説明

制電性樹脂組成物、制電・粘着性樹脂組成物並びに粘着フィルム及びその製造方法

【課題】 粘着フィルムの粘着層及び支持体の成形材料として使用できる制電性及び成形品外観に優れ、好ましくは透明性、耐熱性にも優れた成形材料を提供する。
【解決手段】 (A)ポリオレフィン系樹脂と、(B)オレフィン重合体ブロックと親水性ポリマーブロックとを含むブロック共重合体と、(C)共役ジエン化合物単位を含む重合体およびその水素添加物からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体とを少なくとも含有する制電性樹脂組成物。成分(A)の配合量を調整することにより粘着性を制御できる。成分(A)が、環状オレフィン単位を含みガラス転移温度が60〜200℃のポリオレフィン系樹脂を含むと耐熱性が向上する。好ましい成分(C)は、共役ジエン化合物の重合体ブロックと芳香族ビニル化合物の重合体ブロックとを含むブロック共重合体及びその水素添加物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制電性に優れたフィルム、シート等の成形品を与える制電性樹脂組成物、フィルム、シート等の成形品に制電性の高い粘着層を形成するに好適な制電・粘着性樹脂組成物、並びに、該制電・粘着性樹脂組成物からなる制電性粘着層を備えてなる粘着フィルム及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、制電性及び透明性に優れ、フィルム等の成形品とした場合の表面外観にも優れた制電性樹脂組成物、制電性及び粘着性に優れ、粘着力の制御が容易な制電・粘着性樹脂組成物、並びにこれらの組成物を用いてなる粘着フィルム、シート、積層体等の成形品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
支持体に粘着層が配設された粘着フィルムは、OA・家電分野、建材分野、液晶関連分野、携帯電話分野で幅広く使用されており、例えば、間仕切り(パーティション)、窓ガラス等の各種物品の表面保護フィルム等として用いられている。粘着フィルムは、通常、支持体の一方の面に粘着層を設け他方の面に剥離層を設けてそのままロール状に巻き取るか、または、支持体の一方の面に形成された粘着層に剥離紙等を貼り付けて巻き取られている。前者の場合、粘着フィルムを剥離層から剥離して粘着層を被着体に貼着させる。後者の場合、使用時に剥離紙を取り外して粘着層を被着体へ貼着させる。粘着フィルムを被着体の表面保護に用いる場合、粘着フィルムは被着体の使用時に剥離されるが、この際に静電気が発生し(以下、剥離帯電と記す。)、剥がした後のフィルムの取り扱い、すなわち作業性が低下する、又、剥がしたフィルムに埃が付着して汚れやすい等の問題点があった。このような問題点は、粘着層に起因するものと支持体に起因するものとがあり、何れも解決が望まれている。
上記問題点は、特に液晶表示装置の偏光板表面の保護フィルムでは、剥離帯電が大きな問題となる。液晶表示装置の大画面化、高精細化、小額縁化、薄肉化に伴い、IC回路の狭線幅化が進み静電気耐性が低下する傾向にあり、剥離帯電は、製品の歩留まりの低下の原因となっている。
上記問題点を解決する手段として、特許文献1には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる支持体の一方の面に剥離層を設け、他方の面に帯電防止層を介して粘着層を設けた粘着テープが提案されているが、剥離帯電を防止する効果が十分でなく、支持体に起因して静電気が発生するという問題があった。特許文献2には、電荷制御剤を含む粘着層を備えた粘着フィルムが開示されているが、粘着層で発生する剥離帯電の解消はある程度達成できたものの、やはり、支持体に起因して静電気が発生するという問題があった。
【0003】
更に、特許文献3には、ポリオレフィンフィルムを支持体フィルムとしスチレン重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体を粘着剤とする表面保護フィルムが、また、特許文献4には、ポリオレフィンフィルムを支持体フィルムとし上記ブロック共重合体の共役ジエン重合体部分を水素添加したブロック共重合体を粘着剤とする表面保護フィルムが開示されている。しかしながら、これらの表面保護フィルムは、上述の如き近年要求されている剥離帯電防止の要求を充足するものではない。
また、特許文献5には、ポリオレフィン系樹脂等のフィルムからなるシート状基材の片面又は両面に積層した帯電防止層にバインダ層を積層し、さらに当該バインダ層上に粘着剤層を積層してなる表面保護フィルムが開示されている。しかし、このフィルムは、帯電防止層の形成時に有機溶剤を用いており、工程が煩雑であり、環境汚染を防止する対策が必要であること等から、経済性に劣るといった問題がある。また、このフィルムは、中間に帯電防止層を備えても、帯電防止効果が十分でなく、特に、シート状基材側の制電性が十分ではないといった問題もあった。
【0004】
【特許文献1】特開平8−134416号公報
【特許文献2】特開2004−155977号公報
【特許文献3】特開昭54−126243号公報
【特許文献4】特開昭61−103975号公報
【特許文献5】特開2000−328024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上詳述のとおり、粘着フィルムにおいては、粘着層及び支持体の何れについても制電性の改善が望まれている。
また、粘着フィルムやシートの使用用途によっては、透明性、耐熱性などの特性が更に要求されることがある。耐熱性については、例えば、粘着フィルムの支持体側に印刷を行う場合等においては、印刷後の乾燥において80℃以上の温度に耐えうるものが必要であり、制電性シートの場合は高温でソリ、カール等の変形が生じないことが要求される。また、何れの成形品においても、少なくとも実用上容認できる外観を備えることが必要である。
【0006】
本発明の目的は、制電性及び透明性に優れ、フィルム等の成形品とした場合の表面外観にも優れた制電性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の別の目的は、制電性及び粘着性に優れ、粘着力の制御が容易で、粘着層の形成に好適な制電・粘着性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、支持体と上記制電・粘着性樹脂組成物からなる制電性粘着層とを備え、該支持体と該粘着層とが十分な強度をもって接着された制電性に優れた粘着フィルム及びその製造方法を提供することにあり、好ましくは、さらに透明性に優れた粘着フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明のまた更に別の目的は、フィルム、シート等の各種制電性成形品及び制電性積層体を提供することができ、又は、上記粘着フィルムの支持体を提供することもでき、さらに、耐熱性及び成形品外観に優れた制電性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ポリオレフィン樹脂と、特定のブロック共重合体と、特定の共役ジエン系重合体とを所定量含有する組成物が、制電性及び透明性に優れることを見出した。また、これらの成分を所定量含有してなる組成物は、更に粘着性に優れることを見出し、特に、ポリオレフィン樹脂の種類及び配合量を選択することにより、粘着力の制御が容易となることがわかった。更に、上記粘着性の組成物を用いた粘着層を適当な樹脂組成物からなる支持体の表面に形成することにより、支持体と粘着層との接着性に優れ、更に透明性に優れた制電性粘着フィルムが得られることを見出した。
さらに、本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、前記ポリオレフィン系樹脂として、ノルボルネン等の環状オレフィン成分を含有するポリオレフィン系樹脂を一定の割合で使用することで、優れた制電性を維持しながら耐熱性にも優れた樹脂組成物が得られることを見出した。そして、この樹脂組成物を成形することにより制電性に優れた成形品が得られ、シートやフィルムに成形して他の樹脂成形品に積層した場合でも、制電性に優れた積層体を提供することができることを見出した。
【0008】
かくして、本発明の一局面によれば、
(A)ポリオレフィン系樹脂(但し、下記成分(B)を除く。)30〜95質量%と、
(B)オレフィン重合体ブロックと親水性ポリマーブロックとを含むブロック共重合体5〜20質量%と、
(C)共役ジエン化合物単位を含む重合体およびその水素添加物からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体0〜50質量%と、
を含有する(但し、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%である。)ことを特徴とする制電性樹脂組成物が提供される。
本発明の制電性樹脂組成物は、制電性のみならず、透明性及び外観に優れたフィルム等の成形品を提供することができる。
【0009】
本発明の他の局面によれば、
(A)ポリオレフィン系樹脂(但し、下記成分(B)を除く。)0〜59質量%と、
(B)オレフィン重合体ブロックと親水性ポリマーブロックとを含むブロック共重合体3〜60質量%と、
(C)共役ジエン化合物単位を含む重合体およびその水素添加物からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体35〜97質量%と、
を含有する(但し、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%である。)ことを特徴とする制電・粘着性樹脂組成物が提供される。
本発明の制電・粘着性樹脂組成物は、制電性のみならず、透明性及び外観に優れたフィルム等の成形品を提供することができるだけでなく、重合体組成物からなる支持体上に透明な粘着層を形成するのに好適に使用できる。
【0010】
本発明の制電・粘着性樹脂組成物の第一の好ましい実施形態によれば、上記成分(A)0〜40質量%と、上記成分(B)6〜25質量%と、上記成分(C)35〜94質量%とを含有する(但し、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%である。)制電・粘着性樹脂組成物が提供される。
この第一の好ましい実施形態による制電・粘着性樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂からなる支持体フィルムに透明な粘着層を形成して透明フィルムを得るのに好適に使用できる。
【0011】
本発明の制電・粘着性樹脂組成物の第二の好ましい実施形態によれば、上記成分(A)がポリオレフィン(A´−1)及び/又は官能基で変性されているポリオレフィン(A´−2)であり、上記成分(C)が共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体の水素添加物であり、上記成分(A)0〜59質量%、上記成分(B)3〜60質量%、及び上記成分(C)40〜97質量%からなる制電・粘着性樹脂組成物が提供される。ここにおいて、上記成分(C)成分は、水素添加されたものであることが好ましい。
この第二の好ましい実施形態による制電・粘着性樹脂組成物は、スチレン系樹脂などの各種重合体組成物からなる支持体フィルムに透明な粘着層を形成して透明フィルムを得るのに好適に使用できる。
【0012】
かくして、本発明の制電性樹脂組成物と本発明の制電・粘着性樹脂組成物を用いて各種の積層体を得ることができる。
本発明による好ましい積層体としては、例えば、下記(1)〜(4)の形態が例示できる
(1)ポリオレフィン系樹脂組成物からなる支持体と、該支持体の少なくとも1面側に配設され、且つ、本発明の制電・粘着性樹脂組成物、好ましくは上記第一の実施形態による制電・粘着性樹脂組成物からなる制電性粘着層とを備えることを特徴とする粘着フィルム。
(2)上記ポリオレフィン系樹脂組成物が、本発明の制電性樹脂組成物である上記(1)項に記載の粘着フィルム。
(3)熱可塑性重合体組成物からなる支持体と、該支持体の少なくとも1面側に配設され、且つ、本発明の制電・粘着性樹脂組成物、好ましくは上記第二の実施形態による制電・粘着性樹脂組成物からなる制電性粘着層とを備えることを特徴とする粘着フィルム。
(4)熱可塑性重合体組成物からなる支持体と、該支持体の少なくとも1面側に配設され、且つ、本発明の上記第一又は第二の実施形態による制電・粘着性樹脂組成物からなる制電性粘着層とを備えることを特徴とする粘着性のシートまたはフィルム状の積層体。
上記(1)〜(4)のシートまたはフィルムは、支持体を構成する樹脂組成物と、本発明の制電・粘着性樹脂組成物とを共押出する工程を備えることを特徴とする粘着シートまたはフィルムの製造方法によって製造できる。
【0013】
本発明の制電性樹脂組成物及び制電・粘着性樹脂組成物において、上記成分(A)が、環状オレフィン単位を含み且つガラス転移温度が60〜200℃であるポリオレフィン系樹脂(A−1)と、環状オレフィン単位を含まないポリオレフィン系樹脂(A−2)とからなり、両者の含有量の比((A−1)/(A−2))が95/5〜1/99(質量比)である場合、耐熱性が向上する。
【0014】
本発明の制電性樹脂組成物及び制電・粘着性樹脂組成物において、上記成分(C)は、共役ジエン化合物単位から主としてなる重合体ブロック(c1)と芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック(c2)とを含むブロック共重合体およびその水素添加物からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体であることが好ましい。
【0015】
本発明の制電性樹脂組成物及び制電・粘着性樹脂組成物は、制電性向上のために、さらに、下記に詳述する成分(E1)、成分(E2)、成分(E3)及び成分(E4)からなる群より選ばれた少なくとも1種の制電性改良剤(E)を、前記制電性樹脂組成物の制電性を改良するに十分な量、通常、前記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量部に対して0.01〜30質量部含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の制電性樹脂組成物は、特定の成分(A)、(B)及び(C)を、各々、所定量含有することから、制電性及び透明性に優れ、フィルム等の成形品とした場合の表面外観にも優れる。特に、成分(A)が、上記のポリオレフィン系樹脂(A−1)及び(A−2)からなる場合には、耐熱性をも備えた成形品を得ることができる。
【0017】
本発明の制電・粘着性樹脂組成物は、特定の成分(A)、(B)及び(C)を、各々、所定量含有することから、制電性、透明性及び粘着性に優れ、粘着力の制御も容易である。
本発明の制電・粘着性樹脂組成物は、支持体との接着性に優れた制電性粘着層を与える。特に、支持体フィルムが、本発明の制電性樹脂組成物からなる場合には、粘着フィルム全体として、制電性に優れ、所定条件下における表面固有抵抗を10Ω以下とすることができる。
支持体フィルムが本発明の制電性樹脂組成物からなる場合、制電性のみならず、透明性、外観及び支持体と制電性粘着層との接着性に優れた粘着フィルムが得られる。
本発明の粘着フィルムの製造方法によれば、支持体と制電性粘着層との接着性に優れた粘着フィルムを容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0019】
1.制電性樹脂組成物
本発明の制電性樹脂組成物は、(A)ポリオレフィン系樹脂(本発明において、「成分(A)」ともいう。但し、下記(B)を除く。)30〜95質量%と、(B)オレフィン重合体ブロックと親水性ポリマーブロックとを含むブロック共重合体(本発明において、「成分(B)」ともいう。)5〜20質量%と、(C)共役ジエン化合物単位を含む重合体およびその水素添加物からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体(本発明において、「成分(C)」ともいう。)0〜50質量%とを含有(但し、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%である。)することを特徴とする。
【0020】
1−1.成分(A)
上記成分(A)は、炭素数が2以上のオレフィン類を構成単量体単位として含むポリオレフィン系樹脂であり、後述する成分(B)以外であれば、特に限定されない。本発明において、好ましい成分(A)は、炭素数2〜10のオレフィン類を構成単量体単位として含む(共)重合体である。
本発明に係る成分(A)の好ましい態様としては、(1)炭素数2以上のオレフィン類から選ばれた少なくとも1種によって主として構成単量体単位が構成されてなる(共)重合体(以下、「重合体(1)」という。);(2)炭素数2以上のオレフィン類から選ばれた少なくとも1種と、該オレフィン類と共重合可能な化合物から選ばれた少なくとも1種とから主として構成単量体単位が構成されてなる(共)重合体(2)(以下、「重合体(2)」という。)等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のポリオレフィン系樹脂としては、公知の重合方法である高圧重合法、低圧重合法、メタロセン触媒法等により得られたもの等が全て使用できる。
【0021】
上記オレフィン類としては、代表的には非環状オレフィン類が用いられ、その具体例としては、エチレン、及びプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等のα−オレフィンが挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3―メチルー1−ブテン、4―メチルー1−ペンテンであり、特に好ましくはエチレン及びプロピレンである。
【0022】
また、上記オレフィン類として、環状オレフィンを使用することもできる。環状オレフィンは、通常、上記非環状オレフィンと併用して使用される。
環状オレフィンとしては、二重結合を1つ有する脂環式化合物であれば、特に限定されず、例えば、特開平5−310845号公報等に例示された化合物が挙げられる。好ましい環状オレフィンは、炭素数が11以下の化合物である。
上記環状オレフィンとしては、ノルボルネン類が好ましく、炭素数11以下のノルボルネン類(ノルボルネン及び/又はノルボルネン誘導体)が環状オレフィン全体の50質量%以上を占めることが好ましい。ノルボルネン類としては、具体的には、2−ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン、2−メチルトリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン、5−メチルトリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン、トリシクロ[4.4.0.12.5]−3−ウンデセン等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、炭素数が12以上の環状オレフィンを単独でまたは上記の炭素数が11以下の化合物と併用することができる。
【0023】
また、上記重合体(2)における上記オレフィン類と共重合可能な化合物としては、例えば、非共役ジエン化合物が挙げられる。非共役ジエン化合物としては、非環式ジエン化合物、脂環式ジエン化合物等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
非環式ジエン化合物としては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン、1,9−デカジエン等の直鎖の非環式ジエン化合物;4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7―メチル―1,6―オクタジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、5,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、7−メチルオクタ−1,6−ジエン、ジヒドロミルセン等の分岐連鎖の非環式ジエン化合物等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、脂環式ジエン化合物としては、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
上記成分(A)は、結晶性であってよいし、非晶性であってもよいが、好ましくは、室温下、X線回折により、20%以上の結晶化度を有するものである。尚、結晶性の調整のために、上記成分(A)に公知の結晶核剤を配合してもよい。
上記成分(A)の融点(JIS K7121に準拠)は、好ましくは40℃以上である。
また、上記成分(A)の分子量は特に限定されないが、成形性の観点から、メルトフローレート(JIS K7210に準拠)は、好ましくは0.001〜500g/10分、より好ましくは0.01〜500g/10分、更に好ましくは0.05〜100g/10分であり、各値に相当する分子量を有するものが好ましい。
【0025】
従って、上記成分(A)のうち、上記重合体(1)としては、ポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、メタロセン触媒ポリエチレン等)、エチレン共重合体(エチレン単位を全単量体単位に対して、50質量%以上含む共重合体)、エチレン・1−ブテン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン共重合体(プロピレン単位を全単量体単位に対して、50質量%以上含む共重合体)、ポリ1−ブテン等が挙げられる。これらのうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体が好ましい。尚、上記プロピレン・エチレン共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体等があるが、ランダム共重合体が特に好ましい。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のポリエチレン又はエチレン共重合体(エチレン・α−オレフィン共重合体等)の融点(JIS K7121に準拠)は、好ましくは40℃以上であり、分子量は特に限定されないが、成形性の観点から、メルトフローレート(JIS K6922に準拠)は、好ましくは0.001〜500g/10分、より好ましくは0.01〜100g/10分であり、各値に相当する分子量を有するものが好ましい。
また、上記のポリプロピレン又はプロピレン共重合体(プロピレン・α−オレフィン共重合体等)の融点(JIS K7121に準拠)は、好ましくは40℃以上であり、分子量は特に限定されないが、成形性の観点から、メルトフローレート(JIS K7210に準拠)は、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分であり、各値に相当する分子量を有するものが好ましい。
【0026】
また、上記成分(A)のうち、上記重合体(2)としては、エチレン・ノルボルネン共重合体、プロピレン・ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの重合体は、メタロセン触媒法で製造されたものが好ましい。尚、上記の共重合体を構成する単量体単位の各含有量は、特に限定されない。
【0027】
本発明の制電性樹脂組成物が耐熱性を要求される場合、成分(A)として、環状オレフィン単位を構成単量体単位として含み且つガラス転移温度が60〜200℃のポリオレフィン系樹脂(A−1)と、環状オレフィン単位を含まないポリオレフィン系樹脂(A−2)とを併用することが好ましい。なお、本発明において、上記ポリオレフィン系樹脂(A−1)及び(A−2)は、それぞれ、成分(A−1)及び成分(A−2)ともいう。
【0028】
ポリオレフィン系樹脂(A−1)のガラス転移温度は、好ましくは60〜200℃であり、より好ましくは70〜200℃、更に好ましくは70〜190℃、特に好ましくは75〜185℃である。このガラス転移温度が低すぎると、耐熱性の付与効果が十分でなく、一方、高すぎると、成形品の表面外観が低下する場合がある。上記ガラス転移温度を有する重合体を得るには、環状オレフィンが成分(A−1)全体に対して40〜90質量%の範囲で共重合されていることが好ましい。
尚、ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いる等公知の方法で測定することができる。
また、このポリオレフィン系樹脂(A−1)のメルトフローレート(ISO 1133に準じ、温度260℃、荷重2.16kgで測定)は、好ましくは0.1〜100ml/10分である。
更に、このポリオレフィン系樹脂(A−1)は、非晶性であることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂(A−1)と併用するポリオレフィン系樹脂(A−2)としては、上記成分(A)のうち環状オレフィン単位を構成単量体単位として含まないものは全て使用でき、かかる(A)成分に関する記述は、ポリオレフィン系樹脂(A−2)にそのまま当てはまる。
【0029】
上記ポリオレフィン系樹脂(A−1)及びポリオレフィン系樹脂(A−2)の混合割合は、これらの合計を100質量%とした場合、成分(A−1)1〜95質量%及び成分(A−2)99〜5質量%であり、好ましくは成分(A−1)10〜90質量%及び成分(A−2)90〜10質量%、より好ましくは成分(A−1)20〜80質量%及び成分(A−2)80〜20質量%、特に好ましくは成分(A−1)40〜80質量%及び成分(A−2)60〜20質量%である。上記各範囲で併用することにより、優れた耐熱性及び成形品外観が発揮される。
【0030】
本発明の制電性樹脂組成物において、成分(A)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計を100質量%とした場合、30〜95質量%であり、好ましくは42〜92質量%、更に好ましくは49〜92質量%、特に好ましくは49〜90質量%である。この含有量が30質量%未満では、剛性が低下する傾向があり、一方、95質量%を超えると、制電性が劣る傾向にある。
【0031】
1−2.成分(B)
本発明に係る成分(B)は、オレフィン重合体ブロック(本発明において、「重合体ブロック(b1)」ともいう。)と、親水性ポリマーブロック(本発明において、「重合体ブロック(b2)」ともいう。)とを含むブロック共重合体である。この成分(B)により、本発明の制電性樹脂組成物に制電性を付与することができる。また、この成分(B)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
上記成分(B)においては、重合体ブロック(b1)及び(b2)の配列は特に限定されるものではなく、下記(1)〜(5)に例示されるブロック構造を有することができる。但し、m1は、1以上の整数であり、m2及びm2’は、何れも2以上の整数であり、同一でもよいし、異なっていてもよい。また、各構造において、重合体ブロック(b1)及び(b2)が複数ある場合は、各ブロックは、互いに同一であってよいし、異なってもよい。
(1)(b1−b2)m1
(2)b1−(b2−b1)m1
(3)b2−(b1−b2)m1
(4)(b1)m2−(b2)m2’
(5)b1−b1−(b2−b2−b1−b1)m1
これらのうち、(1)、(2)及び(3)のブロック構造、即ち、重合体ブロック(b1)及び(b2)が繰り返し交互に配列していることが好ましい。
【0033】
また、成分(B)は、上記したブロック共重合体を主体とするものであるが、成分(B)中に20質量%以下の割合でポリアミドブロック、ポリエステルブロック等の他の(共)重合体ブロックを含有させることもできる。
上記ブロック構造(1)〜(5)において、重合体ブロック(b1)及び(b2)の結合形態は、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合又はイミド結合であることが好ましい。
【0034】
重合体ブロック(b1)は、オレフィン単位を主体とする重合体からなるブロックであり、この重合体を形成する化合物としては、炭素数が2以上の非環状オレフィン、環状オレフィン等が挙げられる。非環状オレフィンの例としては、エチレン、およびプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチルヘキセン−1等のα―オレフィンなどが挙げられる。また、環状オレフィンの例としては、ノルボルネン等が挙げられる。これらの化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、重合体ブロック(b1)は、上記化合物の他に、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンを構成単量体単位として含有してなる重合体であってもよい。
【0035】
重合体ブロック(b1)及び(b2)の結合形態を、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合又はイミド結合とするために、上記重合体ブロック(b1)の分子の両末端は、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、酸無水物基、オキサゾリン基、エポキシ基等であることが好ましい。これらの官能基を付与する方法としては、熱減成法により得られた分子末端に二重結合を有する重合体に、上記の官能基を有する不飽和化合物を付加反応させる方法等が挙げられる。
【0036】
上記重合体ブロック(b1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは800〜20,000、より好ましくは1,000〜10,000、更に好ましくは1,200〜6,000である。
重合体ブロック(b1)は、上記成分(B)中に、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて含まれてもよい。
【0037】
上記重合体ブロック(b2)は、ヒドロキシル基、アミノ基、エーテル基等の親水基を有する重合体からなるブロックであり、好ましくは、主鎖にエーテル結合を有する重合体からなるものである。この重合体としては、ポリエーテル(b2―a)、ポリエーテル含有親水性ポリマー(b2―b)、およびアニオン性ポリマー(b2−c)が挙げられる。
ポリエーテル(b2―a)としては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、およびこれらの変性物が挙げられる。
ポリエーテル含有親水性ポリマー(b2−b)としては、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステル、ポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルアミド、および、ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルウレタンが挙げられる。
アニオン性ポリマー(b2―c)としては、スルホニル基を有するジカルボン酸とポリエーテル(b2―a)とを必須構成単位とし、かつ一分子内に好ましくは2〜80個、更に好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマーが挙げられる。
これらは、直鎖状であっても、また分岐状であってよい。また、重合体ブロック(b2)は、1種のブロックのみからなるものであってよいし、2種以上のブロックを含むものであってもよい。好ましい(b2)成分は、ポリエーテル(b2−a)であり、より好ましくはポリエーテルジオール及びポリエーテルアミンであり、特に好ましくはポリエーテルジオールである。
【0038】
ポリエーテル(b2−a)のうちのポリエーテルジオールとしては、一般式(1):
H−(OA―O―E―O―(AO)n′―Hで表されるもの、及び一般式(2):
H−(OA―O―E―O―(AO)m′―Hで表されるもの等が挙げられる。
一般式(1)中、Eは二価の水酸基含有化合物から水酸基を除いた残基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nおよびn′は前記二価の水酸基含有化合物の水酸基1個当たりのアルキレンオキサイド付加数を表す。n個の(OA)とn′個の(AO)とは、同一であっても異なっていてもよく、また、これらが2種以上のオキシアルキレン基で構成される場合の結合形式はブロックもしくはランダムまたはこれらの組み合わせのいずれでもよい。nおよびn′は、通常1〜300、好ましくは2〜250、特に好ましくは10〜100の整数である。また、nとn′は、同一であっても異なっていてもよい。
【0039】
上記二価の水酸基含有化合物としては、一分子中にアルコール性またはフェノール性の水酸基を2個含む化合物、即ち、ジヒドロキシ化合物が挙げられ、具体的には、二価アルコール、二価フェノールおよび第3級アミノ基含有ジオール等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
二価アルコールとしては、脂肪族、脂環式及び芳香族のいずれでもよく、炭素数2〜12の化合物が好ましい。
脂肪族二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコールなどのプロピレングリコール等のアルキレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6―ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,12―ドデカンジオール等が挙げられる。
脂環式二価アルコールとしては、例えば、1,2―および1,3―シクロペンタンジオール、1,2―、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
芳香族二価アルコールとしては、例えば、キシレンジオール等が挙げられる。
二価フェノールとしては、単環二価フェノール、ビスフェノール、縮合多環二価フェノール等が挙げられるが、炭素数6〜18の化合物が好ましい。
単環二価フェノールとしては、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ウルシオール等が挙げられる。
ビスフェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4、4′―ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられる。
縮合多環二価フェノールとしては、ジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等が挙げられる。
更に、第3級アミノ基含有ジオールとしては、炭素数1〜8のN−アルキルジアルカノールアミン等が挙げられる。
【0040】
一般式(2)中、Eは、一般式(1)で記載した二価の水酸基含有化合物から水酸基を除いた残基、Aは、少なくとも一部が一般式(3):−CHR―CHR′―(式中、R、R′の一方は、一般式(4):―CHO(AO)R″で表される基、他方はHである。一般式(4)中、xは1〜10の整数、R″はHまたは炭素数1〜10の、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはアシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基である。)で表される置換アルキレン基であり、残りは炭素数2〜4のアルキレン基であってもよい。m個の(OA)とm′個の(AO)とは同一であっても異なっていてもよい。mおよびm′は1〜300の整数であることが好ましく、更に2〜250、特に10〜100が好ましい。またmとm′とは、同一でも異なっていてもよい。
【0041】
上記一般式(1)で示されるポリエーテルジオールは、二価の水酸基含有化合物にアルキレンオキサイドを付加反応させることにより製造することができる。アルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2―ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド、2,3―ブチレンオキサイド、および1,3−ブチレンオキサイド並びにこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダムおよび/またはブロックのいずれでもよい。アルキレンオキサイドとして好ましいものは、エチレンオキサイド単独およびエチレンオキサイドと他のアルキレンオキサイドとの併用によるブロックおよび/またはランダム付加である。アルキレンオキサイドの付加数は、前記二価の水酸基含有化合物の水酸基1個当たり、好ましくは1〜300、更に好ましくは2〜250、特に好ましくは10〜100の整数である。
【0042】
上記一般式(2)で示されるポリエーテルジオールの好ましい製造方法としては下記の(I)、(II)方法等が挙げられる。
【0043】
(I)上記二価の水酸基含有化合物を出発物質として、一般式(5):
【化5】

