説明

切削複合加工機

【課題】加工深度測量機能を有する切削複合加工機を提供する。
【解決手段】切削複合加工機10は、カッター20、供給手段30、第一レーザー光波40を生じる第一放射器42、第二レーザー光波50を生じる第二放射器52及び感知制御手段60を備える。第一レーザー光波40と第二レーザー光波50は、それぞれカッター20の固定端22から通路26に沿って切削端24に向かって進んで工作対象物14に照射することが可能である。感知制御手段60は、第二レーザー光波50が工作対象物14に照射した後反射されてくる光波を受け取ることが可能である。カッター20と第一レーザー光波40によって切削を行い、第二レーザー光波50によって加工深度を測量する。これにより、加工速度が比較的速いだけでなく、加工精度が比較的正確となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削複合加工機、特に加工深度を測量する機能を有する切削複合加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超精密加工の分野において、サイズの精度を30から50ナノメートルまで加工する必要がよく求められるため、伝統的な加工技術では上述の精度までの加工ができなくなる。従って非伝統の加工技術、例えば放電加工、切削加工、研磨加工またはマイクロレーザー加工は産業界において大量使用されている。
【0003】
切削加工を例とすると、サイズの精度を極小化するために、切削用カッターのサイズをより小さくしなければならないのに対し、切削速度を上げなければならない。一部では、切削工程においてカッターとレーザーを同調させて加工を行うため、切削した後の構造が比較的精密になり、加工速度が比較的速くなる。
【0004】
しかし、上述の切削用カッターのサイズは通常極めて小さいため、カッターとレーザーによって切削作業を行う場合、作業環境に制限されて加工深度または距離の測量と確認を行いにくいという事態がよくある。従って、加工速度を大幅に上げることができないだけでなく、加工の品質を制御するのが難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、加工深度測量機能を有する切削複合加工機を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、加工速度が比較的速いだけでなく加工精度が比較的高い切削複合加工機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明による切削複合加工機は、カッター、供給手段、第一レーザー光波を生じる第一放射器、第二レーザー光波を生じる第二放射器及び感知制御手段を備える。カッターは、固定端、切削端及び固定端から切削端を貫通する少なくとも一つの通路を有する。供給手段は、カッターの通路の中に気体または液体を供給可能である。第一レーザー光波と第二レーザー光波は、それぞれカッターの固定端から通路に沿って切削端に向かって進んで工作対象物に照射することが可能である。感知制御手段は、第二レーザー光波が工作対象物に照射した後反射されてくる光波を受け取ることが可能である。上述した通り、本発明はカッターと第一レーザー光波によって切削を行い、第二レーザー光波によって加工深度を測量するため、加工速度が比較的速いだけでなく加工精度が比較的正確である。従って、本発明の目的を達成することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず図面の説明は次の通りである。
(第一実施例)
図1に示すように、本発明の第一実施例による加工深度測量機能を有する切削複合加工機10は、カッター20、供給手段30、第一レーザー光波40、第二レーザー光波50及び感知制御手段60を備える。
【0008】
カッター20はフライスである。カッター20は、固定端22と、切削端24と、固定端22から切削端24を貫通する少なくとも一つの中空の通路26とを有する。固定端22は加工機10の回転主軸12に配置され、切削端24は切削待ちの工作対象物14に向かう。主軸12は内部に開口部16を有し、開口部16は通路26へと連続する。主軸12はカッター20を本来の位置において回転させたり上下方向に移動させたりすることが可能である。
【0009】
供給手段30は連続ユニット32を有し、連続ユニット32は内部に気体または液体が充満する。連続ユニット32は主軸12に装着されるため、気体または液体は開口部16からカッター20の通路26の中に流れることが可能である。
第一レーザー光波40はNd:YAGの高出力レーザーまたは二酸化炭素レーザーであり、第二レーザー光波50は低出力レーザーである。第一放射器42は第一レーザー光波40を生じ、第二放射器52は第二レーザー光波50を生じ、主軸12の開口部16に入射し、そののちカッター20の固定端22を経由し、通路26に沿って切削端24に向かって進んで工作対象物14に照射することが可能である。第一レーザー光波40と第二レーザー光波50は同軸または非同軸で工作対象物14に照射することが可能である。
【0010】
感知制御手段60は、第二レーザー光波50の放射器52の上に装着される。感知制御手段60は、第二レーザー光波50が工作対象物14に照射した後反射されてくる光波を受け取り、かつ光波の往復時間を距離に換算することが可能である。
【0011】
