文献のそれぞれを参照により本明細書に組み込む。実施例を除き、かつ別に明らかに指定している場合を除き、材料の量、反応条件、分子量、炭素原子の数等を指定する本説明におけるすべての数量は、「約」という言葉で修飾されているものと理解されたい。別段の指定のない限り、本明細書で言及した各化合物または組成物は、その異性体、副生成物、誘導体および市販グレード中に通常存在するとされているそうした他の物質を含む市販グレードのものであると解釈されるべきである。しかし、各化学成分の量は、別段の指定のない限り、市販材料中に通常存在する溶媒または希釈油を除いて存在するものとする。本明細書で示した量、範囲および比の上限および下限は、独立に組み合わせることができることを理解されたい。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、他の要素のいずれかについての範囲および量と合わせて用いることができる。本明細書用いる「〜から本質的になる」という表現は、考慮されている組成物の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない物質を包含することを許容するものとする。
【0191】
本発明を、その好ましい実施形態に関連して説明してきたが、本明細書を読めば、その様々な変更形態が当業者に明らかになるであろうことを理解されたい。したがって、本明細書で開示した本発明は、そうした変更形態を添付の特許請求の範囲内に包含するものと理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【公開番号】特開2013−32546(P2013−32546A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−244290(P2012−244290)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【分割の表示】特願2009−539532(P2009−539532)の分割
【原出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(506347528)ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド (74)
【Fターム(参考)】