(一般式(5)中のAは炭素数2〜4のアルキレン基、pは1〜10の整数、RはH または炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはアシル基である。)
で表されるグリシジルエーテルを重合、または炭素数2〜4のアルキレンオキサイドと共重合する方法。
【0044】
(II)上記二価の水酸基含有化合物を出発物質として、側鎖にクロロメチル基を有するポリエーテルを経由する方法。更に具体的には、エピクロルヒドリン、またはエピクロルヒドリンとアルキレンオキサイドを付加共重合し、側鎖にクロロメチル基を有するポリエーテルを得た後、該ポリエーテルと炭素数2〜4のポリアルキレングリコールとRX (Rは上記したもの、XはCl、BrまたはI)をアルカリ存在下で反応させるか、または該ポリエーテルと炭素数2〜4のポリアルキレングリコールモノカルビルエーテルをアルカリ存在下で反応させる方法。
【0045】
ここで使用される炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとしては、前記したものが全て使用できる。
【0046】
上記ポリエーテルジアミンは、上記一般式(1)で表された重合体において、ヒドロキシル基を公知の方法によりアミノ基に置換したものを用いることができる。
上記ポリエーテルアミドは、ポリアミドと、ポリエーテルジアミンとから構成されたものである。
上記ポリエーテルアミドイミドは、少なくとも1個のイミド環を有するポリアミドイミドと、ポリエーテルジオールとから構成されたものである。
上記ポリエーテルエステルは、ポリエステルと、ポリエーテルジオールとから構成されたものである。
上記ポリエーテルエステルアミドは、末端にカルボキシル基を有するポリアミドと、ポリエーテルジオールとから構成されたものである。
また、上記ポリエーテルウレタンは、有機ジイソシアネートと、ポリエーテルジオールとから構成されたもの、又は、有機ジイソシアネートと、ポリエーテルジアミンと、鎖延長剤とから構成されたものである。
上記アニオン性ポリマー(b2―c)は、上記重合体ブロックを変性して得ることができ、例えば、ポリエーテルジオール及び/又はポリエーテルジアミンからなるブロックと、スルホニル基を有するジカルボン酸からなる単位とを共重合して、分子内に好ましくは2〜80個、より好ましくは3〜60個のスルホニル基を有する重合体を得ることができる。
【0047】
本発明の目的である制電性を更に向上させる目的から、成分(B)に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の塩(H)を含有させることができる。これらの成分は、成分(B)の重合前、成分(B)の重合時に含有させることもできるし、成分(B)の重合後に含有させることもできる。また、本発明の制電性樹脂組成物を製造する際に配合することも、またこれらを組み合わせた方法で含有させることもできる。
成分(H)としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属および/またはマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の有機酸、スルホン酸、無機酸の塩、及びハロゲン化物等が挙げられる。
【0048】
成分(H)の具体的な好ましい例として、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等のアルカリ金属のハロゲン化物;過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等のアルカリ金属の無機酸塩、酢酸カリウム、ステアリン酸リチウム等のアルカリ金属の有機酸塩;オクチルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ステアリルスルホン酸、テトラコシルスルホン酸、2−エチルヘキシルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数が8〜24のアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩;フェニルスルホン酸、ナフチルスルホン酸等の芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩;オクチルフェニルスルホン酸、ドデシルフェニルスルホン酸、ジブチルフェニルスルホン酸、ジノニルフェニルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数が6〜18のアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩;ジメチルナフチルスルホン酸、ジイソプロピルナフチルスルホン酸、ジブチルナフチルスルホン酸等の、アルキル基の炭素数が2〜18のアルキルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩;トリフルオロメタンスルホン酸等のフッ化スルホン酸等のアルカリ金属塩等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を併用して用いることができる。上記成分(H)は、本発明の成分(B)に対して、好ましくは0.001〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%の範囲で用いることができる。
【0049】
本発明に係る成分(B)は、上記の重合体ブロック(b1)及び(b2)が上記ブロック構造(1)〜(5)等、好ましくはブロック構造(1)〜(3)に示される配列によって構成されている。
重合体ブロック(b1)及び(b2)の構成割合(b1)/(b2)は、これらの合計を100質量%とした場合、好ましくは、10〜90質量%/10〜90質量%、より好ましくは、20〜80質量%/20〜80質量%、更に好ましくは、30〜70質量%/30〜70質量%である。
上記成分(B)がブロック構造(2)又は(3)の配列を備える場合、重合体ブロック(b1)及び(b2)の平均繰り返し数は、好ましくは2〜50である。
また、上記成分(B)は、上記オレフィン重合体ブロック(b1)と親水性ポリマーブロック(b2)を公知の方法で重合することによって得ることができる。例えば、重合体ブロック(b1)と重合体ブロック(b2)を減圧下200〜250℃で重合反応を行うことにより製造することができる。また、重合反応に際し公知の重合触媒を使用することができる。
【0050】
また、重合反応に際し公知の重合触媒を使用することができるが、好ましいものは、モノブチルスズオキサイド等のスズ系触媒、三酸化アンチモン、二酸化アンチモン等のアンチモン系触媒、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒、ジルコニウム水酸化物、酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニル等のジルコニウム系触媒、IIB族有機酸塩触媒から選ばれる1種または2種以上の組み合わせである。
また、上記成分(B)は、例えば、特開2001−278985号公報、特開2003−48990号公報等に記載された方法により製造することができる。
【0051】
尚、成分(B)としては、市販品を用いることができ、例えば、三洋化成社製「ペレスタットシリーズ」の300、303、230等が好適である。
【0052】
本発明の制電性樹脂組成物において、成分(B)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計を100質量%とした場合、5〜20質量%であり、好ましくは8〜18質量%、更に好ましくは8〜16質量%、特に好ましくは10〜16質量%である。この含有量が5質量%未満では、制電性が劣る傾向にあり、一方、20質量%を超えると、成形品の表面外観が劣る傾向にある。
【0053】
1−3.成分(C)
本発明に係る成分(C)は、共役ジエン化合物単位を含む重合体(本発明では、「重合体(C1)」ともいう。)および該重合体(C1)の水素添加物(本発明では、「重合体(C2)」ともいう。)からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体である。
上記重合体(C1)は、共役ジエン化合物単位のみを含む重合体であってよいし、該共役ジエン化合物単位と芳香族ビニル化合物単位とを含む重合体であってもよい。
【0054】
上記共役ジエン化合物単位を構成する共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン,1,3−ペンタジエン等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。従って、上記共役ジエン化合物単位のみを含む重合体(C1)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン等が挙げられる。
【0055】
また、上記芳香族ビニル化合物単位を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
【0056】
上記重合体(C1)が、共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位を含む場合、各化合物は、それぞれ、1種単独でまたは2種以上で含まれてよい。
上記重合体(C1)における上記共役ジエン化合物単位の含有量は、共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位の合計を100質量%とした場合、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは50〜95質量%、特に好ましくは60〜93質量%である。また、上記重合体(C1)における上記芳香族ビニル化合物単位の含有量は、共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位の合計を100質量%とした場合、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは7〜40質量%である。
尚、上記共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位の合計量は、重合体(C1)を構成する全単量体単位に対して、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
【0057】
上記重合体(C1)が、共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位を含む場合は、該重合体(C1)は、芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合物と共重合可能な化合物からなる他の単位を更に含んでもよい。また、この単位は、1種単独でまたは2種以上で含まれてよい。
【0058】
上記重合体(C1)は、ブロック共重合体であってよいし、ランダム共重合体であってもよいし、更には、ランダム共重合体とブロック共重合体が混合された結合形態になっているものでもよい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、ブロック共重合体が好ましい。
【0059】
上記重合体(C1)が、共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位を含む場合は、共役ジエン化合物単位から主として(全単量体単位に対して好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは99質量%以上)なる重合体ブロック(c1)と、芳香族ビニル化合物単位から主として(全単量体単位に対して好ましくは80質量%以上)なる重合体ブロック(c2)とを含むブロック共重合体が好ましい。尚、上記の重合体ブロック(c1)及び重合体ブロック(c2)においては、それぞれ、上記芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン化合物単位を含んでもよい。
【0060】
上記重合体ブロック(c1)は、通常、ビニル結合を有し、その含有量(の合計)は、特に限定されない。即ち、50%以上であってよいし、50%未満であってもよい。前者の場合、重合体ブロック(c1)に対して、通常、50〜95%である。後者の場合、成形品とした場合の剛性及び透明性の調整が容易となる。
尚、重合体ブロック(c2)が、共役ジエン系化合物単位を含む場合には、ビニル結合を有してもよい。
【0061】
上記重合体ブロック(c1)は、特に、2種以上の共役ジエン化合物単位を含む場合は、それらがランダム状、ブロック状及びテーパーブロック状のいずれの形態で結合したブロックであってもよい。また、この重合体ブロック(c1)は、芳香族ビニル化合物単位が漸増するテーパーブロックを1〜10個の範囲で含んでもよく、共役ジエン化合物単位に由来するビニル結合含有量の異なる重合体ブロック等が、適宜、含まれていてもよい。
【0062】
尚、上記重合体(C1)は、アニオン重合の技術分野で公知のものであり、例えば、特公昭47−28915号公報、特公昭47−3252号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−20038号公報等に開示されている。また、テーパーブロックを有する重合体の製造方法については、特開昭60−81217号公報等に開示されている。
【0063】
上記重合体ブロック(C1)に含まれるビニル結合量(1,2−及び3,4−結合含有量)の調整は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジアゾシクロ(2,2,2)オクタン等のアミン類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等を用いて行うことができる。
上記方法で重合体を得た後、カップリング剤を使用して重合体分子鎖がカップリング剤残基を介して延長または分岐された重合体も使用できる。ここで用いられるカップリング剤としては、アジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、メチルジクロロシラン、四塩化珪素、ブチルトリクロロ珪素、テトラクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、ジメチルクロロ珪素、テトラクロロゲルマニウム、1,2−ジブロモエタン、1,4−クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネート等が挙げられる。
【0064】
上記重合体(C1)の共役ジエン化合物に由来するビニル結合量(1,2−及び3,4−結合)含有量は、好ましくは5〜80%の範囲である。上記重合体(C1)の数平均分子量は、好ましくは10,000〜1,000,000、更に好ましくは20,000〜500,000、更により好ましくは20,000〜300,000、特に好ましくは20,000〜200,000である。尚、この数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるものであり、以下も同様である。
【0065】
上記重合体(C1)として好ましいブロック共重合体としては、下記式(IV)〜(XI)で表される構造を有する重合体が挙げられる。
(C−C (IV)
(C−C−X (V)
(C−C−C (VI)
(C−C11−C12 (VII)
(C11−C12 (VIII)
(C11−C12−X (IX)
(C12−C11−C12z’ (X)
(C12−C11−C12z’−X (XI)
〔各式中、Cは、共役ジエン化合物単位のみを含む単独重合体もしくは共重合体により構成される重合体ブロック、または、共役ジエン化合物単位を主として含み、更に芳香族ビニル化合物単位等を含む重合体ブロックであり、Cは、芳香族ビニル化合物単位を主として含む重合体ブロックであり、実質的に芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックであれば、一部共役ジエン化合物が含まれていてもよく、好ましくは芳香族ビニル化合物を90質量%以上、更に好ましくは99質量%以上含有する重合体ブロックである。Xはカップリング剤の残基であり、C11は、共役ジエン化合物単位を主として含み、ビニル結合量が20%以上の重合体ブロックであり、C12は、共役ジエン化合物単位を主として含み、ビニル結合量が20%未満の重合体ブロックであり、yは1〜5の整数、zは1〜5の整数、z’は1〜5の整数である。尚、各式において、Cが複数ある場合は、互いに同一でも異なってもよい。Cも同様である。〕
【0066】
上記重合体(C1)として好ましいブロック共重合体における共役ジエン化合物に由来するビニル結合量(1,2−及び3,4−結合)含有量は、好ましくは5〜80%の範囲であり、該ブロック共重合体の数平均分子量は、好ましくは10,000〜1,000,000、更に好ましくは20,000〜500,000、特に好ましくは20,000〜300,000である。上記式(IV)〜(XI)において、重合体ブロックC(C11及びC12)の数平均分子量は、好ましくは5,000〜200,000、重合体ブロックCの数平均分子量は、好ましくは3,000〜150,000である。
上記重合体(C1)として好ましいブロック共重合体における、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の使用割合は、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物=10〜70/30〜90質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは15〜65/35〜85質量%、特に好ましくは20〜60/40〜80質量%の範囲である。
上記ブロック共重合体の内、耐衝撃性の点から好ましいものは、ブロック(c2)に芳香族ビニル化合物が漸増するテーパーブロックを1〜10個の範囲で有する重合体、及び/又は、カップリング処理されたラジアルブロックタイプのものである。
【0067】
上記重合体(C1)としては、市販品を用いることができ、例えば、JSR社製「TR2000」、「TR2500」、「TR2600」、「TR2827」(以上、商品名)等を用いることができる。
【0068】
一方、重合体(C2)は、上記重合体(C1)の水素添加物である。即ち、上記重合体(C2)は、共役ジエン化合物単位に由来する炭素−炭素二重結合の少なくとも一部が水素添加されたものである。水素添加率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは50〜100%、特に好ましくは90〜100%である。
【0069】
上記重合体(C2)としては、上記式(IV)〜(XI)で表される構造を有する重合体の水素添加物の1種以上を用いることができるが、水素添加前の重合体(C1)として、特に、式(VI)で表される重合体が好ましく、重合体ブロックC中のビニル結合量が60〜90%のものが好ましく、70〜85%のものが特に好ましい。
【0070】
上記重合体(C1)への水素添加は、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公昭63−5401号公報、特開平2−133406号公報、特開平1−297413号公報等に開示されている公知の方法により行うことができる。
【0071】
上記重合体(C2)としては、市販品を用いることができ、例えば、JSR社製「ダイナロン1320P」、「ダイナロン1321P」、「ダイナロン2324P」、「ダイナロン6200P」、「ダイナロン4400P」、「ダイナロン4600P」、旭化成社製「タフテックH1041」(以上、商品名)等を用いることができる。
【0072】
上記成分(C)のメルトマスフローレート(ASTM D1238に準じ、温度230℃、荷重2.16kgで測定)は、上記の重合体(C1)及び(C2)のいずれにおいても、好ましくは0.5〜50g/10分、更に好ましくは1〜20g/10分である。
【0073】
上記成分(C)としては、上記の重合体(C1)及び(C2)を組み合わせて用いることができる。
また、上記成分(C)としては、上記重合体(C2)を単独で、並びに、上記の重合体(C1)及び(C2)を組み合わせて用いることが好ましい。好ましい割合(C1)/(C2)は0〜80質量%/100〜20質量%であり、より好ましくは0〜60質量%/100〜40質量%、更に好ましくは0〜40質量%/100〜60質量%である。
【0074】
本発明の制電性樹脂組成物において、成分(C)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計を100質量%とした場合、0〜50質量%であり、好ましくは0〜40質量%、更に好ましくは0〜35質量%である。この含有量が50質量%を超えると剛性が低下する傾向にあり、特に、粘着フィルムの支持体に用いた場合、その剛性感に欠ける。
【0075】
1−4.他の成分
本発明の制電性樹脂組成物は、更に、下記成分(E1)、成分(E2)、成分(E3)及び成分(E4)からなる群より選ばれた少なくとも1種の制電性改良剤(E)(本発明において「成分(E)」ともいう)を含有したものとすることができる。これらの成分は、単独で用いてよいし、組み合わせて用いてもよい。
成分(E1):フッ素化アルキルスルホニル基を備えたアニオン部を有する塩、
成分(E2):下記一般式(XII)で表される単位を含む重合体、
成分(E3):下記一般式(XIII)で表される単位を含むホウ素化合物、
成分(E4):非イオン性界面活性剤。
【化6】