上述した構造の説明により、本発明の第一実施例による切削複合加工機10が切削加工を行う時、カッター20は主軸12の駆動によって回転し、工作対象物14の表面に接触するため、カッター20は接触した工作対象物14の表面の材料を切削・除去することが可能である。またカッター20が切削を行う時、供給手段30から輸送される気体または液体は主軸12の内部からカッター20の通路26に流入し、続いて通路26に沿って切削端24から流出するため、気体または液体によって切削の際に生じた削り屑を工作対象物14の表面から持ち出すことが可能である。またカッター20が上述の切削作業を行う時、第一レーザー光波40は工作対象物14の表面に同時に照射し、かつ光波が照射した区域の材料を除去する。従って、カッター20と第一レーザー光波40での二重の作用によって工作対象物14の表面に切削加工を比較的迅速に行うことが可能である。
【0012】
またカッター20と第一レーザー光波40が工作対象物14に加工を行う際、第二レーザー光波50も工作対象物14の表面に同時に照射する。かつ第二レーザー光波50は工作対象物14の表面に照射した後反射されてくる光波が、カッター20の通路26を通過して感知制御手段60に照射し、感知制御手段60は、第二レーザー光波50が放射されてから反射光波が受け取られるまでの時間を距離に持続的に換算することにより、切削された後の工作対象物14の表面の高度を測量する。これにより、作業員はカッター20と第一レーザー光波40による加工深度をより正確に測量・確認することが可能である。
【0013】
これにより、本発明の第一実施例は、カッター20と第一レーザー光波40によって切削を行い、第二レーザー光波50によって加工深度を持続的に測量するため、加工速度が比較的速いだけでなく加工精度が比較的正確である。従って、本発明の目的を達成することが可能である。
【0014】
(第二実施例)
図2に示すように、本発明の第二実施例による加工深度測量機能を有する切削複合加工機70は、カッター71、供給手段72、第一レーザー光波73、第二レーザー光波74及び感知制御手段75を備える。その特徴は次の通りである。カッター71は丸フライスである。第一レーザー光波73を生じる第一放射器76と、第二レーザー光波74を生じる放射器79は、直接主軸77に装着されるため、第一レーザー光波73と第二レーザー光波74を主軸77の内部からカッター71の通路78に放射することが可能である。カッター71と第一レーザー光波73は、切削作業を行うことが可能である。第二レーザー光波74は、カッター71の加工深度を同調測量することが可能である。上述した構成により本発明の第二実施例による切削複合加工機70は、同じ目的を達成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第一実施例による切削複合加工機を示す模式図である。
【図2】本発明の第二実施例による切削複合加工機を示す模式図である。
【符号の説明】
【0016】
10:切削複合加工機、12:主軸、14:工作対象物、16:開口部、20:カッター、22:固定端、24:切削端、26:通路、30:供給手段、32:連続ユニット、40:第一レーザー光波、42:第一放射器、50:第二レーザー光波、52:第二放射器、60:感知制御手段、70:切削複合加工機、71:カッター、72:供給手段、73:第一レーザー光波、74:第二レーザー光波、75:感知制御手段、76:第一放射器、77:主軸、78:通路、79:第二放射器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定端と、切削端と、前記固定端から前記切削端を貫通する少なくとも一つの通路とを有するカッターと、
前記カッターの前記通路の中に気体または液体を供給可能である供給手段と、
前記カッターの前記固定端から前記通路に沿って前記切削端に向かって進んで工作対象物に照射することが可能である第一レーザー光波を生じる第一放射器と、
前記カッターの前記固定端から前記通路に沿って前記切削端に向かって進んで工作対象物に照射することが可能である第二レーザー光波を生じる第二放射器と、
第二レーザー光波が工作対象物に照射した後反射されてくる光波を受け取ることが可能である感知制御手段と、
を備えることを特徴とする切削複合加工機。
【請求項2】
前記第一レーザー光波は、高出力光波であることを特徴とする請求項1に記載の切削複合加工機。
【請求項3】
前記第二レーザー光波は、低出力光波であることを特徴とする請求項1に記載の切削複合加工機。
【請求項4】
前記第一レーザー光波と前記第二レーザー光波は、同軸で前記工作対象物に照射することを特徴とする請求項1に記載の切削複合加工機。
【請求項5】
前記第一レーザー光波と前記第二レーザー光波は非同軸で前記工作対象物に照射することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の切削複合加工機。
【請求項6】
前記カッターは主軸に装着され、前記主軸は開口部を有し、前記カッターの前記通路は前記開口部へと連続し、前記供給手段から供給される気体または液体は前記開口部から前記通路の中に輸送されることを特徴とする請求項1に記載の切削複合加工機。
【請求項7】
前記カッターは主軸に装着され、前記第一放射器と前記第二放射器は、前記主軸に装着されることを特徴とする請求項1に記載の切削複合加工機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−184011(P2009−184011A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39857(P2008−39857)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(504165214)東捷科技股▲分▼有限公司 (9)
【Fターム(参考)】