(式中、Rは炭化水素基、好ましくはアルキレン基を表し、R’は水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表し、Xは水素原子、炭化水素基、ウレタン残基若しくはエステル残基を有する炭化水素基、又は親水基、好ましくはアニオン性親水基を表し、mは1以上の数を表す。)
【化7】

【0076】
上記のフッ素化アルキルスルホニル基を備えたアニオン部を有する塩(E1)(本発明において、「成分(E1)」ともいう。)は、フッ素化アルキルスルホニル基を1以上備えてなるアニオン部と適当なカチオン部とからなる塩を意味する。フッ素化アルキルスルホニル基の炭素原子に結合したフッ素原子の数は、特に限定されず、1つの炭素原子に1〜3のうちのいくつのフッ素原子が結合していてもよい。また、スルホニル基の数も、特に限定されない。
【0077】
アニオン部中に含まれるフッ素化アルキルスルホニル基としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸などのフッ素化された低級アルキルスルホニル基、特に、パーフルオロアルキルスルホニル基などが挙げられる。成分(E1)を構成するアニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸自体の他、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドなどの一以上の好ましくは複数のトリフルオロメタンスルホニル基で水素原子が置換されたメチド、アンモニア等の誘導体が挙げられる。アニオン部としては、具体的には、CFSO、(CFSO、(CFSO等が挙げられる。カチオン部としては、Li、Na、K等のアルカリ金属イオンが挙げられ、これらのうち、Liが好ましい。
【0078】
従って、成分(E1)としては、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウム、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドナトリウム、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドカリウム等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム及びトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウムが好ましい。
【0079】
尚、上記成分(E1)の使用に際しては、そのまま用いてもよく、水、ビス〔2−(2−ブトキシエトキシ)エチル〕アジペート、ビス(2−ブトキシエチル)フタレート等の溶媒に溶解させてなる溶液の形態で用いてよいし、上記成分(B)等の、エーテル結合を有する重合体と、予め、混合し、マスターバッチ等とした形態で用いてもよい。エーテル結合を有する重合体の他の例としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアミドブロック及びポリエチレングリコールブロックからなるブロック共重合体、ポリエステルブロック及びポリエチレングリコールブロックからなるブロック共重合体等が挙げられる。成分(E1)を溶解する場合の濃度は、好ましくは0.1〜80質量%、更に好ましくは1〜60質量%の範囲である。
【0080】
上記成分(E1)は、市販品を用いることができ、例えば、溶液では、三光化学工業社製「サンコノール0862−20R」、「サンコノール0862−13T」、「サンコノール0862−10T」、「サンコノールAQ−50T」(以上、商品名)等を用いることができる。また、マスターバッチでは、三光化学工業社製「サンコノールTBX−25」(商品名)等を用いることができる。
上記成分(E1)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0081】
成分(E)として、成分(E1)を単独で用いる場合、本発明の制電性樹脂組成物における成分(E)の含有量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.01〜30質量部であり、より好ましくは0.01〜20質量部、更に好ましくは0.1〜10質量部、特に好ましくは0.1〜5質量部である。この成分(E1)の含有量が多すぎると、成形品外観が劣る場合があり、少なすぎると、制電性改良効果が十分でない場合がある。
【0082】
上記一般式(XII)で表される単位を含む重合体(E2)(本発明では、「成分(E2)」ともいう。)は、該単位を、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜100質量%、更に好ましくは30〜100質量%含む重合体である。この単位の割合が少ない場合には、制電性の十分な改良が発揮されにくく、強度等の物性が低下する場合がある。
尚、上記単位は、成分(E2)を構成する重合体に少なくとも2個以上、好ましくは3〜30個含有されていることが好ましい。
【0083】
上記一般式(XII)において、Rは炭化水素基であるが、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基であり、特に好ましくは、エチレン基である。
上記一般式(XII)において、R’は、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基である。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられる。これらの基の炭素数は、いずれも、特に限定されない。
【0084】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、sec−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、sec−オクチル基、n−ノニル基、sec−ノニル基、n−デシル基、sec−デシル基、n−ウンデシル基、sec−ウンデシル基、n−ドデシル基、sec−ドデシル基、n−トリデシル基、イソトリデシル基、sec−トリデシル基、n−テトラデシル基、sec−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、sec−ヘキサデシル基、ステアリル基、イコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、トリアコンシル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−ヘキサデシルオクタデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、モノメチル分枝−イソステアリル基等が挙げられる。
【0085】
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オレイル基等が挙げられる。
【0086】
アリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、ジノニルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。
【0087】
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基等が挙げられる。
シクロアルケニル基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基等が挙げられる。
【0088】
’としては、樹脂との混和性や相溶性の面から、水素原子、ハロゲン原子、及び炭素数1〜36の炭化水素基が好ましく、水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜24のアルキル基、及び炭素数2〜24のアリール基がより好ましい。
【0089】
上記一般式(XII)において、Xは、水素原子、炭化水素基、ウレタン残基若しくはエステル残基を有する炭化水素基、又は親水基(例えばアニオン性親水基)である。
炭化水素基としては、上記のR’として説明した炭化水素基を適用することができる。即ち、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が最も好ましい。
【0090】
ウレタン残基は、モノイソシアネート中のイソシアネート基が反応した後の原子団を意味する。上記モノイソシアネートとしては、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、トリレンイソシアネート、オレイルイソシアネート等が挙げられる。
【0091】
エステル残基を有する炭化水素基におけるエステル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバリル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘニル基、アクロイル基、プロピオロイル基、メタクロイル基、クロトノイル基、オレイロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、スクシニル基等が挙げられる。
【0092】
アニオン性親水基としては、アルキルスルホン酸基−C2kSOM(kは2〜4の整数である。)、サルフェート基−SOM、ホスフェート基−PO、メチルカルボキシレート基−CHCOOM等が挙げられる。
尚、各基において、Mは、水素原子、金属原子又はアンモニウム(4級アンモニウムを含む)である。
【0093】
Mが金属原子である場合、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属原子(但し、アルカリ土類金属原子は通常2価であるから、1/2)等が挙げられる。これらのうち、ナトリウム及びカリウムが好ましい。
また、Mがアンモニウムである場合、その形成物質として、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、(イソ)プロピルアミン、ジ(イソ)プロピルアミン、モノエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオパール、アミノエチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等が挙げられる。
【0094】
上記一般式(XII)において、mは1以上の数であり、好ましくは1〜300、より好ましくは1〜200、更に好ましくは5〜100である。
【0095】
上記成分(E2)としては、フェノール又は置換基を有するフェノールとホルムアルデヒドとの脱水縮合物のアルキレンオキサイド付加物(N1)からなる単位;この化合物(N1)のアルキレンオキサイド鎖の末端を炭化水素基でエーテル化した化合物(N2)からなる単位;前記化合物(N1)のアルキレンオキサイド鎖の末端をイソシアネート基若しくはエステル基を有する炭化水素基で置換した化合物(N3)からなる単位;前記化合物(N1)のアルキレンオキサイド鎖の末端にアニオン性親水基(スルホン酸基、サルフェート基、ホスフェート基、カルボキシレート基等)を導入した化合物(N4)からなる単位等の1種以上を含む重合体等が挙げられる。
尚、上記化合物(N1)の形成に際し、フェノール又は置換基を有するフェノールと共縮合可能な化合物、例えば、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、アニソール等を併用してもよい。
従って、上記化合物(N1)〜(N4)のうちの1種以上を反応させて得られた重合体を上記成分(E2)として用いることができる。
【0096】
また、上記化合物(N1)の形成に際し、フェノール又は置換基を有するフェノールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(1,4−ブチレンオキサイド)、長鎖α−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド等を付加重合するが、このアルキレンオキサイド等を付加重合することによって、上記一般式(XII)で表された、(R−O)の部分を形成する場合は、付加させるアルキレンオキサイド等の種類により(R−O)の種類が決定される。付加されるアルキレンオキシド等の重合形態は、特に限定されず、1種類のアルキレンオキサイド等の単独重合、2種類以上のアルキレンオキサイド等のランダム共重合、ブロック共重合又はランダム/ブロック共重合等のいずれであってもよい。(R−O)の部分がポリアルキレンオキサイドである場合は、Rは、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基、特に好ましくはエチレン基である。また、(R−O)の部分が2種類以上のアルキレンオキサイド等の共重合により形成される場合は、そのうちの一種はエチレンオキサイドであることが好ましい。このときのmは、好ましくは1〜300であり、より好ましくは1〜200、更に好ましくは5〜100である。
【0097】
また、上記化合物(N4)は、化合物(N1)の末端(通常、ヒドロキシル基)の一部又は全部に対し、上記例示したアニオン性親水基を有する化合物を用いて、公知の方法で反応させることにより得ることができる。
【0098】
上記成分(E2)は、市販品を用いることができ、例えば、旭電化工業社製「アデカノールAS−113」(商品名)等を用いることができる。
上記成分(E2)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0099】
成分(E)として、成分(E2)を単独で用いる場合、本発明の制電性樹脂組成物における成分(E)の含有量は、成分(A)、(B)及び(C)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.01〜30質量部であり、より好ましくは0.1〜30質量部、更に好ましくは1〜25質量部、特に好ましくは3〜20質量部である。この成分(E2)の含有量が多すぎると、成形品外観が劣る場合があり、少なすぎると、制電性改良効果が十分でない場合がある。
【0100】
上記一般式(XIII)で表される単位を含むホウ素化合物(E3)(本発明において、「成分(E3)」ともいう。)は、該単位を、好ましくは90〜100質量%、より好ましくは95〜100質量%、更に好ましくは98〜100質量%含む化合物である。
尚、成分(E3)は、上記単位を少なくとも5個以上含有した高分子化合物であることが好ましい。
【0101】
上記一般式(XIII)で表される単位を含む化合物としては、下記一般式(XIV)で表されるような、半極性有機ホウ素高分子化合物と、ヒドロキシル基を有する合計炭素数5〜82の第3級アミンの1種又は2種以上との、ホウ素原子1個対塩基性窒素原子1個の割合の反応生成物である高分子電荷移動型結合体であることが好ましい。
【化8】

〔式中、qは、0又は1であり、q=1のとき、Tは、−(T−(T−(T−(但し、T及びTは、互いに同一又は異なって、1つの末端エーテル残基を有し且つ炭素数の合計が100以下の含酸素炭化水素基であり、Tは、
【化9】

(但し、Rは、炭素数1から82の炭化水素基である。)
又は、
【化10】

〔但し、R10は、炭素数2〜13の炭化水素基である。)であり、s、t及びuは、それぞれ、0又は1である。)であり、R、R及びRは、互いに同一又は異なる有機基であり、rは、10〜1000である。〕
【0102】
上記一般式(XIV)におけるR、R及びRとしては、炭化水素基、アルコキシ基、フェノキシ基、ベンジロキシ基、アルキレングリコール基等が挙げられる。これらの基は、ヒドロキシル基等の官能基を有してもよいし、置換基を有してもよい。
【0103】
上記電荷移動型結合体としては、下記化学式(XV)〜(XXII)で表される結合体が挙げられる。尚、下記の各化学式において、末端の炭素原子及び酸素原子には、通常、それぞれ、水素原子又はヒドロキシル基が結合している。
【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【0104】
上記高分子電荷移動型結合体は、特許第2573986号公報に記載された方法等により製造することができる。
尚、成分(E3)としては、市販品を用いることができ、例えば、ボロンインターナショナル社製「ハイボロン400N」(商品名)等が好適である。
【0105】
上記成分(E3)は、組成物の製造の際に、単独で配合してよいし、上記の成分(A)、成分(B)、成分(C)等とからなる混合物(組成物)として配合することもできる。後者の例としては、ポリエチレンをマトリックスとしたマスターバッチである、ボロンインターナショナル社製「ハイボロンMB400N−8LDPE」(商品名)等が挙げられる。
上記成分(E3)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0106】
成分(E)として、成分(E3)を単独で用いる場合、本発明の制電性樹脂組成物における成分(E3)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.01〜30質量部であり、より好ましくは0.05〜20質量部、更に好ましくは0.1〜10質量部、特に好ましくは0.3〜5質量部である。この成分(E3)の含有量が多すぎると、成形品外観が劣る場合があり、少なすぎると、制電性改良効果が十分でない場合がある。
【0107】
上記の非イオン系界面活性剤(E4)(本発明において、「成分(E4)」ともいう。)としては、多価アルコールのエステル、含窒素化合物等が挙げられる。
【0108】
多価アルコールのエステルとしては、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル等が挙げられる。
グリセリンエステルとしては、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グルセリンモノオレート等が挙げられる。
ポリグリセリンエステルとしては、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノベヘネート、ジグリセリンモノオレート等が挙げられる。
【0109】
ソルビタンエステルとしては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート等が挙げられる。
エチレングリコールエステルとしては、モノステアリン酸エチレングリコール等が挙げられる。
また、プロピレングリコールエステルとしては、モノステアリン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
これらのうち、グリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノラウレート及びソルビタンモノステアレートが好ましい。
【0110】
含窒素化合物としては、アミン化合物、アミド化合物等が挙げられる。
アミン化合物としては、ラウリルジエタノールアミン、ミリスチルジエタノールアミン、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、オレイルジエタノールアミン、ラウリルジイソプロパノールアミン、ミリスチルジイソプロパノールアミン、パルミチルジイソプロパノールアミン、ステアリルジイソプロパノールアミン、オレイルジイソプロパノールアミン、N,N−ビスヒドロキシエチルアルキルアミン(但し、アルキル基の炭素数は、通常、12〜22である。)等のジアルカノールアミン等が挙げられる。
【0111】
また、アミド化合物としては、ラウリルジエタノールアミド、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、ベヘニルジエタノールアミド、オレイルジエタノールアミド、ラウリルジイソプロパノールアミド、ミリスチルジイソプロパノールアミド、パルミチルジイソプロパノールアミド、ステアリルジイソプロパノールアミド、オレイルジイソプロパノールアミド等が挙げられる。
これらのうち、アミン化合物が好ましく、ラウリルジエタノールアミン及びステアリルジエタノールアミンが特に好ましい。
【0112】
上記成分(E4)は、組成物の製造の際に、単独で配合してよいし、上記の成分(A)、成分(B)、成分(C)等とからなる混合物(組成物)として配合することもできる。後者の場合、組成物において、混和性を向上させることができる。
上記成分(E4)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0113】
成分(E)として、成分(E4)を単独で用いる場合、本発明の制電性樹脂組成物における成分(D4)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.01〜30質量部であり、より好ましくは0.05〜20質量部、更に好ましくは0.1〜10質量部、特に好ましくは0.5〜5質量部である。この成分(E4)の含有量が多すぎると、成形品外観が劣る場合があり、少なすぎると、制電性改良効果が十分でない場合がある。
【0114】
尚、上記成分(E4)を用いる場合には、該成分による制電性を更に向上させるために、炭素数12〜18の高級アルコール、滑剤、シリカ、珪酸カルシウム等を配合してもよい。また、混和性を向上させる目的で、マスターバッチ化したものを用いることができる。このような処方では、成分(E4)を20質量%以上が含有するものを用いることが好ましい。
本発明の成分(E4)の如き化合物は、花王社製エレクトロストリッパーTS−5、EA、TS−3B、TS−2B、TS−13B、TS−7B(商品名)等として入手することができる。
【0115】
上記のように、成分(E)としては、上記の成分(E1)、成分(E2)、成分(E3)及び成分(E4)から選ばれた2種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましくは、上記の成分(E1)及び成分(E4)の組み合わせである。上記の成分(E1)、成分(E2)、成分(E3)及び成分(E4)から選ばれた2種以上を組み合わせて用いる場合、その合計量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.01〜30質量部であり、より好ましくは0.01〜15質量部、更に好ましくは0.1〜10質量部、特に好ましくは0.5〜7質量部である。この成分(E)の含有量が多すぎると、成形品外観が劣る場合があり、少なすぎると、制電性改良効果が十分でない場合がある。
【0116】
本発明の制電性樹脂組成物は、目的、用途に応じて、更に、制電性付与助剤、加工助剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、充填剤、紫外線吸収剤、耐候剤、耐光剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、摺動剤、着色剤、発泡剤、抗菌剤、結晶核剤等の添加剤を配合したものとすることができる。
【0117】
本発明においては、成分(B)による制電性を一層向上させるために、制電性付与助剤を含有したものとすることが好ましい。この制電性付与助剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0118】
制電性付与助剤としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩等が挙げられる。
塩の種類としては、ハロゲン化水素酸塩(ハロゲン化物)、硫酸塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;カルボン酸塩、ジカルボン酸塩、アルカンスルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩(アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む)、フッ化スルホン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。
【0119】
ハロゲン化物としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等が挙げられる。
過塩素酸塩としては、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等が挙げられる。
カルボン酸塩としては、酢酸カリウム、ステアリン酸リチウム等が挙げられる。
【0120】
アルカンスルホン酸塩としては、オクチルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ステアリルスルホン酸、テトラコシルスルホン酸、2−エチルヘキシルスルホン酸等の炭素数8〜24のアルカンスルホン酸の塩が好ましい。
芳香族スルホン酸塩としては、フェニルスルホン酸、ナフチルスルホン酸、オクチルフェニルスルホン酸、ドデシルフェニルスルホン酸、ジブチルフェニルスルホン酸、ジノニルフェニルスルホン酸、ジメチルナフチルスルホン酸、ジイソプロピルナフチルスルホン酸、ジブチルナフチルスルホン酸等の炭素数6〜18の芳香族スルホン酸の塩が好ましい。
【0121】
制電性付与助剤は、本発明の制電性樹脂組成物の製造時に配合することができるが、例えば、成分(B)の重合前、成分(B)の重合途中、及び成分(B)の重合後のいずれの時期に配合することもできる。
上記制電性付与助剤の配合量は、成分(B)を100質量部とした場合、好ましくは0.001〜10質量部、更に好ましくは0.01〜5質量部である。
【0122】
加工助剤としては、透明性及び制電性を損なうものでなければ、特に限定されない。例えば、アクリル系重合体、スチレン系重合体、フッ素系重合体等が挙げられる。これらは、いずれも超高分子量体(重量平均分子量100万以上)が好ましく、それぞれ、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記加工助剤の配合量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.1〜10質量部である。この範囲とすることで、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の相溶性を向上させることができ、制電性樹脂組成物の押出成形性を改良することができる。
【0123】
充填剤としては、金属、合金、無機化合物、有機化合物、高分子化合物、無機・有機複合物等からなるものを、粉末状、塊状、中空状、板状、繊維状(ウィスカーを含む)等として、目的、用途等に応じて用いることができる。導電性を有するものであってもよい。この充填剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
充填剤としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラス繊維のミルドファイバー、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、炭素繊維、炭素繊維のミルドファイバー、アラミド繊維、フェノール樹脂繊維、ポリエステル繊維、酸化亜鉛ウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、アルミナ、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、ワラストナイト、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、ヘクトライト、有機処理されたスメクタイト、錫コート酸化チタン、錫コートシリカ、ニッケルコート炭素繊維、銀、銅、黄銅、鉄、カーボンブラック等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる
【0124】
尚、上記充填剤は、分散性を向上させる等の目的から、公知のカップリング剤、表面処理剤、集束剤等で処理したものを用いることができる。このカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
上記充填剤の配合量は、上記の成分(A)、(B)及び(C)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.1〜200質量部である。
【0125】
着色剤としては、公知の染料、顔料等を用いることができる。
上記着色剤の配合量は、上記の成分(A)、(B)及び(C)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.001〜20質量部、更に好ましくは1〜200質量部である。
【0126】
本発明の制電性樹脂組成物は、要求される性能を得るために、必要に応じて、更に、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂等の、他の重合体を含有してもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂;ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステル等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンスルフィド;芳香族ポリカーボネート;熱可塑性ポリウレタン;フェノキシ樹脂;PMMA樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂、HIPS、AS樹脂、PS樹脂、MS樹脂、メタクリル酸メチルとマレイミド系化合物との共重合体、スチレンとマレイミド系化合物との共重合体等が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーとしては、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。
更に、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
【0127】
1−5.製造方法及び成形品
本発明の制電性樹脂組成物は、上記の構成成分、添加剤等を各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、連続ニーダー、ロール等に投入し、加熱下で溶融混練することにより得ることができる。各成分は、一括投入してから混練してよいし、分割して投入して混練してもよい。混練後、そのまま成形品とする場合には、射出成形、プレス成形、カレンダー成形、Tダイ押出成形、インフレーション成形、異形押出成形、発泡成形等公知の成形方法を適用することができる。また、前記方法で得られたシート等に対して、更に真空成形等を適用することもできる。
【0128】
本発明の制電性樹脂組成物及びこれを用いてなる成形品は、温度23℃、湿度50%RHの条件における表面固有抵抗を、好ましくは5×1012Ω以下、より好ましくは9×1011Ω以下、更に好ましくは9×1010Ω以下、特に好ましくは5×10Ω以下とすることができる。
【0129】
成形品の形状は、目的、用途等に応じたものとすることができ、シート、フィルム等の薄様体(厚み5μm〜100mm);丸棒、角棒等の棒状体;更にはこれらの変形物;トレイ、ケース等とすることができる。
上記成形品がシートである場合は、その厚さが、好ましくは0.2〜10mm、より好ましくは0.5〜5mmである。
また、フィルムである場合は、その厚さが、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜150μmである。
尚、シート及びフィルムの、片面又は両面には、目的、用途等に応じて、凹凸部、溝部、穴部等を有してもよい。また、貫通孔を有してもよい。
【0130】
本発明の制電性樹脂組成物を用いてなる成形品は、上記の単独成形体以外に、他の材料からなる成形品と一体化した複合物品、例えば、後述する粘着フィルム、多層シート等の形成にも好適である。従って、上記複合物品において、本発明の制電性樹脂組成物を用いてなる成形部が最表面にある場合には、上記条件における表面固有抵抗を維持することができ、特に、制電性に優れる。また、上記他の材料が透明性を有する場合には、複合物品全体として、透明性にも優れる。
【0131】
2.制電・粘着性樹脂組成物
本発明の制電・粘着性樹脂組成物は、上記成分(A)のポリオレフィン系樹脂(但し、下記成分(B)を除く。)0〜59質量%と、上記成分(B)のブロック共重合体3〜60質量%と、上記成分(C)の重合体及び/又はその水素添加物35〜97質量%とを含有(但し、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%である。)することを特徴とする。尚、本発明の制電・粘着性樹脂組成物の成分(A)、成分(B)及び成分(C)は、上記本発明の制電性樹脂組成物に関して各成分について上記した記述がそのまま適用できる。
【0132】
本発明の制電・粘着性樹脂組成物の第一の好ましい実施形態によれば、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の含有量は、それぞれ、0〜40質量%、6〜25質量%及び35〜94質量%であり、好ましくは0〜35質量%、8〜20質量%及び45〜92質量%、より好ましくは0〜30質量%、8〜18質量%及び52〜92質量%、更に好ましくは0〜25質量%、8〜16質量%及び59〜92質量%である。成分(C)の種類及び含有量の選択により、他の部材に対する粘着性を調整することができる。即ち、この成分(C)を形成することとなる上記重合体ブロック(c1)に含まれるビニル結合含量が、好ましくは60〜90%、より好ましくは70〜85%であれば、優れた粘着性を発揮することができ、かかる成分(C)としては、JSR社製「ダイナロン1320P」、「ダイナロン1321P」(以上、商品名)等が好ましく用いられる。また、該ビニル結合含量が60%未満の重合体ブロック(c1)を含む重合体の水素添加物を、成分(C)の一部として適宜、配合することで、粘着性の調整がより容易となる。
尚、上記成分(A)の含有量が多すぎると、粘着性が十分でない場合がある。
上記成分(B)の含有量が多すぎると、成形品外観が低下する場合がある。また、少なすぎると、制電性が低下する場合がある。
上記成分(C)の含有量が多すぎると、制電性が低下する場合がある。また、少なすぎると、粘着性が十分でない場合がある。
上記第一の好ましい実施形態による制電・粘着性樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂からなる支持体フィルムに透明な粘着層を形成して透明フィルムを得るのに好適に使用できる。
【0133】
本発明の制電・粘着性樹脂組成物の第二の好ましい実施形態によれば、上記成分(A)がポリオレフィン(A´−1)及び/又は官能基で変性されているポリオレフィン(A´−2)であり、上記成分(C)が共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体の水素添加物であり、上記成分(A)0〜59質量%、上記成分(B)3〜60質量%、及び上記成分(C)40〜97質量%からなる制電・粘着性樹脂組成物が提供される。
この第二の好ましい実施形態による制電・粘着性樹脂組成物は、スチレン系樹脂などの各種重合体からなる支持体フィルムに透明な粘着層を形成して透明フィルムを得るのに好適に使用できる。
この第二の好ましい実施形態による制電・粘着性樹脂組成物における成分(A)は、ポリオレフィン樹脂(A´―1)及び/又は官能基で変性されているポリオレフィン樹脂(A´―2)からなる。
ポリオレフィン樹脂(A´−1)は、変性されていないポリオレフィン樹脂であり、本発明の上記制電性樹脂組成物について記述したポリオレフィン樹脂(A)の内容が全てあてはまり、炭素数2〜10のオレフィン類の少なくとも1種を構成単量体単位として含有する重合体であることが好ましく、特に好ましくはエチレンを主成分とする重合体である。
【0134】
この第二の好ましい実施形態による制電・粘着性樹脂組成物において、ポリオレフィン樹脂(A´−1)は、常温において成形用樹脂として十分な分子量を有するものが用いられ、例えばエチレンが主成分である場合、JIS K6922に準拠して測定したメルトフローレートが、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.03〜70g/10分に相当する分子量のものである。ここで使用されるポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンのいずれもが使用できる。
上記成分(A´−2)は、官能基で変性されているポリオレフィン樹脂である。好ましいポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレンであり、更に好ましくは低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレンであり、特に好ましくは低分子量ポリエチレンである。上記低分子量ポリオレフィンの重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜60,000、特に好ましくは8,000〜50,000である。当該低分量ポリオレフィンは、重合法または高分子量ポリオレフィンの熱減成法により得られる。官能基での変性のしやすさから好ましいものは熱減成法で得られたものである。熱減成法による低分子量ポリオレフィンは、例えば、高分子量ポリオレフィンを不活性ガス中、通常300℃〜450℃で0.5時間から10時間熱減成する方法(例えば、特開平3―62804号公報記載の方法)等により得ることができる。
【0135】
官能基による変性方法は、不飽和酸、不飽和酸無水物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、アミノ基含有不飽和化合物、置換アミノ基含有不飽和化合物等を付加させる方法である。好ましいものは、不飽和酸、不飽和酸無水物である。
ここで使用される不飽和酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸、イタコン酸、マレイン酸等があり、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、クロロ無水イタコン酸、クロロ無水マレイン酸、無水シトラコン酸等があり、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましいものは、無水マレイン酸である。
【0136】
上記成分(A´−2)における前記官能基含有不飽和化合物量は、ポリオレフィン樹脂100質量%として、好ましくは0.5〜25質量%、更に好ましくは1〜20質量%、特に好ましくは1〜15質量%である。前記官能基含有不飽和化合物による変性方法は、例えばポリオレフィン樹脂に官能基含有不飽和化合物を必要により有機過酸化物の存在下、溶液法または溶融法等の方法で変性することにより得ることができる。
上記成分(A´−2)に該当する材料は、例えば、三洋化成工業社製ユーメックス1001、1003、1010、100TS、110TS、2000、CA60(商品名)等として市場で入手できる。
【0137】
上記成分(A´―1)は、粘着剤の粘着性を調整する目的で使用される。一方上記成分(A´−2)は、粘着フィルムを製造する際の粘着剤と支持体の接着性、支持体にコートした易接着剤との接着性を向上させる目的で使用される。
この第二の好ましい実施形態による制電・粘着性樹脂組成物において、上記成分(A)の使用量は、本発明の(A)成分と(B)成分(C)成分との合計100質量%に対し、0〜59重量%、好ましくは1〜59質量%、更に好ましくは1〜48質量%、更により好ましくは2〜45質量%、特に好ましくは3〜40質量%の範囲である。また、上記成分(A´−2)の使用効果を高めるために、上記成分(A´−1)及び成分(A´−2)の好ましい使用量は、何れも、本発明の(A)成分と(B)成分(C)成分との合計100質量%に対し、2〜37質量%、更な好ましくは2〜35質量%、特に好ましくは5〜30質量%である。上記成分(A´−1)が上記の範囲未満であると粘着性の調整機能が劣り、又範囲を超えると粘着性が劣る。一方、上記成分(A´−2)が上記の範囲未満であると粘着フィルムを製造する際の粘着剤と支持体の接着性、支持体にコートした易接着剤との接着性等の接着性を向上が十分でなく、また範囲を超えると粘着性が劣る傾向にあり好ましくない。
【0138】
この第二の好ましい実施形態による制電・粘着性樹脂組成物において、成分(B)は、オレフィン重合体ブロックと親水性ポリマーブロックとを含むブロック共重合体であり、本発明の制電性樹脂組成物に関して上記した記述がそのまま当てはまる。
この第二の好ましい実施形態による制電・粘着性樹脂組成物において、上記成分(B)の使用量は、成分(A)を含有しない場合、成分(B)及び成分(C)の合計100質量%に対して、3〜60質量%、好ましくは3〜50質量%、更に好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは5〜35質量%であり、3質量%未満では制電性が劣り、60質量%を超えると粘着性が低下する。成分(A)を含有する場合の成分(B)の使用量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量%に対して、3〜60質量%、好ましくは3〜59質量%、更に好ましくは3〜49質量%、更により好ましくは5〜48質量%、特に好ましくは5〜42質量%の範囲であり、3質量%未満では制電性が劣り、59質量%を超えると粘着性が低下する。
【0139】
本発明の制電・粘着性樹脂組成物における第二の好ましい実施形態において、上記成分(C)は、成分(C)が共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体の水素添加物であり、本発明の上記制電性樹脂組成物に関して記述した内容がそのまま当てはまる。
この第二の好ましい実施形態の制電・粘着性樹脂組成物の成分(C)において、芳香族ビニル化合物単位と共役ジエン化合物単位は、ランダム共重合体であってもよく、それぞれがブロックになっているブロック共重合体になっているものでもよく、更にランダム共重合体とブロック共重合体が混合された結合形態になっているものでもよい。好ましい成分(C)は、共役ジエン化合物単位から主としてなる重合体ブロック(c1)と芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック(c2)とを含むブロック共重合体の水素添加物である。
この第二の好ましい実施形態の制電・粘着性樹脂組成物を、表示装置用の保護フィルムとして使用される粘着剤として用いる場合、上記成分(C)成分として特に好ましい構造は、粘着力の調整の容易さ、及び粘着剤としての透明性の発現のし易さから、上記(VII)の構造のものである。
【0140】
この第二の好ましい実施形態の制電・粘着性樹脂組成物の成分(C)において、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物の使用割合は、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物=5〜70/30〜95質量%の範囲が好ましく、更に好ましくは10〜65/35〜90質量%、特に好ましくは15〜60/40〜85質量%の範囲である。
この第二の好ましい実施形態の制電・粘着性樹脂組成物の成分(C)である水素添加物は、主として共役ジエン化合物の炭素―炭素二重結合の少なくとも一部が水素添加されたものである。すなわち、成分(C)として、上記した共重合体の共役ジエン部分の炭素―炭素二重結合を部分的にまたは完全に水素添加したものが用いられ、好ましい水素添加率は10〜100%のものであり、更に好ましくは50〜100%、特に好ましくは90〜100%である。
【0141】
この第二の好ましい実施形態の制電・粘着性樹脂組成物において、成分(C)の使用量は、成分(A)を含有しない場合は、成分(B)と成分(C)の合計100質量%中40〜97質量%、好ましくは50〜97質量%、更に好ましくは60〜95質量%、特に好ましくは65〜95質量%の範囲であり、40質量%未満では粘着性が低下し、97質量%を超えると制電性が劣る。成分(A)を含有する場合の成分(C)の使用量は、成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計100質量%中40〜97質量%、好ましくは50〜97質量%、更に好ましくは50〜93質量%、特に好ましくは55〜92質量%の範囲であり、40質量%未満では粘着性が低下し、97質量%を超えると制電性が劣る。
【0142】
上記第一及び第二の実施形態による制電・粘着性樹脂組成物は、更に、上記本発明の制電性樹脂組成物に配合可能な成分(E)、各種添加剤、他の重合体等を含有したものとすることができる。これらの種類及び含有量は、上記本発明の制電性樹脂組成物における説明をそのまま適用することができる。
【0143】
本発明の制電・粘着性樹脂組成物は、上記の成分(A)、成分(B)、成分(C)、添加剤等を各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、連続ニーダー、ロール等に投入し、加熱下で溶融混練することにより得ることができる。各成分は、一括投入してから混練してよいし、分割して投入してもよい。混練後、そのまま成形品とする場合には、射出成形、プレス成形、カレンダー成形、Tダイ押出成形、インフレーション成形、異形押出成形、発泡成形等公知の成形方法を適用することができる。また、前記方法で得られたシート等に対して、更に真空成形等を適用することもできる。
【0144】
本発明の制電・粘着性樹脂組成物及びこれを用いてなる成形品は、温度23℃、湿度50%RHの条件における表面固有抵抗を、好ましくは5×1012Ω以下、より好ましくは9×1011Ω以下、更に好ましくは9×1010Ω以下、特に好ましくは5×10Ω以下とすることができる。
【0145】
成形品の形状は、目的、用途等に応じたものとすることができ、シート、フィルム等の薄様体;丸棒、角棒等の棒状体;更にはこれらの変形物等とすることができる。
上記成形品がシートである場合は、その厚さが、好ましくは0.2〜10mm、より好ましくは0.5〜5mmである。
また、フィルムである場合は、その厚さが、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜150μmである。
尚、シート及びフィルムの、片面又は両面には、目的、用途等に応じて、凹凸部、溝部、穴部等を有してもよい。また、貫通孔を有してもよい。
【0146】
本発明の制電・粘着性樹脂組成物を用いてなる成形品は、他の材料からなる成形品と一体化した複合物品、例えば、後述する多層シート等の形成にも好適である。従って、上記複合物品において、本発明の制電・粘着性樹脂組成物を用いてなる成形部が最表面にある場合には、上記条件における表面固有抵抗を維持することができ、特に、制電性及び粘着性に優れる。また、上記他の材料が透明性を有する場合には、複合物品全体として、透明性にも優れる。
【0147】
3.粘着フィルム
3−1.粘着フィルムの構成
上記本発明の制電・粘着性樹脂組成物は、各種熱可塑性重合体組成物からなる支持体に粘着層を形成するのに用いることができる。
したがって、本発明によれば、各種熱可塑性重合体組成物からなる支持体と、該支持体の少なくとも1面側に配置され、且つ、上記本発明の制電・粘着性樹脂組成物からなる制電性粘着層を備えてなる粘着フィルムが提供される。
支持体を構成する組成物として使用可能な熱可塑性重合体としては、一般的に、エラストマー、ゴム及び樹脂が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体等のスチレン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;ウレタン系エラストマー;塩ビ系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;フッ素ゴム系エラストマー等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0148】
ゴムとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系ゴム、スチレン・ブタジエン(ブロック)共重合体、スチレン・イソプレン(ブロック)共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ブタジエン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、水素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、水素化ブタジエン系重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、エチレン系アイオノマー等が挙げられる。
尚、上記スチレン・ブタジエンブロック共重合体及び上記スチレン・イソプレンブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造を有するものも含まれる。更に、上記水素化ブタジエン系重合体は、上記ブロック共重合体の水素化物のほかに、スチレンブロックとスチレン・ブタジエンランダム共重合ブロックを有する重合体の水素化物、1,2−ビニル結合含有量が20質量%以下のポリブタジエンブロックと1,2−ビニル結合含量が20重量%を超えるポリブタジエンブロックとからなる重合体の水素化物等が含まれる。
上記ゴムは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0149】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ゴム強化スチレン系樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びポリカーボネート樹脂が好ましく、特に、ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂が好ましい。
【0150】
支持体の成形材料として有用なポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂を含有するものであれば、特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂のみであってよいし、ポリオレフィン系樹脂と、他の成分(添加剤、他の重合体等)との混合物であってもよい。後者の場合、上記本発明の制電性樹脂組成物をそのまま用いてよいし、それ以外の他の組成物を用いてもよい。制電性が求められる場合には、本発明の制電性樹脂組成物を用いることが特に好ましい。
【0151】
上記ポリオレフィン系樹脂は、炭素数が2以上のオレフィン類の単独重合体、2種以上のα−オレフィンの共重合体、α−オレフィンとその他のビニル系モノマーとの共重合体である。具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMPE);エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体;ポリプロピレン(PP);プロピレンと、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等の炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体;上記本発明の制電性樹脂組成物に配合可能なポリオレフィン系樹脂(A−1)に含まれる、エチレン・環状オレフィン共重合体、プロピレン・環状オレフィン共重合体;エチレン・プロピレン・ジエン共重合体;ポリメチルペンテン(MPX);エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸エチル、マレイン酸、無水マレイン酸等のビニル系モノマーとの共重合体;前記ポリエチレンもしくはエチレンとα−オレフィンとの共重合体を、アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された共重合体等が挙げられる。更に、上記本発明の制電性樹脂組成物に含有された成分(B)を用いることもできる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
従って、上記本発明の制電性樹脂組成物に含有された成分(A)のみを用いてよいし、該成分(A)及び成分(B)を併用してもよい。後者の場合、支持体における制電性及び粘着フィルムとしての制電性に優れる。
また、これらのうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体が好ましく、プロピレン単位を全単量体単位に対して、50質量%以上含む重合体、即ち、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体がより好ましい。尚、上記プロピレン・エチレン共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体等があるが、ランダム共重合体が特に好ましい。更に、これらの重合体と、上記本発明の制電性樹脂組成物に配合可能なポリオレフィン系樹脂(A−1)に含まれる、エチレン・環状オレフィン共重合体、プロピレン・環状オレフィン共重合体等とを組み合わせることにより、粘着フィルムとしての耐熱性が一段と優れる。特に、このポリオレフィン系樹脂(A−1)が、上記支持体に対して、40質量%以上(好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上)含まれる場合には、70℃以上(好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上)の温度において、反り、ねじれ等の変形が発生しない支持体とすることができる。
【0152】
支持体の成形材料として有用なスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂を含有するものであれば、特に限定されず、スチレン系樹脂のみであってよいし、スチレン系樹脂と、他の成分(添加剤、他の重合体等)との混合物であってもよい。
スチレン系樹脂(D)(本発明において「成分(D)」ともいう)は、ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物を含む単量体成分を重合して得られる樹脂及び/又はゴム質重合体の非存在下に、芳香族ビニル化合物を含む単量体成分を重合して得られる樹脂である。上記ゴム質重合体としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエン(ブロック)共重合体、スチレン・イソプレン(ブロック)共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ブタジエン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、水素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、水素化ブタジエン系重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体(例えば、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ブテン−1・非共役ジエン共重合体など)、エチレン・α−オレフィン・ポリエン共重合体、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、シリコーン・アクリル系IPNゴム、及び上記成分(C)で述べた芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエンから主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体及びその水素添加物等である。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましいものは、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体及びその水素添加物、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴムである。特に好ましいものは、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体である。ここで用いられるブタジエン・スチレン共重合体としては、通常、ブロック及び/またはランダム共重合体が用いられる。スチレン系樹脂として、支持体フィルムとしたときに柔軟性の面からゴム質重合体を含有するものが好ましい。
【0153】
スチレン系樹脂におけるゴム質重合体含有量は、スチレン系樹脂を100質量%として、好ましくは3〜80質量%。更に好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜60質量%である。
上記ゴム質重合体のゲル含率は、特に限定しないが、乳化重合でゴム質重合体を得る場合、ゲル含率は、好ましくは98質量%以下であり、更に好ましくは40〜98質量%である。この範囲において、フィルム化した際の外観に優れる。
尚、上記ゲル含率は、以下に示す方法により求めることができる。すなわち、ゴム質重合体1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置したのち、100メッシュの金網(質量をW1グラムとする)で濾過したトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量をW2グラムとする)し、下記式(1)により算出する。
【0154】
ゲル含率(質量%)=[ {W2(g)―W1(g)}/1(g)]×100…(1)
ゲル含率は、ゴム質重合体の製造時に、分子量調節剤の種類及び量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整される。
【0155】
上記スチレン系樹脂で使用されるビニル単量体を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α―メチルスチレン、ヒドロキシスチレン等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン、α―メチルスチレンが好ましい。
芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、ビニルシアン化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、及び、その他の各種官能基含有不飽和化合物等が挙げられる。本発明の目的の1つである表示装置用の保護フィルムの支持体に使用されるスチレン系樹脂としては、透明性を有することが好ましく、使用される好ましいビニル単量体は、芳香族ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物を必須成分として、必要に応じて、シアン化ビニル化合物、及びマレイミド化合物からなる群より選ばれる1種または2種以上が併用され、また必要に応じて、その他の各種官能基含有化合物の少なくとも1種が併用される。その他の各種官能基含有不飽和化合物としては、不飽和酸化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。上記その他の各種官能基含有不飽和化合物は1種単独で、または2種以上組み合わせて使用できる。
【0156】
ここで使用されるシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。シアン化合物を使用すると、耐薬品性が付与できる。シアン化合物を使用する場合、その使用量は、単量体成分中、好ましくは1〜60質量%、更に好ましくは5〜50質量%ある。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましいものはメタクリル酸メチルであり、ゴム質重合体としてポリブタジエンを用いた場合、スチレン/メタクリル酸メチルの使用量20〜30/70〜80質量%(合計100質量%)の範囲で透明性に優れたスチレン系樹脂を得ることができる。
マレイミド化合物として、マレイミド、N―フェニルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、マレイミド単位を導入するために、無水マレイン酸を共重合させ、後イミド化してもよい。マレイミド化合物を使用すると、耐熱性が付与される。マレイミド化合物を使用する場合、その使用量は、単量体成分中、好ましくは1〜60質量%、さらに好ましくは5〜50質量%である。
【0157】
不飽和酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水酸基含有不飽和化合物としては、3―ヒドロキシ―1―プロペン、4―ヒドロキシ−1―ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0158】
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N−メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、p−アミノスチレン等があり、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記その他の各種官能基含有不飽和化合物の使用量は、スチレン系樹脂中に使用される該官能基含有不飽和化合物の合計量で、スチレン系樹脂全体に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%が更に好ましい。
【0159】
本発明のスチレン系樹脂は、公知の重合法、例えば、乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合およびこれらを組み合わせた重合法で製造することができる。これらのうち、ゴム質重合体の存在下に、ビニル単量体を(共)重合して得られる重合体の好ましい重合法は、乳化重合および溶液重合である。一方、ゴム質重合体の非存在下に、ビニル系単量体を(共)重合して得られる重合体の好ましい重合法は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、および乳化重合である。
【0160】
乳化重合で製造する場合、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等が用いられるが,これらは公知のものが全て使用できる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパ−オキサオイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックス系を用いることが好ましい。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、タ−ピノーレン類等が挙げられる。
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ラウリル酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、パルミチン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ロジン酸カリウム等のロジン酸塩等を用いることができる。
【0161】
尚、乳化重合において、ゴム質重合体およびビニル系単量体の使用方法は、ゴム質重合体全量の存在下にビニル系単量体を一括添加して重合してもよく、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、ゴム質重合体の一部を重合途中で添加してもよい。
乳化重合後の、得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、水洗、乾燥することにより、スチレン系樹脂の粉末を得る。この際、乳化重合で得た2種以上のラテックスを適宜ブレンドしたあと、凝固してもよい。ここで使用される凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩、または硫酸、塩酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸等の酸を用いることができる。
【0162】
溶液重合によりスチレン系樹脂を製造する場合に用いることのできる溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶媒であり、例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
重合温度は、好ましくは80〜140℃、更に好ましくは85〜120℃の範囲である。重合に際し、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等が好ましく用いられる。
また、連鎖移動剤を用いる場合、例えば、メルカプタン類、ターピノーレン類、α―メチルスチレンダイマー等を用いることができる。
また、塊状重合、懸濁重合で製造する場合、溶液重合において説明した重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることができる。
上記重合法によって得たスチレン系樹脂中に残存する単量体量は、好ましくは10,000ppm以下、更に好ましくは5,000ppm以下である。
【0163】
また、ゴム質重合体の存在下にビニル単量体を重合して得られるスチレン系樹脂は、通常、上記ビニル系単量体がゴム質重合体にグラフト共重合した共重合体とゴム質重合体にグラフトしていない未グラフト成分(上記ビニル系単量体の(共)重合体)が含まれる。
ゴム質重合体の存在下にビニル単量体を重合して得られるスチレン系樹脂のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%であり、グラフト率は、下記式(2)により求めることができる。
【0164】
グラフト率(質量%)={(T―S)/S}×100…(2)
上記式(2)中、Tはゴム質重合体の存在下にビニル単量体を重合して得られるスチレン系樹脂1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは成分(D)1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
【0165】
また、本発明のスチレン系樹脂に関わる成分のアセトン可溶分の極限粘度[η](溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、好ましくは0.2〜1.2dl/g、更に好ましくは0.2〜1.0dl/g、特に好ましくは0.3〜0.8dl/gである。
ゴム質重合体の存在下にビニル単量体を重合して得られるスチレン系樹脂中に分散するグラフト化ゴム質重合体粒子の平均粒径は、好ましくは500〜30,000OÅ、更に好ましくは1,000〜20,000Å、特に好ましくは1,500〜8,000Åの範囲である。平均粒径は、電子顕微鏡を用いる公知の方法で測定できる。
【0166】
支持体を構成する組成物は、熱可塑性重合体のみでもよく、また帯電防止剤を含有していてもよい。帯電防止剤の使用量は、熱可塑性重合体と帯電防止剤の合計100質量%としたとき、3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは8〜20質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。その使用量が3質量%未満であると目的の制電性が得られない。30質量%を超えると均一なフィルムが得られない。
帯電防止剤は特に限定されない。公知の帯電防止剤が使用できる。好ましい帯電防止剤としては、帯電防止剤添加で透明性を損なわないものがよい。好ましい帯電防止剤としては、上記成分(B)及び下記に示すポリアミドブロック(F−2−1)と親水性ポリマーブロック(F−2−2)とを有するブロック共重合体からなる帯電防止剤(F)が挙げられる。特に好ましくは、下記に示す帯電防止剤(F)である。
【0167】
帯電防止剤(F)は、ポリアミドブロック(F−2−1)と親水性ポリマーブロック(F−2−2)からなる。ここで使用されるポリアミドとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,3,4もしくは2,4,4−トリメチレンヘキサメチレンジアミン、1,3もしくは1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノヘキシル)メタン、フェニルジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン等の脂肪族、脂環族、または芳香族ジアミン等のジアミン成分と、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の脂肪族、脂環族または芳香族ジカルボン酸とから導かれるポリアミド、カプロラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム類の開環重合によって得られるポリアミド、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナン酸、アミノウンデカン酸、1,2−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸から導かれるポリアミド、ならびにこれらの共重合ポリアミドがあり、更にこれらの混合ポリアミドが挙げられる。
【0168】
ここで使用される親水性ポリマーブロック(F−2−2)としては、前記親水性ポリマーブロック(b2)で述べたものが全て使用できる。
上記の帯電防止剤(F)のこの好ましい重合方法は加熱溶融重合法であり、その好ましい具体例を下記に示す。
(i)ポリアミドを重合した後、ジカルボン酸化合物を添加し、ポリアミド成分の両末端をカルボキシル化し、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールを添加重合しポリエーテルポリアミドを得る方法。
(ii)ポリアミド重合時に分子両末端が実質上カルボキシル化されるようにジカルボン酸化合物を過剰に添加重合し、更にポリ(アルキレンオキシド)グリコールを添加重合し、ポリエーテルポリアミドを得る方法。
(iii)ポリアミド生成成分と過剰にジカルボン酸化合物、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールを規定量一括添加重合しポリエーテルポリアミドを得る方法。
上記方法で、特に好ましい方法は、上記(i)の方法である。
又、前記重合体ブロック(b2)の説明で述べたアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩(H)を使用することができる。
【0169】
上記ポリアミド成分の分子末端をカルボキシル化するために用いられるジカルボン酸としては、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、マレイン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等がある。本発明の上記ポリアミドの数平均分子量は、好ましくは500〜20,000、更に好ましくは500〜10,000、特に好ましくは500〜5,000の範囲であることが本発明の目的を達成するうえで好ましい。
上記帯電防止剤(F)におけるポリアミドブロック(F−2−1)と親水性ポリマーブロック(F−2−2)の質量割合(F−2−1/F−2−2)は、90/10〜10/90の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70である。
上記帯電防止剤(F)の分子量は特に限定されるものではないが、還元粘度(ηsp/C)(ギ酸溶液中、0.5g/100ml、25℃で測定)は、1〜3dl/gの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは1.2〜2.5dl/gである。
更に、上記帯電防止剤(F)は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記帯電防止剤(F)は、三洋化成工業社製ペレスタットNC6321、M―140(商品名)として入手できる。
【0170】
上記熱可塑性重合体は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、連続ニーダー、ロール等により、それぞれの組成物を得ることができる。
熱可塑性重合体からなる支持体を用いて基材フィルムを製造する場合のフィルムの厚みは10〜200μmのものが取り扱いの面からこのましい。このフィルムは、公知の方法であるカレンダー法、Tダイ法、インフレーション法等で製造できるが、好ましい方法はカレンダー法である。
【0171】
上記熱可塑性重合体には、公知の耐候(光)剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤、染料、発泡剤、加工助剤(超高分子量アクリル系重合体、超高分子量スチレン系重合体)等を適宜配合することができる。
【0172】
3−2.粘着フィルムの好ましい実施形態
本発明の制電・粘着性樹脂組成物の第一の実施形態の場合、支持体を構成する熱可塑性重合体組成物として、ポリオレフィン系樹脂組成物を用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂組成物としては、上記本発明の制電性樹脂組成物を使用すると、粘着フィルムの制電性の点で好ましい(粘着フィルムの第一の実施形態)。
本発明の制電・粘着性樹脂組成物の第二の実施形態の場合、支持体を構成する熱可塑性重合体組成物として、スチレン系樹脂を使用することが好ましい(粘着フィルムの第二の実施形態)。
本発明の第一の実施形態の制電・粘着性樹脂組成物を用いた粘着フィルムとしては、成分(A)のみからなる支持体(以下、「支持体(1)」という。)と、制電性粘着層とを備える態様〔i〕、上記本発明の制電性樹脂組成物からなる支持体(以下、「支持体(2)」という。)と、制電性粘着層とを備える態様〔ii〕、及び成分(A)及び成分(B)の何れか一方とこれら成分(A)及び成分(B)以外の成分を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなる支持体(以下、「支持体(3)」という。)と、制電性粘着層とを備える態様〔iii〕がある。
【0173】
尚、上記態様〔iii〕における支持体(3)を構成する組成物の具体例としては、上記成分(A)及び成分(C)を含有し、成分(B)を含有しない組成物;成分(B)及び成分(C)を含有し、成分(A)を含有しない組成物;成分(A)を含有し、成分(B)及び成分(C)以外のその他の成分を含有する組成物;成分(B)を含有し、成分(A)及び成分(C)以外のその他の成分を含有する組成物;成分(A)及び成分(B)以外のポリオレフィン系樹脂を含有する組成物等が挙げられる。
【0174】
上記支持体(2)及び(3)は、上記本発明の制電性樹脂組成物に配合可能な添加剤を含有してもよい。上記支持体(2)の場合、該添加剤の含有量は、上記本発明の制電性樹脂組成物における説明を適用することができる。また、上記支持体(3)の場合、該添加剤の含有量は、上記本発明の制電性樹脂組成物における成分(A)、(B)及び(C)の合計量と、ポリオレフィン系樹脂組成物の合計量とを置き換えて、上記本発明の制電性樹脂組成物における記載の量を適用することができる。
特に、粘着フィルムに制電性が求められる場合には、本発明の制電性樹脂組成物(上記態様〔ii〕)が好ましい。また、耐熱性が求められる場合には、成分(A)として、成分(A−1)及び成分(A−2)を併用することが好ましい。
粘着フィルムの支持体の厚さは、好ましくは10〜200μm、より好ましくは10〜100μmである。
上記支持体の各表面において、制電性粘着層が配設される部分には、溝、凹部、凸部等を有してもよい。
また、制電性粘着層の厚さは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは5〜50μmである。尚、上記制電性粘着層の厚さは、通常、支持体の厚さよりも小さい。
上記制電性粘着層は、上記支持体の片面側にあってよいし、両面側にあってもよい。後者の場合は、両面粘着フィルムである。また、各表面の一部であってよいし、全面であってもよい。
【0175】
上記の粘着フィルムの第一及び第二の実施形態のいずれも、支持体と制電性粘着層との接着性に優れ、更に、支持体表面及び制電性粘着層表面の制電性に優れる。
接着性については、後述する実施例における条件による剥離強度を、好ましくは300g/15mm以上、より好ましくは400g/15mm以上、更に好ましくは500g/15mm以上とすることができる。
制電性(温度23℃、湿度50%RHの条件における表面固有抵抗)については、支持体表面について、好ましくは5×1012Ω以下、より好ましくは9×1011Ω以下、更に好ましくは9×1010Ω以下、特に好ましくは5×10Ω以下とすることができる。
【0176】
本発明の粘着フィルムは、制電性粘着層の保護等の目的で、該制電性粘着層の表面に、保護層を備えることができる。
上記保護層の構成材料は、特に限定されないが、剥離した際に、制電性粘着層が損傷等することの少ない材料からなるものが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、スチレン系樹脂フィルム、ポリアミドフィルム等が挙げられる。
【0177】
本発明の粘着フィルムを、図を用いて説明する。
図1の粘着フィルム1は、支持体11と、この支持体11の1表面に配された制電性粘着層12とを備える。
図2の粘着フィルム1’は、支持体11と、この支持体11の表面に配された制電性粘着層12と、この制電性粘着層12の表面に配された保護層13とを備える。
図3の粘着フィルム1”は、支持体11と、この支持体11の両面に配された制電性粘着層12a及び12bと、これらの制電性粘着層12a及び12bの各表面に配された保護層13a及び13bとを備える。
【0178】
3−3.粘着フィルムの製造方法
粘着フィルムは、公知の方法で製造することができ、その製造方法は特に制限されない。
しかしながら、本発明においては、ポリオレフィン系樹脂組成物やスチレン系樹脂組成物などの熱可塑性重合体組成物と、上記本発明の制電・粘着性樹脂組成物とを共押出する工程を備える粘着フィルムの製造方法が好適である。
共押出の具体的な方法としては、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられる。各組成物は、通常、溶融状態で用いられるが、加工時の温度は、成形品の形状、厚さ等を考慮し、通常、各組成物の溶融温度、溶融粘度等から選択される。
【0179】
粘着フィルムを共押出で得る工程において、(1)熱可塑性重合体組成物及び制電・粘着性樹脂組成物を予め前記方法で溶融混練したものを用いてもよく、(2)熱可塑性重合体組成物及び制電・粘着性樹脂組成物の各成分を混合したものを共押出時に溶融混練してもよく、更に(3)熱可塑性重合体組成物及び制電・粘着性樹脂組成物の各成分を共押出時に添加してもよく、更に上記(1)、(2)、及び(3)を組みあわせた方法でよい。上記熱可塑性重合体組成物としては、ポリオレフィン系樹脂組成物、スチレン系樹脂組成物等が好適に使用できる。
本発明の粘着フィルムを共押出により得る好ましい方法は、支持体となる熱可塑性重合体組成物は、予め溶融混練したものを用い、制電・粘着性樹脂組成物については、上記(2)、(3)の方法で共押出する方法である。
【0180】
本発明の粘着フィルムは、共押出による方法以外にも、下記の方法により製造することもできる。
(1)先ず、熱可塑性重合体組成物を、カレンダー法、Tダイ法、インフレーション法等により皮膜化して支持体を形成した後、必要に応じて表面処理を行い、制電・粘着性樹脂組成物を押出ラミネートする方法。
(2)熱可塑性重合体組成物と、制電・粘着性樹脂組成物とを用いて、支持体及び制電性粘着層(フィルム又はシート)を別々に作製した後、各成形体(好ましくは支持体の)の粘着面に対して、必要に応じて表面処理し、押出ラミネートする方法(ドライラミネート法)。
(3)先ず、シリコーン化合物等の易剥離性化合物を塗布したシート(好ましくはポリエチレンテレフタレート)に、トルエン、シクロヘキサン等の有機溶媒に制電・粘着性樹脂組成物を溶解させた溶液、又は、溶融混練した制電・粘着性樹脂組成物を塗布、乾燥し、制電性粘着層付きシートを得る。その後、この制電性粘着層付きシートと、別途、ポリオレフィン系樹脂組成物を用いて作製した支持体とを圧着することにより、制電性粘着層を支持体に転写させる方法。
【0181】
上記表面処理の具体的な方法としては、コロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、プラズマ処理、UV処理、イオンボンバード処理、溶剤処理等が挙げられる。これらは、組み合わせて連続して行ってもよい。
更に、制電性粘着層との粘着前において、支持体の表面に、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、アクリル樹脂等の樹脂成分を含むプライマー層を形成させることができる。このプライマー層の厚さは、より薄いほど好ましく、例えば、0.1〜10μm程度が好ましく、0.1〜5μmがより好ましい。また、該プライマー層は、通常、溶剤(水を含む)溶液を公知の方法で塗布し、乾燥することにより形成することができる。
【0182】
制電性粘着層の表面に保護層を配設する場合には、支持体及び制電性粘着層の形成と同時であってよい(同時に共押出してもよい)し、巻き取りと同時であってよい。
【0183】
4.多層シート(多層フィルム)
本発明の制電性樹脂組成物は、多層シート、多層フィルム等にも好適である。その態様としては、本発明の制電性樹脂組成物からなるシート(又はフィルム)の積層体;本発明の制電性樹脂組成物からなるシート(又はフィルム)と、他の材料からなるシート(又はフィルム)とを備える2層型シート(又は2層型フィルム);本発明の制電性樹脂組成物からなる2つのシート(又はフィルム)と、その間に配された、他の材料からなるシート(又はフィルム)とを備える3層型シート(又は3層型フィルム)等が挙げられる。尚、各層の間には、上記本発明の粘着フィルムの説明におけるプライマー層を配設することもできる。
本発明の制電性樹脂組成物が、上記ポリオレフィン系樹脂(A−1)を40質量%以上(好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上)含む場合には、70℃以上(好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上)の温度において、反り、ねじれ等の変形が発生しにくい多層シート(多層フィルム)とすることができる。
【0184】
他の材料としては、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂等を単独で、または、これらの1種以上を含む組成物が好ましい。特に、上記本発明の制電性樹脂組成物に含有される成分(A)を単独で、または、これを含む組成物を用いることが好ましい。該組成物は、剛性、耐熱性等の改良、制電性の付与等の目的から、各種充填剤、帯電防止剤等を含有していてもよい。
【0185】
上記多層シート(多層フィルム)において、本発明の制電性樹脂組成物からなる層の厚さは、安定的に制電性を発現させる等の目的から、好ましくは10μm以上、更に好ましくは50μm以上、特に好ましくは80μm以上である。
【0186】
上記多層シートとして、3層型シートを、図を用いて説明する。
図4の3層型シート2は、他の材料からなる中間層22と、上記の制電性樹脂組成物を用いてなる層21a及び21bとを備える。
【0187】
上記多層シート(多層フィルム)の製造方法としては、上記の粘着フィルムの製造方法と同様とすることができるが、Tダイ法、インフレーション法等の共押出法が好ましい。このようにして得られたシート及びフィルムは、必要に応じて、更に真空成形等によりトレイ等の成形品とすることができる。
【0188】
5.両面粘着フィルム
本発明の制電・粘着性樹脂組成物は、両面粘着フィルム等にも好適である。その態様としては、上記本発明の粘着フィルムにおいて説明した、本発明の制電性樹脂組成物からなる支持体の両面に、上記本発明の制電・粘着性樹脂組成物からなる制電性粘着層を備えた態様以外に、他の材料からなる支持体の両面に、上記本発明の制電・粘着性樹脂組成物からなる制電性粘着層を備えた態様である。
この態様における支持体及び制電性粘着層の各厚さは、上記本発明の粘着フィルムの説明における支持体及び制電性粘着層の各厚さと同様とすることができる。
【0189】
他の材料としては、上記本発明の制電性樹脂組成物以外に、各種のポリオレフィン系樹脂組成物、スチレン系樹脂組成物又はそれを含む組成物等の熱可塑性重合体組成物が挙げられる。特に、上記の制電性樹脂組成物に含有される成分(A)を含む組成物が好ましい。該組成物は、剛性、耐熱性等の改良、制電性の付与等の目的から、各種添加剤を含有していてもよい。
【0190】
上記両面粘着フィルムも、上記本発明の粘着フィルムと同様に、制電性粘着層の保護等の目的で、該制電性粘着層の表面に、保護層を備えることができる。この保護層の構成材料も上記のとおりである。
【0191】
本発明に係る成形品、すなわち上記制電性樹脂組成物からなる成形品は、電子・電気分野、OA・家電分野、車両分野、サニタリー分野、建材分野等の各種部材、部品等として好適であり、静電気障害が大きな問題となる部材、部品等として特に好適である。具体的には、リレーケース、ウエハーケース、レチクルケース、マスクケース等のケース類;液晶トレイ、チップトレイ、メモリートレイ、CCDトレイ、ICトレイ等のトレイ類;ICキャリアー等のキャリアー類;偏光フィルムの保護シート等のシート類;シート・フィルムのボビン類;液晶を用いた表示装置、導光板、プラズマディスプレイ、偏光板等の表面保護フィルム、半導体関連の保護フィルム、クリーンルーム内の保護フィルム等のフィルム類;クリーンルーム内で使用されるシート類;制電バッグ;自動販売機等の装置の内部部材等に有用である。
【実施例】
【0192】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない、尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
【0193】
1.評価方法
下記の実施例及び比較例における、各評価項目の測定方法を以下に示す。
【0194】
(1)(C)成分(重合体の結合スチレン量、ビニル結合量、数平均分子量、および水素添加率);
(1―1)結合スチレン量;
水素添加前の重合体で測定した。699cm−1のフェニル基の吸収に基づいた赤外法による検量線から求めた。
(1―2)数平均分子量;
水素添加前の重合体で測定した。ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)から求めた。
(1―3)ビニル結合量;
水素添加前重合体で測定した。赤外法(モレロ法)により求めた。
(1−4)水素添加率;
水素添加後の重合体で測定した。四塩化エチレンを溶媒として用い、15%濃度で測定した100MHH−NMRスペクトルの不飽和二重結合のスペクトル減少から算出した。
【0195】
(2)(D)成分(ゴム質重合体の物性、グラフト率、および極限粘度);
(2―1)ゴム質重合体のゲル含率;前記の方法に従った。
(2―2)ゴム質重合体ラテックスの数平均粒子径;
成分(D)の形成に用いるゴム質重合体ラテックスの数平均粒子径は、光散乱法で測定した。測定機は、大塚電子社製LPA―3100型を使用し、70回積算でミュムラント法を用いた。尚、成分(D)中の分散グラフト化ゴム質重合体粒子の粒子径は、ラテックス粒子径とほぼ同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(2―3)成分(D)のグラフト率;前記の方法に従った。
(2―4)成分(D)の極限粘度〔η〕;前記の方法に従った。
【0196】
(3)制電性
(3−1)表面固有抵抗
試験片を、温度23℃、湿度50%RHの条件下、48時間放置した後、表面固有抵抗(Ω)を、抵抗率計(商品名「ハイレスタ−UP MCP−HT450」、三菱化学社製)により、印加電圧500Vで測定した。
(3−2)制電性の測定
シシド静電気株式会社製スタティックオネストメーターH―0110を用い粘着フィルムの下記面に5KVの帯電処理を行い、その帯電が0Vまで減衰する時間を測定した。
制電性―1;支持体(制電性スチレン系樹脂)側に印加した。
制電性―2;粘着剤側に印加した。
(4)透明性
下記基準で評価した。
○(又は「透明」);透明感がある(印刷物上に試験片を置いたとき、印刷物が透けて見える)。
△;やや透明感がある(印刷物上に試験片を置いたとき、印刷物がぼんやりと見える)。
×;不透明である(印刷物上に試験片を置いたとき、印刷物が判読できない)。
(5)成形品外観
試験片両面の表面外観を下記基準で目視評価した。
○(又は「良好」);平滑性に優れ、良好である。
△;一部平滑性に劣る部分がある。
×(又は「不良」);平滑性に劣り、不良である。
【0197】
(6)支持体と制電性粘着層との接着性
(6−1)接着性―1
幅15mmの粘着フィルムの支持体から、制電性粘着層を、速度300mm/分で90度剥離させ、剥離強度(単位;g)を測定した。
(6−2)接着性―2
幅25mmの粘着フィルムの支持体から、制電性粘着層を、速度300mm/分で180度剥離試験を行う剥離強度(単位;g)を測定した。
(7)制電性粘着層とトリアセチルセルロース(TAC)フィルムとの粘着性
粘着フィルムの制電性粘着層の粘着面に、幅25mmのTACフィルムを配置し、2kgのローラーを1往復させて貼着した。その後、速度300mm/分で180度剥離し、剥離強度(単位;g)を測定した。
【0198】
2.制電性樹脂組成物及び制電・粘着性樹脂組成物の原料成分
2−1.成分(A)
(1)A1(ホモタイプポリプロピレン)
日本ポリプロ社製「ノバテックPP MG2T」(商品名)を用いた。
(2)A2(ランダムタイプポリプロピレン)
日本ポリプロ社製「ノバテックPP EG7F」(商品名)を用いた。
(3)A3(メタロセン触媒を用いて製造されたポリエチレン)
日本ポリエチレン社製「カーネル KF270」(商品名)を用いた。
(4)A4(エチレン・ノルボルネン共重合体)
ポリプラスチック社製「TOPAS6013」(商品名)を用いた。ノルボルネン単位量は75〜80%、ガラス転移温度は140℃である。
(5)A5(ホモタイプポリプロピレン)
日本ポリプロ社製「ノバテックPP FY6C」(商品名)を用いた。
(6)A6(低密度ポリエチレン)
日本ポリエチレン社製「ノバテックLL UF422」(商品名)を用いた。
(7)A7(低密度ポリエチレン)
日本ポリエチレン社製「ノバテックLD LF122」(商品名)を用いた。
(8)A8(無水マレイン酸変性ポリエチレン)
三洋化成工業社製 「ユーメックス 2000」(商品名)を用いた。
(9)A9(エチレン・ノルボルネン共重合体)
ポリプラスチック社製「TOPAS8007X10」(商品名)を用いた。ノルボルネン単位量は65%、ガラス転移温度は80℃である。
(10)A10(気相法メタロセン系ポリエチレン)
日本ポリエチレン社製「ハーモレックスNF464N」(商品名)を用いた。
【0199】
2−2.成分(B)
(1)B1(ポリオレフィン・ポリエーテルマルチブロック共重合体)
三洋化成工業社製「ペレスタット230」(商品名)を用いた。
(2)B2(ポリプロピレン・ポリエーテルマルチブロック共重合体)
三洋化成工業社製「ペレスタット303」(商品名)を用いた。
【0200】
2−3.成分(C)
(1)C1(ハイビニルタイプ水素添加重合体)
JSR社製「DYNARON1321P」(商品名)を用いた。
(2)C2(ポリエチレンブロックを有する水素添加重合体)
JSR社製「DYNARON6200P」(商品名)を用いた。
(3)C3(ハイビニルタイプ水素添加重合体)
JSR社製「DYNARON1320P」(商品名)を用いた。
(4)C4(スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)
JSR社製「TR2500」(商品名)を用いた。
【0201】
(5)C5(水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体)
下記製造例1で得た水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体を用いた。
製造例1
攪拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、シクロヘキサンとブタジエン35部溶液を投入した。ついで、n−ブチルリチウムを添加し、50℃の等温重合を行った。添加率が100%になった時点で、テトラヒドロフラン0.75部、ブタジエン45部、スチレン15部を添加し、50℃から80℃に昇温重合を行った。転化率100%となった時点でスチレン5部を加え、更に重合反応を行い、水素添加前A―B1―B2トリブロック共重合体を得た。得られたブロック重合体溶液の一部をサンプリングし、2,6−ジ−tert−ブチルカテコールをブロック共重合体100部に対して0.3部添加し、その後、溶媒を加熱除去した。スチレンブロック5%(Aブロック)、ブタジエン部分の1,2−ビニル含量35%、スチレン含量15%のスチレン・ブタジエンブロック60%(B1ブロック)、1,2−ビニル含量8%のブタジエンブロック35%(B2ブロック)からなる数平均分子量200,000の重合体であった。
残りのブロック共重合体溶液にチタノセンジクロライドとトリエチルアルミニウムをシクロヘキサン中で反応させた溶液を加え、50℃、50kgf/cmの水素圧下、40分水素化反応を行った。2,6−ジ−tert−ブチルカテコールをブロック共重合体100部に対し0.3部添加し、その後、溶媒を除去しブロック共重合体C5を得た。
【0202】
(6)C6(水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体)
下記製造例2で得た水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体を用いた。
製造例2
製造例1の条件でn−ブチルリチウムの使用量を多くして、ブロック共重合体C5と同じ構造で数平均分子量が100,000のブロック共重合体C6を得た。
【0203】
2−4.成分(D)
(1)D1(ゴム変性スチレン系樹脂)
下記製造例3で得たゴム変性スチレン系樹脂用いた。
製造例3
攪拌機およびジャケット付きオートクレーブを窒素置換した後、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径2,500Å)50部(固形分)、ラウリル酸カリウム0.5部、イオン交換水120部を投入し、攪拌を開始した。メタクリル酸メチル9.2部、スチレン3.3部を投入した後、昇温を行い、内温が40℃に到達した時点で、スルホキシレート系開始助剤水溶液とクメンハイドロパーオキサイド0.04部を添加し、重合反応を開始した。
重合開始から1時間後から、メタクリル酸メチル27.5部、スチレン10部、tert―ドデシルメルカプタン0.5部、ラウリル酸カリウム0.5部、イオン交換水20部からなるエマルジョン液、クメンハイドロパーオキサオイド0.1部、又スルホキシレート系開始助剤の水溶液を4時間かけて連続的に添加しながら重合反応をおこなった後、更に2時間攪拌を継続したのち、50℃まで冷却し、重合反応を終了させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗したのち乾燥をおこないゴム変性スチレン系樹脂D1を得た。
このもののグラフト率は55%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.45であった。
【0204】
(2)D2(ゴム質重合体非存在のスチレン系樹脂)
下記製造例4で得たスチレン系樹脂用いた。
製造例4
攪拌機、ジャケット付きオートクレーブを窒素置換した後、窒素気流中でメタクリル酸メチル73.4部、スチレン26.6部、トルエン20部、tert―ドデシルメルカプタン0.1部を投入したのち攪拌及び昇温を開始した。内温が50℃に到達した時点で、ベンゾイルパーオキサイド0.5部を添加し、更に昇温し、80℃に達した後、80℃一定で制御しながら重合反応を行わせた、反応開始後6時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、更に2時間反応を行って終了した。100℃まで冷却後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去したあと、粉砕し、VENT付き押出機で脱揮しペレット化し、ゴム質重合体非存在のスチレン系樹脂D2を得た。このものの極限粘度[η]は0.45であった。
【0205】
2−5.成分(E)
(1)E1(トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウムの50%水溶液)
三光化学工業社製「サンコノールAQ−50T」(商品名)を用いた。
(2)E2(高分子型帯電防止剤)
高分子帯電防止剤の含有量65%の旭電化工業社製「アデカノールAS−113」(商品名)を用いた。
(3)E3(有機ホウ素化合物を7%含有するポリエチレンマスターバッチ)
ボロンインターナショナル社製「ハイボロンMB400N−8LDPE」(商品名)を用いた。
(4)E4(非イオン界面活性剤)
ステアリルモノグリセライド100%の花王社製「エレクトロストリッパーTS−5」(商品名)を用いた。
【0206】
2−6.成分(F)
三洋化成工業社製ポリアミドーポリエーテルマルチブロック共重合体“ぺレスタットNC6321”(商品名)を用いた。
2−7.成分(G)(加工助剤)
三菱レイヨン社製超高分子アクリル系重合体“メタブレン P531A”(商品名)を用いた。
【0207】
3.制電性樹脂組成物の製造及び評価
実施例1−1〜1−14及び比較例1−1〜1−5
上記の成分(A)、(B)、(C)及び(E)を、表1及び表2に記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダーの設定温度;220℃)を用いて溶融混練し、ペレット(制電性樹脂組成物)を得た。
ペレットを十分に乾燥した後、射出成形機(シリンダーの設定温度;220℃)を用いて成形し、肉厚1.6mmの平板状試験片を得た。本試験片を用い、制電性(表面固有抵抗)、透明性及び成形品外観の評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0208】
実施例1−15〜1−18
上記の成分(A)、(B)、(C)及び(E)を、表3に記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダーの設定温度;220℃)を用いて溶融混練し、ペレット(制電性樹脂組成物)を得た。
ペレットを十分に乾燥した後、インフレーション押出機(シリンダー、ダイの設定温度;実施例1−15及び1−16では190℃、実施例1−17及び1−18では160℃)を用いて押出し、肉厚50μmのフィルムからなる袋を得た。本フィルムを用い、制電性(表面固有抵抗)、透明性及び成形品外観の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0209】
【表1】

【0210】
【表2】

【0211】
【表3】

【0212】
表1〜表3より、以下のことが明らかである。
実施例1−1〜1−18は、いずれも、制電性、透明性及び成形品外観に優れていた。一方、比較例1−1〜1−5は、成分(A)、(B)又は(C)の含有割合が、本発明の範囲外であり、制電性、透明性及び成形品外観のいずれかに劣っていた。
【0213】
4.2層型構造の袋の製造及び評価
実験例1−1
先ず、上記の成分(A3)60部と、成分(A4)26部と、成分(B2)14部と、成分(E1)2部とを、ヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダーの設定温度;220℃)を用いて溶融混練し、ペレットX(制電性樹脂組成物)を作製し、十分に乾燥させた。その後、このペレットXと、成分(A3)とを、多層インフレーション押出機(シリンダー、ダイの設定温度;190℃)を用いて共押出した。両層の厚さがいずれも25μm、全厚さが50μmのフィルムとした後、制電性樹脂組成物からなる層が表面側となるように袋を製造した。透明性及び成形品外観は良好であった。また、表面固有抵抗は、7×10Ωであり、制電性に優れていた。
実験例1−10
実験例1−1において、成分(A3)60部、成分(A4)26部を、成分(A3)86部に変更した以外は同様に製造した。透明性及び成形品外観は良好であった。また、表面固有抵抗は、1×10Ωであり、制電性に優れていた。
実験例1−1と実験例1−10のフィルム(100mm×100mm)について、温度80℃の条件下、1時間放置した後の平滑性を観察した。実験例1−10のフィルムは若干の皺が見られたが、実験例1−1のフィルムは、ほとんど変化が見られなかった。
【0214】
5.3層型構造のフィルムの製造及び評価
実験例1−11
実験例1−1において得られたペレットXと、成分(A3)とを多層インフレーション押出機(シリンダー、ダイの設定温度;190℃)を用いて、制電性樹脂組成物(ペレットX)が両表層となる3層のフィルムを製造した。各層の厚さは15/20/15μmとした。透明性及び成形品外観は良好であった。また、表面固有抵抗は、7×10Ωであり、制電性に優れていた。
実験例1−12
実験例1−11におけるペレットXの製造にあたって、成分(A3)60部、成分(A4)26部を、成分(A3)86部に変更した以外は同様に製造した。得られた3層フィルムの透明性及び成形品外観は良好であった。また、表面固有抵抗は、1×10であり、制電性に優れていた。
実験例1−11と実験例1−12のフィルム(100mm×100mm)について、温度80℃の条件下、1時間放置した後の平滑性を観察した。実験例1−12のフィルムは若干の皺が見られたが、実験例1−11のフィルムは、ほとんど変化が見られなかった。
【0215】
6.制電・粘着性樹脂組成物の製造及び評価
実施例2−1〜2−16及び比較例2−1
上記の成分(A)、(B)、(C)及び(E)を、表4及び表5に記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダーの設定温度;220℃)を用いて溶融混練し、ペレット(制電・粘着性樹脂組成物)を得た。
ペレットを十分に乾燥した後、射出成形機(シリンダーの設定温度;220℃)を用いて成形し、肉厚1.6mmの平板状試験片を得た。本試験片を用い、制電性(表面固有抵抗)、透明性及び成形品外観の評価を行った。その結果を表4及び表5に示す。
【0216】
【表4】

【0217】
【表5】

【0218】
表4及び表5より、以下のことが明らかである。
実施例2−1〜2−16は、いずれも、制電性、透明性及び成形品外観に優れていた。一方、比較例2−1は、成分(B)又は(C)の含有割合が、本発明の範囲外であり、制電性、又は、透明性及び成形品外観に劣っていた。
【0219】
7.粘着フィルムの製造及び評価
実施例3−1〜3−17
まず、支持体の形成用組成物として、上記の成分(A)、(B)、(C)及び(E)を、表6〜表8に記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダーの設定温度;220℃)を用いて溶融混練し、ペレットを得た。
一方、制電性粘着層の形成用組成物も、上記の成分(A)、(B)、(C)及び(E)を、表6〜表8に記載の配合割合でタンブラーにより混合することにより得た。
【0220】
その後、上記の支持体及び制電性粘着層の各形成用組成物を、多層インフレーション押出機(シリンダーの設定温度;210〜240℃)を用いて共押出し、支持体の厚さが50μmであり且つ制電性粘着層の厚さが20μmである粘着フィルムを得た。本粘着フィルムを用い、支持体及び制電性粘着層の各表面における制電性、透明性、成形品外観、支持体と制電性粘着層との接着性、並びに、粘着フィルムの制電性粘着層表面とTACフィルムとの粘着性を評価した。その結果を表6〜表8に示す。
【0221】
【表6】

【0222】
【表7】

【0223】
【表8】

【0224】
表6〜表8より、実施例3−1〜3−17は、いずれも、制電性、透明性、成形品外観、支持体と制電性粘着層との接着性、並びに、粘着フィルムの制電性粘着層表面とTACフィルムとの粘着性に優れていた。
また、実施例3−12及び3−13の粘着フィルム(100mm×100mm)について、温度80℃の条件下、1時間放置した後の反りの程度を観察した。実施例3−12の粘着フィルムは、若干の反りが見られたが、実施例3−13の粘着フィルムは、全く変化がなかった。成分(A4)を含有しているため、耐熱性に優れていることが分かる。
【0225】
実施例3´−1〜3´−13 、比較例3´−1〜3´−2
表9記載の配合割合で粘着剤及びスチレン系樹脂の各構成成分をヘンシエルミキサーで混合した後、二軸押出機(シリンダー設定温度220℃)で溶融混練し、ペレット化した。
スチレン系樹脂は、カレンダー加工法で50μmの支持体フィルムを製造した。フィルムの片面にコロナ放電処理したあと、コロナ放電処理面にポリエチレンイミン層を形成させた。
該フィルムのポリエチレンイミン層側に押出しラミネート法で20μmの厚みの粘着剤層を形成させた。本粘着フィルムを用いて、前記の評価方法で、制電性、制電性粘着層とTACフィルムとの粘着性、及び支持体(スチレン系フィルム層)と制電性粘着剤層の接着強度(接着性―2)を評価した。また、フィルムの透明性及び外観をそれぞれ目視で評価した。
表9に示される結果から、以下のことが明らかである。
本発明の実施例3´−1〜3´−13の粘着フィルムは、制電性に優れ、又支持体と粘着剤の接着強度も優れる。又TACフィルムとの粘着性のコントロールも容易である。更に透明性・外観に優れたフィルムである。
一方、比較例3´−1は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で多く、(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であるが,制電性が発現しない。比較例2は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少なく、(B)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であるり、制電性は問題ないが、フィルムの外観が劣り実用に供しない。
【0226】
【表9】

【0227】
8.3層型シートの製造及び評価
実験例1−2〜1−9
図4に示すような3層型シートを製造するために、第1層及び第3層の形成用組成物として、上記の成分(A)、(B)、(C)及び(E)を、表10に記載の配合割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(シリンダーの設定温度;220℃)を用いて溶融混練し、ペレット(制電性樹脂組成物)を得た。一方、中間層である第2層の形成用組成物として、表10に記載の重合体からなるペレットを用いた。
上記の各ペレットを十分に乾燥した後、2種3層のTダイ押出機を用い、厚さ0.8mmの第2層の両面側に、厚さ0.1mmの第1層及び第3層が配された3層型シートを得た。本3層型シートを用い、制電性、透明性及び成形品外観の評価を行った。その結果を表10に示す。
【0228】
【表10】

【0229】
表10より、実験例1−2〜1−9は、いずれも、本発明の制電性樹脂組成物を用いて第1層及び第3層を形成させてなる3層シートであり、両表面における制電性に優れており、第2層(中間層)が、第1層及び第3層の形成に用いた同じ成分(A)を含むため、透明性及び成形品外観にも優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0230】
本発明の制電性樹脂組成物は、制電性及び成形品外観に優れ、透明性にも優れるため、静電気障害が大きな問題となる分野で利用されるフィルム、シート等の成形品の成形材料として有用である。
本発明の制電・粘着性樹脂組成物は、制電性、透明性及び成形品外観に優れるため、静電気障害が大きな問題となる分野で利用される粘着フィルム、多層シート等の成形品の成形材料として有用である。
本発明の制電性樹脂組成物及び制電・粘着性樹脂組成物からなる、粘着フィルム、多層シート等の成形品は、制電性及び成形品外観に優れ、その実施形態によっては透明性にも優れるため、静電気障害が大きな問題となる分野で利用される粘着フィルム、多層シート等の成形品の成形材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0231】
【図1】本発明の粘着フィルムの1例を示す概略断面図である。
【図2】制電性粘着層の表面に保護層が配された粘着フィルムの1例を示す概略断面図である。
【図3】支持体の両面側に制電性粘着層及び保護層が配された粘着フィルムの1例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の制電性樹脂組成物を用いてなる3層型シートの1例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0232】
1,1’及び1”;粘着フィルム、11;支持体、12,12a及び12b;制電性粘着層、13,13a及び13b;保護層、2;3層型シート、21a及び21b;本発明の制電性樹脂組成物を用いてなる層、22;中間層。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリオレフィン系樹脂(但し、下記成分(B)を除く。)30〜95質量%と、
(B)オレフィン重合体ブロックと親水性ポリマーブロックとを含むブロック共重合体5〜20質量%と、
(C)共役ジエン化合物単位を含む重合体およびその水素添加物からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体0〜50質量%と、
を含有する(但し、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%である。)ことを特徴とする制電性樹脂組成物。
【請求項2】
上記成分(A)が、環状オレフィン単位を含み且つガラス転移温度が60〜200℃であるポリオレフィン系樹脂(A−1)と、環状オレフィン単位を含まないポリオレフィン系樹脂(A−2)とからなり、両者の含有量の比((A−1)/(A−2))が95/5〜1/99(質量比)である請求項1に記載の制電性樹脂組成物。
【請求項3】
上記成分(C)が、共役ジエン化合物単位から主としてなる重合体ブロック(c1)と芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック(c2)とを含むブロック共重合体およびその水素添加物からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体である請求項1に記載の制電性樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、下記成分(E1)、成分(E2)、成分(E3)及び成分(E4)からなる群より選ばれた少なくとも1種の制電性改良剤(E)を、前記制電性樹脂組成物の制電性を改良するに十分な量だけ含有する請求項1記載の制電性樹脂組成物。
成分(E1):フッ素化アルキルスルホニル基を備えたアニオン部を有する塩、
成分(E2):下記一般式(XII)で表される単位を含む重合体、
成分(E3):下記一般式(XIII)で表される単位を含むホウ素化合物、
成分(E4):非イオン性界面活性剤。
【化1】

(式中、Rは炭化水素基を表し、R’は水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表し、Xは水素原子、炭化水素基、ウレタン残基若しくはエステル残基を有する炭化水素基、又は親水基を表し、mは1以上の数を表す。)
【化2】

【請求項5】
(A)ポリオレフィン系樹脂(但し、下記成分(B)を除く。)0〜59質量%と、
(B)オレフィン重合体ブロックと親水性ポリマーブロックとを含むブロック共重合体3〜60質量%と、
(C)共役ジエン化合物単位を含む重合体およびその水素添加物からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体35〜97質量%と、
を含有する(但し、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%である。)ことを特徴とする制電・粘着性樹脂組成物。
【請求項6】
上記成分(A)0〜40質量%と、上記成分(B)6〜25質量%と、上記成分(C)35〜94質量%とを含有する(但し、上記成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計は100質量%である。)請求項5に記載の制電・粘着性樹脂組成物。
【請求項7】
上記成分(A)が、環状オレフィン単位を含み且つガラス転移温度が60〜200℃であるポリオレフィン系樹脂(A−1)と、環状オレフィン単位を含まないポリオレフィン系樹脂(A−2)とからなり、両者の含有量の比((A−1)/(A−2))が95/5〜1/99(質量比)である請求項6に記載の制電・粘着性樹脂組成物。
【請求項8】
上記成分(C)が、共役ジエン化合物単位から主としてなる重合体ブロック(c1)と芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック(c2)とを含むブロック共重合体およびその水素添加物からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体である請求項6に記載の制電・粘着性樹脂組成物。
【請求項9】
さらに、下記成分(E1)、成分(E2)、成分(E3)及び成分(E4)からなる群より選ばれた少なくとも1種の制電性改良剤(E)を、前記制電・粘着性樹脂組成物の制電性を改良するに十分な量だけ含有する請求項6記載の制電・粘着性樹脂組成物。
成分(E1):フッ素化アルキルスルホニル基を備えたアニオン部を有する塩、
成分(E2):下記一般式(XII)で表される単位を含む重合体、
成分(E3):下記一般式(XIII)で表される単位を含むホウ素化合物、
成分(E4):非イオン性界面活性剤。
【化3】

(式中、Rは炭化水素基を表し、R’は水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表し、Xは水素原子、炭化水素基、ウレタン残基若しくはエステル残基を有する炭化水素基、又は親水基を表し、mは1以上の数を表す。)
【化4】

【請求項10】
上記成分(A)がポリオレフィン(A´−1)及び/又は官能基で変性されているポリオレフィン(A´−2)であり、上記成分(C)が共役ジエン化合物単位及び芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体の水素添加物であり、上記成分(A)0〜59質量%、上記成分(B)3〜60質量%、及び上記成分(C)40〜97質量%からなる請求項5に記載の制電・粘着性樹脂組成物。
【請求項11】
上記成分(C)が、共役ジエン化合物単位から主としてなる重合体ブロック(c1)と芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロック(c2)とを含むブロック共重合体およびその水素添加物からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体である請求項10に記載の制電・粘着性樹脂組成物。
【請求項12】
上記成分(C)成分の共役ジエン化合物単位からなる部分の水素添加率が10〜100%である請求項11記載の制電・粘着性樹脂組成物。
【請求項13】
熱可塑性重合体組成物からなる支持体と、該支持体の少なくとも1面側に配設され、且つ、請求項5乃至12のいずれか1項に記載の制電・粘着性樹脂組成物からなる制電性粘着層とを備えることを特徴とする粘着フィルム。
【請求項14】
上記熱可塑性重合体組成物がポリオレフィン系樹脂組成物であり、上記制電性粘着層が請求項5乃至9のいずれか1項に記載の制電・粘着性樹脂組成物からなる請求項13に記載の粘着フィルム。
【請求項15】
上記ポリオレフィン系樹脂組成物が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制電性樹脂組成物である請求項14に記載の粘着フィルム。
【請求項16】
上記制電性粘着層が請求項10乃至12のいずれか1項に記載の制電・粘着性樹脂組成物からなる請求項13に記載の粘着フィルム。
【請求項17】
上記熱可塑性重合体組成物がスチレン系樹脂組成物である請求項16に記載の粘着フィルム。
【請求項18】
請求項13乃至17のいずれか1項に記載の粘着フィルムを備えてなる表示装置用の保護フィルム。
【請求項19】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の制電性樹脂組成物からなる成形品。
【請求項20】
フィルムである請求項19記載の成形品。
【請求項21】
熱可塑性重合体組成物と、請求項5乃至12のいずれか1項に記載の制電・粘着性樹脂組成物とを共押出する工程を備えることを特徴とする粘着フィルムの製造方法。
【請求項22】
上記熱可塑性重合体組成物がポリオレフィン系樹脂組成物であり、上記制電・粘着性樹脂組成物が請求項5乃至9のいずれか1項に記載の組成物である請求項21に記載の粘着フィルムの製造方法。
【請求項23】
上記ポリオレフィン系樹脂組成物が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制電性樹脂組成物である請求項22に記載の粘着フィルムの製造方法。
【請求項24】
上記制電・粘着性樹脂組成物が請求項10乃至12のいずれか1項に記載の組成物からなる請求項21に記載の粘着フィルムの製造方法。
【請求項25】
上記熱可塑性重合体組成物がスチレン系樹脂組成物である請求項24に記載の粘着フィルムの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−84785(P2007−84785A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87515(P2006−87515)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(396021575)テクノポリマー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】